JP6939406B2 - コークス炉の耐火物構造 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス炉の耐火物構造に関するものである。
室炉式コークス炉は、図6に示すように、上段に炭化室1と燃焼室2とが炉団長方向に交互に配置され、中段に蓄熱室3が配置され、下段がソールフリュー4部となっている。ソールフリュー4は水平煙道とも呼ばれる。蓄熱室3は、炭化室1と燃焼室2に対応して配置される。ソールフリュー4部には、各蓄熱室3に対応して燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューが配置され、それぞれ炉長方向31に延びる空間を構成している。
蓄熱室に燃料ガスと空気を供給する段階では、燃料ガスソールフリューには常温の燃料ガスが流通し、空気ソールフリューには常温の空気が流通する。蓄熱室から排ガスを排出する段階では、燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューには高温(300℃程度)の排ガスが流通し、排ガスはソールフリュー4から煙道5に排出される。
コークス炉の耐火物構造は、耐火煉瓦を組み合わせることによって構築される。耐火煉瓦と耐火煉瓦の接合面は耐火モルタルを充填した目地部を構成し、目地部によって耐火煉瓦同士の結合力を確保している。特許文献1には、主にソールフリュー部の耐火物構造の一例が示されている。
コークス炉を構成する耐火煉瓦としては主に珪石煉瓦が用いられる。珪石煉瓦は1000℃以上の高温領域で機械的強度が大きいこと、及び1000℃以上の高温領域で体積変化が少ないことによる。しかし、珪石煉瓦は低温領域での体積変化が大きいので、低温領域で温度変化が激しい箇所には珪石煉瓦を用いることができず、そのような箇所には粘土質煉瓦が使われる(非特許文献1参照)。
ソールフリューについては、前述のとおり常温の燃料ガス・空気と高温の排ガスが交互に流通するため、低温領域での温度変化が激しい。そのため、珪石煉瓦を用いることができず、ソールフリューに面する部分については、粘土質煉瓦が用いられている。また、煙道についても、煙道に面する部分については粘土質煉瓦が用いられる。蓄熱室に関しては、蓄熱室の上部は高温にさらされるために珪石煉瓦が用いられるが、蓄熱室の下部を通過するガスはガス温度が低下しているため、粘土質煉瓦を用いることもある。さらに、ソールフリュー、煙道、蓄熱室の一部について、ガスと触れる部分については粘土質煉瓦としつつ、煉瓦構造の内部については耐火断熱煉瓦を配置することがある。
耐火煉瓦を積み上げてコークス炉の耐火物構造を構築するに際し、煉瓦と煉瓦の結合面に目地部を形成する。目地部に充填するモルタルとしては、気硬性耐火モルタルが用いられる。気硬性耐火モルタルは、細骨材と可塑性結合材および化学結合材からなる。化学結合材が添加されているので常温で強い接着力を示す。化学結合材としては主に珪酸ソーダが用いられている。細骨材としては、珪石煉瓦の目地部に充填するモルタルについては硅石粉末を用い、粘土質煉瓦の目地部に充填するモルタルについては粘土質粉末を用いる。耐火断熱煉瓦同士を接合するためのモルタルにおいては、細骨材として粘土質粉末を用いる。
新規に室炉式コークス炉を建設するとき、あるいは既設のコークス炉において耐火物構造を再構築するときは、常温で煉瓦を積み上げてコークス炉の耐火物構造を構築する。構築した耐火物構造は、構成する煉瓦や目地部に含まれている水分のために湿った状態にあり、実操業の開始いわゆる火入れに先立って炉体を乾燥させる必要がある。煉瓦構築後の耐火物構造の乾燥については、特許文献2に記載のように、炭化室の下端付近でCOGあるいは軽油等の燃料を燃焼し、その燃焼排ガスを炭化室上端付近において炭化室から燃焼室へ導き、その後、蓄熱室、ソールフリュー等にこの順番で導いたのち、煙道・煙突より大気へ排出して、耐火物構造の乾燥を行っている。燃焼排ガスを炭化室から燃焼室へ導くため、乾燥期間だけは炭化室より燃焼室へ燃焼排ガスを導くための乾燥孔が設置される。
特開2016−079264号公報 特開2009−249437号公報
第3版鉄鋼便覧 II 製銑・製鋼 第179頁〜180頁
コークス炉の耐火物構造の乾燥に際しては、上述のように、炭化室1にて燃料を燃焼して得た高温の燃焼排ガスを用いて、炭化室1の煉瓦、燃焼室2の煉瓦、蓄熱室3の煉瓦を乾燥しつつ、燃焼排ガス自身は温度が低下し、最終的にソールフリュー4から煙道5へとガスが流れる。築炉後の耐火煉瓦自体や目地モルタル等に含まれている水分が乾燥に伴い凝縮水として炉体下部に位置するソールフリュー4、煙道5に流出する。また、ソールフリュー4、煙道5を通過する段階ではガスの温度が低下するため、高温の燃焼排ガス中に含まれていた水蒸気が凝縮して凝縮水となり、ガスが通過する部分の耐火物構造に凝縮水が付着する。そして、ソールフリュー4や煙道5においては、乾燥中において耐火物構造の目地部を構成するモルタルが剥離し、あるいは流れ出す現象が見られた。耐火物構造の目地部のモルタルが剥離し、あるいは流れ出すと、目地切れによって耐火物構造が脆弱化し、あるいはガス漏れが発生する。目地部からのガス漏れ等を防止するために、コークス炉が操業を開始した後の操業間に、モルタルの吹き付けや流し込みによる目地部の充填を実施している。しかし、操業間にモルタルの吹き付けや流し込みを行いえるのはソールフリューのうちの炉長方向に延びる部分などの一部の部分に限られ、またモルタルの吹き付けや流し込みによる充填品質は十分なのもではなく、操業間の工事である故に施工が非効率であった。
本発明は、コークス炉の耐火物構造を乾燥するに際し、耐火物表面に凝縮水が付着したとしても、目地部のモルタルが剥離しあるいは流れ出す現象を起こすことのない、コークス炉の耐火物構造を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。なお、本発明において、炉長方向に貫通するソールフリューの上部から蓄熱室へ向かうガス通路部分についても、ソールフリューの一部として定義する。
(1)複数の耐火煉瓦と、耐火煉瓦の接合面に目地部を有するコークス炉の耐火物構造であって、コークス炉のソールフリュー、煙道、蓄熱室を構成する耐火物構造のうち、耐火煉瓦を用いている部分の一部又は全部の目地部を構成するモルタルとして、耐水性を有する結合材を用いたモルタルを用いてなることを特徴とするコークス炉の耐火物構造。
(2)前記耐水性を有する結合材を用いたモルタルを用いる部分は、耐火煉瓦として粘土質煉瓦を用いている部分の一部又は全部とすることを特徴とする上記(1)に記載のコークス炉の耐火物構造。
(3)さらに、コークス炉のソールフリュー、煙道、蓄熱室を構成する耐火物構造のうち、耐火煉瓦として耐火断熱煉瓦を用いている部分の一部又は全部の目地部を構成するモルタルとして、耐水性を有する結合材を用いたモルタルを用いてなることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のコークス炉の耐火物構造。
(4)前記耐水性を有する結合材を用いたモルタルとして、水硬性耐火モルタルを用いることを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれか1つに記載のコークス炉の耐火物構造。
(5)前記水硬性耐火モルタルは、細骨材として粘土質粉末を用い、結合材としてアルミナセメントを用いてなることを特徴とする上記(4)に記載のコークス炉の耐火物構造。
本発明は、ソールフリュー、煙道、蓄熱室を構成する耐火物構造の一部又は全部の目地部を構成するモルタルとして、耐水性を有する結合材を用いたモルタル、例えば水硬性耐火モルタルを用いることにより、コークス炉の乾燥時においても目地部を構成するモルタルの剥離、流れ出しを防止することができるので、コークス炉操業間での熱間でのモルタルの吹き付けなどを実施する必要がなく、目地切れが発生することがない。
コークス炉ソールフリュー部耐火物構造の一例を示す部分断面図である。 コークス炉ソールフリュー部耐火物構造の一例を示す部分断面図である。 コークス炉ソールフリュー部耐火物構造の一例を示す部分断面図である。 コークス炉煙道部の耐火物構造の一例を示す部分断面図である。 煉瓦構造を示す部分断面図である。 コークス炉の構造を示す断面図であり、(A)は炉団長方向から見た全体断面図、(B)はB−B矢視部分断面図である。
図6(A)は、室炉式のコークス炉について、炉団長方向32から見た断面図であり、高さ方向33の上半分のうち、右側部分は炭化室1部分で切断した断面図、左側部分は燃焼室2部分で切断した断面図である。高さ方向33の下半分のうち、上側には蓄熱室3が炉長方向31に配列され、蓄熱室3の下方には炉長方向31に延びるソールフリュー4の断面が示されている。ソールフリュー4の炉長方向31両端は、煙道5に接続されている。煙道5は、炉団長方向32に延びる構造である。図6(B)は、蓄熱室3とソールフリュー4部分について、炉長方向31から見た部分断面図である。図6の断面ハッチングに関しては、煉瓦構造部分は煉瓦の材質によらず左斜線ハッチングとし、コンクリート構造部分は紙吹雪ハッチングとしている。
図1〜図3は、ソールフリュー4部分と蓄熱室3の下部について、炉長方向31から見た部分断面図である。図1〜図3の断面ハッチングにおいて、珪石煉瓦21を積み上げた煉瓦構造についてはクロスハッチングとし、粘土質煉瓦22を積み上げた煉瓦構造についてはドットハッチング、耐火断熱煉瓦23を積み上げた煉瓦構造については左斜線ハッチングとしている。図1〜図3のいずれも、ソールフリュー4の炉内空間12に面する面13の全部又は大部分の煉瓦は粘土質煉瓦22であり、図3においては、蓄熱室3の下方部分も粘土質煉瓦22で構成されている。
図4は煙道5の部分について、炉団長方向32から見た断面図である。煙道5部分の耐火物構造のうち、煙道5の炉内空間に面する面13は粘土質煉瓦22を用い、その外周を耐火断熱煉瓦23が取り囲み、さらにその外側部分はコンクリート構造24となっている。図4の断面ハッチングにおいて、粘土質煉瓦22を積み上げた煉瓦構造についてはドットハッチング、耐火断熱煉瓦23を積み上げた煉瓦構造については左斜線ハッチング、コンクリート構造24部分は紙吹雪ハッチングとしている。
蓄熱室3、ソールフリュー4、煙道5などの炉内空間12に面する面13近傍の煉瓦構築物については、図5に示すように、複数の耐火煉瓦からなる煉瓦10を積み上げ、煉瓦10と煉瓦10との接合面についてはモルタルを充填した目地部11を形成している。
前述のように、新規に室炉式コークス炉を建設するとき、あるいは既設のコークス炉の耐火物構造を再構築するときにおいて、常温での耐火物構造構築ののちに耐火物構造を高温のガスで昇温するに際し、ソールフリュー4や煙道5においては、昇温中において耐火物構造の目地部11を構成するモルタルが剥離し、あるいは流れ出す現象が見られた。コークス炉の耐火物構造における目地部11のモルタルには、気硬性モルタルが用いられる。気硬性モルタルは結合材として主に珪酸ソーダを用いている。結合材に珪酸ソーダを用いたモルタルは、施工後に常温段階において硬化は進行するものの、最終的な結合力はコークス炉昇温後の焼結によって得られる。そのため、コークス炉の耐火物構造の構築が完了した後、煉瓦構造の乾燥時において、気硬性モルタルで構成される目地部11に凝縮水が付着すると、目地部11のモルタルが剥離し、あるいは流れ落ちるという現象が発生することがわかった。
本発明においては、蓄熱室3、ソールフリュー4、煙道5などの炉内空間に面する面あるいはその近傍の煉瓦構築物の一部又は全部について、目地部11を構成するモルタルとして、従来のように気硬性耐火モルタルを用いるのではなく、耐水性を有する結合材を用いたモルタル、例えば水硬性耐火モルタルを用いることにより、上記課題を解決するに至った。以下、詳細に説明する。
モルタルは、細骨材と結合材とを含有している。結合材として、耐水性を有する結合材を用いたモルタルであれば、このモルタルを目地部に施工することにより、目地部11のモルタルが剥離し、あるいは流れ落ちるという現象を防止することができる。耐水性を有する結合材としては、例えば水硬性セメント、シラン、樹脂などを用いることができる。細骨材としては、モルタルを施工する煉瓦の材質にあわせて選択される。粘土質煉瓦の築造に用いる場合には、細骨材としても粘土質粉末が用いられる。
耐水性を有する結合材を用いたモルタルとして、水硬性耐火モルタルを好ましく用いることができる。水硬性耐火モルタルは、結合材として水硬性セメントを添加し、その水和によって強度が得られるモルタルである。耐火モルタルであることから、結合材としての水硬性セメントとして、アルミナセメントが好適に用いられる。以下の説明では、耐水性を有する結合材を用いたモルタルとして、水硬性耐火モルタルを用いた場合について説明を行う。
前述のとおり、常温での構築が完了したコークス炉の耐火物構造を乾燥するに際しては、炭化室1にて燃料を燃焼して得た高温の燃焼排ガスを用いて、炭化室1の煉瓦、燃焼室2の煉瓦、蓄熱室3の煉瓦を乾燥しつつ、築炉後の耐火煉瓦自体や目地モルタル等に含まれている水分が乾燥に伴い凝縮水として炉体下部に位置するソールフリュー4、煙道5に流出する。また、燃焼排ガス自身は温度が低下し、最終的にソールフリュー4から煙道5へとガスが流れる。ソールフリュー4、煙道5を通過する段階ではガスの温度が低下するため、高温の燃焼排ガス中に含まれていた水蒸気が凝縮して凝縮水となり、ガスが通過する部分の耐火物構造に凝縮水が付着する。乾燥に用いた燃焼排ガスの温度が低下し、凝縮水が発生するのは、コークス炉の稼働時においてガスの温度が300℃以下で変動する部分、即ち、蓄熱室3の下方部分、ソールフリュー4、煙道5であり、主に煉瓦構造の煉瓦として粘土質煉瓦22が用いられている部分である。従って、目地部11に水硬性耐火モルタルを用いる耐火物構造は、耐火煉瓦として粘土質煉瓦22を用いている部分の一部又は全部とすることにより、本発明の効果を好適に発揮することができる。煉瓦が粘土質煉瓦22であることから、水硬性モルタルに含有する細骨材も粘土質のものとなる。
コークス炉の耐火物構造において、煉瓦として耐火断熱煉瓦が用いられることがある。耐火断熱煉瓦とは、耐火性を有するとともに断熱性を有する煉瓦をいう。耐火断熱煉瓦が具備すべき特性については、例えばJIS R 2611に規定されている。本発明ではさらに、コークス炉のソールフリュー4、煙道5、蓄熱室3を構成する耐火物構造のうち、耐火煉瓦として耐火断熱煉瓦23を用いている部分の一部又は全部の目地部を構成するモルタルとして、耐水性を有する結合材を用いたモルタル、例えば水硬性耐火モルタルを用いることとすると好ましい。図4に示すように、コークス炉の煙道5部分の耐火物構造のうち、煙道の炉内空間に面する面13は粘土質煉瓦22を用い、その外周を耐火断熱煉瓦23が取り囲み、さらにその外側部分はコンクリート構造24となっている。コンクリート構造24は耐熱性を有していないので、煙道5内を温度の高いガスが流れるに際し、ガスの熱によってコンクリート構造24が過度に昇温しないように、耐火断熱煉瓦23層を設けている。この耐火断熱煉瓦23部分についても、目地部11のモルタルとして従来は気硬性耐火モルタルが用いられていたが、水硬性耐火モルタルを用いることによって効果を発揮することができる。煙道5の耐火断熱煉瓦23部分は、直接には煙道の炉内空間に面する面13に露出していない。しかし、煙道5が地下水面より低位に位置する場合においては、長期の操業においてコンクリート構造24から水が浸入し、炉内の空間に浸水することで耐火物構造の目地部11を構成するモルタルが剥離し、あるいは流れ出すこととなる。それに対して、耐火断熱煉瓦23の目地部11に水硬性耐火モルタルを用いることにより、このような問題を解決することができる。耐火断熱煉瓦23の目地部11に水硬性耐火モルタルを用いる場合、モルタルの結合材としてはアルミナセメントを好適に用いることができる。またモルタルの細骨材としては粘土質粉末が好適に用いられる。
コークス炉耐火物構造を乾燥する際に凝縮水が直接に接触する目地部11は、炉内空間に面する面13に露出している目地部11である。そのため、ソールフリュー4、煙道5、蓄熱室3を構成する耐火物構造の目地部11のうち、炉内空間に面する面13に露出する目地部11については、使用するモルタルを水硬性耐火モルタルとすることによる効果が最も大きい。一方、同じソールフリュー4、煙道5、蓄熱室3を構成する耐火物構造の目地部11であって、炉内空間に面する面13に露出しない目地部11については、気硬性モルタルを使用することも可能であるが、煉瓦10を築造することで形成される目地部11のモルタル種類を分別することは困難であるため、炉内空間に面する面13に露出しない目地部11についても同様に水硬性耐火モルタルを使用することが望ましい。
図1に示す耐火物構造においては、ソールフリュー4の側面部分、天井部分の空間部分は耐火煉瓦として粘土質煉瓦22を用い、ソールフリュー4の天井部分(蓄熱室3の底部であり、空間とならない部分)、蓄熱室3の側面部は珪石煉瓦21を用いている。ソールフリュー4の底部については、炉内空間に面する面に粘土質煉瓦22を用い、その奥側には耐火断熱煉瓦23を用いている。図1に示す耐火物構造において本発明を適用するに際し、ガス流路となるソールフリュー4の炉内空間12部分、ギッター煉瓦の乗る面より下に位置する蓄熱室3は水硬性耐火モルタルを使用する。
図2に示す耐火物構造においては、ソールフリュー4に面するすべての面及び蓄熱室3の底部、蓄熱室3の側壁のうちの下方部分については耐火煉瓦として粘土質煉瓦22を用いている。蓄熱室3の下方部分を除く側面部は珪石煉瓦21を用いている。図2に示す耐火物構造において本発明を適用するに際し、ガス流路となるソールフリュー4の炉内空間12部分、ギッター煉瓦の乗る面より下に位置する蓄熱室3は水硬性耐火モルタルを使用する。
図3に示す耐火物構造においては、蓄熱室3の下方部分からソールフリュー4の全体については耐火煉瓦として粘土質煉瓦22を用い、蓄熱室3の下方部分を除く全体には珪石煉瓦21を用いている。図3に示す耐火物構造において本発明を適用するに際し、ガス流路となるソールフリュー4の炉内空間12部分、ギッター煉瓦の乗る面より下に位置する蓄熱室3は水硬性耐火モルタルを使用する。
図4に示す煙道部分の耐火物構造においては、炉内空間に面する面13に粘土質煉瓦22を用い、その外側に耐火断熱煉瓦23の層を形成し、最外周はコンクリート構造24となっている。図4に示す耐火物構造において本発明を適用するに際し、ガス流路となる煙道5の粘土質煉瓦22の炉内空間12部分は水硬性耐火モルタルを使用する。また、煙道5が地下水面より低位に位置する場合においては、耐火断熱煉瓦23にも水硬性耐火モルタルを使用することが望ましい。
前述のように、コークス炉の耐火物構造を燃焼排ガスによって乾燥するに際し、燃焼排ガスを炭化室1から燃焼室2へ導くため、乾燥期間だけは炭化室1より燃焼室2へ燃焼排ガスを導くための乾燥孔が設置されている。乾燥が完了した後、乾燥孔を栓煉瓦で栓詰めして閉鎖した上で、コークス炉の火入れを行い、耐火物構造の温度を操業温度まで昇温する。
コークス炉のソールフリュー4、煙道5、蓄熱室3を構成する耐火物構造において、従来は目地部11を構成するモルタルとして気硬性耐火モルタルを用いており、その結果として、耐火物構造の乾燥中において耐火物構造の目地部11を構成するモルタルが剥離し、あるいは流れ出す現象が見られ、目地切れによって耐火物構造が脆弱化し、あるいはガス漏れが発生していた。コークス炉が操業を開始した後の操業間に、モルタルの吹き付けや流し込みによる目地部11の充填を実施していたものの、操業間にモルタルの吹き付けや流し込みを行いえるのはソールフリュー4のうちの炉長方向に延びる部分などの一部の部分に限られ、またモルタルの吹き付けや流し込みによる充填品質は十分なのもではなく、操業間の工事である故に施工が非効率であった。
それに対して本発明を適用し、ソールフリュー4、煙道5、蓄熱室3を構成する耐火物構造のうち、耐火煉瓦を用いている部分の一部又は全部の目地部11を構成するモルタルとして、耐水性を有する結合材を用いたモルタル、例えば水硬性耐火モルタルを用いることにより、コークス炉の乾燥時においても目地部11を構成するモルタルが剥離し、あるいは流れ出す現象が見られなくなった。そのため、コークス炉操業間での熱間でのモルタルの吹き付けなどを実施する必要がなく、また従来は吹き付けを行うことができなかった部分(ソールフリュー4から蓄熱室3への通路6部分、蓄熱室3の下方部分)についても、目地切れが発生することがなくなった。
1 炭化室
2 燃焼室
3 蓄熱室
4 ソールフリュー
5 煙道
6 通路
10 煉瓦
11 目地部
12 炉内空間
13 炉内空間に面する面
21 珪石煉瓦
22 粘土質煉瓦
23 耐火断熱煉瓦
24 コンクリート構造
31 炉長方向
32 炉団長方向
33 高さ方向

Claims (5)

  1. 複数の耐火煉瓦と、耐火煉瓦の接合面に目地部を有するコークス炉の耐火物構造であって、
    コークス炉のソールフリュー、煙道、蓄熱室を構成する耐火物構造のうち、耐火煉瓦を用いている部分の一部又は全部の目地部を構成するモルタルとして、耐水性を有する結合材を用いたモルタルを用いてなることを特徴とするコークス炉の耐火物構造。
  2. 前記耐水性を有する結合材を用いたモルタルを用いる部分は、耐火煉瓦として粘土質煉瓦を用いている部分の一部又は全部とすることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉の耐火物構造。
  3. さらに、コークス炉のソールフリュー、煙道、蓄熱室を構成する耐火物構造のうち、耐火煉瓦として耐火断熱煉瓦を用いている部分の一部又は全部の目地部を構成するモルタルとして、耐水性を有する結合材を用いたモルタルを用いてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコークス炉の耐火物構造。
  4. 前記耐水性を有する結合材を用いたモルタルとして、水硬性耐火モルタルを用いることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のコークス炉の耐火物構造。
  5. 前記水硬性耐火モルタルは、細骨材として粘土質粉末を用い、結合材としてアルミナセメントを用いてなることを特徴とする請求項4に記載のコークス炉の耐火物構造。
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