JP6952302B2 - 洗浄装置及び洗浄方法 - Google Patents
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Description
実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
図1に示すように、実施形態1に係る洗浄装置1はノズル10、電荷誘導素子11、及び、高電圧源12(電圧源の一例)を備えている。図1において洗浄対象物Wは液晶ディスプレイや半導体ウェハなどの電子デバイスである。
ここで、実施形態1では洗浄水として比抵抗値が15MΩ・cm以上の純水(所謂超純水)を用いるものとする。比抵抗値は水の純度の指標となるものであり、値が大きいほど純度が高くなる。なお、洗浄水として用いる水の比抵抗値はこれに限られるものではなく、電子デバイスWの特性などに応じて適宜に決定することができる。
図2に示すように、電荷誘導素子11はポリアセタールなどの絶縁性の樹脂によって円筒状に形成されている絶縁部11A、絶縁部11Aの内周面に接着されている筒状の電極11B(電極の一例)、及び、絶縁部11Aの外周面に接着されている筒状の電極11Cを備えている。電極11Bは高電圧源12に接続されており、電極11Cは接地(アース)されている。なお、電極11B及び電極11Cは例えば絶縁部11Aの内周面や外周面に張り付けたアルミ箔であってもよい。
本願発明者は、比抵抗値が5MΩ・cmの純水をノズル10から噴射し、液滴に帯電する電荷量(pC:ピコクーロン)を計測する実験を行った。
ここでは先ず、図3を参照して、上述した実験を行った実験環境について説明する。上述した実験では、本願発明者はファラデーケージ20(計測装置の一例)を用いて電荷量を計測した。ファラデーケージ20は内側に配されている金属製の容器21と外側に配されている金属製の容器22とを備えており、内側の容器21と外側の容器22とがコンデンサとして機能する。
図4に示すように、電圧が0kVのとき液滴は正に帯電していた。そして、電圧が−20kVに近くなるほど正の電荷量が多くなり、+20kVに近くなるほど正の電荷量が減少するという結果となった。つまり、液滴自体は正に帯電しているが、電荷誘導素子11によって液滴に正の電場(あるいは電界)を与えると液滴に帯電している正の電荷が0kVのとき(すなわち従来)より減少することが実験によって確認された。正の電場を与えると正の電荷が減少する理論的な理由は現時点では明らかではないが、上述した実験結果は再現性のあるものであり、複数回の実験を行っても同様の結果となった。
なお、ここでは純水の比抵抗値として5MΩ・cmを例に説明したが、比抵抗値が5MΩ・cmより大きくても同様の結果になると推定される。
洗浄装置1を用いた洗浄では、高電圧源12によって電極11Bに電圧が印加される(電圧印加工程)。前述したように液滴の電荷量を安定して減少させるためには0kVより大きく+10kV以下の範囲で電圧を印加するのが望ましいといえるので、本実施形態に係る洗浄装置1は0kVより大きく+10kV以下の範囲で電極11Bに電圧を印加する。より具体的には、前述したように電圧が+10kVに近いほど電荷量は少なくなるので、洗浄装置1は+8kV〜+10kVの範囲で電極11Bに電圧を印加する。
以上説明した実施形態1に係る洗浄装置1によると、高電圧源12によって電極11Bに正の電圧を印加するので、ノズル10から噴射された純水が微粒化した液滴に正の電場(あるいは電界)を与えることができる。これにより、液滴に帯電する電荷量を従来に比べて減らすことができ、もって電子デバイスWに影響を与える静電気障害を抑制することができる。このため、従来に比べてより多くの洗浄プロセスにおいて純水を洗浄水として使用することが可能となる。また、従来と同じ洗浄プロセスにおいても噴射圧力をより高くすることが可能となり、洗浄効果を向上させることができる。
次に、実施形態2を図5によって説明する。
前述した実施形態1では洗浄水のスプレーパターンがストレート状であり、電荷誘導素子11が筒状である場合を例に説明した。これに対し、実施形態2では他のスプレーパターンとそれに対応する電荷誘導素子の例について説明する。
パターン2はノズル30のスプレーパターンがコーン状(言い換えると円錐状)である。パターン2に対応する電荷誘導素子11は実施形態1に係る電荷誘導素子11と同じであり、噴射された洗浄水が内側を通過するように配されている。
パターン4のノズル40及び電荷誘導素子41はパターン3と同じものである。ただし、パターン4では電極41Bが接地されており、他方の電極41Aのみに電圧が印加される。なお、パターン4では電極41Bは設けられていなくてもよい。
次に、実施形態3を図6によって説明する。
前述した実施形態1では洗浄水として純水そのものを用いる場合を例に説明した。これに対し、図6に示すように、実施形態3では洗浄水として洗浄機能を有する機能水を用いる。洗浄機能を有する機能水としては、例えば純水に二酸化炭素(CO2)を混入させた炭酸水や、純水にアンモニアを添加した後に電気分解したアンモニア水素水、純水にオゾンガスを溶解させたオゾン水などを用いることができる。
次に、実施形態4を図7によって説明する。
実施形態4は実施形態1〜3の変形例である。ここでは実施形態1の変形例として説明する。図7に示すように、実施形態4に係る洗浄装置2は実施形態1に係る洗浄装置1の構成に加えて制御部50、及び、実施形態1で説明したファラデーケージ20を備えている。制御部50はファラデーケージ20の電圧計測回路23に接続されているとともに、高電圧源12に接続されている。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
Claims (5)
- 洗浄水を噴射するノズルと、
筒状の絶縁部、前記絶縁部の内側に配されている筒状の第1の電極、及び、前記絶縁部を外側から囲むように配されている筒状の第2の電極を有する電荷誘導素子であって、噴射された前記洗浄水の飛行経路を囲むように前記第1の電極が配されており、前記第2の電極が接地されている電荷誘導素子と、
前記第1の電極に正の電圧を印加する電圧源と、
を備える洗浄装置。 - 請求項1に記載の洗浄装置であって、
前記洗浄水の飛行経路の形状はコーン状又はストレート状である、洗浄装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置であって、
前記洗浄水は洗浄機能を有する機能水である、洗浄装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の洗浄装置であって、
噴射された前記洗浄水が微粒化した液滴の電荷量を計測する計測装置と、
前記計測装置によって計測された電荷量が目標範囲内となるように、前記電圧源から前記第1の電極に印加される電圧をフィードバック制御する制御部と、
を備える洗浄装置。 - ノズルから洗浄水を噴射する噴射工程と、
筒状の絶縁部、前記絶縁部の内側に配されている筒状の第1の電極、及び、前記絶縁部を外側から囲むように配されている筒状の第2の電極を有する電荷誘導素子であって、噴射された前記洗浄水の飛行経路を囲むように前記第1の電極が配されており、前記第2の電極が接地されている電荷誘導素子の前記第1の電極に正の電圧を印加する電圧印加工程と、
を含む洗浄方法。
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