JP6945333B2 - 軸型トルク変換器 - Google Patents

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本発明は、自動車部品の検査設備、発電機またはモータ等のトルク測定に用いる軸型トルク変換器に関する。
従来から、自動車部品の検査設備、発電機またはモータのトルク測定に用いる軸型トルク変換器は知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の軸型トルク変換器の構成は、ひずみゲージからの電気信号を処理して検出信号として赤外線通信で送信する検出回路と、筐体に固定した基板上に設けられて検出回路からの検出信号を受信して外部に出力する出力回路と、を備えている。
特開2014−098718号公報
特許文献1に記載されたような軸型トルク変換器を用いてトルク測定を行う際、回転軸を例えば25,000rpmという非常に高速で回転させる場合がある。この場合、回転軸と回転軸固定部(ステータ)とが互いに軸受(ベアリング)でしっかりと固定され、かつ、回転軸で検出される常に変動するトルク信号を間断なく、すなわち常時継続的にかつ正確に回転軸固定部に伝達するための非接触の信号伝達構造が必要である。
これに伴って、軸型トルク変換器の場合、トルク検出用のひずみゲージおよびこのひずみゲージから得られたわずかな出力信号を増幅して回転固定部に常時伝達するための様々な電子部品や電気部品を回転軸付近に配置することが必要である。
発電機またはモータのトルクを測定する際には、トルクが短い時間で急激に変化するので、出力信号の伝達がわずかな時間でも途切れると、この部分の出力信号を固定側で得ることができなくなり、この欠落した出力信号を予測演算することは極めて困難になる。伝達できなかった出力信号の一部についてこの出力信号を推定したのでは実際のトルク特性値と合致しなくなる。
また、特許文献1に記載の軸型トルク変換器では、回転軸に設けられた円板状の基板に上述の電子部品や電気部品が配置されているが、上述のような高速回転で回転する回転軸に設けられたひずみゲージからの出力信号を常時継続的に回転固定部に伝達する構成については何ら言及されていない。
本発明の目的は、高速回転する回転軸に作用するトルクを間断なく、すなわち常時継続的にかつ正確に測定可能な軸型トルク変換器を提供することにある。
本発明は、トルク検出部を備えた軸型トルク変換器であって、
前記トルク検出部は、
回転軸に作用するトルクを検出するトルク検出素子と、
前記トルク検出素子から得られたトルク値を光信号として出力する光源と、
前記光源からの出力光の方向を決定する光学素子と、
前記光学素子により方向が決定された光を受光する受光部と、
を備えている。
前記光源および前記光学素子は、前記回転軸の内部の空洞に配置され、
前記光学素子は、前記光源からの出力光を平行光とする回折光学素子と、前記回折光学素子からの平行光を反射する円錐形ミラーと、を備え、
前記円錐形ミラーにより反射された反射光は、前記回転軸に設けられたスリットを透過することにより、リング光として径方向外側に照射される、
ことが好ましい。
前記回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体となって回転する支持板をさらに備え、
前記支持板には、前記光源を制御するための回転側制御回路の構成要素が配置されている、
ことが好ましい。
本発明の軸型トルク変換器の部分断面図である。 本発明の軸型トルク変換器の軸方向断面において光照射を示す図である。 本発明の軸型トルク変換器の径方向断面において光照射を示す図である。 本発明の軸型トルク変換器のスリットの一例を示す図である。 本発明の軸型トルク変換器の斜視図である。 本発明の軸型トルク変換器の回路図である。
図1は、本発明の軸型トルク変換器の部分断面図であり、図2は、本発明の軸型トルク変換器の軸方向断面において光照射を示す図であり、図3は、本発明の軸型トルク変換器の径方向断面において光照射を示す図であり、図4は、本発明の軸型トルク変換器のスリットの一例を示す図であり、図5は、本発明の軸型トルク変換器の斜視図である。
なお、図1において、各構成要素の電気的な接続関係に関しては図示を省略している。
軸型トルク変換器1は、回転軸100と、軸支持部200と、トルク検出部300と、支持板400と、ハウジング500と、電磁コイル600と、回路基板700と、を備え、回転軸100に作用するトルクを出力信号に変換する。
以下の説明において、回転側とは、回転軸100、トルク検出部300および支持板400などの回転する部分を総称して言い、固定側とは、軸支持部200、ハウジング500および回路基板700などの固定された部分を総称して言う。
回転軸100には、測定対象物である自動車部品の検査設備、発電機またはモータ等を作動させた際にトルクが作用する。回転軸100は、軸方向に分割され、第1の回転軸部110(図1の右側)と第2の回転軸部120(図1の左側)とからなる。
第1の回転軸部110は、第2の回転軸部120側の一端に、後述する円錐形ミラー340が設けられている。
第2の回転軸部120は、第1の回転軸部110側の内部に空洞が設けられ、円筒形に構成されている。第2の回転軸部120には、光を透過させるためのスリット121Sが設けられている。
図4(a)に示すように、スリット121Sには、全周に透明部材Tが設けられていてもよいし、図4(b)に示すように、スリット121Sには、一部に透明部材T1、T2、・・・が設けられていてもよいし、図4(c)に示すように、スリット121Sが、複数の開口A1、A2、A3、A4、・・・から構成され、各開口A1、A2、A3、A4、・・・がランニングボンドのように配置されていてもよい。
また、第2の回転軸部120には、一部に第2の回転軸部120よりも小径の外径寸法を有するトルク検出軸部122が形成され、トルク検出軸部122に、後述するトルク検出素子310が取り付けられている。
なお、第1の回転軸部110の縁部113Eは、第2の回転軸部120の縁部123Eに接続され、第1の回転軸部110および第2の回転軸部120は、一体として構成されている。以下、第1の回転軸部110および第2の回転軸部120の両方を意味する場合には、単に回転軸100として説明する。
回転軸100は、例えば金属でできている。
軸支持部200は、軸受210を備えており、回転軸100を回転可能に支持する。
トルク検出部300は、回転軸100に作用するトルクを検出するトルク検出素子310と、トルク検出素子310から得られたトルク値を光信号αとして出力する光源320と、光源320からの出力光の方向を決定する光学素子と、光学素子により方向が決定された光を受光する受光部350と、を備えている。
トルク検出素子310は、第2の回転軸部120に形成されたトルク検出軸部122の周方向に配置されている。トルク検出素子310は、ひずみゲージで構成されたホイートストンブリッジ回路であって、ここでは詳細な構成については図示しないが、ひずみゲージは、例えばポリイミド樹脂等でできた可撓性を有するシートと、このシートの上に幅の狭い銅箔パターンを互いに間隔を狭めて九十九(つづら)折り状に複数折り返して形成したひずみゲージ素子と、ひずみゲージ素子の両端から各素子の延在方向と同一方向に伸びたパターン延在部と、各パターン延在部とそれぞれ繋がって形成された矩形状のハンダタブと、を有している。
光源320は、第2の回転軸部120の内部の空洞の径方向中心に配置されている。光源320は、少なくとも1つのLEDまたはレーザー等の発光素子からなる。光源320は、トルク検出素子310の出力に応じて光信号αを出力する。
光学素子は、光源320からの出力光を平行光とする回折光学素子330(回析格子、コリメートレンズ等)と、回折光学素子330からの平行光を反射する円錐形ミラー340と、を備えている。回折光学素子330は、第2の回転軸部120の内部の空洞に配置されている。円錐形ミラー340は、第1の回転軸部110の一端に設けられ、第2の回転軸部120の内部の空洞に配置されている。円錐形ミラー340により反射された反射光は、スリット121Sを透過することにより、周方向に均一な照度のリング光として径方向外側に照射される。リング光は、スリット121Sに対向して設けられた固定側の受光部350によって受光される。すなわち、回折光学素子330と円錐形ミラー340とを備えている光学素子は、光源320からの光信号αを受光部350に非接触で伝達する。
受光部350は、固定側にある回路基板700に取り付けられている。受光部350は、フォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光素子からなる。受光部350は、光源320からの光信号αを受光し電気信号に変換する。
支持板400は、所定の厚さおよび直径を有し、円盤状に形成されたいわゆるPCBと呼ばれる印刷回路基板からなる。支持板400は、第1の回転軸部110に取り付けられ、第1の回転軸部110と一体となって回転する。
支持板400には、後述する回転側制御回路450の大部分の構成要素(抵抗、キャパシタ等)が均等に配置されていることが好ましい。図示例では、説明の簡略化のために回転側制御回路450が支持板400の一部に配置されているが、実際は、回転側制御回路450の構成要素は、回転軸100の中心軸線回りにバランスよく均等に、すなわち支持板400の全体に配置されていることが好ましい。これにより、回転軸100が高速回転した際に、支持板400にブレが生じなくなるため好ましい。 あるいは、支持板400に、ダミーの錘のようなものを配置し、この錘と回転側制御回路450の構成要素との重力バランスをとることもできる。この場合、回転側制御回路450の構成要素を均等に配置しなくてもよい。
また、支持板400には、図示しない回路パターンが形成され、回転側制御回路450と光源320とが電気的に接続されている。
ハウジング500は、その両側部501a、501bにおいて、軸支持部200と組み合わさって密閉空間を形成し、外部に存在する外乱光が内部、特に受光部350に入射しないように遮光する機能を有する。なお、ハウジング500の形状について、図5では、上部502が円筒状であり、底部503が平板状の例が示されるが、底部503も円筒状にして、ハウジング500の全体を円筒形状としてもよいし、上部502を平板状にして、ハウジング500の全体を直方体形状としてもよい。
ハウジング500は、例えば金属でできている。
電磁コイル600は、互いに対向して配置された固定側コイル602と回転側コイル603とを備えている。固定側コイル602は、ハウジング500の上部502と底部503との間に固定され、回転側コイル603は、第1の回転軸部110に固定されている。固定側コイル602と回転側コイル603との組み合わせで電磁誘導により固定側から回転側に電力が供給される。
回路基板700は、ハウジング500に配置され、受光部350および固定側検出回路750が取り付けられている。固定側検出回路750は、リード線750aによってハウジング500の上部502の外側に配置されたコネクタ750bに電気的に接続されている。コネクタ750bは、外部との信号の入出力を行う。
図6は、本発明の軸型トルク変換器の回路図である。軸型トルク変換器1は、光源320を制御するための回転側制御回路450と、受光部350からの電気信号を検出するための固定側検出回路750と、をさらに備えている。
回転側制御回路450は、平滑回路404、安定化電源回路405、ひずみゲージ電源回路406、ホイートストンブリッジ回路407、増幅器408、フィルタ回路409、電圧/周波数変換器410等を備えている。
固定側検出回路750は、電源701、発振回路702、増幅器703、AGC回路704、波形整形回路705、周波数/電圧変換回路706、ローパスフィルタ回路707、出力バッファ回路708、出力端子709等を備えている。
電源701の出力が発振回路702に供給され、さらに増幅器703を介して、例えば、15〜20kHz程度の周波数の交流電圧が固定側コイル602に印加される。
電磁誘導により固定側コイル602から回転側コイル603に電力が供給される。
平滑回路404は、回転側コイル603に誘起した交流電圧を整流、平滑し、リップル電圧が少ない直流電圧を安定化電源回路405に供給する。安定化電源回路405は、変動を極力低減した電圧をひずみゲージ電源回路406に供給する。ひずみゲージ電源回路406は、必要な電圧をホイートストンブリッジ回路407に供給する。ホイートストンブリッジ回路407は、トルク検出素子310のひずみゲージで構成される。
ホイートストンブリッジ回路407の出力は、増幅器408で増幅され、フィルタ回路409によって余分な周波数成分の雑音が除去された後、電圧/周波数変換器(V/F変換)410に供給される。
電圧/周波数変換器(V/F変換)410は、電圧の大きさを周波数の高低に変換する。周波数変調することにより、光源320および受光部350の非線形の影響を除去することができる。
光源320が発光した光信号αは、受光部350によって受光される。受光部350から出力される電気信号は、AGC回路(Automatic Gain Control Circuit)704によって振幅変動が調整され、振幅がロジックレベルまで増幅される。増幅された信号は、波形整形回路705を介して、周波数/電圧変換回路(F/V変換)706に供給される。周波数/電圧変換回路(F/V変換)706によって、周波数変動が電圧変動に変換された後、ローパスフィルタ回路707によって不要なノイズ成分が除去される。
ローパスフィルタ回路707は、例えば、公知の二次、または三次のバターワースフィルタ等を用いる。そして、ローパスフィルタ回路707は、出力バッファ回路708に接続され、出力端子709にトルクの測定値が供給される。
なお、以上ではホイートストンブリッジ回路からの出力信号をアナログのまま周波数変調して送信する例を示したが、A/D変換によりデジタル信号とし、必要ならばさらに変調をかけて送信してもよい。その場合、固定側で受信した信号は、デジタル信号として出力してもよく、D/A変換によりアナログ信号として出力してもよい。
以上説明したように、軸型トルク変換器1において、トルク検出素子310によって検出された回転軸100のトルク情報は、光源320からの光信号αに変換され、光信号αは、回折光学素子330および円錐形ミラー340を介して径方向外側に均一に照射され、受光部350によって受光される。これにより、回転軸100の回転中は、光源320からの光信号αを受光部350に間断なく伝達することができ、高速回転する回転軸100に作用するトルクを間断なく、すなわち常時継続的にかつ正確に測定することができる。
上述した各実施形態に記載した各構成要素の形状、寸法、材質等は、単なる一例であり、本発明の効果を発揮し得る範囲内で適宜変更が可能である。
例えば、図示例では、1つの発光素子からなる光源320が、第2の回転軸部120の内部の空洞の径方向中心に配置されているが、光源320は複数の発光素子から構成されてもよいし、光源320は、第2の回転軸部120の内部の空洞の径方向中心からずれて配置されてもよい。ただし、回転軸100重力バランスを考慮すると、図示例の構成が好ましい。
また、支持板400は、第2の回転軸部120に取り付けられてもよい。
1 軸型トルク変換器
100 回転軸
110 第1の回転軸部
120 第2の回転軸部
121S スリット
122 トルク検出軸部
200 軸支持部
210 軸受
300 トルク検出部
310 トルク検出素子
320 光源
330 回折光学素子
340 円錐形ミラー
350 受光部
400 支持板
450 回転側制御回路
500 ハウジング
502 上部
503 底部
600 電磁コイル
602 固定側コイル
603 回転側コイル
700 回路基板
750 固定側検出回路

Claims (3)

  1. トルク検出部を備えた軸型トルク変換器であって、
    前記トルク検出部は、
    回転軸に作用するトルクを検出するトルク検出素子と、
    前記トルク検出素子から得られたトルク値を光信号として出力する光源と、
    前記光源からの出力光の方向を決定する光学素子と、
    前記光学素子により方向が決定された光を受光する受光部と、
    を備えており、
    前記光源および前記光学素子は、前記回転軸の内部の空洞に配置され、
    前記光学素子は、前記光源からの出力光を平行光とする回折光学素子と、前記回折光学素子からの平行光を反射する円錐形ミラーと、を備え、
    前記円錐形ミラーにより反射された反射光は、前記回転軸に設けられたスリットを透過することにより、リング光として径方向外側に照射され、
    前記光源は、複数の発光素子から構成されており、
    前記スリットには、全周に透明部材が設けられている、
    軸型トルク変換器。
  2. 前記空洞が形成された前記回転軸の外径は、一定である、
    請求項1に記載の軸型トルク変換器。
  3. 前記回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体となって回転する支持板をさらに備え、
    前記支持板には、前記光源を制御するための回転側制御回路の構成要素が配置されている、
    請求項1または2に記載の軸型トルク変換器。
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