JP6945829B2 - ヒドロシランの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はヒドロシランの製造方法に関し、より詳しくは第3族元素又は第4族元素を中心金属とする錯体等を用いたヒドロシランの製造方法に関する。
ヒドロシランは、有機ケイ素化合物の有用な合成前駆体であり、アルケンやアルキンのヒドロシリル化や芳香族化合物との脱水素カップリング反応などにより、様々な有機ケイ素化合物へと変換することが可能である。ヒドロシランの合成法の1つにアルコキシシランのヒドリド還元反応が知られており、一般的には水素化アルミニウムリチウムや水素化ジイソブチルアルミニウムのようなアルミニウムヒドリドが用いられている(非特許文献1、非特許文献2参照。)。しかしながら、これらのアルミニウムヒドリドはその高い反応性のために、湿気等で分解しやすく、官能基許容性が低い上に、反応後のアルミニウム塩の処理が煩雑となることがある。一方、遷移金属を用いた反応として、ジルコニウムヒドリド錯体CpZrH(Cp=cyclopentadienyl)やセリウムヒドリド錯体Cp”CeH(Cp”=1,3,4−tert−butylcyclopentadienyl)を用いた量論的なヒドリド還元反応が知られている(非特許文献3、非特許文献4参照。)。
H.Westermark. Acta.Chem.Scand, 1954, 89, 1830. L.H.Sinner, J.MuLick, C.M.Golino, J.Am.Chem.Soc.,1972,94,669. P.Perrotin, I.El-Zoghbi, P.O.Oguadima, and F.Schaper, Organometalliccs, 2009, 28, 4912. E.L.Werkema, A.Yahia, L.Maron, O.Eisenstein, and R.A.Andersen,Organometallics, 2010, 29, 5103.
本発明は、穏和な条件下でヒドロシランを効率良く製造することができるヒドロシランの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、イットリウム原子等を中心金属とする特定の錯体の存在下でアルコキシシランをヒドロボラン又は水素と反応させることにより、ヒドロシランが効率よく生成することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> イットリウム原子(Y)、ジルコニウム原子(Zr)、及びハフニウム原子(Hf)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を中心金属とする錯体の存在下、下記式(a)で表される構造を有するアルコキシシランと、ヒドロボラン及び/又は水素とを反応させて下記式(c)で表される構造を有するヒドロシランを生成する反応工程を含むことを特徴とするヒドロシランの製造方法。
Figure 0006945829

(式(a)中、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。)
<2> 前記錯体が、下記式(L)で表されるイオンを配位子として有する錯体である、<1>に記載のヒドロシランの製造方法。
Figure 0006945829

(式(L)中、Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、又は炭素原子数1〜10のトリアルキルシリル基を、iは0〜5の整数を表す。但し、iが2以上で、Rとして2以上の炭化水素基を有する場合、Rの2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
本発明によれば、穏和な条件下でヒドロシランを効率良く製造することができる。
本発明の詳細を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
<ヒドロシランの製造方法>
本発明の一態様であるヒドロシランの製造方法は、「イットリウム原子(Y)、ジルコニウム原子(Zr)、及びハフニウム原子(Hf)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を中心金属とする錯体」の存在下、「下記式(a)で表される構造を有するアルコキシシラン」と、「ヒドロボラン」及び/又は「水素」とを反応させて「下記式(c)で表される構造を有するヒドロシラン」を生成する反応工程(以下、「反応工程」と略す場合がある。)を含むことを特徴とする。
Figure 0006945829

(式(a)中、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。)
本発明者らは、「イットリウム原子(Y)、ジルコニウム原子(Zr)、及びハフニウム原子(Hf)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を中心金属とする錯体」の存在下で、「式(a)で表される構造を有するアルコキシシラン」を「ヒドロボラン」又は「水素」と反応させることにより、ヒドロシランが効率よく生成することを見出したのである。
なお、「ヒドロボラン」とは、ホウ素−水素結合(B−H)を少なくとも1つ有する化合物を意味するものとする。
また、「水素」とは、水素分子(H)を意味するものとする。
また、式(a)及び(c)中の波線は、その先の構造が任意であることを意味する。従って、「下記式(a)で表される構造を有するアルコキシシラン」は、−ORを2以上有するものであってもよく、また「反応工程」は、2以上の−ORを全て置換する反応であっても、−ORの一部を置換する反応であってもよいものとする(下記式参照)。
Figure 0006945829

以下、「反応工程」について詳細に説明する。
反応工程は、イットリウム原子(Y)、ジルコニウム原子(Zr)、及びハフニウム原子(Hf)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を中心金属とする錯体の存在下、式(a)で表される構造を有するアルコキシシランと、ヒドロボラン及び/又は水素とを反応させて式(c)で表される構造を有するヒドロシランを生成する工程であるが、反応工程において使用する「式(a)で表される構造を有するアルコキシシラン」の具体的種類は、特に限定されず、製造目的である「式(c)で表される構造を有するヒドロシラン」に応じて適宜選択されるべきである。以下、「式(a)で表される構造を有するアルコキシシラン」、「ヒドロボラン」、「水素」、及び「イットリウム原子(Y)、ジルコニウム原子(Zr)、及びハフニウム原子(Hf)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を中心金属とする錯体」等について具体例を挙げて説明する。
Figure 0006945829

式(a)中のRは、「炭素原子数1〜20の炭化水素基」を表しているが、「炭化水素基」は、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよく、飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよいものとする。
Rが炭化水素基である場合の炭化水素基の炭素原子数としては、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下であり、Rが芳香族炭化水素基である場合の炭素原子数は、通常6以上である。
Rとしては、メチル基(−CH,−Me)、エチル基(−C,−Et)、n−プロピル基(−,−Pr)、ベンジル基(−CH,−Bn)、i−プロピル基(−,−Pr)、n−ブチル基(−,−Bu)、t−ブチル基(−,−Bu)、n−ペンチル基(−11)、n−ヘキシル基(−13,−Hex)、シクロヘキシル基(−11,−Cy)、フェニル基(−C,−Ph)等が挙げられる。
式(a)で表される構造を有するアルコキシシランとしては、下記式(A−1)〜(A−4)の何れかで表されるアルコキシシランが挙げられる。以下、式(A−1)〜(A−4)の何れかで表されるアルコキシシランについて詳細に説明する。
Figure 0006945829

(式(A−1)〜(A−4)中、Rはそれぞれ独立して炭素原子数1〜20の炭化水素基を、R’はそれぞれ独立して水素原子、又はハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。)
式(A−1)〜(A−4)中のR’は、それぞれ独立して「水素原子」、又は「ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基」を表しているが、「炭化水素基」は、Rの場合と同義である。また、「ハロゲン原子を含んでいてもよい」とは、「炭化水素基」の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよいことを意味する。
R’に含まれる官能基としては、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、ヨード基(−I)等が挙げられる。
R’が炭化水素基である場合の炭化水素基の炭素原子数としては、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下であり、R’が芳香族炭化水素基である場合の炭素原子数は、通常6以上である。
R’としては、水素原子、メチル基(−CH,−Me)、エチル基(−C,−Et)、n−プロピル基(−,−Pr)、i−プロピル基(−,−Pr)、n−ブチル基(−,−Bu)、t−ブチル基(−,−Bu)、n−ペンチル基(−11)、n−ヘキシル基(−13,−Hex)、n−オクチル基(−nC17,−Oct)、シクロヘキシル基(−11,−Cy)、フェニル基(−C,−Ph)等が挙げられる。
式(A−1)〜(A−4)の何れかで表されるアルコキシシランとしては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 0006945829
反応工程で使用するヒドロボランは、ホウ素−水素結合(B−H)を少なくとも1つ有する化合物であれば、具体的種類は特に限定されないが、下記式(B−1)〜(B−4)の何れかで表されるヒドロボランが挙げられる。以下、式(B−1)〜(B−4)の何れかで表されるヒドロボランについて詳細に説明する。
Figure 0006945829

(式(B−1)〜(B−4)中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。但し、2つのRが連結して環状構造を形成していてもよく、2つのRが連結して環状構造を形成していてもよい。)
式(B−1)〜(B−4)中のR〜Rは、それぞれ独立して「炭素原子数1〜20の炭化水素基」を表しているが、「炭化水素基」は、Rの場合と同義である。
〜Rの炭化水素基の炭素原子数としては、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下であり、R〜Rが芳香族炭化水素基である場合の炭素原子数は、通常6以上である。
〜Rとしては、メチル基(−CH,−Me)、エチル基(−C,−Et)、n−プロピル基(−,−Pr)、i−プロピル基(−,−Pr)、n−ブチル基(−,−Bu)、t−ブチル基(−,−Bu)、n−ペンチル基(−11)、n−ヘキシル基(−13,−
ex)、n−オクチル基(−nC17,−Oct)、シクロヘキシル基(−11,−Cy)、フェニル基(−C,−Ph)等が挙げられる。
式(B−1)〜(B−4)の何れかで表されるヒドロボランとしては、ピナコールボラン(HBpin 4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolane)、カテコールボラン(HBcat 1,3,2−benzodioxaborole)、9−BBN(9−borabicyclo[3.3.1]nonane)、HBtmd(4,4,6−timethyl−1,3,2−dioxaborinane)等が挙げられる(下記参照)。
Figure 0006945829
反応工程におけるヒドロボランの使用量(仕込量)は、式(a)で表される構造を有するアルコキシシランに対して物質量換算で、通常0.3倍以上、好ましくは0.5倍以上、より好ましくは1.0倍以上であり、通常5倍以下、好ましくは2倍以下、より好ましくは1.2倍以下である。上記範囲内であると、より効率良くヒドロシランを製造することができる。
反応工程で使用する水素は、通常、系中の気相に水素ガスとして投入して使用される。反応工程における水素分圧は、通常0.2atm以上、好ましくは0.5atm以上、より好ましくは1atm以上であり、通常20atm以下、好ましくは10atm以下、より好ましくは5atm以下である。上記範囲内であると、ヒドロシランをより収率良く製造することができる。
反応工程で使用するイットリウム原子(Y)、ジルコニウム原子(Zr)、及びハフニウム原子(Hf)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を中心金属とする錯体(以下、「錯体」と略す場合がある。)の具体的種類等は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
イットリウム原子(Y)の酸化数は、通常+3である。
ジルコニウム原子(Zr)の酸化数は、通常+4である。
ハフニウム原子(Hf)の酸化数は、通常+4である。
配位子若しくは対イオン、又はこれらになり得る化合物としては、下記式(L)で表されるイオン、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、(トリメチルシリル)メチルアニオン(−CHSiMe)、ベンジルアニオン(−CHPh)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(EtO)等が挙げられる。以下、式(L)で表されるイオンについて詳細に説明する。
Figure 0006945829

(式(L)中、Rはそれぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、又は炭素原子数1〜10のトリアルキルシリル基を、iは0〜5の整数を表す。但し、iが2以上で、Rとして2以上の炭化水素基を有する場合、Rの2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。)
式(L)中のRは、それぞれ独立して「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基」、又は「炭素原子数1〜10のトリアルキルシリル基」を表しているが、「炭化水素基」は、Rの場合と同義である。また、「ヘテロ原子を含んでいてもよい」とは、炭化水素基の水素原子がヘテロ原子、即ち、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等を含む1価の官能基で置換されていてもよいほか、炭化水素基の炭素骨格内部の炭素原子が窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等を含む2価以上の官能基(連結基)で置換されていてもよいことを意味する。また、「トリアルキルシリル基」の「アルキル」は、「アリール」を含むものとする。
が炭化水素基である場合の炭化水素基の炭素原子数としては、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下であり、Rが芳香族炭化水素基である場合の炭素原子数は、通常6以上である。
に含まれる官能基や連結基としては、エーテル基(オキサ基,−O−)、チオエーテル基(チア基,−S−)、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、ヨード基(−I)等が挙げられる。
としては、メチル基(−CH,−Me)、エチル基(−C,−Et)、n−プロピル基(−,−Pr)、i−プロピル基(−,−Pr)、n−ブチル基(−,−Bu)、t−ブチル基(−,−Bu)、n−ペンチル基(−11)、n−ヘキシル基(−13,−Hex)、n−オクチル基(−nC17,−Oct)、シクロヘキシル基(−11,−Cy)、フェニル基(−C,−Ph)、トリメチルシリル基(−SiMe)等が挙げられる。
なお、「iが2以上で、Rとして2以上の炭化水素基を有する場合、Rの2以上の炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい」が、環状構造を形成しているものとしては、下記式で表されるようなインデニルアニオン、オクタヒドロフルオレニルアニオン、フルオレニルアニオンが挙げられる。
Figure 0006945829

式(L)で表されるイオンとしては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 0006945829

なお、反応工程において、錯体を反応器に直接投入するほか、イットリウム原子(Y)、ジルコニウム原子(Zr)、又はハフニウム原子(Hf)を含む前駆体と配位子若しくは対イオンとなり得る化合物を添加剤として投入して、反応器内で目的の錯体を形成させてもよい。
錯体としては、下記式で表されるもの、Y(CHSiMe(THF)、Zr(CHPh)、Hf(CHPh)等が挙げられる。上記のものであると、より効率良くヒドロシランを製造することができる。
Figure 0006945829
反応工程における錯体の使用量(仕込量)は、式(a)で表される構造を有するアルコキシシランに対して物質量換算で、通常0.005倍以上、好ましくは0.01倍以上であり、より好ましくは0.05倍以上である。通常1.0倍以下、好ましくは0.5倍以下、より好ましくは0.2倍以下である。上記範囲内であると、より効率良くヒドロシランを製造することができる。
反応工程は、前述のもの以外の化合物を添加してもよく、例えば、トリス(ペンタフロロフェニル)ボラン(B(C)とメチルマグネシウムブロマイド(MeMgBr)、トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート([PhC][B(C])とメチルマグネシウムブロマイド(MeMgBr)、またはジメチルフェニルアンモニウムペンタフルオロボラート([MePhNH][B(C])とメチルマグネシウムブロマイド(MeMgBr)等を添加することが挙げられる。なお、トリス(ペンタフロロフェニル)ボラン(B(C)とメチルマグネシウムブロマイド(MeMgBr)等は助触媒の役割を果たすものと考えられる。
反応工程における、トリス(ペンタフロロフェニル)ボラン等の使用量(仕込量)は、式(a)で表される構造を有するアルコキシシランに対して物質量換算で、通常0.005倍以上、好ましくは0.01倍以上であり、より好ましくは0.05倍以上である。通常1.0倍以下、好ましくは0.5倍以下、より好ましくは0.2倍以下である。上記範囲内であると、より効率良くヒドロシランを製造することができる。
反応工程における、メチルマグネシウムブロマイドの使用量(仕込量)は、式(a)で
表される構造を有するアルコキシシランに対して物質量換算で、通常0.01倍以上、好ましくは0.02倍以上であり、より好ましくは0.1倍以上である。通常2.0倍以下、好ましくは1.0倍以下、より好ましくは0.4倍以下である。上記範囲内であると、より効率良くヒドロシランを製造することができる。
反応工程は、溶媒を使用することが好ましい。また、溶媒の種類は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的にはヘキサン、ベンゼン、トルエン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
反応工程の反応温度は、通常25℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下である。
反応工程の反応時間は、通常2時間以上、好ましくは4時間以上、より好ましくは8時間以上であり、通常40時間以下、好ましくは35時間以下、より好ましくは30時間以下である。
上記範囲内であると、より効率良くヒドロシランを製造することができる。
反応工程によって生成する式(c)で表される構造を有するヒドロシランの具体的種類は、特に限定されず、製造目的に応じて適宜選択することができるが、下記式(C−1)〜(C−10)の何れかで表されるヒドロシランが挙げられる。
Figure 0006945829

(式(C−1)〜(C−10)中、Rはそれぞれ独立して炭素原子数1〜20の炭化水素基を、R’はそれぞれ独立して水素原子、又はハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。)
なお、R、R’は、式(A−1)〜(A−4)の何れかで表されるアルコキシシランの場合と同様である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
下記式で表されるCp’YH(Cp’=1,2,3,4−tetramethyl−5−trimethylsilylcyclopentyl)(1.4mg,2.5μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(4.2mg,25μmol)及びピナコールボラン(HBpin,13.2mg,25μmol)を加えて、100℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、24時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが57%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
<実施例2>
Cp’YH(2.7mg,5.0μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、PhSi(OMe)(18.7mg,125μmol)及びピナコールボラン(HBpin,48.0mg,375μmol)を加えて、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、12時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、PhSiHが8%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
<実施例3>
Cp’YH(2.2mg,4.1μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、Si(OEt)(26.0mg,125μmol)及びピナコールボラン(HBpin,
64.0mg,500μmol)を加えて、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、12時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、HSi(OEt)が12%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
<実施例4>
Cp’YH(2.7mg,5.0μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(20.8mg,125μmol)及びカテコールボラン(HBcat,16.0mg,125μmol)を加えて、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、20時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが5%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829

<実施例5>
Y(1.4mg,5.0μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(8.3mg,50μmol)及びピナコールボラン(HBpin,6.4mg,50μmol)を加えて、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、12時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが5%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829

<実施例6>
Cp’Y(CHSiMe(thf)(2.4mg,5.0μmol)の重ベン
ゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(8.3mg,50μmol)及びピナコールボラン(HBpin,6.4mg,50μmol)を加えて、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、20時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが1%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
<実施例7>
Y(CHSiMe(thf)(2.4mg,5.0μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(4.2mg,25μmol)及びピナコールボラン(HBpin,3.2mg,25μmol)を加えて、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、12時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが0.3%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
<実施例8>
CpZrHCl(2.2mg,5.0μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(8.3mg,50μmol)及びピナコールボラン(HBpin,6.4mg,50μmol)を順に加えて、100℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、24時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが34%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
<実施例9>
Cp’YH(2.7mg,5.0μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(4.1mg,25μmol)を加えた。反応溶液の凍結脱気を行っ
た後、1atmの水素ガスを吹き込み、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、12時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが17%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
<実施例10>
Y(CHSiMe(thf)(2.4mg,5.0μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(4.1mg,25μmol)を加えた。反応溶液の凍結脱気を行った後、1atmの水素ガスを吹き込み、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、12時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが41%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
<実施例11>
Zr(CHPh)(2.3mg,5.0μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(4.1mg,25μmol)を加えた。反応溶液の凍結脱気を行った後、1atmの水素ガスを吹き込み、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、12時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが20%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
<実施例12>
Hf(CHPh)(2.7mg,5.0μmol)の重ベンゼン溶液(0.5mL)に、MePhSiOMe(4.1mg,25μmol)を加えた。反応溶液の凍結脱気を行った後、1atmの水素ガスを吹き込み、80℃にて加熱した。反応をHNMRにより追跡し、12時間で終了したことを確認した。HNMRを測定することにより、MePhSiHが37%収率で生成したことを確認した。
Figure 0006945829
本発明の製造方法によって製造されたヒドロシランは、有機無機ハイブリット素材や機能性有機分子等の製造に利用することができる。

Claims (2)

  1. イットリウム原子(Y)、ジルコニウム原子(Zr)、及びハフニウム原子(Hf)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を中心金属とする錯体の存在下、下記式(a)で表される構造を有するアルコキシシランと、ヒドロボラン及び/又は水素とを反応させて下記式(c)で表される構造を有するヒドロシランを生成する反応工程を含み、
    前記錯体が、式(L)で表されるイオン、(トリメチルシリル)メチルアニオン(−CHSiMe)、又はベンジルアニオン(−CHPh)を有し、
    前記錯体の使用量が前記式(a)で表される構造を有するアルコキシシランに対して物質量換算で、0.005倍以上、0.2倍以下であることを特徴とするヒドロシランの製造方法。
    Figure 0006945829
    (式(a)中、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。)
    Figure 0006945829
    (式(L)中、Rはそれぞれ独立して炭素原子数1〜8の炭化水素基、又は炭素原子数1〜10のトリアルキルシリル基を、iは0〜5の整数を表す。)
  2. 前記錯体が、下記式で表されるもの、Y(CHSiMe(THF)、Zr(CHPh)、及びHf(CHPh)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のヒドロシランの製造方法。
    Figure 0006945829
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