JP6943871B2 - ポリアリールエーテルケトン組成物、及び金属表面を被覆する方法 - Google Patents

ポリアリールエーテルケトン組成物、及び金属表面を被覆する方法 Download PDF

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先行出願の相互参照
本出願は、2016年3月9日に出願された米国仮特許出願第62/305731号、2016年5月4日に出願された欧州特許出願第16168380.0号、及び2016年10月13日に出願された米国仮特許出願第62/407911号の優先権を主張するものであり、これらの出願の全内容は、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
本発明は、ポリマー組成物、及びその使用、特に前述の組成物で金属表面を被覆する方法に関する。より詳細には、この組成物は、高温性能、良好な耐薬品性、並びに同時に、金属表面への高い接着性及び高い延性及び靭性を有するポリアリールエーテルケトン組成物である。
ポリアリールエーテルケトン(PAEK)は、以下の式:
(−Ar−X−)及び(−Ar’−Y−)
(式中、
Ar及びAr’は、互いに等しく又は異なり、置換されていてもよい芳香族二価基であり、
Xは電子求引基であり、典型的にはカルボニル又はスルホニル基から選択され、
Yは、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基であることができ、
繰り返し単位の少なくとも50%は、−Ar−C(=O)−Ar’−単位である)を有する繰り返し単位を含むポリマーである。
PAEK、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、式:
−[O−Ph−C(O)−Ph−O−Ph]−
(式中、Phはそれぞれ、互いに独立して、置換されていてもよいフェニレン基である)の繰り返し単位を含み、高結晶質であり、高温性能及び良好な耐薬品性の必要性がある広範囲の用途に使用される。しかしながら、PEEKは、金属への接着性が悪く、ワイヤー被覆又はその他の金属被覆用途での使用が困難である。高い流動性のPEEKは、3次元印刷及び非常に低い溶融粘度を必要とするその他の用途において望ましいが、溶融粘度が非常に低い場合は脆くなる傾向がある。
従って、高温性能及び耐薬品性を維持しながら、金属への接着性、高い流動性のPEEKの延性及び靭性を向上する必要がある。
1986年6月11日公開の欧州特許出願公開第0184458A号明細書(IMPERIAL CHEMICAL INDUSTRIES PLC)は、式:
−[Ph−O−Ph−C(O)−Ph−O]−
及び
−[Ph−Ph−O−Ph−C(O)−Ph−O]−
(式中、Phは、フェニレン部位である)の繰り返し単位を含むPAEK、及びその製造プロセスを開示している。この文献は、ポリマー(以下「PEEK−PEDEK」と称される)が、良好な電気絶縁特性を有し、例えば、高い使用温度で使用するためのワイヤー及びケーブル被覆などの絶縁材料として適切であることを教示している。この文書は、PEEK−PEDEKとその他のポリマーとのブレンドについては教示も示唆もしていない。
2012年6月28日公開の米国特許出願公開第20120160829A号明細書(ARKEMA FRANCE)は、弾性率を増加させる繊維又はその他の要素、及びフェリ磁性又は強磁性の導電性粒子で場合により充填された少なくとも1つのPAEKを含むポリマー組成物を開示している。この組成物は、交互電磁場における誘導によって溶接することができる物品の製造に使用することができる。材料の特性を最適化するためにPAEK混合物を使用しなければならない場合があると記載されていても、実施例では、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)及び鉄粉を含む組成物のみを開示している。この特許文献は、金属表面の被覆のための組成物の使用を教示していない。
2011年10月20日公開の米国特許第8536265B号明細書(VICTREX MANUFACTURING COMPANY)は、PAEKポリマー材料、例えばPEEK、及び前述の材料を含む複合材料を開示している。このポリマー材料は、0.05〜0.12kNsm−2の範囲、好ましくは0.085〜0.095kNsm−2の範囲の溶融粘度(MV)を有する。複合材料が1つ以上の前述のPAEKポリマー材料を含むことができると記載されていても、単一タイプのPAEK材料のみを含む複合材料、好ましくはPEEKが好ましい。PAEKは、比較的薄い壁を有する部品を製造するために射出成形又は押出成形に使用することができる。2つ以上のPAEKポリマー材料を含むブレンドされた材料の具体的な開示又は示唆はなく、金属被覆用途のためのブレンドの使用に対する暗示もなく、高温性能及び耐薬品性を保持しながら延性及び靭性を向上させる方法に関する教示もない。
2013年6月27日公開の国際公開第2013/092492号パンフレット(SOLVAY SPECIALTY POLYMERS USA)は、少なくとも1つのポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリスルホン(PSU)又はこれらの混合物などの少なくとも1つの芳香族スルホンポリマー(SP)、及び少なくとも1つの強化充填材を含む、ポリマー組成物(C)からなる少なくとも1つの構造部分を含む移動電子デバイスに関する。
2015年2月12日公開の国際公開第2015/019047A号パンフレット(VICTREX MANUFACTURING LIMITED)は、第1の部分と第2の部分を含み、前述の第2の部分は前述の第1の部分と接触している成分を開示しており、この場合に、
(i)第1の部分は第1の半結晶質ポリマーを含み、フェニレン部位、カルボニル部位、及びエーテル部位を含み、
(ii)第2の部分は、第2の半結晶質ポリマーを含み、フェニレン部位、カルボニル部位、及びエーテル部位を含む。
この成分の第2のポリマーは、第1のポリマーの溶融温度(T)より低い溶融温度(T)を有する。好ましい実施形態によれば、第1の半結晶質ポリマーはPEEKであり、第2のポリマーはPEEK−PEDEKである。この特許文献は、第1及び第2の部分が高強度の物理化学的相互作用で共に固定されて、高度に化学的に耐性があり長期の機械的特性を有する成分を提供することができることを教示している。成分は、第1のポリマーを含む第1の部分、又は前述の第1の部分の前駆体を、第2のポリマーを含む第2の部分と接触させることによって製造される。典型的には、場合により充填材を含む溶融した第1のポリマーが、第2の部分の周りにオーバーモールドされる。この特許文献は、異なるPAEKのブレンド及び金属被覆用途へのこれらの使用を開示又は示唆していない。
2015年8月27日公開の国際公開第2015/124903A号パンフレット(VICTREX MANUFACTURING LIMITED)は、電磁放射線を使用して物体を製造するための焼結プロセスに関し、前述のプロセスは、PEEK−PEDEKであるポリマー材料を、場合により充填材及び放射線吸収剤と組み合わせて使用することを含む。ポリマー材料は、いわゆる「バージンPEEK−PEDEK」又はバージン及び再循環されたPEEK−PEDEKの混合物(ブレンド)であり得る。この特許文献は、PEEK−PEDEKとその他のポリマーとの混合物を開示していない。
2015年12月17日公開の国際公開第2015/189567A号パンフレット(VICTREX MANUFACTURING LIMITED)は、第1の部分と、第1の部分と接触する第2の部分を含む成分(例えば、ワールドワイドウェブへの接続のための又は通信のための電子デバイスの部分)を開示しており、この場合に、
(i)第1の部分はPEEK−PEDEKを含み、
(ii)第2の部分は金属を含む。
第1の部分のポリマーは、ポリマーと充填材を含む組成物の一部であり得る。より高い結晶化度を有するその他のPAEKはいうまでもなく、その他のPAEKと組み合わせたPEEK−PEDEKを含む組成物についての開示又は示唆はない。
2015年12月30日公開の国際公開第2015/198063A号パンフレット(VICTREX MANUFACTURING LIMITED)は、第1の部分と第2の部分を含む成分を形成するポリマー材料に関し、この場合に、第3の部分は、第1の部分と第2の部分の間に配置される。それぞれの部分はポリマー材料、即ちPAEKを含む。一実施形態においては、部分Aは、PAEKであるポリマー材料(A)と、PEEK−PEDEKである別のポリマー材料(C)を含む。この特許文献は、金属被覆用途のための部分Aのこの組成物の使用を開示又は示唆していない。
2016年2月4日公開の国際公開第2016/016643A号パンフレット(VICTREX MANUFACTURING LIMITED)は、
−ポリマー材料(A)、即ちPEEK−PEDEKポリマーと、
−好ましくはPEEKである、ポリマー材料(B)と、を含むブレンドに関する。
このブレンドは、又、熱可塑性ポリマー(C)、好ましくはポリスルホン及び繊維状充填材を含む組成物の一部であり得る。このブレンド又は組成物は、射出成形部品又は押出成形部品の製造に使用することができる。
このブレンドを金属の被覆に使用することに関する開示又は暗示は提供されていない。
2009年5月7日公開の国際公開第2009/058362A1号パンフレット(POLYMICS、LTD)は、金属を含む、基材のための保護フィルムに関し、前述のフィルムは、ポリマーベース層及びポリマー上部層によって形成され、上部層は、ベース層より高い破断伸び及び高い結晶化度を有する。特に、この文献の実施例IVは、ベース層としての非晶質PEKKと、上部層としての半結晶質PEEKの同時押出によって形成された保護膜を開示している。このフィルムを335℃で加圧し加熱することによりアルミニウムシートに適用する。この温度(非晶質PEKKの溶融温度より高く、半結晶質PEEKの溶融温度より低い)では、半結晶質PEEKは溶融せず、一方、非晶質PEKKは軟化してアルミニウムシートに結合する。結果として、2つのポリマーのブレンド、即ち均一な混合物は形成されない。ポリマーブレンドを得るためには、異なる溶融温度を有する2つのポリマーが接触し、最も低い溶融成分の温度より高いが、最も高い溶融成分の温度より低い温度で加熱される場合に起こらない、バルク拡散又は対流プロセスが必要であることは、当技術分野においてまさに公知である。国際公開第2009/058362A1号パンフレットに開示されたフィルムが、均一なブレンドではないということを考慮すると、上部層が損傷してベース層が露出すると、その保護効果に悪影響を及ぼすことがある。
1985年4月24日付け欧州特許出願公開第01138128A1号明細書(UNION CARBIDE CORPORATION)は、例えば、電気ワイヤー及びコネクター用途に有用であると言われる少なくとも2つのポリ(アリールエーテル)ポリマーを含むブレンドに関する。ここで開示されたポリマーブレンドは、単一の結晶融点(T)及び単一のガラス転移温度(T)を有する。この文献は、少なくとも1つが結晶質でない、少なくとも2つのポリマーの混合物について何ら暗示又は示唆をしていなく、更に、この文献は、結晶質及び非晶質ポリマーを混合することによって、高い結晶化度のレベル、即ち、高い耐薬品性が保持されることを教示も示唆もしていない。
2016年4月28日公開の米国特許出願公開第2016/0115314号明細書(ARKEMA FRANCE)は、PEKKが一定の比のテレフタル酸及びイソフタル酸単位を含む特定量のPEKKを含むPEEK系組成物に関する。PEEK系組成物にPEKKを組み込むと、一般的に拮抗する2つの機械的特性、即ち降伏点応力及び破断伸びが増加することが記載されている(段落、[0071])。又、結晶化速度が遅くなり、これにより材料の内部応力が低減され(長時間で高価なポストアニール段階を省く)、所望の最適形状を有する非変形部分を得ることができると記載されている(段落、[0072])。しかしながら、この文献は、組成物の金属基材への接着については言及していない。
発明の開示
本出願人は、驚くべきことに、少なくとも2つの異なるPAEKポリマーのブレンドが、高強度、温度性能、及び耐薬品性を保持しながら、金属への接着性、靭性、及び耐衝撃性を向上する必要がある用途に有利に使用できることを見出した。特に、本出願人は、このような混合物が金属被覆用途に使用できることを見出した。
従って、一態様においては、本発明は、金属表面を被覆する方法(方法(M))に関し、前述の方法は、PAEK組成物[組成物(C)]を金属表面に塗布する工程を含み、前述の組成物は、
−第1のポリアリールエーテルケトン(PAEK−1)、及び
−第2のポリアリールエーテルケトン(PAEK−2)からなるポリマーブレンド[ブレンド(B)]を含み、
この場合に、(PAEK−1)は結晶質であり、330℃以上の溶融温度Tmを示し、(PAEK−2)は非晶質又は結晶質であり、315℃以下の溶融温度Tを示し、組成物(C)は50重量%を超える(PAEK−1)を含む。
別の態様においては、本発明は、方法(M)を実施するための特定のブレンド(B)及び組成物(C)に関する。
更なる態様においては、本発明は、組成物(C)を含む最終物品[物品(A)]、特に、組成物(C)[表面(S)]で被覆された金属表面、及び前述の表面を含む物品[物品(A’)]に関する。
一般的定義
明確さのために、本出願を通して、
−(PAEK−1)及び(PAEK−2)の溶融温度Tは、ASTM D3418−03、E1356−03、E793−06、E794−06に従って示差走査熱量計(DSC)において、20℃/分の加熱及び冷却速度を用いて、2nd熱走査における溶融吸熱のピーク温度として決定される温度である。本記載の目的のために、溶融吸熱が第2の熱走査で検出される場合、ポリマーは結晶質であり、
−本発明のそれぞれの一般的定義及びそれぞれの一般的実施形態を顧みるいかなる参照も、別段の指示がない限り、それぞれの一般的定義又は実施形態に含まれるそれぞれの特定の定義又は実施形態を含むことを意図し、
−例えば、「ブレンド(B)」、「組成物(C)」、式(J−A)等などの、式を特定する化合物の名称、記号、又は文字の前後の括弧「()」の使用は、本文の残りの部分からその名称、記号、又は文字をよりよく区別する単なる目的を有し、従って、前述の括弧は省略することもでき、
−数値範囲が表示される場合、範囲の端が含まれ、
−用語「ハロゲン」は、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含み、
−用語「方法」は、プロセスの同意語として使用され、逆もまた同様であり、
−形容詞「芳香族」は、4n+2(式中、nは、0又は任意の正の整数である)に等しい数のπ電子を有する任意の単核又は多核環基(又は部位)を意味し、芳香族基(又は部位)は、アリール又はアリーレン基(又は部位)であり得、
−「アリール基」は、1つのベンゼン環から、又は2つ以上の隣接環炭素原子を共有することによってともに縮合した複数のベンゼン環からなる1つのコアから、及び1つの末端からなる炭化水素一価基である。アリール基の非限定的な例は、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、テトラセニル、トリフェニリル、ピレニル、及びペリレニル基である。アリール基の末端は、アリール基のベンゼン環に含まれる炭素原子の自由電子であり、この場合に、前述の炭素原子に結合していた水素原子は除去されている。アリール基の末端は、別の化学基と結合を形成することができ、
−「アリーレン基」は、1つのベンゼン環から、又は2つ以上の隣接環炭素原子を共有することによってともに縮合した複数のベンゼン環からなる1つのコアから、及び2つの末端からなる炭化水素二価基である。アリーレン基の非限定的な例は、フェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレン、テトラセニレン、トリフェニリレン、ピレニレン、及びペリレニレンである。アリーレン基の末端は、アリーレン基のベンゼン環に含まれる炭素原子の自由電子であり、この場合に、前述の炭素原子に結合していた水素原子は除去されている。アリーレン基のそれぞれの末端は、別の化学基と結合を形成することができる。
ポリアリールエーテルケトン(PAEK−1)
本発明の目的のため、(PAEK−1)を構成するPAEKは、繰り返し単位(R1)を含む任意のポリマーであり、この場合に、少なくとも50モル%の前述の繰り返し単位は、ここで以下の式(J−A)〜(J−Q):
Figure 0006943871
Figure 0006943871
Figure 0006943871
(式中:
−R’はそれぞれ、互いに等しく又は異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
−j’は、ゼロであり、又は1〜4の整数であり、
−Y’はアルキリデン基であり、
前述の繰り返し単位(R1)は、ポリマーが結晶質であり、330℃以上の溶融温度Tを示すように選択される)の少なくとも1つに従う。
繰り返し単位(R1)では、それぞれのフェニレン部位は、独立して、繰り返し単位におけるR’とは異なるその他の部位への1,2−、1,4−、又は1,3−結合を有することができる。好ましくは、前述のフェニレン部位は、1,3−又は1,4−結合を有し、より好ましくは、1,4−結合を有する。
更に、繰り返し単位(R1)において、j’は、好ましくは出現ごとにゼロであり、即ち、フェニレン部位は、ポリマーの主鎖における結合を可能にするもの以外の置換基を有していない。
好ましい繰り返し単位(R1)は、従って、ここで以下の式(J’−A)〜(J’−Q)のものから選択される。
Figure 0006943871
Figure 0006943871
有利には、(PAEK−1)は、少なくとも50モル%の繰り返し単位(J−A)、(J−B)、(J−C)、又は(J−O)を含む。より有利には、(PAEK−1)は、少なくとも60モル%、より有利には少なくとも70モル%、更により有利には少なくとも80モル%、最も有利には少なくとも90モル%の繰り返し単位(J−A)、(J−B)、(J−C)、又は(J−O)を含む。典型的には、単位(J−A)、(J−B)、(J−C)及び(J−O)は、(J’−A)、(J’−B)、(J’−C)、及び(J’−O)単位である。
市販の適切な(PAEK−1)の例は、Solvay Specialty PolymersのKetaSpire(登録商標)PEEK、EvonikのVestakeep(登録商標)PEEK、Victrex(登録商標)のVictrex(登録商標)PEEK、PEEK−HT、及びPEEK−ST、CytecのCypek(登録商標)FC、及びCypek(登録商標)HT PEKKである。
好ましい実施形態においては、(PAEK−1)は、少なくとも50モル%の繰り返し単位が繰り返し単位(J−A)であるPEEKである。(PAEK−1)の繰り返し単位の、好ましくは少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも70モル%、更により好ましくは少なくとも80モル%、最も好ましくは少なくとも90モル%、最も好ましくは少なくとも95%は、繰り返し単位(J−A)である。より好ましくは、実質的に全ての(PAEK−1)の繰り返し単位は、繰り返し単位(J−A)である。
本出願において、「実質的に全ての繰り返し単位」は、少なくとも98モル%の繰り返し単位を意味する。
好ましい繰り返し単位(J−A)は、式(J’−A)に従うものである。
PAEK−1が少なくとも98モル%単位(J’−A)を含む場合、即ち、商標KetaSpire(登録商標)KT−880 NL及びKetaSpire(登録商標)KT−890 NLで、Solvay Specialty Polymers USAから入手可能であるPEEKで、優れた結果が得られた。
好ましくは、(PAEK−1)は、0.5×3.175mmのタングステンカーバイドダイを使用して400℃及び1000s−1でASTM D3835に従って測定される、少なくとも0.05kN−s/m、より好ましくは少なくとも0.07kN−s/m、より好ましくは少なくとも0.08kNs/mの溶融粘度を示す。
好ましくは、(PAEK−1)は、0.5×3.175mmのタングステンカーバイドダイを使用して400℃及び1000s−1でASTM D3835に従って測定される、多くとも0.65kN−s/m、より好ましくは多くとも0.60kN−s/m、より好ましくは多くとも0.50kN−s/mの溶融粘度を示す。
好ましくは、(PAEK−1)は、ASTM D2857−95に従って測定される、25℃における濃硫酸中0.1%で、少なくとも0.4dL/g、より好ましくは少なくとも0.5dL/g、最も好ましくは少なくとも0.6dL/gの固有粘度を示す。
好ましくは、(PAEK−1)は、25℃における濃硫酸中0.1%で測定される、多くも2.0dL/g、より好ましくは多くも1.7dLg/、最も好ましくは多くも1.5dL/gの固有粘度を示す。
ポリアリールエーテルケトン(PAEK−2)
本発明の目的のために、(PAEK−2)は、繰り返し単位(R2)を含む任意のポリマーであり、この場合に、前述の繰り返し単位の少なくとも50モル%は、PAEK−2が非晶質又は結晶質であり、315℃以下の溶融温度Tを示すように選択される、前述の式(J−A)〜(J−Q)の少なくとも1つに従う。
繰り返し単位(R2)において、それぞれのフェニレン部位は、独立して、繰り返し単位におけるR’と異なるその他の部位への1,2−、1,4−、又は1,3−結合を有することができる。好ましくは、前述のフェニレン部位は、1,3−又は1,4−結合を有し、より好ましくは、(J−A)、(J−B)、及び(J−Q)を除いて1,4−結合を有し、これは、より好ましくは、独立して、1,3及び1,4−結合を有する。
更に、繰り返し単位(R2)において、J’は、好ましくは出現ごとにゼロであり、即ち、フェニレン部位は、ポリマーの主鎖における結合を可能にするもの以外の置換基を有さない。
従って、好ましい繰り返し単位(R2)は、前述の式(J’−A)〜(J’−Q)のものから選択され、更に、ここで以下の単位(J’’−A)、(J’’−B)、及び(J’’−Q)
Figure 0006943871
から選択される。
本発明の好ましい態様においては、(PAEK−2)は、ポリアリールエーテルケトンケトン(PEKK)、即ち、PAEK−2の繰り返し単位の少なくとも50モル%が、単位(J’−B)及び(J’’−B)の組み合わせであるポリマーである。PEKKの繰り返し単位の、好ましくは少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも70モル%、更により好ましくは少なくとも80モル%、最も好ましくは少なくとも90モル%が、繰り返し単位(J’−B)及び(J’’−B)である。より好ましくは、PEKKの繰り返し単位の少なくとも95モル%は、繰り返し単位(J’−B)及び(J’’−B)である。Cytecから入手可能なCypek(登録商標)DS−E又はDS−M PEKKを用いて、非常に良好な結果が得られた。
本発明の別の好ましい実施形態においては、(PAEK−2)は、PEEK−PEDEK、即ち、PAEK−2の繰り返し単位の少なくとも50モル%が前述で定義された繰り返し単位(J’−A)と(J’−D)の組み合わせであるポリマーである。PEEK−PEDEKの繰り返し単位の、好ましくは少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも70モル%、更により好ましくは少なくとも80モル%、最も好ましくは少なくとも90モル%は、繰り返し単位(J’−A)及び(J’−D)である。より好ましくは、PEEK−PEDEKの繰り返し単位の少なくとも95モル%は、繰り返し単位(J’−A)及び(J’−D)である。最も好ましくは、PEEK−PEDEKの繰り返し単位の全ては、繰り返し単位(J’−A)及び(J’−D)である。PEEK−PEDEKポリマーは、Imperial Chemical Industries PLCの前述の欧州特許出願公開第0184458A2号明細書に開示されている方法に従って製造することができる。好ましくは、繰り返し単位(J’−A)/(J’−D)のモル比は、65/35〜85/15の範囲にある。例示的な実施形態においては、全ての繰り返し単位は、以下の(J’−A)/(J’−D)モル比:65/35、70/30、75/25、80/20、及び85/15における(J’−A)及び(J’−D)単位である。
本発明の別の好ましい実施形態においては、(PAEK−2)は、スルホン化PEEK、即ち、少なくとも50モル%の繰り返し単位が、ここで以下:
Figure 0006943871
の繰り返し単位(J’’’−A)であるPEEKであり、繰り返し単位の残りの実質的に全ては、前述の式(J’−A)の繰り返し単位である。スルホン化PEEKは、PEEKのスルホン化反応によって製造することができ、特に、少なくとも50モル%の繰り返し単位が、繰り返し単位(J’’’−A)であるスルホン化PEEKは、実質的に全ての繰り返し単位が繰り返し単位(J’−A)であるPEEKのスルホン化反応によって製造することができる。疑いを避けるために、これらの好ましい(PAEK−2)は、少なくとも98モル%の繰り返し単位(J’−A)と(J’’’−A)の組合せを含み、この場合に、繰り返し単位(J’’’−A)は、(PAEK−2)に含まれる全繰り返し単位の少なくとも50モル%を含む。
本発明の別の好ましい実施形態においては、(PAEK−2)の繰り返し単位の少なくとも50モル%が繰り返し単位(J’−P)である。(PAEK−2)の繰り返し単位の、好ましくは少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも80モル%、最も好ましくは少なくとも90モル%が、繰り返し単位(J’−P)である。より好ましくは、PAEK−2の繰り返し単位の少なくとも95モル%が繰り返し単位(J’−P)である。最も好ましくは、PAEK−2の繰り返し単位の全てが繰り返し単位(J’−P)である。このPAEK−2は、公知の方法に従って、ビスフェノールAと4,4’−ジハロジベンゾフェノン、典型的には4,4’−ジフルオロジベンゾフェノンとの重縮合反応により製造することができる。
本発明の更に別の好ましい実施形態においては、(PAEK−2)の繰り返し単位の少なくとも50モル%が、繰り返し単位(J’−A)及び(J’’−A)の組み合わせである。(PAEK−2)の繰り返し単位の、好ましくは少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも70モル%、更により好ましくは少なくとも80モル%、最も好ましくは少なくとも90モル%が、繰り返し単位(J’−A)及び(J’’−A)である。より好ましくは、(PAEK−2)の繰り返し単位の少なくとも95モル%が、繰り返し単位(J’−A)及び(J’’−A)である。最も好ましくは、(PAEK−2)の繰り返し単位の全てが、繰り返し単位(J’−A)及び(J’’−A)である。
本発明の更に別の好ましい実施形態においては、(PAEK−2)の繰り返し単位の少なくとも50モル%が、繰り返し単位(J’’−A)である。(PAEK−2)の繰り返し単位の、好ましくは少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも70モル%、更により好ましくは少なくとも80モル%、最も好ましくは少なくとも90モル%が、繰り返し単位(J’’−A)である。より好ましくは、(PAEK−2)の繰り返し単位の少なくとも95モル%が、繰り返し単位(J’’−A)である。最も好ましくは、(PAEK−2)の繰り返し単位の全てが、繰り返し単位(J’’−A)である。
本発明の更に別の好ましい実施形態においては、(PAEK−2)の繰り返し単位の少なくとも50モル%が、繰り返し単位(J’’−Q)である。(PAEK−2)の繰り返し単位の、好ましくは少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも70モル%、更により好ましくは少なくとも80モル%、最も好ましくは少なくとも90モル%が、繰り返し単位(J’’−Q)である。より好ましくは、(PAEK−2)の繰り返し単位の少なくとも95モル%が、繰り返し単位(J’’−Q)である。最も好ましくは、(PAEK−2)の繰り返し単位の全てが、繰り返し単位(J’’−Q)である。
好ましくは、(PAEK−2)は、0.5×3.175mmのタングステンカーバイドダイを使用して400℃及び1000s−1でASTM D3835に従って測定される、少なくとも0.03kN−s/m、より好ましくは少なくとも0.04kN−s/m、より好ましくは少なくとも0.05kNs/mの溶融粘度を示す。
好ましくは、(PAEK−2)は、0.5×3.175mmのタングステンカーバイドダイを使用して400℃及び1000s−1でASTM D3835に従って測定される、多くとも0.65kN−s/m、より好ましくは多くとも0.60kN−s/m、より好ましくは多くとも0.50kN−s/m2.の溶融粘度を示す。
好ましくは、(PAEK−2)は、ASTM D2857−95に従って測定される、25℃における濃硫酸中0.1%で、少なくとも0.2dL/g、より好ましくは少なくとも0.3dL/g、最も好ましくは少なくとも0.4dL/gの固有粘度を示す。
好ましくは、(PAEK−2)は、25℃における濃硫酸中0.1%で測定される、多くとも2.0dL/g、より好ましくは多くとも1.7dLg/、最も好ましくは多くとも1.5dL/gの固有粘度を示す。
好ましくは、(PAEK−2)は、ASTM D3850標準による熱重量分析(「TGA」)によって測定される、約300℃以上、約350℃以上、又は約400℃以上の温度(“T”)で5%の重量減少を示す。TGA測定は、30℃の出発温度、800℃の終了温度、10℃/分の昇温速度、及び60mL/分の流量を用いる窒素雰囲気下で行われる。
(PAEK−1)と(PAEK−2)のブレンド(B)
本発明の目的のために、(PAEK−1)及び(PAEK−2)をともにブレンドして、当技術分野で公知の方法に従ってブレンド(B)を提供する。複数の(PAEK−1)と複数の(PAEK−2)をブレンド(B)に使用できるが、ブレンド(B)は、好ましくは、1つの(PAEK−2)との組み合わせにおける1つの(PAEK−1)のみを含む。本明細書において使用される場合、用語「ブレンド」は、2つのポリマーの均質な(又は均一な)物理的混合物を意味することを意図する。ブレンドは、溶融混合(又は溶融配合)、溶液ブレンド及びラテックス混合を含む、対流が支配的な混合運動である、当技術分野で公知の任意の方法によって得ることができる。
有利には、ブレンド(B)は、組成物(C)に関して以下に詳細に説明するように、溶融配合によって製造される。
或いは、ブレンド(B)は、組成物(C)に関して以下に詳細に説明するように、粉末ブレンドによって製造することができる。
(PAEK−1)と(PAEK−2)は、様々な重量比で混合されるが、但し、(PAEK−1)の重量が、(PAEK−2)の重量より高い、即ち、(PAEK−1)が50重量%超のブレンド(B)を含むという条件である。有利には、(PAEK−1)は、少なくとも60重量%のブレンド(B)、好ましくは少なくとも70重量%のブレンド(B)、より好ましくは少なくとも75重量%のブレンド(B)を含む。ある場合には、(PAEK−1)は、少なくとも90重量%のブレンド(B)を含む。
有利には、方法(M)は、ブレンド(B−1)を用いて実施され、この方法は、
−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
−少なくとも50モル%の繰り返し単位が、式(J’−B)及び(J’’−B)の単位の組み合わせ、式(J’−A)及び(J’−D)の単位の組み合わせ、式(J’’’−A)の単位、式(J’−P)の単位、又は式(J’−A)及び(J’’−A)の単位の組み合わせである(PAEK−2)と、を含む。
ブレンド(B−1)の好ましい例は、
1)−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
−少なくとも95モル%の繰り返し単位が式(J’−B)及び(J’’−B)の単位であるPEKKである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1a)、
2)−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
−少なくとも95モル%の繰り返し単位が繰り返し単位(J’−A)及び(J’−D)であるPEEK−PEDEKである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1b)、
3)−少なくとも95モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
−少なくとも95モル%の繰り返し単位が繰り返し単位(J’−P)である(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1c)、
4)−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
−少なくとも50モル%の繰り返し単位が繰り返し単位(J’’’−A)であり、繰り返し単位の残りが単位(J’−A)であるスルホン化PEEKである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1d)、
5)−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
−少なくとも95%の繰り返し単位が繰り返し単位(J’−A)及び(J’’−A)であるPAEKである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1e)である。
有利には、ブレンドは、ブレンド(B−1a)又はブレンド(B−1b)である。
更なる実施形態においては、方法(M)は、有利には、
−前述の(PAEK−1)、好ましくは、少なくとも50モル%の繰り返し単位が式(J’−A)、単位(J’−B)と(J’’−B)の組み合わせ、又は式(J’−C)に従う、(PAEK−1)と、
−少なくとも50%の繰り返し単位が式(J’’−A)又は(J’’−Q)に従う、前述の(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−2)で実施される。
有利には、方法(M)は、
1)−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
−少なくとも95モル%の繰り返し単位、好ましくは全ての繰り返し単位が繰り返し単位(J’’−A)[以下、(PEmEK)とも称される]であるPAEKである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−2a)、
2)−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
−少なくとも95モル%の繰り返し単位、好ましくは全ての繰り返し単位が繰り返し単位(J’’−Q)[以下、(PEDEKmK)とも称される]であるPAEKである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−2b)で実施される。
より有利には、方法(M)は、ブレンド(B2−b)で実施される。
(PAEK−2)がPEEK−PEDEKではないブレンド(B−1)は、本発明の更なる態様を表す。このようなブレンドの有利な例は、
−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
−少なくとも50モル%の繰り返し単位が、式(J’−B)及び(J’’−B)の単位の組み合わせ、式(J’’’−A)の単位、式(J’−P)の単位、又は式(J’−A)及び(J’’−A)の単位の組み合わせである(PAEK−2)と、を含むものである。このようなブレンドの好ましい例は、前述のブレンド(B1−a)、(B1−c)、(B1−d)、及び(B1−e)であり、ブレンド(B1−a)が好ましい。
又、ブレンド(B−2)は、本発明の更なる態様を表し、ブレンド(B−2a)及び(B2−b)が好ましく、ブレンド(B2−b)がより好ましい。
組成物(C)は、良好な耐薬品性を示し、好ましくは、少なくとも19J/gのポリマー(これは、以下に詳述する任意の成分を除く)、より好ましくは少なくとも26J/gのポリマー、より好ましくは少なくとも32J/gのポリマー、より好ましくは少なくとも39J/gのポリマー、最も好ましくは少なくとも43J/gのポリマーの2nd熱DSC走査で測定された融解エンタルピーを示す。
組成物(C)は、以下の実験項で詳細に記載したように実施された環境応力割れ抵抗(ESCR)実験で実証された良好な耐薬品性を示す。好ましくは、組成物(C)は、室温でトルエン又はメチルエチルケトンで24時間の浸漬暴露後に少なくとも0.5%の破損に対する臨界歪みを示す。より好ましくは、組成物(C)は、この曝露後に少なくとも0.7%、最も好ましくは少なくとも0.9%の破損に対する臨界歪みを示す。
組成物(C)における任意の成分
方法(M)を実施するための組成物(C)は、前述のブレンド(B)のみから構成されることができ、又は更なる成分、特に強化充填材を含むことができる。一実施形態においては、組成物(C)は、前述のブレンド(B)及び少なくとも1つの強化充填材を含む、好ましくはこれらからなる。
多くの様々な強化充填材が、組成物(C)に含まれることができる。好ましくは、これらは繊維状及び粒子状充填材から選択される。本発明の目的のために、繊維状強化充填材は、長さ、幅、及び厚さを有する材料であり、平均長さは幅及び厚さの両方よりかなり大きい。一般的には、このような材料は、少なくとも5の、長さと最大の幅及び厚さとの間の平均比と定義される、アスペクト比を有する。好ましくは、強化充填材のアスペクト比は、少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、更により好ましくは少なくとも50である。
より好ましくは、強化充填材は、鉱物充填材(タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの)、ガラス繊維、炭素繊維、合成ポリマー繊維、アラミド繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維、炭化ホウ素繊維、ロックウール繊維、スチール繊維、ウォラストナイト等から選択される。更により好ましくは、マイカ、カオリン、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウムから選択される。
一実施形態においては、充填材は、繊維状充填材から選択される。
有利には、強化充填材は、ガラス繊維及び炭素繊維から選択される。優れた結果は、ガラス繊維が使用される場合に得られた。ガラス繊維は、異なるタイプのガラスを生成させるために調整され得るいくつかの金属酸化物を含むシリカ系ガラス化合物である。主な酸化物は、ケイ砂の形態でのシリカであり、カルシウム、ナトリウム、及びアルミニウムなどのその他の酸化物が、溶融温度を低下させ、結晶化を妨げるために組み込まれる。ガラス繊維は、長円形、楕円形、又は長方形を含む、円形断面又は非円形断面(いわゆる「扁平ガラス繊維」)を有することができる。ガラス繊維は、エンドレス繊維又はチョップドガラス繊維又はミルドガラス繊維として加えられることができるが、チョップドガラス繊維が好ましい。ガラス繊維は、一般的には、5〜20mm、好ましくは5〜15mm、より好ましくは5〜10mmの等価直径を有する。A、C、D、E、M、S、R、Tガラス繊維(Additives for Plastics Handbook,2nd ed,John Murphyの5.2.3章、ページ43〜48に記載される)、又はこれらの任意の混合物、又はこれらの混合物などの全てのガラス繊維のタイプを使用することができるが、E及びSガラス繊維が好ましい。
更なる実施形態においては、充填材は粒状充填材である。粒状充填材の例は、酸化亜鉛、硫化亜鉛、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー、ガラス粉末、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、フッ素樹脂、硫酸バリウム、グラファイト、炭素粉末、及びナノチューブである。非繊維状充填材は、粉末の形態で、又は薄片状粒子の形態で導入することができる。
別の好ましい実施形態においては、組成物(C)は、少なくとも1つの繊維状強化充填材及び少なくとも1つの粒状強化充填材を含む。
ポリマー組成物(C)において、少なくとも1つの強化充填材が、ポリマー組成物(C)の総重量に基づいて、有利には少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、更により好ましくは少なくとも20重量%、更により好ましくは少なくとも25重量%、更により好ましくは少なくとも26重量%、最も好ましくは少なくとも28重量%の量で存在する。
又、強化充填材は、ポリマー組成物(C)の総重量に基づいて、有利には多くも50重量%、好ましくは多くも45重量%、より好ましくは多くも40重量%、更により好ましくは多くも35重量%、更により好ましくは多くも34重量%、最も好ましくは多くも32重量%の量で存在する。
好ましくは、強化充填材は、ポリマー組成物(C)の総重量に基づいて、20〜50重量%、より好ましくは25〜45重量%、更により好ましくは26〜40重量%、最も好ましくは28〜34重量%の範囲の量で存在する。
組成物(C)は、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、及びポリエーテルイミド(PEI)、又はこれらの混合物から選択された更なるポリマーを、(PAEK−1)及び(PAEK−2)の総重量に対して50重量%以下の量で、場合により更に含むことができる。
ポリマー組成物(C)は、紫外線安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、加工助剤、潤滑剤、難燃剤、並びに/又はカーボンブラック及びカーボンナノフィブリルなどの導電性添加剤などの更なる添加剤を場合により更に含むことができる。
好ましい実施形態においては、組成物(C)は、強磁性又は強磁性の導電性粒子を含まない。
更に好ましい実施形態においては、組成物は、0.5重量%を超える低分子量芳香族化合物を含まない。好ましくは、3,000g/モルまでの分子量を有する芳香族化合物を0.5重量%より多く含まない。
有利には、組成物(C)は、
−ブレンド(B−1)又は(B−2)、及び
−ガラス繊維を含む、好ましくはこれらからなる。
より有利には、組成物(C)は、
−ブレンド(B−1a)、(B−1b)、(B−2a)、又は(B−2b)、及びガラス繊維を含む。
組成物(C)の製造及びその使用
組成物(C)は、熱可塑性組成物を調製するのに適した任意の公知の溶融混合プロセスによって製造することができる。このような方法は、典型的には、少なくともPAEK−1(ブレンドの最高溶融成分である)の溶融温度以上で(PAEK−1)及び(PAEK−2)を加熱することによって実施され、これにより溶融形態でブレンド(B)を形成し、次いで押し出しペレット化する。プロセスは、溶融混合装置で実施することができ、このために、溶融混合によってポリマー組成物を調製する、当業者に公知の任意の溶融混合装置を用いることができる。適切な溶融混合装置は、例えば、ニーダー、バンバリー(Banbury)ミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機である。好ましくは、所望の成分の全てを、押出機、押出機の供給口又は溶融物に、投入するための手段を備えた押出機が使用される。ポリマー組成物(C)の調製のためのプロセスにおいて、組成物を形成するための構成成分が、溶融混合装置に供給され、その装置で溶融混合される。構成成分は、乾燥ブレンドとしても知られる、粉末混合物又は顆粒混合物として同時に供給されることができ、又は別個に供給されることができる。
有利には、組成物(C)が1つ以上の任意の成分を含む場合、このような成分は溶融ブレンド(B)に加えられ混合され、2つ以上の更なる成分が使用される場合、このような成分は、好ましくは、溶融物(B)に加えられる前に予備混合される。
或いは、組成物(C)は、粉末ブレンドによって製造することができる。このようなプロセスは、典型的には、所望の量で(PAEK−1)及び(PAEK−2)の微細粉末(150μm以下の細かいスクリーンを少なくとも90%が通過する)を混合することによって実施される。このプロセスは、固体又は微細粉末ミキサーで行うことができる。この目的のために使用可能なミキサーの型は、タンブル型ミキサー、リボン型ミキサー、高強度ミキサーとしても知られているインペラー型ミキサー、シェーカー型ミキサー、並びに当技術分野において公知のその他の型の固体及び粉末ミキサーを含む。
従って、組成物(C)は、その後に最終物品[物品(A)]に加工されるペレット又は粉末の形態で得られる。組成物(C)は、最終物品に加工される前に、PAEK−1の溶融温度より高い温度に加熱されなければならないことは、当業者に明らかであろう。
好ましくは、組成物(C)は、金属表面のための被覆を製造するために方法(M)において使用される。
しかしながら、靭性、延性、耐薬品性、及び高温性能の組み合わせのために、又、組成物(C)は、溶融フィラメント加工(FFF)又は選択的レーザー焼結(SLS)などの3D印刷(付加製造としても知られている)加工技術で使用されることができる。FFFタイプの市販の3D印刷加工設備は、一例として、Stratasys、Inc.によって製造された設備を含み、Fortus(登録商標)の商標で販売されている。SLS系の3D印刷装置の例はEOSINT(登録商標)の商標で販売されているものなど、EOS corporationから入手可能である。又、組成物(C)は、最終部品へのその後の機械加工に使用することができるストック形状を作製するのに使用することができる。ストック形状は、ロッド、スラブ、シート、チューブ、ビレットの形態、又は、最終物品への更なる機械加工に適したその他の三次元形状であることができる。ストック形状は、押出成形、射出成形、又は圧縮成形、並びに当技術分野で公知のその他のポリマー溶融加工技術によって作製することができる。
組成物(C)で被覆された金属表面及び前述の表面を含む物品(A’)
本発明による被覆された金属表面(S)は、金属表面に組成物(C)を塗布する工程を含む方法(M)によって製造される。金属表面は、任意の形状を有することができ、即ち、2次元(又は平面)表面又は3次元表面であり得る。金属表面の一部又は全てを、組成物(C)で覆うことができる。
都合のよいことに、金属表面は、アルミニウム及び/又は銅又はスチールを含む。
金属表面は、例えば、電線又はケーブルなどのワイヤーの表面、又は電子デバイス、特に移動通信のための電子デバイスの構造部品の表面であり得る。移動通信のためのデバイスの非限定的な例は、ラップトップ、携帯電話、GPS、タブレット、携帯情報端末、ポータブル記録デバイス、ポータブル再生デバイス、及びポータブルラジオレシーバーである。
典型的には、組成物(C)は金属表面に渡りオーバーモールドされる。都合のよいことに、組成物(C)のペレットは、その溶融温度より上で溶融され、溶融組成物(C)を形成し、これを金属物品の表面と接触させる。接触は、好ましくは、射出成形用の型において行われる。
或いは、組成物(C)は、粉末被覆又はスラリー被覆によって金属表面に塗布される。
組成物(C)を金属表面に接触させる前に、表面は、汚染物質及び/又はグリースを除去するために、及び/又は表面を化学的に改質するために、及び/又は表面プロファイルを変更するために、適切に処理される。処理の例は、表面を粗面化するための表面の磨耗、接着促進剤の添加、化学エッチング、プラズマ及び/又は放射線(例えば、レーザー又はUV照射)への曝露による表面の官能化、又はこれらの任意の組み合わせである。好ましくは、金属表面は、2003年8月7日公開の欧州特許出願公開第1459882A号明細書(Taisei Plas Co.,Ltd.)及び2005年8月3日公開の欧州特許出願公開第1559542A号明細書(Taisei Plas Co.,Ltd.)に記載される化学的にナノエッチングされた金属表面である(いわゆる、ナノ成形技術又はNMT処理)。
前述の方法から得られる電子デバイスの構造部品は、一般的には、電子デバイス、特に移動電子デバイスを製造するためにその他の構成要素と組み立てられる。
本発明の方法(M)に従って少なくとも一部が被覆される表面を含む物品(A’)は、本発明の更なる目的である。特に、物品(A’)は、電線又はケーブルなどのワイヤー、或いは電子デバイス、特に移動通信のための電子デバイスの構造部品から選択される。移動通信のためのデバイスの非限定的な例は、ラップトップ、携帯電話、GPS、タブレット、携帯情報端末、ポータブル記録デバイス、ポータブル再生デバイス、及びポータブルラジオレシーバーである。
金属表面組成物アセンブリは、好ましくは、ASTM D1002によって測定される、少なくとも10MPa又は1450psiのラップ剪断強度を示す。
本発明は、以下の実験項でより詳細に本明細書で以下に記載される。
参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願、及び刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
実験項
原材料
KETASPIRE(登録商標)KT−880 NL[MV(400℃、1000s−1)]は0.15kPa・s、T=344℃]、KETASPIR(登録商標)KT−880P[MV(400℃、1000s−1)は0.15kPa.s、T=344℃]、KETASPIR(登録商標)KT−890 NL[MV(400℃、1000s−1)は0.09kPa.s、T=345℃]、及びKETASPIRE(登録商標)KT−820FP[MV(400℃、1000s−1)は0.40kPa.s、T=340℃]は、Solvay Specialty Polymers USA、LLCから入手可能な芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマーである。Cypek(登録商標)DS−E及びDS−M PEKKは、Cytecから入手可能な非晶質ポリエーテルケトンケトン(PEKK)である。Cypek(登録商標)DS−E及びDS−M PEKKは、55/45〜65/35のモル比の繰り返し単位(J’−B)及び(J’’−B)を含む。DS−Eポリマーの「Td 5%損失」は542℃である。
Cypek(登録商標)FC PEKKは、Cytecから入手可能な結晶質ポリエーテルケトンケトン(PEKK)である。Cypek(登録商標)FC PEKKは、66/34〜75/25のモル比の繰り返し単位(J’−B)及び(J’’−B)を含む。4,4’−ビフェノール、ポリマーグレードは、SI、USAから調達した。1,3−ビス(4’−フルオロベンゾイル)ベンゼン、99%は、3B Scientific Corp.,IL,USAから購入し、使用前にモノクロロベンゼンで再結晶することによって精製して、HPLCにより最終純度99+%に到達した。レゾルシノール、工業製品グレード(technical grade)は、Indspec,USAから調達した。4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、ポリマーグレード(polymer grade)は、Jintan,Chinaから調達した。ジフェニルスルホン(ポリマーグレード)は、Proviron(99.8%純度)から調達した。炭酸ソーダ、軽質ソーダ灰は、Solvay S.A.,Franceから調達した。d90<45μmの炭酸カリウムは、Armand productsから調達した。塩化リチウム(無水グレード)は、Acrosから調達した。
繊維ガラス:チョップドE型ガラス繊維OCV910Aは、Owens Corningから調達した。
溶融温度の決定
溶融温度Tを、ASTM D3418−03、E1356−03、E793−06、E794−06による、示差走査熱量計(DSC)での2nd熱走査における溶融吸熱のピーク温度として決定した。本発明で使用した手順の詳細は、以下の通りである:TA Instruments DSC Q20をキャリアガスとして窒素(純度99.998%、50mL/分)を用いて使用した。温度と熱流の校正はインジウムを用いて行った。試料サイズは5〜7mgであった。重量は、±0.01mgと記録された。熱サイクルは、
−第1の熱サイクル:20.00℃/分で30.00℃〜400.00℃、400.00℃で1分間等温、
−第1の冷却サイクル:20.00℃/分で400.00℃〜30.00℃、1分間等温、
−第2の熱サイクル:20.00℃/分で30.00℃〜400.00℃、400.00℃で1分間等温。
溶融温度Tは、第2の熱走査における溶融吸熱のピーク温度として決定した。融解エンタルピーは、第2の熱走査において決定した。組成物の溶融は、220℃から最後の吸熱を超える温度(典型的には370〜380℃)まで引かれる線形ベースラインに渡る面積として取った。
融解エンタルピーの決定
融解エンタルピーは、ASTM D3418−03、E1356−03、E793−06、E794−06に従い、20℃/分の加熱及び冷却速度を用いて示差走査熱量計(DSC)において第2の熱走査における溶融吸熱下の面積として決定される。融解エンタルピーは、第2の熱走査で決定され、Tg超から吸熱の終点を超える温度まで引かれた線形ベースラインに渡る面積として取る。
充填された組成物の場合、測定された融解エンタルピーは、充填材含量を補正して、充填材を除いたポリマー含量のみに対する融解エンタルピーを表す。
環境応力割れ抵抗(ESCR)
環境応力割れ抵抗は、曲率半径が連続的に変化し、0〜2.0%の歪みが加えられた放物線形状の固定具に取り付けられた屈曲バーを浸漬することによって評価した。試験は、トルエン及びメチルエチルケトンなどの有機溶媒にて行った。破損は、たとえ軽微であっても、露出したバーの表面に又はその下に割れ又はひび割れが発生するものと定義される。又、材料が任意の歪みレベルで溶媒による膨潤、軟化、又は溶媒和のなんらかの徴候を示す場合、破損が生じたとみなされる。試験は、200℃で2時間アニールされた、ASTM屈曲バー(flexural bar)、長さ5インチ、幅0.5インチ、厚さ0.125インチで行った。
合成実施例
実施例1−ポリ(エーテルビスフェノールAケトン)[繰り返し単位(J’−P)]の合成
攪拌機、N注入管、反応媒体に入れられた熱電対付きのClaisenアダプター、並びに凝縮器及びドライアイストラップ付きのDean−Starkトラップを備えた1Lの4口反応フラスコに、169.70gのN,N−ジメチルアセトアミド、254.5gのトルエン、111.93gのビスフェノールA(0.490モル)、84.70gの乾燥した炭酸カリウム(0.613モル)を導入した。フラスコ内容物を真空下で排気し、次いで高純度窒素(10ppm未満のOを含む)で満たした。この操作を2回繰り返した。次いで、反応混合物を、一定の窒素パージ(60mL/分)下に置いた。
反応混合物を130℃までゆっくり加熱した。共沸混合物トルエン/水を収集し、水を分離した。反応混合物を、共沸混合物によって水を除去しながら130℃で4時間保持した。130℃で、169.70gのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した107.63gの4,4’−ジフルオロジベンゾフェノン(0.493モル)の溶液を、30分に渡って添加漏斗によって反応混合物に添加した。添加の終わりに、反応混合物を165℃に加熱した。165℃で40分後に、4.279gの4,4’−ジフルオロジベンゾフェノンを、反応器において窒素パージを保ちながら反応混合物に添加した。15分後に、20.78gの塩化リチウムを反応混合物に添加した。10分後に、別の3.2095の4,4’−ジフルオロジベンゾフェノンを反応器に添加し、反応混合物を30分間温度に保った。次いで、反応器内容物を2.0Lのメタノール中で凝固させた。固形物を濾過し、混合物アセトン/メタノール(50/50)で、次いで1〜12のpHでの水で洗浄した。最後の洗浄水は、6〜7のpHを有した。次いで、粉末を12時間真空下にて120℃で乾燥させ、171.3gの白色粉末を生成した。SECによる分析は、ポリマーがMn=34046、Mw=123149を有することを示した。DSCにより、ポリマーは、157℃のTg(半分の高さ)を有する非晶質であることが示された。ガラス転移温度Tg及び溶融温度Tを、ASTM D3418に従い、上記で特定の詳述されたもの従って、示差走査熱量計での第2の熱走査から、30℃から400℃までの20℃/分の加熱速度を用いて決定した。
塩化メチレンを移動相として用いて、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を実施した。ガードカラム付きの2つの5ミクロン(「μm」)混合D SECカラム(Agilent Technologies)を分離のために使用した。254nmの紫外線検出器を、クロマトグラムを得るために用いた。1.5mL/分の流量及び移動相中の0.2重量%/容積(「w/v」)溶液の20マイクロリットル(「μL」)の注入量を選択した。較正を、狭い較正標準のポリスチレン(Agilent Technologies)を使用して行った(較正曲線:1)タイプ:相対的な、狭い較正標準較正2)フィット:3次回帰)。Empower Pro GPCソフトウェア(Waters)を用いてデータを取得し、較正し、分子量を測定した。
ポリマーの「Td 5%損失」は498℃であった。「Td 5%損失」は、ASTM D3850標準による熱重量分析(「TGA」)によって決定される材料の重量が5%損失した平均温度を指す。TGAは、10℃/分で窒素(60mL/分)下で、30℃から800℃までTA Instruments TGA Q500で行った。
実施例2−スルホン化PEEK[繰り返し単位(J’−A)及び(J’’’−A)]の合成
この実施例は、スルホン酸化PEEKについてH+型及びNa+型の合成を実証する。
スルホン化PEEKのH型の合成を実証するために、攪拌機、N注入管、反応媒体に入れられた熱電対付きのClaisenアダプター、並びに凝縮器及びドライアイストラップ付きのDean−Starkトラップを備えた3Lの4口反応フラスコに、2.0Lの濃HSO(96%)及び300.00gのKT820FP粉末(Solvay Specialty Polymers USA,LLCから市販)を導入した。添加の終わりに、反応混合物を、撹拌下及び窒素雰囲気下で50℃に加熱した。混合物を50℃で6時間保持し、次いで24Lの脱塩水中で高剪断下にて(Waringブレンダー)凝固させた。固形物を濾過し、pHが7より高くなるまで、水、及びNaCO水溶液で洗浄した。次いで、固形物を、12時間真空下にて100℃で乾燥させ、578gの軟らかい吸湿性の固形物を生成した。FTIRによる分析は、参照により本明細書に援用される、Xigao et al.,Brit.Polymer Journal,1985,V17,P4〜10に記載される、スルホン化PEEKと同一であることを示した。
DSCにより、ポリマーは108℃のTg(半分の高さ)で非晶質であることが示された。ポリマーの「Td 5%損失」は452℃であった。硫黄の元素分析は、ポリマーが51%スルホン化されていることを示した。合成したコポリマーは、以下の式で表された。
Figure 0006943871
実施例3:PEEK−PEDEKコポリマー70/30[繰り返し単位(J’−A)及び(J’−D)]の調製
攪拌機、N注入管、反応媒体中に入れられた熱電対付きのClaisenアダプター、並びに凝縮器及びドライアイストラップ付きのDean−Starkトラップを備えた500mLの4口反応フラスコに、129.80gのジフェニルスルホン、18.942gのヒドロキノン、13.686gの4,4’ビフェノール、及び54.368gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを導入した。フラスコ内容物を真空下にて排気し、次いで高純度窒素(10ppm未満のOを含む)で満たした。次いで、反応混合物を、一定の窒素パージ(60mL/分)下に置いた。
反応混合物を150℃までゆっくり加熱した。150℃で、26.876gのNaCOと0.1524gのKCOの混合物を、30分に渡って粉末ディスペンサーによって反応混合物に添加した。添加の終わりに、反応混合物を1℃/分で320℃まで加熱した。320℃で10分後に、6.415gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを、反応器において窒素パージを保ちながら反応混合物に添加した。5分後に、0.418gの塩化リチウムを反応混合物に添加した。10分後に、別の2.138gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを反応器に添加し、反応混合物を15分間温度に保った。
次いで、反応器内容物を、反応器からSS受皿に注ぎ込み、冷却した。固形物を砕き、2mmスクリーンを通してアトリッションミルですり潰した。ジフェニルスルホン及び塩を混合物から、アセトン及び1〜12のpHでの水で抽出した。次いで、反応器から粉末を取り出し、真空下120℃で12時間乾燥させ、73gの白色の粉末を得た。ポリマーの繰り返し単位は:
Figure 0006943871
である。
0.5×3.175mmのタングステンカーバイドダイを用いた400℃、1000s−1でのキャピラリーレオロジーによって測定した溶融粘度は、0.19kN−s/mであった。ポリマーの「Td 5%損失」は561℃であった。
実施例4:PEEK−PEDEKコポリマー75/25[繰り返し単位(J’−A)及び(J’−D)]の調製
攪拌機、N注入管、反応媒体中に入れられた熱電対付きのClaisenアダプター、並びに凝縮器及びドライアイストラップ付きのDean−Starkトラップを備えた500mLの4口反応フラスコに、128.21gのジフェニルスルホン、20.295gのヒドロキノン、11.405gの4,4’ビフェノール、及び54.368gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを導入した。フラスコ内容物を真空下にて排気し、次いで高純度窒素(10ppm未満のOを含む)で満たした。次いで、反応混合物を、一定の窒素パージ(60mL/分)下に置いた。
反応混合物を150℃までゆっくり加熱した。150℃で、26.876gのNaCOと0.169gのKCOの混合物を、30分に渡って粉末ディスペンサーによって反応混合物に添加した。添加の終わりに、反応混合物を1℃/分で320℃まで加熱した。320℃で10分後に、6.415gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを、反応器において窒素パージを保ちながら反応混合物に添加した。5分後に、0.418gの塩化リチウムを反応混合物に添加した。10分後に、別の2.138gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを反応器に添加し、反応混合物を15分間温度に保った。
次いで、反応器内容物を、反応器からSS受皿に注ぎ込み、冷却した。固形物を砕き、2mmスクリーンを通してアトリッションミルですり潰した。ジフェニルスルホン及び塩を混合物から、アセトン及び1〜12のpHでの水で抽出した。次いで、反応器から粉末を取り出し、真空下120℃で12時間乾燥させ、74gの白色の粉末を得た。
ポリマーの繰り返し単位は:
Figure 0006943871
である。
0.5×3.175mmのタングステンカーバイドダイを用いた400℃、1000s−1でのキャピラリーレオロジーによって測定した溶融粘度は、0.15kN−s/mであった。ポリマーの「Td 5%損失」は557℃であった。
実施例5:PEEK−PEDEKコポリマー80/20[繰り返し単位(J’−A)及び(J’−D)]の調製
攪拌機、N注入管、反応媒体中に入れられた熱電対付きのClaisenアダプター、並びに凝縮器及びドライアイストラップ付きのDean−Starkトラップを備えた500mLの4口反応フラスコに、127.7gのジフェニルスルホン、21.861gのヒドロキノン、9.207gの4,4’ビフェノール、及び54.835gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを導入した。フラスコ内容物を真空下に排気し、次いで高純度窒素(10ppm未満のOを含む)で満たした。次いで、反応混合物を、一定の窒素パージ(60mL/分)下に置いた。
反応混合物を150℃までゆっくり加熱した。150℃で、27.339gのNaCOと0.171gのKCOの混合物を、30分に渡って粉末ディスペンサーによって反応混合物に添加した。添加の終わりに、反応混合物を1℃/分で320℃まで加熱した。320℃で4分後に、6.577gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを、反応器において窒素パージを保ちながら反応混合物に添加した。5分後に、1.285gの塩化リチウムを反応混合物に添加した。10分後に、別の2.192gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを反応器に添加し、反応混合物を15分間温度に保った。
次いで、反応器内容物を、反応器からSS受皿に注ぎ込み、冷却した。固形物を砕き、2mmスクリーンを通してアトリッションミルですり潰した。ジフェニルスルホン及び塩を混合物から、アセトン及び1〜12のpHでの水で抽出した。次いで、反応器から粉末を取り出し、真空下120℃で12時間乾燥させ、72gの白色の粉末を得た。
ポリマーの繰り返し単位は:
Figure 0006943871
である。
0.5×3.175mmのタングステンカーバイドダイを用いた400℃、1000s−1でのキャピラリーレオロジーによって測定された溶融粘度は0.20kN−s/mであった。ポリマーの「Td 5%損失」は561℃であった。
実施例6:PEmEKポリマー[繰り返し単位(J’’−A)]の調製
攪拌機、N注入管、反応媒体中に入れられた熱電対付きのClaisenアダプター、並びに凝縮器及びドライアイストラップ付きのDean−Starkトラップを備えた500mLの4口反応フラスコに、128.63gのジフェニルスルホン、28.853gのレゾルシノール、及び58.655gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを導入した。フラスコ内容物を真空下に排気し、次いで高純度窒素(10ppm未満のOを含む)で満たした。次いで、反応混合物を、一定の窒素パージ(60mL/分)下に置いた。
反応混合物を150℃までゆっくり加熱した。150℃で、28.742gのNaCOと0.182gのKCOの混合物を、30分に渡って粉末ディスペンサーによって反応混合物に添加した。添加の終わりに、反応混合物を1℃/分で275℃まで加熱した。275℃で1分後に、6.860gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを、反応器において窒素パージを保ちながら反応混合物に添加した。5分後に、0.447gの塩化リチウムを反応混合物に添加した。10分後に、別の2.287gの4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを反応器に添加し、反応混合物を15分間温度に保った。
次いで、反応器内容物を、反応器からステンレス鋼受皿に注ぎ込み、冷却した。固形物を砕き、2mmスクリーンを通してアトリッションミルですり潰した。ジフェニルスルホン及び塩を混合物から、アセトン及び1〜12のpHでの水で抽出した。次いで、反応器から粉末を取り出し、真空下120℃で12時間乾燥させ、67gの薄茶色の粉末を得た。ポリマーの繰り返し単位は100%(J’’−A)である。
Figure 0006943871
ASTM 3835による410℃、46s−1でキャピラリーレオロジーによって測定した溶融粘度は、0.33kN−s/m2であった。
DSCにより、ポリマーは122℃のTgを有する非晶質であることが判明した。
実施例7:PEDEKmKポリマー[繰り返し単位(J’’−Q)]の調製
攪拌機、N注入管、反応媒体中に入れられた熱電対付きのClaisenアダプター、並びに凝縮器及びドライアイストラップ付きのDean−Starkトラップを備えた500mLの4口反応フラスコに、128.44gのジフェニルスルホン、29.980gの4,4’ビフェノール、及び53.188gの1,3−ビス(4’−フルオロベンゾイル)ベンゼンを導入した。フラスコ内容物を真空下に排気し、次いで高純度窒素(10ppm未満のO2を含む)で満たした。次いで、反応混合物を、一定の窒素パージ(60mL/分)下に置いた。
反応混合物を150℃までゆっくり加熱した。150℃で、17.662gのNaCOと0.111gのKCOの混合物を、30分に渡って粉末ディスペンサーによって反応混合物に添加した。添加の終わりに、反応混合物を1℃/分で320℃まで加熱した。275℃で1分後に、2.076gの1,3−ビス(4’−フルオロベンゾイル)ベンゼンを、反応器において窒素パージを保ちながら反応混合物に添加した。5分後に、0.550gの塩化リチウムを反応混合物に添加した。10分後に、別の1.038gの1,3−ビス(4’−フルオロベンゾイル)ベンゼンを反応器に添加し、反応混合物を15分間温度に保った。
次いで、反応器内容物を、反応器からステンレス鋼受皿に注ぎ込み、冷却した。固形物を砕き、2mmスクリーンを通してアトリッションミルですり潰した。ジフェニルスルホン及び塩を混合物から、アセトン及び1〜12のpHでの水で抽出した。次いで、反応器から粉末を取り出し、真空下120℃で12時間乾燥させ、69gの白色の粉末を得た。ポリマーの繰り返し単位は100%(J’’−Q)である。
Figure 0006943871
ASTM 3835に従って410℃、46s−1でキャピラリーレオロジーによって測定した溶融粘度は、0.23kN−s/m2であった。
DSCにより、ポリマーは306℃のTを示すことが判明した。
ポリマーブレンドの調製及び試験
原料だけのポリマーブレンドの製造のための配合プロセスの一般記載
表1においてPAEK−1及びPEAK−2としてPEEKからなる原料だけのポリマーブレンドを、Coperion(登録商標)ZSK26又はBerstorff同時回転噛み合い二軸スクリュー押出機で溶融配合して作製した。それぞれの機械の配合条件は、340〜350Cのバレル温度設定点を使用した。
試験片を、PEEK/PAEK−2のブレンドでは、成形温度が150〜200℃の、349〜354℃の後部、371〜377℃の中間部、及び377〜390℃の前部のゾーンの温度プロファイルを用いて成形した。
結果及び考察
表1aに示される組成を有するPEEK及びPEEK−PEDEK[記載におけるブレンド(B−1b)]の原料だけの(即ち、追加成分なし)ブレンドは、原料だけのPEEKより有利な性能を示す(表1)。PEEK/PEEK−PEDEKのブレンドは、Ketaspire(登録商標)KT−890 PEEK(比較例C1)と同様に、実施例E5及びE6で示される高い流動性を示す。PEEK/PEEK−PEDEK弾性率及び強度は、原料だけのPEEK(比較例C1)のものと同様であるが、原料だけのPEEKと比較して破断引張り歪みにより高い延性を示す。更に、ノッチ付き衝撃及びダイナタップ衝撃(dynatup impact)性能は、原料だけのPEEKと比較して同様な又はより良い性能を実証した。脆性対延性破損モードの数が注記されるダイナタップ破損モードにおける向上した性能は、PEEKにブレンドされた25%のPAEK−2のみで、ダイナタップ試験における100%延性破損モードに対してブレンドの性能が向上した実施例E5において特に向上する。同様の性能が、PEEK/PEEK−PEDEKと強化繊維としてのガラス繊維とのブレンドを含む組成物(C)において観察され、結果を表2に示す。この結果は、PEEK−PEDEKをPAEK−2として使用すると、PEEK−PEDEK及びガラス繊維(対照C12〜C14)のみを含む対照組成物の、流動性、弾性率、及び強度が向上することを示している。又、このデータは、PEEK及びガラス繊維を含む対照組成物(比較例C7)と比較して実施例E8〜E11の破断引張り歪み、及びこうした対照組成物に優れるノッチ付き衝撃によって向上した延性を示す。ノッチ付きアイゾット性能は向上したが、引張り強度及び引張り弾性率は、PEEK、比較例C7と同様の性能を示した。
Figure 0006943871
Figure 0006943871
Figure 0006943871
実施例C15及びE16−化学的にナノエッチングされた金属基材における接着性の向上
以下の実施例は、従来技術の組成物と比較して、Taiseiplas corporationに譲渡された欧州特許出願公開第1459882A1号明細書及び欧州特許出願公開第1559542A1号明細書(いわゆる、ナノ成形技術又はNMT処理)に記載されるような、化学的にナノエッチングされた金属表面に対する本発明のオーバーモールド組成物から得られた接着性の向上を例証する。
ブレンド及び配合
表3の実施例E16では、組成物の2つのポリマー成分(PAEK−1、PAEK−2)を、初めに5ガロンのドラムで20分間タンブルブレンドして、樹脂のプレミックスを作製した。次いで、プレミックスを、8つのバレル部を有する25mm Berstorff同時回転噛み合い二軸スクリュー押出機の供給口に計量した。樹脂混合物を、重量測定フィーダーを用いて17.5lb/時間の速度で計量した。更に重量測定フィーダーを用いて、25lb/時間の全配合処理速度において7.5lb/時間の速度にて、バレル部6でガラス繊維を供給した。配合の際のバレル部の温度設定は、バレルゾーン2では330℃、バレルゾーン3〜8、及びアダプターとダイでは340℃であった。溶融物の温度は、手持ち型の温度プローブを用いた配合操作の間にモニターされ、380〜390℃の範囲にあると決定された。バレル部7に真空排気を行い、Hgで25の真空レベルを達成し、化合物から水分及びその他の揮発性残留物を除去した。配合物の押出物をダイから撚り合わせ、水浴で冷却し、次いで長さ約3.0mm及び直径約2.7mmの円筒状のペレットに切断した。比較例C15の組成物は、実施例E16について前述したものと同様の方法で調製した。
射出成形
前述の配合プロセスから得られたペレットを、射出成形の調製において、150℃の乾燥した対流式空気オーブンにて約16時間(一晩)初めに乾燥させた。射出成形は、2つの目的のために行った。1)機械的特性試験のために厚さ3.2mm(0.125インチ)のASTM引張り及び屈曲試験片を作製する。タイプI引張りASTM試験片及び5インチ×0.5インチ×0.125インチの屈曲試験片を、供給業者(Solvay Specialty Polymers)によって提供された30%ガラス繊維強化PEEK射出成形ガイドラインを用いて射出成形した。2)又、ラップ剪断オーバーモールド試験片の射出成形は、長さ4.5mm×幅1.75mm×厚さ2mmのNMT処理したアルミニウムグレードA−6061クーポンで行った。これらのクーポンは、Taiseiplas Corp.によって調製され供給された。小さな長方形のポリマーの試験片を、Taiseiplas Corp.によって製造され供給された3プレート鋳型を用いてアルミニウムクーポンに対してオーバーモールドした。アルミニウムクーポンに対してオーバーモールドされたプラスチックの長方形のストリップは、公称寸法、長さ4.5cm、幅1cm、厚さ3mmであった。プラスチックの片を、アルミニウムクーポンに対してオーバーモールドし、10mm×5mmの公称寸法によって規定された2つの片の間に重なり領域があり、公称の重なり領域が50mmとなるようにした。オーバーモールドされたラップ剪断アセンブリを射出成形するために使用した成形温度は、以下の通りであった:150トンのToshiba射出成形機のバレル温度設定は、それぞれ後部/中間部/前部/ノズルゾーンにおいて、360/365/371/371℃であった。鋳型温度は200℃に設定され、実施された実際の鋳型温度は約195℃であった。
ラップ剪断接着試験
前述の成形から得られたオーバーモールドされたアルミニウム/プラスチックアセンブリを、ASTM D1002のガイドラインに従ったインストロン(登録商標)引張り試験装置においてラップ剪断強度について試験した。Taiseplasによって供給された位置決め固定具を使用して、アセンブリをインストロンのグリップの所定位置に保持し、2つの材料において引張りを引く際に金属とプラスチックの片の位置合わせを維持して、ラップ境界面に加わる力が純粋に剪断力であることを確証した。0.05インチ/分の引き速度をこの試験に使用し、それぞれの試験片のラップ剪断強度を、それぞれのアセンブリを破壊するのに必要な荷重を接合部の公称の重なり領域で割って除算することによって計算した。ラップ剪断強度は、ここでは、金属基材に対するプラスチックの接着強度として互換的に言及するものである。
結果及び考察
表3に一覧にしたデータから分かるように、52重量%のPEEK及び17.5重量%のPEKK[記載においてブレンド(B−1a)]を含む実施例E16の組成物のラップ剪断接着強度は、大きな差で、PEKKのみを含む対照組成物(比較例C15)より性能が高い。実際、本発明に従って調製した組成物の接着性は、対照組成物の状態の接着性の約2倍である。処理したアルミニウムに対するこの大幅に向上した接着性を達成することに加えて、本発明による組成物の機械的特性は、大部分は対照組成物のものと同等である。
Figure 0006943871
実施例C17〜E24:ガラス繊維強化組成物の調製
表4の実施例E19〜E24では、組成物の2つのポリマー成分(PAEK−1及びPAEK−2)を、初めに5ガロンのドラムで20分間タンブルブレンドして、樹脂のプレミックスを作製した。次いで、プレミックスを、8つのバレル部を有する25mm Berstorff同時回転噛み合い二軸スクリュー押出機の供給口に計量した。樹脂混合物を、重量測定フィーダーを用いて12.6lb/時間の速度で計量した。更に重量測定フィーダーを用いて、18lb/時間の全配合処理速度において5.4lb/時間の速度にて、バレル部6でガラス繊維を供給した。配合の際のバレル部の温度設定は、バレルゾーン2では330℃、バレルゾーン3〜8、及びアダプターとダイでは340℃であった。溶融物の温度は、手持ち型の温度プローブを用いた配合操作の間にモニターされ、380〜390℃の範囲にあると決定された。バレル部7に真空排気を行い、Hgで25の真空レベルを達成し、化合物から水分及びその他の揮発性残留物を除去した。配合物の押出物をダイから撚り合わせ、水浴で冷却し、次いで長さ約3.0mm及び直径約2.7mmの円筒状のペレットに切断した。対照C15の組成物は、実施例E19〜E24について前述したものと同様の方法で調製した。配合の際のバレル部温度設定の温度設定は、バレルゾーン2では300℃、バレルゾーン3〜8、及びアダプターとダイでは340℃であった以外は、対照組成物C17及びC18を、C15と同様にして調製した。
溶融温度Tは、20℃/分でDSCにおける第2の熱走査での溶融吸熱のピーク温度として決定した。
Figure 0006943871
実施例C25〜E33:組成物C15、C17、及びC18、及びE19〜E14のアルミニウムへの接着性
これらの実施例は、ポリ(アリールエーテル)接着組成物を使用したアルミニウムA−6061基材へのPEEK/PAEK2オーバーモールド組成物の接着性を実証する。接着を実証するために、ラップ剪断試料を形成し、ラップ剪断応力を、室温で3.5インチのグリップ距離でのASTM D1002標準に従って測定した。ラップ剪断試料は、記載されたPEEK/PAEK−2組成物で金属基材をオーバーモールドすることによって形成された。金属基材は、アルミニウム6061合金から形成され、約0.25平方インチ(「In」)の表面積のX形重ね継ぎ(double butt lap joint)を有した。
アルミニウム基材をレーザーエッチングし(Minilase(商標)、Tykma Technologiesから)、平行線の間に約100μmの距離を有するクロスハッチパターンを形成した。エッチング後に、金属基材を、アセトン又はイソプロパノール中で濯ぎ、約50トール〜約100トールで、約50℃又は100℃で真空オーブンにて乾燥させた。
PEEK/PAEK−2組成物を、射出成形(ペレットを120℃/25’’Hg真空下で4時間予備乾燥)を用いて金属基材に堆積させた。特に、金属基材を、オーブンにて、その後、ホットプレートにおいて約190℃〜約200℃の温度に予熱した。次いで、予熱した基材を約199℃に加熱した射出成形鋳型に入れた。次いで、PEEK/PAEK−2組成物を、約370℃〜約380℃の温度で鋳型に注入してラップ剪断試料を形成した。ラップ剪断試料を鋳型から取り出し、室温まで冷却し続けた。
表5に列挙される0.05インチ/分で測定されたラップ剪断応力値は、対応する試料セットにおけるラップ剪断試料の数に渡って平均される。又、20℃/分でDSCにおける第2の熱走査での溶融吸熱から誘導された組成物の結晶化度を示す融解エンタルピーを表5に示す。値は、組成物のポリマー含量に対して、即ち充填材含量を除いて表される。これは、充填された組成物において測定された値をポリマー含量で割ることによって得られる(=0.70)。
ラップ剪断試験測定の結果を、同様に破断ラップ剪断応力に関して報告し、破断破損のタイプを決定するために更に分析した。特に、ラップ剪断試料の破損後に、試料を、破損が「接着」、「凝集」、「部分凝集」、又は「試験片破断」であるかどうかを判定するために分析した。接着破損は、金属上の目視検出可能なポリマーの欠如、及びポリマー上の、試料の破砕表面上の目視検出可能な金属の欠如で評価された。凝集破損は、金属上の目視検出可能量のポリマー、又はポリマー上の、試料の破砕表面上の目視検出可能量の金属で評価された。部分凝集破損は、凝集破損に似ているが、金属上のポリマー又はポリマー上の金属の量の減少を示した。「試験片破断」は、金属/ポリマー界面ではなく、バルクポリマーにおける破砕によって評価された。
Figure 0006943871
表5を参照すると、試験したラップ剪断試料では、本発明による組成物は、良好なレベルの結晶化度(>42.8J/gの融解熱)を維持しながら、PEEK(C15)と比較してアルミニウムへの接着性を著しく向上させることを、結果は実証している。E21及びE23におけるように、25重量%のみのPAEK−2[PAEK−2対(PAEK−1+PAEK−2)の比]で観察された向上は、PAEK−2のみとガラス繊維[100重量%のPAEK−2対(PAEK−1+PAEK−2)の比]を含むC17及びC18のラップ剪断の結果に基づいて驚くべきことである。従って、これらの結果は、本発明による組成物において、接着性と結晶化度(耐薬品性)の独特の組み合わせが存在することを実証する。
実施例C34〜E36−組成物の銅への接着性
又、これらの組成物のうちの3つの銅への接着性について評価した。試験の条件は、金属基材が銅(電気グレード)から形成されたこと以外は、実施例C25〜E33と同じであった。
銅基材をアセトンで濯ぎ、次いで空気乾燥させ、12.2重量%の硫酸第二鉄5水和物及び7.8%硫酸を含む水溶液に浸漬することにより化学的にエッチングし(65℃で1分間)、脱塩水で濯ぎ、5.5重量%の重クロム酸カリウム及び9.9重量%の硫酸を含む水溶液に浸漬し(室温で5分)、脱塩水で濯いだ。エッチングの後、金属基材を脱塩水で濯ぎ、約50トール〜約100トールで、約120℃で真空オーブンにて乾燥させた。
Figure 0006943871
表6を参照すると、試験したラップ剪断試料では、本発明による組成物は、PEEKのみを含む比較組成物(C34)と比較して、良好なレベルの結晶化度(>42.8J/gの融解熱)を維持しながら、銅への接着性を著しく向上させることを、結果は実証している。
実施例E37〜E38:ガラス繊維強化組成物の調製
表7の実施例E37、E38、及びC39の組成物の調製において、組成物の成分を、初めに5ガロンのドラムで20分間タンブルブレンドして、樹脂のプレミックスを作製した。最終組成物の前駆体としてKetaspire(登録商標)880KT PEEKから40%のガラス充填PEEKを作製した。Coperion(登録商標)ZSK26同時回転噛み合い押出機を使用して、前駆体化合物を作製した。溶融物が押出機から出て冷却されペレット化される前に、上流バレルの温度は360℃の設定点、転移バレルは350℃、下流バレルは340℃、及びアダプターとダイは350℃の設定点であった。OCV 910Aガラス繊維を、押出機の下流のポリマー溶融物に導入した。ダイを出る押出物の測定された溶融温度は、手持ち型の温度プローブによって得られた390℃であった。こうして得られた40%ガラス充填PEEKペレットと更なるPEEK(KetaSpire(登録商標)KT−880P)(C39の調製用)又は合成実施例6及び7に従って調製したポリマー粉末PAEK−2(E37及びE38の調製用)を混合することにより最終組成物を生成し、組成物における最終的なレベルの30重量%のガラス繊維を得た。次に、プレミックスを計量して、8つのバレル部を有する18mmLeistritz同時回転噛み合い二軸スクリュー押出機の供給口に計量した。樹脂混合物を、重量フィーダーを用いて5〜6lb/時間の速度で計量した。C39の調製においては、配合の際のバレル部温度設定は、バレルゾーン1では370℃、バレルゾーン2〜5、及びアダプターとダイでは355℃であった。溶融物の温度は、手持ち型の温度プローブを用いた配合操作の間にモニターされ、380〜390℃の範囲に決定された。バレル部7に真空排気を行い、8mmHgの真空レベルを達成し、化合物から水分及びその他の揮発性残留物を除去した。配合物の押出物をダイから撚り合わせ、水浴において冷却し、次いで長さ約3.0mm及び直径2.7mmの円筒状のペレットに切断した。組成物E37及びE38は、配合の際のバレル部温度設定の温度設定が、バレルゾーン1では280℃、バレルゾーン2〜5、及びアダプターとダイでは345℃であったこと以外は、C39と同様の方法で調製した
溶融温度Tは、20℃/分でDSCにおける第2の熱走査での溶融吸熱のピーク温度として決定した。
Figure 0006943871
C40及びE41〜E42:アルミニウムへの組成物C39、E37、及びE38の接着性
アルミニウムへの組成物E37、E38、及びC39の接着性を、実施例C25〜E33と同じ方法で評価した。これらの試験の結果を以下の表8に報告する。
又、20℃/分でDSCにおける第2の熱走査での溶融吸熱から誘導された組成物の結晶化度を示す融解エンタルピー(熱)を表8に示す。
又、これらの試験では、ラップ剪断試料の破損後に、試料を、破損が「接着」、「凝集」、「部分凝集」、又は「試験片破断」であるかどうかを判定するために分析し、これらの表現の意味は、前述で説明したものと同じである。
Figure 0006943871
表8を参照すると、試験したラップ剪断試料では、本発明による組成物は、PEEK(C45)と比較して、良好なレベルの結晶化度(>30J/gの融解熱)を維持しながら、アルミニウムへの接着性を著しく向上させることを、結果は実証している。
実施例C43〜E45:ガラス繊維強化組成物の調製
以下の表9に特定される、60/40PEEK(KetaSpire(登録商標)KT−880)/PAEK−2の比を有する比較例C43及び実施例E44及びE45の組成物を、初めに約20分間、所望の比でブレンドされるポリマーを粉末の形態でタンブルブレンドすることによって調製して、ポリマーのプレミックスを作製した。これに続いて、48:1の長さ対直径(L/D)の比を有する26mmCoperion(登録商標)同時回転噛み合い二軸スクリュー押出機を用いて溶融配合した。押出機は、12のバレル部を有し、バレル部2〜7は、350℃の温度設定で加熱され、バレル部8〜12及びダイは、360℃の温度設定点に加熱された。ダイを出るときに押出物について記録された溶融温度は、全ての組成物において394〜398℃の範囲であった。押出機の供給は、ポリマー成分を押出機供給ホッパーで重量測定によって計量したものであり、ガラス繊維をバレル部7のそれぞれの組成物における30重量%のレベルに相当する割合で重力測定フィーダーを用いて計量した。押出機は、28lb/時間(12.70kg/時間)の樹脂供給速度、及び12lb/時間(5.44kg/時間)のガラス繊維供給速度に対応する、40lb/時間(18.15kg/時間)の総処理速度で操作した。押出機のスクリュー速度を全体で200rpmに設定し、全ての組成物を配合する際に押出機トルクの読み取り値を60〜70%の範囲に維持した。Hgで真空レベル>25を有する真空排気を配合の際にバレル部10で適用して、化合物から水分及びあらゆる可能な残留揮発分を除いた。それぞれの実験からの押出物を撚り合わせ、水において冷却し、次いでペレット化して、直径約2.7mm及び長さ3.0mmのペレットを形成した。
Figure 0006943871
実施例C46〜E48:アルミニウムに対する組成物C43〜E45の接着強度
これらの実施例は、異なる結晶化度及びTのPEEK=PAEK1とPAEK2=PEKKとのブレンドの接着性を実証している。接着性を実証するために、ラップ剪断試料を形成し、ラップ剪断応力を、室温で3.5インチのグリップ距離でのASTM D1002標準に従って測定した。ラップ剪断試料は、記載のPAEK1/PAEK2組成物で金属基材をオーバーモールドすることによって形成された。金属基材は、アルミニウム6061合金から形成され、約0.25平方インチ(「In」)の表面積のX形重ね継ぎを有した。
アルミニウム基材をレーザーエッチングし(Minilase(商標)、Tykma Technologiesから)、平行線の間に約100μmの距離を有するクロスハッチパターンを形成した。エッチング後に、金属基材を、アセトン又はイソプロパノール中で濯ぎ、約50トール〜約100トールで、約50℃又は100℃で真空オーブンにて乾燥させた。
PAEK1/PAEK2組成物を、射出成形(ペレットを120℃/25’’Hg真空下で4時間予備乾燥)を用いて金属基材に堆積させた。特に、金属基材を、オーブンにて、その後、ホットプレートにおいて約190℃〜約200℃の温度に予熱した。次いで、予熱された基材を約199℃に加熱した射出成形鋳型に入れた。次いで、PAEK−1/PAEK−2組成物を、約370℃〜約380℃の温度で鋳型に注入してラップ剪断試料を形成した。ラップ剪断試料を鋳型から取り出し、室温まで冷却し続けた。
表10に列挙される0.05インチ/分で測定されたラップ剪断応力値は、対応する試料セットにおけるラップ剪断試料の数に渡り平均される。又、20℃/分でDSCにおける第2の熱走査での溶融吸熱から誘導された組成物の結晶化度を示す融解熱を表10に示す。
ラップ剪断試験測定の結果を、同様に破断ラップ剪断応力に関して報告し、破断破損のタイプを決定するために更に分析した。特に、ラップ剪断試料の破損後に、試料を、破損が「接着」、「凝集」、「部分凝集」、又は「試験片破断」であるかどうかを判定するために分析した。接着破損は、金属上の目視検出可能なポリマーの欠如及びポリマー上の、試料の破砕表面上の目視検出可能な金属の欠如で評価された。凝集破損は、金属上の目視検出可能量のポリマー又はポリマー上の、試料の破砕表面上の目視検出可能量の金属で評価された。部分凝集破損は、凝集破損に似ているが、金属上のポリマー又はポリマー上の金属の量の減少を示した。「試験片破断」は、金属/ポリマー界面ではなく、バルクポリマーにおける破砕によって評価された。
Figure 0006943871
表10を参照すると、試験したラップ剪断試料について、T<315℃を有するPAEK2=PEKK(即ち、非晶質PEKK)の組成物は、T>315℃を有するPAEK2=PEKK(即ち、結晶質PEKK)の組成物より、良好なレベルの結晶化度(>30J/gの融解熱)を保持しながら、良好な接着性を示すことを、結果は実証している。

Claims (19)

  1. 金属表面を被覆する方法であって、前記方法は、
    −第1のポリアリールエーテルケトン(PAEK−1)、及び
    −第2のポリアリールエーテルケトン(PAEK−2)からなるポリマーブレンド[ブレンド(B)]を含むポリマー組成物を金属表面に塗布する工程を含み、
    前記(PAEK−1)は結晶質であり、330℃以上の溶融温度Tを示し、前記(PAEK−2)は非晶質又は結晶質であり、結晶質の(PAEK−2)は315℃以下の溶融温度Tを示し、前記(PAEK−1)は50重量%を超えるブレンド(B)を構成し、
    前記組成物は、前記金属表面に塗布される前に、(PAEK−1)の溶融温度を超える温度まで加熱される方法。
  2. 前記(PAEK−1)は、繰り返し単位(R1)を含み、少なくとも50モル%の前記繰り返し単位は、ここで以下の式(J−A)〜(J−Q):
    Figure 0006943871
    Figure 0006943871
    Figure 0006943871
    (式中:−R’はそれぞれ、互いに等しく又は異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
    −j’は、ゼロであり、又は1〜4の整数であり、且つ、
    −Y’はアルキリデン基である)
    の少なくとも1つに従う、請求項1に記載の方法。
  3. 繰り返し単位(R1)の少なくとも50モル%が式(J−A)、(J−B)、(J−C)又は(J−O)の単位である、請求項2に記載の方法。
  4. 繰り返し単位(R1)におけるフェニレン部位は、1,4−結合を有する、請求項2又は3に記載の方法。
  5. j’は、出現ごとにゼロである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 以下の式(J’−A):
    Figure 0006943871
    に従う少なくとも98モル%の繰り返し単位を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記(PAEK−2)は、以下の式(J−A)〜(J−Q)
    Figure 0006943871
    Figure 0006943871
    Figure 0006943871
    (式中:−R’はそれぞれ、互いに等しく又は異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から選択され、
    −j’は、ゼロであり、又は1〜4の整数であり、且つ、
    −Y’はアルキリデン基である)
    の少なくとも1つに従う少なくとも50モル%の繰り返し単位(R2)を含み、単位(J−A)、(J−B)、及び(J−Q)において、フェニレン部位は、独立して1,3−及び1,4−結合を有し、一方、単位(J−C)〜(J−P)において、フェニレン部位は、1,4−結合を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  8. j’は、出現ごとにゼロである、請求項7に記載の方法。
  9. ブレンド(B)は、
    −少なくとも98モル%の式(J’−A):
    Figure 0006943871
    の繰り返し単位を含むポリエーテルエーテルケトンである(PAEK−1)と、
    −少なくとも50モル%の繰り返し単位は、式(J’−B)及び(J’’−B)の単位の組み合わせ、式(J’−A)及び(J’−D)の単位の組み合わせ、式(J’’’−A)の単位、式(J’−P)の単位、又は式(J’−A)及び(J’’−A)の単位の組み合わせであり、前記単位は、ここで以下の式:
    Figure 0006943871
    に従う(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1)である、請求項1に記載の方法。
  10. ブレンド(B−1)は、
    1)−全ての繰り返し単位が式(J’−A)の単位である(PAEK−1)と、
    −全ての繰り返し単位が式(J’−B)及び(J’’−B)の単位の組み合わせである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1a)、
    2)−全ての繰り返し単位が式(J’−A)の単位である(PAEK−1)と、
    −全ての繰り返し単位が単位(J’−A)及び(J’−D)の組み合わせである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1b)、
    3)−全ての繰り返し単位が式(J’−A)の単位である(PAEK−1)と、
    −全ての繰り返し単位が式(J’−P)の繰り返し単位である(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1c)、
    4)−全ての繰り返し単位が式(J’−A)の単位である(PAEK−1)と、
    −少なくとも50モル%の繰り返し単位が繰り返し単位(J’’’−A)である(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1d)、
    5)−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
    −少なくとも95モル%の繰り返し単位が繰り返し単位(J’−A)及び(J’’−A)であるPAEKである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−1e)から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記ポリマー組成物は強化充填材を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. ブレンド(B)は
    下の式(J’’−A)又は(J’’−Q):
    Figure 0006943871
    に従う少なくとも50モル%の繰り返し単位を含むPAEKである(PAEK−2)
    を含むブレンド(B−2)である、請求項1に記載の方法。
  13. ブレンド(B−2)は、少なくとも50モル%の繰り返し単位が、以下の、式(J’−A)、単位(J’−B)及び(J’’−B)の組み合わせ、又は式(J’−C):
    Figure 0006943871
    に従う(PAEK−1)を含む、請求項12に記載の方法。
  14. ブレンド(B−2)は、
    1)−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
    −少なくとも95モル%の繰り返し単位が繰り返し単位(J’’−A)であるPAEKである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−2a)、
    2)−少なくとも98モル%の繰り返し単位が式(J’−A)の単位であるPEEKである(PAEK−1)と、
    −少なくとも95モル%の繰り返し単位が繰り返し単位(J’’−Q)であるPAEKである(PAEK−2)と、を含むブレンド(B−2b)から選択される、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項10に記載のブレンド(B−1c)、ブレンド(B−1d)、及びブレンド(B−1e)から選択されるポリマーブレンド[ブレンド(B−1)]、又は、請求項12に記載のブレンド(B−2)を含むポリマー組成物。
  16. 請求項14に記載のポリマーブレンド(B−2a)及び(B−2b)を含むポリマー組成物。
  17. 請求項15又は16に記載のポリマー組成物で被覆された金属表面。
  18. ワイヤーの表面、又は電子デバイスの構造部品の表面である、請求項17に記載の金属表面。
  19. 請求項17又は18に記載の少なくとも1つの表面を含むワイヤー又は電子デバイス或いはこれらの部品。
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