JP6950321B2 - 印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、高精細な印刷を有する印刷物に係り、特に、微細カラー印刷に好適であり、広告用の印刷物、玩具・容器包装などに展開可能な技術に関する。
微細な印刷構造を印刷する方法としては、例えばグラビアオフセット印刷法がある。グラビアオフセット印刷法では、凹部にインキが充填された印刷版から、ブランケットにインキを転移させ、そのブランケット上のインキを印刷基材上に転写することで印刷が行われる。
例えば特許文献1には、配線構造を有するタッチパネル用導電性部材の製造方法における、額縁部分へのパターン化された配線構造を印刷する方法として、グラビアオフセット印刷法を用いることが開示されている。
また特許文献2では、グラビアオフセット印刷装置において、グラビア版胴からブランケット胴へインキを受け渡す速度を相対的に遅くすることによりブランケット胴がグラビア版胴から受け取るインキ量を増やし、インキがそのままの形状を保ったまま被印刷物へ転写されることで高精細な印刷を行うことを可能にしている。
特開2011−210148号公報 特開2011−240570号公報
従来、印刷物は、印刷インキにより色や画像、配線その他効果を発現させている。従来の潜像や視差画像も基材付着後のインキ形状自体には変化が無く、印刷時のインキ厚みや印刷後の視認角度の変化によりその効果を得ている。
そのため、印刷インキには基材付着後に所望の効果を発現させるべく、色は勿論のこと導電性材料や絶縁性材料、蓄光や発光、放熱材料が用いられるほか、視認角度により色が変化する偏光材料や、物理現象により色が変化するクロミック材料等多種多様の材料が用いられている。
しかし、前述の通りこれら基材付着硬化後のインキ形状自体には変化が無いことが慣用であった。すなわち、同形状の物を多量に生産するという印刷の特性上、基材付着硬化後にそれらインキが変形した場合には所望の効果が得られなくなることが多く、基材付着硬化後に外的要因により変形を伴うインキは需要が無かった。
本発明は、上記の従来の問題点を逆に利点として着目したものであり、従来とは異なり基材付着硬化後に外的要因により変形を伴うインキによって高精細かつ微細な絵柄などの連続した色模様の印刷物を得ることを目的とし、外的要因により潜像が浮かび上がる画像を薄膜基材に作成することが可能となる印刷物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の印刷物は、
印刷基材の一方の面または両面の少なくとも一部の領域において、所定の線幅を有する配線パターンが形成された印刷部を有する印刷物であって、前記印刷部が、吸湿により膨潤する粒子、または乾燥により収縮する粒子の少なくともいずれか一方を含有するインキと、前記粒子を含有しないインキとを備え、前記配線パターンは線幅100μm以下の複数の線の組み合わせで構成され、前記複数の線の間隙の幅が、前記間隙を介して隣り合う2本の線のうち細い方の線幅の50倍以下であることを特徴とする。
また、本発明の印刷物は、前記配線パターンの前記複数の線が、直線または曲線からなり、縞状、同心円状、格子状、放射状のいずれかの形状に配置されているものでもよい。
また、本発明の印刷物は、前記印刷部に印刷された前記配線パターンが、全体として連続した色模様として観察者に視認されるものであってもよい。
本発明の印刷物は、前記複数の線の線幅の増減の調整によって、前記印刷部の色の濃淡表現が制御可能なものでもよい。
本発明の印刷物は、前記複数の線の少なくとも一部の線が、前記印刷基材の表面に対し1.5μm以上の高さの凸構造の断面形状を有する線であってもよい。
本発明の印刷物は、前記凸構造の断面形状を有する複数の線を有し、当該複数の線のうちの一部の線の高さが、その他の線の高さの1.5倍以上の高さを有するものでもよい。
本発明の印刷物は、前記凸構造の断面形状を有する複数の線を有し、当該複数の線のうち少なくとも一部の線は、前記インキを複数積層した多層構造となっているものでもよい。
本発明の印刷物は、前記複数の線の上に一方向に延在する凸構造の断面形状を有する線を有し、その断面が多角形もしくは曲面形状を任意に組み合わせた形状であってもよい。
本発明のいずれか一の態様によれば、複数の凹版を用いてアライメントを合わせて印刷を行い、微細な線を組み合わせることで、色が連続して視認可能な絵柄模様などの印刷表現を形成できる。また、外的要因によりインキの膨潤や収縮が生じることによって潜像が浮かび上がる画像を視認角度に拠らず薄膜基材上に作成することが可能となる。
本発明に基づく実施形態に係る印刷物を説明する概念図である。 印刷部を説明する概念図である。 印刷部の膨潤前後を説明する断面図である。 印刷部の膨潤前後を説明する断面図である。 印刷部の膨潤前後を説明する断面図である。 配線パターンの一例を説明する模式図である。 配線パターンの一例を説明する模式図である。 配線パターンの一例を説明する模式図である。 配線パターンの膨潤前後を説明する模式図である。 配線パターンの一例を説明する模式図である。 配線パターンの一例を説明する模式図である。 配線パターンの一例を説明する模式図である。 配線パターンの膨潤前後を説明する模式図である。 グラビアオフセット印刷用の印刷機の概念図である。 印刷版母材の例を説明する概念図である。
以下、本発明の印刷物の一実施形態について図面を適宜参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(印刷物)
図1に示すように、本実施形態の印刷物1は、印刷基材2の表面の一部に、印刷部3を有する。図1ではB面側に印刷部3が形成されているが、裏側のA面側にも印刷が施されていてよい。印刷部3は、インキにより形成され且つ連続した色模様として視認される絵柄などの印刷表示からなる。印刷部3を構成する印刷表示は、必ずしも明確な柄などの模様が視認可能なように構成されている必要はない。また本発明に係る印刷部3は、印刷基材2上に2つ以上配置されていてもよい。
本実施形態の印刷物1は、印刷基材2と印刷部3とを合わせた総厚さが、例えば5.0μm以上300.0μmの厚さとする。なお、印刷基材2上には、本発明に係る印刷部3以外の印刷部分を有していてもよい。また、本発明に係る印刷部3以外の印刷部分の一部として、本発明に係る印刷部3が配置されていてもよい。本発明に係る印刷部3以外の印刷部分は、例えば従来のように基材付着硬化後に形状変化を生じないインキにて絵柄その他の印刷表示がなされる。
本実施形態では、絵柄その他の印刷表示からなる印刷部3は、例えば図2に示すように、複数本の線4を組み合わせて構成される。ここで図2の左図は図1で示されるA面側に形成された印刷部3の実施形態例であり、図2の右図はB面側に形成された印刷部3の実施形態例を示す。
本発明に係る印刷部3を形成する線4は、単独の線としては目視では視認不可能な線幅を有し、図4の断面図の膨潤前に示すように、線幅Eが100μm以下の微細な線からなる。そしてこのような微細な線が多数並列して配置されていることにより、目視では印刷部3全体の外形が絵柄として視認できるようになっている。
このとき、図4に断面形状を示すインクには、吸湿により膨潤し、乾燥により収縮する粒子を含有するもしくは含有しないシアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色等のインクから選択される、少なくとも1色以上の有色の線4の組合せで印刷部3を構成することで、微細カラー印刷を表現できる。
図3は、図1の印刷物1において、A面に吸湿により膨潤し、乾燥により収縮する粒子を含有するインキを用いて印刷し、B面にはこれら粒子を含有しないインキを用いて、表裏面に印刷を行った印刷部3を示している。またA面、B面のどちらの印刷部も、線幅が同等の微細線で形成されている。
図3で印刷部3をB面側から視認した場合、膨潤前には図3(a)のようにA面はB面の線に隠れ視認することが難しいが、A面側のインキが膨潤することによりA面の印刷部の線幅が増加し、図3(b)のように変化することにより視認が可能となる。
印刷部3を表現する複数の線4は、その隣り合う線相互の線間の間隙が、その間隙を構成する2本の線のうちの線幅が狭い線側の線幅の50倍以下になるように設定している。
間隙を線幅の50倍以下に設定することで、連続した色模様に視認可能となる。間隙の寸法が線幅の50倍を越えると、線間の非印刷部分が視認されるおそれがある。なお、線4同士が格子状に交差していてもよく、交差位置では当然に、間隔は「0」である。
印刷部3を表現する複数の線4は、凹版を用いて形成される。同一平面上に1つの凹版を用いて特定の配線パターンで配置してもよく、また夫々異なる複数の凹版のアライメントを合わせて印刷を行うことにより、特定の配線パターンで配置してもよい。
なお、異なる凹版を用いて印刷を行う場合には、線間隔はあってもなくてもよいが、好ましくは、混色を避けるために2μm以上は間隙を置くことが望ましい。
印刷部3を表現する複数の線4は、同一平面上に異なる凹版のアライメントを合わせて印刷を行うことにより、積層して配置してもよい。この際、同一の凹版を用いて積層を行なう事により、特定の部位のみ嵩高く配置してもよい。
また例えば黒色インキで配線パターンを形成した後に、黒色インキパターンの直ぐ隣に透明インキを印刷する用の異なる凹版を用いてアライメントを合わせ、透明インキで配線パターンを形成することもできる。すなわちこの場合、黒色インキの配線パターンの横に、透明インキの配線パターンが配置した状態となる。
そしてこのときに、黒色インキには前述の膨潤・収縮する微粒子を含まないインキを用い、透明インキには膨潤・収縮する微粒子を含むインキを用いたとすると、吸湿により透明インキの配線パターンが膨潤する一方で、隣り合う黒色インキの配線パターンは膨潤した透明インキに圧迫されて押しつぶされる形になり、結果的に黒色インキの配線パターンは線幅が細くなるという効果が生じる。
また、印刷部3を構成する印刷表現の色の濃淡は、複数の線4を一方向に沿って並列して印刷部3を構成する場合、単位面積当たりに配置する線4の線幅を変更することで、印刷部3の色の濃淡表現が調整される。
ここで、従来、網点で印刷を表現する場合、色の濃淡は、網点の大きさを変更することで濃淡を表現している。すなわち、単位面積当たりのインキの占有率(インキ面積)を変化させることで濃淡を表現している。
これに対し、本実施形態によれば、同じインキ面積であっても、線幅を変更することで濃淡を調整することが可能となる。例えば、10μm幅の線4を10μm間隔で配列する代わりに、100μm幅の線4を100μm間隔で配列した場合の方が、インキ面積(この例では面積率が50%)は同じであっても、目視時における色の濃さ(色差計測定値)が濃くなる。このように、本実施形態にあっては、印刷部全体としてのインキ面積を変えることなく濃淡調整も可能となる。これによって、本実施形態では、色の濃淡調整の自由度が広がり、微細印刷であっても、より高精細な印刷表現が可能となる。
複数の線4で印刷部3を構成する場合、複数の線4を特定の配線パターンで配置して表現する。特定の配線パターンとは、例えば複数の線4を、所定の一方向に向けて配列させる(縞状)、同心円状に配置する、格子状に配置する、放射状に配置するなどのパターンが考えられる。ただし、配線パターンの規則は前記のパターンのみに限定されない。線幅が100μm以下の線4の組合せであって、線間の間隙が、その間隙を構成する2本の線のうちの線幅が狭い線側の線幅の50倍以下という配線条件を満足すれば、ランダムな配置など、どのような配線パターンであっても本願発明は適用可能である。
また、本実施形態の線4は、直線状に延在している必要はなく、蛇行など曲線状に延在していてもよい。又、印刷の際に、インキのかすれなどが発生する可能があるが、線4は
、線幅の1.5倍以上の線長が有ればよい。なお、色の付いた線4を有色線4と呼ぶこともある。
次に、複数色の有色の線4を組み合わせて構成される印刷部3の表現例を示す。
図6は、線幅10μmの円環の配線パターンを10μm間隔で同心円状に配置した場合の模式図である。図6は2色を用いて形成した事例を示しており、2本のマゼンタの有色線4eと1本のシアンの有色線4fとの繰り返しを中心から外周側に向けて同心円状に配置した場合には、目視では、全体として紫色の金属光沢様な円に見える。
また、図7は、線幅10μmの線からなる配線パターンを、円形を90°ずつ分画した区画に直交する直線4g及び4hで配置した場合の模式図である。図7の模式図のように、同一色で直交する直線を配置した場合、直線4gと4hが同一の線幅、線間隔であっても、目視では、光の干渉効果から異なる色に見える。この例では、線4の線幅を10μmとし、線間の間隙を10μmに設定した。なお、同心円状の線間の間隙の幅は同一に設定する必要がなく、また各円形の線の円の中心が、同じ位置でなくともよい。
またこのとき、まず黒色インキで当該配線パターンを形成した後、黒色インキパターンの直ぐ隣に透明インキを印刷する用の異なるの凹版を用いてアライメントし、黒色インキの横に透明インキでパターンを形成した。このとき透明インキには前述の膨潤・収縮する微粒子を含むインキを用い、黒色インキにはそのような微粒子を含まないインキを用いた。
図8は、印刷時に凹版のアライメントをあわせることにより、表裏にそれぞれ図6に示す配線パターンと図7に示す配線パターンを同一中心で配置した場合の印刷部の模式図である。先に示したように、夫々単独では有色の金属光沢様や角度による異なる色に視認されるが、これらを表裏で合わせることにより、目視では角度によって見える色の異なる金属光沢様の絵柄が作成される。
図9は吸湿によるインキ膨潤により図8に示す印刷部が変化した場合の模式図である。これは、吸湿によるインキ形状の変化により線間隔に変化が生じることで、目視で見える色合いが変化する効果がある。すなわち、図7で作成された線が、発色を示す顔料や染料を含まず吸湿により膨潤し、乾燥により収縮する無色の粒子のみを配合した透明インキの膨潤により、発色を示す顔料や染料は含むが膨潤や収縮のない粒子を含まない通常のインキは押しつぶされ線幅が細くなることで線の色が薄くなり、図6に示す配線パターンの方が視認され易くなる。
図10は、配線パターンを一方向に向けて縞状に配列した場合の模式図である。図10は2色を用いて形成した印刷部3の例であり、シアンの線4iとイエローの線4jとを繰り返して配列することで、目視では緑色の球状の印刷部3が視認される。この例では、線幅を10μmとし、線4i及び線4jの線間の間隙Fを20μmに設定した。各線は互いに平行でなくてもよい。
また、図11は、配線パターンを一方向に向けて縞状に配列した場合の模式図である。図11の模式図のように、黒色インキを用いて黒色の線4kを一定間隔で配列することで球状の印刷部3が表現される。この例では、線4kは線幅を10μmとし、線間の間隙Fを10μmとして設定した。
さらに、インキパターンが隣り合うように異なる凹版を用いてアライメントし、黒色インキの横に透明インキのパターンを形成した。透明インキには前述の膨潤・収縮する微粒子を含むインキを用い、黒色インキにはそのような微粒子を含まないインキを用いた。
図12は、印刷時に凹版のアライメントを合わせることにより、表裏面にそれぞれ図1
0に示す配線パターンと図11に示す配線パターンとを重ねて配置した場合の模式図である。先の図8に示したように、各々単独では緑や黒といった異なる色に視認されるのみだが、これらを表裏で合わせることにより、視認角度により色が異なる絵柄が作成される。
図13は吸湿によるインキ膨潤により図12に示す印刷部が変化した場合の模式図である。吸湿によるインキの形状の変化により線間隔に変化が生じることで、図10に示す配線パターンが視認可能となる。すなわち、図10と図11の配線パターンを表裏面に重ねて配置した場合、吸湿前は図10に示す配線パターンは図11に示す配線パターンの影となり正面からは視認が難しいが、吸湿により図11の線が発色を示す顔料や染料を含まず吸湿により膨潤し、乾燥により収縮する無色の粒子のみを配合した透明インキの膨潤により、発色を示す顔料や染料は含むが膨潤や収縮のない粒子を含まない黒色インキは押しつぶされ線幅が細くなることで、吸湿以前では視認角度にのみ絵柄が認識できたが、インキ膨潤によりそれら図10の絵柄が視認角度に拠らず視認可能となる。
ここで、図6〜図13に示す例の場合には、単純にするために、印刷部3の外形の輪郭が円の場合を例示しているが、本発明では円に限定されない。印刷部3の外形の輪郭は、矩形などの多角形状やその他の形状であってもよい。例えば、同心円状の配列パターンの場合には、その多角形状の輪郭の中で線4を同心円状に配線すればよい。また各線間の間隙は等間隔である必要もない。
印刷部3で表示(視認)される色は、有色線4の組合せで設定できる。例えば、赤は、マゼンタの線:イエローの線=2:1の面積比となるように、3原色の比率によって再現される。同様にして、橙は、マゼンタの線:イエローの線=1:2の面積比となるように、3原色の比率によって再現される。
また、緑は、シアンの線:イエローの線4c=1:1の面積比となるように、3原色の比率によって再現される。また、藍は、シアンの線:マゼンタの線=2:1の面積比となるように、3原色の比率によって再現される。また、紫は、シアンの線:マゼンタの線=1:2の面積比となるように、3原色の比率によって再現される。このように、表現する色に応じて、複数の有色線4の比率や配列を設計する。このとき、隣り合う線4の配置を、規則数列的に配置することで、視認する角度により色が変化するようになる。
印刷部3を形成する印刷は凹版印刷によって実施して、各線4を構成するインキが、印刷基材2から盛り上がっている凸構造の断面形状となるように構成されていることが好ましい。
この場合、特定の配線パターンで規則性を持って配置された複数の有色線4の組合せで印刷部3が形成され、且つ各線4が盛り上がって、複数の線4によって凹凸構造になっていることから光干渉を作り、印刷物1(基材)の表面に対する、視認する角度を変えることで色が変化して見える。若しくは表裏の印刷をすることによる視差から視認する角度を変えることで色が変化して見える。特にこのような効果は2以上の色の線4を組み合わせた場合に効果的である。
盛り上がっている線4の基材に対する高さは、1.5μm以上、好ましくは2μm以上である。線4が凸構造の断面形状となっていることで微妙な立体感を有し、規則配置することにより光干渉を生み、その結果、視認する角度による色の変化がより顕著となる。
なお、図3に示すように、凸構造に構成するインキ1層の高さは、5μm以下が好ましい。現状のグラビアオフセット印刷では、1層の安定したインキ膜厚の上限が5μm程度であるためである。もし安定した凸構造が形成可能であれば、5μmよりも高くても構わない。また、インキを2層塗って、多層積層とすることで、線4の高さを5μmよりも高
い線として構成するようにしてもよい。
また、一つの印刷部3を構成する複数の線4の高さにバラツキがあっても良い。バラツキがあることで、視認する角度による色の変化がより細かくなって精緻化する。この場合、一番低い線4と一番高い線4とで、高さに1.5倍以上の変化があることが好ましい。
また、凸構造に構成するインキ1層の高さにバラツキを持たせる場合に、一部の線4について、異なる色を2層以上積層して高くすることが好ましい。多層構造とする場合には、1層の高さに対し、2層の高さを1.5倍以上に設定することが好ましい。この場合にも、視認する角度による色の変化がより細かくなって精緻化する。この場合の断面形状として、例えば半円形、三角形、矩形、台形などが例示できる。
ここで、上述した複数の線4で構成される印刷部3での乾燥時の凹凸形状の十点平均粗さRzは20μm以下であり、乾燥時の線4算術平均粗さRaが1.0μm以上7.0μm以下の凹凸構造を有するように構成されることが好ましい。印刷基材2の表面に対し、複数の線4を構成するインキによる凹凸形状の粗さをこの範囲にすることで、吸湿により膨潤し、乾燥により収縮することで潜像を視認するだけでなく、視認角度による見た目の色の変化を生じさせる効果をも確実に確保することが可能となる。
なお、本発明において、印刷部3を構成する複数の線4の全部もしくは一部が凸構造である必要はないものの、凸構造とすることで、見る角度による色の変化を顕著にもたらすことができる。凸構造としない場合には、前述の凹版の代わりに凸版印刷で線4を印刷してもよい。
このように、本実施形態によれば、線4を組み合わせて色が連続して視認可能な絵柄模様などの印刷表現を形成可能となることで、高精細な印刷物1を得ることが可能となる。なお、印刷基材2は、シート状に限定されず、玩具などの立体物であっても良く、その立体物が有する表面に印刷部3が形成されていてもよい。
以上のように、本実施形態の印刷物1に設けた印刷部3の表示は、予め設定した特定の配線パターンで配することにより、乾燥時には視認が不可能な潜像が、インキに内包される粒子が膨張することにより線幅が変化し、絵柄が可逆的に変化する湿度応答性のカラー印刷物を作成することに好適であり、広告用の印刷物、玩具・容器包装などに優れた意匠性を付与することが可能となる。
上述したような線4からなるインキの微小な盛り上がり(凸構造)を有する印刷部3は、例えば、グラビアオフセット印刷法による凹版印刷で印刷することで形成することが可能である。以下、その一例を説明する。
(印刷装置)
グラビアオフセット印刷用の印刷装置8は、図14に概念図を示すように、凹版からなる印刷版10と転写用のブランケット9とを備えている。印刷版10は、母材表面の転写面に、印刷する印刷部に応じた凹部が形成され、その凹部にインキ13が充填されると共に、ドクターブレード21によって余分なインキが掻き取られる。印刷版10は、印刷版固定用定盤14の上面に固定される。
ブランケット9は、回転可能なブランケット胴11の表面に固定されている。ブランケット胴11は、回転可能に台車(不図示)に支持されており、台車は、架台上を移動可能に架台に支持されている。そして、ブランケット9は、印刷版10上を転動することで印刷版10の印刷面の凹部から、その表面(印刷面)にインキ13が転写され、さらに、転写されたインキ13を、基材固定用定盤15に固定された印刷基材12の表面(印刷面)に転写する。
ブランケット9は、上述のように、インキの授受を行うことにより転写印刷を行う。ブランケット9の表面、すなわち印刷面は、ゴム層からなる。このゴム層として用いられるゴム材料としては、ブランケットとして公知の各種の材料を用いることができる。これらのゴム材料は、インキ及びインキに用いられる溶剤の種類に対応して選択され、シリコンゴムなどの溶剤吸収性のあるものが好適である。ゴム層単独でブランケット9とすることも可能であるが、ゴム層はベース基材の上に設けてもよい。
なお、ゴム材料からなるゴム層は、ベース基材上でゴム材料を硬化させることも、フィルム上のゴム材料をベース基材と貼り合わせることで設けることも可能である。ベース基材としては、印刷時にブランケット胴11に取り付けられることから、例えば可撓性のあるフィルムや金属薄板で構成される。
ただし、ベース基材としては、コスト及び寸法安定性から、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系フィルム、あるいはポリイミドフィルムが好適である。
また、ベース基材とゴム層の間には、必要に応じてプライマー層や接着層が設けられる。また、ベース基材の下には必要に応じてクッション層が設けられる。クッション層としてはスポンジ状の材料を用いることができる。ブランケット9は、その幅方向の両端部を不図示の取付器具によって巻き締めることによって、略円筒形のブランケット胴11に固定される。
印刷版10は、詳細は後述するが、印刷部3を構成する配線パターンに対応する複数の溝(凹部)を銅版、ニッケル版などの金属版、あるいはガラス版に形成し、その表面にクロムめっきやカーボンめっきによる耐擦性皮膜を形成してなる。また、耐摩擦性皮膜を形成した上表皮に対して、ダイヤモンドライクカーボン、フッ素系やシリコン系の撥油剤を塗工、もしくは蒸着やスパッタ等の方法を用いて表面平滑性を向上させる加工を施してもよい。
ここで、印刷部3は複数の線4から構成されるため、印刷部3を印刷するための印刷版10の凹部は、本実施形態では、線状に延在する複数の溝で構成される。そして、上述の溝からなる凹部に対し、インキ13が充填されると共に、ドクターブレード21によって不要なインキが掻き取られる。凹部に充填されるインキ13は、印刷分野で知られている光の3原色(赤、緑、青)や減法混色の3原色(黄、紅、藍)の他墨(黒)のインキもしくは、これらインキに吸湿により膨潤し、乾燥により収縮する粒子を添加したものを用いることができる。
本実施形態では、印刷版毎に、いずれかの発色に相当するインキを凹部に充填する。
次に、本発明の印刷物に用いる材料について詳細に説明する。
<粒子>
吸湿により膨潤し、乾燥により収縮する粒子の材料としては、例えば天然油由来のマンノースやグルコース、ガラクトース、アガロース、アガロペクチン、ガラクタン、マンナン、デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、フルクタンタン、コラーゲン、ポリリジン、ポリグルタミン酸、コラーゲン、ヒアルロン酸等の単糖類や多糖類、アミノ酸やタンパク質がある。
さらに、化学合成により作成されるポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリヒドロキシエチレンメタクリレートや部分塩が含まれる重合体があり、これらのいずれかの材料より作成された粒子を1種類使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。
<インキ>
インキの発色顔料としては、プロセス印刷で利用されているジスアゾイエロー、ブリリアントカーミン、フタロシアニンブルー等が有名であるが、これに限定されず、印刷分野で知られている有機顔料・無機顔料を適宜用いることができる。
無機顔料としては、金属粒子の他、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、鉄黒(黒色酸化鉄)に代表される酸化物の他、水酸化物、硫化物、セレン化物、フェロシアン化物、クロム酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、燐酸塩、炭素等がある。
有機顔料としては、炭素化合物の他、ニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、レーキ系、フタロシアニン系、縮合多環材料の他、蓄光や残光顔料、紫外や赤外等のある特定の波長の光に反応して発光する金属酸化物や量子ドット等がある。これら顔料を1種類用いてもよいし、複数を混合して利用してもよい。
また、これらの色を目的とした顔料に対し、導電性を目的として金属微粒子や導電性金属酸化物微粒子あるいは金属ナノワイヤや金属塩化物、導電性ポリアニリン、導電性ポリプロピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体)などの導電性ポリマー等を混合して導電性インキとして利用してもよい。
<溶剤>
インキ中の溶剤としては、任意のものを用いることができる。例えばドデカン、テトラデカンを使用する。また、速乾性インキでは、常温で乾燥する沸点の低い溶剤(MEK、エタノール、アセトンなど)を、水性インキでは水(精製水)を、オイル系インキでは常温で蒸発しないオイル(脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、高級アルコールなど)を用いることが可能である。なお、溶剤の種類に応じて、その溶剤に対し吸収性を有するブランケット9の材料を適宜選択することが好ましい。
<樹脂>
顔料および吸湿により膨潤し、乾燥により収縮する粒子以外のインキ材料として用いる樹脂材料は、透明樹脂や、色付きの樹脂、あるいは、不透明な樹脂を用いても良い。すなわち、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の汎用プラスチックを用いることが可能である。
ここで、熱可塑性樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、COC(環状オレフィン・コポリマー)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、COP(シクロオレフィンポリマー)、MS(メタクリル酸スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等などの熱可塑性樹脂を用いることが可能である。
また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂やメラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキ
ド等の当該分野でよく知られている熱硬化性樹脂を用いることが可能である。また、前記以外にも、インキ材料として用いる樹脂材料として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチル)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニルサルフィド)等のエンジニアプラスチックや、スーパーエンジニアプラスチックを用いることも可能である。この他にも電離放射線によって硬化するアクリルやウレタン、エポシキ、ポリエステル、チオール等の樹脂を用いることが可能である。
<光散乱粒子>
また、インキには、吸湿により膨潤し、乾燥により収縮する粒子の他、光散乱粒子が混入されていてもよい。すなわち、光散乱粒子は、印刷物1を構成する、異なる色相のインキいずれかに入っていても、積層した複数の層のうちいずれかに含んでいてもよい。インキに混入させる光散乱粒子としては、真球形状粒子、または、不定型形状粒子が用いられる。また、光散乱粒子の材料としては、無機微粒子、または、有機微粒子からなる粒子を用いる。
具体例としては、アクリル系粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体や、メラミン‐ホルマリン縮合物の粒子、ポリウレタン系粒子、ポリエステル系粒子、シリコン系粒子、フッ素系粒子、エポキシ粒子これらの共重合体、スメクタイト、カオリナイト、タルク等の粘土化合物粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等の無機酸化物粒子、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ガラス粒子等の無機微粒子を挙げることができる。
これらの高い屈折率を有する透明な粒子は、一種類の粒子だけを混合して使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。また、無機微粒子や有機粒子の表面に塗工や蒸着等によって表面加工を施したものを、一種類で使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。すなわち、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する少なくとも二つの光散乱粒子を含んでもよい。
なお、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する光散乱粒子の代わりに、異なるヘイズ値を有する2つ以上の光散乱粒子を含んでもよい。なお、光散乱粒子を混入する代わりに、線4を構成した状態のインキが空気を含む微細な空洞を含有するようにしてもよい。例えば、印刷するインキの材料中に発泡剤を含有させておき、その発泡剤を発泡させて、空洞を形成することができる。
<印刷基材>
本実施形態における印刷基材2は、その上面に印刷によって印刷部3を含む印刷層が形成される。印刷層は、基材上面の全面である必要はない。又、本発明に係る印刷図柄以外の印刷が形成されてもよい。印刷基材2は、シート状の材料に限られず、中空又は中実のいずれでもよく、また、任意の平面又は曲面を、印刷部3を形成する印刷面とすることができる。
印刷基材2は、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムの他、クリーンペーパーやコート紙、カレンダー紙等の当該分野で知られている加工紙、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等の当該分野で知られている水溶
性ポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等の当該分野で知られている生体適応性ポリマーが用いられる。
(印刷方法)
次に、印刷方法について説明する。
ここで、印刷部3が、例えば、図3等に示したように、4色の有色線4で構成される場合には、印刷する色毎に個別に4種類の印刷版を用意して、順番に4つの印刷版を使用した凹版印刷を行う。なお、印刷版10は、印刷する色毎に用意するほか、多層塗りを行う場合にも、その積層分の印刷版を用意して、順番に凹版印刷を行う。各印刷版10毎に凹部を形成する溝の深さや幅を変更してもよい。又、一つの印刷版に形成する複数の溝の一部の溝の幅や深さを他の溝の幅や深さと異なるように設計してもよい。
以下の説明では、一つの印刷版による一回分の凹版印刷について説明する。
印刷版10を、例えばインキ溜め(不図示)においてインキに浸漬し、続けてドクターブレード21により、印刷版10の凹部にインキを導くとともに、印刷版10の表面から溢れ出た余分なインキを取り去ることで、印刷版10の凹部にインキを充填する。この際、ドクターブレード21の剪断応力によるインキの粘度変化に応じて、ドクターブレードの速度は5〜300mm/secの範囲内で任意に設定することが望ましい。
次に、図14中、右端から左側方向に向けての台車(不図示)の移動およびブランケット胴11の軸回転によって、ブランケット9の印刷面が、印刷版10に充填されたインキ13に連続的に接触する。これによって、ブランケット9の印刷面にインキ13が転写される。ブランケット9への転写速度は、例えば10mm/sで行うことができる。このとき、ブランケット9の印刷面がインキ13内の溶剤を吸収可能な吸収性を有する材料から構成することで、ブランケット9の印刷面に形成されたインキ13の濡れ広がりが抑制される。その後、台車の移動により、インキ13が転写されたブランケット9は、印刷基材12の設置位置まで移動される。
続けて、図14に示すように、台車の移動およびブランケット胴11の軸回転により、ブランケット9上に転写されたインキは、左方の印刷基材12の印刷面に転写される。すなわち、回転するブランケットが印刷基材12に押し付けられてインキの転写が行われる。
ブランケット9の印刷面の回転速度は、台車の移動速度と同期をとった速度に設定されている。なお、印刷基材12への転写速度は、例えば100mm/sで行うことができる。転写されずにブランケット9の印刷面に残ったインキ13の部分は、例えば、不図示のクリーニングローラーで除去される。
なお、本実施形態では、転写の際に台車を移動させる場合を例示しているが、ブランケット胴11と印刷版固定用定盤14との相対位置、ブランケット胴11と基材固定用定盤15との相対位置の変化を実現できる限り、印刷版固定用定盤14、基材固定用定盤15を移動させてもよく、台車、印刷版固定用定盤14、および基材固定用定盤15の3つをそれぞれ移動させてもよい。
その後、印刷基材12上に転写されたインキ13は硬化される。この硬化は、例えば、焼成、加熱、自然乾燥、電離放射線硬化、冷却(熱可塑性材料を含む導電性インキを用いる場合)など、使用するインキの種類及び成分に応じた各種の手段によって実行することができる。加熱による場合には、例えば、赤外線ヒータを用いることができる。
これらの何れか1つまたは1つ以上の手段を組み合わせて用いて硬化させることにより印刷物1が得られる。なお、ブランケット9の膨潤量が所定の基準値に達すると、印刷待
機時にブランケット9に吸収された溶剤を乾燥させる機能を、印刷装置に備えてもよい。ブランケット9の印刷面の材質、使用するインキの種類及びインキ内の溶剤の種類は、上述した例以外の各種のものを選択することができる。
ブランケット9は、円筒形のブランケット胴11に固定して使用したが、インキ転写時のブランケットの印刷面形状は、円筒形以外の曲面や平面であってもよい。印刷基材12はシート状のほか樹脂成形品などのように、印刷面が曲面であるものであってもよい。
複数の凹版印刷を使用する場合には、凹版のアライメントを合わせる上記印刷処理を繰り返せば良い。アライメントマークの形状は、円や十字、放射線形状でもよく、カメラによる画像認識時に上下左右の合わせ位置が明確に示されているものを利用することができる。アライメントマークは、印刷物の領域外に設置されており、少なくとも印刷物に対して対角の2点以上存在することが望ましい。アライメント精度は、±10μm以下であることが望ましいが、更に望ましくは±5μm以下であることが望ましい。
アライメント精度が上記の範囲を逸脱した場合には、線が重なってしまい、設定した色とは異なる色を示すことや、インキ膨潤時のみ視認可能な潜像が常時視認可能になってしまうなどの問題を生じる可能性がある。このように、アライメントを合わせて印刷することで、複数の凹版を用いて予め設定した特定の配線パターンを印刷することが可能となる。
本実施形態における印刷版10は、図15に示す印刷版母材16の表面を切削加工することにより形成される。本実施形態の印刷版の凹部は、目的の印刷部3の印刷領域形状及び印刷の配線パターンに応じた複数の線状の溝により形成される。
従来は、網点に応じたドットに対応した凹部形状の集合によって形成されているが、本実施形態では、印刷部3を構成する線4に応じた線状の溝によって、印刷部3の凹部が形成される。
図15において、印刷版母材16は、例えば、Al、Ni、Feからなる円筒体17の表面に、内径側から外径側に向けて順に、銅めっき層18、剥離層19及び銅バラード層20を同心状に積層して形成されている。
溝形成に際しては、印刷版母材16を円の中心を軸として回転させ、外表面を形成する銅バラード層20に向けて径方向に切削刃を作用させて切削を実施することで、線状の溝からなる複数の凹部が形成される。
切削の深さは適宜設定してよいが、例えば20μmとすることができる。溝からなる凹部は、印刷版母材16の周方向に延在していてもよく、また、螺旋方向に延在していてもよい。切削による凹部形成(切り込み移動)と、印刷版母材16と切削刃との回転軸に沿った相対移動(送り移動)とを交互に行うことで、溝からなる凹部を周方向に延在させることができる。
また、切り込み移動と送り移動とを同時かつ連続的に行うことで、凹部を螺旋方向に延在させることができる。軸に向かう切削刃の切り込み深さを無段階又は複数段階で変化させることで、凹部の幅を変化させることも可能である。印刷する線4が蛇行して延在する場合には、溝も蛇行するように形成する。
凹部の幅や深さは、目的の配線パターン及びインキで形成する各線4の盛り上がり量(高さ)に応じた値に設定する。これによって、この印刷版を用いて印刷基材2上にインキを転写した際に、印刷基材2上に転写される線状のインキ線幅や高さが、目的とする配線パターン及びインキで形成する各線4の盛り上がり量(高さ)となった印刷物1を得ることが可能となる。これによって、単位体積当りのインキ面積が変化したり、同一インキ面積であっても各線4の幅が異なったりすることで、印刷物1の色の濃淡を表現することが可能となる。
本実施形態では、凹部の形成は切削刃を用いて行われる。切削刃は、単一のノーズ部と、これを挟む2つの斜行部を有し、斜行部は、切削刃の切り込み方向と非平行かつ非垂直に延在する。切削刃は、ノーズ部に隣接する少なくとも1つの斜行部を有するのが好適である。本実施形態における印刷版10の製造に用いられる切削刃は、単一のノーズ部と、これを挟む2つの斜行部とを有する。2つの斜行部の延在方向は、切削刃の切り込み方向に対して互いに異なっており、一方の斜行部が切り込み方向に対してなす角度は任意に選択することが可能である。
このような切削工程の後、耐磨耗性を高めるために、銅バラード層20の表面の全体に、クロムめっき層(不図示)が形成される。また、クロムめっき層の上に蒸着によりDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を形成(不図示)することにより、表面の平滑性を向上させる。そして、剥離層19から銅バラード層20を剥離することにより、図20に示されるような凹部を有する平板の印刷版10が得られる。
本実施形態における印刷版の凹部の形状は、深さ方向に対して線対称であっても非対称であってもよく、少なくとも1つ以上の形状を組み合わせた形でもよい。
本実施形態では、切削刃を用いて印刷版を製作したが、例えばダイシングソーやレーザー、マシニングセンタによる切削にて製作してもよい。また、多段エッチング法や多段めっき法により印刷版を製作してもよい。また、本実施形態では、金属部材を版材として用いたが、石英や、石英や金属から樹脂転写したものを印刷版として用いてもよい。
本実施形態に係る印刷版10を含む印刷装置によって基材上に転写されたインキの厚みは、1層当り5μm以下であり、インキ単層で印刷物1としてもよい。また、印刷基材2上に転写されたインキ上に再度同じ加工を施し、同一若しくは異なるインキを積層してもよい。また、アライメント機能を用いて基材上に転写されたインキと任意の間隔で同一若しくは異なるインキを単層若しくは多層で転写してもよい。
本実施形態における印刷版10を含む印刷装置8によって基材上に転写されたインキを、硬化若しくは焼成することによって、印刷基材12上に印刷部3が形成された印刷物1が得られる。なお、図4は、印刷基材2の印刷面に垂直な断面におけるインキの断面形状を示し、図5は図4のA面、B面それぞれの面側から見た状態を示す。図4のとおり、転写及び乾燥後のインキ層3の断面形状は、印刷版凹部の断面形状に対応して対称若しくは非対称になる。
なお、本発明は、実施形態に示された態様のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、平板の印刷版を用いて転写を行っていたが、これに限らず、円筒形状の印刷版を用いて転写を行ってもよい。また、上述した実施形態のうち切削刃を用いるものでは、単一のノーズ部を有する切削刃によって切削を行ったが、複数のノーズ部を有する異形切削刃によって切削を行っても良い。
また、例えば、上述した実施形態では、ブランケット9を介して印刷基材12にインキを転写していたが、これに限らず、印刷版から直接印刷基材12にインキを転写してもよい。また、例えば、上述した実施形態では、インキの印刷パターンが印刷基材12の上に
形成されていることとしたが、これに限らず、当該印刷パターンが印刷基材12の上に形成された後に、印刷基材12が除去されて、印刷パターンのみによりその形状を保持する態様としてもよい。
また、本発明では、その実施形態において前述の導電性インキを用いた場合に、インキに付与された導電性は、例えば印刷層に通電することによる真贋判定や、電気回路部材としての利用など、各種の用途に利用することができる他、クロミック材料を用いることにより電力や物理的、化学的作用により可逆反応を示すことによる真贋判定や、電気回路部材としての利用など、各種の用途に利用することができる。
1:印刷物
2、12:印刷基材
3:印刷部
4、4e、4f、4g、4h、4i、4j、4k:線(又は有色線)
8:印刷装置
9:ブランケット
10:印刷版
11:ブランケット胴
12:印刷基材
13:インキ
14:印刷版固定用定盤
15:基材固定用定盤
16:印刷版母材
17:円筒体
18:銅めっき層
19:剥離層
20:銅バラード層
21:ドクターブレード
C、C’:断面部位
D、D’:断面部位
E、F:線幅

Claims (8)

  1. 印刷基材の一方の面または両面の少なくとも一部の領域において、所定の線幅を有する配線パターンが形成された印刷部を有する印刷物であって、
    前記印刷部が、
    吸湿により膨潤する粒子、または乾燥により収縮する粒子の少なくとも何れか一方を含有するインキの配線パターンと、
    前記粒子を含有しないインキの配線パターンとを備え、
    前記配線パターンは線幅100μm以下の複数の線の組み合わせで構成され、
    前記複数の線の間隙の幅が、前記間隙を介して隣り合う2本の線のうち細い方の線幅の50倍以下であることを特徴とする印刷物。
  2. 前記配線パターンの前記複数の線が、直線または曲線からなり、縞状、同心円状、格子状、放射状のいずれかの形状に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記印刷部に印刷された前記配線パターンが、全体として連続した色模様として観察者に視認されることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷物。
  4. 前記複数の線の線幅の増減によって、前記印刷部の色の濃淡表現をしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷物。
  5. 前記複数の線の少なくとも一部の線が、前記印刷基材の表面に対し1.5μm以上の高さの凸構造の断面形状を有する線であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷物。
  6. 前記凸構造の断面形状を有する複数の線を有し、当該複数の線のうちの一部の線の高さが、その他の線の高さの1.5倍以上の高さを有することを特徴とする請求項5に記載の印刷物。
  7. 前記凸構造の断面形状を有する複数の線を有し、当該複数の線のうち少なくとも一部の線は、前記インキを複数積層した多層構造となっていることを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷物。
  8. 前記複数の線の上に一方向に延在する凸構造の断面形状を有する線を有し、その断面が多角形もしくは曲面形状を任意に組み合わせた形状であることを特徴とする請求項1〜7に記載のいずれか一項に記載の印刷物。
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