JP6948410B2 - 免疫原性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、抗原とペプチドハイドロゲルとを含む免疫原性組成物およびその製造方法に関する。
自己組織化ペプチドは、水溶液中においてペプチド分子同士の相互作用を介して自発的に集合してナノファイバーを形成し得るペプチドである。該自己組織化ペプチドの用途は、例えば、細胞培養用基材、止血材、骨充填材、ドラッグデリバリー基材、人工硝子体、眼科用手術補助材、化粧品、褥瘡製材等の多岐に渡る(例えば、特許文献1)。
近年、RADARADARADARADA(配列番号:18)等の自己組織化ペプチドのアジュバントとしての利用が提案されている(特許文献2、3、非特許文献1)。
WO2010/103887 US2012/0282292A1 特表2014−512385号公報
Vaccine. 2016 Nov 4;34(46):5479−5482
本発明は、アジュバントとして自己組織化ペプチドを含み、多様な抗原の免疫原性を増強することができる免疫原性組成物を提供することを目的とする。
本発明の1つの局面によれば、正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドと水性媒体とを含むペプチドハイドロゲルと、抗原と、を含み、該自己組織化ペプチドと該抗原とが共有結合していない、免疫原性組成物が提供される。
1つの実施形態において、上記自己組織化ペプチドが、生理的pHにおいて、該ペプチド分子あたり+3、+2、−3または−2の電荷を有する。
1つの実施形態において、上記自己組織化ペプチドが、生理的pHにおいて、該ペプチド分子あたり+3または+2の電荷を有する。
1つの実施形態において、上記自己組織化ペプチドを構成するアミノ酸残基数が、10〜32である。
1つの実施形態において、上記免疫原性組成物は、上記自己組織化ペプチドを0.3w/v%〜2.0w/v%の濃度で含む。
1つの実施形態において、上記自己組織化ペプチドが、下記のアミノ酸配列(A)からなるペプチドである。
アミノ酸配列(A):adb
(該アミノ酸配列中、a〜aは、塩基性アミノ酸残基であり;b〜bは、無電荷極性アミノ酸残基および/または疎水性アミノ酸残基であり、ただし、そのうちの少なくとも5個は、疎水性アミノ酸残基であり;cおよびcは、酸性アミノ酸残基であり;dは、疎水性アミノ酸残基または無電荷極性アミノ酸残基である。)
1つの実施形態において、上記自己組織化ペプチドが、配列番号1〜16で示されるペプチドから選択される。
1つの実施形態において、上記自己組織化ペプチドが、配列番号1、15および16で示されるペプチドから選択される。
1つの実施形態において、上記抗原の分子量が、6.0kDa〜1.0×10kDaである。
1つの実施形態において、上記抗原が、生理的pHにおいて、正電荷を有するタンパク質を含む。
1つの実施形態において、上記抗原が、食品、ダニ、ハウスダスト、植物または動物由来の抗原を含む。
1つの実施形態において、上記抗原が、ダニアレルギーの抗原、卵アレルギーの抗原または花粉を含む。
1つの実施形態において、上記抗原が、卵白アルブミン、カゼイン、リゾチームおよびパパインから選択される少なくとも1種を含む。
本発明の免疫原性組成物によれば、自己組織化ペプチドを適切に選択することにより、多様な抗原の免疫原性を増強することができる。
各被験試料を連続点眼したモルモットの前眼部の写真である。 1回目の投与後に作製した背部の組織標本像である。 2回目の投与後に作製した背部の組織標本像である。 各被験試料を投与したマウスの血中IgG濃度を示すグラフである。 各被験試料を投与したマウスの血中IgG濃度を示すグラフである。 各被験試料を投与したマウスの血中IgG濃度を示すグラフである。 各被験試料を投与したマウスの血中IgG濃度を示すグラフである。 各被験試料を投与したマウスの血中IgG濃度を示すグラフである。 各被験試料を投与したマウス背部の組織標本像である。 各被験試料を投与したマウス背部の組織標本像である。 各被験試料を投与したマウス背部の組織標本像である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
[A.免疫原性組成物]
本発明の免疫原性組成物は、正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドと水性媒体とを含むペプチドハイドロゲルと、抗原と、を含み、該自己組織化ペプチドと該抗原とが共有結合していない。なお、「自己組織化ペプチドと抗原とが共有結合していない」との記載は、自己組織化ペプチドと抗原とが意図的に共有結合されていないことを意味し、pH環境や保管環境等に応じて意図せず生じ得る微少の共有結合の存在を排除するものではない。なお、明細書全体の記載から明らかなとおり、本発明の免疫原性組成物中、ペプチドハイドロゲルと抗原とは別々に存在するのではなく、抗原がハイドロゲル中に混然一体化した状態で存在する。よって、本発明の免疫原性組成物は、「正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドと水性媒体と抗原とを含み、該自己組織化ペプチドと該抗原とが共有結合していない、ゲル状の免疫原性組成物」と換言することもできる。
ペプチドハイドロゲルを含むことに起因して、代表的には、上記免疫原性組成物もまた、ゲルである。ただし、ペプチドハイドロゲルは、自己組織化ペプチドの非共有結合を介した自己組織化によって形成されており、撹拌、振動、せん断の付与等の物理的刺激によって一時的にゾルの形態をとり得る。そのため、上記免疫原性組成物もまた、物理的刺激に対応してゾル化し得るが、その後、経時的に再度ゲル化することができる。よって、本発明の免疫原性組成物は、ゲル化能を有する限りにおいて、流動性を有する状態であってもよい。なお、本明細書において、ゲルとは、ゼリー状に固化したコロイド分散系を意味する。1つの実施形態において、ゲルは、流動性を失ったゾルであり、重力に対抗してその形状を維持し得る。
免疫原性組成物の37℃の温度条件下、回転式レオメーターによって測定される貯蔵弾性率は、例えば10Pa以上、好ましくは50Pa以上、より好ましくは100Pa以上、さらに好ましくは200Pa以上であり、また例えば2000Pa以下、好ましくは1500Pa以下、より好ましくは1000Pa以下である。
免疫原性組成物のpHは、好ましくは自己組織化ペプチドの生理的pH(7.4)における電荷が維持されるpH(結果として、ペプチドハイドロゲルが正または負に帯電するpH)に設定される。該pHは、例えば5.0〜9.0、好ましくは5.5〜8.5であり得る。
A−1.ペプチドハイドロゲル
ペプチドハイドロゲルは、正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドと水性媒体とを含み、水性媒体中で自己組織化ペプチドが自己組織化することによって形成されているゲル(自己組織化ペプチドゲル)である。ペプチドハイドロゲルは、正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドを含むことに起因して、ゲル全体として正または負に帯電し得る。
上記免疫原性組成物において、ペプチドハイドロゲルは、抗原に対する免疫反応を増強するアジュバントとして機能する。このような効果が奏される理由は定かではないが、ペプチドハイドロゲルは、投与部位において内部および/または表面に抗原を長期にわたって保持できるためと考えられる。
A−1−1.自己組織化ペプチド
本明細書において、自己組織化ペプチドとは、水溶液中においてペプチド分子同士の相互作用を介して自発的に集合してナノファイバーを形成し得るペプチドを意味する。ペプチド分子同士の相互作用は、特に限定されず、例えば、水素結合、イオン間相互作用、ファンデルワールス力等の静電的相互作用、疎水性相互作用等を含む。ナノファイバーの形成は、例えば電子顕微鏡観察によって確認することができる。
自己組織化ペプチドとしては、例えば、相対的に親水性が高い面と親水性が低い面とからなるβシート構造、好ましくは疎水性アミノ酸残基のみが配置される疎水性面と極性アミノ酸残基を含む親水性面とからなるβシート構造の形成を介して自己組織化するペプチドが用いられ得る。このような自己組織化ペプチドの具体例としては、例えば、2n位のアミノ酸残基がすべて疎水性アミノ酸残基であり、(2n−1)位のアミノ酸残基の33%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上が極性アミノ酸残基であり、2N個または(2N−1)個のアミノ酸残基からなるペプチド、または、(2n−1)位のアミノ酸残基がすべて疎水性アミノ酸残基であり、2n位のアミノ酸残基の33%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上が極性アミノ酸残基であり、2N個または(2N−1)個のアミノ酸残基からなるペプチドが挙げられる(nは、1からNまでの自然数である)。
上記のような自己組織化ペプチドは、水溶液中において、2つのβシートが疎水性面を内側にして重なった状態で伸長するように自己組織化してナノファイバーを形成することができる。該ナノファイバーは、親水性面同士の相互作用によってさらに集合し、ネットワーク構造を形成することによってゲル化し得る。なお、βシート構造の形成の確認は、例えば、円二色測定法によってモル楕円率を測定し、216nmのモル楕円率が負の値になることを確認することにより行われ得る。また、FT-IRの分析を用いて、1620cm−1付近に現れるβシートによるピークや、1690cm−1付近に現れる逆平行βシートによるピークを検出することによっても確認できる。
上記疎水性アミノ酸は、アラニン(Ala/A)、ロイシン(Leu/L)、イソロイシン(Ile/I)、バリン(Val/V)、メチオニン(Met/M)、フェニルアラニン(Phe/F)、トリプトファン(Trp/W)、グリシン(Gly/G)、プロリン(Pro/P)等の非極性アミノ酸を含む。なかでも、アラニン、ロイシン、イソロイシンおよびバリンが好ましく、アラニンおよびロイシンがより好ましく、ロイシンがさらに好ましい。
上記極性アミノ酸は、荷電性アミノ酸として、アルギニン(Arg/R)、リシン(Lys/K)、ヒスチジン(His/H)等の塩基性アミノ酸およびアスパラギン酸(Asp/D)、グルタミン酸(Glu/E)等の酸性アミノ酸を含む。チロシン(Tyr/Y)、セリン(Ser/S)、トレオニン(Thr/T)、アスパラギン(Asn/N)、グルタミン(Gln/Q)、システイン(Cys/C)等の無電荷極性アミノ酸もまた、極性アミノ酸に含まれる。
上記自己組織化ペプチドは、免疫原性組成物中において、正または負の電荷を有する。このような自己組織化ペプチドとしては、例えば、生理的pHにおいて、1分子あたり、+1〜+3または−1〜−3、好ましくは+2、+3、−2、または−3、より好ましくは+3または+2の電荷を有する自己組織化ペプチドが好ましく用いられ得る。このような自己組織化ペプチドは、ナノファイバーまたはゲルを好適に形成することができる。また、撹拌、振動、せん断力の付与等の物理的刺激によって流動性が増大し、物理的刺激の停止によって流動性が減少する、可逆的な自己組織化能を発揮し得ることから、点眼、噴霧、注射等の投与にも好適に適用することができる。また、生理的pHにおいて電荷を有さない自己組織化ペプチドによれば、免疫原性の増大効果が得られる抗原の種類が限定的となる場合があるが、電荷を有する自己組織化ペプチドによれば、多様な抗原に対して免疫原性の増大効果が得られ得る。本発明を限定するものではないが、このような効果が得られる理由は、電荷、特に正の電荷を有する自己組織化ペプチドによって形成されるゲルは細胞表面、粘膜の表面、皮下組織内等における滞留性に優れるためと推測される。
上記自己組織化ペプチドの電荷は、該ペプチド分子に含まれるアミノ酸残基の電荷の総和を意味する。生理的pHにおける該電荷は、例えば、PROTEIN CALCULATOR v3.4のウェブサイト(http://protcalc.sourceforge.net/)上で利用可能なプログラムを用いて算出され得る。
上記自己組織化ペプチドを構成するアミノ酸残基数は、例えば8〜60、好ましくは10〜40、より好ましくは10〜32、さらに好ましくは12〜32である。ぺプチドのN末端アミノ基および/またはC末端カルボキシル基は、適宜、アセチル基、アミド基等の保護基によって保護されていてもよい。
上記自己組織化ペプチドとしては、下記のアミノ酸配列(A)からなるペプチドが例示できる。当該ペプチドは、必要に応じて、そのN末端アミノ基がアセチル化されていてもよく、C末端カルボキシル基がアミド化されていてもよい。
アミノ酸配列(A):adb
(該アミノ酸配列中、a〜aは、塩基性アミノ酸残基であり;b〜bは、無電荷極性アミノ酸残基および/または疎水性アミノ酸残基であり、ただし、そのうちの少なくとも5つは、疎水性アミノ酸残基であり;cおよびcは、酸性アミノ酸残基であり;dは、疎水性アミノ酸残基または無電荷極性アミノ酸残基である。)
1つの実施形態において、上記アミノ酸配列中、b〜bはすべて、疎水性アミノ酸残基である。b〜bはそれぞれ独立して、アラニン残基、バリン残基、ロイシン残基、またはイソロイシン残基であり得、好ましくはアラニン残基またはロイシン残基であり、より好ましくはb〜bがすべてロイシン残基であるか、あるいは、5つがロイシン残基であり、1つがアラニン残基である。
1つの実施形態において、上記アミノ酸配列中、dは、アラニン残基、ロイシン残基、アスパラギン残基、セリン残基またはグルタミン残基である。
1つの実施形態において、上記アミノ酸配列中、a〜aはすべてアルギニンまたはリシンであり、好ましくはアルギニンである。
1つの実施形態において、上記アミノ酸配列中、cおよびcはすべてアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、好ましくはアスパラギン酸である。
本発明で用いられ得る自己組織化ペプチドは、上記アミノ酸配列(A)からなるペプチドに限定されない。例えば、WO2007/000979に記載のペプチドを本発明に適用することができる。
上記自己組織化ペプチドの具体例としては、例えば、配列番号1〜16に示すペプチドが挙げられる。本発明の効果が得られる範囲において、自己組織化ペプチドは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0006948410
自己組織化ペプチドの配合量は、例えば、上記免疫原性組成物における自己組織化ペプチド濃度が0.1w/v%〜5.0w/v%、好ましくは0.2w/v%〜3.0w/v%、より好ましくは0.3w/v%〜2.0w/v%、さらに好ましくは0.4w/v%〜1.5w/v%となるように設定され得る。
A−1−2.水性媒体
水性媒体としては、水、生理食塩水、緩衝食塩水、リン酸緩衝液、等張水性緩衝液、エタノール等の低級アルコールとの混合水溶液等が挙げられる。水性媒体は、必要に応じて、薬学的に許容可能な添加物をさらに含み得る。添加物は、免疫原性組成物の用途、製剤等に応じて、当業者に適切に選択され得る。添加物としては、例えば、pH調整剤、等張化剤、防腐剤、賦形剤、安定化剤、充填剤、溶解剤等が挙げられる。添加物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、ヒスチジン、リシン等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、デキストラン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グルコース、フラクトース、ラクトース、キシロース、マンノース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラフィノース等が挙げられる。
A−2.抗原
上記抗原は、免疫原性を有する物質である。抗原は、ペプチド、タンパク質(糖タンパク質、リポタンパク質を含む)、ヌクレオチド、炭水化物、脂質(糖脂質、リン脂質を含む)またはこれらの誘導体であり得、好ましくはタンパク質である。抗原は、一種を単独で、または、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記抗原の分子量(kDa)は、例えば6.0以上、好ましくは8.0以上、より好ましくは1.0×10以上である。抗原の分子量は、例えば1.0×10以下とすることができる。
上記抗原は、免疫原性組成物の用途、目的等に応じて適切に選択される。例えば、免疫原性組成物が、アレルギー疾患の治療、研究等を目的とする場合、抗原は、当該アレルギー疾患を生じさせる抗原(アレルゲン)を含む。
アレルギー疾患を生じさせる抗原としては、食餌性であってもよく、吸入性であってもよい。食餌性の抗原は、一般に、食品由来であり、具体例としては、卵アレルギーの抗原(例えば、オボアルブミン、オボムコイド、リゾチーム、オボトランスフェリン)、乳アレルギーの抗原(例えば、カゼイン、α−ラクトグロブリン、β−ラクトグロブリン)、小麦アレルギーの抗原(例えば、グルテン、グリアジン、グルテニン)、ピーナッツアレルギーのアレルゲン(例えば、Ara h1)、魚アレルギーのアレルゲン(例えば、タラ由来のGad c1)等が挙げられる。吸入性の抗原は、ダニ、ハウスダスト、植物(花粉等)、動物(毛、皮膚成分等)等に由来するものであり得、具体例としては、ダニアレルギーの抗原(例えば、Der f1、Der p1、Der f2、Der p2)、ゴキブリアレルギーの抗原(例えば、Bla g1)等が挙げられる。また、Der f1およびDer p1と同じタンパク質ファミリー(システインプロテアーゼ)に属し、類似したタンパク質構造を有することから、ダニアレルゲンのモデルタンパク質として用いられるパパインもまた、抗原として利用可能である。
また例えば、免疫原性組成物が、感染症の予防、治療等を目的とする場合、抗原は、当該感染症を生じさせる病原体に由来する抗原を含む。
上記感染症を生じさせる病原体に由来する抗原としては、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、RSウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、日本脳炎ウイルス、水痘ウイルス、アデノウイルス、狂犬病ウイルス、黄熱病ウイルス等のウイルス由来する抗原;ジフテリア菌、破傷風菌、百日咳菌、インフルエンザ菌、結核菌、肺炎球菌、ヘリコバクター・ピロリ、炭疽菌、腸チフス菌、髄膜炎菌、赤痢菌、コレラ菌等の細菌由来する抗原;カンジダ真菌、ヒストプラズマ真菌、クリプトコッカス真菌、アスペルギルス真菌等の真菌に由来する抗原が挙げられる。
1つの実施形態において、抗原は、生理的pHにおいて、正電荷を有するタンパク質を含む。生理的pHにおいて電荷を有さない自己組織化ペプチドは、生理的pHにおいて正電荷を有するタンパク質に対して免疫原性の増大効果を示さない場合があるが、電荷を有する自己組織化ペプチドは、正電荷を有するタンパク質に対しても免疫原性の増大効果を発揮し得ることから、アジュバントとしての効果がより好適に得られ得る。なお、生理的pHにおいて正電荷を有するタンパク質は、等電点が7.5以上、好ましくは8.0以上、より好ましくは8.5以上であるタンパク質であり得る。
上記免疫原性組成物における抗原の配合量は、例えば1.0×10−3mg/mL〜10.0mg/mL、好ましくは1.0×10−2mg/mL〜5.0mg/mL、より好ましくは5.0×10−2mg/mL〜1.0mg/mLとすることができる。
[B.免疫原性組成物の製造方法]
上記免疫原性組成物は、自己組織化ペプチドと水性媒体とを含むペプチド組成物と、抗原または抗原水溶液と、を混合すること、自己組織化ペプチドと、水性媒体と、抗原または抗原水溶液と、を混合すること等によって得られ得る。上述のとおり、混合直後の免疫原性組成物は流動性を有し得るが、その後、経時的にゲル化することができる。必要に応じて、混合前の各成分または混合物を滅菌してもよい。混合方法および滅菌方法としてはそれぞれ、当該技術分野において適用され得る任意の適切な方法が用いられ得る。
1つの実施形態において、上記免疫原性組成物の製造方法は、
(A−I)抗原と正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドとの組み合わせを決定する工程と、
(A−II)決定された組み合わせの抗原と自己組織化ペプチドと水性媒体とを混合する工程と、
を含む。
上記抗原と正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドとの組み合わせについては、特に制限されるものではないが、例えば、抗原がプロテアーゼ活性を有する場合には、当該プロテアーゼ活性への感受性が低い自己組織化ペプチドを選択することが好ましい。また、抗原が、生理的pHにおいて、正または負の電荷を有するタンパク質を含む場合、生理的pHにおいて、1分子あたり、好ましくは+2、+3、−2、または−3、より好ましくは+3または+2の電荷を有する自己組織化ペプチドを選択することが好ましい。
決定された組み合わせの抗原と自己組織化ペプチドと水性媒体との混合は、上記のとおり、自己組織化ペプチドと水性媒体とを含むペプチド組成物と、抗原または抗原水溶液と、を混合すること、自己組織化ペプチドと、水性媒体と、抗原または抗原水溶液と、を混合すること等によって行われ得る。
[C.免疫原性組成物の使用方法]
上記免疫原性組成物は、接種対象の個体に対して、目的とする抗原に対する免疫(獲得免疫)をつけること、目的とする抗原に対する免疫反応の低下(減感作)または無反応化(脱感作)を誘導すること等を目的として用いられ得る。免疫原性組成物の接種(投与)は、例えば、経皮、筋肉内、静脈内、腹腔内、経粘膜(経口、経鼻、舌下、点眼、経腸)等の接種法を採用することができる。
接種対象は特に限定されず、例として、ヒトおよびヒト以外の各種動物(サル、チンパンジー、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ダチョウ、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、モルモット、ウサギ等)を挙げることができる。
上記免疫原性組成物に使用される自己組織化ペプチドは、代表的には、可逆的に自己組織化(ゲル化)することができる。そのため、自己組織化ペプチドの自己組織化によって免疫原性組成物の粘性が高くなった場合であっても、せん断力を加えることによってその粘性を下げることができ、注射、点眼、噴霧等による投与を容易に行うことができる。投与された免疫原性組成物は、投与部位で再び自己組織化して、投与部位において長期にわたって抗原提示することができる。
上記免疫原性組成物は、溶媒を含まない乾燥品として製造および保存されてもよい。乾燥状態の免疫原性組成物は、水性媒体を添加および混合して水性組成物(ゾルまたはゲルであってよい)としてから使用(投与)することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例で用いられる測定方法および評価方法は以下の通りである。
<貯蔵弾性率の測定方法>
動的粘弾性測定装置である回転式レオメーター(TA instruments社製、製品名「ADVANCED RHEOMETER AR 1000」)を用いて、試料の貯蔵弾性率G’を測定した。具体的には、以下のとおりである。まず、試料に接触させるためのジオメトリー(アルミニウム製コーン、直径20mm、コーン角1°、ギャップ24μm)と試料台を一定の温度に保つための恒温槽とをレオメーターに取り付けた。次いで、温度:37℃、トルク:1μN・m、周波数:0.5rad/s〜100rad/sの測定条件下、以下の測定手順で1つの試料について3回測定し、1rad/sのときの値の平均値を貯蔵弾性率G’とした。
(1)ピペットを用いて55μLの試料をレオメーターの試料台に配置する。
(2)ジオメトリーを試料台から24μmのギャップまで移動させ、試料と接触させる。
(3)ジオメトリーをわずかに動かし、試料となじませる。
(4)ジオメトリーの動きを止めてから15秒後(この15秒の間に、試料からの溶媒の揮発を防止するためのソルベントトラップを取り付ける)に、測定を開始する。
<pHの測定方法>
pHは、ポータブルpHメーター(堀場製作所社製、製品番号「B−712」)を用いて測定した。
[ペプチド組成物の調製]
1.ペプチド組成物A:
商品名「PanaceaGel」(メニコン社製、1.5w/v%の自己組織化ペプチド(Ac−RLDLRLALRLDLR−CONH(配列番号:1))、等張化剤、pH調整剤および水を含む、高圧蒸気滅菌済ペプチド組成物、pH5.9、貯蔵弾性率515.5Pa)を、ペプチド組成物Aとして用いた。
2.ペプチド組成物B〜D:
表2に示す組成にしたがって各成分を混合および溶解し、121℃で20分間高圧蒸気滅菌して、ペプチド組成物B〜Dを得た。なお、配列番号15および16のペプチドを用いて調製したペプチド組成物BおよびCの貯蔵弾性率はそれぞれ、704.7Paおよび578.5Paであった。一方、配列番号17のペプチドを用いて調製したペプチド組成物Dの貯蔵弾性率は73.4Paであった。
Figure 0006948410
[実験例1]
雌性のHartley系モルモット(日本SLC社製)に対し、初回投与日を1日目として週4〜5回の頻度で21日目まで、表3に示す被験試料を片目あたり10μLの投与量で点眼し、前眼部の様子を観察した(N=1)。21日目の点眼後に撮影した前眼部の写真を図1に示す。
Figure 0006948410
図1に示すとおり、被験試料1を点眼した個体では連続点眼後の前眼部に特段の反応はなく、充血および流涙は見られなかった。被験試料2を点眼した個体では、点眼7日目から徐々に、点眼後にモルモットが瞬目、半閉目するようになり、日数の経過とともにこれらの反応は顕著になった。点眼21日目には点眼5分後に強膜、結膜の浮腫、充血および流涙が見られた。被験試料3を点眼した個体では点眼14日目から徐々に、点眼後にモルモットが瞬目、半閉目するようになった。但し、いずれも被験試料2を点眼した個体よりは軽度であった。点眼21日目には点眼5分後に強膜、結膜の浮腫、充血および流涙が見られるようになり、被験試料2を点眼した個体と同程度の症状が認められた。被験試料4を点眼した個体では、点眼直後に数回の瞬目が見られたものの、充血、流涙等の反応は認められなかった。
以上の所見から、ペプチド組成物Aの点眼直後の瞬目は、ゲル点眼による物理刺激によるものであり、ペプチド組成物Aは、経粘膜ワクチンにおいて使用された場合に、自身に対する抗体産生を惹起することなく、抗原に対する抗体産生を促す効果があることが推測される。
[実験例2]
1回投与群の雌性のHartley系モルモット(日本SLC社製)に対し、表3に示す被験試料を0.1mLずつ背部2箇所に皮内投与し、投与から3日後に安楽死させた(N=1)。その後、投与箇所の皮膚を採取して組織標本を作製し、炎症反応および免疫反応の有無を観察した。1回目の投与後に作製した背部の組織標本像を図2に示す。2回投与群の雌性のHartley系モルモット(日本SLC社製)に対しては、表3に示す被験試料を1日目と8日目にそれぞれ、0.1mLずつ背部2箇所に皮内投与し、2回目投与から6日後に安楽死させた(N=1)。その後、投与箇所の皮膚を採取して組織標本を作製し、炎症反応および免疫反応の有無を観察した。2回目の投与後に作製した背部の組織標本像を図3に示す。
1回目投与後の組織標本観察の結果、図2に示すとおり、被験試料1を投与した個体では、上皮に異常は見られず、また、細胞浸潤も認められなかった。被験試料2を投与した個体では、著しく表皮が肥厚し多房性水疱が見られた。また、投与部位には細胞が多数認められた。被験試料3を投与した個体では、表皮がやや肥厚しており、投与箇所周辺に被験試料3が残存し細胞が集まっている様子が観察された。被験試料4を投与した個体においても同様に、表皮の肥厚と被験試料4の残存が認められ、細胞が集積している様子が観察された。以上のことから、ペプチド組成物Aは炎症細胞を呼び寄せる働きをすると考えられた。
また、図3に示すとおり、2回投与群の被験試料1を投与した個体では、上皮に異常は見られず、ごく僅かに細胞浸潤が認められるのみであった。これに対し、被験試料2を投与した個体では、皮膚が収縮して痂疲を形成し、皮内には細胞が集積していた。被験試料3を投与した個体では、表皮が顕著に肥厚し、投与箇所周辺に多くの細胞が集積している様子が観察されたものの痂疲形成や組織の硬質化は見られなかった。被験試料2および3を投与した個体ではいずれも1回目投与群よりも多くの、抗原提示細胞および炎症細胞が集積しており、免疫反応が増強されていると考えられた。このことから、ペプチド組成物Aはフロイント完全アジュバント(FCA)と同様にアジュバント能をもつものの、痂疲形成や組織の硬質化など皮膚構造の損壊は起こさないと考えられた。なお、被験試料4を投与した個体では、表皮の肥厚は見られたものの、被験試料3を投与した個体よりも細胞の集積は少なかった。また、細胞浸潤は1回投与群と同程度であり、2回投与によって免疫反応が増強されることはなかった。このことから、ペプチド組成物Aは投与直後に一時的に炎症を引き起こすものの、それ自体に抗原性はないと考えられる。ペプチド組成物Aは投与後数日にわたって炎症を引き起こし、これにより、抗原提示細胞の集積を促して効果的に抗原の取り込みや抗体産生をさせることが示唆された。
[実験例3]
3週齢の雌性BALB/cマウス(チャールスリバー社製)を6匹ずつ4群に分け、表4に示すように感作させた。具体的には、投与0日目と7日目にそれぞれ、被験試料を50μLずつ背部2箇所に皮内投与し、14日目に各群の半数のマウスに対し、下大静脈から採血した(無処置群に対しては、皮内投与無し)。各群の残りのマウスに対しては、14日目〜27日目にかけて3〜4回/週の頻度で2mg/10μLのOVA溶液を5μLずつ両鼻に点鼻投与し、28日目(最終点鼻の24時間後)に、下大静脈から採血した。
Figure 0006948410
採取した血液はヘパリン処理を行わず、4℃で一晩保存後、4℃、1200gで20分間遠心し、上清(血清)を採取した。製品名「MouseIgG ELISA kit」(Life Diagnostics Inc.社製)を用いて、血中のIgGを測定した。なお、血清はキットに付属のDilution Bufferを用いて200,000倍に希釈した。結果を図4に示す。
図4に示されるとおり、血中IgG濃度は、投与群A−1〜3のいずれにおいても、惹起(点鼻投与)前と比べ惹起後に顕著に値が高くなる傾向が見られた。投与群A−2およびA−3では特にIgG値の上昇が大きかった。無処置群のIgG濃度は低く、惹起後にも濃度の上昇は認められなかった。
また、マウスを観察したところ、投与1週後には投与群A−2およびA−3のマウスは背部皮内が盛り上がり、痂疲が形成された。一方、投与群A−1および無処置群のマウスでは異常は認められなかった。点鼻投与に関しては、投与4日目頃から全ての群で半閉目やふるえ、掻鼻、床敷を荒らす行動等が見られた。これらの症状は投与4〜5分後から始まり、15〜30分程度、間欠的に認められた。投与が続くとその頻度は上がる傾向が見られたものの、群間で顕著な差は認められなかった。
[実験例4]
5週齢の雌性BALB/cマウス(チャールスリバー社製)を2匹ずつ各投与群に群分けし、3匹を無処置群とした。投与0日目、7日目および14日目に、表5に記載の被験試料を対応する群のマウスに100μL皮内投与した。3回目の投与の7日後(投与21日目)に、各マウス(無処置群を含む)の下大静脈から採血を行った。採取した血液は、25℃で30分間インキュベートした後4℃で一晩保存して血餅を凝集させ、1000〜1200×gで20分間、4℃で遠心分離し上清を採取した。採取した血清の血中IgG値をIgG ELISAキットを用いて測定した。なお、血清はキットに付属のDilution Bufferを用いて200,000倍希釈した。結果を図5A〜5Dに示す。また、採血後に、3回目の被験試料の投与部位を含む背部皮膚を採取し、組織標本を作成した。組織標本像を図6A〜6Cに示す。
なお、上記被験試料の調製方法は次のようにして調製した。すなわち、水に抗原タンパク質を溶解して抗原溶液を調製し、該抗原溶液と、1.5w/v%のペプチド組成物(表1に記載のペプチド組成物A〜D)またはPuraMatrix(TM)(コーニングジャパン社製、Ac−RADARADARADARADA−CONH(配列番号:18)を1.0w/v%含む自己組織化ペプチド組成物)と、を自己組織化ペプチド濃度が0.75w/v%、抗原タンパク質濃度が0.25mg/mL(=0.025w/v%)となるように混合することによって調製した。また、上記抗原溶液と生理食塩水とを抗原タンパク質濃度が0.25mg/mLとなるように混合したものを対照試料として用いた。
Figure 0006948410
図5A〜5Dに示されるとおり、配列番号1、15、および16の自己組織化ペプチドゲルは、いずれの抗原タンパク質と併用された場合であっても、その免疫原性を増大させた。これに対し、配列番号18の自己組織化ペプチドを含むPuramatrix(TM)は、アルブミンとカゼイン(いずれも、生理的pHで負電荷を有するタンパク質である)に対しては、免疫原性の増大作用を示したが、リゾチームとパパイン(いずれも、生理的pHで正電荷を有するタンパク質である)に対しては、免疫原性の増大作用を示さなかった。なお、図中で示していないが、配列番号17の自己組織化ペプチドを含む流動体を投与した群(OVA/SPG204)の血中IgG値は、OVA/saline群と同程度であり、免疫原性の増大作用は確認されなかった。
また、図6A〜6Cに示されるとおり、配列番号1または15の自己組織化ペプチドゲルを含む被験試料を投与したマウスの皮内では、投与から7日後においても皮下に被験試料が残留している様子が観察された。一方、生理食塩水を用いた被験試料またはPuraMatrix(TM)を用いた被験試料を投与したマウスの皮内では、微量の被験試料の残留が認められるか、あるいは、被験試料の残留が認められなかった。
本発明は、医薬品の製造分野で好適に利用され得る。

Claims (10)

  1. 正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドと水性媒体とを含むペプチドハイドロゲルと、抗原と、を含み、該自己組織化ペプチドと該抗原とが共有結合していない、免疫原性組成物であって、
    該自己組織化ペプチドが、下記のアミノ酸配列(A)からなるペプチドである、免疫原性組成物。
    アミノ酸配列(A):a db
    (該アミノ酸配列中、a 〜a は、塩基性アミノ酸残基であり;b 〜b は、無電荷極性アミノ酸残基および/または疎水性アミノ酸残基であり、ただし、そのうちの少なくとも5個は、疎水性アミノ酸残基であり;c およびc は、酸性アミノ酸残基であり;dは、疎水性アミノ酸残基または無電荷極性アミノ酸残基である。)
  2. 正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドと水性媒体とを含むペプチドハイドロゲルと、抗原と、を含み、該自己組織化ペプチドと該抗原とが共有結合していない、免疫原性組成物であって、
    該自己組織化ペプチドが、配列番号1〜16で示されるペプチドから選択される、免疫原性組成物。
  3. 正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドと水性媒体とを含むペプチドハイドロゲルと、抗原と、を含み、該自己組織化ペプチドと該抗原とが共有結合していない、免疫原性組成物であって、
    該自己組織化ペプチドが、配列番号1、15および16で示されるペプチドから選択される、免疫原性組成物。
  4. 正または負の電荷を有する自己組織化ペプチドと水性媒体とを含むペプチドハイドロゲルと、抗原と、を含み、該自己組織化ペプチドと該抗原とが共有結合していない、免疫原性組成物であって、
    該自己組織化ペプチドが、配列番号1で示されるペプチドを含む、免疫原性組成物。
  5. 前記自己組織化ペプチドを0.3w/v%〜2.0w/v%の濃度で含む、請求項1から4のいずれかに記載の免疫原性組成物。
  6. 前記抗原の分子量が、6.0kDa〜1.0×10kDaである、請求項1からのいずれかに記載の免疫原性組成物。
  7. 前記抗原が、生理的pHにおいて、正電荷を有するタンパク質を含む、請求項1からのいずれかに記載の免疫原性組成物。
  8. 前記抗原が、食品、ダニ、ハウスダスト、植物または動物由来の抗原を含む、請求項1からのいずれかに記載の免疫原性組成物。
  9. 前記抗原が、ダニアレルギーの抗原、卵アレルギーの抗原または花粉を含む、請求項1からのいずれかに記載の免疫原性組成物。
  10. 前記抗原が、卵白アルブミン、カゼイン、リゾチームおよびパパインから選択される少なくとも1種を含む、請求項1からのいずれかに記載の免疫原性組成物。
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