JP2022033507A - 画像形成体およびその製造方法 - Google Patents

画像形成体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022033507A
JP2022033507A JP2020137447A JP2020137447A JP2022033507A JP 2022033507 A JP2022033507 A JP 2022033507A JP 2020137447 A JP2020137447 A JP 2020137447A JP 2020137447 A JP2020137447 A JP 2020137447A JP 2022033507 A JP2022033507 A JP 2022033507A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lines
print
printing
observation angle
line
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020137447A
Other languages
English (en)
Inventor
玲子 植田
Reiko Ueda
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2020137447A priority Critical patent/JP2022033507A/ja
Publication of JP2022033507A publication Critical patent/JP2022033507A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Credit Cards Or The Like (AREA)
  • Printing Methods (AREA)

Abstract

【課題】より偽造防止効果が高い偽造防止媒体を提供する。【解決手段】基材2上の少なくとも一部に印刷パターン5が形成された画像形成体であって、印刷パターンは、複数の印刷線で構成された印刷部を備えており、少なくとも印刷部の一部は、観察する角度により色が変わる光干渉顔料を含むインキからなる観察角依存性の印刷線4と、光干渉顔料を含まず、観察する角度により色が変わらないインキからなる観察角無依存性の印刷線3と、から形成されており、観察角無依存性の印刷線は、観察角依存性の印刷線の上部または、一定の間隙を持って配置されている観察角依存性の印刷線の間隙部に配置されており、観察角依存性の印刷線と観察角無依存性の印刷線の線幅は、100μm以下であり、観察角依存性の印刷線同士および観察角無依存性の印刷線同士の線間距離は、100μm以下である事を特徴とする画像形成体1。【選択図】図3

Description

本発明は、見る角度により表示される画像が変化する印刷物からなる画像表示体に関する。
クレジットカードや認証書類、有価証券類、紙幣などの一部、またはそれらの前面に形成される印刷物は、それらの物品の偽造が困難であることが求められる。こうした印刷物の偽造を困難にする技術として、例えば特許文献1に示す様に、ホログラムや回折格子、または見る角度により色の変化を生じる多層膜のようなOVD(Optically Variable Device:光学的可変素子)媒体がある。
また、ホログラムや回折格子とは異なる技術として、微細な線の集合により形成される線画がある。線画とは、50μm以下の線で画像を表現する手法である。この線画を用いる事により、インクジェット印刷などのドットにより画像を表現する従来の複写機では微細な直線が形成できない為、偽造が困難となる。例えば紙幣の一部に線画を挿入しておく事で、複写による偽造が困難となる為、紙幣を中心に真贋判定に用いられている手法である。
この線画の形成方法として、例えばグラビアオフセット印刷法がある。グラビアオフセット印刷法では、凹部にインキが充填された印刷版から、ブランケットにインキを転移させ、そのブランケット上のインキを被印刷基材上に転写することで印刷が行われる。例えば特許文献2には、配線構造を有するタッチパネル用導電性部材の製造方法における、額縁部分へのパターン化された配線構造を印刷する方法として、グラビアオフセット印刷法を用いることが開示されている。このグラビアオフセット印刷法を用いる事で、微細な線画の印刷が可能である。
一方、偽造が困難である技術の実現を目的としてホログラムや微細パターン形成方法等の技術開発が行われているが、単独の技術では、十分な偽造防止機能を発現させることは難しくなっており、より偽造防止効果の高い技術が求められている。
特表2008-547040号公報 特開2011-210148号公報
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、より偽造防止効果が高い偽造防止媒体を提供する事を課題とする。
上記の課題を解決する手段として、本発明の請求項1に記載の発明は、基材上の少なくとも一部に印刷パターンが形成された画像形成体であって、
印刷パターンは、複数の印刷線で構成された印刷部を備えており、
少なくとも印刷部の一部は、観察する角度により色が変わる光干渉顔料を含むインキからなる観察角依存性の印刷線と、前記光干渉顔料を含まず、観察する角度により色が変わらないインキからなる観察角無依存性の印刷線と、から形成されており、
観察角無依存性の印刷線は、観察角依存性の印刷線の上部または、一定の間隙を持って配置されている観察角依存性の印刷線の間隙部に配置されており、
観察角依存性の印刷線と観察角無依存性の印刷線の線幅は、100μm以下であり、
観察角依存性の印刷線同士および観察角無依存性の印刷線同士の線間距離は、100μm以下である事を特徴とする画像形成体である。
また、請求項2に記載の発明は、前記観察角依存性インキにより形成された印刷線は、正面から観察した場合には観察角無依存性インキにより形成された印刷線と同色であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成体である。
また、請求項3に記載の発明は、前記印刷線には、万線パターン、格子パターン、同心状に画線を配列したパターン、放射状に画線を配列したパターン、の中から選ばれた少なくとも1つのパターンが含まれている事を特徴とする請求項1または2に記載の画像形成体である。
また、請求項4に記載の発明は、前記印刷部を構成する印刷線は、印刷線が形成された基材の表面から0.2μm以上の高さの凸構造であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の画像形成体である。
また、請求項5に記載の発明は、前記凸構造を備える印刷線を複数本有し、少なくとも一部の印刷線は、前記凸構造が重ねられた多段構造となっていることを特徴とする請求項4記載の画像形成体である。
また、請求項6に記載の発明は、前記凸構造を備える印刷線を複数本有し、少なくとも一部の印刷線は、該印刷線の延在方向と直交する平面における断面の前記基材側とは反対側に傾斜部を有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成体である。
また、請求項7に記載の発明は、前記印刷部のアライメント精度が、±5μm以内である事を特徴とする請求項1~6の何れかに記載の画像形成体である。
また、請求項8に記載の発明は、凹版印刷装置を用いた画像形成体の製造方法であって、
第一の印刷版を用いて、光干渉顔料を含むインキからなる印刷線により形成された印刷パターンを基材に印刷する第一印刷工程と、
第二の印刷版を用いて、光干渉顔料を含まないインキからなる印刷線により形成された印刷パターンを、第一印刷工程で印刷された印刷パターンと目合わせした後、前記基材に印刷する第二工程と、を備えている事を特徴とする画像形成体の製造方法である。
また、請求項9に記載の発明は、凹版印刷装置を用いた画像形成体の製造方法であって、
第一の印刷版を用いて、光干渉顔料を含むインキからなる印刷線により形成された印刷パターンを基材に印刷する第一印刷工程と、
第二の印刷版を用いて、光干渉顔料を含まないインキからなる印刷線により形成された印刷パターンを、第一印刷工程で印刷された印刷パターンと目合わせした後、前記基材に印刷する第二工程と、を備えており、
前記光干渉顔料を含むインキからなる印刷線と、前記光干渉顔料を含まないインキからなる印刷線の線幅または印刷線の間隙の距離を調整する事により、前記印刷パターンの濃淡の調整を行う事を特徴とする請求項8に記載の画像形成体の製造方法である。
また、請求項10に記載の発明は、前記第一の印刷版の前記印刷線と前記第二の印刷版
の前記印刷線に対応する凹部の幅と深さは、それぞれの印刷線の、幅が100μm以下となり、高さが0.2μm以上となる値である事を特徴とする請求項9に記載の画像形成体の製造方法である。
本発明の画像形成体は、基材上の少なくとも一部に印刷パターンが形成された画像形成体である。印刷パターンは、複数の印刷線で構成された印刷部を備えており、少なくとも印刷部の一部は、観察する角度により色が変わる光干渉顔料を含むインキからなる観察角依存性の印刷線と、光干渉顔料を含まず、観察する角度により色が変わらないインキからなる観察角無依存性の印刷線と、から形成されている事から、例えば、正面から見た場合には見えなかった絵柄や文字などが、角度を変えて見た場合には見える様になる。更に、観察角無依存性の印刷線は、観察角依存性の印刷線の上部または、一定の間隙を持って配置されている観察角依存性の印刷線の間隙部に配置されており、観察角依存性の印刷線と観察角無依存性の印刷線の線幅は、100μm以下であり、観察角依存性の印刷線同士および観察角無依存性の印刷線同士の線間距離は、100μm以下である事を特徴とする画像形成体である。印刷線が100μm以下である事から、観察する角度に係らず微細印刷線が観察されやすくなってしまう事を避ける事ができる。以上から、本発明の画像形成体により、より偽造防止効果が高い偽造防止媒体を提供する事ができる。また、本発明の画像形成体の印刷パターンとVOD媒体などの他の偽造防止媒体との複合化により、更に偽造防止効果が高い偽造防止媒体を提供する事ができる。
また、本発明の画像形成体の製造方法によれば、本発明の画像形成体を提供可能とする事ができる。
本発明に基づく一実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。 本発明に基づく一実施形態に係る画像形成体を説明する概念図である。 本発明に基づく一実施形態に係る画像形成体を説明する断面図である。 グラビアオフセット印刷用の印刷機の概念図である。 本発明に基づく一実施形態に係る画像形成体を説明する断面図である。 本発明に基づく一実施形態に係る画像形成体を説明する断面図である。 本発明に基づく一実施形態に係る画像形成体を説明する断面図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<画像形成体>
本発明の画像形成体の一実施形態の全体構成を図2に示す。
図2(a)は、本発明の画像形成体1の全体像を例示したものである。基材2上の中央部に、円形の印刷パターン5が形成されており、中央部の円形の印刷パターン5の中にCircleという文字が描かれている例を示している。後述するが、この様に画像表示体1には文字や絵柄が描かれているのであるが、例えば、正面から観察した場合には、それらの文字や絵柄が見えず、観察する角度を変更した場合には、それらの文字や絵柄が見える様にする事ができる。
図2(b)は、図2(a)における文字Cを拡大した図である。図2(b)に示すように、本実施形態の画像形成体1は、基材2表面の一部に、観察する角度を変更することにより観察される色が変色する材料を含むインキ(観察角依存性インキ)により形成される微細印刷線4からなる印刷パターンと、観察する角度を変更しても変色しないインキ(観察角無依存性インキ)により形成される微細印刷線3からなる印刷パターン5から構成される。ここでは、文字Cが微細印刷線3により形成された印刷パターン5の例を示している。なお、微細印刷線とは、細い印刷された線という意味である。
図2(c)は、図2(b)に示した印刷パターン5の一部における微細印刷線3だけを取り出した図である。
図2(d)は、図2(b)に示した印刷パターン5の一部における微細印刷線4だけを取り出した図である。
観察角無依存性インキにより形成された微細印刷線3は、観察角依存性インキにより形成された微細印刷線4の上部もしくは、一定の間隙を持って配置されている観察角依存性インキを用いた微細印刷線4の間隙部に配置されている。この様な構成にする事で、角度を変えて観察した時に、微細印刷線4の色は変化するが、微細印刷線3の色は変化しない為、例えば、微細印刷線3と4の色を同じにしておく事で、正面から見た場合は見えなかった文字や絵柄が、角度を変えて見た場合は見えてくる様にする事ができる。その逆も可能である。或いは、微細印刷線3と4の色を同じにしておかない場合であっても、ある角度から観察すると微細印刷線4の色が変色する様にする事も可能となる。
微細印刷線3、4により構成される表示画像は、光源が無い状態においては、必ずしも明確な柄などの模様が観察可能に構成されている必要はない。また、本発明に係る微細印刷線3、4からなる表示画像は、基材2上に2つ以上配置されていてもよい。
また、本実施形態の画像表示体1は、観察角依存性インキにより形成された微細印刷線4と観察角無依存性インキにより形成された微細印刷線3の印刷線幅が100μm以下の線により形成されている必要がある。また、基材2と観察角依存性インキにより形成された微細印刷線4と観察角無依存性インキにより形成された微細印刷線3を合わせた総厚さが、例えば5.0μm以上500.0μm以下の厚さである事が望ましい。総厚みが、例えば5.0μm未満の場合には印刷時の搬送性が悪くなり、500.0μmを超えた場合には製品の可撓性が無くなってしまう。
なお、基材2上には、本発明に係る画像形成体1以外の印刷部を有していてもよい。本発明に係る画像形成体1以外の印刷部の一部として、本発明に係る観察角依存性インキにより形成された微細印刷線が配置されていてもよい。
微細印刷線3、4が構成する印刷パターン5は、観察角に変化を生じない状態においては、必ずしも明確な柄などの模様が観察可能なように構成されている必要はない。また、本発明に係る微細印刷線3、4は、基材2の表裏に配置されても良いし、片面に1つ以上配置されても良い。
なお、基材2の表面の一部には、観察角無依存性インキにより形成された微細印刷線3および観察角依存性インキにより形成された微細印刷線4とは、異なる印刷線(印刷された線)からなる印刷パターンを含んでいても良い。すなわち、インキの種類が異なる印刷パターンを形成したり、あるいは、インキの種類が異なる印刷パターン内に観察角無依存微細印刷線3または観察角依存微細印刷線4が配置される印刷パターンであっても良い。
本実施形態では、絵柄、文字、記号、その他の表示、からなる画像形成体1内の印刷パターン5は、例えば図2(b)、(c)、(d)に示すように、観察角無依存微細印刷線3と観察角依存微細印刷線4を組み合わせて構成される。
微細印刷線は複数の線から成り、複数の線は線間隔(線間の隙間)が100μm以下になるよう幾つかの線幅の線の組み合わせで構成されている。線幅が100μm以上の場合には、観察する角度に係らず微細印刷線が観察されやすくなってしまい、複写機での模倣が容易となり偽造防止の意味を成さない。
また、印刷パターン5は、基材2の表面に形成する場合に限定されず、基材2の裏面(観察者に対して反対側)に形成しても良い。あるいは、図7に例示した様に、基材2には印刷パターン5を直接形成せず、基材2に接する箇所に配置される別層(OVD層22)に形成した上で、基材2と一体化した構造の画像形成体1が含まれる積層体としても良い。図7は、最表面に保護層21が形成されている例を示した。
図1は、基材表面に観察角無依存微細印刷線と観察角依存微細印刷線による印刷パターンを組み合わせて構成される認証パターンが形成された画像形成体1の外観を示している。画像形成体1を正面から観察した状態(図1(b))では黒い印刷物として観察される(図1(a))が、画像形成体1を傾けて観察した状態(図1(d))では文字列が観察される(図1(c))状況を示している。
しかし、正面から観察した際に観察角無依存微細印刷線と観察角依存微細印刷線のインキの色が異なると、それぞれのインキの反射光の違いから観察角無依存微細印刷線と観察角依存微細印刷線のどちらかが常に観察できてしまう為、観察する角度の変化による観察画像の切り替えが意味を成さない。
本実施形態における画像形成体1は、図3に示した構成、即ち基材2上に微細印刷線3と微細印刷線4からなる印刷パターン5からなる構成、で使用する事も可能であるが、印刷パターン5の上面または下面(図6、図7参照)、若しくは同一平面、にホログラムや回折格子、または見る角度により色の変化を生じる多層膜のようなOVD(Optically Variable Device:光学的可変素子)層22が形成されていてもよい。図6は、OVD層22が印刷パターン5の上側(基材2とは反対側)に、図7は、OVD層22が印刷パターン5の下側(基材2側)に、備えられている場合を示している。この様に、OVD層22と印刷パターン5の二重の偽造防止機能が備えられる事により、より高いレベルの偽造防止機能を発揮する事が可能となる。
(基材)
基材2は、シート状の材料に限られず、中空又は中実のいずれでもよく、また、任意の平面又は曲面を、微細印刷線を形成する印刷面とすることができる。
基材2は、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムの他、クリーンペーパーやコート紙、カレンダー紙等の当該分野で知られている加工紙、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等の当該分野で知られている水溶性ポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等の当該分野で知られている生体適応性ポリマーを用いることが可能である。
(観察角依存性インキ)
本発明の画像形成体においては、大きく分けて2種類のインキを使用する。観察角依存性インキと観察角無依存性インキである。前者は、観察する角度によって色が変化するインキである。後者は、観察する角度によって色が変化しないインキである。
観察角依存性インキに使用する観察角依存性顔料としては、光干渉顔料を使用する事ができる。光干渉顔料としては、例えば、金属粒子に何層もの薄膜をコーティングした光干渉顔料を挙げる事ができる。例えば、平板状の雲母の表面に酸化チタン薄膜を形成する事によって、酸化チタン薄膜の表面と、酸化チタン薄膜と雲母の界面で反射した光による多重干渉効果による真珠の様な光沢を発現するパール顔料を挙げる事ができる。酸化チタン薄膜の膜厚と屈折率により様々な色を作り出す事が可能である。この様に雲母の表面に酸化チタン薄膜を形成した材料を微粉末状にする事により、板状のパール顔料を作製し、これを使用してインキを作製する事によりパール顔料を得る事ができる。この様なパール顔料を含有したパールインキを印刷して作製した微細印刷線の中において、パール光沢が得られる。また、観察する角度によって、観察される色が異なる。
観察角依存性インキにはこの光干渉顔料の他、有機および無機顔料を組み合わせて使用してもよい。
観察角依存性インキの発色顔料としては当該分野で知られている有機および無機顔料を組み合わせて使用してもよい。
無機顔料としては、金属粒子の他、二酸化チタン、亜鉛華、鉄黒に代表される酸化物の他、水酸化物、硫化物、セレン化物、フェロシアン化物、クロム酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、燐酸塩、炭素等がある。有機顔料としては、炭素化合物の他、ニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、レーキ系、フタロシアニン系、縮合多環材料等がある。
これら視認性を目的とした顔料に対し、導電性を目的として金属微粒子や導電性金属酸化物微粒子あるいは金属ナノワイヤや金属塩化物、導電性ポリアニリン、導電性ポリプロピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体)などの導電性ポリマー等を混合して利用してもよい。
観察角依存性インキには、光散乱粒子が混入されていてもよい。すなわち、光散乱粒子は、画像形成体1を構成する、異なる色相のインキいずれかに入っていても、積層した複数の層のうちいずれかに含んでいてもよい。インキに混入させる光散乱粒子としては、真球形状粒子、または、不定型形状粒子が用いられる。また、光散乱粒子の材料としては、無機微粒子、または、有機微粒子からなる粒子を用いる。
具体例としては、アクリル系粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体や、メラミン‐ホルマリン縮合物の粒子、ポリウレタン系粒子、ポリエステル系粒子、シリコン系粒子、フッ素系粒子、エポキシ粒子これらの共重合体、スメクタイト、カオリナイト、タルク等の粘土化合物粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等の無機酸化物粒子、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ガラス粒子等の無機微粒子を挙げることができる。
これらの高い屈折率を有する透明な粒子は、一種類の粒子だけを混合して使用してもよいし、複数種類を混ぜて使用してもよい。また、無機微粒子や有機粒子の表面に塗工や蒸着等によって表面加工を施したものを、一種類で使用してもよいし、複数種類を混ぜて使
用してもよい。すなわち、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する少なくとも二つの光散乱粒子を含んでもよい。
なお、混入する光散乱粒子には、異なる屈折率を有する光散乱粒子の代わりに、異なるヘイズ値を有する2つ以上の光散乱粒子を含んでもよい。なお、光散乱粒子を混入する代わりに、線を構成した状態のインキが空気を含む微細な空洞を含有するようにしてもよい。例えば、印刷するインキの材料中に発泡剤を含有させておき、その発泡剤を発泡させて、空洞を形成する。
これら視認性を目的とした顔料に対し、導電性を目的として金属微粒子や導電性金属酸化物微粒子あるいは金属ナノワイヤや金属塩化物、導電性ポリアニリン、導電性ポリプロピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体)などの導電性ポリマー等を混合して利用してもよい。
インキ中の溶剤としては、例えばドデカン、テトラデカンを使用する。インキ中の溶剤は任意のものを用いることができる。例えば、速乾性インキでは、常温で乾燥する沸点の低い溶剤(MEK、エタノール、アセトンなど)を、水性インキでは水(精製水)を、オイル系インキでは常温で蒸発しないオイル(脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、高級アルコールなど)を用いることが可能である。なお、溶剤の種類に応じて、その溶剤に対し吸収性を有するブランケット11の材料を選択することが好ましい。
顔料および粒子以外のインキ材料として用いる樹脂材料は、透明樹脂や、色付きの樹脂、あるいは、不透明な樹脂を用いても良い。すなわち、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の汎用プラスチックを用いることが可能である。
ここで、熱可塑性樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、COC(環状オレフィン・コポリマー)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、COP(シクロオレフィンポリマー)、MS(メタクリル酸スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂))、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等などの熱可塑性樹脂を用いることが可能である。
また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂やメラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド等の当該分野でよく知られている熱硬化性樹脂を用いることが可能である。また、前記以外にも、インキ材料として用いる樹脂材料として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリオキシメチル)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニルサルフィド)等のエンジニアプラスチックや、スーパーエンジニアプラスチックを用いることも可能である。この他にも電離放射線によって硬化するアクリルやウレタン、エポキシ、ポリエステル、チオール等の樹脂を用いることが可能である。
(観察角無依存性インキ)
観察角無依存性インキとしては、観察角依存性インキから光干渉顔料を除いたインキを好適に使用する事ができる。また、通常の印刷に使用するプロセスインキや、各種の特色インキなど、見る角度によって色が変化しないインキであれば使用することができる。
(微細印刷線)
本発明の画像形成体に使用する微細印刷線は複数の印刷された線(印刷線)から成り、隣り合う線間の隙間が、その隙間を構成する2本の線のうちの線幅が狭い線側の線幅の50倍以下になるように備えられている。隙間を線幅の50倍以下であることで、連続した色模様に観察可能となる。なお、線同士が交差していてもよく、交差部では当然に、隙間の幅は「0」である。
微細印刷線は、凹版を用いて形成される。同一平面上に1つの凹版を用いて線パターンとして形成してもよく、夫々異なる凹版を目合わせして(アライメントをとって)印刷を行うことにより、線パターンを形成してもよい。尚、異なる凹版を用いて印刷を行う場合には、線間隔(線間の隙間)はあってもなくてもよい。
印刷パターンを表現する複数の微細印刷線同士は、同一平面上に、異なる凹版を目合わせして印刷を行うことにより積層して配置してもよい。また、同一の凹版を用いて積層を行なう事により、特定の部位のみ嵩高く配置してもよい。
また、印刷パターンを構成する印刷表現の色の濃淡は、複数の線を一方向に沿って平行に微細印刷線を構成する場合、単位面積当たりに配置する線の線幅を変更することで、色の濃淡表現を調整する事ができる。
ここで、従来、網点で印刷を表現する場合、色の濃淡は、網点の大きさを変更することで濃淡を表現している。すなわち、単位面積当たりのインキの占有率(インキ面積)を変化させることで濃淡を表現している。
これに対し、本実施形態によれば、同じインキ面積であっても、線幅を変更することで濃淡を調整することが可能となる。例えば、10μm幅の観察角依存性インキによる微細印刷線4を10μm間隔で配列する代わりに、100μm幅の観察角依存性インキによる微細印刷線4を100μm間隔で配列した場合の方が、インキ面積(この例では面積率が50%)は同じであっても、目視時における色の濃さ(色差計測定値)が濃くなる。このように、本実施形態にあっては、インキ面積を変えることなく濃淡調整も可能となる。これによって、本実施形態では、色の濃淡調整の自由度が広がり、幅が100μm以下の微細印刷線であっても、より広い印刷表現が可能となる。
複数の微細印刷線で構成する場合、複数の微細印刷線を特定の線パターンで形成して表現する。特定の線パターンとは、例えば複数の微細印刷線を、所定の一方向に向けて形成する、同心状に形成する、格子状に形成する、放射状に形成するなどが考えられる。もっとも、線パターンの規則は、前記の線パターンに限定されない。線幅が100μm以下の微細印刷線の組合せであればランダムな配置など、どのような線パターンであっても本願発明は適用可能である。
また、本実施形態の微細印刷線は、直線状に延在している必要はなく、蛇行など曲線状に延在していてもよい。又、印刷の際に、インキのかすれなどが発生する可能があるが、線幅の1.5倍以上の線長が有ればよい。
(画像形成体の構成例)
次に、画像形成体1の構成例を示す。
図3および図5から図7は、本発明の画像形成体の断面を例示した説明図である。微細印刷線3、4からなる印刷パターン5を形成した画像形成体1(図3参照)を、図5に示したように、粘着層20を介して保護層21に貼り付けてもよい。また、表裏面に観察角依存性および無依存性インキにより作製された微細印刷線を形成した印刷物に粘着材を介
して他の基材を配置してもよい。
接着するために用いる粘着材としては、酢酸ビニルの他、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコン系の粘着材が挙げられる。いずれの場合も高温で使用されるため、100℃における貯蔵弾性率G’が1.0E+04Pa以上であることが望ましい。これより値が低いと、使用中に樹脂層と基材がずれてしまう可能性がある。
粘着材の中に屈折率が異なる有機粒子や無機粒子などの透明粒子等を混ぜても良く、粘着材は両面テープ状のものでも良いし、単層のものでもよい。また、粘着材はあらかじめシート状に加工したものを用いても良いし、基材シートの所望部材に直接塗布しても良い。粘着材と隣接する面には、あらかじめコロナ処理を施しても良い
粘着剤層を塗る方法として、押出し塗工でも、コンマコーター等の各種塗工装置、印刷方式、ディスペンサーやスプレーを用いる方法、または筆等を用いた手作業による塗工であってもよい。
図1に示す例の場合には、単純にするために、正面から観察した場合に黒い印刷物、斜めから観察した際の色変化を文字列として例示しているが、これらに限定はされない。
また、一つの印刷パターンを構成する複数の微細印刷線の高さにバラツキがあっても良く、恣意的に凸構造として構成するインキ1層の高さにバラツキを持たせる場合に、一部の微細印刷線について、異なるインキ層からなる微細印刷線を2層以上積層した多段構造としても良い。
凸構造の断面形状としては、半円形、三角形、矩形、台形などが例示できる。しかし、高さのばらつきがランダムでない場合には、色変化に伴い観察されるはずの画像が、色変化無しに観察され易くなってしまう。
少なくとも一部の微細印刷線の凸構造は、微細印刷線の延在方向と直交する平面における断面の上部(基材側とは反対側)に傾斜部を有していても良い。傾斜部を有している事により、観察する角度による色の変化が生じ易くなるメリットを備えることになる。
なお、本発明において、印刷パターンを構成する複数の微細印刷線の全部若しくは一部が、凸構造である必要はなく、凸構造としない場合には、凸版印刷法などの膜厚が厚くならない印刷法で微細印刷線を印刷してもよい。また、凸構造が形成された基材の表面からの凸構造の高さは、0.2μm以上である事が望ましい。凸構造の高さが0.2μm未満であると、観察各依存性インキに含まれる顔料分が少なく色の変化を生じないというデメリットが生じる。
このように、本実施形態によれば、微細印刷線を組み合わせて色が連続して観察可能な絵柄模様などの印刷表現を形成可能となることで、高精細な線画からなる画像形成体1を得ることが可能となる。なお、基材2は、シート状に限定されず、玩具などの立体物であっても良く、その立体物が有する表面に微細印刷線が形成されていてもよい。
以上のように、本実施形態の画像形成体1に設けた微細印刷線の表示は、予め設定した特定の線パターンを形成することにより、観察する角度の違いにより線画の観察画像が変化する画像形成体を作成することに好適であり、広告用の印刷物、玩具・容器包装などに意匠性を付与することが可能となる。
上述したような微細印刷線からなるインキの微小な盛り上がり(凸構造)を有する微細印刷線は、例えば、グラビアオフセット印刷法により形成することが可能である。以下、
その一例を説明する
(印刷装置)
図4に概念図を示すように、グラビアオフセット印刷用の印刷装置10は、凹版からなる印刷版12と、転写用のブランケット11と、を備えている。印刷版12は、母材表面の転写面に、印刷する微細印刷線に応じた凹部が形成され、その凹部にインキ14が充填されると共に、ドクターブレード17によって余分なインキが掻き取られる。印刷版12は、印刷版固定用定盤15の上面に固定される。
ブランケット11は、回転可能なブランケット胴13の表面に固定されている。ブランケット胴13は、回転可能に台車(不図示)に支持されており、台車は、架台上を移動可能に架台に支持されている。そして、ブランケット11は、印刷版12上を転動することで印刷版12の印刷面の凹部から、その表面(印刷面)にインキ14が転写され、さらに、転写されたインキを、基材固定用定盤16に固定された印刷基材2の表面(印刷面)に転写する。
ブランケット11は、上述のように、インキの授受を行うことにより転写印刷を行う。ブランケット11の表面、すなわち印刷面は、ゴム層からなる。このゴム層として用いられるゴム材料としては、ブランケットとして公知の各種の材料を用いることができる。これらのゴム材料は、インキ及びインキに用いられる溶剤の種類に対応して選択され、シリコンゴムなどの溶剤吸収性のあるものが好適である。ゴム層単独でブランケット11とすることも可能であるが、ゴム層はベース基材の上に設けてもよい。
印刷版12は、微細印刷線3および4を構成する線パターンに対応する複数の溝(凹部)を形成してなる。
ここで、微細印刷線を印刷するための凹部は、線状に延在する複数の溝で構成される。そして、上述の溝からなる凹部に対し、インキ14が充填されると共に、ドクターブレード17によって不要なインキ14が掻き取られる。凹部に充填されるインキ14は、観察角無依存性および観察角依存性の特性を持ったインキ若しくは、これらインキに粒子を添加したものを用いることができる。
本実施形態では、印刷版毎に、いずれかの発色に相当するインキを凹部に充填する。
本実施形態における基材2には、その片面もしくは両面に印刷によって微細印刷線を含む印刷層が形成される。印刷層は、基材2の上面の全面である必要はない。又、本発明に係る印刷図柄以外の印刷が形成されてもよい。基材2は、シート状の材料に限られず、中空又は中実のいずれでもよく、また、任意の平面又は曲面を、微細印刷線を形成する印刷面とすることができる。
(画像形成体の製造方法)
次に、画像形成体の製造方法について説明する。
ここで、微細印刷線が、複数色で構成される場合には、印刷する色毎に個別に印刷版を用意して、順番に色毎の印刷版を使用した凹版印刷を行う。なお、印刷版は、印刷する色毎に用意するほか、多層塗りを行う場合にも、その積層分の印刷版を用意して、順番に凹版印刷を行う。印刷版毎に凹部を形成する溝の深さや幅を変更してもよい。又、一つの印刷版に形成する複数の溝の一部の溝の幅や深さを他の溝の幅や深さと異なるように設計してもよい。
以下の説明では、一つの印刷版による一回分の凹版印刷を行う場合について図4を用い
て説明する。
まず、印刷版12を、例えばインキ溜め(不図示)においてインキに浸漬してインキを版面に付与した後、ドクターブレード17により印刷版12の版面の余分なインキを掻き取る事で、印刷版12の凹部にインキを充填する。この際、ドクターブレード17の剪断応力によるインキの粘度変化に応じて、ドクターブレード17の速度は任意に設定することが望ましい。なお、印刷版12の凹部にインキを付与する方法はこれに限定する必要は無い。印刷版12の上にインキを供給し、へらなどを使用して印刷版12の有効面全面に均一に掻き広げる事で、印刷版12の凹部にインキを充填する事ができる。その後、ドクターブレード17によって余分なインキを掻き取る事で、凹部へのインキ充填作業を完了する事ができる。
次に、図4において、右端から左側方向に向けての台車(不図示)の移動およびブランケット胴13の軸回転によって、ブランケット11の表面が、印刷版12に充填されたインキ14に連続的に回転しながら接触する。これによって、ブランケット11の表面にインキ14が転写される。ブランケット11への転写速度は、ブランケット11の表面がインキ14内の溶剤を吸収可能な吸収性を有する材料から構成することで、ブランケット11の表面に転写されたインキ14の濡れ広がりが生じ難くする事ができる。その後、台車の移動により、インキ14が転写されたブランケット11は、印刷基材2の設置位置まで移動される。
次に、図4に示すように、台車の移動およびブランケット胴13の軸回転により、ブランケット11上に転写されたインキ14は、基材2の表面に転写される。すなわち、回転するブランケット11が基材2に押し付けられてインキ14の転写が行われる。ブランケット11の表面の回転速度は、台車の移動速度と同期をとった速度に設定されている。同期をとるとは、ブランケット11の表面の周速度と、台車がブランケット11と平行に同じ方向に移動する線速度と、を一致させる事により、ブランケット11の表面と印刷版12の表面とがスリップを起こさない様にする事である。
なお、転写されずにブランケット11の表面に残ったインキ14は、例えば、不図示のクリーニングローラーで除去される。
本実施形態では、転写の際に台車を移動させる場合を例示しているが、ブランケット胴13と印刷版固定用定盤15との相対位置、ブランケット胴13と基材固定用定盤16との相対位置の同期をとる事ができる限り、印刷版固定用定盤15と基材固定用定盤16を移動させてもよく、台車、印刷版固定用定盤15および基材固定用定盤16の3つをそれぞれ移動させてもよい。
次に、基材2上に転写されたインキ14は硬化される。硬化は、例えば、焼成、加熱、酸化硬化、電離放射線硬化、冷却(熱可塑性材料を含む導電性インキを用いる場合)など、使用するインキの種類及び成分に応じた各種の手段によって実行することができる。加熱による場合には、例えば、フラッシュキセノンランプを用いることができる。
これらの何れか1つまたは1つ以上を組み合わせて硬化させることにより印刷物である画像形成体1が得られる。なお、ブランケット11は、インキ中の溶剤によって膨潤するが、その膨潤量が所定の基準値に達すると、印刷待機時にブランケット11に吸収された溶剤を乾燥する機能を印刷装置に備えている事が好ましい。ブランケット11の印刷面の材質、使用するインキの種類及びインキ内の溶剤の種類は、上述した例以外の各種のものを選択することができる。
ブランケット11は、円筒形のブランケット胴13に固定して使用するのが通常であるが、インキ転写時のブランケット11の表面形状は、円筒形以外の曲面や平面であっても
よい。基材2はシート状のほか樹脂成形品などのように、表面が曲面であるものであってもよい。
複数の印刷版を使用して印刷する場合には、アライメントマークを用いて印刷版と基材の目合わせを行い、上記印刷処理を繰り返せば良い。アライメントマークの形状は、カメラによる画像認識時に上下左右の合わせ位置が明確に示されているものを利用することが好ましい。アライメントマークは、印刷パターン5(図2(a)参照)の領域外に設置されており、少なくとも印刷パターン5を内包する四角形領域の対角の2点以上に配置することが望ましい。アライメント精度は、±5μm以内であることが望ましい。
アライメント精度が、±5μmの範囲を逸脱した場合には、線が重なってしまい、一方のインキが他方のインキを塗りつぶすことで色変化を生じない可能性がある。このように、アライメントマークを使用して、アライメントをとって印刷することで、複数の凹版を用いて予め設定した特定の線パターンを、目合わせして印刷することが可能となる。
本実施形態における印刷版12の凹部は、形成する微細印刷線3の印刷領域(印刷パターン5)(図2(a)参照)の形状及び印刷パターン5の線パターンに応じた複数の線状の溝により形成される。
従来は、網点に応じたドットに対応した凹部形状の集合によって形成されていたが、本実施形態では、微細印刷線を構成する線に応じた線状の溝によって、微細印刷線の凹部が形成されている。
凹部の幅や深さは、形成する線パターン及びインキで形成する各微細印刷線の盛り上がり量(高さ)に応じた値に設定する。これによって、この印刷版を用いて基材2上にインキを転写した際に、基材2上に転写される線状のインキ線幅や高さが目的とする線パターン及びインキで形成する各微細印刷線の盛り上がり量(高さ)となった印刷物からなる画像形成体1を得ることが可能となる。これによって、単位体積当りのインキ面積が変化したり、同一インキ面積であっても各微細印刷線の幅が異なったりすることで画像形成体1の色の濃淡を表現することが可能となる。
本実施形態における印刷版の凹部の形状は、深さ方向に対して線対称であっても非対称であってもよく、少なくとも1つ以上の形状を組み合わせた形でもよい。
印刷版の作製方法としては切削刃を用いて製作する他、ダイシングソーやレーザー、マシニングセンタによる切削にて製作してもよい。また、多段エッチング法や多段めっき法により印刷版を製作してもよい。また、本実施形態では、金属部材を版として用いたが、石英や、石英や金属から樹脂転写したものを印刷版として用いてもよい。
本実施形態に係る印刷版を含む印刷装置によって基材上に転写されたインキの厚みは、1層当り5μm以下であり、インキ単層で画像形成体としてもよい。また、基材上に転写されたインキ上に再度同じ加工を施し、同一若しくは異なるインキを積層してもよい。また、アライメント機能を用いて基材上に転写されたインキと任意の間隔で、同一若しくは異なるインキを単層若しくは多層で転写してもよい。
本実施形態に係る印刷版を含む印刷装置によって基材上に転写されたインキを、硬化若しくは焼成することによって、基材上に微細印刷線が形成された画像形成体が得られる。
(その他)
なお、本発明は、実施形態に示された態様のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他
の任意の技術にも適用することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、平板の印刷版を用いて転写を行っていたが、これに限らず、円筒形状の印刷版を用いて転写を行ってもよい。
また、上述した実施形態では、ブランケットを介して基材にインキを転写していたが、これに限らず、印刷版から直接基材にインキを転写してもよい。また、例えば、上述した実施形態では、インキの印刷パターンが基材の上に形成されていることとしたが、これに限らず、当該印刷パターンが基材の上に形成された後に、基材が除去されて、印刷パターンのみによりその形状を保持する態様としてもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
まず、厚さ25μmの透明のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材として用意した。
次に、シアン、マゼンタ、イエロー、スミのプロセスインキ(観察角無依存性インキ)と、プロセスインキに光干渉顔料をインキ量に対して40wt%添加した観察角依存性インキを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に線幅10μmの微細印刷線からなる印刷パターンを形成した。印刷には、グラビアオフセット印刷装置を用いた。
この際、観察角無依存性インキからなる微細印刷線と観察角依存性インキからなる微細印刷線を隣同士に配列する事により印刷パターンを形成した。グラビアオフセット印刷装置の位置合わせ精度の設定により、アライメントの最大誤差が2μmのサンプルAと、アライメントの最大誤差が10μmのサンプルBを作製した。
微細印刷線の配列なる印刷パターンを印刷した基材の両面に、保護層としてアクリル樹脂から成るハードコート層を塗布し硬化させ、画像形成体を作製した。
作製した画像形成体の微細印刷線の配列からなる印刷パターンを印刷した面を正面から観察したところ、サンプルAは均一な同一色が観察されたが、サンプルBは部分的に微細印刷線の配列が重複した箇所があり、やや凹凸が観察され、色とは別の要因で観察され易くなった。
また、サンプルAおよびサンプルBを斜めから観察したところサンプルA、Bともに色の変色により文字が浮かびあがる現象が確認された。
1:画像形成体
2:基材
3:観察角無依存性インキにより形成された微細印刷線(観察角無依存微細印刷線)
4:観察角依存性インキにより形成された微細印刷線(観察角依存微細印刷線)
5:印刷パターン
10:印刷装置
11:ブランケット
12:印刷版
13:ブランケット胴
14:インキ
15:印刷版固定用定盤
16:基材固定用定盤
17:ドクターブレード
20:粘着層
21:保護層
22:OVD層

Claims (10)

  1. 基材上の少なくとも一部に印刷パターンが形成された画像形成体であって、
    印刷パターンは、複数の印刷線で構成された印刷部を備えており、
    少なくとも印刷部の一部は、観察する角度により色が変わる光干渉顔料を含むインキからなる観察角依存性の印刷線と、前記光干渉顔料を含まず、観察する角度により色が変わらないインキからなる観察角無依存性の印刷線と、から形成されており、
    観察角無依存性の印刷線は、観察角依存性の印刷線の上部または、一定の間隙を持って配置されている観察角依存性の印刷線の間隙部に配置されており、
    観察角依存性の印刷線と観察角無依存性の印刷線の線幅は、100μm以下であり、
    観察角依存性の印刷線同士および観察角無依存性の印刷線同士の線間距離は、100μm以下である事を特徴とする画像形成体。
  2. 前記観察角依存性インキにより形成された印刷線は、正面から観察した場合には観察角無依存性インキにより形成された印刷線と同色であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成体。
  3. 前記印刷線には、万線パターン、格子パターン、同心状に画線を配列したパターン、放射状に画線を配列したパターン、の中から選ばれた少なくとも1つのパターンが含まれている事を特徴とする請求項1または2に記載の画像形成体。
  4. 前記印刷部を構成する印刷線は、印刷線が形成された基材の表面から0.2μm以上の高さの凸構造であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の画像形成体。
  5. 前記凸構造を備える印刷線を複数本有し、少なくとも一部の印刷線は、前記凸構造が重ねられた多段構造となっていることを特徴とする請求項4記載の画像形成体。
  6. 前記凸構造を備える印刷線を複数本有し、少なくとも一部の印刷線は、該印刷線の延在方向と直交する平面における断面の前記基材側とは反対側に傾斜部を有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成体。
  7. 前記印刷部のアライメント精度が、±5μm以内である事を特徴とする請求項1~6の何れかに記載の画像形成体。
  8. 凹版印刷装置を用いた画像形成体の製造方法であって、
    第一の印刷版を用いて、光干渉顔料を含むインキからなる印刷線により形成された印刷パターンを基材に印刷する第一印刷工程と、
    第二の印刷版を用いて、光干渉顔料を含まないインキからなる印刷線により形成された印刷パターンを、第一印刷工程で印刷された印刷パターンと目合わせした後、前記基材に印刷する第二工程と、を備えている事を特徴とする画像形成体の製造方法。
  9. 凹版印刷装置を用いた画像形成体の製造方法であって、
    第一の印刷版を用いて、光干渉顔料を含むインキからなる印刷線により形成された印刷パターンを基材に印刷する第一印刷工程と、
    第二の印刷版を用いて、光干渉顔料を含まないインキからなる印刷線により形成された印刷パターンを、第一印刷工程で印刷された印刷パターンと目合わせした後、前記基材に印刷する第二工程と、を備えており、
    前記光干渉顔料を含むインキからなる印刷線と、前記光干渉顔料を含まないインキからなる印刷線の線幅または印刷線の間隙の距離を調整する事により、前記印刷パターンの濃淡の調整を行う事を特徴とする請求項8に記載の画像形成体の製造方法。
  10. 前記第一の印刷版の前記印刷線と前記第二の印刷版の前記印刷線に対応する凹部の幅と深さは、それぞれの印刷線の、幅が100μm以下となり、高さが0.2μm以上となる値である事を特徴とする請求項9に記載の画像形成体の製造方法。
JP2020137447A 2020-08-17 2020-08-17 画像形成体およびその製造方法 Pending JP2022033507A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020137447A JP2022033507A (ja) 2020-08-17 2020-08-17 画像形成体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020137447A JP2022033507A (ja) 2020-08-17 2020-08-17 画像形成体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022033507A true JP2022033507A (ja) 2022-03-02

Family

ID=80375250

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020137447A Pending JP2022033507A (ja) 2020-08-17 2020-08-17 画像形成体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022033507A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6984600B2 (ja) 印刷物及び印刷物の製造方法
CN112118965B (zh) 具有反射表面区域的光学可变防伪元件
KR102433729B1 (ko) 오목 자기력선을 발생하는 자기장 발생 장치에 의해 생성되는 광학 효과층의 현장 경화를 위한 방법
EP3049249B1 (en) Method of manufacturing pattern on a substrate web and apparatus therefor
TWI487628B (zh) 於底塗層上磁性配向之印墨
KR101972607B1 (ko) 코팅내의 3-차원 패턴의 생성 방법
JP6231607B2 (ja) 少なくとも第1及び第2の区域を有する第1の主表面を有する物品およびその製造方法
CN107148583B (zh) 防止伪造用的光学元件
KR101513287B1 (ko) 회전에 따른 색을 보여주는 구조화된 표면들
JP7238355B2 (ja) 印刷物、印刷版および印刷物の製造方法
JP6950321B2 (ja) 印刷物
JP2022033507A (ja) 画像形成体およびその製造方法
CN101388164B (zh) 光学可变装置和制造通过旋转展示可见的颜色变化的装置的方法
CN103806340A (zh) 一种包含有视窗的防伪纸张及其制作方法
JP2020168773A (ja) 印刷物、印刷版および印刷物の製造方法
JP7415527B2 (ja) 画像形成体およびその製造方法
JP2020184036A (ja) ホログラム一体型印刷物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230719

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20230724

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240430