JP6954121B2 - 培養細胞の分化促進方法及び培養細胞分化促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、培養細胞の分化促進方法、及び培養細胞分化促進剤に関する。
近年、ES細胞、iPS細胞などの万能細胞や幹細胞及び間葉系幹細胞を利用した再生医療が注目を集めている。万能細胞や幹細胞は、分化が進んでいない未分化状態の細胞といわれる。再生医療においては、これらの未分化状態の細胞を目的の臓器、組織、細胞へと分化させ、得られた臓器、組織、細胞を用いて、患者の治療が行われる。例えば、患者の皮下の脂肪組織から採取した脂肪幹細胞は、分化誘導培養により、脂肪前駆細胞を経て脂肪細胞に分化させたり、骨細胞や軟骨細胞へと分化させることができる。そのような幹細胞を用いた成形外科治療、美容行為が実現している。また、皮膚から表皮の基底細胞・有棘細胞を取り出して分化誘導培養を行うことで、顆粒細胞・角質細胞に分化させて表皮シートを作製し、治療に適用されている。例えば、美容外科手術である皮下脂肪吸引により回収された脂肪組織の中に含まれる脂肪幹細胞を分化誘導培養して肥満治療の目的で利用したり(特許文献1)、骨治療の目的で利用したり(特許文献2)することが行われている。
上記のように、幹細胞の利用と実用化が進められているが、幹細胞の分化培養に数週間という長い時間が必要とされ、実用化への課題となっている。
また、上記の分化誘導操作において、培養容器としては、一般に、親水化処理が施されたポリスチレン製のディッシュやフラスコ等が汎用されている。
特表2014−520531号公報(WO2013/003595A1) 特表2012−525377号公報(US20120020937A1)
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、培養細胞の分化をより促進し得る方法、及び培養細胞分化促進剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分化の対象である細胞を、ノルボルネン系付加重合体と接触させながら培養すると、分化マーカーであるmRNAが増加することを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記(1)、(2)の培養細胞の分化促進方法、及び(3)の培養細胞分化促進剤が提供される。
(1)培養されている細胞に、ノルボルネン系付加重合体成形体を接触させることを特徴とする培養細胞の分化促進方法。
(2)培養されている細胞が幹細胞である(1)に記載の培養細胞の分化促進方法。
(3)ノルボルネン系付加重合体成形体からなる培養細胞分化促進剤。
本発明によれば、培養細胞の分化をより促進し得る方法、及び、この方法に好適に用いられる培養細胞分化促進剤が提供される。
図1は、PPARγ発現量を示すグラフである。 図2は、本発明のディッシュで培養した分化細胞を示す電子顕微鏡写真である。 図3は、比較例のディッシュで培養した細胞を示す電子顕微鏡写真である。
本発明は、培養されている細胞に、ノルボルネン系付加重合体成形体を接触させることを特徴とする培養細胞の分化促進方法である。
本発明に用いる細胞は、分化可能な細胞であれば特に制限されない。分化可能な細胞としては、胚性幹細胞;分化多能性幹細胞;骨髄間葉系幹細胞や脂肪幹細胞などの間葉系幹細胞をはじめとする各種の幹細胞;各種の前駆細胞;外胚葉、中胚葉又は内胚葉から分化した細胞であって、終末分化状態ではない細胞;等が挙げられる。なかでも、皮下脂肪組織から得られる脂肪幹細胞は好ましい例として挙げられる。脂肪幹細胞は、皮下脂肪から回収した脂肪組織をもとに、遠心処理操作などにより得ることができる。
細胞を培養する際には、通常、液体培地が用いられる。
液体培地としては、通常、pH緩衝作用があり、浸透圧が細胞に好適なものであり、細胞の栄養成分を含み、かつ、細胞に対して毒性がないものが用いられる。
液体培地にpH緩衝作用を付与する成分としては、トリス塩酸塩、各種リン酸塩、各種炭酸塩等が挙げられる。
液体培地の浸透圧調整は、通常、細胞の浸透圧とほぼ同じになるように、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、グルコース等の濃度を調整した水溶液を用いて行われる。
かかる水溶液としては、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水等の生理食塩水;乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液等のリンゲル液;等が挙げられる。
細胞の栄養成分としては、アミノ酸、核酸、ビタミン類、ミネラル類等が挙げられる。
液体培地としては、RPMI−1640、HAM、α−MEM、DMEM、EMEM、F−12、F−10、M−199等の各種市販品を利用することができる。
液体培地には、添加剤を配合することもできる。添加剤としては、タンパク質等の誘導因子、分化誘導活性を有する低分子化合物、ミネラル、金属、ビタミン成分等が挙げられる。これらの中でも、分化誘導するための添加剤を配合することが好ましい。
分化誘導するための添加剤としては、細胞表面の受容体に作用する、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト;核内受容体の、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト;コラーゲンやファイブロネクチンなどの細胞外マトリックス;細胞外マトリックスの一部分あるいは、細胞外マトリックスを模擬した化合物;細胞内の情報伝達経路に関わるタンパク質に作用する成分;細胞内の1次代謝又は2次代謝の酵素に作用する成分;細胞内の核内又はミトコンドリア内の遺伝子の発現に影響を与える成分;ウィルスベクターなどと組み合わせて細胞内に導入することができるDNAやRNA;等が挙げられる。
これらの添加剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
もちろん、これらの添加剤が含まれている市販の幹細胞用の各種分化培地を用いてもよい。
細胞の培養条件は特に限定されず、用いる細胞や目的に応じて適宜決定することができる。例えば、二酸化炭素濃度が5%程度で、温度が20℃〜37℃の範囲で一定に維持された、加湿された恒温器を用いて細胞を培養することができる。
本発明に用いるノルボルネン系付加重合体成形体は、ノルボルネン系付加重合体を任意の形状に成形してなるものである。
ノルボルネン系付加重合体は、ノルボルネン系単量体を付加重合して得られるものであり、具体的には、ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体などが挙げられる。
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環式単量体;トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、2−メチルジシクロペンタジエン、2,3−ジメチルジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロキシジシクロペンタジエン等の3環式単量体;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(テトラシクロドデセン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、1,4−メタノ−8−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−クロロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−ブロモ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン等の4環式単量体;等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン系単量体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンとも言う)等のシクロオレフィン系単量体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ジエン系単量体;等が挙げられる。これらの中でも、α−オレフィン系単量体が好ましく、エチレンがより好ましい。
これらの単量体は、置換基を1種又は2種以上有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルキレン基、アリール基、シリル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体の付加重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体は、単量体成分を、公知の付加重合触媒の存在下で重合して得ることができる。
付加重合触媒としては、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる従来公知の付加重合触媒を用いることができる。
本発明に用いるノルボルネン系付加重合体は、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が、成形体の強度の観点から、通常0.01〜20dl/gであり、好ましくは0.03〜10dl/g、さらに好ましくは0.05〜5dl/gであり、ASTM D1238に準じ260℃、荷重2.16kgで測定した溶融流れ指数(MFR)が、成形性の観点から、通常0.2〜200g/10分であり、好ましくは1〜100g/10分、さらに好ましく5〜50g/10分である。
ノルボルネン系付加重合体のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜300℃、好ましくは70〜280℃、特に好ましくは70〜250℃、更に好ましくは80〜200℃である。ガラス転移温度がこの範囲内であるときに、耐熱性と成形加工性とが高度にバランスし、好適である。
本発明においてガラス転移温度は、JIS K 7121に基づいて測定されたものである。
ノルボルネン系付加重合体の軟化点としては、サーマルメカニカルアナライザーで測定した軟化点(TMA)で、成形性の観点から、通常30℃以上であり、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80〜260℃である。ノルボルネン系付加重合体のX線回折法によって測定される結晶化度は、透明性や成形体の寸法制御性の観点から、通常20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは2%以下である。
これらのノルボルネン系付加重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ノルボルネン系付加重合体には、熱可塑性樹脂材料で通常用いられている配合剤、例えば、軟質重合体、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、離型剤、染料や顔料などの着色剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤などの配合剤を、通常採用される量、添加することができる。
また、ノルボルネン系付加重合体には、軟質重合体以外のその他の重合体(以下、単に「その他の重合体」という)を混合しても良い。ノルボルネン系付加重合体に混合されるその他の重合体の量は、ノルボルネン系付加重合体100重量部に対して、通常200重量部以下、好ましくは150重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。
ノルボルネン系付加重合体に対して配合する各種配合剤やその他の重合体の割合が多すぎると、細胞の分化促進性が低下するため、いずれもノルボルネン系付加重合体の性質を損なわない範囲で配合することが好ましい。
配合剤やその他の重合体との混合方法は、ポリマー中に配合剤が十分に分散する方法であれば、特に限定されない。また、配合の順番に格別な制限はない。混合方法としては、例えば、ミキサー、一軸混練機、二軸混練機、ロール、ブラベンダー、押出機などを用いて樹脂を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させた後、凝固法、キャスト法、又は直接乾燥法により溶剤を除去する方法などが挙げられる。
二軸混練機を用いる場合、混練後は、通常は溶融状態で棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレット化して用いられることが多い。
ノルボルネン系付加重合体の成形方法は、細胞と接触させる際に用いるノルボルネン系付加重合体成形体の形状に応じて任意に選択することができる。成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、キャスト成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法、真空成形法、プレス成形法、圧縮成形法、回転成形法、カレンダー成形法、圧延成形法、切削成形法、紡糸等が挙げられ、これらの成形法を組み合わせたり、成形後必要に応じて延伸等の後処理をすることもできる。
こうして得られる成形体が、本発明の培養細胞分化促進剤である。
本発明に用いるノルボルネン系付加重合体成形体は、少なくとも細胞が接触する面がノルボルネン系付加重合体成形体で形成されたものであればよく、全体が脂環構造含有重合体から形成されたものでなくてもよい。
ノルボルネン系付加重合体成形体の形状に格別な制限はなく、板状、粉状、粒状、紐状、シート状、その他いかなる形状であってもよい。また、その表面は平らであっても、凹凸形状を有していてもよいし、中空状の成形体であってもよい。また異なる形状の成形体を、接着剤等を介して又は介さずに組み合わせて別の成形体にすることもできる。
また、細胞と接触することができる限りにおいて、ディッシュ、プレート、バッグ、チューブ、スキャホールド、カップ、ジャー・ファーメンターなどの培養容器;攪拌翼、攪拌子、バッフル、連結チューブなど培養装置の部品;ピペット、攪拌素子、フィルタ、セルスクレイパーなどの培養操作に用いる培養器具;等の一部又は全部を構成する部材であってもよい。
本発明の方法において、培養中の細胞は、それが接着型細胞であっても、浮遊細胞であっても、培地中に浮遊状態で生存する傾向がある。従って、ノルボルネン系付加重合体成形体と細胞との接触方法の選択肢は広い。
本発明においては、成形体を培養細胞と接触させるにあたり、成形体を滅菌処理することが好ましい。滅菌処理の方法に格別な制限はなく、高圧蒸気法や乾熱法などの加熱法;γ線や電子線などの放射線を照射する放射線法や高周波を照射する照射法;酸化エチレンガス(EOG)などのガスを接触させるガス法;滅菌フィルタを用いる濾過法;など、医療分野で一般的に採用される方法から、成形体の形状や用いる細胞に応じて、選択することができる。
また、これらの成形体表面は、プラズマ処理、コロナ放電処理、オゾン処理、紫外線照射処理など培養容器に対して一般的に施す、滅菌目的以外の処理を行うこともできる。
培養細胞と本発明の培養細胞分化促進剤であるノルボルネン系付加重合体成形体とを接触させる方法は、培養細胞分化促進剤の形状に応じて任意の方法を採用すればよい。例えば、細胞分化促進剤であるノルボルネン系付加重合体成形体を混合した培地中で細胞を培養する方法;ノルボルネン系付加重合体を用いて成形された培養容器内で細胞を培養する方法;ノルボルネン系付加重合体を用いて成形された培養器具を用いて培養操作を行う方法;などが挙げられ、これらを組み合わせることもできる。
なお、細胞には、情報伝達能があるため、培養中の全ての培養細胞がノルボルネン系付加重合体成形体に接触する必要はなく、また、培養期間全体に渡って両者が接触している必要もない。但し、接触による効果は経時的に低下するため、接触時間は長い方が好ましい。
培養細胞と、ノルボルネン系付加重合体成形体との接触温度は、細胞が増殖できる温度であれば特に制限されない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔製造例1〕
ノルボルネン系付加重合体として、三井化学社製「アペル(登録商標)APL6013T」及びポリプラスチックス社製「トパス(登録商標)6013」を用い、射出成形により、底面直径が3cmの培養用ディッシュを成形(以下、それぞれ「トパス製ディッシュ」、及び「アペル製ディッシュ」という)した後、EOG(エチレンオキサイドガス)を用いたガス法により、トパス製ディッシュ、及び、アペル製ディッシュの滅菌処理を行った。
〔実施例1〕
DMEM/Ham’s F−12(1:1、v/v)、緩衝剤(HEPES;4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid)、Fetal bovine serum、Penicillin、Streptomycin、及びAmphotericin Bを含有する脂肪幹細胞用の培養培地(pH7.4)を用いて、脂肪幹細胞(ZENBIO社製)を1×10cells/cmの細胞密度で、トパス製ディッシュ及びアペル製ディッシュにそれぞれ蒔種して、COインキュベータ内で10日間培養を行った。以下、このトパス製ディッシュで培養した試料を「トパス製ディッシュ前培養試料」及び、アペル製ディッシュで培養した試料を「アペル製ディッシュ前培養試料」という。
〔比較例1〕
実施例1において、トパス製ディッシュ又はアペル製ディッシュに代えて、コーニング社製の細胞培養用ディッシュ〔ファルコン(登録商標)(型番353001〕)(以下、「ポリスチレン製ディッシュ」という)を用いたことを除き、実施例1と同様にして、細胞培養を10日間行った。以下、この試料を、「ポリスチレン製ディッシュ培養試料」という。
〔比較例2〕
比較例1と同じ培地を用いて、ポリスチレン製ディッシュに、脂肪幹細胞(ZENBIO社製)1×10cells/cmの細胞密度で播種し、COインキュベータ内で3日間培養を行った後、培地を全部除去して、代わりに、DMEM/Ham’s F−12(1:1、v/v)、緩衝剤(HEPES)、Fetal bovine serum、Penicillin、Streptomycin)、Amphotericin B、Biotin、Pantothenate、Human insulin、Dexamethasone、Isobutylmethylxanthine、PPARγ agonistを含有する脂肪細胞への分化培養培地を添加し、COインキュベータ内で、さらに、7日間培養を行った。以下、この試料を、「ポリスチレン製ディッシュ分化培養試料」という。
〔細胞の分化状態の評価〕
実施例1及び比較例1において、細胞の分化状態を評価するために、細胞内に発現している分化マーカーの分析を以下のように行った。分化マーカーとしては、脂肪細胞の分化レギュレーター遺伝子であるPPARγを指標とした。
培養期間経過後に、各試料から細胞を回収して、細胞内に含まれるPPARγmRNAの量を以下のようにReal TimePCR法により定量した。内部標準としては、GAPDHのmRNAを用いた。
細胞からのRNA抽出は、CellAmp Direct Prep Kit for RT−PCR(Real Time)(タカラバイオ社製)を用いて行い、その抽出試料を鋳型試料として、Real TimePCR反応試薬として、CellAmp Direct RNA Prep Kit for One Step RT−PCR(Real Time)(タカラバイオ社製)を用いて、PCR−CFX96(BioRad社製)システムでPCR反応を行った。
PPARγmRNAの発現量(GAPDH mRNA発現量で補正)の測定結果を図1に示す。比較例1のポリスチレン製ディッシュ培養試料におけるPPARγの発現量に対する、実施例1のトパス製ディッシュ培養試料でのPPARγの発現量、及び、アペル製ディッシュ培養試料でのPPARγの発現量、及び、比較例2のポリスチレン製ディッシュ分化培養試料の相対値を示した。
脂肪細胞への分化マーカーであるPPARγは、ポリスチレン製の培養容器での発現に比較して、トパス製ディッシュ培養試料、及び、アペル製ディッシュ培養試料で増加しており(実施例1、比較例1)、アペル製ディッシュでは分化用の培地を用いなくとも、ポリスチレン製ディッシュで分化用の培地を用いた場合と同程度に分化マーカーが検出されていることがわかる(実施例1、比較例2)。
このことから、ノルボルネン系付加重合体を接触させることにより、細胞の分化が促進されることが示された。
また、実施例1のアペル製ディッシュ培養試料(培養10日目)を位相差顕微鏡で観察した。その結果を図2に示した。
また、比較例1のポリスチレン製ディッシュ培養試料(培養10日目)を位相差顕微鏡で観察した。その結果を図3に示した。
図3で示されたポリスチレン製ディッシュ培養試料に比較して、図2のアペル製ディッシュ培養試料では、細胞塊が形成されるとともに、油滴蓄積も進んでいることが示された。

Claims (4)

  1. 培養されている細胞に、平らな表面を有する、ノルボルネン系単量体の付加重合体成形体、又は、平らな表面を有する、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の成形体の、前記平らな表面を接触させることを特徴とする培養細胞の分化促進方法。
  2. 培養されている細胞が幹細胞である請求項1記載の培養細胞の分化促進方法。
  3. 培養されている細胞が脂肪幹細胞であること請求項2記載の培養細胞の分化促進方法。
  4. 請求項1に記載の分化促進方法を実施するための培養細胞分化促進剤であって、平らな表面を有する、ノルボルネン系単量体の付加重合体成形体、又は、平らな表面を有する、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の成形体からなる培養細胞分化促進剤。
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