以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。説明する本発明の第1〜第5実施形態のいずれも、既設RC床版を撤去して新設の鋼床版を新たに架設する床版取替え工事において用いることを想定しており、さらには、工事を夜間のみで進めて昼間は交通開放する場合などのように、既設RC床版と新設の鋼床版との接続部を車両が通過する状況が生じる場合に用いることを想定している。
(1)第1実施形態
(1−1)第1実施形態の構成
図3は、本発明の第1実施形態に係るRC床版と鋼床版との接続構造10(以下、単に「接続構造10」と記すことがある。)を橋軸直角方向から見た側断面図(接続構造10を橋軸方向に平行な鉛直面でデッキプレート72の貫通孔72Aを通らないように切断して得られた断面を橋軸直角方向から見た側断面図)であり、図4は、本発明の第1実施形態に係る接続構造10を橋軸方向から見た正断面図(図3のIV−IV線断面図)である。図4では、その中央部に配置する継手パネル20については、取り付け前の状態を示している。なお、図3および図4では、図示の都合上、ナット30Aおよび座金における隠れ線は記載していない。
図4に示すように、本第1実施形態に係る接続構造10を適用する新設の鋼床版70は、鋼主桁80の上フランジ80Aに、山形鋼90ならびにボルト92、94およびナット92A、94Aによって取り付けられている。詳細には、一方の板状部90Aで鋼床版70の縦リブ74を挟み込むように2つの山形鋼90を配置して、2つの一方の板状部90Aおよび縦リブ74を挿通するボルト92をナット92Aで締結しており、また、山形鋼90のもう一方の板状部90Bと鋼主桁80の上フランジ80Aとを挿通するボルト94をナット94Aで締結しており、このようにして、新設の鋼床版70は、鋼主桁80の上フランジ80Aに取り付けられている。
また、既設RC床版60の橋軸方向の端部60A(以下、単に「端部60A」と記すことがある。)の下方には、補強支持桁64が橋軸直角方向に配置されており、補強支持桁64の上フランジの上面が、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの下面に接していて、下方から既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aを支持している。既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aは自由端であり、荷重負担能力が低下しているので、補強支持桁64によって端部60Aを下方から補強している。
本第1実施形態に係る接続構造10は、継手パネル20を有してなり、継手パネル20は、図3に示すように、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70A(以下、単に「端部70A」と記すことがある。)の上面に架け渡すように配置されている。
継手パネル20は、中空部20Aを有しており、底面鋼板22と、側面鋼板24と、上面鋼板26と、リブ鋼板28とを有してなり、それらの鋼板が溶接されて平板状の直方体に組み立てられている。継手パネル20は、中空部20Aを有するので、軽量化されている。
継手パネル20は、その厚さT20が、既設RC床版60の舗装62の厚さT62および新設の鋼床版70の舗装76の厚さT76と同等となるように作製されており、継手パネル20を図3に示すように配置した状態において、継手パネル20の上面の高さ位置は、既設RC床版60の舗装62の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面と同等の高さ位置になっている。このため、継手パネル20を図3に示すように配置した状態において、継手パネル20の上面および既設RC床版60の舗装62の上面との間で段差は生じておらず、かつ、継手パネル20の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面との間で段差は生じていない。
底面鋼板22は、継手パネル20の底面部を構成する鋼板である。底面鋼板22の部位のうち、新設の鋼床版70のデッキプレート72上に配置される部位には、デッキプレート72の端部に設けられた貫通孔72A(鋼床版70のデッキプレート72の端部には隣り合う他の鋼床版70との連結に用いる貫通孔72Aが設けられている。)の位置に合わせて、ボルト30が図3および図4に示すように溶接で取り付けられている。そのため、底面鋼板22に取り付けられたボルト30の軸部を、鋼床版70のデッキプレート72の端部に設けられた貫通孔72Aに挿通させて、デッキプレート72にナット30Aで締結することにより、既設RC床版60の端部60Aの上面および新設の鋼床版70の端部70Aの上面に架け渡すように、継手パネル20を設置することができるようになっている。なお、底面鋼板22に取り付けるボルト30の数は、接続構造10における継手パネル20を安全に固定するのに必要な数でよく、デッキプレート72の端部に設けられた全ての貫通孔72Aに対応するようにボルト30を取り付けることが必須であるわけではない。
底面鋼板22の部位のうち、既設RC床版60の上面に配置される部位は、既設RC床版60の上面に載置されるのみであり、既設RC床版60との連結はなされていない。
側面鋼板24は、継手パネル20の側面部を構成する鋼板である。側面鋼板24は、新設の鋼床版70側の橋軸方向の端部に配置されている側面鋼板24Aと、既設RC床版60側の橋軸方向の端部に配置されている側面鋼板24Bと、橋軸直角方向の両端部に配置されている側面鋼板24Cと、からなる。
側面鋼板24は、継手パネル20の厚さT20を決める役割を有している。本第1実施形態に係る接続構造10で用いる継手パネル20の厚さT20は、前述したように、既設RC床版60の舗装62の厚さT62および新設の鋼床版70の舗装76の厚さT76と同等となるように作製されている。
上面鋼板26は、継手パネル20の上面部を構成する鋼板である。上面鋼板26は、その上面に輪荷重を直接受ける鋼板であるので、想定される輪荷重を受けても過大な凹みが生じない剛性が必要であり、その剛性を確実に確保する観点から、上面鋼板26の輪荷重に対する剛性は、デッキプレート72の輪荷重に対する剛性と比べて、同等以上の大きさであることが好ましい。
また、上面鋼板26の上面には、車両のスリップを防止するための溝切り加工が現場搬入前になされていて凹凸が設けられている。上面鋼板26の上面に設けられた凹凸は、すべり止め構造の1種である。必要なスリップ防止機能が発揮できる溝切り加工であれば、その溝切りの形状は特には限定されない。具体的には例えば、必要なスリップ防止機能が発揮できることを確認した上で、深さ5mm、幅30mmの溝26Aを、橋軸直角方向に延びるようにピッチ100mm程度に設ける。また、溝切り加工によって設けられた溝26Aおよび山26Bの部位のうち、山26Bの部位が、上面鋼板26の橋軸方向の端部に位置するようにする。既設RC床版60に敷設された舗装62の上面と継手パネル20の上面との間の段差、および新設の鋼床版70に敷設された舗装76の上面と継手パネル20の上面との間の段差を考える際に、溝切り加工によって設けられた溝26Aの深さを考慮しなくて済むようにするためである。上面鋼板26の上面(継手パネル20の上面)は、溝切り加工によって設けられた山26Bの上面となる。
なお、継手パネル20の厚さT20は、底面鋼板22の下面から、上面鋼板26の山26Bの上面までの距離のことであるが、前述したように、上面鋼板26の上面に設けられた凹凸は、すべり止め構造の1種であるので、継手パネル20の厚さT20は、底面鋼板22の下面から、継手パネル20の上面に設けられたすべり止め構造の上面までの距離ということにもなる。
また、前述したように、上面鋼板26の輪荷重に対する剛性は、デッキプレート72の輪荷重に対する剛性と比べて、同等以上の大きさであることが好ましいが、この記載における「上面鋼板26の輪荷重に対する剛性」の算出においては、スリップ防止のために設けた溝の部位は剛性算出の計算に含めないので、そのことを見込んで上面鋼板26の厚さを決めることが必要である。
リブ鋼板28は、継手パネル20の中空部20Aの中央部を橋軸方向に延びており、中空部20Aを2等分するように配置されている。リブ鋼板28は上面鋼板26を補剛する役割を有している。リブ鋼板28を設けなくても、輪荷重に対する上面鋼板26の剛性が十分にある場合には、リブ鋼板28は設けなくてもよい。
なお、継手パネル20の橋軸直角方向の幅は、特には限定されず、作業性等を考慮して決めればよいが、上面鋼板26に加わった輪荷重を効率的に鋼床版70に伝達できるようにするため、図4に示すように、鋼床版70の縦リブ74の上方にリブ鋼板28および側面鋼板24Cが位置するように、継手パネル20の橋軸直角方向の幅を決めることが好ましい。
(1−2)第1実施形態の作用効果
本第1実施形態に係る接続構造10においては、継手パネル20が、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に架け渡すように配置されている。
このため、既設RC床版60の橋軸方向の端部60A、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aおよび継手パネル20は、鉛直方向の荷重に対して一体的に挙動するので、鉛直方向の荷重である輪荷重が、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に加わっても、既設RC床版60の舗装62の上面と継手パネル20の上面との間に段差は実質的に生ぜず、かつ、新設の鋼床版70の舗装76の上面と継手パネル20の上面との間に段差は実質的に生じない。なお、段差が実質的に生じないとは、既設RC床版60の舗装62および新設の鋼床版70の舗装76の表面の細かい凹凸を無視すれば、段差は生じないということである(本明細書において以下同様)。
したがって、既設RC床版60を撤去して新設の鋼床版70を新たに架設する床版取替え工事において、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するようにして、既設RC床版60と新設の鋼床版70との接続部を車両が通過する状況が生じても、本第1実施形態に係る接続構造10を用いることにより、既設RC床版60と鋼床版70との接続部において過大な段差が生じないようにすることができ、段差を許容値以下にすることができる。
また、継手パネル20は、新設の鋼床版70にボルト30で取り付けることができ、迅速な着脱が可能であるので、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するような迅速な施工が要求される場合でも適用が容易である。
また、継手パネル20の上面鋼板26の上面には、現場搬入前に予め溝切り加工が施されているので、車両が継手パネル20の上を走行する際の安全性も確保されていて、現場においてすべり止めのための処置を行うことは不要であり、より迅速な施工を行うことができる。
また、継手パネル20は中空部20Aを有しているので、軽量化されており、この点も迅速な施工および作業性の向上に寄与する。
(2)第2実施形態
(2−1)第2実施形態の構成
図5は、本発明の第2実施形態に係るRC床版と鋼床版との接続構造32(以下、単に「接続構造32」と記すことがある。)を橋軸直角方向から見た側断面図(接続構造32を橋軸方向に平行な鉛直面でデッキプレート72の貫通孔72Aを通らないように切断して得られた断面を橋軸直角方向から見た側断面図)であり、図6は、本発明の第2実施形態に係る接続構造32を橋軸方向から見た正断面図(図5のVI−VI線断面図)である。図6では、その中央部に配置する継手パネル34については、取り付け前の状態を示している。なお、図5および図6では、図示の都合上、ざぐり穴34B内のボルト36の頭部は実線で描いており、また、ナット36Aおよび座金における隠れ線は記載していない。
第1実施形態に係る接続構造10で用いた継手パネル20は中空部20Aを有していたが、本第2実施形態に係る接続構造32で用いる継手パネル34は中実構造であり、この点が第1実施形態に係る接続構造10と異なる。第1実施形態に係る接続構造10の説明で用いた図3および図4に記載した部材および部位と同一の部材および部位については、同一の符号を付し、説明は原則として省略する。
本第2実施形態に係る接続構造32は、継手パネル34を有してなり、継手パネル34は、図5に示すように、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に架け渡すように配置されている。
継手パネル34は中実構造であり、新設の鋼床版70との連結に用いるボルト36の軸部が挿通する貫通孔34Aと、ボルト36の頭部が埋め込まれるざぐり穴34Bと、を有してなる平板状の直方体である。
継手パネル34は、その厚さT34が、既設RC床版60の舗装62の厚さT62および新設の鋼床版70の舗装76の厚さT76と同等となるように作製されており、継手パネル34を図5に示すように配置した状態において、継手パネル34の上面の高さ位置は、既設RC床版60の舗装62の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面と同等の高さ位置になっている。このため、継手パネル34を図5に示すように配置した状態において、継手パネル34の上面および既設RC床版60の舗装62の上面との間で段差は生じておらず、かつ、継手パネル34の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面との間で段差は生じていない。
また、継手パネル34の上面には、車両のスリップを防止するための溝切り加工が現場搬入前になされていて凹凸が設けられている。継手パネル34の上面に設けられた凹凸は、すべり止め構造の1種である。必要なスリップ防止機能が発揮できる溝切り加工であれば、その溝切りの形状は特には限定されない。具体的には例えば、必要なスリップ防止機能が発揮できることを確認した上で、深さ5mm、幅30mmの溝34Cを、橋軸直角方向に延びるようにピッチ100mm程度に設ける。また、溝切り加工によって設けられた溝34Cおよび山34Dの部位のうち、山34Dの部位が、継手パネル34の橋軸方向の端部に位置するようにする。既設RC床版60に敷設された舗装62の上面と継手パネル34の上面との間の段差、および新設の鋼床版70に敷設された舗装76の上面と継手パネル34の上面との間の段差を考える際に、溝切り加工によって設けられた溝34Cの深さを考慮しなくて済むようにするためである。継手パネル34の上面は、溝切り加工によって設けられた山34Dの上面となる。
継手パネル34の貫通孔34Aは、デッキプレート72の端部に設けられた貫通孔72Aの位置に合わせて、設けられている。そのため、継手パネル34の貫通孔34Aが、対応するデッキプレート72の貫通孔72Aと連通するように、継手パネル34を配置して、連通した貫通孔34Aと貫通孔72Aとにボルト36の軸部を挿通させて、デッキプレート72にナット36Aで締結することにより、既設RC床版60の端部60Aの上面および新設の鋼床版70の端部70Aの上面に架け渡すように、継手パネル34を設置することができるようになっている。
継手パネル34の貫通孔34Aの数は、接続構造32における継手パネル34を安全に固定するのに必要なボルトの数で定めればよく、デッキプレート72の端部に設けられた全ての貫通孔72Aに対応するように貫通孔34Aを継手パネル34に設けることが必須であるわけではない。
継手パネル34の部位のうち、既設RC床版60の上面に配置される部位は、既設RC床版60の上面に載置されるのみであり、既設RC床版60との連結はなされていない。
なお、第1実施形態に係る接続構造10で用いた継手パネル20は中空構造であり、新設の鋼床版70との連結に用いるボルト30の頭部は継手パネル20の中空部20A内に配置されるため、ボルト30は底面鋼板22に溶接で取り付けていたが、本第2実施形態に係る接続構造32で用いる継手パネル34を新設の鋼床版70と連結させるために用いるボルト36の頭部は、上方から接触可能なざぐり穴34B内に配置されるため、ボルト36は継手パネル34に溶接で取り付ける必要はない。
また、ボルト36およびナット36Aによって、継手パネル34をデッキプレート72に締結した後、撤去の容易な充填材でざぐり穴34Bを埋めておくことが好ましい。
また、第1実施形態に係る接続構造10で用いた継手パネル20は中空構造であったが、本第2実施形態に係る接続構造32で用いる継手パネル34は中実構造であり、想定される輪荷重を受けても過大な凹みが生じない剛性を確保しやすい。したがって、継手パネル34は、鋼材以外の素材で構成することを行いやすく、必要な剛性が得られるのであれば、継手パネル34を鋼材以外の素材で構成してもよい。ただし、想定される輪荷重を受けても過大な凹みが生じない剛性を確実に確保する観点から、継手パネル34に用いる素材の種類に関わらず、継手パネル34の輪荷重に対する剛性はデッキプレート72の輪荷重に対する剛性と比べて、同等以上の大きさにすることが好ましい。
なお、継手パネル34の橋軸直角方向の幅は、特には限定されず、作業性等を考慮して決めればよい。
(2−2)第2実施形態の作用効果
本第2実施形態に係る接続構造32においては、継手パネル34が、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に架け渡すように配置されている。
このため、既設RC床版60の橋軸方向の端部60A、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aおよび継手パネル34は、鉛直方向の荷重に対して一体的に挙動するので、鉛直方向の荷重である輪荷重が、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に加わっても、既設RC床版60の舗装62の上面と継手パネル34の上面との間に段差は実質的に生ぜず、かつ、新設の鋼床版70の舗装76の上面と継手パネル34の上面との間に段差は実質的に生じない。
したがって、既設RC床版60を撤去して新設の鋼床版70を新たに架設する床版取替え工事において、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するようにして、既設RC床版60と新設の鋼床版70との接続部を車両が通過する状況が生じても、本第2実施形態に係る接続構造32を用いることにより、既設RC床版60と鋼床版70との接続部において過大な段差が生じないようにすることができ、段差を許容値以下にすることができる。
また、継手パネル34は、新設の鋼床版70にボルト36で取り付けることができ、迅速な着脱が可能であるので、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するような迅速な施工が要求される場合でも適用が容易である。
また、継手パネル34の上面には、現場搬入前に予め溝切り加工が施されているので、車両が継手パネル34の上を走行する際の安全性も確保されていて、現場においてすべり止めのための処置を行うことは不要であり、より迅速な施工を行うことができる。
(3)第3実施形態
(3−1)第3実施形態の構成
図7は、本発明の第3実施形態に係るRC床版と鋼床版との接続構造38(以下、単に「接続構造38」と記すことがある。)を橋軸直角方向から見た側断面図(接続構造38を橋軸方向に平行な鉛直面でデッキプレート72の貫通孔72Aを通らないように切断して得られた断面を橋軸直角方向から見た側断面図)であり、図8は、本発明の第3実施形態に係る接続構造38を橋軸方向から見た正断面図(図7のVIII−VIII線断面図)である。なお、図7および図8では、図示の都合上、ナット30Aおよび座金における隠れ線は記載していない。
第1実施形態に係る接続構造10で用いた継手パネル20の上面鋼板26の上面には溝切り加工が施されていたが、本第3実施形態に係る接続構造38で用いる継手パネル40の上面鋼板42の上面には溝切り加工は施されておらず、その代わりにすべり止め構造44が設けられている点が異なる。すべり止め構造44は、上面鋼板42とは異なる素材で形成されている。第1実施形態に係る接続構造10の説明で用いた図3および図4に記載した部材および部位と同一の部材および部位については、同一の符号を付し、説明は原則として省略する。
本第3実施形態に係る接続構造38は、継手パネル40を有してなり、継手パネル40は、図7に示すように、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に架け渡すように配置されている。
継手パネル40は、中空部40Aを有しており、底面鋼板22と、側面鋼板24と、上面鋼板42と、リブ鋼板28とを有してなり、それらの鋼板が溶接されて平板状の直方体に組み立てられている。継手パネル40の上面鋼板42の上面には、現場搬入前にすべり止め構造44が設けられている。継手パネル40は、中空部40Aを有するので、軽量化されている。
継手パネル40とすべり止め構造44とを合わせた厚さT40(底面鋼板22の下面からすべり止め構造44の上面までの厚さ)が、既設RC床版60の舗装62の厚さT62および新設の鋼床版70の舗装76の厚さT76と同等となるように作製されており、継手パネル40を図7に示すように配置した状態において、継手パネル40の上面鋼板42の上面に設けられたすべり止め構造44の上面の高さ位置は、既設RC床版60の舗装62の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面と同等の高さ位置になっている。このため、継手パネル40を図7に示すように配置した状態において、継手パネル40の上面鋼板42の上面に設けられたすべり止め構造44の上面および既設RC床版60の舗装62の上面との間で段差は生じておらず、かつ、継手パネル40の上面鋼板42の上面に設けられたすべり止め構造44の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面との間で段差は生じていない。
継手パネル40の上面鋼板42の上面に設けるすべり止め構造44としては、必要なすべり止め性能を有するすべり止め構造であれば用いることができ、例えば、アモルファス合金の溶射層を継手パネル40の上面鋼板42の上面に設けてなるすべり止め構造や、アルミナ粒子を高密度に樹脂で固定した層を継手パネル40の上面鋼板42の上面に設けてなるすべり止め構造等を用いることができる。
(3−2)第3実施形態の作用効果
本第3実施形態に係る接続構造38においては、継手パネル40が、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に架け渡すように配置されている。
このため、既設RC床版60の橋軸方向の端部60A、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aならびに継手パネル40およびすべり止め構造44は、鉛直方向の荷重に対して一体的に挙動するので、鉛直方向の荷重である輪荷重が、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に加わっても、既設RC床版60の舗装62の上面とすべり止め構造44の上面との間に段差は実質的に生ぜず、かつ、新設の鋼床版70の舗装76の上面とすべり止め構造44の上面との間に段差は実質的に生じない。
したがって、既設RC床版60を撤去して新設の鋼床版70を新たに架設する床版取替え工事において、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するようにして、既設RC床版60と新設の鋼床版70との接続部を車両が通過する状況が生じても、本第3実施形態に係る接続構造38を用いることにより、既設RC床版60と鋼床版70との接続部において過大な段差が生じないようにすることができ、段差を許容値以下にすることができる。
また、継手パネル40は、新設の鋼床版70にボルト30で取り付けることができ、迅速な着脱が可能であるので、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するような迅速な施工が要求される場合でも適用が容易である。
また、継手パネル40の上面には、現場搬入前に予めすべり止め構造44が設けられているので、車両が継手パネル40の上を走行する際の安全性も確保されていて、現場においてすべり止めのための処置を行うことは不要であり、より迅速な施工を行うことができる。
また、継手パネル40は中空部40Aを有しているので、軽量化されており、この点も迅速な施工および作業性の向上に寄与する。
(4)第4実施形態
(4−1)第4実施形態の構成
図9は、本発明の第4実施形態に係るRC床版と鋼床版との接続構造48(以下、単に「接続構造48」と記すことがある。)を橋軸直角方向から見た側断面図(接続構造48を橋軸方向に平行な鉛直面でデッキプレート72の貫通孔72Aを通らないように切断して得られた断面を橋軸直角方向から見た側断面図)であり、図10は、本発明の第4実施形態に係る接続構造48を橋軸方向から見た正断面図(図9のX−X線断面図)である。なお、図9および図10では、図示の都合上、ざぐり穴50B内のボルト36の頭部は実線で描いており、また、ナット36Aおよび座金における隠れ線は記載していない。
第2実施形態に係る接続構造32で用いた継手パネル34の上面には溝切り加工が施されていたが、本第4実施形態に係る接続構造48で用いる継手パネル50の上面には溝切り加工は施されておらず、その代わりにすべり止め構造52が設けられている点が異なる。すべり止め構造52は、継手パネル50とは異なる素材で形成されている。第2実施形態に係る接続構造32の説明で用いた図5および図6に記載した部材および部位と同一の部材および部位については、同一の符号を付し、説明は原則として省略する。
本第4実施形態に係る接続構造48は、継手パネル50を有してなり、継手パネル50は、図9に示すように、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に架け渡すように配置されている。
継手パネル50は中実構造であり、新設の鋼床版70との連結に用いるボルト36の軸部が挿通する貫通孔50Aと、ボルト36の頭部が埋め込まれるざぐり穴50Bと、を有してなる平板状の直方体である。継手パネル50の上面には、すべり止め構造52が現場搬入前に設けられている。
継手パネル50とすべり止め構造52とを合わせた厚さT50(継手パネル50の下面からすべり止め構造52の上面までの厚さ)が、既設RC床版60の舗装62の厚さT62および新設の鋼床版70の舗装76の厚さT76と同等となるように、継手パネル50は作製されており、継手パネル50を図9に示すように配置した状態において、継手パネル50の上面に設けられたすべり止め構造52の上面の高さ位置は、既設RC床版60の舗装62の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面と同等の高さ位置になっている。このため、継手パネル50を図9に示すように配置した状態において、継手パネル50の上面に設けられたすべり止め構造52の上面および既設RC床版60の舗装62の上面との間で段差は生じておらず、かつ、継手パネル50の上面に設けられたすべり止め構造52の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面との間で段差は生じていない。
継手パネル50の上面に設けるすべり止め構造52としては、必要なすべり止め性能を有するすべり止め構造であれば用いることができ、例えば、アモルファス合金の溶射層を継手パネル50の上面に設けてなるすべり止め構造や、アルミナ粒子を高密度に樹脂で固定した層を継手パネル50の上面に設けてなるすべり止め構造等を用いることができる。
継手パネル50の貫通孔50Aは、デッキプレート72の端部に設けられた貫通孔72Aの位置に合わせて、設けられている。そのため、継手パネル50の貫通孔50Aが、対応するデッキプレート72の貫通孔72Aと連通するように、継手パネル50を配置して、連通した貫通孔50Aと貫通孔72Aとにボルト36の軸部を挿通させて、デッキプレート72にナット36Aで締結することにより、既設RC床版60の端部60Aの上面および新設の鋼床版70の端部70Aの上面に架け渡すように、継手パネル50を設置することができるようになっている。
継手パネル50の貫通孔50Aの数は、接続構造48における継手パネル50を安全に固定するのに必要なボルトの数で定めればよく、デッキプレート72の端部に設けられた全ての貫通孔72Aに対応するように貫通孔50Aを継手パネル50に設けることが必須であるわけではない。
なお、第3実施形態に係る接続構造38で用いた継手パネル40は中空構造であり、新設の鋼床版70との連結に用いるボルト30の頭部は継手パネル40の中空部40A内に配置されるため、ボルト30は底面鋼板22に溶接で取り付けていたが、本第4実施形態に係る接続構造48で用いる継手パネル50を新設の鋼床版70と連結させるために用いるボルト36の頭部は、上方から接触可能なざぐり穴50B内に配置されるため、ボルト36は継手パネル50に溶接で取り付ける必要はない。
また、ボルト36およびナット36Aによって、継手パネル50をデッキプレート72に締結した後、撤去の容易な充填材でざぐり穴50Bを埋めておくことが好ましい。
また、第3実施形態に係る接続構造38で用いた継手パネル40は中空構造であったが、本第4実施形態に係る接続構造48で用いる継手パネル50は中実構造であり、想定される輪荷重を受けても過大な凹みが生じない剛性を確保しやすい。したがって、継手パネル50は、鋼材以外の素材で構成することを行いやすく、必要な剛性が得られるのであれば、継手パネル50を鋼材以外の素材で構成してもよい。ただし、想定される輪荷重を受けても過大な凹みが生じない剛性を確実に確保する観点から、継手パネル50に用いる素材の種類に関わらず、継手パネル50の輪荷重に対する剛性はデッキプレート72の輪荷重に対する剛性と比べて、同等以上の大きさにすることが好ましい。
なお、継手パネル50の橋軸直角方向の幅は、特には限定されず、作業性等を考慮して決めればよい。
(4−2)第4実施形態の作用効果
本第4実施形態に係る接続構造48においては、継手パネル50が、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に架け渡すように配置されている。
このため、既設RC床版60の橋軸方向の端部60A、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aならびに継手パネル50およびすべり止め構造52は、鉛直方向の荷重に対して一体的に挙動するので、鉛直方向の荷重である輪荷重が、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に加わっても、既設RC床版60の舗装62の上面とすべり止め構造52の上面との間に段差は実質的に生ぜず、かつ、新設の鋼床版70の舗装76の上面とすべり止め構造52の上面との間に段差は実質的に生じない。
したがって、既設RC床版60を撤去して新設の鋼床版70を新たに架設する床版取替え工事において、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するようにして、既設RC床版60と新設の鋼床版70との接続部を車両が通過する状況が生じても、本第4実施形態に係る接続構造48を用いることにより、既設RC床版60と鋼床版70との接続部において過大な段差が生じないようにすることができ、段差を許容値以下にすることができる。
また、継手パネル50は、新設の鋼床版70にボルト36で取り付けることができ、迅速な着脱が可能であるので、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するような迅速な施工が要求される場合でも適用が容易である。
また、継手パネル50の上面には、現場搬入前に予めすべり止め構造52が設けられているので、車両が継手パネル50の上を走行する際の安全性も確保されていて、現場においてすべり止めのための処置を行うことは不要であり、より迅速な施工を行うことができる。
(5)第5実施形態
(5−1)第5実施形態の構成
図11は、本発明の第5実施形態に係るRC床版と鋼床版との接続構造54(以下、単に「接続構造54」と記すことがある。)を橋軸直角方向から見た側断面図(接続構造54を橋軸方向に平行な鉛直面でデッキプレート72の貫通孔72Aを通らないように切断して得られた断面を橋軸直角方向から見た側断面図)であり、図12は、本発明の第5実施形態に係る接続構造54を橋軸方向から見た正断面図(図11のXII−XII線断面図)である。なお、図11および図12では、図示の都合上、すべり止め構造56の中に埋め込まれたボルト58の頭部は実線で描いており、また、ナット58Aおよび座金における隠れ線は記載していない。
第4実施形態に係る接続構造48で用いた継手パネル50の上面にはすべり止め構造52が設けられていたが、そのすべり止め構造52の厚さは薄く、ボルト36の頭部を覆うことができる厚さではなく、そのため、継手パネル50においては、その上面にざぐり穴50Bを設けて、そのざぐり穴50Bの中にボルト36の頭部を配置するようにした。
これに対し、本第5実施形態に係る接続構造54で用いる継手パネル55の上面に設けるすべり止め構造56は厚さが厚く、ボルト58の頭部を覆うことができる厚さであるため、図11および図12に示すように、本第5実施形態に係る接続構造54で用いる継手パネル55にはざぐり穴を設けておらず、ボルト58の頭部はすべり止め構造56の中に埋め込んでいる。すべり止め構造56は、継手パネル55とは異なる素材で形成されている。
一方、すべり止め構造56の厚さが厚くなっている分だけ、本第5実施形態に係る接続構造54で用いる継手パネル55の厚さは薄くなっており、継手パネル55の厚さは、第4実施形態に係る接続構造48で用いた継手パネル50の厚さよりも薄くなっている。
第4実施形態に係る接続構造48の説明で用いた図9および図10に記載した部材および部位と同一の部材および部位については、同一の符号を付し、説明は原則として省略する。
本第5実施形態に係る接続構造54は、継手パネル55を有してなり、継手パネル55は、図11に示すように、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に架け渡すように配置されている。
継手パネル55は中実構造であり、新設の鋼床版70との連結に用いるボルト58の軸部が挿通する貫通孔55Aを有してなる平板状の直方体である。継手パネル55の上面には、すべり止め構造56が現場搬入前に設けられている。
継手パネル55とすべり止め構造56とを合わせた厚さT55(継手パネル55の下面からすべり止め構造56の上面までの厚さ)が、既設RC床版60の舗装62の厚さT62および新設の鋼床版70の舗装76の厚さT76と同等となるように、継手パネル55およびすべり止め構造56は作製されており、継手パネル55を図11に示すように配置した状態において、継手パネル55の上面に設けられたすべり止め構造56の上面の高さ位置は、既設RC床版60の舗装62の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面と同等の高さ位置になっている。このため、継手パネル55を図11に示すように配置した状態において、継手パネル55の上面に設けられたすべり止め構造56の上面および既設RC床版60の舗装62の上面との間で段差は生じておらず、かつ、継手パネル55の上面に設けられたすべり止め構造56の上面および新設の鋼床版70の舗装76の上面との間で段差は生じていない。
継手パネル55の上面に設けるすべり止め構造56としては、必要なすべり止め性能を有し、かつ、必要な厚さを備えているすべり止め構造であれば用いることができ、例えば、アスファルト系の舗装や繊維補強コンクリートを含むコンクリート系の舗装に用いられる材料を継手パネル55の上面に設けてなるすべり止め構造等を用いることができる。
継手パネル55の貫通孔55Aおよび貫通孔55Aを挿通して継手パネル55に溶接で取り付けられたボルト58は、デッキプレート72の端部に設けられた貫通孔72Aの位置に合わせて、設けられている。そのため、対応するデッキプレート72の貫通孔72Aと連通するように、継手パネル55を配置して、貫通孔72Aにボルト58の軸部を挿通させて、デッキプレート72にナット58Aで締結することにより、既設RC床版60の端部60Aの上面および新設の鋼床版70の端部70Aの上面に架け渡すように、継手パネル55を設置することができるようになっている。
継手パネル55に取り付けるボルト58の数は、接続構造54における継手パネル55を安全に固定するのに必要なボルトの数で定めればよく、デッキプレート72の端部に設けられた全ての貫通孔72Aに対応するようにボルト58を継手パネル55に設けることが必須であるわけではない。
また、本第5実施形態に係る接続構造54で用いる継手パネル55は中実構造であり、想定される輪荷重を受けても過大な凹みが生じない剛性を確保しやすい。したがって、継手パネル55は、鋼材以外の素材で構成することを行いやすく、必要な剛性が得られるのであれば、継手パネル55を鋼材以外の素材で構成してもよい。ただし、想定される輪荷重を受けても過大な凹みが生じない剛性を確実に確保する観点から、継手パネル55に用いる素材の種類に関わらず、継手パネル55の輪荷重に対する剛性はデッキプレート72の輪荷重に対する剛性と比べて、同等以上の大きさにすることが好ましい。
なお、継手パネル55の橋軸直角方向の幅は、特には限定されず、作業性等を考慮して決めればよい。
(5−2)第5実施形態の作用効果
本第5実施形態に係る接続構造54においては、継手パネル55が、既設RC床版60の橋軸方向の端部60Aの上面と鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に架け渡すように配置されている。
このため、既設RC床版60の橋軸方向の端部60A、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aならびに継手パネル55およびすべり止め構造56は、鉛直方向の荷重に対して一体的に挙動するので、鉛直方向の荷重である輪荷重が、鋼床版70の橋軸方向の端部70Aの上面に加わっても、既設RC床版60の舗装62の上面とすべり止め構造56の上面との間に段差は実質的に生ぜず、かつ、新設の鋼床版70の舗装76の上面とすべり止め構造56の上面との間に段差は実質的に生じない。
したがって、既設RC床版60を撤去して新設の鋼床版70を新たに架設する床版取替え工事において、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するようにして、既設RC床版60と新設の鋼床版70との接続部を車両が通過する状況が生じても、本第5実施形態に係る接続構造54を用いることにより、既設RC床版60と鋼床版70との接続部において過大な段差が生じないようにすることができ、段差を許容値以下にすることができる。
また、継手パネル55は、新設の鋼床版70にボルト58で取り付けることができ、迅速な着脱が可能であるので、工事は夜間のみで進めて昼間は交通開放するような迅速な施工が要求される場合でも適用が容易である。
また、継手パネル55の上面には、現場搬入前に予めすべり止め構造56が設けられているので、車両が継手パネル55の上を走行する際の安全性も確保されていて、現場においてすべり止めのための処置を行うことは不要であり、より迅速な施工を行うことができる。
(6)補足
以上説明した第1実施形態に係る接続構造10、第2実施形態に係る接続構造32、第3実施形態に係る接続構造38、第4実施形態に係る接続構造48、および第5実施形態に係る接続構造54は、橋軸方向に隣り合う既設RC床版60と新設の鋼床版70との接続部に適用したが、本発明に係る接続構造は、橋軸方向に隣り合う既設RC床版と新設の鋼床版との接続部だけでなく、橋軸直角方向に隣り合う既設RC床版と新設の鋼床版との接続部にも適用可能である。
また、第1実施形態に係る接続構造10で用いる継手パネル20、第2実施形態に係る接続構造32で用いる継手パネル34、第3実施形態に係る接続構造38で用いる継手パネル40、第4実施形態に係る接続構造48で用いる継手パネル50、および第5実施形態に係る接続構造54で用いる継手パネル55は、鋼材で構成したが、本発明に係るRC床版と鋼床版との接続構造で用いる継手パネルの素材は鋼材に限定されるわけではなく、輪荷重に対する必要な剛性が確保できるのであれば、鋼以外の材質の素材で構成してもよい。
また、本発明に係るRC床版と鋼床版との接続構造に用いる継手パネルの素材が、タイヤとの摩擦係数の大きい素材で、必要なスリップ防止機能が発揮できることを確認できた場合には、当該継手パネルの上面に溝切り加工を施したり、当該継手パネルの上面にさらに別の素材ですべり止め構造を設けたりすることを省いてもよい。
また、第1実施形態に係る接続構造10で用いる継手パネル20、および第2実施形態に係る接続構造32で用いる継手パネル34においては、上面に溝切り加工を予め現場搬入前に施し、第3実施形態に係る接続構造38で用いる継手パネル40、第4実施形態に係る接続構造48で用いる継手パネル50、および第5実施形態に係る接続構造54で用いる継手パネル55においては、上面にすべり止め構造44、52、56を予め現場搬入前に設けたが、現場での施工時間が長くかかることが許容される場合には、上面に施す溝切り加工や、上面に設けるすべり止め構造を現場で設けるようにしてもよい。現場で溝切り加工を継手パネルの上面に施す場合は、既設RC床版60の舗装62の厚さT62および新設の鋼床版70の舗装76の厚さT76と同等の厚さとなるように作製した継手パネルを用いる。現場ですべり止め構造を継手パネルの上面に設ける場合は、既設RC床版60の舗装62の厚さT62および新設の鋼床版70の舗装76の厚さT76から、現場で設けるすべり止め構造の厚さを減じた厚さとなるように作製した継手パネルを用いる。
また、第1実施形態に係る接続構造10で用いる継手パネル20、第2実施形態に係る接続構造32で用いる継手パネル34、第3実施形態に係る接続構造38で用いる継手パネル40、第4実施形態に係る接続構造48で用いる継手パネル50、および第5実施形態に係る接続構造54で用いる継手パネル55と、既設RC床版60の舗装62および新設の鋼床版70の舗装76との間の水平方向の隙間についても、所定の許容値が規定されている場合には、当該許容値以下となるように、既設RC床版60の舗装62の切り欠き範囲および継手パネル20、34、40、50、55の大きさを設定して、継手パネル20、34、40、50、55を作製する。
また、橋軸直角方向に隣り合う継手パネル20同士の隙間、橋軸直角方向に隣り合う継手パネル34同士の隙間、橋軸直角方向に隣り合う継手パネル40同士の隙間、橋軸直角方向に隣り合う継手パネル50同士の隙間、および橋軸直角方向に隣り合う継手パネル55同士の隙間についても、所定の許容値が規定されている場合には、当該許容値以下となるように、既設RC床版60の舗装62の切り欠き範囲および継手パネル20、34、40、50、55の大きさを設定して、継手パネル20、34、40、50、55を作製する。