JP2024055102A - コークス炉の耐火物構造 - Google Patents

コークス炉の耐火物構造 Download PDF

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【課題】耐火物ブロックを用いたコークス炉の耐火物構造において、炉団長方向に隣接する蓄熱室間、ソールフリュー間のガスリークの発生を防止する。【解決手段】コークス炉の耐火物構造を構成する耐火物ブロックの少なくとも一部の隣接する耐火物ブロックにおいて、上下方向の積層形状について、上方の耐火物ブロックの下面側と下方の耐火物ブロックの上面側の一方に、凹ダボ(炉体支持凹ダボ2A)、他方に凸ダボ(炉体支持凸ダボ2B)を有して両者が嵌合するダボ構造(炉体支持ダボ2)を有し、この炉体支持ダボ2により、上方の耐火物ブロック1Aと下方の耐火物ブロック1Cの間の炉長方向31の相対的動きが拘束されていることを特徴とするコークス炉の耐火物構造。【選択図】図1

Description

本発明は、コークス炉の耐火物構造に関するものであり、特に、コークス炉の蓄熱室あるいはソールフリューの耐火物構造に関するものである。
室炉式コークス炉においては、図5に記載のように、上段に炭化室12と燃焼室13が配置され、下段に蓄熱室11が配置される。炭化室12と燃焼室13は炉団長方向32に交互に配置されている。炭化室12と蓄熱室11との間の部分は蛇腹部16と呼ばれる。蓄熱室11については、炉団長方向32に隣接する蓄熱室11aの間の仕切りとして、図4に記載のようにピラーウォール17によって仕切られ、炉長方向31には図5に記載のように仕切り壁18によって仕切られている。蓄熱室11の内部には蓄熱体15(図4のドットハッチング部)としてギッター煉瓦が積み上げられる。蓄熱室11の下部にはソールフリュー14が配置されている。蓄熱室11と燃焼室13の間はガス流路19によって接続されている。通常、炭化室の寸法は、炉高4~7.5m余、炉幅350~550mm、炉長13~17m程度である。炭化室と燃焼室との隔壁及び燃焼室フリュー同士の隔壁、炉頂部、蛇腹部、蓄熱室のピラーウォール、ソールフリューは、いずれも耐火物の煉瓦積み構造で形成される。
コークス炉の耐火物構造は、従来、手積み煉瓦を現地で積層することによって形成されていた。珪石煉瓦を手積み工法で積み上げる作業はすべて手作業であるため、築炉期間を短縮するためには、膨大な人数の熟練した築炉工によって作業を行う必要がある。しかし、熟練した築炉工の人数には限りがあるため、短期間で築炉を行うために十分な人数の築炉工を確保することが困難となる。
コークス炉の耐火物構造を、上記のように手積み煉瓦を現地で積層するのではなく、所定の成分組成の粒状の耐火物組成物に水を加えて混練し、型枠に流し込んで、乾燥させ、大型の耐火物ブロックを形成し、これをコークス炉の耐火物構造として用いることが知られている。大型プレキャスト耐火物ブロックともいう。
特許文献1には、コークス炉の燃焼室、蓄熱室、ソールフリュー、蛇腹部、炉頂部のそれぞれを構成する耐火物の少なくとも一部について、大型プレキャスト耐火物ブロックを用いて築炉する室炉式コークス炉の築炉方法が開示されている。これにより、コークス炉の煉瓦構築に際し、熟練した築炉工の所要人数を十分に低減する、室炉式コークス炉の築炉方法及び室炉式コークス炉の耐火物構造を提供することができる。
特許文献2に記載のように、コークス炉を構成する定型耐火物の側面、上面、および底面には、ダボと呼ばれるズレ防止用の凹凸が設けられている。重なり合う定型耐火物同士を、ダボの凹部と凸部が嵌合するように組み合わせながら積み上げることによってコークス炉は建設される。同文献の図1から明らかなように、耐火物の上面に配置されるダボは、耐火物の長手方向に平行に設けられている。上下に重なり合う耐火物においては、このようなダボに嵌合するように積み上げることにより、耐火物の長手方向と直角の方向(耐火物の幅方向)について、上下の耐火物のずれを防止することができる。また、耐火物の側面(水平方向に隣り合う耐火物同士が接合する面)に配置されるダボは、耐火物の上下方向に平行に設けられている。水平方向に隣り合う耐火物においては、このようなダボに嵌合するように配置することにより、耐火物の長手方向と直角の方向(耐火物の幅方向)について、水平方向に隣接する耐火物のずれを防止することができる。
特許文献3には、コークス炉の建設方法において、コークス炉基礎上に、蓄熱室内の仕切り壁とギッターれんがを除いて、少なくとも炉床、ソールフリュー、蓄熱室及び蛇腹部を、耐火物ブロックを使用して施工した後、蓄熱室内の仕切り壁とギッターれんがの施工を行うことを特徴とするコークス炉の建設方法が開示されている。同文献の図2は、蓄熱室の施工に使用する大型ブロックの一例を示す斜視図である。同図によると、大型ブロックの上面には、大型ブロックの長手方向に平行にダボが設けられている。
図4は、コークス炉の蛇腹部16、蓄熱室11部分、ソールフリュー14部分を示す部分正面断面図である。いずれの部分も大型の耐火物ブロック1を用いて築造している。築造している耐火物ブロック1の上下方向33の段について、D1段からD9段までの番号を付している。
蓄熱室のピラーウォール17部分を大型の耐火物ブロックを用いて築造する場合、上下に隣接する耐火物間の目地(以下「敷目地」ともいう。)、および炉長方向に隣接する耐火物間の目地(以下「縦目地」ともいう。)に隙間(目地切れ)が生じると、隣接する蓄熱室間でのガスのリークが生じるので好ましくない。上下方向33に隣接する耐火物間の敷目地に炉長方向31に平行なダボ嵌合部を設け、および炉長方向31に隣接する耐火物間の縦目地に上下方向33に平行なダボ嵌合部を設けることにより、このダボ嵌合部がガスシールの役割を担うこともできる。ソールフリュー14において、燃料ガスソールフリュー14aと空気ソールフリュー14bを隔てる仕切り壁20についても同様である。
稼働中のコークス炉において、コークス炉の下部のソールフリュー14から中間部の蛇腹部16にかけて、上下方向で耐火物温度が異なっている。下部のソールフリュー14(D1段~D3段)は250℃、蓄熱室11は下部(D4段)が400℃、上部(D6段)が1,000℃、蛇腹部(D7段~D9段)は1,000℃程度となる。耐火物は熱膨張する。例えば大型ブロックにおいて主に用いられる粘土質の場合、冷間築造時に比較し、熱間稼働時の熱膨張量は、250℃で約0.15%、400℃で約0.25%、1,000℃で約0.59%となる。今、炉長が15mのコークス炉において、炉長方向31の長さが1mである耐火物ブロック1を用いる場合について熱膨張量を算出する。コークス炉の炉長方向全体長さの熱膨張量は、250℃で約22.5mm、400℃で約37.5mm、1,000℃で約88.5mmとなる。耐火物ブロック1個あたりの炉長方向31の熱膨張量は、250℃で約1.5mm、400℃で約2.5mm、1,000℃で約5.9mmとなる。一方で、耐火物として粘土質でなく溶融シリカ質等の別の材質を使用する場合は、使用する材質に応じて温度毎の熱膨張率を用いて熱膨張量を算出し、当該材質の熱膨張量に応じて設計する。
特開2019-112503号公報 特開2017-089949号公報 特開2016-222758号公報
耐火物ブロックを用いて築造されたコークス炉の耐火物構造において、上下方向33に隣接する耐火物ブロック間の目地(敷目地)、炉長方向31に隣接する耐火物ブロック間の目地(縦目地)は、モルタルによって接合されている。冷間で築造された後、熱間状態において、上述のとおり、コークス炉の上下方向の温度分布に基づき、上下方向各部位における耐火物の熱膨張率が相違する。耐火物として粘土質を用いた場合、蓄熱室の上部(図4に示すD6段)およびそれ以上の部位(D7段~D9段)については炉長方向全体で88.5mmの膨張量であるのに対し、ソールフリュー14(D1段~D3段)では熱膨張量が22.5mmに過ぎない。上下方向のこのような膨張量差は、耐火物の弾性変形で吸収することはできず、耐火物間の目地のモルタル接合部の一部の接合が切れて、当該部位で上下方向の耐火物相互間の位置にずれが生じ、これによって上下方向の熱膨張量差が吸収されることになる。
コークス炉の上下方向の熱膨張量差に起因して生じる上記のような耐火物間のずれの発生については、いずれの位置にどの程度のずれが生じるかについては一律には定まらない。従って、炉長方向31に隣接する耐火物同士の縦目地が目地切れして生じる隙間についても、ずれ量が異なることによって大きな隙間が生じる部位も一部では発生することとなる。
図4に示すように、蓄熱室11部分のピラーウォール17を大型の耐火物ブロック1を築造した耐火物構造とする場合、炉長方向31に隣接する耐火物ブロック1同士の接合部(縦目地)において、気密性の保持が必要である。耐火物ブロック同士の接合部の気密性が破れると、ピラーウォール17を隔てて隣接する蓄熱室(11、11a)同士の間でガスが流通することとなる。炉長方向31に隣接する耐火物ブロック1同士の接合部(縦目地)にはダボによる嵌合部が構成され、これによって耐火物ブロック同士の接合部における気密性が確保されている。ところが、上下方向の熱膨張量差に起因して、上述のように耐火物間のずれが発生し、ずれの発生は一律には定まらず、大きなずれが発生し、縦目地が目地切れして大きな隙間が形成されることもある。この場合、ずれによる耐火物ブロック間の開口の程度がダボの深さを上回ると、ダボによる気密性保持の機能が失われ、炉団長方向32に隣接する蓄熱室(11、11a)間でガスのリークが発生することとなる。
ソールフリュー14における燃料ガスソールフリュー14aと空気ソールフリュー14bを隔てる仕切り壁20のそれぞれを大型の耐火物ブロック1を築造した耐火物構造とする場合も同様であり、蛇腹部16より上の高温部分とソールフリュー14の間の温度差に基づく熱膨張量差に起因して、ソールフリュー14の仕切り壁20の耐火物間にずれが発生する。炉長方向31に隣接する耐火物ブロック間のずれによる縦目地の開口の程度がダボの深さを上回ると、ダボによる気密性保持の機能が失われ、炉団長方向32に隣接する燃料ガスソールフリュー14aと空気ソールフリュー14bの間でガスのリークが発生することとなる。
本発明は、上段に炭化室12と燃焼室13が配置され、下段に蓄熱室11とソールフリュー14が配置されているコークス炉の耐火物構造であって、炉団長方向32に隣接する蓄熱室間でのガスリークの発生、ソールフリュー14の燃料ガスソールフリュー14aと空気ソールフリュー14bの間でのガスリークの発生を防止することのできる、コークス炉の耐火物構造を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
[1]上段に炭化室と燃焼室が配置され、下段に蓄熱室とソールフリューが配置されているコークス炉の耐火物構造であって、前記炭化室の長手方向を炉長方向、炉長方向と上下方向の双方に垂直な方向を炉団長方向と呼び、
前記コークス炉の耐火物構造を構成する耐火物ブロックのうち少なくとも一部の隣接する耐火物ブロックにおいて、上下方向の積層形状について、上方の耐火物ブロックの下面側と下方の耐火物ブロックの上面側の一方に凹ダボ、他方に凸ダボを有して両者が嵌合するダボ構造を有し(以下「炉体支持ダボ」という。)、前記炉体支持ダボにより、前記上方の耐火物ブロックと前記下方の耐火物ブロックの間の炉長方向の相対的動きが拘束されていることを特徴とするコークス炉の耐火物構造。
[2]前記炉体支持ダボを有する耐火物ブロックの一部又は全部において、前記耐火物ブロックの前記炉長方向端部には、前記炉団長方向に段差を形成する段違い部が構成され、前記炉長方向に隣接する別の耐火物ブロックの前記炉長方向端部にも前記炉団長方向に段差を形成する段違い部が構成され、両方の段違い部が重なって耐火物ブロックの接合部を構成してなることを特徴とする[1]に記載のコークス炉の耐火物構造。
[3]前記炉体支持ダボを有する耐火物ブロックの上下方向の積層形状において、前記炉体支持ダボを有するとともに、上方の耐火物ブロックの下面側と下方の耐火物ブロックの上面側の一方に凹ダボ、他方に凸ダボを有して両者が嵌合する別のダボ構造を有し(以下「ガスシール用ダボ」という。)、前記ガスシール用ダボの前記凹ダボと前記凸ダボは前記炉長方向に平行、かつそれぞれの耐火物ブロックの炉長方向全長にわたって配置されていることを特徴とする[1]又は[2]に記載のコークス炉の耐火物構造。
上段に炭化室と燃焼室が配置され、下段に蓄熱室とソールフリューが配置されているコークス炉の耐火物構造において、コークス炉の耐火物構造を構成する耐火物ブロックに炉体支持ダボを形成し、炉体支持ダボの嵌合により、上方の耐火物ブロックと下方の耐火物ブロックの間の炉長方向の相対的動きが拘束される。その結果、コークス炉の上下方向の温度差に起因して生じる炉長方向の目地の目地開き量が制御され、目地開き部からのガスの漏れを防止することができる。
耐火物ブロックの一例を示す図であり、(A)~(C)は耐火物ブロック1Aを示し、(A)は平面図、(B)はB-B矢視側面断面図、(C)は正面図であり、(D)は耐火物ブロック1Bの平面図を示し、(E)(F)は耐火物ブロック1Cを示し、(E)はE-E矢視側面断面図、(F)はF-F矢視正面断面図を示す。 コークス炉の耐火物構造の一例を示す図(図4のA-A矢視側面断面図)であり、(A)は冷間の築造時、(B)は熱間の稼働時を示す。 コークス炉の耐火物構造の部分を示す平面図であり、(A)は冷間の築造時、(B)は熱間の稼働時を示す。 コークス炉の耐火物構造における正面断面図である。 コークス炉の耐火物構造における側面断面図である。
以下、図1~図4に基づいて本発明の説明を行う。
本発明が対象とするのは、上段に炭化室12と燃焼室13が配置され、下段に蓄熱室11とソールフリュー14が配置されているコークス炉の耐火物構造である。炭化室12の長手方向を炉長方向31、炉長方向31と上下方向33に垂直な方向を炉団長方向32と呼ぶ。
本発明のコークス炉の耐火物構造は、耐火物の一部または全部について、耐火物ブロック1を用いて構成している。耐火物ブロック1は、所定の成分組成の粒状の耐火物組成物に水を加えて混練し、型枠に流し込んで、乾燥させて形成する。大型プレキャスト耐火物ブロックともいう。
図1に基づいて、耐火物ブロック1に形成する炉体支持ダボ2について説明する。図1に示す例では、耐火物ブロック1の上面側に炉体支持ダボ2として炉体支持凹ダボ2Aが配置され、耐火物ブロック1の下面側に炉体支持ダボ2として炉体支持凸ダボ2Bが配置されている。耐火物ブロック(1A、1B、1C)いずれも同じである。図1(A)~(C)に示す耐火物ブロック1A下面側の炉体支持凸ダボ2Bが、図1(E)(F)に示す耐火物ブロック1C上面側の炉体支持凹ダボ2Aと嵌合する。ダボ同士のこのような嵌合の結果として、上方の耐火物ブロック1Aと下方の耐火物ブロック1Cは、炉長方向31における両者間の相対的動きが拘束されることとなる。即ち、コークス炉の耐火物構造を構成する耐火物ブロック1の少なくとも一部において、上下方向の積層形状について、上方の耐火物ブロック(1A)の下面側と下方の耐火物ブロック(1C)の上面側の一方に、凹ダボ(炉体支持凹ダボ2A)、他方に凸ダボ(炉体支持凸ダボ2B)を有して両者が嵌合するダボ構造を有する(以下「炉体支持ダボ2」という。)。このようなダボ構造により、上方の耐火物ブロック(1A)と下方の耐火物ブロック(1C)の間の炉長方向31の相対的動きが拘束されている。
図1に示す例では、耐火物ブロック1の上面側に炉体支持凹ダボ2Aを配置し、下面側に炉体支持凸ダボ2Bを配置している。本発明については、耐火物ブロック1の上面側に炉体支持凸ダボ2Bを配置し、下面側に炉体支持凹ダボ2Aを配置しても良い。
以上説明したような炉体支持ダボ2を有する耐火物ブロック1を用いて築造し、コークス炉の耐火物構造を形成する。図2は、紙面の横方向が炉長方向31、紙面の上下方向が上下方向33、紙面の直角方向が炉団長方向32において、本発明の耐火物構造を図示したものである。図2は図4のA-A矢視側面断面図に該当する。
図2(A)は、冷間で築造した段階での耐火物構造の断面図である。耐火物ブロック1の積層段数について、図2に記載のD1段~D9段が、図4に記載のD1段~D9段に対応している。ソールフリュー14がD1段~D3段、蓄熱室11がD4段~D6段、蛇腹部16がD7段~D9段である。上下に積層された耐火物ブロック1の相互間は、いずれも、対面する表面の炉体支持凹ダボ2Aと炉体支持凸ダボ2Bが嵌合している。図2(A)の右下部分について見ると、耐火物ブロック1Aの下面側に配置された炉体支持凸ダボ2Bと、耐火物ブロック1Cの上面側に配置された炉体支持凹ダボ2Aとが嵌合している。この結果、上下方向33に積層された耐火物ブロック1Aと耐火物ブロック1Cとは、炉体支持ダボ2の嵌合により、炉長方向31の相対的動きが拘束されている。
図2(B)は、熱間における耐火物構造の断面図である。炉長方向31の熱膨張の度合いについて、図面は誇張して記載している。
図2(B)における上方のD6段~D9段については、温度が1,000℃程度であり、前述のように、コークス炉の炉長方向全体長さの熱膨張量が約88.5mmとなる。一方、下部のソールフリュー14(D1段~D3段)は250℃程度であり、コークス炉の炉長方向全体長さの熱膨張量が約22.5mmとなる。D4段、D5段は温度が上方から下方に向けて順次低い温度となり、熱膨張量も順次少ない値となる。
炉体の上下で熱膨張量に差異が存在することから、熱膨張量が小さい下段部分については、炉長方向31で隣接する耐火物ブロック1相互間の縦目地に目地切れが生じる。本発明の耐火物構造は前述のように、上下の耐火物ブロック1相互間で、炉体支持ダボ2の部分で拘束されているため、炉体の上下で熱膨張量に差異が生じても、炉体支持ダボ2部分での拘束が維持される。その結果として、図2(B)に示すように、上下方向33の特定の段における縦目地の隙間21の目地開き量Gは、炉長方向31のどの目地でも一定の値となり、特定の縦目地に目地開き量Gが集中することが防止されている。そして、各縦目地の隙間21の目地開き量Gは、耐火物ブロック1の炉長方向31における熱膨張量の差に対応することとなる。耐火物ブロック1の炉長方向31の長さが1mである場合、前述のとおり、耐火物ブロック1個あたりの炉長方向31の熱膨張量は、250℃(D1段~D3段)で約1.5mm、400℃で約2.5mm、1,000℃(D6段~D9段)で約5.9mmとなる。250℃(D1段~D3段)の目地開き量Gは、約3.4mm(=5.9-2.5)で一定となる。
図2(B)においては、D2段の耐火物ブロック1Aと耐火物ブロック1Bの間の隙間21の目地開き量をG2、D1段の耐火物ブロック1Cとその右隣の耐火物ブロックの間の隙間21の目地開き量をG1として示している。
耐火物ブロック1における炉体支持ダボ2の好ましい設置形態について説明する。
コークス炉の上下方向33において、上方に位置する炭化室部分と、炭化室の下方の蛇腹部の一部(上端部)については、熱間稼働時における耐火物ブロックの温度が最も高温であってほぼ同じ温度であるため、熱間稼働時における耐火物ブロック1の炉長方向31の膨張量も相互に同一である。このような、上下方向33で温度が最も高く同一の温度である耐火物ブロック群については、炉体支持ダボ2を有していなくても熱間稼働時に縦目地に隙間が生じることがないので、炉体支持ダボ2の設置を行わなくても良い。
炉体支持ダボ2を設ける場合、上下方向33に接する2つの耐火物ブロック1の接触部に1箇所の炉体支持ダボ2を設ける。上下方向33に接する2つの耐火物ブロック1の接触部に炉体支持ダボを設けない箇所があると、その2つの耐火物ブロック1の炉長方向31のずれが不規則になるので好ましくない。また、上下方向33に接する2つの耐火物ブロック1の接触部に2箇所以上の炉体支持ダボを設けると、2つの耐火物ブロックの熱膨張量が異なるときに膨張量差が開放できなくなるので好ましくない。
以上のように、熱間において温度の低い部分の縦目地に目地開きが生じたとしても、目地開き量が所定の一定量であって大きな目地開きとはならないので、このような目地開き量において、目地開き部でのガス漏れを防止する対応が可能となる。以下、詳述する。
本発明で好ましくは、図1、図3に示すように、炉体支持ダボを有する耐火物ブロックの一部又は全部において、耐火物ブロック1の炉長方向31端部には、炉団長方向32に段差を形成する段違い部3が構成されている。炉長方向31に隣接する別の耐火物ブロック1の炉長方向端部にも炉団長方向32に段差を形成する段違い部3が構成されている。図3に示す例においては、耐火物ブロック1Aの図面右端に段差Hの段違い部3Bが形成され、耐火物ブロック1Bの図面左端に段差Hの段違い部3Aが形成されている。耐火物ブロック1A右端の段違い部3Bは図面の上方側が凸であり、耐火物ブロック1B左端部の段違い部3Aは図面の下方側が凸である結果、両方の段違い部(3B、3A)が重なって耐火物ブロックの接合部を構成することができる。図3(A)は冷間で構築した段階を示している。炉長方向の耐火物ブロック1の接合部をこのような段違い部3とする結果として、図3(B)に示す熱間の状態において縦目地に隙間21が形成されたとしても、縦目地の目地の隙間21の目地開き量Gが段違い部3の段差Hよりも少ない隙間量である限りは、縦目地部にガスが流通するような開きは形成されないので、ガス漏れの発生を防止することができる。
なお、上記本発明の段違い部3を設けることによる耐火物の接合構造については、合決り部(相欠継部)(あいじゃくりぶ)とも呼ばれている。
コークス炉の上下方向33において、上方に位置する炭化室部分と、炭化室の下方の蛇腹部の一部(上端部)については、熱間稼働時における耐火物ブロックの温度が最も高温であってほぼ同じ温度であるため、熱間稼働時における耐火物ブロック1の炉長方向31の膨張量も相互に同一である。このような、上下方向33で温度が最も高く同一の温度である耐火物ブロック群については、熱間稼働時に縦目地に隙間21が生じることがないので、耐火物ブロック1の炉長方向31端部に段違い部3の設置を行わなくても良い。
図1に示す耐火物ブロック1においては、上記の炉体支持ダボ2を有するとともに、ガスシール用ダボ4を有している。ガスシール用ダボ4は、上方に配置する耐火物ブロック1の下面側と、下方に配置する耐火物ブロック1の上面側のうち、一方に凹ダボ(ガスシール用凹ダボ4A)、他方に凸ダボ(ガスシール用凸ダボ4B)を有する。図1に示す例では、図1(A)~(C)の耐火物ブロック1Aの下面側にガスシール用凸ダボ4Bが配置され、図1(E)(F)の耐火物ブロック1Cの上面側にガスシール用凹ダボ4Aが配置され、耐火物ブロック1Cの上に耐火物ブロック1Aを積層したとき、ガスシール用凸ダボ4Bがガスシール用凹ダボ4Aに嵌合する。ガスシール用ダボ4の凹ダボ(ガスシール用凹ダボ4A)と凸ダボ(ガスシール用凸ダボ4B)は、炉長方向31に平行、かつそれぞれの耐火物ブロック1の炉長方向31全長にわたって配置されている。これにより、耐火物構造における上下の耐火物ブロック1の接合部(敷目地)において、ガスが炉団長方向32に漏洩する事態を防止することができる。
1 耐火物ブロック
2 炉体支持ダボ
2A 炉体支持凹ダボ
2B 炉体支持凸ダボ
3 段違い部
3A 段違い部
3B 段違い部
4 ガスシール用ダボ
4A ガスシール用凹ダボ
4B ガスシール用凸ダボ
11 蓄熱室
12 炭化室
13 燃焼室
14 ソールフリュー
14a 燃料ガスソールフリュー
14b 空気ソールフリュー
15 蓄熱体
16 蛇腹部
17 ピラーウォール
18 仕切り壁
19 ガス流路
20 仕切り壁
21 隙間
31 炉長方向
32 炉団長方向
33 上下方向

Claims (3)

  1. 上段に炭化室と燃焼室が配置され、下段に蓄熱室とソールフリューが配置されているコークス炉の耐火物構造であって、前記炭化室の長手方向を炉長方向、炉長方向と上下方向の双方に垂直な方向を炉団長方向と呼び、
    前記コークス炉の耐火物構造を構成する耐火物ブロックのうち少なくとも一部の隣接する耐火物ブロックにおいて、上下方向の積層形状について、上方の耐火物ブロックの下面側と下方の耐火物ブロックの上面側の一方に凹ダボ、他方に凸ダボを有して両者が嵌合するダボ構造を有し(以下「炉体支持ダボ」という。)、前記炉体支持ダボにより、前記上方の耐火物ブロックと前記下方の耐火物ブロックの間の炉長方向の相対的動きが拘束されていることを特徴とするコークス炉の耐火物構造。
  2. 前記炉体支持ダボを有する耐火物ブロックの一部又は全部において、前記耐火物ブロックの前記炉長方向端部には、前記炉団長方向に段差を形成する段違い部が構成され、前記炉長方向に隣接する別の耐火物ブロックの前記炉長方向端部にも前記炉団長方向に段差を形成する段違い部が構成され、両方の段違い部が重なって耐火物ブロックの接合部を構成してなることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉の耐火物構造。
  3. 前記炉体支持ダボを有する耐火物ブロックの上下方向の積層形状において、前記炉体支持ダボを有するとともに、上方の耐火物ブロックの下面側と下方の耐火物ブロックの上面側の一方に凹ダボ、他方に凸ダボを有して両者が嵌合する別のダボ構造を有し(以下「ガスシール用ダボ」という。)、前記ガスシール用ダボの前記凹ダボと前記凸ダボは前記炉長方向に平行、かつそれぞれの耐火物ブロックの炉長方向全長にわたって配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコークス炉の耐火物構造。
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