JP2013089285A - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘電体バリア放電方式で被処理体に効率良くプラズマを照射する。
【解決手段】複数のアンテナ電極2と複数のアース電極3とを電極軸の径方向に誘電体4を介して交互に配置して形成されるプラズマ電極1と、前記アンテナ電極に電圧を印加する高周波印加電源5とを備え、前記プラズマ電極と対向するように配置された導電性の被処理体7にプラズマを照射するプラズマ処理装置において、前記アース電極はアースに接続されると共に前記被処理体と電気的に接続され、前記被処理体と前記アースとの間の抵抗がプラズマの浮遊電位に基づき定められる値よりも小さいことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のアンテナ電極2と複数のアース電極3とを電極軸の径方向に誘電体4を介して交互に配置して形成されるプラズマ電極1と、前記アンテナ電極に電圧を印加する高周波印加電源5とを備え、前記プラズマ電極と対向するように配置された導電性の被処理体7にプラズマを照射するプラズマ処理装置において、前記アース電極はアースに接続されると共に前記被処理体と電気的に接続され、前記被処理体と前記アースとの間の抵抗がプラズマの浮遊電位に基づき定められる値よりも小さいことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
プラズマを被処理物に照射する技術は、これまで半導体製造用のエッチングや化学気相蒸着あるいは物理蒸着による成膜、さらに機械部品等のコーティングに応用されてきた。これらの処理は一般に真空チャンバーを用いて減圧状態でプラズマを生成する方式である。一方、近年、大気圧あるいは大気圧に近い減圧下でプラズマを生成する技術検討が進んでいる。
例えば、特許文献1には大気圧の反応容器内に反応ガスを還流させ、該容器内に面状のプラズマを形成し被処理体に近接させてプラズマを照射する装置が記載されている。また、特許文献2には、大気圧雰囲気下において、電極体と保持電極との間に炭化水素ガスを含む原料ガスを供給し、電極体と保持電極の間に直流バイアス電圧を発生させながら、交流電圧を印加して電極と保持電極に保持された基材の表面との間でグロー放電プラズマを発生させて、基材の表面に非晶質硬質炭素膜の成膜を行う方法が記載されている。
大気圧プラズマは、パッシェン(Paschen)の法則からわかるように雰囲気圧力が高くなると電極間隔が狭くなり、安定した均一なグロー放電の範囲が狭くなる。また、大気圧プラズマでは、プラズマ中で生成されたイオンやラジカルの平均自由行程が短いため、被処理体とプラズマの距離を短くする必要がある。一般に大気圧グロー放電装置はプラズマ放電電圧を印加するアンテナ電極とアース電極の対で構成され、アンテナ電極とアース電極の間に誘電体膜を挿入して異常放電を抑制する誘電体バリア放電方式が用いられている。誘電体バリア放電方式には、アンテナ電極とアース電極を同一面に配置して電極のみでプラズマ放電を生成する方式と、被処理体をアース電極としてアンテナ電極と対向させる方式がある。
電極のみでプラズマを生成する場合には、被処理体の処理に必要なプラズマ密度が得られる範囲に被処理体の表面を保持する必要があり、被処理体の表面と電極の距離は、大気圧下のアルゴン雰囲気ではおよそ0.5mmである。また、被処理体がアース電極を兼ねる場合では、例えば大気中の交流2kVでおよそ0.5mmであり、距離が遠くなるとプラズマが消失するため放電電圧を高くする必要がある。
したがって、大気圧プラズマ、特に誘電体バリア放電方式で被処理体に照射する際は、被処理体と電極の距離を非常に近くする必要があるため、被処理体を設置し難いという課題があるが、上記特許文献のものでは十分に考慮されていない。
本発明の目的は、誘電体バリア放電方式で被処理体に効率良くプラズマを照射することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、複数のアンテナ電極と複数のアース電極とを電極軸の径方向に誘電体を介して交互に配置して形成されるプラズマ電極と、前記アンテナ電極に電圧を印加する高周波印加電源とを備え、前記プラズマ電極と対向するように配置された導電性の被処理体にプラズマを照射するプラズマ処理装置において、前記アース電極はアースに接続されると共に前記被処理体と電気的に接続され、前記被処理体と前記アースとの間の抵抗がプラズマの浮遊電位に基づき定められる値よりも小さいことを特徴とする。
また、複数のアンテナ電極と複数のアース電極とを電極軸の径方向に誘電体を介して交互に配置してプラズマ電極を形成し、前記プラズマ電極と対向するように導電性の被処理体を配置し、前記アンテナ電極に電圧を印加して前記被処理体にプラズマを照射するプラズマ処理方法において、前記アース電極をアースに接続すると共に前記被処理体と電気的に接続し、前記被処理体と前記アースとの間の抵抗をプラズマの浮遊電位に基づき定められる値よりも小さくなるように制御することを特徴とする。
本発明によれば、誘電体バリア放電方式で被処理体に効率良くプラズマを照射することができる。
本発明のプラズマ電極は、該電極だけで誘電体バリア放電によるプラズマを発生させる。実施例として用いた高周波印加電源は、周波数10k〜500kHzの交流で、印加電圧の振幅は最大10kVで、出力電力は最大10Wである。
電極の例として樹脂被覆電線をアンテナ電極とし、被覆しない導線をアース電極として電極の軸の径方向に交互に密に配列する。例えば樹脂被覆電線は、直径0.25mmの銅線にテフロン樹脂を厚さ0.1mmで被覆し、アンテナ電極線とする。樹脂被覆は誘電体膜となり、アンテナ電極とアース電極間の電流を抑制し安定なグロープラズマを維持するために必須である。一方、アース電極は直径0.5mmの銅線あるいは錫めっき線とした。アンテナ電極線をアース電極線とともに交互かつ平面に配列する。円筒外周放電型のプラズマ電極の場合、任意の直径の丸棒の外周にアンテナ電極線とアース電極線を交互に密に巻きつけた。高周波印加電源の出力3Wではアンテナ電極線の長さはおよそ30cmとした。電極線が短いと電源出力は少なくできるが、プラズマ放電の面積が狭くなる。電極線が長いとプラズマ放電のための電力が増大する。
本発明のプラズマ電極は上記の電線を用いるものだけでなく、アンテナ電極とアース電極の間が絶縁耐圧2kV程度以上の誘電体膜で絶縁されていればよく、アンテナ電極とアース電極の中心間隔が0.1mm以上1mm以下であればよい。0.1mm未満ではプラズマの厚さが電極中心間隔の2倍程度で薄く、1mmを超えるとプラズマが電極間にのみ発生し電極中央にプラズマの発生しない部分ができるためである。ただし、被処理体の表面に要求される処理パターンにより電極形状は可変であり、本条件に限定されない。さらに、アース電極は連続した基板としてもよく、たとえば螺旋状の溝を形成した筒をアース電極とし、誘電体で絶縁したアンテナ電極線を螺旋状の溝に挿入することもできる。
基材とアース電極もしくはアース間の電気抵抗をプラズマ照射面積に反比例して許容する値以下にする。抵抗の許容する値は、プラズマ電位の探極測定法において浮遊電位をイオン電流で割った値以下とする。
また、アンテナ電極とアース電極を隙間なく配置するだけでなく、アンテナ電極とアース電極の間に隙間を設け、該隙間から作動ガスや反応気体もしくはそれら混合気体を流出させることも可能である。さらに、プラズマ電極には、プラズマ点火のための補助電極(トリガー)を付加してもよい。
以下、プラズマ電極は上記のアンテナ電極とアース電極により構成されたものを用いた実施例を図面を用いて説明する。
本実施例では、被処理体をアースに接続してプラズマ電極に対抗させ、プラズマ照射により被処理体の表面処理および被処理体表面に被膜を形成する例を説明する。図1は本実施例の装置構成図の例である。
プラズマ電極1は、アンテナ電極2とアース電極3を交互等間隔に配置し、アンテナ電極2の表面は誘電体4を被覆した。プラズマ放電面は幅2mm、長さ10mmの長方形とし、電極のプラズマ放電面の反対側は樹脂で空間を埋めプラズマが片側のみに放電するようにした。アンテナ電極2とアース電極3に高周波印加電源5を接続した。アース電極3と高周波印加電源5の回路のアース側は地面に接地した。被処理体7は、保持台に載せてプラズマ電極1に近接させるが、保持台とは絶縁しておき被処理体7と接地アース10を直接接続した。図1の可変抵抗9はこのときの配線抵抗を模擬的に表している。被処理体7と接地アース10の間の配線抵抗の値を検討するために可変抵抗9を挿入した。図1の可変抵抗9は実験用に挿入した可変抵抗9および被処理体7と接地アース10の間の配線抵抗を合わせた値として検討した。被処理体7のプラズマ照射側表面には不可避的汚染物や金属不導体などの膜8がある。また、膜8は樹脂やセラミックスであってもよく、被処理体7の表面に塗布された有機金属や有機物、金属塩などの化合物でもよい。これらの膜8はプラズマ照射によって改質され、絶縁膜や硬質膜が形成される。この膜8の形成状況を調べプラズマ照射の効果を比較検討した。
プラズマ電極1に対向して導電性の被処理体7を設置し、該被処理体7をアース電極3と同電位になる接地アース10に接続する。被処理体7と接地アース10間の総配線抵抗Rは、プラズマ照射面から被処理体7に流れる電流により被処理体7の電圧が上昇しても、プラズマの浮遊電位を超えない範囲とする。浮遊電位以上ではイオンが表面に作用しなくなり、被処理体7の絶縁性不動体膜の表面に電子、電荷が蓄積するためプラズマが反発し照射効果が期待できなくなるためである。
プラズマ電極1と被処理体7を大気圧のアルゴンガス雰囲気中に設置した。高周波印加電源5からプラズマ電極1に印加する電圧は、周波数30kHz、電圧振幅1.2kVとした。プラズマ放電したプラズマ電極表面から0.5mm離れた面に被処理体7の表面をプラズマ電極面と平行に設置し、被処理体7から接地アース10に流れる電流を測定した。電流は被処理体7から接地アース10に向かって流れ、略1μAであった。電流は、可変抵抗9を大きくするに従い減少し、配線抵抗を含む抵抗値が500kΩを超えると電流は検出できなくなった。アンテナ電極2とアース電極3を対にするプラズマ電極1によるプラズマの浮遊電位はおよそ50Vで、バイアスを印加しない場合のイオン電流は0.1A/m2である。この場合、被処理体7の電位を浮遊電位の特に1%以下にすることでイオンを確実に被処理体7の表面に作用させることができると本願発明者らは実験により見出した。すなわち、総配線抵抗R(Ω)とプラズマ電極の照射面積(m2)の積が0.5以下であることが望ましい。
誘電体バリア放電において、交流電圧を用いる場合は被処理体の電位は平均して中立になるが、プラズマの状態も同時に変化する。すなわち、プラズマ中の正イオン衝突や電子の流入などによる電荷の受け渡しが行われるため、被処理体が接地されていない場合は電荷の蓄積により被処理体表面が中立になるようにプラズマが被処理体から遠のいてしまう。したがって十分な照射効果が得られない。本実施例では、被処理体を確実に接地し被処理体基材に電荷が蓄積しないように配慮することが有効であることを確認した。
さらに、テトラメチルオルソシリケート(TMOS)に水を等量混合した液を予め被処理体表面に塗布し、プラズマ照射し反応を検討した。塗布した膜8にプラズマが作用するとオゾンが発生することから、プラズマ照射の有効性はオゾン発生濃度から類推することができる。被処理体7を接地しない場合は、膜8から発生するオゾン濃度は最大0.01ppmと少なかった。一方、被処理体7を接地し配線抵抗3Ωの場合、発生するオゾン濃度は0.07ppmに上昇した。このことからも被処理体7を確実に接地することが、プラズマを被処理体表面への照射効果向上に有効であることが明らかである。
金属等の導体に液体を塗布した表面を処理する場合、プラズマ照射により液体の流動や蒸発あるいは反応生成物の帯電が発生し、照射されるプラズマの密度が減少もしくは不均一になり易い。しかし、本実施例によれば被処理体表面へ十分なプラズマ密度で安定して照射することができるので照射効率が良い。
被処理体7を接地アース10に接続する際は、配線抵抗は可能な限り低くする必要があり、本実施例での不可避的抵抗は最低3Ωであった。許容する配線抵抗はプラズマ放電の面積または被処理体7に照射されるプラズマ放電の面積と、被処理体の電流から算出することができるが、この抵抗は可能な限り小さくすることが望ましい。配線抵抗は被処理体と配線の締結や接触および接地アース10までの配線材の抵抗を含んでいる。
また、大気圧プラズマの照射面積を広げるには、電極を被処理体に倣って面状に拡大して被処理体との距離を広範囲に一定に維持することが必要である。被処理体がアース電極を兼ねている方式では、プラズマ密度は電極と被処理体の距離が近い部分で高くなるため、被処理体の表面形状が複雑または面粗さが大きく不均一になると局部的な異常放電が発生し、処理が不均一になり易い。しかし本実施例のように、電極のみでプラズマを生成する方式では、電極形状およびプラズマは被処理体の表面形状に倣って形成でき、異常放電を抑制できるので、均一に処理し易い。
本実施例では実施例1の被処理体の処理方法に加えて、被処理体に電流を流れやすくした装置の例を説明する。図2は、実施例2におけるプラズマ処理装置を示す構成図の例である。図1のプラズマ処理装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
図2において被処理体7と接地アース10の間に、被処理体に電圧を印加する電源(電圧印加電源)11として直流電源を挿入する。図7は、プラズマ照射中に被処理体電圧Vpを変化させたときの被処理体7から電圧印加電源11の間に流れる被処理体電流Ipの変化を測定した結果である。被処理体電流は、被処理体電圧が負の時には被処理体7から電圧印加電源11に向かって電流が発生する。被処理体電圧が−100Vよりも小さくなると、被処理体7とプラズマ電極1の間に断片的な放電が発生し、プラズマが不安定になるため、−100V以上0V以下が望ましい。
被処理体7に正の電圧を印加すると、被処理体7から電圧印加電源11に向かう負の電流は徐々に減少し、プラズマの浮遊電位Vfでは電流は流れなくなる。さらに電圧を高くすると、被処理体7からプラズマに向けて電流が流れるようになる。ここで、見かけ上電流がプラズマから被処理体7を通り電圧印加電源11に流れる電流は、プラズマ放電中の正イオンが被処理体7の表面に照射されていることを意味している。なお、この測定での電圧印加電源11の内部抵抗は8kΩであるが、被処理体7の電圧がゼロの時でも被処理体電流が得られている。
プラズマ電極1から被処理体7側に発生させるプラズマは、被処理体7の電位をアース以下に制御することで、導電性の被処理体7に電場が拡大し、プラズマの厚さが増え照射に有効な距離が拡大する。このため被処理体7の配置精度が緩和され、プラズマ電極1表面からの有効距離は被処理体7の電位を制御する前の2倍以上に拡大する。つまり、プラズマの有効距離は、制御しないときは0.5〜0.8mmであったが制御により0.5〜1.5mmになる。さらに、被処理体7の材質を選ばず安定なプラズマが得られ、照射効果も向上する。
実施例1と同様、被処理体7表面にTMOSと水の混合液を塗布してプラズマ照射によるオゾンの発生を調べたところ、被処理体7の電圧が負に大きくなるほど発生するオゾンの濃度は増大した。したがって、実施例1のように被処理体7をアース接地することに加え、被処理体7に負の電圧を印加することが、プラズマ照射効果を向上させることを確認できる。
本実施例では、プラズマ電極1の面積が広くなり雰囲気ガス(反応ガス)12が被処理体7の表面に供給されにくくなった場合や、処理範囲が小さいプラズマ処理装置の例を説明する。なお、前述の実施例において既に説明した同一符号を付された構成と同一の機能を有する部分については説明を省略する。
図3(A)は、誘電体膜4に被覆されたアンテナ電極2とアース電極3との間に、雰囲気ガス12が通過できる程度(例えば0.2mm程度)の隙間を設けたプラズマ電極1とし、被処理体7に雰囲気ガス12を吹き付ける構成を示す。被処理体7とアース電極3間の電位差を調整する電源もしくは配線抵抗を含む抵抗13が、被処理体7と設地アース10の間に挿入される。これは実施例1および実施例2で説明した可変抵抗9および電圧印加電源11とおなじ機能である。電極のみで放電する誘電体バリア放電方式であれば、被処理体7を近接してプラズマを照射する際に、被処理体7を接地するか被処理体7に負の電圧を印加することで有効にプラズマ照射効果を得ることができる。
図3(B)はプラズマ電極がトーチ31であり、芯線上のアンテナ電極32と、内面に誘電体膜34が形成された円筒状のアース電極33で構成される。一対のアンテナ電極32とアース電極33はプラズマが発生する側の円筒端部が同一面内に配置されている。アンテナ電極32へ交流電圧を印加することで、筒状のアース電極33および筒状の誘電体膜34の内部にプラズマを発生させる。雰囲気ガス12は筒の中に送られ、プラズマ空間を通り、被処理体7にプラズマジェットとして照射される。
図3(B)のトーチ31においても、被処理体7を接地アース10に接続すること、あるいは被処理体7に負の電圧を印加することで、プラズマジェットの被処理体表面へのイオン衝撃を有効にすることができる。
大気圧の雰囲気ガス12中において、予め電極のみで誘電体バリア放電によりプラズマ放電させておく場合、該プラズマを照射する被処理体47をアースに接地するか負の電圧を印加することで、プラズマを被処理体47に近づけることができるので、プラズマ照射に有効なプラズマ電極41と被処理体47表面の距離を長くすることができると同時に、装置内に被処理体47を設置し易くすることができる。したがって、被処理体47を雰囲気を制御する容器で囲み収納して高精度に固定する必要がなくなる。本実施例では、大型の被処理体47の表面の一部分に、部分的にプラズマ照射が行えるプラズマ処理装置の構成例を説明する。
図4は実施例4における大型部品の処理装置構成図の例を示す。大型の被処理体47のうちプラズマ処理される部分は、雰囲気ガス12を封入する容器42と被処理体47との隙間を塞ぐためのシール49で囲まれる。容器42内の空間には流入口から雰囲気ガス12を充填し、流出口から排出することで雰囲気ガス12を還流させる。プラズマ電極41はアンテナ電極とアース電極とを交互に配置した略平面形状に形成し、被処理体表面と略等距離の位置となるよう容器42内に設置する。高周波印加電源のアース電極は接地され、被処理体47をアース電極と共通の接地アースに接続する。もしくは被処理体47を予め周囲と絶縁した上で、電圧印加電源13に接続する。容器42と被処理体47はシール49によって絶縁されていることが望ましい。被処理体47の処理部表面には汚れあるいは塗布した膜などの処理対象となる膜48がある。
本実施例4のプラズマ処理装置によれば、従来チャンバーなどの容器に収納できない大型部品や、製品が使用されている様々な環境に置いたまま、プラズマ処理装置を装着して補修などの処理を行うことができ、例えば面精度0.5mm以内まで均一処理が可能である。
大気圧プラズマ処理は、大型部品の部分処理や補修への応用が期待されており、本発明によれば電極と被処理体との距離を広げることができるので、効率良くプラズマが照射されるように被処理体を設置することができる。また、プラズマの照射効果が得られる範囲を拡大できるので、装置の簡便化が図れる。
本実施例では、被処理体が平面であるだけでなく、棒状の部品の外周を処理する装置の例を説明する。図5は棒状の部品を被処理体57としたときの装置構成例の斜視図である。棒状の被処理体57は予めアースもしくは負の電圧を印加しておく。プラズマ電極51の内面の輪郭は、被処理体57のある軸と直交する方向に切断したときの断面形状に相似で、被処理体57の外周表面(側面)と所定の隙間を介して一周囲うように形成する。本実施例での被処理体57は隙間は片側0.5〜1.5mmに保持すればよいが、例えば本実施例での隙間は1mmとする。プラズマ電極51に高周波電圧を印加することで、棒状の被処理体表面にプラズマを照射する。プラズマ照射に際しては、プラズマ電極51と被処理体57が接触しないように平均隙間の半分程度の絶縁体スペーサーを挿入しておいても良い。本実施例では被処理体57の電位を制御することで、制御しない場合よりもプラズマ電極と被処理体の有効距離が2倍拡大している。そのため、プラズマ電極51と被処理体57の位置決め精度を低くすることができ、処理装置を簡便化することができる。
本実施例では、実施例1〜実施例5の構成に加え、長尺の線材を被処理体とすることができる装置例について説明する。図6は導線あるいは被覆電線などの線材のプラズマ照射連続処理装置の例である。なお、被処理体67は線材に限らず、薄い平板状のものであってもよい。被処理体67は、巻き出しドラム68に巻きつけられており、予め被処理体67の端部を接地アース10もしくは電圧印加電源13に接続しておく。被処理体67は巻き出しドラム68から円筒内面放電型の円筒状のプラズマ電極61に向けて送り出される。次いで、被処理体67はプラズマ電極61の放電面と所定間隔を保ちながらプラズマ電極61の中を通ってプラズマ照射され、巻き取りドラム69によって回収する。
被処理体67の電位を制御しない場合、プラズマ電極61を通過する被処理体67の0.1mm程度の位置ずれによっても処理斑ができるのに対し、被処理体67の導体部を接地あるいは導体部に負の電圧を印加することにより、被処理体67の外周および長さ方向の全長にわたる表面を均一に処理することができる。
1、21、41、51、61 プラズマ電極
2、32 アンテナ電極
3、33 アース電極
4 誘電体膜(誘電体)
5 高周波印加電源
6 プラズマ
7 被処理体(基材)
8、48 膜
9 可変抵抗
10 接地アース
11 電圧印加電源
12 雰囲気ガス
13 抵抗
31 トーチ
34 誘電体膜
42 容器
47、57、67 被処理体
49 シール
68 巻き出しドラム
69 巻き取りドラム
2、32 アンテナ電極
3、33 アース電極
4 誘電体膜(誘電体)
5 高周波印加電源
6 プラズマ
7 被処理体(基材)
8、48 膜
9 可変抵抗
10 接地アース
11 電圧印加電源
12 雰囲気ガス
13 抵抗
31 トーチ
34 誘電体膜
42 容器
47、57、67 被処理体
49 シール
68 巻き出しドラム
69 巻き取りドラム
Claims (10)
- 複数のアンテナ電極と複数のアース電極とを電極軸の径方向に誘電体を介して交互に配置して形成されるプラズマ電極と、
前記アンテナ電極に電圧を印加する高周波印加電源とを備え、
前記プラズマ電極と対向するように配置された導電性の被処理体にプラズマを照射するプラズマ処理装置において、
前記アース電極はアースに接続されると共に前記被処理体と電気的に接続され、
前記被処理体と前記アースとの間の抵抗がプラズマの浮遊電位に基づき定められる値よりも小さいことを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1において、前記被処理体と前記アースとの間の抵抗と、前記プラズマ電極のプラズマ照射面積との積を0.5以下とすることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1において、前記被処理体に負の電圧を印加する電圧印加電源を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1において、前記アンテナ電極と前記アース電極との軸中心の間隔が0.1〜1mm、印加電圧振幅が5kV、周波数が10〜200kHzであることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1において、前記被処理体の一部を覆うと共に前記プラズマ電極を収納する空間を有する容器を備え、前記容器は前記空間に雰囲気ガスを充填又は貫流させる流入口と流出口とを備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1において、前記プラズマ電極は、前記被処理体の側面を所定の隙間を介して一周囲うように形成されることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 複数のアンテナ電極と複数のアース電極とを電極軸の径方向に誘電体を介して交互に配置してプラズマ電極を形成し、
前記プラズマ電極と対向するように導電性の被処理体を配置し、
前記アンテナ電極に電圧を印加して前記被処理体にプラズマを照射するプラズマ処理方法において、
前記アース電極をアースに接続すると共に前記被処理体と電気的に接続し、
前記被処理体と前記アースとの間の抵抗をプラズマの浮遊電位に基づき定められる値よりも小さくなるように制御することを特徴とするプラズマ処理方法。 - 請求項7において、前記被処理体の表面に、樹脂、有機物、セラミックス、有機金属、金属塩の少なくとも一種を設けた後にプラズマを照射することを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項7において、前記被処理体の一部を覆うと共に前記プラズマ電極を収納する空間を有する容器を備え、前記空間に雰囲気ガスを充填又は貫流させることを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項7において、前記プラズマ電極の放電面と所定間隔を保ちながら前記被処理体を連続的に通過させることを特徴とするプラズマ処理方法。
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JP2011225441A Pending JP2013089285A (ja) | 2011-10-13 | 2011-10-13 | プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 |
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JP (1) | JP2013089285A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6782952B1 (ja) * | 2019-05-08 | 2020-11-11 | 株式会社クメタ製作所 | プラズマ生成装置 |
WO2020226086A1 (ja) * | 2019-05-08 | 2020-11-12 | 株式会社クメタ製作所 | プラズマ生成装置 |
CN113181745A (zh) * | 2021-05-27 | 2021-07-30 | 长江师范学院 | 一种船舶尾气处理方法 |
WO2022075031A1 (ja) * | 2020-10-08 | 2022-04-14 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | プラズマ殺菌装置 |
WO2022201242A1 (ja) * | 2021-03-22 | 2022-09-29 | 株式会社Kokusai Electric | 電極、基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム |
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2011
- 2011-10-13 JP JP2011225441A patent/JP2013089285A/ja active Pending
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