JP6940852B2 - ポリイオンコンプレックス、及びポリイオンコンプレックスの成形体 - Google Patents
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Description
[1] カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の修飾ヒアルロン酸類と、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のキトサン類とを含む、ポリイオンコンプレックス。
[2] 上記修飾ヒアルロン酸類に含まれるアニオン性官能基のモル数と、上記キトサン類に含まれるカチオン性官能基のモル数との比が、0.8:1〜1.2:1の範囲内にある、[1]に記載のポリイオンコンプレックス。
[3] 上記カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸における構成ヒアルロン酸に対するカルボキシメチル基の修飾率が、5%以上200%以下である、[1]又は[2]に記載のポリイオンコンプレックス。
[4] 上記カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の分子量が、4,000以上200万以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリイオンコンプレックス。
[5] 上記キトサンの分子量が、5,000以上50万以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリイオンコンプレックス。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載のポリイオンコンプレックスから形成された成形体。
[7] フィルム、糸若しくは当該糸を含む編布、又はマイクロニードルである、[6]に記載の成形体。
[8] 最大応力が70MPa以上である、[6]又は[7]に記載の成形体。
(ポリイオンコンプレックス)
本発明は、カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種とを含む、ポリイオンコンプレックスを提供することに特徴を有する。
本発明はまた、本発明に係るポリイオンコンプレックスから形成された成形体を提供することに特徴を有する。
本明細書において、「カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸及びその塩」(以下、まとめて「修飾ヒアルロン酸類」と記載することもある。)とは、少なくとも一部にカルボキシメチル基が導入されているヒアルロン酸及びその塩のことをいう。ここで、「カルボキシメチル基」とは、「−CH2−CO2H」または「−CH2−CO2 −」で表される基のことをいう。
式(1)中、nは1以上7,500以下の数を示す。
式(2)中、R1〜R5は独立して、水素原子、−CH2−CO2Hで表される基、又は−CH2−CO2 −で表される基を示し(ただし、R1〜R5がいずれも水素原子を表す場合を除く。)、nは1以上7,500以下の数を示す。
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類の分子量は、例えば、4,000以上200万以下であってもよい。液体と接触した場合の寸法安定性に優れると共に、機械的強度(例えば、引張強度)にも優れる成形体が得られるという観点から、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類の分子量は、10万以上180万以下であることが好ましく、40万以上160万以下であることがより好ましく、60万以上140万以下であることが更に好ましく、80万以上120万以下であることが更により好ましい。
まず、ゲル濾過カラムを用いて、分子量が既知である複数の(精製)ヒアルロン酸(基準物質)を液体クロマトグラフィー分析することで、それらの保持時間より検量線を作成する。同様に、測定対象である修飾ヒアルロン酸類を液体クロマトグラフィー分析し、作製した検量線を用いて分子量を求めることで、修飾ヒアルロン酸類の分子量を求めることができる。
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類の修飾率(カルボキシメチル化率)は、ヒアルロン酸を構成する2糖単位を1単位とし、当該1単位あたりに含まれるカルボキシメチル基の数を意味し、具体的には、当該1単位を100%とした場合の、該1単位に対する、該1単位あたりに含まれるカルボキシメチル基の数の割合(%)をいう。ここで、ヒアルロン酸を構成する2糖単位とは、ヒアルロン酸を構成する、隣り合って結合する2糖(グルクロン酸及びN−アセチルグルコサミン)で構成される1単位をいう。
本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、例えば、温度が30℃以下の含水溶媒(例えば、水、又はエタノール等の水溶性有機溶媒と水との混合液)中で、溶解したヒアルロン酸及び/又はその塩をハロ酢酸及び/又はその塩と反応させることにより得ることができる。また、本実施形態に係る修飾ヒアルロン酸類は、例えば、特開2015−147945号公報に記載された製造方法により得ることができる。
本実施形態に係るキトサン及びその塩(以下、まとめて「キトサン類」と記載することもある。)としては、特に制限されるものではなく、例えば、カニ、エビ等の甲殻類の外骨格から得られるキチンを脱アセチル化して得たものを利用することができる。キトサンの塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、ギ酸塩等の形態が挙げられる。
本実施形態に係るキトサン類の分子量は、例えば、5,000以上50万以下であってもよい。液体と接触した場合の寸法安定性に優れると共に、機械的強度(例えば、引張強度)にも優れる成形体が得られるという観点から、本実施形態に係るキトサン類の分子量は、1万以上40万以下であることが好ましく、5万以上30万以下であることがより好ましく、10万以上20万以下であることが更に好ましい。キトサン類の分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定することができる。
本実施形態に係るキトサン類の脱アセチル化度は、例えば、60%以上100%以下であってもよい。液体と接触した場合の寸法安定性に優れると共に、機械的強度(例えば、引張強度)にも優れる成形体が得られるという観点から、本実施形態に係るキトサン類の脱アセチル化度は、75%以上100%以下であることが好ましく、80%以上98%以下であることがより好ましく、85%以上95%以下であることが更に好ましい。キトサン類の脱アセチル化度は、例えば、NMR測定、赤外吸収スペクトル測定により、−NH2基と−NHCOCH3基の比率を算出することにより、求めることができる。
本実施形態に係るキトサン類は、市販されているものを使用してもよい。市販されているキトサン類としては、例えば、キトサン(フレーク状,分子量10万以上,脱アセチル化度90.2%,ナカライテスク株式会社製)、CHITOSAN POWDER PURIFIED(分子量1万5千以下,脱アセチル化度85%以上,POLYSCIENCES社製)を挙げることができる。
ポリイオンコンプレックスは、例えば、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーとを水溶液中で混合することで静電相互作用により形成される複合体である。本発明に係るポリイオンコンプレックスは、アニオン性ポリマーとして修飾ヒアルロン酸類を、カチオン性ポリマーとしてキトサン類を使用して得られるものである。
本実施形態に係るポリイオンコンプレックスに含まれる修飾ヒアルロン酸類とキトサン類との比は、特に限定されるものではないが、例えば、修飾ヒアルロン酸類に含まれるアニオン性官能基(−CH2−CO2 −及び−CH2−CO2H)のモル数と、キトサン類に含まれるカチオン性官能基(−NH2)のモル数との比が、0.8:1〜1.2:1となる範囲であることが好ましく、0.9:1〜1.1:1となる範囲であることがより好ましく、0.95:1〜1.05:1となる範囲であることが更に好ましく、1:1となる範囲であることが更により好ましい。
本実施形態に係るポリイオンコンプレックスは、修飾ヒアルロン酸類からなる群より選択される少なくとも1種と、キトサン類からなる群より選択される少なくとも1種とを含むものであればよく、修飾ヒアルロン酸類を2種以上含むものであってもよく、キトサン類を2種以上含むものであってもよく、修飾ヒアルロン酸類及びキトサン類をそれぞれ2種以上含むものであってもよい。本実施形態に係るポリイオンコンプレックスは実質的に修飾ヒアルロン酸類からなる群より選択される少なくとも1種、及びキトサン類からなる群より選択される少なくとも1種とからなるものであるのが好ましく、修飾ヒアルロン酸類からなる群より選択される少なくとも1種、及びキトサン類からなる群より選択される少なくとも1種のみからなるものであるのがより好ましい。なお、いずれの態様においても、ポリイオンコンプレックスの調製に伴い不可避的に含まれる不純物を含むことを排除するものではない。
本実施形態に係るポリイオンコンプレックスは、修飾ヒアルロン酸類からなる群より選択される少なくとも1種と、キトサン類からなる群より選択される少なくとも1種とを混合すること(以下、「混合工程」ともいう。)により製造することができる。
混合工程において、修飾ヒアルロン酸類とキトサン類を混合する方法は、特に限定されるものではないが、均質なポリイオンコンプレックスが得られるという観点から、それぞれの溶液を調製し、両溶液を混合する方法が好ましい。溶液を調製する際に用いる溶媒としては、水が好ましく、蒸留水又は超純水がより好ましい。溶媒としては、必要に応じて、緩衝液を用いてもよく、酢酸、アルコール等の有機溶媒を添加してもよい。
修飾ヒアルロン酸類溶液における、修飾ヒアルロン酸類の濃度は特に限定されるものではないが、例えば、0.01重量%以上20重量%以下の範囲とすることができる。混合工程の操作性を向上させる観点からは、修飾ヒアルロン酸類の濃度は、0.1重量%以上5重量%以下の範囲であることが好ましい。
キトサン類溶液における、キトサン類の濃度は特に限定されるものではないが、例えば、0.01重量%以上20重量%以下の範囲とすることができる。混合工程の操作性を向上させる観点からは、キトサン類の濃度は、0.1重量%以上5重量%以下の範囲であることが好ましい。
修飾ヒアルロン酸類溶液及びキトサン類溶液を混合した後、均質なポリイオンコンプレックスを得るために、修飾ヒアルロン酸類溶液及びキトサン類溶液の粘度を調整することが好ましい。修飾ヒアルロン酸類溶液及びキトサン類溶液の粘度は、例えば、5Pa・s以下であることが好ましく、0.5Pa・s以下であることがより好ましい。修飾ヒアルロン酸類溶液及びキトサン類溶液の粘度は、例えば、修飾ヒアルロン酸類及びキトサン類の濃度を調整することにより調整することができる。
混合工程では、必要に応じて、撹拌をしながら修飾ヒアルロン酸類溶液及びキトサン類溶液を混合してもよい。また、混合時の各溶液の温度は、特に制限されるものではないが、例えば、0〜100℃であることが好ましく、4〜80℃であることがより好ましい。
本実施形態に係るポリイオンコンプレックスの製造方法では、混合工程で修飾ヒアルロン酸類とキトサン類を混合した後、超音波処理を行うことが好ましい。これにより、ポリイオンコンプレックスの収率を向上させることができる。超音波処理の条件としては、これに限られるものではないが、例えば、バス型超音波照射器を用い、出力240kWで25分間超音波照射することで行うことができる。
本発明に係る成形体は、上述した本発明のポリイオンコンプレックスから形成されたものである。
本実施形態に係る成形体の形状は、本発明のポリイオンコンプレックスが任意の形状に成形できるため、特に制限されるものではないが、生体に好ましく適用できるという観点から、例えば、フィルム、糸及び当該糸を含む編布、マイクロニードルの形状であることが好ましい。本実施形態に係る成形体は、体液等の液体と接触した場合の膨潤率が低く抑えられ、寸法安定性に優れること、及び引張強度等の機械的特性に優れることから、フィルム、糸及び当該糸を含む編布、マイクロニードル等の形状にして、生体に好ましく適用できる。
本実施形態に係る成形体は、体液等の液体と接触した場合の膨潤率が低く抑えられ、寸法安定性に優れている。したがって、本実施形態に係る成形体は、例えば、超純水に30分間浸漬したときの膨潤率が160%以下であってよく、150%以下であるのが好ましく、140%以下であることがより好ましい。膨潤率は、浸漬前の成形体の重量をWD、浸漬後の成形体の重量をWSとしたときに下記式Aで表される値である。
本実施形態に係る成形体は、体液等の液体と接触した場合の重量損失が低く抑えられており、ポリイオンコンプレックスの構成成分が安定に保持されている。したがって、本実施形態に係る成形体は、例えば、超純水に60分間浸漬したときの重量損失が5%以下であってよく、4%以下であるのが好ましく、3%以下であることがより好ましい。また、本実施形態に係る成形体は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に90分間浸漬したときの重量損失が15%以下であってよく、10%以下であることが好ましく、7.5%以下であることがより好ましい。重量損失は、浸漬前の成形体の重量をWD、浸漬後の成形体の乾燥重量をWSとしたときに下記式Bで表される値である。
本実施形態に係る成形体は、引張強度等の機械的特性に優れている。したがって、本実施形態に係る成形体は、例えば、最大応力が70MPa以上であってよく、75MPa以上であることが好ましく、80MPa以上であることがより好ましい。最大応力は、例えば、卓上精密万能試験機(AGS−J,島津製作所製)に垂直になるように試料(フィルム)を挟み、ロードセル定格500N、クロスヘッド1mm/min、標点距離20mmで引張試験を行ったとき、試験力を断面積で除した応力が最大となるときの値である。
本実施形態に係る成形体がフィルムの形状である場合、フィルムの厚みは、特に制限されず用途に応じて適宜選定可能であるが、例えば、0.02μm〜500μmであることが好ましく、0.2μm〜200μmであることがより好ましい。フィルムの大きさは、特に制限されず用途に応じて適宜選定可能であるが、例えば、0.01cm2以上であることが好ましく、0.5cm2以上であることがより好ましい。
本発明に係る成形体は、例えば、本発明に係るポリイオンコンプレックスを成形すること(以下、「成形工程」)で得ることができる。また、本発明に係るポリイオンコンプレックスがゲル状の析出物である場合、ゲル状の析出物を、凍結乾燥、自然乾燥等の手法により乾燥して固形体とし、固形体を成形工程に用いてもよい。
成形工程は、本発明に係るポリイオンコンプレックスを加圧成形する工程であってもよい。加圧成形は、加熱しながら行なうこともできる(加熱加圧成形)。加熱する場合には、加熱と加圧を同時に行ってもよい。加熱加圧成形は、例えば、熱プレス機、加熱延伸機を用いて行ってもよい。加熱加圧成形を行うことで、均一で緻密な成形体を得ることができる。
成形工程で加熱加圧成形を行う場合、成形工程を繰り返し行ってもよい。成形工程を繰り返し行う場合、繰り返しの回数は、例えば、2回以上20回以下であってよく、2回以上6回以下であることが好ましい。また、必要に応じて、本発明に係るポリイオンコンプレックスを追加しながら加熱加圧成形を繰り返してもよい。
本実施形態に係る成形体の用途としては、例えば、医療分野の医用材料、特に生体材料(人工弁、人工臓器、人工血管、創傷被覆材等)の一部として生体組織の皮膚や臓器などの修復、再生、治療等が挙げられる。また、マイクロニードル、再生医療分野における生体組織培養の足場としても好ましく用いることができる。
(1−1)HYA誘導体/H−CHIフィルムの作製
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(ヒアロキャッチ(登録商標),平均分子量80万〜120万,修飾率65.0〜95.0%,キユーピー株式会社製)とキトサン(キトサン(フレーク状),平均分子量100,000以上,脱アセチル化度90.2%,ナカライテスク株式会社製)を用いてフィルム(HYA誘導体/H−CHIフィルム)を作製した。
500mLビーカーにキトサン(H−CHI)1.0gと1.0重量%酢酸水溶液100mLを加え、マグネチックスターラで約1日撹拌し、1.0重量%H−CHI溶液を調製した。同様に、500mLビーカーにカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(HYA誘導体)1.0gと超純水100mLを加え、マグネチックスターラで約1日攪拌し、1.0重量%HYA誘導体溶液を調製した。
(1−1−1)で調製した乾燥ゲル、ポリエチレンテレフタラート(PET)シート、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを、PETシート−PTEFシート−乾燥ゲル−PTFEシート−PETシートの順に重ねたものを、熱プレス機(AH−2003,AS ONE製)を使用して熱プレス(120℃,20MPa)し、すぐに取り出した(図2(a))。
作製したHYA誘導体/H−CHIフィルムについて、以下の手順で超純水(UPW)膨潤性、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)膨潤性、及び重量損失を評価した。
HYA誘導体/H−CHIフィルムを1×1cm2に切り出し、その重量(浸漬前の重量)を測定した。次に、サンプルケースに超純水を4mL入れ、そこにフィルムを浸漬させた。浸漬の開始から1,3,5,10,20,30,40,50及び60分後にフィルムを取り出し、キムワイプで余分な水分をふき取った後、重量(浸漬後の重量)を測定した。60分間浸漬させたフィルムをシリカゲルの入ったサンプルケースに入れ、約1日乾燥させた後、再度重量(乾燥後の重量)を測定した。
サンプルケース中の超純水をPBSに代えたこと、及びPBSへの浸漬を浸漬開始から90分後まで行ったこと以外は、(1−2−1)超純水(UPW)膨潤性評価と同じ手順で測定を行い、式Aに従って膨潤率を算出した。
(2−1)HYA誘導体/H−CHIフィルムの作製
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(ヒアロキャッチ(登録商標),平均分子量80万〜120万,修飾率65.0〜95.0%,キユーピー株式会社製)とキトサン(キトサン(フレーク状),平均分子量100,000以上,脱アセチル化度90.2%,ナカライテスク株式会社製)を用いてフィルム(HYA誘導体/H−CHIフィルム)を作製した。
500mLビーカーにキトサン(H−CHI)1.0gと1.0重量%酢酸水溶液100mLを加え、マグネチックスターラで約1日撹拌し、1.0重量%H−CHI溶液を調製した。同様に、500mLビーカーにカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(HYA誘導体)1.0gと超純水100mLを加え、マグネチックスターラで約1日攪拌し、1.0重量%HYA誘導体溶液を調製した。
スペーサーとして、PETシートの中央部を4×4cm2切り抜いたものを使用したこと以外は、(1−1−2)と同じ手順で、(2−1−1)で調製した乾燥ゲルからHYA誘導体/H−CHIフィルムを作製した。
作製したHYA誘導体/H−CHIフィルムについて、以下の手順で引張強度を評価した。
卓上精密万能試験機(AGS−J,島津製作所製)に垂直になるように試料(フィルム)を挟み、ロードセル定格500N、クロスヘッド1mm/min、標点距離20mmで引張試験を行った。
(S−1)未修飾ヒアルロン酸/H−CHIフィルムの作製
未修飾のヒアルロン酸HYA−LQ(平均分子量85万〜160万,キユーピー株式会社製)又はHYA−LQH(平均分子量120万〜220万,キユーピー株式会社製)とキトサン(キトサン(フレーク状),平均分子量100,000以上,脱アセチル化度90.2%,ナカライテスク株式会社製)を用いてフィルムを作製した。
500mLビーカーにキトサン(H−CHI)5.0gと1.0重量%酢酸水溶液500mLを加え、マグネチックスターラで約1日撹拌し、1.0重量%H−CHI溶液を調製した。同様に、500mLビーカーに未修飾ヒアルロン酸(HYA−LQ又はHYA−LQH)1.0gと超純水l00mLを加え、マグネチックスターラで約1日撹拌し、1.0重量%ヒアルロン酸溶液を調製した。
(1−1−2)と同じ手順で、(S−1−1)で調製した乾燥ゲルから未修飾ヒアルロン酸/H−CHIフィルムを作製した。
未修飾ヒアルロン酸としてHYA−LQを使用した未修飾ヒアルロン酸/H−CHIフィルム(HYA−LQ/H−CHIフィルム)、及びHYA−LQHを使用した未修飾ヒアルロン酸/H−CHIフィルム(HYA−LQH/H−CHIフィルム)について、(1−2−1)〜(1−2−3)及び(2−2−1)と同じ手順で、超純水(UPW)膨潤性、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)膨潤性、重量損失、及び引張強度を評価した。
Claims (8)
- ポリイオンコンプレックスであって、
カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の修飾ヒアルロン酸類と、キトサン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種のキトサン類とを含む、ポリイオンコンプレックス。 - 請求項1に記載のポリイオンコンプレックスにおいて、
前記修飾ヒアルロン酸類に含まれるアニオン性官能基のモル数と、前記キトサン類に含まれるカチオン性官能基のモル数との比が、0.8:1〜1.2:1の範囲内にある、
ポリイオンコンプレックス。 - 請求項1又は2に記載のポリイオンコンプレックスにおいて、
前記カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸における構成ヒアルロン酸に対するカルボキシメチル基の修飾率が、5%以上200%以下である、
ポリイオンコンプレックス。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイオンコンプレックスにおいて、
前記カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸の分子量が、4,000以上200万以下である、
ポリイオンコンプレックス。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイオンコンプレックスにおいて、
前記キトサンの分子量が、5,000以上50万以下である、
ポリイオンコンプレックス。 - ポリイオンコンプレックスから形成された成形体であって、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリイオンコンプレックスから形成された成形体。 - 請求項6に記載の成形体において、
フィルム、糸若しくは当該糸を含む編布、又はマイクロニードルである、
成形体。 - 請求項6又は7に記載の成形体において、
最大応力が70MPa以上である、
成形体。
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