JP6952077B2 - 難着雪リング及び難着雪リング付き送電線 - Google Patents
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Description
(1)複数本の素線を撚り合わせた電線の外周に装着され、電線着雪の発達を抑制する難着雪リングにおいて、前記難着雪リングは、前記電線の断面輪郭形状に応じた伸縮変形が可能な可撓部、および前記可撓部の両端からそれぞれ円弧状に延在し、対向する端部同士が連結可能な形状をもち、内周面に、前記電線と接触する複数の突起をもち、外周面に、円周方向に沿って延在する周溝を形成するとともに、前記周溝の溝底面から厚さ方向に貫通する貫通孔を形成し、前記端部同士を連結した状態で、前記可撓部とともに環状リングを形成する1対の円弧状部を有し、前記電線に装着される内側装着リングと、弾性材料からなり、前記内側装着リングの外周面に形成した前記周溝に沿って配設され、略C状の延在形状をもつ本体部、および前記本体部の両端から前記電線に向かう方向に延在する1対の内向き端部を有し、弾性力によって、前記本体部を前記内側装着リングの外周面に接触させるとともに、前記1対の内向き端部を、それぞれ前記内側装着リングに形成した前記貫通孔に挿入して前記電線に接触させ、前記内側装着リングおよび前記電線の双方に装着される外側装着リングとを備えた、内外2重リング構造で構成される、難着雪リング。
(2)前記弾性材料が金属材料である、(1)に記載の難着雪リング。
(3)前記弾性材料が樹脂材料である、(1)に記載の難着雪リング。
(4)前記外側装着リングは、前記内向き端部が、前記電線の外面を構成する、隣接する素線同士で形成される撚り溝の隙間に挿入されて、前記電線と接触するように装着される、(1)、(2)または(3)に記載の難着雪リング。
(5)前記外側装着リングは、前記内向き端部が先細り形状を有する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の難着雪リング。
(6)前記外側装着リングは、前記本体部が、前記内側装着リングの前記端部同士の連結位置を含む前記内側装着リングの半周以上を覆うように構成されている、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の難着雪リング。
(7)前記貫通孔は、前記1対の円弧状部にそれぞれ同じ数でかつ1個以上形成する、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の難着雪リング。
(8)前記貫通孔は、前記1対の円弧状部にそれぞれ異なる数でかつ1個以上形成する、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の難着雪リング。
(9)前記内側装着リングは、前記外側装着リングを装着した状態で、前記外側装着リングの外面位置が、前記周溝の溝壁高さ位置と同じであるか、または、前記溝壁高さ位置よりも前記溝底面側にある、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の難着雪リング。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の難着雪リングを、前記電線の外周に装着して得られた、難着雪リング付き電線。
{難着雪リング}
図1〜図4は、第1実施形態に係る難着雪リングを示したものであって、図1が(電線装着後の)難着雪リングの断面図、図2が図1に示す難着雪リングの斜視図、図3が(電線装着前の)内側装着リングの斜視図、そして、図4が(電線装着前の)外側装着リングの斜視図である。
第1実施形態に係る難着雪リング1は、図1乃至図4に示すように、内側装着リング11と外側装着リング13とを主として備え、これらの内側装着リング11および外側装着リング13によって内外2重リング構造で構成されている。この難着雪リング1は、複数本の素線(図1では7本の素線16、16、・・)を撚り合わせた電線17の外周に装着され、電線着雪の発達を抑制するために用いるものである。
内側装着リング11は、図1乃至図3に示すように電線17に装着されるためのものであって、図3に示すように、内側装着リング11は、可撓部8および1対の円弧状部10、10で主に構成されている。
可撓部8は、電線17の断面輪郭形状に応じた伸縮変形が可能なように形成されている。また、可撓部8の形状は、内側装着リング11を電線17に装着したときに、電線17の外形が真円ではなかったり、外径寸法が基準寸法とは多少異なっていた場合であっても、可撓部8が伸縮変形して内側装着リング11を電線17の外面に装着するのに適合するような形状であればよく、特に限定はしない。図3に示す可撓部8は、1対の円弧状部10、10ともに同一素材で一体的に形成されるとともに、1対の円弧状部10、10に比べて厚さが薄く、可撓部8を支点として内側装着リングの端部12、12同士が、嵌合および分離することが可能なように構成されている。
1対の円弧状部10、10は、可撓部8の両端からそれぞれ円弧状に延在し、対向する端部12a、12b同士が連結可能な形状をもっている。
外側装着リング13は、図4に示すように、本体部14、および1対の内向き端部15、15で構成され、弾性材料からなっている。
本体部14は、内側装着リング11の外周面に形成した周溝9に沿って配設され、略C状の延在形状をもっている。本体部14は、内側装着リング11を構成する1対の円弧状部10、10の端部12a、12b同士の連結位置を含む内側装着リング11の半周以上を覆うように構成することが好ましい。このように構成すれば、本体部14が内側装着リングの端部12a、12b同士の連結位置Pを覆って保護するとともに、内側装着リング11の半周以上を覆って内側装着リング11を十分に補強することができるので、例えば、難着雪リング1に大きな衝撃が作用したとしても、内側装着リング11を構成する1対の円弧状部の端部12a、12b同士の連結状態が解除されにくくなり、電線17に対する難着雪リング1の装着保持性能をより長期間にわたって維持することができる。
1対の内向き端部15は、本体部14の両端から電線17に向かう方向に延在するように形成されている。また、外側装着リング13が内側装着リング11および電線17に装着しているときに、外側装着リング13の内向き端部15が内側装着リング11の貫通孔5から容易に外れない程度のバネ性を有し、内向き端部15は形状を維持する。内向き端部15は、電線17の外面を構成する、隣接する素線16、16同士で形成される撚り溝G(図2参照)の隙間に挿入されて、内向き端部15が電線17の撚り溝Gの位置で固定されることから、電線17と接触するように装着される。これによって、外側装着リング13が、内側装着リング11だけではなく、内向き端部15によって電線17に直接装着されることになるため、難着雪リング1を電線17に対してより強固に装着することができる。また、内向き端部15は、バネ性によって電線17に向かう方向に延在している形状を維持しているため、外側装着リング13は、内側装着リング11および電線17に強固に装着される。
次に、本発明に従う第2実施形態の難着雪リング1Aについて説明する。なお、以下で説明する第2〜第4実施形態では、第1実施形態と重複する部分については、その説明を省略することとし、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。また、難着雪リングの構成要素は、第1実施形態と同一の構成要素については同じ符号を付すこととする。
上記の構成において、外側装着リング13aを内側装着リング11aに装着した状態で、外側装着リング13aの本体部14の外面は内側装着リング11aの外周から外方にはみ出さない。
次に、本発明に従う第3実施形態の難着雪リング1Bについて説明する。
図7は、第3実施形態の難着雪リング1Bを断面で示したものである。
図7に示す難着雪リング1Bは、内側装着リング11bと外側装着リング13bとを主として備える内外2重リング構造から構成され、内側装着リング11bの内周面が複数本の素線16を撚り合わせた電線17の外周に装着されて構成されている。
第1実施形態との相違点は、内側装着リングに設けた貫通孔5の位置と、外側装着リング13の本体部14の長さである。
すなわち、本実施形態に示す難着雪リング1Bは、内側装着リング11bを構成する1対の円弧状部10、10の中央部に、各1個の貫通孔5を設けるとともに、各貫通孔5に外側装着リング13bの内向き端部15を挿入して電線17の素線16の隙間に食い込ませて、内側装着リング11bの外周面に外側装着リング13bの本体部14を装着することにより、外側装着リング13bの本体部14が内側装着リング11bの略半周を覆うように構成されたものである。
このように構成された難着雪リング1Bは、外側装着リング13の使用量を抑えて、コストを削減することができる。また、外側装着リング13bの本体部14が内側装着リング11bを覆う周長が半周未満の場合、内側装着リング11bに対する外側装着リング13の把持力増加の効果が安定して得られないことがある。
次に、本発明に従う第4実施形態の難着雪リング1Cについて説明する。
図8は、第4実施形態の難着雪リング1Cを断面で示したものである。
図8に示す難着雪リング1Cは、内側装着リング11cと外側装着リング13cとを主として備える内外2重リング構造から構成され、内側装着リング11cの内周面が複数本の素線16を撚り合わせた電線17の外周に装着されて構成されている。
第1実施形態との相違点は、内側装着リング11cに設けた貫通孔5の数および位置と、内側装着リング11cの周溝9を覆う外側装着リング13cの本体部14の長さまたは外側装着リング13cの数である。
すなわち、本実施形態の難着雪リング1Cは、内側装着リング11cを構成する1対の円弧状部10、10のそれぞれの中央位置に貫通孔5aおよび5dを設け、該中央位置と連結位置Pとの中間位置に貫通孔5bおよび5cを設け、さらに、該中央位置と可撓部8との中間位置に貫通孔5eを設けて、合計5個の貫通孔を設けるとともに、外側装着リング13cを伸縮可能な材料で構成した形態を示したものである。図8では、外側装着リング13cを構成する1対の内向き端部15、15が、内側装着リング11cを構成する1対の円弧状部10、10のうち、両方の円弧状部10、10の各中央位置に設けた貫通孔5a、5dにそれぞれ挿入された態様の外側装着リング13cを実線で示し、また、外側装着リング13cをさらに伸長させて、その1対の内向き端部15、15のうちの一方が、一方の円弧状部10の中央位置に設けた貫通孔5aに挿入され、その他方が、他方の円弧状部10の中央位置と可撓部8との中間位置に設けた貫通孔5eに挿入された態様の外側装着リング13cを二点鎖線(仮想線)で示してある。なお、図8では、外側装着リング13cのうち、内側装着リング11cと重なる部分を実線で示し、重ならない部分を二点鎖線で示している。
このように構成された難着雪リング1Cは、内側装着リング11cを構成する1対の円弧状部10、10にそれぞれ2個以上の貫通孔、ここでは合計5個の貫通孔を設けることによって、外側装着リング13cを構成する1対の内向き端部15、15が挿入される、内側装着リング11cに形成した貫通孔を適宜選択することができ、これによって、電線17に対する装着保持力の調整や、装着作業性を容易にするなどの効果を奏することが可能である。
上述した実施形態の難着雪リングは、電線着雪の発達を抑制することが必要な各種電線に適用することができ、特に架空送電線に適用することが好適である。
本実施形態の難着雪リング1、1A、1B、1Cを電線17に装着する方法を説明する。なお、ここでは、難着雪リング1について説明するが、難着雪リング1A、1B、1Cについても基本的に同様である。図10に示すように、まず、内側装着リング11を電線17に被せて、内側装着リング11の内周面を電線17の外周に被せた後に、内側装着リング11の端部同士12a、12bにそれぞれ形成した嵌合溝4および係止突起部3を嵌合させて連結することにより、内側装着リング11を電線17に装着する。次に、外側装着リング13を、本体部14が内側装着リング11の外周面の周溝9に沿って内側装着リング11に嵌め込んでいき、最終的に1対の内向き端部15、15が内側装着リング11の貫通孔5に挿入され、内向き端部15、15が電線17の外面に接触し、これによって、外側装着リング13が内側装着リング11および電線17に装着されることによって、難着雪リング1の電線への装着が完了する。その際、図11に示すように、外側装着リング13の内向き端部15、15を、それぞれの貫通孔5、5から斜め方向に屈曲させて挿入して、斜め方向から素線16、16の撚り溝Gに食い込ませる構成を採用すれば、内向き端部15、15を素線16、16の隙間に、より確実に食い込ませることができる。この結果、電線17における外側装着リング13の保持力をより確実に向上させることができる。
例えば、図1に示す構造を有する実施例の難着雪リングは、図12に示す構造を有する従来例に比べて、外径許容差が下限である素線を用いた電線に対する装着保持力が100%以上向上した。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
2、2A、2B、2C 難着雪リング付き電線
3 係止突起部
4 嵌合溝
5、5a、5b、5c、5d、5e、5f、5−1、5−2、5−3、5−4、5−5、5−6 貫通孔
6 補強突起
7 環状突起
8 可撓部
9、9a 周溝
10 円弧状部
11、11a、11b、11c 内側装着リング
12a、12b 内側装着リングの端部
13、13a、13b、13c 外側装着リング
14 本体部
15、15a、15b、15c 内向き端部
16 素線
17 電線
30 係止突起
40 嵌合溝
50 切れ目
60 補強突起
70 環状突起
100 難着雪リング
110 可撓性リング
G 撚り溝
P 連結位置
Claims (10)
- 複数本の素線を撚り合わせた電線の外周に装着され、電線着雪の発達を抑制する難着雪リングにおいて、
前記難着雪リングは、
前記電線の断面輪郭形状に応じた伸縮変形が可能な可撓部、および
前記可撓部の両端からそれぞれ円弧状に延在し、対向する端部同士が連結可能な形状をもち、内周面に、前記電線と接触する複数の突起をもち、外周面に、円周方向に沿って延在する周溝を形成するとともに、前記周溝の溝底面から厚さ方向に貫通する貫通孔を形成し、前記端部同士を連結した状態で、前記可撓部とともに環状リングを形成する1対の円弧状部
を有し、前記電線に装着される内側装着リングと、
弾性材料からなり、前記内側装着リングの外周面に形成した前記周溝に沿って配設され、略C状の延在形状をもつ本体部、および前記本体部の両端から前記電線に向かう方向に延在する1対の内向き端部を有し、弾性力によって、前記本体部を前記内側装着リングの外周面に接触させるとともに、前記1対の内向き端部を、それぞれ前記内側装着リングに形成した前記貫通孔に挿入して前記電線に接触させ、前記内側装着リングおよび前記電線の双方に装着される外側装着リングと
を備えた、内外2重リング構造で構成される、難着雪リング。 - 前記弾性材料が金属材料である、請求項1に記載の難着雪リング。
- 前記弾性材料が樹脂材料である、請求項1に記載の難着雪リング。
- 前記外側装着リングは、前記内向き端部が、前記電線の外面を構成する、隣接する素線同士で形成される撚り溝の隙間に挿入されて、前記電線と接触するように装着される、請求項1、2または3に記載の難着雪リング。
- 前記外側装着リングは、前記内向き端部が先細り形状を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の難着雪リング。
- 前記外側装着リングは、前記本体部が、前記内側装着リングの前記端部同士の連結位置を含む前記内側装着リングの半周以上を覆うように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の難着雪リング。
- 前記貫通孔は、前記1対の円弧状部にそれぞれ同じ数でかつ1個以上形成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の難着雪リング。
- 前記貫通孔は、前記1対の円弧状部にそれぞれ異なる数でかつ1個以上形成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の難着雪リング。
- 前記内側装着リングは、前記外側装着リングを装着した状態で、前記外側装着リングの外面位置が、前記周溝の溝壁高さ位置と同じであるか、または、前記溝壁高さ位置よりも前記溝底面側にある、請求項1〜8のいずれか1項に記載の難着雪リング。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の難着雪リングを、前記電線の外周に装着して得られた、難着雪リング付き電線。
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