以下、本実施例の画像形成装置、及びプロセスカートリッジについて図面を用いて説明する。なお、画像形成装置とは、例えば電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するものである。例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、電子写真ファクシミリ装置等が含まれる。また、カートリッジとは、画像形成装置本体に着脱可能であるものを指す。カートリッジのうち、とくに感光体や感光体に作用するプロセス手段が一体化したものをプロセスカ−トリッジと呼ぶ。また、感光体ドラムとカップリング部材等を一体化したものをドラムユニットと呼ぶ。
なお、以下の実施例では4個のプロセスカートリッジが着脱可能なフルカラー画像形成装置を例示している。しかし、画像形成装置に装着するプロセスカートリッジの個数はこれに限定されるものではない。また同様に、実施例において開示する各構成について、特に限定的な記載をしない限り、材質、配置、寸法、その他の数値等を限定するものではない。また、特に明記しない限り上方とは画像形成装置を設置した際の重力方向上方を指すものとする。
<実施例1>
[電子写真画像形成装置の概略]
先ず、本実施例に係る電子写真画像形成装置(画像形成装置)の一実施例の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。図1に示すように、画像形成装置100は複数の画像形成部としてそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1から第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、略水平方向に一列に並んで配置されている。
なお、本実施例では、プロセスカートリッジ7(7Y,7M,7C,7K)の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
本実施例では、画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向に対して少し傾斜した方向に並設された4個の感光層を有するシリンダ(以下、感光体ドラム)1を有する。プロセスカートリッジ7の重力方向下方にスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。また、感光体ドラム1の周囲にはその感光層上へと作用するプロセス手段(プロセス装置、プロセス部材)としての帯電ローラ2等が配置されている。
帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する帯電手段(帯電装置、帯電部材)である。そして、スキャナユニット(露光装置)3は、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段(露光装置、露光部材)である。感光体ドラム1の周囲には、現像装置(以下、現像ユニット)4及びクリーニング手段(クリーニング装置、クリーニング部材)としてのクリーニングブレード6が配置されている。
更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材(シート、記録媒体)12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
本実施例の現像ユニット4は、現像剤として非磁性一成分現像剤(以下、トナー)を用い、現像剤担持体としての現像ローラ17を感光体ドラム1に対して接触させた接触現像方式を採用している。
上述の構成において、感光体ドラム1上に形成されたトナー像をシート(紙)12上へ転写し、シート上に転写されたトナー像を定着する。また、感光体ドラム1に作用するプロセス手段として、プロセスカートリッジは感光体ドラム1を帯電する帯電ローラ2と、感光体ドラム1上に転写されずに残留したトナーを清掃するクリーニングブレード6と、を備える。シート12上に転写されずに感光体ドラム1上に残留した転写残トナーは、クリーニングブレード6によって回収される。また、クリーニングブレード6によって回収された転写残トナーは、開口14bより除去現像剤収容部(以下廃トナー収容部と称す)14aに収容される。廃トナー収容部14aとクリーニングブレード6は一体化されクリーニングユニット(感光体ユニット、ドラムユニット、像担持体ユニット)13を構成している。
また、現像ユニット4とクリーニングユニット13を一体としてユニット化(カートリッジ化)することで、プロセスカートリッジ7を構成する。画像形成装置100は本体枠体に装着ガイド、位置決め部材(不図示)などのガイド(位置決め手段)を備える。プロセスカートリッジ7は前述のガイドによってガイドされ、画像形成装置本体100Aに対して着脱可能に構成されている。
各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
中間転写ベルト5は、各プロセスカートリッジが備える感光体ドラム1に当接して、図1中の矢印B方向に向かって回転(移動)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材(駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53)に掛け渡されている。中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。
画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光される。これにより、感光体ドラム1上に画像情報に対応した静電潜像が形成される。感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。
感光体ドラムは、その表面に現像剤(トナー)で形成された像(現像剤像、トナー像)を担持した状態で回転する回転体(像担持体)である。
感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、4個のプロセスカートリッジ7(7Y,7M,7C,7K)において順次に行われる。そして、各プロセスカートリッジ7の感光体ドラム1上に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト5上に重ね合わさるように順次に一次転写される。その後、中間転写ベルト5の移動と同期して記録材12が二次転写部へと搬送される。そして、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9によって形成された二次転写部へ搬送された記録材12上に中間転写ベルト5上の4色トナー像が一括して転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニングブレード6によって除去され、廃トナーとして回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって除去される。
なお、画像形成装置100は、所望の単独またはいくつか(全てではない)の画像形成部を用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
[プロセスカートリッジの概略構成]
次に、本実施例の画像形成装置本体100Aに装着されるプロセスカートリッジ7(カートリッジ7)の概略について図2、図3、図4を用いて説明する。
なお、イエロー色のトナーを収納したカートリッジ7a、マゼンタ色のトナーを収納したカートリッジ7b、シアン色のトナーを収納したカートリッジ7c、ブラック色のトナーを収納したカートリッジ7dは同一構成である。従って、以下の説明では、各カートリッジ7a、7b、7c、7dを総称して、カートリッジ7として説明する。各カートリッジ構成部材についても同様に総称して説明する。
図2は、プロセスカートリッジ7の外観斜視図である。ここで、図2に示すように、感光体ドラム1の回転軸方向をZ方向(矢印Z1、矢印Z2)、図1における水平方向をX方向(矢印X1、矢印X2)、図1における鉛直方向をY方向(矢印Y1、矢印Y2)とする。
図3は、画像形成装置100に装着され、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態(姿勢)におけるプロセスカートリッジ7をZ方向に沿って見た概略断面図である。
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1、帯電ローラ2、クリーニングブレード6をユニット化したクリーニングユニット13と、現像ローラ17などの現像部材を有する現像ユニット4との2つのユニットより構成される。
現像ユニット4は、現像ユニット4内の各種要素を支持する現像枠体18を有する。現像ユニット4には、感光体ドラム1と接触して図示矢印D方向(反時計方向)に回転する現像剤担持体としての現像ローラ17が設けられている。現像ローラ17は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において、現像軸受19(19R、19L)を介して、回転可能に現像枠体18に支持されている。ここで、現像軸受19(19R、19L)は、現像枠体18の両側部にそれぞれ取り付けられている。
また、現像ユニット4は、現像剤収納室(以下、トナー収納室)18aと、現像ローラ17が配設された現像室18bと、を有する。現像室18bには、現像ローラ17に接触して矢印E方向に回転する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ20と現像ローラ17のトナー層を規制するための現像剤規制部材としての現像ブレード21が配置されている。現像ブレード21は、固定部材22に対し溶接等より固定、一体化されている。
また、現像枠体18のトナー収納室18aには、収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラ20へトナーを搬送するための撹拌部材23が設けられている。そして現像ユニット4は、軸受部材19R、19Lに設けられた、穴19Ra及び19Laに嵌合する嵌合軸24(24R、24L)を中心にしてクリーニングユニット13に回動自在に結合されている。また、現像ユニット4は、加圧バネ25(25R、25L)により、現像ローラ17が、感光体ドラム1に当接する方向に付勢されている。そのため、プロセスカートリッジ7の画像形成時においては、現像ユニット4は嵌合軸24を中心に矢印F方向に回動(回転)し、感光体ドラム1と現像ローラ17は当接する。
クリーニングユニット13は、クリーニングユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。
図4は、プロセスカートリッジ7の感光体ドラム1の回転中心を含む仮想面における断面図である。なお、画像形成装置本体からの駆動力を受ける部分(カップリング部材28)が配置された側(Z1方向の側)をプロセスカートリッジ7の駆動側(奥側)と呼ぶ。駆動側とは反対側(Z2方向の側)をプロセスカートリッジ7の非駆動側(手前側)と呼ぶ。
カップリング部材28と反対側の端部(プロセスカートリッジの非駆動側の端部)には、感光体ドラム1の内面と接触する電極(電極部)があり、この電極は画像形成装置本体と接触することでアースの役割を果たしている。
感光体ドラム1の一端にカップリング部材28を取り付け、かつ、感光体ドラム1の他端に非駆動側フランジ部材29を取り付け、感光体ドラムユニット30を形成する。感光体ドラムユニット30は、カップリング部材28を介し、画像形成装置本体100Aに設けられた駆動軸101より駆動力を得る。
このカップリング部材28は駆動軸101に結合および離脱可能に構成されている。
カップリング部材28は、感光体ドラム1の駆動側端部に取り付けられたフランジ部材(駆動側フランジ部材)でもある。
図4に示すように、カップリング部材28のZ1側は円筒形状(円筒部71)になっている。円筒部71は、感光体ドラム1の端部よりも、Z1側(軸線方向外側)に突出している。この円筒部71の外周部分が外周面71aである。被軸受部71cがドラムユニット軸受部材39Rに回転可能に支持される。つまり被軸受部71c(図7参照)がドラムユニット軸受部材39Rによって支持されることで感光体ドラムユニット30は、回転可能になる。
同様に、感光体ドラムユニット30の非駆動側に設けられた非駆動側フランジ部材29は、ドラムユニット軸受部材39Lに回転可能に支持される。非駆動側フランジ部材29は、感光体ドラム1の端部から突出した円筒状の部分(円筒部)を有し、この円筒部の外周面29aがドラムユニット軸受部材39Lに回転可能に支持される。
なお、ドラムユニット軸受部材39Rはプロセスカートリッジ7の駆動側に配置され、ドラムユニット軸受部材39Lはプロセスカートリッジ7の非駆動側に配置されている。
プロセスカートリッジ7が装置本体100Aに装着されると、図11に示すように、ドラムユニット軸受部材39Rが、画像形成装置本体100Aに設けられた奥側カートリッジ位置決め部108に突き当たる。また、ドラムユニット軸受部材39Lが、画像形成装置本体100Aの手前側カートリッジ位置決め部110に突き当たる。これにより、カートリッジ7は画像形成装置100Aに位置決めされる。図11については後で詳述する。
上述したように、ドラムユニット軸受部材39R、39Lが、クリーニング枠体14の両側にそれぞれ取り付けられていて、それぞれ感光体ドラムユニット30を支持している。このことにより、感光体ドラムユニット30はクリーニング枠体14に回転可能に支持されることになる。
また、クリーニング枠体14には帯電ローラ2及び、クリーニングブレード6が取り付けられており、これらは感光体ドラム1の表面と接触するように配置される。また、クリーニング枠体14には、帯電ローラ軸受15(15R,15L)が取り付けられている。帯電ローラ軸受15は、帯電ローラ2の軸を支持するための軸受である。
ここで、帯電ローラ軸受15(15R,15L)は、図3に示す矢印C方向に移動可能に取り付けられている。帯電ローラ2の回転軸2aは、帯電ローラ軸受15(15R,15L)に回転可能に取り付けられている。そして、帯電ローラ軸受15は、付勢手段としての加圧バネ16により感光体ドラム1に向かって付勢される。これにより帯電ローラ2は感光体ドラム1に対し当接し、感光体ドラム1に従動回転する。
クリーニング枠体14には、感光体ドラム1の表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード6が設けられる。クリーニングブレード6は、感光体ドラム1と当接して感光体ドラム1上のトナーを取り除くブレード状ゴム(弾性部材)6aと、それを支持する支持板金6bが一体化されたものである。本実施例においては、支持板金6bはクリーニング枠体14にビスで固定され取り付けられている。
前述の通り、クリーニング枠体14は、クリーニングブレード6によって回収された転写残トナーを、回収するための開口14bを有する。開口14bには、感光体ドラム1と当接し、感光体ドラム1と開口14bとの間をシールする吹き出し防止シート26が設けられており、開口14bの上部方向のトナー漏えいを防止する。
このように装置本体に着脱可能なカートリッジに画像形成に関する要素を一体化した構成を採用することにより、メンテナンス容易性が向上する。言い換えると、使用者がプロセスカートリッジを装置本体に対する着脱することで装置のメンテナンスを容易に行うことができる。そのため、メンテナンスがサービスマンだけではなく使用者でも容易に行うことが出来る装置を提供することができる。
[本体駆動軸の構成]
図5、図6を用いて、駆動軸101の構成を説明する。図5は、本体駆動軸の外形図である。図6は、画像形成装置本体へ取り付けた状態の駆動軸101の回転軸(回転軸線)に沿って切断した断面図である。
図5に示すように、駆動軸101は、ギア部101e、軸部101f、ラフガイド部101gと被軸受け部101dを有する。
画像形成装置本体100Aには駆動源としてのモータ(不図示)が設けられている。このモータからの回転駆動力がギア部101eで受けることで駆動軸101は回転する。ここで、モータの画像形成時の回転方向を正回転、反対方向の回転を逆回転と称する。また、モータは制御部300(図1)の信号により制御されることで正回転動作および逆回転動作の両方を行うことが可能である。また、モータが正回転している時の駆動軸101の回転を正回転、モータが逆回転している時の駆動軸101の回転を逆回転とする。制御部300はモータの駆動を制御する電気回路を備えている。
駆動軸101はその回転軸線に沿ってギア部101eよりもカートリッジ側に向けて突出する回転可能な突起形状の軸部101fを備える。そして、モータから受けた回転駆動力は軸部101fに設けられた溝形状の駆動力伝達溝101a(凹部、駆動渡し部)を介してカートリッジ7側へと伝達される。また、軸部101fは、その先端に半球形状101cを有する。
この本体駆動力伝達溝101aは、後述する係合部73の一部が進入可能な形状となっている。また、駆動力伝達溝101aは、カップリング部材28の駆動力受け面73aと接触して駆動力を伝達する面としての駆動力伝達面(第1係合部)101bを備える。
被軸受け部101dは、図6に示すように、ギア部101eを挟んでラフガイド部101gの反対側に配置されている。そして、被軸受部101dは、画像形成装置本体100Aに設けられた軸受け部材102によって回転可能に支持(軸支)される。
また、駆動軸101は、図6に示すように、画像形成装置本体100Aのバネ部材103によりカートリッジ7側に付勢されている。ただし、駆動軸101のZ方向の移動可能な量(ガタ)は、1mm程度で後述する駆動力受け面73aのZ方向の幅より十分小さい。
[カップリング部材の構成]
図7、図8、図9を用いて、カップリング部材の構成を説明する。図7は、カップリング部材28の断面斜視図である。図8は、フランジ部材70をZ方向外側から見た図である。図9は、カップリング部材28の断面図である。
図7に示すように、は、円筒部71、取り付け部72、係合部73、基部74、及び調芯部材33を備える。取り付け部72は感光体ドラム1に取り付けられるための部位であり、圧入やカシメなどの手段により感光体ドラム1に固定される。円筒部71はほぼ円筒形状を有する。円筒部71は前述の通り被軸受け部71cを有し、この被軸受け部71cはドラムユニット軸受け部材39Rによって回転可能に支持される。
図8に示すように、フランジ部材70には、複数の係合部73および複数の基部74が対称的に配置されている。すなわち、係合部73がフランジ部材70の周方向に3カ所配置されている。同様に、基部74もフランジ部材70の周方向に3カ所配置されている。
係合部(第2係合部)73は、フランジ部材70の径方向(ドラムユニットの径方向)における内側に向けて突出する突出部(凸部、突起部)である。また係合部73は、基部74の先端に配置されている。係合部73は、フランジ部材70の周方向に均等な間隔で3カ所配置(120°間隔)されるように設計されている。
係合部73は駆動軸101と係合しうるように構成される。係合部73には感光対ドラム1を回転させるための駆動力(回転力)を受けうる駆動力受け面73aが設けられている。駆動力受け面73aはドラムユニットの外部(プロセスカートリッジの外部)、すなわち装置本体から駆動力(回転力)が伝達される駆動力受け部である。
基部74の根本側の端部(後端)はフランジ部材70に結合する結合部である。また基部74の後端は、フランジ部材70に支持される被支持部であり、基部74の根本部74aである。基部74は変形することで、係合部73をフランジ部材70の径方向に少なくとも移動させることが可能である。なおフランジ部材70の径方向とは、駆動軸101の回転軸線と一致する。この径方向の移動によって係合部73は駆動力伝達面101bと係合可能な係合可能位置と駆動力伝達面101bと係合しない非係合位置との間を移動可能である。本実施例では係合部73が複数の係合部のうちの一方である。
図9に示すように、調芯部材33は、逆円錐形状33aと、嵌合部33bとを有する。嵌合部33bはフランジ部材70の内周面72aに嵌合され、スナップフィット等の手段により係合されることで、カップリング部材28となる。また、逆円錐形状33aは、感光体ドラム1の回転駆動時に駆動軸101の先端の半球形状である半球形状101cと当接する当接部33eを有する。
本実施例では、複数の係合部(第2係合部)73が一方の複数の係合部であり、複数の駆動力伝達面(第1係合部)101bが他方の複数の係合部である。
[カートリッジの画像形成装置本体への装着]
図10、図11を用いて、プロセスカートリッジ7の画像形成装置本体への装着について説明する。図10は画像形成装置本体100Aへのカートリッジ7の装着を説明するための斜視図である。図11は画像形成装置本体100Aへのカートリッジ7の装着動作を説明するための断面図である。
図10に示すように、画像形成装置本体100Aのカートリッジドア(開閉部材)104は、カートリッジを着脱可能な開口120を開閉可能に設けられている。図10に示す状態では、カートリッジドア104が開口120を開いた開位置にある。カートリッジドア104を開くと、カートリッジ7をガイドするカートリッジ下ガイドレール105が空間の底面に、カートリッジ上ガイドレール106が上面に配置されている。カートリッジ7は空間上下に設けられた上下のガイドレール(105、106)により装着位置へ案内される。カートリッジ7は感光体ドラムユニット30の軸線に略沿って、装着位置へ挿入される。
以下に、図11を用いて画像形成装置本体100Aへのカートリッジの装着動作について説明する。図11(a)に示すように、カートリッジ7は、挿入開始時にドラムユニット軸受部材39R及び感光体ドラム1が中間転写ベルト5に接触しない。言い換えると、カートリッジ7の挿入方向奥側の端部がカートリッジ下ガイドレール105に支持された状態で、感光体ドラム1と中間転写ベルト5が接触しないような寸法関係になっている。
次に図11(b)示すように、画像形成装置本体100Aはカートリッジ下ガイドレール105の挿入方向奥側にカートリッジ下ガイドレール105より重力方向上方に向けて突出した奥側カートリッジ下ガイド107を備える。この奥側カートリッジ下ガイド107はカートリッジ7の挿入方向手前側にテーパ面107aを備える。挿入に伴い、カートリッジ7はテーパ面107aに乗り上がり装着位置へとガイドされる。
なお、奥側カートリッジ下ガイド107の位置や形状は、カートリッジを装置本体100Aへ挿入する際に、カートリッジの一部が中間転写ベルト5の画像形成領域5Aと摺擦しないように設ければよい。ここで、画像形成領域5Aとは中間転写ベルト5の記録材12へ転写するトナー像が担持される領域を指す。また、本実施例においては、装着姿勢を維持したカートリッジのうち、カートリッジ7の挿入方向奥側に設けられたユニット軸受部材39Rが重力方向上方へ最も突出している。そのため、ドラムユニット軸受部材39Rの最も挿入方向奥側の端部が挿入時に描く軌跡(以降、挿入軌跡と呼ぶ)と画像形成領域5Aが干渉しないように、各要素の配置と形状を適宜選択すればよい。
その後、図11(c)に示すように、カートリッジ7は奥側カートリッジ下ガイド107に乗り上げた状態から更に画像形成装置本体100Aの奥側に挿入される。そして、ドラムユニット軸受部材39Rが、画像形成装置本体100Aに設けられた奥側カートリッジ位置決め部108に突き当たる。このときカートリッジ7(感光体ドラムユニット30)は画像形成装置本体100Aに装着完了の状態(図11(d))よりも、0.5から2°程度傾いた状態となる。つまり、カートリッジ7の挿入方向において、カートリッジ7(感光体ドラムユニット30)の下流側が上流側よりも持ち上がった状態となる。
図11(d)はカートリッジドア104が閉じた状態の装置本体とカートリッジの状態を示す図である。つまり、カートリッジドア104は開口120を閉じた閉位置にある。画像形成装置100Aはカートリッジ下ガイドレール105の挿入方向手前側に手前側カートリッジ下ガイド109を有する。この手前側カートリッジ下ガイド109はカートリッジドア(前扉)104の開閉に連動して上下するように構成されている。
ユーザによりカートリッジドア104が閉じられると、手前側カートリッジ下ガイド109が上昇する。そして、ドラムユニット軸受部材39Lと画像形成装置本体100Aの手前側カートリッジ位置決め部110が当接し、カートリッジ7が画像形成装置本体100Aに対して位置決めされる。以上の動作により、カートリッジ7は画像形成装置本体100Aへの装着が完了する。
[カップリング部材の本体駆動軸への係合過程]
続いて、カップリング部材28と駆動軸101の係合過程について、図12を用いて詳しく説明する。図12は、本体駆動軸へのカップリング部材の装着動作を説明するための断面図である。図12(a)は、カップリング部材28が駆動軸101と係合開始した状態を示す図である。また、図12(e)は、カートリッジ7を画像形成装置本体100Aへ装着させ、カートリッジドア104を閉めて手前側カートリッジ下ガイド109を上昇させ、カートリッジ7が画像形成装置本体100Aに対して位置決めされたときの状態を示す図である。ここで、図12(b)から(d)は、図12(a)と図12(e)の間で、カップリング部材28と駆動軸101の装着過程を説明するための図である。なお、駆動軸101は、その自重により微小角度だけ重力方向下方に向かい垂れている。
また、図13(a)は、本体駆動力伝達溝101aの位相と係合部73の位相が合っていない状態を説明するための図である。つまり図13(a)では、本体駆動力伝達溝101aの内部に係合部73が入りこまず、両者が係合していない状態を示している。この時の係合部73の径方向の位置を非係合位置とする。両者が係合していない状態とは、駆動力伝達面101bと駆動力受け面73aが接触していない状態である。
図12(a)に示すように、カートリッジ7が画像形成装置本体100Aに対して位置決めされた状態のとき(図12(e)図示)に対し、カップリング部材28は約0.5から2°程度傾いた状態で駆動軸101に対し挿入される。
図12(b)に示すように、先ずフランジ部材70の円筒部71の内周面71bの先端が、駆動軸101のラフガイド部101gに当接する。駆動軸101のラフガイド部101gが、カップリング部材70の内周面71bに添うような状態で、カップリング7が駆動軸101に挿入される。
図12(c)に示すように、図12(b)から更にカップリング部材28を駆動軸101の奥側に向かって挿入すると、係合部73の挿入テーパ面73dと駆動軸101の先端の半球形状101cが当接する。挿入テーパ面73dの斜面と半球形状101cの球形状により、駆動軸101は3つの係合部73の略中央にガイドされる。
更にカップリング部材28が、駆動軸101に挿入されると、係合部73が半球形状101cに沿うように基部74が径方向外側に弾性変形する。その結果、図13(a)に示すように、係合部73は駆動軸101の軸部101fの外径まで移動(退避)する。
その後、カートリッジ7のドラムユニット軸受部材39Lが手前側カートリッジ位置決め部110に突き当たるようにカートリッジ7が持ちあげられる。カートリッジ7が持ちあげられることで、カートリッジ7は画像形成装置本体100Aに対し位置決めされた状態となる(図11(d)図示)。このカートリッジ7の動作により、図12(e)に示すように、カップリング部材28の傾きが解消される。つまりカップリング部材28およびドラムユニットは画像形成が可能な姿勢になる。この時、駆動軸101及びカップリング部材28の回転軸線はZ方向と平行である。
なお、本体駆動力伝達溝101aと係合部73の位相が合っている場合は、図12(d)の段階で基部74の弾性変形が少なくとも一部解消され、図13(b)の状態となる。つまり、基部74は、図13(a)に示す状態から図13(b)の示す状態に移る際に、係合部73を径方向の内側に向けて移動させるように変形する。
このようにして、基部74は係合部73を本体駆動力伝達溝101aの内部に進入させ、駆動力伝達面101bと係合可能な状態とする。この時の係合部73の径方向の位置を係合可能位置とする。この状態から、駆動軸101が回転すると、係合部73が駆動軸101の駆動力伝達面101bに接触し係合する。
[カートリッジ装着後の準備動作]
画像形成装置本体にカートリッジ7を装着した後、画像形成前に行う準備動作について、図14、図16を用いて詳細に説明する。なお以下の説明では、駆動軸101及びカップリング部材28の回転軸線はZ方向に平行な状態として説明する。図14は、カップリング部材28および駆動軸101それぞれをZ方向に直交する断面(XY断面)で切断した断面図である。XY断面は、カップリング部材28の回転軸線に直交する面であり、駆動軸101の回転軸線に直交する面である。図16は、駆動軸101、カップリング部材28をZ方向に直交する断面(XY断面)で切断した断面図である。
ここで、係合部73と駆動力伝達面101bとを係合させるために、準備動作として駆動軸101を正回転、逆回転させることをそれぞれ準備正回転、準備逆回転と記述する。この準備動作は、制御部300によって実行される回転制御動作である。
カートリッジが画像形成装置に装着された状態において、カップリング部材28の係合部73と、駆動軸101の本体駆動力伝達面101bとの回転方向における位置関係は一義的に決まるわけでは無いので、様々な位置関係が想定される。
この状態において、準備正回転として、制御部300によりモータ(不図示)を動作し、駆動軸101を角度α正回転(図16(a)矢印150方向)させる。角度αは、少なくとも1箇所の係合部73と駆動力伝達面101bとが係合できるだけの角度に設定されている。
ここで、複数の係合部先端73kの配置及び複数の駆動力伝達面の先端101kの配置は、それぞれθ1=θ2=360/N[度]で周方向に等間隔で配置されるように設計されている。Nは係合部73の数、駆動力伝達面101bの数である(本実施形態ではN=3)。しかし、金型精度や成形収縮、加工精度等の製造上のばらつきにより、上記θ1、θ2は若干の誤差が生じる。
このため、上述のように準備正回転として、角度α回転させても、図16(a)のような状態となる。即ち、一部の係合部73である係合部73aが軸部101fに乗り上げ、一部の駆動力伝達面101bである駆動力伝達面101b1と係合せず、残りの係合部73と残りの駆動力伝達面101bとが係合した状態となる場合がある。この乗り上げている状態の係合部73aを第1非係合係合部73a、第1非係合係合部73aに対応する駆動力伝達面101b1を第2非係合係合部101b1と称す。そして、このように第1非係合係合部73a及び第2非係合係合部101b1が存在し、残りの係合部73と駆動力伝達面101bが係合している状態を部分係合状態と称す。この部分係合状態から更に駆動軸101を正回転しても、一部の係合部73が駆動力伝達面101bと係合しているので、駆動力が伝達されてカップリング部材28も正回転する。このため、いくら正回転しても(角度αをいくら大きくしても)軸部101fに乗り上げている一部の係合部73が駆動力伝達面101bと係合せず、部分係合状態が維持されてしまう可能性がある。
しかし、このような部分係合状態で正回転を行うとカップリング部材28の回転精度が悪いため、部分係合状態で画像形成を行うと画像不良が発生する虞がある。また、部分係合状態での正回転は、一部の係合部73、駆動力伝達面101bに集中して力がかかるため、カップリング部材28や駆動軸101が破損する虞もある。
そこで、本実施形態では、制御部300は、駆動軸101を角度α正回転させた後に、角度β逆回転させる制御を行う。
次に、制御部300にてモータ(不図示)を動作し、駆動軸101を角度β逆回転(図16(b)矢印140方向)させる。角度βは、軸部101fに乗り上げている係合部73が駆動力伝達溝101aに進入できるだけの角度に設定されている。ここで、駆動軸101を角度α正回転した後で、いずれの駆動力伝達面101bと係合していない係合部73を非係合係合部(図16では係合部73a)、いずれの係合部73とも係合していない駆動力伝達面101bを非係合駆動伝達面とそれぞれ称する。すると、角度βは、駆動軸101の逆回転方向(矢印140方向)に関して、非係合係合部73aよりも上流側にある非係合駆動力伝達面101b1が、その非係合係合部73aよりも下流側に移動できるだけの角度に設定されている。
従って、準備逆回転を行うことで、軸部101fに乗り上げている係合部73があったとしても、本体駆動力伝達溝101aに進入させ、図16(b)のように係合部73と本体駆動力伝達面101bとの間に隙間Gをもたせた状態とすることができる。その為、画像形成等を行う為に、次に正回転動作(図16矢印150方向)を行うと、図16(c)に示すように、全ての係合部73と本体駆動力伝達面101bとを係合させることができる。
ここで、準備正回転の回転角度αおよび、準備逆回転の回転角度βの設定について、詳細に説明する。回転軸線中心Pを中心とする周方向において、3つの係合部73の先端73kのそれぞれは360度を3等分した設計値θ1(=120度)毎に配置されるよう設計されている。係合部73の数をN(Nは自然数)とすると、θ1=360/N[°]と表される。
一方、金型精度や成形収縮、加工精度等、製造上のばらつきにより、実際には係合部73の先端73kの周方向の配置間隔は若干のズレが生じる。つまり、図14(a)に示すように、係合部73の先端73kの周方向の配置間隔はθ1a、θ1b、θ1c(≒θ1)となる。ここで、許容される公差の範囲内におけるθ1a、θ1b、θ1cの最大値θ1maxと設計値θ1との差分をΔθ1とする。
同様に、回転軸線中心Pを中心とする周方向において、3つの駆動力伝達面101bの境界位置(先端)101kのそれぞれは360度を3等分した設計値θ2(=120度)毎に配置されるよう設計されている。先端101kの数をN(Nは自然数)とすると、θ2=360/N[°]と表される。しかしながら、金型精度や成形収縮、加工精度等、製造上のばらつきにより、実際には先端101kの周方向の配置間隔は若干のズレが生じる。つまり、図14(b)に示すように、先端101kの周方向の配置間隔はθ2a、θ2b、θ2c(≒θ2)となる。ここで、許容される公差の範囲内におけるθ2a、θ2b、θ2cの最大値θ2maxと設計値θ2との差分をΔθ2とする。
まず、回転角度αについて図15を用いて説明する。図15は、駆動軸101とカップリング部材28をZ方向に直交する断面(XY断面)切断した部分断面図である。図15において実線で記載した係合部73は、先端部73kが回転位相P1にある、ぎりぎり駆動力伝達面101b1と係合していない状態を示している。この状態から駆動軸101を360/N[°]正回転させた際、駆動軸101から見ると係合部73はR1方向に回転する。すると係合部73は破線で記載した状態となり、先端部73kが回転位相P2へと移動する。この時、回転位相P2と回転位相P1間の角度は360/N[°]よりも小さくなる。つまり、回転位相P1から360/N[°]移動した仮の位相PfよりもR1方向上流側にある。これは、係合部73が変形して駆動軸101の回転中心Pの半径方向に移動する際、先端部73kは周方向にも移動するからである。このため、駆動軸101を360/N[°]正回転させた状態では、図15に示すように、先端部73kと駆動力伝達面101b2との間には隙間Gが存在する。先端部73kが駆動力伝達面101b2に接触するためには、(Δθ1+Δθ2+θ3)[°]だけさらに駆動軸101を正回転させる必要がある。
角度θ3は、角度θ3a[°]と角度θ3b[°]によって決まる。角度θ3a[°]は、係合部73が変形して駆動軸101の回転中心Pの半径方向に移動する際に先端部73kが基部74の根元に対して相対的に周方向に移動する移動量(移動角度)である。係合部73が変形して駆動軸101の回転中心Pの半径方向に移動する際に先端部73kが周方向に移動しないような構成であれば移動量は0°である。先端部73kが基部74の根元に対して相対的に図15のR1方向に関して上流側に移動する場合(周方向で駆動力伝達面101b2から遠ざかる方向に移動する場合)の移動量は正の値である。
角度θ3b[°]は、駆動力伝達面101bの半径方向に対する角度に依存する面角度補正値θ3b[°]によって決まる値である。駆動力伝達面101bの半径方向に対する角度が0°であれば面角度補正値θ3bは0°である。駆動力伝達面101bが径方向で中心Pに向かってR1方向下流側に向かうように傾斜していれば正の値である。
このように、先端部73kが回転位相P1にあり、ぎりぎり駆動力伝達面101b1と係合していない状態から、駆動軸101を、(360/N+Δθ1+Δθ2+θ3)[°]正回転すると先端部73kを駆動力伝達面101b2に接触させることができる。従って、回転角度αは次の式1に示すように設定される。
α[°]≧(360/N+Δθ1+Δθ2+θ3)[°]・・・式1
なお、製造上の誤差が十分に無視できる場合はΔθ1及びΔθ2は考慮する必要は無く、θ3a≦0[°]、及びθ3b≦0[°]となる状況ではθ3は考慮する必要が無い。従って、このような場合には、回転角度αは以下の式2のように設定すれば良い。
α[°]≧360/N[°]・・・式2
次に、回転角度βについて図17を用いて説明する。図17はフランジ部材70および駆動軸101それぞれをZ方向に直交する断面(XY断面)で切断した断面図である。図17において実線で記載した状態は、係合部73bが駆動力伝達面101b2に係合し、係合部73aが駆動力伝達面101b1に係合していない状態を示している。この時に先端部73kaが回転位相P4は、先端部73kbが回転位相P5からR2方向に360/N[°]回転した位置よりもθB[°]だけR2方向上流側にある。θB[°]は、θB=Δθ1+Δθ2+Δθ3aで表される。ここから駆動軸101を逆回転させると係合部73はR2方向へ回転する。先端部73kaを駆動力伝達面101b1よりもR2方向下流側に移動させるためには、最低でも角度βmin[°]だけR2方向に回転させる。βmin[°]は以下の式3のように表せる。
βmin[°]=(Δθ1+Δθ2+θ3a+θ3b)[°]
=(Δθ1+Δθ2+θ3)[°]・・・式3
βmin[°]は、駆動軸101の逆回転方向(矢印140方向)に関して、非係合係合部73aよりも上流側にある非係合駆動力伝達面101b1が、その非係合係合部73aよりも下流側に移動できるだけの角度である。
更に、回転角度βの上限βmax[°]は、先端部73ka駆動力伝達面101b3よりもR2方向下流側に到達しない範囲まで設定可能である。即ち、βmax[°]は、以下の式4に示すように設定される。
βmax[°]=βmin+360/N[°]・・・式4
従って、回転角度βが下記の式5、6のように設定される。
βmin[°]<β[°]<βmax[°]・・・式5
(Δθ1+Δθ2+θ3)[°]<β[°]<(Δθ1+Δθ2+θ3+360/N)[°]・・・式6
なお、製造上の誤差が十分に無視できる場合はΔθ1及びΔθ2は考慮する必要は無く、θ3a≦0[°]、及びθ3b≦0[°]となる状況ではθ3は考慮する必要が無い。従って、このような場合には、回転角度βは以下の式7のように設定すれば良い。
0°<β[°]<360/N[°]・・・式7
また、図16(b)に示すように、回転角度βを、カップリング部材28の係合部73が駆動軸101の本体駆動力伝達溝101aに収まる範囲内に設定することも可能である。この条件を満たすことで、駆動軸101を逆回転した際にカップリング部材28へ駆動が伝達されない為、本体駆動軸逆回転時にドラムユニット1の回転を伴わない。また、カップリング部材28の係合部73が駆動軸101に接触しない為、破損のリスクを低減できる。
回転角度βを、カップリング部材28の係合部73が駆動軸101の本体駆動力伝達溝101aに収まる範囲内で設定する構成について図18を用いて説明する。図18はフランジ部材70および駆動軸101それぞれをZ方向に直交する断面(XY断面)で切断した断面図である。本体駆動力伝達溝101a、係合部73aの周方向の幅をそれぞれθ4[°]θ5[°]とすると、回転角度βの最大値βmaxは下記の式8ように設定すれば良い。
βmax[°]=(βmin+θ4−θ5)[°]・・・式8
上述したように、βmin[°]=0°である場合は回転角度βは以下の式9ように設定される。
0°<β[°]<(θ4−θ5)[°](ただし、θ4>θ5、(θ4−θ5)<(360/N))・・・式9
ここで、準備正回転時の回転速度を、通常の画像形成時(記録材に画像形成を行う際)の回転速度よりも遅く設定する。本体駆動力伝達面101bと係合部73との係合時の速度を遅くすることで、それらの部品に与えるダメージを小さくすることができる。
また、準備逆回転時の回転速度を、通常の画像形成時(記録材に画像形成を行う際)の回転速度よりも遅く設定する。駆動軸101の逆回転時の回転速度を遅くすることで、動作が安定し、所望の回転角度を得やすくなる。
[準備動作を行うタイミング]
次に、準備動作を行うタイミングについて、詳細に説明する。
前述したように、画像形成装置本体100Aには、カートリッジ7を着脱する為の開口120を開閉可能なカートリッジドア(開閉部材)104が設けられている(図10参照)。また、画像形成装置本体100Aには、カートリッジドア104の開閉状態を検知する検知部400が設けられている。ユーザがカートリッジ7を画像形成装置本体100Aに装着する際は、カートリッジドア104を開閉する必要がある。
そこで、カートリッジドア104が開状態(開位置)から閉状態(閉位置)となったことを検知部400により検知したことに基づいて、制御部300は前述した準備動作(駆動軸101の準備正回転および準備逆回転動作)を実行するようモータを制御する。このため、ユーザがカートリッジ7を画像形成装置本体100Aに装着した場合、カートリッジドア104を閉状態となった後で全ての係合部73と本体駆動力伝達面101bとを係合させることができる。
しかし、検知部400は画像形成装置本体100Aに通電されている状態(所謂本体電源がオンの状態)でしか機能しない。つまり、画像形成装置本体100Aに通電されていない状態(所謂本体電源がオフの状態)においては、検知部400によってカートリッジドア104の開閉状態の検知を行うことができない。その為、本体電源がオフからオンの状態になった際に、制御部300は、本体電源がオフからオンの状態になったことを検知する。そして、この検知基づき、初期動作として前述した準備動作(駆動軸101の準備正回転および準備逆回転動作)を実行するようモータを制御する。このため、本体電源がオフの間にユーザがカートリッジ7を画像形成装置本体100Aに装着した場合でも、本体電源がオンになった後で全ての係合部73と本体駆動力伝達面101bとを係合させることができる。
このように、準備正回転および準備逆回転動作を行うタイミングを限定することで、画像形成前に毎回準備動作を行わなくても、全ての係合部73と本体駆動力伝達面101bとが係合した状態で画像形成を行うことができる。つまり、画像形成前に毎回準備動作を行う構成と比べて、準備動作を行う回数を減らして、準備動作を行う為のダウンタイムの増加を抑制ことができる。
本実施例によれば、駆動力伝達部材と駆動力受け部材とを確実に係合させて、回転精度の低下や、駆動力伝達部材や駆動力受け部材の破損を抑制することができる。
<変形例>
上述した実施例では、駆動軸101は、カップリング部材28を介して感光体ドラム1を回転させるための駆動力に伝達する構成であったが、現像ローラ17や帯電ローラ2を回転させる駆動力を伝達しても良い。
上述した実施例では、画像形成装置本体100Aに駆動軸101、プロセスカートリッジ7にカップリング部材28を設けたが、画像形成装置本体100Aにカップリング部材28、プロセスカートリッジ7に駆動軸101を設けても良い。
<実施例2>
次に、実施例2について図19から図27を用いて説明する。本実施例の画像形成装置200は、感光体ドラム1と現像ローラ217を、装置本体200Aに設けられた別の駆動軸でそれぞれ駆動する点が異なる。本実施例では、このような構成における、カートリッジ装着後の準備動作について説明する。
以下の説明において、実施例1と同様の部分については、同じ名称を付し、説明は省略する。
[電子写真画像形成装置の概略]
先ず、本実施例に係る電子写真画像形成装置(画像形成装置)の全体構成について、図19を用いて説明する。
図19は、本実施例の画像形成装置200の概略断面図である。
図19に示すように、画像形成装置200は複数の画像形成部としてそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1から第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、略水平方向に一列に並んで配置されている。
なお、本実施例では、ドラムカートリッジ(第1カートリッジ)213(213Y,213M,213C,213K)と現像カートリッジ(第2カートリッジ)204(204Y,204M,204C,204K)の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
本実施例では、画像形成装置200は、複数の像担持体として、鉛直方向に対して少し傾斜した方向に並設された4個の感光層を有するシリンダ(以下、感光体ドラム)1を有する。ドラムカートリッジ213及び現像カートリッジ204の重力方向下方にスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。また、感光体ドラム1の周囲にはその感光層上へと作用するプロセス手段としての帯電ローラ2等が配置されている。
帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する帯電手段(帯電装置、帯電部材)である。そして、スキャナユニット(露光装置)3は、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段(露光装置、露光部材)である。感光体ドラム1の周囲には、クリーニング手段(クリーニング装置、クリーニング部材)としてのクリーニングブレード6及び現像カートリッジ204が配置されている。
各ドラムカートリッジ213及び各現像カートリッジ204は、独立して装置本体200Aに対して装着可能及び取り外し可能である。つまり、装置本体200Aにドラムカートリッジ213のいずれか又は全てが装着されている状況で、現像カートリッジ204のいずれか又は全てを装置本体200Aに着脱可能である。また、装置本体200Aに現像カートリッジ204のいずれか又は全てが装着されている状況で、ドラムカートリッジ213のいずれか又は全てを装置本体200Aに着脱可能である。
更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材(シート、記録媒体)12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
本実施例の現像カートリッジ204は、現像剤として非磁性一成分現像剤(以下、トナー)を用い、現像剤担持体としての現像ローラ217を感光体ドラム1に対して接触させた接触現像方式を採用している。
上述の構成において、感光体ドラム1上に形成されたトナー像をシート(紙)12上へ転写し、シート上に転写されたトナー像を定着する。また、感光体ドラム1に作用するプロセス手段として、ドラムカートリッジ213は感光体ドラム1を帯電する帯電ローラ2と、感光体ドラム1上に転写されずに残留したトナーを清掃するクリーニングブレード6と、を備える。シート12上に転写されずに感光体ドラム1上に残留した転写残トナーは、クリーニングブレード6によって回収される。また、クリーニングブレード6によって回収された転写残トナーは、開口214bより除去現像剤収容部(以下廃トナー収容部と称す)214aに収容される。廃トナー収容部214aとクリーニングブレード6は一体化されドラムカートリッジ213を構成している。
また、装置本体200Aは装着ガイド、位置決め部材(不図示)などのガイド(位置決め手段)を備える。現像カートリッジ204とドラムカートリッジ213は前述のガイドによってガイドされ、装置本体200Aに対して着脱可能に構成されている。
各色用の現像カートリッジ204内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
中間転写ベルト5は、各ドラムカートリッジ213が備える感光体ドラム1に当接して、図19中の矢印B方向に向かって回転(移動)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材(駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53)に掛け渡されている。中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。
次に画像形成方法について図19を用いて説明する。先ず、帯電ローラ2に画像形成本体内の不図示の帯電バイアス用電源からバイアスを印加することにより、感光体ドラム1の表面が一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光される。これにより、感光体ドラム1上に画像情報に対応した静電潜像が形成される。感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像カートリッジ204によってトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、4個のドラムカートリッジ213(213Y,213M,213C,213K)と現像カートリッジ204(204Y,204M,204C,204K)において順次に行われる。そして、各ドラムカートリッジ213の感光体ドラム1上に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト5上に重ね合わさるように順次に一次転写される。その後、中間転写ベルト5の移動と同期して記録材12が二次転写部へと搬送される。そして、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9によって形成された二次転写部へ搬送された記録材12上に中間転写ベルト5上の4色トナー像が一括して転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニングブレード6によって除去され、廃トナーとして回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって除去される。
なお、画像形成装置200は、所望の単独またはいくつか(全てではない)の画像形成部を用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
[ドラムカートリッジおよび現像カートリッジの概略構成]
図19に示される装置本体200Aに装着されるドラムカートリッジ213(213Y,213M,213C,213K)と現像カートリッジ204(204Y,204M,204C,204K)の概略構成について図20〜24を用いて説明する。図19は画像形成装置200の概略断面図である。図20は、ドラムカートリッジ213の外観斜視図である。図21はドラムカートリッジ213の断面図である。図22は現像カートリッジ204の外観斜視図である。図23は現像カートリッジ204の断面図である。図24は現像カートリッジ204の駆動構成を示す断面図であり、その断面は現像ローラ217の軸線に平行である。
なお、ドラムカートリッジ213Y、ドラムカートリッジ213M、ドラムカートリッジ213C及びドラムカートリッジ213Kは同一構成である。また、現像カートリッジ204Y、現像カートリッジ204M、現像カートリッジ204C、現像カートリッジ204Kは収容するトナーの色が違う点を除いて同一構成である。現像カートリッジ204Yはイエロー色のトナー、現像カートリッジ204Mはマゼンタ色のトナー、現像カートリッジ204Cはシアン色のトナー、現像カートリッジ204Kはブラック色のトナーをそれぞれ収納する。従って、以下の説明では、各ドラムカートリッジ213Y、213M、213C、213Kを総称して、ドラムカートリッジ213とし、各現像カートリッジ204Y、204M、204C、204Kを総称して、現像カートリッジ204として説明する。各カートリッジ構成部材についても同様に総称して説明する。
図20は、ドラムカートリッジ213の外観斜視図である。ここで、図20に示すように、感光体ドラム1の回転軸方向をZ方向(矢印Z1、矢印Z2)、図19における水平方向をX方向(矢印X1、矢印X2)、図19における鉛直方向をY方向(矢印Y1、矢印Y2)とする。
感光体ドラム1はその両端をドラムユニット軸受部材239R、239Lによって回転可能に支持されている。第1カップリング部材228aは、感光体ドラム1の駆動側端部にフランジとして取り付けられており、感光体ドラム1と一体的に回転する。ドラムユニット軸受部材239R、239Lが、クリーニング枠体214の両側にそれぞれ取り付けられていて、それぞれ感光体ドラムユニット203を支持している。このことにより、感光体ドラムユニット203はクリーニング枠体214に回転可能に支持されることになる。
また、クリーニング枠体214には帯電ローラ2及び、クリーニングブレード6が取り付けられており、これらは感光体ドラム1の表面と接触するように配置される。また、クリーニング枠体214には、帯電ローラ軸受15が取り付けられている。帯電ローラ軸受15は、帯電ローラ2の軸を支持するための軸受である。
ここで、帯電ローラ軸受15は、図21に示す矢印C方向に移動可能に取り付けられている。帯電ローラ2の回転軸2aは、帯電ローラ軸受15に回転可能に取り付けられている。そして、帯電ローラ軸受15は、付勢手段としての加圧バネ16により感光体ドラム1に向かって付勢される。これにより帯電ローラ2は感光体ドラム1に対し当接し、感光体ドラム1に従動回転する。
クリーニング枠体214には、感光体ドラム1の表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード6が設けられる。クリーニングブレード6は、感光体ドラム1と当接して感光体ドラム1上のトナーを取り除くブレード状ゴム(弾性部材)6aと、それを支持する支持板金6bが一体化されたものである。本実施例においては、支持板金6bはクリーニング枠体214にビスで固定され取り付けられている。
前述の通り、クリーニング枠体214は、クリーニングブレード6によって回収された転写残トナーを、回収するための開口214bを有する。開口214bには、感光体ドラム1と当接し、感光体ドラム1と開口214bとの間をシールする吹き出し防止シート26が設けられており、開口214bの上部方向のトナー漏えいを防止する。
図22は、現像カートリッジ204の外観斜視図である。現像カートリッジ204は、各種要素を支持する現像枠体218を有する。現像カートリッジ204には、感光体ドラム1と接触して図23に示す矢印D方向(反時計方向)に回転する現像剤担持体としての現像ローラ217が設けられている。現像ローラ217は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において、現像軸受219(219R、219L)を介して、回転可能に現像枠体218に支持されている。ここで、現像軸受219(219R、219L)は、現像枠体218の両側部にそれぞれ取り付けられている。
また、現像カートリッジ204は、図23に示すように現像剤収納室(以下、トナー収納室)218aと、現像ローラ217が配設された現像室218bと、を有する。現像室218bには、現像ローラ217に接触して矢印E方向に回転する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ220と現像ローラ217のトナー層を規制するための現像剤規制部材としての現像ブレード21が配置されている。トナー供給ローラ220は両端部を現像枠体218に回転可能に支持されている。第2カップリング部材228aは、トナー供給ローラ220の芯金(軸)の端部に固定されており、トナー供給ローラ220と一体的に回転する。現像ブレード21は、固定部材22に対し溶接等より固定、一体化されている。また、現像枠体218のトナー収納室218aには、収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラ220へトナーを搬送するための撹拌部材23が設けられている。
[本体駆動軸およびカップリング部材の構成]
図28を用いて、装置本体200Aから各カートリッジへ駆動力を伝達するための構成について説明する。図28はドラムカートリッジ213及び現像カートリッジ204が装着されていない装置本体200Aの概略断面図である。装置本体200Aは、各ドラムカートリッジ213の第1カップリング部材(第1駆動力受け部材)228aと係合する4つの第1駆動軸(第1駆動力伝達部材)201aを備える。また装置本体200Aは、各現像カートリッジ204の第2カップリング部材(第2駆動力受け部材)228bと係合する4つの第2駆動軸(第2駆動力伝達部材)201bを備える。第1駆動軸201aと第2駆動軸201bは、それぞれ実施例1の駆動軸101と同様の構成である。つまり駆動力伝達面はそれぞれ3つである。また、第1カップリング部材228aと第2カップリング部材228bはそれぞれ実施例1のカップリング部材28と同様である。つまり第1カップリング部材228aの係合部の数をN1、第2カップリング部材228bの係合部の数をN2とすると、N1=3、N2=3である。
第1駆動軸201aと第2駆動軸201bは、不図示の第1モータ、第2モータによってそれぞれ駆動され、制御部2300により第1モータ、第2モータを制御することで、第1駆動軸201aと第2駆動軸201bの回転をそれぞれ制御する。
[現像ローラの駆動]
図24に示すように、第2カップリング部材228bが第2駆動軸201bに係合した状態では、第2駆動軸201bが回転すると駆動力が伝達されて第2カップリング部材228bが回転する。第2カップリング部材228bからトナー供給ローラ220の軸に駆動力が伝達されることでトナー供給ローラ220が回転する。トナー供給ローラ220が回転することで、トナー供給ローラ220の軸のZ1方向側の端部に固定されたトナー供給ローラギア298が回転する。これにより、トナー供給ローラギア298に噛み合う現像ローラ217の軸のZ1方向側の端部に固定された現像ローラギア299に駆動力が伝達され、現像ローラ217が回転する。
[ドラムカートリッジと現像カートリッジの装着過程]
ドラムカートリッジ204と現像カートリッジ213のぞれぞれの装置本体200Aへの装着過程は、実施例1のカートリッジ7の装置本体100Aへの装着過程と同様である。
[ドラムと現像ローラの当接離間機構]
図25は画像形成装置本体内で位置決めされた状態での現像カートリッジ204とドラムカートリッジ213の断面図である。感光体ドラム1と現像ローラ217は離間された状態になっている。この状態から本実施例の画像形成装置では、現像ローラ217は感光ドラム1と接触した状態へと移行可能な構成になっている。
具体的には、装置本体200Aに設けられたカム231を回転制御して、現像枠体218を押圧し、現像枠体218は回転中心232を中心に回転させる。図25のような現像ローラ217が感光体ドラム1から離間した離間状態にするには、カム231を図25時計方向に回転させて現像枠体218の底部を右方向に付勢し、この状態で保持する。また、図26のような現像ローラ217が感光体ドラム1に当接した当接状態にするには、カム231を図26の反時計方向に回転させて現像枠体218の底部を左方向に付勢し、この状態で保持する。このカム231の回転制御は制御部2300によって制御されている。
画像形成装置200は、当接状態にある時のみ、第2駆動軸201bを回転させることができる構成となっており、離間状態にある時は、第2駆動軸201bを回転させることができない構成となっている。この構成により、現像ローラ217及びトナー供給ローラ220は当接状態でのみ回転し、離間状態では回転しない。このため、現像ローラ217及びトナー供給ローラ220の回転時間をできるだけ短くでき、現像ローラ217、トナー供給ローラ220、及び現像枠体218内に収容されたトナーの耐久劣化を抑えることができる。
[準備動作]
図27を用いてカートリッジ装着後の準備動作について説明する。準備動作としては、第1駆動軸201aを準備正回転と準備逆回転させて第1カップリング部材228aと係合させる動作と、第2駆動軸201bを準備正回転と準備逆回転させて第2カップリング部材228bと係合させる動作を実行する。ここで、上述したように、第2駆動軸201bは当接状態にある時のみ回転する構成であるので、準備正回転を行う際は、現像ローラ217が感光体ドラム1と当接している。しかし、この時の感光体ドラム1の電位によっては、現像ローラ217の表面に担持されたトナーが感光体ドラム1に付着する(かぶり)。感光体ドラム1に付着したトナーは、中間転写ベルト5に転写され二次転写ローラ9へ付着し、二次転写部へ搬送された記録材12の裏面に転写されると、記録材12が汚れてしまう。そこで本実施例では、現像ローラ217の表面に担持されたトナーが感光体ドラム1に付着することを抑制した準備動作を行う。準備動作は各期間T1〜T8に分けて説明する。
期間T1は、第1駆動軸201aを準備正回転しつつ、現像ローラ217が感光体ドラム1に当接した場合でも、トナーかぶりが発生させないようにする期間である。制御部2300は、帯電ローラ2へ電圧(帯電バイアス)の印加を制御する。具体的には、第1駆動軸201aを角度γ正回転させつつ、帯電ローラ2へ約−1000Vの電圧(帯電バイアス)を印加する。これによって、感光体ドラム1の表面の帯電ローラ2と接触する領域は約−450Vに帯電される。本実施例ではγ[°]=223°と設定している。角度γは、感光体ドラム1表面の帯電ローラ2に帯電された領域が、少なくとも現像ローラ217と当接する位置に到達する角度とした。第1駆動軸201aの駆動力伝達面と第1カップリング部材228aの3つの係合部うち、少なくとも1つが第1駆動軸201aと係合するまでの角度を120°(=360/N1[°])。また感光体ドラム1の所定点が帯電ローラ2に接触する位置から現像ローラ217に接触する位置までの感光体ドラム1の回転角θ6が102°である。従って、γ[°]は次の式10で表される。
γ[°]≧(360/N1+θ6)[°]=120°+102°=222°・・・式10
よって期間T1では、第1駆動軸201aを角度γ回転させ、確実に感光体ドラム1を102°以上回転させることができる。なお、γ[°]は、第1カップリング部材228aの係合部うち、少なくとも1つを第1駆動軸201aと係合させる角度であるので、実施例1のα(α1)[°]にも相当する。またこの期間T1では感光体ドラム1が、1つの係合部のみで係合して回転されている可能性があるが、短期間であるため問題ない。また、期間T1では、感光体ドラム1と現像ローラ217は離間状態で、ト第2駆動軸201bは停止している。
期間T2は、次の動作までの待機期間である。第1駆動軸201aを停止状態にしている。本実施例では0.1秒間停止状態にしている。このとき、第2駆動軸201bも停止されている。また感光体ドラム1と現像ローラ217は離間状態であり、帯電ローラ2への帯電バイアスは印加されている。
期間T3は、第2カップリング部材228bの3つの係合部のうち、少なくとも1つの係合部を第2駆動軸201bの駆動力伝達面と係合させる期間である。この期間T3では感光体ドラム1と現像ローラ217は当接されており、帯電ローラ2への帯電バイアスは印加されている。また現像ローラ217には約−300Vの電圧(現像バイアス)が印加されている。トナーは負帯電極性を有しており、期間T1で帯電バイアスのより感光体ドラム1の表面の帯電ローラ2と接触した領域は約−450Vに帯電されているので、現像ローラ217から感光体ドラム1へのトナーの付着(かぶり)は抑制されている。つまり第1駆動軸201aと第2駆動軸201bの準備正回転の期間である。この期間T3では、第1駆動軸201aと第2駆動軸201bを同時に回転させる。この理由として、本実施例では第2駆動軸201bを回転させるためには感光体ドラム1と現像ローラ217を当接させる必要がある。仮に感光体ドラム1が停止したまま現像ローラ217が回転するとドラム摺擦メモリや、トナー飛散が発生するおそれがある。
ここで摺擦メモリとは、感光体ドラム1の周方向のある一部分だけが現像ローラ217によって擦られることによって発生する電気メモリ現象のことである。電気メモリ発生部では帯電ローラによる一様な帯電できにくくなるため、ハーフトーン画像上に感光体ドラム1周期の横黒スジが発生する。またトナー飛散とは、感光体ドラム1と現像ローラ217が当接しており、かつ、感光体ドラム1が停止して現像ローラ217のみが回転しているときに発生する現象である。つまり現像ローラ217表面に担持されているトナーが、感光体ドラム1との当接位置前でせき止められて溜まっていき、ついには飛散していく現象である。
これらを防ぐために、第1駆動軸201aと第2駆動軸201bを同時に回転させ、感光体ドラム1と現像ローラ217を同時に回転させる。本実施例では第2駆動軸201bを実施例1のα[°]に相当する143°(α2[°])回転させる。これにより、第2駆動軸201bが120(360/N2)°以上回転するので、第2カップリング部材228bの3つの係合部のうち少なくとも1つは第2駆動軸201bと係合する。また、第1駆動軸201aは第2駆動軸201bを143°回転する時に57°回転する。この回転角度は第1駆動軸201aと第2駆動軸201bのギア比によって決まるものである。
期間T4は、次の動作までの待機期間である。第1駆動軸201a、第2駆動軸201bを停止状態にしている。本実施例では0.1秒間停止状態にしている。また感光体ドラム1と現像ローラ217は当接状態で、帯電ローラ2への帯電バイアスは印加されている。
期間T5は、第1駆動軸201a、第2駆動軸201bを準備逆回転させる期間である。第1駆動軸201a、第2駆動軸201bは同時に逆回転を行う。本実施例では第1駆動軸201aを11°、第2駆動軸201bを33°逆回転させる。この角度は実施例1で説明したように、第1駆動軸201a、第2駆動軸201bや第1カップリング部材228a、第2カップリング部材228bの製造公差を考えて、確実に係合部の乗り上げ状態を解消できる角度であり、β[°]に相当する。つまり、第1駆動軸201aについてはβ(β1)[°]>(360/N1)[°]、第2駆動軸201bについてはβ(β2)[°]>(360/N2)[°]と設定されている。なお期間T5では第1駆動軸201a、第2駆動軸201bは逆回転しているので、それぞれ第1カップリング部材228a、第2カップリング部材228bは係合しておらず、感光体ドラム1および現像ローラ217それぞれ停止した状態である。よって期間T5では摺擦メモリやトナー飛散は生じない。また期間T5では感光体ドラム1と現像ローラ217は当接状態で、帯電ローラ2への帯電バイアスは印加されている。
期間T6は次の動作までの待機期間である。第1駆動軸201a、第2駆動軸201bを停止状態にしている。本実施例では0.5秒間停止状態にしている。期間T2、T4の待機時間より多くしているのは、期間T5での逆回転動作が正回転動作からの停止よりも安定しにくいため、確実に停止させるための時間をとっている。また期間T6では感光体ドラム1と現像ローラ217は当接状態で、帯電ローラ2への帯電バイアスは印加されている。
期間T7は、第1カップリング部材228a、第2カップリング部材228bすべての係合部を第1駆動軸201a、第2駆動軸201bと係合させる期間である。よって期間T5で逆回転させた角度以上回転させる必要がある。また期間T3と同様に感光体ドラム1が停止したまま現像ローラ217を回転させないように、第1駆動軸201a、第2駆動軸201bを同時に回転させる必要がある。本実施例では第1駆動軸201aを13°、第2駆動軸201bを43°正回転させる。また期間T7では感光体ドラム1と現像ローラ217は当接状態で、帯電ローラ2への帯電バイアスは印加されている。
期間T8は準備動作の最後の期間である。第1駆動軸201a、第2駆動軸201bを停止状態にしている。また感光体ドラム1と現像ローラ217は離間状態にさせる動作を行う。本実施例では期間T8に0.5秒間とっている。帯電ローラ2への帯電バイアスは印加されている。
以上の期間T1〜T8で構成される準備動作によれば、現像ローラ217の表面に担持されたトナーの感光体ドラム1への付着を抑制しつつ、第1駆動軸201aと第1カップリング部材228a、及び、第2駆動軸201bと第2カップリング部材228bを確実に係合させることができる。
また準備動作時に、感光体ドラム1が停止したまま現像ローラ217が回転することがなくなるので、ドラム摺擦メモリやトナー飛散による画像不良を防ぐことができる。
なお、本実施例で本体駆動軸を回転する速度は、実施例1と同様に画像形成時の1/3の速度で行っているが、これに限るものではない。駆動モータの性能により、駆動動作がより安定する速度が別にあるならばその速度で行ってもよい。また感光体ドラム1とトナー供給ローラ220の回転速度比は画像形成時と同じ比率で行っているが、これに限るものではない。例えば現像カートリッジ204の耐久消耗を防ぐためにトナー供給ローラ220の速度を画像形成時よりも落としてもよい。
また本実施例では期間T2、T4、T6、T8に一旦停止期間を設けたが、指定した時間は本実施例に限るものではない。第1、第2駆動軸201a、201bの動作に合わせて適時時間を変更してもよいし、これらを設けず連続的に第1、第2駆動軸201a、201bを動作させてもよい。
また、本実施例で帯電バイアスの印加を期間T1〜T8まで行ったがこれに限るものではなく、トナーかぶり現象が発生しない範囲で帯電バイアス印加をやめてもよい。例えば感光体ドラム1やトナー供給ローラ220が停止している期間T2、T4、T5、T6、T8では、帯電バイアスの印加をやめてもよい。さらに期間T7で回転させる角度が、感光体ドラム1上の帯電ローラ位置から現像ローラ217位置までの角度以内ならば、期間T7で帯電バイアスの印加をやめてもよい。また期間T1からT3の途中まで帯電バイアス印加し、期間T3の途中から帯電バイアスの印加をやめてもよい。このとき期間T3で帯電バイアス印加をやめるタイミングは以下のようにすればよい。つまり期間T1〜T3で帯電バイアスを印加しながら感光体ドラム1が最低限回転する角度が、その後の期間T3〜T8で感光体ドラム1が回転する角度よりも大きくすればよい。
また、感光体ドラム1の第1駆動軸201aと第1カップリング部材の形状は実施例1と同様の構成に限るものではない。その他のカップリング形状を用いた場合であっても、本実施例の準備動作を行うことで、感光体ドラム1へのトナーかぶりや、ドラム摺擦メモリ、および、トナー飛散を抑制することができる。
また、本実施例ではトナー供給ローラ220を介して現像ローラ217へ駆動力が伝達される構成であったが、これに限るものではない。現像ローラ217や撹拌部材23やその他のギアに第2カップリング部材228bが固定された構成であってもよい。
また、本実施例では、ドラムカートリッジ213と現像カートリッジ204が独立して装置本体200Aに着脱可能な構成を説明した。しかし、本実施例の制御はこれに限られず、カートリッジの構成としては実施例1のように1つのプロセスカートリッジ7に第1カップリング部材228a、第2カップリング部材228bを有する構成にも適用可能である。