JP6942347B2 - イオン源装置、粒子線発生装置、およびイオンビーム生成方法 - Google Patents

イオン源装置、粒子線発生装置、およびイオンビーム生成方法 Download PDF

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Description

この発明は、例えば、高エネルギーイオンビーム(粒子線)を発生させる粒子線発生装置、イオンビームを生成するイオン源装置、およびイオンビーム生成方法に関する。
従来、がん細胞などの患部に荷電粒子を照射して治療を行う粒子線治療装置が提供されている。粒子線治療装置で使用される荷電粒子(イオン種)には、水素イオンや炭素イオンなどがある。
粒子線治療装置は、使用するイオン種を1種類に特化して使用するタイプの装置が多数であるが、複数のイオン種を組み合わせて照射することで治療効果をより一層高めることのできる方法が開示されている(非特許文献1参照)。このように、複数のイオン種を短時間で切り替えて使用することのできる小型の粒子線治療装置の開発が望まれている。
ここで、2種類以上のイオン種を切り替えて使用できるタイプの荷電粒子ビームシステムも提案されている(特許文献1参照)。この荷電粒子ビームシステムは、イオン源装置を複数設置し、必要なイオン種に応じて使用するイオン源装置を切り替えるものである。
しかしながら、このように2種類以上のイオン種を切り替えて使用できるタイプの粒子線治療装置は、複数のイオン源装置が設置されているために、装置が大型化するという欠点があった。
これに対して、粒子線治療装置を小型化するために、照射において、照射目標の深さと各イオン種の最大水中飛程を比較し、照射目標の深さが最長水中飛程以下となるイオン種を選択して照射目標に照射する方法を使用することが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1も、水素分子のイオン源とヘリウムのイオン源といったように複数のイオン源装置を必要とするものであり、複数のイオン源装置によって装置が大型化することを解決できるものではなかった。
特開2015−84886号公報
この発明は、上述の問題に鑑みて、複数のイオン種を短時間で切り換えて生成することのできるイオン源装置、粒子線発生装置、およびイオンビーム生成方法を提供することを目的とする。
この発明は、真空中に導入したガスからイオンビームを生成するイオン源装置であって、内部が真空のチャンバーと、前記チャンバー内にガスを供給するガス供給部と前記ガスの原子をイオン化するための電離エネルギーを前記チャンバー内に供給する電離エネルギー供給部と、を備え、前記ガス供給部は、異なる種類のガスが充填された複数のガスボンベと、前記ガスボンベに接続され前記チャンバーへガスを通すガス通路と、前記ガス通路に取り付けられパルス的に開状態にできるパルス制御用ガスバルブを有し、前記電離エネルギー供給部は、前記チャンバー内に前記電離エネルギーを供給する期間を、前記パルス制御用ガスバルブの開動作および閉動作によって前記チャンバー内のガス量が変化するガス量変化曲線におけるどの期間にするかを所望のイオン種に応じて制御する電離エネルギー供給期間制御部を備えた例えばイオン源装置であることを特徴とする。
この発明により、複数のイオン種を短時間で切り換えて生成することのできるイオン源装置、粒子線発生装置、およびイオンビーム生成方法を提供できる。
粒子線発生装置の全体構成を示す構成図。 イオン源装置の構成を示す構成図。 粒子線発生装置の機能ブロック図。 イオン源制御方法を説明するタイムチャート。 イオン源制御方法を説明するタイムチャートの一部拡大図。 実施例2のイオン源装置の構成を示す構成図。
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
<粒子線発生装置の全体構成>
図1は、粒子線発生装置100の全体構成を示す構成図である。粒子線発生装置100は、イオン源装置1と、イオン分離装置2と、前段加速器3と、主加速器4と、照射装置9と、これらを制御する制御装置30を備えている。なお、図示する例では、イオン源制御装置31と加速器制御装置32と照射制御装置33とECR制御部41とを制御装置30内に備えているが、これに限らず、イオン源制御装置31と加速器制御装置32と照射制御装置33とECR制御部41を別個に備え、互いに通信して必要なデータを送受信する構成としてもよい。
イオン源装置1は、真空中に導入したガスに対して、プラズマ放電をさせたり、あるいは電子ビームを照射することにより、導入したガスの原子から電子を取り除いてイオン化し、所定の方向に射出するイオンビームを生成する装置である。
イオン分離装置2は、イオン源装置1で生成されたイオンビームの中から目的のイオンだけを分離して取り出す装置であり、磁場を用いた質量分析器(図示せず)を備えている。質量分析器は、イオン分離電磁石(図示せず)と、イオン分離電磁石によって形成される磁場印加領域の出口に設けられたイオンビームを分離するスリット(図示せず)とを有しており、イオン分離電磁石に流す電流値を調節することで磁場を調節し、目的の質量とイオン価数を有するイオン種(目的のイオン)だけを分離して取り出す。
前段加速器3は、加速器の一種である線形加速器で、イオン分離装置2によって分離され取り出された目的のイオンのイオンビームを高周波電場によって所定のエネルギーにまで加速し、主加速器4に供給する。
主加速器4は、加速器の一種であるシンクロトロンで、前段加速器3で加速されたイオンビームを入射し治療等に必要な高エネルギーにまでさらに加速する加速器である。主加速器4は、イオンビームを主加速器4に入射するための入射装置5と、入射したイオンビームを曲げて同一円軌道上を周回させるために円形に配置された偏向電磁石6と、高周波電場を印加してイオンビームを加速する加速空洞7と、所定の高エネルギーにまで加速されたイオンビームを主加速器4から取り出すための出射装置8とを備えている。主加速器4は、スタンバイ状態でイオンビームの入射を受け付ける入射モードと、入射したイオンビームを加速する加速モードと、加速したイオンビームを出射する出射モードと、スタンバイ状態に戻すための減速モードの4つの運転モードを有しており、これら4つの運転モードをこの順に繰り返して運転する。
照射装置9は、主加速器4から取り出した高エネルギーのイオンビームを患者の標的腫瘍等に照射する装置である。照射装置9は、イオンビームのXY方向(イオンビームの照射方向に対する垂直平面方向)の位置を調節するX方向スキャニング磁石とY方向スキャニング磁石と、イオンビーム中のイオンのZ方向(イオンビームの進行方向)の停止位置(照射深度)を微調整するレンジシフタと、照射スポット別のイオンビームの照射線量を計測するスキャニングモニタを備えている。
制御装置30は、イオン源制御装置31と、加速器制御装置32と、照射制御装置33とを有している。イオン源制御装置31は、イオン源装置1の運転を制御し、加速器制御装置32は、イオン分離装置2と前段加速器3と主加速器4の運転を制御し、照射制御装置33は、照射されるイオンビームの照射線量等を監視しつつ、照射装置9が照射するイオンビームの照射スポットの3次元位置の制御を行う。また、照射制御装置33は、照射深度に合わせてイオンビームのエネルギー(加速電圧)や強度、照射するイオン種の変更等の要求をイオン源制御装置31と加速器制御装置32に発信する。さらに、加速器制御装置32は、主加速器4の入射モードのタイミングに合わせてイオンビームを入射させるために、ガス導入指令をイオン源制御装置31に発信する。
<イオン源装置の詳細>
図2は、イオン源装置1の構成を示す構成図である。イオン源装置1は、ガスの原子をイオン化するための電離エネルギーの供給方法の違いから、イオンビームの生成方式に幾つかの方式がある。
この例では、ECR放電方式によりガスの原子をイオン化するECRイオン源10を用いている。ECRイオン源10は、真空中に導入されたガスに、外部からマイクロ波パワーを印加し、プラズマ放電のトリガーとなる電子を電離させ、さらに、その電離した電子を磁場によって閉じ込め、マイクロ波との共鳴を繰り返すことによりガスの原子をイオン化するという原理を用いている。
ECRイオン源10は、内部が中空の横に寝かせた略円柱体で、真空用素材で形成されたプラズマチャンバー12を備えている。
プラズマチャンバー12は、一方(図示右側)にガス導入用のガスノズル19が設けられ、他方(図示左側)にイオンビーム15を射出する電極14が設けられ、前記一方から他方への供給射出方向の外周に当該外周部を取り囲むようにして電磁石13が設けられている。
プラズマチャンバー12の前記一方(図示右端部)には、真空引き用開口部18aが設けられている。真空引き用開口部18aには、プラズマチャンバー12内の中央部にガスを導入するためのガスノズル19と、マイクロ波電源に接続されプラズマチャンバー12内にマイクロ波を伝送するマイクロ波導波管20(電離エネルギー供給部)が挿入されている。そして、真空引き用開口部18aは、外側から覆うようにして真空フランジで蓋がされ、真空フランジには真空配管を介して真空ポンプ16が接続されている。これにより、プラズマチャンバー12内は真空に保持される。
プラズマチャンバー12の前記他方(図示左端部)には、プラズマチャンバー12内で生成されたイオンをプラズマチャンバー12外に射出する射出口18bが設けられている。また、射出口18bには、プラズマチャンバー12内のイオンを引き寄せて射出口18bから引き出すための電極14が設けられている。
ECRイオン源10では、真空ポンプ16により真空が保持されたプラズマチャンバー12内にガスノズル19からガスを導入し、プラズマチャンバー12内に導入したガスにマイクロ波導波管20からマイクロ波パワーを印加し、プラズマ放電のトリガーとなる電子を電離させ、さらに、その電離した電子をプラズマチャンバー12の側面部を取り囲む電磁石13の磁場によって閉じ込め、マイクロ波との共鳴を繰り返してプラズマ11を発生させることで、ガスの原子をイオン化している。そして、プラズマチャンバー12内で生成されたイオンを電極14がプラズマチャンバー12内から引き出し、所定のエネルギーを付与してイオンビーム15として所定の方向に射出させる。
ECRイオン源10における上述の一連の動作は、イオン源制御装置31によって制御される。
なお、イオン源装置1は、上述のECRイオン源10の方式に限るものではなく、これ以外に、PIG型イオン源やEBIS(電子ビームイオン源)などの方式を用いることもできる。例えば、PIG型イオン源は、円筒状の陽極の両端に陰極が配置され、軸方向に強い磁場を加えた構造で、陰極から出た電子を、半径方向には磁場により、また、軸方向には両端の陰極により閉じ込めて、高密度のプラズマを生成するという原理を用いている。また、EBIS(電子ビームイオン源)は、高エネルギーの電子ビームを繰り返し同じ原子(イオン)に衝突させることによりイオン化を進めるという原理を用いている。
イオン源装置1は、ECRイオン源10にガスを供給するガス供給部26を備えている。
ガス供給部26は、複数種類のガスをECRイオン源10に供給する複数のガス供給系を有しており、この例では、酸素(O)ガス供給系、メタン(CH)ガス供給系、及びヘリウム(He)ガス供給系の3種類のガス供給系を有している。
例えば、酸素ガス供給系は、酸素ガスが充填された酸素ガスボンベ17Aと、一端が酸素ガスボンベ17Aに接続され酸素ガスをECRイオン源10に供給する酸素ガス供給パイプ24A(ガス通路)を有している。酸素ガス供給パイプ24Aには、酸素ガスパルス制御用ガスバルブ21Aと、酸素ガス遮断用ガスバルブ22Aと、酸素ガス流量調整用ガスバルブ23Aとが設けられている。
酸素ガス遮断用ガスバルブ22Aは、酸素ガス供給パイプ24Aを通る酸素ガスの供給を遮断することができ、酸素ガス流量調整用ガスバルブ23Aは、酸素ガス供給パイプ24Aを通る酸素ガスの流量を調整する。
酸素ガスパルス制御用ガスバルブ21Aは、高速応答性のガスバルブで、例えば、圧電素子を用いたバルブやソレノイドバルブを用いる。酸素ガスパルス制御用ガスバルブ21Aは、閉状態と開状態の切り替えが速く、パルス的に短時間だけ開状態にできる。酸素ガスパルス制御用ガスバルブ21Aは、保持可能な開状態のパルス幅が1ミリ秒以下であることが好ましく、100マイクロ秒以下であることがより好ましく、10マイクロ秒以下であることがさらに好ましい。なお、「パルス的に」とは、1ミリ秒以下、100マイクロ秒以下、または10マイクロ秒以下等の微小時間の間だけONにしてその前後はOFFであることを指している。
同様にして、メタンガス供給系は、メタンガスボンベ17Bと、メタンガス供給パイプ24B(ガス通路)と、メタンガスパルス制御用ガスバルブ21Bと、メタンガス遮断用ガスバルブ22Bと、メタンガス流量調整用ガスバルブ23Bを有し、ヘリウムガス供給系は、ヘリウムガスボンベ17Cと、ヘリウムガス供給パイプ24C(ガス通路)と、ヘリウムガスパルス制御用ガスバルブ21Cと、ヘリウムガス遮断用ガスバルブ22Cと、ヘリウムガス流量調整用ガスバルブ23Cを有している。
なお、メタンガス供給系、及びヘリウムガス供給系を構成する上述のガスボンベ(17B、17C)、ガス供給パイプ(24B、24C)、各種ガスバルブ(21B、22B、23B、21C、22C、23C)は、酸素ガス供給系の対応するガスボンベ(17A)、ガス供給パイプ(24A)、各種ガスバルブ(21A、22A、23A)と、構造及び機能が同じであるため、説明を省略する。
酸素ガス供給パイプ24A、メタンガス供給パイプ24B、及びヘリウムガス供給パイプ24Cのそれぞれの他端は、一端にガスノズル19が接続されたガス導入パイプ25(ガス通路)に接続されている。
イオン源制御装置31は、酸素ガス供給系、メタンガス供給系、及びヘリウムガス供給系の各種ガスバルブ(21A、22A、23A、21B、22B、23B、21C、22C、23C)による開閉切替や流量調整の制御を行う。
<粒子線発生装置の機能ブロック>
図3は、粒子線発生装置100の機能ブロック図である。上述のように、粒子線発生装置100は、制御装置30として、イオン源制御装置31と、加速器制御装置32と、照射制御装置33を有している。
<イオン源制御装置の機能ブロック>
イオン源制御装置31は、ECR制御部41、真空ポンプ/バルブ開閉制御部42、マイクロ波パワーON/OFF制御部43、パルス制御用ガスバルブ開閉制御部44、ガス導入指令受信部45、及びイオン種変更要求受信部46として機能する。
ECR制御部41は、その機能はさらに細分化され、引き出し電圧設定部41a、マイクロ波パワー設定部41b、及び電磁石電流設定部41cとして機能する。
電磁石電流設定部41cは、ECRイオン源10において、電磁石13による磁場の回りを円運動する電子の周波数を、マイクロ波導波管20を通して印加するマイクロ波の周波数の近傍値に選定して、プラズマチャンバー12内に電子サイクロトロン共鳴(ECR)現象によるプラズマ11が生成しやすいように、電磁石13に流す電流値(閉じ込め磁場用電磁石電流値)を設定する。
マイクロ波パワー設定部41bは、ECRイオン源10のマイクロ波電源に対して、マイクロ波導波管20を通してプラズマチャンバー12内に入力するマイクロ波パワー(加速電場用入力パワー)の設定をする。この設定により、プラズマチャンバー12内に生成するプラズマ11の密度を変えることができる。
引き出し電圧設定部41aは、ECRイオン源10において、プラズマチャンバー12内に生成されたプラズマ11から、目的のイオンを所定のエネルギーで引き出すために、電極14に印加する所定の引き出し電圧を設定する。ここで、イオン種に応じた引き出し電圧等の設定例を[表1]に示す。
Figure 0006942347
この表1は、例として、ECRイオン源10において、酸素3価イオン、炭素2価イオン、及びヘリウム2価イオンを、核子当たりのエネルギーを8keV/nで引き出す場合に、引き出し電圧設定部41a、マイクロ波パワー設定部41b、及び電磁石電流設定部41cがそれぞれ設定する、引き出し電圧、加速電場用入力パワー、及び閉じ込め磁場用電磁石電流値(磁場)を示している。
真空ポンプ/バルブ開閉制御部42は、その機能はさらに細分化され、真空ポンプ制御部42a、遮断用ガスバルブ開閉制御部42b、及び流量調整用ガスバルブ開閉制御部42cとして機能する。
真空ポンプ制御部42aは、プラズマチャンバー12内を高真空に保持するように、真空ポンプ16の運転を制御する。
遮断用ガスバルブ開閉制御部42bは、例えば、目的のイオンが酸素3価イオンの場合、酸素ガス供給系の酸素ガス遮断用ガスバルブ22Aだけを開状態にし、他のメタンガス供給系のメタンガス遮断用ガスバルブ22Bとヘリウムガス供給系のヘリウムガス遮断用ガスバルブ22Cを閉状態にするように制御する(図2参照)。これにより、目的のイオンを生成するための原料ガスだけをECRイオン源10に供給することができる。
流量調整用ガスバルブ開閉制御部42cは、同様に、例えば、目的のイオンが酸素3価イオンの場合、酸素ガス供給系の酸素ガス流量調整用ガスバルブ23Aの開度の制御を行い、これにより、酸素ガス供給パイプ24A内を流動する酸素ガスの流量を調整できる。
マイクロ波パワーON/OFF制御部43(電離エネルギー供給期間制御部)は、ECRイオン源10のマイクロ波電源に対して、設定されたマイクロ波パワー(加速電場用入力パワー)の出力の制御(ON/OFF制御)をする。このマイクロ波パワーON/OFF制御部43は、加速器制御装置32のイオン種変更要求発信部56から受信したイオン種のイオンを生成するために適切なタイミングとして、パルス制御用ガスバルブ開閉制御部44によるガスバルブの開閉タイミングから所定のタイミングにマイクロ波パワーをONにして所定期間経過後にマイクロ波パワーをOFFにする。なお、マイクロ波パワーをONにする所定のタイミングは、図5の例ではガスバルブが閉じた時期を基準に定めているが、ガスバルブを開いた時点を基準に定めてもよい。
パルス制御用ガスバルブ開閉制御部44は、例えば、目的のイオンが酸素3価イオンの場合、酸素ガスパルス制御用ガスバルブ21Aがパルス的に開閉動作するよう制御する。これにより、酸素ガスパルス制御用ガスバルブ21Aは、閉状態から開状態になり、また元の閉状態に戻るという一連の状態の切り替えが素早く行え、このため、パルス的に短時間だけ開状態にできる。これにより、目的のイオンを生成するためにECRイオン源10に供給する原料ガスの供給量を必要最小限に抑えて調整でき、かつ当該原料ガスを短時間に供給できる。
ガス導入指令受信部45は、主加速器4の入射モードのタイミングに合わせてイオンビームを入射するために加速器制御装置32が発信するガス導入指令を受信する。
イオン種変更要求受信部46は、照射装置9が照射するイオンビームのイオン種(目的のイオン)を変更するに際して照射制御装置33が発信するイオン種変更要求と、主加速器4の出射モードから減速モードへの切替りのタイミングに合わせて加速器制御装置32が発信するトリガーとなるイオン種変更要求を受信する。
<加速器制御装置の機能ブロック>
加速器制御装置32は、イオン種変更要求発信部56、ガス導入指令発信部47、イオン分離電磁石電流設定部48、前段加速器運転制御部49、主加速器運転制御部50、イオン種変更要求受信部51、及び加速電圧設定要求受信部52として機能する。
イオン種変更要求発信部56は、主加速器4の出射モードから減速モードへの切替りのタイミングに合わせてトリガーとなるイオン種変更要求をイオン源制御装置31に発信する。
ガス導入指令発信部47は、主加速器4の入射モードのタイミングに合わせてイオンビームが入射するようにイオン源制御装置31にガス導入指令を発信する。
イオン分離電磁石電流設定部48は、イオン分離装置2において、イオンビームの中から目的の質量とイオン価数を有するイオン種(目的のイオン)をイオンビームの中から分離して取り出すために、目的のイオンに合わせてイオン分離電磁石に流す電流値を設定し、イオンビームに印加する磁場を制御する。
前段加速器運転制御部49は、前段加速器3の高周波電場を制御し、これにより、イオン分離装置2によって分離され取り出された目的のイオンのイオンビームを所定のエネルギーにまで加速する。
主加速器運転制御部50は、主加速器4の4つの各運転モード(入射モード、加速モード、出射モード、及び減速モード)において、それぞれ個別の運転を制御すると共に、これら4つの運転モードをこの順に繰り返して運転するように制御する。なお、入射モードから減速モードまでの1周期の時間は、数秒〜数十秒である。これにより、前段加速器3から繰り返し入射する目的のイオンのイオンビームを、その都度、治療等に必要な高エネルギーにまで加速する。
イオン種変更要求受信部51は、照射装置9が照射するイオンビームのイオン種(目的のイオン)を変更するに際して照射制御装置33が発信するイオン種変更要求を受信する。
加速電圧設定要求受信部52は、照射装置9が照射深度に合わせてイオンビームのエネルギー(加速電圧)や強度を変更するに際して照射制御装置33が発信する加速電圧設定要求を受信する。
<照射制御装置の機能ブロック>
照射制御装置33は、イオン種変更要求発信部53、加速電圧設定要求発信部54、ビーム照射ゲート開閉制御部55、及び照射野形成制御部57として機能する。
イオン種変更要求発信部53は、照射装置9が照射するイオンビームのイオン種(目的のイオン)を変更するに際してイオン源制御装置31と加速器制御装置32にイオン種変更要求を発信する。
加速電圧設定要求発信部54は、照射装置9が照射深度に合わせてイオンビームのエネルギー(加速電圧)や強度を変更するに際して加速器制御装置32に加速電圧設定要求を発信する。
ビーム照射ゲート開閉制御部55は、照射装置9が照射するイオンビームの射出口であるゲートの開閉を制御する。これにより、照射装置9が照射するイオンビームのそれぞれの照射スポットの3次元位置における照射線量を制御できる。
また、照射野形成制御部57は、照射装置9が照射するイオンビームの偏向角度を制御する。これにより、照射装置9がそれぞれの照射スポットに合わせてイオンビームの照射位置を制御できる。
<粒子線発生装置の動作>
図4は、粒子線発生装置100の動作を説明するタイムチャートである。
ここでは、照射装置9が、イオンビームとして酸素3価イオン(酸素ガスによる)を2回照射し、その後、炭素2価イオン(メタンガスによる)を1回、最後にヘリウム2価イオン(ヘリウムガスによる)を1回照射する場合を示している。
照射装置9は、主加速器4が繰り返し運転する入射モードから減速モードまでの一連の運転モードに同期させてイオンビームの照射を行う。そして、上述の照射装置9によるイオンビームの各回の照射は、主加速器4の出射モードの時に行われ、照射装置9のビーム照射ゲートを、所定のスパンを開けて断続的に数回所定の時間(開放時間)開状態にすることにより行われる。この時の開放時間は、数ミリ秒から数秒に設定されている。これにより、照射するイオンビームの強度が調整される。
図示するように、主加速器運転パターンが出射モードの間に照射装置ビーム照射ゲート開閉を行い、照射装置ビーム照射ゲート開閉が閉状態となり、かつ、次の入射モードに入るより前にイオン種変更要求を行う構成となっている。
また、イオン種変更要求の後、入射モードになるまでの間に、引出電圧、加速電場用入力パワー、閉じ込め磁場用電磁石電流、およびイオン分離電磁石電流は、次のイオン種に対応した値に設定される。
また、イオン種変更要求の後、導入ガスの切り替えに必要な時間が経過するまでは、ステータスを導入ガス種切替中とし、ステータスが導入ガス種切替中では無くなるまでガス導入指令を出さないようにしている。
なお、この図4の下方に示す「ガス導入指令」、「チャンバー真空度」、「加速電場用入力パワーON指令」は、他の項目に比べてON(開)となっている時間が極めて短い(1/10以下や1/100以下といった単位である)。このため、図示では、ON(開)になっている部分の時間軸を拡大して表記しており、OFF(閉)になっている部分を一部カットして表記している。実際には、この部分は図5に示すような時間軸となる。
≪イオンビーム生成動作≫
図5は、図4に示した動作を詳細に説明するタイムチャートの一部拡大図である。
イオン源装置1は、主加速器4が入射モードの時にイオンビームが主加速器4に入射できるようにイオンビームの生成を行う。
イオン源装置1の運転モードには、アイドリング状態の待機モードと、目的のイオンのイオンビームを生成するための条件設定をする条件設定モードと、現にイオンビームを生成する生成モードがある。
[待機モード]
待機モードでは、イオン源装置1は、イオン源制御装置31(真空ポンプ/バルブ開閉制御部42)の制御により、真空ポンプ16が作動しプラズマチャンバー12が真空引きの状態になっている。
[条件設定モード]
待機モードから条件設定モードへの移行は、照射制御装置33が発信するイオン種変更要求(ここでは、イオン種設定要求)をイオン源制御装置31が受信することにより開始される。ここでのイオン種設定要求は、例えば、酸素3価イオンを目的のイオン(イオン種)として設定することを要求するものとする。
なお、照射制御装置33が発信するイオン種設定要求は、加速器制御装置32にも発信される。
イオン源装置1では、酸素3価イオンのイオン種設定要求を受信したイオン源制御装置31(真空ポンプ/バルブ開閉制御部42)の制御により、酸素ガス遮断用ガスバルブ22Aが閉状態から開状態に切り替わり、酸素ガス流量調整用ガスバルブ23Aの開度が所定の値に調整される。これにより、ガス供給部26は、残りの酸素ガスパルス制御用ガスバルブ21Aを開状態にすれば、酸素ガスボンベ17Aから酸素ガス供給パイプ24A、ガス導入パイプ25、及びガスノズル19を介してプラズマチャンバー12内に所定の流量で酸素ガスを供給することのできる酸素ガス供給の準備態勢に入る。
また、イオン源装置1では、酸素3価イオンのイオン種設定要求を受信したイオン源制御装置31(ECR制御部41)の制御により、酸素3価イオンをプラズマチャンバー12内に閉じ込めるために電磁石13に流す所定の電流値(閉じ込め磁場用電磁石電流値)と、マイクロ波電源からプラズマチャンバー12内に入力する所定のマイクロ波パワーと、電極14に印加する所定の引き出し電圧が設定される(表1参照)。そして、電磁石13には設定された電流値の電流が流され、電極14には設定された引き出し電圧が印加される。ただし、この時点では、マイクロ波電源は、所定のマイクロ波パワーを設定して出力の準備をするだけで、プラズマチャンバー12内への実際の出力は行わない。
[生成モード]
次に、条件設定モードから生成モードへの移行は、加速器制御装置32が発信するガス導入指令をイオン源制御装置31が受信することにより開始される。加速器制御装置32は、主加速器4の入射モードのタイミングに合わせてイオンビームを入射させるために、ガス導入指令をイオン源制御装置31に発信する(図5参照)。
なお、加速器制御装置32は、照射制御装置33が発信するイオン種設定要求(ここでは、酸素3価イオンを目的のイオン(イオン種)として設定することを要求)を事前に受信しているため、イオン源制御装置31には酸素ガスを導入する旨のガス導入指令を発信する。
イオン源装置1では、ガス導入指令を受信したイオン源制御装置31(パルス制御用ガスバルブ開閉制御部44)の制御により、酸素ガスパルス制御用ガスバルブ21Aがパルス的に開閉する。なお、開状態が保持されるこの時のパルス幅Tgは1ミリ秒以下であることが好ましく、100マイクロ秒以下であることがより好ましく、10マイクロ秒以下であることがさらに好ましい。これにより、プラズマチャンバー12内に少量の酸素ガスを供給することができる。この際、プラズマチャンバー12内の圧力は、この酸素ガスの供給開始と同時に急上昇し、その後、下降に転じ徐々に下がっていく。プラズマチャンバー12内の真空度が、主加速器4が運転する入射モードから減速モードまでの1周期の時間内、あるいは2秒以内、好ましくは1秒以内に、酸素ガスを供給する以前の真空度に戻るように、プラズマチャンバー12内への酸素ガスの供給量を少量に調整し、かつ短時間に酸素ガスを供給する。
イオン源装置1では、イオン源制御装置31(マイクロ波パワーON/OFF制御部43)の制御により、酸素ガスパルス制御用ガスバルブ21Aのパルス的な開閉動作終了後、僅かにインターバルIgpを置いて、マイクロ波電源が、設定されていた所定のマイクロ波パワー(加速電場用入力パワー)をプラズマチャンバー12内に出力する。インターバルIgpは、プラズマチャンバー12内の酸素ガスによる圧力が、上昇から下降に転じて安定して下がり始めるまでの時間に設定するのが好ましい。これにより、プラズマチャンバー12内の酸素ガス量が高くしかも安定している時にマイクロ波パワーが出力されるため、安定して高密度のプラズマ11を生成することができる。また、マイクロ波パワー(加速電場用入力パワー)の出力時間Tpは、プラズマチャンバー12内の酸素ガス量が低下しすぎて、安定してプラズマ11が生成できなくなる時を終期の限界とした期間に設定する。すなわち、チャンバー内のガス量が増加を始めてから真空状態となるまでの期間Tcの間、言い換えれば変化するガス量変化曲線G1が存在する間のイオン生成に適した期間に出力時間Tpを設定する。これにより、多量のプラズマ11を生成することができる。同時に、当該プラズマ11中に多量の酸素3価イオン(目的のイオン)を発生させることができる。
プラズマチャンバー12内に生成されたプラズマ11中の酸素3価イオンは、電極14によりプラズマチャンバー12内から引き出された後、イオンビーム15となってイオン源装置1から射出され、そして、イオン分離装置2及び前段加速器3を経由して主加速器4に入射する。
以上で、イオン源装置1における生成モードでの運転は終了し、その後、酸素3価イオンの条件設定モードに戻る。その際、種々の設定はそのまま維持される。
なお、イオン分離装置2では、イオン種設定要求を受信した加速器制御装置32(イオン分離電磁石電流設定部48)の制御により、酸素3価イオン(目的のイオン)に合わせてイオン分離電磁石に流す電流値が設定され、イオンビームに印加する磁場が制御されている。
また、主加速器4では、加速器制御装置32(主加速器運転制御部50)の制御により、入射モードの最終段階で、イオンビームが前段加速器3を経由して入射するタイミングに合わせて、開放時間Tiの間だけ、イオンビーム入射ゲートが開状態となり、入射する酸素3価イオンのイオンビームを受け入れる。ここで、開放時間Tiは、照射制御装置33が加速器制御装置32に発信したイオン種設定要求の中で要求している酸素3価イオンの要求量に基づいて決定される。
なお、続けて、同じ酸素3価イオンのイオンビームを生成する場合には、この維持された酸素3価イオンの条件設定モードから、再度上述の酸素3価イオンの生成モードに移行すればよい(図4参照)。
≪イオン種変更動作≫
≪イオンビーム生成動作≫では、酸素3価イオンのイオンビームの生成動作を説明した。次に、イオン種を、例えば、酸素3価イオンから炭素2価イオンに変更する場合の動作を説明する(図4参照)。
イオン種の変更は、照射制御装置33がイオン種変更要求(ここでは、酸素3価イオンから炭素2価イオンへの変更要求)をイオン源制御装置31と加速器制御装置32とに発信することにより開始される。
加速器制御装置32は、照射制御装置33が発信するイオン種変更要求を受信した後で、主加速器4が出射モードから減速モードへ移行する時に、イオン源制御装置31にトリガーとなるイオン種変更要求を発信する。
イオン源制御装置31は、照射制御装置33からのイオン種変更要求に加えて、加速器制御装置32からのトリガーとなるイオン種変更要求を受信することで、イオン源装置1を酸素3価イオンの条件設定モードから炭素2価イオンの条件設定モードへの切り替えを開始する。
なお、イオン源制御装置31は、加速器制御装置32が発信するトリガーとなるイオン種変更要求の受信後の一定期間を、導入ガス種切替中として、イオン源装置1を生成モードに移行させないように制御する。
[条件設定モードの切替]
酸素3価イオンの条件設定モードから炭素2価イオンの条件設定モードへの移行に際しては、まず、酸素3価イオンの条件設定モードでの設定をすべてリセットする。そして、改めて炭素2価イオンの条件設定モードの設定を上述の酸素3価イオンの場合の設定と同様に行う。
すなわち、イオン源装置1では、炭素2価イオンへのイオン種変更要求を受信したイオン源制御装置31(真空ポンプ/バルブ開閉制御部42)の制御により、ガス供給部26のメタンガス遮断用ガスバルブ22Bが閉状態から開状態に切り替わり、メタンガス流量調整用ガスバルブ23Bの開度が所定の値に調整される。
また、イオン源装置1では、炭素2価イオンへのイオン種変更要求を受信したイオン源制御装置31(ECR制御部41)の制御により、炭素2価イオンをプラズマチャンバー12内に閉じ込めるために電磁石13に流す所定の電流値(閉じ込め磁場用電磁石電流値)と、マイクロ波電源からプラズマチャンバー12内に入力する所定のマイクロ波パワーと、電極14に印加する所定の引き出し電圧が設定される(表1参照)。そして、電磁石13には設定された電流値の電流が流され、電極14には設定された引き出し電圧が印加される。
なお、イオン分離装置2では、イオン種変更要求を受信した加速器制御装置32(イオン分離電磁石電流設定部48)の制御により、炭素2価イオンに合わせてイオン分離電磁石に流す電流値が設定され、イオンビームに印加する磁場が制御される。
[条件設定モードの切替後の生成モード]
生成モードへの移行は、主加速器4に入射モードのタイミングに合わせてイオンビームを入射させるために加速器制御装置32が発信するメタンガスのガス導入指令を、上述の導入ガス種切替中の期間外にイオン源制御装置31が受信することにより開始される。
イオン源装置1では、ガス導入指令を受信したイオン源制御装置31(パルス制御用ガスバルブ開閉制御部44)の制御により、メタンガスパルス制御用ガスバルブ21Bがパルス的に開閉する。これにより、プラズマチャンバー12内の圧力は、メタンガスの供給前は十分に低下しており、供給開始と同時に急上昇し、その後、下降に転じ徐々に下がっていく。なお、プラズマチャンバー12内の真空度が、主加速器4が運転する入射モードから減速モードまでの1周期の時間内、あるいは2秒以内、好ましくは1秒以内に、メタンガスを供給する以前の真空度に戻るように、プラズマチャンバー12内へのメタンガスの供給量は少量に調整される。
イオン源装置1では、イオン源制御装置31(マイクロ波パワーON/OFF制御部43)の制御により、メタンガスパルス制御用ガスバルブ21Bのパルス的な開閉動作終了後、僅かにインターバルIgpを置いて、マイクロ波電源が、設定されていた所定のマイクロ波パワー(加速電場用入力パワー)をプラズマチャンバー12内に出力し、プラズマ11を生成する。
プラズマチャンバー12内に生成されたプラズマ11中の炭素2価イオンは、電極14によりプラズマチャンバー12内から引き出された後、イオンビーム15となってイオン源装置1から射出され、そして、イオン分離装置2及び前段加速器3を経由して主加速器4に入射する。
以上で、イオン源装置1における炭素2価イオンの生成モードでの運転は終了し、その後、条件設定モードに戻る。その際、種々の設定はそのまま維持される。
上述の≪イオン種変更動作≫では、例として、酸素3価イオンから炭素2価イオンにイオン種を変更する場合の動作を説明したが、同様にして、炭素2価イオンからヘリウム2価イオンにイオン種を変更することができる。
以上の構成及び動作により、複数種類のガスのうち任意のガスをプラズマチャンバー12内に供給し、供給されたガスの種類に応じた種類のイオンを生成することができる。そして、複数種類のイオン種を生成するために、複数のECRイオン源10(プラズマチャンバー12)を必要としないため、イオン源装置1及び粒子線発生装置100の大型化を防止できる。
また、ガス供給部26は、複数種類のガスをそれぞれパルス的に短時間(1ミリ秒以下)だけ開状態にできるパルス制御用ガスバルブ(21A、21B,21C)を有している。
このため、プラズマチャンバー12内に少量のガスを短時間に供給することができる。これにより、主加速器4が繰り返し運転する入射モードから減速モードまでの1周期の時間(数秒〜数十秒)内に、プラズマチャンバー12内の圧力を、当該ガスを供給する以前の低い値(初期値)に戻すことができる。すなわち、プラズマチャンバー12内にガスを供給するタイミングで、プラズマチャンバー12内の圧力は、常にほぼ初期値に戻っているようにすることができる。そのため、複数種類のガスを短時間で切り替えて供給することができる。これにより、当該ガス供給部26を有するイオン源装置1は、複数種類のイオン種を短時間に切り替えて生成することができ、必要なイオン種を必要に応じて生成することができる。また、パルス制御用ガスバルブ(21A、21B,21C)は小さな部品であるため、これらを設けることによりイオン源装置1が大型化することもない。
マイクロ波電源(電離エネルギー供給部)は、パルス制御用ガスバルブが開状態から閉状態への移行後にプラズマチャンバー12内に電離エネルギー(マイクロ波パワー)の供給を開始するようになっている。
これにより、パルス制御用ガスバルブの開閉動作により供給されたガスにより急上昇したプラズマチャンバー12内の圧力が、ゆっくりと下降に転じて安定している状況下で、マイクロ波パワーの印加ができる。このため、供給するガス量が少量であっても、安定したプラズマ放電を生じさせることができる。また、プラズマチャンバー12内のガス量が比較的高い状態でプラズマ放電が開始されるため、高密度のプラズマ11が生成される。よって、当該プラズマ11中に、目的のイオンを高濃度でかつ多量に生成できる。
加速器制御装置32は、イオンビームを所定のタイミングで主加速器4へ入射するように所定の入射タイミングに合わせて、イオン源装置1のプラズマチャンバー12内にガスを供給させるガス導入指令を発信し、そして、イオン源制御装置31は、当該ガス導入指令を受信し、当該ガス導入指令に基づいてイオン源装置1のパルス制御用ガスバルブ(21A、21B,21C)をパルス的に短時間だけ開状態にするように制御する。
このため、主加速器4はイオン源装置1と連動して動作し、イオン源装置1で生成した目的のイオンの全てまたはその多くを確実に主加速器4に入射することができる。これにより、生成した目的のイオンや生成のために供給するガスの無駄が小さくなる。
また、プラズマチャンバー12内にガスを充填させた状態でプラズマ放電させてイオンを生成させてからガスを抜くのではなく、真空ポンプ16によりプラズマチャンバー12内のガスを吸引している環境下においてパルス的にガスを供給し、このパルス的なガスの供給によるプラズマチャンバー12内のガス量の変化(ガス量変化曲線G1)を想定し、そのガス量の変化の適宜のタイミング(出力時間Tp)でプラズマ放電させてイオンを生成されることにより、必要なイオンを生成しつつプラズマチャンバー12内のガスを短時間に排気できる。
従って、ガスの種類を変更して異なるイオンを生成するまでの時間を短縮することができる。また、イオン生成に用いたガスをプラズマチャンバー12内から短時間で十分に排気することで、イオン化した元素よりも重い元素がガスとして混ざっている状態を防止できる。これにより、軽いイオンの閉じ込め時間が短くなってしまって価数の大きいイオンの強度が上げ難いという状況を防止でき、短時間で十分に残留ガスを排気して価数の大きいイオンの強度を上げることが可能となる。
また、1回のガス供給で得られたイオンでは不足する場合、再度プラズマチャンバー12内に同じガスを供給してプラズマ放電させて同じイオンを生成することができる。これにより、必要なイオンの量が多い場合でも十分に対応できる。
図6は、他の例のイオン源装置101の構成を示す構成図である。以下、実施例1のイオン源装置1との相違点のみを説明する。
実施例1のイオン源装置1では、ガス供給部26において、酸素ガス供給系、メタンガス供給系、及びヘリウムガス供給系の各ガス供給パイプ(24A、24B、24C)にパルス制御用ガスバルブ(21A、21B、21C)が各1つ合計3つ設けられていた。
一方、この例のイオン源装置101は、ガス供給部126において、一端にガスノズル19が接続されたガス導入パイプ125にパルス制御用ガスバルブ21が1つ設けられている。
このため、部品点数が少なく小型化し、また、イオン源制御装置31によるパルス制御用ガスバルブ21の制御が容易になる。すなわち、実施例1のイオン源装置1では、供給するガス種別に、動作させるパルス制御用ガスバルブ(21A、21B、21C)を変更する必要があったが、この例のイオン源装置101では、供給するガス種にかかわらず、1つのパルス制御用ガスバルブ21を動作させればよくなる。
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述した実施例では加速器として前段加速器3と主加速器4を用いるシンクロトロンとしたが、これに限らず、円形加速器のみを用いるサイクロトロンとするなど、適宜の加速器を用いることができる。この場合も、任意の種類のガスをパルス的にプラズマチャンバー12内に供給して所望のイオンを得ることができ、上述した実施例と同一の作用効果を奏することができる。
この発明は、荷電粒子を照射する粒子線発生装置に利用することができる。
1…イオン源装置
2…イオン分離装置
3…前段加速器
4…主加速器
5…入射装置
6…偏向電磁石
7…加速空洞
8…出射装置
9…照射装置
10…ECRイオン源
11…プラズマ
12…プラズマチャンバー
13…電磁石
14…電極
15…イオンビーム
16…真空ポンプ
17A、17B、17C…ガスボンベ
19…ガスノズル
20…マイクロ波導波管
21、21A、21B、21C…パルス制御用ガスバルブ
22A、22B、22C…遮断用ガスバルブ
23A、23B、23C…流量調整用ガスバルブ
24A、24B、24C…ガス供給パイプ
25…ガス導入パイプ
26…ガス供給部
30…制御装置
31…イオン源制御装置
32…加速器制御装置
33…照射制御装置
100…粒子線発生装置

Claims (5)

  1. 真空中に導入したガスからイオンビームを生成するイオン源装置であって、
    内部が真空のチャンバーと、
    前記チャンバー内にガスを供給するガス供給部と
    前記ガスの原子をイオン化するための電離エネルギーを前記チャンバー内に供給する電離エネルギー供給部と
    を備え、
    前記ガス供給部は、異なる種類のガスが充填された複数のガスボンベと、前記ガスボンベに接続され前記チャンバーへガスを通すガス通路と、前記ガス通路に取り付けられパルス的に開状態にできるパルス制御用ガスバルブを有し、
    前記電離エネルギー供給部は、前記チャンバー内に前記電離エネルギーを供給する期間を、前記パルス制御用ガスバルブの開動作および閉動作によって前記チャンバー内のガス量が変化するガス量変化曲線におけるどの期間にするかを所望のイオン種に応じて制御する電離エネルギー供給期間制御部を備えた
    イオン源装置。
  2. 前記電離エネルギー供給期間制御部は、
    前記電離エネルギーを供給する前記期間を、前記パルス制御用ガスバルブが開状態から閉状態へ移行した後とする制御も実行する構成である
    請求項記載のイオン源装置。
  3. イオンビームを生成するイオン源装置と、
    前記イオン源装置で生成されたイオンビームから目的のイオン以外を取り除くイオン分離装置と、
    前記イオン分離装置で目的のイオン以外を取り除いたイオンビームを加速して出射する主加速器と、
    前記主加速器から出射された高エネルギーイオンビームを標的に照射する照射装置とを備えた粒子線発生装置であって、
    前記イオン源装置は、請求項1または2記載のイオン源装置であり、
    前記照射装置から照射するイオン種の変更を要求するイオン種変更要求発信部と、
    前記イオン種変更要求発信部によるイオン種の変更の要求に従って、前記イオン源装置の前記複数のガスボンベのうち一部のガスボンベから前記ガスを前記チャンバー内に供給するよう前記パルス制御用ガスバルブの開閉を制御するガスバルブ開閉制御部とを有する
    粒子線発生装置。
  4. 前記主加速器は、イオンを加速する加速モードと、加速したイオンを出射する出射モードと、減速を行う減速モードと次の加速モードまで待機する入射モードの4モードの運転を実施する構成であり、
    前記イオン種変更要求発信部によるイオン種の変更要求は前記出射モードまたは前記減速モードまたは前記入射モード中に実行し、
    前記イオン源装置によるイオンの生成を前記入射モード中に実行する構成である
    請求項記載の粒子線発生装置。
  5. 内部が真空のチャンバーと、前記チャンバー内にガスを供給するガス供給部と、前記ガスの原子をイオン化するための電離エネルギーを前記チャンバー内に供給する電離エネルギー供給部とを備えたイオン源装置により真空中に導入したガスからイオンビームを生成するイオンビーム生成方法であって、
    前記ガス供給部は、異なる種類のガスが充填された複数のガスボンベと、前記ガスボンベに接続され前記チャンバーへガスを通すガス通路と、前記ガス通路に取り付けられパルス的に開状態にできるパルス制御用ガスバルブを有しており、
    異なる種類のガスが充填された前記複数のガスボンベのうちの一部のガスボンベに対応するパルス制御用ガスバルブを動作させて前記チャンバー内に前記ガスをパルス的に導入する
    イオンビーム生成方法。
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