JP2021028612A - 半導体デバイス測定方法、半導体デバイス測定装置、およびプログラム - Google Patents

半導体デバイス測定方法、半導体デバイス測定装置、およびプログラム Download PDF

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英俊 中西
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辰彦 西村
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Tokuyuki Takada
徳幸 高田
言緒 高橋
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言緒 高橋
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Abstract

【課題】高電子移動度トランジスタの品質を向上させる。【解決手段】ヘテロ接合を形成している第1半導体部および第2半導体部と、第2半導体部上に直接または1つ以上の層を介して位置しているソース電極、ゲート電極およびドレイン電極と、を有する高電子移動度トランジスタを含む半導体デバイスを保持部に保持させる。第2半導体部を透過し且つ第1半導体部に吸収される波長領域の光を射出するように光照射部を設定する。高電子移動度トランジスタのうちの光照射部によって設定された波長領域のパルス光が照射される照射対象位置を移動させる度に、光照射部による設定された波長領域のパルス光の照射に応じて第1半導体部から放射されるテラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出することで、2次元的に位置する複数の照射対象位置のそれぞれについてテラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。【選択図】図5

Description

本発明は、半導体デバイスを対象とした測定技術に関する。
あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)社会を実現するために、広帯域(高速)の無線通信の普及、および装置に対する無線による電力供給の実用化等が注目を集めている。パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)およびスマートフォンに代表されるモバイル端末等を対象とした基地局用の通信装置、ならびにエレクトロニクス機器および自動車等への無線による電力伝送用の装置等が代表例として挙げられる。
これらの装置を実現するために鍵となる技術として、消費電力が低く、高速でのスイッチングが可能なトランジスタ(高速スイッチングトランジスタともいう)が挙げられる。そして、このようなトランジスタとして、例えば、ワイドギャップ半導体の1つとして既に青色LEDの材料として広く使用されている窒化ガリウム(GaN)を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)の普及が期待されている(下記、非特許文献1〜3を参照)。
GaNを用いたHEMT(GaN−HEMTともいう)は、例えば、基板上に、バッファ層等を介して、高純度のGaN層とn型の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層とがこの記載の順に積層され、その上にゲート電極、ソース電極およびドレイン電極が形成された構造を有する。GaN−HEMTは、異なる材料であるGaN層とAlGaN層とがヘテロ接合を形成している電界効果トランジスタの構成を有する。GaN−HEMTでは、GaN層は、不純物の含有量が少ない高純度の層であり、AlGaN層との界面付近に高密度の2次元電子ガス(2DEG:Two Dimensional Electron Gas)が蓄積し、キャリアとしての電子を高速で移動させる層として機能する。AlGaN層は、ソース電極とドレイン電極との間に対する電圧(ドレイン電圧ともいう)Vdsの印加に応じて電子をGaN層に供給する層(電子供給層ともいう)としての機能と、GaN層との界面において高密度の2DEGを蓄積させるための障壁を形成する層(電子障壁層ともいう)としての機能と、を有する。
このようなGaN−HEMTは、例えば、高密度の2DEGの存在によってソース電極とドレイン電極との間で電子が移動する状態(オン状態ともいう)において電気抵抗(オン抵抗ともいう)Ronが低く、低い寄生容量によってオン状態とオフ状態とを切り替える際におけて電力損失(スイッチング損失ともいう)が低く、破壊耐圧が高い等といった優れたトランジスタの特性を有する。
常信和清、外3名、「窒化ガリウムHEMT技術の展望」、FUJITSU.64,5,p600−605(09,2003) 清水立雄、「GaN系HEMTの最近の信頼性評価・解析」、REAJ誌 2015年 Vol.37,No.1(通巻221号)、p.19−25 国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター、低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書、「GaN系半導体デバイスの技術開発課題とその新しい応用の展望」、平成29年3月
ところで、GaN−HEMTでは、例えば、空乏層の幅(空乏層幅ともいう)によって、ソース電極とドレイン電極との間で電流が流れない状態(オフ状態ともいう)に移行させる動作(オフ動作ともいう)を制御することができる。ただし、上述した低い動作抵抗Ronと高い破壊耐圧とは、トレードオフの関係にある。このため、空乏層幅を精密に制御する必要がある。
また、GaN−HEMTでは、例えば、ドレイン電極とソース電極との間に高い電圧が印加されている際に、オフ状態からオン状態へ切り替えたときに、過渡的にオン抵抗Ronが増大する現象(電流コラプス現象ともいう)が生じ得る。この電流コラプス現象が生じるメカニズムとしては、AlGaNの表面準位での電子のトラップ(トラップ電荷ともいう)、バッファ層中の炭素(C)に起因する欠陥による電荷の捕獲、およびAlGaN層とGaN層との界面近傍における欠陥の寄与等が考えられている。このため、電流コラプス現象が生じ難い装置を開発することが求められる。
また、GaN−HEMTでは、例えば、オフ状態からオン状態に至る時間が短い高速動作を実現するためには、微細加工によってゲート長を短縮し、トランジット遅延を最小化する必要がある。しかし、ゲート長の短縮(短チャネル化ともいう)を行うことで、相互コンダクタンスの低下、閾値電圧のシフト、ゲート容量の飽和、ドレインコンダクタンスの増加、という通常の電界効果トランジスタ(FET:Field effect transistor)における微細化(スケーリングともいう)と同様の問題が生じる。このため、ゲート長の最適化を図ることが求められる。
このように、GaN−HEMTの品質を向上させるための技術が求められている。
このような問題については、GaN−HEMTに限られず、その他の材料を用いたヘテロ接合の界面を有するHEMTにも共通する。
上記の問題が存在する中で、解決するための手段の1つとして、例えば、ヘテロ接合の界面およびその界面の近傍を含む領域におけるエネルギー準位の場所による違いを捉えることが考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高電子移動度トランジスタ(HEMT)の品質を向上させるための技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第1半導体部と、該第1半導体部とヘテロ接合を形成している層状の第2半導体部と、該第2半導体部上に直接または1つ以上の層を介して位置しているソース電極、ゲート電極およびドレイン電極と、を有する高電子移動度トランジスタを含む半導体デバイスを対象とした半導体デバイス測定方法であって、保持工程と、設定工程と、検出工程と、移動工程と、を有する。前記保持工程では、前記半導体デバイスを保持部に保持させる。前記設定工程では、前記第2半導体部を透過し且つ前記第1半導体部に吸収される波長領域の光を射出するように光照射部を設定する。前記検出工程では、前記光照射部によって、前記設定工程で設定された前記波長領域のパルス光を、前記第2半導体部を介して前記第1半導体部に照射することで、前記第1半導体部から放射されるテラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。前記移動工程では、前記高電子移動度トランジスタのうちの前記光照射部によって前記パルス光が照射される照射対象位置を2次元的に移動させる。前記移動工程によって前記照射対象位置を移動させる度に前記検出工程を実行することで2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。
第2の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第1の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記複数の照射対象位置のそれぞれについて前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化のうちの所定のピークの強度の2次元の分布に係る第1分布情報を生成する第1生成工程、をさらに有する。
第3の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第1の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記複数の照射対象位置のそれぞれについて前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化のうちの所定のピークの強度の正または負の値の2次元の分布に係る第2分布情報を生成する第2生成工程、をさらに有する。
第4の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第1から第3の何れか1つの態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記設定工程において、前記波長領域が、前記第2半導体部におけるバンドギャップに対応する吸収端の波長よりも、前記第1半導体部におけるバンドギャップに対応する吸収端の波長に近い波長領域となるように、前記光照射部を設定する。
第5の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第1から第4の何れか1つの態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間にドレイン電圧を印加するとともに、前記ソース電極と前記ゲート電極との間にゲート電圧を印加する印加工程、をさらに有し、該印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記ドレイン電圧を印加し且つ前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記ゲート電圧を印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。
第6の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第5の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記ゲート電圧を変更する第1変更工程、をさらに有し、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に予め設定された第1のドレイン電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ゲート電極との間に互いに異なる複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。
第7の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第6の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間におけるドレイン電流を計測する計測工程、をさらに有し、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第1のドレイン電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出するとともに、前記計測工程によって前記ドレイン電流を計測する。
第8の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第6の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間におけるドレイン電流を計測する計測工程と、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に互いに異なる複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態で前記計測工程によって前記ドレイン電流を計測することで得られる、前記ゲート電圧と前記ドレイン電流との関係を示す情報に基づいて、前記ゲート電圧を変化させた際に前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記ドレイン電流が流れ始めるときの前記ソース電極と前記ゲート電極との間における閾値電圧を認識する認識工程と、をさらに有し、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記閾値電圧を印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。
第9の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第8の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第1のドレイン電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態で前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化における所定のピークの強度と、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第1のドレイン電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記閾値電圧を印加した状態で前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化における所定のピークの第1基準強度と、の第1差分値を算出する第1算出工程と、前記複数の照射対象位置に対する前記第1差分値の2次元の分布に係る第3分布情報を生成する第3生成工程と、をさらに有する。
第10の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第5の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記ドレイン電圧を変更する第2変更工程、をさらに有し、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に予め設定された第1のゲート電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に互いに異なる複数のドレイン電圧をそれぞれ印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。
第11の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第10の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間におけるドレイン電流を計測する計測工程、をさらに有し、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記第1のゲート電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に互いに異なる複数のドレイン電圧をそれぞれ印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出するとともに、前記計測工程によって前記ドレイン電流を計測する。
第12の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第10の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間におけるドレイン電流を計測する計測工程と、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に互いに異なる複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態で前記計測工程によって前記ドレイン電流を計測することで得られる、前記ゲート電圧と前記ドレイン電流との関係を示す情報に基づいて、前記ゲート電圧を変化させた際に前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記ドレイン電流が流れ始めるときの前記ソース電極と前記ゲート電極との間における閾値電圧を認識する認識工程と、をさらに有し、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記第1のゲート電圧を印加するとともに該第1のゲート電圧から前記閾値電圧を減じたピンチオフ電圧を前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。
第13の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第12の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記第1のゲート電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記複数のドレイン電圧をそれぞれ印加した状態で前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化における所定のピークの強度と、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記第1のゲート電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記ピンチオフ電圧を印加した状態で前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化における所定のピークの第2基準強度と、の第2差分値を算出する第2算出工程と、前記複数の照射対象位置に対する前記第2差分値の2次元の分布に係る第4分布情報を生成する第3生成工程と、をさらに有する。
第14の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第5から第13の何れか1つの態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に数Vから数百Vのドレイン電圧を印加しながら、前記検出工程によって前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。
第15の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第1から第14の何れか1つの態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記ソース電極、前記ゲート電極および前記ドレイン電極が位置している電極位置を示す電極位置情報を取得する取得工程と、をさらに有し、前記移動工程によって前記電極位置を避けるように前記照射対象位置を2次元的に移動させる。
第16の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第15の態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記保持部に保持された前記半導体デバイスのうちの前記高電子移動度トランジスタを撮像部で撮像することで前記ソース電極、前記ゲート電極および前記ドレイン電極を含む領域を捉えた画像データを取得する撮像工程、をさらに有し、前記取得工程において、前記画像データに基づいて前記電極位置情報を取得する。
第17の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第1から第16の何れか1つの態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記検出工程において、偏光子を透過した前記テラヘルツ波のうちの予め設定された方向に振動する成分の強度の時間的な変化を検出する。
第18の態様に係る半導体デバイス測定方法は、第1から第17の何れか1つの態様に係る半導体デバイス測定方法であって、前記高電子移動度トランジスタは、前記第1半導体部のうちの前記第2半導体部との界面の近傍に蓄積されている高濃度の2次元電子ガスによって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間において電子を高速で移動させることでドレイン電流を流すトランジスタ、を含む。
第19の態様に係る半導体デバイス測定装置は、保持部と、光照射部と、検出部と、移動部と、制御部と、を備える。前記保持部は、第1半導体部と、該第1半導体部とヘテロ接合を形成している層状の第2半導体部と、該第2半導体部上に直接または1つ以上の層を介して位置しているソース電極、ゲート電極およびドレイン電極と、を有する高電子移動度トランジスタを含む半導体デバイスを保持する。前記光照射部は、前記第2半導体部を透過し且つ前記第1半導体部に吸収される波長領域のパルス光を、前記第2半導体部を介して前記第1半導体部に照射する。前記検出部は、前記光照射部による前記パルス光の照射に応じて前記第1半導体部から放射されるテラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する。前記移動部は、前記高電子移動度トランジスタのうちの前記光照射部によって前記パルス光が照射される照射対象位置を2次元的に移動させる。前記制御部は、前記移動部によって前記照射対象位置を移動させる度に、前記検出部によって、前記光照射部による前記パルス光の照射に応じて前記第1半導体部から放射される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出させることで、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を取得する。
第20の態様に係るプログラムは、半導体デバイス測定装置に含まれる演算処理部によって実行されることで、該半導体デバイス測定装置を、第19の態様に係る半導体デバイス測定装置として機能させる。
第1から第18の態様に係る半導体デバイス測定方法、第19の態様に係る半導体デバイス測定装置および第20の態様に係るプログラムの何れによっても、例えば、高電子移動度トランジスタ(HEMT)のうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMTの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断等に資する有益な情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMTの品質を向上させることができる。
第2の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、HEMTから放射されるテラヘルツ波の所定のピークの強度を2次元的にマッピングしたイメージを生成することができる。これにより、例えば、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の2次元的な分布に関する情報を得ることができる。
第3の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、HEMTから放射されるテラヘルツ波の所定のピークの強度の正または負の値を2次元的にマッピングしたイメージを生成することができる。これにより、例えば、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域における特定のエネルギー準位に係る2次元的な分布に関する情報を得ることができる。
第4の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、第2半導体部の欠陥準位に起因するテラヘルツ波の放射が低減され得る。これにより、例えば、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報に含まれるノイズ成分を低減することができる。
第5の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、動作中のHEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。
第6の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、動作中のHEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに対するゲート電圧の影響に係る情報を得ることができる。
第7の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、動作中のHEMTについて、ドレイン電流に対するゲート電圧の影響を示す情報に加えて、蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに対するゲート電圧の影響を示す情報を同時に得ることができる。
第8の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、ゲート電圧が閾値電圧に設定された状態について、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMTがオン状態とオフ状態との間で切り替わるタイミングにおける、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。
第9の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、HEMTがオフ状態とオン状態との間で切り替わる閾値電圧の付近におけるゲート電圧の変化に対して、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。
第10の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、動作中のHEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに対するドレイン電圧の影響を示す情報を得ることができる。
第11の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、動作中のHEMTについて、ドレイン電流に対するドレイン電圧の影響を示す情報に加えて、蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに対するドレイン電圧の影響を示す情報を同時に得ることができる。
第12の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、ドレイン電圧がピンチオフ電圧に設定された状態について、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMTが線形領域と飽和領域との間で切り替わるタイミングについて、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。
第13の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、ドレイン電圧がピンチオフ電圧に設定された状態について、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMTが線形領域と飽和領域との間で切り替わるタイミングにおける、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。
第14の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、電流コラプス現象が生じているものと推定されるHEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMTにおける電流コラプス現象の解析が可能となる。
第15の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、電極位置を避けてHEMTにパルス光を照射することで、パルス光の照射による電極の損傷を低減することができる。これにより、例えば、HEMTの品質を低下させることなく、HEMTを対象とした測定を非破壊で実施することができる。
第16の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、撮像で得た画像データに基づいて取得される電極位置を避けてHEMTにパルス光を照射することで、パルス光の照射による電極の損傷を容易に低減することができる。
第17の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、第1半導体部のうちの第2半導体部の近傍においてパルス光の照射に応じて生じる過渡電流の向きに対応するテラヘルツ波の成分について強度を選択的に検出することができる。これにより、例えば、HEMTのうちの蓄積されたキャリアが高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係るさらに詳細な情報を得ることができる。
第18の態様に係る半導体デバイス測定方法によれば、例えば、HEMTのうちの蓄積されたキャリアとしての電子が高速で移動し得るヘテロ接合の界面から第1半導体部のその界面の近傍に至るまでの領域におけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。
図1は、半導体デバイス測定装置の全体構成を概略的に示す図である。 図2は、半導体デバイスを示す概略断面図である。 図3は、半導体デバイスを示す概略平面図である。 図4は、半導体デバイスにおけるHEMTに係るエネルギーバンド図である。 図5は、半導体デバイス測定装置における制御部と他の要素との接続関係を示すブロック図である。 図6は、半導体デバイス測定装置で取得される電磁波の時間波形を例示する図である。 図7は、複数の照射対象位置のそれぞれについて検出された電磁波の時間波形のうちの所定のピークの強度の2次元の分布を例示する図である。 図8は、複数の照射対象位置のそれぞれについて検出された電磁波の時間波形のうちの所定のピークの強度の2次元の分布を例示する図である。 図9は、複数の照射対象位置のそれぞれについて検出された電磁波の時間波形のうちの所定のピークの正の値の強度の2次元の分布を例示する図である。 図10は、複数の照射対象位置のそれぞれについて検出された電磁波の時間波形のうちの所定のピークの正の値の強度の2次元の分布を例示する図である。 図11は、各ゲート電圧が印加された場合について電磁波の時間波形のうちの所定のピークの強度のドレイン電極からゲート電極に向けたY方向における変化を例示するグラフである。 図12は、半導体デバイス測定装置の動作フローの一例を示す流れ図である。 図13は、光照射部の設定の動作フローの一例を示す流れ図である。 図14は、測定対象領域の設定の動作フローの一例を示す流れ図である。 図15は、測定処理の動作フローの一例を示す流れ図である。 図16は、第1測定動作のフローの一例を示す流れ図である。 図17は、第2測定動作のフローの一例を示す流れ図である。 図18は、情報処理の動作フローの一例を示す流れ図である。 図19は、第2実施形態に係る情報処理の動作フローの一例を示す流れ図である。 図20は、第2実施形態に係る情報処理の動作フローの他の一例を示す流れ図である。 図21は、第3実施形態に係る情報処理の動作フローの一例を示す流れ図である。 図22は、第3実施形態に係る情報処理の動作フローの他の一例を示す流れ図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。各実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面は、あくまでも模式的に示したものである。図面においては、容易に理解が可能となるように、必要に応じて各部の寸法および数が誇張または簡略化されて図示されている場合がある。また、図面においては、同様な構成および機能を有する部分に対して同じ符号が付されており、重複した説明が適宜省略されている。図2および図3には、右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、HEMT9Trの上面9uに沿ってドレイン電極9dとゲート電極9gとソース電極9sとが順に並んでいる一方向が+Y方向とされ、HEMT9Trの上面9uに沿っており且つ+Y方向とは直交している方向が+X方向とされ、+X方向と+Y方向との両方に直交するHEMT9Trの厚さの方向が+Z方向とされている。
また、本明細書では、相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「平行」「直交」「中心」等)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差も含む状態を表すとともに、同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。2つ以上のものが等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」等)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば「四角形状」または「円筒形状」等)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密に形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸または面取り等を有する形状も表すものとする。1つの構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「〜の上」という表現は、特に断らない限り、2つの要素が接している状態のほか、2つの要素が他の要素を挟んで離れている状態も含む表現である。
<1.第1実施形態>
<1−1.半導体デバイス測定装置>
図1は、第1実施形態の半導体デバイス測定装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、半導体デバイス9を示す概略断面図である。図3は、半導体デバイス9の高電子移動度トランジスタ(HEMT)9Trの構成を示す概略平面図である。図2の半導体デバイス9の断面は、図3のII−II線に沿ったHEMT9Trの断面の一例を示す。
半導体デバイス測定装置1は、半導体デバイス9に含まれるHEMT9Trを対象とした測定を行うことが可能な装置である。図2で示されるように、半導体デバイス9は、HEMT9Trを含む。図2の例では、半導体デバイス9は、平板状の基板96と、該基板96上に位置しているHEMT9Trと、を有する。図2および図3で示されるように、HEMT9Trは、例えば、第1半導体部90と、該第1半導体部90上に位置する層状の第2半導体部92と、該第2半導体部92上に位置している、ソース電極9s、ドレイン電極9dおよびゲート電極9gと、を有する。第1半導体部90と第2半導体部92とは、界面98で接しており、ヘテロ接合を形成している。ソース電極9sとゲート電極9gとドレイン電極9dと、はこの記載の順に一方向(−Y方向)において相互に離間している状態で位置している。
第1実施形態では、基板96には、例えば、サファイア製の基板(サファイア基板ともいう)等が適用される。第1半導体部90の材料には、例えば、高純度のGaN(窒化ガリウム)等が適用される。GaNは、i型の真性半導体である。第2半導体部92の材料には、例えば、GaN(窒化ガリウム)のうちの一部のガリウム(Ga)がアルミニウム(Al)に置換されたAlGaN(窒化アルミニウムガリウム、x+y=1、0.2≦x≦0.3、0.7≦y≦0.8)等が適用される。AlGaNは、n型の半導体である。
ソース電極9sおよびドレイン電極9dは、例えば、第2半導体部92に対してオーミック接触を形成している。ゲート電極9gは、例えば、第2半導体部92に対してショットキー接触を形成している。ここで、例えば、ソース電極9s、ドレイン電極9dおよびゲート電極9gのそれぞれの材料に、金(Au)が含まれていれば、ソース電極9s、ドレイン電極9dおよびゲート電極9gのそれぞれにおける配線に対する接触抵抗の低減および耐食性の向上が図られる。
具体的には、ソース電極9sおよびドレイン電極9dのそれぞれに、例えば、チタン(Ti)とAlとニッケル(Ni)とAuとがこの記載の順に積層された構成を適用することで、第2半導体部92とソース電極およびドレイン電極9dのそれぞれとが、オーミック接触を形成する。ソース電極9sおよびドレイン電極9dには、例えば、TiとAlとTiとAuとがこの記載の順に積層された構成が適用されてもよいし、TiとAlとモリブデン(Mo)とAuとがこの記載の順に積層された構成が適用されてもよい。また、例えば、ゲート電極9gに、例えば、NiとAuとがこの記載の順に積層された構成を適用することで、第2半導体部92とゲート電極9gとが、ショットキー接触を形成する。ゲート電極9gには、例えば、銅(Cu)または窒化チタン(TiN)の単層の構成が適用されてもよい。なお、例えば、ソース電極9s、ドレイン電極9dおよびゲート電極9gのそれぞれの材料に、銀(Ag)が含まれていれば、ソース電極9s、ドレイン電極9dおよびゲート電極9gのそれぞれを形成するための製造コストが低減され得る。
第1半導体部90は、例えば、基板96上に、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)または分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)によってGaNを堆積させることで形成され得る。基板96の厚さは、例えば、数百マイクロメートル(μm)から1ミリメートル(mm)程度とされる。第1半導体部90の厚さは、例えば、3μm以下程度とされる。第2半導体部92は、例えば、第1半導体部90上にMOCVDまたはMBEによってAlGaNをエピタキシャル成長させることで形成され得る。第2半導体部92の厚さは、20ナノメートル(nm)から30nm程度とされる。ソース電極9s、ドレイン電極9dおよびゲート電極9gは、例えば、第2半導体部92上に、スパッタリング、化学気相蒸着または化学蒸着(CVD)等によって形成され得る。
上記の構成を有するHEMT9Trにおいては、ソース電極9sの電位を基準としてソース電極9sとドレイン電極9dとの間に印加される電圧(ドレイン電圧ともいう)を正の電圧とした状態で、n型のAlGaNで構成されている第2半導体部92がキャリアとしての電子を発生させ、この電子が、不純物が入っていない高純度のGaNで構成されている第1半導体部90に引き寄せられる。そして、第1半導体部90のうちの界面98の近傍の領域において、ドレイン電極9dに向かって移動(走行)することが可能である。このとき、第1半導体部90では、不純物が非常に少ないため、キャリアとしての電子は、不純物に衝突しにくく高速で移動することが可能である。
図4は、HEMT9Trに係るエネルギーバンド図である。図4では、横軸が、HEMT9Trの厚さ方向としての−Z方向における位置が示され、縦軸が、エネルギー準位を示している。また、第1半導体部90を構成しているGaNについて、価電子帯の上端(VBM:Valence Band Maximum)が実線Lv1で描かれ、伝導帯の下端(CBM:Conduction Band Minimum)が実線Lc1で描かれている。また、第2半導体部92を構成しているAlGaNについて、価電子帯の上端(VBM)が実線Lv2で描かれ、伝導帯の下端(CBM)が実線Lc2で描かれている。また、GaNのバンドギャップBg1、AlGaNのバンドギャップBg2および第2半導体部92とゲート電極9gとの間におけるショットキー障壁の高さΦが示されている。
ここで、例えば、GaN層の上に薄膜状のAlGaN層をエピタキシャル成長させると、GaNの結晶とAlGaNの結晶との間における格子定数の違いに起因して、AlGaNの薄膜には引張り歪みが発生し、AlGaNの内部に圧電による分極を生じる。この分極の作用によって、第1半導体部90と第2半導体部92との界面98に正の固定電荷が生じる。この分極による正の固定電荷の大きさは、例えば、AlGaNにおけるAlの含有比率の上昇に応じて直線的に増加する。このような正の固定電荷によって、GaNおよびAlGaNのそれぞれのエネルギーバンドが界面98に向けて下向き(エネルギー準位が低い方向の向き)に曲がる。このため、第1半導体部90のうちの第2半導体部92とヘテロ接合を形成している界面98の近傍の領域(界面近傍領域ともいう)90Arにおいて高濃度の2次元電子ガス(2DEG)が蓄積された状態となる。この2DEGが存在している界面近傍領域90Arは、不純物の濃度が低くて高純度の半導体の領域である。このため、界面近傍領域90Arでは、キャリアとしての電子が高速で移動することができる。これにより、界面98に沿ったシート状の界面近傍領域90Arがチャネル領域としての役割を果たす。ここでは、AlGaN層は、ソース電極9sとドレイン電極9dとの間に対する電圧(ドレイン電圧)Vdsの印加に応じて電子をGaN層に供給する層(電子供給層)としての機能と、GaN層のうちの界面98の近傍の界面近傍領域90Arに高密度の2DEGを蓄積させるための障壁D12を形成する層(電子障壁層ともいう)としての機能と、を有する。よって、HEMT9Trは、第1半導体部90のうちの第2半導体部92との界面98の近傍に蓄積されている高濃度の2DEGによって、ソース電極9sとドレイン電極9dとの間において電子を高速で移動させることでドレイン電流Idsを流すことが可能なトランジスタである。
図1で示されるように、半導体デバイス測定装置1は、例えば、光照射部10および電磁波検出部20を有する。また、半導体デバイス測定装置1は、例えば、ステージ30、撮像部33、ステージ移動部35、電圧印加部40および制御部50を有する。半導体デバイス測定装置1は、例えば、ステージ30に保持された半導体デバイス9に含まれるHEMT9Trに、光照射部10からの測定用の光(測定用光ともいう)LP10を照射して、HEMT9Trから放射される電磁波LT1の強度を電磁波検出部20で検出することができる。ここで、半導体デバイス測定装置1の各部の一例について説明する。
<光照射部10>
光照射部10は、HEMT9Trの第1半導体部90から電磁波LT1を放射させるための所定の波長領域の測定用光LP10を、HEMT9Trの第2半導体部92側の部分としてのHEMT9Trの上面9uに照射することができる。ここで、測定用光LP10には、半導体デバイス9のうちの第2半導体部92を透過し且つ第1半導体部90に吸収される波長領域のパルス光が適用される。これにより、光照射部10は、第2半導体部92を介して第1半導体部90に測定用光LP10を照射することができる。半導体デバイス9から放射される電磁波LT1は、周波数が0.1テラヘルツ(THz)から10THzの帯域の電磁波(テラヘルツ波ともいう)を含む。
図1で示されるように、光照射部10は、例えば、フェムト秒レーザ12を有する。フェムト秒レーザ12は、数キロヘルツ(kHz)から数十メガヘルツ(MHz)の繰り返し周波数と、10フェムト秒(fs)から150fs程度のパルス幅と、を有する直線偏光であり、200nmから2.5μm程度の紫外光領域から赤外光領域の波長に含まれる波長領域のパルス光LP1を出力することができる。フェムト秒レーザ12には、例えば、出力する光の波長および周波数が固定されているレーザが適用されてもよいし、出力する光の波長および周波数を選択的に変更することが可能なレーザ(波長可変レーザともいう)が適用されてもよい。
また、光照射部10は、例えば、ビームスプリッタ14を有する。ビームスプリッタ14は、パルス光LP1の光路上に設けられており、パルス光LP1を2つのパルス光に分割する。2つのパルス光は、波長変換器16に導かれる第1のパルス光LP1と、電磁波検出部20に導かれる参照光としての第2のパルス光LP12と、を含む。
また、光照射部10は、例えば、波長変換器16を有する。波長変換器16は、ビームスプリッタ14から出力された第1のパルス光LP1の光路上に位置しており、制御部50からの制御指令に基づいて、第1のパルス光LP1の波長領域を他の波長領域に変換することができる。波長変換器16から出力されるパルス光は、測定用光LP10として半導体デバイス9に導かれる。波長変換器16による波長の変換方式については、特に限定されないが、例えば、第2次高調波発生または第3次高調波発生を起こす非線形光学結晶を用いた波長の変換方式が適用され得る。波長変換器16は、例えば、パルス光LP1の波長の変換を行わずに、元のパルス光LP1の波長を有する、測定用光LP10を出力してもよい。また、光照射部10は、波長変換器16を有していなくてもよい。
測定用光LP10は、不図示の光学系によって1点に集光されて、半導体デバイス9に対してスポット状に照射される。これにより、光照射部10は、HEMT9Trの第1半導体部90から電磁波LT1を放射させるための所定の波長領域の測定用光LP10をHEMT9Trの上面9uに照射することができる。所定の波長領域は、光照射部10の設定によって適宜変更され得る。半導体デバイスのHEMT9Trにおいて測定用光LP10が照射される領域の径(スポット径ともいう)は、例えば、1μmから10mm程度とされるが、これに限定されるものではない。
ここで、例えば、第1半導体部90を構成するGaNについては、バンドギャップBg1が3.4eVである。この場合には、3.4eVのバンドギャップBg1に対応する光の吸収端の波長(第1波長ともいう)λ1は、365nmである。換言すれば、GaNは、365nm以下の波長の光が照射されると、この光を吸収して価電子帯から伝導帯に電子を励起させる。このとき、伝導帯にキャリアとしての電子が生じ、価電子帯にキャリアとしての正孔が生じる。これらのキャリアは、光による励起によって生じたキャリア(光励起キャリアともいう)である。これに対して、GaNは、365nmを超える波長の光が照射されても、この光を透過させるため、光励起キャリアを生じない。
一方、第2半導体部92を構成するAlGaNについては、GaNのうちの一部のGaが、Gaよりも原子量が小さなAlに置換されて、分極を生じさせている。そして、AlGaNのバンドギャップBg2は、GaNのバンドギャップBg1よりも大きくなる。換言すれば、GaNのバンドギャップBg1よりもAlGaNのバンドギャップBg2の方が大きい。ここで、例えば、x=0.2で且つy=0.8の場合には、AlGaNのバンドギャップBg2は、3.79eVである。この場合には、3.79eVのバンドギャップBg2に対応する光の吸収端の波長(第2波長ともいう)λ2は、327nmである。換言すれば、Al0.2Ga0.8Nは、327nm以下の波長の光が照射されると、この光を吸収して価電子帯から伝導帯に電子を励起させる。このとき、光励起キャリアが生じる。これに対して、Al0.2Ga0.8Nは、327nmを超える波長の光が照射されても、この光を透過させるため、光励起キャリアを生じない。
光照射部10では、HEMT9Trに照射する測定用光LP10の波長領域を、GaNのバンドギャップBg1に対応する吸収端の波長(第1波長)λ1以下であって、AlGaNのバンドギャップBg2に対応する吸収端の波長(第2波長)λ2を超える波長領域とする。この場合には、測定用光LP10は、半導体デバイス9のうちの第2半導体部92を透過し且つ第1半導体部90に吸収される波長領域のパルス光となる。ここで、測定用光LP10の波長をλとすれば、x=0.2で且つy=0.8の場合には、λ2(=327nm)<λ≦λ1(=365nm)の関係式を成立させる。このような波長λを有する測定用光LP10がHEMT9Trに照射すれば、測定用光LP10が第2半導体部92を介して第1半導体部90に照射され、第1半導体部90のうちの第2半導体部92との界面98の近傍の界面近傍領域90Arからテラヘルツ波(THz波ともいう)が放射され得る。これにより、例えば、HEMT9Trのうちの高濃度で蓄積された2DEGのキャリアとしての電子が高速で移動し得る界面98から第1半導体部90の界面98の近傍に至るまでのチャネル領域としての役割を有する界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の状態に応じたTHz波を放射させることができる。
ここで、例えば、HEMT9Trに照射する測定用光LP10の波長領域が、AlGaNのバンドギャップBg2に対応する吸収端の波長(第2波長)λ2よりも、GaNのバンドギャップBg1に対応する吸収端の波長(第1波長)λ1に近い波長領域であれば、第2半導体部92の欠陥準位に起因するTHz波の放射が生じにくい。これにより、例えば、HEMT9Trのうちのチャネル領域としての役割を有する界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の状態に応じて放射されるTHz波にノイズ成分が重畳する不具合が生じにくい。
具体的には、x=0.2で且つy=0.8の場合には、HEMT9Trに照射する測定用光LP10の波長領域として、AlGaNのバンドギャップBg2に対応する吸収端の第2波長λ2である327nmよりも、GaNのバンドギャップBg1に対応する吸収端の第1波長λ1である365nmに近い、360nmを採用する態様が考えられる。この場合には、例えば、フェムト秒レーザ12として、720nmの波長の基本波としてのパルス光LP1を出力する、サファイアにチタンをドープした結晶を用いたチタンサファイアレーザを適用する。そして、波長変換器16として第2次高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)を起こす非線形光学結晶を適用する。この場合には、波長変換器16は、フェムト秒レーザ12から出力される720nmの波長のパルス光LP1を、2倍の周波数を有する波長が360nmの測定用光LP10に変換することができる。ここでは、例えば、波長変換器16が、1080nmの波長を有する基本波を、3倍の周波数を有する波長が360nmの測定用光LP10に変換してもよいし、1440nmの波長を有する基本波を、4倍の周波数を有する波長が360nmの測定用光LP10に変換してもよい。
半導体デバイスの表面または界面においてTHz波が発生する原理については、例えば、国際公開第2006/093265号公報に記載されている。フェムト秒パルスレーザー光としての測定用光LP10がHEMT9Trの上面9uに照射されると、光励起によってキャリア(光励起キャリアともいう)がHEMT9Trの第1半導体部90の界面98の近傍の界面近傍領域90Arで生成される。この光励起キャリアは、第1半導体部90のうちの界面98の近傍の界面近傍領域90Arにおける表面電場等によって加速され、パルス状の過渡電流が発生する。この過渡電流によって、電磁波LT1を放射する効果(過渡電流効果ともいう)を生じる。この電磁波LT1は、内部電界の向きおよび強さに依存して発生するため、この電磁波LT1を分析することで、HEMT9Trの特性および状態を測定することができる。ここでは、例えば、第1半導体部90のうちの界面98の近傍の界面近傍領域90Arにおける表面電場は、チャネル領域としての役割を有する界面近傍領域90Arにおけるエネルギーバンドの曲がりを含む。
<電磁波検出部20>
電磁波検出部20は、電磁波検出器22を有する。電磁波検出器22は、例えば、光伝導アンテナ(光伝導スイッチともいう)を有する。電磁波検出器22の光伝導アンテナには、HEMT9Trから放射された電磁波LT1が入射されるとともに、裏面側から参照光LP12が照射される。図1では簡略化して示されているが、HEMT9Trから放射された電磁波LT1は、例えば、2つの放物面鏡によって、光伝導アンテナに集光される。
光伝導アンテナには、例えば、ダイポール型、ボウタイ型またはスパイラル型の光伝導アンテナ等が適用される。ここで、光伝導アンテナとして、ダイポール型の光伝導アンテナが用いられる例を挙げて説明する。ダイポール型の光伝導アンテナは、光が入射したときに電子および正孔を生成する光伝導膜と、光伝導膜上に平行に形成された金属製の一対の平行伝送線(電極)と、を有する。さらに、一対の平行伝送線は、それぞれの中央部から互いに接近する方向に延びてギャップを形成している出っ張り部(アンテナ)を有する。また、一対の平行伝送線間には、電流計が位置している。
ここで、アンテナ間のギャップに参照光LP12を照射すると、光伝導膜において光励起キャリアが生成される。このとき、光励起キャリアが生成されても、電磁波LT1が入射していない状態では、ギャップ間に電位差が生じていないため、平行伝送線間に電流は発生しない。これに対して、電磁波LT1が参照光LP12と重なるタイミングで入射すると、電磁波LT1の強度に比例した電位差がギャップ間に瞬時的に発生し、ギャップ間に電流が瞬時的に発生する。この電流値は、図示しないロックインアンプおよびA/D変換回路等を介して適宜デジタル量に変換される。電磁波LT1の強度には、例えば、電界強度が適用される。電磁波LT1の強度には、磁界強度等が適用されてもよい。
このように、電磁波検出器22は、光伝導アンテナを有することで、参照光LP12が入射するタイミングに応じて、HEMT9Trが放射する電磁波LT1の強度を検出することができる。なお、電磁波検出器22が有する電磁波LT1を検出する構成としては、光伝導アンテナを含む構成に限定されるものではなく、例えば、非線形光学結晶を用いた構成が採用されてもよい。
また、電磁波検出部20は、遅延部24を有する。遅延部24は、参照光LP12に時間遅延を与える光学遅延素子である。遅延部24は、遅延ステージ240と遅延ステージ移動部242とを含む。
遅延ステージ240は、ビームスプリッタ14から電磁波検出器22までの間の参照光LP12の光路上に位置している。遅延ステージ240は、参照光LP12を反射する反射ミラー240Mを有する。反射ミラー240Mは、反射ミラー240Mに参照光LP12が入射する光路と、反射ミラー240Mから参照光LP12が出射される光路とが、参照光LP12が反射ミラー240Mに対して入射される方向(入射方向ともいう)と平行で且つ入射方向に直交する方向に相互にずれるように、参照光LP12を反射する。反射ミラー240Mで反射した参照光LP12は、この参照光LP12の光路上に位置しているミラー群を介して、電磁波検出器22に導かれる。
遅延ステージ移動部242は、遅延ステージ240を、反射ミラー240Mに対する参照光LP12の入射方向に沿って往復移動させる。遅延ステージ240の往復移動により、ビームスプリッタ14から電磁波検出器22に至るまでの参照光LP12の光路長が変化するため、参照光LP12が電磁波検出器22に到達するタイミングを変更することができる。これによって、電磁波検出器22が電磁波LT1を検出するタイミングが変更される。電磁波LT1はパルス波であるが、参照光LP12に遅延を与えることで、電磁波検出部20は、電磁波LT1の強度を、電磁波LT1の異なる複数の位相についてそれぞれ検出することができる。換言すれば、電磁波検出部20は、光照射部10による所定の波長領域のパルス光としての測定用光LP10の照射に応じてHEMT9Trの第1半導体部90から放射されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することができる。
なお、参照光LP12に時間遅延を与える代わりに、測定用光LP10に時間遅延を与えることで、電磁波検出部20が電磁波LT1の強度を検出するタイミングを変更してもよい。この場合には、例えば、ビームスプリッタ14から半導体デバイス9に至る測定用光LP10の光路上に、測定用光LP10の光路長を変更することが可能な、遅延ステージ240と同様な構成を有する遅延ステージを配置してもよい。このように、測定用光LP10に時間遅延を与えることによって、半導体デバイス9から電磁波LT1が発生するタイミングを遅延させることができる。これにより、電磁波LT1が電磁波検出器22に到達するタイミングを、参照光LP12が電磁波検出器22に入射するタイミングに対して相対的に早めたり、あるいは、遅延させたりすることができる。
また、例えば、HEMT9Trから電磁波検出器22まで電磁波LT1が導かれる経路上に偏光子21を設けてもよい。この場合には、電磁波検出部20は、偏光子21を介してTHz波を含む電磁波LT1のうちの予め設定された方向に振動する成分を透過させ、この偏光子21を透過したTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することができる。偏光子21には、例えば、複数本の直線状の金属製のワイヤーが所定間隔で並んでいる部材(ワイヤーグリッド偏光子ともいう)が適用される。この場合には、偏光子21によって、電磁波LT1の特定の向きの偏光成分を選択的に透過させて、電磁波検出器22に集光させることができる。ここで、例えば、電磁波LT1の進行方向に沿った軸を中心としてワイヤーグリッド偏光子を回転させることができてもよい。これにより、例えば、HEMT9Trの第1半導体部90のうちの界面近傍領域90Arにおいてパルス光としての測定用光LP10の照射に応じて生じる過渡電流の向きに対応するTHz波の成分について強度の時間的な変化を選択的に検出することができる。
<ステージ30>
ステージ30は、半導体デバイス9を保持するための部分(保持部ともいう)である。ステージ30は、例えば、水平面に平行な保持面を有する。ステージ30は、この保持面上において、図2で示されるように、半導体デバイス9を基板96側から支持することができる。これにより、半導体デバイス9は、HEMT9Trの第2半導体部92側の部分としての上面9u側に測定用光LP10が入射するように保持される。また、測定用光LP10は、HEMT9Trの上面9uに対して斜めに入射する。ここでは、上面9uに対する測定用光LP10の入射角を、45度としているが、これは必須ではなく、0度から90度の範囲内で任意に設定してもよい。このステージ30は、半導体デバイス9を保持する構成として、例えば、半導体デバイス9の縁部等を挟み持つ挟持具、半導体デバイス9を保持面に接着させる粘着部材(例えば、粘着性シート)、または半導体デバイス9を吸着する吸着孔を有していてもよい。
また、ステージ30は、保持している半導体デバイス9に含まれるHEMT9Trを加熱するためのヒータ30htを内蔵していてもよい。ヒータ30htには、例えば、抵抗加熱を行う方式のヒータが適用される。ヒータ30htは、例えば、温度の計測と出力の調整とを行うことでHEMT9Trの温度の調節が可能な機能を有していてもよい。これにより、HEMT9Trの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の状態に対する温度の影響を加えて、電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することが可能となる。その結果、例えば、HEMT9Trの温度に対する耐久性等の性能の評価を行うことが可能となる。
<ステージ移動部35>
ステージ移動部35は、例えば、制御部50からの制御指令に応じて、光照射部10および電磁波検出部20に対して、ステージ30を、このステージ30の半導体デバイス9を保持する保持面に平行な水平面内で移動させることができる。ステージ移動部35には、例えば、リニアモータまたはボールネジ等を用いた駆動機構を含むXYテーブルが適用され得る。ステージ移動部35の動作によってステージ30を移動させることで、HEMT9Trに対する測定用光LP10の入射位置を変更することができる。換言すれば、ステージ移動部35は、ステージ30の移動によって、HEMT9Trのうちの光照射部10によってパルス光としても測定用光LP10が照射される位置(照射対象位置ともいう)Po1を2次元的に移動させることができる。2次元的な移動は、例えば、XY平面に沿って、X方向およびY方向のそれぞれに移動させることを意味する。また、照射対象位置Po1を2次元的に移動させる態様としては、例えば、照射対象位置Po1をXY平面に沿ったマトリックス状の複数の位置にそれぞれ移動させる態様が考えられる。第1実施形態では、制御部50の制御指令に応じてステージ移動部35がステージ30を移動させることによって、HEMT9Trの上面9uが測定用光LP10で走査される。
<電圧印加部40>
電圧印加部40は、例えば、第1プローブピン41a、第2プローブピン41b、第3プローブピン41cと、電圧変更部42と、を有する。電圧印加部40は、HEMT9Trのソース電極9sに対して第1プローブピン41aを介して電気的に接続可能であり、HEMT9Trのドレイン電極9dに対して第2プローブピン41bを介して電気的に接続可能であり、HEMT9Trのゲート電極9gに対して第3プローブピン41cを介して電気的に接続可能である。電圧変更部42は、例えば、電圧可変電源等を有する。ここでは、電圧変更部42は、例えば、第1プローブピン41aと第2プローブピン41bとの間に電圧を付与することで、HEMT9Trにおけるソース電極9sとドレイン電極9dとの間にドレイン電圧(Vds)を付与することが可能である。そして、電圧変更部42は、例えば、制御部50からの制御指令に応じてドレイン電圧(Vds)を変更することが可能であってもよい。また、電圧変更部42は、例えば、第1プローブピン41aと第3プローブピン41cとの間に電圧を付与することで、HEMT9Trにおけるソース電極9sとゲート電極9gとの間に電圧(ゲート電圧ともいう)を付与することが可能である。そして、電圧変更部42は、例えば、制御部50からの制御指令に応じてゲート電圧(Vgs)を変更することが可能であってもよい。これにより、例えば、動作中のHEMT9Trの第1半導体部90から放射されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することが可能となる。また、電圧印加部40は、例えば、スイッチの切り替え等によって、第1プローブピン41aと第2プローブピン41bとを短絡させることで、ソース電極9sとドレイン電極9dとを短絡させることが可能であってもよい。
また、電圧印加部40は、例えば、ソース電極9sとドレイン電極9dとの間を流れる電流(ドレイン電流ともいう)を計測することが可能な部分(電流計測部ともいう)43をさらに有していてもよい。電流計測部43には、例えば、一般的な電流計が適用され得る。この場合には、電流計測部43は、例えば、ドレイン電流(Ids)に応じた電気信号を制御部50に向けて出力する。これにより、例えば、HEMT9Trに対して印加するドレイン電圧(Vds)およびゲート電圧(Vgs)を適宜変更しつつ、ドレイン電流(Ids)を計測することが可能となる。
<撮像部33>
撮像部33は、例えば、ステージ30に保持された半導体デバイス9に含まれるHEMT9Trを撮像するための部分である。撮像部33には、例えば、撮像素子を有するデジタルカメラ等が適用され得る。ここでは、例えば、撮像部33による撮像で得られる上面9uを捉えた画像に係る画像データを用いた画像処理によって、HEMT9Trの上面9uにおけるソース電極9s、ドレイン電極9dおよびゲート電極9gの位置(電極位置ともいう)を示す情報(電極位置情報ともいう)を取得することが可能となる。その結果、例えば、上面9uのうち、測定用光LP10を照射する照射対象位置Po1を適宜設定することが可能となる。
<制御部50>
図5は、第1実施形態の半導体デバイス測定装置1における制御部50と他の要素との接続関係を示すブロック図である。制御部50は、演算処理部としての1つ以上の電気回路である中央演算ユニット(Central Processing Unit:CPU)51、ROM(Read only memory)52およびRAM(Random Access Memory)53等を含む一般的なコンピュータとしての構成を有する。制御部50は、半導体デバイス測定装置1の各要素(フェムト秒レーザ12、波長変換器16、電磁波検出器22、遅延ステージ移動部242、ステージ移動部35、電圧印加部40、偏光子移動部211および撮像部33等)に接続されている。
また、制御部50には、例えば、各種情報を可視的に出力する表示部71、キーボードおよびマウス等の各種入力デバイスを含む操作部72、記憶媒体Md1の着脱が可能なドライブ部73ならびに各種情報を記憶する記憶部60が接続されている。記憶部60は、例えば、プログラムPG1および各種情報Da1が記憶されるハードディスク等の固定ディスクを含む。プログラムPG1は、半導体デバイス測定装置1の各要素の動作を制御するための制御アプリケーションのほか、データ加工等の処理を実行するためのソフトウェアアプリケーションを含む。換言すれば、プログラムPG1は、制御部50に含まれる1つ以上のCPU51によって実行されることで、半導体デバイス測定装置1における各種の機能を実現させることができる。
制御部50は、例えば、ドライブ部73に装着されている、光学メディア、磁気メディアまたは半導体メモリ等の可搬性を有する各種記憶媒体Md1からプログラムPG1および各種情報を読み取ることが可能である。また、制御部50には、例えば、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でプログラムPG1および各種情報等を送受信することが可能な通信部が接続されていてもよい。
制御部50のCPU51は、プログラムPG1に従って動作することで実現される機能として、波長設定部511、発光制御部512、検出制御部513、時間波形復元部514、電圧制御部515、電流認識部516、ステージ制御部517、分布生成部518、撮像制御部519および画像処理部520を有する。また、制御部50のCPU51は、プログラムPG1に従って動作することで実現される機能として、閾値電圧認識部521および差分算出部522を有していてもよい。これらの各部511〜522での処理におけるワークスペースとして、例えば、RAM53等が使用される。なお、CPU51で実現される機能的な構成の少なくとも一部の機能は、例えば、専用の電子回路等のハードウェアで構成されてもよい。
波長設定部511は、例えば、プログラムPG1または操作部72から入力される情報等に基づいて、光照射部10が射出するパルス光としての測定用光LP10の波長領域を設定することができる。ここでは、例えば、光照射部10が射出する光の波長領域が、第2半導体部92を透過し且つ第1半導体部90に吸収される波長領域に設定される。例えば、フェムト秒レーザ12が出力する基本波としてのパルス光LP1の波長の設定と、波長変換器16による波長の変換と、の組み合わせによって、光照射部10が射出する光の波長領域が設定され得る。
発光制御部512は、例えば、プログラムPG1または操作部72から入力される情報等に基づいて、フェムト秒レーザ12に制御指令を出力することで、フェムト秒レーザ12からパルス光LP1を出力するタイミングを制御することができる。これにより、光照射部10によって、波長設定部511によって設定された波長領域のパルス光としての測定用光LP10を、HEMT9Trの上面9uに照射することができる。すなわち、光照射部10によって、測定用光LP10を、第2半導体部92を介して第1半導体部90に照射することができる。
検出制御部513は、例えば、プログラムPG1または操作部72から入力される情報等に基づいて、電磁波検出器22および遅延ステージ移動部242等に制御指令を出力することで、電磁波検出器22および遅延ステージ移動部242の動作を制御することができる。ここでは、例えば、遅延ステージ移動部242が遅延ステージ240を動作させて参照光LP12に時間遅延を適宜与えることで、電磁波検出器22に、電磁波LT1の強度を複数の異なる位相ごとに検出させることが可能となる。電磁波検出器22で検出された電磁波LT1の強度を示す信号は、制御部50に入力される。このため、制御部50は、電磁波検出部20によって、光照射部10によるパルス光としての測定用光LP10の照射に応じて第1半導体部90から放射されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出させることができる。
また、検出制御部513は、例えば、プログラムPG1または操作部72から入力される情報等に基づいて、偏光子移動部211に制御指令を出力することで、偏光子移動部211の動作を制御してもよい。ここでは、例えば、偏光子移動部211が偏光子21を進行方向に沿った軸を中心として適宜回転させて偏光子21の角度を変更すれば、制御部50は、電磁波検出部20によって、HEMT9Trの第1半導体部90のうちの界面近傍領域90Arにおいてパルス光としての測定用光LP10の照射に応じて生じる過渡電流の向きに対応するTHz波の成分について強度の時間的な変化を選択的に検出することができる。
時間波形復元部514は、例えば、電磁波検出器22で検出された電磁波LT1の強度と、その電磁波LT1が検出された際の位相に係る情報と、に基づき、電磁波LT1の時間波形を復元することができる。例えば、時間波形復元部514は、電磁波検出器22で検出された、複数の異なる位相(時間)に応じた各電界強度から、電磁波LT1を示す波形(時間波形)を復元することができる。
電圧制御部515は、例えば、プログラムPG1または操作部72から入力される情報等に基づいて、電圧変更部42に制御指令を出力することで、電圧変更部42の動作を制御することができる。ここでは、例えば、電圧変更部42によって、HEMT9Trにおけるソース電極9sとドレイン電極9dとの間にドレイン電圧(Vds)を印加するとともに、HEMT9Trにおけるソース電極9sとゲート電極9gとの間にゲート電圧(Vgs)を印加することが可能である。また、例えば、電圧変更部42によって、HEMT9Trにおけるドレイン電圧(Vds)およびゲート電圧(Vgs)を種々変更することが可能である。このため、制御部50は、例えば、電圧制御部515によって、ドレイン電圧(Vds)およびゲート電圧(Vgs)を切り替えつつ、電磁波検出部20によって、電磁波LT1の強度を複数の異なる位相ごとに検出させることができる。これにより、電磁波検出部20は、例えば、複数のドレイン電圧(Vds)および複数のゲート電圧(Vgs)がそれぞれ印加されているHEMT9Trから放射される電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することができる。その結果、時間波形復元部514は、例えば、各ドレイン電極および各ゲート電極について、電磁波検出器22で検出された電磁波LT1の強度に基づき、電磁波LT1の時間波形を復元することができる。ここで復元される電磁波LT1の時間波形は、各ドレイン電圧(Vds)および各ゲート電圧(Vgs)が印加されているHEMT9Trから放射されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を示す。
図6は、半導体デバイス測定装置1で取得される電磁波の時間波形の一例を模式的に示す図である。図6では、一定のドレイン電圧(Vds)が印加されており且つ互いに異なる4つのゲート電圧(Vgs)がそれぞれ印加された状態で、HEMT9Trから放射されるTHz波を含む電磁波LT1の時間波形が、4つの異なる種類の線(太い実線、太い破線、細い実線および細い破線)で描かれている。
電流認識部516は、例えば、プログラムPG1または操作部72から入力される情報等に基づいて、電流計測部43からの電気信号を取得し、HEMT9Trのうちのソース電極9sとドレイン電極9dとの間に流れているドレイン電流(Ids)を認識することができる。
ステージ制御部517は、例えば、プログラムPG1または操作部72から入力される情報に基づいて、ステージ移動部35に制御指令を出力することで、ステージ30の移動を制御することができる。ここでは、ステージ30の動作によって、HEMT9Trのうちの光照射部10によってパルス光である測定用光LP10が照射される照射対象位置Po1を2次元的に移動させることが可能である。これにより、制御部50は、例えば、ステージ30によって照射対象位置Po1を移動させる度に、電磁波検出部20によって、光照射部10によるパルス光としての測定用光LP10の照射に応じて第1半導体部90から放射されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出させることができる。これにより、制御部50は、例えば、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を取得することができる。また、例えば、ステージ制御部517からの制御指令に応じて、ステージ30に内蔵されているヒータ30htが加熱を行ってもよい。
分布生成部518は、例えば、複数の照射対象位置Po1のそれぞれについて電磁波検出部20によって検出されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化のうちの所定のピークの強度の2次元の分布に係る情報(第1分布情報ともいう)を生成することが可能である。ここで、所定のピークとしては、例えば、時間波形復元部514によって復元された電磁波LT1の時間波形から振幅の大きい順にピークを2か所選び、その中でピーク時間の小さい方のピークを採用することができる。図6の例では、異なる種類の線でそれぞれ描かれた電磁波LT1の時間波形は、時間の経過(位相)に対して、一旦、負のピークを示した後に、正の所定のピークを示し、その後、負のピークを示す。図6では、HEMT9Trに印加されたゲート電圧(Vgs)ごとの電磁波LT1の時間波形に対して、所定のピークに黒丸のドットが付されている。なお、例えば、ゲート電圧(Vgs)の正負および大小等に応じて、HEMT9Trの第1半導体部90のうちの界面近傍領域90Arにおいて、内部電界の向きおよび強さが変化する。これにより、所定のピークは正負の反転を生じ得る。上記のようにして分布生成部518で生成される第1分布情報は、例えば、表示部71において可視的に出力され得る。
このようにして、例えば、HEMT9Trから放射される電磁波LT1の所定のピークの強度を2次元的にマッピングしたイメージを生成することができる。これにより、例えば、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の2次元的な分布に関する情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
図7および図8は、HEMT9Trの上面9uを平面視した場合に図3の2点鎖線で囲まれた矩形状の領域(測定対象領域ともいう)Ar1内を対象として、各照射対象位置Po1について検出された電磁波LT1の時間波形のうちの所定のピークの強度の2次元の分布を例示する図である。ここでは、測定対象領域Ar1は、ゲート電極9gとドレイン電極9dとに挟まれるように位置している矩形状の領域とされた。この測定対象領域Ar1では、+Y方向に進むほど、ゲート電極9gおよびソース電極9sに近づき、−Y方向に進むほど、ドレイン電極9dに近づく。また、ここでは、測定用光LP10の波長は、第1半導体部90を構成するGaNのバンドギャップBg1に対応する吸収端の第1波長λ1である365nm以下であって、第2半導体部92を構成するAl0.2Ga0.8NのバンドギャップBg2に対応する吸収端の第2波長λ2である327nmを超える、355nmに設定された。
そして、図7(a)には、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が−3Vに設定された場合について得られた第1分布情報が可視的に出力されている様子が例示されている。図7(b)には、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が−1Vに設定された場合について得られた第1分布情報が可視的に出力されている様子が例示されている。図8(a)には、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が0Vに設定された場合について得られた第1分布情報が可視的に出力されている様子が例示されている。図8(b)には、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が+0.5Vに設定された場合について得られた第1分布情報が可視的に出力されている様子が例示されている。図7(a)から図8(b)では、所定のピークの強度が低くなるほど濃く表示され、所定のピークの強度が高くなるほど淡く表示されるような白黒の濃淡で各第1分布情報が可視的に示されている。ここでは、例えば、電磁波LT1の所定のピークの強度が正の値であれば、第1半導体部90の界面近傍領域90Arにおいて、界面98に近づくにつれてエネルギーバンドが上向きに曲がっていることで、測定用光LP10の照射に応じて発生する過渡電流が界面98に向けて流れたものと推定された。また、例えば、電磁波LT1の所定のピークの強度が負の値であれば、第1半導体部90の界面近傍領域90Arにおいて、界面98に近づくにつれてエネルギーバンドが下向きに曲がっていることで、測定用光LP10の照射に応じて発生する過渡電流が界面98から離れるように流れたものと推定された。
図7(a)から図8(b)のうちの各上部の領域に着目すると、ゲート電圧(Vgs)を、−1Vから−3Vに設定するように負の値において低下させると、ゲート電極9gの近くの領域において、電磁波LT1の所定のピークの強度が正の値において上昇しており、第1半導体部90の界面近傍領域90Arにおいて、界面98に近づくにつれてエネルギーバンドがより上向きに曲がっている状態にあるものと推定された。この場合には、例えば、第1半導体部90の界面近傍領域90Arのうちのゲート電極9gの近くの領域では、2DEGが蓄積しにくい状態にあり、HEMT9Trは、ドレイン電流(Ids)が流れないオフ状態となっているものと推定された。なお、図7(a)から図8(b)のうちの各下部の領域に着目すると、正の電位が付与されたドレイン電極9dの近くの領域においては、電磁波LT1の所定のピークの強度が負の値において減少しており、第1半導体部90の界面近傍領域90Arにおいて、界面98に近づくにつれてエネルギーバンドがより下向きに曲がっている状態にあるものと推定された。
なお、分布生成部518は、例えば、複数の照射対象位置Po1のそれぞれについて電磁波検出部20によって検出されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化のうちの所定のピークの強度の正または負の値の2次元の分布に係る情報(第2分布情報ともいう)を生成してもよい。上記のようにして分布生成部518で生成される第2分布情報は、例えば、表示部71において可視的に出力され得る。
図9および図10は、HEMT9Trの上面9uを平面視した場合に図3の2点鎖線で囲まれた矩形状の測定対象領域Ar1内の全面を対象として、各照射対象位置Po1について検出された電磁波LT1の時間波形のうちの所定のピークの強度の正の値の2次元の分布を例示する図である。ここでは、測定用光LP10の波長は、第1半導体部90を構成するGaNのバンドギャップBg1に対応する吸収端の第1波長λ1である365nm以下であって、第2半導体部92を構成するAl0.2Ga0.8NのバンドギャップBg2に対応する吸収端の第2波長λ2である327nmを超える、355nmに設定された。
そして、図9(a)には、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が−3Vに設定された場合について得られた第2分布情報が可視的に出力されている様子が例示されている。図9(b)には、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が−1Vに設定された場合について得られた第2分布情報が可視的に出力されている様子が例示されている。図10(a)には、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が0Vに設定された場合について得られた第2分布情報が可視的に出力されている様子が例示されている。図10(b)には、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が+0.5Vに設定された場合について得られた第2分布情報が可視的に出力されている様子が例示されている。図9(a)から図10(b)では、所定のピークの強度が正の値においてゼロ(0)に近づくように低くなるほど濃く表示され、所定のピークの強度が負の値であれば黒で表示され、所定のピークの強度が正の値でゼロ(0)から高くなるほど淡く表示されるような白黒の濃淡で第2分布情報が可視的に示されている。図9(a)から図10(b)のうちの各上部の領域に着目すると、ゲート電圧(Vgs)を、−1Vから−3Vに設定するように負の値において低下させると、ゲート電極9gの近くの領域において、電磁波LT1の所定のピークの強度が正の値において上昇しており、第1半導体部90の界面近傍領域90Arにおいて、界面98に近づくにつれてエネルギーバンドがより上向きに曲がっている状態にあるものと推定された。この場合には、例えば、第1半導体部90の界面近傍領域90Arのうちのゲート電極9gの近くの領域では、2DEGが蓄積しにくい状態にあり、HEMT9Trは、ドレイン電流(Ids)が流れないオフ状態となっているものと推定された。
図11は、図7(a)から図8(b)で示した各ゲート電圧(Vgs)が印加された場合について電磁波LT1の時間波形のうちの所定のピークの強度のドレイン電極9dからゲート電極9gに向けたY方向における変化(プロファイル)を例示する図である。図11では、横軸は、ドレイン電極9dからゲート電極9gに向かう方向(+Y方向)の位置を示し、縦軸は、測定対象領域Ar1におけるY方向の各位置について、X方向に沿った1ラインにおける電磁波LT1の時間波形のうちの所定のピークの強度の平均値を示している。ここでは、図7(a)に対応する、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が−3Vに設定された場合について得られた電磁波LT1の時間波形のうちの所定のピークの強度のY方向における変化が、太い実線Ln1で描かれている。図7(b)に対応する、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が−1Vに設定された場合について得られた電磁波LT1の時間波形のうちの所定のピークの強度のY方向における変化が、太い1点鎖線Ln2で描かれている。図8(a)に対応する、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が0Vに設定された場合について得られた電磁波LT1の時間波形のうちの所定のピークの強度のY方向における変化が、細い実線Ln3で描かれている。図8(b)に対応する、ドレイン電圧(Vds)が+5Vに設定され且つゲート電圧(Vgs)が+0.5Vに設定された場合について得られた電磁波LT1の時間波形のうちの所定のピークの強度のY方向における変化が、細い1点鎖線Ln4で描かれている。
図11で示されるように、ここでも、ドレイン電圧(Vds)が+5Vであるため、ドレイン電極9dの近くの領域については、電磁波LT1の所定のピークの強度が低い負の値(絶対値が大きな負の値)となっており、第1半導体部90の界面近傍領域90Arにおいて、界面98に近づくにつれてエネルギーバンドがより下向きに曲がっている状態にあるものと推定された。そして、ゲート電圧(Vgs)が−3Vである場合には、ゲート電極9gに近づくことで、電磁波LT1の所定のピークの強度が負から正の値となっており、第1半導体部90の界面近傍領域90Arにおいて、界面98に近づくにつれてエネルギーバンドが上向きに曲がっている状態にあるものと推定された。このように、例えば、ゲート電圧(Vgs)の変化によって、第1半導体部90の界面近傍領域90Arのうちのゲート電極9gの近くの領域が、2DEGが蓄積しやすい状態にあるのか、2DEGが蓄積しにくい状態にあるのか、可視的に分かりやすく出力することが可能となる。
撮像制御部519は、例えば、プログラムPG1または操作部72から入力される情報等に基づいて、撮像部33に制御指令を出力することで、撮像部33によって、ステージ30に保持された半導体デバイス9に含まれるHEMT9Trの上面9uを撮像させることができる。これにより、例えば、撮像部33は、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dを含む領域を捉えた画像データを取得することができる。ここで取得された画像データは、例えば、撮像部33から制御部50に送出される。
画像処理部520は、例えば、撮像部33で取得された画像データに基づいて、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dが位置している位置(電極位置)を示す情報(電極位置情報)を取得することができる。ここでは、例えば、2値化処理またはエッジ抽出処理等の各種の画像処理によって、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dの輪郭を検出することで、電極位置情報を取得することができる。なお、金属を用いたソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dと、第2半導体部92の上面9uと、の間には、反射率および表面の色が大きくことなる。このため、例えば、2値化処理等を用いて、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dが位置している位置(電極位置)を示す情報(電極位置情報)を容易に取得することが可能である。これにより、例えば、電極位置情報に基づいて、ステージ移動部35によって、電極位置を避けるように照射対象位置Po1を2次元的に移動させることが可能となる。
ここで、上述したように、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dの材料として、例えば、AgまたはAu等が適用され得る。300nmから400nm程度の波長を有する光の反射率は、Agでは80%程度であり、Auでは40%弱程度である。このため、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dは、光照射部10によって照射される測定用光LP10を一定の割合で吸収し得る。そして、フェムト秒レーザ12で出力されるパルス光はエネルギー密度が高く、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dに損傷を与える可能性がある。
このため、例えば、電極位置を避けてHEMT9Trに測定用光LP10を照射することで、測定用光LP10の照射による各電極9s,9g,9dの損傷を低減することが可能となる。その結果、例えば、HEMT9Trの品質を低下させることなく、HEMT9Trを対象とした測定を非破壊で実施することが可能となる。ここでは、例えば、撮像部33による撮像で得た画像データに基づいて取得される電極位置を避けてHEMT9Trに測定用光LP10を照射することで、測定用光LP10の照射による各電極9s,9g,9dの損傷を容易に低減することが可能となる。
閾値電圧認識部521は、例えば、HEMT9Trについて、互いに異なる複数のゲート電圧(Vgs)をそれぞれ印加した状態で電流計測部43によってドレイン電流(Ids)を計測することで得られる、ゲート電圧(Vgs)とドレイン電流(Ids)との関係を示す情報に基づいて、閾値電圧(Vth)を認識することができる。閾値電圧(Vth)は、HEMT9Trにおいて、ドレイン電圧(Vds)を印加した状態で、ゲート電圧(Vgs)を変化させた際にソース電極9sとドレイン電極9dとの間にドレイン電流(Ids)が流れ始めるときのゲート電圧(Vgs)である。
ここで、例えば、複数の照射対象位置Po1のそれぞれについて、電磁波検出部20が、ソース電極9sとドレイン電極9dとの間に所定のドレイン電圧(第1のドレイン電圧ともいう)を印加し且つソース電極9sとゲート電極9gとの間に閾値電圧認識部521で認識された閾値電圧(Vth)を印加した状態で、THz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化(第1基準時間変化ともいう)を検出してもよい。これにより、例えば、ゲート電圧(Vgs)が閾値電圧(Vth)に設定された状態において、HEMT9Trの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trがソース電極9sとドレイン電極9dとの間にドレイン電流(Ids)が流れるオン状態とソース電極9sとドレイン電極9dとの間にドレイン電流(Ids)が流れないオフ状態との間で切り替わるタイミングにおける、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることが可能となる。
また、ここで、例えば、複数の照射対象位置Po1のそれぞれについて、電磁波検出部20が、ソース電極9sとゲート電極9gとの間に所定のゲート電圧(第1のゲート電圧ともいう)を印加し且つソース電極9sとドレイン電極9dとの間に第1のゲート電圧から閾値電圧(Vth)を減じた電圧(ピンチオフ電圧ともいう)を印加した状態で、THz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化(第2基準時間変化ともいう)を検出してもよい。これにより、例えば、ドレイン電圧(Vds)がピンチオフ電圧(Vp)に設定された状態において、HEMT9Trの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trが線形領域と飽和領域との間で切り替わるピンチオフ電圧(Vp)の付近におけるドレイン電圧(Vds)の変化に対して、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることが可能となる。
差分算出部522は、例えば、複数の照射対象位置Po1のそれぞれについて、ソース電極9sとドレイン電極9dとの間に所定のドレイン電圧(第1のドレイン電圧)を印加し且つソース電極9sとゲート電極9gとの間に任意のゲート電圧(Vgs)を印加した状態で電磁波検出部20によって検出されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化における所定のピークの強度と、上記の第1基準時間変化における所定のピークの強度(第1基準強度ともいう)と、の差分値(第1差分値ともいう)を算出することが可能である。ここでは、分布生成部518が、例えば、複数の照射対象位置Po1に対する第1差分値の2次元の分布に係る情報(第3分布情報ともいう)を生成してもよい。この第3分布情報は、例えば、相互に異なるドレイン電圧毎に生成してもよい。このようにして第3分布情報が生成されれば、例えば、HEMT9Trがオフ状態とオン状態との間で切り替わる閾値電圧(Vth)の付近におけるゲート電圧(Vgs)の変化に対して、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。
また、差分算出部522は、例えば、複数の照射対象位置Po1のそれぞれについて、ソース電極9sとゲート電極9gとの間に所定のゲート電圧(第1のゲート電圧)を印加し且つソース電極9sとドレイン電極9dとの間に任意のドレイン電圧(Vds)を印加した状態で電磁波検出部20によって検出されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化における所定のピークの強度と、上記の第2基準時間変化における所定のピークの強度(第2基準強度ともいう)と、の差分値(第2差分値ともいう)を算出することが可能である。ここでは、分布生成部518が、例えば、複数の照射対象位置Po1に対する第2差分値の2次元の分布に係る情報(第4分布情報ともいう)を生成してもよい。この第4分布情報は、例えば、相互に異なるゲート電圧毎に生成してもよい。このようにして第4分布情報が生成されれば、例えば、HEMT9Trが線形領域と飽和領域との間で切り替わるピンチオフ電圧(Vp)の付近におけるドレイン電圧(Vds)の変化に対して、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。
<1−2.半導体デバイス測定装置の動作>
図12から図18は、第1実施形態に係る半導体デバイス測定装置1の動作フローの一例を示す流れ図である。換言すれば、図12から図18は、HEMT9Trを含む半導体デバイス9を対象とした測定方法(半導体デバイス測定方法ともいう)の一例を示す流れ図である。以下で説明する半導体デバイス測定装置1の動作は、特に断らない限り、制御部50からの制御指令に基づいて実行されるものとする。ここでは、図12のステップSp1〜Sp6の動作をこの記載の順に実行する一例を挙げて説明するが、動作を実行する順序については、図12に示すものに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
<ステップSp1>
まず、図12のステップSp1では、例えば、半導体デバイス9を保持部としてのステージ30に保持させる工程(保持工程ともいう)を行う。ここでは、ステージ30が半導体デバイス9を保持すると、電圧印加部40が、HEMT9Trのソース電極9s、ドレイン電極9dおよびゲート電極9gに電気的に接続される。これにより、HEMT9Trにドレイン電圧(Vds)およびゲート電圧(Vgs)を印加することができる状態となる。
<ステップSp2>
次に、図12のステップSp2では、例えば、制御部50が、光照射部10の設定を行う。ここでは、例えば、第2半導体部92を透過し且つ第1半導体部90に吸収される波長領域の測定用光LP10を射出するように光照射部10を設定する工程(設定工程ともいう)を行う。このステップSp2では、例えば、図13のステップSp21〜Sp23の動作をこの記載の順に実行する。
ステップSp21では、波長設定部511が、第1半導体部90および第2半導体部92のそれぞれのバンドギャップを認識する。ここでは、例えば、オペレータ等による操作部72から入力される情報等に基づいて、第1半導体部90および第2半導体部92のそれぞれのバンドギャップが認識され得る。オペレータは、例えば、文献に記載されている材料毎のバンドギャップの情報、または材料毎に波長の異なる光を照射して励起電流を発生させる計測結果等に基づいて、第1半導体部90および第2半導体部92のそれぞれのバンドギャップを知ることができる。ここでは、第1半導体部90の材料がGaNであれば、第1半導体部90のバンドギャップとして3.4eVが認識される。また、第2半導体部92の材料がAl0.2Ga0.8Nであれば、第2半導体部92のバンドギャップとして3.79eVが認識される。
ステップSp22では、例えば、波長設定部511が、ステップSp21で認識した第1半導体部90および第2半導体部92のそれぞれのバンドギャップに基づいて、フェムト秒レーザ12から出力されるレーザ光の基本波の波長λoを導出する。
ここでは、まず、第1半導体部90および第2半導体部92のそれぞれのバンドギャップから、予め設定されたバンドギャップと波長との関係を示す関係式またはテーブル等に基づいて、第1半導体部90のバンドギャップBg1に対応する吸収端の波長(第1波長)λ1および第2半導体部92のバンドギャップBg2に対応する吸収端の波長(第2波長)λ2が導出される。例えば、第1半導体部90について、バンドギャップBg1が3.4eVであれば、第1波長λ1として365nmが導出される。また、例えば、第2半導体部92について、バンドギャップBg2が3.79eVであれば、第2波長λ2として327nmが導出される。
次に、λ2<λ≦λ1の関係式を満たすように、光照射部10が射出するパルス光としての測定用光LP10の波長λを導出する。ここでは、例えば、λ1とλ2との差に応じて、波長λが設定されればよい。例えば、λ1とλ2との差が20nmを超える場合には、第1波長λ1から所定値(10nmまたは5nm等)を減じた波長を波長λとして導出するような態様が考えられる。例えば、第1波長λ1として365nmが導出され、第2波長λ2として327nmが導出されれば、波長λとして355nmまたは360nmが導出される。
次に、測定用光LP10の波長λと、波長変換器16の設定と、に基づいて、フェムト秒レーザ12から出力されるレーザ光の基本波の波長λoを導出する。例えば、波長変換器16が第2次高調波発生を起こす場合には、測定用光LP10の波長λの2倍の波長が基本波の波長λoとして導出される。具体的には、波長λが360nmの場合には、波長λ0として720nmが導出される。また、例えば、波長変換器16が第3次高調波発生を起こす場合には、測定用光LP10の波長λの3倍の波長が基本波の波長λoとして導出される。具体的には、波長λが360nmの場合には、波長λoとして1080nmが導出される。
ステップSp23では、例えば、波長設定部511が、ステップSp22で導出した波長λoに基づいて、フェムト秒レーザ12から出力されるレーザ光の基本波の波長を波長λoに設定する。ここでは、例えば、フェムト秒レーザ12に波長可変レーザが適用されている場合には、フェムト秒レーザ12から出力されるレーザ光の基本波の波長が波長λoに設定される。
このステップSp2では、例えば、測定用光LP10の波長領域が、第2半導体部92におけるバンドギャップBg2に対応する吸収端の波長(第2波長)λ2よりも、第1半導体部90におけるバンドギャップBg1に対応する吸収端の波長(第1波長)λ1に近い波長領域となるように、光照射部10が設定されれば、後述するステップSp4において、第2半導体部92の欠陥準位に起因するTHz波の放射が低減され得る。これにより、例えば、HEMT9Trのうちのチャネル領域としての役割を有する界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の状態に応じて放射されるTHz波にノイズ成分が重畳する不具合が生じにくい。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断等に資するより有益な情報を得ることができる。
<ステップSp3>
次に、図12のステップSp3では、例えば、制御部50が、測定対象領域Ar1の設定を行う。このステップSp3では、例えば、図14のステップSp31〜Sp33の動作をこの記載の順に実行する。
ステップSp31では、例えば、撮像制御部519が、撮像部33によって、ステージ30に保持された半導体デバイス9に含まれるHEMT9Trを撮像することで、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dを含む領域を捉えた画像データを取得する工程(撮像工程ともいう)を行わせる。ここでは、例えば、HEMT9Trの上面9uを捉えた画像データが取得される。
ステップSp32では、例えば、画像処理部520が、ステップSp31で取得された画像データに基づいて、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dが位置している位置(電極位置)を示す情報(電極位置情報)を取得する工程(取得工程ともいう)を行う。ここでは、制御部50は、例えば、撮像部33で得られる画像データの代わりに、HEMT9Trの設計図(CAD図面等)に基づいて電極位置を示す電極位置情報を取得してもよい。
ステップSp33では、例えば、ステージ制御部517が、ステップSp32で取得された電極位置情報に基づいて、ステージ移動部35によってステージ30を移動させる範囲(移動範囲ともいう)を設定する。これにより、HEMT9Trの第2半導体部92側の部分としての上面9uにおいて、光照射部10によってパルス光である測定用光LP10が照射される照射対象位置Po1が走査される範囲(走査範囲ともいう)が設定される。このとき、例えば、電極位置を避けるように照射対象位置Po1を2次元的に移動させるように走査範囲を設定すれば、後述するステップSp4において、電極位置を避けてHEMT9Trに測定用光LP10が照射される。これにより、例えば、測定用光LP10の照射による各電極9s,9g,9dの損傷が低減され得る。その結果、例えば、HEMT9Trの品質を低下させることなく、HEMT9Trを対象とした測定を非破壊で実施することが可能となる。そして、ここでは、例えば、撮像部33による撮像で得た画像データに基づいて取得される電極位置を避けてHEMT9Trに測定用光LP10を照射することで、測定用光LP10の照射による各電極9s,9g,9dの損傷を容易に低減することが可能となる。
<ステップSp4>
次に、図12のステップSp4では、例えば、制御部50からの制御指令に応じて、HEMT9Trを対象とした測定を行う。このステップSp4では、例えば、図15のステップSp41〜Sp48の動作を適宜実行する。
ステップSp41では、例えば、制御部50からの制御指令に応じて、HEMT9Trを対象とした測定における初期設定が行われる。この初期設定には、例えば、電圧印加部40によってHEMT9Trに印加されるドレイン電圧(Vds)およびゲート電圧(Vgs)の初期状態、照射対象位置Po1の初期状態およびヒータ30htによるHEMT9Trの温度の初期状態の設定等が含まれる。これにより、例えば、HEMT9Trのうち、ソース電極9sとドレイン電極9dとの間にドレイン電圧(Vds)を印加するとともに、ソース電極9sとゲート電極9gとの間にゲート電圧(Vgs)を印加する工程(印加工程ともいう)が開始され得る。なお、ここでは、例えば、ドレイン電圧(Vds)を印加させることなく、ソース電極9sとドレイン電極9dとを短絡させてもよい。例えば、ソース電極9sとドレイン電極9dとを短絡させた状態では、HEMT9Trにおいて、光照射部10からの測定用光LP10の照射に応じて生成されるキャリアが電磁波LT1の強度に与える影響が低減され得る。
ステップSp42では、例えば、ステージ制御部517が、測定対象領域Ar1において1点以上の照射対象位置が予め指定されているか否か判定する。ここでは、例えば、1点以上の照射対象位置が予め指定されていれば、ステップSp43に進み、1点以上の照射対象位置が予め指定されていなければ、ステップSp46に進む。ここで、1点以上の照射対象位置が予め指定されている場合には、例えば、測定対象領域Ar1の一部の代表点が1点以上の照射対象位置として予め指定されている場合、および一旦測定を行ったHEMT9Trについて再測定を行いたい一部の点が1点以上の照射対象位置として予め指定されている場合等が含まれる。照射対象位置は、例えば、オペレータが操作部72を操作することで入力される情報に基づいて、予め指定され得る。
ステップSp43では、例えば、制御部50が、指定された1点以上の照射対象位置について測定を行う動作(第1測定動作ともいう)を実施する。このステップSp43では、例えば、図16のステップSp43a〜Sp43kの動作を適宜実行する。
ステップSp43aでは、例えば、ステージ制御部517がステージ移動部35に制御指令を出力することで、ステージ30を移動させて、HEMT9Trの上面9u上において照射対象位置Po1を移動させる。ここでは、照射対象位置Po1を予め指定された1点以上の照射対象位置のうちの1点の照射対象位置まで移動させる。
ステップSp43bでは、例えば、電流認識部516からの制御指令に応じて、電流計測部43が、HEMT9Trのソース電極9sとドレイン電極9dとの間におけるドレイン電流(Ids)を計測する工程(計測工程ともいう)を行う。ここでは、電流認識部516は、例えば、電流計測部43から電気信号を取得し、HEMT9Trのうちのソース電極9sとドレイン電極9dとの間に流れているドレイン電流(Ids)を認識する。
ステップSp43cでは、例えば、発光制御部512および検出制御部513からの制御指令に応じて、光照射部10が、ステップSp2の設定工程で設定された波長領域のパルス光としての測定用光LP10を、HEMT9Trにおける第2半導体部92を介して第1半導体部90に照射して、電磁波検出部20が、第1半導体部90から放射されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出する工程(検出工程ともいう)を行う。
ここで、例えば、HEMT9Trから電磁波検出器22まで電磁波LT1が導かれる経路上に偏光子21が設けられていれば、検出工程では、THz波を含む電磁波LT1のうちの予め設定された方向に振動する成分が偏光子21を透過し、この偏光子21を透過したTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することができる。これにより、例えば、HEMT9Trの界面近傍領域90Arにおいてパルス光としての測定用光LP10の照射に応じて生じる過渡電流の向きに対応するTHz波の成分について強度の時間的な変化を選択的に検出することができる。つまり、例えば、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いをさらに詳細に示す情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることが可能となり、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
ステップSp43dでは、例えば、検出制御部513が、プログラムPG1または操作部72から入力された情報等に基づいて、偏光子21の角度を変更するか否か判定する。ここでは、例えば、偏光子21の角度を変更する場合には、ステップSp43eに進み、偏光子21の角度を変更しない場合には、ステップSp43fに進む。
ステップSp43eでは、例えば、検出制御部513が偏光子移動部211に制御指令を出力することで、電磁波LT1の進行方向に沿った軸を中心として偏光子21の角度を変更し、ステップSp43cに戻る。ここでは、電磁波LT1の進行方向に沿った軸を中心とした偏光子21の角度の変更によって、電磁波検出部20が、HEMT9Trの第1半導体部90のうちの界面近傍領域90Arにおいてパルス光としての測定用光LP10の照射に応じて生じる過渡電流の向きに対応するTHz波の成分について強度の時間的な変化を選択的に検出することが可能となる。
ステップSp43fでは、例えば、ステージ制御部517が、次の照射対象位置があるか否か判定する。ここでは、例えば、2点以上の照射対象位置が指定されている場合に、ステージ制御部517は、オペレータによって操作部72から入力された情報等に基づいて、この2点以上の照射対象位置のうちの未だ照射対象位置Po1とされていない次の照射対処位置があるか否か判定する。そして、次の照射対象位置があれば、ステップSp43gに進み、次の照射対象位置がなければ、ステップSp43hに進む。
ステップSp43gでは、例えば、ステージ制御部517がステージ移動部35に制御指令を出力することで、ステージ30を移動させて、HEMT9Trの上面9u上において照射対象位置Po1を次の照射対象位置まで移動させ、ステップSp43cに戻る。このとき、照射対象位置Po1を予め指定された1点以上の照射対象位置のうちの次の照射対象位置まで移動させる。
ステップSp43hでは、例えば、電圧制御部515が、プログラムPG1または操作部72から入力された情報等に基づいて、ゲート電圧(Vgs)を変更するか否か判定する。ここでは、例えば、ゲート電圧(Vgs)を相互に異なる2つ以上の電圧に順次に設定することが指定されていれば、電圧制御部515は、相互に異なる2つ以上の電圧のうちの未だゲート電圧(Vgs)として設定されていない次の電圧があれば、ゲート電圧(Vgs)を変更するものと判定する。そして、例えば、ゲート電圧(Vgs)を変更する場合には、ステップSp43iに進み、ゲート電圧(Vgs)を変更しない場合には、ステップSp43jに進む。
ステップSp43iでは、例えば、電圧制御部515が、電圧印加部40に制御指令を出力することで、HEMT9Trのゲート電圧(Vgs)を変更し、ステップSp43bに戻る。このとき、ゲート電圧(Vgs)を予め指定された2つ以上の電圧のうちの次の電圧に設定する。これにより、例えば、電圧印加部40が、ゲート電圧(Vgs)を変更する工程(第1変更工程ともいう)を行う。
ステップSp43jでは、例えば、電圧制御部515が、プログラムPG1または操作部72から入力された情報等に基づいて、ドレイン電圧(Vds)を変更するか否か判定する。ここでは、例えば、ドレイン電圧(Vds)を相互に異なる2つ以上の電圧に順次に設定することが指定されていれば、電圧制御部515は、相互に異なる2つ以上の電圧のうちの未だドレイン電圧(Vds)として設定されていない次の電圧があれば、ドレイン電圧(Vds)を変更するものと判定する。そして、例えば、ドレイン電圧(Vds)を変更する場合には、ステップSp43kに進み、ドレイン電圧(Vds)を変更しない場合には、図16で示す第1測定動作を終了して、図15のステップSp44に進む。
ステップSp43kでは、例えば、電圧制御部515が、電圧印加部40に制御指令を出力することで、HEMT9Trのドレイン電圧(Vds)を変更し、ステップSp43bに戻る。ここでは、例えば、ドレイン電圧(Vds)を、予め指定された2つ以上の電圧のうちの次の電圧に設定する。これにより、例えば、電圧印加部40が、ドレイン電圧(Vds)を変更する工程(第2変更工程ともいう)を行う。
図15のステップSp44では、例えば、ステージ制御部517が、プログラムPG1または操作部72から入力された情報等に基づいて、HEMT9Trの温度を変更するか否か判定する。ここでは、例えば、HEMT9Trの温度を相互に異なる2つ以上の温度に順次に設定することが指定されている場合には、ステージ制御部517は、相互に異なる2つ以上の温度のうちの未だHEMT9Trの温度として設定されていない次の温度があれば、HEMT9Trの温度を変更するものと判定する。そして、例えば、HEMT9Trの温度を変更する場合には、ステップSp45に進み、HEMT9Trの温度を変更しない場合には、図15で示すHEMT9Trを対象とした測定の動作を終了して、図12のステップSp5に進む。
ステップSp45では、例えば、ステージ制御部517が、ヒータ30htに制御指令を出力することで、HEMT9Trの温度を変更して、ステップSp43に戻る。ここでは、例えば、HEMT9Trの温度を、予め設定された2つ以上の温度のうちの次の温度に設定する。これにより、例えば、ヒータ30htが、HEMT9Trの温度を変更する工程(温度変更工程ともいう)を行う。
ステップSp46では、例えば、制御部50が、ステップSp3で設定された測定対象領域Ar1内の全面における複数の照射対象位置Po1について測定を行う動作(第2測定動作ともいう)を実施する。このステップSp46では、例えば、図17のステップSp46a〜Sp46jの動作をこの記載の順に実行する。
ステップSp46aでは、例えば、図16のステップSp43bと同様に、電流認識部516からの制御指令に応じて、電流計測部43が、HEMT9Trのソース電極9sとドレイン電極9dとの間におけるドレイン電流(Ids)を計測する工程(計測工程)を行う。ここでは、電流認識部516は、例えば、電流計測部43から電気信号を取得し、HEMT9Trのうちのソース電極9sとドレイン電極9dとの間に流れているドレイン電流(Ids)を認識する。
ステップSp46bでは、例えば、図16のステップSp43cと同様に、発光制御部512および検出制御部513からの制御指令に応じて、光照射部10が、ステップSp2で設定された波長領域のパルス光としての測定用光LP10を、HEMT9Trにおける第2半導体部92を介して第1半導体部90に照射して、電磁波検出部20が、第1半導体部90から放射されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出する工程(検出工程)を行う。
ここで、例えば、HEMT9Trから電磁波検出器22まで電磁波LT1が導かれる経路上に偏光子21が設けられていれば、検出工程では、THz波を含む電磁波LT1のうちの予め設定された方向に振動する成分が偏光子21を透過し、この偏光子21を透過したTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することができる。これにより、例えば、HEMT9Trの界面近傍領域90Arにおいてパルス光としての測定用光LP10の照射に応じて生じる過渡電流の向きに対応するTHz波の成分について強度の時間的な変化を選択的に検出することができる。つまり、例えば、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いをさらに詳細に示す情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることが可能となり、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
ステップSp46cでは、例えば、図16のステップSp43dと同様に、検出制御部513が、プログラムPG1または操作部72から入力された情報等に基づいて、偏光子21の角度を変更するか否か判定する。ここでは、例えば、偏光子21の角度を変更する場合には、ステップSp46dに進み、偏光子21の角度を変更しない場合には、ステップSp46eに進む。
ステップSp46dでは、例えば、図16のステップSp43eと同様に、検出制御部513が偏光子移動部211に制御指令を出力することで、電磁波LT1の進行方向に沿った軸を中心として偏光子21の角度を変更し、ステップSp46bに戻る。ここでは、電磁波LT1の進行方向に沿った軸を中心とした偏光子21の角度の変更によって、電磁波検出部20が、HEMT9Trの第1半導体部90のうちの界面近傍領域90Arにおいてパルス光としての測定用光LP10の照射に応じて生じる過渡電流の向きに対応するTHz波の成分について強度の時間的な変化を選択的に検出することが可能となる。
ステップSp46eでは、例えば、ステージ制御部517が、次の照射対象位置があるか否か判定する。ここでは、例えば、ステージ制御部517は、プログラムPG1等に基づいて、ステップSp3で設定された測定対象領域Ar1において、未だ照射対象位置Po1とされていない次の照射対処位置があるか否か判定する。そして、次の照射対象位置があれば、ステップSp46fに進み、次の照射対象位置がなければ、ステップSp46gに進む。
ステップSp46fでは、例えば、ステージ制御部517がステージ移動部35に制御指令を出力することで、ステージ30を移動させて、HEMT9Trの上面9u上において照射対象位置Po1を次の照射対象位置まで移動させ、ステップSp46bに戻る。ここでは、ステップSp46fの動作を繰り返すことで、ステップSp3で設定された測定対象領域Ar1の全面を走査するように照射対象位置Po1が設定される。これにより、HEMT9Trのうちの光照射部10によってパルス光である測定用光LP10が照射される照射対象位置Po1を2次元的に移動させる工程(移動工程ともいう)が行われる。
そして、ここでは、例えば、移動工程によって照射対象位置Po1を移動させる度にステップSp46bの検出工程を実行するため、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することができる。これにより、例えば、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
また、ここでは、例えば、印加工程によってソース電極9sとドレイン電極9dとの間にドレイン電圧(Vds)を印加し且つソース電極9sとゲート電極9gとの間にゲート電圧(Vgs)を印加した状態について、移動工程および検出工程によって、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することができる。これにより、例えば、動作中のHEMT9Trのうちの第1半導体部90の界面近傍領90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
また、ここでは、例えば、ステップSp3で設定した走査範囲に従って、移動工程によって電極位置を避けるように照射対象位置Po1を2次元的に移動させることができる。この場合には、例えば、電極位置を避けてHEMT9Trに測定用光LP10を照射することで、測定用光LP10の照射による各電極9s,9g,9dの損傷を低減することができる。これにより、例えば、HEMT9Trの品質を低下させることなく、HEMT9Trを対象とした測定を非破壊で実施することが可能となる。
ステップSp46gでは、例えば、図16のステップSp43hと同様に、電圧制御部515が、プログラムPG1または操作部72から入力された情報等に基づいて、ゲート電圧(Vgs)を変更するか否か判定する。ここでは、例えば、ゲート電圧(Vgs)を相互に異なる2つ以上の電圧に順次に設定することが指定されていれば、電圧制御部515は、相互に異なる2つ以上の電圧のうちの未だゲート電圧(Vgs)として設定されていない次の電圧があれば、ゲート電圧(Vgs)を変更するものと判定する。そして、例えば、ゲート電圧(Vgs)を変更する場合には、ステップSp46hに進み、ゲート電圧(Vgs)を変更しない場合には、ステップSp46iに進む。
ステップSp46hでは、例えば、図16のステップSp43iと同様に、電圧制御部515が、電圧印加部40に制御指令を出力することで、HEMT9Trのゲート電圧(Vgs)を変更し、ステップSp46aに戻る。ここでは、ゲート電圧(Vgs)を予め指定された互いに異なる2つ以上の電圧のうちの次の電圧に設定する。これにより、例えば、電圧印加部40が、ゲート電圧(Vgs)を変更する工程(第1変更工程)を行う。
そして、ここでは、例えば、ステップSp46bおよびステップSp46hの動作を繰り返すことで、印加工程によってソース電極9sとドレイン電極9dとの間に予め設定された所定のドレイン電圧(第1のドレイン電圧)を印加するとともにソース電極9sとゲート電極9gとの間に互いに異なる複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態について、移動工程および検出工程によって、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することができる。これにより、例えば、動作中のHEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに対するゲート電圧(Vgs)の影響を示す情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
また、ここでは、例えば、ステップSp46a、ステップSp46bおよびステップSp46hの動作を繰り返すことで、印加工程によってソース電極9sとドレイン電極9dとの間に予め設定されたドレイン電圧(第1のドレイン電圧)を印加するとともにソース電極9sとゲート電極9gとの間に互いに異なる複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態について、上記移動工程および上記検出工程によって、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出するとともに、計測工程によってドレイン電流(Ids)を計測することができる。これにより、例えば、動作中のHEMT9Trについて、ドレイン電流(Ids)に対するゲート電圧(Vgs)の影響を示す情報に加えて、界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに対するゲート電圧(Vgs)の影響を示す情報を同時に得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資するさらに有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
ステップSp46iでは、例えば、図16のステップSp43jと同様に、電圧制御部515が、プログラムPG1または操作部72から入力された情報等に基づいて、ドレイン電圧(Vds)を変更するか否か判定する。ここでは、例えば、ドレイン電圧(Vds)を相互に異なる2つ以上の電圧に順次に設定することが指定されていれば、電圧制御部515は、相互に異なる2つ以上の電圧のうちの未だドレイン電圧(Vds)として設定されていない次の電圧があれば、ドレイン電圧(Vds)を変更するものと判定する。そして、例えば、ドレイン電圧(Vds)を変更する場合には、ステップSp46jに進み、ドレイン電圧(Vds)を変更しない場合には、図17で示す第2測定動作を終了して、図15のステップSp47に進む。
ステップSp46jでは、例えば、図16のステップSp43kと同様に、電圧制御部515が、電圧印加部40に制御指令を出力することで、HEMT9Trのドレイン電圧(Vds)を変更し、ステップSp46aに戻る。ここでは、例えば、ドレイン電圧(Vds)を、予め指定された2つ以上の電圧のうちの次の電圧に設定する。これにより、例えば、電圧印加部40が、ドレイン電圧(Vds)を変更する工程(第2変更工程)を行う。
そして、ここでは、ステップSp46bおよびステップSp46jの動作を繰り返すことで、印加工程によってソース電極9sとゲート電極9gとの間に予め設定されたゲート電圧(第1のゲート電圧)を印加するとともにソース電極9sとドレイン電極9dとの間に互いに異なる複数のドレイン電圧(Vds)をそれぞれ印加した状態について、移動工程および検出工程によって、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出することができる。これにより、例えば、動作中のHEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに対するドレイン電圧(Vds)の影響を示す情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
図15のステップSp47では、例えば、図15のステップSp44と同様に、ステージ制御部517が、プログラムPG1または操作部72から入力された情報等に基づいて、HEMT9Trの温度を変更するか否か判定する。ここでは、例えば、HEMT9Trの温度を相互に異なる2つ以上の温度に順次に設定することが指定されている場合には、ステージ制御部517は、相互に異なる2つ以上の温度のうちの未だHEMT9Trの温度として設定されていない次の温度があれば、HEMT9Trの温度を変更するものと判定する。そして、例えば、HEMT9Trの温度を変更する場合には、ステップSp48に進み、HEMT9Trの温度を変更しない場合には、図15で示すHEMT9Trを対象とした測定の動作を終了して、図12のステップSp5に進む。
ステップSp48では、例えば、図15のステップSp45と同様に、ステージ制御部517が、ヒータ30htに制御指令を出力することで、HEMT9Trの温度を変更して、ステップSp46に戻る。ここでは、例えば、HEMT9Trの温度を、予め設定された2つ以上の温度のうちの次の温度に設定する。これにより、例えば、ヒータ30htが、HEMT9Trの温度を変更する工程(温度変更工程)を行う。
<ステップSp5>
次に、図12のステップSp5では、例えば、制御部50が、ステップSp4で得られた情報に基づいて各種の情報処理を行う。このステップSp5では、例えば、図18のステップSp51〜Sp53の動作をこの記載の順に実行する。
ステップSp51では、例えば、時間波形復元部514が、図12のステップSp4において測定条件毎に各照射対象位置Po1について取得されたTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化に基づいて、電磁波LT1の時間波形を復元する。これにより、時間波形復元部514が、測定条件毎に各照射対象位置Po1について電磁波LT1の時間波形を取得することができる。ここでは、測定条件には、例えば、偏光子21の角度、ゲート電圧(Vgs)、ドレイン電圧(Vds)およびHEMT9Trの温度等の複数の項目についての条件の組み合わせが含まれる。
ステップSp52では、例えば、分布生成部518が、ステップSp51で取得された測定条件毎の各照射対象位置Po1についての電磁波LT1の強度の時間的な変化のうちの所定のピークの強度を検出する。
ステップSp53では、例えば、分布生成部518が、ステップSp52で検出された、測定条件毎の各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度に基づいて、測定条件毎に所定のピークの強度に係る分布情報を生成する。
このようにして、ステップSp5では、例えば、測定条件毎に、複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてステップSp43cまたはステップSp46bの検出工程によって検出されたTHz波を含む電磁波LT1の時間的な変化のうちの所定のピークの強度の2次元の分布に係る情報(第1分布情報)を生成する工程(第1生成工程ともいう)を行うことができる。この場合には、例えば、HEMT9Trから放射されるTHz波の所定のピークの強度を2次元的にマッピングしたイメージを生成することができる。これにより、例えば、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の2次元的な分布に関する情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
また、ステップSp5では、例えば、測定条件毎に、複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてステップSp43cまたはステップSp46bの検出工程によって検出されたTHz波を含む電磁波LT1の時間的な変化のうちの所定のピークの強度の正または負の値の2次元の分布に係る情報(第2分布情報)を生成する工程(第2生成工程ともいう)を行ってもよい。この場合には、例えば、HEMT9Trから放射されるTHz波の所定のピークの強度の正または負の値を2次元的にマッピングしたイメージを生成することができる。これにより、例えば、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおける特定のエネルギー準位に係る2次元的な分布に関する情報を得ることができる。特定のエネルギー準位は、例えば、第1半導体部90におけるエネルギーバンドが界面98に近づくにつれて特定の方向に曲がっているエネルギー準位を含む。特定の方向は、例えば、上向きまたは下向きを含む。このような構成が採用されれば、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができる。したがって、例えば、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
<ステップSp6>
次に、図12のステップSp6では、制御部50が、ステップSp2からステップSp5で取得された種々の情報を、記憶部60に適宜記憶し、表示部71において適宜可視的に出力する。ここでは、例えば、ステップSp5において測定条件毎に生成された第1分布情報および第2分布情報のうちの少なくとも一方の情報を表示部71において可視的に出力する態様が考えられる。なお、ステップSp2からステップSp5で取得された種々の情報は、例えば、情報が取得された時点で随時記憶部60等に記憶されてもよい。
<1−3.第1実施形態のまとめ>
以上のように、第1実施形態に係る半導体デバイス測定装置1は、例えば、ヘテロ接合を形成している第1半導体部90および第2半導体部92と、この第2半導体部92上に位置しているソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dと、を有するHEMT9Trを対象として測定を行う装置である。そして、この半導体デバイス測定装置1によれば、例えば、光照射部10によって第2半導体部92を透過し且つ第1半導体部90に吸収される波長領域のパルス光が照射される照射対象位置Po1を2次元的に移動させて、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについて、パルス光の照射に応じて第1半導体部90から放射されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出する。このため、例えば、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
また、例えば、測定の対象としてのHEMT9Trが、第1半導体部90のうちの第2半導体部92との界面98の近傍に蓄積されている高濃度の2DEGによって、ソース電極9sとドレイン電極9dとの間において電子を高速で移動させることでドレイン電流(Ids)を流すトランジスタである。このため、例えば、HEMT9Trのうちの蓄積されたキャリアとしての電子が高速で移動し得るヘテロ接合を形成している界面98から第1半導体部90のその界面98の近傍に至るまでの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。
<2.変形例>
本発明は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。なお、以降の説明において、既に説明した要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号またはアルファベット文字を追加した符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
<2−1.第2実施形態>
上記第1実施形態において、例えば、HEMT9Trを含む半導体デバイス9を対象とした半導体デバイス測定方法において、閾値電圧認識部521が、HEMT9Trの閾値電圧(Vth)を認識する工程(認識工程ともいう)を行い、HEMT9Trのゲート電圧(Vgs)として閾値電圧が印加された際に放射される電磁波LT1の強度の時間的な変化(第1基準時間変化)を検出してもよい。
この場合には、例えば、図12のステップSp5において、図18の動作フローの代わりに、図19で示されるように、ステップSp51〜Sp53の動作をこの記載の順に実行した後にステップSp54A〜Sp56Aの動作をこの記載の順に実行する動作フローを実施する態様が考えられる。図19は、第2実施形態に係る情報処理の動作フローの一例を示す流れ図である。
ここで、ステップSp54Aでは、例えば、閾値電圧認識部521が、HEMT9Trの閾値電圧(Vth)を認識する工程(認識工程)を行う。ここでは、例えば、上述した図16のステップSp43bまたは図17のステップSp46aにおいて、印加工程によってソース電極9sとゲート電極9gとの間に互いに異なる複数のゲート電圧(Vgs)をそれぞれ印加した状態で、計測工程によってドレイン電流(Ids)を計測することで、ゲート電圧(Vgs)とドレイン電流(Ids)との関係を示す情報が得られる。この関係を示す情報に基づいて、閾値電圧認識部521が、例えば、ゲート電圧(Vgs)を変化させた際にソース電極9sとドレイン電極9dとの間にドレイン電流(Ids)が流れ始めるときのソース電極9sとゲート電極9gとの間におけるゲート電圧(Vgs)を、閾値電圧(Vth)として認識する。
次に、ステップSp55Aでは、例えば、ステップSp52で検出された測定条件毎の各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度のうち、閾値電圧(Vth)に係る各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度(第1基準強度)を検出する。この場合には、既に、図12のステップSp4において、印加工程によってゲート電圧(Vgs)として閾値電圧(Vth)を印加した状態について、移動工程および検出工程によって、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化(第1基準時間変化)を検出している。ところで、例えば、ステップSp51で取得された測定条件毎の各照射対象位置Po1についての電磁波LT1の時間波計において、閾値電圧(Vth)に係る各照射対象位置Po1についての電磁波LT1の時間波計が存在していなければ、例えば、図17で示された動作フローと同様な動作フローによって、印加工程によってゲート電圧(Vgs)として閾値電圧(Vth)を印加した状態について、移動工程および検出工程によって、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化(第1基準時間変化)を検出した後に、ステップSp51,Sp52と同様な動作によって、閾値電圧(Vth)に係る各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度(第1基準強度)を検出してもよい。このとき、例えば、ゲート電圧(Vgs)以外の測定条件毎に、第1基準時間変化を検出して、第1基準強度を検出することができる。
次に、ステップSp56Aでは、例えば、分布生成部518が、ステップSp55Aで検出された、閾値電圧(Vth)に係る各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度に基づいて、ゲート電圧(Vgs)以外の測定条件毎に所定のピークの強度に係る分布情報を生成する。
このような構成が採用されれば、例えば、ゲート電圧(Vgs)が閾値電圧(Vth)に設定された状態について、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMT9Trがオン状態とオフ状態との間で切り替わるタイミングにおける、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
ここで、例えば、さらに、ゲート電圧(Vgs)以外の測定条件が同一なもののそれぞれについて、相互に異なるゲート電圧(Vgs)毎に、閾値電圧(Vth)に係る各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度を基準として、所定のピークの強度に係る分布情報を生成してもよい。
この場合には、例えば、図19の動作フローの代わりに、図20で示されるように、ステップSp51〜Sp53,Sp54A〜Sp56Aの動作をこの記載の順に実行した後に、さらにステップSp57Aの動作を実行する動作フローを実施する態様が考えられる。図20は、第2実施形態に係る情報処理の動作フローの他の一例を示す流れ図である。
ここで、ステップSp57Aでは、例えば、差分算出部522が、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについて、印加工程によってソース電極9sとドレイン電極9dとの間に第1のドレイン電圧を印加し且つソース電極9sとゲート電極9gとの間に複数のゲート電圧(Vgs)をそれぞれ印加した状態で検出工程によって電磁波検出部20で検出されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化における所定のピークの強度と、上記の図16のステップSp43b、図17のステップSp46aまたはステップSp55Aで得られた第1基準時間変化における所定のピークの強度(第1基準強度ともいう)と、の差分値(第1差分値ともいう)を算出する工程(第1算出工程ともいう)を行い、分布生成部518が、複数の照射対象位置Po1に対する第1差分値の2次元の分布に係る情報(第3分布情報)を生成する工程(第3生成工程ともいう)を行う。ここでは、例えば、ゲート電圧(Vgs)以外の測定条件が同一なもののそれぞれについて、相互に異なるゲート電圧(Vgs)毎に、第3分布情報を生成する第3生成工程が行われればよい。
このような構成が採用されれば、例えば、HEMT9Trがオフ状態とオン状態との間で切り替わる閾値電圧(Vth)の付近におけるゲート電圧(Vgs)の変化に対して、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
<2−2.第3実施形態>
上記第1実施形態において、例えば、HEMT9Trを含む半導体デバイス9を対象とした半導体デバイス測定方法において、閾値電圧認識部521が、HEMT9Trの閾値電圧(Vth)を認識する工程(認識工程)を行い、ドレイン電圧(Vds)としてゲート電圧(Vgs)から閾値電圧(Vth)を減じたピンチオフ電圧(Vp)が印加された際に放射される電磁波LT1の強度の時間的な変化(第2基準時間変化)を検出してもよい。
この場合には、例えば、図12のステップSp5において、図18の動作フローの代わりに、図21で示されるように、ステップSp51〜Sp53の動作をこの記載の順に実行した後にステップSp54A,Sp55B,Sp56Bの動作をこの記載の順に実行する動作フローを実施する態様が考えられる。図21は、第3実施形態に係る情報処理の動作フローの一例を示す流れ図である。
ここで、ステップSp54Aでは、例えば、上記図19のステップSp54Aと同様にして、閾値電圧認識部521が、HEMT9Trの閾値電圧(Vth)を認識する工程(認識工程)を行う。
次に、ステップSp55Bでは、例えば、ステップSp52で検出された測定条件毎の各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度のうち、ドレイン電圧(Vds)としてピンチオフ電圧(Vp)が印加された状態に係る各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度(第2基準強度)を検出する。この場合には、既に、図12のステップSp4において、印加工程によってソース電極9sとゲート電極9gとの間に第1のゲート電圧を印加するとともに該第1のゲート電圧から閾値電圧(Vth)を減じたピンチオフ電圧(Vp)をソース電極9sとドレイン電極9dとの間に印加した状態について、移動工程および検出工程によって、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化(第2基準時間変化)を検出している。ところで、例えば、ステップSp51で取得された測定条件毎の各照射対象位置Po1についての電磁波LT1の時間波計において、ピンチオフ電圧(Vp)に係る各照射対象位置Po1についての電磁波LT1の時間波計が存在していなければ、例えば、図17で示された動作フローと同様な動作フローによって、印加工程によってソース電極9sとゲート電極9gとの間に第1のゲート電圧を印加するとともに該第1のゲート電圧から閾値電圧(Vth)を減じたピンチオフ電圧(Vp)をソース電極9sとドレイン電極9dとの間に印加した状態について、移動工程および検出工程によって、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについてTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化(第2基準時間変化)を検出した後に、ステップSp51,Sp52と同様な動作によって、ピンチオフ電圧(Vp)に係る各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度(第2基準強度)を検出してもよい。このとき、例えば、ドレイン電圧(Vds)以外の測定条件毎に、第2基準時間変化を検出して、第2基準強度を検出することができる。
次に、ステップSp56Bでは、例えば、分布生成部518が、ステップSp55Bで検出された、ピンチオフ電圧(Vp)に係る各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度に基づいて、ドレイン電圧(Vds)以外の測定条件毎に所定のピークの強度に係る分布情報を生成する。
このような構成が採用されれば、例えば、ドレイン電圧(Vds)がピンチオフ電圧(Vp)に設定された状態において、HEMT9Trの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMT9Trが線形領域と飽和領域との間で切り替わるタイミングにおける、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることが可能となる。
ここで、例えば、さらに、ドレイン電圧(Vds)以外の測定条件が同一なもののそれぞれについて、相互に異なるドレイン電圧(Vds)毎に、ピンチオフ電圧(Vp)に係る各照射対象位置Po1についての所定のピークの強度を基準として、所定のピークの強度に係る分布情報を生成してもよい。
この場合には、例えば、図21の動作フローの代わりに、図22で示されるように、ステップSp51〜Sp53,Sp54A,Sp55B,Sp56Bの動作をこの記載の順に実行した後に、さらにステップSp57Bの動作を実行する動作フローを実施する態様が考えられる。図22は、第3実施形態に係る情報処理の動作フローの他の一例を示す流れ図である。
ここで、ステップSp57Bでは、例えば、差分算出部522が、2次元的に位置する複数の照射対象位置Po1のそれぞれについて、印加工程によってソース電極9sとゲート電極9gとの間に第1のゲート電圧を印加するとともにソース電極9sとドレイン電極9dとの間に複数のドレイン電圧(Vds)をそれぞれ印加した状態で検出工程によって電磁波検出部20で検出されるTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化における所定のピークの強度と、上記の図16のステップSp43b、図17のステップSp46aまたはステップSp55Bで得られた第2基準時間変化における所定のピークの強度(第2基準強度ともいう)と、の差分値(第2差分値ともいう)を算出する工程(第2算出工程ともいう)を行い、分布生成部518が、複数の照射対象位置Po1に対する第2差分値の2次元の分布に係る情報(第4分布情報)を生成する工程(第4生成工程ともいう)を行う。ここでは、例えば、ドレイン電圧(Vds)以外の測定条件が同一なもののそれぞれについて、相互に異なるドレイン電圧(Vds)毎に、第4分布情報を生成する第4生成工程が行われればよい。
このような構成が採用されれば、例えば、HEMT9Trが線形領域と飽和領域との間で切り替わるピンチオフ電圧の付近におけるドレイン電圧(Vds)の変化に対して、HEMT9Trのうちの界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることができる。これにより、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、耐久性の評価および故障時の診断などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることができる。
<2−3.その他>
上記各実施形態では、第1半導体部90の材料として、高純度のGaNが適用され、第2半導体部92の材料として、AlGaNが適用されたが、これに限られない。例えば、第1半導体部90の材料として、高純度のガリウムヒ素(GaAs)が適用され、第2半導体部92の材料として、ガリウムヒ素(GaAs)のうちの一部のGaがAlに置換されたAlGaAs(ガリウムアルミニウムヒ素、x+y=1、0.2≦x≦0.3、0.7≦y≦0.8)が適用されてもよい。この場合には、GaAsのバンドギャップ(1.4eV)に対応する吸収端の波長は、886nmであり、AlGaAsのバンドギャップ(1.6eV)に対応する吸収端の波長は、775nmである。このため、フェムト秒レーザ12が出力する第1のパルス光LP1(基本波)の波長を880nm程度とし、波長変換器16は、第1のパルス光LP1(基本波)の波長を変換することなく、そのまま測定用光LP10とする態様が考えられる。なお、第1半導体部90および第2半導体部92の各材料として、インジウムリン(InP)系の材料、またはシリコンゲルマニウム(SiGe)系の材料等のその他の材料が適用されてもよい。
上記各実施形態では、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dの材料として、金属材料が用いられたが、これに限られない。例えば、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dの材料として、酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物を用いた導電性を有する透明な材料が適用されてもよい。このような構成が採用されれば、例えば、照射対象位置Po1を、電極位置を避けるように2次元的に移動させなくてもよい。
上記各実施形態では、ステージ30を移動させることで、照射対象位置Po1を2次元的に移動させたが、これに限られない。例えば、光照射部10が、測定用光LP10の光路を変更するガルバノミラー等の光学素子を有し、この光学素子によって測定用光LP10の光路を変更させることで、照射対象位置Po1を2次元的に移動させてもよい。
上記各実施形態では、例えば、HEMT9Trが、高速で移動するキャリアが電子であるn型のHEMTであったが、これに限られない。例えば、HEMT9Trは、高速で移動するキャリアが正孔であるp型のHEMTであってもよい。p型のHEMTとしては、例えば、窒化物半導体を用いたものが考えられる。
上記各実施形態では、例えば、ソース電極9s、ゲート電極9gおよびドレイン電極9dが、第2半導体部92上に直接接するように位置していてもよいし、第2半導体部92上に1つ以上の層を介して位置していてもよい。例えば、第2半導体部92上に、1つ以上の層としての二酸化ケイ素(SiO)や窒化ケイ素(SiN)などの絶縁膜の層を介して、ゲート電極9gが位置している態様が考えられる。
上記各実施形態では、基板96上に直接接するように第1半導体部90が位置していたが、これに限られない。例えば、基板96上にバッファ層を介して第1半導体部90が位置していてもよい。バッファ層には、例えば、基板96と第1半導体部90との密着性または結晶格子の整合性を向上させるための材料を用いた層が適用される。
上記各実施形態では、例えば、第1半導体部90が基板96上に層状に形成されたものであったが、これに限られない。例えば、第1半導体部90は、バルク状のものであってもよい。
上記各実施形態では、例えば、撮像部33で取得された画像データを用いた画像処理によって、電極位置を示す電極位置情報を取得したが、これに限られない。例えば、画像データを表示部71に可視的に出力した状態で、オペレータが操作部72を操作して電極位置を指定することで、電極位置情報を取得してもよい。
上記各実施形態では、例えば、印加工程によってソース電極9sとドレイン電極9dとの間に大きなドレイン電圧を印加しながら、検出工程によってTHz波を含む電磁波LT1の強度の時間的な変化を検出してもよい。大きなドレイン電圧としては、例えば、数Vから数百Vの電圧が採用される。電流コラプス現象は、例えば、大きなドレイン電圧が印加された状態におけるトラップ電荷の影響で生じるのであれば、2DEGが生じる界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位にトラップ電荷が影響を与えるものと推定される。このため、上記のようにして、例えば、HEMT9Trにおいて電流コラプス現象が生じるものと推定される高いドレイン電圧が印加された状態において、界面近傍領域90Arにおけるエネルギー準位の場所による違いに係る情報を得ることで、HEMT9Trにおける電流コラプス現象の解析が可能となる。その結果、例えば、HEMT9Trの設計、歩留まり、および耐久性の評価などに資する有益な情報を得ることができ、HEMT9Trの品質を向上させることができる。
上記各実施形態では、例えば、半導体デバイス測定装置1において、HEMT9Trの各照射対象位置Po1について測定動作を行う際に、遅延ステージ240を往復移動させたが、これに限られない。例えば、1つの照射対象位置Po1についての測定動作で得られた電磁波LT1の強度の時間的な変化を用いて、時間波形復元部514で復元された電磁波LT1の時間波形において所定のピークの強度を示す位相を求め、この位相に対応する位置に遅延ステージ240を固定した状態で、HEMT9Trにおける複数の照射対象位置Po1について測定動作を行ってもよい。
HEMT9Trに測定用光LP10を照射することにより、電磁波LT1とともに、フォトルミネッセンス(Photoluminescence:PL)光も同時に放射される。上記各実施形態では、例えば、電磁波LT1と、上記フォトルミネッセンス光の両方を測定してもよい。上記フォトルミネッセンス光の測定器として、例えば、分光器を用いることでバンド端など任意の波長での発光強度分布を取得できる。
なお、上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
1 半導体デバイス測定装置
9 半導体デバイス
9Tr 高電子移動度トランジスタ(HEMT)
9d ドレイン電極
9g ゲート電極
9s ソース電極
9u 上面
10 光照射部
16 波長変換器
20 電磁波検出部
21 偏光子
22 電磁波検出器
30 ステージ
33 撮像部
35 ステージ移動部
40 電圧印加部
42 電圧変更部
43 電流計測部
50 制御部
51 中央演算ユニット(CPU)
60 記憶部
90 第1半導体部
90Ar 界面近傍領域
92 第2半導体部
98 界面
211 偏光子移動部
511 波長設定部
513 検出制御部
514 時間波形復元部
515 電圧制御部
516 電流認識部
517 ステージ制御部
518 分布生成部
519 撮像制御部
520 画像処理部
521 閾値電圧認識部
522 差分算出部
Ar1 測定対象領域
LP1 パルス光,第1のパルス光
LP10 測定用光
LT1 電磁波
PG1 プログラム
Po1 照射対象位置

Claims (20)

  1. 第1半導体部と、該第1半導体部とヘテロ接合を形成している層状の第2半導体部と、該第2半導体部上に直接または1つ以上の層を介して位置しているソース電極、ゲート電極およびドレイン電極と、を有する高電子移動度トランジスタを含む半導体デバイスを対象とした半導体デバイス測定方法であって、
    前記半導体デバイスを保持部に保持させる保持工程と、
    前記第2半導体部を透過し且つ前記第1半導体部に吸収される波長領域の光を射出するように光照射部を設定する設定工程と、
    前記光照射部によって、前記設定工程で設定された前記波長領域のパルス光を、前記第2半導体部を介して前記第1半導体部に照射することで、前記第1半導体部から放射されるテラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する検出工程と、
    前記高電子移動度トランジスタのうちの前記光照射部によって前記パルス光が照射される照射対象位置を2次元的に移動させる移動工程と、を有し、
    前記移動工程によって前記照射対象位置を移動させる度に前記検出工程を実行することで2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する、半導体デバイス測定方法。
  2. 請求項1に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記複数の照射対象位置のそれぞれについて前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化のうちの所定のピークの強度の2次元の分布に係る第1分布情報を生成する第1生成工程、をさらに有する、半導体デバイス測定方法。
  3. 請求項1に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記複数の照射対象位置のそれぞれについて前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化のうちの所定のピークの強度の正または負の値の2次元の分布に係る第2分布情報を生成する第2生成工程、をさらに有する、半導体デバイス測定方法。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記設定工程において、前記波長領域が、前記第2半導体部におけるバンドギャップに対応する吸収端の波長よりも、前記第1半導体部におけるバンドギャップに対応する吸収端の波長に近い波長領域となるように、前記光照射部を設定する、半導体デバイス測定方法。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1つの請求項に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極との間にドレイン電圧を印加するとともに、前記ソース電極と前記ゲート電極との間にゲート電圧を印加する印加工程、をさらに有し、
    該印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記ドレイン電圧を印加し且つ前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記ゲート電圧を印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する、半導体デバイス測定方法。
  6. 請求項5に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記ゲート電圧を変更する第1変更工程、をさらに有し、
    前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に予め設定された第1のドレイン電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ゲート電極との間に互いに異なる複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する、半導体デバイス測定方法。
  7. 請求項6に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極との間におけるドレイン電流を計測する計測工程、をさらに有し、
    前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第1のドレイン電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出するとともに、前記計測工程によって前記ドレイン電流を計測する、半導体デバイス測定方法。
  8. 請求項6に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極との間におけるドレイン電流を計測する計測工程と、
    前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に互いに異なる複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態で前記計測工程によって前記ドレイン電流を計測することで得られる、前記ゲート電圧と前記ドレイン電流との関係を示す情報に基づいて、前記ゲート電圧を変化させた際に前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記ドレイン電流が流れ始めるときの前記ソース電極と前記ゲート電極との間における閾値電圧を認識する認識工程と、をさらに有し、
    前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記閾値電圧を印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する、半導体デバイス測定方法。
  9. 請求項8に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第1のドレイン電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態で前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化における所定のピークの強度と、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記第1のドレイン電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記閾値電圧を印加した状態で前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化における所定のピークの第1基準強度と、の第1差分値を算出する第1算出工程と、
    前記複数の照射対象位置に対する前記第1差分値の2次元の分布に係る第3分布情報を生成する第3生成工程と、をさらに有する、半導体デバイス測定方法。
  10. 請求項5に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記ドレイン電圧を変更する第2変更工程、をさらに有し、
    前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に予め設定された第1のゲート電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に互いに異なる複数のドレイン電圧をそれぞれ印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する、半導体デバイス測定方法。
  11. 請求項10に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極との間におけるドレイン電流を計測する計測工程、をさらに有し、
    前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記第1のゲート電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に互いに異なる複数のドレイン電圧をそれぞれ印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出するとともに、前記計測工程によって前記ドレイン電流を計測する、半導体デバイス測定方法。
  12. 請求項10に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極との間におけるドレイン電流を計測する計測工程と、
    前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に互いに異なる複数のゲート電圧をそれぞれ印加した状態で前記計測工程によって前記ドレイン電流を計測することで得られる、前記ゲート電圧と前記ドレイン電流との関係を示す情報に基づいて、前記ゲート電圧を変化させた際に前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記ドレイン電流が流れ始めるときの前記ソース電極と前記ゲート電極との間における閾値電圧を認識する認識工程と、をさらに有し、
    前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記第1のゲート電圧を印加するとともに該第1のゲート電圧から前記閾値電圧を減じたピンチオフ電圧を前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に印加した状態について、前記移動工程および前記検出工程によって、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する、半導体デバイス測定方法。
  13. 請求項12に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記第1のゲート電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記複数のドレイン電圧をそれぞれ印加した状態で前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化における所定のピークの強度と、前記印加工程によって前記ソース電極と前記ゲート電極との間に前記第1のゲート電圧を印加するとともに前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に前記ピンチオフ電圧を印加した状態で前記検出工程によって検出される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化における所定のピークの第2基準強度と、の第2差分値を算出する第2算出工程と、
    前記複数の照射対象位置に対する前記第2差分値の2次元の分布に係る第4分布情報を生成する第3生成工程と、をさらに有する、半導体デバイス測定方法。
  14. 請求項5から請求項13の何れか1つの請求項に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記印加工程によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に数Vから数百Vのドレイン電圧を印加しながら、前記検出工程によって前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する、半導体デバイス測定方法。
  15. 請求項1から請求項14の何れか1つの請求項に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記ソース電極、前記ゲート電極および前記ドレイン電極が位置している電極位置を示す電極位置情報を取得する取得工程と、をさらに有し、
    前記移動工程によって前記電極位置を避けるように前記照射対象位置を2次元的に移動させる、半導体デバイス測定方法。
  16. 請求項15に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記保持部に保持された前記半導体デバイスのうちの前記高電子移動度トランジスタを撮像部で撮像することで前記ソース電極、前記ゲート電極および前記ドレイン電極を含む領域を捉えた画像データを取得する撮像工程、をさらに有し、
    前記取得工程において、前記画像データに基づいて前記電極位置情報を取得する、半導体デバイス測定方法。
  17. 請求項1から請求項16の何れか1つの請求項に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記検出工程において、偏光子を透過した前記テラヘルツ波のうちの予め設定された方向に振動する成分の強度の時間的な変化を検出する、半導体デバイス測定方法。
  18. 請求項1から請求項17の何れか1つの請求項に記載の半導体デバイス測定方法であって、
    前記高電子移動度トランジスタは、前記第1半導体部のうちの前記第2半導体部との界面の近傍に蓄積されている高濃度の2次元電子ガスによって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間において電子を高速で移動させることでドレイン電流を流すトランジスタ、を含む、半導体デバイス測定方法。
  19. 第1半導体部と、該第1半導体部とヘテロ接合を形成している層状の第2半導体部と、該第2半導体部上に直接または1つ以上の層を介して位置しているソース電極、ゲート電極およびドレイン電極と、を有する高電子移動度トランジスタを含む半導体デバイスを保持するための保持部と、
    前記第2半導体部を透過し且つ前記第1半導体部に吸収される波長領域のパルス光を、前記第2半導体部を介して前記第1半導体部に照射する光照射部と、
    前記光照射部による前記パルス光の照射に応じて前記第1半導体部から放射されるテラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出する検出部と、
    前記高電子移動度トランジスタのうちの前記光照射部によって前記パルス光が照射される照射対象位置を2次元的に移動させる移動部と、
    前記移動部によって前記照射対象位置を移動させる度に、前記検出部によって、前記光照射部による前記パルス光の照射に応じて前記第1半導体部から放射される前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を検出させることで、2次元的に位置する複数の前記照射対象位置のそれぞれについて前記テラヘルツ波の強度の時間的な変化を取得する制御部と、
    を備える、半導体デバイス測定装置。
  20. 半導体デバイス測定装置に含まれる演算処理部によって実行されることで、該半導体デバイス測定装置を、請求項19に記載の半導体デバイス測定装置として機能させる、プログラム。
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