[発明の実施の形態1]
図1乃至図11に、この発明の実施の形態1を示す。
図1は、この実施の形態の金融商品取引管理システムのシステム構成図及び機能ブロック図である。同図に示すとおり、金融商品取引管理システム1Aは、金融商品取引管理装置1と、N個(N≧1)のクライアント端末21〜2nとを備えており、金融商品取引管理装置1とクライアント端末21〜2nは、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット3を介して相互に交信可能である。この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱う。
金融商品取引管理装置1は、金融商品の取扱業者が管理し運用するサーバコンピュータであり、Webサーバ機能、大容量のデータを保存するデータベース機能を備えている。クライアント端末21,・・・,2nは、金融商品の売買を行う個人又は法人が所持し使用する、データ通信機能を有する通信端末であって、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末等がこれに該当する。クライアント端末21,・・・,2nは、マウスやキーボード等各種指示を入力するために用いられる操作部211,・・・,21n、LCD(Liquid Crystal
Display)等からなり操作部211,・・・,21nから入力された各種指示等や各種画像を表示する表示部221,・・・,22nを有している。なお、クライアント端末21,・・・,2n、操作部211,・・・,21n、表示部221,・・・,22nは同じ構成を持つので、以下、区別する必要がある場合を除き、クライアント端末2、操作部21、表示部22とする。
図1には図示しないが、金融商品取引管理装置1は少なくとも1のCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、及び、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)、起動用ブートプログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)、各種プログラムやデータ等が記録されるハードディスク等の補助記憶装置、データの送受信に用いる通信インターフェース等が設けられている。補助記憶装置には、OS(Operating
System)用プログラム、各種アプリケーションプログラム、データベースに記録されたデータ等が記録されており、これらのプログラムやデータはCPUの演算処理により、ハードウェア資源と協働して各種機能を実現する。
図1に示す通り、金融商品取引管理装置1は、上述した各種プログラムとハードウェア資源とに基づいて実現される機能手段としてのデータ処理部10、及び、データ処理部10にて処理される各種データが記録されるデータベース18を有する。データ処理部10は金融商品取引管理装置1において用いる各種データの生成、加工等の処理を行うものであり、更に、同じく機能手段としてのフロントページ配信部11、「注文情報受付手段」及び「証拠金金額算出手段」としての注文入力受付部12、入出金情報生成部13、「約定情報生成手段」としての約定情報生成部14、口座情報生成部15、「注文情報生成手段」としての注文情報生成部16、データベース(DB)接続基底部17、「相場価格情報管理手段」としての価格情報受信管理部19を有している。
注文入力受付部12は、クライアント端末2から入力された各種の注文に関するデータを受け付け、金融商品の注文を成立させるために必要な各種処理を行う。また、金融商品の取引に必要な証拠金の額を算出する。
入出金情報生成部13は、クライアント端末2から入出金のリクエストを受け付け、リクエストに基づいて入出金の一覧表を作成する。
注文情報生成部16は、注文入力受付部12が処理した情報に基づいて、成立した金融商品の注文に関する情報を生成する。ここでの注文には、いわゆる成行注文、指値注文、逆指値注文に加え、イフダンオーダーも含まれる。
注文情報生成部16は、イフダンオーダー及び逆指値注文を生成する際に、第一注文を新規の指値注文又は逆指値注文の注文情報として生成し、第二注文を決済の指値注文の注文情報として生成し、逆指値注文を決済の逆指値注文の注文情報として生成する。なお、第一注文、第二注文、逆指値注文の如何は後述する注文テーブル181のフィールド定義に基づいて区別、記録される。
約定情報生成部14は、注文情報生成部16が生成した注文に基づく約定処理、及び、完了した約定処理に関する情報を顧客のクライアント端末2に送るための処理を行う。なお、ここでの「約定」とは、顧客の注文に基づいて金融商品の売買を成立されるための各種の手続並びに処理のことをいう。後述する通り、この実施の形態において約定が成立すると、外国為替の売買が行われ、その結果、約定情報生成部14の指示に基づいて、口座情報生成部15が売買額に応じて証拠金情報(後述)を変換し、更に、入出金情報生成部13が入出金の一覧表に入金や出金の状況を記載する。また、約定情報生成部14は、約定が成立すると、クライアント端末2の表示部22に約定が成立した旨の文字情報等を表示させ、また、売買価格に基づいてクライアント端末の銀行口座の出入金処理を行う。
口座情報生成部15は、顧客の預金残高情報を生成し、当該預金残高情報を証拠金情報(即ち、注文の約定を実現できることを裏付けるための情報)を管理する機能を有する。なお、口座情報生成部15において生成される預金残高に関する情報は、現実の預金残高と整合性を取るために、銀行等の金融機関が提供する、顧客の現実の預金残高に関する情報と定期的に照合される。
データベース接続基底部17は、データ処理部10において生成、加工処理されたデータとデータベース18にて記録されるデータとの変換(例えば論理的データ構造と物理的データ構造との相互変換)を行うと共に、データ処理部10とデータベース18との間でデータを交信するために必要な処理を行う。
データベース18は、金融商品取引管理装置1にて用いられるデータを記録する。この実施の形態におけるデータベース18はリレーショナルデータベースによって形成するが、例えばオブジェクトデータベース等、大量のデータの記録や書換えに適したものであればどのような形式を用いてもよい。データベース18には、注文テーブル(注文情報記録手段)181、顧客の口座が存在する金融機関、口座名、残高等の情報を定義する顧客口座情報テーブル182、取引される通貨の組合せ等に関する情報を定義する通貨ペア注文条件テーブル183、シーケンス番号テーブル184が記録されている。シーケンス番号テーブル184には注文情報(後述)ごとに一意に付されるシーケンス番号が記録される。注文テーブル181の詳細については後述する。
フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22にされる画像データを作成し、作成した画像データをクライアント端末2に送信する。
価格情報受信管理部19は、金融商品取引管理装置1にて扱う金融商品の価格についての情報を取得し、取得した情報に対し、データ処理部10にて用いるために必要な処理と管理を行う。この実施の形態においては、価格情報受信管理部19は外為の相場価格の情報を定期的に取得し、記録し管理する。
なお図示しないが、金融商品取引管理装置1は日時の情報を取得し管理するタイマと、このタイマから取得された日時の情報に基づいて第一注文、第二注文、逆指値注文の有効期限(後述)の管理を行う期限管理手段とを有する。
図2は注文テーブル181のフィールド定義の模式図である。この図に示す通り、注文テーブル181は項目数分のフィールドを有し、フィールドの名称(フィールド名)、文字や数値や日時等のデータ型(型)、ビット長等のデータ長(長さ)、空欄不可指定(Not Null)、デフォルト値の有無(デフォルト値)、データの項目名(備考)等が規定される。
上述の金融商品取引管理装置1においては、金融商品の指値取引が行われる際、
金融商品の指値取引が行われる際、一の注文の受け付けによって、同一種類の複数の金融商品を所定の値幅で所定の商品数ごとに予約する注文形態(以下この注文形態を単に「トラップトレード」と称する。)を実現できる。
次に、この発明の実施の形態1の金融商品取引管理システム1Aにおけるトラップトレードの取引手順について説明する。
図3は、この発明の実施の形態1の金融商品取引管理装置1における、トラップトレードを受け付ける際の処理手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて受け付け時の処理手順を説明する。
金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客は、クライアント端末2を用いて金融商品取引管理装置1にアクセスする。金融商品取引管理装置1のフロントページ配信部11は、アクセスのあったクライアント端末2の表示部22に、図4に示す第一入力画面40を表示させる。第一入力画面40には、取引可能な通貨ペアを画面表示させる売買希望通貨ペア選択ボタン401が表示される。特定の売買希望通貨ペア選択ボタン401、例えばUSD/JPYの売買種類選択ボタン401aをクリックすると、表示部22には図5に示す第二入力画面41が表示される。第二入力画面41は、最初に約定させる指値注文(第一注文)の売買の種類を表示させる売買種類選択ボタン41a、選択可能な注文の種類を表示させる注文種類選択ボタン41b、第一注文の注文条件が「(順)指値」か「逆指値」かを選択する注文条件選択欄41c、それぞれの指値注文及び逆指値注文の約定によって売買される通貨(ここでは日本円)の金額が入力される注文金額入力欄41d、トラップトレードの注文基準価格を入力する第一注文価格入力欄41e、一の注文におけるポジション(外貨の持高のこと。本明細書において同じ。)の数を選択するトラップ本数選択欄41f、隣接するポジション同士の価格差としての「価格差情報」が入力される値幅入力欄41g、一のポジションの第一注文と第二注文との売買によって得られる利益の金額を入力する利益金額指定欄41h、注文の有効期限を選択する有効期限選択ボタン41i、ストップロス注文(いわゆる損切りのための新規の逆指値注文のこと。本明細書において同じ。)を行うか否かを選択するためのストップロス注文用チェックボックス41j、ストップロス注文の価格が入力されるストップロス価格入力欄41k、注文を確定させるための注文確定ボタン41mが表示されている。
顧客は、操作部21を用いて第一入力画面40、第二入力画面41に注文内容のデータを選択・入力する。図5においては、図4に示す第一入力画面40において売買希望通貨ペア選択ボタン401にてUSドル/日本円(日本円でUSドルを売買する)の「買い」の売買種類選択ボタン401aが選択された際の第二入力画面41が示されている。そして、この第二入力画面41においては、この状態で、注文種類選択ボタン41bで「トラップトレード注文」を選択し、注文条件選択欄41cで「指値」を選択し、注文金額入力欄41dに10(万円)、第一注文価格入力欄41eに101.00(円)が入力され、トラップ本数選択欄41fにおいて5(本)が選択され、値幅入力欄41gに1.00(円)が入力され、利益金額指定欄41hに50000(円)の選択がされ、有効期限選択ボタン41iによって「無期限」の選択がされ、ストップロス注文用チェックボックス41jにチェックが入り、ストップロス価格入力欄41kに100.00(円)が入力された状態が示されている。
この状態で注文確定ボタン41mがクリックされ、第一入力画面40、及び第二入力画面41において入力、選択されたデータからなる売買注文申込情報が金融商品取引管理装置1に供給されると、金融商品取引管理装置1の注文入力受付部12は、有効期限選択ボタン41iにおいて選択された期限、注文種類選択ボタン41bにおいて選択された注文の種類を確認し、さらに、それぞれの注文価格について検査を行う(ステップS2)。具体的には、第一注文価格入力欄41eに入力された第一注文価格の金額と、価格情報受信管理部19が受信した現在の為替相場価格との対比が行われる。また、注文入力受付部12は、第一入力画面40、及び第二入力画面41において入力、選択されたデータに基づいて各ポジションの第一注文及び第二注文の価格を算出する。この実施の形態においては、第一注文価格入力欄41eに入力された値を基準となる第一注文(最初に約定される第一注文)として設定し、この基準となる第一注文から値幅入力欄41gに入力された値ずつ値幅をおいて、トラップ本数選択欄41fに入力された数だけ、各ポジションの第一注文の価格が算出される。また、各ポジションの第二注文の値は、下記(1)の式によって算出される。
(各ポジションの第二注文の価格)=(各ポジションの第一注文の価格)−(利益金額指定欄41hに入力された金額)/{(第一注文が売りの場合1,買いの場合−1)*(注文金額入力欄41dに入力された金額)}・・・(1)
なお、注文入力受付部12によって算出される第二注文価格は、更に金融商品取引管理装置1の管理者の利益を考慮した数値とすることもできる。例えば、各ポジションの第二注文の値は、下記(1)’の式によって算出されるようにすることもできる。
(各ポジションの第二注文の価格)=(上記(1)の右辺)±(金融商品取引管理装置1の利益額)・・・(1)’
更に、注文入力受付部12は、第一注文価格入力欄41eに入力された金額と相場価格とが予め設定された所定の条件を満たしている場合には、それぞれ適正価格と判断する。
価格が適正価格と判断された場合(ステップS3の“No”)、口座情報生成部15が顧客口座情報テーブル182の当該顧客の証拠金情報を取得する。
注文入力受付部12は、取得された証拠金情報と顧客の注文総額(即ち、注文金額入力欄41dに入力された金額とトラップ本数選択欄41fに入力された注文数とを乗じて得た値(即ち、この実施の形態では10(万円)×5(本)=250(万円))とを対比し、証拠金の額が注文総額以上であるか否かを確認する。注文情報生成部16は、証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS5の“No”)の場合にのみ、後述する「注文情報群」を生成する。これにより、顧客が確実に支払いができる場合にのみ指値注文を受け付けることができる。
ここで、注文入力受付部12は、証拠金の算出時に発生しうるスリッページの修正を含めた態様で証拠金の算出を行い、口座情報生成部15が取得した証拠金情報が、算出された証拠金の金額以上である場合には指値注文を受け付ける。
具体的には、注文入力受付部12には、通貨ペア毎に所定の修正値が設定されており、この修正値に基づいて上述の注文総額を修正する。
例えば、注文入力受付部12に、「USD/JPY」の通貨ペアの修正値として「0.03」という上方修正値が記録されており、口座情報生成部15が取得した注文総額が50万円であった場合、
50(万円)+0.03(万円)=50.03(万円)
が修正された注文総額となり、この修正された注文総額が算出された証拠金として扱われる。そしてこの場合、口座情報生成部15が取得した当該顧客の証拠金情報が50.03(万円)以上であった場合にのみ指値注文の受付が行われることになる。
なお、注文入力受付部12に設定された修正値は注文総額の下方修正値であってもよいし、口座情報生成部15が取得した証拠金情報の上方修正値又は下方修正値であってもよい。更に、修正値は通貨ペア毎に予め設定された固定値に限定されるものではなく、注文総額の金額や相場の変動状況等に基づいて変動するものであってもよいし、所定の計算式によって算出されるものであってもよい。
証拠金の額が修正された注文総額以上である場合(ステップS5の“No”)、注文入力受付部12は、通貨ペア注文条件テーブル183に記録されたデータ等を元に、注文条件が上述したもの以外のトラップトレードの各種条件を満たしているか否かを確認する(ステップS6)。
トラップトレードの各種条件を満たしていない場合(ステップS7の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文の受付を拒絶する(ステップS10)。
トラップトレードの各種条件を満たしている場合であって(ステップS7の“No”)、注文条件が上述のトラップトレードによる指値注文に必要な条件を全て満たしているものと判定された場合、
顧客が操作部21の操作により注文確定ボタン41mをクリックすると、金融商品取引管理装置1の注文情報生成部16はステップS1にて入力された売買注文申込情報に基づいて注文情報を生成する(ステップS8)。具体的には、上記手順において入力された複数のデータを、注文価格を単位としてまとめ、各情報の単位に、シーケンス番号テーブル184に記録された注文にシーケンス番号を付与することで各注文情報を形成する。なおこのとき、シーケンス番号テーブル184には、注文情報に使用されたシーケンス番号を未使用の番号と識別するための情報が付与される。一回のステップS8の手順にて生成される複数の注文情報は、同一種類の金融商品を第一の価格について指値注文又は逆指値注文する注文情報、及び第二の価格について指値注文する注文情報、及び買い注文情報及び売り注文情報の対象となっている金融商品を更に他の価格について逆指値注文する逆指値注文から成る注文情報群(以下単に「注文情報群」と称する。)を形成する。
注文情報生成部16は、生成された注文情報群を注文テーブル181に記録する(ステップS9)。注文情報群は、図2に示す各フィールドの定義に基づいて注文テーブルに記録される。例えば、“ord_seq”フィールド181bは、ステップS8にて付与されたシーケンス番号の定義である。“cust_seq”フィールド181cは顧客ごとに一意に定められた顧客番号の、“style_id”フィールド181dは商品名の定義である。“ccy_pair_id”フィールド181eは通貨ペア毎に一意に定められたID番号の定義である。このID番号と通貨ペアとの組合わせはデータベース中に別途設けられたIDテーブル(図示せず)中に記録されている。“ord_amnt”フィールド181fは注文金額入力欄41dに入力された金額の定義である。“buy_sell_id”フィールド181gには売買種類選択ボタン41aで入力された売り注文、買い注文のいずれであるかを定義し、“ord_rate”フィールド181hには第一注文価格入力欄41e、ストップロス価格入力欄41k等に入力された数値、また、トラップ本数選択欄41f、値幅入力欄41g等によって規定された個々の注文情報の価格を定義し、“limit_time”フィールド181iには有効期限選択ボタン41iにて選択された注文期限を定義する。“ord_cond”フィールド181jには注文種類選択ボタン41bで選択された注文の種類を定義し、“new_close”フィールド181kには新規注文、決済注文のいずれであるかを定義する。“trap_seq”フィールド181mは注文種類選択ボタン41bでトラップトレードが選択された場合を定義し、“repeat_flag”フィールド181nにはイフダンオーダーを繰り返し行うか否かを定義する。
なお図2には図示しないが、注文テーブル181には、入力画面40に入力されたその他のデータ、即ち、売買希望通貨ペア選択ボタン401、トラップ本数選択欄41f等に入力された情報を定義するフィールドも設けられる。これらのフィールドによって、第一入力画面40、第二入力画面41に入力されたデータは全て注文テーブル181に記録される。
更に、図2には図示しないが、注文テーブル181には、それぞれの注文情報が第一注文、第二注文、逆指値注文の何れであるかを識別するための第一注文識別情報、第二注文識別情報、逆指値注文識別情報、指値注文として有効な注文であることを識別するための有効情報識別情報、を定義するフィールドも設けられる。これらのフィールドによって、それぞれの注文情報の現在の状態や取引の進行に伴う状態の変化が記録される。
以上の手順より、本実施の形態におけるトラップトレードによる指値注文の受け付け処理は完了する。
図6A及び図6Bは、注文情報生成部16によって生成されて注文テーブル181に記録された、注文情報群を模式的に示した図である。なお、同図に示す態様のテーブルは、フロントページ配信部11によってクライアント端末2の表示部22にも画像表示される。
同図に示す通り、注文テーブル181においては、トラップ本数選択欄41fに入力されたポジション組の数であるk組(k>1、この実施の形態ではk=5)の注文情報群、即ち第一〜第五の注文情報群181s1,181s2,・・・181s5が記録されている。また同図には全ては図示しないが、注文テーブル181には、第一〜第五の注文情報群181s1,181s2,・・・181s5が記録されている。
それぞれの注文情報群(例えば第一の注文情報群181s1)は、同一種類の金融商品を一の価格で逆指値注文する「買い注文情報」としての第一注文181t1と、第一注文181t1の対象となっている金融商品を他の価格で指値注文する「売り注文情報」としての第二注文181u1と、買い注文情報及び売り注文情報の対象となっている金融商品を更に他の価格(ストップロス価格)について逆指値注文する逆指値注文181v1からなる、一の価格帯の情報群を形成する。このような注文情報群(例えば第一の注文情報群181s1)が複数形成されることにより、一の価格帯の注文情報群(例えば第一の注文情報群181s1)を、複数の異なる価格帯について生成することになる。
これらの注文情報群181s1,181s2,・・・181s5においては、第一の注文情報群181s1の第一注文181t1に示された注文価格が1ドル101.00円(即ち第一注文価格入力欄41eに入力された価格)で、第一注文181t1,181t2・・・,181t5同士の値幅、及び、第二注文181u1,181u2,・・・,181u5同士の値幅はそれぞれ0.10円(即ち値幅入力欄41gに入力された価格)である。また、それぞれの第一注文181t1,181t2・・・,181t5、及びそれぞれの第二注文181u1,181u2,・・・,181u5は10万円分(即ち注文金額入力欄41dに入力された金額)となっている。また、注文情報群181s1,181s2,・・・181s5を形成するそれぞれの第二注文は、第二入力画面41と上記式(1)とに基づいて算出された値(即ち、例えば第一の注文情報群181s1の第一注文181t1と第二注文181u1との値幅が0.50円となる値)となっている。
一方、これらの注文情報群181s1,181s2,・・・181s5においては、全ての逆指値注文181v1,181v2,・・・,181v5の注文価格は、ストップロス価格入力欄41kに入力された価格(この実施の形態では1ドル=100.00円)に設定される。
この実施の形態においては、注文情報群181s1,181s2,・・・181s5が、第一注文181t1,181t2・・・,181t5が買い注文として生成されたとき、各注文情報群181s1,181s2,・・・181s5の第一注文181t1,181t2・・・,181t5、及び第二注文181u1,181u2,・・・,181u5は、生成時の相場価格よりも高くなっている。つまり、全ての第一注文181t1,181t2・・・,181t5、及び全ての第二注文181u1,181u2,・・・,181u5は、第一注文価格入力欄41eに入力された価格以上の価格として生成される。なお、第一注文181t1,181t2・・・,181t5が売り注文の場合は、逆に、全ての第一注文181t1,181t2・・・,181t5、及び全ての第二注文181u1,181u2,・・・,181u5は、第一注文価格入力欄41eに入力された価格以下の価格として生成される。
そして、図6A及び図6Bの(a)に示す通り、全ての 第一注文181t1,181t2・・・,181t5の指値種類情報181Gは「逆指値」として設定され、新規/決済情報181Kは「新規」として設定されている。即ち、全ての 第一注文181t1,181t2・・・,181t5は新規の逆指値注文として生成されている。
図6A及び図6Bに示す通り、第一〜第五の注文情報群181s1,181s2,・・・181s5を形成する各注文181t1,・・・181v5は、注文の通し番号としての注文番号181A、顧客毎に一意に付される顧客番号181B、売買の対象となる通貨の組合せ(主として日本円と外貨の組合せ)を識別するための通貨ペア情報181C、一のポジションの価格情報としての注文金額情報181D、注文が発注された時刻の情報としての注文時刻情報181E、注文が「売り注文」「買い注文」の何れであるかを識別するフラグ情報としての売買方向情報181F、指値注文の種類が「順指値(即ち通常の指値注文)」「逆指値(即ち逆指値注文)」なのかを識別する情報としての指値種類情報181G、「約定価格の情報」としての注文価格情報181H、各注文181t1,・・・181v5の有効期限を示す情報としての注文有効期限情報181I、注文の種別を識別するフラグ情報としての注文種別情報181J、各注文情報が「新規注文」なのか「決済注文」なのかを識別するフラグ情報としての新規/決済情報181K、各注文181t1,・・・,181v5が、発注済の指値注文(又は逆指値注文)の注文情報としての有効な注文情報か、あるいは発注前の指値注文(又は逆指値注文)の注文情報としての無効な注文情報かを識別するためのフラグ情報である、「有効無効識別情報」としての有効/無効情報181L、各注文181t1,・・・,181v5が第一順位の注文情報か、あるいは第二順位の注文情報かを識別するためのフラグ情報としての順位情報181M、各注文181t1,・・・181v5の約定の“有”“無”を識別するためのフラグ情報としての約定有無情報181Nを属性情報として有する。これらの属性情報は、入力画面40から入力された情報に基づくものであり、上述のフィールド定義に基づいて注文テーブル181に記録される。
図6A及び図6Bの有効/無効情報181Lに示す通り、生成された当初、全ての注文情報181t1,・・・181v5は指値注文(又は逆指値注文)として無効(以下単に「無効」と称する。)である無効な注文情報とされている。
図6A及び図6Bの新規/決済情報181Kに示す通り、第一注文181t1,181t2,・・・,181t5は新規の注文情報として生成され、第二注文181u1,181u2,・・・,181u5及び逆指値注文181v1,181v2,・・・,181v5は決済の注文情報として生成されている。
順位情報181Mに示す通り、一の注文情報群(例えば第一の注文情報群181s1)を形成する注文情報のうち、第一注文181t1,181t2,・・・,181t5は約定の順序としての優先順位が高い第一注文であり、第二注文181u1,181u2,・・・,181u5及び逆指値注文181v1,181v2,・・・,181v5は約定の順序としての優先順位が低い第二注文である。第一〜第五の注文情報群181s1,181s2,・・・181s5における第一〜第五の第一注文181t1,181t2,・・・181t10、第一〜第五の第二注文181u1,181u2,・・・181u10、及び第一〜第五の逆指値注文181v1,181v2,・・・181v10は、当初の状態において、有効/無効情報181Lが“無効”とされた状態、即ち、成立した注文としての地位を有しない「無効な注文情報」として注文テーブル181に記録されている。
後述するように、それぞれの注文情報の「有効」や「無効」の状態は取引の段階によって変化するが、注文情報生成部16はそれぞれの注文情報の「有効」や「無効」の初期状態や、状態の変化を逐次注文テーブル181に記録する。これにより、トラップトレードやイフダン注文の取引の実情に即したデータを生成・記録することができるので、金融商品取引管理装置1に用いる他のアプリケーションとの親和性を高めることや、またクライアント端末2の表示部22に「有効」「無効」をリアルタイムで表示できる。更に、第一〜第五の注文情報群181s1,181s2,・・・181s5においては、“trap_seq”フィールド181mによってトラップトレードを行う設定となっている。
また、ステップS3において第一希望価格が不適正な価格と判断された場合(ステップS3の“Yes”)、及び、ステップS5において証拠金の額が注文総額未満であった場合(ステップS5の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文を拒絶する(ステップS10)。即ち、図6A及び図6Bに示す注文情報群181s1,181s2,・・・181s10は生成されず、クライアント端末2の表示部22には注文の受け付けが拒絶されたことを示す文字情報等が表示される。
注文処理の完了後、金融商品取引管理装置1の価格情報受信管理部19は定期的に(例えば1分毎や、1時間毎等の所定時間毎に)為替相場の情報を取得し続ける。そして、相場価格と特定ポジションの注文価格とが一致すると、約定情報生成部14が当該ポジションの注文を約定させることになる。
図7A及び図7Bは、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、トラップトレードによる指値注文の受け付け後の処理手順を示すフローチャートであり、図8及び図9は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、トラップトレードによる指値注文の受け付け後の処理手順を示すタイムチャートである。以下、同図に基づいて処理手順を説明する。なお、図8及び図9において、丸印は一のポジションの注文情報を示す。
注文の受け付け処理の完了後、金融商品取引管理装置1の価格情報受信管理部19は為替相場の情報取得を継続する。
図6A及び図6Bに示す通り、トラップトレード注文による指値注文の受け付け処理が完了した時点t1において、約定情報生成部14は第一順目の第一〜第五の注文情報群181s1,181s2,・・・181s5における第一〜第五の第一注文181t1,181t2,・・・,181t5の有効/無効情報181Lのフラグ情報を“無効”から“有効”に変換することで、これらの買い指値注文を発注する。一方、この時点t1において、第一〜第五の第二注文181u1〜181u5及び第一〜第五の逆指値注文181v1〜181v5の有効/無効情報181Lのフラグ情報は“無効”のままである。従って、時点t1において第一〜第五の第二注文181u1〜181u10及び第一〜第五の逆指値注文181v1〜181v5は無効な注文情報である。
図8に示す通り、例えば、時点t1での米国ドルの相場購入価格71が1ドル=100.00円であったとする。そして、時点t1の後、休日を挟んで為替相場が一旦中断したのちに時点t2にて再開し、いわゆる「板寄せ方式」で相場購入価格71が同じ1ドル=103.50円になった場合を考える。この場合、第一注文が買い注文であり、かつ、相場購入価格71は第一〜第三の第二注文181u1〜181u3よりも高くなっている(ステップS11の“Yes”)。それゆえ、約定情報生成部14は第一〜第三の第二注文181u1〜181u3に対応する第一〜第三の第一注文181t1〜181t3及び第一〜第三の第二注文181u1〜181u3を取り消す処理を行うと共に、新たに、図6Aの(b)に示す通り、指値種類情報181Gが「順指値」となっている第一〜第三の第一注文181t1〜181t3を新たに生成し設定する(ステップS13)。具体的には、第一〜第三の第一注文181t1〜181t3を逆指値注文の注文情報から(順)指値注文の注文情報に置き換える。なお、第一注文が売り注文で相場販売価格が第二注文181u1〜181u3よりも安くなっている場合(ステップS12の“Yes”)にもステップS13による処理を行う。また、ステップS11,S12の条件に適合しない場合(ステップS11,S12の“No”)は、ステップS13の処理は行わない。
この状態で、約定情報生成部14は、第一〜第三の第一注文181t1〜181t3、及び第一〜第三の第二注文181u1〜181u3を約定させる処理を行う。即ち、約定情報生成部14は、相場購入価格71が第一〜第三の第一注文181t1〜181t3の約定価格に達していることを確認すると(ステップS14の“Yes”)、第一〜第三の第一注文181t1〜181t3、を約定させる(ステップS15)。具体的には、約定情報生成部14は、相場購入価格71が第一〜第三の第一注文181t1〜181t3、及び第一〜第三の第二注文181u1〜181u3が約定すると、約定情報生成部14は約定と共に第一〜第三の第一注文181t1〜181t3の約定有無情報181Nのフラグ情報を“無”から“有”に変換する。これにより、注文テーブル181は図10の(a)に示す状態から図10の(b)に示す状態に変換される。そして口座情報生成部15は、約定情報生成部14からの指示を受け、売買額に応じて証拠金情報(後述)を変換し、入出金情報生成部13が入出金の一覧表に入金や出金の状況を記載する。更に、約定情報生成部14は、約定が成立するとクライアント端末2の表示部22に約定が成立した旨の文字情報等を表示させ、また売買価格に基づいてクライアント端末の銀行口座の出入金処理を行う(この実施の形態の「約定」において、金融商品取引管理装置1はすべて同様の処理を行う。)。
そして、約定情報生成部14は、図10の(b)に示すように、第一〜第三の第二注文181u1〜181u3、及び第一〜第三の逆指値注文181v1〜181v3の有効/無効情報181Lのフラグ情報を“無効”から“有効”に変換し、これらの注文を無効から有効に変更する(ステップS16)。この場合、相場購入価格71が第一〜第三の逆指値注文181v1〜181v3の逆指値注文価格に至ることはなく(ステップS17の“No”)、かつ、第一〜第三の第二注文181u1〜181u3の約定価格に至っているので(ステップS18の“Yes”)、約定情報生成部14は、図10の(c)に示すように、第一〜第三の第二注文181u1〜181u3の約定有無情報181Nのフラグ情報を“無”から“有”に変換し、第一〜第三の第二注文181u1〜181u3を約定させる(ステップS19)。なお、この実施の形態において、第一〜第三の第二注文181u1〜181u3が約定された場合、対応する第一〜第三の逆指値注文181v1〜181v3は取り消されたものとして扱われる(ステップS19)。この場合、約定情報生成部14が注文テーブル181中の対応する逆指値注文のデータを消去し、かつ、消去したことをクライアント端末2の表示部22に表示させる処理を行う。
なお、ステップS15、ステップS19において、約定情報生成部14は、第一〜第三の第一注文181t1〜181t3、及び第一〜第三の第二注文181u1〜181u3を約定する際にスリッページ(注文した価格と約定した価格との価格差のこと。)が発生した場合であってもこれらの注文の約定を行う。具体的には、例えば、約定情報生成部14は、相場価格が、例えば第一の第一注文181t1の約定価格として発注された1ドル=101.00円ちょうどの場合のみならず、予め設定されたスリッページ許容価格を加算又は減算した額(スリッページ許容価格が0.20円で設定されている場合には、1ドル=101.00円+0.20円=101.20円まで、又は、1ドル=101.00円−0.20円=100.80円まで)であれば第一の第一注文181t1を約定させるように設定する。また、他の注文情報についても同様に約定させるように設定する。これにより、スリッページ発生時でも約定が行われる(この実施の形態の「約定」において、金融商品取引管理装置1はすべて同様の処理を行う。)。
一方、上述の場合と違い、「板寄せ方式」による処理等が行われず、時点t1から時点t2にかけて米国ドルの相場購入価格71が1ドル=100.00円から1ドル=103.50円まで漸次変化していった場合には、第一〜第三の第一注文181t1〜181t3の指値種類情報181Gが「逆指値」のままで、第一〜第三の第一注文181t1〜181t3、及び第一〜第三の第二注文181u1〜181u3を漸次約定させる処理を行うことになる。この場合、図9に示すように、全てのポジションの処理は時点t1〜t11にかけて順次行われることになる。またこの場合ステップS11,S12が“Yes”になることはないので(ステップS11,S12の“No”)、ステップS13の処理は行われず、ステップS14〜S19の処理が行われる。
なお、第一注文が新規の逆指値注文又は新規の指値注文として約定した後、米国ドルの相場購入価格71が決済の逆指値注文の価格、例えば図8に示す通り、時点t2において第一〜第五の逆指値注文181v1〜181v3の約定価格である1ドル100.00円まで下落した場合(ステップS17の“Yes”)、約定情報生成部14はこれら約定した第一注文に対応する逆指値注文の約定を行う。例えば、約定情報生成部14は、ステップS15で約定された第一の第一注文181t1が新規の逆指値注文として約定された場合においては、図10の(d)に示すように第一の逆指値注文181v1の約定有無情報181Nのフラグ情報を“無”から“有”に変換し、第一の逆指値注文181v1を約定させる(ステップS21)。これにより、金融商品の相場が従来の相場よりも大きく変動してしまい当面回復の見込みがない場合等において、指値取引を行う顧客が被る損害を最小限に留めることができる。
そして、約定情報生成部14は、第一〜第五の逆指値注文181v1〜181v5の何れかに基づいて約定を行った場合、約定された第一〜第五の逆指値注文181v1〜181v5を生成した売買注文申込情報に基づいて生成された全ての注文情報群181s1〜181s5のうち、現在有効で約定前の第二注文及び逆指値注文情報の約定時点で未生成である注文情報群を全てキャンセル処理を行う(ステップS22,S23)。具体的には、約定情報生成部14は、第一の逆指値注文181v1の約定時点において有効で約定前の第二注文、例えば及び第二,第三の第二注文181u2,181u3をキャンセル処理し、更に、注文テーブル181に記載された第一〜第五の注文情報群181s1〜181s5のうち、時点t11において未生成の注文情報群181s1〜181s5を全て注文テーブル181から消去し(ステップS23)、かつキャンセルされたことをクライアント端末2の表示部22に表示させる処理を行う(この実施の形態における「キャンセル処理」は全て同じ処理を行う。)。このようにキャンセル処理を行うことで、一の逆指値注文に基づいて、逆指値注文情報の約定時点以降におけるトラップトレード等の指値注文による売買を全て中止させることができる。これにより、金融商品の相場が従来の相場よりも大きく変動してしまい当面回復の見込みがない場合等において、指値取引を行う顧客が被る損害を最小限に留めることができる。
第一〜第五の逆指値注文181v1〜181v5の何れかに基づく約定が行われない場合、ステップS14〜S19までの処理は全ての第一注文181t1〜181t3及び第二注文181u1〜181u3が約定するまで繰り返される(ステップS20の“No”)。
なお、この実施の形態の金融商品取引管理装置1は、クライアント端末2から一度生成された指値注文の価格及び金額の変更の要求があった場合、当該要求が不正要求であるものとして入力エラー扱いで処理する。具体的には、当該要求に基づいた、注文テーブル181のデータの変更や口座情報生成部15、入出金情報生成部13によるデータ生成や変更処理等、金融商品取引管理装置1から金融機関へのデータや信号等の送受信は行われない。また、クライアント端末2の表示部22には入力エラーである旨の表示を行わせる。これにより、価格や金額の頻繁な要求で金融商品の売買元である銀行側の業務が過大になることを防止できる。
一方、クライアント端末2の第三の入力画面(図示せず)において注文キャンセルボタン(図示せず)がクリックされて、一度生成されたトラップトレード等のキャンセル要求があった場合、金融商品取引管理装置1の約定情報生成部14は、キャンセル要求のあったトラップトレード等に含まれる注文情報群を抽出し、この注文情報群のうち約定未成立の第二注文や逆指値注文を全てキャンセルされたものとして処理する。例えば、図8におけるt2とt3の間の時点で、クライアント端末2から第五の注文情報群181s5に対するキャンセル要求があった場合、時点t3で約定予定の第五の第二注文181u5及び約定していない第五の逆指値注文181v5(図8に図示せず)がキャンセル処理される。
このように、一旦生成された金融商品の注文に対するキャンセル要求があった場合、キャンセル要求のあった注文に関する注文情報が含まれる注文情報群を抽出し、注文情報群に含まれる約定前の注文情報を全てキャンセル処理を行うことにより、トラップトレードによる指値注文の取扱が煩雑化することを防止できる。
なお、この実施の形態の構成に代えて、注文キャンセルボタン(図示せず)によるキャンセル要求により、更に、キャンセル要求があった時点で有効だが約定していない全ての第二注文(例えば上記の例においては時点t3において約定予定の第二〜第五の第二注文181u2〜181u5)をキャンセル処理を行う構成としてもよい。
なお、クライアント端末2から受けた注文が通常の成行注文(注文した時点の相場価格で金融商品の売買を行う取引方法)である場合には、ステップS8にて注文情報が生成されると即座に約定情報生成部14が当該注文を約定させ、ステップS9の処理、及びステップS21以降の処理は行われない。
以上、この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、注文情報生成部16は、それぞれの注文情報群において、注文情報群を形成する逆指値注文の買い注文情報/売り注文情報に約定の順序としての優先順位の高い第一注文としての第一注文識別情報を付与すると共に、指値注文の売り注文情報/買い注文情報に約定の順序としての優先順位の低い第二注文としての第二注文識別情報を付与し、第一注文としての注文情報を有効な注文情報とする有効情報識別情報が付与された状態とすると共に、第二注文としての注文情報及び逆指値注文情報を無効な注文情報とし、価格情報受信管理部19が取得した相場価格情報が第二注文の価格よりも高い場合/低い場合には、第一注文としての買い注文情報/売り注文情報、及び、第二注文としての売り注文情報/買い注文情報を取り消す処理を行うことにより、逆指値注文の第一注文と指値注文の第二注文とがイフダンオーダーを形成しており、これら第一注文と第二注文とを約定させることで顧客が利益を得られない状況において第一注文と第二注文が約定されてしまう事態を確実に防ぐことができる。これにより、第一注文が逆指値注文のイフダンオーダーにおいて、第一注文と第二注文との約定によって顧客が不利益を被りうる事態を回避させて、指値注文を行う顧客が被るリスクを低減させることができる。
この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、注文情報生成部16は、価格情報受信管理部19による相場価格情報の取得が一旦終了したのちに取得が再開した際において、価格情報受信管理部19が取得した相場価格情報が売り注文情報としての第二注文の価格よりも高い場合、又は、価格情報受信管理部19が取得した相場価格情報が買い注文情報としての第二注文の価格よりも低い場合には、第一注文としての買い注文情報及び第二注文としての売り注文情報を取り消す処理を行うことにより、金融商品の取引市場が一旦終了した後に再開した場合にいわゆる「板寄せ方式」で約定価格が決定された場合において、第一注文と第二注文が約定されてしまう事態を確実に防ぐことができる。これにより、第一注文が逆指値注文のイフダンオーダーにおいて、第一注文と第二注文との約定によって顧客が不利益を被りうる事態を回避させて、指値注文を行う顧客が被るリスクを一層低減させることができる。
この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、注文情報生成部16は、一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品をそれぞれ一の価格について指値注文する、第一注文の注文情報を複数含む注文情報群を生成することにより、一の売買注文申込情報に基づいて複数の第一注文の注文情報が生成された場合において、第一注文と第二注文との約定によって顧客が不利益を被りうる事態を回避させて、指値注文を行う顧客が被るリスクを一層低減させることができる。
この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、注文情報群には、買い注文情報及び売り注文情報の対象となっている金融商品を更に他の価格について逆指値注文する逆指値注文情報が含まれることにより、顧客が将来的に所有する金融商品を逆指値注文によって売却することもできる。これにより、将来の相場の状況に応じて指値注文による取引を自動的に中止させることができて、システムを利用して指値注文を行う顧客が被るリスクを低減させることができる。
この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、逆指値注文情報は、決済の逆指値注文の注文情報として生成されることにより、逆指値注文を、真に逆指値注文が必要とされる、顧客が指値取引によって生ずる損害を最小限に留める為に決済手続を行う場面のみに限定できて、逆指値注文の乱用防止とシステム内における情報処理の煩雑化を防止とを図ることができる。
この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、約定情報生成部14は、第一順位の注文情報及び第二順位の注文情報を約定する際にスリッページが発生した場合であっても第一順位の注文情報及び第二順位の注文情報の約定を行うことにより、第一順位、及び第二順位の注文情報としての指値注文の約定を容易にし、イフダンオーダーを行う際に顧客が被るリスクを一層低減させることができる。
この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、顧客の預金残高情報としての証拠金情報を管理する口座情報生成部15と、金融商品の取引に必要な証拠金の額を算出する注文入力受付部12とを備え、注文入力受付部12は、証拠金の算出時に発生しうるスリッページの修正を含めた態様で証拠金の算出を行い、注文情報生成部16は、口座情報生成部15が取得した証拠金情報が注文入力受付部12が算出した証拠金の金額以上である場合には、注文情報群の生成を行うことにより、注文情報群の生成時に必要な証拠金を、証拠金の算出時に発生しうるスリッページを考慮した修正額まで含めた額として算出することができる。これにより、本来は許容されるべき注文情報群の生成がスリッページの発生によって妨げられてしまうような不都合を防止し、システムを利用する顧客の利便性を高めることができる。
この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、約定情報生成部14は、逆指値注文情報に基づいて約定を行った場合、逆指値注文情報を生成した売買注文申込情報に基づいて生成される注文情報群のうち、逆指値注文情報の約定時点で未生成である注文情報群を全て注文情報記録手段から消去するキャンセル処理を行うことにより、一の逆指値注文情報に基づいて、逆指値注文情報の約定時点以降におけるイフダンオーダー等の指値注文による売買を全て中止させることができる。これにより、金融商品の相場が従来の相場よりも大きく変動してしまい当面回復の見込みがない場合等において、指値取引を行う顧客が被る損害を最小限に留めることができる。
この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、注文情報生成部16が一の売買注文申込情報に基づいて生成する注文情報群は、一の注文情報群を形成する金融商品の商品数が一定であり、複数の価格帯の注文情報群における買い注文情報同士の値幅及び売り注文情報同士の値幅がそれぞれ一定であることにより、金融商品を注文する際のクライアント端末側からの命令内容を簡素化できる。また、一定の商品数の注文を一定の値幅ごとに形成した、リスク分散の効果が高い注文を行うことができる。これにより、指値注文による取引を一層効率的かつ円滑に行うことができる。
この実施の形態1の金融商品取引管理装置1においては、約定情報生成部14は、一旦生成された金融商品の注文を取り消す要求としてのキャンセル要求があった場合、キャンセル要求のあった注文に関する注文情報が含まれる注文情報群を抽出し、注文情報群に含まれる約定前の注文情報を全て注文情報記録手段から消去するキャンセル処理を行うことにより、指値注文の取扱が煩雑化することを防止できる。これにより、システムを利用する顧客の利便性を一層高めつつ、システム構成及びシステムにおける情報処理の複雑化を防止できる。
なお、この実施の形態1においては、金融商品取引管理装置1はクライアント端末2の表示部22に第一入力画面40及び第二入力画面41を表示させ、これらの入力画面40,41に入力されたデータに基づいて、第一注文及び第二注文のポジション数がそれぞれ同数生成される構成としたが、これに限定されず、例えば、図5に示す第二入力画面41に代えて図11に示す第二入力画面44をクライアント端末2に表示させ、この第二入力画面44に顧客が入力したデータに基づいて第一注文のポジションの数を設定する構成(以下「変形例」と称する。)とすることもできる。
変形例においては、第二入力画面44の第一注文価格入力欄44aに入力された値を基準となる第一注文(最初に約定される第一注文)として設定し、この基準となる第一注文から値幅入力欄44bに入力された値ずつ値幅をおいて、トラップ本数選択欄44cに入力された数だけ、各ポジションの第一注文の価格が算出される。なお、第二注文の価格は、第二入力画面44内、又は第三入力画面(図示せず)に設けられる第二注文価格入力欄(図示せず)に入力されてもよいし、実施の形態1と同様に第二入力画面44等に入力された数値と所定の演算式とを用いて算出してもよいし、予め設定された所定の値であってもよい。また、第二注文のポジション数は一であってもよいし複数であってもよい。
なお、実施の形態1と変形例とを併用する場合、注文テーブル181の“trap_seq”フィールド181mは実施の形態1と変形例とを区別できる態様に設定されていることが望ましい。
[発明の実施の形態2]
図12乃至図16に、この発明の実施の形態2を示す。
この実施の形態においては、実施の形態1のトラップトレードに代えて、一の第一注文と他の第二注文とをイフダン取引によって繰り返し発注し約定する取引形態(以下この取引形態を「リピートイフダン注文」と称する。)を行う点で相違する。
金融商品取引管理装置1がクライアント端末2の表示部22に第一入力画面40、次いで第二入力画面41を表示させ、顧客が注文種類選択ボタン41bで「リピートイフダン注文」を選択すると、表示部22にはリピートイフダン注文の入力用の第二入力画面42が表示される。図12は、第一入力画面40でUSドル/日本円(日本円でUSドルを売買する)の「買い」の売買種類選択ボタン401aを選択し、第二入力画面41の注文種類選択ボタン41bで「リピートイフダン注文」が選択されたときに表示される第二入力画面42のイメージ図である。同図に示す通り、第二入力画面42には、注文種類選択ボタン42a、第一注文の注文価格を入力する第一注文価格入力欄42b、第二注文の注文価格を入力する第二注文価格入力欄42c、最初に約定させる第一注文の売買の種類を選択する第一注文売買種類選択ボタン42d、第二注文の売買の種類を選択する第二注文売買種類選択ボタン42e、第二入力画面41の注文金額入力欄41dと同様の注文金額入力欄42f、一のポジションの第一注文と第二注文との売買によって得られる利益の金額を入力する利益金額指定欄42g、第二入力画面41のストップロス注文用チェックボックス41j、及びストップロス価格入力欄41k、及び注文確定ボタン41mと同様のストップロス注文用チェックボックス42h、及びストップロス価格入力欄42i、及び注文確定ボタン42jが表示されている。
顧客は、操作部21を用いて第一入力画面40、第二入力画面42に注文内容のデータを選択・入力する。図12においては、図4に示す第一入力画面40において売買希望通貨ペア選択ボタン401にてUSドル/日本円(日本円でUSドルを売買する)の「買い」の売買種類選択ボタン401aが選択され、第二入力画面41の注文種類選択ボタン41bで「リピートイフダン注文」が選択された際の第二入力画面42が示されている。そして、この第二入力画面42においては、第一注文価格入力欄42bに101.00(円)、第二注文価格入力欄42cに101.50(円)、第一注文売買種類選択ボタン42dにおいて「新規・買・逆指値(注文)」が選択され、第二注文売買種類選択ボタン42eにおいて「決済・売・指値(注文)」が選択され、注文金額入力欄42fに10(万円)、利益金額指定欄42gに50000(円)の選択がされ、第二入力画面41のストップロス注文用チェックボックス42hにチェックが入り、及びストップロス価格入力欄42iに100.00(円)が入力された状態が示されている。
なお、図12においては第二注文価格入力欄42c、注文金額入力欄42f、利益金額指定欄42gの全てに金額が入力された状態が示されているが、これに限らず、第二注文価格入力欄42c、注文金額入力欄42f、利益金額指定欄42gのうち何れか二つのみに数値が入力されていれば足りる。なお、数値が入力されていない一つの欄の数値(金額)は、注文確定ボタン42jがクリックされたのち、第一注文価格入力欄42bに入力された金額と、残り二つの欄に入力された数値(金額)とに基づいて注文入力受付部12が算出する。例えば図12において第一注文価格入力欄42b、第二注文価格入力欄42c、注文金額入力欄42fのみに数値が入力されている場合、注文入力受付部12はこれらの数値に基づいて(101.50−101.00)×100000=50000、という形で利益金額指定欄42gに入力されるべき数値を算出する。また、注文入力受付部12は実施の形態1における式(1)や式(1)’を用いて数値を算出してもよい。
この状態で注文確定ボタン42jがクリックされると、実施の形態1と同様にステップS1〜S10の処理が行われて注文情報、注文情報群が生成され、注文テーブル181に記録される。このとき、“repeat_flag”フィールド181nによって、イフダンオーダーを繰り返し行うことが定義される。
図14A及び図14Bの(a)は、注文情報生成部16によってステップS1〜S10の手順に基づいて生成されて注文テーブル181に記録された、注文情報群を模式的に示した図である。なお、同図に示す態様のテーブルは、フロントページ配信部11によってクライアント端末2の表示部22にも画像表示される。同図に示す通り、注文テーブル181においては、一組の注文情報群181s11が記録されている。この注文情報群181s11は、実施の形態1と同様に、同一種類の金融商品を一の価格で逆指値注文する「買い注文情報」としての第一注文181t11と、第一注文181t1の対象となっている金融商品を他の価格で指値注文する「売り注文情報」としての第二注文181u11と、買い注文情報及び売り注文情報の対象となっている金融商品を更に他の価格(ストップロス価格)について逆指値注文する逆指値注文181v11からなる、一の価格帯の情報群を形成する。
この注文情報群181s11においては、属性情報の構成は実施の形態1の各注文情報群181s1,181s2,・・・181s5と同じである。一方、図14A及び図14Bにおいては、第一注文181t11に示された注文価格が1ドル101.00円(即ち第一注文価格入力欄42bに入力された価格)で、第二注文181u11に示された注文価格が1ドル101.50円(即ち第二注文価格入力欄42cに入力された価格)で、逆指値注文181v11に示された注文価格は100.00円(即ちストップロス価格入力欄42iに入力された価格)である。また、第一注文181t11、第二注文181u11、逆指値注文181v11は10万円分(即ち注文金額入力欄42fに入力された金額)となっている。
一方、この注文情報群181s11においては、逆指値注文181v11の注文価格を、ストップロス価格入力欄41kに入力された価格(この実施の形態では1ドル=100.00円)に設定する。
そして、図14Aに示す通り、 第一注文181t11の指値種類情報181Gは「逆指値」として設定され、新規/決済情報181Kは「新規」として設定されている。即ち、第一注文181t11は新規の逆指値注文として生成されている。更に、注文情報群181s11においては、“repeat_flag”フィールド181nによってイフダンオーダーを繰り返し行う設定がされる。
なお、図14A及び図14Bには第一注文181t11が買い注文の場合を示したが、逆に第一注文181t11が売り注文の場合も同様に設定される。そして、その他の構成は実施の形態1と同じである。
図13A及び図13Bは、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、トラップトレードによる指値注文の受け付け後の処理手順を示すフローチャートであり、図15及び図16は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、トラップトレードによる指値注文の受け付け後の処理手順を示すタイムチャートである。以下、同図に基づいて処理手順を説明する。なお、図15及び図16において、丸印は一のポジションの注文情報を示す。
注文の受け付け処理の完了後、ステップS11〜S13までの処理は実施の形態1と同じである。そして、図15に示す通り、例えば、時点t1での米国ドルの相場購入価格71が1ドル=100.00円であり、為替相場が一旦中断したのちに時点t2にて再開し、いわゆる「板寄せ方式」で相場購入価格71が同じ1ドル=103.50円になった場合を考える。この場合、第一注文が買い注文で、かつ、相場購入価格71は第二注文181u11よりも高くなっている(ステップS11の“Yes”)。それゆえ、約定情報生成部14は第一注文181t11及び第二注文181u11を取り消す処理を行う。具体的には、第一〜第三の第一注文181t11を逆指値注文の注文情報から(順)指値注文の注文情報に置き換える。更に、約定情報生成部14は、新たに、図14A、図14Bの(b)に示す通り、指値種類情報181Gが「順指値」となっている第一注文181t11を新たに生成し設定する(ステップS13)。
この状態で、約定情報生成部14は、第一注文181t11及び第二注文181u11を約定させる処理を行う。即ち、約定情報生成部14は、相場購入価格71が第一注文181t11の約定価格に達していることを確認すると(ステップS14の“Yes”)、第一注文181t11を約定させる(ステップS15)。具体的には、図14Bの(b)に示す通り、約定情報生成部14は約定と共に第一注文181t11の約定有無情報181Nのフラグ情報を“無”から“有”に変換する。また、第二注文181u11及び逆指値注文181v11の有効/無効情報181Lを「無効」から「有効」に変換し、更に、ステップS15〜S19について、実施の形態1と同様に処理が行われる。
なお、ステップS15、ステップS19において、約定情報生成部14は、第一注文181t11、及び第二注文181u11を約定する際にスリッページが発生した場合であっても、実施の形態1と同様にこれらの注文の約定を行う。
一方、「板寄せ方式」による処理等が行われず、時点t1から時点t2にかけて米国ドルの相場購入価格71が1ドル=100.00円から1ドル=101.50円まで漸次変化していった場合、図14A、図14Bの(e)に示す通り、第一注文181t11の指値種類情報181Gが「逆指値」のままで、第一注文181t11、及び第二注文181u1〜181u3を漸次約定させる処理を行うことになる。この場合、図16に示すように、全てのポジションの処理は順次行われることになる。またこの場合ステップS11,S12が“Yes”になることはないので(ステップS11,S12の“No”)、ステップS13の処理は行われず、ステップS14〜S19の処理が行われる。
そして、第一注文181t11、第二注文181u11が約定し、第二注文181u11が約定した時点t3の直後の時点t4において、ステップS1での入力により生成された注文情報がまだ全て約定していない場合には(ステップS20の“No”)、口座情報生成部15が再度顧客口座情報テーブル182の当該顧客の証拠金情報を取得する。そして、注文入力受付部12は、再度、取得された証拠金情報と顧客の注文総額とを対比し、証拠金の額が注文総額以上であるか否かを確認する(ステップS24)。証拠金の額が注文総額を下回る場合(ステップS25の“Yes”)には、注文総額以上になるまで処理は保留され、証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS25の“No”)、注文情報生成部16は、新たな注文情報群181s11を新たに生成する(ステップS26)。このとき、図14A、図14Bの(c)に示す通り、この注文情報群181s11の第一注文181t11は、当初から指値種類情報181Gが「順指値」となっている点が同図(a)に示す注文情報群181s11と異なる。注文情報生成部16は、ステップS9と同様に、生成された注文情報群181s11を注文テーブル181に記録する(ステップS27)。そして、ステップS14以降の処理が繰り返される。
即ち、この注文情報群181s11は図15に示す時点t3において相場購入価格71が1ドル101.50円となり第一注文181t11が約定すると図14A、図14Bの(d)に示す通り、第一注文181t11の約定有無情報を「無」から「有」に変換し、第二注文181u11、及び逆指値注文181v11の有効/無効情報181Lを「無効」から「有効」に変換し、図15に示す時点t5において相場購入価格71が1ドル101.00円となると第二注文u11の約定有無情報を「無」から「有」に変換する。以後この処理が繰り返される。
一方、第一注文が新規の逆指値注文又は新規の指値注文として約定した後、米国ドルの相場購入価格71が決済の逆指値注文の価格、例えば図15、図16に示す通り、時点t7(図15)、時点t8(図16)において逆指値注文181v11の約定価格である1ドル100.00円まで下落した場合(ステップS17の“Yes”)、実施の形態1と同様、約定情報生成部14はこれら約定した第一注文に対応する逆指値注文の約定を行う。例えば、約定情報生成部14は、ステップS15で約定された第一の第一注文181t1が新規の逆指値注文として約定された場合においては、図14A、図14Bの(f)に示すように第一の逆指値注文181v1の約定有無情報181Nのフラグ情報を“無”から“有”に変換し、第一の逆指値注文181v1を約定させる(ステップS21)。またステップS22、S23の処理も行う。
この実施の形態2の金融商品取引管理装置1においては、注文情報生成部16は、一の売買注文申込情報に基づいて一の価格帯の注文情報群を複数生成することにより、一の売買注文申込情報に基づいて、一の価格帯の注文情報群が複数生成される場合において、注文情報群を形成する第一注文と第二注文との約定によって顧客が不利益を被りうる事態を回避させて、指値注文を行う顧客が被るリスクを一層低減させることができる。
この実施の形態2の金融商品取引管理装置1においては、注文情報に基づいて金融商品の約定を行う約定情報生成部14を備え、約定情報生成部14は、一の注文情報群を形成する第一注文としての注文情報が約定された場合には第二注文としての注文情報及び逆指値注文情報を無効な注文情報から有効な注文情報とすると共に、有効な注文情報とされた第二注文としての注文情報が約定した場合には一の注文情報群を再度生成することにより、クライアント端末から受信した一の売買注文申込情報に基づいて、コンピュータシステム上で複数のイフダンオーダーによる取引を実現できる。これにより、金融商品の指値注文において、システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく複数のイフダンオーダーを行うことを可能にし、システムを利用する顧客の利便性を高めることができる。
[発明の実施の形態3]
図17乃至図20に、この発明の実施の形態3を示す。
この実施の形態3においては、実施の形態1のトラップトレード、実施の形態2のリピートイフダン注文に代えて、一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品を、一の価格帯においてイフダンオーダーで複数回取引することを、複数の価格帯に渡って行う注文形態である「トラップリピートイフダン注文」を行う点で相違する。
金融商品取引管理装置1がクライアント端末2の表示部22に第一入力画面40、次いで第二入力画面41を表示させ、顧客が注文種類選択ボタン41bで「トラップリピートイフダン注文」を選択すると、表示部22にはトラップリピートイフダン注文の入力用の第二入力画面43が表示される。図17は、第一入力画面40でUSドル/日本円(日本円でUSドルを売買する)の「買い」の売買種類選択ボタン401aを選択し、第二入力画面41の注文種類選択ボタン41bで「トラップリピートイフダン注文」が選択されたときに表示される第二入力画面43のイメージ図である。同図に示す通り、第二入力画面43には、実施の形態1の第二入力画面41と同様の売買種類選択ボタン43a、注文種類選択ボタン43b、注文条件選択欄43c、注文金額入力欄43d、第一注文価格入力欄43e、トラップ本数選択欄43f、値幅入力欄43gが表示され、また、実施の形態2の第二入力画面42と同様の利益金額指定欄43h、ストップロス注文用チェックボックス43i、ストップロス価格入力欄43jが表示されている。
顧客は、操作部21を用いて第一入力画面40、第二入力画面43に注文内容のデータを選択・入力する。図17においては、売買種類選択ボタン43aで第一注文「買い」の取引が選択され、注文条件選択欄43cで「指値」が選択され、注文金額入力欄43dに10(万円)、第一注文価格入力欄43eに101.00(円)が入力され、トラップ本数選択欄43fにおいて5(本)が選択され、値幅入力欄43gに1.00(円)が入力され、利益金額指定欄43hに50000(円)が入力され、ストップロス注文用チェックボックス43iにチェックが入り、ストップロス価格入力欄43jに100.00(円)が入力された状態が示されている。
この状態で注文確定ボタン43kがクリックされると、実施の形態1及び2と同様にステップS1〜S10の処理が行われて注文情報、注文情報群が生成され、注文テーブル181に記録される。
図18A、図18Bの(a)は、注文情報生成部16によってステップS1〜S10の手順に基づいて生成されて注文テーブル181に記録された、注文情報群を模式的に示した図である。同図に示す通り、第二注文の注文価格情報181Hには、対応する第一注文、例えば第二注文181u21に対応する第一注文181t21の第一注文価格入力欄43eに入力された数値(101.00(円))に、利益金額指定欄43hに入力された数値を注文金額入力欄43dに入力された数値で割った値(50000(円)÷10(万円)=0.5(円))を加えた値が示されている。この数値は第二入力画面43に入力された数値に基づいて注文入力受付部12が算出したものである。なお、注文入力受付部12は、実施の形態1の式(1)’等を用い、金融商品取引管理装置1の管理者の利益を加えた数値を当該注文価格情報181Hとして算出することもできる。更に、これらの注文情報群181s21,181s22,・・・181s25においては、“trap_seq”フィールド181mによってトラップトレードが選択された設定、及び“repeat_flag”フィールド181nによってイフダンオーダーを繰り返し行う設定がされる。そして、その他の構成は実施の形態1と同じである。
この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、トラップリピートイフダン注文による指値注文の受け付け後の処理手順は、図13A、図13Bに示す、実施の形態2における処理手順と同じである。図19及び図20は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、トラップリピートイフダン注文による指値注文の受け付け後の処理手順を示すタイムチャートである。以下、同図に基づいて処理手順を説明する。なお、図19及び図20において、丸印は一のポジションの注文情報を示す。
注文の受け付け処理の完了後、ステップS11〜S19までの処理は実施の形態1と同じである。そして、一方、第一注文が新規の逆指値注文又は新規の指値注文として約定した後、最初に行われる第一〜第五の注文情報群181s21〜181s25の処理は、実施の形態1と同じである。例えば、図19における時点t1での米国ドルの相場購入価格71が1ドル=100.00円であり、為替相場が一旦中断したのちに時点t2にて再開し、いわゆる「板寄せ方式」で相場購入価格71が同じ1ドル=103.50円になった場合、約定情報生成部14は第一〜第三の第一注文181t21〜181t23及び第一〜第三の第二注文181u21〜181u23を取り消す処理を行う。具体的には、第一〜第三の第一注文181t21〜181t23を逆指値注文の注文情報から(順)指値注文の注文情報に置き換える。更に、約定情報生成部14は、新たに、指値種類情報181Gが「順指値」となっている第一〜第三の第一注文181t21〜181t23を生成、設定し、第一〜第三の第一注文181t21〜181t23及び第一〜第三の第二注文181u21〜181u23を約定させる。即ち、約定情報生成部14は、図18A、図18Bの(a)に示す各注文情報群181s21〜181s23について、図6Aの(b)に示すように第一〜第三の第一注文181t21〜181t23の指値種類情報181Gのフラグ情報を「逆指値」から「順指値」に変換し、図10の(b)に示すように第一〜第三の第二注文181u21〜181u23、及び第一〜第三の逆指値注文181v21〜181v23の有効/無効情報181Lのフラグ情報を「無効」から「有効」にし、第一〜第三の第一注文181t21〜181t23の約定有無情報181Nのフラグ情報を「無」から「有」に変換する。また、約定情報生成部14は、図10の(c)に示すように、第一〜第三の第二注文181u21〜181u23の約定有無情報181Nのフラグ情報を「無」から「有」に変換する。
本実施の形態においては、実施の形態1とは異なり、注文情報生成部16は、第二注文が約定すると、当該第二注文を含む注文情報群を再度生成する。例えば、図10の(c)に示すように、第一〜第三の第二注文181u21〜181u23の約定有無情報181Nのフラグ情報を「無」から「有」に変換された後、注文情報生成部16は、図18A、図18Bの(b)に示すように第一〜第三の注文情報群181s21〜181s23が再度繰り返し生成される。また、第四、第五の第二注文181u24,181u25が約定した場合も、同様に第四、第五の注文情報群181s24〜181s25が再度繰り返し生成される。ただし、図18Aの(b)に示すように、二度目以降に生成される注文情報群181s21〜181s25の第一注文、例えば図18A、図18Bにおいては、再度生成された第一〜第三の注文情報群181s21〜181s23は第一〜第三の第一注文181t21〜181t23の指値種類情報181Gが「順指値」として生成される。
なお、約定情報生成部14は、ステップS15、ステップS19において第一注文181t21、及び第二注文181u21を約定する際にスリッページが発生した場合であっても、実施の形態1と同様にこれらの注文の約定を行う。
一方、図20に示すように、「板寄せ方式」による処理等が行われず、時点t1から時点t2にかけて米国ドルの相場購入価格71が1ドル=100.00円から1ドル=101.50円まで漸次変化していった場合も、図10の(b)及び(c)に示す処理が行われ、約定した第二注文、例えば第一の第二注文181u21を含む第一の注文情報群181s21が再度生成されるが、この場合も再度生成された第一の注文情報群181s21は第一の第一注文181t21の指値種類情報181Gが「順指値」として生成される。
一方、米国ドルの相場購入価格71が決済の逆指値注文の価格、例えば図19、図20に示す通り、時点t11(図19)、時点t12(図20)において逆指値注文181v21の約定価格である1ドル100.00円まで下落した場合(ステップS17の“Yes”)、実施の形態1及び2と同様、約定情報生成部14はこれら約定した第一注文に対応する逆指値注文の約定を行う。例えば、約定情報生成部14は、ステップS15で約定された第一の第一注文181t21が新規の逆指値注文として約定された場合においては、図10の(d)に示すように第一の逆指値注文181v21の約定有無情報181Nのフラグ情報を“無”から“有”に変換し、第一の逆指値注文181v21を約定させる(ステップS21)。またステップS22、S23の処理も行う。
以上、この実施の形態においては、注文情報生成部16は、一の売買注文申込情報に基づいて、複数の価格帯の注文情報群をそれぞれの価格帯において複数生成することにより、一の売買注文申込情報に基づいて、複数の価格帯の注文情報群がそれぞれの価格帯において複数生成される場合において、注文情報群を形成する第一注文と第二注文との約定によって顧客が不利益を被りうる事態を回避させて、指値注文を行う顧客が被るリスクを一層低減させることができる。
この実施の形態の金融商品取引管理装置1によれば、注文情報に基づいて金融商品の約定を行う約定情報生成部14を備え、約定情報生成部14は、一の注文情報群を形成する第一注文としての注文情報が約定された場合には第二注文としての注文情報及び逆指値注文情報を無効な注文情報から有効な注文情報とすると共に、有効な注文情報とされた第二注文としての注文情報が約定した場合には一の注文情報群を再度生成することにより、クライアント端末2から受信した一の売買注文申込情報に基づいて、コンピュータシステム上で複数のイフダンオーダーによる取引を実現できる。これにより、金融商品の指値注文において、システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく複数のイフダンオーダーを行うことを可能にし、システムを利用する顧客の利便性を高めることができる。
なお、上記各実施の形態の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱うものとしたが、これに限定されず、他の金融商品、例えば株式、債券を取扱う金融商品取引管理システムにおいても本発明を適用できる。
また、上記各実施の形態の金融商品取引管理システム1Aにおいては、注文情報群を形成する買い注文情報を「第一注文」とし、売り注文情報を「第二注文」としたが、逆に、売り注文情報を「第一注文」とし、買い注文情報を「第二注文」としてもよい。
上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。