本発明の建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の建具は、スライド式の障子を備えた建具である。以下では、引戸を例にとり、建具の複数の実施形態について説明する。また、建具は、浴室の出入口に設置される浴室用のドアであり、浴室と脱衣室の間に配置される。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の建具1の正面図であり、建具1の概略構成を示している。図1において、左右方向が水平方向であり、上下方向が垂直方向である。
図示のように、建具1は、三枚片引戸であり、建物の開口部に設置される。また、建具1は、3つの障子3と、障子3を囲む枠体4を備えている。障子3は、スライドにより移動する方形状の可動体であり、枠体4にスライド可能に取り付けられている。3つの障子3は、枠体4の開口部4Aにおいて、障子3の厚み方向(建具1の奥行方向)に互いにずらして配置され、それぞれ左右方向にスライドして移動する。障子3のスライド(移動)により、枠体4の開口部4Aが開閉される。
障子3は、方形状の框体10と、框体10内に配置されたパネル体11を有している。框体10は、枠組みされた4つの框12〜14(上框12、下框13、一対の縦框14)を有している。框12〜14は、それぞれ障子3の縁部(上縁部、下縁部、一対の縦縁部)に設けられた長尺な框材であり、例えば、押出成形により形成されている。パネル体11は、方形状の面材であり、框体10に嵌め込まれている。ハンドル15が、左右両側の障子3の一方の縦框14(戸先框)に取り付けられている。ハンドル15を用いて、障子3をスライドして、枠体4の開口部4Aを開閉する。
枠体4は、建物の開口部に設置される方形状の開口枠(引戸枠)であり、枠組みされた4つの枠5〜7(上枠5、下枠6、一対の縦枠7)を有している。枠5〜7は、枠体4を構成する長尺な枠材であり、例えば、押出成形により形成されている。4つの枠5〜7により、方形状の開口部4Aが枠体4の内側に形成されている。上枠5と下枠6は、左右方向(横方向)に延びる横枠であり、それぞれ障子3の上方と下方に配置されている。縦枠7は、障子3の側方に配置されて、上下方向(縦方向)に延びる。
障子3の上框12は、上枠5に沿って配置される障子3の上縁部であり、障子3の下框13は、下枠6に沿って配置される障子3の下縁部である。障子3の縦框14は、上下方向に延びる障子3の縦縁部である。障子3のスライド方向(移動方向)は、上枠5及び下枠6の長手方向であり、障子3は、上枠5及び下枠6の長手方向にスライドする。3つの障子3により枠体4の開口部4Aを閉じたときに、3つの障子3は、縦框14同士が障子3の厚み方向(枠体4の見込み方向)に対向する状態で、上枠5及び下枠6の長手方向に順に配置される。枠体4の開口部4Aを開いたときに、3つの障子3は、障子3の厚み方向に重なり合う。
図2は、第1実施形態の建具1の縦断面図であり、重なり合う3つの障子3の断面を示している。
図示のように、建具1は、障子3により仕切られる建物の2つの空間の間に配置されている。ここでは、2つの空間のうち、一方の空間が脱衣室であり、他方の空間が浴室である。従って、建具1の一方側が脱衣室側であり、建具1の他方側が浴室側である。3つの障子3は、脱衣室側から浴室側に向かって順に配置された第1障子3A、第2障子3B、及び、第3障子3Cからなる。第1障子3Aは、脱衣室側障子であり、第3障子3Cは、浴室側障子である。第2障子3Bは、第1障子3Aと第3障子3Cの間に位置する中間障子である。
上枠5は、障子3の浴室側に配置された垂下片5Aと、障子3の上方に形成された通気路5Bと、回動により通気路5Bを開閉する開閉弁5Cと、上枠5の長手方向に延びる3つのレール(上レール)5D〜5Fを有している。上枠5の3つの上レール5D〜5Fは、下方に突出する突片であり、第1上レール5D、第2上レール5E、及び、第3上レール5Fからなる。上レール5D〜5Fは、上枠5の見込み方向に間隔を開けて並列し、脱衣室側から浴室側に向かって順に形成されている。第1上レール5Dは、脱衣室側レールであり、第3上レール5Fは、浴室側レールである。第2上レール5Eは、第1上レール5Dと第3上レール5Fの間に位置する中間レールである。上レール5D〜5Fは、障子3の上側で障子3をガイドする上ガイドであり、上枠5の長手方向への障子3のスライドをガイドする。
下枠6は、ベース部材6Aと、ベース部材6Aを覆うカバー部材6Bと、障子3よりも浴室側に位置するスロープ部6Cと、下枠6の長手方向に延びる3つのレール(下レール)6D〜6Fを有している。カバー部材6Bは、ベース部材6Aの上側に配置されて、ベース部材6Aに取り付けられている。スロープ部6Cと下レール6D〜6Fは、下枠6のカバー部材6Bに形成されている。スロープ部6Cは、カバー部材6Bの浴室側部であり、浴室内に向かって斜め下方に傾斜している。
下枠6の3つの下レール6D〜6Fは、上方に突出する突片であり、第1下レール6D、第2下レール6E、及び、第3下レール6Fからなる。下レール6D〜6Fは、下枠6の見込み方向に間隔を開けて並列し、脱衣室側から浴室側に向かって順に形成されている。第1下レール6Dは、脱衣室側レールであり、第3下レール6Fは、浴室側レールである。第2下レール6Eは、第1下レール6Dと第3下レール6Fの間に位置する中間レールである。下レール6D〜6Fは、障子3の下側で障子3をガイドする下ガイドであり、下枠6の長手方向への障子3のスライドをガイドする。
3つの障子3は、それぞれ上下方向に対向する上レール5D〜5Fと下レール6D〜6Fとにスライド可能に取り付けられている。具体的には、第1障子3Aは、第1上レール5Dと第1下レール6Dとに取り付けられて、第1上レール5Dと第1下レール6Dとに沿ってスライドする。第2障子3Bは、第2上レール5Eと第2下レール6Eとに取り付けられて、第2上レール5Eと第2下レール6Eとに沿ってスライドする。第3障子3Cは、第3上レール5Fと第3下レール6Fとに取り付けられて、第3上レール5Fと第3下レール6Fとに沿ってスライドする。
障子3は、上框12に形成された溝部16を有している。溝部16は、上框12の長手方向に延び、障子3の上面部に開口している。上枠5の上レール5D〜5Fは、障子3の溝部16に挿入されて、溝部16内に配置されている。障子3の上縁部(上框12)は、溝部16により、上枠5の上レール5D〜5Fに取り付けられている。上レール5D〜5Fが障子3の上縁部をガイドして、障子3が上枠5及び上レール5D〜5Fの長手方向にスライドにより移動する。また、障子3が下枠6の下レール6D〜6Fに載せられて、障子3の下縁部(下框13)が下レール6D〜6Fに取り付けられている。下レール6D〜6Fが障子3の下縁部をガイドして、障子3が下枠6及び下レール6D〜6Fの長手方向にスライドにより移動する。
建具1は、下枠6に設けられた下レール6D〜6Fに加えて、障子3に設けられた外れ止め機構8を備えている。外れ止め機構8は、障子3が下レール6D、6Fから外れるのを防止する外れ防止機構であり、下レール6D、6Fにスライド可能に連結されている。ここでは、外れ止め機構8は、第1障子3Aと第3障子3Cの下縁部(下框13)に設けられて、障子3A、3Cが下レール6D、6Fから外れるのを防止する。以下、第3障子3Cを例にとり、障子3の外れ止め機構8について説明する。第1障子3Aの外れ止め機構8は、第3障子3Cの外れ止め機構8と同様に構成されている。そのため、第1障子3Aの外れ止め機構8については、第3障子3Cの外れ止め機構8とは異なる事項のみ説明する。
図3、図4は、第1実施形態の建具1の正面図であり、第1障子3Aと第2障子3Bを省略して、枠体4の開口部4Aにおいてスライドする第3障子3Cを示している。図3は、通常のスライド動作中の第3障子3Cを示し、図4は、外れ止め機構8が作動したときの第3障子3Cを示している。
図示のように、障子3(第3障子3C)は、一対の縦框14の下端部に取り付けられた戸車17を有している。戸車17は、下枠6の下レール6F(第3下レール)に載せられて、下レール6Fにより、下レール6Fの長手方向にガイドされる(図3参照)。障子3は、左右の戸車17により、下レール6Fに沿って円滑にスライドする。
外れ止め機構8は、障子3の連結部20に設けられており、障子3の連結部20を下レール6Fにスライド可能に連結して、障子3が下レール6Fから外れるのを防止する。障子3の連結部20は、一方の縦框14側に位置する下框13の端部である。一方の縦框14は、ハンドル15が取り付けられた戸先框であり、外れ止め機構8は、一方の縦框14の戸車17に隣接して配置されている。また、外れ止め機構8は、下レール6Fに沿ってスライド可能な外れ止め部材30を有している。外れ止め機構8は、下レール6Fと係合する外れ止め部材30により、障子3の連結部20を下レール6Fに連結して、障子3の外れ止めを行う。
障子3が下レール6Fから上方に離隔するときに(図4参照)、外れ止め機構8の外れ止め部材30は、障子3から突出して、障子3の外れ止め機能を発揮する。障子3が下レール6Fから上方に離隔するときとは、例えば、不意の動作に伴う力が障子3に加えられて障子3が持ち上げられるとき、障子3の変形(撓み等)に伴い障子3の下縁部が上方に変位するとき、障子3の傾きにより障子3の下縁部の一部が上方に変位するとき、又は、障子3が上方に移動するときである。
障子3の外れ止め機構8が設けられた部分(ここでは、連結部20)が下レール6Fから上方に離隔するときに、外れ止め部材30が障子3の連結部20から突出する。外れ止め部材30の突出前後、及び、突出中に、外れ止め機構8は、外れ止め部材30により、下レール6Fに対する障子3の外れ止めを行い、障子3が下レール6Fから外れないようにする。なお、図2には、下レール6Fから離隔した第3障子3Cを示している。
図5は、第1実施形態の外れ止め部材30を示す図である。図5Aは、下レール6Fの長手方向からみた外れ止め部材30の側面図であり、下レール6Fを含む下枠6の一部を二点鎖線で示している。図5Bは、図5Aの矢印X1方向からみた外れ止め部材30の正面図であり、図5Cは、図5Bの矢印X2方向からみた外れ止め部材30の底面図である。
図示のように、下レール6Fは、下レール6Fの長手方向に延びる突部6Gを有している。突部6Gは、外れ止め部材30と係合する下レール6Fの係合部(係合突部)であり、レール6Fの上端部に形成されている。突部6Gにより、下レール6Fは、上端部が障子3の厚み方向の一方側に屈曲する屈曲形状に形成されている。
外れ止め部材30は、下レール6Fと係合する係合部31と、複数の補強部32と、障子3の下レール6Fに沿ったスライドをガイドするスライドガイド部33と、柱状の摺動部34と、摺動部34に形成された停止部35及び環状突起36と、矩形状の複数(ここでは、2つ)の支持部37を有している。係合部31は、下レール6Fの長手方向に細長いブロック状部であり、外れ止め部材30の下端側に形成されて、下レール6Fに沿って配置されている。複数の補強部32は、リブ状に形成された補強リブであり、係合部31の長手方向に間隔を開けて係合部31の外面に形成されて、係合部31を補強する。
スライドガイド部33は、下レール6F及び係合部31の長手方向に延びる溝部(ガイド溝)であり、係合部31に溝状に形成されて、係合部31の長手方向の両端面と下面に開口している。突部6Gを含む下レール6Fは、係合部31のスライドガイド部33に挿入されて、スライドガイド部33内に配置される。係合部31は、スライドガイド部33内の下レール6Fと係合する。障子3がスライドするときに、スライドガイド部33は、下レール6Fに沿って下レール6Fの長手方向にスライドして、障子3を下レール6Fに沿ってガイドする。
外れ止め部材30の係合部31は、スライドガイド部33の内側に向かって突出する係合突起38を有している。係合突起38は、スライドガイド部33の内側で、スライドガイド部33及び係合部31の下縁部に形成されて、下レール6F及び係合部31の長手方向に延びる。また、係合突起38は、下レール6Fの突部6Gと対向するスライドガイド部33の対向部に形成されて、下レール6Fに向かって突出している。下レール6Fの突部6Gは、障子3の厚み方向(下枠6の見込み方向)の一方側に突出し、係合部31の係合突起38は、障子3の厚み方向の他方側に突出している。
ここでは、3つの下レール6D〜6Fにおいて(図2参照)、脱衣室側の第1下レール6Dの突部6Gは浴室側に突出し、浴室側の第3下レール6Fの突部6Gは脱衣室側に突出している。これに対し、脱衣室側の第1障子3Aの外れ止め部材30では、係合部31の係合突起38は、第1下レール6Dの突部6Gと相対するように、脱衣室側に突出している。また、浴室側の第3障子3Cの外れ止め部材30では、係合部31の係合突起38は、第3下レール6Fの突部6Gと相対するように、浴室側に突出している。
係合部31の係合突起38(図5参照)は、下レール6Fの突部6Gの下側に配置されるとともに、突部6Gの下面に沿って配置されている。係合突起38は、下レール6Fの突部6Gに下側から引っ掛かることで、下レール6Fの突部6Gに係合する。外れ止め部材30の係合部31と下レール6Fは、係合突起38と突部6Gの係合により、互いに係合する。係合部31及びスライドガイド部33は、突部6Gを含む下レール6Fを覆い、下レール6Fに嵌め合わされる。
外れ止め部材30の摺動部34は、係合部31の長手方向の中央部に形成されて、係合部31から上方に突出している。外れ止め部材30の突出時に、摺動部34の摺動により、外れ止め部材30がガイドされる。停止部35は、摺動部34の上端部に形成された複数のフック部からなる。環状突起36は、摺動部34の外周に環状に形成されており、摺動部34の下端部と上端部(停止部35)の間に位置している。2つの支持部37は、係合部31の長手方向における摺動部34の両側に形成されて、係合部31から上方に突出している。支持部37の縁部に沿って周壁37Aが形成されて、支持部37が周壁37Aにより補強されている。外れ止め部材30の突出前後、及び、突出中に、外れ止め部材30は、支持部37により支持される。
図6は、第1実施形態の外れ止め機構8を障子3の一部と下枠6とともに示す図である。図6Aは、図2に対応する縦断面図であり、2つの障子3A、3Bを省略している。図6Bは、図3に対応する正面図であり、障子3(第3障子3C)を透視して、外れ止め機構8を含む障子3の内部構造を示している。
図示のように、外れ止め機構8は、外れ止め部材30が取り付けられる板状の取付部21と、外れ止め部材30をガイドする突出ガイド22と、外れ止め部材30を収納する収納部23を有している。取付部21と収納部23は、障子3の連結部20である下框13に形成され、突出ガイド22は、下框13に取り付けられている。
取付部21は、下框13の下板部の一部であり、下框13内に設けられている。取付部21が下枠6の下レール6Fの上方に位置し、取付部21と下レール6Fが上下方向に対向している。突出ガイド22は、取付部21に形成された取付孔に挿入されて、取付部21に取り付けられている。外れ止め部材30の2つの支持部37は、下レール6Fの長手方向に離隔して形成されており、それぞれ取付部21に形成された配置孔に配置された状態で、上下方向に移動する。収納部23は、下框13に形成された収納空間であり、取付部21の上側に位置する下框13の中空部24と、取付部21の下側に位置する下框13の凹部25からなる。
外れ止め部材30の摺動部34は、収納部23の凹部25側から環状の突出ガイド22に挿入される。これにより、摺動部34は、突出ガイド22から上方に突出して、収納部23の中空部24に収納される。摺動部34が突出ガイド22に摺動可能に取り付けられて、外れ止め部材30が突出ガイド22により取付部21に取り付けられる。同時に、外れ止め部材30の支持部37は、取付部21の配置孔に挿入されて、収納部23の中空部24に収納される。また、外れ止め部材30の係合部31と補強部32は、収納部23の凹部25に収納される。
突出ガイド22は、環状に配置された複数のガイド片26を有している。複数のガイド片26は、外れ止め部材30の摺動部34を囲んで配置され、突出ガイド22の外側に向かって弾性変形可能になっている。摺動部34の停止部35と環状突起36は、突出ガイド22及び複数のガイド片26よりも上方に配置されて、収納部23の中空部24に収納される。その状態で、外れ止め部材30は、収納位置Sに配置されて、障子3から突出可能に収納部23に収納される。
外れ止め部材30の収納位置Sは、障子3から突出していないときの外れ止め部材30の配置位置である。収納位置Sにおいて、外れ止め部材30の全体、又は、外れ止め部材30の下端部を除く部分が収納部23に収納される。ここでは、収納位置Sにおいて、外れ止め部材30の全体が収納部23に収納される。また、障子3が下レール6Fに正常な状態で取り付けられたとき、及び、障子3が下レール6Fに沿って正常な動作でスライドするときに、外れ止め部材30が収納位置Sに配置される。外れ止め部材30は、収納位置Sから収納部23の下側に向かって移動して、障子3から突出する。
障子3を下レール6Fに取り付けるため、例えば、カバー部材6Bの長手方向の一部を取り外し可能に形成する。障子3の取り付け時には、カバー部材6Bの一部を下枠6から取り外す。その状態で、カバー部材6Bを取り外した部分に障子3を配置して、残りのカバー部材6Bの下レール6Fに向かって障子3を移動する。続いて、障子3を下レール6Fに沿ってスライドして、障子3の全体を下レール6Fに載せる。同時に、下レール6Fを外れ止め部材30のスライドガイド部33に挿入して、外れ止め部材30の係合部31を下レール6Fにスライド可能に取り付ける。これにより、外れ止め部材30は、収納位置Sに配置される。その後、カバー部材6Bの一部を下枠6に取り付ける。
図7、図8は、第1実施形態の障子3から突出する外れ止め部材30を示す図であり、図6と同様に、障子3の一部と外れ止め機構8を示している。
図示のように、外れ止め部材30は、収納部23に収納される収納位置Sと最突出位置T(図7参照)との間で移動する。外れ止め部材30の最突出位置Tは、障子3から最も突出するときの外れ止め部材30の配置位置である。障子3を下レール6Fから取り外した状態で、外れ止め部材30は、最突出位置Tに移動して、最突出位置Tまで突出する。
突出ガイド22は、障子3から突出する外れ止め部材30をガイドする。その際、外れ止め部材30の摺動部34が、突出ガイド22に対して摺動して、突出ガイド22によりガイドされる。摺動部34は、複数のガイド片26を含む突出ガイド22の内側に配置された状態で、突出ガイド22の内周面を摺動して、外れ止め部材30の突出方向にガイドされる。また、外れ止め部材30は、収納部23から引き出されて、最突出位置Tに配置される。その状態で、摺動部34の停止部35が複数のガイド片26の上端部に引っ掛かることで、外れ止め部材30が最突出位置Tで停止する。
外れ止め機構8は、外れ止め部材30を障子3側(収納部23側)の保持位置H(図8参照)で保持する保持手段27を有している。障子3を下レール6Fに取り付ける前、及び、障子3を下レール6Fから取り外したときに、外れ止め部材30を最突出位置Tよりも障子3側の保持位置Hで保持することで、外れ止め部材30が邪魔になるのを抑制する。保持手段27は、摺動部34の環状突起36と、突出ガイド22の複数のガイド片26からなる。複数のガイド片26は、爪状の係止部(係止爪)であり、環状突起36は、環状の被係止部(被係止突起)である。環状突起36は、複数のガイド片26の上端部に接触して、複数のガイド片26に係止される。
保持手段27は、環状突起36のガイド片26への係止により、外れ止め部材30を保持する。外れ止め部材30の保持位置Hは、収納位置S、又は、収納位置Sと最突出位置Tの間の位置(中間位置)であり、保持手段27は、最突出位置Tよりも上方の保持位置Hに外れ止め部材30を保持する。ここでは、保持位置Hは、中間位置である。保持位置Hにおいて、外れ止め部材30の上側部が収納部23に収納され、外れ止め部材30の下側部が収納部23の下側に配置される。また、外れ止め部材30の係合部31が、収納部23の下側に配置されて、障子3から下方に突出する。
外れ止め部材30が保持位置Hから最突出位置Tに向かって移動するときに、摺動部34の環状突起36は、複数のガイド片26を突出ガイド22の外側に向かって変形させつつ、複数のガイド片26の内側を通過する。その際、複数のガイド片26は、環状突起36により押されて放射状に弾性変形し、環状突起36の通過を許容する。環状突起36の通過後に、複数のガイド片26は、弾性変形前の状態に復元する(図7参照)。保持手段27は、複数のガイド片26の弾性変形により、外れ止め部材30の保持位置Hでの保持を解除する。
図9は、第1実施形態の外れ止め機構8が作動したときの状態を示す図であり、図6と同様に、外れ止め機構8を障子3の一部と下枠6とともに示している。
図示のように、外れ止め部材30に設けられた係合部31は、係合突起38により下レール6Fの突部6Gと係合する。障子3が下レール6Fから上方に離隔するときに、外れ止め部材30は、下レール6Fと係合する係合部31により障子3から引き出されて突出する。これにより、外れ止め部材30は、障子3から下レール6Fまで突出する。その状態で、係合部31は、下レール6Fと係合した状態に維持される。また、外れ止め機構8は、外れ止め部材30により、障子3を下レール6Fと連結された状態に維持して、障子3が下レール6Fから外れるのを防止する。
外れ止め部材30は、係合部31と係合する下レール6Fにより引っ張られて、収納位置Sから移動する。また、外れ止め部材30は、障子3及び収納部23から下方に引き出されて、障子3から下レール6Fに向かって下方に突出する。下レール6Fと係合する係合部31により外れ止め部材30が保持位置Hから引き出されるときに、外れ止め機構8の保持手段27は、外れ止め部材30の保持を解除して、外れ止め部材30の突出を許容する。これに伴い、外れ止め部材30は、下レール6Fの引っ張りにより、保持位置Hよりも最突出位置T側の位置まで引き出される。
障子3が下レール6Fからの離隔を開始するとき、又は、障子3が下レール6Fから所定間隔だけ離隔したときに、保持手段27は、外れ止め部材30の保持を解除する。ここでは、障子3が下レール6Fから所定間隔だけ離隔したときに、環状突起36が複数のガイド片26の上端部に接触する。また、外れ止め部材30が下レール6Fにより所定の力以上の力で引っ張られると、環状突起36が、複数のガイド片26を押し開きながら、複数のガイド片26の内側を通過する。これにより、複数のガイド片26による環状突起36の係止が解除されて、保持手段27による外れ止め部材30の保持が解除される。
障子3の下レール6Fからの最大離隔間隔は、障子3の上方への移動可能な距離、障子3の最大撓み量、建具1の部品の公差等に基づいて、算出される。外れ止め部材30の障子3からの最大突出長さは、障子3の下レール6Fからの最大離隔間隔よりも長くなっている。そのため、障子3が下レール6Fから上方に離隔するときに、外れ止め部材30は、最突出位置Tまで突出することなく、収納位置Sと最突出位置Tの間で移動する。
外れ止め部材30は、障子3からの突出方向を変化可能に突出ガイド22及び取付部21に取り付けられている。そのため、外れ止め部材30は、下レール6Fに対する障子3の傾きに対応して障子3からの突出方向を変化させて、障子3から突出する(図9B参照)。また、下レール6Fから上方に離隔する障子3が下レール6Fに対して障子3の厚み方向に変位するときに(図9A参照)、外れ止め部材30は、障子3の変位方向に対応して障子3からの突出方向を変化させて、障子3から突出する。外れ止め部材30は、下レール6Fに対する障子3の傾きと位置に対応して突出方向を変化させて、障子3から下レール6Fまで突出する。
外れ止め機構8は、外れ止め部材30の支持部37と接触する接触部28(図9A参照)を有している。外れ止め機構8の接触部28は、収納部23の内面部(ここでは、下框13の内面部)であり、収納部23内に設けられている。外れ止め部材30が障子3から突出するときに、外れ止め部材30の支持部37は、接触部28と接触して、接触部28により支持される。外れ止め機構8は、支持部37と接触する接触部28により、外れ止め部材30に加わる荷重を受ける。また、支持部37が接触部28に接触することで、外れ止め部材30の障子3からの突出方向が制限され、上下方向に対する外れ止め部材30の傾斜が規制される。
以上説明した建具1では、障子3が下レール6Fから上方に離隔するときに、外れ止め部材30が障子3から突出する。その際、外れ止め部材30は、係合部31により下レール6Fと係合して、障子3の外れ止め機能を発揮する。従って、障子3が下レール6Fから上方に離隔する状態で、障子3が下レール6Fから外れるのを防止して、障子3の脱落を抑制することができる。また、外れ止め部材30が外力により下レール6Fから外れるのが抑制され、外れ止め部材30による障子3の外れ止め機能を向上することができる。
外れ止め部材30の係合突起38と下レール6Fの突部6Gとを係合するため、外れ止め部材30と下レール6Fを簡単な係合構造で確実に係合することができる。また、外れ止め部材30のスライドガイド部33により、障子3のガイド機能を外れ止め部材30に付加できるとともに、外れ止め部材30及び障子3を下レール6Fに沿って円滑にスライドすることができる。外れ止め部材30の突出時には、突出ガイド22により、外れ止め部材30の突出を円滑に行うことができる。外れ止め部材30の支持部37により、外れ止め部材30を安定させることができ、外れ止め部材30を下レール6Fと係合した状態に維持することもできる。
保持手段27により、外れ止め部材30を保持位置Hで保持するため、外れ止め部材30が邪魔になるのを抑制することができる。保持位置Hが収納位置Sであるときには、外れ止め部材30が邪魔になるのをより確実に抑制できるとともに、障子3が下レール6Fに取り付けられていない状態で、外れ止め部材30の破損を抑制することができる。保持位置Hが収納位置Sと最突出位置Tの間の位置(中間位置)であるときには、外れ止め部材30が邪魔になるのを抑制しつつ、外れ止め部材30があることを認識させることができる。これにより、外れ止め部材30を下レール6Fに取り付ける必要がある点について、注意を促すこともできる。
なお、外れ止め部材30の障子3からの突出長さに関し、保持位置Hにおける突出長さは、任意の長さに設定可能であり、種々の長さに変更することができる。従って、保持位置Hにおける突出長さを図8に示す突出長さよりも短くして、外れ止め部材30を図8に示す位置よりも収納位置S側(上側)の保持位置Hで保持してもよい。また、保持位置Hにおける突出長さを図8に示す突出長さよりも長くして、外れ止め部材30を図8に示す位置よりも最突出位置T側(下側)の保持位置Hで保持してもよい。保持位置Hにおける突出長さが短くなるほど、外れ止め部材30が邪魔になるのがより確実に抑制され、保持位置Hにおける突出長さが長くなるほど、外れ止め部材30があることがより確実に認識される。
次に、第2〜第9実施形態の建具1について、第1実施形態の建具1と相違する事項を説明する。第2〜第9実施形態の建具1に関し、第1実施形態の建具1の構成に相当する構成には、第1実施形態の建具1の構成と同じ名称と符号を用い、第1実施形態の建具1と同じ事項の説明は省略する。
(第2実施形態)
図10、図11は、第2実施形態の外れ止め機構8を示す図であり、図7、図8と同様に、障子3の一部と外れ止め機構8を示している。
図示のように、第2実施形態の外れ止め機構8では、保持手段27による外れ止め部材30の保持位置Hが収納位置Sであり、保持位置Hと収納位置Sが一致する(図10参照)。保持位置Hにおいて、外れ止め部材30の全体が収納部23に収納される。障子3が下レール6Fからの離隔を開始するときに、保持手段27は、外れ止め部材30の保持を解除する。外れ止め部材30は、下レール6Fと係合する係合部31により、保持位置Hから引き出されて、障子3から突出する(図11参照)。
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態の外れ止め部材30を示す図であり、図5と同様に、下レール6Fを含む下枠6の一部と外れ止め部材30を示している。
図示のように、第3実施形態の外れ止め機構8では、外れ止め部材30は、係合部31の長手方向の中央部に形成された凹部40と突片41を有している。凹部40と突片41は、障子3の厚み方向において相対する位置に形成され、下レール6Fを挟んで、下レール6Fの一方側と他方側とに配置される。凹部40は、係合部31の係合突起38側の壁部に形成されており、係合突起38は、凹部40により分断されている。突片41は、係合突起38とは反対側に位置する係合部31の壁部の一部であり、下レール6Fに向かって突出する突起42を有している。突起42は、突片41の下端部に形成されて、凹部40に向かって突出している。
障子3を下レール6Fに取り付けるときには、例えば、障子3を上方から下レール6Fに載せる。同時に、下レール6Fを外れ止め部材30のスライドガイド部33に押し込む。その際、突片41の突起42が下レール6Fにより押されて、突片41が下レール6Fから離れる方向に弾性変形する。続いて、係合突起38が下レール6Fの突部6Gの下側に配置されて、下レール6Fがスライドガイド部33に挿入される。突片41が弾性変形前の形状に復元することで、係合突起38と突片41の突起42が、下レール6Fの一方側と他方側とで、下レール6Fと対向する。このように、障子3及び外れ止め部材30を下レール6Fに簡単に取り付けることができる。
(第4実施形態)
図13、図14は、第4実施形態の外れ止め機構8を示す図であり、図7B、図8Bと同様に、障子3の一部と外れ止め機構8を示している。
図示のように、第4実施形態の外れ止め機構8は、外れ止め部材30を収納するケース50を有している。ケース50は、下框13の中空部24と凹部25に配置されて、障子3の下框13に取り付けられている。ケース50の内部空間が外れ止め部材30の収納部23であり、ケース50及び収納部23は下方に向かって開放されている。外れ止め部材30は、ケース50の収納部23に収納されて、ケース50に取り付けられている。
第4実施形態の外れ止め部材30は、第3実施形態の外れ止め部材30と同様に、係合部31に形成された凹部40及び突片41を有している。突出ガイド22は、ケース50に形成されたガイド孔であり、外れ止め部材30の摺動部34は、ガイド孔に対して摺動する。外れ止め部材30の停止部35が突出ガイド22の周辺のケース50に引っ掛かることで、外れ止め部材30が最突出位置Tで停止する(図14参照)。ただし、摺動部34には、環状突起36が形成されていない。
外れ止め機構8は、外れ止め部材30の2つの支持部37のそれぞれに形成されたフック部51と、ケース50に形成された2つの係止孔52を有している。係止孔52は、孔状の係止部であり、フック部51は、弾性変形可能なフック状の被係止部である。フック部51は、係止孔52内に配置されて、係止孔52に係止される(図13参照)。外れ止め機構8の保持手段27は、フック部51と係止孔52からなり、フック部51の係止孔52への係止により、外れ止め部材30を保持位置Hで保持する。外れ止め部材30の保持位置Hは収納位置Sであり、保持位置Hと収納位置Sが一致する。外れ止め部材30が保持位置Hから最突出位置Tに向かって移動するときに、フック部51が弾性変形して係止孔52から外れる。これにより、係止孔52によるフック部51の係止が解除されて、保持手段27による外れ止め部材30の保持が解除される。
第4実施形態の外れ止め機構8では、外れ止め機構8をケース50に内蔵されたユニットにすることができる。そのため、外れ止め機構8の取り扱いが簡単になり、外れ止め機構8を障子3に簡単に取り付けることができる。
図15は、第4実施形態の外れ止め部材30の他の例を示す図である。
図示のように、ここでは、外れ止め部材30の係合部31に、凹部40及び突片41が形成されていない。外れ止め部材30は、第1実施形態の外れ止め部材30と同様に、係合部31に形成された係合突起38を有している。
(第5実施形態)
図16、図17は、第5実施形態の外れ止め機構8を示す図であり、図7、図8と同様に、障子3の一部と外れ止め機構8を示している。
図示のように、第5実施形態の外れ止め機構8では、外れ止め部材30は、複数の圧入部53を有している。また、摺動部34には、環状突起36が形成されていない。複数の圧入部53は、リブ状に形成された圧入リブであり、外れ止め部材30の係合部31に形成されている。また、複数の圧入部53は、係合部31の長手方向に間隔を開けて、かつ、障子3の厚み方向両側の係合部31の外面に形成されている。
複数の圧入部53は、係合部31とともに、外れ止め機構8の収納部23(ここでは、凹部25)に押し込まれて、収納部23に圧入される(図16参照)。これにより、複数の圧入部53は、収納部23の内面部54に押し付けられる。複数の圧入部53と収納部23の内面部54との摩擦により、複数の圧入部53が収納部23の内面部54に係止される。従って、複数の圧入部53は、リブ状の被係止部(被係止リブ)であり、収納部23の内面部54は、面状の係止部である。
外れ止め機構8の保持手段27は、複数の圧入部53と収納部23の内面部54からなり、複数の圧入部53の内面部54への係止により、外れ止め部材30を保持位置Hで保持する。外れ止め部材30の保持位置Hは収納位置Sであり、保持位置Hと収納位置Sが一致する。外れ止め部材30が保持位置Hから最突出位置Tに向かって移動するときに、複数の圧入部53が係合部31とともに収納部23から引き出される(図17参照)。これにより、内面部54による複数の圧入部53の係止が解除されて、保持手段27による外れ止め部材30の保持が解除される。
第5実施形態の外れ止め機構8では、外れ止め部材30を収納部23に押し込むだけで、外れ止め部材30を保持位置H及び収納位置Sに保持することができる。そのため、外れ止め機構8の構造を簡単にすることができる。なお、ここでは、保持手段27は、摩擦により、外れ止め部材30を係止して、外れ止め部材30を保持位置Hに保持している。これに対し、保持手段27は、他の手段(例えば、粘着、磁力)により、外れ止め部材30を保持位置Hに保持してもよい。
(第6実施形態)
図18は、第6実施形態の外れ止め部材30を示す図であり、図5と同様に、下レール6Fを含む下枠6の一部と外れ止め部材30を示している。
図示のように、第6実施形態の外れ止め機構8では、外れ止め部材30は、係合部31の長手方向の両端部に形成された誘導溝55(図18C参照)を有している。2つの誘導溝55のそれぞれは、溝状のスライドガイド部33の端部と連続して、下レール6Fの長手方向に延び、係合部31の長手方向の端面に開口している。また、誘導溝55の幅は、スライドガイド部33の幅よりも広く、誘導溝55は、スライドガイド部33の端部から係合部31の長手方向の端面に向かって次第に広くなる。
図19は、第6実施形態の外れ止め部材30を下レール6Fに取り付ける手順を示す図であり、図6Bと同様に、外れ止め機構8を障子3の一部と下枠6とともに示している。
図示のように、まず、カバー部材6Bの一部を下枠6から取り外す(図19A参照)。その状態で、カバー部材6Bを取り外した部分に障子3を配置して、残りのカバー部材6Bの下レール6Fに向かって障子3を移動する(図19B参照)。続いて、障子3を下レール6Fに沿ってスライドして、障子3の全体を下レール6Fに載せる(図19C、図19D参照)。
障子3のスライドに伴い、外れ止め部材30の係合部31が下レール6Fの端部6Hと接触して、外れ止め部材30が下レール6Fにより収納位置Sに押し上げられる。また、下レール6Fの端部6Hは、外れ止め部材30の誘導溝55に挿入されて、誘導溝55により、外れ止め部材30のスライドガイド部33に誘導される。続いて、下レール6Fがスライドガイド部33に挿入されて、外れ止め部材30の係合部31が下レール6Fにスライド可能に取り付けられる。その後、カバー部材6Bの一部を下枠6に取り付ける。第6実施形態の外れ止め機構8では、誘導溝55の誘導により、下レール6Fをスライドガイド部33に容易に挿入して、外れ止め部材30を下レール6Fに確実に取り付けることができる。
(第7実施形態)
図20は、第7実施形態の外れ止め機構8を示す図であり、図6と同様に、外れ止め機構8を障子3の一部と下枠6とともに示している。
図示のように、障子3を下レール6Fに取り付けるときに、誤って、下レール6Fが外れ止め部材30のスライドガイド部33に挿入されないことがある。この場合には、外れ止め部材30の係合部31が下レール6Fと係合せずに、外れ止め部材30が下レール6Fに載せられる。
第7実施形態の外れ止め機構8では、外れ止め部材30の係合部31が下レール6Fと係合せずに外れ止め部材30が下レール6Fに載せられたときに、係合部31が下レール6Fと障子3(取付部21)の間に挟まれる。係合部31により、障子3の戸車17は、下レール6Fから上方に離隔した位置に配置され、下レール6Fと接触せずに宙に浮く。また、係合部31と下レール6Fとの摩擦により、障子3の下レール6Fに沿うスライドが阻害される。これにより、障子3の下レール6Fへの取り付けや、係合部31の下レール6Fへの係合が正常に行われていないことを認識させ、注意を促すことができる。
(第8実施形態)
図21は、第8実施形態の外れ止め機構8を示す図であり、図6と同様に、外れ止め機構8を障子3の一部と下枠6とともに示している。
図示のように、第8実施形態の外れ止め機構8では、外れ止め部材30は、係合部31が下レール6Fと係合せずに下レール6Fに載せられたときに、下レール6Fと接触する突起56を有する。複数の突起56が、係合部31に形成されており、外れ止め部材30が下レール6Fに載せられた状態で、係合部31から下レール6Fに向かって突出する。また、複数の突起56は、係合部31の長手方向に間隔を開けて、係合部31の係合突起38の下面に形成されている。外れ止め部材30の突起56は、下レール6Fの突部6Gに載せられて、突部6Gと接触する。
第7実施形態と同様に、係合部31が下レール6Fと係合せずに外れ止め部材30が下レール6Fに載せられたときに、係合部31が下レール6Fと障子3(取付部21)の間に挟まれる。係合部31により、障子3の戸車17は、下レール6Fから上方に離隔した位置に配置され、下レール6Fと接触せずに宙に浮く。外れ止め部材30は、係合部31に設けられた突起56でのみ下レール6Fと接触する。そのため、外れ止め部材30と下レール6Fとの摩擦が大きくなるのが抑制される。外れ止め部材30の突起56は、スライド突起であり、障子3が下レール6Fに沿ってスライドするときに、下レール6Fに接触しつつ下レール6Fに沿ってスライドする。
下レール6Fは、外れ止め部材30の突起56が下レール6Fと接触した状態で障子3とともにスライドするときに、外れ止め部材30の突起56と接触する接触部を有する。ここでは、下レール6Fは、長手方向に分割されており、下レール6Fの接触部は、下レール6Fの継ぎ目である。下レール6Fの接触部が外れ止め部材30の突起56と接触することで、外れ止め部材30の突起56が下レール6Fの接触部に当たって、外れ止め部材30がスライド方向以外の方向に動く。これにより、スライドする外れ止め部材30が震動する。また、障子3のスライドに伴い、外れ止め部材30の突起56が下レール6Fの接触部と接触して接触部を乗り越えるときに、外れ止め部材30が揺動して震動する。
震動に伴い、外れ止め部材30は、音(例えば、ガタツキ音)を発生する。そのため、障子3の下レール6Fへの取り付けや、係合部31の下レール6Fへの係合が正常に行われていないことを認識させ、注意を促すことができる。なお、外れ止め部材30が下レール6Fに載せられたときに、障子3の戸車17が下レール6Fに接触していてもよい。
(第9実施形態)
図22は、第9実施形態の建具1の縦断面図であり、図2と同様に、建具1の概略構成を示している。
図示のように、第9実施形態の建具1は、2つの障子3を備えている。障子3は、上枠5の上レール5Kと下枠6の下レール6Kとにスライド可能に取り付けられている。外れ止め機構8は、脱衣室側の障子3に設けられている。なお、図22では、脱衣室側の障子3が下レール6Kから上方に離隔して、外れ止め部材30が障子3から突出している。
このように、建具1は、三枚片引戸以外の建具であってもよい。建具1が1つの障子3を備えていてもよく、建具1が複数の障子3を備えていてもよい。複数の障子3の全てに外れ止め機構8を設けてもよく、複数の障子3の一部に外れ止め機構8を設けてもよい。各障子3の外れ止め機構8において、以上説明した各実施形態を種々組み合わせて実施してもよい。また、本発明は、下レールに沿ってスライドする障子を備えた種々の建具(例えば、引戸、引き違い戸、引き違い窓)に適用することができる。建具は、浴室の出入り口に限定されず、建物の種々の開口部に設置される。