JP6515378B2 - コークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造及びその構築方法 - Google Patents

コークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造及びその構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、コークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造及びその構築方法に関するものである。
コークス炉は、上段に炭化室と燃焼室とが炉団長方向に交互に配置され、中段に蓄熱室が配置され、下段がソールフリュー部となっている。蓄熱室は、炭化室と燃焼室に対応して配置される。ソールフリュー部には、各蓄熱室に対応して燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューが配置され、それぞれ炉長方向に延びる空間を構成している。各蓄熱室に対応した燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューとの隔壁を以下「仕切り壁」という。
蓄熱室に燃料ガスと空気を供給する段階では、燃料ガスソールフリューには常温の燃料ガスが流通し、空気ソールフリューには常温の空気が流通する。蓄熱室から排ガスを排出する段階では、燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューには高温(300℃程度)の排ガスが流通する。
コークス炉を構成する炉材としては主に珪石煉瓦が用いられる。珪石煉瓦は1000℃以上の高温領域で機械的強度が大きいこと、及び1000℃以上の高温領域で体積変化が少ないことによる。しかし、低温領域での体積変化が大きいので、低温領域で温度変化が激しい箇所には珪石煉瓦を用いることができず、そのような箇所には粘土煉瓦が使われる(非特許文献1参照)。
ソールフリューについては、前述のとおり常温の燃料ガス・空気と高温の排ガスが交互に流通するため、低温領域での温度変化が激しい。そのため、珪石煉瓦を用いることができず、ソールフリューに面する部分については、仕切り壁を含み、粘土煉瓦が用いられている。
コークス炉の煉瓦構築が完了すると、コークス炉を高温に加熱してコークス炉操業を開始する。常温から高温までの熱膨張量についてみると、珪石煉瓦に比較して粘土煉瓦は膨張量が小さいため、コークス炉の昇温時に粘土煉瓦で構築した煉瓦構造物の目地に目地切れが発生することがある。燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューとの間の仕切り壁に目地切れが発生すると、目地切れを通して燃焼ガスソールフリューに流通し、空気ソールフリューで燃料ガスと空気との混合が生じて、ソールフリュー部で燃焼するため、炉温の低下及び炉体損傷を招くこととなる。さらには、燃料ガスが空気に漏れて発火する問題があった。
特許文献1には、ソールフリューの空間に自走台車を走らせて、温度センサーにより漏れガスの目地切れ燃焼部を検出し、検出した目地切れ部にモルタルを吹き付けてソールフリュー部の自動補修を行う発明が開示されている。この処理はコークス炉の築造後の立ち上げ初期に実施しており、この作業は補修を行うソールフリュー部のガス止めが必須となり、炉温低下による乾留不良を招くことから、石炭乾留後の置き時間に補修を行わなければならず、全ソールフリューの補修が完了するまでの間、稼働率を落とした状態でコークス炉操業を行わなければならない。
特許文献2には、リーンガスによって加熱されるコークス炉において、蓄熱器分離壁のひび割れに起因し、蓄熱機内を流れるリーンガスの一部が近傍の排ガス用ダクト(蓄熱器内の別のチャンバ)に入り込む現象を防止する発明が開示されている。同文献の図1に示す態様では、蓄熱器分離壁表面にステンレス製シートを設けている。表面にシートが露出しているので、シートの施工性、耐久性に問題がある。図2〜5に示す態様では、蓄熱器分離壁において、気密性ホイルを矩形れんがの背後の垂直方向継ぎ目に設けることでシールとしている。
特許文献3に記載の発明は、コークス化室と炉体屋根部を含むコークス炉バッテリにおいて、屋根部はガスの漏れないスクリーンを有し、スクリーンは水平方向部分と垂直方向部分を有するものである。
特開平7−278554号公報 特開平8−218073号公報 特開昭59−93789号公報
第3版鉄鋼便覧 II 製銑・製鋼 第179〜180頁
燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューとの隔壁(仕切り壁)は、矩形の煉瓦を積み上げて築造されている。ソールフリューから見た隔壁表面には、水平方向の目地(以下「敷目地」ともいう。)と垂直方向の目地(以下「奥目地」ともいう。)が形成されている。特許文献2の図2〜5に示す態様では、蓄熱器分離壁において、気密性ホイルを矩形れんがの背後の垂直方向継ぎ目(以下「縦目地」ともいう。)に設けることでシールとしている。これにより、奥目地の目地切れに起因するガス漏れを防止することは可能となる。ところが、ガスや空気が流通する目地切れは、奥目地のみならず、水平方向の目地(敷目地)においても発生する。しかし、特許文献2に記載のシールでは、水平方向の敷目地に目地切れが発生した場合、ガスや空気の流通を防止するシールの役割を果たすことができない。
本発明は、コークス炉ソールフリュー部において、仕切り壁の奥目地の目地切れと敷目地の目地切れのいずれにも対応することのできる、ガス漏れ防止構造及びその構築方法を提供することを目的とする。
本発明は、コークス炉の燃焼室及び炭化室の下部に配置され、15分から30分ごとに煉瓦に蓄積された熱によりガス又は空気を予熱する側(予熱側という)と燃焼室での燃焼による高温排ガスの顕熱を蓄熱室内煉瓦に伝熱し蓄熱して低温化した排ガスを排気する側(排ガス側という)の切替が行われる燃焼機構を持つコークス炉において、蓄熱室の下部にあって、予熱側の状態においては燃料ガス及び空気を導入する、コークス炉の燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューとの隔壁(以下「仕切り壁」という。)の煉瓦構造におけるコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造に関する。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューとの隔壁(仕切り壁)の煉瓦構造において、単一の垂直平面であって炉長方向に延びる目地(以下「シール目地」という。)を前記仕切り壁の高さと長さの全域に有し、前記シール目地中に金属板(以下「シール板」という。)を前記仕切り壁の高さと長さの全域に配置することを特徴とするコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造。
(2)前記シール目地の広がり防止のため、仕切り壁の煉瓦構造は前記シール目地を挟んで2列積みとし、該2列積み煉瓦の上端と下端の一方又は両方には、2列積み煉瓦の双方を拘束する形状の煉瓦を配置することを特徴とする(1)に記載のコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造。
(3)前記シール板は炉長方向に複数の金属板で構成され、炉長方向に隣り合う金属板は重なりを持って接しており、炉長方向端部において金属板はL字状の折り曲げ部を有し、該折り曲げ部が煉瓦のコーナー部に接していることを特徴とする(1)又は(2)に記載のコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造。
(4)前記シール板は炉高方向に複数の金属板で構成され、炉高方向に隣り合う金属板は重なりを持って接しており、炉高方向端部において金属板はL字状の折り曲げ部を有し、該折り曲げ部が煉瓦のコーナー部に接しており、シール板の厚みは0.25mm以上0.6mm以下であることを特徴とする(3)に記載のコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造。
(5)前記仕切り壁の2列積み煉瓦の一方を煉瓦積みし、シール板の片側面にモルタルを塗布してシール板を煉瓦積みした煉瓦にセットし、その後、2列積み煉瓦のもう片方を煉瓦積みすることを特徴とする(4)に記載のコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造の構築方法。
本発明は、コークス炉の燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューとの仕切り壁の煉瓦構造において、単一の垂直平面であって炉長方向に延びるシール目地を有し、シール目地中に金属板(シール板)を配置することにより、仕切り壁の敷目地、奥目地のいずれに目地切れが発生しても、ガスや空気の流通を防止することができる。仕切り壁の煉瓦構造はシール目地を挟んで2列積みとし、2列積み煉瓦の上端と下端の一方又は両方には2列積み煉瓦の双方を拘束する形状の煉瓦を配置することにより、仕切り壁の強度を確保することができる。
本発明のソールフリュー部の一例を示す図であり、(a)は厚み断面、(b)は水平断面(B−B矢視断面)である。 本発明のソールフリュー部仕切り壁のシール目地断面(図1のA−A矢視断面)を示す図であり、(a)は目地構造、(b)はシール板の配置状況を示す図である。 本発明の仕切り壁の厚み断面を示す部分図である。 本発明の仕切り壁の端部水平断面を示す部分図である。 従来のソールフリュー部を示す図である。 本発明の実施例におけるソールフリュー部仕切り壁のシール目地断面を示す図であり、(a)は炉長方向全長、(b)はB−B部分拡大図、(c)はC−C部分拡大図である。
図1に本発明、図5に従来のソールフリュー部を示す。前述のとおり、各蓄熱室2に対応した燃料ガスソールフリュー3と空気ソールフリュー4との隔壁をここでは「仕切り壁5」という。燃料ガスソールフリュー3と空気ソールフリュー4のガス通路に面する部分の耐火物として、前述のように粘土煉瓦が用いられている。仕切り壁については、厚み方向の全体が粘土煉瓦で構築される。図1、5において、断面を斜め線ハッチングした部分は珪石煉瓦35であり、ドットハッチングした部分は粘土煉瓦36である。
仕切り壁5を構成する煉瓦の形状について、煉瓦における仕切り壁5の厚み方向42長さを「煉瓦厚み45」、高さ方向43の長さを「煉瓦高さ46」、炉長方向41の長さを「煉瓦幅47」と呼ぶこととする(図1参照)。
図5には、ソールフリュー部の断面図によって、従来の、特に仕切り壁部の煉瓦積み構造を示す。図には、仕切り壁5の厚み方向42を示す断面(以下「厚み断面」という。)が示される。仕切り壁5の厚み方向42には、煉瓦厚み45の異なる2種類の煉瓦が用いられ、高さ方向に、煉瓦厚みの大きい煉瓦と小さい煉瓦を互い違いに配置している。この結果、仕切り壁5の厚み断面に見られる目地については、水平方向の目地(敷目地31)は厚み方向に貫通しており、垂直方向の目地(縦目地33)は高さ方向に煉瓦の段ごとに互い違いに配置されることになる。このような煉瓦積み構造において、特許文献2にあるように矩形れんがの背後の垂直方向継ぎ目(縦目地33)にシールを設けようとすると、上下方向の煉瓦積み段ごとにシールの位置が異なり、上下方向に連続したシールを設けることができない。そのため、厚み断面における敷目地31に目地切れが形成された場合、配置したシールは役に立たず、仕切り壁5を通じてガスが流通することとなる。
本発明においては、図1に示すように、仕切り壁5の煉瓦構造として、単一の垂直平面であって炉長方向に延びる目地(シール目地6)を有する煉瓦構造を用いることを特徴とする。仕切り壁の煉瓦構造はシール目地6を挟んで2列積みとする。2列積みについて、空気ソールフリュー側の列を「空気側列9」、燃料ガスソールフリュー側の列を「ガス側列8」と呼ぶこととする。図1(a)の仕切り壁厚み断面図、図1(b)の仕切り壁の水平方向断面(以下「水平断面」という。)図に基づいて説明する。厚み断面において、仕切り壁の空気側列9、ガス側列8それぞれ、上下に積み上がる煉瓦は煉瓦厚み45が同じである。これにより、2列の煉瓦によって形成される垂直方向目地は、高さ方向に互い違いにはならず、単一の垂直平面を形成することとなる。また、水平断面において、空気側列9、ガス側列8それぞれ、炉長方向41に並べる煉瓦は煉瓦厚み45が同じである。これにより、2列の煉瓦によって形成される垂直方向目地(シール目地6)は、炉長方向41に互い違いにはならず、単一の垂直平面が炉長方向に延びる形状を形成することとなる。
このように、仕切り壁5の内部に形成される本発明のシール目地6は、高さ方向43にも同一の垂直平面として伸び、炉長方向41にも同一の垂直平面として延びるので、高さ方向43、炉長方向41ともに、広いひとつの平面を形成している。本発明は、このシール目地6中に金属板(シール板7)を配置する。シール板7の金属板としては、ステンレス鋼板、めっき鋼板を用いると、耐久性や耐食性の観点から好ましい。
図2には、仕切り壁をシール目地で切断した断面(シール目地断面)を示す。この図において、ハッチングを施した部分は煉瓦の断面であり、ハッチングを施していない部分はシール目地部であることを意味する。シール目地断面に見える水平方向の目地は、厚み断面に見える水平方向の目地と同一であり、ここでは「敷目地31」と呼んでいる。このような敷目地31に仕切り壁の厚み方向に貫通する目地切れが形成されると、従来であれば仕切り壁を通してガス漏れが形成されていた。本発明においては、シール目地6にシール板7を配置しているので、シール目地部において目地切れの貫通が遮断され、敷目地31の目地切れに起因するガス漏れを防止することができる。また、シール目地断面に見える垂直方向の目地は、水平断面における厚み方向の目地と同一であり、ここでは「奥目地32」と呼んでいる。このような奥目地32に形成される貫通した目地切れについても、シール板7によってガス漏れを防止することができる。
従来、仕切り壁の煉瓦積みについては、図5に示すように、厚み断面において高さ方向に煉瓦厚みの異なる煉瓦を交互に積み上げ、これによって厚み断面に見える垂直方向目地(ここでは「縦目地33」と呼んでいる。)が上下方向に段違いとなる構造を採用していた。これにより、仕切り壁の強度を保持していた。本発明においては、縦目地が上下方向に段違いとならず、シール目地6を形成しており、仕切り壁の煉瓦構造はシール目地6を挟んで2列積みとして分離される。そのため、仕切り壁の強度を確保するためには新たな配慮が必要となる。
本発明においては、2列積み煉瓦の上端と下端の一方又は両方に、2列積み煉瓦(空気側列、ガス側列)の双方を拘束する形状の煉瓦を配置することとし、仕切り壁の強度を確保することとした。図3に基づいて説明する。仕切り壁の2個の上端煉瓦(15a、15b)は、いずれも、シール目地6に接する部分において上部に突起19を有している。上端煉瓦の上部には上部拘束煉瓦16を配置する。上部拘束煉瓦16は下部の厚み方向中央部に凹部20を有している。煉瓦積みにおいて、2個の上端煉瓦15の突起19がともに上部拘束煉瓦16の凹部20にはめ合う。これにより、2個の上端煉瓦15が相互に離れようとしても拘束されているので離れられず、仕切り壁5の上端部の強度が維持される。図3の例では、仕切り壁5の2個の下端煉瓦(17a、17b)についても、いずれも、シール目地6に接する部分において下部に突起19を有している。下端煉瓦17の下部には下部拘束煉瓦18を配置する。下部拘束煉瓦18は上部の厚み方向中央部に凹部20を有している。煉瓦積みにおいて、2個の下端煉瓦17の突起19がともに下部拘束煉瓦18の凹部20にはめ合う。これにより、2個の下端煉瓦17が相互に離れようとしても拘束されているので離れられず、仕切り壁5の下端部の強度が維持される。このように、2列積み煉瓦の上端と下端の両方に2列積み煉瓦の双方を拘束する形状の煉瓦を配置すると最も好ましいが、上端と下端の一方のみに2列積み煉瓦の双方を拘束する形状の煉瓦を配置することとしても良い。
仕切り壁5は、高さが800mm程度、炉長方向の長さが16m程度の形状を有している。本発明のシール目地についても、好ましくは仕切り壁の高さと長さの全域に配置する。この場合、シール目地に配置する金属板(シール板)については、全体を1枚の金属板で形成しようとすると、材料の準備、施工の両方において困難が伴う。
本発明において好ましくは、シール板を複数の金属板で構成する。図2(b)において、太線の1点鎖線、2点鎖線の矩形で示したものが、個々の金属板の輪郭である。個々の金属板としては、炉長方向に1750mm程度、高さ方向に800mm程度とすると、施工性、価格の両面で好ましい。
本発明において好ましくはまず、シール板7は炉長方向41に複数の金属板で構成する。図2(b)では、シール板7a、シール板7bが炉長方向に配置されている。これにより、それぞれのシール板7は炉長方向41に長さが過大になる問題を解決できる。シール効果を十分に発揮させるため、炉長方向に隣り合う金属板は重なりを持って接している。図2(b)では、シール板7aとシール板7bとが重なり部21a1を形成している。各金属板の炉長方向端部は、煉瓦積みの奥目地32の位置と一致しないように配置すると好ましい。
コークス炉の築造を完了して昇温すると、耐火物は熱膨張によって膨張する。炉長方向長さが16mのコークス炉であれば、炉長方向に炉芯から端部までの長さが64mm程度膨張する。炉長方向端部煉瓦が炉芯から端部までの拡大しろと同じ長さだけ移動することとなる。この長さを「端部煉瓦移動量」と呼ぶ。シール板についても、膨張に伴う炉長方向端部の位置変更に随伴して移動すると、シール不良の発生を防止できるので好ましい。本発明においては、図4に示すように、炉長方向端部においてシール板7としての金属板がL字状の折り曲げ部22を有し、折り曲げ部22が煉瓦のコーナー部25に接するように配置すると好ましい。金属板はL字状の折り曲げ部22によって煉瓦に拘束されるので、炉長方向端部の煉瓦が熱膨張で外方へ移動するに際し、金属板も随伴して外方に移動する。この場合、炉長方向端部の金属板と、それに接する炉奥側の金属板との初期重なりについては、炉長方向端部の金属板が移動しても重なりが解消しない十分な初期重なりを設けると良い。金属板の初期重なりを、上記端部煉瓦移動量にさらに10mmを加えた大きさとすることにより、熱膨張後も金属板の重なり解消を十分に防止することができる。
本発明において好ましくは次に、シール板は高さ方向43に複数の金属板で構成する。図2(b)では、シール板7a、シール板7cが高さ方向に配置されている。これにより、シール目地の高さ方向において上部側と下部側を別々に施工できるので、施工が容易になる。上下方向の煉瓦熱膨張にも対応することができる。シール効果を十分に発揮させるため、炉高方向に隣り合う金属板は重なりを持って接している。図2(b)では、シール板7aとシール板7cとが重なり部21a3を形成している。各金属板の上下方向端部は、煉瓦積みの敷目地31の位置と一致しないように配置すると好ましい。
上記炉長方向端部と同様、図3に示すように、炉高方向端部において金属板はL字状の折り曲げ部23を有し、折り曲げ部23が煉瓦のコーナー部に接するように配置すると好ましい。これにより、煉瓦積みにおけるシール板配置の施工性が改善する。また、金属板はL字状の折り曲げ部によって煉瓦に拘束されるので、高さ方向の熱膨張に対応して金属板も随伴して移動することとなる。
シール板の重なり部21においては、シール板7の合計厚さは、1枚当たりのシール板の厚みに重なり枚数をかけた値となる。本発明において好ましくは、シール板の厚みは0.2mm以上0.6mm以下であり、シール板の重なりは3枚以下である。シール目地の目地幅は好ましくは4mm以下である。通常、煉瓦の強度に対し目地の強度は弱いことから、局所的には目地の厚みは可能な限り小さい方がよいが、仕切り壁においては4mm以下であれば、コークス炉全体への強度低下の影響は発生しない。そして、目地における接着力確保のため、モルタル厚みは2mm以上を確保することが好ましい。4mmの目地においてシール板の重なり部におけるモルタル厚みを2mm以上とするためには、シール板の厚みを0.6mm以下とし、シール板の重なりを3枚以下とすればよい。図2(b)に示すように、高さ方向43、炉長方向41のいずれもシール板7を分割する場合、上部のシール板の炉長方向重なり部と、下部のシール板の炉長方向重なり部が、炉長方向において別の位置に配置されることにより、シール板の重なりを3枚以下とすることができる。図2(b)に示す例では、上方の炉長方向2枚重なり部21a1と下方の炉長方向2枚重なり部21a2とが炉長方向において別の位置に配置されている。その結果、3枚重なり部(21b1、21b2)が別々の箇所に形成され、4枚重なり部は形成されない。シール板7の厚みが薄すぎると施工性や耐久性が低下するので、シール板の厚みを0.2mm以上とすると好ましい。
一方で、目地厚みが6mmを超えるとコークス炉全体の強度に影響する虞がある。しかし、さらに2mm程度の煉瓦の製作精度及び築炉精度のバラつきを考慮した場合においても、シール板の厚みを0.6mm以下とすれば、目地厚みを6mm以下に収めることができる。
本発明の仕切り壁の築造において好ましくは、まず仕切り壁の2列積み煉瓦の一方(例えば図3に示す例では空気側列9)を煉瓦積みする。次に、シール板7の片側面にモルタルを塗布してシール板を煉瓦積みした空気側列9の煉瓦にセットする。シール板を上下に2分割の金属板とし、上部側の金属板7a上端にL字状の折り曲げ部23を形成し、下部側の金属板7b下端にL字状の折り曲げ部23を形成する。下部側の金属板7cについては、L字が施工した煉瓦列の反対側に向くように配置し、上部側の金属板7aについては、L字が施工した煉瓦列の方向に向くように配置する。これにより、金属板を容易に施工することができる。その後、2列積み煉瓦のもう片方(ここではガス側列8)を煉瓦積みする。
炉高5.5m、炉長15.7mのコークス炉でソールフリュー高さが700mm、ソールフリュー長さが15.7mのコークス炉において、本発明を適用した。図1に示すように、仕切り壁5の煉瓦構造として、単一の垂直平面であって炉長方向に延びる目地(シール目地6)を有する煉瓦構造とした。図3に示すように、仕切り壁の2個の上端煉瓦(15a、15b)は、いずれも、シール目地6に接する部分において上部に突起19を有し、上端煉瓦の上部には下部の厚み方向中央部に凹部20を有している上部拘束煉瓦16を配置する。2個の上端煉瓦15の突起19がともに上部拘束煉瓦16の凹部20にはめ合うことにより、2個の上端煉瓦15が相互に離れようとしても拘束されているので離れられず、仕切り壁5の上端部の強度が維持される。仕切り壁5の2個の下端煉瓦(17a、17b)についても、いずれも、シール目地6に接する部分において下部に突起19を有し、下端煉瓦17の下部には上部の厚み方向中央部に凹部20を有している下部拘束煉瓦18を配置する。2個の下端煉瓦17の突起19がともに下部拘束煉瓦18の凹部20にはめ合うことにより、2個の下端煉瓦17が相互に離れようとしても拘束されているので離れられず、仕切り壁5の下端部の強度が維持される。
シール目地6には、シール板7を炉高方向で2分割、炉長方向で11分割して配置した。シール板7として、厚み0.3mmのめっき鋼板を用いた。図4に示すように、炉長方向端部においてシール板7としての金属板がL字状の折り曲げ部22を有し、折り曲げ部22が煉瓦のコーナー部25に接するように配置した。図3に示すように、炉高方向端部において金属板はL字状の折り曲げ部23を有し、折り曲げ部23が煉瓦のコーナー部に接するように配置した。これにより、広がり防止用の拘束を設けた。
実施例におけるソールフリュー部仕切り壁のシール目地断面を図6に示す。図6(a)は炉長方向全長、(b)はB−B部分拡大図、(c)はC−C部分拡大図である。図6において、太線の1点鎖線の矩形で示したものが、個々のシール板7の輪郭である。炉高方向に2分割したシール板は、上方のシール板7U、下方のシール板7Lとして描かれている。上方のシール板は、7U1から7U11までの11枚構成であり、下方のシール板は、7L1から7L10までの10枚構成である。炉長方向41に隣り合うシール板の重なり部(重なり幅50〜200mm)には2枚重なり部21aが形成され、ハッチングで示している。炉高方向43で隣り合うシール板の重なり部(重なり幅86mm)には2枚重なり部21aが形成され、ハッチングで示している。3枚重なり部21bはクロスハッチで示している。各シール板の炉長方向端部は、煉瓦積みの奥目地32の位置と一致しないように配置した。また、上方のシール板7Uの下端部、下方のシール板7Lの上端部は、煉瓦積みの敷目地31の位置と一致しないように配置した(図2(b)参照)。
実施例のコークス炉立上げ時において、燃料ガスソールフリューと空気ソールフリュー間のガス漏れは見られなかった。その結果、立上げ初期に実施するソールフリューの補修作業を省略できた。これにより、立上げ初期から稼働率を落とすことなく操業を可能であった。
1 ソールフリュー部
2 蓄熱室
3 燃料ガスソールフリュー
4 空気ソールフリュー
5 仕切り壁
6 シール目地
7 シール板
8 ガス側列
9 空気側列
10 ソールフリュー立上がり部
11 水平煙道金物
12 ピラーウォール
15 上端煉瓦
16 上部拘束煉瓦
17 下端煉瓦
18 下部拘束煉瓦
19 突起
20 凹部
21 重なり部
21a 2枚重なり部
21b 3枚重なり部
22 折り曲げ部
23 折り曲げ部
25 コーナー部
31 敷目地
32 奥目地
33 縦目地
35 珪石煉瓦
36 粘土煉瓦
37 粘土煉瓦
38 珪石煉瓦
41 炉長方向
42 厚み方向
43 高さ方向
45 煉瓦厚み
46 煉瓦高さ
47 煉瓦幅

Claims (5)

  1. 燃料ガスソールフリューと空気ソールフリューの隔壁(以下「仕切り壁」という。)の煉瓦構造において、その壁厚方向の内部に単一の垂直平面であって炉長方向に延びる目地(以下「シール目地」という。)を前記仕切り壁の高さと長さの全域に有し、前記シール目地中に金属板(以下「シール板」という。)を前記仕切り壁の高さと長さの全域に配置することを特徴とするコークス炉ソールフリューのガス漏れ防止構造。
  2. 前記シール目地中にシール板を有するコークス炉の仕切り壁の煉瓦構造は前記シール目地を挟んで2列積みとし、該2列積み煉瓦の上端と下端の一方又は両方には、2列積み煉瓦の双方を拘束する形状の煉瓦を配置することを特徴とする請求項1に記載のコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造。
  3. 前記シール板は炉長方向に複数の金属板で構成され、炉長方向に隣り合う金属板は重なりを持って接しており、炉長方向端部において金属板はL字状の折り曲げ部を有し、該折り曲げ部が煉瓦のコーナー部に接していることを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造。
  4. 前記シール板は炉高方向に複数の金属板で構成され、炉高方向に隣り合う金属板は重なりを持って接しており、炉高方向端部において金属板はL字状の折り曲げ部を有し、該折り曲げ部が煉瓦のコーナー部に接しており、シール板の厚みは0.2mm以上0.6mm以下であることを特徴とする請求項3に記載のコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造。
  5. 前記仕切り壁の2列積み煉瓦の一方を煉瓦積みし、シール板の片側面にモルタルを塗布してシール板を煉瓦積みした煉瓦にセットし、その後、2列積み煉瓦のもう片方を煉瓦積みすることを特徴とする請求項4に記載のコークス炉ソールフリュー部のガス漏れ防止構造の構築方法。
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