以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
図1のブロック図を参照して、本発明の一部の実施形態に係る支援装置100の構成について説明する。支援装置100は、投資家の資産運用を支援するための装置である。投資家とは、実際に投資を行う最終顧客のことである。資産運用は、投資家が運用資産を使用して金融商品を売買すること及び投資一任事業者が投資家から委託された投資家の運用資産を使用して金融商品の売買をすることを含む。支援装置100は、営業者によって利用されてもよい。営業者とは、投資家に運用サービスを提供するエンティティのことである。例えば、営業者は、IFA(金融商品仲介事業者)、金融機関(金融商品取引業者)に所属する営業員などであってもよい。投資家がオンライン取引において自ら支援装置100を使用する場合において、営業者が存在しなくてもよい。支援装置100の所有者を運営者と呼ぶ。運営者とは、営業者に支援装置100の一部又は全部の機能の利用を認めるエンティティのことである。営業者と運営者とは同一であってもよい。運営者は、投資家の資産運用情報に基づいた金融商品の売買の受け付けを行う。運営者は、例えば証券、銀行、信託銀行などの金融商品取引業者であってもよい。投資一任サービスが投資家に提供される場合に、運営者は、投資一任事業者となりうるエンティティ、例えば投信委託会社、投資顧問会社、証券会社、信託銀行などの金融機関であってもよい。投資家は、運営者である投資一任事業者と投資一任契約を締結することによって、目標プランの実現にむけた投資判断や投資行動の一切を運営者に委託してもよい。その際に、運営者は支援装置100の利用者として支援装置100が行う判断及び処理の内容に従い金融商品の売買などを行うことで投資家より委託された投資一任業務を履行してもよい。以下の説明において、金融商品とは、時間の経過とともに価値(価格、金利等)が変動し、換金性を有する商品のことであり、例えば、定期預金、株式、投資信託、公社債、外国為替、金、プラチナなどを含む。金融商品は、金融派生商品を含んでもよい。
支援装置100は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの情報処理装置で実現される。支援装置100は、単体の装置で実現されてもよいし、ネットワークを介して相互に接続された複数の装置で実現されてもよい。支援装置100の動作の詳細については後述する。支援装置100は、図1に示す各構成要素を有する。
プロセッサ101は、支援装置100全体の動作を制御する。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって実現される。メモリ102は、支援装置100の動作に用いられるプログラムや一時データなどを記憶する。メモリ102は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などにより実現される。入力装置103は、支援装置100のユーザが支援装置100への入力を行うために用いられ、例えばマウスやキーボードなどで実現される。出力装置104は、支援装置100のユーザが支援装置100からの出力を確認するために用いられ、例えばディスプレイなどの表示装置やスピーカなどの音響装置で実現される。通信装置105は、支援装置100が他の装置(例えば、ユーザ端末110や金融機関システム120)と通信する機能を提供し、例えばネットワークカードなどで実現される。他の装置との通信は有線であってもよいし、無線であってもよい。
ストレージ装置106は、支援装置100の動作に用いられる情報、例えば運用情報テーブル107、投資家テーブル108及び金融商品テーブル109を記憶する。以下に説明する実施形態では、様々な情報がテーブルの形式で記憶されるが、これらの情報は他の形式で記憶されてもよい。ストレージ装置106は、ディスクドライブ(例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive))などの記憶装置で実現される。以下に説明する実施形態で、プロセッサ101が情報を読み出すストレージ装置106は支援装置100の内部にある。これにかえて、ストレージ装置106は、支援装置100の外部にあってもよい。この場合に、プロセッサ101は、支援装置100の外部の記憶装置(例えば、データベースサーバ)から必要な情報を読み出す。また、記憶装置は、支援装置100の外部と内部とに分散して配置されてもよい。
運用情報テーブル107は、投資家が設定した資産運用の目標プランに関する情報を管理するためのテーブルである。運用情報テーブル107の詳細については後述する。投資家テーブル108は、投資家に関する情報を管理するためのテーブルである。投資家テーブル108は、例えば投資家を一意に識別するための識別子(以下、IDという)、投資家の連絡先、投資家のクレデンシャル、投資家の口座情報などを記憶する。金融商品テーブル109は、金融商品に関する情報を管理するためのテーブルである。金融商品テーブル109は、例えば金融商品のID、予想利回り、リスク、取扱業者などを記憶する。
ユーザ端末110は、投資家が使用する端末である。ユーザ端末110は、例えばスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレットのような、支援装置100と通信可能な任意の装置であってもよい。ユーザ端末110と支援装置100とは、例えばインターネットのような広域ネットワークを介して通信可能である。
金融機関システム120は、金融機関、すなわち金融取引に関する業務を営む機関が運営するシステムである。金融機関は、金融商品を取扱う金融商品取引業者、例えば銀行、証券会社、信託銀行、保険会社、投信委託会社などを含む。図1では、1つのブロックで金融機関システム120を表しているが、金融機関システム120は、複数のシステムであってもよい。金融機関システム120と支援装置100とは、例えばインターネットのような広域ネットワークを介して通信可能であってもよいし、専用線のようなクローズドネットワークを介して通信可能であってもよい。
続いて、図2を参照して、支援装置100が資産運用の申し込みを受け付けるための方法について説明する。図2の方法は、プロセッサ101がメモリ102に読み出されたプログラムを実行することによって行われてもよい。プロセッサ101のような汎用集積回路が動作を実行する代わりに、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)のような専用回路によって方法の一部又は全部が実行されてもよい。
ステップS201で、支援装置100は、投資家から、資産運用に関する情報(以下、運用情報と呼ぶ)を取得する。このステップの実行前に、支援装置100の運営者(言い換えると、支援装置100を使用したサービス提供者)は、投資家にサービスを提供するために必要な手続き(口座の開設や投資一任契約の締結、ユーザアカウントの設定など)を行ってもよい。
一部の実施形態において、支援装置100は、投資家に対して、3つのコース、すなわち積立投資コース、一括投資コース及び取崩投資コースを提供する。支援装置100は、これらの3つのコースの一部のみを提供可能であってもよい。積立投資コースとは、積立によって定期的に金融商品を買増すことで運用資産を増やしつつ、投資を行うコースである。積立とは、投資家の口座から金融商品を定期的に買付けることである。積立において買付が行われる金額を積立額という。積立投資コースにおいて、初期資金はあってもよいし、なくてもよい。一括投資コースとは、初期資金のみをもって投資を行うコースである。一括投資コースでは積立は行われない。取崩投資コースとは、初期資金を運用資産として投資しつつ、運用資産から定期的な取崩を行うコースのことである。取崩とは、運用資産から投資家の口座に定期的に出金することであり、具体的に、運用資産の少なくとも一部を定期的に売却することで現金化した資金を投資家の口座に出金することである。取崩において出金される金額を取崩額という。
投資者は、これらの3つのコースは組み合わせて申し込んでもよい。例えば、投資者は、積立投資コースで指定の期間、積立を行った後に、積立を停止し、その時点の運用資産で一括投資コースを利用してもよい。投資者は、積立投資コース又は一括投資コースで形成された運用資産を初期資金として取崩投資コースを利用してもよい。
続いて、上記の3つのコースのそれぞれにおいて取得される運用情報について説明する。積立投資コースでは、運用情報として、投資対象、積立額、積立頻度、積立開始日、積立終了日、初期資金額、目標額、目標達成期限、達成時処理、及び終了時処理が取得される。
投資対象とは、運用資産を投資する対象のことである。支援装置100は、投資家から個別の投資対象の指定を受けてもよいし、投資対象を分類した複数の項目(例えば、積極型、成長型、安定成長型、安定型)における指定を受けてもよい。これらの複数の項目は、リスク/リターン水準が段階的に異なっていてもよい。項目の指定を受けた場合に、支援装置100又はその運営者は、金融商品テーブル109を参照して、個別の投資対象を決定する。
積立額とは、1回の積立において金融商品の買付けが行われる金額のことである。積立頻度とは、積立が行われる頻度のことであり、典型的には1か月ごとである。積立開始日とは、積立を開始する日程のことである。積立終了日とは、積立を終了する日程のことである。これらの日程の日にちが事前に設定されている(例えば、給料支払い日など)場合に、積立開始日及び積立終了日は年月によって指定されてもよい。
初期資金額は、資産運用の開始時点に投資家が用意する初期資金の金額のことである。上述のように、積立投資コースにおいて、初期資金はなくてもよいし(すなわち、0円)、あってもよい。目標額とは、投資家が資産運用によって達成したい金額のことである。すなわち、投資家は、積立及び投資によって、運用資産が目標額以上となることを目指す。目標達成期限とは、目標額を達成するまでの期限のことであり、例えば年月日で指定される。日にちが事前に設定されている場合に、目標達成期限は年月で指定されてもよい。目標達成期限は、積立終了日と同じ年月日であってもよい。
達成時処理とは、目標達成期限よりも前に、目標達成期限時点の運用資産が目標額以上となる見込みが得られた場合に支援装置100が行う処理のことである。例えば、支援装置100は、目標達成期限よりも前のある時点での運用資産額が目標額以上になった場合に、達成時処理を行ってもよい。これにかえて、支援装置100は、目標達成期限までに積立によって運用資産が増加する予定の積立予定額と、目標達成期限よりも前のある時点での運用資産額との和が目標額以上になった場合に、達成時処理を行ってもよい。何れの場合であっても、目標達成期限時点の運用資産が目標額以上となる見込みが得られたならば、投資のリスクを冒すことなく、投資者は目標を達成可能である。
そこで、支援装置100は、達成時処理として、目標プランの実現性を向上するための処理、例えば投資リスクを低減するための処理を行う。投資リスクを低減するための処理は、投資リスクを低減するように運用資産の投資対象を変更することであってもよいし、目標達成期限時点の運用資産が目標額以上となる見込みが得られたことを既定の宛先(例えば、投資家テーブル108に記憶されている投資家の連絡先)に通知することであってもよいし、この両方を行うことであってもよい。投資リスクを低減するように運用資産の投資対象を変更することは、例えば投資対象を低リスクの投資先(例えば、ファンド)に変更することであってもよいし、運用資産を現金化することであってもよい。変更先の低リスクの投資先は、投資家が事前に指定したものであってもよいし、支援装置100の運営者が決定したものであってもよい。
終了時処理とは、目標達成期限の時点で支援装置100が行う処理のことである。例えば、支援装置100は、終了時処理として、投資リスクを低減するための処理を行ってもよい。具体的に、支援装置100は、終了処理として、投資を終了し、運用資産を現金化してもよい。
一括投資コースでは、運用情報として、投資対象、初期資金額、目標額、目標達成期限、達成時処理、及び終了時処理が取得される。これらの情報は、積立投資コースと同様である。ただし、一括投資コースでは、初期資金が必要である(すなわち、0円ではない)。
取崩投資コースでは、運用情報として、投資対象、取崩額、取崩頻度、取崩開始日、取崩終了日、初期資金額、許容下限、下限到達時処理が取得される。投資対象及び初期資金額について、積立投資コースと同様である。ただし、取崩投資コースでは、初期資金が必要である(すなわち、0円ではない)。
取崩額とは、1回の取崩において金融商品の売却により現金化が行われる金額のことである。取崩頻度とは、取崩が行われる頻度のことであり、例えば1か月ごと、2か月ごとなどである。取崩開始日とは、取崩を開始する日程のことである。取崩終了日とは、取崩を終了する日程のことである。これらの日程の日にちが事前に設定されている場合に、取崩開始日及び取崩終了日は年月によって指定されてもよい。投資家は、取崩額と取崩終了日のうちとの一方のみを指定可能である。取崩額が指定された場合に、取崩額、取崩頻度、及び算出時点の運用資産によって、取崩終了日が定まる。例えば、運用資産の期待収益率が0%であるという前提において、取崩額が5万円であり、取崩頻度が1か月ごとであり、算出時点の運用資産が100万円であれば、取崩終了日は20か月後となる。一方、取崩終了日が指定された場合に、取崩終了日までの残り期間、取崩頻度、及び算出時点の運用資産によって、取崩額が定まる。例えば、取崩終了日までの残り期間が10か月であり、取崩頻度が1か月ごとであり、算出時点の運用資産が80万円であれば、取崩額は8万円となる。
許容下限とは、取崩額又は取崩期間の初期値から許容される変化の下限である。例えば、投資家が、取崩額として5万円、取崩頻度として1か月、初期資産として100万円を設定したとする。この場合に、取崩期間の初期値は、取崩開始から20か月後となる。取崩期間は、投資結果によって変動する。投資結果が思わしくなく、ある時点において、取崩期間が、取崩開始から16か月後となったとする。投資家が許容下限として80%と設定していた場合に、取崩期間は許容される変化率の下限に到達したことになる。
別の例として、投資家が、取崩終了日を取崩開始から20か月後、取崩頻度として1か月、初期資産として100万円を設定したとする。この場合に、取崩額の初期値は、5万円となる。取崩額は、投資結果によって変動する。投資結果が思わしくなく、ある時点において、取崩額が、4万円となったとする。投資家が許容下限として80%と設定していた場合に、取崩額は許容される変化率の下限に到達したことになる。上記の説明では、取崩額及び取崩終了日を、予想される投資結果を加味せずに算出した。これにかえて、支援装置100は、取崩額及び取崩終了日を、予想される投資結果を加味して算出してもよい。
上記の例では、許容下限が変化率で設定された。これにかえて、許容下限は金額又は期間で設定されてもよい。例えば、投資家は、取崩額の初期値から指定の金額(例えば、2万円)だけ低い金額を許容下限としてもよい。また、投資家は、取崩期間の初期値から指定の日数(例えば、6か月)だけ短い期間を許容下限としてもよい。このように、許容下限は、取崩の設定を満たすために必要な運用資産額を規定する。
下限到達時処理とは、現在の運用資産額が、取崩の設定を満たすために必要な金額以下になった場合に支援装置100が行う処理のことである。例えば、支援装置100は、下限到達時処理として、投資リスクを低減するための処理を行ってもよい。投資リスクを低減するための処理の具体的な内容は、上述の積立投資コースのものと同様である。
支援装置100は、グラフィカルユーザインタフェース(以下、GUIという)を通じて投資家から運用情報を取得してもよい。例えば、支援装置100は、ウェブベースのGUIを提供する。投資家はこのGUIにユーザ端末110を使用してアクセスし、上述の運用情報を支援装置100に提供する。これにかえて、運用情報は、投資家からのヒアリング結果に基づいて支援装置100の営業者が支援装置100に入力してもよい。投資家が複数のコースを組み合わせて利用する場合に、支援装置100は、それぞれのコースの運用情報を取得する。運用情報は、資産運用が開始された後、投資家からの指示に従って更新可能であってもよい。
ステップS202で、支援装置100は、ステップS201で取得した運用情報と、運用情報を提供した投資家の情報とを運用情報テーブル107に記憶する。具体的に、支援装置100は、取得した運用情報に対して一意の運用IDを付与する。この運用IDに紐づけて運用情報及び投資家情報を運用情報テーブル107に記憶する。
図3に、運用情報テーブル107の具体例について説明する。運用情報テーブル107の各エントリは、個別の運用情報を表す。図3では、運用情報テーブル107が運用情報テーブル107a及び運用情報テーブル107bの2つに分かれている。しかし、これらの運用情報テーブル107a、107bは1つのテーブルにまとめられてもよい。カラム「運用ID」は、設定された運用情報を一意に識別する識別子を表す。カラム「投資家ID」は、投資家の識別子を表す。カラム「コース」は、投資家が申し込んだコースを表す。その他のカラムは、上述した運用情報の内容を表す。
例えば、エントリ301は、積立投資コースに申し込んだ投資家(ID:0005)の運用情報を表す。この資産運用の初期資金額は0円である。投資家は、目標達成期限よりも前に、目標達成期限時点の運用資産が目標額以上となる見込みになった場合に、投資対象をファンドCに変更することを設定している。また、投資家は、目標達成期限時点で投資対象をファンドDに変更することを設定している。
エントリ302は、一括投資コースに申し込んだ投資家(ID:0008)の運用情報を表す。この資産運用の初期資金額は100万円である。投資家は積立を行わないため、積立に関するカラムはN/Aとなっている。投資家は、目標達成期限よりも前に、目標達成期限時点の運用資産が目標額以上となる見込みになった場合に、投資家への通知を行うことを設定している。また、投資家は、目標達成期限時点で運用資産を現金化することを設定している。
エントリ303は、取崩投資コースに申し込んだ投資家(ID:0015)の運用情報を表す。投資家は、800円の初期資金を毎月10万ずつ取り崩すように設定している。取崩終了日は運用資産の金額によって自動的に算出されるため、N/Aとなっている。投資家は、許容下限を取崩終了日によって設定している。投資家は、運用資産が下限に到達した場合に、運用資産を現金化することを設定している。
エントリ304は、取崩投資コースに申し込んだ投資家(ID:0018)の運用情報を表す。投資家は、1000円の初期資金を10年間かけて取り崩すように設定している。取崩額は運用資産の金額によって自動的に算出されるため、N/Aとなっている。投資家は、許容下限を取崩額の比率によって設定している。投資家は、運用資産が下限に到達した場合に、投資家への通知を行うことを設定している。
図2の説明に戻り、ステップS203で、支援装置100は、設定された投資対象に対して投資するように金融機関システム120に指示する。この指示は、支援装置100によって自動的に行われてもよいし、支援装置100の運営者によって手動で行われてもよい。支援装置100によって自動的に行われる場合に、例えば、証券会社などの金融機関に向けた売買オーダーが自動的に発注されることによって、完全自動的に資産運用行為が完了する。支援装置100の運営者によって手動で行われる場合に、運営者である投資一任業者向けに自動的に売買オーダー伝票が作成され、運営者が金融機関に対して発注を行ってもよい。
図4を参照して、支援装置100が資産運用を管理するための方法について説明する。図4の方法は、プロセッサ101がメモリ102に読み出されたプログラムを実行することによって行われてもよい。プロセッサ101のような汎用集積回路が動作を実行する代わりに、ASICやFPGAのような専用回路によって方法の一部又は全部が実行されてもよい。図4の方法は、運用情報テーブルに記録された各エントリについて、反復して(例えば、1日に1回、又は1か月に1回など)行われる。
ステップS401で、支援装置100は、ストレージ装置106から運用情報テーブル107の対象のエントリを読み出す。対象のエントリには、図3のテーブルのカラムに示される設定が含まれる。支援装置100は、対象のエントリについて、以下の処理を実行する。
ステップS402で、支援装置100は、対象のエントリについて、投資結果が反映された現在の運用資産額を取得する。現在の運用資産額とは、運用資産を現金化した場合の資産の金額のことである。「現在」とは、ステップS402を実行時点のことであってもよいし、実行時点の付近の基準日のことであってもよい。支援装置100は、例えば金融機関システム120に問い合わせることによって、現在の運用資産額を取得可能である。
ステップS403で、支援装置100は、対象のエントリが取崩投資コースであるかどうかを判定する。支援装置100は、対象のエントリが取崩投資コースである場合(ステップS403で「YES」)に処理をステップS413に遷移し、それ以外の場合(ステップS403で「NO」)に処理をステップS404に遷移する。以下の処理において、対象のエントリが積立投資コース又は一括投資コースの場合にステップS404〜S412が実行され、対象のエントリが取崩投資コースの場合にステップS413〜S419が実行される。対象のエントリのコースの判定は、ステップS401で読み出された運用情報に基づいて行われる。
ステップS404で、支援装置100は、本日が積立開始日であるかどうかを判定する。支援装置100は、本日が積立開始日である場合(ステップS404で「YES」)に処理をステップS405に遷移し、それ以外の場合(ステップS404で「NO」)に処理をステップS406に遷移する。支援装置100は、図4の方法を毎日実行しない場合(例えば、1か月に1回実行する場合)に、前回のステップS404の実行から今回のステップS404の実行までの期間に積立開始日が含まれるかどうかを判定する。
ステップS405で、支援装置100は、金融機関システム120に対して積立開始を指示する。この指示は、ステップS401で読み出した運用情報に含まれる積立額及び積立頻度と、投資家テーブル108に含まれる投資家に関する情報(例えば、口座情報など)とを含む。金融機関システム120は、積立終了の指示を受けるまで、指定された金融商品を、指定された積立頻度で、指定された積立額を、投資家の口座の資金の中から自動的に買付を行う。このように、投資家によって事前に(具体的にはステップS201の申し込み時に)指定された積立開始日に支援装置100が金融機関システム120へ積立開始を自動的に指示するため、投資家が積立の開始を依頼することを失念してしまい目標に向けた資産運用ができなくなるリスクが低減する。ここで、「自動的」とは、処理実行時点で投資家の追加の指示を必要としないことを意味する。本実施形態の他の「自動的」についても同様である。
ステップS406で、支援装置100は、本日が積立終了日であるかどうかを判定する。支援装置100は、本日が積立終了日である場合(ステップS406で「YES」)に処理をステップS407に遷移し、それ以外の場合(ステップS406で「NO」)に処理をステップS408に遷移する。支援装置100は、図4の方法を毎日実行しない場合(例えば、1か月に1回実行する場合)に、前回のステップS406の実行から今回のステップS406の実行までの期間に積立終了日が含まれるかどうかを判定する。
ステップS407で、支援装置100は、金融機関システム120に対して積立終了を指示する。この指示は、投資家テーブル108に含まれる投資家に関する情報(例えば、口座情報など)を含む。金融機関システム120は、積立終了の指示を受けると、投資家の口座の資金の中から指定された金融商品を定期的かつ自動的に買付けることを終了する。このように、投資家によって事前に(具体的にはステップS201の申し込み時に)指定された積立終了日に支援装置100が金融機関システム120へ積立終了を自動的に指示するため、投資家が積立の終了を依頼することを失念してしまい目標に向けた資産運用ができなくなるリスクが低減する。
ステップS408で、支援装置100は、現在の運用資産額が達成見込条件を満たすかどうかを判定する。達成見込条件とは、目標達成期限時点の運用資産が目標額以上となるための条件のことである。支援装置100は、現在の運用資産額が達成見込条件を満たす場合(ステップS408で「YES」)に処理をステップS409に遷移し、それ以外の場合(ステップS408で「NO」)に処理をステップS410に遷移する。一括投資コースの場合に、達成見込条件は、現在の運用資産額が、運用情報に設定されている目標額以上であることであってもよい。積立投資コースの場合に、支援装置100は、目標達成期限までに積立によって運用資金が増加する予定の積立予定額を算出する。例えば、毎月の積立額が5万円であり、目標達成期限までの残り期間が20か月である場合に、積立予定額は100万円となる。達成見込条件は、現在の運用資産額と積立予定額との和が目標額以上であることであってもよい。
ステップS409で、支援装置100は、運用情報に設定されている達成時処理を実行する。上述のように、達成時処理は、投資リスクを低減するための処理である。このように達成見込条件を満たした場合に投資リスクを低減することによって、その後の運用状況に起因して目標達成期限に目標額を達成できなくなるリスクが低減する。
ステップS410で、支援装置100は、本日が目標達成期限であるかどうかを判定する。支援装置100は、本日が目標達成期限である場合(ステップS410で「YES」)に処理をステップS411に遷移し、それ以外の場合(ステップS410で「NO」)に処理を終了する。支援装置100は、図4の方法を毎日実行しない場合(例えば、1か月に1回実行する場合)に、前回のステップS410の実行から今回のステップS410の実行までの期間に積立開始日が含まれるかどうかを判定する。
ステップS411で、支援装置100は、運用情報に設定されている終了時処理を実行する。
ステップS412で、支援装置100は、運用情報テーブル107から対象のエントリを削除する。これによって、次回以降の図4の方法の実行において、このエントリが処理されなくなる。削除されたエントリは、記録のために、別のテーブルに格納されてもよい。その後、支援装置100は処理を終了する。
ステップS413で、支援装置100は、本日が取崩実行日であるかどうかを判定する。支援装置100は、本日が取崩実行日である場合(ステップS413で「YES」)に処理をステップS414に遷移し、それ以外の場合(ステップS413で「NO」)に処理を終了する。支援装置100は、図4の方法を毎日実行しない場合(例えば、1か月に1回実行する場合)に、前回のステップS413の実行から今回のステップS413の実行までの期間に取崩実行日が含まれるかどうかを判定する。取崩実行日は、運用情報に設定されている取崩開始日から、取崩頻度のn倍(nは0以上の整数)経過後に該当する日である。このように、取崩開始日前に取崩は行われない。したがって、投資家によって事前に(具体的にはステップS201の申し込み時に)指定された取崩開始日以降に取崩が自動的に開始されるため、投資家が取崩の開始を依頼することを失念してしまい目標に向けた資産運用ができなくなるリスクが低減する。
ステップS414で、支援装置100は、現在の運用資産額に基づいて、取崩終了日又は取崩額を算出する。運用情報に取崩終了日が設定されている場合(すなわち、期間優先の場合)に、現在の運用資産額に基づいて取崩額が算出される。一方、運用情報に取崩額が設定されている場合(すなわち、金額優先の場合)に、現在の運用資産額に基づいて取崩終了日が算出される。
ステップS415で、支援装置100は、金融機関システム120に対して取崩を指示する。具体的に、支援装置100は、ステップS414で算出された取崩額(期間優先の場合)又は運用情報に設定されている取崩額(金額優先の場合)に相当する金融商品を現金化し、この現金を投資家の口座に出金するように金融機関システム120に指示する。
ステップS416で、支援装置100は、現在の運用資産額が、運用情報で設定されている許容下限を維持できる額以下であるかどうかを判定する。支援装置100は、現在の運用資産額が、取崩の設定を満たすために必要な金額以下である場合(ステップS416で「YES」)に処理をステップS417に遷移し、それ以外の場合(ステップS416で「NO」)に処理をステップS418に遷移する。
ステップS417で、支援装置100は、運用情報に設定されている下限到達時処理を実行する。上述のように、下限到達時処理は、投資リスクを低減するための処理である。このように、現在の運用資産額が、運用情報で設定されている許容下限を維持できる額以下となった場合に投資リスクを低減することによって、その後の運用状況に起因して、設定された取崩の許容下限を実現できなくなるリスクが低減する。
ステップS418で、支援装置100は、本日が取崩終了日であるかどうかを判定する。支援装置100は、本日が取崩終了日である場合(ステップS418で「YES」)に処理をステップS419に遷移し、それ以外の場合(ステップS418で「NO」)に処理を終了する。支援装置100は、図4の方法を毎日実行しない場合(例えば、1か月に1回実行する場合)に、前回のステップS418の実行から今回のステップS418の実行までの期間に取崩終了日が含まれるかどうかを判定する。取崩終了日では、運用資産はすべて現金化され、投資家の口座に出金されている。
ステップS419で、支援装置100は、運用情報テーブル107から対象のエントリを削除する。これによって、次回以降の図4の方法の実行において、このエントリが処理されなくなる。削除されたエントリは、記録のために、別のテーブルに格納されてもよい。その後、支援装置100は処理を終了する。
図5を参照して、ステップS408の目標達成の判定及びステップS416の下限到達の判定の具体的なシナリオについて説明する。図5(a)は、一括投資コースにおいて、目標達成期限よりも前に、目標達成期限時点の運用資産が目標額以上となる見込みになった場合を示す。グラフ501は、運用資産額の時間推移を示す。日付Tsは、資産運用の開始日であり、日付Teは資産運用の目標達成期限である。グラフ501に示すように、運用資産額は、投資結果を踏まえて増減する。日付Tmにおいて、運用資産額が目標額に到達したとする。この場合に、支援装置100は、例えば運用資産をすべて現金化する。これによって、その後、運用資産額は維持され、目標達成期限(日付Te)に目標額が達成される。
図5(b)は、積立投資コースにおいて、目標達成期限よりも前に、目標達成期限時点の運用資産が目標額以上となる見込みになった場合を示す。グラフ511は、運用資産額の時間推移を示す。日付Tsは、資産運用の開始日であり、日付Teは資産運用の目標達成期限である。グラフ512は、累計の積立予定額を示す。グラフ513は、目標額から累計の積立予定額を減算した額を示す。現在の運用資産額がグラフ513に到達した場合に、残りの期間は積立を行うだけで運用資産が目標額に到達することになる。グラフ511に示すように、運用資産額は、積立によって増加するとともに、投資結果を踏まえて増減する。日付Tmにおいて、運用資産額がグラフ513に到達したとする。この場合に、支援装置100は、例えば運用資産をすべて現金化する。これによって、その後、運用資産額は、積立によって増加し、目標達成期限(日付Te)に目標額が達成される。
図5(c)は、取崩投資コースにおいて、取崩終了日よりも前に運用資産が許容下限以下になった場合を示す。グラフ521は、運用資産額の時間推移を示す。日付Tsは、取崩開始日であり、日付Teは取崩終了日である。この例では、期間優先(すなわち、取崩額が変動する)の場合について扱う。グラフ522は、投資を行わなかった場合の運用資産額の時間推移を示す。グラフ523は、各時点における運用資産額の下限を示す。グラフ521に示すように、運用資産額は、取崩によって減少するとともに、投資結果を踏まえて増減する。日付Tmにおいて、運用資産額がグラフ523に到達したとする。この場合に、支援装置100は、例えば運用資産をすべて現金化する。これによって、その後、投資家によって設定された取崩額の下限を維持したまま取崩終了日を迎えることができる。
図6は、上述の実施形態に追加可能なオプションの機能について説明する。この機能は、上述の3つのコースの何れと組み合わされてもよい。図6では、追加のオプション機能が一括投資コースと組み合わされた場合について説明する。グラフ601は、グラフ501と同様に、運用資産額の時間推移を示す。
支援装置100は、目標達成期限までの間に、時間の経過とともに、投資リスクを低減するように運用資産の投資対象を変更する。具体的に、支援装置100は、日付T1において、投資リスクを低減するように運用資産の投資対象を変更する。その後、支援装置100は、日付T2において、投資リスクを低減するように運用資産の投資対象をさらに変更する。日付T3においても同様である。目標達成期限(日付Te)に近づくほど、投資の損失を取り戻すことが困難となる。そのため、図6で説明するオプション機能では、目標達成期限に近づくにつれて、投資リスクを低減している。
投資リスクを低減するように運用資産の投資対象を変更するタイミングは、事前に設定されていてもよい。例えば、支援装置100は、運用開始日を基準としてnか月ごとにリスクを低減してもよいし、目標達成期限を基準としてnか月ごとリスクを低減してもよい(nは事前に設定された整数)。
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。