以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。図1は、本発明の実施形態に係る救急システムを示す構成図である。図1に示す救急システム1は、操作者が端末10に対して入力する入力内容に基づいて対象者の救急搬送を要するかを判断するものである。このような救急システム1は、パーソナルコンピュータやスマートフォン等の複数の端末10と、サーバ20とから構成されている。さらに、図1に示す救急システム1は、後述するように、対象者について救急搬送を要する場合には、搬送可能な乗物Vを手配したり、対象者の状態に応じた適切な搬送先TDの情報を提供したりする。加えて、救急システム1は、救命機器LSEの情報を提供したり、救命行為を行える人材Hの派遣も行ったりする。
なお、以下では端末10が家庭等に設置されるパーソナルコンピュータである場合を例に説明するが、端末10はパーソナルコンピュータに限られるものではない。また、端末10は、各家庭に限らず、自治体の公共施設などに設置されていてもよい。さらに、端末10がスマートフォン等の携帯端末である場合には、各家庭や公共施設などの場所に限定されることなく、電波受信可能な場所であればどこで用いられてもよい。加えて、以下に示す実施形態において端末10に搭載される一部機能がサーバ20側に搭載されるようになっていてもよい。
図2は、図1に示した端末10の一例を示す構成図であって、(a)は外観を示し、(b)はハード構成を示している。図2(a)に示すように、端末10は、キーボード11やマウス12などの入力手段を備え、入力手段に対する操作を経て対象者の救急搬送を要するかを判断することとなる。図2(b)に示すように、端末10は、入力手段の他、CPU(Central Processing Unit)13と、ディスプレイ14と、通信I/F(interface)部15と、HDD(Hard Disk Drive)16とを備えている。
CPU13は、端末10の全体を制御するものであり、対象者の病態(状態)を判断し、救急搬送を要するかを判断する救急搬送判断機能を備えている。このようなCPU13は、図2(b)に示すようにROM(Read Only Memory)13aとRAM(Random Access Memory)13bとを備えている。ROM13aは、救急搬送判断機能を機能させるための救急搬送判断プログラムが記憶された読み出し専用のメモリである。RAM13bは、各種のデータを格納すると共にCPU13の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。
ディスプレイ14は、キーボード11やマウス12の操作による入力画像を表示したり、救急搬送すべきか否かの結果を表示したりするものである。通信I/F部15は、サーバ20や他の装置と通信するためのインターフェースである。ここで、後述する各記憶部101〜105に記憶される内容は、この通信I/F部15を通じてサーバ20や他の装置から取得されるようになっていてもよい。
HDD16は、パーソナルコンピュータに接続される補助記憶機器である。このHDD16には、ROM13aと同様に、救急搬送判断機能及び病態判断機能を機能させるための救急搬送判断プログラムが記憶されていてもよい。すなわち、CPU13は、HDD16に記憶されるプログラムに従って、救急搬送判断機能を実現するようになっていてもよい。なお、可能であればHDD16に代えて又は加えてUSB等を備えていてもよい。また、HDD16又はUSB等に各記憶部101〜105の記憶内容が格納されていてもよい。
図3は、本実施形態に係る端末10を示すソフト構成図である。図3に示すように、CPU13は、ROM13aやHDD16等に記憶される救急搬送判断プログラムを実行することにより、表示制御部131、症状結果判断部(症状結果判断手段)132、及び、搬送判断部(搬送判断手段)133が機能する。
また、図3に示すように、ROM13aやHDD16は、症状項目記憶部101と、質問内容記憶部(第1記憶手段)102と、選択肢記憶部103と、症状結果テーブル記憶部104と、搬送テーブル記憶部105とを有している。
症状項目記憶部101は、予め定められた複数の症状項目を記憶するものである。図4は、図3に示した症状項目記憶部101の記憶内容を示す概念図である。図4に示すように、症状項目記憶部101には、X個(Xは2以上の整数であって、図4に示す例では少なくとも22以上の整数)の症状項目を記憶している。症状項目とは、対象者に発生している異常を示す項目であり、例えば「熱がある」「咳が出る」「痰が出る」「頭痛がする」「乳房に痛みがある」「関節に痛みがある」「下痢である」「便秘である」「鼻水が出る」「痙攣した」などである。
さらに、症状項目記憶部101は、それぞれの症状項目を属性区分と関連付けて記憶している。ここで、属性区分とは年齢及び性別による区分け(属性情報の区分け)であって、本実施形態では5つの属性区分が設定されている。本実施形態においては、年齢及び性別を示す属性情報をキーボード11やマウス12への操作を通じて端末10に入力できるようになっている。端末10のCPU13は、入力された年齢及び性別から、5つの属性区分のいずれに属するかを判断する。
5つの属性区分は、例えば「0〜11ヶ月(第1区分)」「1歳〜3歳(第2区分)」「4歳〜12歳(第3区分)」「13歳以上男性(第4区分)」「13歳以上女性(第5区分)」からなる。症状項目記憶部101は、それぞれの症状項目を、これら5つの属性区分と対応付けて記憶している。具体的に16個目の症状項目である「頭痛がする」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「○」、「13歳以上男性」について「○」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。同様に17個目の症状項目である「乳房に痛みがある」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「−」、「13歳以上男性」について「−」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。
なお、本実施形態において属性情報とは年齢及び性別の双方を意味するが、これに限らず、年齢又は性別のいずれか一方であってもよい。また、いずれか一方である場合、属性区分が図4に示すものと異なることはいうまでもない。
再度、図3を参照する。質問内容記憶部102は、複数の症状項目のそれぞれに設定された質問内容を記憶したものである。図5は、図3に示した質問内容記憶部102の記憶内容を示す概念図である。図5に示すように、質問内容記憶部102は、図4に示した複数の症状項目のそれぞれに対して定量質問、定性質問及び時間質問の3種類の質問を記憶している。
ここで、定量質問とは量を問う質問である。すなわち、定量質問とは、回数、温度、頻度などの量そのものが回答となる質問であって、例えば「1日の咳の回数は何回か。」「熱は何度か。」などの質問である。
また、時間質問とは時間を問う質問である。すなわち、時間質問とは、何日前や何時頃などの時間(時間、時刻、間隔及び期間を含む)そのものが回答となる質問であって、例えば「熱が出たのは何日前か。」「咳が最もひどくなる時間帯はいつか。」などの質問である。
また、定性質問とは性質を問う質問である。より詳細に定性質問とは、症状の性質を問うものであり、即ち回答が量でも時間でもないものとなる質問である。例えば「乾いた咳か。」「痰は何色か。」などは定性質問である。
なお、各症状項目には、定量質問、定性質問及び時間質問がそれぞれ1又は複数個設定されている。
例えば質問内容記憶部102は、「熱がある」の症状項目に対して、「現在の熱は何度か?」「何度まであがったか?」という2つの定量質問を記憶している。また、質問内容記憶部102は、「熱がある」の症状項目に対して、「明け方に熱は下がるか?」という1つの定性質問、及び、「熱が出始めたのかいつか?」という1つの時間質問を記憶している。質問内容記憶部102は、他の症状項目についても同様に、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問を記憶している。
再度、図3を参照する。選択肢記憶部103は、複数の症状項目それぞれの定量質問、定性質問、及び時間質問に対する回答を選択させるための選択肢を記憶している。また、選択肢記憶部103は、属性区分に応じた選択肢を記憶している。
図6及び図7は、図3に示した選択肢記憶部103の記憶内容の一例を示す概念図であり、図6は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢の例を示し、図7は属性区分が12歳以下であるときの選択肢の例を示している。なお、図6及び図7に示す例では第1〜第3区分で共通の選択肢となっており、且つ、第4及び第5区分で共通の選択肢となっているが、これに限らず、選択肢記憶部103は、属性区分それぞれにおいて異なる選択肢を記憶しておいてもよい。
図6に示すように、選択肢記憶部103は、属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上37.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「37.5℃以上38.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「38.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
同様に、選択肢記憶部103は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶している。
また、図7に示すように、選択肢記憶部103は、属性区分が12歳以下であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上38.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「38.5℃以上39.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「39.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
同様に、選択肢記憶部103は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶し、「呼吸自体が困難となる」を第3選択肢として記憶している。
再度図3を参照する。症状結果テーブル記憶部104は、症状ごとの結果を判断するための症状結果テーブルを記憶したものである。この症状結果テーブルは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢と、症状毎の結果との対応関係を記憶したものである。症状結果テーブル記憶部104は、選択肢記憶部103と同様に、属性区分に応じた対応関係の症状結果テーブルを記憶している。
図8及び図9は、図3に示した症状結果テーブル記憶部104の記憶内容の一例を示す概念図であり、図8は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの症状結果テーブルの例を示し、図9は属性区分が12歳以下であるときの症状結果テーブルの例を示している。なお、図8及び図9に示す例では第1〜第3区分で共通の症状結果テーブルとなっており、且つ、第4及び第5区分で共通の症状結果テーブルとなっているが、これに限らず、症状結果テーブル記憶部104は、属性区分それぞれにおいて異なる症状結果テーブルを記憶しておいてもよい。また、図8及び図9では1つの症状項目(例えば「熱がある」)についての症状結果テーブルを示しているが、症状結果テーブルは1つに限らず、症状項目それぞれに対して症状結果テーブル記憶部104が症状結果テーブルを記憶している。
まず、上記したように、「熱がある」の症状項目については、2つの定量質問と、1つの定性質問と、1つの時間質問とが設定されていた。また、2つの定量質問と1つの時間質問とには、それぞれ3つの選択肢が設けられ、1つの定性質問には2つの選択肢が設けられていた。
このため、回答パターンについては、3×3×2×3=54パターンが存在することとなる。症状結果テーブル記憶部104は、54の回答パターンに対する結果(A1〜A54)を対応付けて記憶している。具体的に属性区分が13歳以上の男性及び女性であるとき、図8に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢(図中においては「1」と記載)であった場合については、結果「A1」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A3」が対応付けて記憶されている。
なお、結果「A1」から「A54」のそれぞれは、異なる内容であってもよいし、一部共通する内容のものがあってもよい。また、結果「A1」から「A54」のそれぞれには、病態の情報として、重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)などの情報を含むものとなっている。
また、属性区分が12歳以下であるとき、図9に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢であった場合については、例えば結果「A4」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A5」が対応付けて記憶されている。
このように、同じ選択肢が回答選択された場合であっても、属性区分によっては結果が異なることがある(もちろん同じときもある)。
再度図3を参照する。搬送テーブル記憶部105は、症状毎の結果に応じて、患者の搬送を要するか否かを示す搬送テーブルを記憶するものである。図10は、図3に示した搬送テーブル記憶部105に記憶される搬送テーブルの一例を示す概念図であり、(a)は第1テーブルを示し、(b)は第2テーブルを示し、(c)は第3テーブルを示している。
図10(a)に示すように、搬送テーブルは、症状毎の結果と搬送必要性の情報とを対応させたものであり、例えば結果「A1」等について搬送必要性「○(すなわち搬送すべき)」と割り当てられており、結果「A2」「A54」等について搬送必要性「×(すなわち搬送しなくてよい)」と割り当てられている。また、図10(b)に示すように、「咳が出る」の結果B1〜B44のそれぞれについても搬送必要性「○」「×」の情報が割り当てられている。
さらには、図10(c)に示すように、搬送テーブルは、症状毎の結果の組み合わせと搬送必要性の情報とを対応させたものであり、特に、図10(a)及び(b)に示す搬送必要性「×」同士の結果の組み合わせと、搬送必要性の情報とを対応させている。すなわち、結果「A2」と結果「B3」とは共に搬送必要性が「×」である。しかし、結果「A2」のみである場合、及び、結果「B3」のみである場合においては、搬送の必要性が無くとも、結果「A2」と結果「B3」との組み合わせである場合には、搬送を要することがある。よって、図10(c)に示す搬送テーブルは、個々では「×」となる結果同士の組み合わせ(例えば結果「A2,B3」等)について搬送必要性「○」「×」をそれぞれと割り当てている。
なお、図10では、搬送テーブルとして3つのテーブルを例示したが、テーブルは3つに限らない。すなわち、搬送テーブル記憶部105は、図10(a)及び(b)に相当するテーブルを、症状の数だけ記憶している。同様に、搬送テーブル記憶部105は、図10(c)に相当するテーブルを、症状の組み合わせの数だけ記憶している。
さらに、図10に示す例において搬送テーブル記憶部105は、搬送必要性「○」「×」と記憶しているが、これに限らず、例えば搬送必要性の数値を記憶していてもよい。この場合、数値が所定値以上である場合が搬送必要性「○」に相当する。また、数値を記憶する場合、図10(c)の結果「A2,B1」については、結果「A2」と「B1」との数値を加算すればよいため、図10(c)に相当するテーブルは不要となる。
再度、図3を参照する。表示制御部131は、ディスプレイ14に表示させる画面内容を制御するものであり、第1表示制御部(第1表示制御手段)131a、第2表示制御部(第2表示制御手段)131b、第3表示制御部131c、及び第4表示制御部131dを備えている。
第3表示制御部131cは、属性情報の入力を促す画面を表示させるものである。図11は、図3に示した第3表示制御部131cにより表示される画面を示す正面図である。図11に示すように、第3表示制御部131cは、生年月日を入力する旨の表示と、生年月日を入力するためのテキストボックス14aと、性別を入力する旨の表示と、性別を入力するためのチェックボックス14bとを表示させる。
操作者は、テキストボックス14aに対して生年月日を入力し、チェックボックス14bへのチェックにより性別を指定することとなる。さらに、操作者が、画面上に表示される「次へ」のボタン14cを指定すると、属性情報が端末10に入力されることとなる。これにより、CPU13は、入力された属性情報から、どの属性区分に該当するかを判断することとなる。
再度、図3を参照する。第1表示制御部131aは、症状項目記憶部101に記憶された複数の設定項目から、1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させるものである。より詳細に、第1表示制御部131aは、入力された属性情報が属する属性区分に応じた症状項目を、症状項目記憶部101に記憶される複数の症状項目から抽出し、抽出した症状項目から1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させる。この結果、図12及び図13のような表示がなされる。
図12及び図13は、症状項目を選択させる画面を示す正面図であり、図12は第1の例を示し、図13は第2の例を示している。
属性区分が「13歳以上女性」である場合、第1表示制御部131aは、図4に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「13歳以上女性」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部131aは、抽出した症状項目に基づいて図12に示すような画面を生成してディスプレイ14に表示させる。このとき、ディスプレイ14には、女性特有の「乳房に痛みがある」という症状項目が表示されている。
また、属性区分が「0〜11ヶ月」である場合、第1表示制御部131aは、図4に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「0〜11ヶ月」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部131aは、抽出した症状項目に基づいて図13に示すような画面を生成してディスプレイ14に表示させる。このとき、ディスプレイ14には、「熱がある」「下痢である」といった保護者が確認することができる症状項目のみが表示されている。
ここで、例えば、1歳未満の乳児の症状項目に「頭痛がする」といったものが含まれていても乳児が頭痛の有無を保護者等に伝えることができず、意味がない症状項目となる。また、男性の症状項目に「乳房に痛みがある」といったものが含まれていても意味がない症状項目となる。このように、図4に示すようなデータに基づいて症状項目を抽出して表示することで、年齢や性別毎に適切な症状項目を操作者に提示させることができる。
さらに、図12及び図13に示すように、表示される症状項目のそれぞれには、これを選択するためのチェックボックス14dが隣接して表示されている。操作者は、該当する症状に応じて、隣接して表示されるチェックボックス14dをチェックすることにより、症状項目を選択することができる。選択後、操作者は、不図示の「次へ」のボタンを指定することにより選択を確定させ、この情報を端末10に認識させることとなる。
再度、図3を参照する。第2表示制御部131bは、第1表示制御部131aにより表示された画面(すなわち図12及び図13に示したような画面)において選択された症状項目に設定された質問内容を、質問内容記憶部102から読み出して順次画面表示させるものである。この際、第2表示制御部131bは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれについて、回答を選択させる選択肢も表示させる。なお、表示される選択肢は、属性区分に応じたものであり、選択肢記憶部103に記憶される選択肢が読み出されて表示させられる。
図14及び図15は、質問内容及び選択肢を表示する画面を示す正面図であり、図14は第1の例を示し、図15は第2の例を示している。なお、図14及び図15に示す例では、「熱がある」の症状項目が選択された場合の画面を示している。
図14に示すように、第2表示制御部131bは、例えば「熱がある」の症状項目の質問内容として、「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」を表示する。
また、第2表示制御部131bは、各質問に対して、属性区分に応じた選択肢を表示させる。図14に示す例では、属性区分が「13歳以上の男性」及び「13歳以上女性」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上37.5℃未満」「37.5℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上」となっている。
また、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」について選択肢は「YES」「NO」となっており、「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は「本日又は昨日」「一昨日前から6日前」「1週間以上前」となっている。
一方、図15に示す例では、属性区分が「0〜11ヶ月」「1〜3歳」及び「4〜12歳」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上39.5℃未満」「39.5℃以上」となっている。すなわち、選択肢の内容が図15に示す例と異なっている。
なお、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」及び「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は図15に示す例と同じとなっている。
さらに、図14及び図15に示すように、各選択肢には、これに隣接してチェックボックス14eが表示されている。操作者は、該当する選択肢に隣接して表示されるチェックボックス14eをチェックすることにより、選択肢を選択することができる。選択後、操作者は、OKボタン14fを指定することにより選択した内容を確定させ、この情報を端末10に認識させることとなる。
また、OKボタン14fが指定された場合には、次の症状項目に対応する質問内容及び選択肢を表示する画面が第2表示制御部131bによって表示される。例えば操作者が「熱がある」と「咳が出る」との2つの症状項目を選択していた場合、まず「熱がある」について質問内容及び選択肢が表示され、OKボタン14fが指定されると、第2表示制御部131bは、次の症状項目である「咳が出る」について質問内容及び選択肢を表示させる。
そして、第2表示制御部131bは、選択していた全ての症状項目について、質問内容及び選択肢を表示し、OKボタン14fが指定されるまで、順次症状項目について質問内容及び選択肢を表示させていく。
ここで、定量質問、定性質問、及び時間質問は、当該症状項目が示す症状のみについて問うものであることが好ましい。すなわち、定量質問、定性質問、及び時間質問は、他の症状項目が示す症状を問う内容を含まないものであることが好ましい。
上記の症状項目の区分けは医学的見地から定められている。例えば、症状項目は、上記のように、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」などと予め定められており、「咳が出る」という症状項目についての質問では、「痰」に関する質問が含まれない。すなわち、咳の項目の質問に「咳に痰が絡むか。」といったものは含まれない。
ここで、痰は通常咳と共に体外へ排出されるものである。このため、例えば予め症状項目として、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳が出る」の症状項目において「咳に痰が絡むか。」という定性質問がされることがある。すなわち、上記の「当該症状のみについて問うもの」とは、既に定められている症状項目の区分けを基本とし、1つの症状項目においては、他の症状項目の内容を問わないということである。よって、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」と症状項目が分けられている場合において「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」とは言えない。一方、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」となる。
なお、装置自体が「痰が出る」を症状項目に設定するか否かは、上記したように医学的見地から定められる。医学は日々進歩することから考えると、例えば「痰が出る」という症状は症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。他の症状についても同様に症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。
再度、図3を参照する。症状結果判断部132は、第2表示制御部131bにより順次表示された画面にて入力された各症状項目の質問内容に対する回答結果に応じて、症状毎の結果を判断するものである。より詳細に症状結果判断部132は、定量質問、定性質問、及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢を、症状結果テーブル記憶部104に記憶される症状結果テーブルに当てはめることで、症状毎の結果を判断する。
ここで、本実施形態において症状結果判断部132は、回答結果を適正に調整のうえ、症状毎の結果を判断することが好ましい。回答結果については、個人差が生じることがある。例えば、「熱がある」の「現在の熱は何度か。」という定量質問に対して、実際は38℃の熱であるにも拘わらず大げさな人は「39.5℃以上」という選択肢を選択することがある。逆に控え目な人は「37.0℃以上38.5℃未満」という選択肢を選択することがある。また、大げさな人や控え目な人などのように意図的に大げさや控え目に選択する人のみならず、苦痛が大きいことに我慢できず大げさに回答したり、単なる勘違いから大げさに回答したりする人もいる。よって、端末10は、このような病名候補の判断対象者毎の傾向を例えば係数として記憶しており、症状結果判断部132は、係数に応じて回答結果を適正に調整する。調整対象は、定量質問の回答結果に限らず、定性質問及び時間質問も該当する。これにより、一層適正に症状毎の結果を判断することができるからである。なお、係数については、例えば医師などにより直接入力されたものが記憶されていてもよいし、過去の本システム1の使用時の回答と実際に罹患していた病名との関係から演算式等により求められて記憶されていてもよい。
搬送判断部133は、症状結果判断部132により判断された症状毎の結果に基づいて、対象者の搬送を要するかを判断するものである。この搬送判断部133は、症状結果判断部132により判断された症状毎の結果を、搬送テーブル記憶部105に記憶される搬送テーブルに当てはめることで、搬送を要するかを判断する。
具体的に症状結果判断部132により判断された症状毎の結果が、結果「A1」及び「B1」であるとする。ここで、図10に示す搬送テーブルにおいて結果「A1」は「○」であり、結果「B1」は「×」である。この場合、搬送判断部133は、「OR」判断をし、搬送を要すると判断する。
また、症状結果判断部132により判断された症状毎の結果が、結果「A2」及び「B3」であるとする。ここで、図10に示す搬送テーブルにおいて結果「A2」は「×」であり、結果「B3」は「×」である。しかし、結果の組み合わせに関する搬送テーブル(図10(c)に示すもの)において、結果「A2,B3」は「○」である。このため、搬送判断部133は、搬送を要すると判断する。
さらに、症状結果判断部132により判断された症状毎の結果が、結果「A2」及び「B1」であるとする。ここで、図10に示す搬送テーブルにおいて結果「A2」は「×」であり、結果「B1」は「×」である。さらに、図10(c)に示す搬送テーブルにおいても、結果「A2,B1」は「×」である。このため、搬送判断部133は、搬送を要しないと判断する。
なお、搬送判断部133は、「○」の個数によって、搬送の緊急度についても判断することができる。例えば、症状項目を5つ選択し、その5つの症状毎の結果が全て「○」であったとする(すなわち「○」の個数が「5」であったとする)。このとき、搬送判断部133は、「○」の個数が「1」〜「4」である場合よりも、一層迅速に対象者を医療機関に搬送すべきであると判断する。搬送テーブル記憶部105が「○」「×」に代えて数値を記憶している場合には、搬送判断部133は、その数値が大きくなるほど、緊急度が高いと判断する。
第4表示制御部131dは、搬送判断部133により判断された搬送の要否を画面表示させるものである。図16は、搬送の要否を画面の一例を示す正面図であって、(a)は搬送を要する場合の画面例を示し、(b)は搬送を要しない場合の画面例を示している。
図16に示すように、第4表示制御部131dは、搬送判断部133により判断された搬送の要否の情報と、搬送の緊急度の情報とを表示する。具体的には図16(a)に示すように、第4表示制御部131dは、「対象者は危険な状態にあります。」という搬送の緊急度の情報を表示すると共に、「すぐに救急車を手配するか、自家用車等により医療機関へ向かって下さい。」という搬送を要する旨の情報(搬送の要否の情報)を表示する。
また、図16(b)に示すように、第4表示制御部131dは、「対象者は緊急を要する状態ではありません。」という搬送の緊急度の情報を表示すると共に、「従いまして、医療機関への救急搬送の必要性はありません。」という搬送を要しない旨の情報(搬送の要否の情報)を表示する。なお、搬送を要しない旨の情報を表示する場合、第4表示制御部131dは、「なお、容体が急変した場合には、再度本装置を使用し、又は本装置を使用することなく、すぐに救急車を手配するなど、適切な対応をお願い致します。」という補足情報についても表示する。
そして、第4表示制御部131dは、終了ボタン14gが指定されるまで、図16に示す画面を表示し続ける。ここで、上記の緊急度については文字ではなく、例えば0〜100までなどの数値にて表示されてもよいし、複数段階の緊急度を示すマーク等の画像であってもよい。
再度図3を参照する。さらに本実施形態において端末10のCPU13は、搬送判断部133により搬送を要すると判断された場合、サーバ20に情報送信する。送信される情報は、1)搬送を要する旨の情報、2)端末10の位置情報、3)症状毎の結果の情報である。端末10の位置情報は、GPSを利用して取得されてもよいし、予め端末10の操作時や操作前等において住所が入力されるようになっており、この住所の情報が取得されてもよい。
次に、サーバ20の構成を説明する。図17は、図1に示したサーバ20の一例を示す機能ブロック図である。図17に示すように、サーバ20は、格納されるプログラムを実行することにより、位置把握部(位置把握手段)21、位置情報取得部(位置情報取得手段)22、乗物派遣部(乗物派遣手段)23、搬送先決定部(搬送先決定手段)24、搬送先情報送信部(搬送先情報送信手段)25、救命機器情報提供部(救命機器情報提供手段)26、人材把握部(人材把握手段)27、及び、位置情報送信部(位置情報送信手段)28が機能する。
また、図17に示すように、サーバ20は、搬送先テーブル記憶部(第2記憶手段)29と、救命機器情報記憶部(第3記憶手段)30とを有している。
搬送先テーブル記憶部29は、各種状態に応じた搬送先を示す搬送先テーブルを記憶したものである。図18は、図17に示した搬送先テーブル記憶部29の記憶内容を示す概念図である。図18に示すように、搬送先テーブル記憶部29は、症状毎の結果及び症状毎の結果の組み合わせと、搬送先TDとなる医療機関とを対応付けて記憶している。対象者の状態によっては、高額な医療機器を使用した高度な医療や、より専門的な医療を必要とする場合がある。また、搬送先テーブル記憶部29は、このような場合に救急搬送の対象者が適切な医療を受けることができるように、各種状態(各種病態)に応じた医療機関の情報を記憶している。
救命機器情報記憶部30は、特定の状態に応じた救命機器LSEと、救命機器LSEの保管位置の情報とを記憶したものである。図19は、図17に示した救命機器情報記憶部30の記憶内容を示す概念図である。図19に示すように、救命機器情報記憶部30は、症状毎の結果及び症状毎の結果の組み合わせ(図19において組み合わせは不図示)と、救命機器(AEDや自動心肺蘇生システムなど)LSEと、救命機器LSEの設置場所とを対応させた救命機器テーブルを記憶している。対象者Tが危険な状態(特定の状態)である場合には、救急搬送を行う前に救命行為を行う必要がある。また、救命行為を行う際に救命機器LSEを要することがある。救命機器情報記憶部30は、このような場合に救命行為を行うことができるように、対象者が特定の状態であるときに必要となる救命機器LSEと、その保管位置の情報とを記憶している。
位置把握部21、位置情報取得部22及び乗物派遣部23は、対象者を救急搬送するために、救急車やタクシー車両等を手配するための機能部である。このうち、位置把握部21は、対象者を搬送する乗物V(救急車やタクシー車両)のうち、搬送可能な状態にあるもの(救急車においては待機状態、タクシー車両においては空車状態など)の現在位置を把握するものである。この位置把握部21は、例えば消防署やタクシー会社等からのデータを受信して、救急車やタクシー車両のうち、待機状態や空車状態等の車両を特定すると共に、特定した車両の位置情報を把握する。なお、位置把握部21は、救急車やタクシー車両のほか、ヘリコプターなどの他の乗物Vを把握するようになっていてもよい。
位置情報取得部22は、端末10から送信される端末10の位置情報を取得するものである。なお、位置情報取得部22は、端末10の位置情報を取得する場合に限らず、入力された対象者の位置情報を取得してもよい。例えば、対象者が端末10から離れた場所におり、端末10の操作者に対して電話を利用して質問の回答を行った場合などには、端末10の位置に乗物Vを派遣しても意味がなく、このような場合には対象者の位置の情報を取得する。対象者の位置情報は、端末10に入力することによって端末10に取得され、その後位置情報取得部22に取得されることとなる。
乗物派遣部23は、搬送判断部133により対象者の搬送を要すると判断された場合に、位置情報取得部22により取得された位置情報が示す位置に、位置把握部21により把握される搬送可能な乗物Vを派遣するものである。特に、乗物派遣部23は、搬送可能な複数の乗物Vのうち、対象者に最も近い乗物Vを派遣する。
図20は、図17に示したサーバ20の各部21〜28の動作を説明するための概念図である。図20に示すように、例えば対象者Tが星マークに示す位置にいるものとする。そして、対象者Tと行動を共にしていた者(すなわち操作者)が端末10(この場合はタブレット端末やスマートフォン等)を操作して、搬送判断部133により対象者Tの搬送を要すると判断されたとする。この場合、乗物派遣部23は、例えば、搬送可能な複数の乗物V1〜V3のうち、対象者Tに最も近い乗物V3を派遣すると決定する。そして、乗物派遣部23は、乗物V3であるタクシー車両のナビゲーション装置や運転者のスマートフォンに、対象者Tの位置情報(好ましくは経路情報)を送信する。これにより、乗物V3が派遣される。
再度、図17を参照する。搬送先決定部24及び搬送先情報送信部25は、搬送先テーブル記憶部29の記憶内容に従って、対象者Tを適切な搬送先(主として医療機関)に搬送するための機能部である。搬送先決定部24は、搬送判断部133により対象者Tの搬送を要すると判断された場合に、症状結果判断部132により判断された症状毎の結果に基づいて、搬送先テーブル記憶部29により記憶される搬送先から、対象者Tの状態に応じた搬送先を決定するものである。症状毎の結果については、上記したように端末10から送信される。
搬送先情報送信部25は、搬送先決定部24により決定された搬送先の情報(医療機関名や医療機関までの経路など)を、乗物派遣部23により派遣される乗物Vに搭載される機器(例えばナビゲーション装置)又はその乗物Vの乗員が保有する機器(例えばスマートフォン)に送信する。
図20を参照する。図20に示す例において対象者Tには乗物V3が派遣されている。このような場合において近隣には2つの医療機関TD1,TD2が存在する。このうち、第1医療機関TD1は対象者Tに近いものの、対象者Tの状態に適した医療機関でなく、第1医療機関TD1よりも遠い第2医療機関TD2が対象者Tの状態に適した医療機関であるとする。この場合において搬送先決定部24は、症状毎の結果を搬送先テーブルに当てはめて、第2医療機関TD2に搬送すると決定する。なお、適切な医療機関が複数ある場合には最も近い医療機関に決定されることはいうまでもない。次いで、搬送先情報送信部25は、乗物V3であるタクシー車両のナビゲーション装置や運転者のスマートフォンに第2医療機関TD2の名称や経路の情報を送信する。
なお、乗物派遣部23及び搬送先決定部24は、対象者T(端末10)の位置と、乗物Vの派遣と、対象者Tの搬送先とを利用した最小面積法(3箇所内の面積が最小となる方法)により、派遣する乗物Vと搬送先とを決定するようにすることがより好ましい。
救命機器情報提供部26は、端末10に対して救命機器LSEの情報を提供するための機能部である。この救命機器情報提供部26は、症状結果判断部132により判断された症状毎の結果に基づいて、対象者Tが特定の状態に該当するかを判断する。すなわち、救命機器情報提供部26は、症状毎の結果が、図19に示すように救命機器LSEと対応付けられる結果に該当するかを判断する。また、救命機器情報提供部26は、特定の状態に該当すると判断した場合、救命機器情報記憶部30により記憶される救命機器LSEの保管位置の情報に基づいて、位置情報取得部22により取得された位置情報が示す位置に最も近い救命機器LSEの情報(位置情報や経路情報)を端末10に提供するものである。
図20を参照する。図20に示す例においては、対象者Tを医療機関TD2に搬送するべく乗物V3が派遣されている。しかし、対象者Tが危険な状態(特定の状態)である場合には、救急搬送を行う前に救命機器LSEを利用した救命行為を行う必要がある。このため、最も近い救命機器LSEの情報(位置情報や経路情報)を端末10に提供する。図20に示す例において、第1及び第2医療機関TD1,TD2のそれぞれに救命機器LSE1,LSE2が設置され、駅にも救命機器LSE3が設置されている。救命機器情報提供部26は、上記の救命機器LSE1〜LSE3のうち、対象者Tから最も近い救命機器LSE1の情報を端末10に提供する。
なお、救命機器LSE1については、医療従事者や搬送機器(例えばドローンなどの無人航空機)によって対象者T(端末10)の位置に搬送されるようになっていることが好ましい。
また、救命機器LSEを使用する必要があるときとは、より緊急性が高い場合であることから、端末10は、対象者Tが特定の状態であることを入力可能となっている(例えば心配停止状態であることを示すボタン操作等が可能となっている)ことが好ましい。この操作があった場合、端末10は、特定の状態である旨の情報と、端末10の位置情報をサーバ20に送信する。これを受けて、救命機器情報提供部26は、救命機器LSEの情報を端末10に送信することとなる。
人材把握部27及び位置情報送信部28は、救命行為を行うことができる人材Hを派遣するための機能部である。なお、救命行為を行うことができる人材Hは、医師や救急救命士などの専門家に限られるものではなく、例えば予め救命行為の習熟度を測定するソフトウェアにより所定以上の習熟度を有すると判断された者であってもよい。すなわち、心臓マッサージや人工呼吸などの救命行為を練習するための練習用アプリにおいて所定以上評価を得たものであってもよい。
人材把握部27は、特定の状態に応じた救命行為(例えば心配停止状態においては人工呼吸と心臓マッサージ)を行うことができる人材Hの携帯端末の現在位置を把握するものである。この人材把握部27は、人材Hの携帯端末から定期的に位置情報を受信することで、人材Hの携帯端末の現在位置を把握する。
位置情報送信部28は、症状結果判断部132により判断された症状毎の結果に基づき、救命機器情報提供部26と同様に、対象者Tが特定の状態に該当するかを判断する。また、位置情報送信部28は、対象者Tが特定の状態に該当すると判断した場合、位置情報取得部22により取得された位置情報(対象者Tや端末10の位置情報)と人材把握部27により把握される携帯端末の現在位置とに基づいて、例えば最も近い位置の携帯端末(特定の携帯端末)や1番目からY番目(Yは2以上の整数)に近い位置の携帯端末(特定の携帯端末)に対して位置情報取得部22により取得された位置情報を送信する。これにより、例えば最も近い位置に居る人材Hに対して、対象者Tや端末10の位置を知らせることができる。
図20を参照する。図20に示す例においては、対象者Tを医療機関TD2に搬送するべく乗物V3が派遣されている。しかし、対象者Tが危険な状態(特定の状態)である場合には、救急搬送を行う前に救命行為を行う必要がある。このため、最も近い救命行為を行うことができる人材Hに、端末10等の位置情報を提供する。図20に示す例において、近隣には3人の人材H1〜H3が存在する。位置情報送信部28は、3人の人材H1〜H3のうち、例えば最も近い人材H3の携帯端末に対して、対象者Tや端末10の位置情報を送信する。
なお、上記と同様に、救命行為の必要があるときとは、より緊急性が高い場合であることから、端末10は、対象者Tについて特定の状態であることが直接入力可能となっていることが好ましい。この場合、端末10から特定の状態である旨の情報と、端末10の位置情報とが送信され、位置情報送信部28は、人材Hが保有する特定の携帯端末に対して端末10の位置情報を送信することとなる。
次に、本実施形態に係る救急システム1の動作を説明する。図21及び図22は、本実施形態に係る救急システム1を構成する端末10の動作の一例を示すフローチャートであり、図21は前半部分を示し、図22は後半部分を示している。
図21に示すように、まず第3表示制御部131cは、属性情報の入力画面を表示させる(S1)。このとき、第3表示制御部131cは、例えば図11に示すような画面を表示させる。そして、CPU13は、属性情報が入力されたかを判断する(S2)。図11に示す例の場合、CPU13は、テキストボックス14aに生年月日が入力され、チェックボックス14bにチェックがされた状態で、「次へ」のボタン14cが指定されたかを判断することとなる。
属性情報が入力されていないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS1に移行する。一方、属性情報が入力されたと判断した場合(S2:YES)、第1表示制御部131aは、症状項目の選択画面を表示させる(S3)。この際、第1表示制御部131aは、例えば図12及び図13に示すように、属性区分に応じた症状項目の選択画面を表示させる。
その後、CPU13は、症状項目が選択されたかを判断する(S4)。図12及び図13に示す例の場合、CPU13は、症状項目に隣接配置される各チェックボックス14dのうち、いずれか1つ以上がチェックされて、不図示の「次へ」のボタンが指定されたかを判断することとなる。
次いで、CPU13は、ステップS3において表示した複数の症状項目のうち、選択された数をimaxとする(S5)。すなわち、図12及び図13に示す例の場合、CPU13は、チェックされたチェックボックス14dの数をimaxとする。その後、CPU13は、変数iを「1」に初期化する(S6)。
次に、第2表示制御部131bは、i個目の症状項目の質問及び選択肢を読み込み(S7)、読み込んだデータに基づいて質問・選択肢画面を表示させる(S8)。この際、第2表示制御部131bは、例えば図14及び図15に示すように、属性区分に応じた選択肢を含む画面を表示させる。
その後、CPU13は、回答があったかを判断する(S9)。図14及び図15に示す例の場合、CPU13は、質問それぞれについて、選択肢に隣接するチェックボックス14eのいずれか1つがチェックされた状態で、OKボタン14fが指定されたかを判断することとなる。
回答がなかったと判断した場合(S9:NO)、回答があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、回答があったと判断した場合(S9:YES)、症状結果判断部132は、回答調整を行う(図22:S10)。この回答調整は、上記したように大げさに回答する人や控え目に回答する人などの傾向に基づいて行われるものであり、例えばこのような傾向を反映した係数に基づいて調整される。なお、今回処理を行っている病名候補の判断対象者に対して係数が記憶されていない場合には、回答調整処理は実行されず、処理はステップS11に移行する。
そして、症状結果判断部132は、(調整済みの)回答に基づいて、その症状の結果を判断する(S11)。この際、症状結果判断部132は、属性区分に応じたi個目の症状項目の症状結果テーブルを読み出し、選択された選択肢をテーブルに当てはめて、その症状の結果を判断する。
次に、CPU13は、変数iがimaxであるかを判断する(S12)。変数iがimaxでないと判断した場合(S12:NO)、CPU13は、変数iをインクリメントし(S13)、処理は図22に示したステップS7に移行する。すなわち、変数iが「1」加算され、加算後の個数目の症状項目について質問と選択肢とが読み込まれることとなる。
一方、変数iがimaxであると判断した場合(S12:YES)、搬送判断部133は、ステップS11にて判断された症状毎の結果を、搬送テーブル記憶部105に記憶される搬送テーブルに当てはめることで、搬送を要するかを判断する(S14)。
搬送を要しないと判断した場合(S14:NO)、第4表示制御部131dは、搬送を要しない旨の画像を表示する(S15)。例えば第4表示制御部131dは、図16(b)に示すような画像を表示することとなる。そして、図16(b)に示す終了ボタン14gが指定されると、図21及び図22に示す処理は終了する。
一方、搬送を要すると判断した場合(S14:YES)、第4表示制御部131dは、搬送する旨の画像を表示する(S16)。例えば第4表示制御部131dは、図16(a)に示すような画像を表示することとなる。
次に、CPU13は、1)搬送を要する旨の情報、2)端末10の位置情報、3)症状毎の結果の情報等をサーバ20に送信する(S17)。その後、図16(a)に示す終了ボタン14gが指定されると、図21及び図22に示す処理は終了する。
図23は、本実施形態に係る救急システム1を構成するサーバ20の動作の一例を示すフローチャートである。図23に示すように、まずサーバ20は、1)搬送を要する旨の情報、2)端末10の位置情報、3)症状毎の結果の情報等を受信したかを判断する(S21)。受信していないと判断した場合(S21:NO)、受信したと判断されるまで、この処理が繰り返される。
一方、受信したと判断した場合(S21:YES)、位置情報取得部22は、端末10の位置情報を取得する(S22)。次いで、乗物派遣部23は、位置把握部21により把握される搬送可能な乗物Vから派遣する乗物Vを決定すると共に、搬送先決定部24は、対象者Tの症状毎の結果と搬送先テーブルとに基づいて搬送先を決定する(S23)。
次いで、乗物派遣部23は、派遣する乗物Vのナビゲーション装置に対して、端末10の位置情報(さらに好ましくは端末位置までの経路情報)を送信する(S24)。さらに、搬送先情報送信部25は、派遣する乗物Vのナビゲーション装置に対して、搬送先TDとなる医療機関名の情報(さらに好ましくは医療機関までの経路情報)を送信する(S24)。
その後、救命機器情報提供部26及び位置情報送信部28は、受信した症状毎の結果に基づいて、対象者Tが特定の状態であるかを判断する(S25)。すなわち、症状毎の結果が、図19に示すように救命機器と対応付けられる結果に該当するかを判断する。該当しないと判断した場合(S25:NO)、図23に示す処理は終了する。
一方、該当すると判断した場合(S25:YES)、救命機器情報提供部26は、端末10の位置に最も近い救命機器LSEを決定し、その救命機器LSEの位置情報や救命機器LSEまでの経路情報を端末10に送信する(S26)。
次に、位置情報送信部28は、人材把握部27により把握される人材Hの携帯端末のうち、情報の送信対象となる携帯端末を決定し、その携帯端末に端末10の位置情報を送信する(S27)。その後、図23に示す処理は終了する。
このようにして、本実施形態に係る救急システム1によれば、質問内容は、症状項目が示す症状について、量を問う定量質問と、性質を問う定性質問と、時間を問う時間質問とからなる。ここで、本件発明者は、医学的見地に基づいて、定量的、定性的、及び時間的の3つの観点から、症状そのものの重篤度等を判断し、これを統合することで対象者Tの状態を適切に判断できることを見出した。よって、3つの観点の質問の回答を入力させることで、症状の結果(重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)などの対象者Tの状態)をより正確に判断できることから、対象者Tの状態に応じて対象者Tの搬送を要するかをより適切に判断することとなり、対象者Tの搬送の必要性についてより的確に判断することができる。
また、対象者Tを搬送可能な状態にある乗物Vの現在位置の情報を把握し、対象者Tの搬送を要すると判断された場合に搬送可能な乗物Vを派遣するため、救急車等を呼ぶために電話するなどの行為を省略することができる。
また、搬送先テーブル内の搬送先TDから対象者Tの状態に応じた搬送先TDを決定し、搬送先TDの情報を派遣される乗物Vに搭載される機器又は当該乗物Vの乗員が保有する機器に送信するため、対象者Tの状態に応じた適切な搬送先TDが事前に決定されることとなり、搬送のスムーズ化を図ることができる。
また、対象者Tが特定の状態に該当する場合、最も近い救命機器LSEの情報を提供するため、救急車等を手配しつつも緊急を要する場合には、救命機器LSEの位置情報や救命機器LSEを取りに行くまでの経路情報等を取得することができ、より一層緊急性が高い場合にも対応することができる。
また、救命行為を行うことができる人材Hが保有する携帯端末のうち、特定の携帯端末に対して対象者Tに関する位置情報を送信するため、救急車等を手配しつつも緊急を要する場合において、例えば救命行為ができる人材Hが近くにいるときには人材Hを迅速に派遣することで、より一層緊急性が高い場合にも対応することができる。
また、定量質問、定性質問、及び時間質問は、当該症状項目が示す症状のみについて問うものである。ここで、本件発明者は、さらに、一般に医者による誤診が、問診時に、先入観から或る症状とその症状と関連がある症状とに対して同時的な質問をしてしまうことによって発生し易くなることを見出した。よって、各質問は、当該症状のみについて問うものであり、他の症状項目が示す症状を問う内容を含まないことが好ましいといえる。このような質問とすることで、一層正確に症状毎の結果を判断でき、対象者Tの状態をより精度良く判断することにつなげることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
例えば、本実施形態に係る端末10は、パーソナルコンピュータ1台により実現されているが、これに限らず、複数台のコンピュータをネットワーク接続して実現されてもよいし、演算自体はサーバ20が行い、端末10は操作者から操作を受け付けると共にサーバ20から送信される画面を表示する程度の機能のものであってもよい。すなわち、救急システム1を実現できるのであれば、上記した各種機能は、種々のコンピュータに搭載されていてもよい。
また、本実施形態において救急システム1を機能させるためのプログラムは、端末10やサーバ20内のROM、HDD、USB、及び他の装置の記録媒体に限らず、CD−ROM、CD−Rなどの他の種類の記録媒体に格納されていてもよい。
さらに、本実施形態に係る救急システム1において属性情報は年齢及び性別の双方に限らず、いずれか一方であってもよい。また、属性情報の入力を要せず、全年齢及び性別に対応するように構築してもよい。
さらに、本実施形態において症状項目は少なくとも2つ以上選択されなければエラーとなりそれ以降の処理が実行されないようになっていてもよい。
また、上記実施形態において定量質問、定性質問及び時間質問の内容は、属性区分間で共通のものとしているが、これに限らず、属性区分に応じて異なるものとすることが好ましい。