JP6943384B2 - 食品の食感劣化防止用ソフトカプセル、並びに、該食感劣化防止用ソフトカプセル及び食用油を含有する食品 - Google Patents

食品の食感劣化防止用ソフトカプセル、並びに、該食感劣化防止用ソフトカプセル及び食用油を含有する食品 Download PDF

Info

Publication number
JP6943384B2
JP6943384B2 JP2017038089A JP2017038089A JP6943384B2 JP 6943384 B2 JP6943384 B2 JP 6943384B2 JP 2017038089 A JP2017038089 A JP 2017038089A JP 2017038089 A JP2017038089 A JP 2017038089A JP 6943384 B2 JP6943384 B2 JP 6943384B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
soft capsule
oil
soft capsules
texture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017038089A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018143101A (ja
Inventor
佑輔 岡田
佑輔 岡田
裕也 小林
裕也 小林
博己 三上
博己 三上
敦裕 四條
敦裕 四條
央人 成毛
央人 成毛
勇史 丸
勇史 丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aliment Industry Co Ltd
Original Assignee
Aliment Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aliment Industry Co Ltd filed Critical Aliment Industry Co Ltd
Priority to JP2017038089A priority Critical patent/JP6943384B2/ja
Publication of JP2018143101A publication Critical patent/JP2018143101A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6943384B2 publication Critical patent/JP6943384B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Confectionery (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Description

本発明は、食用油を含有する食用媒体中で長期間に亘り保存・使用しても皮膜の硬化等の変化がないソフトカプセル、並びに、該ソフトカプセル及び食用油を含有する食品に関するものである。
ソフトカプセルは、ゼラチン等のタンパク質;デンプン等の多糖類;等の溶解液を用いて調製した皮膜内に、医薬品、健康食品、食品、動物飼料等の成分を封入したものであり、食品業界や医薬品業界等で広く利用されている。
ソフトカプセルはサプリメント等のいわゆる健康食品として広く利用されている一方で、ソフトカプセルを使用した一般食品はほとんど知られていない。例えば、味を有する成分等を内容液として封入したソフトカプセルを、魚料理や肉料理等にふりかけることにより、新しい食感が生まれ、見た目や味覚等を楽しめることが期待される。
例えば、特許文献1には、ごま香気成分を封入した、寒天とジェランガム及び/又はカラギーナンを基材とした皮膜で形成したソフトカプセルを含有する酸味調味料が開示されている。更に、ソフトカプセルの皮膜を特定の組成にすることにより、香気成分が徐々に調味液中に染み出し、風味が長期間保持されることが開示されている。
しかしながら、特許文献1におけるソフトカプセルは、単にそれを含有する酸味調味料の風味を保持するためのものであり、ソフトカプセルを、それを含有する食品全体としての食感・外観・使い勝手・味等を特徴付けるように含有するものでも、特徴付けられる程多量に含有するものでもなかった。
特開2007−14252号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、ソフトカプセルを使用した、新しい態様の食品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ソフトカプセルが、長期間空気に触れると、ソフトカプセルの皮膜が乾燥したり、ソフトカプセル同士が付着してしまったりするので、食用油、調味料等の食用媒体中でソフトカプセルを使用することを見出した。
更に、本発明者らは、食用油、調味料等の食用媒体中でソフトカプセルを使用することにより、ソフトカプセル同士の付着は防げる一方、食用油を含む媒体中でソフトカプセルを長時間使用すると、該食用油によりソフトカプセルの皮膜が硬化してしまうことに着目した。
そこで、ソフトカプセルの皮膜を特定の組成にすることにより、食用油を含有する食用媒体中で長時間使用しても、該皮膜が硬化し難くなることを見出し、それによって、上記の新しい食品態様を現実的なものにできて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、食用油を含有する食用媒体中で使用される、食品の食感劣化防止用ソフトカプセルであって、皮膜の主成分として寒天を含有することを特徴とする食感劣化防止用ソフトカプセルを提供するものである。
また、本発明は、上記食感劣化防止用ソフトカプセル、及び食用油を含有することを特徴とする食品を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点や前記課題を解決し、食用油を含む食用媒体中で長時間使用しても皮膜が硬化しないソフトカプセルを提供することができる。したがって、食用油を含む食用媒体中で長時間使用しても、該ソフトカプセルの食感劣化は抑制又は防止される。
特に、本発明のソフトカプセルは、皮膜の主成分として寒天を含有し、更に皮膜に食感劣化抑制剤を含有することにより、寒天と食感劣化抑制剤との相乗作用により、食用油による食品の食感劣化を十分に抑制又は防止することができる。
また、本発明のソフトカプセルは、内容液の香味を長期間食品中に維持させることができる。
また、本発明によれば、食感劣化が抑制又は防止された、上記ソフトカプセル及び食用油を含有する食品を提供することができる。
本発明に用いられるソフトカプセルを製造する装置の一例であるシームレスカプセル製造装置を示す概略図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
<食感劣化防止用ソフトカプセル>
本発明の「食感劣化防止用ソフトカプセル」(本明細書では、「 」内を単に「ソフトカプセル」と略記する場合がある)は、食用油を含有する食用媒体中で使用される、食品の食感劣化防止用ソフトカプセルであって、皮膜の主成分として寒天を含有することを特徴とする。
本明細書において、各用語を以下のように定義する。
「食用媒体」とは、「食用油を含有する媒体」のことをいう。該形態には、特に制限はなく、例えば、固体、液体、ペースト状、乳化状、2層以上に分離された形態等である。
「食品」とは、「ソフトカプセル及び食用媒体を含有する食品」のことをいう。
「食品の食感劣化防止」とは、「食品を保存したときに、経時により該食品全体としての食感が劣化することを抑制又は防止」することをいう。
「食品の食感劣化防止用ソフトカプセル」とは、「経時による食感劣化が抑制又は防止された食品」という用途に用いられるソフトカプセルのことをいう。
本発明のソフトカプセルは、該皮膜の主成分として寒天を含有する。寒天の含有量は、特に制限されないが、皮膜全体を100質量%とした場合、5質量%以上100質量%以下であることが好ましく、10質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上80質量%以下であることが特に好ましい。
また、本発明のソフトカプセルを製膜する前の原料時点では、該皮膜の水分を除く主成分としての寒天の含有量は特に制限されないが、製膜する前の水分を含む原料時点において、1質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上18質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
該皮膜は、寒天の他に、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の皮膜の基質成分を含有することができる。その他の皮膜の基質成分の例として、親水性高分子が挙げられる。
本発明のソフトカプセルは、食品の食感劣化を防止する等の点で、皮膜に食感劣化抑制剤を含有することが好ましい。「食感劣化抑制剤」とは、食品を保存したときに、経時により該食品全体としての食感が劣化することを抑制又は防止する剤のことをいう。
該食感劣化抑制剤の例として、例えば、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール等の糖アルコールや、デキストリンや増粘性の多糖類等が挙げられる。中でも、該食感劣化抑制剤は、糖アルコールであることが好ましく、エリスリトールであることが特に好ましい。
該食感劣化抑制剤の含有量は、特に制限されないが、寒天との相乗作用による食感劣化抑制効果を発揮できる等の点で、皮膜全体を100質量%とした場合、5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上75質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上70質量%以下であることが特に好ましい。
本発明のソフトカプセルは、香味性が付与され美味しくなる等の点で、皮膜に香味成分を含有することが好ましい。該香味成分の例として、甘味成分、酸味成分、苦味成分、辛味成分、塩味成分、旨味成分等が挙げられる。該香味成分の形態は、微粉末状であっても、液状であってもよい。さらに、香味成分は香味性が付与され美味しくなる等があれば特に制限されることはないが、香辛料由来であるものが好ましい。香辛料を具体的に示すと、こしょう、唐がらし、ナツメグ、カルダモン、クミン、ターメリック、シナモン、クローブ、スターアニス、バジル、セージ、オレガノ、タイム、フェンネル、アニス、パセリ、レモングラス、ローズマリー、ローレル、パクチー、サフラン、ミント、バニラ、タラゴン、パプリカ、ディル、山椒、花椒、わさび、ホースラディッシュ、マスタード、ガーリック、しょうが、みょうが、しそ、柚子、ちんぴ、ごま、等の単品または複数の混合品が例示できる。
また、香味成分をソフトカプセルの皮膜と合わせて内容液に同一の香味成分を含有させることでさらに香味成分を強く、長く効果的に使用できるので好ましい。
本発明のソフトカプセルは、皮膜に可塑性を付与させてソフトカプセルとして製造し易くし、優れた食感を与える等の点で、皮膜に可塑剤を含有することが好ましい。該可塑剤の例として、グリセリン等の多価アルコール;糖アルコール;等が挙げられる。該可塑剤は、上記食感劣化抑制剤を兼ねていてもよい。
該可塑剤の含有量は、特に制限されないが、皮膜全体を100質量%とした場合、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。
上記食感劣化抑制剤(A)と寒天(B)の質量比((A)/(B))は、特に制限されないが、寒天との相乗作用による食感劣化抑制効果を発揮できる等の点で、0.01〜5が好ましく、0.05〜4がより好ましく、0.1〜2.5が特に好ましい。
また、上記可塑剤(C)と寒天(B)の質量比((C)/(B))は、特に制限されないが、食感劣化抑制効果を十分に発揮する等の点で、0.01〜1が好ましく、0.05〜0.9がより好ましく、0.1〜0.8が特に好ましい。
本発明のソフトカプセルは、本発明の効果を損なわない範囲内で、その皮膜内に、その他の成分を含有することができる。その他の成分の例として、着色剤、防腐剤、薬効成分等が挙げられる。
本発明のソフトカプセルの内容液の成分は、特に限定されないが、例として、食用油、機能性素材、薬効成分、香味成分、食品成分、酒類、賦形剤、流動性改良剤、エタノール、分散剤、乳化剤、腸溶剤、増粘剤等が挙げられる。
該内容液は、下記で詳細に説明される食用媒体と同じ組成であっても、異なる組成であってもよい。
本発明のソフトカプセルは、ロータリダイ法を用いて製造されるソフトカプセル(以下、「シーム有りカプセル」と略記する場合がある)であっても、シームレス法を用いて製造されるソフトカプセル(以下、「シームレスカプセル」と略記する場合がある)であってもよい。
本発明のソフトカプセルの大きさは、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択すればよいが、食感、味、外観、取り扱い易さ等の点から、外径で0.5mm以上15mm以下が好ましく、1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下が特に好ましい。
本発明のソフトカプセルの製造方法は特に制限はなく、公知の方法が用いられる。シーム有りカプセルの製造方法の一例が特開2015−155384号公報に、シームレスカプセルの製造方法の一例が特開2014−141433号公報にそれぞれ記載されており、これらに記載された製造方法は、本発明にも好適に用いられる。
本発明のソフトカプセルは、食用油を含有する食用媒体中で使用される。該食用媒体は、該食用油の他に、その他の媒体成分を含有していてもよい。その他の媒体成分として、特に制限されないが、食用油以外の液体又は固体、粉末、調味料等が挙げられる。
上記食用油は、特に制限されないが、大豆油、ゴマ油、コーン油、綿実油、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、落花生油、ひまわり油、米油、ツバキ油、しそ油等の植物油;魚油、鯨油、ラード、ヘット、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等の動物油;等が挙げられる。
該食用油は、常温(例えば20℃)で液体でも固体でもよく、常温(例えば20℃)で固体であるが調理時又は食事時に液体になるものでもよい。
該食用油は、何れか1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用していてもよい。
上記食用油の食用媒体中の含有量は特に制限されないが、食用媒体全体を100質量%とした場合、10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、20質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上90質量%以下であることが特に好ましく、50質量%以上85質量%以下であることが更に好ましい。
そして、食用媒体中の水分は制限されないが、30質量%以下が好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
<食品>
本発明の食品は、上記ソフトカプセル及び食用油を含有することを特徴とする。
本発明の食品の種類としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。本発明の食品は、肉料理、魚料理、野菜料理等の料理の上にかける食品でもよいし、それ自身を食べる食品でもよいし、料理の原料(料理の出発物質)となる食品でもよい。
具体的には、例えば、バター、マーガリン、ルウ、ソース、たれ、ドレッシング等の各種調味料;チョコレート、アイスクリーム等の菓子類;野菜・果実加工品;スープ等の液体食品;パテ、テリーヌ等の練食品;等が挙げられる。
さらに、本発明の食品の水分量は特に制限はないが、長期保存可能な食品である場合は、ソフトカプセルおよびソフトカプセルより大きい固形分を除いた食品を100質量%とした場合の水分は、40質量%以下が好ましく、20質量%以下が特に好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
これらの食品の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、通常の各種食品の製造方法に応じて、適宜製造することができる。
そして、各種食品の製造方法におけるこれら食品へのソフトカプセル添加後は、ソフトカプセルが維持される条件に適宜設定することができるが、0℃〜80℃で製造することが好ましく、5℃〜60℃で製造することが特に好ましく、10℃〜50℃で製造することが更に好ましい。
本発明の食品中のソフトカプセル(a)と食用油(b)の質量比((a)/(b))は、特に制限されないが、食感・外観・使い勝手・味等について、該ソフトカプセルの特徴(存在)を生かす点、該食用油が該ソフトカプセル全体を覆うことができる等の点で、0.1以上100以下が好ましく、0.2以上10以下がより好ましく、0.3以上1以下が特に好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
皮膜溶液は、寒天粉末(伊那寒天UP−16、伊那食品工業株式会社製)300gを水9700gに投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、わさびを粉砕しひまわり油にわさびの風味を抽出した油状ワサビ香料25gにひまわり油475gを混合したものを使用した。内容液をフロイント産業株式会社製シームレスカプセル装置(SPHEREX(登録商標))で、シームレスカプセル化した。
具体的には、図1のように、調製した2つの溶液(内容液2及び皮膜溶液3)を、二重ノズルを用いてカプセル化した。皮膜溶液3は外側ノズルから流し、内側のノズルから内容液2を流して、10〜15℃の油系冷却液体6(ココナードMT、花王株式会社製)中に連続して押し出し、水分を含んだ生カプセル8を得た。得られた生カプセルは、遠心分離によりカプセル表面に付着した油を除去し、その後送風により乾燥させて、ソフトカプセルが得られた。
実施例2
皮膜溶液は、寒天粉末300g、グリセリン(食品添加物グリセリン、阪本薬品工業株式会社製)200g、エリスリトール(ユングブンツラワー株式会社製)100gを水9400gへと投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
実施例3
皮膜溶液は、寒天粉末300g、グリセリン300g、エリスリトール300gを水9100gへと投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
実施例4
皮膜溶液は、寒天粉末300g、グリセリン200g、エリスリトール99g、香味成分として目開き400μのメッシュを通過したホースラディッシュ粉末1gを水9300gへと投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
実施例5
エリスリトールを99gから99.5gに変更し、香味成分をホースラディッシュ粉末1gから目開き190μのメッシュを通過したわさび葉粉末0.5gに代えた以外は、実施例4に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
比較例1
寒天粉末をゼラチン粉末(ROUSSELOT 250 PS 8、ルスロ株式会社製)に代え、加熱温度を約90℃から約70℃に変更した以外は、実施例1と同様にソフトカプセルを調製した。
比較例2
寒天粉末をゼラチン粉末に代え、加熱温度を約90℃から約70℃に変更した以外は、実施例2と同様にソフトカプセルを調製した。
比較例3
寒天粉末をゼラチン粉末に代え、加熱温度を約90℃から約70℃に変更した以外は、実施例4と同様にソフトカプセルを調製した。
比較例4
寒天粉末をゼラチン粉末に代え、加熱温度を約90℃から約70℃に変更した以外は、実施例3と同様にソフトカプセルを調製した。
比較例5
皮膜溶液は、寒天粉末100g、グリセリン500g、エリスリトール100gを水9300gへと投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した内容液及び皮膜溶液からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルの調製を試みた。
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたソフトカプセルの大きさは、直径約3mmであった。
評価例1
[ソフトカプセルの評価方法]
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたソフトカプセルについて、ソフトカプセルの皮膜の組成(乾燥後)、カプセル化の可否、カプセルの香味性、及び食用油中での硬化性の試験結果を表1に示す。表1中の数値は質量%である。
Figure 0006943384
表1中の「香味性」について、「+++」は「強い香味性あり」、「++」は「比較的強い香味性あり」、「+」は「香味性あり」を示す。
表1中の「食用油中での硬化性」について、以下の方法により評価した。
各ソフトカプセルを食用油(オリーブ油)に浸漬させ、蓋をして密封し、25℃で保管した。保管を開始してから2カ月後にガラス瓶からソフトカプセルを取り出し、10人のパネラーによる官能評価を行った。ソフトカプセルの皮膜の状態を、食用油に浸漬させていないカプセルを官能前に10分間浸漬させたカプセルと比較して、該皮膜が硬化しているか否かを以下の評価基準を基に評価した。
<皮膜硬化の評価基準>
◎:9人以上が皮膜の硬化を感じなかった。
○:6人以上が皮膜の硬化を感じなかったうえ、硬化を感じたもの全員が、わずかな硬化しか感じなかった。
×:5人以上が明らかな硬化を感じた。
−:カプセル成形不可により、判定不能。
表1の結果、実施例1〜5のソフトカプセル(寒天を皮膜の主成分とするソフトカプセル)は、食用油に浸漬させてから2月経過しても、該ソフトカプセルの皮膜が硬化しなかった。一方、比較例1〜4のソフトカプセル(ゼラチンを皮膜の主成分とするソフトカプセル)は、食用油による皮膜の硬化が観察された。また、比較例5のソフトカプセル(寒天を含むが、皮膜の主成分ではないソフトカプセル)は、カプセル成形ができなかった。
実施例6
皮膜溶液は、寒天粉末750gとエリスリトール250gを水10kgに投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
実施例7
皮膜溶液は、寒天粉末500gとエリスリトール500gを水10kgに投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
実施例8
皮膜溶液は、寒天粉末300gとエリスリトール700gを水10kgに投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
実施例9
皮膜溶液は、寒天粉末250gとエリスリトール750gを水10kgに投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
実施例10
皮膜溶液は、寒天粉末200gとエリスリトール800gを水10kgに投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
比較例6
皮膜溶液は、寒天粉末100gとエリスリトール900gを水10kgに投入し、約90℃まで加熱し溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
比較例7
皮膜溶液は、エリスリトール1000gを水10kgに投入し、混合して溶解することによって得られた。内容液は、実施例1と同じ内容液を使用した。調製した2つの溶液(内容液及び皮膜溶液)からのカプセル化は実施例1に従って行い、ソフトカプセルが得られた。
評価例2
[ソフトカプセルの評価方法]
実施例6〜10及び比較例6〜7で得られたソフトカプセルについて、カプセル成形後に乾燥させ、カプセル形状を保持するか否かを以下の評価基準を基に評価した。評価結果を表2に示す。表2中の数値は質量%である。
<カプセル形状の評価基準>
◎:良好なカプセルであり、カプセル形状を保持した。
〇:衝撃によっては壊れやすいが、カプセル形状を保持した。
×:カプセル成形はできなかった。
Figure 0006943384
実施例6〜10のソフトカプセルはカプセル形状を保持したが、比較例6〜7のソフトカプセルはカプセル形状を保持できなかった。
検討例1
実施例4で調製したソフトカプセルに食用油を浸漬又は付着させることを検討した。該ソフトカプセル(1g)に、2gのエキストラバージンオリーブ油(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)に浸漬させた。食用油に浸漬させたソフトカプセルの食味や風味は良好であった。
検討例2
エキストラバージンオリーブ油の量を2gから1gに変更した以外は、検討例1と同様にソフトカプセルを食用油に浸漬させた。食用油に浸漬させたソフトカプセルの食味や風味は良好であった。
検討例3
実施例4で調製したソフトカプセル(1g)に、0.1gのエキストラバージンオリーブ油を付着させた。ソフトカプセル全体に食用油が付着し、該ソフトカプセルの食味や風味は良好であった。
検討例4
エキストラバージンオリーブ油の量を0.1から0.01gに変更した以外は、検討例3と同様にソフトカプセルに食用油を付着させた。ソフトカプセル全体に食用油が薄く付着し、該ソフトカプセルの食味や風味は良好であった。
<検討例1〜4のまとめ>
食用油が0.01g以上であると、該食用油が1gのソフトカプセル全体に付着することが分かった。また、食用油が0.1g以上であると、1gのソフトカプセルは浸漬することが分かった。
実施例11
実施例2で得られたソフトカプセルを100粒充填したガラス瓶を用意した。該ガラス瓶にオリーブ油を50mL充填し、ガラス瓶中のソフトカプセルを食用油に浸漬させて食品を調製した。
実施例12
オリーブ油をひまわり油に変更した以外は、実施例11と同様に食品を調製した。
実施例13
オリーブ油をコーン油に変更した以外は、実施例11と同様に食品を調製した。
実施例14
オリーブ油を米油に変更した以外は、実施例11と同様に食品を調製した。
比較例8〜11
実施例2で得られたソフトカプセルを、比較例2で得られたソフトカプセルに変更した以外は、実施例11〜14とそれぞれ同様に食品を調製した。
評価例3
[食品の評価方法]
ソフトカプセルが食用油中に浸漬した状態のまま蓋をして密封し、25℃で保管した。
保管を開始してから2週間後、4週間後、8週間後にガラス瓶からソフトカプセルを取り出し、10人のパネラーによる官能評価を行った。ソフトカプセルの皮膜の状態を、食用油に浸漬させていないカプセルを官能前に10分間浸漬させたカプセルと比較して、該皮膜が硬化しているか否かを以下の評価基準を基に評価した。
評価結果を表3に示す。
<皮膜硬化の評価基準>
◎:9人以上が皮膜の硬化を感じなかった。
○:6人以上が皮膜の硬化を感じなかったうえ、硬化を感じたもの全員が、わずかな硬化しか感じなかった。
△:5人以下が皮膜の硬化を感じなかったうえ、硬化を感じたもの全員が、明らかな皮膜の硬化を感じなかった。
△〜×:1〜4人が明らかな皮膜の硬化を感じた。
×:5人以上が明らかな硬化を感じた。
Figure 0006943384
表3の結果、実施例11〜14の食品は、2週間後、4週間後、8週間後の全ての評価において、ソフトカプセルの皮膜の硬化は生じなかった。一方、比較例8及び9の食品は、4週間後には皮膜が明らかに硬化していて、8週間後には比較例8〜11の食品全てにおいて皮膜が硬化していた。
検討例5
実施例2で得られたソフトカプセル100粒(1.3g)を入れたガラス瓶に、融点が35℃に調整された食用油(パーム油脂を主成分とする植物由来油)を40℃で溶かした状態で充填し、十分に撹拌し25℃の状態で保管した。
保管してから4週間後に、ガラス瓶より食用油及びソフトカプセルをステンレストレーに取り出した。40℃のお湯に浮かべて食用油を溶かしソフトカプセルを食した結果、該皮膜の硬化はなく、食感は維持されていた。
検討例6
実施例2で得られたソフトカプセル100粒(1.3g)を入れたガラス瓶に、融点が42℃に調整された食用油(ヘットを主成分とする動物由来油)を50℃で溶かした状態で充填し、十分に撹拌し25℃の状態で保管した。
保管してから4週間後に、ガラス瓶より食用油及びソフトカプセルをステンレストレーに取り出した。50℃のお湯に浮かべて食用油を溶かしソフトカプセルを食した結果、該皮膜の硬化はなく、食感は維持されていた。
検討例7
「融点が35℃に調整された食用油(パーム油脂を主成分とする植物由来油)」を「融点が30℃のバター」に変更した以外は、検討例5と同様に評価した結果、ソフトカプセルの皮膜の硬化はなく、食感が維持されていた。
検討例8
「融点が42℃に調整された食用油(ヘットを主成分とする動物由来油)」を「食用油30質量%、水分1.5質量%、小麦粉28質量%、砂糖、塩、香辛料等を含むカレールウ」に変更した以外は、検討例6と同様に評価した結果、ソフトカプセルの皮膜の硬化はなく、食感が維持されていた。
検討例9
「融点が35℃に調整された食用油(ココアバターを主成分とする植物由来油)」を「食用油35質量%及び水分1.2質量%を含むチョコレート」に変更した以外は、検討例5と同様に評価した結果、ソフトカプセルの皮膜の硬化はなく、食感が維持されていた。
本発明の食感劣化防止用ソフトカプセルは、食品業界や外食業界、中食業界等で広く利用されるものである。
1 シームレスカプセル装置
2 内容液
3 皮膜溶液
4 ジェット
5 整流版
6 油状冷却液体
7 振動機
8 生カプセル

Claims (3)

  1. 食用油を含有する食用媒体を含有する食品中で使用されるためのソフトカプセルであって、ソフトカプセルの皮膜が該食用油で硬化することによる該食品の食感の劣化を抑制又は防止するソフトカプセルであり、
    該皮膜が、該皮膜の主成分として寒天を含有し、更に、グリセリン、及び、食感劣化抑制剤としてエリスリトールを含有することを特徴とする食感劣化防止用ソフトカプセル。
  2. 請求項1に記載の食感劣化防止用ソフトカプセル、及び、食用油を含有する食品であって、
    該食感劣化防止用ソフトカプセルの皮膜が該食用油で硬化することによる食感の劣化が抑制又は防止されているものであることを特徴とする食品。
  3. 請求項1に記載の食感劣化防止用ソフトカプセルを、食用油を含有する食用媒体を含有する食品中に加えることによって、該食用油で該食感劣化防止用ソフトカプセルの皮膜が硬化することによる該食品の食感の劣化を抑制又は防止することを特徴とする食品の食感劣化防止方法。
JP2017038089A 2017-03-01 2017-03-01 食品の食感劣化防止用ソフトカプセル、並びに、該食感劣化防止用ソフトカプセル及び食用油を含有する食品 Active JP6943384B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017038089A JP6943384B2 (ja) 2017-03-01 2017-03-01 食品の食感劣化防止用ソフトカプセル、並びに、該食感劣化防止用ソフトカプセル及び食用油を含有する食品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017038089A JP6943384B2 (ja) 2017-03-01 2017-03-01 食品の食感劣化防止用ソフトカプセル、並びに、該食感劣化防止用ソフトカプセル及び食用油を含有する食品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018143101A JP2018143101A (ja) 2018-09-20
JP6943384B2 true JP6943384B2 (ja) 2021-09-29

Family

ID=63588460

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017038089A Active JP6943384B2 (ja) 2017-03-01 2017-03-01 食品の食感劣化防止用ソフトカプセル、並びに、該食感劣化防止用ソフトカプセル及び食用油を含有する食品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6943384B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01193216A (ja) * 1988-01-29 1989-08-03 Fuji Kapuseru Kk ソフトカプセル及び球状物
DE69940769D1 (de) * 1998-01-20 2009-06-04 Applied Analytical Ind Inc Orale flüssige zusammensetzungen
DE10107261B4 (de) * 2001-02-16 2005-03-10 Merck Patent Gmbh Pharmazeutische Zusammensetzung
JP4465308B2 (ja) * 2005-07-07 2010-05-19 フロイント産業株式会社 酸性調味料用ごま香料、及び当該香料を含有する酸性調味料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018143101A (ja) 2018-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6609856B2 (ja) 焙煎香辛料ペースト及びその製造方法
JP7053278B2 (ja) ペースト状調味料及びその製造方法
KR20170083048A (ko) 분말유지, 당해 분말유지를 포함하는 음식품, 및 당해 분말유지의 제조방법
JP6943384B2 (ja) 食品の食感劣化防止用ソフトカプセル、並びに、該食感劣化防止用ソフトカプセル及び食用油を含有する食品
JP6490564B2 (ja) 固形ルウ
JP5841038B2 (ja) 固形ルウ
JP7148676B2 (ja) 調味用組成物及びその使用
JP6931973B2 (ja) 分離液状調味料
JP3106465B2 (ja) 油脂組成物
JP2018201381A (ja) 流動状経口摂取用組成物及びその調製方法
JP6487000B2 (ja) 固形ルウ
JP6351025B2 (ja) 容器入り食品とその製造方法
JP2021090411A (ja) 水溶性粉体原料を含有する香辛料ペースト調味料組成物
JP6687444B2 (ja) 液体スープパックの製造方法
JPWO2013129168A1 (ja) カプセル食品およびカプセル含有油脂組成物
JP5936214B1 (ja) レトルト臭マスキング用香料組成物の製造方法
JP6148745B1 (ja) 米加工食品の製造方法
JP7164696B2 (ja) 流動状経口摂取用組成物及びその調製方法
JP6472971B2 (ja) ルウ用油脂組成物
JP2019187392A (ja) 容器入りオイルソース
JP4680577B2 (ja) 食品素材
JP7316718B2 (ja) シーズニングミックス及びこれを使用したスナック食品
JP2010068768A (ja) 容器入りペースト状調味ソースの製造方法
JP2024068563A (ja) 油脂含有乾燥品
WO2024024524A1 (ja) 容器用離型剤、及び容器に充填されたペースト状又はゲル状充填物の離型性を向上させる方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210803

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210831

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6943384

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150