以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るトルク伝達機構、および、トルク伝達機構を備えた浴槽用手摺りについて説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。
図1は、浴槽用手摺り100の斜視図である。図2は、浴槽用手摺り100の分解斜視図である。図3は、浴槽用手摺り100の側面断面図である。以下の説明では、前、後、左、右、上、下とは、浴槽用手摺り100を浴槽2(図3参照)に取り付けた状態において、浴槽2の内側から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。言い換えると、前、後、左、右、上、下とは、後述する側部グリップ12を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味する。各図面中における符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。ただし、これらの方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、浴槽用手摺り100の態様を何ら限定するものではない。
浴槽用手摺り100は、高齢者などの利用者が浴室に配置された浴槽2(図3参照)に出入りする際、または、浴槽2内で座っている状態から立ち上がる際に、利用者によって把持され、利用者を支えるものである。図3に示すように、浴槽用手摺り100は、例えば、浴槽2の側壁2aを挟むようにして浴槽2に取り付けられる。図1に示すように、浴槽用手摺り100は、本体10と、上部グリップ11と、側部グリップ12と、第1押圧板15と、第2押圧板16と、トルク伝達機構17とを備えている。
本体10は、下方に開口した略コ字状の部材である。図3に示すように、本体10は、略L字状の固定フレーム20と、略L字状の可動フレーム30とを有している。固定フレーム20は、第1縦フレーム21と、第1横フレーム22とを有している。第1縦フレーム21は、浴槽2の側壁2aの一方側(図3では、側壁2aの右側)に配置されている。本実施形態では、第1縦フレーム21は、浴槽2の外側、すなわち、利用者が身体を洗う洗い場側に配置されている。第1縦フレーム21は、上下方向に延びており、浴槽2の側壁2aと平行になるように配置されている。なお、本明細書において「平行」には、厳密に平行の状態の他に、若干傾いた状態も含まれる。第1横フレーム22は、第1縦フレーム21の上端から前方(言い換えると、可動フレーム30に向かう方向)に延びている。
なお、本実施形態では、固定フレーム20には、保護カバー23a、23b、23cが取り付けられていてもよい。例えば、保護カバー23aは、第1横フレーム22の上面を覆うカバーであり、保護カバー23bは、第1縦フレーム21の後面を覆うカバーである。保護カバー23cは、第1縦フレーム21の前面の下部を覆うカバーである。また、第1横フレーム22の下面には、浴槽2の側壁2aの上面と接触可能な樹脂板24が設けられていてもよい。
本実施形態では、図1に示すように、固定フレーム20の下部には、下方に延びた支持棒25が設けられている。支持棒25の下端は、例えば浴室の床(図示せず)に接触しており、支持棒25は本体10を支持している。例えば、支持棒25は、図3に示すように、第1縦フレーム21と保護カバー23bとの間に配置され、ネジ25a(図2参照)によって第1縦フレーム21に取り付けられている。なお、支持棒25は、長さ調整が可能な機構を有していてもよい。
可動フレーム30は、固定フレーム20に対して前後方向に可動するものである。可動フレーム30は、第2縦フレーム31と、第2横フレーム32とを有している。第2縦フレーム31は、第1縦フレーム21と対向しており、浴槽2の側壁2aの他方側(図3では、側壁2aの左側)に配置されている。本実施形態では、第2縦フレーム31は、浴槽2の内側に配置されている。第2縦フレーム31は、上下方向に延びており、浴槽2の側壁2aと平行になるように配置されている。第2横フレーム32は、第2縦フレーム31の上端から後方(言い換えると、固定フレーム20に向かう方向)に延びている。第2横フレーム32は、第1横フレーム22に対してスライド自在に設けられている。
本実施形態では、図2に示すように、第1横フレーム22には、左右の中央部分において前後に並んだ複数(ここでは、2つ)の固定用ネジ孔22a、および、固定用ネジ孔22aの左右両側に配置された一対のガイド用ネジ孔22bが形成されている。第2横フレーム32には、固定用ネジ孔22aに対応する位置に配置され、前後に並んだ複数(ここでは、5つ)の貫通孔32a、および、一対のガイド用ネジ孔22bに対応する位置に配置され、かつ、貫通孔32aの左右両側に配置され、前後に延びた一対のスリット32bが形成されている。図3に示すように、第1横フレーム22の一部と第2横フレーム32の一部とを重ね、固定用ネジ孔22aおよび複数の貫通孔32aのうち2つの貫通孔32aに固定用ネジ22aaを挿入する。また、図2に示すように、ガイド用ネジ孔22bおよびスリット32bにガイド用ネジ22baを挿入する。このことで、固定フレーム20に対して可動フレーム30を固定することができる。なお、図3に示すように、可動フレーム30を固定フレーム20に固定している状態において、可動フレーム30の第2横フレーム32の後部は保護カバー23aに覆われている。本実施形態では、固定用ネジ22aaが挿入される貫通孔32aを変更することで、第1縦フレーム21と第2縦フレーム31との距離を調整することができる。なお、本実施形態では、第1横フレーム22および第2横フレーム32によって、横フレーム33が構成されている。横フレーム33は、第1縦フレーム21と第2縦フレーム31とに架け渡されている。
上部グリップ11(図1参照)は、例えば利用者が浴槽2を出入りする際に使用されるものである。上部グリップ11は、本体10の横フレーム33(図3参照)の上方に配置されるように本体10に設けられている。本実施形態では、図2に示すように、上部グリップ11には、下方に延びた左右一対の支柱11aが設けられている。固定フレーム20の第1縦フレーム21の後部には、左右一対の円筒状の挿入部26が設けられている。図1に示すように、挿入部26には、支柱11aがスライド自在に挿入されている。左右一対の支柱11aが挿入部26に対してスライド移動することで、上部グリップ11の高さを調整することが可能である。なお、上部グリップ11の形状は特に限定されない。例えば、上部グリップ11は、平面視において環状の部材である。なお、図3では、上部グリップ11および一対の支柱11aは省略されている。
側部グリップ12(図1参照)は、浴槽2の内側に配置されるものであり、例えば浴槽2内で座っている利用者が立ち上がる際に使用されるものである。図3では、側部グリップ12は省略されている。図2に示すように、側部グリップ12は、可動フレーム30の第2縦フレーム31の前面に設けられている。なお、側部グリップ12の形状は特に限定されない。図4は、側部グリップ12、第2押圧板16およびトルク伝達機構17の分解斜視図である。本実施形態では、図4に示すように、側部グリップ12は、取付部41と、グリップ部42とを有している。
取付部41は、複数(ここでは、4つ)のネジ43によって、第2縦フレーム31に取り付けられている。取付部41は、カバー49によって覆われていてもよい。例えば、カバー49は、少なくとも一部が後述するノブ63より上方に配置される上カバー49aと、少なくとも一部がノブ63より下方に配置される下カバー49bとを有している。ここでは、取付部41には、上端から中央部分に向かって凹んだ凹部41aが設けられている。この凹部41aは、第2縦フレーム31に形成された貫通孔31aと連通している。グリップ部42は、左グリップ部42Lと、右グリップ部42Rとを有している。左グリップ部42Lは、取付部41の左側に設けられており、右グリップ部42Rは、取付部41の右側に設けられている。左グリップ部42Lと右グリップ部42Rとは、左右対称の形状を有している。左グリップ部42Lおよび右グリップ部42Rは、略U字状に形成されている。本実施形態では、左グリップ部42Lおよび右グリップ部42Rは、取付部41から離れるに従って、前方(言い換えると、第2縦フレーム31から離れる方向)に突出している。
図3に示すように、第1押圧板15は、第1縦フレーム21と第2縦フレーム31との間であって、浴槽2の側壁2aの一方側(図3では、側壁2aの右側であり、浴槽2の外側)に配置される。第1押圧板15は、第1縦フレーム21の第2縦フレーム31側の面(本実施形態では、前面)に設けられている。本実施形態では、第1縦フレーム21の上部であって、第1縦フレーム21の第2縦フレーム31側の面には、支持部材27が設けられている。支持部材27の前部に第1押圧板15が設けられている。なお、第1押圧板15の形状および材料は特に限定されない。ここでは、第1押圧板15は、左右に延びた矩形状の部材であり、樹脂製の部材である。
第2押圧板16は、本発明の押圧板の一例である。第2押圧板16は、第1縦フレーム21と第2縦フレーム31との間であって、浴槽2の側壁2aの他方側(図3では、側壁2aの左側であり、浴槽2の内側)に配置される。第2押圧板16は、第1押圧板15と対向しており、第2縦フレーム31の第1縦フレーム21側の面(本実施形態では、後面)に設けられている。第2押圧板16の構成は特に限定されない。本実施形態では、第2押圧板16は、図4に示すように、矩形状の本体板51と、本体板51の後面に設けられた矩形状の樹脂ラバー52とを有している。詳しくは後述するが、図3に示すように、本体板51は、後述のボルト軸61の後端に設けられている。樹脂ラバー52は、浴槽2の側壁2aに接触する。図4に示すように、本体板51の後面には円形の複数の凹部51aが形成され、樹脂ラバー52の前面には円形の複数の凸部52aが形成されている。これら凹部51aに凸部52aを嵌め込むことで、本体板51に樹脂ラバー52が装着される。ここでは、図3に示すように、第1押圧板15と第2押圧板16が浴槽2の側壁2aを挟むことで、浴槽用手摺り100を浴槽2に取り付けることができる。
次に、トルク伝達機構17について説明する。トルク伝達機構17は、第2押圧板16を第1縦フレーム21に近づく方向と第1縦フレーム21から離れる方向とに移動させるものである。トルク伝達機構17は、後述するノブ63から第2押圧板16にトルクを伝達させることで、第2押圧板16を前後方向に移動させるものである。トルク伝達機構17は、第2縦フレーム31に設けられている。図5は、側部グリップ12、第2押圧板16およびトルク伝達機構17の側面断面図である。図5は、第2押圧板16が第1押圧板15に最も接近している状態を示す図である。図5に示すように、トルク伝達機構17は、ボルト軸61と、ナット62と、ノブ63と、伝達部材81と、伝受部材82と、コイルバネ83とを備えている。
ボルト軸61は、前後方向に延びた部材である。ボルト軸61は、一端部61aと、螺合部61bとを有している。一端部61a(ここでは、後端部)は、第2押圧板16に接続され、第2押圧板16を支持している。本実施形態では、図4に示すように、第2押圧板16の本体板51の中央部分には、ボルト軸61の一端部61aと嵌合する固定孔51bが形成されている。ボルト軸61の一端部61aを固定孔51bに挿通し、一端部61aが露出した側からネジ53によってネジ止めすることで、第2押圧板16がボルト軸61に取り付けられる。なお、第2押圧板16とネジ53との間には、プレート54が設けられていてもよい。図5に示すように、螺合部61bには、雄ねじが形成されている。螺合部61bの前側には、ナット62の後述する螺合部71の前端に接触するフランジ61cが設けられている。本実施形態では、図4に示すように、ここでは、第2縦フレーム31の第2押圧板16側の面には、ワッシャー68およびフランジ板69が設けられており、ネジ69bによって第2縦フレーム31に取り付けられている。フランジ板69は、第1カバー69aに覆われている。第1カバー69aを覆うように第2カバー69cが設けられ、第2カバー69cは、ネジ69dによって第2縦フレーム31に取り付けられている。ボルト軸61は、側部グリップ12の取付部41に設けられた凹部41a、第2縦フレーム31の貫通孔31a、ワッシャー68、フランジ板69、第1カバー69a、第2カバー69cに挿入されている。
ナット62は、本発明の「被回転部材」の一例である。ナット62は、前後方向の延びた軸を中心に回転可能である。ナット62は、第2縦フレーム31に回転自在に設けられている。ここでは、ナット62は、側部グリップ12の取付部41の凹部41a(図4参照)、および、第2縦フレーム31の貫通孔31a(図4参照)に挿入され、ナット62には、ボルト軸61が挿入されている。本実施形態では、ナット62は、螺合部71と、筒部72とを有する。螺合部71は、ナット62の後部の内部に形成されており、ボルト軸61の螺合部61bと螺合する雌ねじが形成されている。筒部72は、螺合部71における第1縦フレーム21と反対側に設けられている。筒部72の内部にはナット側空間73が形成されている。ナット側空間73には、螺合部71と螺合するボルト軸61の一部が配置される。なお、ナット側空間73の形状は特に限定されないが、例えば円柱形状である。ここでは、ナット側空間73の径は、螺合部71によって囲まれた空間の径よりも長い。本実施形態では、ナット62の前部の外周面には、フランジ74が形成されている。また、ナット62の後部の外周面には、溝状の凹部75が形成されている。
ノブ63は、本発明の「回転部材」の一例である。ノブ63は、所定の方向(ここでは、前後方向)に延びた軸を中心に回転可能である。ノブ63は、ナット62にトルク(言い換えると、回転力)を伝達するものである。ノブ63は、ナット62を覆うように第2縦フレーム31に回転自在に設けられている。ノブ63は、第2縦フレーム31の第1縦フレーム21とは反対側の面に配置されており、前方に向かって突出している。ノブ63は、側部グリップ12の取付部41の凹部41aおよび第2縦フレーム31に形成された貫通孔31aに挿入されている。ここでは、ノブ63の内部には、空間76が形成されている。ノブ63の前部は開口しており、その開口部分にはキャップ63aが装着されている。空間76には、ナット62およびボルト軸61の少なくとも一部が配置されている。ここでは、ノブ63が所定の回転方向(ここでは、正面視において時計回りの方向)に回転するとき、第2押圧板16が第1縦フレーム21に接近するよう(ここでは、後方)に移動する。一方、ノブ63が正面視において反時計回りの方向に回転するとき、第2押圧板16が第1縦フレーム21から離れるよう(ここでは、前方)に移動する。しかしながら、ノブ63が正面視において反時計回りの方向に回転するとき、第2押圧板16が第1縦フレーム21に接近するように移動してもよい。
伝達部材81および伝受部材82は、ノブ63から伝達されるトルクが所定の値未満の場合、ノブ63からナット62へトルクを伝達するものである。また、伝達部材81および伝受部材82は、ノブ63から伝達されるトルクが所定の値以上の場合、ノブ63からナット62へのトルクの伝達を遮断するものである。
図6は、伝達部材81を示す斜視図である。図6に示すように、伝達部材81は、円盤状の部材である。しかしながら、伝達部材81の形状は特に限定されない。図5に示すように、伝達部材81は、ナット62を囲むように配置されている。伝達部材81は、ノブ63と係合しており、ノブ63が回転することで回転する。本実施形態では、伝達部材81には、外縁から放射方向に突出した複数(ここでは、4つ)の凸部86が形成されている。ただし、凸部86の数は、特に限定されない。図示は省略するが、ノブ63の内周面には、凸部86と嵌合する凹部が形成されている。この凸部86と上記凹部とが嵌合することで、ノブ63が回転すると共に伝達部材81が回転する。伝達部材81の材質は特に限定されないが、例えば金属である。本実施形態では、伝達部材81は、ナット62の軸方向に対して直交するトルク伝達面87を有している。図7は、伝達部材81と伝受部材82とが係止している状態を示す図である。ここでは、図7に示すように、トルク伝達面87とは、伝達部材81の伝受部材82側の面(ここでは、後面)のことである。トルク伝達面87は、伝受部材82に当接可能である。
図5に示すように、伝受部材82は環状の部材であるが、伝受部材82の形状は特に限定されない。伝受部材82は、ナット62を囲むように配置されている。伝受部材82は、伝達部材81の第1縦フレーム21側(ここでは、後側)に配置されている。伝達部材81と伝受部材82とは、前後方向に並んでいる。図8は、伝受部材82を示す斜視図である。図8に示すように、伝受部材82は、円盤状の円盤部82aと、円盤部82aから後方に突出した複数(ここでは4つ)の突起82bとを有している。図5に示すように、伝受部材82は、ナット62と係合しており、ナット62と共に回転する。本実施形態では、伝受部材82の突起82b(図8参照)の後端には、ネジ69bによってネジ止めされたフランジ板69が設けられている。このフランジ板69は、ナット62を囲むように配置されており、ナット62に形成された溝状の凹部75に嵌合している。本実施形態では、図7に示すように、伝受部材82は、ナット62の軸方向に対して直交するトルク伝受面88を有している。ここでは、トルク伝受面88は、円盤部82aの伝達部材81側の面(ここでは、前面)である。トルク伝受面88は、トルク伝達面87と対向している。トルク伝受面88は、トルク伝達面87と接触可能である。なお、図4に示すように、伝受部材82の後面には、ワッシャー85が設けられていてもよい。伝受部材82の材質は特に限定されないが、例えば金属である。
本実施形態では、図7に示すように、トルク伝達面87およびトルク伝受面88は、それぞれノブ63から伝達されるトルクが所定の値未満の場合には互いに滑らず、トルク伝達面87とトルク伝受面88とを相互に係止するように構成されている。ノブ63から伝達されるトルクが所定の値未満の場合、トルク伝達面87とトルク伝受面88とは噛み合っている。また、トルク伝達面87およびトルク伝受面88は、それぞれノブ63から伝達されるトルクが所定の値以上の場合には互いに滑るように構成されている。
なお、トルク伝達面87およびトルク伝受面88が相互に係止したり、滑りが生じたりするための具体的な構成は特に限定されない。本実施形態では、トルク伝達面87およびトルク伝受面88の一方の面には、凸部91が形成されている。そして、トルク伝達面87およびトルク伝受面88の他方の面には、凸部91と嵌合可能な凹部92が形成されている。ここでは、伝達部材81のトルク伝達面87に凸部91が形成されている。伝受部材82のトルク伝受面88に凹部92が形成されている。
図6に示すように、凸部91は、トルク伝達面87の内縁から外縁に向かって延びている。図7に示すように、凸部91はトルク伝受面88に向かって突出している。凸部91は、トルク伝達面87の径方向に延びている。凸部91の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数であってもよい。ここでは、図6に示すように、凸部91の数は8つである。凸部91の具体的な形状は、特に限定されない。図9は、伝達部材81と伝受部材82とが係止している状態を示す伝達部材81および伝受部材82の一部拡大図である。本実施形態では、図9に示すように、凸部91は、凸部側傾斜面91aと、凸部側平面91bと、凸部側垂直面91cとを有している。凸部側傾斜面91aは、所定の回転方向R1(ここでは、正面視において時計回りの方向R1)に向かう側の凸部91の側端(図9では、下側の端)に形成されている。凸部側傾斜面91aは、トルク伝達面87からトルク伝受面88に向かうにしたがって、凸部91における伝達部材81の周方向の中心に向かって傾斜している。
凸部側平面91bは、凸部側傾斜面91aの後端から所定の回転方向R1とは反対の方向R2(ここでは、正面視において反時計回りの方向R2)に延びている。凸部側垂直面91cは、正面視において反時計回りの方向R2に向かう側の凸部91の側端(図9では、上側の端)に形成されている。凸部側垂直面91cは、トルク伝達面87から凸部側平面91bに向かって延びている。
図8に示すように、凹部92は、トルク伝受面88の内縁から外縁に向かって延びている。図7に示すように、凹部92は、トルク伝達面87とは反対側に凹んでいる。凹部92は、トルク伝受面88の径方向に延びている。凹部92の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数であってもよい。ここでは、図8に示すように、凹部92の数は、凸部91の数と同じであり、8つである。凹部92の具体的な形状は特に限定されない。本実施形態では、図9に示すように、凹部92は、凹部側傾斜面92aと、凹部側平面92bと、凹部側垂直面92cとを有している。凹部側傾斜面92aは、正面視において時計回りの方向R1に向かう側の凹部92の側端(図9では、下側の端)に形成されている。凹部側傾斜面92aは、トルク伝受面88からトルク伝達面87の反対側に向かうにしたがって、凹部92における伝受部材82の周方向の中心に向かって傾斜している。伝達されるトルクが所定の値未満の場合、凹部側傾斜面92aは、凸部側傾斜面91aと対向し、かつ、凸部側傾斜面91aと接触している。
凹部側平面92bは、凹部側傾斜面92aの後端から、正面視において反時計回りの方向R2に延びている。凹部側平面92bは、伝達されるトルクが所定の値未満の場合、凸部側平面91bと対向し、かつ、凸部側平面91bと接触している。凹部側垂直面92cは、正面視において反時計回りの方向R2に向かう側の凹部92の側端(図9では、上側の端)に形成されている。凹部側垂直面92cは、トルク伝受面88から凹部側平面92bに向かって延びている。凹部側垂直面92cは、伝達されるトルクが所定の値未満の場合、凸部側垂直面91cと対向し、かつ、凸部側垂直面91cと接触している。
コイルバネ83は、本発明の弾性体の一例である。図5に示すように、コイルバネ83は、ナット62を囲むように配置されている。詳しくは、コイルバネ83は、ノブ63の空間76に配置されており、圧縮された状態で、ナット62のフランジ74と、伝達部材81との間に介在している。コイルバネ83は、ナット62に支持されており、特に、コイルバネ83の少なくとも一部は、ナット62の筒部72に支持されている。コイルバネ83の前端は、ナット62のフランジ74に当接し、コイルバネ83の後端は、伝達部材81に当接している。コイルバネ83は、トルク伝達面87がトルク伝受面88に近づくように、ここではトルク伝達面87とトルク伝受面88とが当接するように、伝達部材81を伝受部材82に向けて付勢する。言い換えると、コイルバネ83は、トルク伝達面87がトルク伝受面88に押し付けられるように、伝達部材81に弾性力を付与する。
本実施形態では、コイルバネ83の弾性力によって、トルク伝達面87とトルク伝受面88の間には常に一定の摩擦力が生じている。このとき、ノブ63からナット62へ伝達されるトルクが所定の値未満の場合、図7に示すように、凸部91と凹部92とが嵌合している状態となる。そのため、ノブ63と共にナット62が回転するため、ノブ63からナット62にトルクが伝達される。一方、ノブ63からナット62へ伝達されるトルクが所定の値以上の場合、凸部91と凹部92との嵌合状態が解除され、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間で滑りが生じ、トルク伝達面87がトルク伝受面88に対してスライドする。そのため、ノブ63の回転と共にナット62が回転しないため、ノブ63からナット62へトルクが伝達されない。
ところで、トルク伝達機構17を長期間使用していると、伝達部材81から伝受部材82に伝達されるトルクが所定の値以上の場合、トルク伝達面87とトルク伝受面88とが滑り難くなることがあり得る。本願発明者は、トルク伝達面87とトルク伝受面88とが滑り難くなる原因について検討した。その結果、本願発明者は、トルク伝達面87とトルク伝受面88とが擦れることで発生する金属カスや、浴槽2で使用される水による水垢が、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間に入り込むことで、トルク伝達面87とトルク伝受面88とが滑り難くなることを見出した。そこで、本願発明者は、下記のような構成を伝達部材81および伝受部材82に追加することで、伝達されるトルクが所定の値以上の場合に、トルク伝達面87とトルク伝受面88とが滑り難くなりにくくなることを見出した。
本実施形態では、図7に示すように、伝達部材81のトルク伝達面87に第1溝95が形成され、伝受部材82のトルク伝受面88の凹部92に第2溝96が形成されている。第1溝95および第2溝96は、トルク伝達面87とトルク伝受面88とが擦れることで発生する金属カスや水垢が入り込む空間である。第1溝95および第2溝96は、本発明におけるトルク伝達面の一部とトルク伝受面の一部との間に形成された「空間」の一例である。図6に示すように、第1溝95は、トルク伝達面87の内縁から外縁に向かって延び、かつ、トルク伝達面87の径方向に延びた溝である。ここでは、第1溝95の数は8つである。しかしながら、第1溝95の数は特に限定されない。また、第1溝95の位置も特に限定されない。ここでは、第1溝95は、凸部91と伝達部材81の周方向に隣り合うトルク伝達面87の部位に形成されている。図7に示すように、第1溝95は、凸部91における所定の回転方向R1(ここでは、正面視において時計周りの方向R1)に向かう側に位置して、凸部側傾斜面91aと伝達部材81の周方向で隣り合っている。
図8に示すように、第2溝96は、トルク伝受面88の内縁から外縁に向かって延び、トルク伝受面88の径方向に延びた溝である。本実施形態では、第2溝96の数は8つであるが、第2溝96の数は特に限定されない。第2溝96の数は、第1溝95の数と同じである。また、第2溝96の位置も特に限定されない。ここでは、図7に示すように、第2溝96は、凹部92の端部側の凹部92の部位に形成されている。詳しくは、第2溝96は、凹部92のうち、正面視において時計回りの方向R1に向かう側の凹部92の部位に形成されている。図9に示すように、第2溝96は、凹部側傾斜面92aと伝受部材82の周方向で隣り合っている。このように、第1溝95および第2溝96によって、トルク伝達面87の一部は、トルク伝受面88から離間している。
第1溝95および第2溝96の大きさは特に限定されない。本実施形態では、第1溝95の周方向の平均の長さL11は、第2溝96の周方向の平均の長さL21と同じである。しかしながら、長さL11は、長さL21よりも短くてもよいし、長くてもよい。第1溝95の周方向の平均の長さL11、および、第2溝96の周方向の平均長さL21は、それぞれ凸部91の周方向の平均の長さL31よりも短く、例えば、長さL31の1/2以下である。ただし、長さL11および長さL21は、それぞれ長さL31の1/2よりも長くてもよい。また、第1溝95の周方向の平均の長さL11、および、第2溝96の周方向の平均の長さL21は、凹部92の周方向の平均の長さL41よりも短く、例えば、長さL41の1/2以下である。ただし、長さL11および長さL21は、それぞれ長さL41の1/2よりも長くてもよい。
本実施形態では、第1溝95の平均の深さL12は、第2溝96の平均の深さL22と同じである。しかしながら、深さL12は、深さL22よりも深くてもよいし、浅くてもよい。第1溝95の平均の深さL12、および、第2溝96の平均の深さL22は、それぞれ凸部91の平均の高さL32と同じである。しかしながら、深さL12および深さL22は、高さL32よりも短くてもよいし、長くてもよい。また、第1溝95の平均の深さL12、および、第2溝96の平均の深さL22は、それぞれ凹部92の平均の深さL42と同じである。しかしながら、深さL12および深さL22は、深さL42よりも深くてもよいし、浅くてもよい。
本実施形態では、凸部91の凸部側傾斜面91aと凸部側平面91bとの接続部分91d、および、トルク伝受面88と凹部側傾斜面92aとの接続部分92dには、それぞれアールが形成されている。接続部分91dに形成されたアールの曲率半径と、接続部分92dに形成されたアールの曲率半径は、同じであるが、異なっていてもよい。ここでは、接続部分91d、92dに形成されたアールの曲率半径は、0.6mm〜3.0mmであり、より好ましくは、1.0mm〜2.5mm、例えば、2.0mmである。なお、接続部分91d、92dに形成されたアールは、製造時に意図的に形成されたものである。すなわち、接続部分91d、92dに形成されたアールは、製造装置の構成上、非意図的に形成されるものではない。なお、接続部分91d、92d以外の伝達部材81および伝受部材82の一部(例えば、角)には、曲率半径が例えば0.5mm以下のアールが形成されていてもよい。この曲率半径が例えば0.5mm以下のアールは、製造装置の構成上、非意図的に形成されたものである。
以上、本実施形態に係る浴槽用手摺り100の構成について説明した。次に、浴槽用手摺り100を浴槽2の側壁2aに取り付ける手順について説明する。まず、図3に示すように、第1縦フレーム21と第2縦フレーム31との間に浴槽2の側壁2aが配置されるように、浴槽用手摺り100を浴槽2に配置する。このとき、第1押圧板15と第2押圧板16との間に浴槽2の側壁2aが配置されている。なお、仮に側壁2aの厚みが薄い場合や厚い場合には、固定用ネジ22aaが挿入される第2横フレーム32の貫通孔32aを変更することで、第1押圧板15と第2押圧板16との間の距離を調整するとよい。次に、第2押圧板16が第1縦フレーム21側、すなわち、後方に移動するように、ノブ63を正面視において時計回りの方向R1(図7参照)に回転させる。
本実施形態では、第2押圧板16が前後方向に移動する際、本体10、ナット62、ノブ63、伝達部材81および伝受部材82の前後方向における相対的な位置は変更されない。ここでは、ナット62に対して、ボルト軸61が前後方向に移動することで、第2押圧板16が前後方向に移動する。例えば第2押圧板16が後方に移動するように、ノブ63を正面視において時計回りの方向R1(図7参照)に回転させるとき、ナット62へ伝達される予定のトルクが所定の値未満の場合、ノブ63からナット62へトルクが伝達される。具体的には、ノブ63が回転することで、伝達部材81が共に回転する。このとき、伝達部材81は、コイルバネ83によって伝受部材82に押し付けられた状態であり、トルクが所定の値未満のとき、図8に示すように、トルク伝達面87の凸部91とトルク伝受面88の凹部92とが嵌合している。そのため、伝達部材81の回転と共に、伝受部材82が回転する。本実施形態では、伝受部材82はナット62と係合しているため、伝受部材82が回転することで、ナット62が回転する。このようにして、ノブ63からナット62へトルクが伝達される。
図5に示すように、ノブ63からナット62へトルクが伝達されたとき、ナット62は、第2縦フレーム31に対して回転する。このとき、ナット62の螺合部71に螺合しているボルト軸61は、ナット62の回転によって、後方に移動する。ボルト軸61が後方に移動することで、第2押圧板16が後方へ移動する。そして、第1押圧板15と第2押圧板16との間の距離が短くなり、第2押圧板16は、浴槽2の側壁2aを第1押圧板15に押し付ける。このことによって、浴槽用手摺り100を浴槽2の側壁2aに強固に取り付けることができる。
なお、本実施形態では、ノブ63を回転させるとき、ナット62へ伝達される予定のトルクが所定の値以上の場合、ノブ63からナット62へトルクが伝達されず、第2押圧板16は前後方向に移動しない。ここでは、ノブ63が回転することで、伝達部材81が共に回転する。このとき、伝達部材81は、コイルバネ83によって伝受部材82に押し付けられた状態であり、かつ、トルクが所定の値以上のとき、トルク伝達面87の凸部91とトルク伝受面88の凹部92との嵌合状態が解除される。このとき、凸部91の凸部側傾斜面91aが凹部92の凹部側傾斜面92aを乗り上げることで、トルク伝達面87がトルク伝受面88に対してスライドするため、伝達部材81の回転と共に、伝受部材82は回転しない。すなわち、伝達部材81と伝受部材82との間で滑りが生じる。そのため、トルクが所定の値以上の場合には、伝受部材82が回転しないため、ナット62が回転しない。よって、ボルト軸61が前後方向に移動しないため、第2押圧板16は前後方向に移動しない。
なお、ノブ63の回転によって伝達されるトルクが所定の値以上であるとき、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間で所定の摩擦力が生じた状態で滑りが生じる。そのため、この摩擦力によってトルク伝達面87とトルク伝受面88とが擦れて金属カスが発生するおそれがある。しかしながら、本実施形態では、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間で滑りが生じたとき、その金属カスは、トルク伝達面87およびトルク伝受面88に形成された第1溝95および第2溝96に入り込む。よって、伝達されるトルクが所定の値以上の場合、金属カスに起因してトルク伝達面87とトルク伝受面88との間で滑り難くなることを抑制することができる。したがって、トルク伝達機構17を長期間使用した場合であっても、メンテナンスの回数を少なくすることができる。
本実施形態では、浴槽用手摺り100は、トルク伝達機構17を備えている。浴槽用手摺り100は、水が使用される浴槽2内で使用されるものである。そのため、トルク伝達機構17のトルク伝達面87とトルク伝受面88との間には、水垢が入り込むことがあり得る。しかしながら、本実施形態では、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間で滑りが生じたとき、その水垢は、第1溝95および第2溝96に入り込む。よって、伝達されるトルクが所定の値以上の場合、水垢に起因してトルク伝達面87とトルク伝受面88との間で滑り難くなることを抑制することができる。したがって、本実施形態に係るトルク伝達機構17は、浴槽用手摺り100に備えられることでより効果を発揮することができる。
本実施形態では、伝達されるトルクが所定の値未満であり、トルク伝達面87とトルク伝受面88とが相互に係止しているとき、図7に示すように、第1溝95が形成されていないトルク伝達面87は、トルク伝受面88と接触し、第2溝96が形成されていないトルク伝受面88は、トルク伝達面87と接触している。よって、トルク伝達面87とトルク伝受面88とが相互に係止しているとき、トルク伝達面87とトルク伝受面88との接触面積を確保することができるため、トルク伝達面87からトルク伝受面88へトルクが伝達し易い。
本実施形態では、伝達されるトルクが所定の値以上のとき、凸部91の凸部側傾斜面91aが、凹部92の凹部側傾斜面92aに乗り上げるため、凸部側傾斜面91aと凹部側傾斜面92aとの間で摩擦力が大きくなり、金属カスが発生し易い。ここでは、第1溝95は、凸部91の凸部側傾斜面91aと周方向に隣り合うトルク伝達面87の部位に形成されている。第2溝96は、凹部側傾斜面92aと周方向に隣り合う凹部92の部位に形成されている。そのため、凸部側傾斜面91aと凹部側傾斜面92aとの間で発生した金属カスが第1溝95および第2溝96に入り込み易い。
本実施形態では、図9に示すように、凸部側傾斜面91aと凸部側平面91bとの接続部分91d、および、トルク伝受面88と凹部側傾斜面92aとの接続部分92dには、それぞれ曲率半径が0.6mm〜3.0mmのアールが形成されている。このことによって、凸部91と凹部92との係止状態が解除されて、凸部側傾斜面91aが凹部側傾斜面92aに乗り上げる場合、接続部分91d、92dにアールが形成されていることで、凸部側傾斜面91aが凹部側傾斜面92aに比較的滑らかに乗り上げるため、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間で金属カスが引っ掛かり難くすることができる。よって、伝達されるトルクが所定の値以上の場合、金属カスに起因してトルク伝達面87とトルク伝受面88との間で滑り難くなることを抑制することができる。
以上、本実施形態に係るトルク伝達機構17を備えた浴槽用手摺り100について説明した。上記実施形態では、第1溝95および第2溝96は、本発明におけるトルク伝達面の一部とトルク伝受面の一部との間に形成された「空間」の一例であった。しかしながら、本発明に係る空間は、第1溝95および第2溝96に限定されない。図10は、他の実施形態に係る伝達部材181と伝受部材182とが互いに係止している状態を示す側面図である。図10に示すように、伝達部材181のトルク伝達面87には、上記実施形態と同様の第1溝95が形成されていない。伝受部材182のトルク伝受面88に形成された凹部92には、上記実施形態と同様の第2溝96が形成されている。しかしながら、本実施形態では、伝達部材181と伝受部材182とが互いに滑らない状態において、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間には、空間195が形成されている。この空間195は、本発明の「空間」の一例である。このような実施形態であっても、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間で滑りが生じたとき、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間で発生した金属カスおよび水垢は、第2溝96および空間195に入り込む。よって、伝達されるトルクが所定の値以上の場合、金属カスおよび水垢に起因してトルク伝達面87とトルク伝受面88との間で滑り難くなることを抑制することができる。したがって、長期間使用した場合であっても、メンテナンスの回数を少なくすることができる。
なお、第1溝95が省略され、第2溝96が形成されているとき、上述のような空間195が形成されていなくてもよい。すなわち、本発明の「空間」の一例として、第2溝96のみがトルク伝達面87とトルク伝受面88との間に形成されていてもよい。
また、第1溝95がトルク伝達面87に形成され、第2溝96が省略されてもよい。この場合、伝達部材81と伝受部材82とが互いに滑らない状態において、凸部91と凹部92との間には、本発明の「空間」の一例の空間が形成されていてもよい。しかしながら、凸部91と凹部92との間に形成された上記空間が省略され、本発明の「空間」の一例として、第1溝95のみがトルク伝達面87とトルク伝受面88との間に形成されていてもよい。
上記実施形態では、第1溝95の数は、第2溝96の数と同じであり、8つであった。しかしながら、第1溝95の数は、第2溝96の数と異なっていてもよい。例えば、第1溝95の数は、第2溝96の数よりも少なくてもよいし、多くてもよい。
上記実施形態では、トルク伝達面87に凸部91が形成され、トルク伝受面88に凹部92が形成されていた。しかしながら、トルク伝達面87に凹部92が形成され、トルク伝受面88に凸部91が形成されてもよい。この場合、第1溝95は、トルク伝受面88に形成され、第2溝96は、トルク伝達面87に形成された凹部92に形成されてもよい。
また、凸部91および凹部92は、省略されてもよい。この場合、トルクが所定の値未満の場合、トルク伝達面87とトルク伝受面88が相互に係止し、伝達されるトルクが所定の値以上の場合、トルク伝達面87とトルク伝受面88との間に滑りが生じるような強さの弾性力が、コイルバネ83から伝達部材81に付与されてもよい。この場合、トルク伝達面87およびトルク伝受面88の一方の面に第1溝95が形成され、または、トルク伝達面87およびトルク伝受面88の他方の面に第2溝96が形成されてもよい。
上記実施形態では、コイルバネ83は、伝達部材81から伝受部材82に向けて付勢していた。しかしながら、コイルバネ83は、伝受部材82から伝達部材81に向けて付勢してもよい。
上記実施形態では、図9に示すように、凸部91の凸部側傾斜面91aと凸部側平面91bとの接続部分91d、および、トルク伝受面88と凹部側傾斜面92aとの接続部分92dの両方に、それぞれアールが形成されていた。しかしながら、接続部分91d、92dのうち一方の部分にアールが形成され、他方の部分にはアールが形成されていなくてもよい。
上記実施形態では、ノブ63が本発明の回転部材の一例であった。しかしながら、本発明に係る回転部材は、ノブ63に限定されない。例えば、回転部材は、自ら動力を発生させるものであってもよい。回転部材は、伝達部材に接続されたモータであってもよい。
本発明に係るトルク伝達機構は、浴槽用手摺り以外の装置であって、トルクを伝達させる装置に適用することが可能である。例えば、本発明に係るトルク伝達機構は、ドリルなどの電動工具に適用することが可能である。