JP6955463B2 - 不動産事業計画支援装置、プログラム、及び、方法 - Google Patents

不動産事業計画支援装置、プログラム、及び、方法 Download PDF

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Description

本発明は、集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案を支援する不動産事業計画支援装置に関する。さらに、本発明は、そのような不動産事業計画支援装置において用いられる不動産事業計画支援プログラム、及び、不動産事業計画支援装置を備える不動産事業計画支援システムにおいて実施される不動産事業計画支援方法等に関する。
例えば、土地を所有しているオーナーが、自らが所有する土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業を行うことを検討している場合に、その事業計画を立案するためには、集合住宅の建築に要する費用、賃貸物件の賃料の相場や稼働率、及び、運営諸経費に関する高度な専門的知識が要求される。そこで、コンピューターを利用することにより、土地や建物等の不動産に関してある程度の知識があれば、事業計画を立案してプレゼンテーションできるような不動産事業計画支援システムを構築することが望まれている。
関連する技術として、特許文献1には、不動産業者及び一般投資家に、価格形成要因の分析及び投資適格度データの蓄積による統計的な手法と、実際のマーケットで競合する物件とを対比する現実的な手法とを組み合わせることにより、不動産の投資適格度、市場賃料及びキャップレート、並びに、不動産を裏付資産として発行される証券の投資利回りを提示して、不動産投資に関する判断を支援するシステムが開示されている。
この不動産投資判断支援システムは、電子データ化したオフィスビルの賃料モデルを用いて、対象ビルの賃料を含む賃貸条件を、競合ビルのビル属性及び賃貸条件と対比比較し、推計により対象ビルのビル属性に応じた賃料を含む賃貸条件をコンピューターにより算出する賃料算定手段を含んでいる。
特開2002−56192号公報(段落0009−0010、図1)
特許文献1によれば、オフィスビルを賃貸運営する場合に、対象ビルの賃料を含む賃貸条件をコンピューターにより算出することができるが、集合住宅を建築して賃貸運営するために必要な情報を得ることはできない。また、価格形成要因の分析及び投資適格度データの蓄積による統計的な手法を用いるにしても、蓄積されたデータのばらつきが大きい場合には、信頼性の高い賃貸条件を得ることができず、実際のマーケットにおける賃貸条件との間に大きな誤差を生じるおそれがある。
そこで、上記の点に鑑み、本発明の第1の目的は、指定された土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案に必要な推計結果データを生成することにより、事業計画の立案を支援することができる不動産事業計画支援装置を提供することである。また、本発明の第2の目的は、そのような不動産事業計画支援装置において、生成される推計結果データの信頼性を向上させることである。
さらに、本発明の第3の目的は、そのような不動産事業計画支援装置において用いられる不動産事業計画支援プログラム、及び、不動産事業計画支援装置を備える不動産事業計画支援システムにおいて実施される不動産事業計画支援方法等を提供することである。
以上の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第1の観点に係る不動産事業計画支援装置は、集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案を支援する不動産事業計画支援装置であって、集合住宅を建築して賃貸運営するための土地を指定する情報を含む不動産情報をクライアント端末から受信するネットワーク接続部と、集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データ、賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データ、及び、賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データを格納する格納部と、前記第1の実績データに基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の建築費を算出し、前記第2の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出し、前記第3の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営するために必要となる支出額を算出し、算出された建築費、収入額、及び、支出額に基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に前記集合住宅を建築して賃貸運営する場合の収支額を算出する推計結果算出部とを備え、算出された収支額を表す収支額データを含む推計結果データを生成して前記クライアント端末に送信する。ここで、推計結果算出部が、建築費、収入額、及び、支出額を算出する際に、前記第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つについて統計分析を行い、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させることが望ましい。
本発明の第2の観点に係る不動産事業計画支援プログラムは、集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案を支援するために用いられる不動産事業計画支援プログラムであって、集合住宅を建築して賃貸運営するための土地を指定する情報を含む不動産情報をクライアント端末から受信する手順(a)と、集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データに基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の建築費を算出する手順(b)と、賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出する手順(c)と、賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営するために必要となる支出額を算出する手順(d)と、算出された建築費、収入額、及び、支出額に基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に前記集合住宅を建築して賃貸運営する場合の収支額を算出する手順(e)と、算出された収支額を表す収支額データを含む推計結果データを生成して前記クライアント端末に送信する手順(f)とをCPUに実行させる。ここで、手順(b)〜(d)において、前記第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つについて統計分析を行い、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させることが望ましい。
本発明の第3の観点に係る不動産事業計画支援方法は、集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案を支援する不動産事業計画支援方法であって、集合住宅を建築して賃貸運営するための土地を指定する情報を含む不動産情報をクライアント端末から受信するステップ(a)と、前記不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の基本計画を立案するステップ(b)と、集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データに基づいて、基本計画が立案された集合住宅の建築費を算出するステップ(c)と、賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出するステップ(d)と、賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営するために必要となる支出額を算出するステップ(e)と、算出された建築費、収入額、及び、支出額に基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に前記集合住宅を建築して賃貸運営する場合の収支額を算出するステップ(f)と、算出された収支額を表す収支額データを含む推計結果データを生成して前記クライアント端末に送信するステップ(g)とを備える。ここで、ステップ(c)〜(e)において、前記第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つについて統計分析を行い、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させることを含むことが望ましい。
本発明の第1〜第3の観点によれば、集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データ、賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データ、及び、賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データを活用して、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案に必要な推計結果データを生成することにより、事業計画の立案を支援することができる。その際に、第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つについて統計分析を行い、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させて、生成される推計結果データの信頼性を向上させることも可能である。
本発明の一実施形態に係る不動産事業計画支援システムの構成例を示す図。 図1に示す不動産事業計画支援サーバーの構成例を示すブロック図。 本発明の一実施形態に係る不動産事業計画支援方法を示すフローチャート。 建築費の試算結果と過去の実績との比率の分布例を示す図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
<不動産事業計画支援システム>
図1は、本発明の一実施形態に係る不動産事業計画支援システムの構成例を示す図である。この不動産事業計画支援システムは、不動産事業計画支援装置10と、設計支援サーバー20と、管理サーバー31〜34とを含み、業務サーバー41〜44及び少なくとも1つのクライアント端末50と連携して動作する。
クライアント端末50としては、インターネット等のネットワークに接続可能なパーソナルコンピューター又はタブレット端末等を使用することができる。例えば、土地を所有しているオーナーが、その土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業を行うことを検討している場合に、土地や建物等の不動産に関してある程度の知識を有する者(例えば、宅地建物取引士の資格を有する者)が、ユーザーとしてクライアント端末50を操作することにより、不動産事業計画支援システムを利用することができる。
<不動産事業計画支援装置>
不動産事業計画支援装置10は、集合住宅を建築して賃貸運営するための土地を指定する情報(以下においては、「土地指定情報」ともいう)を含む不動産情報をクライアント端末50から受信すると、不動産情報に基づいて各種のデータ処理を行う。それにより、不動産事業計画支援装置10は、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案に用いられる情報を生成して、クライアント端末50に送信する。
不動産事業計画支援装置10は、不動産事業計画支援システムを運営する企業のデータセンターに設置されても良いし、クラウドサービスプロバイダーのデータセンターに設置されても良い。後者の場合には、不動産事業計画支援装置10が、パブリッククラウド環境に構築される。
図1に示すように、不動産事業計画支援装置10は、ウェブサイト運用サーバー11と、APIサーバー12と、不動産事業計画支援サーバー13とを含んでいる。ウェブサイト運用サーバー11〜不動産事業計画支援サーバー13は、LAN(ローカルエリアネットワーク)等で互いに接続されて連携して動作する。
ここで、ウェブサイト運用サーバー11及びAPIサーバー12は、インターネット等のネットワークを介して、設計支援サーバー20、管理サーバー31〜34、及び、クライアント端末50との間の接続処理を行うネットワーク接続部を構成している。ネットワーク接続部は、不動産情報をクライアント端末50から受信したり、不動産事業計画支援サーバー13によって生成された推計結果データをクライアント端末50に送信したりすることができる。
ウェブサイト運用サーバー11は、ユーザーが不動産事業計画支援システムを利用するための不動産事業計画支援サイトを運用する。例えば、ウェブサイト運用サーバー11は、HTTP(ハイパーテキスト・トランスファープロトコル)部等を含み、ユーザーが不動産事業計画支援システムを利用するためのウェブページを、HTML(ハイパーテキスト・マークアップランゲージ)ファイル等の形式で提供する。
APIサーバー12は、例えば、TCP/IP(トランスポート制御プロトコル/インターネットプロトコル)制御部等を含み、インターネット等のネットワークを介して、設計支援サーバー20及び管理サーバー31〜34との間でデータの受け渡しを行う。このデータの受け渡しは、複数のソフトウェアコンポーネントが互いにやりとりするために使用されるインターフェースの仕様であるAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)に従って行われる。
APIサーバー12は、ウェブサイト運用サーバー11が運用する不動産事業計画支援サイトのためにアプリケーションソフトウェアを実行する。それにより、APIサーバー12は、クライアント端末50から受信された不動産情報に含まれている土地指定情報を管理サーバー31〜34に送信して、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築するために必要なデータを管理サーバー31〜34から取得することができる。また、APIサーバー12は、管理サーバー31〜34から取得されたデータを設計支援サーバー20に送信して、不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の基本計画の立案を行わせることができる。
<設計支援サーバー>
設計支援サーバー20は、管理サーバー31〜34と連携して集合住宅の基本計画を立案するサーバーであり、住宅設計エンジンと、住宅設計エンジンによって生成された設計データを格納する格納部とを備えている。設計支援サーバー20は、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築するために必要なデータが供給されると、その土地に建築可能な集合住宅の基本計画を立案する。
<管理サーバー>
管理サーバー31は、地図データベース(DB)を管理する地図データ管理サーバーであり、地図データベースを含む格納部を備えている。地図データベースは、土地を特定する情報、例えば、土地の地番を表す地番データ、土地の住所(住居表示)を表す住所データ、又は、土地の緯度及び経度を表す位置データに対応して、その土地を含む地図を表す画像データを格納している。
管理サーバー32は、建築条件データベース(DB)を管理する建築条件データ管理サーバーであり、建築条件データベースを含む格納部を備えている。建築条件データベースは、土地を特定する情報、例えば、地番データに対応して、その土地に設定されている用途地域、建蔽率、及び、容積率を含む建築条件を表す建築条件データ(都市計画データ)を格納している。
管理サーバー33は、敷地座標データベース(DB)を管理する敷地座標データ管理サーバーであり、敷地座標データベースを含む格納部を備えている。敷地座標データベースは、土地を特定する情報、例えば、地番データに対応して、その土地の形状及び方位を表す敷地座標データを格納している。
管理サーバー34は、地盤データベース(DB)を管理する地盤データ管理サーバーであり、地盤データベースを含む格納部を備えている。地盤データベースは、土地を特定する情報、例えば、地番データに対応して、地層の深度や地下水の水位に関する地盤データを格納している。地盤データは、不動産情報によって指定された土地に杭を打ち込む際の施工費用等を算出する際に用いられる。
<不動産事業計画支援サーバー>
図2は、図1に示す不動産事業計画支援サーバーの構成例を示すブロック図である。図2に示すように、不動産事業計画支援サーバー13は、操作部101と、表示部102と、インターフェース110と、ネットワークインターフェース120と、CPU(中央演算装置)130と、格納部134と、メモリー140とを含んでいる。インターフェース110〜メモリー140は、バスラインを介して互いに接続されている。なお、ウェブサイト運用サーバー11、APIサーバー12、設計支援サーバー20、管理サーバー31〜34、及び、業務サーバー41〜44の構成も、上記と同様でも良い。
操作部101は、キーボードやマウス等を含み、各種の命令やデータを入力するために用いられる。表示部102は、LCDディスプレイ等を含み、操作画面等の画像を表示する。インターフェース110は、操作部101及び表示部102に接続されており、操作部101を用いて入力される各種の命令やデータをCPU130等に供給し、CPU130によって生成される画像データを表示部102に供給する。ネットワークインターフェース120は、CPU130をLANやインターネット等のネットワーク又は専用回線に接続する。
格納部134は、加工前データベース134aと、加工後データベース134bと、推計結果データベース134cと、ユーザーデータベース134dとを含み、各種のデータやテーブル、及び、CPU130に各種の手順を実行させるためのソフトウェア等を格納する。格納部134における記録媒体としては、内蔵のハードディスク、外付けハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、CD−ROM、DVD−ROM、又は、各種のメモリー等を用いることができる。
CPU130は、格納部134に格納されているソフトウェアに従って、各種の演算やデータ処理を行う。メモリー140は、インターフェース110から供給される各種の命令やデータ、ネットワークインターフェース120から供給されるデータ、又は、CPU130によって算出又は処理されるデータ等を一時的に記憶する。
CPU130と格納部134に格納されているソフトウェア(不動産事業計画支援プログラムを含む)とによって、データ取り込み部131と、データ加工部132と、推計結果算出部133とが、機能ブロックとして構成される。データ取り込み部131は、専用回線又はネットワークを介して業務サーバー41〜44(図1)に接続されており、業務サーバー41〜44から各種のデータを取り込こむことができる。
<業務サーバー>
図1に示す業務サーバー41は、賃貸集合住宅の企画提案、設計、及び、建築に関する業務に用いられるサーバーであり、複数の集合住宅の企画提案時点での建築費の概算値等に関する建築費概算データ(Kデータ)を格納する格納部を備えている。
業務サーバー42は、賃貸物件の入居者募集に関する業務に用いられるサーバーであり、賃貸物件検索サイトを利用して入居募集が行われた複数の賃貸物件の募集賃料等に関する入居募集データ(Pデータ)、及び、賃貸物件検索サイトにアクセスすることによって複数の賃貸物件が検索された履歴に関する検索ログデータ(Lデータ)を格納する格納部を備えている。
業務サーバー43は、賃貸物件の運営に関する業務に用いられるサーバーであり、賃貸借契約及び更新契約が行われた複数の賃貸物件の契約内容や稼働率等に関する契約履歴データ(Oデータ)を格納する格納部を備えている。
業務サーバー44は、賃貸物件の管理に関する業務に用いられるサーバーであり、日常修繕又は長期修繕が行われた集合住宅の修繕工事に関する修繕工事履歴データ(Sデータ)、及び、賃貸運営されている集合住宅の運営経費に関する運営経費履歴データ(Uデータ)を格納する格納部を備えている。
<データベースの構築とデータ処理>
再び図2を参照すると、不動産事業計画支援サーバー13のデータ取り込み部131は、業務サーバー41から取り込まれたKデータと、業務サーバー42から取り込まれたPデータ及びLデータと、業務サーバー43から取り込まれたOデータと、業務サーバー44から取り込まれたSデータ及びUデータとを、格納部134の加工前データベース134aに格納する。
データ加工部132は、業務サーバー41〜44から取り込まれたデータに基づいて第1〜第3の実績データを生成して、格納部134の加工後データベース134bに格納する。その際に、データ加工部132は、業務サーバー41〜44から取り込まれたデータから統計分析に用いられる複数の変数を抽出し、又は、業務サーバー41〜44から取り込まれたデータに基づいて統計分析に用いられる少なくとも1つの新たな変数を作成し、又は、業務サーバー41〜44から取り込まれたデータを変形することにより、第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つを生成しても良い。
例えば、データ加工部132は、業務サーバー41から取り込まれたKデータに基づいて、集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データを生成し、業務サーバー42から取り込まれたPデータ及びLデータ、及び、業務サーバー43から取り込まれたOデータに基づいて、賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データを生成し、業務サーバー44から取り込まれたSデータ及びUデータに基づいて、賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データを生成する。
推計結果算出部133は、機械学習の手法を用いて統計分析を行うAI(人工知能)の機能を有している。推計結果算出部133は、第1の実績データに基づいて、クライアント端末50から受信された不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の建築費を算出し、第2の実績データに基づいて、その集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出し、第3の実績データに基づいて、その集合住宅を賃貸運営するために必要となる支出額を算出する。
その際に、推計結果算出部133は、第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つについて統計分析を行い、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させる。その後、推計結果算出部133は、算出された建築費、収入額、及び、支出額に基づいて、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築して賃貸運営する場合の収支額を算出する。
推計結果算出部133は、算出された建築費、収入額、支出額、及び、収支額をそれぞれ表す建築費データ、収入額データ、支出額データ、及び、収支額データを、格納部134の推計結果データベース134cに格納する。さらに、推計結果算出部133は、収支額データを含む推計結果データを生成して、推計結果データベース134cに格納する。推計結果データは、建築費データ、収入額データ、及び、支出額データ等をさらに含んでも良い。
APIサーバー12は、推計結果データをクライアント端末50に送信する。例えば、推計結果データに基づいて、クライアント端末50の表示部に事業計画書が表示される。それにより、ユーザーは、オーナーが所有する土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画を立案して、オーナーにプレゼンテーションすることができる。
格納部134のユーザーデータベース134dは、複数のユーザーについて、例えば、APIサーバー12から供給されるユーザーのIDコード及びパスワードと、ユーザーのログイン履歴と、ユーザーに提供されるデータとを格納する。ユーザーに提供されるデータとしては、管理サーバー31から供給される画像データ、設計支援サーバー20から供給される設計データ、及び、推計結果算出部133によって生成された推計結果データ等が該当する。
不動産事業計画支援サーバー13は、クライアント端末50からアクセス要求が送信されると、当該ユーザーのIDコード及びパスワードを検索キーワードとして用いてユーザーデータベース134dを検索することにより、当該ユーザーのIDコード及びパスワードがユーザーデータベース134dに登録されている場合に、当該ユーザーからのアクセスを認証する。
<不動産事業計画支援システムの動作例>
次に、図1に示す不動産事業計画支援システムの動作例について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る不動産事業計画支援方法を示すフローチャートである。この不動産事業計画支援方法は、集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案を支援するために、図1に示す不動産事業計画支援システムにおいて実施される。
<土地の指定>
図3に示すステップS1において、不動産事業計画支援装置10のウェブサイト運用サーバー11が、オーナーが集合住宅を建築して賃貸運営する事業を行うための土地を指定する土地指定情報を含む不動産情報をクライアント端末50から受信する。クライアント端末50から受信された不動産情報には、土地指定情報として、例えば、土地の地番を表す地番データ、又は、土地の住所を表す住所データが含まれている。不動産事業計画支援装置10のAPIサーバー12は、土地指定情報を管理サーバー31に送信する。
管理サーバー31は、土地指定情報に基づいて地図データベースを検索することにより、不動産情報によって指定された土地を含む地図を表す画像データを取得してAPIサーバー12に送信する。それにより、ウェブサイト運用サーバー11は、不動産情報によって指定された土地を含む地図の画像をクライアント端末50の表示部に表示させる。
ユーザーは、クライアント端末50の表示部に表示された地図において土地をクリック等することにより、オーナーが集合住宅を建築して賃貸運営する事業を行うための土地を選択するようにしても良い。それにより、複数の地番又は住所にまたがる土地を選択することもできる。
<集合住宅の基本計画の立案>
ステップS2において、設計支援サーバー20が、不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の基本計画を立案する。そのために、APIサーバー12は、土地を特定する情報として、例えば、クライアント端末50から受信された不動産情報に含まれている地番データ、又は、地図データベースから読み出された地番データを、管理サーバー32に送信する。管理サーバー32は、地番データに基づいて建築条件データベースを検索することにより、不動産情報によって指定された土地の建築条件データを取得してAPIサーバー12に送信し、APIサーバー12は、取得された建築条件データを設計支援サーバー20に送信する。なお、高度地区や日影規制等に関する建築条件データは、ユーザーがクライアント端末50を操作して入力するようにしても良い。
また、APIサーバー12は、土地を特定する情報として、例えば、クライアント端末50から受信された不動産情報に含まれている地番データ、又は、地図データベースから読み出された地番データを、管理サーバー33に送信する。管理サーバー33は、地番データに基づいて敷地座標データベースを検索することにより、不動産情報によって指定された土地の敷地座標データを取得してAPIサーバー12に送信し、APIサーバー12は、取得された敷地座標データを設計支援サーバー20に送信する。なお、不動産情報によって指定された土地の各辺が道路との境界線であるか他人の土地との境界線であるかに関する情報や、道路の幅員等のデータは、ユーザーがクライアント端末50を操作して入力するようにしても良い。
設計支援サーバー20は、取得された建築条件データによって表される建築条件の範囲内で、取得された敷地座標データによって表される形状及び方位を有する土地に建築可能な集合住宅の基本計画を立案する。その際に、設計支援サーバー20は、ユーザーが入力した建築条件データや土地の情報等を不動産事業計画支援装置10から取得して、基本計画の立案に用いるようにしても良い。
設計支援サーバー20は、集合住宅の立体的な建築想定範囲を表す3次元データを生成して、参照先のアドレスをAPIサーバー12に送信する。それにより、ウェブサイト運用サーバー11は、集合住宅の立体的な建築想定範囲をクライアント端末50の表示部に表示させる。ユーザーは、クライアント端末50を操作することにより、異なる方向から見た集合住宅の画像(2次元画像)を表示部に表示させて、集合住宅の立体的な形状を確認することが可能である。また、ユーザーは、クライアント端末50を操作することにより、集合住宅の階数や間取りを指定したり、エレベーターの有無等のオプションを設定したりすることができる。
設計支援サーバー20は、集合住宅の間取り等を示す平面図、及び、容積消化率、住戸数、階数等を表すデータを不動産事業計画支援装置10に送信し、不動産事業計画支援装置10は、それらをクライアント端末50の表示部に表示させる。その際に、設計支援サーバー20は、集合住宅の間取り等について複数のプランを作成しても良い。
ユーザーが、クライアント端末50の表示部に表示されたプランを承認するか、又は、複数のプランの内から1つのプランを選択すると、設計支援サーバー20は、最終確認用の集合住宅の立体的な完成予想図(パース)を表す画像データを生成して、参照先のアドレスを不動産事業計画支援装置10に送信する。また、設計支援サーバー20は、面積表を表す面積表データをAPIサーバー12に送信しても良い。
それにより、ウェブサイト運用サーバー11は、集合住宅の立体的な完成予想図及び/又は面積表をクライアント端末50の表示部に表示させる。ユーザーが、クライアント端末50の表示部に表示されたプランを確認すると、APIサーバー12は、その集合住宅の間取り等を示す平面図、及び、容積消化率、住戸数、階数等を表すデータをユーザーデータベース134dに格納して登録する。
<建築費の算出>
ステップS3において、不動産事業計画支援サーバー13の推計結果算出部133が、集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データに基づいて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)の建築費を算出する。
そのために、データ取り込み部131は、過去の所定の期間、例えば、過去3年分の建築費概算データ(Kデータ)を業務サーバー41(図1)から取り込んで、加工前データベース134aに格納する。加工前データベース134aに格納されるKデータは、定期的に更新される。
データ加工部132は、加工前データベース134aに格納されているKデータから統計分析に用いられる複数の変数を抽出して、集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データを生成し、加工後データベース134bに格納する。その際に、データ加工部132は、Kデータが格納されている行毎に異常値の有無をチェックし、見付けた場合には行ごと除外する(データクレンジング)。
また、データ加工部132は、Kデータに含まれている変数を他の数値と合成することにより、機械学習を実施する前に新たな合成変数を予め作成しても良い。例えば、Kデータに含まれているコンクリート体積(m)をコンクリート工事単価(円/m)に掛け合わせることにより、合成変数としてコンクリート工事の費用を表す変数が作成される。同様にして、型枠工事の費用、鉄筋工事の費用、及び、土工事の費用を表す変数が作成される。
例えば、加工後データベース134bは、過去の所定の期間において建築された複数の集合住宅について、集合住宅の仕様を表す複数の変数(項目)F11、F12、・・・に対応して、その集合住宅の建築費F1の過去の実績を表す第1の実績データを格納している。
集合住宅の建築費F1としては、利益や管理費を除いた純工事費から、地盤の強弱で金額が変動する杭工事及び地盤改良工事の費用や、店舗又は事務所関係の工事費用、防災設備の費用、オーナー用住宅の費用、及び、内装や外装のグレードアップ費用等のオプション工事の費用を差し引いて、賃貸マンション又はアパート等の集合住宅の標準工事費を算出したものが用いられる。
また、集合住宅の仕様を表す複数の変数としては、コンクリート体積とコンクリート工事単価との積(F11)、型枠面積と型枠工事単価との積(F12)、鉄筋重量と鉄筋工事単価との積(F13)、根伐深さと建築面積と根伐工事単価との積(F14)、1K戸数(F15)、1LDK戸数(F16)、2LDK戸数(F17)、及び、3LDK戸数(F18)等が用いられる。
第1の実績データは、2次元のデータ表に格納されても良い。その場合には、複数の集合住宅について、集合住宅の建築費F1及び複数の変数F11、F12、・・・が、データ表の複数の行に格納される。例えば、第1の実績データがExcelファイルに格納されている場合に、第1の実績データは、CSVファイルに変換されて機械学習ソフトウェアに受け渡される。
第1回目の機械学習において、推計結果算出部133は、第1の実績データについて統計分析を行うために、例えば、直近36ヶ月分の全ての第1の実績データに基づいて、複数の変数F11、F12、・・・の関数として集合住宅の建築費F1を表す第1の回帰方程式に含まれる定数及び回帰係数を求めても良い。ここで、複数の変数F11、F12、・・・は、説明変数に相当し、集合住宅の建築費F1は、目的変数に相当する。また、本願においては、回帰方程式に含まれる定数及び回帰係数のことを、単に「係数」ともいう。第1の回帰方程式は、線形方程式でも良く、例えば、次式(1)で表される。その場合に、最小二乗法等によって定数β及び回帰係数β〜βを求めることにより、第1の回帰方程式が決定される。
F1=β+β・F11+β・F12+β・F13+β・F14+β・F15+β・F16+β・F17+β・F18 ・・・(1)
推計結果算出部133は、第1の回帰方程式を用いて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)の建築費を算出することができる。さらに、推計結果算出部133は、統計分析の結果を評価し、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させるようにしても良い。
統計分析の結果としては、例えば、決定係数、回帰係数、t検定の結果、p検定の結果等が該当する。決定係数は、寄与率とも呼ばれ、回帰分析において目的変数の観測値に対する目的変数の予測値の説明力を表す指標であり、0から1までの値をとり、1に近いほど分析が有効であることを表している。回帰係数(回帰直線の傾き)は、符号がすべてプラスである必要がある。
t検定とは、帰無仮説が正しいと仮定した場合に、統計量がt分布に従うことを利用する統計学的検証法であり、t検定の結果として得られるt値は、大きいほど信頼性が高いことを表している。p検定の結果として得られるp値は、帰無仮説が正しいと仮定した場合に、それ以上偏った検定統計量が得られる確率を示しており、小さいほど信頼性が高いことを表している。p値は、0.05以下を基準として、なるべく低いことが望ましい。
例えば、推計結果算出部133は、第1の回帰方程式を用いて、第1の実績データに含まれている複数の集合住宅の建築費を試算する。即ち、複数の集合住宅の変数F11〜F18の値が式(1)に代入されて、集合住宅の建築費F1が算出される。さらに、推計結果算出部133は、建築費の試算結果と過去の実績との誤差を算出する。誤差は、試算結果と過去の実績との比率で表されても良い。
図4は、建築費の試算結果と過去の実績との比率の分布例を示す図である。図4において、横軸は、建築費の試算結果と建築費の過去の実績との比率(%)を表しており、縦軸は、物件数を表している。図4に示す例においては、全物件の71.1%が、比率96%〜105%の範囲(誤差±5%以内)に収まっている。また、全物件の97.9%が、比率91%〜110%の範囲(誤差±10%以内)に収まっている。しかしながら、例外的な事情によって誤差の絶対値が大きい物件(左端の物件A及び右端の物件B)も存在する。
第2回目の機械学習において、推計結果算出部133は、精度が足りない場合には原因を推測し、試算結果と建築費の過去の実績との誤差の絶対値が小さくなるように第1の実績データから使用データを選別して第1の回帰方程式を修正する。例えば、推計結果算出部133は、図4において誤差が大きい物件A及びB(各2.5%)を除外して、式(1)の定数β及び回帰係数β〜βを再度求める。
機械学習は3回以上行われても良いが、この例においては、第2回目の機械学習において修正された第1の回帰方程式が確定された式として用いられる。推計結果算出部133は、修正された第1の回帰方程式を用いて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)の建築費を算出する。さらに、推計結果算出部133は、ユーザーによって設定されたオプション工事に応じて、建築費を重み付けしても良い。
また、データ取り込み部131が、不動産情報によって指定された土地の地番データに対応する地盤データを管理サーバー34(図1)から取り込んで、推計結果算出部133が、地盤データによって表される地層の深度や地下水の水位に基づいて杭工事及び地盤改良工事の費用を算出し、杭工事及び地盤改良工事の費用を含む建築費を算出しても良い。推計結果算出部133は、算出された建築費を表す建築費データを推計結果データベース134cに格納する。
建築費は、初期投資に当り、収支計画における利回りの計算や、必要な借入額の算出に影響する。業務サーバー41(図1)は、賃貸マンション又はアパート等の集合住宅の企画提案、設計、及び、建築を実際に行って得られたビッグデータを管理しており、そのビッグデータに基づいて構築された第1の実績データを分析することによって、根拠を有する精緻な推定モデルを作成することができる。
<収入額の算出>
ステップS4において、推計結果算出部133が、賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データに基づいて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)を賃貸運営することによって得られる収入額を算出する。収入額は、集合住宅に含まれている複数の賃貸物件の募集賃料、稼働率、及び、賃料の推移(賃料変動率)に基づいて算出することができる。
ステップS4−1において、推計結果算出部133は、地域、環境、及び、設備等の条件に基づいて、周辺相場を加味した募集賃料を算出する。そのために、データ取り込み部131は、過去の所定の期間における入居募集データ(Pデータ)及び検索ログデータ(Lデータ)を業務サーバー42(図1)から取り込んで、加工前データベース134aに格納する。
例えば、初回の取り込み時に、過去2年分のPデータ及びLデータが取り込まれ、その後は、月の初めに前月分のPデータ及びLデータが取り込まれても良い。Lデータは、地域による間取りの人気を推定するために有効であり、例えば、変数の重み付けに用いられても良い。
データ加工部132は、加工前データベース134aに格納されているPデータ及びLデータに基づいて、募集賃料の過去の実績に関する募集賃料実績データを生成し、加工後データベース134bに格納する。加工後データベース134bには、例えば、過去2年分の募集賃料実績データが格納される。
Pデータは、賃貸物件検索サイトに掲載される日次のデータであり、その物件が賃貸物件検索サイトに掲載されている期間において、その物件が非掲載になるまでの毎日のデータに存在する。そこで、データ加工部132は、分析の対象を「掲載単位」とし、掲載期間及びマーケットオンタイムを算出するために、以下の条件でPデータを変換する。
データ加工部132は、日次のPデータを掲載期間単位で集計すると共に、掲載期間からマーケットオンタイムを算出する。また、データ加工部132は、複数の期間にまたがっている同一物件の場合に、一定期間(例えば、14日間)掲載が途絶えた場合に別の掲載期間と判断し、別のデータとして扱う。さらに、データ加工部132は、複数のデータの名寄せ処理を行う。
例えば、Aマンションの101号室が、2017年4月1日、2017年4月13日、2017年4月30日、及び、2017年5月1日に掲載された場合に、Aマンションの101号室が、2017年4月1日〜2017年4月13日の13日間掲載されたことを表すデータと、2017年4月30日〜2017年5月1日の2日間掲載されたことを表すデータとが作成される。ただし、直近のデータについては、まだ掲載が続く可能性があるので、データ取り込み時点までの期間が掲載期間とされる。
データ加工部132は、取り込まれたPデータにおいて1つの物件に複数の最寄駅が存在する場合には、その物件の最寄駅として、物件からの徒歩分が最も短い駅を選択する。ただし、交通手段としてバスを利用する必要がある駅は対象外とされる。また、最寄駅が存在しない物件の掲載データは、募集賃料実績データから除外される。
また、データ加工部132は、取り込まれたPデータについて、データ数が足りないか、又は、多すぎる沿線を調整する。例えば、データ加工部132は、掲載物件数が少ない沿線を地域属性が近い沿線と結合して1つの沿線として扱い、掲載物件数が多い沿線を都道府県で分割して別の沿線として扱う。
また、データ加工部132は、沿線毎にPデータを抽出して募集賃料実績データを作成するために、最寄駅を通るすべての沿線についてデータが存在するように掲載データを複製する。例えば、データ加工部132は、最寄駅が東海道線の品川駅であることを示すAマンションの101号室の掲載データに基づいて、最寄駅が京浜東北線の品川駅であることを示すAマンションの101号室のデータを追加する。
また、データ加工部132は、次のように変数(項目)を追加または変更しても良い。
・バスフラグ:物件から最寄駅までの徒歩分が20分以上のものを「1」とし(バス利用として扱う)、それ以外は「0」とする。
・最寄分:物件から最寄駅までの徒歩分が20分以上のものを「0」とし、それ以外は元の徒歩分とする。
・建築後年数:掲載日−建築年月日で求め、単位を年とする。
・建築年月インデックス:建築年月に連番を振る(例:2017061、2017052、2017043)
・SRCフラグ:構造がSRC(鉄骨鉄筋コンクリート構造)のものを「1」とし、それ以外は「0」とする。
また、データ加工部132は、入力ミス等による不適切な値を除くために、Pデータが格納されている行毎に異常値の有無をチェックし、見付けた場合には行ごと除外する(データクレンジング)。そのために、変数の値が限定されても良い。さらに、データ加工部132は、要約統計量又は相関マトリックスを用いて、募集賃料実績データに含まれている値の確認を行うようにしても良い。
例えば、加工後データベース134bは、過去の所定の期間において賃貸物件検索サイトを利用して入居募集が行われた複数の賃貸物件について、賃貸物件の条件を表す複数の変数(項目)F21、F22、・・・に対応して賃貸物件の募集賃料F2の過去の実績を表す募集賃料実績データを格納している。募集賃料実績データは、第2の実績データの一部を構成する。
賃貸物件の条件を表す複数の変数としては、賃貸物件の専有面積(F21)、最寄分(F22)、バスフラグ(F23)、建築後年数(F24)、SRCフラグ(F25)、こだわり条件のランク(F26)、建築年月インデックス(F27)、及び、最寄駅のランク(F28)等が用いられる。こだわり条件は、2階以上とか、バス・トレイ別等の条件を表しており、単身向けとファミリー向けとでは、計算に使用するこだわり条件を変えても良い。
募集賃料実績データは、2次元のデータ表に格納されても良い。その場合には、複数の賃貸物件について、賃貸物件の募集賃料及び複数の変数が、データ表の複数の行に格納される。例えば、募集賃料実績データがExcelファイルに格納されている場合に、募集賃料実績データは、CSVファイルに変換されて機械学習ソフトウェアに受け渡される。
第1回目の機械学習において、推計結果算出部133は、募集賃料実績データについて統計分析を行うために、例えば、沿線毎に直近24ヶ月分の全ての募集賃料実績データに基づいて、複数の変数F21、F22、・・・の関数として賃貸物件の募集賃料F2を表す第2の回帰方程式に含まれる係数を求めても良い。第2の回帰方程式は、線形方程式でも良く、例えば、次式(2)で表される。その場合に、最小二乗法等によって定数β及び回帰係数β〜βを求めることにより、第2の回帰方程式が決定される。
log(F2)=β+β・log(F21)+β・F22+β・F23+β・F24+β・F25+β・F26+β・F27+β・F28 ・・・(2)
推計結果算出部133は、第2の回帰方程式を用いて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)の募集賃料を算出することができる。さらに、推計結果算出部133は、統計分析の結果を評価し、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させるようにしても良い。
例えば、推計結果算出部133は、第2の回帰方程式を用いて、募集賃料実績データに含まれている複数の賃貸物件の募集賃料を試算し、さらに、試算結果と募集賃料の過去の実績との誤差を算出する。誤差は、次の誤差率で表されても良い。
誤差率=(試算結果/過去の実績−1)×100(%)
例えば、募集賃料の試算結果が100,200円で過去の実績が100,000円であれば、誤差率が0.2%となる。
第2回目の機械学習において、推計結果算出部133は、第1回目の機械学習において試算結果と募集賃料の過去の実績との誤差の絶対値が所定の値以上となる募集賃料実績データを除外する。例えば、推計結果算出部133は、信頼区間を95%に設定して、誤差率の正方向の上位2.5%及び負方向の上位2.5%の募集賃料実績データを除外し、残りの95%の募集賃料実績データ(以下においては、「母集団」ともいう)を用いて、線形回帰、回帰木、及び、ニューラルネットワークの3つの手法で機械学習を行う。
まず、推計結果算出部133は、母集団から7割の募集賃料実績データをランダムに抽出したサンプルをモデル推計用データ(学習対象)とし、沿線毎に機械学習を行う。例えば、機械学習の手法として線形回帰が用いられる場合に、推計結果算出部133は、モデル推計用データに基づいて、式(2)の定数β及び回帰係数β〜βを再び求める。線形回帰の結果として求められる回帰係数の符号が想定された符号と異なる場合には、推計結果算出部133が、正しい符号を有し、かつ、最も変化量が小さくなる値を有する回帰係数を求めても良い。
次に、推計結果算出部133は、機械学習の結果を用いて、残りの検証用データ(母集団の3割)に対して試算を行う。推計結果算出部133は、上記の機械学習と試算とを所定の回数(例えば、500回)ずつ行うことにより、機械学習の結果を用いて求められた試算結果と募集賃料の過去の実績との誤差が最も小さい手法を決定し、決定された手法に従って、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)に含まれている複数の賃貸物件の募集賃料を算出する。さらに、推計結果算出部133は、管理費を含む募集賃料を算出しても良い。推計結果算出部133は、算出された募集賃料を表す募集賃料データを推計結果データベース134cに格納する。
ステップS4−2において、推計結果算出部133は、賃貸物件の稼働率(予測稼働率)及び賃料変動率を算出する。例えば、統計分析の手法として、計量経済学におけるヘドニック・アプローチという手法が用いられる。そのために、データ取り込み部131は、過去の所定の期間における契約履歴データ(Oデータ)を業務サーバー43(図1)から取り込んで、加工前データベース134aに格納する。加工前データベース134aに格納されるOデータは、定期的に更新される。
業務サーバー43は、賃貸物件の募集及び管理に実際に用いられており、そこから発生したビッグデータを分析することによって、根拠を持った精緻な推定モデルを作成することができる。データ加工部132は、加工前データベース134aに格納されているOデータに基づいて、稼働率の過去の実績に関する稼働率実績データ、及び、賃料収入の過去の実績に関する賃料収入実績データを生成し、加工後データベース134bに格納する。加工後データベース134bには、例えば、過去2年分の稼働率実績データ及び賃料収入実績データが格納される。
まず、推計結果算出部133は、賃貸物件の稼働率を予測することにより、空室による賃料収入の減少がどの程度発生するかを、地域別及び間取り別等で推計する。例えば、加工後データベース134bは、過去の所定の期間において賃貸借契約及び更新契約が行われた複数の賃貸物件について、賃貸物件の条件を表す複数の変数(項目)F31、F32、・・・に対応して賃貸物件の稼働率(目的変数)F3の過去の実績(実績稼働率)を表す稼働率実績データを格納している。稼働率実績データは、例えば、家賃の精算データから求められた賃貸物件及び区画毎の2年間の稼働率を表しており、第2の実績データの一部を構成する。
賃貸物件の条件を表す複数の変数としては、賃貸物件の市場滞留時間(F31)、専有面積(F32)、都道府県のランク(F33)、沿線のランク(F34)、及び、建築後年数(F35)等が用いられる。ここで、市場滞留時間(F31)は、例えば、賃貸物件及び区画毎に、2年間の内で掲載されていた日数である。なお、専有面積(F32)は、単身向けとファミリー向けとに分けても良い。
推計結果算出部133は、稼働率実績データについて統計分析を行うために、稼働率実績データに基づいて、複数の変数F31、F32、・・・の関数として賃貸物件の稼働率F3を表す第3の回帰方程式に含まれる係数を求めても良い。第3の回帰方程式は、線形方程式でも良く、例えば、次式(3)で表される。その場合に、最小二乗法等によって定数β及び回帰係数β〜βを求めることにより、第3の回帰方程式が決定される。
F3=β+β・F31+β・F32+β・F33+β・F34+β・F35 ・・・(3)
推計結果算出部133は、第3の回帰方程式を用いて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)に含まれている複数の賃貸物件の稼働率を算出することができる。さらに、推計結果算出部133は、統計分析の結果を評価し、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させるようにしても良い。
推計結果算出部133は、算出された稼働率を表す稼働率データを推計結果データベース134cに格納する。また、推計結果算出部133は、入居者の退去率を推定することにより、再募集にかかる費用や、入居者の入れ替えによる賃料変動を推定し、事業計画に反映させても良い。
次に、推計結果算出部133は、賃料変動率を予測することにより、退去又は入れ替えの場合や、賃貸借契約の更新の場合に、家賃の変動がどれくらい発生するのかを分析する。また、物件を駅徒歩分又は築年数等で細かく分類して、どのような物件で賃料ダウン(又は、賃料アップ)が発生し易いかを分析して、事業計画に折り込むことができる。
推計結果算出部133は、予測した経年による賃料減価率に、賃貸物件の新規契約及び更新契約の発生率及び変動率を加味した賃料変動率を予測しても良い。例えば、加工後データベース134bは、過去の所定の期間において賃貸借契約及び更新契約が行われた複数の賃貸物件について、賃貸物件の条件を表す複数の変数に対応して、当該賃貸物件の賃料収入を決定する複数の要素値の過去の実績を表す賃料収入実績データを格納している。賃料収入実績データは、第2の実績データの一部を構成する。
また、推計結果算出部133は、ある年の賃料収入合計額を、新規契約分の賃料収入と、更新契約分の賃料収入と、入居継続分の賃料収入とに分け、新規契約及び更新契約において、市場の相場に影響されて賃料が変更される場合と、賃料が変更されない場合とに分類して算出する。賃料が変更される場合には、築年数と経年減価率との積に応じて賃料が減少するものと仮定する。さらに、推計結果算出部133は、複数年の賃料収入合計額に基づいて賃貸物件の賃料変動率を算出する。
集合住宅を新築してからN年が経過したときの賃料収入合計額G(N)は、例えば、築年数N、経年減価率F4(1)、新規契約発生率F4(2)、新規契約賃料変動率F4(3)、更新契約発生率F4(4)、更新契約賃料変動率F4(5)、前年の賃料収入合計額F4(6)、及び、新築時の賃料収入合計額F4(7)を用いて表される。
ここで、経年減価率F4(1)は、1年当りの賃料減少額の割合を表しており、賃料が減少した場合に正の値をとる。新規契約発生率F4(2)は、前年における全体の契約件数の内で、新規契約件数の割合を表している。新規契約賃料変動率F4(3)は、新規契約件数の内で、賃料が変動した件数の割合を表している。更新契約発生率F4(4)は、前年における全体の契約件数の内で、更新契約件数の割合を表している。更新契約賃料変動率F4(5)は、更新契約件数の内で、賃料が変動した件数の割合を表している。
それらを用いて、賃料収入合計額G(N)は、次式(4)で表される。
G(N)=F4(2)×F4(3)×{1−N×F4(1)}×F4(7)
+F4(2)×{1−F4(3)}×F4(6)
+F4(4)×F4(5)×{1−N×F4(1)}×F4(7)
+F4(4)×{1−F4(5)}×F4(6)
+{1−F4(2)−F4(4)}×F4(6) ・・・(4)
従って、集合住宅を建築してから第(N−1)年目の賃料収入合計額に対する第N年目の賃料収入合計額の比率R(N)は、次式(5)で表される。
R(N)=G(N)/G(N−1) ・・・(5)
新築時(N=0)の賃料収入合計額については、G(0)=F4(7)である。また、新築時の賃料収入合計額に対する第N年目の賃料変動率F4は、次式(6)で表される。
F4=R(1)×R(2)×・・・×R(N) ・・・(6)
このようにして賃料変動率を算出することにより、経年減価率に基づいて一律に賃料変動率を定める場合と比較して、住宅賃料の粘着性を反映したより正確な値を求めることができるので、ユーザーにとって有意義である。
式(4)における経年減価率F4(1)は、式(2)を用いて募集賃料を算出する際に求められた建築後年数(F24)の回帰係数を、募集賃料F2の対数に関する値から募集賃料F2の真数に関する値に変換して求めても良い。その場合に、加工後データベース134bは、過去の所定の期間において賃貸借契約及び更新契約が行われた複数の賃貸物件について、賃貸物件の条件を表す複数の変数(項目)F41(i)、F42(i)、・・・に対応して複数の要素値F4(i)の過去の実績を表す賃料収入実績データを格納している(i=2〜7)。
推計結果算出部133は、賃料収入実績データについて統計分析を行うために、賃料収入実績データに基づいて、複数の変数F41(i)、F42(i)、・・・の関数として所定数の要素値F4(i)を表す所定数の第4の回帰方程式に含まれる係数を求めても良い(i=2〜5)。推計結果算出部133は、それらの第4の回帰方程式及び上記の式(4)〜(6)を用いて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)に含まれている複数の賃貸物件の賃料変動率を算出することができる。
さらに、推計結果算出部133は、統計分析の結果を評価し、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させるようにしても良い。推計結果算出部133は、算出された賃料変動率を表す賃料変動率データを推計結果データベース134cに格納する。
ステップS4−3において、推計結果算出部133が、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)に含まれている複数の賃貸物件について算出された募集賃料、稼働率、及び、賃料変動率に基づいて、その集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出する。
例えば、集合住宅の賃貸運営開始時における収入額が、その集合住宅に含まれている複数の賃貸物件について募集賃料と稼働率との積を合計することによって算出され、その後の収入額が、その集合住宅に含まれている複数の賃貸物件について募集賃料と賃料変動率と稼働率との積を合計することによって算出される。推計結果算出部133は、算出された収入額を表す収入額データを推計結果データベース134cに格納する。
ステップS5において、推計結果算出部133が、賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データに基づいて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)を賃貸運営するために必要となる支出額を算出する。支出額は、集合住宅について又はその集合住宅に含まれている複数の賃貸物件についての修繕費及び運営経費等に基づいて算出することができる。
ステップS5−1において、推計結果算出部133が修繕費を算出する。そのために、データ取り込み部131は、過去の所定の期間における修繕工事履歴データ(Sデータ)を業務サーバー44(図1)から取り込んで、加工前データベース134aに格納する。加工前データベース134aに格納されるSデータは、定期的に更新される。
データ加工部132は、加工前データベース134aに格納されているSデータに基づいて、修繕費の過去の実績に関する修繕費実績データを生成し、加工後データベース134bに格納する。加工後データベース134bには、例えば、過去15年分の修繕費実績データが格納される。
例えば、データ加工部132は、Sデータに含まれている修繕費を集合住宅の規模やグレードによって重み付けして修繕工事の単価表を作成し、集合住宅の規模やグレードに対応して修繕工事の単価を表す修繕費実績データを加工後データベース134bに格納しても良い。修繕費実績データは、第3の実績データの一部を構成する。
その場合に、推計結果算出部133は、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)の規模やグレードに対応する修繕工事の単価を修繕費実績データから読み出して、その集合住宅の修繕費を算出することができる。
あるいは、データ加工部132は、過去の所定の期間において修繕工事が行われた複数の集合住宅について、集合住宅の仕様を表す複数の変数(項目)F51、F52、・・・に対応して集合住宅の修繕費(目的変数)F5の過去の実績を表す修繕費実績データを加工後データベース134bに格納しても良い。
その場合に、推計結果算出部133は、修繕費実績データについて統計分析を行うために、修繕費実績データに基づいて、複数の変数F51、F52、・・・の関数として集合住宅の修繕費F5を表す第5の回帰方程式に含まれる係数を求める。推計結果算出部133は、第5の回帰方程式を用いて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)の修繕費を算出することができる。
さらに、推計結果算出部133は、統計分析の結果を評価し、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させるようにしても良い。推計結果算出部133は、算出された修繕費を表す修繕費データを推計結果データベース134cに格納する。
ステップS5−2において、推計結果算出部133が運営経費を算出する。そのために、データ取り込み部131は、過去の所定の期間における運営経費履歴データ(Uデータ)を業務サーバー44(図1)から取り込んで、加工前データベース134aに格納する。加工前データベース134aに格納されるUデータは、定期的に更新される。
データ加工部132は、加工前データベース134aに格納されているUデータに基づいて、運営経費の過去の実績に関する運営経費実績データを生成し、加工後データベース134bに格納する。加工後データベース134bには、例えば、過去15年分の運営経費実績データが格納される。
例えば、データ加工部132は、Uデータに含まれている運営経費を集合住宅の規模やグレードによって重み付けして運営経費の表を作成し、集合住宅の規模やグレードに対応して運営経費を表す運営経費実績データを加工後データベース134bに格納しても良い。運営経費実績データは、第3の実績データの一部を構成する。
その場合に、推計結果算出部133は、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)の規模やグレードに対応する運営経費を運営経費テーブルから読み出して、その集合住宅の運営経費を算出することができる。
あるいは、データ加工部132は、過去の所定の期間において賃貸運営が行われた複数の集合住宅について、集合住宅の仕様を表す複数の変数(項目)F61、F62、・・・に対応して集合住宅の運営経費(目的変数)F6の過去の実績を表す運営経費実績データを加工後データベース134bに格納しても良い。
その場合に、推計結果算出部133は、運営経費実績データについて統計分析を行うために、運営経費実績データに基づいて、複数の変数F61、F62、・・・の関数として集合住宅の運営経費F6を表す第6の回帰方程式に含まれる係数を求める。推計結果算出部133は、第6の回帰方程式を用いて、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)の運営経費を算出することができる。
さらに、推計結果算出部133は、統計分析の結果を評価し、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させるようにしても良い。推計結果算出部133は、算出された運営経費を表す運営経費データを推計結果データベース134cに格納する。
ステップS5−3において、推計結果算出部133が、ステップS2において基本計画が立案された集合住宅(不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅)について算出された修繕費及び運営経費に基づいて、その集合住宅を賃貸運営するために必要となる支出額を算出する。例えば、その集合住宅について算出された修繕費と運営経費とを合計することによって支出額が算出される。
あるいは、推計結果算出部133は、ステップS3において算出された集合住宅の建築費に基づいて、集合住宅を建築するために契約する住宅ローンの利息、又は、不動産取得税や固定資産税等の税金(土地については固定資産税路線価、建物については施工床面積や保存登記単価から推測される一般的な金額)を算出し、修繕費及び運営経費に住宅ローンの利息又は税金を加算することにより、その集合住宅を賃貸運営するために必要となる支出額を算出しても良い。推計結果算出部133は、算出された支出額を表す支出額データを推計結果データベース134cに格納する。
建物の固定資産税評価額は、もう一度同じ建物を建てるコストに基づく再建築価格方式であるが、推計結果算出部133によって算出された建築費や建物の仕様から固定資産税評価額の目安を計算することにより、収支の計算に反映させることができる。また、建物の仕様によって賃料に大きな差が出ると想定される場合には、収入額に反映させたり、修繕費に大きな差が出ると想定される場合には、支出額に反映させたりすることができる。
ステップS6において、推計結果算出部133が、算出された建築費、収入額、及び、支出額に基づいて、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築して賃貸運営する場合の収支額を算出して、算出された支出額を表す支出額データを推計結果データベース134cに格納する。
さらに、推計結果算出部133は、算出された収支額に基づいて、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築して賃貸運営する場合の表面利回りを算出して、算出された表面利回りを表す表面利回りデータを推計結果データベース134cに格納しても良い。
ステップS7において、推計結果算出部133が、推計結果データベース134cに格納されているデータに基づいて、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案に用いられる推計結果データを生成する。推計結果データは、収支額データを含み、建築費データ、収入額データ、支出額データ、及び、表面利回りデータ等をさらに含んでも良い。また、推計結果データは、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案に用いられる事業計画書を表すものであっても良い。
また、ステップS7において、不動産事業計画支援装置10のウェブサイト運用サーバー11が、推計結果データをクライアント端末50に送信する。例えば、推計結果データに基づいて、クライアント端末50の表示部に事業計画書が表示される。それにより、ユーザーは、オーナーが所有する土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画を立案して、オーナーにプレゼンテーションすることができる。
本実施形態によれば、集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データ、賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データ、及び、賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データを活用して、不動産情報によって指定された土地に集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案に必要な推計結果データを生成することにより、事業計画の立案を支援することができる。その際に、第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つについて統計分析を行い、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させて、生成される推計結果データの信頼性を向上させることも可能である。
以上の実施形態においては、不動産事業計画支援装置10が複数のサーバーで構成される場合について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、不動産事業計画支援装置10が単独のサーバーで構成されても良い。あるいは、不動産事業計画支援装置10が、設計支援サーバー20及び管理サーバー31〜34の内の少なくとも1つを含んでも良い。このように、当該技術分野において通常の知識を有する者によって、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
10…不動産事業計画支援装置、11…ウェブサイト運用サーバー、12…APIサーバー、13…不動産事業計画支援サーバー、20…設計支援サーバー、31〜34…管理サーバー、41〜44…業務サーバー、50…クライアント端末、101…操作部、102…表示部、110…インターフェース、120…ネットワークインターフェース、130…CPU、131…データ取り込み部、132…データ加工部、133…推計結果算出部、134…格納部、134a…加工前データベース、134b…加工後データベース、134c…推計結果データベース、134d…ユーザーデータベース、140…メモリー

Claims (12)

  1. 集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案を支援する不動産事業計画支援装置であって、
    集合住宅を建築して賃貸運営するための土地を指定する情報を含む不動産情報をクライアント端末から受信するネットワーク接続部と、
    集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データ、賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データ、及び、賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データを格納する格納部と、
    前記第1の実績データに基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の建築費を算出し、前記第2の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出し、前記第3の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営するために必要となる支出額を算出し、算出された建築費、収入額、及び、支出額に基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に前記集合住宅を建築して賃貸運営する場合の収支額を算出する推計結果算出部と、
    を備え、算出された収支額を表す収支額データを含む推計結果データを生成して前記クライアント端末に送信する不動産事業計画支援装置。
  2. 前記推計結果算出部が、建築費、収入額、及び、支出額を算出する際に、前記第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つについて統計分析を行い、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させる、請求項1記載の不動産事業計画支援装置。
  3. 外部から取り込まれたデータに基づいて前記第1〜第3の実績データを生成して前記格納部に格納するデータ加工部をさらに備え、前記データ加工部が、外部から取り込まれたデータから統計分析に用いられる複数の変数を抽出し、又は、外部から取り込まれたデータに基づいて統計分析に用いられる少なくとも1つの新たな変数を作成し、又は、外部から取り込まれたデータを変形することにより、前記第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つを生成する、請求項1又は2記載の不動産事業計画支援装置。
  4. 前記格納部が、過去の所定の期間において建築された複数の集合住宅について、集合住宅の仕様を表す複数の変数に対応して当該集合住宅の建築費の過去の実績を表す第1の実績データを格納しており、
    前記推計結果算出部が、前記第1の実績データに基づいて、前記複数の変数の関数として集合住宅の建築費を表す第1の回帰方程式に含まれる係数を求め、前記第1の回帰方程式を用いて前記複数の集合住宅の建築費を試算し、試算結果と建築費の過去の実績との誤差の絶対値が小さくなるように前記第1の実績データから使用データを選別して前記第1の回帰方程式を修正し、修正された第1の回帰方程式を用いて、前記不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の建築費を算出する、請求項1〜3のいずれか1項記載の不動産事業計画支援装置。
  5. 前記格納部が、過去の所定の期間において入居募集が行われた複数の賃貸物件について、賃貸物件の条件を表す複数の変数に対応して当該賃貸物件の募集賃料の過去の実績を表す募集賃料実績データを格納しており、
    前記推計結果算出部が、前記募集賃料実績データに基づいて、前記複数の変数の関数として賃貸物件の募集賃料を表す第2の回帰方程式に含まれる係数を求め、前記第2の回帰方程式を用いて前記複数の賃貸物件の募集賃料を試算し、試算結果と募集賃料の過去の実績との誤差の絶対値が所定の値以上となる募集賃料データを除外した後に複数の手法で機械学習を行い、機械学習の結果を用いて求められた試算結果と募集賃料の過去の実績との誤差が最も小さい手法に従って、前記集合住宅に含まれている複数の賃貸物件の募集賃料を算出し、前記集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出するために使用する、請求項1〜4のいずれか1項記載の不動産事業計画支援装置。
  6. 前記格納部が、過去の所定の期間において賃貸借契約及び更新契約が行われた複数の賃貸物件について、賃貸物件の条件を表す複数の変数に対応して当該賃貸物件の稼働率の過去の実績を表す稼働率実績データを格納しており、
    前記推計結果算出部が、前記稼働率実績データに基づいて、前記複数の変数の関数として賃貸物件の稼働率を表す第3の回帰方程式に含まれる係数を求め、前記第3の回帰方程式を用いて、前記集合住宅に含まれている複数の賃貸物件の稼働率を算出し、前記集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出するために使用する、請求項1〜5のいずれか1項記載の不動産事業計画支援装置。
  7. 前記格納部が、過去の所定の期間において賃貸借契約及び更新契約が行われた複数の賃貸物件について、賃貸物件の条件を表す複数の変数に対応して、当該賃貸物件の賃料収入を決定する複数の要素値の過去の実績を表す賃料収入実績データを格納しており、
    前記推計結果算出部が、ある年の賃料収入合計額を、新規契約分の賃料収入と、更新契約分の賃料収入と、入居継続分の賃料収入とに分け、新規契約及び更新契約において賃料が変更される場合と賃料が変更されない場合とに分類して算出し、さらに、複数年の賃料収入合計額に基づいて賃料変動率を算出するために、前記賃料収入実績データに基づいて、前記複数の変数の関数として所定数の要素値を表す所定数の第4の回帰方程式に含まれる係数を求め、前記所定数の第4の回帰方程式を用いて、前記集合住宅に含まれている複数の賃貸物件の賃料変動率を算出し、前記集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出するために使用する、請求項1〜6のいずれか1項記載の不動産事業計画支援装置。
  8. 集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案を支援するために用いられる不動産事業計画支援プログラムであって、
    集合住宅を建築して賃貸運営するための土地を指定する情報を含む不動産情報をクライアント端末から受信する手順(a)と、
    集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データに基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の建築費を算出する手順(b)と、
    賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出する手順(c)と、
    賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営するために必要となる支出額を算出する手順(d)と、
    算出された建築費、収入額、及び、支出額に基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に前記集合住宅を建築して賃貸運営する場合の収支額を算出する手順(e)と、
    算出された収支額を表す収支額データを含む推計結果データを生成して前記クライアント端末に送信する手順(f)と、
    をCPUに実行させる不動産事業計画支援プログラム。
  9. 手順(b)〜(d)が、前記第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つについて統計分析を行い、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させることを含む、請求項8記載の不動産事業計画支援プログラム。
  10. 集合住宅を建築して賃貸運営する事業計画の立案を支援する不動産事業計画支援方法であって、
    集合住宅を建築して賃貸運営するための土地を指定する情報を含む不動産情報をクライアント端末から受信するステップ(a)と、
    前記不動産情報によって指定された土地に建築可能な集合住宅の基本計画を立案するステップ(b)と、
    集合住宅の建築費の過去の実績に関する第1の実績データに基づいて、基本計画が立案された集合住宅の建築費を算出するステップ(c)と、
    賃貸物件を運営することによって得られる収入額の過去の実績に関する第2の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営することによって得られる収入額を算出するステップ(d)と、
    賃貸物件を運営するために必要となる支出額の過去の実績に関する第3の実績データに基づいて、前記集合住宅を賃貸運営するために必要となる支出額を算出するステップ(e)と、
    算出された建築費、収入額、及び、支出額に基づいて、前記不動産情報によって指定された土地に前記集合住宅を建築して賃貸運営する場合の収支額を算出するステップ(f)と、
    算出された収支額を表す収支額データを含む推計結果データを生成して前記クライアント端末に送信するステップ(g)と、
    を備える不動産事業計画支援方法。
  11. ステップ(c)〜(e)が、前記第1〜第3の実績データの内の少なくとも1つについて統計分析を行い、統計分析の結果に基づいて使用データを選別することにより分析精度を向上させることを含む、請求項10記載の不動産事業計画支援方法。
  12. ステップ(b)が、
    土地を特定する情報に対応して建築条件を表す建築条件データを格納する建築条件データベースを検索することにより、前記不動産情報によって指定された土地の建築条件データを取得するステップ(b1)と、
    土地を特定する情報に対応して土地の形状及び方位を表す敷地座標データを格納する敷地座標データベースを検索することにより、前記不動産情報によって指定された土地の敷地座標データを取得するステップ(b2)と、
    取得された建築条件データによって表される建築条件の範囲内で、取得された敷地座標データによって表される形状及び方位を有する土地に建築可能な集合住宅の基本計画を立案することにより、前記集合住宅の立体的な建築想定範囲を表す3次元データを生成して、前記建築想定範囲を表す画像を前記クライアント端末に表示させるステップ(b3)と、
    を含む、請求項10又は11記載の不動産事業計画支援方法。
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