次に本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1には本発明の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内に画像形成部14と、画像形成部14に転写材として用いられるシートを供給するシート供給置54と、電源ユニット16と、制御手段として用いられる制御部200とが配設されている。また、画像形成装置本体12の上部に画像形成がなされたシートが排出されるシート排出部15が設けられている。
画像形成部14は、カラー画像を形成する電子写真方式のもので、イエローの現像剤を用いてイエロー画像を形成する画像形成部18Yと、マゼンダの現像剤を用いてマゼンダ画像を形成する画像形成部18Mと、シアンの現像剤を用いてシアン画像を形成する画像形成部18Cと、ブラックの現像剤を用いてブラック画像を形成する画像形成部18Bとを有している。これらの画像形成部は、後述する搬送ベルト46に沿って、シート搬送方向上流である重力方向下方から順に、画像形成部18Y、画像形成部18M、画像形成部18C、画像形成部18Bの順に配置されている。
各画像形成部18は、像担持体として用いられるドラム形状の感光体22をそれぞれが有する。これらの感光体22のうち、画像形成部18Bが有する感光体22Bは、第1の像担持体として用いられ、画像形成部18Yが有する感光体22Y、画像形成部18Mが有する感光体22M、及び画像形成部18Cが有する感光体22Cは、第2の像担持体として用いられる。
画像形成部18Y、18M、18C、18Bは、形成する画像の色が異なるものの同じ構成であるので、以下、特に番号にY、M、C、Bを付して説明する場合を除き、画像形成部18として構成を説明する。画像形成部18は、感光体22を一様に帯電する帯電ロールを備え、帯電手段として用いられる帯電装置24と、照射手段として用いられ、感光体22に光を照射して潜像を書き込む光書き込み装置26と、感光体22に書き込まれた潜像を現像剤で現像し、可視像として用いられるトナー像を形成する現像装置28と、転写手段として用いられ、感光体に形成されたトナー像をシートに転写する転写装置50と、転写装置による転写がなされた後に、感光体22の表面に残留したトナー像を除去するクリーニング装置30とをそれぞれが有している。光書き込み装置26はレーザー露光装置からなり、レーザー光を発し各感光体22にそれぞれ静電潜像を書き込むようになっている。
画像形成部18が有する部材のうち感光体22、帯電装置24、現像装置28及びクリーニング装置30は、交換ユニットとして用いられるプロセスカートリッジ32として一体型され、画像形成装置本体12に着脱自在に装着される。また、このプロセスカートリッジ32には、現像装置28に供給される現像剤(トナー)を収容するトナーカートリッジ34と、クリーニング装置30により除去された現像剤(トナー)を回収する排トナーボトル36とが、プロセスカートリッジ32と一体に又は着脱自在に設けられている。
転写装置50Y、50M、50C、50Bは、他の部材と共に転写ユニット42として一体化され、画像形成装置本体12から着脱することができるようになっている。転写ユニット42は、転写装置50Y、50M、50C、50Bと併せて、2つの支持ロール44a、44bと、搬送ベルト46と、吸着ロール48と、クリーニング装置45とを有している。搬送ベルト46は、搬送部材として用いられ、支持ロール44a、44bよって回動自在に支持されている。支持ロール44a、44bのいずれかは駆動ロールとして用いられ、例えばモータ等の駆動源(不図示)に連結されていて、駆動源からの駆動を受けて回転駆動し搬送ベルト46を回動させる。吸着ロール48は、シートを搬送ベルト46に電荷的に吸着させる静電吸着手段として用いられている。クリーニング装置45は、搬送ベルト46の表面に付着したトナーを除去する除去手段として用いられ、例えばクリーニングブレード等からなる掻き落とし部材47で、搬送ベルト46の表面からトナーを掻き落とす。
搬送ベルト46は、吸着ロール48からの電荷注入を受けて帯電し、シートを静電的に吸着した状態で搬送する。吸着ロール48には、電源ユニット16により電圧の印加がなされる。搬送ベルト46がシートを良好に搬送するものであれば、吸着ロール48による搬送ベルト46への電荷注入は必ずしも行う必要はない。
搬送ベルト46により搬送中のシートに、感光体22Y、22M、22C、22Bに形成されたトナー像が、ぞれぞれの転写装置50Y、50M、50C、50Bによって転写され、シートにイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ねられたフルカラーのトナー像が形成される。また 搬送ベルト46により搬送中のシートに、22Bに形成されたトナー像だけを転写することにより、ブラック単色の画像が形成される。このように、画像形成装置10は、フルカラーの画像とブラック単色の画像とを選択して形成することができるように構成されている。
また、画像形成装置本体12内の上部には、シートに転写されたトナー像をシートへと定着する定着装置52が設けられている。定着装置52は、加熱ロール52aと加圧ロール52bとからなり、加熱ロール52aと加圧ロール52bとの間を通過するシートを過熱し加圧することで、シートにトナー像を定着するようになっている。
また、画像形成装置本体12内には、シート供給装置54から供給されたシートをシート排出部15まで搬送する搬送路60が設けられていて、この搬送路60に沿って、シート搬送方向上流側から順に、レジストロール対62、転写ユニット42、定着装置52及び排出ロール40が配置されている。排出ロール40は、定着装置52から搬送されたシートをシート排出部15へと排出する。
図2には、プロセスカートリッジ32が示されている。プロセスカートリッジ32は、プロセスカートリッジ筺体33を有し、プロセスカートリッジ筺体33内に、先述の感光体22、帯電装置24、現像装置28及びクリーニング装置30が配設されている。プロセスカートリッジ32には、トナー貯蔵部34a、34bが設けられトナーが保持されている。トナー貯蔵部34aに保持されているトナーは、攪拌搬送アジテータ82a、82bにより攪拌搬送され、図示しないトナー経路を通ってトナー貯蔵部34aから34bに順次供給される。トナー貯蔵部34bに保持されているトナーは、攪拌搬送アジテータ82c、82dにより攪拌搬送され、開口32bを介してトナー供給オーガー35aに供給される。トナー供給オーガー35aは、トナー供給時には図示しない駆動系より駆動を受けて回転し、トナーを図の奥行き方向に搬送することで、開口32cを介して、現像剤保持部82に供給させる。現像剤保持部82に供給されたトナーは、予め保持していた少なくともトナーとキャリアからなる現像剤と共に攪拌搬送オーガー35b、35cにより現像剤保持部内にて循環搬送されながら現像剤の中に取り込まれる。該現像剤は現像ロール77の内部に固定的に設けられた磁石の磁力により現像ロール77の表面に保持され、現像ロール77の表面に回転自在に設けられた円筒状のスリーブの回転により、感光体22との間隙部に搬送され、潜像をトナーにより可視像化する現像に供される。
図3には、現像ロール77Y、77M、77C、77Bの構成が模式的に示されている。各現像ロール77は、軸78と、軸78に固定された本体部79とをそれぞれが有し、軸78がプロセスカートリッジ筺体33(図2参照)に回動自在に支持されている。軸78の一端部には、例えばギア等からなる駆動伝達部材80が装着されている。駆動伝達部材80のうち、ブラック画像形成用の現像ロール77Bに装着された駆動伝達部材80Bには、例えばギア等からなる駆動伝達部材81Bを介して、例えばモータ等からなる駆動源98が連結されている。よって、駆動源98からの駆動が駆動伝達部材81B、駆動伝達部材80Bを介して軸78Bへと伝達され、駆動伝達を受けた現像ロール77Bが回転する。
駆動伝達部材80のうち、駆動伝達部材80Y、80M、80Cには、例えばギア等からなる駆動伝達部材81Y、81M、81Cを介して、例えばモータ等からなる駆動源100が連結されている。よって、駆動源100からの駆動が駆動伝達部材81Y、駆動伝達部材80Yを介して軸78Yへと伝達され、駆動伝達を受けた現像ロール77Yが回転する。また、同様に、駆動源100からの駆動伝達を受けて現像ロール77M、77Cもそれぞれ回転する。このように、画像形成装置10では、現像ロール77Bと、現像ロール77Y、77M、77Cとは、それぞれ別の駆動源98、100によって駆動されるように構成されている。
本体部79の両端部には、保持部材として用いられるトラッキングロール83、83がそれぞれ取り付けられている。トラッキングロール83、83は円筒形状からなり、現像ロール77と同軸上に支持されていて、外径が現像ロール77の本体部79の外径よりも大きく定めされている。よって、トラッキングロール83、83が感光体22に圧接されるように現像ロール77を位置決めすることで、現像ロール77と感光体22との間隔が略一定に保持される。トラッキングロール83、83は、本体部79に回動自在に支持されている。このため、例えば、駆動源100が停止した状態にあり、現像ロール77が停止した状態で感光体22が回転をすると、トラッキングロール83、83は感光体22に連れ回りして回転する。
現像ロール77には、現像バイアス印加手段として用いられるバイアス印加装置96がそれぞれ接続されている。バイアス印加装置96が現像ロール77にバイアスを印加することで、現像ロール77が保持する現像剤から感光体22へとトナーが移動し、感光体22の表面に形成された静電潜像が現像されて、感光体22の表面にトナー像が形成される。
図4及び図5には、プロセスカートリッジ32Y、32M、32C、32Bを画像形成装置本体12に装着するための構成が示されている。プロセスカートリッジ32Bは支持部材102を用いて画像形成装置本体12に装着される。支持部材102は画像形成装置本体12に固定されていて、重力方向下方からプロセスカートリッジ32Bを支持する。支持部材102に支持された状態で、プロセスカートリッジ32Bは図示を省略する付勢手段によって搬送ベルト46方向へと付勢され、感光体22Bが搬送ベルト46に当接する。
プロセスカートリッジ32Y、32M、32Cは、手前側支持板104と奥側支持板(不図示)とを用いて画像形成装置本体12に装着される。手前側支持板104には、プロセスカートリッジ32Y、32M、32Cの外形に合わせて切欠が形成されていている。奥側支持板は手前側支持板104と同形状であり、奥側支持板にもプロセスカートリッジ32Y、32M、32Cの外形に合わせて切欠が形成されていている。そして、手前側支持板104及び奥側支持板に形成された切欠に、プロセスカートリッジ32Y、32M、32Cがそれぞれ装着される。手前側支持板104と奥側支持板とは図示を省略する連結部材によって連結されている。
手前側支持板104には、ガイド用の貫通孔106、106が形成されている。貫通孔106、106は長手方向が略水平な長孔であり、貫通孔106、106にはガイド用突起108、108が挿入されている。奥側支持板にも手前側支持板104と同様にガイド用の貫通孔が形成され、この貫通孔にもガイド用突起が挿入されている。ガイド用突起108、108は、画像形成装置本体12に取り付けられている。以上のような構成により、手前側支持板104及び奥側支持板は、ガイド用突起108、108にガイドされて図4に示される位置と図5に示される位置との間で移動することができるように画像形成装置本体12に取り付けられている。手前側支持板104等が図4に示される位置に配置された状態において、手前側支持板104等に支持されたプロセスカートリッジ32Y、32M、32Cに装着された感光体22Y、22M、22Cは、図示を省略する付勢手段により、それぞれが搬送ベルト46方向に付勢され、搬送ベルト46に当接する。
手前側支持板104の搬送ベルト46と逆側位置には、手前側支持板104に接触するようにカム110が設けられている。カム110は、軸112を用いて画像形成装置本体12に回動可能に取り付けられていて、軸112には、例えばモータからなる駆動源114が連結されている。カム110に対して、図示を省略する付勢手段によって手前側支持板104が押圧されている。よって、駆動源114からの駆動伝達を受けてカムが回転することでカム110が図4に示される状態となると、感光体22Y、22M、22Cは搬送ベルト46に当接する。また、カム110が図5に示された状態となると、感光体22Y、22M、22Cは搬送ベルト46から離間する。
以上のように、手前側支持板104、奥側支持板、ガイド用突起108、108、カム110、及び駆動源114は、感光体22Y、22M、22Cを搬送ベルト46に当接させ、搬送ベルト46から離間させる当接離間手段として用いられる。
図6には、シート供給装置54が示されている。シート供給装置54は、シートが収納され、転写材収容手段として用いられるシート供給カセット56を有する。シート供給カセット56は、画像形成装置本体12に対して着脱自在に設けられていて、普通紙、OHPシート等のシートが積層されて収納されている。シート供給カセット56に積層されたシートの最も上に位置するシートに当接するように、例えば半月ロール等からなる供給ロール58が設けられている。供給ロール58には、例えばモータからなる駆動源76が、例えば歯欠けギアを備えた駆動伝達系(不図示)を介して連結されていて、駆動源から76からの駆動伝達を受けて回転してシートを供給する。供給ロール58の回転は、シートがレジストロール対62に到達した後、所定時間経過すると、例えば歯欠けギアに対する駆動伝達がなされなくなることで停止する。
供給ロール58には、表面の摩擦力が大きい部材から形成されている捌きロール68が当接している。捌きロール68と供給ロール58との間に複数のシートが挟まれると、捌きロール68が停止、又は逆転し、シート間に滑りを生じさせてシートを捌き、最上位のシートだけを供給する。
供給ロール58と捌きロール68との下流側には、レジストロール対62が設けられている。レジストロール対62は、シートに搬送力を付与し、搬送ベルト46にシートを供給する供給手段として用いられ、駆動側レジストロール64及び従動側レジストロール66を有している。駆動側レジストロール64と従動側レジストロール66とは互いに当接してニップNを形成していて、ニップNで供給ロール58から搬送力が付与されるシートの先端部を一時的に停止される。一時的に停止した状態で、シートの先端部はニップNに圧接され、先端部が圧接されることでシートの斜行が補正される。
駆動側レジストロール64には、レジストロール対62からシートへの搬送力を解除する解除手段として用いられる電磁クラッチ74を介して、先述の駆動源76が連結されている。シートを一時的に停止させた後、所定のタイミングで電磁クラッチ74がONとされ、駆動源76からの駆動伝達がなされることで、駆動側レジストロール64が所定のタイミングでシート搬送方向と同方向の回転を開始し、供給ロール58から供給されたシートを、所定のタイミングで画像形成部14へ供給する。従動側レジストロール66は、駆動側レジストロール64に従動して回転する。
ニップNの上流には、搬送路60を挟んで対向するように、ガイド板70、72が設けられている。ガイド板70、72は、供給ロール58から供給されたシートの先端部が、ニップNに良好に当接するようにシートをガイドする。
また、ニップNの上流であって、ニップNの直近の位置には、ニップNにシートの先端部が到達するタイミングを検知するとともに、ニップNをシート後端部が通過するタイミングを検知するセンサ84が設けられている。
センサ84は軸88により回転可能に支持された可動片86を有し、シートが通過する状態にない場合は、図3(a)に示されるように可動片86が搬送路60を横切る位置にある。この状態から、供給ロール58によりシートが供給されると、図3(b)に示すようにシートの先端部が可動片86を押圧し、図示を省略するバネからなら付勢手段による付勢に抗して可動片86を軸88を中心として回転させ、可動片86を搬送路60の外側へと移動させる。そして、この可動片86の移動が図示を省略する光学センサに検知され、ニップNにシートが到達するタイミングの検知がなされる。
センサ84が設けられた位置からシートの後端部が通過すると、先述のようにバネにより付勢された状態にある可動片86は、再び図3(a)に示される搬送路を横切る位置へと移動する。そして、この移動を図示を省略する光学センサで検知することで、シートの後端部がニップNを通過するタイミングが検知される。このように、センサ84は、ニップNをシートの後端部が通過するタイミングを検知する検知手段としても用いられる。
以上のように構成された画像形成装置10では、感光体22に付着したトナーが搬送ベルト46へと付着し、搬送ベルト46に付着したトナーがシートに付着することを原因として形成される画像の画質低下を生じたり、シートの裏面にトナーが付着してしまったりすることがあるとの問題点があった。フルカラー画像を形成した後にブラック単色の画像形成を行う際に、感光体22Y、22M、22Cから搬送ベルト46にイエロートナー、マゼンダトナー、シアントナーが付着してしまうと、ブラック単色の画像形成がなされるシートにイエロートナー、マゼンダトナー、及びシアントナーが付着しやすくなり、これらの現像剤の付着は目立ちやすく、特に大きな問題となっていた。そこで、この実施形態に係る画像形成装置10では、画像形成を行う前の転写装置50の制御等を工夫することで、画像品質の低下やシート裏面への現像剤の付着を生じにくくしている。
図7には、画像形成装置10が有する制御部200が示されている。制御部200は、制御手段として用いられ、センサ84からの出力が入力される制御回路202を有する。制御回路202には、通信インターフェイス204を介して画像データが入力される。制御回路202には、記憶手段として用いられるメモリ206が取り付けられている。メモリ206には、通信インターフェイス204を介して前回入力された画像データ(直前のジョブ)の最終のシートに対する画像形成がフルカラー画像であったかブラック単色であったかや、直前に形成された画像がブラック単色画像であったかフルカラー画像であったか等が記憶されている。そして、制御回路202からの出力により、電磁クラッチ74、駆動源76、及び駆動源98、駆動源100、バイアス印加装置96Y、96M、96C、96B等を備える画像形成部14が制御される。
図8は制御部200の制御フローを示す第1のフローチャートである。通信インターフェイス204を介して制御回路202に画像データが入力され制御フローがスタートすると、ステップS10で制御回路202は画像データに基づいて形成する画像がブラック単色の画像であるか否かの判別を行う。そして、形成される画像がブラック単色の画像でない場合、すなわち、イエロートナー像、マゼンダトナー像、シアントナー像、及びブラックトナー像を重ね合わせてフルカラー画像形成がなされる場合は、ステップS200の画像形成ステップへと進む。
ステップS10で、形成される画像がブラック単色であるとの判別がさなれると、次のステップS12で、制御回路202は形成される画像が電源投入の後に最初に形成される画像であるか否かの判別を行う。そして、最初に形成される画像であるとの判別がなされると、ステップS100の前処理へと進む。
ステップS12で形成される画像が電源投入後に最初に形成される画像でないとの判別がなされると、次のステップS14で、制御回路202はメモリ206から読み出した情報に基づいて、直前に形成された画像がフルカラー画像であったか否かの判別を行う。ここで、直前に形成された画像とは、ジョブの最初に形成される画像であれば、直前のジョブで最後に形成された画像を指す。また、ジョブの最初になされる画像形成ではない場合は、同じジョブで直前に形成された画像を指す。そして、ステップS14で、直前に形成された画像がフルカラー画像であったとの判別がなされると、ステップS100の前処理へと進む。一方、ステップS14で直前になされた画像がフルカラー画像ではないとの判別、すなわち直前に形成された画像がブラック単色の画像であると判別がなされると、ステップS200の画像形成へと進む。
S100の前処理を経て、又はステップS100の前処理を経ずにステップS200での画像形成が終了すると、次のステップS300で制御回路202は、通信インターフェイス204からのデータに基づいて画像形成がなされたシートが最終のシートであるか否かの判別を行う。シートが最終のシートであるとの判別がなされると、制御回路202は一連の動作を終了させる。また、最終のシートでないとの判断がなされると、ステップS10に戻り、次のシートへの画像形成のための一連の動作が繰り返される。ステップS100の前処理及びステップS200の画像形成処理については後述する。
図9は制御部200の制御フローを示す第2のフローチャートであり、ステップS100の前処理の制御フローを示している。前処理とは、画像品質の低下を生じにくくし、シートの裏面に現像剤が付着にくくするために画像形成に先立ってなされる処理である。前処理は、形成される画像がブラック単色画像であって、直前に形成された画像がフルカラー画像である場合になされる。また、前処理は、形成される画像がブラック単色画像であって、形成される画像が電源投入した後に最初に形成される画像である場合になされる。
前処理がスタートすると、ステップS110で制御回路202は、メモリ206から読み出した情報に基づいて前処理として高速モードによる前処理を行うか、高耐久モードによる前処理を行うかの判別を行う。すなわち、画像形成装置10には2つの前処理の方法があり、例えば画像形成装置本体12に設けられた操作パネル(不図示)を操作したり、通信インターフェイス204を用いて画像形成装置10に接続された例えばパーソナルコンピュータ等の外部操作端末を操作したりすることでユーザーにより選択され、選択の結果がメモリ206に記憶されている。そして、この選択の結果を用いてステップS110で制御回路202は前処理のモードを選択する。
ステップS110で高速モードの選択がなされなかった場合、ステップS120に進み、制御回路202は高耐久モードによる前処理を実行する。すなわち、制御回路202は、カム110が図4に示される状態から図5に示される状態となるように、駆動源114を制御し駆動する。そして、カムが図5に示される状態となるように駆動源114が制御されることで、手前側支持板104及びプロセスカートリッジ32Y、32M、32Cが図4における右側へと移動して、感光体22Y、22M、22Cが搬送ベルト46から離間する。
感光体22Y、22M、22Cが搬送ベルト46から離間するため、感光体22Y、22M、22Cから搬送ベルト46へイエロートナー、マゼンダトナー、シアントナーが付着しにくくなる。よって、これらのトナーが搬送ベルト46から、さらにシートへと付着することを原因として生じる画像品質の低下やシートの裏汚れが発生しにくくなる。また、高耐久モードによる前処理では、ブラック単色画像を形成する際に、感光体22Y、22M、22Cが搬送ベルト46から離間し、且つ停止した状態にある。よって、感光体22Y、22M、22Cを搬送ベルト46に当接させた状態のままブラック単色画像を形成する場合と比較して、感光体22Y、22M、22Cが磨耗しにくい。
一方、高耐久モードの前処理では、カム110、手前側支持板104、プロセスカートリッジ32Y、32M、32Cを移動させるため、ブラック画像の形成が可能となるまで、或いは、ブラック画像形成状態からカラー画像の形成が可能となるまでに比較的長時間を要する。
ステップS110で前処理として高速モードが選択された場合、次のステップS130で、制御回路202は駆動源100を制御して駆動源100を停止させた状態とし、駆動源100を停止させた状態とすることで、現像ロール77Y、77M、77Cを停止させた状態とする。
現像ロール77Y、77M、77Cが停止した状態となるため、現像ロール77Y、77M、77Cから感光体22Y、22M、22Cへのトナーの供給がなされない。よって、感光体22Y、22M、22Cから搬送ベルト46へイエロートナー、マゼンダトナー、シアントナーが付着しにくくなる。よって、これらのトナーが搬送ベルト46から、さらにシートへと付着することを原因として生じる画像品質の低下やシートの裏汚れが発生しにくくなる。高速処理モードによる前処理では、高耐久モードによる前処理のように、カム110、手前側支持板104、プロセスカートリッジ32Y、32M、32Cを移動させることはない。よって、前処理を高耐久モードと比較して短時間で終了させることができ、ブラック単色画像の形成を開始するまでのユーザーの待ち時間が比較的に短くなる。
高速モードによる前処理は、高耐久モードと比較して耐久性の面で劣っている。すなわち、ステップS100における前処理に入るよりも前の、例えばステップS10のブラック単色の画像であるか否かの判別のステップの時点等に、搬送ベルト46及び感光体22Y、22M、22C、22Bは回転を開始し、一連の画像形成ステップが終了するまで搬送ベルト46及び感光体22Y、22M、22C、22Bは回転を続ける。よって、高速モードで前処理を行う場合は、ステップS110及び他のステップで、回転している搬送ベルト46と、現像ロール77Y、77M、77Cに取り付けられたトラッキングロール83Y、83M、83Cとが接触した状態にある。
ステップS130で現像ロール77Y、77M、77Cの回転を停止させたものの、感光体22Y、22M、22Cは回転を続けている。このため、画像形成装置10においては、ブラック単色の画像形成を行う際に、現像ロール77Yと感光体22Yとの間にあるイエロー現像剤、現像ロール77Mと感光体22Mとの間にあるマゼンダ現像剤、及び現像ロール77Cと感光体22Cとの間にあるシアン現像剤の各々の中にあるトナーが、それぞれ感光体22Y、22M、22Cの回転により搬送されて搬送ベルト46に付着してしまい、画像品質の低下を生じさせたり、シートの裏面が汚れたりすることがあるとの問題が生じることがあった。そこで、この画像形成装置10では、ステップS130以降の制御に工夫をこらして、画像不良の発生やシートの裏面汚れを生じにくくしている。
次のステップS140で、制御回路202は、光書き込み装置26Y、26M、26Cを制御して、光書き込み装置26Y、26M、26Cに感光体22Y、22M、22Cへの光書き込みを行わせる。光書き込みを行わせることで、現像ロール77Y、77M、77Cから感光体22Y、22M、22Cへトナーが移動する方向の電位の形成がなされる。そして、この電位によって、現像ロール77Yと感光体22Yとの間にあるイエロー現像剤、現像ロール77Mと感光体22Mとの間にあるマゼンダ現像剤、及び現像ロール77Cと感光体22Cとの間にあるシアン現像剤中の各々のトナーが、それぞれ感光体22Y、22M、22Cへと移動する。
ステップS140で、光書き込み装置26Y、26M、26Cに、感光体22Y、22M、22Cへの光書き込みを行わせる時間は、トラッキングロール83Y、83M、83Cが、感光体22Y、22M、22Cに連れ回りして1回転するために要する時間以上に定めされている。このため、たとえ各トラッキングロール83に歪がある等、トラッキングロール83の外周形状が真円から崩れていて、トラッキングロール83の回転に応じて各感光体22と各現像ロール77との間隔が変化するとしても、間隔の変化に応じた現像ロール77から感光体22へのトナーの移動がなされる。
次のステップS150で、制御回路202は、転写装置50Y、50M、50Cを制御して、感光体22Y、22M、22Cに移動し、感光体22Y、22M、22Cに付着した状態にあるイエロートナー、マゼンダトナー、シアントナーを搬送ベルト46へと転写させる。そして、搬送ベルト46に転写された各トナーは、クリーニング装置45の掻き落とし部材47による搬送ベルト46の表面から掻き落とされ、搬送ベルト46の表面から除去される。
以上のように、画像形成装置10では、ステップS200でなされる画像形成に先立ち、一定の条件に該当する場合に、感光体22Y、22M、22Cの表面に付着したトナーを搬送ベルト46へと転写させ、搬送ベルト46に転写されたトナーをクリーニング装置45で除去している。よって、画像形成時に搬送ベルト46からシートに画像形成に用いられる以外のトナーが付着しにくくなり、画像品質の低下やシートの裏面汚れが生じにくくなる。また、感光体22Y、22M、22Cから搬送ベルト46へのトナーの転写がなされる前に、光書き込み装置26Y、26M、26Cに、感光体22Y、22M、22Cへの光書き込みを行わせることで、現像ロール77Y、77M、77Cから感光体22Y、22M、22Cへトナーを移動させている。よって、ブラック単色画像形成時に、シートにイエロートナー、マゼンダトナー、及びシアントナーがより付着しにくくなる。
この実施形態では、ステップS140において、光書き込み装置26Y、26M、26Cに、感光体22Y、22M、22Cへの光書き込みを行わせることで、現像ロール77Y、77M、77Cから感光体22Y、22M、22Cへトナーが移動する方向の電位を生じさせているが、帯電装置24Y、24M、24Cで感光体22Y、22M、22Cの表面を均一帯電させる際の帯電電位を変化させることにより、現像ロール77Y、77M、77Cから感光体22Y、22M、22Cへトナーが移動する方向の電位を生じさせてもよい。また、バイアス印加装置96Y、96M、96Cを制御して、現像ロール77Y、77M、77Cにバイアスを印加する際のバイアス電位を変化させることにより、現像ロール77Y、77M、77Cから感光体22Y、22M、22Cへトナーが移動する方向の電位を生じさせてもよい。
図10は制御部200の制御フローを示す第3のフローチャートであり、ステップS200の画像形成の制御フローを示している。画像形成がスタートすると、ステップS210で制御回路202が駆動源76の回転を開始させ、駆動源76からの駆動伝達を受けて供給ロール58が回転を開始することで、レジストロール対62が形成するニップNに向けてシートの供給が開始される。
次のステップS212で、センサ84より検知されたシート先端検知信号が制御回路202へと入力される。すなわち、搬送路60を横切るように配置されているセンサ84の可動片86が搬送中のシートの先端部に押圧され、可動片86が軸88を中心として回転し、この可動片86の回転が光学センサにより検知されることより形成されるシート先端検知の信号が制御回路202へと入力される。
次のステップS214で、シート先端部が検知されてから所定時間が経過したことを確認した後、ステップS216で制御回路202は電磁クラッチ74をONとする。電磁クラッチ74がONとされると、駆動源76からの駆動が駆動側レジストロール64に伝達され、レジストロール対62から搬送ベルト46へのシート供給が開始される。ステップS214における所定時間は、シートの先端部がニップNに押圧されることによるシートの斜行補正が良好になされるために十分な時間として予め定められている。搬送ベルト46へと搬送されたシートは、ステップS212で制御回路202に入力されたシート先端検知信号に基づき回転を開始した搬送ベルト46に搬送され、同じく制御回路202からの制御により画像形成部14で形成されたブラックトナー像が転写されるか、又はイエロートナー像、マゼンダトナー像、シアントナー像、及びブラックトナー像が重ねて転写される。そして、トナー像が転写されたシートは、定着装置52へと搬送され、定着装置52でトナー像の定着がなされた後、排出ロール40によってシート排出部15へと排出される。
ステップS218で、シート先端部が検知されてから所定時間が経過したことを確認した後、ステップS20で制御回路202は電磁クラッチ74をOFFとする。電磁クラッチ74がOFFとされると、駆動源76から駆動側レジストロール64への駆動伝達が切断され、レジストロール対62からシートへの搬送力の付与が解除される。
図11は、直前に形成された画像がフルカラー画像であり、続いてブラック単色画像を形成する場合の画像形成装置10の動作を示すタイムチャートである。画像データが入力されると、時刻t1において、搬送ベルト46、感光体22B、現像ロール77B、及び感光体22Y、22M、22Cが回転駆動を開始する。
転写装置50B、50Y、50M、50Cによる転写バイアスの印加が開始された後、時刻t2において、光書き込み装置26Y、26M、26Cが感光体22Y、22M、22Cへの光照射を開始する。光書き込み装置26Y、26M、26Cによる光照射によって、感光体22Y、22M、22Cの表面に現像ロール77Y、77M、77Cから感光体22Y、22M、22Cの方向にトナーを移動させる方向の電位が形成される。
続いて時刻t3において、光書き込み装置26Y、26M、26Cによる感光体22Y、22M、22Cへの光照射が終了すると同時に、バイアス印加装置96Y、96M、96Cによる現像ロール77Y、77M、77Cへの現像バイアスの印加が開始される。時刻t2からt3までの光書き込み装置26Y、26M、26Cから感光体22Y、22M、22Cへの光照射する時間は、トラッキングロール83Y、83M、83Cが感光体22Y、22M、22Cに連れ回りして1回転以上する時間に定められている。現像ロール77Y、77M、77Cへ現像バイアスが印加されることで、停止した状態にある現像ロール77Y、77M、77Cの表面に付着していたトナーが、感光体22Y、22M、22Cへと移動する。
続いて時刻t4において、現像ロール77Y、77M、77Cへの現像バイアスの印加が停止した後、時刻t5において光書き込み装置26Bがブラック単色の画像形成のための光照射を開始する。時刻t4から時刻t5までの、現像ロール77Y、77M、77Cへの現像バイアスの印加を停止してから、光書き込み装置26Bによる光照射が開始されるまでの時間は、ベルト搬送方向において最下流に位置する感光体22Yから搬送ベルト46へと転写されたトナーが、搬送ベルト46の回転によって搬送ベルト46と感光体22Bとが接する位置を通過するために要する時間よりも長く定められている。
以上のように、画像形成装置10では、画質低下を生じにくくし、より高い品質の画像形成を可能とする画像形成装置が提供される。特に、ブラックのみの画像を形成する際に、カラーの現像器を停止させ現像剤寿命の延長を図った際にカラー画像形成ユニットを搬送部材から離間させない際に生じる汚れ等の防止が可能となる。さらに、カラー画像ユニットを搬送部材から離間させて、像担持体の寿命延長を図るモードを併せもっているので、画像形成ユニットを離間させないモードを高速モードとして、この高速モードと、高耐久モードとのいずれかを、ユーザーが選択できるようになり、ユーザーの利便性を図ることが可能となる。
以上で説明をした実施形態においては、当接離間手段として、感光体22Y、22M、22Cと搬送ベルト46とを当接・離間させる機構を用いたが、当接離間手段は、少なくとも感光体22Y、22M、22Cと搬送ベルト46とを当接・離間させるか、又は感光体22Y、22M、22Cと現像ロール77Y、77M、77Cとを当接・離間させるものであれば良く、当接離間手段として感光体22Y、22M、22Cと現像ロール77Y、77M、77Cとを当接・離間させる機構を用いても良い。
また、以上で説明をした実施形態においては、搬送ベルト46は、シートを略垂直上方に搬送するように構成されていたが、例えば略水平方向や、斜め上方にシートを搬送する等、略垂直上方以外の方向にシートを搬送するように搬送ベルト46を構成しても良い。また、シートを搬送する部材であれば、例えばシートを吸着して搬送するドラム等、ベルト形状以外の部材を用いても良い。
また、以上で説明をした実施形態においては、搬送部材として、トナー像が転写されるシートを搬送する搬送ベルト46を用いたが、これに替えて、例えば中間転写ベルト等のトナー像を搬送する部材を用いることもできる。この場合、トナー像を搬送する部材から、さらにシートへとトナーを転写する例えば2次転写ロール等の転写手段が設けられる。
また、以上の実施形態は、少なくともトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いた形態を例として記したが、本発明は二成分現像剤に限らず、少なくともトナーからなる一成分現像剤を用いた場合にも適用可能である。本実施形態の説明部においてのみ、二成分現像剤を用いた例であるため、像担持体上以降の現像剤をトナー、現像ロールに保持されたまでを現像剤と区別したが、一般的にはトナーも含め現像剤と呼び、また一成分現像剤においてはトナーと現像剤とが同義であることは言うまでもない。