JP6956599B2 - 金属ナノワイヤ転写用の金属ナノワイヤ付支持基材及び透明導電フィルムの製造方法 - Google Patents

金属ナノワイヤ転写用の金属ナノワイヤ付支持基材及び透明導電フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属ナノワイヤ転写用の金属ナノワイヤ付支持基材及び透明導電フィルムの製造方法に関する。
液晶ディスプレイ・有機ELディスプレイ・タッチパネルなどの表示装置および太陽電池等の透明電極用導電材料としてITOが広く利用されている。しかし、インジウム金属の埋蔵量が少ないこと、長波長領域の透過率が低いことに起因する色味があること、低抵抗化するためには高温の熱処理が必要であること、および屈曲耐性が低いこと、などの課題がある。
近年、フレキシブル性やタッチパネルの大面積化が検討され始めITOでは対応が困難であるため、金属ナノワイヤを用いた透明導電フィルムの開発が進み始めた。この金属ナノワイヤを用いた透明導電フィルムは、一般的には次のような工程により製造される。すなわち、金属ナノワイヤの合成、金属ナノワイヤの精製・分散液調製、金属ナノワイヤ含有インクの調製、基材フィルムへの金属ナノワイヤインクの印刷、乾燥・焼結の工程である。
金属ナノワイヤを製造する方法として、いくつかの方法が知られている。例えば、特許文献1(特表2013−502515号公報)には、エチレングリコール中にテトラブチルアンモニウムクロリド、ポリビニルピロリドン、硝酸銀を添加し、加熱することにより銀イオンを還元して銀ナノワイヤを作製する製造方法(ポリオール法)が開示されている。特許文献2(特開2013−199690号公報)には、ステアリルトリメチルアンモニウム(低分子分散剤)塩、グルコース(還元剤)、硝酸銀(金属イオン源)、アンモニア水(pH緩衝剤)等を用いて水溶媒中で銀ナノワイヤを合成する方法が開示されている。
金属ナノワイヤの精製は、特許文献1および2に記載されているように光学特性に影響を与えるアスペクト比の小さいナノ構造体や金属ナノワイヤの合成時に使用した塩を除去するために行われる。特許文献1では、合成した銀ナノワイヤのグリセロール-水分散液をアセトン中に添加し銀ナノワイヤを沈殿させ上澄みを除去、沈殿物を水で再分散させアセトンでの沈殿処理を繰り返すことにより銀ナノワイヤの精製・分散液調製を行っている。特許文献2では、水溶媒中で合成された銀ナノワイヤ分散液を、限外ろ過モジュールを用いて、蒸留水とn−プロパノール(低分子分散剤の剥離液)の混合液の添加と濃縮を繰り返すクロスフロー方式での限外ろ過精製する方法および遠心分離法による精製方法が開示されている。また、特許文献3(特開2017−14621号公報)には、合成により得られた金属ナノワイヤ粗分散液を、セラミックろ過膜を用いて水によりクロスフローろ過して精製した金属ナノワイヤ分散液を得る方法が開示されている。特許文献2には金属ナノワイヤを含む液を送液する際金属ナノワイヤを破壊することなく、比較的高圧でも送液することのできるポンプを使用することが好ましいことが記載されている。すなわち、精製時金属ナノワイヤの折れに注意する必要があることを示唆している。
上記方法にて精製された金属ナノワイヤ分散液はインク調製工程へ回される。金属ナノワイヤインクは、多種多様であり、インクの塗布・印刷方法や用途に応じて精製した金属ナノワイヤ分散液に必要に応じて各種有機溶剤や各種添加剤の配合、あるいは溶媒置換等が行われる。また、特許文献4(特開2014−116103号公報)に記載のようにインク調製時には折れが発生しない分散手法を選択することも重要である。
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネートなどの基材フィルムへの金属ナノワイヤインクの塗布・印刷方法としては、スピンコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機、バーコーターなど公知の技術を用いて行われる。
最後に基材フィルムへ塗布・印刷した金属ナノワイヤインクの乾燥、焼結として、加熱処理(熱焼成)や光焼成、加圧処理などが行われて透明導電フィルムが製造される。
また、金属ナノワイヤを用いた導電層転写材料が特許文献5(特開2012−033466号公報)に開示されている。基材と、基材上にクッション層と金属ナノワイヤ層をこの順に積層した導電層転写材料である。特許文献5の記載によれば、金属ナノワイヤの合成、及び精製、その後プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの溶剤を基本としたインクを調製して基材上に形成されたクッション層上に塗布する工程で作製される。このようにして作製された導電性転写材料はガラス基板にラミネーターを用いて加圧、加熱して貼り合わせ、基材を剥離することにより転写される。
また、非特許文献1(Nano Res (2010) 3: 564-573)には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)スタンプを用いた転写方法が記載されている。陽極酸化した0.1μm孔径のポーラスアルミナメンブランフィルターで銀ナノワイヤ分散液(Seashell Technology社製)から銀ナノワイヤをろ過し、銀ナノワイヤが付着したフィルターをPDMSスタンプに転写した後、PDMSスタンプからガラスやPETフィルムに転写する方法である。
非特許文献2(small 2016, 12, No. 2, 180-184)には、ポリフッ化ビニリデンメンブランをろ材として用い、シグマ−アルドリッチ製銀ナノワイヤ水分散液をろ過し、ガラスウェハー上に塗布形成されたPDMS層へ転写する方法が記載されている。
非特許文献3(Adv. Funct. Mater. 2015, 25, 4203-4210)には、ポリカーボネートメンブランを用い銀ナノワイヤ(Seashell Technology社製)のエタノール希釈分散液をろ過(第1の導電層を形成)し、さらにその上にセルロースナノファイバー(CNF)分散液を、銀ナノワイヤを覆うように注ぎ込み第2のナノペーパー層を形成し水を揮発させた後、ポリカーボネートメンブランをはがすことによりCNF上に銀ナノワイヤが積層された透明電極を形成することが記載されている。
特表2013−502515号公報 特開2013−199690号公報 特開2017−14621号公報 特開2014−116103号公報 特開2012−033466号公報
Nano Res (2010) 3: 564-573 small 2016, 12, No. 2, 180-184 Adv. Funct. Mater. 2015, 25, 4203-4210
金属ナノワイヤを用いた透明導電フィルムは、ITOを導電材料とした場合に比べて印刷を主に行うことにより簡便でコストが低くなることが期待されて導入が進められている。ところが、前述したように工程が長く、一部には高価な設備を用いることから金属ナノワイヤを用いた透明導電フィルム製造コストを安くしたいという課題があった。特に、金属ナノワイヤインクの調製および印刷では品質管理も煩雑である。また、工程が長くなるために金属ナノワイヤの折れが懸念される。このようなことから、工程を短くし簡便に金属ナノワイヤを用いた不純物の少ない高導電性、高透明性な透明導電フィルムの製造が求められていた。
また、非特許文献1には、銀ナノワイヤを、PDMSスタンプを用いて基材フィルム上転写する方法が開示されているが、多段階プロセスであるという課題があった。さらに、非特許文献2、3には、ポリカーボネートやポリフッ化ビニリデンのメンブランフィルターを用いた転写に関する開示もあるが、銀ナノワイヤ合成液をろ過後直接基板に塗布・印刷する旨の開示はない。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、本発明は金属ナノワイヤを用いた少ない製造工程での透明導電フィルムの製造を可能とする金属ナノワイヤ転写用の金属ナノワイヤ付支持基材およびそれを用いた透明導電フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、金属ナノワイヤが分散した液をセルロース系多孔質フィルムでろ過して得られる金属ナノワイヤがセルロース系多孔質フィルム上に堆積された金属ナノワイヤ付支持基材により支持基材上に堆積した金属ナノワイヤを透明フィルム基材へ好適に転写できることを見出した。また、金属ナノワイヤ合成液を高度な精製をすることなくセルロース系多孔質フィルムでフィルターろ過するだけでも不純物である難溶性金属塩(ハロゲン化銀[塩化銀等])、金属微粒子や短いロッド状金属を十分取り除くことができることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の実施態様を含む。
<1>金属ナノワイヤがセルロース系多孔質フィルム上に堆積されていることを特徴とする金属ナノワイヤ転写用の金属ナノワイヤ付支持基材。
<2>前記セルロース系多孔質フィルムの平均孔径が0.01〜10μmである<1>に記載の金属ナノワイヤ付支持基材。
<3>透明フィルム基材上に金属ナノワイヤが堆積した透明導電フィルムの製造方法であって、金属ナノワイヤを含有する分散液を、セルロース系多孔質フィルムを通してろ過して金属ナノワイヤを堆積させ、金属ナノワイヤ付支持基材を準備する工程と、前記金属ナノワイヤ付支持基材に堆積した金属ナノワイヤを透明フィルム基材上へ転写する工程と、を含む透明導電フィルムの製造方法。
<4>前記金属ナノワイヤを含有する分散液が、金属ナノワイヤを合成した反応液を水および有機溶剤の少なくとも一種からなる液体により希釈された分散液である<3>に記載の透明導電フィルムの製造方法。
<5>前記転写方法が加圧である<3>又は<4>に記載の透明導電フィルムの製造方法。
本発明によれば、従来の金属ナノワイヤの合成工程を含む透明導電フィルムの製造方法に比べて、金属ナノワイヤ製造時の不純物である微粒子やアスペクト比の小さい金属ナノワイヤを除去する高度な精製工程、インク調製、塗布・印刷工程を減らすことができ、透明導電フィルムを低コストで製造することができる。
本発明の多孔質フィルムの構造を説明するための一例であるアドバンテック社製のセルロースアセテートタイプのメンブランフィルターの表面写真(WEBカタログに掲載)である。 本発明で用いる濾過器の構成を説明する図である。 実施例5で得られた透明導電フィルムの表面SEM写真である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)の各構成について詳細に説明する。
本発明の第一の実施形態は、金属ナノワイヤがセルロース系多孔質フィルム上に堆積されていることを特徴とする金属ナノワイヤ転写用の金属ナノワイヤ付支持基材である。
本実施形態で用いられる金属ナノワイヤは、径がナノメーターオーダーのサイズである金属であり、ワイヤ状またはチューブ状の形状を有する導電材料である。本明細書において、「ワイヤ状」と「チューブ状」はいずれも線状であるが、前者は中央が中空ではないもの、後者は中央が中空であるものを意図する。性状は、柔軟であってもよく、剛直であってもよい。前者を「狭義の金属ナノワイヤ」、後者を「狭義の金属ナノチューブ」と呼び、以下、本明細書において「金属ナノワイヤ」は狭義の金属ナノワイヤと狭義の金属ナノチューブを包括する意味で用いる。狭義の金属ナノワイヤ、狭義の金属ナノチューブは、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
上記金属ナノワイヤの短軸方向の長さ(径)は平均10nm以上90nm以下、好ましくは平均10nm以上85nm以下、かつ長軸方向の長さは平均1μm以上100μm以下、好ましくは平均5μm以上100μm以下である。
本実施形態で用いられる金属ナノワイヤを構成する金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金などが挙げられる。金属ナノワイヤの金属は導電性能の点では金属酸化物を含まないほうが好ましいが、空気酸化が避けられない場合には一部に金属酸化物を含んでもよい。これらの中でも、導電性、取扱いに優れる点で、銀または金の少なくとも1種を含むことがより好ましい。最適な態様としては、銀のナノワイヤが挙げられる。なお、カーボンナノチューブ等の炭素系繊維を、特性を阻害しない範囲で併用することもできる。
金属ナノワイヤの合成方法としては、公知の合成方法を用いることができる。例えば、銀ナノワイヤ(狭義)は、ポリオール(Poly−ol)法を用いて、ポリ−N−ビニルピロリドン存在下で硝酸銀を還元することによって合成することができる(Chem.Mater.,2002,14,4736参照)。金ナノワイヤ(狭義)も同様に、ポリ−N−ビニルピロリドン存在下で塩化金酸水和物を還元することによって合成することができる(J.Am.Chem.Soc.,2007,129,1733参照)。銀ナノワイヤおよび金ナノワイヤの大規模な合成および精製の技術に関しては国際公開第2008/073143号パンフレットと国際公開第2008/046058号パンフレットに詳細な記述がある。ポーラス構造を有する金ナノチューブ(狭義)は、銀ナノワイヤを鋳型にして、塩化金酸溶液を還元することにより合成することができる。ここで、鋳型に用いた銀ナノワイヤは塩化金酸との酸化還元反応により溶液中に溶け出し、結果としてポーラス構造を有する金ナノチューブができる(J.Am.Chem.Soc.,2004,126,3892−3901参照)。
上記ポリオール法で使用される反応溶媒は、還元剤としても機能するポリオール類、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン等が挙げられ、これらからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。合成反応後は、目的とする金属ナノワイヤとともに合成時に生成した金属ナノ粒子等の不純物も含まれる金属ナノワイヤ粗分散液となっている。
金属ナノワイヤは、水溶液中でグルコースなどの還元剤を用いて合成することもできる(特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号)。
上記ポリオールを用いた合成、水溶液中での合成、いずれの方法においても、分散剤とハロゲン化合物が使用される。
分散剤は、生成した金属ナノワイヤの分散安定化と金属ナノワイヤの形状を制御する機能を有し、金属ナノワイヤの表面を修飾する。この分散剤としては、繰り返し構造単位を有する重量平均分子量が1000より大きい分散剤が好ましく、2000以上の分散剤がより好ましく、10000以上の分散剤がさらに好ましい。一方、重量平均分子量が大きすぎると、金属ナノワイヤが凝集する可能性が高くなる。従って、上記分散剤の重量平均分子量は150万以下が好ましく、100万以下がより好ましく、50万以下が更に好ましい。上記分散剤の種類としては、例えばポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)、ポリ−N−ビニルアセトアミド(PNVA)、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアルキレンアミン、セルロースアセテート、アセタール樹脂等を挙げることができる。
ハロゲン化合物は、金属のワイヤの生長に寄与する成分であり、溶媒に溶解してハロゲンイオンを解離できる化合物であれば適用でき、金属ハロゲン化物や4級アンモニウム塩のハロゲン化物が好適である。ハロゲンイオンとしては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンの少なくとも一つであることが好ましく、塩素イオンを解離できる化合物を含むことがより好ましい。
金属ハロゲン化物としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、長周期律表の第3周期から第12周期の金属ハロゲン化物が挙げられる。アルカリ金属ハロゲン化物としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩化物、臭化ナトリウム、臭化カリウムなどのアルカリ金属臭化物、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリ金属ヨウ化物などが挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウムが挙げられる。長周期律表の第3周期から第12周期の金属ハロゲン化物としては、塩化第二鉄、塩化第二銅、臭化第二鉄、臭化第二銅が挙げられる。これらのいずれかを単独で使用しても2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
4級アンモニウム塩のハロゲン化物としては、分子内の総炭素原子数が4〜20の4級アルキルアンモニウム塩(4級アンモニウム塩の窒素原子に4つのアルキル基が結合しており、各アルキル基は同一でも異なっていても良い)のハロゲン化物が好ましく、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩化物や、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化オクチルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の4級アンモニウム臭化物等が挙げられる。これらのいずれかを単独で使用しても2種類以上を組み合わせて使用してもよい。4級アンモニウムヒドロキシドと塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素を反応させてアンモニウム塩にしたものを使用することができる。これらは室温で気体状態であるので、ポリオール溶媒中でそれらの水溶液を用いて中和しても良く、中和後に加熱することにより水や余分なハロゲン化水素を留去することもできる。また、4級アンモニウム塩と金属ハロゲン化物を組み合わせて使用してもよい。
以上、金属ナノワイヤの合成方法について説明したが、合成終了後の溶液には所望の金属ナノワイヤの他に、種々の化合物等が混在している。溶媒として用いたグリコールや水など、溶解している分散剤、溶解しているハロゲンや硝酸などのアニオンや、四級アンモニウム、未反応の金属イオンなどのカチオン、分散しているハロゲン化微粒子および合成時副生した分散している金属微粒子やアスペクト比が低い金属ナノワイヤなどである。これらのうち、残留イオンやハロゲン化微粒子は金属ナノワイヤの腐食を促進するので極力除去しておくことが好ましい。また、金属微粒子やアスペクト比が低いナノワイヤは、光学特性や導電性に悪影響があるので同様に極力除去しておくことが好ましい。
本発明の第一の実施形態の金属ナノワイヤ転写用の金属ナノワイヤ付支持基材は、金属ナノワイヤがセルロース系多孔質フィルム上に堆積されており、金属ナノワイヤを含有する分散液を、セルロース系多孔質フィルムを通してろ過することにより得ることができる。金属ナノワイヤを含有する分散液として、上記金属ナノワイヤの合成により得られた金属ナノワイヤ合成液を用いる場合、合成液中に溶解している化合物・イオンや分散している微粒子・アスペクト比が低い金属ナノワイヤを除去することが好ましいが、上記ろ過工程中に洗浄を行うだけで、最終的に得られる透明導電フィルムの性能に問題ないレベルまで除去することができる。なお、金属ナノワイヤ合成液中の不純物の除去を予め行った純度の高い金属ナノワイヤ分散液を使用、あるいは市販の金属ナノワイヤ分散液を使用して製造することもできる。金属ナノワイヤ合成液中の不純物除去方法としては、沈殿(デカンテーション)・再分散を繰り返す方法、遠心分離法、限外ろ過膜・精密ろ過膜を用いたクロスフロー方法などが挙げられる。
本実施形態に用いられるセルロース系多孔質フィルムは、概ね平坦状に連続する表面を有し、その表面に円形、楕円形等の環状の微細な孔を複数有する多孔質フィルムであり、繊維が不規則な向きに堆積、積層することにより開口部を有する構造のものとは異なり、金属ナノワイヤが多孔質フィルムを構成する繊維間に入り込み転写し難くなるような不具合は発生しない。図1に一例としてアドバンテック社製のセルロースアセテート(酢酸セルロース)タイプのメンブランフィルターの表面写真(WEBカタログに掲載)を示す。本実施形態に用いられるセルロース系多孔質フィルムは、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロースや混合セルロース(ニトロセルロースと酢酸セルロースの混合物)などのセルロース系素材よりなる多孔質フィルムであり、メンブレンフィルターとして市販されているろ材を好適に使用できる。金属ナノワイヤ分散液の分散媒の種類・性状(薬品耐性)に応じて選定する。ガラスやセラミックなどの無機系ろ材、ポーラス金属やステンレスメッシュなどの金属系ろ材は金属ナノワイヤや透明フィルム基材を傷つけるので好ましくない。また、他の有機系ろ材、例えば親水性PTFEやポリカーボネート系のものを用いた場合、理由は定かではないが、本発明者が評価した限りではセルロース系ろ材を用いた場合に比べて金属ナノワイヤの転写性に劣る結果が得られた。なお、セルロース系多孔質フィルムは有機溶剤に膨潤、溶解するものがあるので、金属ナノワイヤ分散液の分散媒としては、セルロース系多孔質フィルムを溶解しない水系またはアルコール系を用いる。但し、有機溶剤単独ではセルロース系多孔質フィルムに影響を与える可能性があっても水との相溶性があり、有機溶剤に対して100質量%以上の水(水/有機溶剤≧1(質量比))が混合されていれば問題なく使用できる。水と混合せず単独で使用できる溶剤としては、イソブチルアルコールやグリセリン等が挙げられ、水との混合系で使用することが望ましい溶剤としてはメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類が挙げられる。酸やアルカリなどの合成液の性状も考慮して耐性がある多孔質フィルムを選定することができる。また、転写する透明フィルム基材への影響や所望する金属ナノワイヤへの影響も考慮しながら適切な材料を選定することができる。
本実施形態に用いられるセルロース系多孔質フィルムは、所望する長さの金属ナノワイヤ以外を除去するために孔径を選定する必要がある。孔径は多孔質フィルムが有する開口部の平均径(算術平均孔径)である。
本実施形態に用いられるセルロース系多孔質フィルムは、透明フィルム基材へ転写するために二次元的に利用するのであって、三次元的に折り曲げて利用するフィルターろ材とは異なる。ただし、本発明の趣旨の範囲内であれば、湾曲してろ過したり、湾曲した面に転写することも可能である。
金属ナノワイヤ合成液に含有する金属微粒子径は、通常数ナノメーターオーダーなので、ほとんどの多孔質フィルムを通過する。その為、除去する金属ナノワイヤをどのくらいの長さにするかでおおよそ孔径を決定することができる。所望する金属ナノワイヤを取得することが目的であるので孔径をあらかじめ決定する必要はないが、目安として使用できる金属ナノワイヤの長さは1〜100μmであり、多孔質フィルムの前記平均孔径が0.01〜10μmのものを使用することができる。
金属ナノワイヤの平均直径は10〜90nmなので先端が多孔質フィルムの開口部を通過してしまうこともある。2μm以下の長さの金属ナノワイヤを除去したい場合には0.1〜0.5μm程度の孔径が望ましく、5μm以下の長さの金属ナノワイヤを除去したい場合には0.5〜1μm程度の孔径の多孔質フィルムを用いることが望ましい。また、多孔質フィルムの材質、厚さあるいはろ過速度に選定する孔径が影響されるので実際に所望の金属ナノワイヤが取得できるかで選定することが重要である。
次に、本実施形態で使用される金属ナノワイヤを捕集するろ過器について説明する。ろ過器は平坦なろ材(多孔質フィルム)へ所望の金属ナノワイヤが捕集されれば良いのでその構造は限定されることはない。以下に一例としてメンブランタイプのろ過器について図2を用いて説明する。図2には、メンブランタイプのろ過器の断面図が示されている。
図2において、(1)はファネルであり溶液を入れ、ためるところであり、ガラスやプラスティックなどからなる。(2)はフィルターベースである。フィルターベース(2)は外側のベース(2A)とフィルター(2B)により構成されており、これらは別物部材に分かれていることもある。ベース(2A)はガラス製であることが多く、フィルター(2B)は焼結ガラスやフッ素系樹脂を焼き付けた金属メッシュなどで構成される。ベース(2A)とフィルター(2B)が一体化したフィルターベース(2)ではガラス材質のものがある。(3)はクランプであり、ファネル(1)とフィルターベース(2)を挟んで固定化するために用いられる。(5)はろ液をためるビンであり、減圧装置へつなぐ吸引口がついている。(4)はフィルターベース(2)とビン(5)との接続部であり、ゴム栓や共通摺合せが用いられる。この場合ろ材(多孔質フィルム)(6)は、ファネル(1)とフィルターベース(2)との間に介在させ(フィルター(2B)上に載せ)、(3)クランプにより挟んで(固定して)使用する。
本発明の第二の実施形態は、透明導電フィルムの製造方法であり、金属ナノワイヤを含有する分散液を、セルロース系多孔質フィルムを通してろ過して金属ナノワイヤを堆積させ、金属ナノワイヤ付支持基材を準備する工程(第一の工程)と、上記金属ナノワイヤ付支持基材に堆積した金属ナノワイヤを透明フィルム基材上へ転写する工程(第二の工程)と、を含む。第一の工程で準備する金属ナノワイヤ付支持基材は、前述の第一の実施形態である金属ナノワイヤ転写用の金属ナノワイヤ付支持基材であるので、その説明は省略する。本明細書において「透明」とは、全光線透過率が85%以上であることを意味する。
第一の工程について、上記図2に示されたメンブランタイプのろ過器を用いた場合の準備、操作方法を以下に説明する。
まず、金属ナノワイヤを含有する分散液の準備について説明する。透明フィルム基材へ転写される金属ナノワイヤ自体の質量もしくは体積は金属ナノワイヤを堆積させるセルロース系多孔質フィルムの面積と堆積させる密度によって決まる。一般的には、金属ナノワイヤが転写される透明フィルム基材上の金属ナノワイヤの堆積量は、数mg〜100mg/m程度であるので、これにより金属ナノワイヤ付支持基材に堆積される金属ナノワイヤの質量もしくは体積を決定する。
金属ナノワイヤを含有する分散液として上述した金属ナノワイヤの合成液をそのまま用いる場合には、金属ナノワイヤの合成液の金属ナノワイヤの濃度は、一般的に0.1〜1質量%程度である。そのままろ過に用いることもできるが、希釈して使用することが好ましい。安定してろ過捕集するためには、金属ナノワイヤの濃度は、0.01〜10質量ppm程度となるように希釈させることが好ましい。希釈剤としては、金属ナノワイヤが安定して分散でき、かつ多孔質フィルムに悪影響を与えない水および有機溶剤の少なくとも一種からなる液体を選択することができる。使い勝手の観点からは前述の水やアルコールが好ましい。金属ナノワイヤを含有する分散液として金属ナノワイヤの合成液を、必要に応じて希釈剤で希釈して、そのまま用いる方法が経済的である。
次に、セルロース系多孔質フィルムの準備について説明する。セルロース系多孔質フィルムは金属ナノワイヤ分散液の分散媒あるいはその主たる構成成分にあらかじめ浸漬しておくことが好ましい。膨潤による寸法変化防止や汚れの除去のためである。十分に金属ナノワイヤ分散液の分散媒あるいはその主たる構成成分になじませたセルロース系多孔質フィルム(6)をフィルターベース(2)のフィルター(2B)上部にたるまないようにセットし、クランプ(3)で固定する。
図2に示されたメンブランタイプのろ過器を用いた第一の工程の操作は以下のように行うことができる。金属ナノワイヤ分散液をファネル(1)に流しこみ、必要があれば金属ナノワイヤ分散液が入った容器を分散液の分散媒あるいはその主たる構成成分などで共洗いし同様にファネル(1)に流しこむ。ファネル(1)に入れられた分散液は自然ろ過でもろ過は行われるが、必要に応じて減圧を行ってもよい。ろ過が終了した段階で金属ナノワイヤが堆積したセルロース系多孔質フィルム(6)を取り出しても良いし、洗浄のため分散液の分散媒あるいはその主たる構成成分などで金属ナノワイヤおよび金属ナノワイヤが堆積したセルロース系多孔質フィルム(6)の洗浄・ろ過を実施してもよい。金属ナノワイヤが堆積したセルロース系多孔質フィルム(6)は、分散媒あるいはその主たる構成成分が付着したまま次の工程に進んでもよいし、乾燥してから次の工程に進んでもよい。これらの操作により本実施形態の金属ナノワイヤ付支持基材が製造される。
このような金属ナノワイヤ付支持基材の製造には、メンブランタイプのろ過の他にフィルタープレスタイプのろ過や和紙を製造する紙すきの技術も応用できる。
続いて本実施形態における金属ナノワイヤ付支持基材上に堆積された金属ナノワイヤを透明フィルム基材上へ転写する工程(第二の工程)について説明する。本実施形態の転写は加圧により行う。加圧方法は、転写される金属ナノワイヤに破砕や極端な変形等悪影響を与えず、プレスが簡便で使いやすく、本発明の目的に沿った方法であればどのような方法を用いても構わない。例えば、金属板で挟み込むプレス機やロールで加圧するロールプレス機を使用できる。金属板で挟み込むプレス機としては、テスター産業社製SA501などが挙げられる。以下、プレス機を用いた方法について説明する。
本明細書において「プレス」とは、所定の圧力、温度下で金属ナノワイヤ付支持基材上に堆積された金属ナノワイヤと透明フィルム基材とを加圧することを意味し、加温は必須ではない。金属ナノワイヤ付支持基板の金属ナノワイヤが堆積している面を透明フィルム基材と密着するように重ね、所望の圧力でプレスする。この時、金属ナノワイヤ付支持基材と透明フィルム基材を密着させた外側に保護材としてフッ素系樹脂からなるシートなどを配置して挟み込むこともできる。
上記プレスによる加圧は、透明フィルム基材への転写を確実に進行させるためのものであり、その圧力に特に制限規はなく、例えば0.1〜1MPaで使用できる。好ましくは、0.2〜0.5MPaである。加圧時の温度は室温以上、透明フィルム基材および多孔質フィルムの低い方の融点未満、であれば特に制限はないが、転写を促進するため透明フィルム基材および多孔質フィルムの低い方の融点未満の温度に加熱することが好ましい。例えば50〜150℃とすることができ、より好ましくは80〜120℃である。
上記プレス時における加熱は、金属ナノワイヤ付支持基材の乾燥と転写を促進させる目的である。金属ナノワイヤ付支持基材が十分乾燥している場合には低温で実施することが可能な場合もある。加圧時間は、数分から30分程度とすることができ、3〜10分が好ましい。
プレスが終了した後、十分金属ナノワイヤが透明フィルム基材へ密着している場合は容易にセルロース系多孔質フィルムを金属ナノワイヤが転写された透明フィルム基材から剥離することができる。状況によりセルロース系多孔質フィルムを浮き上がらせるために多孔質フィルムが膨潤する有機溶剤中に浸すことにより、セルロース系多孔質フィルムの剥離を促進することもできる。このようにして透明フィルム基材に金属ナノワイヤが転写された透明導電フィルムを製造できる。
本実施形態で用いられる透明導電フィルムの透明フィルム基材は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、透明ガラス基板、合成樹脂製フィルム等が挙げられる。上記透明フィルム基材には、金属ナノワイヤとの密着性を向上させるため、所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、コロナ処理などの前処理を行うことができる。
透明ガラス基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラスなどが挙げられる。合成樹脂製フィルムとしては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂シート、ポリアミドイミド、ポリイミド、シクロオレフィンポリマーなどからなるフィルムが挙げられる。
このようにして製造された透明導電フィルムは、公知の方法などでタッチパネルなどに使用することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明の実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、シート抵抗値はナプソン社製手動式非破壊(渦電流法)抵抗測定器EC−80Pを、ヘーズ・全光線透過率は日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を、それぞれ用いて測定した。
<金属ナノワイヤ合成液>
銀ナノワイヤは、硝酸銀、ハロゲン化四級アンモニウム塩、ポリビニルピロリドン、プロピレングリコールを用いた公知のポリオール法により合成した。
合成された銀ナノワイヤ合成液をPETフィルムに塗布し塗布したフィルムをレーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−X200)により観察し、測定視野(300μm×70μm)内の銀ナノワイヤの本数、銀ナノワイヤの算術平均長さを求めた。銀ナノワイヤの算術平均径は、SEM(日本電子社製 JSM−7000P)による観察から求めた。また、測定視野内の銀ナノワイヤの本数、銀ナノワイヤの平均長さおよび銀の比重をもとに銀ナノワイヤの質量を求めた。同様に測定視野(300μm×70μm)内の不純物粒子(ハロゲン化微粒子、金属微粒子、アスペクト比が低いナノワイヤ等)の数、径を求め、銀の比重をもとに不純物粒子の質量を求めた。これらの結果から銀ナノワイヤ合成液中の銀ナノワイヤ含有量は0.2質量%、銀ナノワイヤの平均径は32nm、平均長さは28μm、銀ナノワイヤ合成液中の不純物微粒子の含有量は0.012質%であった。
<金属ナノワイヤ精製液>
上記銀ナノワイヤ合成液からセラミックろ過膜を用いた公知のクロスフロー法によってメタノールを溶剤として精製した。クロスフローによって精製された銀ナノワイヤメタノール分散液を濃縮し、0.2質量%に調整した。銀ナノワイヤ合成液同様に求めたこの銀ナノワイヤ精製液中の銀ナノワイヤの平均径は32nm、平均長さは22μm、不純物微粒子の質量は0.003質量%であった。クロスフローろ過精製時に銀ナノワイヤの一部が破砕したため、銀ナノワイヤ精製液中の銀ナノワイヤの平均長さは、銀ナノワイヤ合成液中の銀ナノワイヤの平均長さより短くなった。
<実施例1>
上記金属ナノワイヤの合成により得られた銀ナノワイヤ合成液(クロスフローろ過精製前)を用いて以下の製造工程により透明導電フィルムを製造した。メンブランタイプのろ過器として、柴田科学社製47mm用メンブレンフィルター装置(フィルターホルダー ガラスフィルターベースタイプ)を用いた。また、セルロース系多孔質フィルムは、47mmφ 孔径0.8μm(カタログ値)のセルロースアセテートタイプのろ材(形式:C080A047A、アドバンテック社製)を用いた。使用する前にろ材を水30mlに5分間浸した後、フィルターベース上部にセット、ファネルをクランプではさんだ。
上記銀ナノワイヤ合成液を水で10倍(質量)に希釈した。希釈した銀ナノワイヤ分散液を300メッシュのナイロン製ろ布(アズワン社製 ナイロンメッシュ)でろ過し、大きなゴミや凝集した銀ナノワイヤを除去した。ゴミ除去した希釈銀ナノワイヤ分散液0.34gを100mlビーカーに量りとり水50gを添加した。この分散液を上記のセットしたファネルに入れ、自然ろ過でろ過を行った。さらに上記100mlビーカーを水50mlで共洗いした洗浄液を、ファネルに入れた。残り約30mlから吸引ろ過を行い、水が垂れなくなった時点で速やかに吸引をやめ、銀ナノワイヤがろ材(セルロース系多孔質フィルム)に堆積された銀ナノワイヤ付き支持基材を得た。
得られた銀ナノワイヤ付き支持基材をメンブランフィルター装置から取りはずし、銀ナノワイヤ付き支持基材の銀ナノワイヤ側をハードコート層付PETフィルム(リンテック社製 H522−50 厚み50μm)のハードコート層に対向させ、ずれないように密着させた。この密着体の両面を2枚のフッ素樹脂シート(中興化成工業社製PTFEシート 厚み2mm)で挟み込み、プレス(テスター産業社製 SA501)を行った。プレスは表1に記載の条件(プレス温度、プレス圧力、プレス時間)で行った。プレス終了後、ろ材を剥離し、得られた透明導電フィルムの評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例2〜5>
表1に記載のプレス温度、プレス圧力、プレス時間に変更した以外は実施例1同様の操作により透明導電フィルムを作製し、その評価を行った。結果を表1に示す。
プレス温度80〜100℃では性能(シート抵抗、ヘーズ、全光線透過率)に大きな相違はなかった。また、プレス時間5〜10分で殆ど相違はなかった。
実施例5で得られた透明導電フィルムの表面SEM写真を図3に示す。得られた透明導電フィルム上の銀ナノワイヤに配向性はなく、ランダムにしかも略均一に転写されていた。また、銀ナノワイヤの長さを観察したが、10μm未満の長さのものはなかった。
<実施例6>
上記銀ナノワイヤ精製液を用いた以外は実施例1と同様の操作により透明導電フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
未精製の銀ナノワイヤ合成液を用いた場合と比べて、ヘーズ、透過度に相違はなかったが、シート抵抗値はやや高かった。銀ナノワイヤの長さが影響した結果と考えられる。光学特性からは精製有無では変化は認められなかった。
SEM観察を行った結果、得られた透明導電フィルム上の銀ナノワイヤに配向性はなくランダムにしかも均一に転写されていた。また、銀ナノワイヤの長さを観察したが、10μm未満の長さのものはなかった。
<実施例7>
ろ材を孔径が3μm(カタログ値)のセルロースアセテートタイプ(形式:C300A047A、アドバンテック社製)、透明フィルム基材をシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン社製 ZF−14 厚み50μm)に変更した以外は実施例1と同様の操作により透明導電フィルムを得た。結果を表1に示す。
ろ材の孔径を0.8μmから3μmに変更したために、銀ナノワイヤの一部がろ材を通して除去され抵抗が高くなったと考えられる。本実施例で使用された銀ナノワイヤを用いた場合には、孔径3μmよりも0.8μmのろ材を用いた方が良好な結果が得られた。
なお、実施例1〜7のいずれの実施例においても目視で観察した銀ナノワイヤ付き支持基材から透明フィルム基材上へ転写できた銀ナノワイヤは略100%であった。
Figure 0006956599
<比較例1>
上記銀ナノワイヤ合成液をメタノールで100倍(質量)に希釈し、実施例1で用いたPETフィルムのハードコート層上に塗布、乾燥して表面観察を行った。
表面は黄色になっていたので、表面観察のみを行った。SEM観察の結果、多数の微粒子や短いアスペクト比の小さい銀ナノワイヤやロッドが観察された。実施例5では微粒子やアスペクト比が小さい銀ナノワイヤは観察されず、精製した実施例6とほぼ同様のSEM観察結果となった。
以上の結果から、本発明の銀ナノワイヤ付き支持基材およびそれを用いた製造方法により、セルロース系多孔質フィルムでろ過することによって不純物が除去された銀ナノワイヤフィルムを製造できることを示している。
<比較例2>
ろ材を孔径が1μm(カタログ値)の親水性PTFEタイプ(形式:H100A047A、アドバンテック社製)に変更した以外は実施例5同様の操作により透明導電フィルムの作製を試みた。顕微鏡観察を行った結果、ほとんど銀ナノワイヤの転写はできなかった(目視で観察したPETフィルム上へ転写できた銀ナノワイヤは0%)。
<比較例3>
ろ材を孔径が0.8μm(カタログ値)のポリカーボネートタイプ(形式:K080A047A、アドバンテック社製)に変更した以外は実施例5同様の操作により透明導電フィルムの作製を試みたが、目視で観察したPETフィルム上へ転写できた銀ナノワイヤは約20%程度であった。

Claims (5)

  1. 金属ナノワイヤがセルロース系多孔質フィルム上に堆積されていることを特徴とする金属ナノワイヤ転写用の金属ナノワイヤ付支持基材。
  2. 前記セルロース系多孔質フィルムの平均孔径が0.01〜10μmである請求項1に記載の金属ナノワイヤ付支持基材。
  3. 透明フィルム基材上に金属ナノワイヤが堆積した透明導電フィルムの製造方法であって、金属ナノワイヤを含有する分散液を、セルロース系多孔質フィルムを通してろ過して金属ナノワイヤを堆積させ、金属ナノワイヤ付支持基材を準備する工程と、前記金属ナノワイヤ付支持基材に堆積した金属ナノワイヤを透明フィルム基材上へ転写する工程と、を含む透明導電フィルムの製造方法。
  4. 前記金属ナノワイヤを含有する分散液が、金属ナノワイヤを合成した反応液を水および有機溶剤の少なくとも一種からなる液体により希釈された分散液である請求項3に記載の透明導電フィルムの製造方法。
  5. 前記転写する工程前記金属ナノワイヤ付支持基材上に堆積された金属ナノワイヤと前記透明フィルム基材との加圧を含む、請求項3又は4に記載の透明導電フィルムの製造方法。
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