JP6953363B2 - ピーマン汁の製造方法、及びピーマン汁の苦味除去方法 - Google Patents

ピーマン汁の製造方法、及びピーマン汁の苦味除去方法 Download PDF

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Description

本発明が関係するのは、ピーマン汁の製造方法、及びピーマン汁の苦味除去方法である
近年、健康志向の高まりの下、人々が注目するのは、食品の機能性である。中でも野菜
は、様々な有用成分を豊富に含み、消費者の健康志向に応えるものである。野菜を効率的
に摂取する形態の一つは加工食品である。加工食品を例示すると、飲料、調味料、サプリ
メントなどである。
ピーマンは、ビタミンやミネラル、カロテノイド等の有用成分を豊富に含む野菜である
。中でも他の野菜と比較して多く含まれる有用成分は、ビタミンB6である。ビタミンB
6は、アミノ酸代謝の補酵素として働く成分であり、タンパク質の合成や分解に関わって
いる。
一方で、ピーマンは、独特の苦味を有しており、敬遠する消費者が多い。そのため、野
菜飲料等に用いる場合、香味上の問題から配合量が制限される。結果、ピーマンは、ビタ
ミンB6の効率的な摂取源となりづらい。ピーマンの苦味の主な成分は、フラボノイドの
一種であるクエルシトリン(quercitrin)であることが知られている。
そこで、市場に求められているのは、苦味が少ないピーマン汁である。ピーマンの香味
を改善する方法として、特許文献1及び2が開示するのは、ピーマンの不快なフレーバー
を消去するためにピーマンの一次処理物を酢酸発酵する方法やピーマンの渋みやエグ味を
除去するためにアルコール性溶媒で抽出を行う方法である。
香味を改善する簡易な手段は、吸着性物質の処理である。しかし、吸着性物質の処理は
、香味に悪影響を与える成分を除去するだけでなく、有用成分も除去されてしまうことが
多い。つまり、吸着性物質による処理の問題点は、除去される成分の選択性である。吸着
性物質の処理によるピーマン汁の苦味を除去する方法として、特許文献3が開示するのは
、含水ケイ酸ゲルを処理する方法である。
特開平11‐018715号公報 特開2004‐000085号公報 特開平03‐111371号公報
ピーマン汁の苦味除去における課題は、クエルシトリンの除去とビタミンB6の保持の
両立である。吸着性物質で処理されたピーマン汁は、クエルシトリンが除去されておらず
、依然苦味を有するものであった。さらに、有用成分であるビタミンB6は、減少してい
た。
当該課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討し発見したのは、ピーマン汁に特定
の吸着性物質を処理することである。本発明に係るピーマン汁の製造方法を構成するのは
、少なくとも、樹脂処理である。ここで、ピーマン汁は、樹脂処理される。この処理で用
いる樹脂は、芳香族系合成吸着樹脂である。つまり、ピーマン汁は、芳香族系合成吸着樹
脂を処理されて、改質ピーマン汁となる。ここで、改質ピーマン汁とは、原材料となるピ
ーマン汁よりクエルシトリンが除去されており、且つビタミンB6が保持されているもの
をいう。
本発明に係るピーマン汁の苦味除去方法を構成するのは、少なくとも、樹脂処理である
。ここで、ピーマン汁は、樹脂処理される。この処理で用いる樹脂は、芳香族系合成吸着
樹脂である。つまり、ピーマン汁は、芳香族系合成吸着樹脂を処理されて、苦味除去され
る。ここで、苦味除去とは、原材料となるピーマン汁よりクエルシトリンが除去されてお
り、且つビタミンB6が保持されているものをいう。
本発明に係るピーマン汁含有飲食品の製造方法を構成するのは、少なくとも、調合であ
る。ここで、少なくとも、芳香族系合成吸着樹脂処理されたピーマン汁が調合される。
本発明に係るピーマン汁は、当該ピーマン汁をBrix10に換算したときのクエルシ
トリン濃度が4ppm以下である。
本発明に係るピーマン汁含有飲食品は、少なくとも、脱クエルシトリンピーマン汁を含
有する。
本発明が可能にするのは、苦味成分であるクエルシトリンが除去され、且つビタミンB
6が保持されたピーマン汁を得ることである。
本実施の形態に係るピーマン汁の製造方法(以下、「本製法」という。)を構成するの
は、少なくとも、樹脂処理工程である。樹脂処理工程では、ピーマン汁に芳香族系合成吸
着樹脂の処理を行う。その結果、改質ピーマン汁が得られる。また、本実施の形態に係る
ピーマン汁の苦味除去方法(以下、「本方法」という。)を構成するのは、少なくとも、
樹脂処理工程である。樹脂処理工程では、ピーマン汁に芳香族系合成吸着樹脂の処理を行
う。その結果、ピーマン汁の苦味が除去される。
<改質ピーマン汁>
本製法及び本方法によって得られるピーマン汁は、本明細書において、改質ピーマン汁
とする。改質ピーマン汁は、原材料となるピーマン汁からクエルシトリンが除去されてお
り、且つビタミンB6が保持されたものである。クエルシトリンが除去されているとは、
原材料となるピーマン汁と比較してクエルシトリンの量が低下していることをいう。また
、ビタミンB6が保持されているとは、原材料となるピーマン汁と比較してビタミンB6
の量の減少が抑えられていることをいう。改質ピーマン汁の苦味に関する官能特徴は、原
材料となるピーマン汁を口に含んだ時にトップに感じる強い苦味(ピーマン特有の苦味)
が抑えられているものである。
改質ピーマン汁が目指すべき指標は、クエルシトリン濃度及びビタミンB6濃度である
。改質ピーマン汁は、Brix10.0に換算したときのクエルシトリン濃度が11pp
m以下であることが好ましく、4ppm以下であることが好ましく、2ppm以下である
ことがより好ましい。この程度の濃度であれば、ストレート搾汁のBrixに還元して用
いた場合や様々な飲食品に配合した場合、ピーマン特有の苦味をほとんど感じないものと
なる。改質ピーマン汁は、Brix10.0に換算したときのビタミンB6濃度が0.2
mg/100g以上であることが好ましく、0.3mg/100g以上であることがより
好ましく、0.5mg/100g以上であることがさらに好ましい。この程度の濃度であ
れば、ビタミンB6の栄養訴求を行うことを目的とした場合、様々な飲食品への配合の幅
が広がる。Brix10.0に換算したときのクエルシトリン濃度及びビタミンB6濃度
は、測定したクエルシトリン濃度及びビタミンB6濃度をもとにBrix値の比率(10
/測定したBrix値)から算出すればよい。後述する原材料に用いられるピーマン汁に
おいても同様に算出すればよい。
改質ピーマン汁が目指すべき別側面の指標は、クエルシトリン減少率及びビタミンB6
残存率である。クエルシトリン減少率及びビタミンB6残存率の詳細は、後述する。改質
ピーマン汁は、クエルシトリン減少率が50%以上であることが好ましく、クエルシトリ
ン減少率が80%以上であることが好ましい。クエルシトリン減少率が50%以上、さら
に言うとクエルシトリン減少率が80%以上であれば、原材料となるピーマン汁からクエ
ルシトリンが除去されている。改質ピーマン汁は、ビタミンB6残存率が80%以上であ
ることが好ましい。ビタミンB6残存率が80%以上であれば、原材料となるピーマン汁
からビタミンB6が保持されている。
<ピーマン汁>
本製法及び本方法の原材料に用いられるピーマン汁に含まれるのは、少なくともクエル
シトリン及びビタミンB6である。当該ピーマン汁の苦味に関する官能特徴は、口に含ん
だ時にトップに感じる強い苦味である。
ピーマン汁は、ピーマンの搾汁(ストレート搾汁)、その濃縮汁(ピューレ、ペースト
)及び濃縮汁の還元汁、並びにそれらの加工汁が挙げられる。搾汁及び濃縮の詳細な説明
のため、本明細書に取り込まれるのは、最新果汁・果実飲料辞典(社団法人日本果汁協会
監修)の内容である。
ピーマン汁の原材料に用いられるピーマンは、クエルシトリン及びビタミンB6が含ま
れていればよく、あらゆる品種のピーマンが適用可能であり、特に限定されない。例示す
ると、青ピーマン、赤ピーマン、黄ピーマン、オレンジピーマンなどである。中でもビタ
ミンB6を多く含むものがよく、赤ピーマン及び/又は黄ピーマンが好ましい。また、こ
れらのピーマンの産地や収穫時期も特に限定されない。
ピーマン汁は、これら各種ピーマンのうち1種単独で、又は2種以上の複数を組み合わ
せて製造されたものであってもよい。
ピーマン汁が目指すべき指標は、クエルシトリン濃度及びビタミンB6濃度である。ピ
ーマン汁は、Brix10.0に換算したときのクエルシトリン濃度が5ppmより高い
ことが好ましく、10ppmより高いことがより好ましい。この程度の濃度のピーマン汁
は、ピーマン特有の苦味を感じるものである。ピーマン汁は、Brix10.0に換算し
たときのビタミンB6濃度が0.3mg/100g以上であることが好ましく、0.4m
g/100g以上であることがより好ましく、0.6mg/100g以上であることがさ
らに好ましい。この程度の濃度であれば、得られる改質ピーマン汁は、ビタミンB6の栄
養訴求を行うことを目的とした場合、様々な飲食品への配合の幅が広がる。
<樹脂処理>
樹脂処理は、ピーマン汁に芳香族系合成吸着樹脂を処理することで行われる。ピーマン
汁のBrixは、樹脂との反応が行えればよく、特に限定されないが、30.0以下であ
ることが好ましい。Brixが高すぎると、食物繊維などの不溶性成分の増加や高粘度化
によって樹脂との反応が妨げられる。
芳香族系合成吸着樹脂は、芳香族化合物を主成分とする架橋共重合体であり、多孔質構
造を持たせたものである。芳香族化合物を例示すると、スチレンやジビニルベンゼンであ
る。芳香族系合成吸着樹脂は、1種単独で、又は2種以上の複数を組み合わせて用いても
よい。
芳香族系合成吸着樹脂は、市販品を用いることもでき、例示すると、ダイヤイオンHP
20、ダイヤイオンHP21、セパビーズSP825L、セパビーズSP850、セパビ
ーズSP700、セパビーズSP207及びセパビーズSP70(何れも商品名、三菱ケ
ミカル株式会社製)、アンバーライトXAD1180N、アンバーライトXAD2000
、アンバーライトXAD4、アンバーライトXAD−2、アンバーライトFPX66(何
れも商品名、オルガノ株式会社製)などである。市販品のなかでも、ダイヤイオンHP2
0及び/又はアンバーライトXAD1180Nが好ましい。セパビーズSP700でもよ
い。
芳香族系合成吸着樹脂は、クエルシトリンを効率的に吸着するために粒子状であること
が好ましい。この場合、芳香族系合成吸着樹脂の最頻度細孔半径は、90Å以上であるこ
とが好ましく、200Å以上であることが好ましく、250Å以上であることがより好ま
しく、90から290Åであることがさらに好ましく、250から290Åであることが
さらに好ましい。最頻度細孔半径が90Å以上、さらに言うと最頻度細孔半径が200Å
以上であると、クエルシトリンの吸着性が高く、十分にクエルシトリンが除去された改質
ピーマン汁を得ることができる。
樹脂処理の手段は、ピーマン汁に芳香族系合成吸着樹脂を接触処理すればよく、特に限
定されない。例示すると、ピーマン汁に樹脂を投入し、撹拌又は浸透しながら反応させた
後、遠心分離や濾過などで樹脂を除去し、改質ピーマン汁を得る方法や樹脂を充填したカ
ラム等の固相にピーマン汁を通液しながら反応させ、改質ピーマン汁を得る方法などが挙
げられる。
樹脂処理の反応時間は、クエルシトリンが十分除去できる条件であれば特に限定されな
いが、微生物制御の観点から2時間以内であることが好ましい。樹脂処理の反応温度は、
クエルシトリンが十分除去できる条件であれば特に限定されないが、微生物制御の観点か
ら25℃以下であることが好ましい。
樹脂処理に供するピーマン汁の量と樹脂の量は、クエルシトリンが十分除去できる条件
であれば特に限定されないが、クエルシトリン1g含むピーマン汁に対して、樹脂300
0から12000gであることが好ましく、樹脂4000から12000gであることが
好ましい。処理に供する樹脂の量が少なすぎるとクエルシトリンが十分除去できなくなり
、多すぎると樹脂由来の香りが改質ピーマン汁に付与されてしまう。
樹脂処理は、樹脂処理されたピーマン汁のBrixを10.0に換算したときのクエル
シトリン濃度が11ppm以下となるように行われることが好ましく、4ppm以下とな
るように行われることが好ましく、2ppm以下となるように行われることがより好まし
い。この程度の濃度となるように処理されたピーマン汁は、ストレート搾汁のBrixに
還元して用いた場合や様々な飲食品に配合した場合、ピーマン特有の苦味をほとんど感じ
ないものとなる。
樹脂処理は、樹脂処理されたピーマン汁のBrixを10.0に換算したときのビタミ
ンB6濃度が0.2mg/100g以上となるように行われることが好ましく、0.3m
g/100g以上となるように行われることがより好ましく、0.5mg/100g以上
となるように行われることがさらに好ましい。この程度の濃度となるように処理されたピ
ーマン汁は、ビタミンB6の栄養訴求を行うことを目的とした場合、様々な飲食品への配
合の幅が広がる。
樹脂処理後、異物を除去する目的で、必要に応じてさらに濾過や遠心分離を行ってもよ
い。また、得られた改質ピーマン汁は、濃縮してもよい。濃縮の手段は、通常用いられる
方法であればよく、例示すると、蒸発濃縮、凍結濃縮、逆浸透膜濃縮などである。以上に
加えて適宜採用するのは、殺菌、冷却、及び充填である。これらの手段は、通常用いられ
る方法であればよく、例示すると、プレート式殺菌、チューブラー式殺菌方法等がある。
<クエルシトリン濃度>
クエルシトリン濃度の測定方法は、逆相カラムや順相カラムを用いたHPLC(高速液
体クロマトグラフィー)法である。定量は、クロマトグラム中におけるクエルシトリンの
ピークのピーク面積に基づいて算出される。
<ビタミンB6濃度>
ビタミンB6濃度の測定方法は、ビタミンB6要求株であるSaccharomyce
s cerevisiae ATCC 9080を用いた微生物定量法である。
<クエルシトリン減少率>
クエルシトリン減少率(%)は、樹脂処理によって除去されたクエルシトリンの割合を
示した値である。当該クエルシトリン減少率は、原材料となるピーマン汁のクエルシトリ
ン濃度と、樹脂処理後に得られたピーマン汁のクエルシトリン濃度から算出できる。具体
的には、樹脂処理前後のピーマン汁について、同一Brixにおけるクエルシトリン濃度
を算出し、その値をもとに下記式により算出できる。
[クエルシトリン減少率(%)]=([樹脂処理前ピーマン汁のクエルシトリン濃度]
−[樹脂処理後ピーマン汁のクエルシトリン濃度])/[樹脂処理前ピーマン汁のクエル
シトリン濃度]×100
<ビタミンB6残存率>
ビタミンB6残存率(%)は、樹脂処理によっても保持されたビタミンB6の割合を示
した値である。当該ビタミンB6残存率は、原材料となるピーマン汁のビタミンB6濃度
と、樹脂処理後に得られたピーマン汁のビタミンB6濃度から算出できる。具体的には、
樹脂処理前後のピーマン汁について、同一BrixにおけるビタミンB6濃度を算出し、
樹脂処理前の濃度を100%としたときの、処理後の濃度の割合を算出した値である。
<改質ピーマン汁の用途>
得られた改質ピーマン汁の用途は、飲食品である。飲食品は、特に限定されるものでは
ないが、好ましくは、各種飲料、調味料、ジュレ、ゼリー、ジャム、シャーベット等であ
る。
<ピーマン汁含有飲食品>
ピーマン汁含有飲食品は、飲食品であって、少なくとも、芳香族系合成吸着樹脂処理さ
れたピーマン汁を調合することで製造できる。また、他の原材料を調合してもよい。他に
調合される原材料としては、特に限定されないが、野菜や果実、各種添加物などである。
ピーマン汁含有飲食品の別の側面は、脱クエルシトリンピーマン汁を含むものである。脱
クエルシトリンピーマン汁とは、当該ピーマン汁のBrixを10.0に換算したときの
クエルシトリン濃度が11ppm以下、さらに言うと4ppm以下であるものである。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定さ
れるものではない。
<原材料>
原材料のピーマン汁には、市販の赤ピーマン濃縮汁(Brix36.0)を蒸留水でB
rix25.0に調整して用いた。当該ピーマン汁のBrixを10.0に換算したとき
のクエルシトリン濃度は、表1に、ビタミンB6濃度は、表2に示す。
<樹脂処理>
樹脂処理には、5種類の樹脂をそれぞれ用いた。用いた樹脂は、芳香族系合成吸着樹脂
であるダイヤイオンHP20(三菱ケミカル株式会社製)及びアンバーライトXAD11
80N(オルガノ株式会社製)、含水ケイ酸ゲルであるBRITESORB A100及
びBRITESORB PC5(何れもPQ Corporation社製)、強酸性陽
イオン交換樹脂であるダイヤイオンPK216(三菱ケミカル株式会社製)である。
Brix25.0に調整したピーマン汁とコンディショニング済みの樹脂を樹脂量体積
がピーマン汁に対して20%となるように混合し、樹脂が浮遊する程度の強さで撹拌しな
がら1時間反応させた。反応後の上清を目開き100から106μmの篩で濾過し、各樹
脂処理後のピーマン汁を得た。得られたピーマン汁は、Brixを調整後、クエルシトリ
ン濃度及びビタミンB6濃度の測定に供した。
<Brix>
Brixの測定は、屈折計(NAR−3T 株式会社アタゴ社製)を用いて行った。測
定時の品温は、20℃であった。
<クエルシトリン濃度>
原材料のピーマン汁(樹脂処理前のピーマン汁)及び各樹脂処理後のピーマン汁のクエ
ルシトリン濃度の測定方法は、以下に示した。蒸留水にてBrix10.0に調整した各
ピーマン汁2.0gをメタノールにて10mLに定容し、十分に抽出するために20分間
の超音波処理を行った。超音波処理後の溶液を0.20μmのPTFEフィルター(DI
SMIC−13HP ADVANTEC社製)で濾過し、HPLCに供するサンプルを得
た。得られたサンプルは、以下の条件でHPLC分析に供した。
装置:日立高速液体クロマトグラフChromaster(株式会社日立ハイテクノロ
ジーズ社製)
カラム:Mightysil RP−18 GP(5μm)〔固定相:シリカゲル、内
径:4.6mm×250mm、関東化学株式会社製〕
カラム温度:40℃
サンプル注入量:10μL
移動相:0.4%クエン酸含有(w:v)混合溶媒(超純水:アセトニトリル:2−プロ
パノール=190:36:4(v:v:v))
流速:1.0mL/min
検出波長:360nm
クエルシトリン濃度は、別途市販のクエルシトリン試薬から作成した検量線より求めたク
エルシトリン濃度と抽出に供したサンプル量から算出した。
<ビタミンB6濃度>
原材料のピーマン汁(樹脂処理前のピーマン汁)及び各樹脂処理後のピーマン汁のビタ
ミンB6濃度の測定は、一般財団法人日本食品分析センターにてSaccharomyc
es cerevisiae ATCC 9080を用いた微生物定量法にて測定した。
<クエルシトリン減少率及びビタミンB6残存率>
各樹脂処理によるクエルシトリン減少率及びビタミンB6残存率は、前述の方法により
算出した。
評価結果は表1及び表2のとおりである。表1及び表2の「‐」は、データ無を意味す
る。
表1が示すのは、樹脂処理前後のクエルシトリン濃度(ppm)及びクエルシトリン減
少率(%)である。表1によれば、芳香族系合成吸着樹脂の処理によって、クエルシトリ
ンは、80%以上の減少率を示した。一方、含水ケイ酸ゲルの処理では、クエルシトリン
をほとんど減少させることができなかった。また、イオン交換樹脂の処理による減少率は
、約50%程度であり、芳香族系合成吸着樹脂より劣っていた。
Figure 0006953363
表2が示すのは、樹脂処理前後のビタミンB6濃度(mg/100g)及びビタミンB
6残存率(%)である。表2によれば、芳香族系合成吸着樹脂を処理しても、ビタミンB
6は、80%以上の残存率を示した。一方、含水ケイ酸ゲルの処理では、約70%のビタ
ミンB6が残存していたが、芳香族系合成吸着樹脂にはその効果は劣っていた。また、イ
オン交換樹脂の処理による残存率は、50%以下であり、半分以上のビタミンB6が失わ
れていた。
Figure 0006953363
クエルシトリン減少率とビタミンB6残存率の両方が良好なのは、芳香族系合成吸着樹
脂の処理のみであった。つまり、ピーマン汁への芳香族系合成吸着樹脂の処理によって、
クエルシトリンが除去され、且つビタミンB6が保持されたピーマン汁を得ることができ
た。つまり、当該ピーマン汁は、改質ピーマン汁である。
各樹脂処理後のピーマン汁(蒸留水でBrix10.0に調整)の苦味に関する官能特
徴は、次のとおりであった。樹脂処理前のピーマン汁は、口に含んだ時にトップに強い苦
味を感じた。芳香族系合成吸着樹脂の処理によって得られたピーマン汁は、その苦味がほ
とんど感じられなかった。含水ケイ酸ゲルの処理によって得られたピーマン汁は、樹脂処
理前と比較してトップに感じる苦味の強度は全く変わらなかった。また、イオン交換樹脂
の処理によって得られたピーマン汁は、樹脂処理前と比較すると、トップに感じる苦味は
少なくなっているが、芳香族系合成吸着樹脂の処理によって得られたピーマン汁と比較す
ると、まだ十分に感じるものであった。
<実施例2>
Brix25.0に調整した赤ピーマン汁にコンディショニング済みのセパビーズSP
700(最頻度細孔半径90Å、三菱ケミカル株式会社製)を樹脂量体積がピーマン汁に
対して10%となるように混合し、前述の実施例と同様に反応させ、樹脂処理後のピーマ
ン汁を得た。樹脂処理前後のピーマン汁は、前述の実施例と同様の方法でクエルシトリン
濃度及びビタミンB6濃度を測定した。
樹脂処理前のピーマン汁のクエルシトリン濃度は、Brix10.0に換算したときの
値で10.0ppmであったのに対し、樹脂処理後には1.8ppmとなり、クエルシト
リン減少率は、82.0%であった。樹脂処理前のピーマン汁のビタミンB6濃度は、B
rix10.0に換算したときの値で0.57mg/100gであったのに対し、樹脂処
理後には0.49mg/100gとなり、ビタミンB6残存率は、86.0%であった。
また、官能的にも樹脂処理後のピーマン汁は、樹脂処理前のピーマン汁で感じる口に含ん
だ時のトップの強い苦味がほとんど感じられなかった。
<実施例3>
Brix25.0に調整した赤ピーマン汁にコンディショニング済みのセパビーズSP
700(最頻度細孔半径90Å、三菱ケミカル株式会社製)を樹脂量体積がピーマン汁に
対して7%となるように混合し、前述の実施例と同様に反応させ、樹脂処理後のピーマン
汁を得た。樹脂処理前後のピーマン汁は、前述の実施例と同様の方法でクエルシトリン濃
度及びビタミンB6濃度を測定した。
樹脂処理前のピーマン汁のクエルシトリン濃度は、Brix10.0に換算したときの
値で21.9ppmであったのに対し、樹脂処理後には、10.6ppmとなり、クエル
シトリン減少率は、51.6%であった。樹脂処理前のピーマン汁のビタミンB6濃度は
、Brix10.0に換算したときの値で1.01mg/100gであったのに対し、樹
脂処理後には0.92mg/100gとなり、ビタミンB6残存率は、91.1%であっ
た。また、官能的にも樹脂処理後のピーマン汁は、樹脂処理前のピーマン汁で感じる口に
含んだ時のトップの強い苦味がほとんど感じられなかった。
本発明が産業上の利用可能な分野は、ピーマン汁の製造方法及びピーマン汁の苦味除去
方法である。

Claims (20)

  1. ピーマン汁の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程であり、
    樹脂処理: ここで樹脂処理されるのは、ピーマン汁であり、この処理で用いられる樹脂が芳香族系合成吸着樹脂である。
  2. 請求項1の製造方法であって、
    前記ピーマン汁が赤ピーマン汁である。
  3. 請求項1又は2の製造方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が90Å以上である。
  4. 請求項1又は2の製造方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が200Å以上である。
  5. 請求項1又は2の製造方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が250Å以上である。
  6. 請求項1又は2の製造方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が90から290Åである。
  7. 請求項1又は2の製造方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が250から290Åである。
  8. 請求項1から7の何れかの製造方法であって、
    前記樹脂処理されたピーマン汁のBrixを10.0に換算したときのクエルシトリン
    濃度は、11ppm以下である。
  9. 請求項1から7の何れかの製造方法であって、
    前記樹脂処理されたピーマン汁のBrixを10.0に換算したときのクエルシトリン
    濃度は、4ppm以下である。
  10. ピーマン汁の苦味除去方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程であり、
    樹脂処理:ここで樹脂処理されるのは、ピーマン汁であり、この処理で用いられる樹脂が芳香族系合成吸着樹脂である。
  11. 請求項10の苦味除去方法であって、
    前記ピーマン汁が赤ピーマン汁である。
  12. 請求項10又は11の苦味除去方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が90Å以上である。
  13. 請求項10又は11の苦味除去方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が200Å以上である。
  14. 請求項10又は11の苦味除去方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が250Å以上である。
  15. 請求項10又は11の苦味除去方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が90から290Åである。
  16. 請求項10又は11の苦味除去方法であって、
    前記樹脂の最頻度細孔半径が250から290Åである。
  17. 請求項10から16の何れかの苦味除去方法であって、
    前記樹脂処理されたピーマン汁のBrixを10.0に換算したときのクエルシトリン濃度は、11ppm以下である。
  18. 請求項10から16の何れかの苦味除去方法であって、
    前記樹脂処理されたピーマン汁のBrixを10.0に換算したときのクエルシトリン濃度は、4ppm以下である。
  19. ピーマン汁含有飲食品の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程であり、
    調合:ここで調合されるのは、少なくとも、芳香族系合成吸着樹脂処理されたピーマン汁である。
  20. ピーマン汁であって、
    当該ピーマン汁のBrixを10.0に換算したときのクエルシトリン濃度は、4ppm以下である。

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