JP2020168773A - 印刷物、印刷版および印刷物の製造方法 - Google Patents

印刷物、印刷版および印刷物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面からは単色画像として視認できるが、印刷面に圧力を加えることにより目視では視認が困難な文字や絵柄を正面から視認可能となる微細線と圧力発光を組み合わせた偽造防止機能を有した印刷物を提供すること。【解決手段】印刷基材の少なくとも片面にインキにより形成された印刷部を有する印刷物であって、前記印刷部は少なくとも圧力発光インキと圧力無発光インキを含む2種類以上のインキにより形成された微細印刷線の組合せで構成され、微細印刷線は少なくとも、圧力発光インキで形成された圧力発光微細印刷線と、圧力無発光インキで形成された圧力無発光微細印刷線を含み、該印刷物に圧力を加えた時のみ圧力発光微細印刷線が発光して発色することにより、視認される印刷部の画像が変化することを特徴とする印刷物。【選択図】図3

Description

本発明は、光の干渉および回折により画像を表示する凹凸パターンと微細線を利用した印刷物、印刷版に関し、広告用の印刷物、玩具・容器包装などに展開可能な技術に関する。
クレジットカードや認証書類、有価証券類、紙幣などの一部または前面に形成される印刷物は、物品の偽造が困難であることが求められる。こうした印刷物の偽造を困難にする技術として、たとえば特許文献1に示す様な、ホログラムや回折格子、または見る角度により色の変化を生じる多層膜のようなOVD(Optically Variable Device:光学的変化素子)媒体がある。
またホログラムや回折格子とは異なる微細技術として、線の集合により形成される線画がある。この線画とは、50μm以下の線で画像を表現することにより、ドットにより画像を表現するインクジェットを主とした従来の複写機では困難な、微細な直線が形成できることから、紙幣を中心に真贋判定に用いられている手法である。
この線画の形成方法として、例えばグラビアオフセット印刷法がある。グラビアオフセット印刷法では、凹部にインキが充填された印刷版から、ブランケットにインキを転移させ、そのブランケット上のインキを印刷基材上に転写することで印刷が行われる。
例えば、特許文献2には、配線構造を有するタッチパネル用導電性部材の製造方法における、額縁部分へのパターン化された配線構造を印刷する方法として、グラビアオフセット印刷法を用いることが開示されている。
特表2008−547040号公報 特開2011−210148号公報
しかしながら、上記のような技術も一般化するにつれて偽造されるリスクが増しており、偽造防止技術としては、より困難であり且つ製造コストが上がらない技術が求められていた。
そのため、ホログラムや微細配線等の技術を用いて、偽造が困難である仕様構成を備える印刷物を実現することを目的として日々開発が行なわれているが、製造技術の多様化と共に、それぞれ単独の印刷物でこの目的を満足できるような偽造防止機能を発現させることは難しい。
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、表面からは単色画像として視認できるが、印刷面に圧力を加えることにより目視では視認が困難な文字や絵柄を正面から視認可能となる微細線と圧力発光を組み合わせた偽造防止機能を有した印刷物を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、
印刷基材の少なくとも片面にインキにより形成された印刷部を有する印刷物であって、
前記印刷部は少なくとも圧力発光インキと圧力無発光インキを含む2種類以上のインキにより形成された微細印刷線の組合せで構成され、
微細印刷線は少なくとも、圧力発光インキで形成された圧力発光微細印刷線と、圧力無発光インキで形成された圧力無発光微細印刷線を含み、
該印刷物に圧力を加えた時のみ圧力発光微細印刷線が発光することにより、視認される印刷部の画像が変化することを特徴とする印刷物である。
本発明の第2の態様としては、
前記印刷部の微細印刷線は、線幅が100μm以下である複数の線の組合せで構成されることを特徴とする印刷物である。
本発明の第3の態様としては、
前記印刷部を構成する複数の微細印刷線が、前記印刷部を形成する領域内に、予め設定した特定の配線パターンで配置されていることを特徴とする印刷物である。
本発明の第4の態様としては、
前記特定の配線パターンは、一方向に向けて線を配列したパターン、同心状に線を配置したパターン、格子状に線を配置したパターン、及び放射状に線を配置したパターンのうち少なくとも1つのパターンから構成されることを特徴とする印刷物である。
本発明の第5の態様としては、
前記特定の配線パターンは、圧力発光微細印刷線と圧力無発光微細印刷線を積層もしくは離間して配置させることで、加圧時に前記特定の配線パターンの画像を視認することが可能となることを特徴とする印刷物である。
本発明の第6の態様としては、
単位面積当たりに配置する前記複数の微細印刷線の線幅の調整によって、前記印刷部の色の濃淡表現が調整されていることを特徴とする印刷物である。
本発明の第7の態様としては、
前記複数の微細印刷線の少なくとも一部の線は、前記印刷基材の表面に対し0.1μm以上の高さを有する凸構造を備えていることを特徴とする印刷物である。
本発明の第8の態様としては、
前記凸構造を備える微細印刷線を複数有し、それらの線のうち少なくとも一部の線は、前記インキを複数種類積層した多層構造となっていることを特徴とする印刷物である。
本発明の第9の態様としては、
前記凸構造を備える線を複数有し、その凸構造を備えた複数の線のうち少なくとも一部の線は、前記線の延在方向と直交する方向の断面の上部に傾斜面を形成する傾斜部を有することを特徴とする印刷物である。
本発明の第10の態様としては、
前記特定の配線パターンが、前記印刷基材の片面もしくは表裏面において同一平面上に形成、または積層されていることを特徴とする印刷物である。
本発明の第11の態様としては、
前記複数の微細印刷線の表面が、透明な樹脂もしくは透明基材で覆われていることを特徴
とする印刷物である。
本発明の第12の態様としては、
前記印刷物を形成するための凹版印刷用の印刷版であって、前記印刷版に形成された複数の溝の少なくとも一部の溝が、他の溝に対し溝の幅もしくは深さが異なることを特徴とする印刷版である。
本発明の第13の態様としては、
前記印刷物を製造する方法であって、
凹版印刷用の印刷版として母材表面の一部に幅が100μm以下である複数の線状の溝が形成された複数の印刷版を使用し、前記印刷基材の表面に順次凹版印刷を行うことでインキを転写して前記印刷部を形成し、
前記複数の印刷版のうちの少なくとも一つの印刷版に形成された溝が、他の印刷版に形成された溝に比べて溝の幅もしくは深さが異なることを特徴とする印刷物の製造方法である。
本発明のいずれか一つの態様によれば、複数の凹版と圧力発光インキと圧力無発光インキを用いてアライメントを合わせて印刷を行うことで、圧力を加えた時のみ視認可能な絵柄模様などの印刷表現を形成できる。また、絵柄模様の上部にホログラムや回折格子のようなOVD媒体を貼り合わせる、もしくは積層することにより、2重の偽造防止効果を得ることが可能となる。
本発明に基づく実施形態に係る印刷物を説明する概念図である。 本発明に基づく実施形態に係る印刷物を説明する概念図である。 本発明に基づく実施形態に係る印刷物を説明する概念図である。 本発明に基づく印刷物の層構成を説明する断面図である。 本発明に基づく印刷物の層構成を説明する断面図である。 本発明に基づく印刷物の層構成を説明する断面図である。 本発明に基づく印刷物の層構成を説明する断面図である。 グラビアオフセット印刷用の印刷機の概念図である。 印刷版母材の例を説明する概念図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(印刷物の実施形態)
まず本発明に係る印刷物の一実施形態の層構成について説明する。
図4に示すように本実施形態の印刷物1は、印刷基材2の表面の一部に、圧力発光インキにより形成される圧力発光微細印刷線4と圧力無発光インキにより形成される圧力発光微細印刷線5とを含む微細印刷線3から構成される。
圧力発光インキとは、圧力を加えると発光する性質を有する圧力発光性材料を含むインキである。また圧力無発光インキとは、圧力発光性材料を含まないインキである。圧力発光インキの材料について、詳しくは後述する。
図4に示すように、圧力発光微細印刷線4は圧力無発光微細印刷線5の下部、もしくは一定の間隙を持って配置されている圧力無発光微細印刷線5の間隙部に配置されている。
これらの微細印刷線3を構成する印刷表示は、光源が無い状態においては必ずしも明確な柄などの模様が視認可能なように構成されている必要はない。本発明に係る微細印刷線3は、印刷基材2上に2つ以上配置されていてもよい。
本実施形態の印刷物1は、印刷基材2と微細印刷線3(即ち圧力発光微細印刷線4と圧力無発光微細印刷線5)を合わせた総厚さが、例えば5.0μm以上500.0μmの範囲の厚さとする。
このうち微細印刷線3の厚さは、0.1μm以上あればよい。本発明において、微細印刷線3はインキを重ねて印刷する必要がないという特徴を有するので、従来の印刷線より薄くてもよい。
なお、印刷基材2上には、本発明に係る微細印刷線3以外の印刷部分を有していてもよい。また、本発明に係る微細印刷線3以外の印刷部分の一部として、本発明に係る圧力発光微細印刷線4が配置されていてもよい。
本実施形態では、絵柄その他の印刷表示からなる印刷物1は、例えば図4に示すように、圧力発光微細印刷線4と圧力無発光微細印刷線5の複数本を組み合わせて構成される。
本発明に係る圧力発光微細印刷線4と圧力無発光微細印刷線5は、目視では視認不可能な間隙を有し、例えば線幅が100μm以下の微細印刷線からなることが好ましい。
この場合、微細印刷線3は複数の線から成り、複数の線は線間隔が100μm以下からなるよう幾つかの線幅の線の組合せで構成されている。
線間隔が100μm以上の場合には、圧力の有無に係らず微細印刷線が肉眼で視認されやすくなってしまい、圧力の有無による視認画像の切り替えが意味を成さない。
またこのとき、インキには圧力発光インキが未発光状態の色と、圧力無発光インキの色を同一にして構成することで、圧力の有無によってA面から圧力発光微細印刷線4と圧力無発光微細印刷線5のどちらかが視認できる。
そのため、図1に示すように、圧力が無い場合にA面から視認した場合、A面に形成された圧力発光微細印刷線4と圧力無発光微細印刷線5からなる第1画像が視認可能となる。
図2に示すように、A面およびB面から加圧用透明材7および8にて印刷物1を挟み込み、A面およびB面から矢印で示す圧力を加えて印刷物1を加圧した場合に、図3に示すように第2画像が視認可能となる。この第2画像の領域には圧力発光微細印刷線4が設けられており、加圧によって圧力発光微細印刷線4に含まれる圧力発光インキが発光し、視認可能となったものである。またこのとき、圧力無発光微細印刷線5は加圧によっても特に変化しない。
なお、図3の断面部位C−C‘における断面の一部領域が、図4に示されており、圧力発光微細印刷線4の上に圧力無発光微細印刷線5が積層されている様子がわかる。
しかし、圧力が無い状態で圧力発光インキが未発光状態の色と圧力無発光のインキの色が異なると、それぞれのインキの反射光の違いから圧力発光微細印刷線4と圧力無発光微細印刷線5のどちらかが視認できてしまい、圧力の有無による視認画像の切り替えが意味を成さない。
本実施形態における印刷物1は単独で存在しているが、その上下面若しくは同一平面にホログラムや回折格子、または見る角度により色の変化を生じる多層膜のようなOVD(Optically Variable Device:光学的変化素子)媒体が形成されていてもよい。
(印刷基材)
印刷基材2は、シート状の材料に限られず、中空又は中実のいずれでもよく、また、任意の平面又は曲面を、微細印刷線3を形成する印刷面とすることができる。
印刷基材2の材質としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムの他、クリーンペーパーやコート紙、カレンダー紙等の当該分野で知られている加工紙、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等の当該分野で知られている水溶性ポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等の当該分野で知られている生体適応性ポリマー、などを用いることが可能である。
(圧力発光インキ)
圧力発光インキの発色顔料としては、擦る、潰す、押す等の機械的、力学的な刺激を加えることで分子構造や結晶構造が変化し発光するメカノクロミック材料を使用することができる。
圧力発光インキにはこのメカノクロミック材料の他に、公知の有機および無機顔料を組み合わせて使用してもよい。
また、圧力無発光インキの発色顔料としては、当該分野で知られている有機および無機顔料を組み合わせて使用することができる。
無機顔料としては、金属粒子の他、二酸化チタン、亜鉛華、鉄黒に代表される酸化物の他、水酸化物、硫化物、セレン化物、フェロシアン化物、クロム酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、燐酸塩、炭素等がある。有機顔料としては、炭素化合物の他、ニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、レーキ系、フタロシアニン系、縮合多環材料等がある。
これら視認性を目的とした顔料に対し、導電性を目的として金属微粒子や導電性金属酸化物微粒子あるいは金属ナノワイヤや金属塩化物、導電性ポリアニリン、導電性ポリプロピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体)などの導電性ポリマー等を混合して利用してもよい。
インキには、光散乱粒子が混入されていてもよい。すなわち、光散乱粒子は、印刷物1を構成する異なる色相のインキのいずれかに入っていても、積層した複数の層のうちいずれかに含んでいてもよい。インキに混入させる光散乱粒子としては、真球形状粒子、または、不定型形状粒子が用いられる。また、光散乱粒子の材料としては、無機微粒子、または、有機微粒子からなる粒子を用いる。
具体例としては、アクリル系粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体や、メラミン‐ホルマリン縮合物の粒子、ポリウレタン系粒子、ポリエステル系粒子、シリコン系粒子、フッ素系粒子、エポキシ粒子及びこれらの共重合体、スメクタイト、カオリナイト、タルク等の粘土化合物粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等の無機酸化物粒子、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バ
リウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ガラス粒子等の無機微粒子を挙げることができる。
これらの高い屈折率を有する透明な粒子は、一種類の粒子だけを混合して使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。また、無機微粒子や有機粒子の表面に塗工や蒸着等によって表面加工を施したものを、一種類で使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。すなわち、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する少なくとも二つの光散乱粒子を含んでもよい。
なお、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する光散乱粒子の代わりに、異なるヘイズ値を有する2つ以上の光散乱粒子を含んでもよい。なお、光散乱粒子を混入する代わりに、線を構成した状態のインキが空気を含む微細な空洞を含有するようにしてもよい。例えば、印刷するインキの材料中に発泡剤を含有させておき、その発泡剤を発泡させて、空洞を形成する。
これらの視認性を目的とした顔料に対し、導電性を目的として金属微粒子や導電性金属酸化物微粒子、あるいは金属ナノワイヤや金属塩化物、導電性ポリアニリン、導電性ポリプロピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体)などの導電性ポリマー等を混合して利用してもよい。
インキ中の溶剤としては、例えばドデカン、テトラデカンを使用する。インキ中の溶剤は任意のものを用いることができる。例えば、速乾性インキでは、常温で乾燥する沸点の低い溶剤(MEK、エタノール、アセトンなど)を、水性インキでは水(精製水)を、オイル系インキでは常温で蒸発しないオイル(脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、高級アルコールなど)を用いることが可能である。なお、溶剤の種類に応じて、その溶剤に対し吸収性を有するブランケット11(図8)の材料を選択することが好ましい。
上記の顔料および粒子以外のインキ材料として用いる樹脂材料は、透明樹脂や、色付きの樹脂、あるいは、不透明な樹脂を用いても良い。すなわち、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の汎用プラスチックを用いることが可能である。
ここで、熱可塑性樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、COC(環状オレフィン・コポリマー)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、COP(シクロオレフィンポリマー)、MS(メタクリル酸スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等などの熱可塑性樹脂を用いることが可能である。
また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂やメラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド等の当該分野でよく知られている熱硬化性樹脂を用いることが可能である。また、前記以外にも、インキ材料として用いる樹脂材料として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチル)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニルサルフィド)等のエンジニアプラスチックや、スーパーエンジニアプラスチックを用いることも可能である。この他にも電離放射線によって硬化するアクリルやウレタン、エポシキ、ポリエステル、チオール等の樹脂を用いることが可能である。
(微細印刷線の構成)
微細印刷線3は複数の線から成り、隣り合う線相互の線間の隙間が、その隙間を構成する2本の線のうちの線幅が狭い線側の線幅の50倍以下になるように設定している。隙間を線幅の50倍以下に設定することで、連続した色模様に視認可能となる。
なお、微細印刷線3は平行な線とは限らず、非平行な線であってもよく、線同士が交差していてもよい。交差することで、意匠的に特有の効果を奏することができる。
交差している場合、交差位置では当然に、間隔は「0」である。また交差位置では微細印刷線3が重なり合い、線の断面の上部は、線の重なりによる傾斜面が形成されている。
微細印刷線3は、凹版を用いて形成される。同一平面上に1つの凹版を用いて特定の配線パターンで配置してもよく、夫々異なる凹版のアライメントを合わせて印刷を行うことにより、特定の配線パターンで配置してもよい(図5)。尚、異なる凹版を用いて印刷を行う場合には、線間隔はあってもなくてもよい。
微細印刷線3を表現する複数の微細印刷線同士は、同一平面上に異なる凹版のアライメントを合わせて印刷を行うことにより積層して配置してもよい(図4)。この際、同一の凹版を用いて積層を行なう事により、特定の部位のみ嵩高く配置してもよい。
また、微細印刷線3を構成する印刷表現の色の濃淡は、複数の線を一方向に沿って並列して微細印刷線3を構成する場合、単位面積当たりに配置する線の線幅を変更することで、色の濃淡表現が調整される。
ここで、従来、網点で印刷を表現する場合、色の濃淡は、網点の大きさを変更することで濃淡を表現している。すなわち、単位面積当たりのインキの占有率(インキ面積)を変化させることで濃淡を表現している。
これに対し、本実施形態によれば、同じインキ面積であっても、線幅を変更することで濃淡を調整することが可能となる。例えば、10μm幅の微細印刷線3を10μm間隔で配列する代わりに、100μm幅の微細印刷線3を100μm間隔で配列した場合の方が、インキ面積(この例では面積率が50%)は同じであっても、目視時における色の濃さ(色差計測定値)が濃くなる。
このように、本実施形態にあっては、インキ面積を変えることなく濃淡調整も可能となる。これによって、本実施形態では、色の濃淡調整の自由度が広がり、微細印刷であっても、より高精細な印刷表現が可能となる。
複数の微細印刷線3で構成する場合、複数の微細印刷線3を特定の配線パターンで配置して表現する。特定の配線パターンとは、例えば複数の微細印刷線を、所定の一方向に向けて配列させる、同心状に配置する、格子状に配置する、放射状に配置するなどのパターンが考えられる。もっとも、配線パターンの規則は、前記のパターンに限定されない。線幅が100μm以下の微細印刷線の組合せであればランダムな配置など、どのような配線パターンであっても本願発明は適用可能である。
また、本実施形態の微細印刷線は、直線状に延在している必要はなく、蛇行など曲線状に延在していてもよい。又、印刷の際に、インキのかすれなどが発生する可能があるが、線幅の1.5倍以上の線長が有ればよい。
(印刷物の他の実施形態)
次に、印刷物1の他の実施形態における構成例を示す。
図4〜図7は、微細印刷線を配置した場合の断面図である。本発明の印刷物の実施形態としては、例えば図6の断面図で示すように、微細印刷線を配置した2つの印刷物を粘着剤6を介して配置してもよいし、図示しないが表裏面に圧力発光微細線4と圧力無発光微細印刷線5を配置した印刷物に粘着剤6を介して加圧用透明材を配置してもよい。
また、図7の断面図で示すように、2枚の基材の間に圧力発光微細線4と圧力無発光微細印刷線5を積層した構成としてもよい。
一体形成するための粘着剤としては、A面もしくはB面のどちらかに酢酸ビニル等の粘着剤を塗工してもう片層とを一体接着する方法がある。
一体接着するために用いる粘着剤としては、酢酸ビニルの他、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコン系の粘着剤が挙げられる。いずれの場合も高温で使用されるため、100℃で貯蔵弾性率G’が1.0×10Pa以上であることが望ましい。これより値が低いと、使用中に樹脂層と基材がずれてしまう可能性がある。
粘着剤の中に屈折率の異なる有機粒子や無機粒子などの透明粒子等を混ぜても良く、粘着剤は両面テープ状のものでも良いし、単層のものでもよい。また、粘着剤はあらかじめシート状に加工したものを用いても良いし、基材シートの所望部材に直接塗布しても良い。粘着剤と隣接する面には、あらかじめコロナ処理を施しても良い。
接着剤又は粘着剤層を塗る方法として、押出し塗工でも、コンマコーター等の各種塗工装置、印刷方式、ディスペンサーやスプレーを用いる方法、または筆等を用いた手作業による塗工であってもよい。
図1に示す例の場合には、単純にするために、加圧させない場合にA面から視認した際の第1画像をストライプ、図3に加圧させた場合にA面から視認した際の第2画像を丸として例示しているが、これらに限定はされず、任意のデザインを施してよい。
また、一つの微細印刷線3を構成する複数の微細印刷線の高さにバラツキがあっても良く、恣意的に凸構造に構成するインキ1層の高さにバラツキを持たせる場合に、一部の線について、異なる色を2層以上積層して高くしてもよく、その断面形状として、半円形、三角形、矩形、台形などが例示できる。
このように、本発明の実施形態によれば、微細印刷線を組み合わせて色が連続して視認可能な絵柄模様などの印刷表現が形成可能となることで、高精細な微細印刷物1を得ることが可能となる。なお、印刷基材2は、平面的なシート状に限定されず、曲面を有するような玩具などの立体物であっても良く、その立体物が有する表面に微細印刷線3が形成されていてもよい。
以上のように、本実施形態の印刷物1に設けた微細印刷線3の表示は、予め設定した特定の配線パターンで配することにより、圧力の有無により線画の視認画像が変化する印刷物を作成することに好適であり、広告用の印刷物、玩具・容器包装などに高い意匠性を付与することが可能となる。
(印刷物の製造方法)
上述したような微細印刷線からなるインキの微小な盛り上がり(凸構造)を有する微細印刷線3は、例えば、グラビアオフセット印刷法による凹版印刷で印刷することで形成することが可能である。
なお、本発明において、微細印刷線3を構成する複数の微細印刷線の全部若しくは一部
が、凸構造である必要はなく、凸構造としない場合には、凸版印刷法で微細印刷線を印刷してもよい。
以下、本発明における印刷物の製造方法について、その一例を説明する。
図8に概念図を示すように、グラビアオフセット印刷用の印刷装置9は、凹版からなる印刷版12と転写用のブランケット11とを備えている。まず、印刷版12は、母材表面の転写面に、印刷する微細印刷線に応じた凹部が形成され、その凹部にインキ14が充填されると共に、ドクターブレード22によって余分なインキが掻き取られる。次いで印刷版12は、印刷版固定用定盤15の上面に固定される。
ブランケット11は、回転可能なブランケット胴13の表面に固定されている。ブランケット胴13は、回転可能に台車(不図示)に支持されており、台車は、架台上を移動可能に架台に支持されている。そして、ブランケット11は、印刷版12上を転動することで印刷版12の印刷面の凹部から、その表面(印刷面)にインキ14が転写され、さらに、転写されたインキ14を、基材固定用定盤16に固定された印刷基材2の表面(印刷面)に転写する。
ブランケット11は、上述のように、インキの授受を行うことにより転写印刷を行う。ブランケット11の表面、すなわち印刷面は、ゴム層からなる。このゴム層として用いられるゴム材料としては、ブランケットとして公知の各種の材料を用いることができる。これらのゴム材料は、インキ及びインキに用いられる溶剤の種類に対応して選択され、シリコンゴムなどの溶剤吸収性のあるものが好適である。ゴム層単独でブランケット11とすることも可能であるが、ゴム層はベース基材の上に設けてもよい。
なお、ゴム材料からなるゴム層は、ベース基材上でゴム材料を硬化させることも、フィルム上のゴム材料をベース基材と貼り合わせることで設けることも可能である。ベース基材としては、印刷時にブランケット胴13に取り付けられることから、例えば可撓性のあるフィルムや金属薄板で構成される。
ただし、ベース基材としては、コスト及び寸法安定性から、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系フィルム、あるいはポリイミドフィルムが好適である。また、ベース基材とゴム層の間には、必要に応じてプライマー層や接着層が設けられる。また、ベース基材の下には必要に応じてクッション層が設けられる。クッション層としてはスポンジ状の材料を用いることができる。
ブランケット11は、その幅方向の両端部を不図示の取付器具によって巻き締めることによって、略円筒形のブランケット胴13に固定される。
印刷版12は、詳細は後述するが、微細印刷線3を構成する配線パターンに対応する複数の溝(凹部)を銅版、ニッケル版などの金属版、あるいはガラス版に形成し、その表面にクロムめっきやカーボンめっきによる耐擦性皮膜を形成してなる。
また、耐摩擦性皮膜を形成した上表皮に対して、ダイヤモンドライクカーボン、フッ素系やシリコン系の撥油剤を塗工、もしくは蒸着やスパッタ等の方法を用いて表面平滑性を向上させる加工を施してもよい。
ここで、微細印刷線3は複数の圧力発光微細印刷線4と圧力無発光微細印刷線5から構成させるため、微細印刷線3を印刷するための凹部は、本実施形態では、線状に延在する複数の溝で構成される。そして、上述の溝からなる凹部に対し、インキが充填されると共に、ドクターブレードによって不要なインキが掻き取られる。凹部に充填されるインキ14は、圧力発光および圧力無発光の特性を持ったインキ若しくは、これらインキに粒子を添加したものを用いることができる。
本実施形態では、印刷版毎に、いずれかの発色に相当するインキを凹部に充填する。
本実施形態における印刷基材2は、その片面もしくは両面に、印刷によって微細印刷線3を含む印刷層が形成される。印刷層は、基材上面の全面である必要はない。又、本発明に係る印刷図柄以外の印刷が形成されてもよい。
次に、印刷方法について説明する。
ここで、微細印刷線3が複数色で構成される場合には、印刷する色毎に個別に印刷版を用意して、順番に色毎の印刷版を使用した凹版印刷を行う。なお、印刷版12は、印刷する色毎に用意するほか、多層塗りを行う場合にも、その積層分の印刷版を用意して、順番に凹版印刷を行う。
各印刷版12毎に凹部を形成する溝の深さや幅を変更してもよい。又、一つの印刷版に形成する複数の溝の一部の溝の幅や深さを他の溝の幅や深さと異なるように設計してもよい。
以下の説明では、一つの印刷版による一回分の凹版印刷について説明する。
まず印刷版12を、例えばインキ溜め(不図示)においてインキに浸漬し、続けてドクターブレード22により、印刷版12の凹部にインキを導くとともに、印刷版12の表面から溢れ出た余分なインキを取り去ることで、印刷版12の凹部にインキを充填する。この際、ドクターブレード22の剪断応力によるインキの粘度変化に応じて、ドクターブレードの速度は5〜1000mm/secの範囲内で任意に設定することが望ましい。
次に、図8中、右端から左側方向に向けての台車(不図示)の移動およびブランケット胴13の軸回転によって、ブランケット11の印刷面が、印刷板固定用定盤15上に載置された印刷版12に充填されたインキ14に連続的に接触する。これによって、ブランケット11の印刷面にインキ14が転写される。ブランケット11への転写速度は、例えば150mm/sで行うことができる。
このとき、ブランケット11の印刷面を、インキ14内の溶剤を吸収可能な吸収性を有する材料から構成することで、ブランケット11の印刷面に形成されたインキ14の濡れ広がりが生じ易い。その後、台車の移動により、インキ14が転写されたブランケット11は、印刷基材2の設置位置まで移動される。
続けて、図8に示すように、台車の移動およびブランケット胴13の軸回転により、ブランケット11上に転写されたインキ14は、基材固定用定盤16上に載置された印刷基材2の印刷面に転写される。すなわち、回転するブランケット11が印刷基材2に押し付けられてインキ14の転写が行われる。ブランケット11の印刷面の回転速度は、台車の移動速度と同期をとった速度に設定されている。
なお、印刷基材2への転写速度は、例えば100mm/sで行うことができる。転写されずにブランケット11の印刷面に残ったインキ14の部分は、例えば、不図示のクリーニングローラーで除去される。
本実施形態では、転写の際に台車を移動させる場合を例示しているが、ブランケット胴13と印刷版固定用定盤15との相対位置、ブランケット胴13と基材固定用定盤16との相対位置の変化を実現できる限り、印刷版固定用定盤15、基材固定用定盤16を移動させてもよく、台車、印刷版固定用定盤15、および基材固定用定盤16の3つをそれぞれ移動させてもよい。
その後、印刷基材2上に転写されたインキ14は硬化処理を施すことによって硬化され
る。この硬化処理は、例えば、焼成、加熱、酸化硬化、電離放射線硬化、冷却(熱可塑性材料を含む導電性インキを用いる場合)など、使用するインキの種類及び成分に応じた各種の手段によって実行することができる。加熱による場合には、例えば、フラッシュキセノンランプを用いることができる。
これらの何れか1つまたは1つ以上を組み合わせて用いて硬化させることにより、印刷物1が得られる。なお、ブランケット11の膨潤量が所定の基準値に達すると、印刷待機時にブランケット11に吸収された溶剤が乾燥させられる機能を印刷装置に備えてもよい。ブランケット11の印刷面の材質、使用するインキの種類及びインキ内の溶剤の種類は、上述した例以外の各種のものを選択することができる。
ブランケット11は、円筒形のブランケット胴13に固定して使用したが、インキ転写時のブランケットの印刷面形状は、円筒形以外の曲面や平面であってもよい。印刷基材2はシート状のほか樹脂成形品などのように、印刷面が曲面であるものであってもよい。
複数の凹版印刷を使用する場合には、凹版のアライメントを合わせ、上記印刷処理を繰り返せば良い。アライメントマーク形状は、円や十字、放射線形状でもよく、カメラによる画像認識時に上下左右の合わせ位置が明確に示されているものを利用することができる。アライメントマークは、印刷物の領域外に設置されており、少なくとも印刷物に対して対角の2点以上存在することが望ましい。
アライメント精度は、±10μm以上あることが望ましいが、更に望ましくは5μm以上あることが望ましい。アライメント精度が、上記の範囲を逸脱した場合には、線が重なってしまい、設定した色とは異なる色を示すことや、圧力の有無により圧力発光微細印刷線が発光しても正面から視認できないなどの問題を生じる可能性がある。
このように、アライメントを合わせて印刷することで、複数の凹版を用いて予め設定した特定の配線パターンを印刷することが可能となる。
本実施形態における印刷版12は、図9に示す印刷版母材17の表面を切削加工することにより形成される。本実施形態の印刷版12の凹部は、目的の微細印刷線3の印刷領域形状及び印刷の配線パターンに応じた複数の線状の溝により形成される。
従来では、網点に応じたドットに対応した凹部形状の集合によって形成されているが、本実施形態では、微細印刷線3を構成する線に応じた線状の溝によって、微細印刷線3の凹部が形成されている。
図9において、印刷版母材17は、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄のいずれかからなる円筒体18の表面に、内径側から外径側に向けて順に、銅めっき層19、剥離層20及び銅バラード層21を同心状に積層して形成されている。
溝形成に際しては、印刷版母材17を円の中心を軸として回転させ、外表面を形成する銅バラード層21に向けて径方向に切削刃を作用させて切削を実施することで、線状の溝からなる複数の凹部が形成される。
切削の深さは、例えば20μmとすることができる。溝からなる凹部は、印刷版母材17の周方向に延在していてもよく、また、螺旋方向に延在していてもよい。切削による凹部形成(切り込み移動)と、印刷版母材17と切削刃との回転軸に沿った相対移動(送り移動)とを交互に行うことで、溝からなる凹部を周方向に延在させることができる。
また、切り込み移動と送り移動とを同時かつ連続的に行うことで、凹部を螺旋方向に延在させることができる。軸に向かう切削刃の切り込み深さを無段階又は複数段階で変化させることで、凹部の幅を変化させることも可能である。印刷する微細印刷線が蛇行して延在する場合には、溝も蛇行するように形成する。
凹部の幅や深さは、目的の配線パターン及びインキで形成する各微細印刷線の盛り上がり量(高さ)に応じた値に設定する。これによって、この印刷版を用いて印刷基材2上にインキを転写した際に、印刷基材2上に転写される線状のインキ線幅や高さが、目的とする配線パターン及びインキで形成する各微細印刷線の盛り上がり量(高さ)となった印刷物1を得ることが可能となる。
これによって、単位体積当りのインキ面積が変化したり、同一インキ面積であっても各微細印刷線の幅が異なったりすることで、印刷物1の色の濃淡を表現することが可能となる。
本実施形態では、凹部の形成は切削刃を用いて行われる。切削刃は、単一のノーズ部と、これを挟む2つの斜行部を有し、斜行部は、切削刃の切り込み方向と非平行かつ非垂直に延在する。切削刃は、ノーズ部に隣接する少なくとも1つの斜行部を有するのが好適である。本実施形態における印刷版12の製造に用いられる切削刃は、単一のノーズ部と、これを挟む2つの斜行部とを有する。2つの斜行部の延在方向は、切削刃の切り込み方向に対して互いに異なっており、一方の斜行部が切り込み方向に対してなす角度は任意に選択することが可能である。
このような切削工程の後、耐磨耗性を高めるために、銅バラード層21の表面の全体に、クロムめっき層(不図示)が形成される。また、クロムめっき層の上に蒸着によりDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を形成(不図示)することにより、表面の平滑性を向上させる。そして、剥離層20から銅バラード層21を剥離することにより、図8に示されるような凹部を有する平板の印刷版12が得られる。
本実施形態における印刷版凹部の形状は、深さ方向に対して線対称であっても非対称であってもよく、少なくとも1つ以上の形状を組み合わせた形でもよい。
本実施形態では、切削刃を用いて印刷版を製作したが、例えばダイシングソーやレーザー、マシニングセンタによる切削にて製作してもよい。また、多段エッチング法や多段めっき法により印刷版を製作してもよい。また、本実施形態では、金属部材を版として用いたが、石英や、石英や金属から樹脂転写したものを印刷版として用いてもよい。
本実施形態に係る印刷版12を含む印刷装置によって基材上に転写されたインキの厚みは、1層当り5μm以下であり、インキ単層で印刷物1としてもよい。また、印刷基材2上に転写されたインキ上に再度同じ加工を施し、同一若しくは異なるインキを積層してもよい。また、アライメント機能を用いて、基材上に転写されたインキと任意の間隔で同一若しくは異なるインキを単層若しくは多層で転写してもよい。
本実施形態に係る印刷版12を含む印刷装置10によって基材上に転写されたインキを、硬化若しくは焼成することによって、印刷基材2上に微細印刷線3が形成された印刷物1が得られる。
(その他の製造方法)
なお、本発明は、実施形態に示された態様のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、平板の印刷版を用いて転写を行っていたが、これに限らず、円筒形状の印刷版を用いて転写を行ってもよい。また、上述した実施形態のうち切削刃を用いるものでは、単一のノーズ部を有する切削刃によって切削を行ったが、複数の
ノーズ部を有する異形切削刃によって切削を行っても良い。
また、例えば、上述した実施形態では、ブランケット11を介して印刷基材2にインキを転写していたが、これに限らず、印刷版から直接印刷基材2にインキを転写してもよい。また、例えば、上述した実施形態では、インキの印刷パターンが印刷基材2の上に形成されていることとしたが、これに限らず、当該印刷パターンが印刷基材2の上に形成された後に、印刷基材2が除去されて、印刷パターンのみによりその形状を保持する態様としてもよい。
以下に示す実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。実施例として、図4に示した構成の印刷物1を作製した。
まず、25μmの厚さを有した透明のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材とした。基材の一方の面をA面、他の面をB面とし、そのA面に、圧力発光インキとして、酸化チタンとメカノクロミック材であるアルミ酸ストロンチウム結晶にユーロピウムをドープした顔料を混合した白色インキを用いて、画線幅を20μm、線の間隙を5μmとして、等ピッチで圧力発光微細印刷線4にて第1画像を形成した。
圧力発光インキの上面に、圧力無発光インキとして酸化チタン顔料を用いた白色インキを用いて、画線幅を20μmとして、圧力無発光微細印刷線5にて第2画像を形成した。
この印刷物1を、A面とB面からそれぞれ188μmのPETフィルムで挟みこみ、2kgf/cmの圧力で加圧し、A面から視認すると、圧力発光インキが発光し、圧力無発光インキが暗く浮かび上がる形で第2画像が視認することができた。
なお、上記PETフィルムで加圧していない状態では、圧力発光インキと圧力無発光インキとが共に白色であるため、A面から視認すると、第1画像が視認された。
以上、本発明に係る実施例に基づいて実施の形態を説明したが、上記実施例に限定されることなく特許請求の範囲記載の技術思想の範囲内で、さらにいろいろな実施例があることはいうまでもない。
1:印刷物
2:印刷基材
3:微細印刷線
4:圧力発光微細印刷線
5:圧力無発光微細印刷線
6:粘着剤
7:加圧用透明材
8:加圧用透明材
10:印刷装置
11:ブランケット
12:印刷版
13:ブランケット胴
14:インキ
15:印刷版固定用定盤
16:基材固定用定盤
17:印刷版母材
18:円筒体
19:銅めっき層
20:剥離層
21:銅バラード層
22:ドクターブレード
A面:印刷面
B面:基材面
C:断面部位

Claims (13)

  1. 印刷基材の少なくとも片面にインキにより形成された印刷部を有する印刷物であって、
    前記印刷部は少なくとも圧力発光インキと圧力無発光インキを含む2種類以上のインキにより形成された微細印刷線の組合せで構成され、
    微細印刷線は少なくとも、圧力発光インキで形成された圧力発光微細印刷線と、圧力無発光インキで形成された圧力無発光微細印刷線を含み、
    該印刷物に圧力を加えた時のみ圧力発光微細印刷線が発光することにより、視認される印刷部の画像が変化することを特徴とする印刷物。
  2. 前記印刷部の微細印刷線は、線幅が100μm以下である複数の線の組合せで構成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記印刷部を構成する複数の微細印刷線が、前記印刷部を形成する領域内に、予め設定した特定の配線パターンで配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷物。
  4. 前記特定の配線パターンは、一方向に向けて線を配列したパターン、同心状に線を配置したパターン、格子状に線を配置したパターン、及び放射状に線を配置したパターンのうち少なくとも1つのパターンから構成されることを特徴とする請求項3に記載の印刷物。
  5. 前記特定の配線パターンは、圧力発光微細印刷線と圧力無発光微細印刷線を積層もしくは離間して配置させることで、加圧時に前記特定の配線パターンの画像を視認することが可能となることを特徴とする請求項3または4に記載の印刷物。
  6. 単位面積当たりに配置する前記複数の微細印刷線の線幅の調整によって、前記印刷部の色の濃淡表現が調整されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷物。
  7. 前記複数の微細印刷線の少なくとも一部の線は、前記印刷基材の表面に対し0.1μm以上の高さを有する凸構造を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷物。
  8. 前記凸構造を備える微細印刷線を複数有し、それらの線のうち少なくとも一部の線は、前記インキを複数種類積層した多層構造となっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷物。
  9. 前記凸構造を備える線を複数有し、その凸構造を備えた複数の線のうち少なくとも一部の線は、前記線の延在方向と直交する方向の断面の上部に傾斜面を形成する傾斜部を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の印刷物。
  10. 前記特定の配線パターンが、前記印刷基材の片面もしくは表裏面において同一平面上に形成、または積層されていることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の印刷物。
  11. 前記複数の微細印刷線の表面が、透明な樹脂もしくは透明基材で覆われていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の印刷物を形成するための凹版印刷用の印刷版であって、前記印刷版に形成された複数の溝の少なくとも一部の溝が、他の溝に対し溝の幅もしくは深さが異なることを特徴とする印刷版。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の印刷物を製造する方法であって、
    凹版印刷用の印刷版として母材表面の一部に幅が100μm以下である複数の線状の溝が形成された複数の印刷版を使用し、前記印刷基材の表面に順次凹版印刷を行うことでインキを転写して前記印刷部を形成し、
    前記複数の印刷版のうちの少なくとも一つの印刷版に形成された溝が、他の印刷版に形成された溝に比べて溝の幅もしくは深さが異なることを特徴とする印刷物の製造方法。
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