JP6950988B2 - 電動弁 - Google Patents

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Description

本発明は、弁室及び弁口(オリフィス)が設けられた弁本体と、リフト量に応じて前記弁口を流れる流体の流量を変化させる弁体とを備えた電動弁に係り、特に、ヒートポンプ式冷暖房システム等において冷媒流量を制御するのに好適な電動弁に関する。
この種の電動弁として、例えば特許文献1に所載のものが既に知られている。
図4は、前記した従来例の電動弁の要部及び流量特性を示している。図示従来例の電動弁は、弁室40a、弁座46a、及び該弁座46aに連なる弁口46が設けられた弁本体40と、弁座46aからのリフト量に応じて弁口46を流れる流体の流量を変化させる弁体14とを備え、弁体14は、例えば特許文献1等に所載の如くの、雄ねじ部が設けられたガイドブッシュ、雌ねじ部が設けられた弁軸ホルダ、及びステッピングモータ等で構成されるねじ送り式昇降駆動機構により、弁座46aに対して昇降せしめられる。
弁体14は、円筒面(昇降方向で外径が一定)からなるストレート部14sと、該ストレート部14sの下側(先端側)に連なる、リフト量に応じて弁口46を流れる流体の流量を変化させるための曲面部14bとを有する。曲面部14bは、先端に近づくに従って制御角(弁体14の中心軸線Oと平行な線との交差角)が段階的に大きくされた複数段(ここでは2段)の逆円錐台状のテーパ面部(上側テーパ面部14ba及び下側テーパ面部14bb)を有する。なお、曲面部14bとしては、先端に近づくに従って次第にその外周面の曲がり具合がきつく(曲率が大きく)なっている楕球状のもの(楕球面部)なども知られている。
一方、弁口46は、弁座46aに連なる円筒面(昇降方向で内径が一定)からなるストレート部46sと、該ストレート部46sの下側に連なる、下側に行くに従って内径が大きくされた円錐台面からなる拡径部46cとを有する。
この従来例の電動弁では、図4に示すように、前記ねじ送り式昇降駆動機構により、弁体14が弁座46aに対して昇降せしめられ、これによって、弁体14と弁座46aとの間の間隙(リフト量、弁開度)が増減されて、冷媒等の流体の弁口通過流量が調整される。また、弁体14が最下降位置(原点位置ともいい、モータに対する供給パルス数が0パルスとされる位置)にあるときに、弁体14と弁座46aとの間に所定の大きさの間隙が形成され、弁体14のストレート部14sと弁口46のストレート部46sとの間で所定量の通過流量(0パルス流量ともいう)が確保される。そのため、例えば弁座46aへの弁体14の喰いつきを防止するとともに、低流量域での制御性を確保できる。このように、弁体14が最下降位置(通常なら全閉状態となる)にあるときでも、弁座46aとの間に所定の大きさの間隙が形成されるタイプを、閉弁レスタイプと称する。
また、この種の電動弁としては、前記した閉弁レスタイプの電動弁のほか、図5に示すように、弁体14においてストレート部14sの上側に、弁座46aに着接する逆円錐台面からなる着座面部14aを設け、弁体14が最下降位置にあるときに、弁体14が弁座46aに着座する閉弁タイプのものなども既に知られている。
特開2017−180525号公報
しかしながら、例えば前記のような低流量制御(微小流量制御)を行う電動弁においては、弁口のストレート部と該弁口に挿通される弁体のストレート部との間の隙間が小さく(狭く)設定される。そのため、熱影響等によって弁座及び弁口が設けられた弁シートと弁体とが熱変形したときに、弁シートと弁体とが干渉するおそれがあり、弁体が動かなくなる(弁ロックする)、弁シートや弁体が傷付く、弁口を流れる流体の弁口通過流量のばらつきが大きくなる等の懸念があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、熱影響等による弁シートと弁体との干渉を回避し得て、動作性、耐久性、制御性を効果的に向上させることのできる電動弁を提供することにある。
上記する課題を解決するために、本発明に係る電動弁は、基本的に、弁口が設けられた弁シート及び前記弁口を介して冷媒が導入導出される弁室を有する弁本体と、リフト量に応じて前記弁口を流れる冷媒の流量を変化させる弁体と、前記弁体が一体的に形成された弁軸と、を備え、前記弁口に、円筒面からなる弁口側ストレート部が設けられ、前記弁体に、リフト量に応じて前記弁口側ストレート部に挿通される、昇降方向で外径が一定かつ前記弁口側ストレート部より小径の弁体側ストレート部が設けられ、前記弁シートの線膨張係数は、前記弁体の線膨張係数以上に設定されるとともに、前記弁体において前記弁体側ストレート部の先端側に、曲率ないし制御角が先端に近づくに従って連続的又は段階的に大きくされた曲面部が連設されており、前記弁口側ストレート部は、前記弁口における最狭部とされており、前記弁口側ストレート部と前記弁体側ストレート部との間で画成される開口面積は、前記弁体が前記弁口を通過するときに、昇降方向に垂直な断面で視て前記弁口と前記弁体との間で画成される開口面積のうちの最小面積とされており、前記弁体側ストレート部の軸線方向の寸法は、前記弁口側ストレート部の軸線方向の寸法よりも長く、前記弁体の最下降位置において、前記弁口との間に所定の大きさの間隙が形成されることを特徴としている。
更に好ましい態様では、前記曲面部は、1段もしくは複数段の逆円錐台面からなるテーパ面部を有する。
更に好ましい態様では、前記曲面部は、流量特性としてイコールパーセント特性あるいはそれに近似する特性を得られるように設計される。
別の好ましい態様では、前記弁体の最下降位置において、前記弁口側ストレート部と前記弁体側ストレート部との昇降方向でのラップ量は、0.05mm以上に設定される。
別の好ましい態様では、前記弁本体に設けられたキャンと、前記キャンに外装されたステータとをさらに有する。
本発明によれば、微小流量制御を行う電動弁において、弁シートの線膨張係数が弁体の線膨張係数以上に設定されるので、熱影響等によって弁シートと弁体とが熱変形したときに、弁シートの変形量(膨張量)が該弁シートに設けられた弁口に挿通される弁体の変形量(膨張量)より大きくなるため、熱影響等による弁シートと弁体との干渉を回避でき、動作性、耐久性、制御性を効果的に向上させることができる。
本発明に係る電動弁の一実施形態を示す縦断面図。 図1に示される電動弁の要部を拡大して示す要部拡大縦断面図。 弁口の口径(φD)と流路断面積比(A2/A1)との関係を示す図。 従来の電動弁の要部及び流量特性の一例を示す図。 従来の電動弁の要部及び流量特性の他例を示す図。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、各図において、部材間に形成される隙間や部材間の離隔距離等は、発明の理解を容易にするため、また、作図上の便宜を図るため、誇張して描かれている場合がある。また、本明細書において、上下、左右等の位置、方向を表わす記述は、図1の方向矢印表示を基準としており、実際の使用状態での位置、方向を指すものではない。
図1は、本発明に係る電動弁の一実施形態を示す縦断面図である。
図示実施形態の電動弁1は、例えばヒートポンプ式冷暖房システム等において冷媒流量を調整するために使用されるもので、主に、弁体14を有する弁軸10と、ガイドブッシュ20と、弁軸ホルダ30と、弁本体40と、キャン55と、ロータ51とステータ52とからなるステッピングモータ50と、圧縮コイルばね60と、抜け止め係止部材70と、ねじ送り機構28と、下部ストッパ機構29とを備える。
前記弁軸10は、上側から、上部小径部11と、中間大径部12と、下部小径部13とを有し、その下部小径部13の下端部に、弁口46を流れる流体(冷媒)の通過流量を制御するための弁体14が一体的に形成されている。
前記弁体14は、図1とともに図2を参照すればよく分かるように、上側(弁室40a側)から、弁軸10の下部小径部13より若干小径の円筒面(昇降方向で外径が一定)からなるストレート部(弁体側ストレート部)14sと、該ストレート部14sの下側(先端側)に連なる、弁座46aからのリフト量に応じて弁口46を流れる流体の流量を変化させるための曲面部14bとを有する。曲面部14bは、先端に近づくに従って制御角(弁体14の中心軸線Oと平行な線との交差角)が段階的に大きくされた複数段(ここでは2段)の逆円錐台状のテーパ面部を有する。ここでは、前記複数段(2段)の逆円錐台状のテーパ面部は、逆円錐台面からなる上側テーパ面部14baと、上側テーパ面部14baより制御角が大きい逆円錐台面からなる下側テーパ面部14bbとを有している。
前記ストレート部14sの昇降方向(上下方向)における長さbは、本例では、0.05mm以上かつ0.5mm以下に設定されている。弁体14のストレート部14sの外径(及び、後述する弁口46のストレート部46sの内径)は、微小流量を作り出すために、公差を厳しく(例えば数μmレベルで)加工、管理する必要があるが、前記ストレート部14sの昇降方向長さbを0.05mm以上かつ0.5mm以下にすることで、加工性を向上できるとともに、寸法測定・管理をしやすくすることができる。
前記ガイドブッシュ20は、前記弁軸10(の中間大径部12)が軸線O方向に相対移動(摺動)可能及び軸線O回りに相対回転可能な状態で内挿される円筒部21と、該円筒部21の上端部から上方に延びており、該円筒部21よりも内径が大きく、前記弁軸10の中間大径部12の上端側と上部小径部11の下端側とが内挿される延設部22とを有している。前記ガイドブッシュ20の円筒部21の外周には、ロータ51の回転駆動に応じて前記弁軸10の弁体14を弁本体40の弁座46aに対して昇降させるねじ送り機構28の一方を構成する固定ねじ部(雄ねじ部)23が形成されている。また、前記円筒部21の下部(固定ねじ部23より下側の部分)は、大径とされ、弁本体40の嵌合穴44への嵌合部27とされる。前記固定ねじ部23(における弁軸ホルダ30より下側)には、下部ストッパ25が螺着されて固定されており、その下部ストッパ25の外周には、弁軸ホルダ30(すなわち、弁軸ホルダ30に連結された弁軸10)の回転下動規制を行う下部ストッパ機構29の一方を構成する固定ストッパ体24が一体的に突設されている。なお、嵌合部27の上面27aは、下部ストッパ25の下動規制を行う(言い換えれば、下部ストッパ25の下動限界位置もしくは最下動位置を規定する)ストッパ部とされる。
前記弁軸ホルダ30は、前記ガイドブッシュ20が内挿される円筒部31と前記弁軸10(の上部小径部11)の上端部が挿通される挿通穴32aが貫設された天井部32とを有している。前記弁軸ホルダ30の円筒部31の内周には、前記ガイドブッシュ20の固定ねじ部23と螺合して前記ねじ送り機構28を構成する可動ねじ部(雌ねじ部)33が形成されると共に、その円筒部31の外周下端には、前記下部ストッパ機構29の他方を構成する可動ストッパ体34が一体的に突設されている。
前記弁軸ホルダ30は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を基材として、カーボンフィラ(CF)を配合させることで、可動ねじ部(雌ねじ部)33や可動ストッパ体34の耐摩耗性を向上することができる。また、同様にし、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や黒鉛(C)を配合させることで、可動ねじ部33の摺動性を向上することができる。
また、前記弁軸10の上部小径部11と中間大径部12との間に形成された段丘面と前記弁軸ホルダ30の天井部32の下面との間には、弁軸10の上部小径部11に外挿されるように、前記弁軸10と前記弁軸ホルダ30とが昇降方向(軸線O方向)で離れる方向に付勢する、言い換えれば前記弁軸10(弁体14)を常時下方(閉弁方向)に付勢する圧縮コイルばね60が縮装されている。
前記弁本体40は、例えば真鍮やSUS等の円筒体から構成されている。この弁本体40は、内部に流体が導入導出される弁室40aを有している。該弁室40aの側部に設けられた横向きの第1開口41に第1導管41aがろう付け等により連結固定され、該弁室40aの天井部に前記弁軸10(の中間大径部12)が軸線O方向に相対移動(摺動)可能及び軸線O回りに相対回転可能な状態で挿通される挿通穴43及び前記ガイドブッシュ20の下部(嵌合部27)が嵌合されて取付固定される嵌合穴44が形成され、該弁室40aの下部に設けられた縦向きの第2開口42に第2導管42aがろう付け等により連結固定されている。また、前記弁室40aと前記第2開口42との間に設けられた底部壁からなる弁シート45に、前記弁体14が接離又は近接離間する弁座46aを有する弁口46が形成されている。
前記弁口46は、図1とともに図2を参照すればよく分かるように、上側(弁室40a側)から、弁座46aの下側に連なる、円筒面(昇降方向で内径が一定)からなるストレート部46sと、該ストレート部46sの下側に連なる、下側に行くに従って内径が連続的に大きくされた円錐台面からなる拡径部46cとを有する。つまり、本例において、ストレート部46sは、弁口46における最狭部(弁口46において最も口径が小さくされた部分)となっており、ストレート部46sの内径が弁口46の口径とされている。
前記弁座46a及びストレート部46sの内径(口径)(φD)は、前記弁軸10の下部小径部13より小径、かつ、当該弁口46(のストレート部46s)に挿通される前記弁体14のストレート部14sの外径(φd)より若干大径に設計されている。
また、ここでは、弁軸ホルダ30の可動ストッパ体34とガイドブッシュ20に固定された下部ストッパ25の固定ストッパ体24とが当接し、弁体14が最下降位置(原点位置)にあるときに、ストレート部14sの下端部とストレート部46sの下端部とが略同じ位置になるように、かつ、弁体14のストレート部14sと弁口46のストレート部46sとの昇降方向でのラップ量(重なり量)L(すなわち、距離Lは、弁体14のストレート部14sの下端と弁口46のストレート部46sの上端との昇降方向の距離)が、ねじ送り機構28(を構成する固定ねじ部23と可動ねじ部33との間)のねじガタ分である0.05mm以上となるように、各部の寸法形状が設定されている(図1及び図2に示される状態)。
一方、前記弁本体40の上端部には鍔状板47がかしめ等により固着されると共に、該鍔状板47の外周に設けられた段差部に、天井付き円筒状のキャン55の下端部が突き合わせ溶接により密封接合されている。
前記弁本体40に設けられたキャン55の内側かつ前記ガイドブッシュ20及び前記弁軸ホルダ30の外側には、ロータ51が回転自在に配在され、前記キャン55の外側に、前記ロータ51を回転駆動すべく、ヨーク52a、ボビン52b、ステータコイル52c、及び樹脂モールドカバー52d等からなるステータ52が配置されている。ステータコイル52cには、複数のリード端子52eが接続され、これらのリード端子52eには、基板52fを介して複数のリード線52gが接続され、ステータコイル52cへの通電励磁によってキャン55内に配在されたロータ51が軸線O回りで回転するようになっている。
キャン55内に配在された前記ロータ51は、前記弁軸ホルダ30に係合支持されており、当該弁軸ホルダ30は前記ロータ51とともに(一体に)回転するようになっている(詳細構造は、上記特許文献1等参照)。
前記ロータ51及び弁軸ホルダ30の上側には、弁軸ホルダ30とロータ51との昇降方向における相対移動を防止する(言い換えれば、弁軸ホルダ30に対してロータ51を下方に押し付ける)と共に弁軸10と弁軸ホルダ30とを連結すべく、前記弁軸10(の上部小径部11)の上端部に圧入・溶接等により外嵌固定されたプッシュナット71と、該プッシュナット71とロータ51との間に介在され、弁軸10の上端部が挿通される挿通穴72aが中央に形成された円板状部材からなるロータ押さえ72とから構成される抜け止め係止部材70が配在されている。すなわち、前記ロータ51は、圧縮コイルばね60の付勢力により上方に付勢される弁軸ホルダ30と前記ロータ押さえ72との間で挟持されている。なお、弁軸ホルダ30(の天井部32)の上面は、前記ロータ押さえ72の下面(平坦面)と当接している。
また、前記弁軸10の上端部に固定された前記プッシュナット71には、動作時にガイドブッシュ20に対して弁軸ホルダ30が上方に移動し過ぎて、ガイドブッシュ20の固定ねじ部23と弁軸ホルダ30の可動ねじ部33との螺合が外れるのを防止すべく、弁軸ホルダ30をガイドブッシュ20側に付勢するコイルばねからなる復帰ばね75が外装されている。
そして、本実施形態の電動弁1では、例えば弁シート部46aへの弁体14の喰いつきを防止するとともに、低流量域での制御性を確保すべく、弁体14が最下降位置(原点位置)にあるときに、弁体14と弁シート部46aとの間に所定の大きさの間隙が形成され、弁体14のストレート部14sと弁口46のストレート部46sとの間に形成される間隙(開口面積)を通して冷媒等の流体が流されるようになっている。
かかる構成の電動弁1では、ステータ52(のステータコイル52c)への通電励磁によってロータ51が回転せしめられると、それと一体に弁軸ホルダ30及び弁軸10が回転せしめられる。このとき、ガイドブッシュ20の固定ねじ部23と弁軸ホルダ30の可動ねじ部33とからなるねじ送り機構28により、弁軸10が弁体14を伴って昇降せしめられ、これによって、弁体14と弁座46aとの間の間隙(リフト量、弁開度)が増減されて、冷媒等の流体の通過流量が調整される(図4参照)。また、弁軸ホルダ30の可動ストッパ体34とガイドブッシュ20に固定された下部ストッパ25の固定ストッパ体24とが当接し、弁体14が最下降位置にあるとき(弁体14のリフト量が0のとき)でも、弁体14と弁座46aとの間に間隙が形成され、弁体14のストレート部14sと弁口46のストレート部46sとの間で所定量の通過流量(0パルス流量)が確保される(図4参照)。
ところで、本実施形態の電動弁1において、弁体14のストレート部14sと弁口46のストレート部46sとの間で画成される開口面積(リング状の流路断面積)は、弁体14が弁口46を通過するときに(詳しくは、弁体14が、弁口46の内側を昇降するとともに、弁体14が最上昇位置にあるときに、弁体14の先端部(下端部)が弁口46の上端部(ここでは、弁座46a)より上側(弁室40a側)に位置せしめられて弁口46から抜け出るときに)、昇降方向に垂直な断面で視て弁口46(の内面)と弁体14(の外面)との間で画成される開口面積(流路断面積)のうちの最小面積とされており、その弁体14のストレート部14sと弁口46のストレート部46sとの間の開口面積によって、前記した低流量域における微小流量制御を行うようになっている。
ここで、「微小流量」は、本発明者等による鋭意研究によって、図3に示すように、A2/A1が0.056D−2以下(A2/A1≦0.056D−2)の範囲で実現し得る(換言すれば、必要流量を確保し得る)ことが確認されている。なお、D[mm]は、弁口46のストレート部46sの内径(つまり、弁口46の口径)、A1[mm]は、弁口46のストレート部46sの開口面積(つまり、A1=πD/4)、A2[mm]は、弁体14のストレート部14sと弁口46のストレート部46sとの間で画成される開口面積(つまり、弁体14のストレート部14sの外径(直径)をdとしたとき、A2=π(D−d)/4)である。
また、上記範囲において、D<1.0においては、流路断面積比(A2/A1)に対して流量変化が大きく(つまり、0.056D−2の曲線勾配が急となり)、D>2.5においては、流路断面積比(A2/A1)に対して流量変化が小さく(つまり、0.056D−2の曲線勾配が緩くなり)、D<1.0及びD>2.5の範囲では、流量制御が難しくなる(制御性が低下する)。そのため、「微小流量」の制御は、弁口46のストレート部46sの内径(弁口46の口径)が1.0mm以上かつ2.5mm以下(1.0≦D≦2.5)の範囲(図3中の斜線で示される領域)で実施される。
しかし、前記のような微小流量制御を行う電動弁1においては、前述したように、弁シート45に設けられた弁口46のストレート部46sとリフト量に応じて該弁口46のストレート部46sに挿通される弁体14のストレート部14sとの間の隙間が小さく(狭く)設定される。そのため、熱影響等によって弁シート45と弁体14とが熱変形したときに、弁シート45と弁体14とが干渉するおそれがあった。
そこで、本実施形態の電動弁1では、前記のような熱影響等による弁シート45と弁体14との干渉を回避すべく、以下のような対策が講じられている。
すなわち、本実施形態の電動弁1では、弁シート45(弁本体40)の線膨張係数は、弁体14(弁軸10)の線膨張係数以上に設定されている。
ここで、弁シート45(弁本体40)や弁体14(弁軸10)は、例えば、真鍮やSUS等の金属、あるいは、PPS等の樹脂で作製することができる。
真鍮、SUS(例えばSUS303)、PPSの線膨張係数の関係は、SUS<真鍮<PPSとなっているので、弁シート45(弁本体40)や弁体14(弁軸10)を構成する材料として、以下の表1のような組み合わせを採用することで、弁シート45(弁本体40)の線膨張係数を弁体14(弁軸10)の線膨張係数以上に設定することができる。
Figure 0006950988
このように、本実施形態の電動弁1では、微小流量制御を行う電動弁1において、弁シート45の線膨張係数が弁体14の線膨張係数以上に設定されるので、熱影響等によって弁シート45と弁体14とが熱変形したときに、弁シート45の変形量(膨張量)が該弁シート45に設けられた弁口46に挿通される弁体14の変形量(膨張量)より大きくなるため、熱影響等による弁シート45と弁体14との干渉を回避でき、動作性、耐久性、制御性を効果的に向上させることができる。
なお、本明細書中で、線膨張係数とは、径方向の線膨張係数のことを示すが、等方性材料(線膨張係数が方向に関わらず一定の材料)の場合は、その材料のいずれの方向の線膨張係数を径方向の線膨張係数とみなしてもよいことは勿論である。また、線膨張係数(特に等方性材料の場合)は、JIS Z 2285(金属材料の線膨張係数の測定方法)に基づき、常温から120℃の範囲での測定した結果を採用してもよい。なお、本実施形態における弁体14と弁シート45は等方性材料から構成されている。
なお、上記実施形態では、弁体14における曲面部14bが、先端側ほど制御角が段階的に大きくされた複数段の逆円錐台状のテーパ面部(上側テーパ面部14ba及び下側テーパ面部14bb)で構成されているが、これに限られる訳ではなく、1段の逆円錐台面からなるテーパ面部で構成してもよいし、例えば、流量特性としてイコールパーセント特性あるいはそれに近似する特性を得られるように設計された、先端に近づくに従って曲率が連続的に大きくされた楕球面部、あるいは、該楕球面部と一段もしくは複数段の逆円錐台状のテーパ面部との組み合わせ等により構成してもよいことは勿論である。
また、上記実施形態では、弁体14が最下降位置(原点位置)にあるときに、弁体14と弁座46aとの間に所定の大きさの間隙が形成される閉弁レスタイプの電動弁1を例示して説明したが、本発明は、例えば弁体14のストレート部14sの上側(換言すれば、弁軸10の下部小径部13と弁体14のストレート部14sとの間)に、弁座46aに着接(着座)する逆円錐台面からなる着座面部14aを設け、弁体14が最下降位置(原点位置)にあるときに、弁体14(の着座面部14a)が弁座46aに着座する閉弁タイプの電動弁にも適用できることは勿論である(図5参照)。
1 電動弁
10 弁軸
14 弁体
14a 着座面部
14b 曲面部
14ba 上側テーパ面部
14bb 下側テーパ面部
14s ストレート部(弁体側ストレート部)
20 ガイドブッシュ
21 円筒部
23 固定ねじ部(雄ねじ部)
28 ねじ送り機構
29 下部ストッパ機構
30 弁軸ホルダ
33 可動ねじ部(雌ねじ部)
40 弁本体
40a 弁室
41 第1開口
41a 第1導管
42 第2開口
42a 第2導管
45 弁シート
46 弁口
46a 弁座
46c 拡径部
46s ストレート部(弁口側ストレート部)
47 鍔状板
50 ステッピングモータ
51 ロータ
52 ステータ
55 キャン
60 圧縮コイルばね
70 抜け止め係止部材

Claims (5)

  1. 弁口が設けられた弁シート及び前記弁口を介して冷媒が導入導出される弁室を有する弁本体と、リフト量に応じて前記弁口を流れる冷媒の流量を変化させる弁体と、前記弁体が一体的に形成された弁軸と、を備え、
    前記弁口に、円筒面からなる弁口側ストレート部が設けられ、前記弁体に、リフト量に応じて前記弁口側ストレート部に挿通される、昇降方向で外径が一定かつ前記弁口側ストレート部より小径の弁体側ストレート部が設けられている電動弁であって、
    前記弁シートの線膨張係数は、前記弁体の線膨張係数以上に設定されるとともに、
    前記弁体において前記弁体側ストレート部の先端側に、曲率ないし制御角が先端に近づくに従って連続的又は段階的に大きくされた曲面部が連設されており、
    前記弁口側ストレート部は、前記弁口における最狭部とされており、
    前記弁口側ストレート部と前記弁体側ストレート部との間で画成される開口面積は、前記弁体が前記弁口を通過するときに、昇降方向に垂直な断面で視て前記弁口と前記弁体との間で画成される開口面積のうちの最小面積とされており、
    前記弁体側ストレート部の軸線方向の寸法は、前記弁口側ストレート部の軸線方向の寸法よりも長く、
    前記弁体の最下降位置において、前記弁口との間に所定の大きさの間隙が形成されることを特徴とする電動弁。
  2. 前記曲面部は、1段もしくは複数段の逆円錐台面からなるテーパ面部を有することを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
  3. 前記曲面部は、流量特性としてイコールパーセント特性あるいはそれに近似する特性を得られるように設計されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
  4. 前記弁体の最下降位置において、前記弁口側ストレート部と前記弁体側ストレート部との昇降方向でのラップ量は、0.05mm以上に設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電動弁。
  5. 前記弁本体に設けられたキャンと、前記キャンに外装されたステータとをさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電動弁。
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