V2X通信の干渉を低減又は除去するように動作可能である干渉低減システムの実施形態について、説明する。V2X通信の例としては、以下のうちの1つ又は複数が含まれる。DSRC(他のタイプのDSRC通信の中でもとりわけ、BSM(Basic Safety Message:基本安全メッセージ)及びPSM(Pedestrian Safety Message:歩行者安全メッセージ)を含む)、LTE、ミリメートル波通信、3G、4G、5G LTE−Vehicle−to−Everything(LTE−V2X)、LTE−Vehicle−to−Vehicle(LTE−V2V)、LTE−Device−to−Device(LTE−D2D)、Voice over
LTE(VoLTE)、等。実施形態によっては、本明細書で説明する干渉低減システムは、免許不要の帯域通信(例えば、WiFi、LTE−U、LTE−LAA等)の干渉を低減又は除去するように動作することもできる。
実施形態によっては、干渉低減システムを含んでいるコネクテッド車両は、DSRC搭載車両である。DSRC搭載車両とは、以下の車両である。(1)DSRC無線機を含む。(2)DSRC準拠の全地球測位システム(GPS)ユニットを含む。及び(3)DSRC搭載車両が位置する管轄区域内でDSRCメッセージを合法的に送受信するように動作可能である。DSRC無線機とは、DSRC受信機及びDSRC送信機を含むハードウェアである。DSRC無線機は、DSRCメッセージを無線で送受信するように動作可能である。DSRC準拠のGPSユニットは、車線レベルの精度を有する車両(又はDSRC準拠のGPSユニットを含む何らかの他のDSRC搭載装置)の位置情報を提供するように動作可能である。DSRC準拠のGPSユニットについては、以下でより詳細に説明する。
「DSRC搭載」装置とは、DSRC無線機、DSRC準拠のGPSユニットを含み、そのDSRC搭載装置が位置する管轄区域内でDSRCメッセージを合法的に送受信する
ように動作可能である、プロセッサベースの装置である。様々なエンドポイントがDSRC搭載装置であることがあり、これには例えば、路側機(RSU)、スマートフォン、タブレットコンピュータ、及び、上述したようにDSRC無線機を含みDSRCメッセージを合法的に送受信するように動作可能である任意の他のプロセッサベースのコンピュータ装置が含まれる。
本明細書では、時としてDSRCメッセージ及びDSRCチャネルを参照して干渉低減システムについて説明することがあるが、干渉低減システムは、DSRCプロトコルメッセージを取り扱うことに限定はされず、隣接チャネル干渉、自己干渉、又は組み合わせ干渉によって悪影響を受ける任意のタイプのV2Xメッセージを受信する又は「聞く」能力を向上させる。
実施形態によっては、DSRC搭載装置であるRSUは、DSRC準拠のGPSユニットは含まないが、車線レベルの精度を有するRSUの位置情報を記述するデジタルデータを記憶する非一時的メモリを含んでおり、RSUのDSRC無線機又は何らかの他のシステムは、このデジタルデータのコピーを、RSUのDSRC無線機によって送信されるBSM(basic safety message)データ中に挿入する。このようにして、RSUはDSRC準拠のGPSユニットを含まなくても、依然として、DSRC規格の要件を満たすBSMデータを配信するように動作可能である。
DSRCメッセージは、車両などの大いに可動の装置によって送受信されるように特別に構成された無線メッセージであり、以下のDSRC規格(それらの派生規格又は分岐規格を含む)のうちの1つ又は複数に準拠している:EN12253:2004専用狭域通信−5.8GHzのマイクロ波を使用した物理層(レビュー)、EN12795:2002専用狭域通信(DSRC)−DSRCデータリンク層:媒体アクセス及び論理リンク制御(レビュー)、EN12834:2002専用狭域通信−アプリケーション層(レビュー)、及び、EN13372:2004専用狭域通信(DSRC)−RTTTアプリケーションのDSRCプロファイル(レビュー)、EN ISO14906:2004電子式料金徴収−アプリケーションインターフェース。
米国及びヨーロッパでは、DSRCメッセージは5.9GHzで送信される。米国では、DSRCメッセージは5.9GHz帯域内で75MHzのスペクトルが割り当てられている。ヨーロッパでは、DSRCメッセージは5.9GHz帯域内で30MHzのスペクトルが割り当てられている。従って、無線メッセージは、5.9GHz帯域内で動作しない限り、DSRCメッセージではない。無線メッセージは、DSRC無線機のDSRC送信機によって送信されない限り、やはりDSRCメッセージではない。
実施形態によっては、DSRC搭載車両は、従来の全地球測位システムユニット(「GPSユニット」)を含んではおらず、代わりにDSRC準拠のGPSユニットを含む。従来のGPSユニットは、従来のGPSユニットの位置を、従来のGPSユニットの実際の位置のプラス又はマイナス10メートルの精度で記述する位置情報を提供する。これと比較して、DSRC準拠のGPSユニットは、DSRC準拠のGPSユニットの位置を、DSRC準拠のGPSユニットの実際の位置のプラス又はマイナス1.5メートルの精度で記述するGPSデータを提供する。この程度の精度は、「車線レベルの精度」と呼ばれる、というのも、例えば、道路の車線は幅が通常約3メートルであり、プラス又はマイナス1.5メートルという精度は、車両が道路上でどの車線を走行しているのかを特定するのに十分であるからである。
実施形態によっては、DSRC準拠のGPSユニットは、開けた空の下にある時間の68%の間、実際の位置の1.5メートル以内で2次元の位置を特定、監視、及び追跡する
ように動作可能である。
実施形態によっては、干渉低減システムは、複数チャネルV2X無線機を含んでいるコネクテッド車両の電子制御ユニット(ECU)内に設置される。干渉低減システムは、ECUの非一時的メモリに記憶されるコード及びルーチンを含む。コード及びルーチンは、ECUによって実行されると、ECUに、複数チャネルのV2X無線機のチャネル毎に以下のステップを実行させるように動作可能である。(1)発生している干渉のタイプを判定すること、(2)ステップ1での干渉のタイプが隣接チャネル干渉である場合、干渉低減システムは、隣接するチャネルのV2Xメッセージによって引き起こされる隣接チャネル干渉波形を推定し、さらに、これらの隣接チャネル上のV2Xメッセージは、これらのV2Xメッセージのエネルギー準位を上げる必要性なく、コネクテッド車両のV2X無線機によって明瞭に聞き取られることができるように、隣接するチャネルのこの隣接チャネル干渉波形を打ち消す(又は低減する)、(3)ステップ1での干渉のタイプが自己干渉である場合、干渉低減システムは、他のチャネルのV2Xメッセージによって引き起こされる自己干渉波形を知っており(即ち、コネクテッド車両自体のV2X無線機が、自己干渉を引き起こしているV2Xメッセージを送信しているからである)、さらに、これらの他のチャネル上のV2Xメッセージは、これらのV2Xメッセージのエネルギー準位を上げる必要性なく、コネクテッド車両のV2X無線機によって明瞭に聞き取られることができるように、他のチャネルのこの自己干渉波形を打ち消す(又は低減する)、及び(4)ステップ1での干渉のタイプが組み合わせ干渉である場合、干渉低減システムは、この特定のV2XチャネルのV2Xメッセージは、これらのメッセージのエネルギー準位を上げる必要性なく、明瞭且つ正確に受信されるように、隣接チャネル干渉を打ち消すように動作可能である連続的な干渉打ち消しシーケンスを適用する。連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、この段落で上述したステップ2及び3の組み合わせである。ステップ4は、次の3つの段落において定義される2つのサブステップを含む。これらのサブステップは、この段落で上述した参照ステップ2及び4を含む。
ここで、幾つかの実施形態に従って、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスを、前の段落で説明したステップ4のサブステップを参照することにより、定義する。これらの技術がシーケンス内で適用される順序は、どの干渉信号がより強いか、及び、干渉信号がオンボードの発生源に起因するか又はオフボードの発生源に起因するか、などの変数に基づいている。
第1のサブステップは、以下の例示的な特徴を含む。実施形態によっては、最も強い干渉信号がオフボードの発生源を有する場合、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、干渉低減システムがステップ2及び次いでステップ3を適用して組み合わせ干渉を緩和することを含む。連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、(1)干渉信号を打ち消すのにどれ位時間がかかったか、及び(2)これまでに、そのシーケンスがどれ位良く機能したか、の両方に基づく、そのシーケンスの性能の履歴に基づいて、更新されることがある。
第2のサブステップは、以下の例示的な特徴を含む。実施形態によっては、最も強い干渉信号がオンボードの発生源を有する場合、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、干渉低減システムがステップ3及び次いでステップ2を適用して組み合わせ干渉を緩和することを含む。連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、(1)干渉信号を打ち消すのにどれ位時間がかかったか、及び(2)これまでに、そのシーケンスがどれ位良く機能したか、の両方に基づく、そのシーケンスの性能の履歴に基づいて、更新されることがある。
実施形態によっては、図6Aは、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスの第1の例で
ある。実施形態によっては、図6Bは、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスの第2の例である。
ここで、幾つかの実施形態に従って、選択された用語について説明する。「V2Xイベント」は、以下のうちの1つ又は複数を含む:コネクテッド車両のV2X無線機の複数チャネルのうちの1つでのV2X送信、及びこれらの複数チャネルのうちの1つでのV2X受信。干渉データは、V2Xイベント中に特定のV2Xチャネル上に存在する干渉を記述するデジタルデータを含む。干渉データは、V2Xイベント中に特定のV2Xチャネル上に存在する干渉である波形について記述する。干渉低減システムによって改善されるV2Xメッセージのタイプの例としては、以下のうちの1つ又は複数が挙げられる:DSRCメッセージ、ミリメートル波(mmWave)メッセージ、V2X−LTEメッセージ、V2X−5Gメッセージ、及び任意のタイプのセルラーベースのV2X通信。
図1Aを参照すると、幾つかの実施形態による干渉低減システム199の動作環境100が示されている。図示するように、動作環境100は以下の要素、即ち、車両123、及びエンドポイント124を含む。これらの要素は、ネットワーク105によって、互いに通信可能に結合されている。
1台の車両123、1つのエンドポイント124、及び1つのネットワーク105が図1Aに示されているが、実際には、動作環境100は1台又は複数台の車両123、1つ又は複数のエンドポイント124、及び1つ又は複数のネットワーク105を含むことがある。
ネットワーク105は、有線又は無線の従来タイプのものであることがあり、スター構成、トークンリング構成、又は他の構成を含む、多数の異なる構成を有することがある。更に、ネットワーク105は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)、又は複数の装置及び/若しくはエンティティが通信することができる他の相互接続されたデータパス、を含むことがある。実施形態によっては、ネットワーク105はピアツーピアネットワークを含むことがある。ネットワーク105は、様々な異なる通信プロトコルでデータを送信するための電気通信ネットワークに結合されているか、又はその一部を含むことがある。実施形態によっては、ネットワーク105は、データを送受信するためのBluetooth(登録商標)通信ネットワーク又はセルラー通信ネットワークを含み、データの送受信には、SMS(short messaging service)、MMS(multimedia messaging service)、HTTP(hypertext trasnfer protocol)、直接データ接続、WAP(wireless application protocol)、電子メール、DSRC、全二重無線通信、mmWave、WiFi(インフラストラクチャーモード)、WiFi(アドホックモード)、可視光通信、TVホワイトスペース通信、及び衛星通信を介することを含む。ネットワーク105は、モバイルデータネットワークを含むこともあり、これには、3G、4G、LTE、LTE−V2V、LTE−V2X、LTE−D2D、VoLTE、LTE−5G、又は任意の他のモバイルデータネットワーク若しくはモバイルデータネットワークの組み合わせ、が含まれることがある。更に、ネットワーク105は、1つ又は複数のIEEE802.11無線ネットワークを含むことがある。
次のものは、ネットワーク105のエンドポイントである:車両123、及びエンドポイント124。
車両123は、任意のタイプのコネクテッド車両である。例えば、車両123は、以下のタイプの車両のうちの1つである:乗用車、トラック、スポーツ多目的車、バス、セミ
トラック、ロボット車、ドローン、又は任意の他の道路ベースの乗り物。実施形態によっては、車両123はDSRC搭載車両である。
実施形態によっては、車両123は自律走行車両又は半自律走行車両である。例えば、車両123は、車両123を自律走行車両にするのに十分な自律走行機能を車両123に提供する先進運転支援システムのセット(「ADASシステム」のセット)を含む。
米国高速道路交通安全事業団(「NHTSA」)が、自律走行車両の異なる「レベル」、例えば、レベル0、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、及びレベル5、を定義している。自律走行車両が別の自律走行車両よりも高いレベル番号を有している(例えば、レベル3はレベル2又は1よりも高いレベル番号である)場合、より高いレベル番号を有する自律走行車両は、より低いレベル番号を有する車両に比べて、自律走行機能のより優れた組み合わせ及び量を提供する。自律走行車両の異なるレベルについて、以下で簡単に説明する。
レベル0:車両内に設置されたADASシステムのセットは、車両制御を全く有さない。ADASシステムのセットは、車両の運転者に警告を発することがある。レベル0の車両は、自律走行車両でも半自律走行車両でもない。
レベル1:運転者は、いつでも自律走行車両の運転制御を行う準備をしていなくてはならない。自律走行車両に設置されたADASシステムのセットは、次のうちの1つ又は複数などの自律走行機能を提供することができる:車間距離適応制御(「ACC」)、並びに、自動操舵を伴う駐車支援及び車線維持支援(「LKA」)タイプIIの任意の組み合わせ。
レベル2:運転者は、道路環境における物体及びイベントを検出し、自律走行車両に設置されているADASシステムのセットが適切に応答するのに失敗した場合に、(運転者の主観的な判断に基づいて)応答する義務を負う。自律走行車両に設置されたADASシステムのセットは、加速、ブレーキ、及び操舵を実行する。自律走行車両に設置されたADASシステムのセットは、運転者によって取って代わられると直ちに作動停止することができる。
レベル3:既知の限られた環境(例えば、高速道路など)の中では、運転者は、運転タスクから安全に注意をそらすことができるが、必要に応じて、自律走行車両の制御を行うように、依然として準備していなくてはならない。
レベル4:自律走行車両内に設置されたADASシステムのセットは、悪天候などの幾つかの環境を除いた全ての環境において、自律走行車両を制御することができる。運転者は、自動化システムを有効にするのが安全である場合にだけ、(車両内に設置されたADASシステムのセットから構成される)自動化システムを有効にしなくてはならない。自動化システムが有効にされると、自律走行車両が安全に且つ受容された規範に合致して動作するために、運転者の注意は必要ではなくなる。
レベル5:目的地を設定しシステムを開始させること以外は、人間の介在は必要ではない。自動化システムは、運転し且つ独自の決定を行うことが合法である(これは、車両が位置している管轄区域に基づいて変わることがある)任意の場所に向けて運転することができる。
高度自律走行車両(HAV)とは、レベル3以上の自律走行車両である。
従って、幾つかの実施形態では、車両123は次のうちの1つである:レベル1自律走行車両、レベル2自律走行車両、レベル3自律走行車両、レベル4自律走行車両、レベル5自律走行車両、及びHAV。
実施形態によっては、車両123は、以下の要素を含む:プロセッサ125、メモリ127、通信ユニット145、及び干渉低減システム199。
実施形態によっては、プロセッサ125及びメモリ127は、車載コンピュータシステム(図2を参照して以下で説明するコンピュータシステム200など)の要素であり得る。車載コンピュータシステムは、車両123の干渉低減システム199の動作を引き起こすように又は制御するように動作可能であり得る。車載コンピュータシステムは、メモリ127に記憶されたデータにアクセスし実行して、車両123の干渉低減システム199又はその要素の、本明細書で説明する機能を提供するように、動作可能であり得る(例えば、図2を参照)。車載コンピュータシステムは、図3〜図7を参照して以下で説明する方法300及び400の1つ又は複数のステップを車載コンピュータシステムに実行させる干渉低減システム199を実行するように動作可能であり得る。
実施形態によっては、プロセッサ125及びメモリ127は、オンボードユニットの要素であり得る。オンボードユニットは、干渉低減システム199の動作を引き起こすように又は制御するように動作可能であり得る、電子制御ユニット(本明細書では「ECU」)又は車載コンピュータシステムを含む。オンボードユニットは、メモリ127に記憶されたデータにアクセスし実行して、干渉低減システム199又はその要素の、本明細書で説明する機能を提供するように、動作可能であり得る。オンボードユニットは、図3〜図7を参照して以下で説明する方法300及び400の1つ又は複数のステップをこのオンボードユニットに実行させる干渉低減システム199を実行するように動作可能であり得る。実施形態によっては、図2に図示したコンピュータシステム200が、オンボードユニットの一例である。
実施形態によっては、車両123はセンサーの組を含むことがある。センサーの組は、車両123の外部の物理的環境を測定するように動作可能な1つ又は複数のセンサーを含むことがある。例えば、センサーの組は、車両123の近くの物理的環境の1つ又は複数の物理的特性を記録する1つ又は複数のセンサーを含むことがある。メモリ127は、センサーの組によって記録された1つ又は複数の物理的特性を記述するセンサーデータを記憶することができる。
実施形態によっては、車両123のセンサーの組は、以下の車両センサーのうちの1つ又は複数を含むことがある:カメラ、LIDARセンサー、レーダーセンサー、レーザー高度計、赤外線検出器、動き検出器、自動温度調節器、音検出器、一酸化炭素センサー、二酸化炭素センサー、酸素センサー、空気流量センサー、エンジン冷媒温度センサー、スロットル位置センサー、クランクシャフト位置センサー、自動車エンジンセンサー、弁タイマー、空気燃料比計、死角計、縁石触覚器、欠陥検出器、ホール効果センサー、マニホールド絶対圧力センサー、駐車センサー、レーダー銃、速度計、速度センサー、タイヤ圧監視センサー、トルクセンサー、トランスミッション液温度センサー、タービン速度センサー(TSS)、可変磁気抵抗センサー、車両速度センサー(VSS)、水センサー、車輪速度センサー、及び任意の他のタイプの自動車センサー。
プロセッサ125は、計算を行い、表示装置に電子表示信号を提供するために、算術論理ユニット、マイクロプロセッサ、汎用コントローラ、又は何らかの他のプロセッサアレイを含む。プロセッサ125は、データ信号を処理し、また、複合命令セットコンピューター(CISC)アーキテクチャ、縮小命令セットコンピューター(RISC)アーキテ
クチャ、又は命令セットの組み合わせを実装するアーキテクチャを含む、様々なコンピュータアーキテクチャを含むことがある。車両123は、1つ又は複数のプロセッサ125を含むことがある。他のプロセッサ、オペレーティングシステム、センサー、ディスプレイ、及び物理的構成も可能であり得る。
メモリ127は、プロセッサ125によってアクセスされ実行され得る命令又はデータを記憶する、非一時的メモリである。命令又はデータには、本明細書で説明する技術を実行するためのコードが含まれることがある。メモリ127は、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイス、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)デバイス、フラッシュメモリ、又は何らかの他のメモリデバイスであり得る。実施形態によっては、メモリ127は、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、CD−ROMデバイス、DVD−ROMデバイス、DVD−RAMデバイス、DVD−RWデバイス、フラッシュメモリデバイス、又はより永続的に情報を記憶するための何らかの他の大容量記憶装置、を含む、不揮発性メモリ又は類似の永久記憶装置及び媒体も含む。メモリ127の一部は、バッファ又は仮想ランダムアクセスメモリ(仮想RAM)として使用するために、予約されることがある。車両123は、1つ又は複数のメモリ127を含むことがある。
実施形態によっては、メモリ127は、デジタルデータとして、本明細書で説明する任意のデータを記憶する。実施形態によっては、メモリ127は、干渉低減システム199がその機能を提供するために必要なあらゆるデータを記憶する。
通信ユニット145は、ネットワーク105又は別の通信チャネルとの間でデータを送受信する。実施形態によっては、通信ユニット145は、DSRC送受信機、DSRC受信機、及び車両123をDSRC搭載装置にするのに必要な他のハードウェア又はソフトウェアを含むことがある。
実施形態によっては、通信ユニット145は、ネットワーク105又は別の通信チャネルに直接物理的に接続するためのポートを含む。例えば、通信ユニット145は、ネットワーク105との有線通信用のUSB、SD、CAT−5、又は同様のポートを含む。実施形態によっては、通信ユニット145は、以下を含む、1つ又は複数の無線通信方法を使用して、ネットワーク105又は他の通信チャネルとデータを交換するための、無線送受信機を含む:IEEE802.11、IEEE802.16Bluetooth(登録商標)、EN ISO14906:2004電子式料金徴収−アプリケーションインターフェース、EN11253:2004専用狭域通信−5.8GHzのマイクロ波を使用した物理層(レビュー)、EN12795:2002専用狭域通信(DSRC)−DSRCデータリンク層:媒体アクセス及び論理リンク制御(レビュー)、EN12834:2002専用狭域通信−アプリケーション層(レビュー)、EN13372:2004専用狭域通信(DSRC)−RTTTアプリケーションのDSRCプロファイル(レビュー)、2014年8月28日に出願された「Full−Duplex Coordination System」と題された米国特許出願第14/471,387号明細書に記載された通信方法、又は別の適切な無線通信方法。
実施形態によっては、通信ユニット145は、2014年8月28日に出願された「Full−Duplex Coordination System」と題された米国特許出願第14/471,387号明細書に記載されたような全二重調整システムを含む。この米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施形態によっては、通信ユニット145は、SMS(short messaging service)、MMS(multimedia messaging service)、HTTP(hypertext transfer protocol)、直
接データ接続、WAP、電子メール、又は別の適切なタイプの電子通信を介することを含めて、セルラー通信を介してデータを送受信するためのセルラー通信送受信機を含む。実施形態によっては、通信ユニット145は、有線ポート及び無線送受信機を含む。通信ユニット145は、TCP/IP、HTTP、HTTPS、及びSMTP、ミリメートル波、DSRC等を含む標準ネットワークプロトコルを使用して、ファイル又はメディアオブジェクトを配信するためのネットワーク105への他の従来の接続も提供する。
実施形態によっては、通信ユニット145は、第1のV2X無線機147、及び第2のV2X無線機148を含む。
第1のV2X無線機147は、任意のV2Xプロトコルを介して無線メッセージを送受信するように動作可能なV2X送信機及びV2X受信機を含む電子装置である。例えば、第1のV2X無線機147は、DSRCを介して無線メッセージを送受信するように動作可能である。V2X送信機は、5.9GHz帯域を介してDSRCメッセージを送信及び一斉配信するように動作可能である。V2X受信機は、5.9GHz帯域を介してDSRCメッセージを受信するように動作可能である。第1のV2X無線機147は、7つのチャネル(例えば、DSRCチャネル番号172、174、176、178、180、182、及び184)を含み、これらのチャネルのうちの少なくとも1つがBSMの送受信用に予約されている(例えば、DSRCチャネル番号172がBSM用に予約されている)。
DSRC無線機を搭載した車両は、定期的な間隔でBSMを送信する(例えば、0.10秒毎に1回、又はユーザが設定可能な、若しくは車両が駐車しているときに随時干渉低減システムによって設定可能な、何らかの他の時間間隔)。BSMは、BSMデータを含むペイロードを含む。BSMデータは、とりわけ以下のうちの1つ又は複数を記述するデジタルデータである:BSMを送信する車両の経路履歴、送信車両の実際の位置に対してプラス又はマイナス1.5メートルの精度での送信車両の地理的位置、送信車両の進行方向又は軌道。
実施形態によっては、これらのチャネルのうちの少なくとも1つは、2017年10月27日に出願された「PSM Message−based Device Discovery for a Vehicular Mesh Network」と題された米国特許出願第15/796,296号明細書に記載されているように、PSMの送受信用に予約されている。この米国特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態によっては、DSRCチャネル番号172は、PSMの送受信用に予約されている。実施形態によっては、DSRCチャネル番号176が、PSMの送受信用に予約されている。
PSMは、PSMデータを含むペイロードを含む。PSMについては、2017年6月6日に出願された「Optimization of a Motion Profile for a Vehicle」と題された米国特許出願第15/640,352号明細書にも記載されており、この米国特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施形態によっては、第1のV2X無線機147は、BSMを一斉配信する頻度を制御するデジタルデータを記憶する、非一時的メモリを含む。実施形態によっては、非一時的メモリは、車両123のGPSデータのバッファ版を記憶し、その結果、車両123のGPSデータは、第1のV2X無線機147によって定期的に一斉配信されるBSMの要素として、一斉配信される。
実施形態によっては、第1のV2X無線機147は、車両123をDSRC規格に準拠させるのに必要な任意のハードウェア又はソフトウェアを含む。実施形態によっては、図2に図示されたDSRC準拠GPSユニット250は、第1のV2X無線機147の要素である。
第2のV2X無線機148は、任意のV2Xプロトコルを介して無線メッセージを送受信するように動作可能なV2X送信機及びV2X受信機を含む電子装置である。第2のV2X無線機148は、第1のV2X無線機147と同様の機能を提供するので、説明はここでは繰り返さない。
実施形態によっては、第1のV2X無線機147は、特定のタイプの無線メッセージを送信及び/又は受信するための専用の単一のチャネルを含む。例えば、第1のV2X無線機147は、BSMの送受信専用の単一のチャネルを含む。例えば、図1Bを参照すると、第1のV2X無線機147は、BSM送受信専用のチャネル172を含む。実施形態によっては、第1のV2X無線機147は、BSM送受信専用の単一のチャネルを含み、第2のV2X無線機148は、BSMではない任意のV2Xメッセージを送受信するように動作可能な複数の他のチャネルを含む。例えば、第2のV2X無線機148は、BSMではない任意のV2Xメッセージを送受信するように動作可能な、図1Bに図示するような6つの他のチャネルを含む。
別の例では、第1のV2X無線機147は、PSM受信専用の単一のチャネルを含み、第2のV2X無線機148は、PSMではない任意のV2Xメッセージを送受信するように動作可能な複数の他のチャネルを含む。
実施形態によっては、第1のV2X無線機147は、BSMの送受信専用の第1のDSRC無線機である。第1のV2X無線機147は、第1のDSRC無線送受信機を含む。第2のV2X無線機148は、BSMではない任意のDSRCメッセージを送受信する第2のDSRC無線機である。第2のV2X無線機148は、第2のDSRC無線送受信機を含む。従って、実施形態によっては、車両123は、2つの異なるDSRC無線機を含むDSRC対応車両である。
実施形態によっては、干渉低減システム199は、ソフトウェアを含み、このソフトウェアは、プロセッサ125によって実行されると、図3〜図7を参照して以下で説明する方法300及び400の1つ又は複数のステップをプロセッサ125に実行させるように動作可能である。干渉低減システム199の機能については、幾つかの実施形態に従って、以下でより詳細に説明する。
実施形態によっては、干渉低減システム199は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)又は特定用途向け集積回路(「ASIC」)を含むハードウェアを使用して実装される。幾つかの他の実施形態では、干渉低減システム199は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装される。
エンドポイント124は、V2X通信情報を送受信するように動作可能である任意の電子装置である。例えば、エンドポイント124は、通信ユニット145と類似の通信ユニットを含む、電子装置又は別のコネクテッド車両である。実施形態によっては、エンドポイント124は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ、路側機、又は通信ユニット145を含む何らかの他のプロセッサベースのコンピュータ装置である。実施形態によっては、エンドポイント124は、DSRCメッセージを送受信するように動作可能なDSRC搭載装置である。
DSRCは、益々車両に含まれるようになってきている、というのも、DSRCは、多くのADASシステム又は自律運転システムがその機能を提供するのに必要であるセンサーデータの供給源であるからである。米国では、7つの異なるチャネルがDSRC専用となっており、これらの7つのチャネルのうちの1つが、一般的に、BSMの送信に使用される。例えば、チャネルはBSMの送信のために時間にして約99%使用されるので、これの説明の目的のために、このチャネルは「BSM専用のチャネル」又は「BSM用に予約されたチャネル」と呼ばれる。BSM専用のチャネル(即ち、チャネル172)は、多くの使用量を受け取る、というのも、道路上の各DSRC対応車両が定期的な間隔で(例えば、0.10秒毎に1回)BSMを送信するからである。これらの7つのチャネルのうちの別のチャネルは、チャネル172が一般的にBSM用に使用される態様と同様の態様で、一般的にPSM用に使用されることがあり、そのため、このチャネルは「PSM専用」又は「PSM用に予約されている」と呼ばれる。例えば、チャネル176は、一般的にPSM用に使用されることがあると考えられている。
実施形態によっては、車両123は、2つ以上の異なるDSRC無線機(例えば、第1のV2X無線機147及び第2のV2X無線機148)を搭載している。各DSRC無線機は、DSRC送信機及びDSRC受信機を含む。DSRC無線機のうちの1つは、BSMの受信専用である。他のDSRC無線機は、任意の他のBSMではないDSRCメッセージを受信するのに使用される。
ここで図1Bを参照すると、幾つかの実施形態による、V2X無線機147、148の組及び干渉低減システム199を含む、動作環境101が図示されている。
図1Bに図示されるように、V2Xチャネル#172は、BSM用に予約されたチャネルである。第1のV2X無線機147は、V2Xチャネル#172を使用したBSMの送受信専用である。他の6つのV2Xチャネル(#174、#176、#178、#180、#182、及び#184)は、第2のV2X無線機148からアクセス可能である。この実施形態で示すように、チャネル#176は、PSMの受信用に予約されている。
図1Bに示すように、メモリ127は、V2Xメッセージデータ193、干渉データ194、発生源データ195、性能データ196、フィードバックデータ197、及び図には示されていない任意の他のデータを記憶することができる。例えば、実施形態によっては、メモリ127は、以下のもの、即ち波形データ及びマスクデータ、のうちの1つ又は複数を記憶する。
実施形態によっては、V2Xメッセージデータ193は、V2Xメッセージのペイロードを記述する。例えば、V2Xメッセージデータ193は、BSM用のBSMデータを記述する。実施形態によっては、V2Xメッセージデータ193は、DSRCメッセージ又は任意の他のタイプのV2Xメッセージ用のペイロードを記述する。実施形態によっては、V2Xメッセージデータ193は、異なる版のV2Xメッセージ、例えば、干渉信号によって不明瞭になったペイロードデータを含むV2Xメッセージの受信版、干渉信号によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版、及び、1つ又は複数のタイプの干渉が低減されたV2Xメッセージの1つ又は複数の中間版、について記述する。実施形態によっては、V2Xメッセージデータは、波形データの例であるか、又は波形データの要素である。
実施形態によっては、干渉データ194は、V2Xメッセージに存在する干渉信号について記述する。例えば、干渉データ194は、以下を含む、即ち、干渉信号の発生源(例えば、V2X無線機のオンボード、V2X無線機のオフボード、又はV2X無線機のオンボードおよびオフボード)を記述するデータ、干渉信号のタイプ(例えば、自己干渉、隣
接チャネル干渉、又は自己干渉と隣接チャネル干渉の組み合わせである組み合わせ干渉)を記述するデータ、自己干渉の強度を記述するデータ、及び隣接チャネル干渉の強度を記述するデータ、を含む。
実施形態によっては、性能データ196は、V2Xメッセージに関連した干渉打ち消し性能について記述する。例えば、性能データ196は、干渉低減システム199が打ち消しシーケンスを適用してV2Xメッセージ中の干渉を打ち消した後の、V2Xメッセージの信号対干渉プラス雑音比(SINR)について記述するデータを含む。例えば、V2Xメッセージのより高いSINRは、干渉低減システム199の性能がより良好であることを示すことがある。
実施形態によっては、フィードバックデータ197は、打ち消しシーケンスの更新又は性能向上のために使用される、フィードバック、提案、戦略等について記述する。例えば、フィードバックデータ197は、V2Xメッセージからの干渉を打ち消すように適用された場合の打ち消しシーケンスの処理速度及び成功率(例えば、打ち消しシーケンスがどれ位早く且つどれ位成功裏に適用されたか)を記述するデータを含む。別の例では、フィードバックデータ197は、打ち消しシーケンスにおける異なる実行順序、及び、その異なる実行順序に対応した打ち消しシーケンスの性能、について記述するデータを含む。打ち消しシーケンスにおける実行順序については、以下で図7を参照して説明する。
例示的なコンピュータシステム
ここで図2を参照すると、幾つかの実施形態による、干渉低減システム199を含む例示的なコンピュータシステム200を示すブロック図が示されている。実施形態によっては、コンピュータシステム200は、以下で図3〜図7を参照して説明する方法300及び400の1つ又は複数のステップを実行するようにプログラムされた専用コンピュータシステムを含むことがある。実施形態によっては、コンピュータシステム200は、車両123の車載コンピュータである。実施形態によっては、コンピュータシステム200は、車両123のオンボードユニットである。実施形態によっては、コンピュータシステム200は、車両123の電子制御ユニット(ECU)、ヘッドユニット、又は何らかの他のプロセッサベースのコンピュータ装置である。
コンピュータシステム200は、幾つかの例による以下の要素のうちの1つ又は複数を含む:干渉低減システム199、プロセッサ225、通信ユニット245、メモリ227、及びDSRC準拠GPSユニット250。コンピュータシステム200の構成要素は、バス220によって通信可能に結合される。
図示した実施形態では、プロセッサ225は、信号線238を介してバス220に通信可能に結合される。通信ユニット245は、信号線240を介してバス220に通信可能に結合される。メモリ127は、信号線242を介してバス220に通信可能に結合される。DSRC準拠GPSユニット250は、信号線244を介してバス220に通信可能に結合される。
プロセッサ225は、図1Aを参照して上述したプロセッサ125と同様の機能を提供するので、その説明はここでは繰り返さない。通信ユニット245は、図1Aを参照して上述した通信ユニット245と同様の機能を提供するので、その説明はここでは繰り返さない。メモリ227は、図1Aを参照して上述したメモリ127と同様の機能を提供するので、その説明はここでは繰り返さない。
メモリ227は、図1A及び図1Bを参照して上記で説明した又は図2〜図12を参照して以下で説明するデータのいずれかを記憶することができる。メモリ227は、コンピ
ュータシステム200がその機能を提供するのに必要な任意のデータを記憶することができる。
実施形態によっては、DSRC準拠GPSユニット250は、車両123、コンピュータシステム200、又はDSRC準拠GPSユニット250を以下のDSRC規格(それらの派生規格又は分岐規格を含む)のうちの1つ又は複数に準拠させるのに必要な任意のハードウェア及びソフトウェアを含む:EN12253:2004専用狭域通信−5.8GHzのマイクロ波を使用した物理層(レビュー)、EN12795:2002専用狭域通信(DSRC)−DSRCデータリンク層:媒体アクセス及び論理リンク制御(レビュー)、EN12834:2002専用狭域通信−アプリケーション層(レビュー)、及び、EN13372:2004専用狭域通信(DSRC)−RTTTアプリケーションのDSRCプロファイル(レビュー)、EN ISO14906:2004電子式料金徴収−アプリケーションインターフェース。
実施形態によっては、DSRC準拠GPSユニット250は、車線レベルの精度で車両123の位置を記述するGPSデータを提供するように動作可能である。例えば、車両123は道路のある車線を走行中である。車線レベルの精度とは、道路内の車両123の走行車線が、DSRC準拠GPSユニット250によって提供されるようなこの車両123のGPSデータに基づいて、正確に決定することができるように、車両123の位置がGPSデータによって高精度で記述される、ということを意味する。実施形態によっては、GPSデータはBSMデータ又はPSMデータの要素である。
実施形態によっては、DSRC準拠GPSユニット250は、GPS衛星と無線通信して、DSRC規格に準拠する精度で車両123の地理的位置を記述するGPSデータを取得するハードウェアを含む。DSRC規格は、2台の車両(そのうちの1台は、例えば車両123である)が、隣接する走行車線内に位置するかどうかを推定するのに、GPSデータが十分に正確であることを必要とする。実施形態によっては、DSRC準拠GPSユニット250は、開けた空の下にある時間の68%の間、実際の位置の1.5メートル以内で2次元の位置を特定、監視、及び追跡するように動作可能である。走行車線は通常は幅が3メートル以上であるので、GPSデータの2次元誤差が1.5メートル未満である場合はいつでも、本明細書で説明する干渉低減システム199は、DSRC準拠GPSユニット250によって提供されるGPSデータを分析し、同時に道路を走行中の2台以上の異なる車両(そのうちの1台が、例えば車両123である)の相対位置に基づいて、車両123がどの車線を走行中であるのかを判定することができる。
DSRC準拠GPSユニット250と比較して、DSRC規格に準拠していない従来のGPSユニットは、車線レベルの精度で車両123の位置を判定することができない。例えば、典型的な道路の車線は、幅が約3メートルである。しかしながら、従来のGPSユニットは、車両123の実際の位置に対してプラス又はマイナス10メートルの精度しかない。その結果、そのような従来のGPSユニットは、GPSデータのみに基づいて車両123の走行車線を特定するほど十分に正確ではない。その代わりに、従来のGPSユニットのみを有するシステムは、車両123の走行車線を特定するために、カメラなどのセンサーを利用しなくてはならない。車両の走行車線を特定することは有益である、というのも、例えば、実施形態によっては、干渉低減システム199が、コンピュータシステム200を含み且つ複数の走行車線を有する道路を走行中の車両123の位置を、より正確に特定できるようにし得るからである。
図2に示した実施形態では、干渉低減システム199は、通信モジュール202、検出モジュール204、打ち消しモジュール208、提供モジュール210、及び分析モジュール212、を含む。
通信モジュール202は、干渉低減システム199と、それぞれ図1A及び図1Bの動作環境100及び101の他の構成要素との間の通信を処理するためのルーチンを含むソフトウェアであり得る。
実施形態によっては、通信モジュール202は、干渉低減システム199とコンピュータシステム200の他の構成要素との間の通信を処理するための以下で説明する機能を提供するようにプロセッサ225によって実行可能な命令の組であり得る。実施形態によっては、通信モジュール202は、コンピュータシステム200のメモリ227に記憶されることがあり、プロセッサ225によってアクセス可能であり且つ実行可能であり得る。通信モジュール202は、信号線222を介して、プロセッサ225及びコンピュータシステム200の他の構成要素と連携及び通信するように、適合されることがある。
通信モジュール202は、動作環境100の1つ又は複数の要素との間で、通信ユニット245を介して、データを送受信する。例えば、通信モジュール202は、メモリ127に記憶されたデジタルデータの一部又は全部を、通信ユニット245を介して、受信又は送信する。通信モジュール202は、通信ユニット245を介して、図1A及び図1Bを参照して上述した、又は図2〜図15を参照して以下で説明するデジタルデータ又はメッセージのいずれかを送信又は受信することがある。
実施形態によっては、通信モジュール202は、干渉低減システム199の構成要素からデータを受信し、そのデータをメモリ227(又はメモリ227のバッファ若しくはキャッシュ、又は図2には図示していない単独のバッファ若しくはキャッシュ)に記憶する。例えば、通信モジュール202は、通信ユニット245からV2Xメッセージデータを受信し、そのV2Xメッセージデータをメモリ227に記憶する。
実施形態によっては、通信モジュール202は、干渉低減システム199の構成要素間の通信を処理することがある。例えば、通信モジュール202は、発生源データ195を、検出モジュール204から打ち消しモジュール208へ送信する。
実施形態によっては、検出モジュール204は、プロセッサ225によって実行可能な命令の組であることがあり、この命令の組は、プロセッサ225によって実行されると、プロセッサ225に、V2X無線機のチャネル上の干渉信号の存在を検出させ、その干渉信号の発生源を判定させるように動作可能である。実施形態によっては、検出モジュール204は、コンピュータシステム200のメモリ227に記憶されることがあり、プロセッサ225によってアクセス可能であり且つ実行可能であり得る。検出モジュール204は、信号線224を介して、プロセッサ225及びコンピュータシステム200の他の構成要素と連携及び通信するように、適合されることがある。
実施形態によっては、V2XメッセージがV2X無線機のチャネルを介して受信されたときに、V2X無線機のそのチャネル上に干渉信号が存在する。この干渉信号は、V2Xメッセージ中に含まれるペイロードデータを不明瞭にする。干渉信号には、隣接チャネル干渉、自己干渉、又は組み合わせ干渉が含まれる。
隣接チャネル干渉とは、受信車両上のV2X無線機の隣接チャネルを使用してV2Xメッセージを同時受信することによって引き起こされる干渉である。受信車両が、第1のチャネルを使用して送信する第1の送信車両からは遠く離れており、第2のチャネルを使用して送信する第2の送信車両には近い場合、遠近効果により、第2の送信車両から第2のチャネルを介して受信される信号は、第1の送信車両から第1のチャネルを介して受信される信号に対して、著しい隣接チャネル干渉を引き起こすことがある。隣接チャネル干渉
は、受信車両の第1のチャネルでのV2X通信の性能を著しく低下させることがある。このタイプの干渉(隣接チャネル干渉)は、別の車両から送信される信号に端を発するので、隣接チャネル干渉の発生源は、V2X無線機のオフボードと呼ばれることがある。
例えば、2つの信号x及びyが、ある車両上の2つ隣接チャネルX及びYを介して同時に受信され、Xチャネルで受信されるx信号は、Yチャネルで受信されるy信号よりも大きな信号強度を有する、と仮定する。この状況では、受信機フィルタが不完全なせいで、信号強度がより大きいx信号は、Yチャネルの通過帯域上で完全に除去することができず、Yチャネル上で受信されるy信号に侵入する(例えば、x信号が、y信号の通過帯域に漏れる)。その結果、y信号は、Yチャネル上で明瞭に又は正確に聞こえなくなる(又は完全に聞き逃されてしまう)。即ち、Xチャネルでx信号を受信することにより、Yチャネルでのy信号の受信において隣接チャネル干渉が引き起こされる。隣接チャネル干渉は、打ち消すのが困難であることがある、というのも、x信号からの干渉を除去するときに、y信号の一部が図らずも打ち消されないように、x信号がどのようなものであるかを推定することが必要であるからである。隣接チャネル干渉の打ち消しについては、以下でより詳細に説明する。
自己干渉とは、車両上でV2Xメッセージを同時に送受信することによって引き起こされる干渉である。例えば、自己干渉は、車両自体のV2X通信によって引き起こされる干渉である。このタイプの干渉(自己干渉)は、その車両自体によって送信される信号に端を発するので、自己干渉の発生源は、V2X無線機のオンボードと呼ばれることがある。
例えば、車両が、多チャネルV2X無線機のXチャネルでx信号を送信し、同時に、多チャネルV2X無線機のYチャネルでy信号を受信し、x信号はy信号よりも信号強度が強い、と仮定する。この状況では、Xチャネルでx信号を送信することにより、Yチャネルで受信されるより弱いy信号に対して自己干渉が引き起こされる。例えば、Xチャネルで送信されるより強いx信号は、Yチャネル上で雑音を生成し、その結果、y信号は明瞭又は正確に聞こえなくなる(又は、完全に聞き逃される)。隣接チャネル干渉と比べて、自己干渉は打ち消すのが容易である、というのも、干渉低減システム199は、Xチャネルで送信されているx信号を読み取り、この情報を使用してYチャネル上で聞こえているx信号を打ち消すことができるからである。自己干渉の打ち消しについては、以下でより詳細に説明する。
実施形態によっては、多チャネルV2X無線機は同時に動作することができる様々なチャネルを含み、その結果、実際には、任意の特定のV2Xチャネルが、隣接チャネル干渉と自己干渉の両方の組み合わせを経験することがある。本明細書では、隣接チャネル干渉と自己干渉との組み合わせであるこのタイプの干渉を指すのに、組み合わせ干渉が使用される。このタイプの干渉(組み合わせ干渉)は、別の車両から送信される信号に加えて、その車両自体によって送信される別の信号に端を発するので、組み合わせ干渉の発生源は、V2X無線機のオンボードおよびオフボードと呼ばれることがある。
実施形態によっては、検出モジュール204は、V2X無線機の様々なチャネルを監視する又は聞き取る。V2X無線機は、様々なチャネルに渡って、同時にV2Xメッセージを受信又は送信する。様々なチャネルの各々に対して、検出モジュール204は、V2X無線機の特定のチャネル上に干渉信号が存在しているかどうかを検出するように動作可能である。干渉信号は、チャネルを介して受信されたV2Xメッセージに含まれるペイロードデータを不明瞭にすることがある。実施形態によっては、検出モジュール204は、チャネル上に存在する干渉信号の発生源を判定するようにも動作可能である。干渉信号の発生源は、V2X無線機のオンボード(自己干渉の場合)、V2X無線機のオフボード(隣接チャネル干渉の場合)、及びV2X無線機のオンボードおよびオフボード(組み合わせ
干渉の場合)のうちの1つであり得る。
例えば、検出モジュール204は、ある期間に渡って、V2X無線機の複数チャネルに渡りエネルギー準位を記述する波形(例えば、複数チャネルに渡って受け取られた電力の波形)を測定し、それらの複数チャネルのそれぞれの信号強度(例えば、それぞれの受信電力)を判定する。V2X無線機の特定のチャネルを使用して、車両上でV2Xメッセージを受信すると仮定する。V2Xメッセージを受信するためのその特定のチャネルに加えて、閾値よりも信号強度が大きい他のチャネルがある場合(これは、V2Xメッセージが受信されると同時にメッセージを送信又はメッセージを受信するために、他のチャネルが使用されることを示す)、検出モジュール204は、その特定のチャネルにおける干渉信号の存在を検出する。このとき、その特定のチャネルで受信されたV2Xメッセージのペイロードデータを、この干渉信号が不明瞭にしている。検出モジュール204は、どのチャネルを使用して車両自体によってメッセージを送信しているのかを知っている、ということを理解されたい。閾値よりも信号強度が大きい全ての他のチャネルが、車両自体によってメッセージを送信するために使用されるチャネルである場合、検出モジュール204は、干渉信号の発生源はV2X無線機のオンボードであり、干渉信号のタイプは自己干渉であると判定する(例えば、例として図9A〜図9Cを参照)。閾値よりも信号強度が大きい全ての他のチャネルが、車両上でメッセージを受信するために使用されるチャネルである場合、検出モジュール204は、干渉信号の発生源はV2X無線機のオフボードであり、干渉信号のタイプは隣接チャネル干渉であると判定する(例えば、例として図8A〜図8Cを参照)。他のチャネルの第1の部分が、車両上でメッセージを受信するために使用されるチャネルを含み、他のチャネルの第2の部分が、車両自体によってメッセージを送信するためのチャネルを含む場合、検出モジュール204は、干渉信号の発生源はV2X無線機のオンボードおよびオフボードであり、干渉信号のタイプは組み合わせ干渉であると判定する(例えば、例として図10A〜図10Dを参照)。
実施形態によっては、打ち消しモジュール208は、プロセッサ225によって実行可能な命令の組であることがあり、この命令の組は、プロセッサ225によって実行されると、プロセッサ225が、発生源に基づいて選択された打ち消しシーケンスを使用してV2Xメッセージから干渉信号を打ち消し、干渉信号によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版を生成するように、動作可能である。実施形態によっては、打ち消しモジュール208は、コンピュータシステム200のメモリ227に記憶されることがあり、プロセッサ225によってアクセス可能であり且つ実行可能であり得る。打ち消しモジュール208は、信号線228を介して、プロセッサ225及びコンピュータシステム200の他の構成要素と連携及び通信するように、適合されることがある。
実施形態によっては、干渉信号の発生源がV2X無線機のオンボードである(例えば、干渉信号が自己干渉である)場合、打ち消しモジュール208は、自己干渉打ち消し技術を適用してV2Xメッセージから自己干渉を打ち消し、自己干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版を生成するように、動作可能である。自己干渉打ち消し技術の詳細については、以下で説明するように、図5を参照することができる。
実施形態によっては、干渉の発生源がV2X無線機のオフボードである(例えば、干渉信号が隣接チャネル干渉である)場合、打ち消しモジュール208は、隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用してV2Xメッセージから隣接チャネル干渉を打ち消し、隣接チャネル干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版を生成するように、動作可能である。隣接チャネル干渉打ち消し技術の詳細については、以下で説明するように、図6A〜図6Bを参照することができる。
実施形態によっては、干渉の発生源がV2X無線機のオンボードおよびオフボードである(例えば、干渉信号が組み合わせ干渉である)場合、打ち消しモジュール208は、打ち消しシーケンスを適用してV2Xメッセージから組み合わせ干渉を打ち消し、組み合わせ干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版を生成するように、動作可能である。例えば、打ち消しシーケンスは、自己干渉打ち消し技術及び隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用することを組み合わせて、それぞれV2Xメッセージから自己干渉及び隣接チャネル干渉を打ち消すことを含む。打ち消しシーケンスの詳細については、以下で説明するように、図7を参照することができる。
実施形態によっては、提供モジュール210は、プロセッサ225によって実行可能な命令の組であることがあり、この命令の組は、プロセッサ225によって実行されると、プロセッサ225にV2Xメッセージの修正版を提供させるように動作可能である。実施形態によっては、提供モジュール210は、コンピュータシステム200のメモリ227に記憶されることがあり、プロセッサ225によってアクセス可能であり且つ実行可能であり得る。提供モジュール210は、信号線229を介して、プロセッサ225及びコンピュータシステム200の他の構成要素と連携及び通信するように、適合されることがある。
実施形態によっては、提供モジュール210は、車両構成要素が干渉信号ではなくペイロードデータに基づいてその機能を提供するように、車両構成要素にV2Xメッセージの修正版を提供するように動作可能である。車両構成要素は、車両の任意の構成要素、例えば、ECU、オンボードのADAS、又は任意の他の構成要素であり得る。
実施形態によっては、分析モジュール212は、プロセッサ225によって実行可能な命令の組であることがあり、この命令の組は、プロセッサ225によって実行されると、プロセッサ225にV2Xメッセージに関連した干渉打ち消し性能を分析させるように動作可能である。実施形態によっては、分析モジュール212は、コンピュータシステム200のメモリ227に記憶されることがあり、プロセッサ225によってアクセス可能であり且つ実行可能であり得る。分析モジュール212は、信号線230を介して、プロセッサ225及びコンピュータシステム200の他の構成要素と連携及び通信するように、適合されることがある。
実施形態によっては、分析モジュール212は、V2Xメッセージに関連した干渉打ち消し性能を分析し、これに応じて分析結果を生成するように動作可能である。例えば、分析モジュール212は、自己干渉打ち消し技術の性能を、受信したV2Xメッセージから自己干渉を低減するように適用されたときに、分析することができ、また、これに応じてV2Xメッセージの信号対干渉プラス雑音比(SINR)を生成することができる。ここで、SINRは、自己干渉打ち消し技術がどれ位効果的に自己干渉を低減したかを示す指標として働くことができる。
別の例では、分析モジュール212は、隣接チャネル干渉打ち消し技術の性能を、受信したV2Xメッセージから隣接チャネル干渉を低減するように適用されたときに、分析することができ、また、これに応じてV2XメッセージのSINRを生成することができる。ここで、SINRは、隣接チャネル干渉打ち消し技術がどれ位効果的に隣接チャネル干渉を低減したかを示す指標として働くことができる。更に別の例では、分析モジュール212は、打ち消しシーケンスの性能を、受信したV2Xメッセージから組み合わせ干渉を低減するように適用されたときに、分析することができ、また、これに応じてV2XメッセージのSINRを生成することができる。ここで、SINRは、打ち消しシーケンスがどれ位効果的に組み合わせ干渉を低減したかを示す指標として働くことができる。
実施形態によっては、分析モジュール212は、干渉打ち消し性能の分析結果に基づいてフィードバックデータを提供するように動作可能である。例えば、分析モジュール212は、自己干渉打ち消し技術、隣接チャネル干渉打ち消し技術、又は打ち消しシーケンスが、V2Xメッセージからそれぞれ自己干渉、隣接チャネル干渉、又は組み合わせ干渉を打ち消すために適用されると、それらの処理速度及び成功率(例えば、自己干渉打ち消し技術、隣接チャネル干渉打ち消し技術、及び打ち消しシーケンスが、どれ位迅速に且つどれ位成功裏に適用されたか)を記述するフィードバックデータを生成する。別の例では、分析モジュール212は、打ち消しシーケンスにおける異なる実行順序、及び、その異なる実行順序に対応した打ち消しシーケンスの異なる性能結果、について記述するフィードバックデータを生成する。
実施形態によっては、分析モジュール212は、フィードバックデータに基づいて、それぞれ自己干渉打ち消し技術、隣接チャネル干渉打ち消し技術、及び打ち消しシーケンスを更新するように動作可能である。例えば、異なる実行順序に対応した打ち消しシーケンスの異なる性能結果を記述したフィードバックデータに基づいて、分析モジュール212は、打ち消しシーケンスにおける最適な実行順序を判定し、将来の使用のために、打ち消しシーケンスにおける実行順序を最適な実行順序となるように更新する。
例示的なプロセス
図3は、幾つかの実施形態による、コネクテッド車両のV2Xメッセージから干渉信号を打ち消すための方法300を示す。方法300のステップは、任意の順序で実行可能であり、必ずしも図3に示した順序であるとは限らない。方法300は、多チャネルV2X無線機の各チャネルに対して適用することができる。
ステップ301では、検出モジュール204は、V2X無線機の各チャネルを監視し、V2X無線機のチャネル上の干渉信号の存在を検出する。このとき、干渉信号はそのチャネルを介して受信したV2Xメッセージに含まれるペイロードデータを不明瞭にしている。V2X無線機の一例は、DSRC無線機である。
ステップ303では、検出モジュール204は、チャネル上に存在する干渉信号の発生源を判定する。干渉信号の発生源は、V2X無線機のオンボード(例えば、干渉信号のタイプは自己干渉である)、V2X無線機のオフボード(例えば、干渉信号のタイプは隣接チャネル干渉である)、及び、V2X無線機のオンボードおよびオフボード(例えば、干渉信号のタイプは組み合わせ干渉である)、のうちの1つである。
ステップ305では、打ち消しモジュール208は、発生源に基づいて選択された打ち消しシーケンスを使用してV2Xメッセージから干渉信号を打ち消して、干渉信号によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版を生成する。
ステップ307では、提供モジュール210は、車両構成要素が干渉信号ではなくペイロードデータに基づいてその機能を提供するように、車両構成要素にV2Xメッセージの修正版を提供する。
図4A〜図4Bは、幾つかの実施形態による、コネクテッド車両のV2Xメッセージから干渉信号を打ち消すための別の方法400を示す。方法400のステップは、任意の順序で実行可能であり、必ずしも図4A〜図4Bに示した順序であるとは限らない。方法400は、多チャネルV2X無線機の各チャネルに対して適用することができる。
図4Aを参照すると、ステップ401では、検出モジュール204は、V2X無線機の各チャネルを監視し、V2X無線機のチャネル上の干渉信号の存在を検出する。
ステップ403では、検出モジュール204は、チャネル上に存在する干渉信号の発生源を判定する。
ステップ405では、打ち消しモジュール208は、干渉信号の発生源がV2X無線機のオンボードであるかどうかを判定する。干渉信号の発生源がV2X無線機のオンボードのみである場合、干渉信号のタイプは自己干渉であり、方法400はステップ407に進む。そうでない場合は、方法400はステップ409に進む。
ステップ407では、打ち消しモジュール208は、自己干渉打ち消し技術を適用してV2Xメッセージから自己干渉を打ち消して、V2Xメッセージの修正版を生成し、次いで方法400はステップ416に進む。ステップ407については、図5を参照してより詳細に説明する。
ステップ409では、打ち消しモジュール208は、干渉信号の発生源がV2X無線機のオフボードであるかどうかを判定する。干渉信号の発生源がV2X無線機のオフボードのみである場合、干渉信号のタイプは隣接チャネル干渉であり、方法400はステップ411に進む。そうでない場合、方法400はステップ413に進む。
ステップ411では、打ち消しモジュール208は、隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用してV2Xメッセージから隣接チャネル干渉を打ち消して、V2Xメッセージの修正版を生成し、次いで方法400はステップ416に進む。ステップ411については、図6A〜図6Bを参照してより詳細に説明する。
ステップ413では、打ち消しモジュール208は、干渉信号の発生源がV2X無線機のオンボードおよびオフボードであるかどうかを判定する。干渉信号の発生源がV2X無線機のオンボードおよびオフボードである場合、干渉信号のタイプは組み合わせ干渉であり、方法400はステップ415に進む。そうでない場合は、方法400は終了する。
ステップ415では、打ち消しモジュール208は、打ち消しシーケンスを適用してV2Xメッセージから干渉信号を打ち消して、V2Xメッセージの修正版を生成する。例えば、打ち消しシーケンスは、自己干渉打ち消し技術及び隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用することを組み合わせて、それぞれV2Xメッセージから自己干渉及び隣接チャネル干渉を打ち消すことを含む。次いで、方法400はステップ416に進む。ステップ415については、図7を参照してより詳細に説明する。
図4Bを参照すると、ステップ416では、提供モジュール210は、車両構成要素が干渉信号ではなくペイロードデータに基づいてその機能を提供するように、車両構成要素にV2Xメッセージの修正版を提供する。
ステップ417では、分析モジュール212は、V2Xメッセージに関連した干渉打ち消し性能を分析する。例えば、分析モジュール212は、自己干渉打ち消し技術、隣接チャネル干渉打ち消し技術、又は打ち消しシーケンスがV2Xメッセージから干渉信号を打ち消すために適用されたときの、自己干渉打ち消し技術、隣接チャネル干渉打ち消し技術、又は打ち消しシーケンスの性能を分析する。
ステップ418では、分析モジュール212は、干渉打ち消し性能の分析結果に基づいてフィードバックデータを提供する。
ステップ420では、分析モジュール212は、フィードバックデータに基づいて、自己干渉打ち消し技術、隣接チャネル干渉打ち消し技術、又は打ち消しシーケンスを更新する。
図5は、幾つかの実施形態による、自己干渉打ち消し技術を適用して車両で受信したV2Xメッセージから自己干渉を低減するための方法を示す。この方法のステップは、任意の順序で実行可能であり、必ずしも図5に示した順序であるとは限らない。
ステップ501では、打ち消しモジュール208は、複数チャネルで車両の受信機で受信した信号を測定する。例えば、受信信号はRX信号と呼ばれることがある。例えば、RX信号は、送信チャネルを介して車両自体によって送信された自己信号と、その送信チャネルとは異なるチャネルを介して車両で受信したV2Xメッセージとの混合信号を含む。自己信号は、V2Xメッセージが車両で受信されるのと同時に、この車両から別の車両に送信される。自己信号の送信により、V2Xメッセージのチャネル上で自己干渉が引き起こされる。
ステップ502では、打ち消しモジュール208は、RX信号から送信チャネル上の自己信号を復調する。実施形態によっては、車両自体が、自己信号を送信するのにどのプロトコルが使用されるか(「送信プロトコル」と呼ばれる)を知っており、打ち消しモジュール208は、この既知の送信プロトコルを使用して、車両の受信機で測定されたRX信号から自己信号を復調する。
実施形態によっては、車両自体が、送信のためにアンテナに供給される自己信号の変調版(例えば、自己信号の通過帯域版)に関する知識を持っている。この場合には、打ち消しモジュール208は、既知の送信プロトコルを使用して、RX信号からではなく、自己信号の変調版から、自己信号を復調する。実施形態によっては、車両自体が、自己信号のベースバンド版に関する知識を持っている。従って、打ち消しモジュール208は、ベースバンドでの自己信号を取得するためにステップ502で復調動作を実行する必要がなく、この方法は、直接ステップ503に進む。
ステップ503では、打ち消しモジュール208は、上記で取得した自己信号を再変調し、この再変調された自己信号を不均等化して、自己信号の送信により引き起こされた自己干渉の推定信号を取得する。例えば、打ち消しモジュール208は、既知の送信プロトコルを使用して自己信号を再変調し、次いでその再変調された自己信号を不均等化して自己干渉の推定信号を取得する。この自己干渉は、自己信号の送信によってV2Xメッセージのチャネル上で引き起こされるものである。
ステップ505では、打ち消しモジュール208は、RX信号から自己干渉の推定信号を除去することにより、RX信号を更新する。例えば、打ち消しモジュール208は、RX信号から自己干渉の推定信号を減算して、更新されたRX信号を取得する。更新されたRX信号は、自己干渉が低減又は減算された状態のV2Xメッセージの版である。
ステップ507では、打ち消しモジュール208は、自己干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版を生成するように、V2Xメッセージのチャネル上の更新されたRX信号を復調する。
自己干渉打ち消し技術を適用して車両で受信したV2Xメッセージから自己干渉を低減する一例を、図9A〜図9Cを参照して図示する。図9Aを参照すると、車両Bは、第1のチャネル(チャネル1)を介して車両Aに第1のV2Xメッセージの情報を伝達する第
1の信号を送信し、これと同時に、車両Bは第2のチャネル(チャネル2)を介して車両Cから第2のV2Xメッセージの情報を伝達する第2の信号を受信する。第1の信号は、車両Bの自己信号と呼ばれることがあり、第2の信号は、車両Cの信号と呼ばれることがある。車両Bの自己信号及び車両Cの信号は、異なるV2Xソリューション(例えば、802.11p−DSRC、LTE/5G−V2X、等)又は免許不要の帯域通信ソリューション(例えば、WiFi、LTE−U、LTE−LAA、等)を使用した信号であり得る。
図9Bを参照すると、車両Bの受信機上のRX信号を測定することができる(例えば、測定されたRX信号は、送信された自己信号及び車両Cの信号を含むことがある)。例えば、車両Bの受信機におけるRX信号の受信電力の波形を測定することができる。車両Bの自己信号は、車両Cの信号よりも信号強度が強く、車両Bの自己信号の送信により、チャネル1からチャネル2への自己干渉が発生する。例えば、車両Bが自己信号を送信すると、自己干渉が強いせいで、チャネル2を介して車両Cの信号を同時受信するのが困難になる。
図9Cを参照すると、自己干渉打ち消し技術を適用することにより、車両Bの自己信号の送信によって発生した自己干渉を低減することができる。例えば、車両Bでは、干渉低減システム199が、車両B自体によって自己信号を送信するのに使用される送信プロトコルについての知識を持っており、この送信プロトコルを使用して、車両Bの受信機で測定されたRX信号から自己信号を復調する。次いで、干渉低減システム199は、自己信号を再変調し、この再変調された自己信号を不均等化して、チャネル1を介した自己信号の送信により引き起こされた第2のV2Xメッセージのチャネル2上の自己干渉の推定信号を取得する。
次に、干渉低減システム199は、RX信号から自己干渉の推定信号を減算して、更新されたRX信号を取得する。更新されたRX信号は、自己干渉が減算された状態の第2のV2Xメッセージの情報を含む。例えば、図9Cを参照すると、車両Bの自己信号の受信電力の下位波形が、車両Bの受信機での受信電力の波形から減算される。車両Cの信号の受信電力を表す別の下位波形が残り、これは、自己干渉が減算された状態の更新されたRX信号の波形も表している。干渉低減システム199は、車両Bの自己信号からの自己干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含む第2のV2Xメッセージの修正版を生成するように、第2のV2Xメッセージのチャネル2上の更新されたRX信号を復調する。
図6A及び図6Bは、幾つかの実施形態による、隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用してV2Xメッセージから隣接チャネル干渉を低減するための方法を示す。この方法のステップは、任意の順序で実行可能であり、必ずしも図6A〜図6Bに示した順序であるとは限らない。
ステップ601では、打ち消しモジュール208は、複数チャネルで車両の受信機で受信した信号(例えば、RX信号)を測定する。例えば、RX信号は、第1のチャネルを介して車両上で受信したV2Xメッセージと、1つ又は複数の隣接チャネルを介して受信した1つ又は複数の他のメッセージとの混合信号を含む。V2Xメッセージが車両で受信されるのと同時に、1つ又は複数の他のメッセージが、1つ又は複数の他の車両からこの車両に送信される。受信機で1つ又は複数の他のメッセージを同時に受信することにより、V2Xメッセージの第1のチャネル上で隣接チャネル干渉が引き起こされる。
ステップ603では、打ち消しモジュール208は、選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉がV2Xメッセージから低減されるように、1つ又は複数の隣接チャ
ネルから1つの隣接チャネルを復号のために選択する。実施形態によっては、打ち消しモジュール208は、チャネル選択ルールに基づいて復号するための隣接チャネルを選択する。例えば、チャネル選択ルールは、初めに、複数チャネルの中で信号強度が最大である隣接チャネルを選択し、その後、処理されるべき残りの更なる隣接チャネルがある場合、残りの反復の各々について、残っている隣接チャネルの中で信号強度が最も強い隣接チャネルを選択する、ということを示すことがある。即ち、処理されるべく残っているチャネルのプールの中で最大の信号強度を有する隣接チャネルが、各反復において選択される。
他の例では、打ち消しモジュール208は、他の異なるチャネル選択ルールに基づいて復号するための隣接チャネルを選択し、その結果、その異なるチャネル選択ルールに対して、隣接チャネル干渉打ち消し技術の性能を判定することができる。実施形態によっては、異なるチャネル選択ルールは、異なる順序で隣接チャネルを選択することがある。分析モジュール212は、異なるチャネル選択ルールに対する隣接チャネル干渉打ち消し技術の性能を分析することができ、その結果、最適なチャネル選択ルールをその隣接チャネル干渉打ち消し技術に対して決定することができ、最適なチャネル選択ルールを使用して、隣接チャネル干渉打ち消し技術を更新することができる。
選択された隣接チャネルについては、この隣接チャネルで受信されたメッセージを、複数のプロトコル(例えば、第1のプロトコルから第Nのプロトコルまで)のうちの1つを使用して変調することができる。受信機は、復号する前に、どのプロトコルが使用されているかという知識を持っていないので、受信機の打ち消しモジュール208は、復号のために全ての利用可能なプロトコルを試し、復号結果に基づいて正しいプロトコルを判定することができる。具体的には、ステップ605では、打ち消しモジュール208は、第1のプロトコルを使用してRX信号を復号し、第1の復号結果及び第1の復号信号を取得する。ステップ607では、打ち消しモジュール208は、第2のプロトコルを使用してRX信号を復号し、第2の復号結果及び第2の復号信号を取得する。同様に、打ち消しモジュール208は、他のプロトコルを使用してRX信号を復号し、それぞれ対応する復号結果及び復号信号を取得する。ステップ609では、打ち消しモジュール208は、第Nのプロトコルを使用してRX信号を復号し、第Nの復号結果及び第Nの復号信号を取得する。従って、第1から第Nの復号結果及び第1から第Nの復号信号が取得される。ここでNは、利用可能なプロトコルの総数である。
各復号結果は、対応するプロトコルを使用した復号が成功したかどうかを示すことがある。例えば、選択された隣接チャネル上で第1のプロトコルが実際に使用されている場合、第1の復号結果は、第1のプロトコルを使用した復号が成功であることを示す(例えば、第1の復号結果=1)が、選択された隣接チャネル上で第1のプロトコルが使用されていない場合、第1の復号結果は、第1のプロトコルを使用した復号は失敗であることを示す(例えば、第1の復号結果=0)。
ステップ611では、打ち消しモジュール208は、第1から第Nの復号結果に基づいて、第1から第Nのプロトコルから、隣接チャネルで実際に使用されているプロトコルを特定し、第1から第Nの復号信号から、特定されたプロトコルに対応する復号結果を特定する。例えば、打ち消しモジュール208は、復号結果が成功したプロトコルを特定し、その後、特定されたプロトコルに対応する復号結果を特定する。
ステップ605、607、609、及び611の実行により、打ち消しモジュール208は、特定されたプロトコルを使用して、RX信号から隣接チャネル上の特定された復号信号を復調する。
ステップ615では、打ち消しモジュール208は、特定されたプロトコルを使用して
、特定された復号信号を再変調する。
実施形態によっては、干渉低減システムは、複数チャネルV2X無線機を含んでいるコネクテッド車両のECU内に設置される。干渉低減システムは、ECUの非一時的メモリに記憶されるコード及びルーチンを含む。コード及びルーチンは、ECUによって実行されると、ECUに、複数チャネルのV2X無線機のチャネル毎に以下のステップを実行させるように動作可能である。(1)発生している干渉のタイプを判定すること、(2)ステップ1での干渉のタイプが隣接チャネル干渉である場合、干渉低減システムは、隣接するチャネルのV2Xメッセージによって引き起こされる隣接チャネル干渉波形を推定し、さらに、これらの隣接チャネル上のV2Xメッセージが、これらのV2Xメッセージのエネルギー準位を上げる必要性なく、コネクテッド車両のV2X無線機によって明瞭に聞き取られることができるように、隣接するチャネルのこの隣接チャネル干渉波形を打ち消す(又は低減する)、(3)ステップ1での干渉のタイプが自己干渉である場合、干渉低減システムは、他のチャネルのV2Xメッセージによって引き起こされる自己干渉波形を知っており(即ち、コネクテッド車両自体のV2X無線機が、自己干渉を引き起こしているV2Xメッセージを送信しているからである)、さらに、これらの他のチャネル上のV2Xメッセージが、これらのV2Xメッセージのエネルギー準位を上げる必要性なく、コネクテッド車両のV2X無線機によって明瞭に聞き取られることができるように、他のチャネルのこの自己干渉波形を打ち消す(又は低減する)、及び(4)ステップ1での干渉のタイプが組み合わせ干渉である場合、干渉低減システムは、この特定のV2XチャネルのV2Xメッセージが、これらのメッセージのエネルギー準位を上げる必要性なく、明瞭且つ正確に受信されるように、隣接チャネル干渉を打ち消すように動作可能である連続的な干渉打ち消しシーケンスを適用する。連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、この段落で上述したステップ2及び3の組み合わせである。ステップ4は、次の3つの段落において定義される2つのサブステップを含む。これらのサブステップは、この段落で上述した参照ステップ2及び4を含む。
ここで、幾つかの実施形態に従って、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスを、前の段落で説明したステップ4のサブステップを参照することにより、定義する。これらの技術がシーケンス内で適用される順序は、どの干渉信号がより強いか、及び、干渉信号がオンボードの発生源に起因するか又はオフボードの発生源に起因するか、などの変数に基づいている。
第1のサブステップは、以下の例示的な特徴を含む。実施形態によっては、最も強い干渉信号がオフボードの発生源を有する場合、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、干渉低減システムがステップ2及び次いでステップ3を適用して組み合わせ干渉を緩和することを含む。連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、(1)干渉信号を打ち消すのにどれ位時間がかかったか、及び(2)これまでに、そのシーケンスがどれ位良く機能したか、の両方に基づく、そのシーケンスの性能の履歴に基づいて、更新されることがある。
第2のサブステップは、以下の例示的な特徴を含む。実施形態によっては、最も強い干渉信号がオンボードの発生源を有する場合、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、干渉低減システムがステップ3及び次いでステップ2を適用して組み合わせ干渉を緩和することを含む。連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスは、(1)干渉信号を打ち消すのにどれ位時間がかかったか、及び(2)これまでに、そのシーケンスがどれ位良く機能したか、の両方に基づく、そのシーケンスの性能の履歴に基づいて、更新されることがある。
実施形態によっては、図6Aは、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスの第1の例で
ある。
図6Bを参照すると、ステップ617では、打ち消しモジュール208は、V2Xメッセージのチャネル上で引き起こされた、選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉の推定信号が取得されるように、復号中に取得された隣接チャネルの推定信号を使用して、再変調された復号信号を不均等化する。
ステップ619では、打ち消しモジュール208は、選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉の推定信号をRX信号から除去することにより、RX信号を更新する。例えば、打ち消しモジュール208は、選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉の推定信号をRX信号から減算することにより、RX信号を更新する。更新されたRX信号は、選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉が低減又は減算された状態のRX信号の版である。
ステップ621では、打ち消しモジュール208は、1つ又は複数の追加の隣接チャネルからの干渉がRX信号から除去されるべきであるかどうかを判定する。処理されるべき少なくとも1つの追加の隣接チャネルがある場合、この方法はステップ603に戻り、打ち消しモジュール208は、チャネル選択ルールに基づいて、復号のための別の隣接チャネルを選択し、そうでない場合には、この方法はステップ623に進む(これは、隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉が実質的に低減又は除去されたことを意味する)。
ステップ623では、打ち消しモジュール208は、隣接チャネルによって引き起こされた隣接チャネル干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版を生成するように、V2Xメッセージのチャネル上の更新されたRX信号を復調する。
隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用して車両で受信したV2Xメッセージから隣接チャネル干渉を低減する一例を、図8A〜図8Cを参照して図示する。図8Aを参照すると、車両Bは、第1のチャネル(チャネル1)を介して車両Aから第1のV2Xメッセージの情報を伝達する第1の信号を受信し、これと同時に、車両Bは第2のチャネル(チャネル2)を介して車両Cから第2のV2Xメッセージの情報を伝達する第2の信号を受信する。第1の信号は、車両Aの信号と呼ばれることがあり、第2の信号は、車両Cの信号と呼ばれることがある。車両Aの信号及び車両Cの信号は、異なるV2Xソリューション又は免許不要の帯域通信ソリューションを使用した信号であり得る。
図8Bを参照すると、車両Bの受信機上のRX信号を測定することができる(例えば、RX信号は、車両Aの信号及び車両Cの信号を含むことがある)。例えば、車両Bの受信機におけるRX信号の受信電力の波形を測定することができる。車両Cは車両Aよりも車両Bに近いので、車両Cの信号は車両Aの信号よりも信号強度が強く、車両Cの信号を受信することにより、チャネル2からチャネル1への隣接チャネル干渉が発生する。即ち、車両Bがチャネル1を介して車両Aの信号を受信する場合、チャネル2を介して車両Cの信号を同時に受信すると、チャネル1上で隣接チャネル干渉が発生する。
車両Cの信号によって発生した隣接チャネル干渉は、隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用することにより、低減することができる。例えば、車両Bでは、打ち消しモジュール208は、図6Aで説明したステップ605、607、609、及び611の動作と同様の動作を行うことにより、RX信号からチャネル2上の車両Cの信号を復調する。次いで、打ち消しモジュール208は、チャネル1上で引き起こされたチャネル2に関連した隣接チャネル干渉の推定信号が取得されるように、チャネル2の推定信号を使用して車両Cの信号を再変調する。
次いで、打ち消しモジュール208は、チャネル2に関連した隣接チャネル干渉の推定信号をRX信号から除去することにより、RX信号を更新する。例えば、打ち消しモジュール208は、チャネル2に関連した隣接チャネル干渉の推定信号をRX信号から減算することにより、RX信号を更新する。更新されたRX信号は、チャネル2に関連した隣接チャネル干渉が低減又は減算された状態のRX信号の版である。例えば、図8Cを参照すると、車両Cの信号の受信電力の下位波形が、車両Bの受信機における受信電力の波形から減算されている。車両Aの信号の受信電力を表す別の下位波形が残っており、この下位波形は、更新されたRX信号の波形も表している。
次いで、打ち消しモジュール208は、車両Cの信号からの隣接チャネル干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含む第1のV2Xメッセージの修正版を生成するように、チャネル1上の更新されたRX信号を復調する。
実施形態によっては、図6Bは、連続的な干渉打ち消し技術のシーケンスの第2の例である。
図7は、幾つかの実施形態による、打ち消しシーケンスを適用してV2Xメッセージから組み合わせ干渉を低減するための方法を示す。この方法のステップは、任意の順序で実行可能であり、必ずしも図7に示した順序であるとは限らない。
ステップ701では、打ち消しモジュール208は、1つ又は複数の順序決定要因に基づいて、V2Xメッセージから自己干渉と隣接チャネル干渉の両方を打ち消すための実行順序を決定する。組み合わせ干渉は、自己干渉及び隣接チャネル干渉を含み、1つ又は複数の順序決定要因は、自己干渉の強度、隣接チャネル干渉の強度、並びに自己干渉及び隣接チャネル干渉からの最大干渉の発生源、のうちの少なくとも1つを含む。
例えば、組み合わせ干渉における最大干渉が、発生源がV2X無線機のオフボードである隣接チャネル干渉である(例えば、隣接チャネル干渉が、自己干渉よりも大きな強度を有する)場合、打ち消しモジュール208は、自己干渉を打ち消す前に隣接チャネル干渉の打ち消しを実行するように実行順序を決定する。しかしながら、組み合わせ干渉における最大干渉が、発生源がV2X無線機のオンボードである自己干渉である(例えば、隣接チャネル干渉が、自己干渉よりも小さな強度を有する)場合、打ち消しモジュール208は、隣接チャネル干渉を打ち消す前に自己干渉の打ち消しを実行するように実行順序を決定する。
実施形態によっては、実行順序は、異なる実行順序を使用した場合の打ち消しシーケンスの性能結果の履歴に基づいて、更新されることがある。例えば、最適な実行順序は、例えば、各実行順序が組み合わせ干渉を打ち消すのにどれ位時間がかかったか、及び、各実行順序について、打ち消しシーケンスがどれ位良好にそれまでに実行されたか、という点を含む性能結果に基づいて、決定されることがある。実施形態によっては、打ち消しシーケンスは、(1)干渉信号を打ち消すのにどれ位時間がかかったか、及び(2)これまでに、そのシーケンスがどれ位良く機能したか、の両方に基づく、打ち消しシーケンスの性能の履歴に基づいて、更新される。
ステップ703では、打ち消しモジュール208は、実行順序が、(例えば、隣接チャネル干渉の前に自己干渉を打ち消すために)隣接チャネル干渉の打ち消しの前に自己干渉の打ち消しを実行することを示すかどうかを判定する。そうである場合、ステップ705で、打ち消しモジュール208は、自己干渉打ち消し技術を適用してV2Xメッセージから自己干渉を打ち消して、V2Xメッセージの第1の中間版を生成し、ステップ707で
、打ち消しモジュール208は、隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用してV2Xメッセージの第1の中間版から隣接チャネル干渉を打ち消して、V2Xメッセージの修正版を生成する。
実施形態によっては、ステップ705で、打ち消しモジュール208は、図5で上述した動作と同様の動作を実行する。例えば、この車両から自己信号が送信チャネルを介して送信され、これと同時に、V2Xメッセージがあるチャネルを介して受信され、別のV2Xメッセージが車両上の隣接チャネルを介して受信されると仮定する。自己信号の送信により、自己干渉が引き起こされ、また、隣接チャネルでの他のV2Xメッセージの受信により、V2Xメッセージのチャネル上で隣接チャネル干渉が引き起こされる。打ち消しモジュール208は、以下を含むがこれらに限定はされない動作を実行する。(1)複数チャネルでの車両の受信機上でのRX信号を測定する(例えば、RX信号は、送信チャネルを介して車両自体により送信された自己信号と、チャネルを介して車両上で受信されたV2Xメッセージと、隣接チャネルを介して車両上で受信された他のV2Xメッセージとの混合信号を含む)。(2)RX信号から送信チャネル上の自己信号を復調する。(3)上記で取得した自己信号を再変調し、再変調された自己信号を不均等化して、自己信号の送信によって引き起こされたV2Xメッセージのチャネル上の自己干渉の推定信号を取得する。(4)RX信号から自己干渉の推定信号を除去することにより、RX信号を更新し(例えば、更新されたRX信号は、自己干渉が低減又は減算された状態のV2Xメッセージの第1の中間版である)、隣接チャネル干渉の打ち消しを続けるために、ステップ707に進む。
次いで、ステップ707で、打ち消しモジュール208は、図6A〜図6Bで上述した動作と同様の動作を実行し、ここでは、RX信号は自己干渉を除去することによりステップ705において既に更新されている。例えば、打ち消しモジュール208は、以下を含むがこれらに限定はされない動作を実行する。(1)選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉がV2Xメッセージから低減されるように、復号のために1つ又は複数の隣接チャネルから1つの隣接チャネルを選択する。(2)第1から第Nのプロトコルを使用してRX信号を復号し、第1から第Nの復号結果、及び第1から第Nの復号信号をそれぞれ取得する。(3)第1から第Nの復号結果に基づいて、第1から第Nのプロトコルから隣接チャネルで実際に使用されているプロトコルを特定し、第1から第Nの復号信号から、特定されたプロトコルに対応した復号結果を特定する。(4)特定されたプロトコルを使用して、特定された復号信号を再変調する。(5)V2Xメッセージのチャネル上で引き起こされた、選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉の推定信号が取得されるように、復号中に取得された隣接チャネルの推定信号を使用して、再変調された復号信号を不均等化する。(6)選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉の推定信号をRX信号から除去することにより、RX信号を更新する(例えば、更新されたRX信号は、選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉に加えて自己干渉も低減又は減算された状態のRX信号の版である)。(7)1つ又は複数の更なる隣接チャネルからの干渉がRX信号から除去されるべきであるかどうかを判定する。(8)処理されるべき少なくとも1つの更なる隣接チャネルがある場合、動作(1)に戻り、打ち消しモジュール208は、チャネル選択ルールに基づいて復号するための別の隣接チャネルを選択し、処理されるべき更なる隣接チャネルがなくなるまで、動作(2)〜(8)を繰り返す。(9)処理されるべき更なる隣接チャネルがない場合、自己干渉及び隣接チャネル干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版を生成するように、V2Xメッセージのチャネル上の更新されたRX信号を復調する。
他方では、実行順序が、(例えば、自己干渉の前に隣接チャネル干渉を打ち消すために)自己干渉を打ち消す前に隣接チャネル干渉の打ち消しを実行することを示す場合、ステ
ップ709で、打ち消しモジュール208は、隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用してV2Xメッセージから隣接チャネル干渉を打ち消して、V2Xメッセージの第2の中間版を生成し、次いでステップ711で、打ち消しモジュール208は、自己干渉打ち消し技術を適用してV2Xメッセージの第2の中間版から自己干渉を打ち消して、V2Xメッセージの修正版を生成する。
実施形態によっては、ステップ709で、打ち消しモジュール208は、図6A〜図6Bで上述した動作と同様の動作を実行する。例えば、打ち消しモジュール208は、以下を含むがこれらに限定はされない動作を実行する。(1)複数のチャネルでの車両の受信機上のRX信号を測定する(例えば、RX信号は、送信チャネルを介してこの車両自体によって送信された自己信号と、あるチャネルを介して車両上で受信されたV2Xメッセージと、隣接チャネルを介して車両上で受信された別のV2Xメッセージとの混合信号を含む)。(2)選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉がV2Xメッセージから低減されるように、復号のために1つ又は複数の隣接チャネルから1つの隣接チャネルを選択する。(3)第1から第Nのプロトコルを使用してRX信号を復号し、第1から第Nの復号結果、及び第1から第Nの復号信号をそれぞれ取得する。(4)第1から第Nの復号結果に基づいて、第1から第Nのプロトコルから隣接チャネルで実際に使用されているプロトコルを特定し、第1から第Nの復号信号から、特定されたプロトコルに対応した復号結果を特定する。(5)特定されたプロトコルを使用して、特定された復号信号を再変調する。(6)V2Xメッセージのチャネル上で引き起こされた、選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉の推定信号が取得されるように、復号中に取得された隣接チャネルの推定信号を使用して、再変調された復号信号を不均等化する。(7)選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉の推定信号をRX信号から除去することにより、RX信号を更新する(例えば、更新されたRX信号は、選択された隣接チャネルに関連した隣接チャネル干渉が低減又は減算された状態のRX信号の版である)。(7)1つ又は複数の更なる隣接チャネルからの干渉がRX信号から除去されるべきであるかどうかを判定する。(8)処理されるべき少なくとも1つの更なる隣接チャネルがある場合、動作(1)に戻り、打ち消しモジュール208は、チャネル選択ルールに基づいて復号するための別の隣接チャネルを選択し、処理されるべき更なる隣接チャネルがなくなるまで、動作(2)〜(8)を繰り返す。(9)処理されるべき更なる隣接チャネルがない場合、ステップ711に進んで自己干渉の打ち消しを続ける(この段階では、更新されたRX信号は、隣接チャネル干渉が低減又は減算された状態のV2X信号の第2の中間版である)。
実施形態によっては、ステップ711で、打ち消しモジュール208は、図5で上述した動作と同様の動作を実行し、ここでは、RX信号は、隣接チャネル干渉を低減することによりステップ709で既に更新されている。例えば、打ち消しモジュール208は、以下を含むがこれらに限定はされない動作を実行する。(1)ステップ709で更新されたRX信号から、送信チャネル上の自己信号を復調する。(3)上記で取得した自己信号を再変調し、再変調した自己信号を不均等化して、自己信号の送信によって引き起こされた、V2Xメッセージのチャネル上の自己干渉の推定信号を取得する。(4)RX信号から自己干渉の推定信号を除去することにより、RX信号を更新する。(5)自己干渉及び隣接チャネル干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含むV2Xメッセージの修正版を生成するように、V2Xメッセージのチャネル上の更新されたRX信号を復調する。
打ち消しシーケンスを適用して、車両で受信したV2Xメッセージから組み合わせ干渉を低減する一例を、図10A〜図10Dを参照して図示する。図10Aを参照すると、車両Bは、第1のチャネル(チャネル1)を介して車両Aから第1のV2Xメッセージの情報を伝達する第1の信号を受信する。これと同時に、車両Bは、第2のチャネル(チャネ
ル2)を介して車両Cから第2のV2Xメッセージの情報を伝達する第2の信号を受信し、第1のチャネル(チャネル1)を介して第3のV2Xメッセージの情報を伝達する自己信号を送信する。第1の信号は、車両Aの信号と呼ばれることがあり、第2の信号は、車両Cの信号と呼ばれることがある。車両Aの信号、車両Cの信号、及び車両Bの自己信号は、異なるV2Xソリューション又は免許不要の帯域通信ソリューションを使用した信号であり得る。
図10Bを参照すると、車両Bの受信機上のRX信号を測定することができる(例えば、RX信号は、車両Bの自己信号、車両Aの信号、及び車両Cの信号を含むことがある)。車両Cは車両Aよりも車両Bに近いので、車両Cの信号は車両Aの信号よりも信号強度が強い。車両Cの信号を受信することにより、チャネル2からチャネル1への隣接チャネル干渉が発生する。一方、車両Bの自己信号は、車両Aの信号及び車両Cの信号の両方よりも信号強度が強い。車両Bの自己信号の送信により、チャネル1とチャネル2の両方で自己干渉が発生する。
自己干渉打ち消し技術を適用することにより、車両Bの自己信号の送信によって発生した自己干渉を低減することができる。自己干渉打ち消し技術の説明は、ここでは繰り返さない。例えば、打ち消しモジュール208は、RX信号から最も強い強度を有する車両Bの自己信号を復調し、その後、打ち消しモジュール208は、上記で取得した車両Bの自己信号を再変調して等化し、RX信号から等化された自己信号を減算することにより、RX信号を更新する。例えば、図10Cに示すように、車両Bの自己信号の受信電力の下位波形が、車両Bの受信機での受信電力の波形から減算される。
車両Cの信号を受信することによって発生した隣接チャネル干渉は、隣接チャネル干渉打ち消し技術を適用することにより、低減することができる。隣接チャネル干渉打ち消し技術の説明は、ここでは繰り返さない。例えば、打ち消しモジュール208は、自己干渉が既に低減された状態の更新されたRX信号から、車両Cの信号を復調する。次に、打ち消しモジュール208は、隣接チャネル(チャネル2)における車両Cの信号を再変調し不均等化し、その後、RX信号から車両Cの信号を減算することにより、RX信号を再び更新する。例えば、図10Dに示すように、車両Bの自己信号の受信電力の下位波形に加えて、車両Cの信号の受信電力の下位波形も、車両Bの受信機での受信電力の波形から減算される。
打ち消しモジュール208は、第1のV2Xメッセージの修正版を生成するように、チャネル1上の更新されたRX信号を復調する。第1のV2Xメッセージの修正版は、車両Cの信号を受信することによって引き起こされた隣接チャネル干渉、及び車両Bの自己信号の送信によって引き起こされた自己干渉により実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含む。
例示的なシステムアーキテクチャ
図11は、幾つかの実施形態による、干渉低減システムの例示的なシステムアーキテクチャ1100を示すブロック図である。システムアーキテクチャ1100は、例として、2つの車内自己干渉チャネルからの自己干渉の打ち消しを示している。システムアーキテクチャ1100は、任意の数の車内自己干渉チャネルを含むことができることを理解されたい。説明を簡単にするため且つ便宜上、対応する信号の変調及び復調については、図には示していない。
自己信号Tb1を送信するための第1の送信ブロックは、送信回路(TX)1101、アナログ打ち消し回路1103、及びデジタル打ち消しコンポーネント1104を含む。ベースバンド信号である自己信号Tb1は、デジタル/アナログ変換器(DAC)及び電
力増幅器(PA)を含む送信回路1101によって処理されて、第1のTX信号1102を生成する。その後、第1のTX信号1102は、アンテナを介して送信するための円形部1111に到達する。
自己信号Tb2を送信するための第2の送信ブロックは、送信回路(TX)1105、アナログ打ち消し回路1107、及びデジタル打ち消しコンポーネント1108を含む。やはりベースバンド信号である自己信号Tb2は、送信回路1105によって処理されて第2のTX信号1106を生成し、次いで、第2のTX信号1106は、アンテナを介して送信するための円形部1111に到達する。
一方、アンテナを介して受信回路(RX)1109によって信号が受信される。受信信号(例えば、RX信号1113)は、それぞれ第1のチャネル及び第2のチャネルを介して第1のTX信号1102及び第2のTX信号1106を送信することによって壊れた受信V2Xメッセージの情報を含む。
アナログ打ち消し回路1103は、第1のTX信号1102を処理して、第1のTX信号1102を送信することによって発生する自己干渉を表す、第1の自己干渉信号1120を生成する。例えば、アナログ打ち消し回路1103は、固定遅延d1、...、dNと可変減衰器a1、...、aNの第1の組を使用して、第1のTX信号1102を不均等化して、第1の自己干渉信号1120を生成する。固定遅延d1、...、dN及び可変減衰器a1、...、aNは、制御アルゴリズムによって設定することができる。例えば、制御アルゴリズムは、第1のTX信号1102の送信に関連したチャネル特性に基づいて、固定遅延d1、...、dN及び可変減衰器a1、...、aNの値を決定する。なお、図11では第1のTX信号1102の変調が省略されており、従って、アナログ打ち消し回路1103が第1のTX信号1102を処理する前に、対応する復調を実行する必要はない。
同様に、アナログ打ち消し回路1107は、第2のTX信号1106を処理して、第2のTX信号1106を送信することによって発生する自己干渉を表す、第2の自己干渉信号1122を生成する。例えば、アナログ打ち消し回路1107は、固定遅延d1、...、dNと可変減衰器a1、...、aNの第2の組を使用して、第2のTX信号1102を不均等化して、第2の自己干渉信号1122を生成する。
受信回路1109は、RX信号1113から第1の自己干渉信号1120及び第2の自己干渉信号1122を減算し、その後、低雑音増幅器(LNA)及びアナログ/デジタル変換器(ADC)を使用してRX信号を処理する。次いで、受信回路1109は、デジタル打ち消しコンポーネント1104から受信した第1の残留自己干渉信号、及びデジタル打ち消しコンポーネント1108から受信した第2の残留自己干渉信号を減算することにより、ADCの出力から残留自己干渉を除去する。
実施形態によっては、デジタル打ち消しコンポーネント1104は、第1の自己信号Tb1に関連した第1の残留自己干渉信号を決定するために使用され、デジタル打ち消しコンポーネント1108は、第2の自己信号Tb2に関連した第2の残留自己干渉信号を決定するために使用される。第1の残留自己干渉信号及び第2の残留自己干渉信号は、それぞれ第1の自己信号Tb1及び第2の自己信号Tb2に関連した線形及び非線形の歪みを含むことがある。
その結果、受信回路1109は、受信したV2Xメッセージの修正版を表す出力信号Rsを生成する。受信したV2Xメッセージの修正版は、2つの車内自己干渉チャネルからの自己干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含む。
システムアーキテクチャ1100は、全二重無線機として機能することができる。全二重通信は、通常、単一の無線機が、別のエンティティとのメッセージの送信と受信の両方に使用されることを含み、オプションとして、メッセージを同時に送受信する。これと比較して、半二重通信は、メッセージを同時に送受信するオプションを含まない。
全二重を実現するためには、無線機は、V2Xメッセージの無線機自体の送信から生じる自己干渉を完全に打ち消す必要がある。例えば、WiFi信号は、20dBm(100mW)の平均電力で送信され、ノイズフロアは約−90dBmである。従って、自己干渉は、ノイズフロアと同じレベルにするために、20dBm−(−90dBm)=110dBだけ低減されることが必要であり、これにより、自己干渉は無視できるようになる。自己干渉が実質的に低減されていない場合、何らかの残留自己干渉が受信信号に対して雑音として作用して、信号対雑音比(SNR)を低下させ、これによりスループットが低下する。例えば、全二重無しの受信信号のSNRは25dBであるが、20dBの残留自己干渉のせいで5dBに低下する場合、全二重有りのスループットは、2つの5dB SNRリンクを使用して実現されるものになる。これは、25dB SNRを有する元の半二重リンクを使用するよりも著しく劣り、従って、この場合には、全二重をオフにした方が良い。言い換えると、自己干渉打ち消しの量が、全体的なスループットを決定し、任意の全二重設計にとって性能指数になる。
本明細書で説明する干渉低減システムのシステムアーキテクチャ1100は、自己干渉打ち消しのための構造を含み、送受信用に異なる隣接チャネルを使用する単一のV2X無線機による、全二重通信を可能にする。この態様では、本明細書で説明する干渉低減システムの適用は、DSRCメッセージング・アプリケーションに特に有利である、というのも、DSRCプロトコルは、定期的に短い間隔で(例えば、0.10秒毎に1回)送信されるBasic Safety Messageを含むからである。しかしながら、干渉低減システムの適用は、隣接チャネル干渉、自己干渉、及び組み合わせ干渉によって悪影響を受けるいかなるV2X通信にも利益をもたらすことができることを、理解されたい。
図12は、幾つかの実施形態による、干渉低減システムの別の例示的なシステムアーキテクチャ1200を示すブロック図である。システムアーキテクチャ1200は、例として、車内自己干渉チャネルからの自己干渉と、隣接チャネルからの隣接チャネル干渉の打ち消しを示している。システムアーキテクチャ1200は、任意の数の車内自己干渉チャネル及び任意の数の隣接チャネルを含むことができることを理解されたい。説明を簡単にするため且つ便宜上、対応する信号の変調及び復調については、図には示していない。
車両1250から自己信号Tb3を送信するための車内送信ブロックは、送信回路及びアナログ打ち消し回路を含む。ベースバンド信号である自己信号Tb3は、送信回路によって処理されてTX信号1202を生成し、次いで、TX信号1202は、アンテナを介して送信するための円形部1211に到達する。自己信号Tb3を送信するための車内送信ブロックの詳細な説明については、図11を参照することができ、ここでは繰り返さない。
近くの車両1252では、信号Tb4を車両1250へ送信するための近隣車両送信ブロックが、送信回路(TX)1201を含む。やはりベースバンド信号である信号Tb4は、送信回路1201によって処理され、アンテナを介して車両1250へ送信される。これと同時に、遠方の車両1254において、ベースバンド信号Tb5も、アンテナを介して車両1250へ送信される。遠方の車両1254は、近くの車両1252又は車両1250と同様の構造を有することがあるが、遠方の車両1254の詳細は、この図では示していない。
車両1250では、アンテナを介して受信回路(RX)1209によって、信号が受信される。受信信号(例えば、RX信号1208)は、近くの車両1252から送信された信号Tb4の情報、遠方の車両1254から送信された信号Tb5の情報、及びTX信号1202の送信によって引き起こされた自己干渉を含む。RX信号からの(遠方の車両1254によって送信された)信号Tb5の復号に関して、近くの車両1252からの信号Tb4の受信により、隣接チャネル干渉が発生し、且つTX信号1202の送信により、自己干渉が発生する。
TX信号1202を送信することによって発生する自己干渉を表す自己干渉信号1222は、アナログ打ち消し回路によって生成される。その詳細は、図11を参照することができる。打ち消しコントローラ1219は、図3〜図7で上述した動作と同様の動作を行うことにより、隣接チャネル干渉信号1220を生成し、この信号は近くの車両1252から信号Tb4を受信することによって発生した隣接チャネル干渉を表す。
受信回路1109は、RX信号1208から自己干渉信号1222及び隣接チャネル干渉信号1220を減算し、その後、LNA及びADCを使用してRX信号を処理する。次に、受信回路1209は、打ち消しコントローラ1219から取得した残留干渉信号を減算することにより、ADCの出力から残留干渉を除去する。例えば、打ち消しコントローラ1219は、残留干渉信号を生成するために、図11で示したようなデジタル打ち消しコンポーネントを含む。残留干渉信号は、自己信号Tb3、信号Tb4、及び信号Tb5に関連した線形及び非線形の歪みを含むことがある。
その結果、受信回路1209は、出力信号Rsを生成し、この信号は、自己干渉及び隣接チャネル干渉によって実質的に不明瞭になっていないペイロードデータを含む信号Tb5の版を表す。
上記の記載では、説明目的で、本明細書の完全な理解をもたらすように、多数の具体的詳細を記載した。しかし、本開示が、これらの具体的詳細なしに実施可能であることは当業者には明らかとなるだろう。幾つかの例では、説明を分かりにくくすることを避けるために、構造及びデバイスをブロック図形式で示している。例えば、本実施形態は、主にユーザインタフェース及び特定のハードウェアに関連して、上記で説明することができる。しかし、本実施形態は、データ及びコマンドを受信することができる、どのような種類のコンピュータシステムにも、及びサービスを提供するどのような周辺デバイスにも適用することができる。
本明細書における「幾つかの実施形態」又は「幾つかの例」への言及は、実施形態又は例に関連して記載したある特定の特徴、構造、又は特性が、記載の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な箇所における「幾つかの実施形態では」というフレーズの出現は、必ずしも全て同じ実施形態に言及しているわけではない。
以下の詳細な記載の幾つかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の観点から提示される。これらのアルゴリズム的記述及び表現は、データ処理分野の当業者によって、最も効果的に自身の研究の内容を他の当業者に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムは、ここでは、及び一般的に、所望の結果をもたらす、セルフコンシステントな一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。一般に、必ずではないが、これらの量は、保存、転送、結合、比較、及びその他の操作が行われることが可能な電気又は磁気信号の形をとる。時には、主に一般的な用法が理由で、ビット、値、要素、記号、文字、用語、又は数字などとして、これらの信号に言及することが便利であると分かっ
ている。
しかし、これら及び類似の用語の全てが、適切な物理量と関連付けられるべきであること、及びこれらの量に適用される便利なラベルにすぎないことが留意されるべきである。具体的な別段の記載のない限り、以下の記述から明らかなように、記載全体を通して、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」、又は「表示する」などを含む用語を利用した記述は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子)量として表されるデータを、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ、又は他のそのような情報ストレージ、送信、又はディスプレイデバイス内で同様に物理量として表される他のデータへと操作及び変換する、コンピュータシステム又は類似の電子コンピューティングデバイスのアクション及びプロセスを指す。
本明細書の本実施形態はまた、本明細書における動作を行うための装置に関してもよい。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築されてもよく、又はコンピュータに保存されたコンピュータプログラムによって選択的に作動又は再設定される汎用コンピュータを含んでいてもよい。このようなコンピュータプログラムは、限定されないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD−ROM、及び磁気ディスクを含むあらゆる種類のディスク、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、不揮発性メモリを備えたUSBキーを含むフラッシュメモリ、又はそれぞれコンピュータシステムバスに結合された電子命令を保存するのに適したあらゆる種類の媒体を含む、コンピュータ可読ストレージ媒体に保存されてもよい。
本明細書は、幾つかの完全なハードウェア実施形態、幾つかの完全なソフトウェア実施形態、又はハードウェア及びソフトウェア要素の両方を含有した幾つかの実施形態の形をとり得る。幾つかの好ましい実施形態では、本明細書は、限定されないが、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むソフトウェアで実施される。
さらに、記載は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって、又は関連して使用されるプログラムコードを提供するコンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形をとり得る。この記載を目的として、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又は関連して使用されるプログラムの含有、保存、伝達、伝搬、又は伝送を行うことができる、どのような装置でもよい。
プログラムコードの保存又は実行に適したデータ処理システムは、システムバスによってメモリ素子と直接的又は間接的に結合された少なくとも1つのプロセッサを含む。メモリ素子は、プログラムコードの実際の実行中に用いられるローカルメモリ、大容量ストレージ、及び実行中に大容量ストレージからコードが抽出されなければならない回数を減らすために少なくとも一部のプログラムコードの一時的ストレージを提供するキャッシュメモリを含み得る。
入出力又はI/Oデバイス(限定されないが、キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなどを含む)は、システムに直接的に、又は介在するI/Oコントローラを通して結合され得る。
ネットワークアダプタは、データ処理システムが、介在する私設又は公衆ネットワークを通して他のデータ処理システム、リモートプリンタ、又はストレージデバイスに結合されることを可能にするために、システムに結合されてもよい。モデム、ケーブルモデム、及びイーサネットカードは、現在利用可能なネットワークアダプタの種類のほんの数例で
ある。
最後に、本明細書に提示するアルゴリズム及びディスプレイは、どの特定のコンピュータ又は他の装置とも本質的に関連していない。本明細書の教示に従って、様々な汎用システムをプログラムと共に使用することができ、又は必要な方法ステップを行うように、より専門化された装置を構築することが便利であると判明する場合がある。様々なこれらのシステムのために必要な構造は、以下の記載から分かるだろう。加えて、本明細書は、特定のプログラミング言語に関連して記載されていない。様々なプログラミング言語を使用して、ここに記載される本明細書の教示を実施することができることが認識されるだろう。
本明細書の実施形態の上記の記載は、例示及び説明を目的として提示されたものである。包括的であること、又は開示した正確な形態に本明細書を限定することを意図したものではない。上記の教示に鑑みて、多くの変更形態及び変形形態が可能である。本開示の範囲が、この詳細な説明によってではなく、本出願の特許請求の範囲によって限定されることが意図される。当該分野に精通する者には理解されるように、本明細書は、その精神又は必須の特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。同様に、モジュール、ルーチン、特徴、属性、手法、及び他の態様の特定の命名及び区分は、義務的又は重要なものではなく、本明細書又はその特徴を実施する機構は、異なる名称、区分、又は形式を有していてもよい。さらに、関連技術の当業者には明らかとなるように、本開示のモジュール、ルーチン、特徴、属性、手法、及び他の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれら3つの任意の組み合わせとして実施することができる。また、本明細書のコンポーネント(その一例は、モジュールである)がソフトウェアとして実施される場合はいつでも、そのコンポーネントは、スタンドアロンプログラムとして、より大きなプログラムの一部として、複数の別個のプログラムとして、静的又は動的にリンクしたライブラリとして、カーネルロード可能モジュールとして、デバイスドライバとして、又はコンピュータプログラミング分野の当業者に現在又は将来公知のあらゆる及びその他の方法で実施することができる。加えて、本開示は、どの特定のプログラミング言語の実施形態にも、又はどの特定のオペレーティングシステム又は動作環境の実施形態にも決して限定されない。従って、本開示は、以下の特許請求の範囲に記載される本明細書の範囲を説明するものであって、限定するものではないことが意図される。