JP7415527B2 - 画像形成体およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、偽造防止および個人認証用途の画像形成体(個人認証媒体)およびその製造方法に関する。本発明に係る個人認証媒体とは、パスポートや査証などの冊子または、カード等に個人特定の要である顔画像や指紋、サイン等を印刷、印字、描画して表示されたものであり、特に正当な所有者の顔写真やサインといった画像情報や本人姓名、生年月日などの個人情報の印字内容を、複数のインキにより印刷されたマイクロ文字などの認証要素と組み合わせることにより、偽造防止用途に供することを目的とするものである。
クレジットカードや認証書類、有価証券類、紙幣などの一部または全面に形成される、画像形成体は偽造が困難であることが求められる。特許文献1に示す様なこうした画像形成体の偽造を困難にする技術として、ホログラムや回折格子、または見る角度により色の変化を生じる多層膜のようなOVD(Optically Variable Device:光学的変化素子)媒体がある。
また、ホログラムや回折格子よりもコストが安価で偽造抵抗力の高い偽造防止技術として、線画,マイクロ文字など、50μm以下の画線幅での印刷パターンの形成が有効であり、画線部のインキが盛り上がる凹版印刷の採用が有望視されている。凹版印刷の応用例である潜像凹版印刷物による偽造防止効果が評価されている。偽造者の多くは、プリンタ等の簡易的な出力機によって偽造品を作製することが多いため、インキ膜厚の低い、二次元的な構成の偽造品しか作製することができない。一方、潜像凹版印刷物は、盛り上がった万線を縦横方向に規則的に配置することで潜像模様を形成しているため、三次元的な構成となり、特定の方向から観察することで、盛り上がった万線の圧縮及び非圧縮により、縦方向の万線と横方向の万線に濃度差が生じて潜像模様を視認することができるものである。(例えば、特許文献2参照)
特許第5127704号公報 特許第5544540号公報
個人認証媒体に形成される画像情報には、媒体毎に個体差のない共通情報と媒体(ユーザー)毎に異なる固有情報とがあり、共に真偽判定用の認証情報としての採用が可能である。また、通常の観察状態では視認されずに特定の条件下で視認可能となる不可視な隠蔽情報を発現させて真偽判定に併用する手法も多用されている。共通情報と固有情報の何れも隠蔽情報には適用されうる。レリーフホログラムや回折格子は、同一の凹凸パターンを有する版(スタンパ)を用いて複製されるため、共通情報の形成に適しており、固有情報の形成では、コンピュータ上の製版データをインクジェット記録方式,電子写真記録方式,レーザ記録方式等により直接印刷するデジタル無版印刷方式が好適とされている。
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、
印刷方式を主体とした個人認証媒体において、外部刺激を受けることにより変色する材料を含むインキを用いた印刷パターンの採用により、隠蔽情報の発現での興味ある視覚効果を奏することが実現され、レーザ・エングレービングによるマーキングの併用により、隠蔽情報の発現による視覚効果の一層の向上と合わせて、改竄や偽造の防止対策への有効
性が向上した画像形成体を提案することを目的とする。
本発明による画像形成体は、
レーザ・エングレービングによるマーキングが可能な感熱記録材料層上または前記感熱記録材料層と密着する基材上に、
外部刺激を受けることにより変色する材料を含むインキおよび外部刺激を受けても変色しないインキを用いた印刷パターンを含む印刷層を備えることを特徴とする。
前記印刷パターンの少なくとも何れかは、凹版印刷にて形成された画線幅が100μm以下の画線からなるパターンであることが好適である。
外部刺激を受けることにより変色する材料を含むインキを用いた前記印刷パターンは、外部刺激を与えない場合には無色透明であることが好適である。
前記感熱記録材料は、レーザ・エングレービングによるマーキングを施さない場合には無色透明であることが好適である。
前記感熱記録材料層は、レーザ・エングレービングによるマーキングを施した箇所のみが局所的に不透明となり、前記印刷パターンとの組み合わせにより、追記情報となる認証パターンを構成することが好適である。
前記印刷パターンを構成するインキは少なくとも1色以上の色材を含むことが好適である。
前記印刷パターン内には、マイクロ文字が含まれることが好適である。
100μm以下の画線幅により構成される前記印刷パターンには、万線パターン,格子パターン,同心状に画線を配列したパターン,放射状に画線を配列したパターンの少なくとも何れかが含まれることが好適である。
前記印刷パターンを構成する画線幅または2本以上からなる画線の間隙の距離により、前記印刷パターンの濃淡表現がされていることが好適である。
前記印刷パターンを構成する画線は、形成される感熱記録材料層の表面から0.2μm以上の高さで盛り上がっている凸構造であることが好適である。
前記凸構造を備える画線を複数本有し、少なくとも一部の画線は、前記凸構造が重ねられた多段構造となっていることが好適である。
前記凸構造を備える画線を複数本有し、少なくとも一部の画線は、前記画線の延在方向と交差する方向の断面の上部に傾斜部を有することが好適である。
前記印刷パターンのアライメント精度が、誤差10μm未満であることが好適である。
画線の表面が透明な樹脂若しくは透明基材で覆われていることが好適である。
本発明の画像形成体の製造にあたって、
100μm以下の画線幅で、0.2μm以上の高さで盛り上がった画線が形成される様に、線幅が100μm以下で深さが0.2μm以上の溝部を有する凹版に、外部刺激を受
けることにより変色する材料を含むインキおよび外部刺激を受けても変色しないインキの少なくとも何れかのインキを充填するグラビアオフセット印刷法を採用することが好適である。
本発明により、レリーフホログラムや回折格子の製造~複製の設備,工程を要することなく、比較的低コストな印刷方式を主体とした個人認証媒体において、レーザ・エングレービングによるマーキングの可能な感熱記録材料上に形成された、外部刺激を受けることにより変色する材料を含むインキおよび外部刺激を受けても変色しないインキを用いた2タイプの印刷パターンに加えて、レーザ・エングレービングによるマーキングとの組み合わせにより、隠蔽情報の発現での興味ある視覚効果を奏することが実現され、改竄や偽造の防止に一層有効な画像形成体が提供される。
本発明に基づく実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。 本発明に基づく実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。 本発明に基づく実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。 本発明に基づく実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。 画像形成体を説明する断面図である。 画像形成体を説明する断面図である。 画像形成体を説明する断面図である。 画像形成体を説明する断面図である。 画像形成体を説明する断面図である。 グラビアオフセット印刷用の印刷機の概念図である。 本発明に基づく実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本実施形態の画像形成体1における印刷パターンは、レーザ・エングレービングによるマーキングの可能な感熱記録材料層7(以下、単に感熱記録材料層7と称する)の表面の一部に、外部刺激を受けることにより変色する材料を含むインキ(以下、外部刺激変色インキと称する)により形成される微細印刷線3を持つパターンと、外部刺激を受けることにより変色しないインキ(以下、外部刺激無変色インキと称する)により形成される微細印刷線4を持つパターンから構成される。
外部刺激変色インキと外部刺激無変色インキにより形成される印刷線幅26が100μm以下の線により形成される模様、例えばマイクロ文字のような模様は1文字当りの大きさが縦5横6サイズ0.8mm以下であり、複写機での作製が困難な大きさで形成された模様が一定の間隙を持って配置されている。
微細印刷線が構成する印刷部は、外部刺激が無い状態においては必ずしも明確な柄などの模様が視認可能なように構成されている必要はない。本発明に係る微細印刷線3および4は、感熱記録材料層7の表裏に配置されても片面に1つ以上配置されていてもよく、更
には印刷基材2上に表裏若しくは片面に1つ以上配置されていてもよい。
本実施形態の印刷物1は、感熱記録材料層の表面の一部7と外部刺激変色インキにより形成される微細印刷線3(以下、外部刺激変色微細印刷線3と称する)と外部刺激無変色インキにより形成される微細印刷線4(以下、外部刺激無変色微細印刷線4と称する)を合わせた総厚さが例えば5.0μm以上500.0μmの厚さとする。厚みが例えば5.0μm以下の場合には印刷時の搬送性が悪く500.0μm以上の場合には製品の可撓性が無くなってしまう。
なお、感熱記録材料層7の表面の一部には、外部刺激変色微細印刷線3および外部刺激無変色微細印刷線4とは異なる印刷線を持つ印刷パターンを含んでいても良い。すなわち、インキの種類が異なるパターンを形成したり、あるいは、インキの種類が異なるパターン内に外部刺激変色微細印刷線3または外部刺激無変色微細印刷線4が配置されるパターンであっても良い。
本実施形態では、絵柄,文字,記号その他の表示からなる画像形成体1内の印刷パターンは、例えば図1に示すように、外部刺激変色微細印刷線3と外部刺激無変色微細印刷線4を組み合わせて構成される。
本発明に係る外部刺激変色微細印刷線3と外部刺激無変色微細印刷線4は、目視では視認が困難な大きさを有し、画線幅26が100μm以下の微細印刷線からなる。
微細印刷線は複数の画線から成り、複数の画線は線間隔が100μm以下からなるよう幾つかの線幅の画線の組み合わせで構成されている。画線幅が100μm以上の場合には外部刺激の有無に係らず微細印刷線が視認されやすくなってしまい、複写機での模倣が容易となり偽造防止の意味を成さない。
また、印刷パターンは、感熱記録材料層7の表面に形成する場合に限定されず、感熱記録材料層7の裏面(観察者に対して反対側)に形成しても良い。あるいは、感熱記録材料層7には印刷パターンを直接形成せず、感熱記録材料層7に接する箇所に配置される別層である印刷基材に形成した上で、印刷基材と感熱記録材料層7を一体化した構造の画像形成体1が含まれる積層体23としても良い。(図6参照)
図2は、感熱記録材料層7の表面に、外部刺激変色微細印刷線3と外部刺激無変色微細印刷線4による印刷パターンを組み合わせて構成される認証パターンが形成された画像形成体1の外観を示している。後述するレーザ・エングレービングによるマーキングが施されていない箇所の感熱記録材料層7と、外部刺激を与えていない状態での外部刺激変色微細印刷線3が共に無色透明である場合は、図2,図3では「A」以外の文字は視認されないことになる。ここでは、便宜上、網がけしたグレーの色相の背景にうっすらと文字が見える様に図示している。
身分証明を不正な複製から守る目的で、レーザ・エングレーブの手法による固有情報の印字が適用されている。レーザ・エングレーブは、特定の波長を有するレーザ光線を吸収し、これによって炭化する特性を有した発色性層あるいは発色性能が高いポリカーボネート基材に対してなされる。レーザ・エングレーブでは、この様な発色性層にレーザ光線を照射することによって、発色性層の一部を変色させて、情報を記録する。レーザ・エングレーブによれば、画像形成体に対して個体毎に異なる情報を書き込むことが可能である。そのため、ユーザーの顔やサイン(署名)など、不正な複製や変造が困難であるユーザー別の固有情報がレーザ・エングレーブによって記録されることが多い。本発明では、感熱記録材料層7として上記の発色性層を採用し、感熱記録材料層7内にレーザ・エングレービングによるマーキングを施して、マーキングと印刷パターンとの相乗効果による視覚的
効果および偽造防止効果(認証情報の隠蔽)の向上を図ることになる。
レーザ・エングレーブの変形例として、発色性層として機能する感熱記録材料層7に予め形成されてある微細印刷線3,4による文字配列(アルファベットの行列)に対して、行毎に選択した特定文字に相当する箇所にレーザ光線を照射して、感熱記録材料層が発色した際に、選択された特定文字列が周りと異なる色相で強調されて視覚される様に、隠蔽情報(潜像)を形成することも可能である。隠蔽情報(潜像)は画像形成体(ユーザー)毎に異なる固有情報であっても、共通情報としての認証パターンであっても良い。
図3に示す様に、画像形成体1若しくは積層体23の感熱記録材料層7にレーザ光線24を照射し感熱記録材料層内部に個人により異なる情報を不透明にマーキングしておくと、マーキング箇所にはレーザ光線24の照射パターンに応じて、変色された不透明なマーク(透明な背景に、不規則に8つの●が配置)された状態に見える。
図4に示す様に、画像形成体1若しくは積層体23に外部刺激(例えば、紫外光25の照射)を与えることにより、外部刺激変色微細印刷線4で形成された印刷パターン(文字B~Z)が発色あるいは発光して、背景との色相あるいは輝度の相違が生じて、印刷パターンが浮かび上がって見えることになる。この際、レーザ・エングレービングにより変色されたマーキングが影となり、浮かび上がった印刷パターンとのコントラストが一層顕著になる。
そのため、図3に示すように、外部刺激を与えていない場合に一見すると、感熱記録材料層7にレーザ・エングレービングによりマーキングされた不透明なマーク(●)と部分的な外部刺激無変色インキ(文字A)が混在して配列している様に見えるだけであるが、外部刺激変色インキよる微細印刷線4からなる印刷パターン(文字B~Z)が発色して視認される図4の状態では、選択された文字列(TOPPANCO)が浮かび上がる(図4の例では、伏字の情報が認識される)ことになる。文字列は、マークシート状に特定箇所が塗り潰されて構成される情報であり、ユーザー毎に異なる固有情報あるいは共通情報の何れもが表示され得る。このとき外部刺激変色インキと外部刺激無変色インキによる微細印刷線3,4からなる模様を組み合わせた認証情報を構成することによっても、さらに多彩な偽造防止効果が得られる。
図11では、画像形成体の含まれる個人認証媒体(IDカード)に適用した場合の使用状態を示す。感熱記録材料層および外部刺激無変色微細印刷線4からなる印刷パターンが共に通常時(外部刺激が無い場合)に透明であり、外部刺激を与えて感熱記録材料層を発色させた状態を図示している。図11(a)の通常時には、顔写真に隣接する認証要素では、透明なエリア内に意味をなさない不透明箇所(●)が点在している様に見えるだけであるが、図11(b)の認証時には、外部刺激変色インキへの外部刺激の付与に応じて外部刺激変色インキが発色し、相対的な色相変化により印刷パターン(アルファベット配列)が浮かび上がって見え、レーザ・エングレービングによりマーキングされた不透明なマークにより隠蔽された文字列を確認すると、選択された文字列(TOPPAN TAROU:氏名)が把握されることになる。この文字列が認証手段となって、IDカードの真偽判定が可能となる。認証手段は共通情報(例えば、所属企業・所属部署名)であっても良いし、IDカードの所有者個人の固有情報(例えば、社員コード,氏名)であっても良い。
マイクロ文字を例に取った場合、外部刺激変色インキと外部刺激無変色インキによるマイクロ文字の割り当て順を個人毎に変更することで個人毎の個人情報レーザーマーキング場所が異なり偽造防止効果を生じる事が可能となる。
本実施形態の画像形成体1に設けた微細印刷線を構成単位とする表示は、特定パターン
との組み合わせにより、新たな隠蔽情報(潜像)を現出させる上で好適なため、画像形成体1のユーザー毎に固有な認証パターンを追記することが可能であり、意匠性と共に偽造防止効果の向上に優位性を持つ。
本実施形態における画像形成体1若しくは積層体23は単独で存在しているが、その上下面若しくは同一平面にホログラムや回折格子、または見る角度により色の変化を生じる多層膜のようなOVD(Optically Variable Device:光学的変化素子)媒体が形成されていてもよい。それらを付加することにより、本発明による印刷パターンだけで十分に興味ある視覚効果,偽造防止効果が得られる上に、それらの効果が一層向上される。
感熱記録材料層7又は印刷基材2は、シート状の材料に限られず、中空又は中実のいずれでもよく、また、任意の平面又は曲面を、微細印刷線3を形成する印刷面とすることができる。
印刷基材2は、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムの他、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコール、セルロースナノファイバーフィルム、ポリエチレンオキシド等の当該分野で知られている水溶性ポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等の当該分野で知られている生体適応性ポリマーを用いることが可能である。
微細印刷線3に用いる外部刺激変色インキの発色顔料としては、光励起発光に伴う変色性をもたせるため、ユーロピウム(Eu)やテルビウム(Tb)、ネオジウム(Nd)等の発光性の希土類錯体や蛍光顔料、赤外発光顔料等や擦る、潰す、押す等の機械的な刺激を加えることで分子構造や結晶構造が変化し発光するメカノクロミック材料を単体もしくはそれらを混合させて使用してもよく、これに限定されず印刷分野で知られている光変色性の有機顔料・無機顔料を適宜用いることができる。
微細印刷線4に用いる外部刺激無変色インキの色材(発色顔料)としては、当該分野で知られている有機および無機顔料を組み合わせて使用してもよい。
無機顔料としては、金属粒子の他、二酸化チタン、亜鉛華、鉄黒に代表される酸化物の他、水酸化物、硫化物、セレン化物、フェロシアン化物、クロム酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、燐酸塩、炭素等がある。有機顔料としては、炭素化合物の他、ニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、レーキ系、フタロシアニン系、縮合多環材料等がある。
これら発色性を目的とした顔料に対し、導電性を目的として金属微粒子や導電性金属酸化物微粒子あるいは金属ナノワイヤや金属塩化物、導電性ポリアニリン、導電性ポリプロピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体)などの導電性ポリマー等を混合して利用してもよい。
インキには、光散乱粒子が混入されていてもよい。すなわち、光散乱粒子は、画像形成体1を構成する、異なる色相のインキいずれかに入っていても、積層した複数の層のうちいずれかに含んでいてもよい。インキに混入させる光散乱粒子としては、真球形状粒子、または、不定型形状粒子が用いられる。また、光散乱粒子の材料としては、無機微粒子、または、有機微粒子からなる粒子を用いる。
具体例としては、アクリル系粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋
体や、メラミン‐ホルマリン縮合物の粒子、ポリウレタン系粒子、ポリエステル系粒子、シリコン系粒子、フッ素系粒子、エポキシ粒子これらの共重合体、スメクタイト、カオリナイト、タルク等の粘土化合物粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等の無機酸化物粒子、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ガラス粒子等の無機微粒子を挙げることができる。
これらの高い屈折率を有する透明な粒子は、一種類の粒子だけを混合して使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。また、無機微粒子や有機粒子の表面に塗工や蒸着等によって表面加工を施したものを、一種類で使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。すなわち、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する少なくとも二つの光散乱粒子を含んでもよい。
なお、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する光散乱粒子の代わりに、異なるヘイズ値を有する2つ以上の光散乱粒子を含んでもよい。なお、光散乱粒子を混入する代わりに、線を構成した状態のインキが空気を含む微細な空洞を含有するようにしてもよい。例えば、印刷するインキの材料中に発泡剤を含有させておき、その発泡剤を発泡させて、空洞を形成する。
インキ中の溶剤としては、例えばドデカン、テトラデカンを使用する。インキ中の溶剤は任意のものを用いることができる。例えば、速乾性インキでは、常温で乾燥する沸点の低い溶剤(MEK、エタノール、アセトンなど)を、水性インキでは水(精製水)を、オイル系インキでは常温で蒸発しないオイル(脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、高級アルコールなど)を用いることが可能である。なお、溶剤の種類に応じて、その溶剤に対し吸収性を有するブランケット11の材料を選択することが好ましい。
顔料および粒子以外のインキ材料として用いる樹脂材料は、透明樹脂や、色付きの樹脂、あるいは、不透明な樹脂を用いても良い。すなわち、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の汎用プラスチックを用いることが可能である。
ここで、熱可塑性樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、COC(環状オレフィン・コポリマー)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、COP(シクロオレフィンポリマー)、MS(メタクリル酸スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等などの熱可塑性樹脂を用いることが可能である。
また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂やメラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド等の当該分野でよく知られている熱硬化性樹脂を用いることが可能である。また、前記以外にも、インキ材料として用いる樹脂材料として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチル)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニルサルフィド)等のエンジニアプラスチックや、スーパーエンジニアプラスチックを用いることも可能である。この他にも電離放射線によって硬化するアクリルやウレタン、エポキシ、ポリエステル、チオール等の樹脂を用いることが可能である。
本発明による画像形成体を有する積層構造では、各種の変形例が想定される。図5~図9に例示される様に、不透明部を有する感熱記録材料層7の一方の表面に印刷パターンを形成した構成(図5),一方の表面に印刷パターンを形成した印刷基材2の表裏に不透明部を有する感熱記録材料層7と感熱記録材料層8で挟み込んだ構成(図6),印刷基材2には印刷パターンを形成せず、一方の表面に印刷パターンを形成した感熱記録材料層7を用いた構成(図7),印刷基材2の表裏に印刷パターンを形成し、その表裏に感熱記録材料層7,8で挟み込んだ構成(図8),印刷基材2と感熱記録材料層8のそれぞれ一方の表面に印刷パターンを形成する構成(図9)など、目的に応じて多様に変更されうる。
感熱記録材料層7,8はシート状の材料に限られず、中空又は中実のいずれでもよく、また、任意の平面又は曲面を、微細印刷線を形成する印刷面とすることができる。
感熱記録材料層7,8は、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムの他、クリーンペーパーやコート紙、カレンダー紙等の当該分野で知られている加工紙、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等の当該分野で知られている水溶性ポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等の当該分野で知られている生体適応性ポリマーを用いることが可能である。
これら感熱記録材料層内部には、レーザ照射によりそれ自身が消滅または変色するカーボン等の材料を含んでいてもよい。図5と図6では、感熱記録材料層7とその内部に形成されたレーザ・エングレービングによりマーキングされた不透明なマークの色相が、「白黒⇔黒白」と異なっているが、感熱記録材料層7が無色であるか、着色されてあるかの相違に基づいた図示である。
微細印刷線3、4は、凹版を用いて形成される。同一平面上に1つの凹版を用いて特定の配線パターンで配置してしてもよく、夫々異なる凹版のアライメントを合わせて印刷を行うことにより、特定の配線パターンで配置してもよい。尚、異なる凹版を用いて印刷を行う場合には、線間隔はあってもなくてもよい。
微細印刷線3、4を表現する複数の微細印刷線同士は、同一平面上に異なる凹版のアライメントを合わせて印刷を行うことにより積層して配置してもよい。この際、同一の凹版を用いて積層を行なう事により、特定の部位のみ嵩高く配置してもよい。
また、微細印刷線3、4を構成する印刷表現の色の濃淡は、複数の線を一方向に沿って並列して微細印刷線3、4を構成する場合、単位面積当たりに配置する線の線幅もしくは2つの線から成る間隙幅を変更することで、色の濃淡表現が調整される。
ここで、従来、網点で印刷を表現する場合、色の濃淡は、網点の大きさを変更することで濃淡を表現している。すなわち、単位面積当たりのインキの占有率(インキ面積)を変化させることで濃淡を表現している。
また、同じインキ面積であっても、線幅を変更することで濃淡を調整することも可能となる。例えば、10μm幅の画線4を10μm間隔で配列する代わりに、100μm幅の画線4を100μm間隔で配列した場合の方が、インキ面積(この例では面積率が50%
)は同じであっても、目視時における色の濃さ(色差計測定値)が濃くなる。このように、本実施形態にあっては、インキ面積を変えることなく濃淡調整も可能となる。これによって、本実施形態では、色の濃淡調整の自由度が広がり、微細印刷であっても、より高精細な印刷表現が可能となる。
印刷パターンを複数の微細印刷線3、4で構成する場合、複数の微細印刷線3、4を特定の配線パターンで配置して表現する。特定の配線パターンとは、例えば複数の微細印刷線を、所定の一方向に配列させる(万線)、同心状に配置する、格子状に配置する、放射状に配置するなどのパターンが考えられる。もっとも、配線パターンの規則は、前記のパターンに限定されない。線幅が100μm以下の微細印刷線の組み合わせであればランダムな配置など、どのような配線パターンであっても本願発明に適用可能である。
また、本実施形態の微細印刷線は、直線状に延在している必要はなく、蛇行など曲線状に延在していてもよい。又、印刷の際に、インキのかすれなどが発生する可能があるが、線幅の1.5倍以上の線長が有ればよい。
次に、画像形成体1を有する積層構造の構成例を説明する。
図5から9は、微細印刷線を配置した場合の断面図である。微細印刷線を形成した印刷基材と感熱記録材料層とは粘着材を介して積層一体化してもよいし、積層後に熱圧着させて一体形成してもよい。
一体形成するための粘着材としては片面もしくは両面に酢酸ビニル等の粘着剤を塗工してもう片層とを一体接着する方法がある。
一体接着するために用いる粘着材としては、酢酸ビニルの他、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコン系の粘着材が挙げられる。いずれの場合も高温で使用されるため、粘着材の動的弾性率としては、100℃での貯蔵弾性率G’は1.0E+04 Pa以上であることが望ましい。これより値が低いと、使用中に樹脂層と基材がずれてしまう可能性がある。
粘着材の中に屈折率の異なる有機粒子や無機粒子などの透明粒子等を混ぜても良く、粘着材は両面テープ状のものでも良いし、単層のものでもよい。また、粘着材はあらかじめシート状に加工したものを用いても良いし、基材シートの所望部材に直接塗布しても良い。粘着材と隣接する面には、あらかじめコロナ処理を施しても良い。
熱圧着の方法としては感熱記録材料層と保護層とが溶解する温度に設定した小型プレス機やスチームヒーター、オートクレーブ等を用いることが可能であり、印刷物と感熱記録材料層と保護層を積層した両面から均一に圧力をかけて熱圧着する。
図4に示す例の場合には、単純にするために、感熱記録材料層裏面に印刷後、紫外線照射による外部刺激の付与時に視認される模様と可視光で視認される模様とを例示しているが、これらの内容には限定されない。
なお、本発明において、印刷パターンを構成する複数の微細印刷線の全部若しくは一部が、凸構造である必要はなく、凸構造としない場合には、凸版印刷で微細印刷線を印刷してもよい。
なお、感熱記録材料層7若しくは印刷基材2は、シート状に限定されず、玩具などの立体物であっても良く、その立体物が有する表面に微細印刷線が形成されていてもよい。
凹版印刷による細印刷線では、凹部の深さに応じた0.2μm以上のインキの微小な盛り上がり(凸構造)を有する。インキの盛り上がりが0.2μm以下の場合には外部刺激により外部刺激変色インキが変色しても、外部刺激変色インキに含まれる顔料の発色あるいは発光による効果が少なく、形成された印刷パターンによる文字や模様を視認しづらい。インキの盛り上がりが0.2μm以上であると、顔料の発色あるいは発光による効果に加えて、盛り上がり部分の影による周囲とのコントラストが強調され、発色あるいは発光に伴う視認性が一層向上する。この微細印刷線は、例えば、グラビアオフセット印刷法による凹版印刷で印刷することで形成することが可能である。以下、その一例を説明する。
グラビアオフセット印刷用の印刷装置9は、図10に概念図を示すように、凹版からなる印刷版12と転写用のブランケット11とを備えている。印刷版12は、母材表面の転写面に、印刷する微細印刷線に応じた凹部が形成され、その凹部にインキ14が充填されると共に、ドクターブレード22によって余分なインキが掻き取られる。印刷版12は、印刷版固定用定盤15の上面に固定される。
ブランケット11は、回転可能なブランケット胴13の表面に固定されている。ブランケット胴13は、回転可能に台車(不図示)に支持されており、台車は、架台上を移動可能に架台に支持されている。そして、ブランケット11は、印刷版12上を転動することで印刷版12の印刷面の凹部から、その表面(印刷面)にインキが転写され、さらに、転写されたインキを、基材固定用定盤16に固定された印刷基材2の表面(印刷面)に転写する。
ブランケット11は、上述のように、インキの授受を行うことにより転写印刷を行う。ブランケット11の表面、すなわち印刷面は、ゴム層からなる。このゴム層として用いられるゴム材料としては、ブランケットとして公知の各種の材料を用いることができる。これらのゴム材料は、インキ及びインキに用いられる溶剤の種類に対応して選択され、シリコンゴムなどの溶剤吸収性のあるものが好適である。ゴム層単独でブランケット11とすることも可能であるが、ゴム層はベース基材の上に設けてもよい。
なお、ゴム材料からなるゴム層は、ベース基材上でゴム材料を硬化させることも、フィルム上のゴム材料をベース基材と貼り合わせることで設けることも可能である。ベース基材としては、印刷時にブランケット胴13に取り付けられることから、例えば可撓性のあるフィルムや金属薄板で構成される。
ただし、ベース基材としては、コスト及び寸法安定性から、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系フィルム、あるいはポリイミドフィルムが好適である。また、ベース基材とゴム層の間には、必要に応じてプライマー層や接着層が設けられる。また、ベース基材の下には必要に応じてクッション層が設けられる。クッション層としてはスポンジ状の材料を用いることができる。ブランケット11は、その幅E方向の両端部を不図示の取付器具によって巻き締めることによって、略円筒形のブランケット胴13に固定される。
印刷版12は、微細印刷線3を構成する配線パターンに対応する複数の溝(凹部)を銅版、ニッケル版などの金属版、あるいはガラス版に形成し、その表面にクロムめっきやカーボンめっきによる耐擦性皮膜を形成してなる。また、耐摩擦性皮膜を形成した上表皮に対して、ダイヤモンドライクカーボン、フッ素系やシリコン系の撥油剤を塗工もしくは蒸着やスパッタ等の方法を用いて表面平滑性を向上させる加工を施してもよい。
ここで、微細印刷線は複数の外部刺激変色微細印刷線3と外部刺激無変色微細印刷線4
から構成させるため、微細印刷線を印刷するための凹部は、本実施形態では、線状に延在する複数の溝で構成される。そして、上述の溝からなる凹部に対し、インキが充填されると共に、ドクターブレードによって不要なインキが掻き取られる。凹部に充填されるインキ14は、外部刺激により発光の有無の特性を持ったインキ若しくは、これらインキに粒子を添加したものを用いることができる。本実施形態では、印刷版毎に、いずれかの発色に相当するインキを凹部に充填する。
本実施形態における印刷基材2は、その片面もしくは両面に印刷によって微細印刷線3、4を含む印刷部が形成される。印刷部は、基材上面の全面である必要はない。又、本発明に係る印刷図柄以外の印刷が形成されてもよい。感熱記録材料層7若しくは印刷基材2は、シート状の材料に限られず、中空又は中実のいずれでもよく、また、任意の平面又は曲面を、微細印刷線3、4を形成する印刷面とすることができる。
次に、印刷方法について説明する。
ここで、微細印刷線3、4が、複数色で構成される場合には、印刷する色毎に個別に印刷版を用意して、順番に色毎の印刷版を使用した凹版印刷を行う。なお、印刷版12は、印刷する色毎に用意するほか、多層塗りを行う場合にも、その積層分の印刷版を用意して、順番に凹版印刷を行う。各印刷版12毎に凹部を形成する溝の深さや幅を変更してもよい。又、一つの印刷版に形成する複数の溝の一部の溝の幅や深さを他の溝の幅や深さと異なるように設計してもよい。
以下の説明では、一つの印刷版による一回分の凹版印刷について説明する。
印刷版12を、例えばインキ溜め(不図示)においてインキに浸漬し、続けてドクターブレード22により、印刷版12の凹部にインキを導くとともに、印刷版12の表面から溢れ出た余分なインキを取り去ることで、印刷版12の凹部にインキを充填する。この際、ドクターブレード22の剪断応力によるインキの粘度変化に応じて、ドクターブレードの速度は5~1000mm/secの範囲内で任意に設定することが望ましい。
次に、図10中、右端から左側方向に向けての台車(不図示)の移動およびブランケット胴13の軸回転によって、ブランケット11の印刷面が、印刷版12に充填されたインキ14に連続的に接触する。これによって、ブランケット11の印刷面にインキ14が転写される。ブランケット11への転写速度は、例えば150mm/sで行うことができる。このとき、ブランケット11の印刷面がインキ14内の溶剤を吸収可能な吸収性を有する材料から構成することで、ブランケット11の印刷面に形成されたインキ14の濡れ広がりが生じ易い。その後、台車の移動により、インキ14が転写されたブランケット11は、印刷基材2の設置位置まで移動される。
続けて、図10に示すように、台車の移動およびブランケット胴13の軸回転により、ブランケット11上に転写されたインキは、印刷基材2の印刷面に転写される。すなわち、回転するブランケットが印刷基材2に押し付けられてインキの転写が行われる。ブランケット11の印刷面の回転速度は、台車の移動速度と同期をとった速度に設定されている。なお、印刷基材2への転写速度は、例えば100mm/sで行うことができる。転写されずにブランケット11の印刷面に残ったインキ14の部分は、例えば、不図示のクリーニングローラーで除去される。
なお、本実施形体では、転写の際に台車を移動させる場合を例示しているが、ブランケット胴13と印刷版固定用定盤15との相対位置、ブランケット胴13と基材固定用定盤16との相対位置の変化を実現できる限り、印刷版固定用定盤15、基材固定用定盤16を移動させてもよく、台車、印刷版固定用定盤15、および基材固定用定盤16の3つをそれぞれ移動させてもよい。
その後、感熱記録材料層7若しくは印刷基材2上に転写されたインキ14は硬化される。この硬化は、例えば、焼成、加熱、酸化硬化、電離放射線硬化、冷却(熱可塑性材料を含む導電性インキを用いる場合)など、使用するインキの種類及び成分に応じた各種の手段によって実行することができる。加熱による場合には、例えば、フラッシュキセノンランプを用いることができる。
これらの何れか1つまたは1つ以上を組み合わせて用いて硬化させることにより印刷物1が得られる。なお、ブランケット11の膨潤量が所定の基準値に達すると、印刷待機時にブランケット11に吸収された溶剤が乾燥させられる機能を印刷装置に備えてもよい。ブランケット11の印刷面の材質、使用するインキの種類及びインキ内の溶剤の種類は、上述した例以外の各種のものを選択することができる。
ブランケット11は、円筒形のブランケット胴13に固定して使用したが、インキ転写時のブランケットの印刷面形状は、円筒形以外の曲面や平面であってもよい。印刷基材2はシート状のほか樹脂成形品などのように、印刷面が曲面であるものであってもよい。
複数の凹版印刷を使用する場合には、アライメントを合わせた上で上記印刷動作を繰り返せば良い。アライメント形状は、円や十字、放射線形状でもよく、カメラによる画像認識時に上下左右の合わせ位置が明確に示されているものを利用することができる。アライメントは、印刷物の領域外に設置されており、少なくとも印刷物に対して対角の2点以上存在することが望ましい。アライメント精度は、誤差が10μm未満であることが望ましく、一層望ましくは5μm以下であることが要求される。
アライメント精度が、上記の範囲を逸脱した場合には、線が重なってしまい、設定した色とは異なる色を示すことや、外部刺激の有無により微細印刷線が発光してもマイクロ文字が正面から視認できないなどの問題を生じる可能性がある。このように、アライメントを合わせて印刷することで、複数の凹版を用いて予め設定した特定の配線パターンを印刷することが可能となる。
凹部の幅や深さは、目的の配線パターン及びインキで形成する各微細印刷線の盛り上がり量(高さ)に応じた値に設定する。これによって、この印刷版を用いて印刷基材2上にインキを転写した際に、感熱記録材料層7若しくは印刷基材2上に転写される線状のインキ線幅や高さが目的とする配線パターン及びインキで形成する各微細印刷線の盛り上がり量(高さ)となった印刷物1を得ることが可能となる。これによって、単位体積当りのインキ面積が変化したり、同一インキ面積であっても各微細印刷線の線幅や間隙が異なったりすることで、印刷物1の色の濃淡を表現することが可能となる。
本実施形態における印刷版凹部の形状は、深さ方向に対して線対称であっても非対称であってもよく、少なくとも1つ以上の形状を組み合わせた形でもよい。
また、本実施形態では、金属部材を版として用いたが、石英や、石英や金属から樹脂転写したものを印刷版として用いてもよい。
本実施形態に係る印刷版12を含む印刷装置によって基材上に転写されたインキの厚みは、1層当り0.2μm以上でありインキ単層で印刷物1としてもよい。また、印刷基材2上に転写されたインキ上に再度同じ加工を施し、同一若しくは異なるインキを積層してもよい。また、アライメント機能を用いて基材上に転写されたインキと任意の間隔で同一
若しくは異なるインキを単層若しくは多層で転写してもよい。
本実施形態に係る印刷版12を含む印刷装置10によって基材上に転写されたインキを、硬化若しくは焼成することによって、印刷基材2上に微細印刷線3が形成された印刷物1が得られる。さらには、必要に応じて微細印刷線を保護する目的で、画線の表面を透明な樹脂若しくは透明基材で覆っても良い。印刷あるいはラミネートにより形成される保護層(図示せず)の材料では、周知の熱可塑性樹脂,紫外線硬化樹脂,電子線硬化樹脂が使用される。
例えば、上述した実施形態では、平板の印刷版を用いて転写を行っていたが、これに限らず、円筒形状の印刷版を用いて転写を行ってもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、ブランケット11を介して感熱記録材料層7若しくは印刷基材2にインキを転写していたが、これに限らず、印刷版から直接印刷基材2にインキを転写してもよい。また、例えば、上述した実施形態では、インキの印刷パターンが印刷基材2の上に形成されていることとしたが、これに限らず、当該印刷パターンが感熱記録材料層7若しくは印刷基材2の上に形成された後に、感熱記録材料層7若しくは印刷基材2が除去されて、印刷パターンのみによりその形状を保持する態様としてもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。実施例1として、図6に示した構成の画像形成体を作製した。
厚さ200μmの透明のポリカーボネート(PC)フィルムを基材とした。シアン、マゼンタ、イエロー、スミのプロセスインキ(外部刺激無変色インキ)と紫外線発光インキ(外部刺激変色インキ)を用いて、ポリカーボネートフィルム裏面に画線幅:10μm、サイズ:0.5mm角のマイクロ文字の配列からなる印刷パターンを形成した。
この際、アライメントの最大誤差が2μmのサンプルAと、アライメントの最大誤差が10μmのサンプルBを作製した。
マイクロ文字の配列なる印刷パターンを印刷した基材の両面に感熱記録材料層として厚さ100μmのレーザ発色用のポリカーボネート(PC)を積層した。感熱記録材料層の両面に保護層としてオーバーフィルムを積層後、140℃に加熱した熱プレス機で0.2tの圧力をかけながら熱圧着を行った。
このマイクロ文字が印字された印刷物AおよびBに対して、追記する個人情報を構成する箇所のみ塗りつぶしを行うため、マイクロ文字の配列なる印刷パターンの該当箇所のみレーザを照射して、対応する箇所の感熱記録材料層を黒く焼成した。
熱圧着およびレーザ焼成した印刷物のマイクロ文字配列面に紫外線を照射したところ、サンプルAは個人情報部分に該当する部分が不透明な窓となり視認を阻害し、その他のマイクロ文字配列は視認が可能である現象が確認された。
しかし、サンプルBでは個人情報部分の不透明箇所と文字の配列位置が合っておらず遮蔽分が意味を成さない印刷物となった。
1:画像形成体
2:印刷基材
3:外部刺激変色微細印刷線
4:外部刺激無変色微細印刷線
5:マイクロ文字縦幅
6:マイクロ文字横幅
7:感熱記録材料層
8:感熱記録材料層
9:保護層
10:印刷装置
11:ブランケット
12:印刷版
13:ブランケット胴
14:インキ
15:印刷版固定用定盤
16:基材固定用定盤
22:ドクターブレード
23:積層体
24:レーザ光
25:紫外線
26:印刷線幅

Claims (14)

  1. レーザ・エングレービングによるマーキングが可能な感熱記録材料層上または前記感熱記録材料層と密着する基材上に、
    外部刺激を受けることにより変色する材料を含むインキおよび外部刺激を受けても変色しないインキを用いた印刷パターンを含む印刷層を備え
    前記感熱記録材料層は、レーザ・エングレービングによるマーキングを施した箇所のみが局所的に不透明となり、前記印刷パターンとの組み合わせにより、追記情報となる認証パターンを構成することを特徴とする画像形成体。
  2. 前記印刷パターンの少なくとも何れかは、凹版印刷にて形成された画線幅が100μm以下の画線からなるパターンである請求項1記載の画像形成体。
  3. 外部刺激を受けることにより変色する材料を含むインキを用いた前記印刷パターンは、外部刺激を与えない場合には無色透明であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成体。
  4. 前記感熱記録材料は、レーザ・エングレービングによるマーキングを施さない場合には無色透明であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の画像形成体。
  5. 前記印刷パターンを構成するインキは少なくとも1色以上の色材を含むことを特徴とする請求項1~の何れかに記載の画像形成体。
  6. 前記印刷パターン内には、マイクロ文字が含まれることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の画像形成体。
  7. 100μm以下の画線幅により構成される前記印刷パターンには、万線パターン,格子パターン,同心状に画線を配列したパターン,放射状に画線を配列したパターンの少なくとも何れかが含まれる請求項1~の何れかに記載の画像形成体。
  8. 前記印刷パターンを構成する画線幅または2本以上からなる画線の間隙の距離により、前記印刷パターンの濃淡表現がされていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の画像形成体。
  9. 前記印刷パターンを構成する画線は、形成される感熱記録材料層の表面から0.2μm以上の高さで盛り上がっている凸構造であることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の画像形成体。
  10. 前記凸構造を備える画線を複数本有し、少なくとも一部の画線は、前記凸構造が重ねられた多段構造となっていることを特徴とする請求項9に記載の画像形成体。
  11. 前記凸構造を備える画線を複数本有し、少なくとも一部の画線は、前記画線の延在方向と交差する方向の断面の上部に傾斜部を有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成体。
  12. 前記印刷パターンのアライメント精度が、誤差10μm未満である請求項1~11の何れかに記載の画像形成体。
  13. 画線の表面が透明な樹脂若しくは透明基材で覆われていることを特徴とする請求項1~12の何れかに記載の画像形成体。
  14. 請求項1~13の何れかに記載の画像形成体の製造にあたって、
    100μm以下の画線幅で、0.2μm以上の高さで盛り上がった画線が形成される様に、線幅が100μm以下で深さが0.2μm以上の溝部を有する凹版に、外部刺激を受けることにより変色する材料を含むインキおよび外部刺激を受けても変色しないインキの少なくとも何れかのインキを充填するグラビアオフセット印刷法を採用することを特徴とする画像形成体の製造方法。
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