ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)X線検査装置の構成:
(2)X線検査処理:
(3)他の実施形態:
(1)X線検査装置の構成:
図1は本発明の一実施形態にかかるX線検査装置の概略ブロック図である。X線検査装置は、X線撮像機構部10と制御部20とを備えている。X線撮像機構部10は、X線発生器11とX線検出器12とを備えている。X線撮像機構部10は、検査対象部を含む検査対象品WとX線発生器11とX線検出器12とが所定の相対位置関係となった状態において、X線発生器11から検査対象品Wに向けてX線を照射させる。
X線発生器11は、X線を出力するX線出力部11aを備えており、所定の強度でX線を検査対象品Wに照射することができる。X線検出器12は、X線の強度を検出する検出面12aを備えており、検査対象品Wを透過したX線の透過量を反映したX線画像を撮影することができる。すなわち、X線検出器12は、検出面12aの各位置におけるX線の透過量の画像を示すX線画像データ26bを生成する。
検査対象品Wはメッキ充填されたスルーホールを備える基板または部品を接続するはんだバンプ(以下、「バンプ」と呼ぶ)からなる検査対象部を備えた基板であり、検査対象品Wは図示しない搬送機構によって所定の平面に沿って搬送される。すなわち、未検査の検査対象品Wが所定の平面に沿って搬入され、X線の照射範囲に配置され、検査された後に再度搬送機構によって搬出される。本実施形態においては、X線発生器11とX線検出器12と検査対象品Wとの相対位置関係を変化させる図示しない位置決め機構が備えられている。すなわち、位置決め機構は、X線発生器11によるX線の照射範囲内で検査対象品Wを所定の平面(X−Y平面と呼ぶ)に沿って2次元的に移動させることが可能であるとともに、検査対象部とX線出力部11aと検出面12aとの少なくとも2個の位置を移動させる移動機構を備えており、再構成演算を実施するためのX線画像を取得できるように検査対象部とX線出力部11aと検出面12aとの相対位置関係を調整可能である。
図2Aは、X線が検査対象品Wに含まれる検査対象部Waに照射される様子を示す模式図であり、同図においては、横方向がX−Y平面に平行な方向であり、上下方向がX−Y平面に垂直なZ方向である。同図2Aにおいては、検査対象部Waとその周囲に存在するX線発生器11のX線出力部11aおよびX線検出器12の検出面12aを模式的に示している。検査対象部Waは、検査対象品Wとしての基板に形成された円柱状のスルーホールを銅メッキ等で充填することによって形成された電気伝導体であり、円柱状の外形である。
本実施形態において、位置決め機構は、検査対象部WaとX線出力部11aと検出面12aの相対的な位置関係が回転軸Aに対して回転するように変動させる。すなわち、本実施形態においては、検査対象部WaとX線出力部11aと検出面12aとの少なくとも2個が移動可能に構成されており、位置決め機構は、X線出力部11aと検出面12aとが回転軸Aに対して実質的に回転方向R、R'のように回転するように位置を変更させることができる。例えば、図2Aに示すように、X線出力部11aと検出面12aとの双方が互いに逆方向に回転移動されても良いし、X線出力部11aが固定され、その出力範囲において検出面12aと検査対象品Wが同方向に回転されても良い。
各部の相対位置関係がどのように変動するとしても、X線出力部11aは、所定の立体角の範囲にX線を出力可能であり、検査対象部Waを通るX線の光軸は回転軸Aに対して所定角度だけ傾斜している。そして、円柱状の検査対象部Waはその軸がZ方向に平行に配向され、この状態でX線画像が撮影されることによって検査対象部Waに対する検査が行われる。すなわち、本実施形態において、X線発生器11は、所定方向であるZ軸方向に対して傾斜した角度でX線を検査対象部Waに対して照射するように構成されている。さらに、X線の出力方向がZ軸方向に傾斜した状態で、A軸周りの回転角が異なる複数の撮影位置で撮影が行われる。図2Aに示す実線と破線は、回転角が180°異なる2カ所の撮影位置を模式的に示している。
次に、制御部20について説明する。制御部20は、発生器制御部21と検出器制御部22と位置決め機構制御部23と入力部24と出力部25とメモリ26とCPU27とを備えている。メモリ26はデータを記憶可能な記憶媒体であり、プログラムデータ26aとX線画像データ26bとが記憶される。CPU27は、プログラムデータ26aを読み出して実行することにより、後述する各種処理のための演算を実行する。なお、メモリ26はデータを記憶することができればよく、RAMやEEPROM,HDD等種々の記憶媒体を採用可能である。
位置決め機構制御部23は、検査対象部Waが図2Aに示す撮影位置となるように、検査対象品WとX線発生器11とX線検出器12の位置を調整する。発生器制御部21は、X線発生器11を制御し、X線発生器11から検査対象品Wに対してX線を照射させる。検出器制御部22は、X線検出器12が検出したX線の強度、すなわち透過量の画像を示すX線画像データ26bを取得する。X線画像データ26bは、複数の画素の階調値によって構成される画像データであり、各画素の階調値はX線検出器12が検出したX線の強度を示す。検出器制御部22は、X線検出器12からX線画像データ26bを取得し、メモリ26に記憶する。出力部25は、検査対象品Wの検査結果等を表示するディスプレイである。入力部24は、利用者の入力を受け付ける操作入力機器である。
CPU27は、検査対象品Wに含まれる検査対象部Waの端部位置を取得するために、プログラムデータ26aに基づいて、X線画像取得部27aと、再構成演算部27bと、エッジ領域取得部27cと、エッジ量取得部27dと、端部位置取得部27eと、の各機能を実行する。本実施形態のX線検査装置は、検査対象部Waの端部位置に基づいて、ボイドの有無を検査する検査範囲やボイドの位置等を特定し、検査対象部Waの良否判定を実行する。
X線画像取得部27aは、Z軸方向に対して傾斜した角度でX線を検査対象部Waに照射して撮影した複数のX線画像を取得する機能をCPU27に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、CPU27は、X線画像取得部27aの処理により、発生器制御部21,検出器制御部22,位置決め機構制御部23に対して所定の指示を出力し、再構成演算を実行するためのX線画像データ26bを取得する処理を実行する。
再構成演算部27bは、複数のX線画像に基づいて再構成演算を実行する処理をCPU27に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、CPU27は、再構成演算部27bの処理により、X線画像データ26bに基づいて再構成演算を実行する。この結果、X,Y,Z軸で構成される3次元空間内で検査対象部Waについての再構成情報が取得された状態、すなわち、検査対象部Waについて3次元空間内の座標毎にX線の吸収量に対応した値が取得された状態となる。以後、特定の平面内での再構成情報を、当該平面で再構成情報を切断した断面の断面画像と呼ぶ。このように生成された再構成情報は、検査対象部WaのX線の吸収量に応じた階調値を3次元空間内の座標毎に示しているため、当該階調値に基づいて検査対象部Waの3次元構造を解析することができる。
エッジ領域取得部27cは、検査対象部Waを解析する解析方向に垂直な平面で検査対象部Waを切断した断面画像である第1断面画像を取得し、当該第1断面画像に基づいて検査対象部Waのエッジが存在する領域であるエッジ領域を取得する処理をCPU27に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、CPU27は、エッジ領域取得部27cの処理により、断面画像に示された再構成情報の断面に基づいて、当該断面画像における検査対象部Waのエッジ領域を取得する。ここでいう解析方向とは、以下のように説明される。すなわち、本実施形態のX線検査装置では、所定方向に沿って検査対象部Waを解析することによって検査対象部Waの所定方向における端部位置を取得するところ、この所定方向が解析方向に相当する。本実施形態の説明では、解析方向は、Z軸方向である。本実施形態では、所定方向および解析方向は同じZ軸方向である。エッジ領域の詳細は、次に説明する。
図2Bの紙面左側に示された画像は、再構成情報に基づいてZ軸方向に平行な平面で検査対象部Waを切断した断面のX線画像Izである。X線画像Izの左側に示された紙面上側向きの矢印は、X線画像Iz上のZ軸方向を示している。また、図2Bの右側に示された画像のうち上段の画像は、再構成情報に基づいてZ軸方向に垂直な平面で検査対象部Waを切断した断面の断面画像Ixyである。なお、断面画像Ixyの切断位置は、図2Bに示すZ方向の位置SCである。断面画像Ixyには、説明の便宜上、検査対象部Waのエッジの位置を示す破線が示されている。
図2Bの右側に示された画像のうち下段の画像は、断面画像Ixyに基づいて取得されるエッジ領域EGRの位置を模式的に示した画像Iegである。画像Iegに示された破線は、断面画像Ixyと同様、検査対象部Waの本来のエッジの位置を示す破線である。本実施形態では、エッジ領域は、検査対象部Waのエッジより外側を通る外側曲線(後述する画像
Iexの境界IEに相当)および検査対象部Waのエッジより内側を通る内側曲線(後述する画像Icoの境界ICに相当)によって画定される。そして、当該外側曲線および当該内側曲線は、断面画像を2値化画像に変換し、当該2値化画像から抽出された検査対象部Waのエッジを基準として取得される。断面画像から2値化画像への変換では、検査対象部Waが写っている部分が白の画素に変換されるとともに、それ以外の部分が黒の画素に変換される。より詳細には、断面画像から2値化画像への変換では、閾値を定めて、閾値以上の画素値(CT値)を有する画素を1(白)に置き換え、閾値未満のCT値を有する画素を0(黒)に置き換える処理を行っている。
図2Bの右側に示された画像のうち中段の左側の画像は、2値化画像から抽出された検査対象部Waに対して収縮処理を施した状態を模式的に示した画像Icoである。図2Bの右側に示された画像のうち中段の右側の画像は、2値化画像から抽出された検査対象部Waに対して膨張処理を施した状態を模式的に示した画像Iexである。ここで、収縮処理とは、注目画素を順次移動させながら、注目画素の隣接画素に1画素でも黒の画素があれば注目画素を黒の画素に置き換える処理をいう。また、膨張処理とは、注目画素を順次移動させながら、注目画素の隣接画素に1画素でも白の画素があれば注目画素を白の画素に置き換える処理をいう。画像Icoおよび画像Iexに示された破線は、断面画像Ixyと同様、検査対象部Waの本来のエッジの位置を示す破線である。画像Icoおよび画像Iexのうち黒白の境界IC、IEは、それぞれ収縮処理および膨張処理を施した場合の検査対象部Waのエッジの位置を示している。画像Icoでは、収縮処理によって断面画像Ixyに示された元のエッジの位置(破線)より内側に検査対象部Waのエッジが存在している。一方、画像Iexでは、膨張処理によって断面画像Ixyに示された元のエッジの位置(破線)より外側に検査対象部Waのエッジが存在している。そして、画像Iexと画像Icoとの差分をとることによって、画像Iegに示されたエッジ領域EGRが取得される。ここでいう差分をとるとは、画像Iexと画像Icoとを重ね合わせたとき、同じ位置にある画素同士が黒と黒の場合には、その位置にある画素を黒とし、同じ位置にある画素同士が白と白の場合には、その位置のある画素を黒とし、同じ位置にある画素同士が白と黒の場合には、その位置にある画素を白とすることをいう。このように、エッジ領域EGRを画定する外側曲線および内側曲線は、2値化画像から抽出された検査対象部Waのエッジを基準として取得される。また、本実施形態では、エッジ領域EGRは、画像Iegに示されるように、環状の領域である。
エッジ量取得部27dは、再構成情報に基づいて、第1断面画像の切断位置よりも解析方向において検査対象部Waの端部に近い切断位置で解析方向に垂直な平面で検査対象部Waを切断した第2断面画像を取得し、第2断面画像とエッジ領域EGRが重なる領域内のエッジ量を取得する処理をCPU27に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、CPU27は、エッジ量取得部27dの処理により、第2断面画像のうち第1断面画像に基づいて取得されたエッジ領域EGRと重なる領域内のエッジ量を取得する。換言すれば、CPU27は、ある1枚の断面画像を対象としてエッジ量を取得する場合、当該対象の断面画像よりも解析方向において検査対象部Waの中央の位置(図2Bに位置CSとして図示)に近い位置の断面画像に基づいて取得されたエッジ領域EGRと当該対象の断面画像とが重なる領域内のエッジ量を取得するということである。図2Bを用いて説明すると、第1断面画像の切断位置が位置SCである場合、位置SCよりも解析方向(Z軸方向)において検査対象部Waの端部に近い切断位置(紙面方向上側の位置)で第2断面画像を取得し、第1断面画像に基づいて取得されたエッジ領域EGRと第2断面画像とが重なる領域内のエッジ量を取得するということである。第1断面画像の切断位置が検査対象部WaのZ軸方向上の中央の位置(位置CS)より紙面方向下側の位置である場合には、検査対象部Waの端部に近い切断位置は、紙面方向下側の位置となる。ここでいうエッジ量とは、新しく得られた断面画像(ここでは第2断面画像)に対して所定範囲内(ここでは第1断面画像に基づいて取得されたエッジ領域EGR内)に存在する画素毎の濃淡変化の強さを表す指標であり、値が大きいほど鮮鋭性が高い。また、第2断面画像とエッジ領域EGRが重なる領域とは、第1断面画像内のエッジ領域EGRを第2断面画像に向けて解析方向に移動させた場合に第2断面画像と重なる領域のことである。
CPU27は、エッジ領域取得部27cおよびエッジ量取得部27dとして機能することにより、第1断面画像および第2断面画像の切断位置を検査対象部Waの端部に向けて変化させて、エッジ領域EGRの取得およびエッジ量の取得を繰り返す。本実施形態では、CPU27は、第1断面画像に基づいて取得されたエッジ領域を用いて第2断面画像のエッジ量を取得したのち、エッジ量が取得された第2断面画像を新たな第1断面画像としてエッジ領域を取得し、当該エッジ領域を用いて新たな第2断面画像のエッジ量を取得するという処理を繰り返す。第1断面画像の切断位置と第2断面画像の切断位置との距離である切断間隔は任意に設定することができる。本実施形態では、再構成情報で取得された検査対象部WaのうちZ軸方向の中央から解析方向の一方の方向および他方の方向に向けて(後述する図3Aの白抜き矢印にて方向を図示)、CPU27によるエッジ領域EGRの取得およびエッジ量の取得が繰り返される。このような方向性でエッジ領域EGRの取得およびエッジ量の取得を繰り返すのは、検査対象部Waの形状が、Z軸方向の中央から解析方向であるZ軸方向に緩やかに変化するからである。すなわち、はんだ等の検査対象部Waは、スルーホールのような円柱状やバンプのような球状であり、Z軸方向の中央に対して対称の形状となることが多い。例えば、検査対象部Waが円柱状であれば、図3Aに示すようにZ軸方向の中央において径が最も細くZ軸方向の端部に向かって徐々に径が太くなる形状になりやすい。図4に示す検査対象部Wbのように検査対象部が球状であれば、Z軸方向の中央において径が最も太くZ軸方向の端部に向かって徐々に径が細くなる。従って、Z軸方向の中央から両端に向けて処理を行えば、第1断面画像内で特定されたエッジ領域EGRを、Z軸方向の切断位置が異なる第2断面画像内での解析に利用することが可能になる。解析開始の位置となる検査対象部WaのZ軸方向の中央の位置は、端部位置が特定されている他の検査対象部Waを測定した複数の結果から予め設定されている。他の実施形態では、検査対象部WaのZ軸方向の中央の位置は、検査対象部Waの設計データに基づいて特定されてもよい。なお、解析開始の位置は、検査対象部Waの端部周辺において、解析方向に沿って検査対象部Waの内側から外側に向けて解析が進行する限り、検査対象部WaのZ軸方向の中央に限られない。また、本実施形態において、検査対象部Waの各断面におけるエッジ量の取得のうちZ軸方向の中央の断面における断面画像のエッジ量を取得する場合には、CPU27は、当該断面画像と、当該断面画像に基づいて取得されたエッジ領域EGRと、が重なる領域内のエッジ量を取得する。図3A(詳細は後述)を用いて説明すると、位置CSから紙面上部および下部に向けてCPU27によるエッジ領域EGRの取得およびエッジ量の取得が繰り返されるとともに、位置CSでの断面における検査対象部Waのエッジ量を取得する場合には、CPU27は、位置CSでの断面画像と、当該断面画像に基づいて取得されたエッジ領域EGRと、が重なる領域内のエッジ量を取得するということである。
端部位置取得部27eは、エッジ領域EGRの取得およびエッジ量の取得を繰り返して取得されたエッジ量の解析方向への変化に基づいて検査対象部Waの解析方向の端部位置を取得する処理をCPU27に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、CPU27は、端部位置取得部27eの処理により、解析方向に沿った複数の位置において取得された断面画像におけるエッジ量が急変するZ軸方向の位置を特定し、当該位置に基づいて検査対象部WaのZ方向の端部位置を取得する。
図3Aを用いて、本実施形態のX線検査装置による検査対象部Waの端部位置の取得について説明する。図3Aに示された画像Izaは、図2BのX線画像Izと同様に、再構成情報に基づいてZ軸方向に平行な平面で検査対象部Waを切断した断面のX線画像であるが、画像Izaでは、図2BのX線画像Izと異なり、検査対象部Waの紙面上側および下側に配置された基板上の配線パターンがハッチングで示されている。このような場合に、本実施形態のX線検査装置では、検査対象部Waである円柱状の電気伝導体の端部位置を以下のように取得する。すなわち、CPU27は、エッジ領域取得部27cおよびエッジ量取得部27dの処理により、位置CSからZ軸方向の一方の方向および他方の方向に向けて、CPU27によるエッジ領域EGRの取得およびエッジ量の取得を繰り返して検査対象部Waの解析方向に沿ったエッジ量の変化を取得する。画像Izaにおいて、矩形で囲まれた領域は、各断面においてエッジ量が算出されるエッジ領域EGRの位置を模式的に示している。なお、矩形で囲まれた領域の各々の実際のZ軸方向の長さは図示されている長さよりも短いが、ここでは、理解を容易にするために、実際よりも長く図示されている。
ここで、位置SC2の断面画像におけるエッジ量の取得について説明する。図3Bには、解析方向に沿った検査対象部Waのエッジ量の変化を表すグラフが示されている。図3Cには、当該エッジ量の解析方向についての微分値を表すグラフが示されている。検査対象部Waが存在する位置SC1が第1断面画像の切断位置であるとともに配線パターンが存在する位置SC2が第2断面画像の切断位置である場合、位置SC2での断面における断面画像では、位置SC1での断面における断面画像に基づいて取得されたエッジ領域EGRが重なる領域内のエッジ量が取得される。しかし、配線パターンは、図3Aに図示されているように、検査対象部Waと比べて解析方向に垂直な方向に長い形状であることから、画像Izaの位置SC2において矩形で囲まれた領域には、エッジが存在しない。したがって、位置SC2での断面における断面画像と、位置SC1での断面における断面画像に基づいて取得されたエッジ領域EGRとが重なる領域内にエッジは存在しない。よって、図3Bに示されるように、位置SC1から位置SC2にかけてエッジ量は急激に減少する。CPU27は、端部位置取得部27eの機能により、エッジ量の解析方向についての微分値のピーク位置に基づいて、検査対象部Waの端部位置を取得する。エッジ量の解析方向についての微分値のピーク位置は、図3Cに示されているように、位置SC1であることから、位置SC1が検査対象部Waの解析方向の一方側の端部位置と特定される。ただし、Z軸方向に垂直な各断面画像の切断間隔(図3Aの位置SC1と位置SC2との間隔)が広い場合には、エッジ量の変化に応じて端部位置を端部側に既定のピッチ分の距離だけ移動させる補正を行ってもよい。なお、図3A〜図3Cでは、検査対象部Waの周囲に配線パターンが存在する例について説明したが、検査対象部Waの周囲に配線パターンが存在しなくとも、解析方向において検査対象部Waの端部より外側の構造が、検査対象部Waの端部におけるエッジ量と比べてエッジ量を急激に減少させるような構造である限り、本実施形態のX線検査装置によって、検査対象部Waの端部位置は特定される。したがって、本実施形態のX線検査装置では、検査対象部Waの周囲に配線パターンがある場合に限らず、配線パターンが無い場合においても、検査対象部Waの検査位置となる端部位置を正確に取得することができる。
図4は、検査対象部Waとは異なる球状の検査対象部Wbについて説明するための説明図である。検査対象部Wbは、プリント回路基板PCBの表面に形成された配線パターンに含まれるパッドPD1とパッケージPKの表面に形成された配線パターンに含まれるパッドPD2とを接続するよう形成されたバンプBMであり、略球形状の外形である。なお、検査対象部Wbには、バンプBMと、パッドPD1、PD2と、の境界が含まれ、バンプBMにおいてパッドPD1、PD2に対向する対向面SB1、SB2とパッドPD1、PD2においてバンプBMに対向する対向面SP1、SP2とのうち、対向面SP1、SP2を解析方向(Z軸方向)に投影した領域R1、R2の内側に対向面SB1、SB2が含まれる。このような構造は、上述した解析方向において検査対象部Waの端部より外側の構造が、検査対象部の端部におけるエッジ量と比べてエッジ量を急激に減少させるような構造の1例にあたる。図4において、位置0は、解析開始の位置となる検査対象部WbのZ軸方向の中央の位置を示す位置番号である。位置36、48および位置―38、−62は検査対象部WbのうちZ軸方向における中央の位置から外側に向けて、予め設定された切断間隔ごとに取得される断面画像の位置番号である。位置番号は、中央の位置を0として、中央の位置に近い位置の断面画像から順に絶対値の小さい整数が割り振られる。すなわち、図4を用いて説明すると、紙面上方向側に向けては、1、2、3…が位置番号として順に割り振られ、紙面下方向側に向けては、−1、−2、−3が位置番号として順に割り振られる。
次に、図4の球状の電気伝導体である検査対象部Wb(バンプ)に本実施形態のX線検査装置を用いて検査した場合について説明する。図5Aは、本実施形態のX線検査装置を用いて検査対象部Wbを検査した結果を示したグラフである。図5Aには、検査対象部Wbの解析方向(Z軸方向)の位置毎のエッジ量とエッジ量の微分値とが示されている。図5Aに示されているように、微分値のピーク位置は、Z軸方向の位置−38、36であって、これらの位置は、図4に図示された位置−38、36に対応する。これらの位置は、バンプBMの端部が存在する位置である。
図5Bには、位置−38で解析方向(Z軸方向)に垂直な平面で検査対象部Wbを切断した断面画像が示されている。図5Cには、位置36で解析方向(Z軸方向)に垂直な平面で検査対象部Wbを切断した断面画像が示されている。図5Bおよび図5Cの断面画像は、バンプBMの端部が存在する位置付近での断面画像である。このように、周囲に配線パターンが存在する検査対象部Wbが検査の対象である場合、本実施形態のX線検査装置は、比較例のX線検査装置と比べて、検査対象部Wbの端部位置を精度良く特定することができる。
以上説明した構成によれば、解析方向に沿って検査対象部の外縁周辺のエッジ量が取得される。そして、検査対象部の端部に配線パターンがある場合に、当該エッジ量が急変する解析方向の位置を特定し、当該位置に基づいて検査対象部の解析方向の端部位置を取得することができる。
(2)端部位置取得処理:
次に、図6Aに示すフローチャートに基づいて、本実施形態のX線検査装置が実行する端部位置取得処理を説明する。端部位置取得処理は、例えば、図3Aに示す検査対象部Waの解析方向(Z軸方向)における端部を取得するための処理である。端部位置取得処理が実行される前に、CPU27は、X線画像取得部27aおよび再構成演算部27bとして機能することによって、検査対象となる検査対象部Waを撮影した複数のX線画像を取得したのち再構成演算を行って検査対象部Waについての再構成情報を取得する。端部位置取得処理のステップS110〜ステップS160において、Z軸方向における検査対象部の中央の位置の断面画像と、当該断面画像に基づいて取得されたエッジ領域と、が重なる領域内のエッジ量が取得される。また、端部位置取得処理のステップS170(図6Bに示すステップS171〜ステップS177)において、再構成情報で取得された検査対象部WaのうちZ軸方向の中央から端部に向けて、CPU27によるエッジ領域の取得およびエッジ量の取得が繰り返される。
端部位置取得処理が開始されると、CPU27は、エッジ領域取得部27cとして機能することによって、再構成情報によって取得された検査対象部Waに基づき、Z軸方向における検査対象部Waの中央の位置の断面画像を取得する(ステップS110)。ここで、Z軸方向における検査対象部Waの中央の位置は、端部位置が特定されている他の検査対象部Waを測定した複数の結果から予め設定されている。
次に、CPU27は、エッジ領域取得部27cとして機能することによって、Z軸方向における検査対象部Waの中央の位置の断面画像を2値化画像に変換する(ステップS120)。次に、CPU27は、エッジ領域取得部27cとして機能することによって、2値化画像から検査対象部Waを抽出するとともに、当該検査対象部Waのエッジに対して膨張処理および収縮処理を行う(ステップS130およびステップS140)。そして、CPU27は、エッジ領域取得部27cとして機能することによって、膨張処理を施した画像と収縮処理を施した画像との差分をとることによって、図2Bの画像Iegに示されたようなエッジ領域EGRを取得する(ステップS150)。
次に、CPU27は、エッジ量取得部27dとして機能することによって、Z軸方向における検査対象部の中央の位置の断面画像と、当該断面画像に基づいて取得されたエッジ領域と、が重なる領域内のエッジ量を取得する(ステップS160)。端部位置取得処理が開始されてからステップS160までの処理によって、Z軸方向における検査対象部の中央の位置の断面画像におけるエッジ量が取得される。次に、CPU27は、エッジ領域取得部27cおよびエッジ量取得部27dとして繰り返し機能することによって、Z軸方向の中央から端部に向けての各位置の断面における断面画像のエッジ量を取得する(ステップS170)。
図6Bに示すフローチャートに基づいて、ステップS170の詳細について説明する。ステップS170におけるエッジ量の取得には、以下に説明するステップS171〜S177が含まれる。なお、ステップS171〜S177の処理によって、Z軸方向の中央から一方の方向の各断面の断面画像におけるエッジ量の取得と、Z軸方向の中央から他方の方向の各断面の断面画像におけるエッジ量の取得と、が実行される。以下では、Z軸方向の中央から一方の方向の各断面の断面画像におけるエッジ量の取得を例にして説明する。
Z軸方向における検査対象部Waの中央の位置の断面画像におけるエッジ量が取得されたのち(ステップS160)、CPU27は、Z軸方向の中央から端部側に向けて、予め設定された切断間隔ごとに断面画像を取得するとともに、当該断面画像の各々に対する位置番号の割り振りを行う(ステップS161)。具体的には、CPU27は、再構成情報によって取得された検査対象部WaのうちZ軸方向における中央の位置から一方の方向に向けて、予め設定された切断間隔ごとに断面画像を取得するとともに、当該断面画像の各々に対して位置番号の割り振りを行う。図3Aを用いて説明すると、Z軸方向の中央にあたる位置CSから位置SC2側に向けて、予め設定された切断間隔ごとに断面画像を取得するとともに、当該断面画像の各々に対する位置番号の割り振りを行うということである。なお、再構成情報によって定義される検査対象部Waには、実際の検査対象部Waに加えて検査対象部Waから外側方向に広がるアーチファクトが含まれることから、断面画像は、位置SC2より外側の位置まで取得される。そして、当該断面画像の各々には、中央の位置を0として中央に近い位置から順に絶対値の小さい整数が位置番号として割り振られる。
次に、CPU27は、エッジ量取得部27dとして機能することによって、エッジ量が取得されていない断面画像のうち検査対象部Waの中央からの距離が最も短い位置番号(以降、最短位置番号と呼ぶ)の断面画像のエッジ量を取得する(ステップS172)。ここで、ステップS160の処理を終えて最初にステップS172が実行される際には、ステップS150において取得されたエッジ領域、すなわち、Z軸方向における検査対象部Waの中央の位置の断面画像に基づいて取得されたエッジ領域と、最短位置番号の断面画像とが重なる領域内のエッジ量が取得される。
次に、CPU27は、エッジ領域取得部27cとして機能することによって、エッジ量が取得された断面画像を2値化画像に変換する(ステップS173)。次に、CPU27は、エッジ領域取得部27cとして機能することによって、2値化画像から検査対象部Waを抽出するとともに、当該検査対象部Waのエッジに対して膨張処理および収縮処理を行う(ステップS174およびステップS175)。そして、CPU27は、エッジ領域取得部27cとして機能することによって、膨張処理を施した画像と収縮処理を施した画像との差分をとることによってエッジ領域を取得するとともに、次回のエッジ量算出に用いるエッジ領域の範囲を更新する(ステップS176)。
次に、CPU27は、最後に実行されたステップS172においてエッジ量が取得された断面画像の位置番号は、ステップS171において断面画像に割り振られた位置番号のうち最後の番号であったか否か判定する(ステップS177)。最後の番号でなかったと判定した場合(ステップS177:NO)、CPU27は、再びステップS172を実行する。ここで、ステップS177の否定判定を経てステップS172が実行される際には、ステップS176において取得および更新されたエッジ領域、すなわち、最後にエッジ量が取得された断面画像に基づいて取得されたエッジ領域が次回のエッジ量の取得に用いられる。したがって、ステップS177の否定判定を経たステップS172では、エッジ量が取得されていない断面画像のうち最短位置番号の断面画像と当該エッジ領域が重なる領域のエッジ量が取得される。本実施形態において、このようにエッジ量を取得する理由は、以下のように説明される。すなわち、バンプやスルーホールにおいて解析方向に垂直な方向側の外縁(エッジ位置)は、解析方向に沿って徐々に変化するため、隣接する断面に基づくエッジ領域を用いても各断面におけるエッジ量を検出できる、一方、電気伝導体と配線パターンとの境界(図3Aに示す位置SC1や図4に示す位置36および位置−38)では、一方の外縁(エッジ位置)が他方と比べて大きく異なる。このため、隣接する一方の断面に基づくエッジ領域を用いて、他方の断面におけるエッジ量を計算すれば、当該エッジ領域に他方の外縁が含まれない可能性が高いことから、一方の断面におけるエッジ量に比べて大きく減少した値が、他方の断面におけるエッジ量として検出される可能性が高いということである。
上述したように、ステップS172からステップS177までの処理が繰り返されることによって、ステップS171において番号が割り振られた断面画像の各々に対してエッジ量が取得される。そして、ステップS172からステップS177までの処理が繰り返されたのち、最後に実行されたステップS172においてエッジ量が取得された断面画像の位置番号が、断面画像に割り振られた位置番号のうち最後の番号であったと判定された場合(ステップS177:YES)、CPU27は、ステップS180を実行する。なお、本実施形態においては、Z軸方向の中央から一方の方向の各断面の断面画像におけるエッジ量の取得と、Z軸方向の中央から他方の方向の各断面の断面画像におけるエッジ量の取得と、のために、ステップS171〜S177の処理がそれぞれ実行される。
図5Aの説明に戻り、ステップS177において肯定判定が得られた場合、CPU27は、端部位置取得部27eとして機能することによって、エッジ量の解析方向についての微分値のピーク位置を取得する(ステップS180)。次に、CPU27は、端部位置取得部27eとして機能することによって、当該ピーク位置に基づいて、検査対象部Waの端部位置を取得する(ステップS190)。その後、CPU27は、端部位置取得処理を終了する。
(3)他の実施形態:
上述の実施形態では、CPU27は、第1断面画像に基づいて取得されたエッジ領域を用いて第2断面画像のエッジ量を取得したのち、エッジ量が取得された第2断面画像を新たな第1断面画像としてエッジ領域を取得し、当該エッジ領域を用いて新たな第2断面画像のエッジ量を取得するという処理を繰り返していたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、CPU27は、第1断面画像に基づいて取得されたエッジ領域を用いて第2断面画像のエッジ量を取得したのち、エッジ量が取得された第2断面画像から検査対象部の端部側に離れた位置において新たに第1断面画像を取得し、当該第1断面画像に基づいて取得されたエッジ領域を用いて新たな第2断面画像のエッジ量を取得してもよい。すなわち、切断した全ての断面画像のエッジ量を順に取得する必要はなく、解析方向に対するエッジ量の変化が少ない範囲は間隔を開けて取得してもよい。
上述の実施形態では、CPU27は、膨張処理を施した画像と収縮処理を施した画像との差分をとることによってエッジ領域を取得していたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、CPU27は、再構成情報に基づいて解析方向に垂直な平面で検査対象部を切断した断面の断面画像を用いて、以下のように、エッジ領域を取得してもよい。例えば、2値化画像から検査対象部のエッジを抽出し、当該エッジを太線化して太線上に含まれる領域をエッジ領域として取得してもよい。また、2値化画像から検査対象部のエッジを抽出し、当該エッジに外接する閉曲線(例えば円)内側の領域から当該エッジに内接する閉曲線(例えば円)内側の領域を差し引いた環状領域をエッジ領域として取得してもよい。
また、CPU27は、再構成情報に基づいて解析方向に垂直な平面で検査対象部を切断した断面の断面画像を用いて、以下のように、エッジ領域を取得してもよい。例えば、断面画像を構成する各画素にエッジ抽出フィルタを適用して、閾値以上の画素が接続した領域をエッジとして取得し、当該エッジを太線化して太線上に含まれる領域をエッジ領域として取得してもよい。また、断面画像から検査対象部のエッジを抽出し、当該エッジに外接する閉曲線(例えば円)内側の領域をエッジ領域として取得してもよいし、当該エッジに外接する閉曲線(例えば円)内側の領域から当該エッジに内接する閉曲線(例えば円)内側の領域を差し引いた環状領域をエッジ領域として取得してもよい。つまり、各断面画像のエッジを最初に求め、求めたエッジを中心として画像処理によりエッジ領域を形成し、両エッジ領域の重なりからエッジ量を求め、当該エッジ量の解析方向への変化に基づいて検査対象部の端部位置を取得するX線検査装置、X線検査方法およびX線検査プログラムに関しては本願発明に含まれるものとする。
上述の実施形態では、CPU27は、エッジ量の解析方向についての微分値のピーク位置に基づいて、検査対象部の端部位置を取得していたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、CPU27は、検査対象部のエッジ量について閾値を設定し、エッジ量が当該閾値となる位置を、検査対象部の端部位置として取得してもよい。
上述の実施形態では、パッドPD1、PD2に対向する対向面SB1、SB2と、バンプBMに対向する対向面SP1、SP2とのうち、対向面SP1、SP2を解析方向(Z軸方向)に投影した領域R1、R2の内側に対向面SB1、SB2が含まれる検査対象部Wbが検査対象とされていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、対向面SB1、SB2を解析方向(Z軸方向)に投影した領域の内側に対向面SP1、SP2が含まれる検査対象部が検査対象とされてもよい。
エッジ領域取得部は、再構成情報に基づいて、検査対象部を解析する解析方向に垂直な平面で検査対象部を切断した第1断面画像を取得し、第1断面画像に基づいて検査対象部のエッジが存在する領域であるエッジ領域を取得することができればよい。すなわち、エッジ領域取得部は、検査対象部のエッジ領域を取得することができる第1断面画像を再構成情報から取得することができればよい。
エッジ量取得部は、再構成情報に基づいて、第1断面画像の切断位置よりも解析方向において検査対象部の端部に近い切断位置で解析方向に垂直な平面で検査対象部を切断した第2断面画像を取得し、第2断面画像とエッジ領域が重なる領域内のエッジ量を取得することができればよい。すなわち、エッジ量取得部は、再構成情報に基づいて解析方向の任意の位置についての断面の第2断面画像を取得し、第1断面画像に基づいて取得されたエッジ領域と第2断面画像とが重なる領域内のエッジ量を取得することができれば良い。そして、エッジ量の解析方向への変化に基づいて検査対象部の解析方向における端部を特定できるようにするため、エッジ量取得部においては、任意の断面のエッジ量を取得できる構成において、少なくとも、検査対象部の端部付近の複数の位置(検査対象部の解析方向の端部を含むとともに解析方向に沿って並ぶ複数の位置)における断面のエッジ量を取得することができれば良い。なお、エッジ量は、公知の各種のフィルタ(例えば、Sobelフィルタ,Prewittフィルタ,Robertsフィルタ,Laplacianフィルタ等)で取得することができる。むろん、エッジ量の抽出に際しては、一旦、ぼかし処理を行ってノイズやアーチファクトの影響を低減するなどの前処理を行ってもよい。
端部位置取得部は、エッジ量の解析方向への変化に基づいて検査対象部の解析方向の端部位置を取得することができればよい。すなわち、検査対象部の像の解析方向への変化の中でエッジ量の変化に着目すれば、検査対象部の解析方向の端部(または端部付近)でエッジ量が急激に変化するため、当該急激な変化が発生する位置に基づいて検査対象部の端部位置を取得することができればよい。
エッジ量の解析方向への変化に基づいて検査対象部の解析方向の端部位置を取得するための構成としては、種々の構成を採用可能である。例えば、エッジ量の解析方向についての微分値のピーク位置を取得し、ピーク位置自体を検査対象部の解析方向の端部位置として取得しても良いが、ピーク位置を補正した位置を検査対象部の解析方向の端部位置として取得しても良い。
後者としては、端部位置取得部が、ピーク位置から検査対象部の解析方向にオフセットした位置を端部位置として取得する構成を採用しても良い。すなわち、アーチファクトは、検査対象部の端部から解析方向に広がるように発生するため、検査対象部の解析方向の端部から検査対象部の外部に向けて解析方向に沿ってエッジ量が急激に変化するものの、当該変化は解析方向の端部よりもわずかに外側で発生することが多い。そこで、ピーク位置から検査対象部の方向(検査対象部の内側に向けた方向)にオフセットをすれば、ピーク位置に基づいて、検査対象部の解析方向の端部位置を正確に特定することができる。
ピーク位置からのオフセット量は、種々の手法によって特定することが可能である。例えば、統計等によって予め特定された固定量であっても良いし、各種の要素によって変動する量であっても良い。後者としては、例えば、X線の照射範囲内での検査対象部の位置やX線の所定方向に対する傾斜角、検査対象部に対するX線の照射角、検査対象部の解析方向の端部から解析方向に広がるアーチファクトの範囲(所定方向の長さ)等に基づいて変動させることが可能である
さらに、本発明のように、エッジ量の解析方向への変化に基づいて検査対象部の解析方向の端部の位置を取得する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。