JP6944362B2 - トリクロロシランの精製システム - Google Patents

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Description

本発明は高純度トリクロロシランの製造技術に関し、より詳細には、ドナー不純物やアクセプタ不純物を含有するトリクロロシランからこれら不純物を除去して高純度のトリクロロシランを得るための技術に関する。
一般的に、半導体グレードの高純度多結晶シリコンは、トリクロロシランを主成分とするガスを原料としたシーメンス法により製造される。このため、原料となるトリクロロシランには極めて高い純度が要求される。
原料トリクロロシラン中に含まれる不純物のうち、特に、シリコン結晶中でドナーとなるリンやヒ素、アクセプタとなるホウ素やアルミニウムといった元素は、その含有量が例え微量であっても、多結晶シリコン中に取り込まれると電気的特性に著しい影響を与えることは知られている。そのため、トリクロロシラン中に含有するドナー不純物やアクセプタ不純物を効率的に除去する技術の提供は実用的に極めて重要な意味をもつ。
多結晶シリコン製造用のトリクロロシランは、不純物を多量に含む冶金級シリコン(金属シリコン)から公知の方法によって得られた粗クロロシラン類を、蒸留などの手法により精製することで得られるのが一般的である。
金属シリコン中には、上述したドナー不純物やアクセプタ不純物が、原子比換算で数百ppmaのオーダで含まれている。このような金属シリコンは不純物を除去するために精製されることとなるが、この精製過程において上記不純物が十分に除去されないと、最終的に得られるトリクロロシラン中に不純物が残留し、この残留不純物が多結晶シリコン中に取り込まれて品質を低下させる結果となる。
金属シリコンに含まれるドナー不純物やアクセプタ不純物は、粗クロロシラン類を生成する工程中に水素化や塩素化されるなどして種々の構造の化合物となり、粗クロロシラン類中に混入すると考えられている。このような化合物の沸点がトリクロロシランの沸点に近接している場合、蒸留によっては上記化合物を充分に分離・除去することは困難である。
このような事情から、クロロシラン類中のドナー不純物やアクセプタ不純物の含有量を低減させるための種々の方法が提案されてきた。
斯かる方法のひとつに、クロロシラン類中のドナー不純物やアクセプタ不純物を、アルミナやシリカゲルあるいは活性炭などに吸着させることで除去する方法がある。
例えば、米国特許第3252752号明細書(特許文献1)には、孤立電子対を持つ物質を、活性炭やシリカゲル等の吸着剤に固定化し、これにクロロシラン類ガスを流して不純物を捕捉除去する方法が開示されている。また、ドイツ国特許第1289834号明細書(特許文献2)には、クロロシラン類を液体または蒸気の状態で活性アルミナと接触させて除去する方法が開示されている。さらに、特開2010-269994号公報(特許文献3)には、液体のクロロシラン類を球状活性炭と接触させることで、不純物を除去する方法が開示されている。
別の方法として、クロロシラン類に蒸留補助剤として有機物を添加し、ドナー不純物やアクセプタ不純物との付加物を生成させた後、蒸留精製して高純度クロロシラン類を得る方法が提案されている。
例えば、特開2005-67979公報号(特許文献4)には、クロロシラン類にエーテルを添加して蒸留精製する方法が開示されている。また、特開2009-62213号公報(特許文献5)には、クロロシラン類を芳香族アルデヒドと酸素の存在下で処理し、不純物を高沸点化合物に転化させた後、当該処理のクロロシラン類を蒸留等して不純物の高沸点化合物とクロロシラン類とを分離する方法が開示されている。さらに、特開2013-1632号公報(特許文献6)には、不純物の高沸点物の再解離による再汚染を防止する目的で、蒸留補助剤による不純物転化工程と蒸留精製工程の間に蒸発器を設け、不純物の高沸点物および蒸留補助剤とクロロシラン類を分離する方法が開示されている。また、特開2012-91960号公報(特許文献7)には、クロロシラン類留出物中からドナー不純物およびアクセプタ不純物を除去して含有量を低減させるために、不純物転化工程では、一般式Ar−R−CHO(Arは置換または未置換のアリール基、Rは炭素数2以上の有機基)で表記されるアルデヒド化合物が添加され、クロロシラン類留出物に含有されているドナー不純物およびアクセプタ不純物が高沸点物に転化させ、高沸点物転化後のクロロシラン類留出物を精製工程へと送ることとしたクロロシラン類の精製方法の発明が開示されている。
米国特許第3252752号明細書 ドイツ国特許第1289834号明細書 特開2010-269994号公報 特開2005-67979号公報 特開2009-62213号公報 特開2013-1632号公報 特開2012-91960号公報
上述のクロロシラン類に含まれる不純物をアルミナやシリカゲルあるいは活性炭などに吸着させて除去する方法は、吸着塔などの装置が必要となり設備が複雑化することに加え、破過後の吸着物の取扱いや廃棄物処理が煩雑になるといった問題を抱えている。また、吸着剤の入れ替えは系の開放を伴うため、装置内部の腐食等を招き、その結果、クロロシラン類を汚染させてしまう可能性もある。
また、クロロシラン類に蒸留補助剤として有機物等を添加し、ドナー不純物やアクセプタ不純物との付加物を生成させた後、蒸留精製して高純度クロロシラン類を得る方法は、生成した付加物が不安定な場合には、蒸留操作中の加熱等により付加物が解離し、再びクロロシラン類と分離し難い化合物に戻るといった問題も抱えている。また、付加物の生成が平衡反応である場合には、高沸点化合物に至らない不純物が定常的に残留してしまうといった問題もある。
本発明は、上述したような従来のクロロシラン類の精製方法の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、蒸留補助剤の効果を最大限に利用してトリクロロシラン中からドナー不純物やアクセプタ不純物を効率的に除去し、高沸点化合物の転化に伴い発生した付加物の解離による再汚染や平衡制約による不純物残留を防止することが可能なトリクロロシランの精製システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るトリクロロシランの精製システムは、シリコン結晶中でドナーまたはアクセプタとなる不純物を含有するトリクロロシランを精製するためのシステムであって、前記トリクロロシラン中に含まれる不純物を、蒸留補助剤の存在下で高沸点化合物に転化させる不純物転化部と、前記不純物転化部から供給を受けたトリクロロシランを蒸留して精製を行う精製部とを備え、前記不純物転化部は、複数の不純物転化工程部で構成されている、ことを特徴とする。
ある態様では、前記複数の不純物転化工程部は直列に連結されており、該不純物転化工程部は何れも、前段部からのトリクロロシランの受入部と、前記蒸留補助剤の導入部と、後段部へのトリクロロシランの送出部と、残余部を前記不純物転化工程部から排出するドレイン部を備えている。
また、ある態様では、前記複数の不純物転化工程部は直列に連結されており、該不純物転化工程部は何れも、前段部からのトリクロロシランの受入部と、前記蒸留補助剤の導入部と、後段部へのトリクロロシランの送出部とを備え、初段の不純物転化工程部以外の不純物転化工程部は何れも、残余部を前段の不純物転化工程部に排出するドレイン部を備えている。
また、ある態様では、前記複数の不純物転化工程部の少なくともひとつにおいて、前記前段部からのトリクロロシランの受入部と前記蒸留補助剤の導入部が一体化されている。
また、ある態様では、前記不純物転化工程部は何れも蒸発器を備えており、該不純物転化工程部において処理されたトリクロロシランを前記蒸発器により気化させることにより、前記高沸点化合物を分離したトリクロロシランを後段部へと送出する。
さらに、ある態様では、前記複数の不純物転化工程部の少なくともひとつが、前記蒸発器と前記送出部との間に、前記蒸留補助剤と前記高沸化合物を分離する蒸留器を備えている。
さらに、ある態様では、前記高沸点化合物を分離したトリクロロシランの後段部への送出が、凝集液の状態で行われる。
例えば、前記蒸留補助剤は、芳香族アルデヒド、酸素、オゾンから選択される少なくともひとつの化合物を含む。
好ましくは、前記複数の不純物転化工程部のそれぞれに供給される前記蒸留補助剤の物質量は、前記クロロシランが含有する不純物の総量と反応して全てが高沸点化合物になる量に対し、1〜109倍であることが好ましく、より好ましくは10〜109倍であり、さらに好ましくは10〜109倍である。
また、好ましくは、前記不純物転化工程部内に前記蒸留補助剤が導入された状態での反応温度が0℃以上で150℃以下に設定される。
本発明に係るシリコン結晶は、上述のシステムにより製造されたトリクロロシランを原料として得られた、前記ドナー不純物濃度が2ppta以下、且つ、前記アクセプタ不純物濃度が20ppta以下のシリコン結晶である。
本発明に係るシステムでは、シリコン結晶中でドナーまたはアクセプタとなる不純物を含有するトリクロロシランを精製するに際し、トリクロロシラン中に含まれる不純物を蒸留補助剤の存在下で高沸点化合物に転化させる不純物転化部を、複数の不純物転化工程部で構成することとした。このため、付加物の解離による再汚染や平衡制約による不純物残留を防止することができる。
その結果、上記システムで精製されたトリクロロシランを用いて多結晶シリコンを製造すると、多結晶シリコンへのドナー不純物やアクセプタ不純物の混入が抑制される。
また、本発明に係るシステムの一態様では、蒸留補助剤を含むトリクロロシラン残部を後段から前段へと再供給するため、蒸留補助剤およびトリクロロシランの系外への排出を最小限に留めることができる。
また、前段から後段へのトリクロロシランの供給をガス状態で行う態様のシステムでは、液化のための特別な設備や電力を必要としない。
ドナー不純物やアクセプタ不純物を含むトリクロロシランから、多段式不純物転化工程および精製工程により高純度トリクロロシランを分離し、得られた高純度トリクロロシランを、多結晶シリコン製造工程での原料として利用するシステム例のブロック図である。 多段式不純物転化工程を処理する多段式不純物転化部の第1の構成例を説明するためのブロック図である。 多段式不純物転化工程を処理する多段式不純物転化部の第2の構成例を説明するためのブロック図である。 多段式不純物転化工程を処理する多段式不純物転化部の第3の構成例を説明するためのブロック図である。 不純物転化工程部の第1および第2の構成例を説明するためのブロック図である。 不純物転化工程部の第3および第4の構成例を説明するためのブロック図である。 不純物転化工程部の他の構成例を説明するためのブロック図である。
以下に図面を参照して、本発明に係るトリクロロシランの精製システムについて説明する。
多結晶シリコンの製造等に用いられる高純度トリクロロシランは、上述のように、不純物を多量に含む金属シリコンから公知の方法によって得られた粗トリクロロシランを蒸留などの手法により精製することで得られる。また、多結晶シリコンを析出させる工程から回収されるガスを蒸留・精製して高純度トリクロロシランを分離することとすれば、当該高純度トリクロロシランを再度、多結晶シリコンの製造工程へと供給して再利用することができる。
しかし、上述のような粗トリクロロシラン中には、原料となる金属シリコンや多結晶シリコン析出反応器中で用いられている部材等に含まれるドナー不純物やアクセプタ不純物が混入する。
このようなドナー不純物やアクプタ不純物のうち、精製対象であるトリクロロシランと近い沸点をもつ不純物は分離が容易ではない。
上述の特許文献4や5に示されているように、これまでは、蒸留補助剤を用いてドナー不純物やアクセプタ不純物との付加物を生成させ、後に続く蒸留によりこの付加物を分離してトリクロロシランを精製する方法が広く用いられてきた。特に、酸素存在下において芳香族アルデヒドを蒸留補助剤として用いた場合には、ドナー不純物とアクセプタ不純物の両方を同時に除去することができる。
しかし、既に述べたとおり、蒸留補助剤を用いて蒸留分離する際には、ドナー不純物やアクセプタ不純物と蒸留補助剤との付加物が不安定な場合、後に続く蒸留工程での加熱等の操作により付加物の解離が起きて再び分離困難な化合物へと戻り、再びクロロシラン類と分離し難い化合物に戻るといった問題も抱えている。また、付加物の生成が平衡反応である場合には、高沸点化合物に至らない不純物が定常的に残留してしまい高純度精製の阻害要因となるといった問題もある。
本発明においては、トリクロロシラン中に含まれるドナー不純物やアクセプタ不純物を、不純物転化工程にて蒸留補助剤を用いて高沸化した後に蒸留分離するプロセスにおいて、不純物転化工程を多段化することで、上述の付加物の解離や平衡制約による不純物の残存を抑制しつつ、高純度トリクロロシランを得ることを可能としている。
図1は、ドナー不純物やアクセプタ不純物を含むトリクロロシラン(不純物含有TCS)から、多段式不純物転化工程(S101)および精製工程(S102)からなるトリクロロシランの精製工程により高純度トリクロロシランを分離し、得られた高純度トリクロロシランを、多結晶シリコン製造工程(S103)での原料として利用するシステム例のブロック図である。
多段式の不純物転化工程(S101)には、シリコン結晶中でドナーまたはアクセプタとなる不純物を含有するトリクロロシランが供給される。このトリクロロシラン中の不純物は、蒸留補助剤の存在下で、高沸点化合物へと転化される。ここで、「高沸点化合物」なる用語は、トリクロロシランより沸点の高い化合物という意味で用いられる。両者の沸点の温度差は、25℃以上であることが好ましく、より好ましくは50℃以上であり、さらに好ましくは75℃以上である。この処理を経た後のトリクロロシランは、精製工程(S102)に送られ、高純度トリクロロシランが分離される。なお、この高純度トリクロロシランは、多結晶シリコンの製造工程(S103)における原料として用いることができる。
つまり、本発明に係るトリクロロシランの精製システムは、シリコン結晶中でドナーまたはアクセプタとなる不純物を含有するトリクロロシランを精製するためのシステムであって、前記トリクロロシラン中に含まれる不純物を、蒸留補助剤の存在下で高沸点化合物に転化させる不純物転化部と、前記不純物転化部から供給を受けたトリクロロシランを蒸留して精製を行う精製部とを備え、前記不純物転化部は、複数の不純物転化工程部で構成されている、トリクロロシランの精製システムである。
図2は、上述の多段式不純物転化工程(S101)を処理する多段式不純物転化部100の第1の構成例を説明するためのブロック図である。複数の不純物転化工程部(1段目〜n段目のn個の不純物転化工程部:10〜10)は直列に連結されており、不純物転化工程部は何れも、前段部からのトリクロロシランの受入部aと、蒸留補助剤の導入部bと、後段部へのトリクロロシランの送出部cと、残余部(高沸点化合物、蒸留補助剤、トリクロロシラン残液)を当該不純物転化工程部外に排出するドレイン部dを備えている。
また、図3は、上述の多段式不純物転化工程(S101)を処理する多段式不純物転化部100の第2の構成例を説明するためのブロック図である。この態様においても、複数の不純物転化工程部(1段目〜n段目のn個の不純物転化工程部:10〜10)は直列に連結されており、不純物転化工程部は何れも、前段部からのトリクロロシランの受入部aと、蒸留補助剤の導入部bと、後段部へのトリクロロシランの送出部cとを備えている。この態様では、初段の不純物転化工程部10以外の不純物転化工程部は何れも、残余部(高沸点化合物、蒸留補助剤、トリクロロシラン残液)を、前段の不純物転化工程部に排出するドレイン部dを備えている。
さらに、図4は、上述の多段式不純物転化工程(S101)を処理する多段式不純物転化部100の第3の構成例を説明するためのブロック図である。この態様では、図3に示した態様において、前段部からのトリクロロシランの受入部aと蒸留補助剤の導入部bが一体化されている。なお、図4に示した態様では、何れの不純物転化工程部においてもトリクロロシランの受入部aと蒸留補助剤の導入部bが一体化されているが、複数の不純物転化工程部の少なくともひとつにおいて上記一体化された態様としてもよい。
図5(A)および図5(B)は、上述の不純物転化工程部の第1および第2の構成例を説明するためのブロック図で、図5(A)に示した例では反応器20とその後段に設けられた蒸発器30を備えており、図5(B)に示した例では反応器20は設けられていない。
なお、上記何れの構成例においても、図6(A)および図6(B)に示したように、蒸発器30の後段に、蒸留補助剤および不純物の高沸化合物の更なる分離のための、蒸留器40を設けるようにしてもよい。
つまり、不純物転化工程部10は何れも蒸発器30を備えており、不純物転化工程部10において処理されたトリクロロシランを蒸発器30により気化させることにより、高沸点化合物を分離したトリクロロシランを後段部へと送出する。
なお、反応器20は不純物の高沸点化を効率的に行うためのもので、反応器20を設ける場合には、蒸留補助剤はこの反応器20に供給する。また、不純物の高沸点化を効率的に行うためには、蒸留補助剤の供給とともに、酸素もしくはオゾンを供給することが好ましい。
なお、複数の不純物転化工程部のすべてを上記4つの構成の何れかに統一するようにしてもよく、これらの構成の組合せとしてもよい。例えば、複数の不純物転化工程部の少なくともひとつが、蒸発器30と送出部との間に、蒸留補助剤と高沸化合物を分離する蒸留器40を備えている態様としてもよい。
そして、高沸点化合物を分離したトリクロロシランの後段部への送出は、気化した状態で行うようにしてもよいし、凝集液の状態で行うようにしてもよいが、用いる蒸留補助剤が液体の場合は、凝集液の状態で送出することが好ましい。
さらに、蒸留補助剤を導入する際は、液中および液面の何れに供給してもよいが、用いる蒸留補助剤がガスの場合であってこれを液状のトリクロロシランへ供給する場合には、液中に供給することが好ましい。なお、トリクロロシランと蒸留補助剤の何れかが気体であり他方が液体である場合には、気液接触効率を高めるため、液体中に微細な気泡を生成させた状態で蒸留補助剤を導入することとしてもよい。
蒸留補助剤は、芳香族アルデヒド、酸素、オゾンから選択される少なくともひとつの化合物を含むことが好ましい。蒸留補助剤が芳香族アルデヒドと酸素もしくはオゾンの組み合わせの場合は、先に芳香族アルデヒドを混合し、続いて酸素もしくはオゾンを混合することが好ましいが、これに限らず他の混合の仕方を採用してもよい。
処理前である前記不純物を含有するトリクロロシランのサンプルを採取し、小型の反応器にて析出させた結晶に対してフォトルミネッセンス(PL)分析を行うことで、ドーパント不純物量を予め測定する。実際の反応器では、上記測定により把握した前記不純物を含有するトリクロロシランと、これと反応するのに十分な量の前記蒸留補助剤の物質量を、不純物転化工程部のそれぞれに供給することにより、前記不純物を高沸点化合物に転化させることができる。前記複数の不純物転化工程部のそれぞれに供給される前記蒸留補助剤の物質量は、前記クロロシランが含有する不純物の総量と反応して全てが高沸点化合物になる量に対し、1〜109倍であることが好ましく、より好ましくは10〜109倍であり、さらに好ましくは10〜109倍である。この数値範囲の上限値が109倍とされているのは、この数値が109倍を超えると%オーダで蒸留補助剤を添加することになり、供給過剰となるためである。
さらに、不純物転化工程部内に前記蒸留補助剤が導入された状態での反応温度は、温度が低すぎると転化反応が進行しにくいため、0℃以上、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上とし、温度が高すぎると蒸留補助剤による副反応が進行する恐れがある為、150℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは50℃以下とする。
このようなシステムにより製造されたトリクロロシランを原料とすると、ドナー不純物濃度が2ppta以下、且つ、アクセプタ不純物濃度が20ppta以下の多結晶シリコンが得られる。
このように、本発明に係るシステムでは、シリコン結晶中でドナーまたはアクセプタとなる不純物を含有するトリクロロシランを精製するに際し、トリクロロシラン中に含まれる不純物を蒸留補助剤の存在下で高沸点化合物に転化させる不純物転化部を、複数の不純物転化工程部で構成することとした。このため、付加物の解離による再汚染や平衡制約による不純物残留を防止することができる。
その結果、上記システムで精製されたトリクロロシランを用いて多結晶シリコンを製造すると、多結晶シリコンへのドナー不純物やアクセプタ不純物の混入が抑制される。
また、本発明に係るシステムの一態様では、蒸留補助剤を含むトリクロロシラン残部を後段から前段へと再供給するため、蒸留補助剤およびトリクロロシランの系外への排出を最小限に留めることができる。
また、前段から後段へのトリクロロシランの供給をガス状態で行う態様のシステムでは、液化のための特別な設備や電力を必要としない。
以下の実施例及び比較例では、ドナー不純物としてリンを139ppta、アクセプタ不純物としてボロンを387ppta含むトリクロロシランを本発明のシステムにより処理した具体例を示す。
[実施例1]
図2のブロック図に示した態様のシステムにおいて、不純物転化工程部を図5(A)のように構成し、この不純物転化工程部を2つ(処理段数=2)直列に連結した不純物転化部とした。
上記不純物を含むトリクロロシランを多段式不純物転化部に供給し、各段において、リンとボロンの総物質量に対して2400万倍のベンズアルデヒドおよび735万倍の酸素(1.6vol%,窒素ベース)を供給して処理し、2段処理後のトリクロロシラン2.5kgをサンプルとして得た。得られたサンプルは小型の多結晶シリコン析出反応器を用いてシリコン結晶化を行い、フォトルミネッセンス(PL)分析にてリン濃度とボロン濃度を測定した。なお、リンとボロンの総物質量に対するベンズアルデヒドおよび酸素の供給量は合計で約3.1×10倍となる。この数値は、クロロシランが含有する不純物の総量と反応して全てが高沸点化合物になる量に対する、複数の不純物転化工程部のそれぞれに供給される蒸留補助剤の物質量の好ましい範囲として上述した、「1〜109倍」の範囲内にある。
[実施例2]
不純物転化工程部を3つ(処理段数=3)直列に連結した不純物転化部とした以外は実施例1と同様に処理し、トリクロロシラン2.5kgをサンプルとして得た。
[比較例1]
不純物転化工程部を1つ(処理段数=1)のみの不純物転化部とした以外は実施例1と同様に処理し、トリクロロシラン2.5kgをサンプルとして得た。
実施例1、実施例2、および比較例1の結果を、表1に纏めた。
Figure 0006944362
表1に示した結果から、処理段数の増加に伴い、多結晶シリコンサンプル中のリンおよびボロン濃度が低下し、比抵抗率も向上していることが確認できる。特に、処理段数3の実施例2では、シリコン結晶の比抵抗は5000Ω・cmを超える高い値が得られており、極めて低い不純物濃度の結晶となっていることが分かる。つまり、処理段数を増やすことで、トリクロロシランの高純度化が図られることが分かる。
[実施例3]
図7(A)および図7(B)は、不純物転化工程部10の他の構成例を説明するためのブロック図で、図7(A)に示した例では不純物転化工程部10を構成する反応器20には、蒸留補助剤としてオゾンが供給される。従来技術では、蒸留補助剤として酸素と芳香族アルデヒド系薬剤が併用されるが、オゾンは酸素よりも酸化力が高いため、リン不純物を効率的に高沸点化することができ、リン不純物の除去が容易化される。また、このような構成の不純物転化工程部10では、蒸留補助剤として芳香族アルデヒド系薬剤を供給しないため、リン不純物濃度のみを低減させたい場合にも有効である。なお、供給するオゾン濃度は、概ね1〜10ppmvの範囲にあることが好ましい。オゾン濃度が10ppmvよりも高いと爆発の危険性が高くなる一方、1ppmvよりも低いと濃度制御が困難である。
図7(B)は、図7(A)に示した構成の不純物転化工程部10Aを不純物転化工程部の前段に設け、その後段に、反応器20と蒸発器30を備えた不純物転化工程部10Bを配置している。なお、後段の不純物転化工程部10Bの構成自体は、図5(A)に示したものと同じであるが、前段の不純物転化工程部10Aから供給される不純物含有TCSを不純物添加するに際し、反応器20には、蒸留補助剤としての酸素と芳香族アルデヒド系薬剤が同時に供給される。
図7(B)に示した構成のものは、ベンズアルデヒドとオゾンを共存させると副生成物が生じる可能性が考えられるため、不純物転化処理を前後段の2段に分けることとし、前段部でオゾン処理を行った後に、後段部において通常の化学的処理を実施することとしている。上述のとおり、このような構成とすれば、前段部の処理においてリン不純物を効率的に高沸点化することができ、リン不純物の除去が容易化される。
なお、上記図7(B)に図示した構成例においても、図6(A)および図6(B)に示したように、蒸発器30の後段に、蒸留補助剤および不純物の高沸化合物の更なる分離のための、蒸留器40を設けるようにしてもよい。
不純物転化工程部として、図7(B)に図示した構成の多段式の不純物転化工程部10を用い、この不純物転化工程部10に、ドナー不純物としてリンを139ppta、アクセプタ不純物としてボロンを387ppta含むトリクロロシラン(3kg)を供給して蒸留を行った。
前段部である不純物転化工程部10Aには、オゾン濃度500ppmvのHe混合ガスを100cc/分で120分間通気させた。一方、後段部である不純物転化工程部10Bには、ベンズアルデヒドを1wt%添加後、O(1.6vol%)/He混合ガスを100cc/分で120分間通気させた。不純物転化工程部10Bから得られた蒸留後のTCSを加熱して単蒸発させて凝縮液をサンプリングした。このサンプリングで得られたTCSを原料とし、小型の多結晶シリコン析出反応器を用いてシリコン結晶化を行い、フォトルミネッセンス(PL)分析にてリン濃度を測定した。
[比較例2]
不純物転化工程部に不純物転化工程部10Aを用いず、不純物転化工程部10Bの単段とした以外は実施例3と同様に処理し、蒸留後TCSをサンプルとして得た。そして、このサンプリングで得られたTCSを原料とし、小型の多結晶シリコン析出反応器を用いてシリコン結晶化を行い、フォトルミネッセンス(PL)分析にてリン濃度を測定した。
実施例3および比較例2のリン濃度の測定結果を、表2に纏めた。
Figure 0006944362
本発明は、蒸留補助剤の効果を最大限に利用してトリクロロシラン中からドナー不純物やアクセプタ不純物を効率的に除去し、高沸点化合物の転化に伴い発生した付加物の解離による再汚染や平衡制約による不純物残留を防止することが可能なトリクロロシランの精製システムを提供する。
100 多段式不純物転化部
10、10A、10B 不純物転化工程部
20 反応器
30 蒸発器
40 蒸留器

Claims (8)

  1. シリコン結晶中でドナーまたはアクセプタとなる不純物を含有するトリクロロシランを精製するためのシステムであって、
    前記トリクロロシラン中に含まれる不純物を、蒸留補助剤の存在下で高沸点化合物に転化させる不純物転化部と、前記不純物転化部から供給を受けたトリクロロシランを蒸留して精製を行う精製部とを備え、
    前記不純物転化部は、直列に連結された複数の不純物転化工程部で構成されており、
    前記複数の不純物転化工程部は第1処理部と該第1処理部に直列に連結された第2処理部を有しており、
    前記第1処理部には蒸留補助剤としてのオゾンが供給され、
    前記第2処理部には蒸留補助剤としての芳香族アルデヒドが供給され、
    前記第2処理部に設けられた蒸発器により、前記不純物転化工程部において処理されたトリクロロシランを気化させることにより、前記高沸点化合物を分離したトリクロロシランを後段部へと送出する、
    トリクロロシランの精製システム。
  2. 前記不純物転化工程部は何れも、前段部からのトリクロロシランの受入部と、前記蒸留補助剤の導入部と、後段部へのトリクロロシランの送出部と、残余部を前記不純物転化工程部から排出するドレイン部を備えている、請求項1に記載のトリクロロシランの精製システム。
  3. 前記不純物転化工程部は何れも、前段部からのトリクロロシランの受入部と、前記蒸留補助剤の導入部と、後段部へのトリクロロシランの送出部とを備え、初段の不純物転化工程部以外の不純物転化工程部は何れも、残余部を前段の不純物転化工程部に排出するドレイン部を備えている、請求項1に記載のトリクロロシランの精製システム。
  4. 前記複数の不純物転化工程部の少なくともひとつにおいて、前記前段部からのトリクロロシランの受入部と前記蒸留補助剤の導入部が一体化されている、請求項2または3に記載のトリクロロシランの精製システム。
  5. 前記複数の不純物転化工程部の少なくともひとつが、前記蒸発器と前記送出部との間に、前記蒸留補助剤と前記高沸化合物を分離する蒸留器を備えている、請求項2〜4の何れか1項に記載のトリクロロシランの精製システム。
  6. 前記高沸点化合物を分離したトリクロロシランの後段部への送出が、凝集液の状態で行われる、請求項1〜5の何れか1項に記載のトリクロロシランの精製システム。
  7. 前記複数の不純物転化工程部のそれぞれに供給される前記蒸留補助剤の物質量は、前記クロロシランが含有する不純物の総量と反応して全てが高沸点化合物になる量に対し、1〜10倍である、請求項1〜の何れか1項に記載のトリクロロシランの精製システム。
  8. 前記不純物転化工程部内に前記蒸留補助剤が導入された状態での反応温度が0℃以上で150℃以下に設定される、請求項1〜の何れか1項に記載のトリクロロシランの精製システム。
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