JP6949302B2 - 導電ペースト及びこれを用いて形成された多層基板 - Google Patents

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本発明は、多層基板等の電子部品の作製に際して、セラミックや磁性体等を含んだ焼成前の基板材料と共に同時焼成される導体形成用の導電ペースト、及びその導電ペーストを用いて形成された多層基板に関する。
導電粉末と有機ビヒクルとを含有する導電ペーストを材料に用いてセラミック基板の上に導体を形成する方法としては、該導電ペーストをセラミックグリーンシートの表面上に印刷し、これら導電ペーストとセラミックグリーンシートとを同時に焼成する同時焼成法と、セラミックグリーンシートをまず焼成してからその表面上に導電ペーストを印刷し、この印刷した導電ペーストのみを焼成する後付け焼成法がある。前者の同時焼成法は、後者の後付け焼成法とは異なり1回の焼成で済むので生産コストを抑えることができる。また、内部に複数層の内部電極を有する多層基板の作製には後付け焼成法を用いることができないので、近年は同時焼成法が主流になりつつある。
すなわち、多層基板の作製では、まずセラミックなどを含む焼成前のいわゆるグリーンシートの表面に、所定のパターンが形成されるように例えばスクリーン印刷法により導電ペーストを印刷した後、この導電ペーストがパターン印刷されたグリーンシートを複数枚積み重ねて積層体とする。この積層体を必要に応じて乾燥処理した後、所定の温度で焼成処理する。これにより、導電ペーストとグリーンシートとが同時に焼成され、所定のパターンを有する導電層(導体)が内部に複数層に亘って埋設された多層基板を作製することができる。
このように、積層体の同時焼成では、基板材料のグリーンシートに含まれる材料を焼結させる温度が、積層体内部の導電ペーストにも加わる。導電粉末の焼結温度は、セラミック等の材料が焼結する温度より低いため、導電ペーストにガラス粉末やセラミック粉末等を添加することで、導電ペーストに含まれる導電粉末の焼結開始温度をコントロールする手法が用いられてきた。
また、上記の多層基板が搭載される携帯電話、ラップトップ型パソコンなどの電子機器は近年ますます高機能化、小型化が進んでおり、多層基板においては薄型化や微細化が求められている。そのため、多層基板の作製では、グリーンシートの焼結による収縮挙動とパターン印刷された導電ペーストに含まれる導電粉末の焼結による収縮挙動との差を減らしてクラックなどの発生を防止する必要が生じている。一般にグリーンシートは焼結時にほとんど収縮しないのに対して導電ペーストにより形成した乾燥体は大きく収縮するので、該導電ペーストに軟化点の高いガラスやセラミックなどを添加して焼結開始温度を高くすることにより、その後に生じる収縮の程度をコントロールすることが行われている。
しかし、導電ペーストにガラス等を添加すると、導電粉末の焼結が良好に進みにくくなる効果を利用して焼結開始温度を高くしているため、焼結処理後に形成した導電層の比抵抗が高くなりすぎる等の不具合を発生することがある。そのため、上記のガラスやセラミックなどの添加量を極力抑える必要があるが、ガラスやセラミックなどの添加量が十分でない場合はグリーンシートの焼結による収縮挙動と厚膜導電ペーストの収縮挙動との差を十分に縮めることが困難になり、焼結後のクラックの発生を抑えられなかったり、クラックの発生を抑えることができても、収縮による空隙が導電層内に発生しやすくなり、結果的に比抵抗が当初設定していた値よりも高くなったりするおそれがある。
上記のような問題に対して、例えば特許文献1には、導体ペーストにRhを0.005〜0.050質量%添加した平均粒子径1.5〜4.5μmのAg系粉末を使用することにより、印刷した導体ペーストに含まれる有機分が熱分解した後の導体の焼成時において、400℃から700℃に昇温するまでの収縮率が2.0〜10.5%、かつ、400℃から900℃に昇温するまでの収縮率が10.0〜21.1%となるように収縮挙動を設定する技術が開示されている。
また、特許文献2には、導電ペーストを構成する組成物として、含有率60〜95質量%のAg粉末と、該Ag粉末の質量に対し0.5〜5質量%のホウケイ酸系ガラス粉末と、該Ag粉末の質量に対して金属分換算で0.05〜5質量%のRu及び0.001〜0.1質量%のRhの2種の金属を含有する白金族金属添加剤と、残部が有機ビヒクルである組成物が開示されている。
特開2004−47856号公報 国際公開第2014/054671号
特許文献1に示す導体ペーストは、導体と基板との接着強度を高めるためガラスフリットも添加されている。しかし、このようなガラスフリットを含有する導体ペーストで形成した導体は、緻密性に欠けた構造体になりやすいという問題がある。特に導電材料にAg粉を用いると緻密性の低下が顕著になり、焼成後に行う電解めっき等により密着性が低下したり導電性が損なわれたりする場合がある。
特許文献2に示す導体ペーストもガラスフリットが添加されているため、上記の特許文献1と同様の問題を抱えている。また、Ag粉末に平均粒子径の異なる2種類の導電粉末を用いる場合は、それら2種類の導電粉末をTAP密度で規定することが示されているが、導電粉末は粒径が小さくなるに従って表面が活性になるため導電粉末同士が凝集しやすく、よって所定のTAP密度を有する導電粉末を用いても所望の収縮挙動が安定的に得られない場合がある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、導電粉末と有機ビヒクルとを含有する導電ペーストにおいて、焼結時の収縮量を減らすためには該導電粉末の含有量を極力多くする必要があり、その導電粉末と有機ビヒクルとの適切な配合量を求めるために、緻密さの指標として吸収量を採用し、この吸収量を所定の範囲内に規定することにより、理想的な配合量とすることができ、該導電ペーストから形成した導体の焼結前後の収縮率を従来の導電ペーストから形成した場合に比べて小さくできることを見出した。また、収縮率の低減を導電粉末の緻密化により得ているため、焼結後の比抵抗も従来の場合より小さくできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る導電ペーストは、導電粉末と有機ビヒクルとを含有する導電ペーストであって、前記導電粉末が、JIS−K6217−4に準拠して測定される吸収量が2.5ml/100g以上5.0ml/100g以下である導電粉末であり、かつ、前記導電ペースト100質量%に対して90質量%以上97質量%以下含有されていることを特徴としている。
本発明によれば、乾燥体形成時の初期の密度を高めることができるため、ガラスやセラミックなどが添加された従来の導電ペーストを用いる場合に比べて、焼結過程における導体の収縮を小さくすることができる上、より緻密な状態を形成できるため、焼結処理後の導体の比抵抗も小さくすることができる。よって、焼結時にほとんど収縮を伴わないグリーンシートと共に同時焼成して多層基板を作製する際に、グリーンシートとの収縮挙動の差を縮め、連続性に優れた良好な導電性を有する内部電極を形成することができる。
以下、本発明の導電ペーストの実施形態について説明する。この本発明の実施形態の導電ペーストは、導電粉末と有機ビヒクルとを含有しており、該導電粉末は、JIS−K6217−4に準拠して測定される吸収量が2.5ml/100g以上5.0ml/100g以下であり、かつ、導電ペースト100質量%に対して90質量%以上97質量%以下含有されている。以下、かかる本発明の実施形態の導電ペーストを構成する各構成要素について詳細に説明する。
<導電粉末>
本発明に用いられる導電粉末は、上述のようにJIS−K6217−4に準拠して測定される吸収量が2.5ml/100g以上5.0ml/100g以下である。吸収量を前記範囲内に収めるために、該導電粉末は、互いに粒径が異なる小粒径の粉末と大粒径の粉末とから構成されるのが好ましい。具体的には前者の小粒径の粉末には、レーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が0.1μm以上2.0μm以下の粉末を使用し、後者の大粒径の粉末には、同様にレーザー回折散乱法を用いて測定した体積積算の中位径D50が2.0μmより大きく20μm以下の粉末を使用するのが好ましい。
小粒径の粉末の中位径D50が0.1μm未満では、導電ペーストの粘度が非常に高くなり分散性に劣るだけでなく、焼成処理の際に導電粉末同士を焼結しやすくする以外に、導電ペーストが印刷される対象の基板材料と反応し、該基板材料内に拡散してしまう場合があるため好ましくない。逆にこの中位径D50が2.0μm以上では、大粒径の粉末との組み合わせによる乾燥体の密度向上の効果がほとんど得られないため好ましくない。
一方、大粒径の粉末の中位径D50が2.0μm以下では、小粒径の粉末との組み合わせによる乾燥体の密度向上の効果がほとんど得られないため好ましくない。逆にこの中位径D50が20μmより大きくなると、印刷後の乾燥時及び焼結時の導体の膜厚を十分薄くすることができないため、近年の小型化の進む電子部品などに適用できない場合があるので好ましくない。特に、2種の粒径の粉末を使用する場合、小粒径の中位径D50は、大粒径の中位径D50の0.01倍以上0.5倍以下であるのが好ましい。この比率が0.01倍未満では、2種類の導電粉末の粒径のバランスが不釣合いになって乾燥体の密度を上げる効果が得られなくなるおそれがある。逆にこの中位径D50の比率が0.5倍を超えると、粒径の異なる導電粉末を用いる効果が得られなくなるおそれがある。
また、本発明の実施形態の導電ペーストにおいては、上記の大小2種類の導電粉末の配合割合は、それらの合計を100質量%としたとき、上記の小粒径の粉末は0.1質量%以上50質量%以下であるのが好ましい。この下限値が0.1質量%未満では、乾燥体の密度を上げる効果が低くなるため好ましくない。逆にこの上限値が50質量%より多いと、乾燥体の密度を上げる効果が低くなるばかりか、導電ペーストの粘度が高くなりすぎ、印刷に適した粘度が得られにくくなるため好ましくない。
上記の大粒径の粉末は、例えばアトマイズ法により生成することができる。このアトマイズ法は、例えば窒素ガスなどの気相中又はシリコンオイルなどの液相中に、溶融状態の金属をノズルから放出して分散させることで粉末状の金属を得る方法であり、製造時に表面酸化被膜を形成するなどして、反応性の低い比較的安定な粉末を得ることができる。一方、小粒径の粉末は湿式還元法により生成することができる。この湿式還元法は、例えば金属イオンを含んだ水溶液にヒドラジン等の還元剤を加えて金属を析出させて回収する方法であり、一般にアトマイズ法よりも表面が活性で反応性の高い粉末を得ることができる。
本発明の実施形態の導電ペーストにおいては、導電ペースト100質量%に対して導電粉末が90質量%以上97質量%以下含まれている。この含有率が90質量%未満では、基板材料に印刷した導電ペーストを乾燥処理した後に得られる乾燥体が緻密にならず、膜の密度が十分高くないため、その後の焼結処理時における収縮量が大きくなってクラックなどの不具合が生じるおそれがある。また、乾燥体の周囲を構成する他の材料やその形状などによっては、焼結処理時に乾燥体が良好に収縮できない場合があり、この場合、乾燥体の形成時に発生した空隙が焼結処理後に歪になったり亀裂を生じたりしてしまい、比抵抗を高くする原因となる場合があるため好ましくない。逆にこの値が97質量%より多い場合は、導電ペーストの印刷に適した粘度が得られない場合があり、好ましくない。
本発明の実施形態の導電ペーストに用いる導電粉末の材質には特に限定はないが、一般的な導電ペーストに使用される金属粉末を用いるのが好ましく、Au、Ag、Pd、Pt及びCuの少なくとも1種類を用いるのが好ましい。これら金属は同程度の低い電気抵抗率を有し、耐腐食性に優れている点についても類似しているので、導電ペースト用の金属粉末の材質として適している。
<吸収量>
上記した本発明の実施形態の導電ペーストに使用する導電粉末は、JIS−K6217−4に準拠して測定される吸収量が5.0ml/100g以下である。この値が5.0ml/100gを超えてしまうと、乾燥体の密度を十分に上げることができず、焼成後の収縮率が大きくなってしまう場合がある。なお、上記の吸収量の下限値は特に限定がないが、前述した2種類の導電粉末の含有量の範囲では2.5ml/100g以上であれば十分効果を発揮できる。
このように、導電ペーストに使用する導電粉末を吸収量で規定することで、焼成後の収縮率を調整できる理由は、JIS−K6217−4による測定では、容器に入れた所定量の粉末試料を撹拌翼で混合しながら所定のオイルを徐々に供給すると共に、その際の撹拌翼のトルクの変化を測定することで、導電粉末100g当たりのオイル吸収量、すなわち導電粉末100gに存在する空隙を充填するのに必要なオイルの量を求めることができるからである。よって、様々な導電粉末に対して、あらかじめ吸収量と焼結過程での収縮率とを測定しておくことで、焼結過程において収縮率が所定の値を超えないようにするために必要な吸収量の範囲を設定することができ、任意に準備した導電粉末を用いたペーストの収縮率をあらかじめ判断することができる。
<有機ビヒクル>
本発明の実施形態の導電ペーストに使用する有機ビヒクルは、バインダ樹脂と有機溶剤とを含有している。このバインダ樹脂は、導電ペーストを100質量%としたとき、0.05質量%以上2.0質量%以下の範囲内で含まれていることが好ましい。この値が0.05質量%未満では、導電ペーストの印刷に適した粘度が得られにくくなるため好ましくない。逆にこの値が2.0質量%より多いと、導電ペースト中において導電粉末の占める割合が低下し、乾燥体の密度を低下させ、その焼成前後の収縮率が大きくなってしまうため好ましくない。上記のバインダ樹脂の具体的な材料には特に制約はなく、一般的な導電ペーストに使用される、エチルセルロース、メタクリレートなどを用いることができる。
上記の有機ビヒクルに含まれる有機溶剤は、導電ペーストの粘度調整のため含有させるものであり、導電ペーストを100質量%としたとき、2.0質量%以上9.9質量%以下の範囲内で含まれていることが好ましい。この値が2.0質量%未満では、導電ペーストの粘度を十分に低くできず、導電ペーストの印刷に適した粘度が得られにくくなるため好ましくない。逆にこの値が9.9質量%より多いと、導電ペーストの粘度が下がり過ぎて該導電ペーストの印刷に適した粘度が得られなかったり、乾燥処理時に十分に揮発されなくなって導電ペースト中に残存しやすくなってしまい最終的に形成される乾燥体の密度を低下させ、その焼成前後の収縮率が大きくなったりする場合があるため好ましくない。上記の有機溶剤の具体的な材料には特に制約はなく、一般的な導電ペーストに使用されるターピネオール、ブチルカルビトールなどを用いることができる。なお、導電粉末の分散性向上や保管中の分離沈降防止などのため、必要に応じて分散剤などの添加剤を導電ペーストに添加してもよい。
<収縮率>
本発明の実施形態の導電ペーストを焼結して得た導体において、焼結過程での収縮率、具体的には焼成処理前の乾燥体の膜厚aに対する焼成処理後の導体の膜厚bの膜厚の比b/aを0.85以上にすることが好ましい。この値が0.85未満では同時に焼成処理されるセラミックグリーンシートなどの収縮率との差が大きくなりすぎ、作製した電子部品内に空隙やクラックを生じる場合があるので好ましくない。上記の収縮率の上限は特に限定はないが、大小2種類の導電粉末の収縮率の上限は理想状態に緻密に形成した際に生じる空隙の減少分と考えることができ、0.97が最高値になると考えられる。
<比抵抗>
本発明の実施形態の導電ペーストを用いて形成した導体は、緻密な構造とすることができるため、比抵抗を低く抑えることができる。特にAgやCuを導電材料として用いた場合は、2.5μΩcm以下の比抵抗を実現することができる。電子部品の小型化が進んでいるため、電子部品内に形成される導体による配線も細線化かが進んでおり、導電性の低下が懸念されている。この比抵抗を、より低く抑えることにより配線の細線化が進んでも、十分な導電性を得ることも可能となる。
以下、本発明の導電ペーストについて実施例を挙げて説明を行うが、本発明の範囲は、以下の実施例により限定されるものではない。まず、いずれもAgからなる8種類の導電粉末を用意し、それらの中位径D50をレーザー回折散乱式粒度分布測定法により得られる体積基準粒度分布より求めた。その結果、これら9種類のD50は、大きい順に並べるとそれぞれ20.0μm、15.0μm、5.0μm、3.0μm、2.3μm、2.0μm、1.5μm、0.5μm、及び0.1μmであった。これら9種類のAg粉末の中からD50が1.5μmのAg粉末を選択して所定量を量り取った後、その一部をサンプリングし、JIS−K2617−4に準拠した測定法により吸収量を測定した。
次に、上記のAg粉末に、バインダ樹脂としてのエチルセルロースと有機溶剤としてのターピネオールとを所定量混合して得た有機ビヒクルを添加し、3本ロールミル(ビューラー株式会社製、SDY−300)を用いて混合した。このようにして試料1の導電ペーストを作製した。
また、上記の9種類の導電粉末から選択するAg粉末の種類やその採取量、及びバインダ樹脂や有機溶剤の添加量を様々に変えた以外は上記試料1の場合と同様にして試料2〜12の導電ペーストを作製した。なお、2種類のAg粉末を用いる試料の吸収量の測定では、選択した2種類のAg粉末からサンプリングした一部を自公転ミキサーを用いて混ぜ合わせて得た、後述する評価用の導電ペースト試料と同様の比率の混合粉末を用いて吸収量を測定した。これら試料1〜12の導電ペーストに用いた9種類のAg粉末の配合割合、吸収量、Ag粉末とバインダ樹脂及び有機溶剤との配合割合を下記表1に示す。
Figure 0006949302
上記にて作製した試料1〜12の導体ペーストの各々を用いて純度96%のアルミナ基板上に所定のパターンが形成されるようにスクリーン印刷機を用いて印刷し、ベルト式乾燥炉を用いて150℃で5分間乾燥させて乾燥体を形成した。得られた乾燥体の膜厚aを、触針式表面粗さ計(株式会社東京精密製、SURFCOM 480A)を用いて測定し、更に質量を電子天秤で測定し、別途測定した乾燥後の同サイズのアルミナ基板のみの質量を差し引いて得た値から乾燥体の密度を算出した。次に、上記のパターン印刷されたアルミナ基板をピーク温度600℃で9分間、室温からの昇温時間と室温までの降温時間を含めたトータル30分となるように温度プロファイルを設定した焼成炉で焼成処理し、導体を形成した。
得られた導体の厚みを触針式表面粗さ計(株式会社東京精密製、SURFCOM 480A)を用いて測定し、上記の焼成前の乾燥体の膜厚aに対する焼成後の導体の膜厚bの比率b/aを算出して導体の膜厚比とした。また、デジタルマルチメーター(株式会社ADVANTEST製、R6871E)を用いて、幅0.5mm、長さ50mmの導体パターンの抵抗値を測定し、先に測定した膜厚を用いて、導体の比抵抗を算出した。このようにして算出した導体の比抵抗を上記の乾燥体の膜厚及び密度、並びに導体の膜厚及び膜厚比と共に下記表2に示す。
Figure 0006949302
上記表1及び表2の結果から、本発明の要件を満たす試料1〜9の導電ペーストは、いずれも導体の膜厚比が0.84以上となり、焼結過程での収縮を抑えることができていることが分かる。また、導体の比抵抗はいずれも3.4μΩcm以下であった。
一方、吸収量が本発明の要件よりも高い比較例の試料10の導電ペーストは、乾燥体密度が低く、焼成した導体の膜厚比が0.80と大きく収縮していることが分かる。吸収量が高いことから、導電ペースト内の導電粒子間の空隙が大きいと考えられ、そのため乾燥時にも粒子の充填を高くすることができないと考えられる。バインダ樹脂や有機溶剤の量は適切であるため、焼成時にバインダ樹脂や有機溶剤が十分分解・揮発し、それと同時に導電粉末が焼結し空隙が減ることにより導体の膜厚比が0.80と大きく収縮したものと考えられる。しかし、乾燥体形成時の空隙が多いため、焼結により空隙を十分に除去することができず、収縮時にボイドを形成するなどして導体の比抵抗が4.2μΩcmと高い値になっていると考えられる。
Ag粉末の含有量が本発明の範囲より低い比較例の試料11も、乾燥体密度が低く、焼成した導体の膜厚比が0.77と大きく収縮していることが分かる。これは、Ag粉末の含有量が少ない分、バインダ樹脂の含有量が多くなったため、乾燥体内に残存する樹脂量が多いため膜密度が低くなったものと考えられる。焼成時にバインダ樹脂や有機溶剤が分解・揮発するが、バインダ樹脂の添加量が多いため、必然的に乾燥体から抜ける量も多くなり、収縮量が大きくなったと考えられる。また、バインダ樹脂量が多すぎるため、除去しきれず樹脂が導体内に一部残留したり、導電粉末の焼結速度が樹脂の除去速度に追いつかず、空隙を生じたりしてしまうため導体の比抵抗が4.6μΩcmと高い値になっていると考えられる。
Ag粉末の含有量が本発明の範囲より高い比較例の試料12は、導電ペーストを印刷するのに十分な粘度が得られず、印刷後の形状が歪になってしまい、各種計測をすることが困難なため評価をするのを断念した。
以上の事から、本発明の要件を満たすような適切な吸収量の範囲で規定した導電粉末と、適切な量の有機ビヒクルとを用いることにより、焼結時に収縮量の少ない良好な導電ペーストを得ることができることが分かる。

Claims (8)

  1. 導電粉末と有機ビヒクルとを含有する導電ペーストであって、前記導電粉末が、JIS−K6217−4に準拠して測定される吸収量が2.5ml/100g以上5.0ml/100g以下である導電粉末であり、かつ、前記導電ペースト100質量%に対して90質量%以上97質量%以下含有されていることを特徴とする導電ペースト。
  2. 前記導電粉末は、中位径D50が2.0μmより大きく20μm以下の大粒径の粉末と、中位径D50が0.1μm以上2.0μm以下の小粒径の粉末とからなり、前記大粒径の粉末と小粒径の粉末との配合割合は、導電粉末の総量100質量%に対して前記小粒径の粉末が0.1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の導電ペースト。
  3. 前記導電粉末が、Au、Ag、Pd、Pt及びCuの少なくとも1種類であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の導電ペースト。
  4. 前記有機ビヒクルがバインダ樹脂と有機溶剤とを含有し、前記導電ペースト100質量%に対して前記バインダ樹脂の含有量は0.05質量%以上2.0質量%以下であり、前記有機溶剤の含有量は2.0質量%以上9.9質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電ペースト。
  5. 前記導電ペーストの乾燥体の膜厚をaとし、該乾燥体の焼結体である導体の膜厚をbとしたとき、膜厚比b/aが0.85以上0.97以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電ペースト。
  6. 前記粒径の異なる2種類の導電粉末が、AgもしくはCuのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする、請求項1〜5に記載の導電ペースト。
  7. 前記導電ペーストを用いて形成した導体の比抵抗が3.4μΩcm以下であることを特徴とする、請求項6に記載の導電ペースト。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電ペーストを用いて形成した導体を内部構造に有することを特徴とする多層基板。
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