JP6950421B2 - ロータの製造方法およびロータ - Google Patents

ロータの製造方法およびロータ Download PDF

Info

Publication number
JP6950421B2
JP6950421B2 JP2017191241A JP2017191241A JP6950421B2 JP 6950421 B2 JP6950421 B2 JP 6950421B2 JP 2017191241 A JP2017191241 A JP 2017191241A JP 2017191241 A JP2017191241 A JP 2017191241A JP 6950421 B2 JP6950421 B2 JP 6950421B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
output value
melting
welded
welding
heat source
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017191241A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019068597A (ja
Inventor
英晴 牛田
英晴 牛田
正平 大橋
正平 大橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Aisin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd, Aisin Corp filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP2017191241A priority Critical patent/JP6950421B2/ja
Publication of JP2019068597A publication Critical patent/JP2019068597A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6950421B2 publication Critical patent/JP6950421B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Welding Or Cutting Using Electron Beams (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)
  • Manufacture Of Motors, Generators (AREA)
  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)

Description

本発明は、ロータの製造方法およびロータに関する。
従来、複数の電磁鋼板が積層されたロータコアと回転伝達部材とを備えるロータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、円筒形状の軸体(回転伝達部材)と、複数の電磁鋼板が積層された円環形状のロータコアとを備えるロータが開示されている。このロータには、回転軸方向において、ロータコアの両端部に設けられる円環形状のエンドプレートが設けられている。円筒形状の軸体の外側面と、円環形状のロータコアの内側面および円環形状のエンドプレートの内側面とが互いに当接するように、ロータコアおよびエンドプレートの内径側に軸体が配置されている。そして、円筒形状の軸体の外側面とロータコアの内側面とが溶接されることにより、軸体とロータコアとが固定されている。また、円筒形状の軸体の外側面と円環形状のエンドプレートの内側面とが溶接されることにより、軸体とエンドプレートとが溶接されている。
回転軸方向から見て、円筒形状の軸体の外側面と、円環形状のロータコアの内側面とを溶接した部分である溶接部は、周方向に沿って、互いに離間した状態で複数設けられている。複数の溶接部の端部(溶接終端部)には、溶融される部分への入熱が終了する際に形成される回転軸方向に窪む凹状部からなるクレータが設けられている。そして、このロータでは、クレータが形成された複数の溶接部によって、ロータコアにより発生された回転力(トルク)が、軸体に伝達される。
特開2015−119557号公報
ここで、溶接部に形成されるクレータでは、溶融された部分が凝固することによる引っ張り応力に起因して、クレータに亀裂(割れ)が生じる場合がある。また、溶接部がロータコアからの回転力を軸体に伝達する際に、溶接部のうちの端部では、溶接部のうちの中央部に比べて、ロータコアから伝達される回転力が大きくなる。このため、亀裂を有するクレータが溶接部の端部に設けられていると、溶接部の端部では、中央部に比べて、応力集中が生じやすく、ロータコアと軸体との接合強度を確保することが難しい。
そこで、ロータコアと軸体との接合強度を確保するために、周方向一方側に向かって溶接を行った後、周方向他方側に折り返して溶接することにより、クレータを溶接部の周方向一方側の端部よりも周方向他方側の部分に形成することが考えられる。これにより、クレータが溶接部の周方向端部に形成されないため、クレータ部に応力が集中することを緩和することができる。
しかしながら、クレータが形成される部分を含む溶接部の周方向一方側の部分が折り返して溶接されるため、周方向一方側の部分に対する入熱が過剰となり、周方向他方側の溶接深さが、周方向他方側の部分の溶接深さよりも大きくなると考えられる。この場合、溶接深さが大きくなることに起因して、ロータにおける溶接歪みが大きくなるという不都合がある。したがって、従来のロータでは、ロータコアと軸体(溶接対象部材同士)との接合強度を確保しながら、溶接歪みが大きくなるのを防止することが困難であるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、溶接対象部材同士の接合強度を確保しながら、溶接歪みが大きくなるのを防止することが可能なロータの製造方法およびロータを提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるロータの製造方法は、回転軸線回りに回転されるとともに、回転中心に貫通孔を有するロータコアと、ロータコアの貫通孔に設けられた回転伝達部材と、ロータコアの回転軸線方向の端部に設けられるエンドプレートと、を備えるロータの製造方法であって、互いの縁部同士を溶接する突き合わせ溶接により互いに溶接される、回転伝達部材とロータコアとエンドプレートとのうちの少なくとも2つの溶接対象部材を、溶接熱源の出力を一定の出力値である第1の出力値に設定した状態で、周方向一方側に向かって溶融させることにより、第1溶融部を形成する工程と、溶接熱源の出力を第1の出力値よりも小さい第2の出力値に設定した状態で、第1溶融部から第1の周方向位置まで周方向一方側に向かって溶接対象部材を溶融させるとともに、第1の周方向位置において周方向他方側に折り返しながらさらに溶融させることにより、回転軸線方向に窪む溶融終了痕と、溶融終了痕よりも周方向一方側に設けられ、溶融終了痕の窪み深さよりも窪み深さが小さい溶接健全部となる第2溶融部を形成する工程とを備える。
この発明の第1の局面によるロータの製造方法では、上記のように、溶接熱源の出力を第1の出力値よりも小さい第2の出力値に設定した状態で、第1溶融部から第1の周方向位置まで周方向一方側に向かって溶接対象部材を溶融させるとともに、折り返しながらさらに溶融させることにより、第2溶融部を形成する。これにより、溶接熱源の出力を第1の出力値とした状態で、第1の周方向位置において折り返して溶融する場合に比べて、第2溶融部に形成される溶融深さ(キーホールの深さ)を浅くすることができる。これにより、折り返して第2溶融部を溶融させた場合でも、第2溶融部が凝固した部分(第2溶接部)の溶接深さが増大するのを防止することができる。その結果、折り返して溶融される第2溶融部に起因する溶接歪みが増大するのを防止することができる。また、回転軸線方向に窪む溶融終了痕(クレータ)と、溶融終了痕よりも周方向一方側に設けられ、溶融終了痕の窪み深さよりも窪み深さが小さい溶接健全部となる第2溶融部を形成することにより、第1溶融部および第2溶融部の周方向の端部に、溶融終了痕(クレータ)が形成されない。この結果、周方向の端部に回転力が加わった場合でも、溶接対象部材同士の接合強度を確保することができる。この結果、溶接対象部材同士の接合強度を確保しながら、溶接歪みが大きくなるのを防止することができる。
この発明の第2の局面におけるロータは、回転軸線回りに回転されるとともに、複数の電磁鋼板が回転軸線の延びる方向である回転軸線方向に積層され、回転中心に貫通孔を有するロータコアと、ロータコアの貫通孔に設けられた回転伝達部材と、ロータコアの回転軸線方向の端部に設けられるエンドプレートと、互いの縁部同士を溶接する突き合わせ溶接により互いに溶接される、前記回転伝達部材と前記ロータコアと前記エンドプレートとのうちの少なくとも2つの溶接対象部材に設けられ、周方向に沿って形成された第1溶接部と、第1溶接部の溶接深さと同等の溶接深さを有し、回転軸線方向に窪む溶融終了痕と、溶融終了痕よりも周方向一方側に形成され、溶融終了痕の窪み深さよりも窪み深さが小さい溶接健全部とを含む。なお、本願明細書では、「同等」とは、完全に同一であることに限られず、「略同一」であること、および、「実質的に同一」であることを含む、より広い概念を意味するものとして記載している。
この発明の第2の局面によるロータでは、上記のように、第1溶接部の溶接深さと第2溶接部の溶接深さとを同等に構成することにより、第2溶接部の溶接深さに起因する溶接歪みが増大するのを防止することができる。また、第2溶接部に、溶融終了痕と、溶融終了痕よりも周方向一方側に形成され、溶融終了痕の窪み深さよりも窪み深さが小さい溶接健全部とを設けることにより、第1溶接部および第2溶接部の周方向の端部に、溶融終了痕(クレータ)が形成されない。その結果、溶接対象部材同士の接合強度を確保することができる。この結果、溶接対象部材同士の接合強度を確保しながら、溶接歪みが大きくなるのを防止することが可能なロータを提供することができる。
本発明によれば、上記のように、溶接対象部材同士の接合強度を確保しながら、溶接歪みが大きくなるのを防止することができる。
本発明の一実施形態による回転電機の断面図(図2の300−300線に沿った断面図)である。 本発明の一実施形態によるロータを回転軸線方向から見た平面図である。 本発明の一実施形態によるコア溶接部を説明するためのロータの径方向に沿った断面図である。 図2の部分拡大図である。 本発明の一実施形態による第1溶接部および第2溶接部を説明するためのロータの径方向に沿った断面図である。 本発明の一実施形態による第1溶接部および第2溶接部を説明するためのロータの周方向に沿った断面図である。 本発明の一実施形態による第1溶融部および第2溶融部を形成する工程を説明するための図である。 本発明の一実施形態による溶接熱源の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の一実施形態によるキーホールの深さを説明するための図(a)と第1溶融部および第2溶融部の溶融深さを説明するための図(b)である。 比較例によるロータの製造方法を説明するための図である。 比較例によるロータの第1溶接部および第2溶接部の溶接深さを説明するための図である。 本発明の一実施形態による第2溶接部と、比較例による第2溶接部との比較結果を説明するための図である。 本発明の一実施形態による第1変形例によるロータの製造方法を説明するための図である。 本発明の一実施形態による第2変形例によるロータの製造方法を説明するための図である。 本発明の一実施形態による第3変形例によるロータの製造方法を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[回転電機の構造]
図1〜図6を参照して、本実施形態による回転電機1(ロータ100)の構造について説明する。
本願明細書では、「回転軸線方向」とは、ロータ100(ロータコア10)の回転軸線Cに沿った方向(Z方向、図1参照)を意味する。また、「周方向」とは、ロータ100(ロータコア10)の周方向(矢印A1方向または矢印A2方向、図2参照)を意味する。また、「内径側」とは、ロータ100(ロータコア10)の回転軸線Cに径方向に向かう方向側(矢印B1方向、図2参照)を意味する。また、「外径側」とは、ロータ100(ロータコア10)の回転軸線Cから遠ざかる方向側(矢印B2方向、図2参照)を意味する。
図1に示すように、回転電機1は、ステータ2とロータ100とを備えている。ステータ2は、ステータコア2aと、ステータコア2aに巻回される巻線2bとを備えている。ロータ100は、ロータコア10と、ハブ部材20と、複数の永久磁石30と、2つのエンドプレート40とを備える。また、ステータコア2aとロータコア10とは、互いに径方向に対向するように配置されている。たとえば、ロータ100は、インナーロータとして構成されている。なお、ロータコア10およびエンドプレート40は、特許請求の範囲の「溶接対象部材」の一例である。ハブ部材20は、特許請求の範囲の「回転伝達部材」および「溶接対象部材」の一例である。
図2に示すように、ロータコア10は、円環形状を有する。また、ロータコア10は、回転軸線C回りに回転されるとともに、複数の電磁鋼板11(図3参照)が回転軸線Cの延びる方向である軸方向(Z方向)に積層されることにより形成されている。また、ロータコア10には、回転中心に貫通孔10aが設けられている。ロータコア10には、孔部12が設けられている。孔部12には、永久磁石30が配置されている。孔部12は、円環形状のロータコア10の周方向に沿って複数(たとえば、16個)設けられている。
図3に示すように、本実施形態では、ロータ100には、ロータコア10の複数の電磁鋼板11の側面11a同士が溶接された部分であるコア溶接部50が設けられている。また、図4に示すように、回転軸線方向から見て、ロータコア10は、径方向内側に突出し、コア溶接部50が形成されるコア溶接用凸部13と、コア溶接用凸部13の周方向に隣り合うように設けられる、径方向外側に窪む油路凹部14とを含む。油路凹部14は、周方向において、コア溶接用凸部13の両側に設けられている。たとえば、コア溶接用凸部13は、複数の永久磁石30のそれぞれの内径側の位置に設けられている。
また、本実施形態では、油路凹部14は、ロータコア10を冷却するための冷却用流体(冷媒)が流通する流路を構成している。冷却用流体は、たとえば、エンジンまたはトランスミッション内部において循環される冷却油(AFT:Automatic Transmission Fluid)が用いられる。また、油路凹部14は、コア溶接用凸部13にコア溶接部50が形成される際に、コア溶接部50の影響(溶接の熱、変形など)がロータコア10に及ぼされるのを抑制する機能を有する。
ハブ部材20は、図1に示すように、ロータコア10の貫通孔10aに取り付けられている。また、ロータコア10のハブ部材20の内径側には、回転軸21が取り付けられている。図4に示すように、ロータコア10の内側面10dと、ハブ部材20の外側面20aとは、当接している。
エンドプレート40は、たとえば、ステンレス板により形成されている。図2に示すように、エンドプレート40は、円環形状を有する。たとえば、エンドプレート40は、図3に示すように、ロータコア10の回転軸線方向の一方側の端部10bに設けられたエンドプレート40a、および、ロータコア10の回転軸線方向の他方側の端部10cに設けられたエンドプレート40bからなる。エンドプレート40aは、ロータコア10の端部10b(端面)に接触している。また、エンドプレート40bは、ロータコアの端部10cに接触している。以下、エンドプレート40aおよび40bを特に区別しない場合には、エンドプレート40として説明する。また、エンドプレート40の内側面40cは、ハブ部材20の外側面20aに当接している。
〈溶接部の構成〉
ここで、第1実施形態では、図4に示すように、ロータ100には、ハブ部材20とロータコア10とエンドプレート40とに渡って設けられ、周方向に沿って形成された第1溶接部60と第1溶接部60の矢印A2方向側に連続して形成された第2溶接部70とが設けられている。なお、第1溶接部60および第2溶接部70は、ロータ100のZ方向の両側にそれぞれ設けられている。矢印Z1方向側の第1溶接部60および第2溶接部70と、矢印Z2方向側の第1溶接部60および第2溶接部70とは、同様に構成されているため、矢印Z1方向側の第1溶接部60および第2溶接部70を説明して他方の説明を省略する。
図2に示すように、第1溶接部60および第2溶接部70は、複数設けられている。矢印Z2方向に見て、複数の第1溶接部60および複数の第2溶接部70は、ロータコア10の周方向において、たとえば、隣り合う永久磁石30の間(磁極間)の内径側に形成されている。そして、図4に示すように、矢印Z2方向に見て、第1溶接部60および第2溶接部70は、エンドプレート40の内側面40cに沿って円弧状に形成されている。また、矢印Z2方向に見て、第1溶接部60および第2溶接部70は、コア溶接部50とオーバーラップしない位置において、隣り合う油路凹部14同士の間を接続するように、形成されている。
第1溶接部60および第2溶接部70は共に、たとえば、高エネルギービーム溶接(レーザ光、電子ビームなど)により形成されている。たとえば、レーザ光により、ハブ20部材とロータコア10とエンドプレート40とを溶融させてキーホールを形成し、第1溶融部160および第2溶融部170を形成した状態(図9参照)から、第1溶融部160および第2溶融部170が凝固することにより、第1溶接部60および第2溶接部70が形成されている。
第1溶接部60および第2溶接部70は、図4に示すように、エンドプレート40の内側面40cと、ロータコア10の内側面10dと、ハブ部材20の外側面20aとに跨るように設けられている。たとえば、図5に示すように、第1溶接部60は、エンドプレート40の軸方向外側の端面40dから軸方向内側に向かって、徐々に先細る略三角形の断面形状を有する。また、エンドプレート40の端面40dにおいて、第1溶接部60の径方向の幅はW1(図12参照)であり、第2溶接部70の幅はW1と同等のW2(図12参照)である。
また、図6に示すように、第1溶接部60の溶接深さd1は、エンドプレート40のZ方向に沿った厚みt1よりも大きい。これにより、第1溶接部60によって、エンドプレート40を越えて、エンドプレート40とロータコア10とハブ部材20とが接合されて固定されている。そして、第1溶接部60は、ロータコア10とハブ部材20とを接合することにより、ロータコア10とハブ部材20との間の部分は、トルク(回転力)を伝達するトルク伝達部として機能する。
また、第1溶接部60には、第2溶接部70に近付く方向に向かって、溶融深さが0からd1まで徐々にスロープ状に大きくなる始端側溶融スロープ部61が設けられている。たとえば、第1溶接部60の溶融始端部62の周方向位置P1では、溶融深さが略0である一方、周方向位置P2では、溶融深さがd1となっている。そして、周方向位置P1から周方向位置P2に渡って、略直線状に第1溶接部60の端部が形成されている。なお、「スロープ状」とは、エンドプレート40の端面40dに対して軸方向に傾斜する直線状を意味するものとして記載している。
図5に示すように、本実施形態では、第2溶接部70は、第1溶接部60の溶接深さd1と同等の溶接深さd2を有し、回転軸線C方向に窪む溶融終了痕71と、溶融終了痕71よりも矢印A1方向側に形成され、溶融終了痕71の窪み深さd3よりも窪み深さが小さい溶接健全部72とを含む。ここで、「溶接深さd2が溶接深さd1に同等」とは、第1溶接部60が形成される部分に入熱される際の溶接熱源110の出力(出力値F1)と、同一の出力(出力値F1)で、2度(折り返して)溶融した場合(図11参照)の溶接深さd22未満で、かつ、1度のみ溶融した場合の溶接深さd1以上の大きさを溶接深さd2が有するものとして記載している。また、「溶接深さd1」は、溶接した際に生じる誤差や機差等を含む数値範囲を意味し、「溶接深さd1に同等」とは、実質的に同一、および、略同一であることを含む広い概念を意味している。すなわち、溶接深さの実質的な誤差により、溶接深さd2の一部が溶接深さd1よりも小さいまたは大きい場合でも、「溶接深さd2が溶接深さd1に同等」に含まれるものとする。また、「溶接健全部」の「健全部」とは、溶接終了痕のクレータと区別するために、溶接終了痕のクレータとは異なる部分であることを意味するものとして記載している。
図6に示すように、第2溶接部70の溶融終了痕71は、第2溶接部70の周方向中央部よりも溶融終端部73側に形成された回転軸線C方向(Z方向)に窪むクレータである。すなわち、溶融終了痕71は、溶接熱源110(図9参照)による入熱が終了されることにより、溶融された部分が第1溶接部60側(第1溶融部160)から順に凝固して収縮し、第2溶接部70となる溶融部分(第2溶融部170)が最終的に凝固される部分に形成されるクレータ(凹状部)である。溶融終了痕71は、矢印Z2方向に見て、略円状(図4参照)に形成されている。また、溶融終了痕71は、第1溶接部60の矢印Z1方向側の端面63を基準として、矢印Z2方向側に窪み深さd3を有する。窪み深さd3は、エンドプレート40の回転軸線C方向の厚みt1よりも小さい。また、溶接健全部72は、第1溶接部60の端面63と略面一に形成されている。すなわち、溶接健全部72は、略0の窪み深さを有するように形成されている。
また、周方向において、第1溶接部60は、長さL1を有し、第2溶接部70は、長さL1よりも小さい長さL2を有する。また、周方向において、溶融終了痕71の長さL21は、溶接健全部72の長さL22よりも大きい。
[ロータの製造方法]
次に、本実施形態によるロータ100の製造方法について説明する。
(ロータコア、ハブ部材、および、エンドプレートの配置工程)
まず、複数の電磁鋼板11が、プレス加工装置(図示せず)により打ち抜かれる。この時、図2および図4に示すように、電磁鋼板11には、内側面10d(貫通孔10a)と、孔部12と、コア溶接用凸部13と、油路凹部14とが形成されている。そして、複数の電磁鋼板11が、回転軸線方向に積層される。そして、図3に示すように、複数の電磁鋼板11の側面11a同士(内径側の側面11a同士)がZ方向に沿って、たとえば、溶接熱源110による高エネルギービーム溶接(レーザ光、電子ビームなど)により溶接されて、コア溶接部50が形成される。その後、永久磁石30が、孔部12に挿入される。
次に、ロータコア10の回転軸線方向の端部10bおよび10cのそれぞれにエンドプレート40aおよび40bが配置される。次に、ロータコア10の貫通孔10aにハブ部材20が挿入される。
(第1溶接部および第2溶接部を形成する工程)
ハブ部材20とロータコア10とエンドプレート40と(以下、「溶接対象部材W」とする)が溶接熱源110による高エネルギービーム(レーザ光、電子ビームなど)により溶接されて、第1溶接部60および第2溶接部70が形成される。なお、以下の説明では、第1溶接部60に対応する部分が溶融している状態を第1溶融部160とし、第2溶接部70に対応する部分が溶融している状態を第2溶融部170として記載している。
図7に示すように、溶接熱源110は、照射位置を移動させながら、たとえば、エンドプレート40の軸方向外側(矢印Z1方向側)から軸方向内側(矢印Z2方向側)に向かって、設定された出力値(F1、F2またはF3)に基づく高エネルギービームを照射する。なお、本願明細書では、「出力(値)」とは、溶接熱源110から溶接対象部材Wに向けて入熱する際に出力される単位時間当たりのエネルギー密度を意味する。なお、溶接熱源110の高エネルギービームの照射方式は連続波に限られず、パルス波であってもよい。また、「出力が0」とは、溶接熱源110から溶接対象部材Wに対する入熱(出力)が停止(終了)されている状態を意味する。なお、以下の説明では、出力値Fは、所定の1つの値を意味するものとして記載しており、出力値E(E1〜E4)は、複数の出力値Fの設定内容(出力値Fの変更内容)を含むものとして記載している。
たとえば、図8に示すように、溶接熱源110は、制御部111と記憶部112を含む。そして、溶接熱源110の出力(値)の設定の制御および溶接熱源110の照射位置の移動の制御は、たとえば、溶接熱源110の制御部111により実行され、記憶部112に記憶された制御プログラム112aに基づいて行われる。
ここで、図7に示すように、第1溶融部160および第2溶融部170を形成(溶融)するために、溶接熱源110の高エネルギービームの照射位置が周方向位置P1、P2、P3のこの順に移動され、折り返し位置P4で移動方向が反転され(折り返され)、周方向位置P5およびP6に移動され、周方向位置P6で高エネルギービームの照射が終了される。また、以下に記載する溶接熱源110の高エネルギービームの照射位置(以下、単に「照射位置」とする)の周方向の移動は、略等速で行われる。なお、周方向位置P3は、特許請求の範囲の「第2の周方向位置」の一例である。また、折り返し位置P4は、特許請求の範囲の「第1の周方向位置」の一例である。また、周方向位置P6は、特許請求の範囲の「第3の周方向位置」の一例である。
〈第1溶融部の形成:P1〜P3〉
具体的には、まず、溶接熱源110の出力が、始端側スロープ部形成用出力値E1に設定される。詳細には、始端側スロープ部形成用出力値E1では、溶接熱源110の照射位置が周方向位置P1からP2まで、矢印A2方向側に移動されながら、溶接熱源110の出力値0から徐々に一定の変化率R1で出力値F1まで大きくされる。照射位置が周方向位置P1に位置する時点で出力値は0であり、照射位置が周方向位置P2に位置する時点で出力値はF1である。
図7に示すように、本実施形態では、溶接熱源110の出力が一定の出力値F1である第1出力値E2に設定された状態で、溶接対象部材Wが矢印A2方向側に向かって周方向位置P3まで溶融される。すなわち、溶接熱源110の照射位置が周方向位置P2から後述する折り返し位置P4よりも矢印A1方向側の周方向位置P3まで、一定の出力値F1でかつ等速で移動させられる。これにより、図9に示すように、溶接熱源110が形成するキーホールの溶融深さがd11で略一定となった状態で、溶接対象部材Wが溶融されて第1溶融部160が形成される。
〈第2溶融部の形成:P3〜P6〉
そして、本実施形態では、溶接熱源110の出力を第1出力値E2よりも小さい出力値(F1よりも小さいF2およびF3)を有する第2出力値E3に設定した状態で、第1溶融部160から、周方向位置P3よりも矢印A2方向側の折り返し位置P4まで周方向一方側に向かって溶接対象部材Wを溶融し、折り返し位置P4において矢印A1方向側に折り返しながらさらに溶融させることにより、回転軸線C方向に窪む溶融終了痕71(クレータ)と、溶融終了痕71よりも矢印A2方向側に設けられ、溶融終了痕71の窪み深さd1よりも窪み深さが小さい(窪み深さが略0となる)溶接健全部72となる第2溶融部170が形成される。なお、「折り返し」とは、本実施形態では、溶接熱源110の高エネルギービームの照射位置の移動方向が矢印A2方向から矢印A1方向に反転することを意味するものとして記載している。
具体的には、本実施形態では、溶接対象部材Wの溶融している部分である第1溶融部160および第2溶融部170が凝固する前に、第1溶融部160および第2溶融部170の溶融している部分をさらに溶融させる。また、第1溶融部160から折り返し位置P4まで矢印A2方向側に向かって溶接対象部材Wを溶融させた後、溶接熱源110の出力を0にすることなく連続して、折り返し位置P4において矢印A1方向側に折り返しながら、第1溶融部160および第2溶融部170をさらに溶融させる。
詳細には、照射位置が周方向位置P3に位置する時点で、溶接熱源110の出力が第1出力値E2から第2出力値E3に変更される。ここで、本実施形態では、周方向位置P3は、出力が0にされる周方向位置P6よりも矢印A2方向側に位置する。そして、照射位置が周方向位置P3から折り返し位置P4までに矢印A2方向に移動する間では、折り返し位置P4に近付くに従って、出力値F1から出力値F1よりも小さい出力値F2まで、徐々に略一定の変化率R2(出力低下率)のスロープ状に出力値が小さくされる第2出力値E3に、溶接熱源110の出力が設定された状態で、溶接対象部材Wが溶融される。なお、出力値F1およびF2は共に、溶接対象部材Wを溶融可能な出力値である。これにより、図9(a)に示すように、溶接対象部材Wに形成されるキーホールの深さは、周方向位置P3から折り返し位置P4までに矢印A2方向に移動する間に、d11からd12に徐々に小さくなる。
そして、折り返し位置P4において、溶接熱源110による高エネルギービームの照射を停止することなく、照射位置の移動方向が矢印A2方向から矢印A1方向に反転される(折り返される)。そして、照射位置が折り返し位置P4から周方向位置P5に矢印A1方向に移動する間では、出力値F2から出力値F2よりも小さい出力値F3まで、折り返し位置P4から遠ざかるに従って徐々に略一定の変化率R3のスロープ状に出力値が小さくされる第2出力値E3に、溶接熱源110の出力が設定された状態で、溶接対象部材Wが溶融される。また、出力値F3は、溶接対象部材Wを溶融可能な出力値である。また、本実施形態では、変化率R2と変化率R3とは略等しい。また、折り返し位置P4から周方向位置P5までの溶接対象部材Wの溶融は、第2溶融部170および第1溶融部160の周方向位置P3側の部分が溶融した状態で、行われる。
また、図9(a)に示すように、溶接熱源110により、折り返し位置P4から周方向位置P5までを溶融する際のキーホールの深さd13は、第1溶融部160を形成する際のキーホールの深さd11と同等の深さである。
そして、本実施形態では、照射位置が周方向位置P3よりも矢印A1方向側に位置する周方向位置P5に位置する時点に、溶接熱源110の出力が第2出力値E3から第3出力値E4に変更される。そして、照射位置が周方向位置P5から周方向位置P6に矢印A1方向に移動する間では、出力値F3から0まで、徐々に略一定の変化率R4のスロープ状で出力値が小さくされる第3出力値E4に、溶接熱源110の出力が設定された状態で、溶接対象部材Wが溶融される。すなわち、周方向位置P6において、溶接熱源110からの入熱が終了される。また、変化率R4(傾き)は、変化率R2およびR3よりも大きい。
その後、図6に示すように、第1溶融部160が凝固して、周方向位置P1からP2の部分が始端側溶融スロープ部61となり、周方向位置P2から周方向位置P3の部分が溶接深さd1を有する第1溶接部60となる。また、第2溶融部170の周方向位置P6の近傍部分が窪み深さd3を有する溶融終了痕71となり、折り返し位置P4の近傍部分が溶接健全部72となり、溶接深さd1と同等の溶接深さの溶接深さd2を有する第2溶接部70が形成される。なお、複数の第1溶接部60および複数の第2溶接部70が、上記した方法と同様に形成される。これにより、ロータコア10とハブ部材20とエンドプレート40とが接合される。その後、ロータ100が完成される。そして、ロータ100とステータ2とが組み合わされて、回転電機1が完成される。
[比較例との比較結果]
次に、本実施形態による製造方法により製造されたロータ100と、比較例による製造方法により製造されたロータ200との比較結果について説明する。
図10に示すように、比較例によるロータ200の製造方法では、第1溶接部260および第2溶接部270を形成する工程において、溶接熱源110の照射位置が周方向位置P1から周方向位置P3までは、本実施形態によるロータ100の製造方法と同様に構成する一方、周方向位置P3から折り返し位置P4までの間、および、折り返し位置P4から周方向位置P5までの間では、溶接熱源110の出力が一定の出力値F1に設定した。また、本実施形態によるロータ100は、上記した本実施形態による製造方法により製造した。
図11および図12(a)に示すように、上記比較例による製造方法により製造されたロータ200では、第1溶接部260の溶接深さはd21となり、径方向の幅がW11となった。また、第2溶接部270の溶接深さはd22となり、径方向の幅がW11よりも大きいW12となった。これは、図11(a)に示すように、キーホールが深さd31で溶融されている部分に、さらに溶融が行われることにより、d31よりも大きな深さd32のキーホールが形成された状態で、第2溶接部270に対応する部分が溶融されたことによるものと考えられる。
一方、図5に示すように、本実施形態によるロータ100では、第1溶接部60の溶接深さはd1であり、第2溶接部70の溶接深さはd1と同等のd2となった。また、図12(b)に示すように、本実施形態によるロータ100では、第1溶接部60の径方向の幅はW1であり、第2溶接部70の径方向の幅はW1と同等のW2となった。したがって、本実施形態によるロータ100の製造方法では、比較例による製造方法により製造されたロータ200と異なり、第2溶接部70の溶接深さおよび第2溶接部70の径方向の幅が、それぞれ、第1溶接部60の溶接深さおよび第1溶接部60の径方向の幅と同等になることが判明した。
[本実施形態の構造の効果]
本実施形態の構造では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、第1溶接部(60)の溶接深さ(d1)と第2溶接部(70)の溶接深さ(d2)とを同等に構成することにより、第2溶接部(70)の溶接深さ(d2)に起因する溶接歪みが増大するのを防止することができる。また、第2溶接部(70)に、溶融終了痕(71)と、溶融終了痕(71)よりも周方向一方側に形成され、溶融終了痕(71)の窪み深さ(d3)よりも窪み深さが小さい溶接健全部(72)とを設けることにより、第1溶接部(60)および第2溶接部(70)の周方向の端部(73)に、溶融終了痕(71)(クレータ)が形成されない。その結果、周方向の端部(73)に回転力が加わった場合でも、溶接対象部材(W)同士の接合強度を確保することができる。この結果、溶接対象部材(W)同士の接合強度を確保しながら、溶接歪みが大きくなるのを防止することが可能なロータを提供することができる。
[本実施形態の製造方法の効果]
本実施形態の製造方法では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、溶接熱源(110)の出力を第1の出力値(E2)よりも小さい第2の出力値(E3)に設定した状態で、第1溶融部(160)から第1の周方向位置(P4)まで周方向一方側に向かって溶接対象部材(W)を溶融させるとともに、折り返しながらさらに溶融させることにより、第2溶融部(170)を形成する。これにより、折り返して第2溶融部(170)を溶融させた場合でも、溶接熱源(110)の出力を第1の出力値(E2)とした状態で、第1の周方向位置(P4)において折り返して溶融する場合と異なり、第2溶融部(170)の溶接深さ(d2)が増大するのを防止することができる。その結果、折り返して溶融される第2溶融部(170)に起因する溶接歪みが増大するのを防止することができる。また、回転軸線方向に窪む溶融終了痕(71)(クレータ)と、溶融終了痕(71)よりも周方向一方側に設けられ、溶融終了痕(71)の窪み深さ(d3)よりも窪み深さが小さい溶接健全部(72)となる第2溶融部(170)を形成することにより、第1溶融部(160)および第2溶融部(170)の周方向の端部に、溶融終了痕(71)(クレータ)が形成されない。この結果、周方向の端部(73)に回転力が加わった場合でも、溶接対象部材(W)同士の接合強度を確保することができる。この結果、溶接対象部材(W)同士の接合強度を確保しながら、溶接歪みが大きくなるのを防止することができる。
また、本実施形態では、第2溶融部(170)を形成する工程は、溶接対象部材(W)の溶融している部分が凝固する前に、溶融している部分をさらに溶融させることにより、第2溶融部(170)を形成する工程である。ここで、一般的に、溶接対象部材には、鉄よりも融点が低い材料(たとえば、Si等)が含有されている。そして、溶融された部分が凝固する際に、鉄よりも融点が低い材料は、鉄に比べて融点が低い分、鉄等が凝固した時点でも溶融された状態となっており、鉄よりも融点が低い材料が凝固する際に、鉄よりも融点が低い材料同士が寄せ集まる(偏析する)性質がある。また、鉄よりも融点が低い材料は鉄等に比べて、接合強度が小さいため、偏析した部分の接合強度が低下する。特に、溶融と凝固とを繰り返した場合、鉄よりも融点が低い材料の偏析が増大してしまうという不都合がある。これに対して、上記実施形態のように、溶接対象部材(W)の溶融している部分が凝固する前に、溶融している部分をさらに溶融させることにより、第2溶融部(170)を形成すれば、溶融と凝固とが繰り返されるのを防止することができる。その結果、鉄よりも融点が低い材料の偏析が増大するのを防止することができるので、溶接対象部材(W)を折り返して溶融する場合でも、接合強度が低下するのを防止することができる。
また、本実施形態では、第2溶融部(170)を形成する工程は、第1溶融部(160)から第1の周方向位置(P4)まで周方向一方側に向かって溶接対象部材(W)を溶融させた後、溶接熱源(110)の出力を0にすることなく連続して、第1の周方向位置(P4)において周方向他方側に折り返しながらさらに溶融させることにより、第2溶融部(170)を形成する工程である。このように構成すれば、周方向一方側に向かって溶接対象部材(W)を溶融させた後に、一旦、溶接熱源(110)の出力を0にする場合と異なり、溶接対象部材(W)をさらに溶融するのを開始するまでの期間を短縮することができるので、容易に、溶接対象部材(W)の溶融している部分が凝固する前に、溶融している部分をさらに溶融させることができる。
また、本実施形態では、第2溶融部(170)を形成する工程は、第1の周方向位置(P4)よりも周方向他方側の第2の周方向位置(P3)において、溶接熱源(110)の出力を、第1の出力値(E2)から第2の出力値(E3)に変更し、第1の周方向位置(P4)において周方向他方側に折り返しながらさらに溶融させた後、第2の周方向位置(P3)よりも周方向他方側の第3の周方向位置(P6)において、溶接熱源(110)の出力を0にすることにより、第2溶融部(170)を形成する工程である。このように構成すれば、折り返される第1の周方向位置(P4)を溶融する時点よりも前に、溶接熱源(110)の出力が小さくされるので、形成されるキーホールの深さが(d11からd12に)小さくなり、第2溶融部(170)の溶接深さ(d2)が増大するのをより一層防止することができる。また、上記実施形態のように、溶接熱源(110)の出力を0にする第3の周方向位置(P6)よりも第1の周方向位置(P4)側において、溶接熱源(110)の出力を小さくすれば、第3の周方向位置(P6)よりも周方向他方側の部分で、溶接深さが所望の大きさを下回る(足りない)状態になるのを防止することができる。この結果、第2溶融部(170)の溶接深さ(d2)が増大するのを防止しながら、溶接深さが足りないことにより、第1溶融部(160)において接合強度が低下するのを防止することができる。
また、本実施形態では、第2溶融部(170)を形成する工程は、第2の周方向位置(P3)において、溶接熱源(110)の出力を、第1の出力値(E2)から徐々に出力値を(F1からF2に)小さくする第2の出力値(E3)に変更し、継続して出力値を(F2からF3に)溶融可能な出力値の範囲内で徐々に小さくしながら、第1の周方向位置(P4)において周方向他方側に折り返してさらに溶融させた後、第3の周方向位置(P6)において、溶接熱源(110)の出力を0にすることにより、第2溶融部(170)を形成する工程である。このように構成すれば、第2の周方向位置(P3)から第1の周方向位置(P4)までの部分において、初期に溶融され、折り返した時点から比較的遅い時点にさらに溶融される部分の出力値を比較的大きくすることができるので、第1の周方向位置(P4)から離れた第2の周方向位置(P3)の近傍の部分でも凝固する前に溶融することができる。また、第1の周方向位置(P4)の近傍の部分では、出力値を比較的小さくした状態(F2)で溶融することができるので、溶接深さ(d2)が増大するのを防止することができる。この結果、第2の周方向位置(P3)の近傍の部分で鉄よりも融点が低い材料の偏析を防止しながら、第1の周方向位置(P4)の近傍の部分で、溶接深さ(d2)が増大するのを防止することができる。
また、本実施形態では、第2溶融部(170)を形成する工程は、溶接熱源(110)の出力を、第1の出力値(E2)からスロープ状に出力値を(F1からF2に)徐々に小さくする第2の出力値(E3)に設定した状態で、第2溶融部(170)を形成する工程である。このように構成すれば、溶接熱源(110)の出力をステップ状に変更する場合と異なり、出力値を容易に徐々に小さくすることができる。
また、本実施形態では、第2溶融部(170)を形成する工程は、溶接熱源(110)により溶接対象部材(W)の溶融させる部分が第1の周方向位置(P4)に近付くに従って徐々にスロープ状に出力値を(F1からF2に)小さくするとともに、溶融させる部分が第1の周方向位置(P4)から遠ざかるに従ってさらに徐々にスロープ状に出力値を(F2からF3に)溶融可能な出力値の範囲内で小さくする第2の出力値(E3)に、溶接熱源(110)の出力を設定した状態で、第2溶融部(170)を形成する工程である。このように構成すれば、溶接熱源(110)の出力の制御を複雑にすることなく、第1の周方向位置(P4)における折り返しの前後に渡って、出力値を徐々に小さくすることができる。
また、本実施形態では、第2溶融部(170)を形成する工程は、溶融させる部分が第1の周方向位置(P4)に近付くに従って徐々にスロープ状に出力値を(F1からF2に)小さくする変化率(R2)と、溶融させる部分が第1の周方向位置(P4)から遠ざかるに従って徐々にスロープ状に出力値を(F2からF3に)小さくする変化率(R3)とが等しい第2の出力値(E3)に、溶接熱源(110)の出力を設定した状態で、第2溶融部(170)を形成する工程である。このように構成すれば、変化率を変更することなく、スロープ状に出力値を小さくすることができるので、溶接熱源(110)の出力の制御をより一層容易にすることができる。
また、本実施形態では、第2溶融部(170)を形成する工程は、溶接熱源(110)の出力を、溶融可能な出力値の範囲内で第2の出力値(E3)に設定した状態で、溶接対象部材(W)を溶融させるとともに、第1の周方向位置(P4)において周方向他方側に折り返しながらさらに溶融させた後、溶接熱源(110)の出力を、第2の出力値(E3)の徐々に出力値を小さくする変化率(R3)よりも、大きい変化率(R4)を有し、出力値を0まで低下させる第3の出力値(E4)に変更することにより、第2溶融部(170)を形成する工程である。このように構成すれば、第2の出力値(E3)を一定の変化率で0まで低下させる場合と異なり、溶接対象部材(W)を溶融させる部分を、第2の出力値(E3)により確実に溶融させることができるとともに、比較的変化率の大きい第3の出力値(E4)に変更することにより、所望の位置で溶融を終了させることができる。
また、本実施形態では、第2溶融部(170)を形成する工程は、回転伝達部材(20)とロータコア(10)とエンドプレート(40)とからなる溶接対象部材(W)に、第2溶融部(170)を形成する工程である。このように構成すれば、回転伝達部材(20)とロータコア(10)との溶接と、回転伝達部材(20)とエンドプレート(40)との溶接とを別個に行う必要がないので、ロータ(100)の製造工程を簡素化することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ロータをインナーロータとして構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ロータをアウターロータとして構成してもよい。
また、上記実施形態では、溶接対象部材を溶融される方法として、高エネルギービームの照射により、溶接対象部材を溶融させる例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、出力値が制御可能な他の溶接手法(溶接熱源)により溶接対象部材を溶融させてもよい。
また、上記実施形態では、第2溶融部を形成する工程において、溶接熱源の出力を0にすることなく連続して、折り返し位置において高エネルギービームの照射位置を折り返す例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、溶接対象部材の溶融している部分が凝固する前であれば、溶接熱源の出力を一旦0にしてもよい。
(第1変形例)
また、上記実施形態では、第2溶融部を形成する工程において、折り返し位置において高エネルギービームの照射位置を折り返した後も、継続して溶接熱源の出力値を徐々に小さくする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図13に示す第1変形例のロータの製造方法のように、照射位置を折り返した後、溶接熱源の出力が、出力値F1よりも小さい一定の出力値F11にする第2出力値E13に設定された状態で、照射位置が、折り返し位置P4から周方向位置P5に移動されるように構成してもよい。
(第2変形例および第3変形例)
また、上記実施形態では、第2溶融部を形成する工程において、溶接熱源の出力値をスロープ状に徐々に小さくする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図14に示す第2変形例のロータの製造方法のように、溶接熱源の出力が、出力値F1から出力値F2まで、ステップ状(階段状)に徐々に小さくされる第2出力値E23に設定されるように構成してもよいし、図15に示す第3変形例のロータの製造方法のように、溶接熱源の出力が、出力値F1から出力値F2まで、円弧状に徐々に小さくされる第2出力値E33に設定されるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、第1溶融部および第2溶融部を形成する工程において、ハブ部材とロータコアとエンドプレートとを溶接対象部材とする例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、ハブ部材を除くロータコアとエンドプレートとを溶接対象部材としてもよいし、ロータコアを除くハブ部材とエンドプレートとを溶接対象部材としてもよいし、エンドプレートを除くハブ部材とロータコアとを溶接対象部材としてもよい。
10 ロータコア(溶接対象部材) 10a 貫通孔
10b、10c 端部(ロータコアの回転軸方向の端部)
11 電磁鋼板 11a 側面(貫通孔側の側面)
20 ハブ部材(回転伝達部材、溶接対象部材)
40 エンドプレート(溶接対象部材)
60 第1溶接部 70 第2溶接部
71 溶融終了痕 72 溶接健全部
100 ロータ 110 溶接熱源
160 第1溶融部 170 第2溶融部
E2 第1出力値 E3、E13、E23、E33 第2出力値
E4 第3出力値 P3 周方向位置(第2の周方向位置)
P4 折り返し位置(第1の周方向位置) P6 周方向位置(第3の周方向位置)

Claims (11)

  1. 回転軸線回りに回転されるとともに、回転中心に貫通孔を有するロータコアと、前記ロータコアの前記貫通孔に設けられた回転伝達部材と、前記ロータコアの回転軸線方向の端部に設けられるエンドプレートと、を備えるロータの製造方法であって、
    互いの縁部同士を溶接する突き合わせ溶接により互いに溶接される、前記回転伝達部材と前記ロータコアと前記エンドプレートとのうちの少なくとも2つの溶接対象部材を、溶接熱源の出力を一定の出力値である第1の出力値に設定した状態で、周方向一方側に向かって溶融させることにより、第1溶融部を形成する工程と、
    前記溶接熱源の出力を前記第1の出力値よりも小さい第2の出力値に設定した状態で、前記第1溶融部から第1の周方向位置まで周方向一方側に向かって前記溶接対象部材を溶融させるとともに、前記第1の周方向位置において周方向他方側に折り返しながらさらに溶融させることにより、回転軸線方向に窪む溶融終了痕と、前記溶融終了痕よりも周方向一方側に設けられ、前記溶融終了痕の窪み深さよりも窪み深さが小さい溶接健全部となる第2溶融部を形成する工程とを備える、ロータの製造方法。
  2. 前記第2溶融部を形成する工程は、前記溶接対象部材の溶融している部分が凝固する前に、前記溶融している部分をさらに溶融させることにより、前記第2溶融部を形成する工程である、請求項1に記載のロータの製造方法。
  3. 前記第2溶融部を形成する工程は、前記第1溶融部から前記第1の周方向位置まで周方向一方側に向かって前記溶接対象部材を溶融させた後、前記溶接熱源の出力を0にすることなく連続して、前記第1の周方向位置において周方向他方側に折り返しながらさらに溶融させることにより、前記第2溶融部を形成する工程である、請求項1または2に記載のロータの製造方法。
  4. 前記第2溶融部を形成する工程は、前記第1の周方向位置よりも周方向他方側の第2の周方向位置において、前記溶接熱源の出力を、前記第1の出力値から前記第2の出力値に変更し、前記第1の周方向位置において周方向他方側に折り返しながらさらに溶融させた後、前記第2の周方向位置よりも周方向他方側の第3の周方向位置において、前記溶接熱源の出力を0にすることにより、前記第2溶融部を形成する工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
  5. 前記第2溶融部を形成する工程は、前記第2の周方向位置において、前記溶接熱源の出力を、前記第1の出力値から徐々に出力値を小さくする前記第2の出力値に変更し、継続して出力値を溶融可能な出力値の範囲内で徐々に小さくしながら、前記第1の周方向位置において周方向他方側に折り返してさらに溶融させた後、前記第3の周方向位置において、前記溶接熱源の出力を0にすることにより、前記第2溶融部を形成する工程である、請求項4に記載のロータの製造方法。
  6. 前記第2溶融部を形成する工程は、前記溶接熱源の出力を、前記第1の出力値からスロープ状に出力値を徐々に小さくする前記第2の出力値に設定した状態で、前記第2溶融部を形成する工程である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
  7. 前記第2溶融部を形成する工程は、前記溶接熱源により前記溶接対象部材の溶融させる部分が前記第1の周方向位置に近付くに従って徐々にスロープ状に出力値を小さくするとともに、前記溶融させる部分が前記第1の周方向位置から遠ざかるに従ってさらに徐々にスロープ状に出力値を溶融可能な出力値の範囲内で小さくする前記第2の出力値に、前記溶接熱源の出力を設定した状態で、前記第2溶融部を形成する工程である、請求項6に記載のロータの製造方法。
  8. 前記第2溶融部を形成する工程は、前記溶融させる部分が前記第1の周方向位置に近付くに従って徐々にスロープ状に出力値を小さくする変化率と、前記溶融させる部分が前記第1の周方向位置から遠ざかるに従って徐々にスロープ状に出力値を小さくする変化率とが等しい前記第2の出力値に、前記溶接熱源の出力を設定した状態で、前記第2溶融部を形成する工程である、請求項7に記載のロータの製造方法。
  9. 前記第2溶融部を形成する工程は、前記溶接熱源の出力を、溶融可能な出力値の範囲内で前記第2の出力値に設定した状態で、前記溶接対象部材を溶融させるとともに、前記第1の周方向位置において周方向他方側に折り返しながらさらに溶融させた後、前記溶接熱源の出力を、前記第2の出力値の徐々に出力値を小さくする変化率よりも、大きい変化率を有し、出力値を0まで低下させる第3の出力値に変更することにより、前記第2溶融部を形成する工程である、請求項7または8に記載のロータの製造方法。
  10. 前記第2溶融部を形成する工程は、前記回転伝達部材と前記ロータコアと前記エンドプレートとからなる前記溶接対象部材に、前記第2溶融部を形成する工程である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
  11. 回転軸線回りに回転されるとともに、複数の電磁鋼板が前記回転軸線の延びる方向である回転軸線方向に積層され、回転中心に貫通孔を有するロータコアと、
    前記ロータコアの前記貫通孔に設けられた回転伝達部材と、
    前記ロータコアの回転軸線方向の端部に設けられるエンドプレートと、
    互いの縁部同士を溶接する突き合わせ溶接により互いに溶接される、前記回転伝達部材と前記ロータコアと前記エンドプレートとのうちの少なくとも2つの溶接対象部材に設けられ、周方向に沿って形成された第1溶接部と、
    前記第1溶接部の溶接深さと同等の溶接深さを有し、前記回転軸線方向に窪む溶融終了痕と、前記溶融終了痕よりも周方向一方側に形成され、前記溶融終了痕の窪み深さよりも窪み深さが小さい溶接健全部とを含む、第2溶接部とを備える、ロータ。
JP2017191241A 2017-09-29 2017-09-29 ロータの製造方法およびロータ Active JP6950421B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017191241A JP6950421B2 (ja) 2017-09-29 2017-09-29 ロータの製造方法およびロータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017191241A JP6950421B2 (ja) 2017-09-29 2017-09-29 ロータの製造方法およびロータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019068597A JP2019068597A (ja) 2019-04-25
JP6950421B2 true JP6950421B2 (ja) 2021-10-13

Family

ID=66338016

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017191241A Active JP6950421B2 (ja) 2017-09-29 2017-09-29 ロータの製造方法およびロータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6950421B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003170281A (ja) * 2001-12-06 2003-06-17 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 薄板溶接終了方法
JP2015119557A (ja) * 2013-12-18 2015-06-25 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 回転電機用ロータ及びその製造方法
JP6203297B2 (ja) * 2016-01-12 2017-09-27 株式会社エイチワン レーザ重ね溶接方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019068597A (ja) 2019-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6554670B2 (ja) レーザ溶接方法
JP5126414B2 (ja) ロータおよびその製造方法
JP5206656B2 (ja) 車両用差動歯車装置
CN102151995B (zh) 汽车变速器齿轮激光焊缝闭合方法
JP6335983B2 (ja) 差動装置の製造方法及び差動装置
WO2017170523A1 (ja) ロータの製造方法
JP5573295B2 (ja) タービンローターの製造方法
JP6769260B2 (ja) ロータおよびロータの製造方法
JP6409529B2 (ja) ロータおよびロータの製造方法
JP6950421B2 (ja) ロータの製造方法およびロータ
JP6813083B2 (ja) コア製造方法及びコア
JP2011161506A (ja) 溶接方法
WO2019176759A1 (ja) 造形物の製造方法及び造形物
US8253063B2 (en) Method for making a solenoid actuator
JP2019057987A (ja) ロータおよびロータの製造方法
JP6923004B2 (ja) ロータの製造方法
JP2022008378A (ja) 回転電機のロータの製造方法
JP5100671B2 (ja) プロペラ羽根の製造方法、プロペラ羽根及び送風機
JP7238437B2 (ja) 溶接方法及び溶接接合体
JP7205102B2 (ja) 回転電機用ロータ
JP6759749B2 (ja) 溶接方法および溶接品の作製方法
JP2019176645A (ja) ロータの製造方法およびロータ
JP6799694B2 (ja) 溶接リングを製造するための方法
JP2018513021A (ja) 溶接されたリングを作成する方法
JP2021076120A (ja) 流体制御弁の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200309

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210409

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20210423

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210824

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210906

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6950421

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150