(第一の実施形態)
以下に図面を参照して第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の搬送装置を説明する図である。
図1に示す搬送装置100は、例えばシート状の記録媒体を搬送するものであって、後述する画像形成装置等に搭載される。図1(A)は、搬送装置の構成の概略を示しており、図1(B)は、二次転写部の周辺の構成を示しており、図1(C)は、レジスト部の周辺の構成を示している。
本実施形態の搬送装置100は、中間転写ベルト10、中間転写ローラ11、二次転写対向ローラ12、従動ローラ13、テンションローラ14、ベルトクリーニング装置15、スケールセンサ16を有する。中間転写ベルト10には、エンコーダパターン17が形成されている。
また、本実施形態の搬送装置100は、中間転写モータ21、ローラエンコーダ22、33、43、モータエンコーダ34、44、二次転写ローラ31、二次転写モータ32、レジストローラ41、レジストモータ42、レジスト対向ローラ46を有する。
さらに、本実施形態の搬送装置100は、中間転写ベルト10の表面速度を一定に保つための制御を行うモータ制御部200を有する。
本実施形態では、中間転写ベルト10は第一の回転体であり、二次転写ローラ31は第二の回転体であり、レジストローラ41を第三の回転体である。
本実施形態の搬送装置100において、中間転写ベルト10は、ベルトループ内に配設された複数の張架ローラによって張架されながら、張架ローラの1つである中間転写ローラ11の回転駆動によって無端移動せしめられる。この中間転写ローラ11は、減速機構を介して駆動源としての中間転写モータ21に接続されている。 この減速機構は、中間転写モータ21の回転軸にある小径歯車と中間転写ローラ11の回転軸にある大径歯車とを噛合わせた構成となっている。
本実施形態では、中間転写ベルト10の表面速度を検出する速度検出手段として、ベルトエンコーダ方式がある。本実施形態の中間転写ベルト10の表面もしくは裏面にはエンコーダパターン17が刻まれており、このエンコーダパターン17をスケールセンサ16で読み取ることによって、中間転写ベルト10の表面速度を検出する。
尚、図1の例では、従動ローラ13と中間転写ローラ11の中央にスケールセンサ16を設置しているが、これに限定されない。スケールセンサ16は、平坦な部分に設置されれば、中間転写ベルト10の表面速度を正しく測定できる。 例えば、平坦でない回転軸上等にスケールセンサ16を設置した場合、軸の曲率の影響が出てしまい、中間転写ベルト10の製造上の厚み変動や環境変化による変動によって、エンコーダパターン17の間隔が変化してしまい、正しい表面速度ではなくなるため、避ける必要がある。
エンコーダパターン17はシート状のエンコーダパターンを貼り付けたり、中間転写ベルト10上に直接パターン加工したり、中間転写ベルト10の製造工程で一体加工したりと、製作方法はどのような方法でも良い。
本実施形態では、スケールセンサ16は等間隔のスリットを備えた反射式の光学センサを想定しているが、これに限定されない。このセンサは、エンコーダパターン17から中間転写ベルト10の表面位置を正確に検出できるセンサであれば良く、例えばCCDカメラ等を使用し、画像処理によって表面位置を検出するものでも良い。また、ドップラー方式やベルト表面の凹凸から画像処理によって表面位置を検出できるセンサ方式であれば、エンコーダパターン17を無くすことも可能となる。
また、中間転写ベルト10の表面速度を検出する他の速度検出手段として、ロータリーエンコーダ方式がある。この方式は、従動ローラ13の回転軸に設けた回転検出器である。従動ローラ13は中間転写ベルト10の無端移動に伴って従動回転するローラで、中間転写ベルト10の表面速度を検出することができる。
搬送装置100では、中間転写ベルト10の周方向における全領域のうち、従動ローラ13に対する掛け回し位置を通過してから、中間転写ローラ11に対する掛け回し位置に進入する前の箇所が、M,C,Y,K用の感光体ドラム19と当接してM,C,Y,K用の一次転写ニップを形成する。中間転写ベルト10におけるM,C,Y,K用の一次転写ニップの形成箇所に対しては、中間転写ベルト10の裏面側から転写ローラがそれぞれ当接している。搬送装置100では、電源によって各転写ローラに転写バイアスが印加され、各色の一次転写ニップにおいて中間転写ベルト10と感光体ドラム19との間に転写電界が形成される。
搬送装置100では、一次転写部にてカラー画像が形成されるため、この部分での中間転写ベルト10の表面速度を検出して制御することが好ましい。そこで、従動ローラ13にロータリーエンコーダを設置するか、従動ローラ13と中間転写ローラ11の間にスケールセンサ16を設置するのが望ましい。
本実施形態のテンションローラ14は、ベルトループの外側からベルトに押し当てられ、一定のベルト張力を発生させるものである。テンションローラ14により生じるベルト張力によって、中間転写ベルト10は各張架ローラの表面に当接して、中間転写ベルト10が周方向に搬送される。特に、従動ローラ13の表面と中間転写ベルト10との当接力は、従動ローラ13のベルト搬送摩擦力と相関があるために重要で、中間転写ベルト10を搬送するために必要な搬送摩擦力が確保できるようにテンションローラ14の押し当て力を設定する。
また、搬送装置100では、二次転写対向ローラ12と対向する位置で中間転写ベルト10の表面に当接する二次転写ローラ31が配設されており、この二次転写ローラ31と中間転写ベルト10の表面に電荷を付与することで、表面に記録紙を吸着させる。
また、搬送装置100では、ベルトループ外側にて二次転写ローラ31のベルト搬送方向下流に配設された、ベルトクリーニング装置15が中間転写ベルト10に当接している。ベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10の表面に付着しているトナー等の異物を、トナーと自らとの電位差によって中間転写ベルト10の表面から回収する。
本実施形態のモータ制御部200は、中間転写ベルト10の表面速度を一定とするために、中間転写モータ21をフィードバック制御する。
具体的には、モータ制御部200は、中間転写ベルト10の表面速度を示すスケールセンサ16の出力信号S1と、中間転写ローラ11の回転速度を示すローラエンコーダ22の出力信号S2と、を基に中間転写モータ21の駆動制御信号S3を出力する。
また、モータ制御部200は、二次転写部50を通過する記録媒体の影響による中間転写ベルト10の表面速度の変動を抑制するために、二次転写モータ32とレジストモータ42をフィードバック制御する。具体的には、モータ制御部200は、スケールセンサ16の出力信号S1と、ローラエンコーダ22の出力信号S2と、に基づき、二次転写モータ32の駆動制御信号S4を出力する。
さらに、モータ制御部200は、二次転写ローラ31と、二次転写対向ローラ12との当接及び離間を制御する。
次に、二次転写ローラ31の周辺の機構について説明する(図1(B)参照)。搬送装置100は、中間転写モータ21とは別に、二次転写モータ32が設置されている。二次転写モータ32は、モータ制御部200から送信される駆動制御信号S4によって回転する。
二次転写モータ32は、中間転写モータ21と同じブラシ付きDCモータやブラシレスDCモータを採用する。二次転写モータ32の回転速度は減速機構(モータギヤと二次転写ローラ31側減速ギヤ)により減速される。また、二次転写ローラ31は、その回転により、二次転写部50まで搬送された記録媒体を搬送する。
二次転写ローラ31の対向側には、中間転写ベルト10を支持している二次転写対向ローラ12があり、二次転写ローラ31は、中間転写ベルト10を挟んで二次転写対向ローラ12に当接/離間される。
2つのローラの当接は、スプリングによって行われる。また、二次転写ローラ31は、二次転写対向ローラ12から離間するための図中矢印Y方向に移動可能なカム機構も有しており、二次転写部50における2つのローラの当接と離間が切り替えられる。
本実施形態の搬送装置100では、二次転写部50の転写性を向上させるために、二次転写ローラ31の表面部に弾性層を設けている。二次転写ローラ31の例としては、低慣性薄肉金属パイプを中心に、シリコンゴム等の低硬度ゴム材料ローラ部(弾性ゴム層)を設け、その表層に塗布されるウレタンコーティング層から構成される。
尚、本実施形態の二次転写ローラ31では、導電性ゴムローラ部はゴム硬度40°(ゴム硬度Aスケール)以下の加硫ゴム又はシリコン系ゴムを下層に構成し、その表層には粘性を無効とするウレタンコーティング層を薄層として設けても良い。本実施形態では、これにより、導電性ゴムローラ部の当接変形によってニップ領域を拡げ、かつ適切な転写必要圧力を確保する構造にできる。
一般に発泡ゴム構造以外の方法で40°以下の低硬度を実現しようとすると、加硫ゴムの場合は可塑剤の添加により粘性が増加する。また、シリコンゴムの場合も高粘性になる。その結果、中間転写ベルト10と二次転写ローラ31とが接する圧接部51での粘着、或いは記録媒体と接触する部分との粘着により、両移動体の移動不良が生じる。これを回避するために、上述した表層に塗布されるウレタンコーティングが有効である。
中間転写モータ21は、モータ制御部200により、中間転写ベルト10の表面速度を一定にするように制御される。
次に、レジストローラ41の周辺の構成について説明する(図1(C)参照)。
本実施形態の搬送装置100の有するレジストローラ41は、レジストモータ42により回転される。レジストローラ41は、レジストモータ42が駆動されと、レジストモータ42の回転がギヤを介してレジストローラ41に伝達されて回転する。記録媒体は、レジストローラ41と、レジストローラ41と対向した位置に配置されたレジスト対向ローラ46とから形成されるレジスト部60により、二次転写ローラ31と二次転写対向ローラ12との圧接部51まで搬送される。圧接部51まで搬送された記録媒体は、二次転写ローラ31と中間転写ベルト10とに挟持されて搬送される。言い換えれば、圧接部51は、記録媒体が二次転写ローラ31と中間転写ベルト10とに挟持される挟持部である。
以上のように、本実施形態の搬送装置100において、記録媒体は、レジスト部60から二次転写部50に搬送される。そして、搬送装置100は、二次転写部50において二次転写ローラ31と中間転写ベルト10と圧接し、トナー像を記録媒体に転写する。
このとき、二次転写ローラ31やレジストローラ41では、記録媒体の種類や、各ローラの公差、接触圧力変化や、環境、経時によるローラ形状の偏差量等により、表面速度が変動する。
この変動は、中間転写ベルト10の表面速度も変動させる。言い換えれば、二次転写ローラ31やレジストローラ41の表面速度の変動は、中間転写ベルト10を駆動する中間転写モータ21の駆動トルクの変動の原因となる干渉トルクを発生させる。
そこで、本実施形態では、中間転写ベルト10の表面速度を一定に保つために、二次転写ローラ31とレジストローラ41の回転速度を制御する。言い換えれば、本実施形態では、中間転写モータ21の駆動トルクに対する干渉トルクを発生させないように、二次転写ローラ31とレジストローラ41の回転速度を制御する。
尚、本実施形態の記録媒体は、例えば紙であっても良いし、シート状のフィルム等であっても良い、本実施形態の記録媒体は、画像を転写することができ、搬送装置100で搬送できるものであればどのようなものであっても良い。
以下に、図2及び図3を参照し、二次転写モータ32と中間転写モータ21の間に生じる干渉トルクについて説明する。
図2は、二次転写ローラと中間転写ベルトとの当接と表面速度の変動による干渉トルクを説明する第一の図である。図2(A)は、二次転写ローラ31と中間転写ベルト10とが離間した状態で、二次転写ローラ31と中間転写ベルト10のそれぞれを一定の回転速度で駆動させた場合を示す。図2(B)は、二次転写ローラ31が中間転写ベルト10と当接して通紙した状態で、それぞれを一定の回転速度で駆動した場合を示す。
中間転写モータ21は、スケールセンサ16から得られる中間転写ベルト10の表面速度V1を基に、この表面速度V1が目標値となるように、回転速度がフィードバック制御されている。このため、中間転写ベルト10の表面速度V1は常に一定となる。
また、二次転写モータ32は、モータエンコーダ34から得られる回転速度を基にフィードバック制御されているため、二次転写ローラ31の回転軸の回転速度Vsは常に一定となる。このとき、回転速度Vsは、中間転写ベルト10の表面速度V1と一致するように制御される。
ところが、中間転写ベルト10の表面速度V1と、二次転写ローラ31の表面速度V2とは、紙Kの厚さ等により一致しなくなる。例えば、図2(A)のように、二次転写ローラ31が中間転写ベルト10と離間し、それぞれが一定の速度で駆動している場合、中間転写モータ21と、二次転写モータ32のそれぞれにおいて、単体で駆動する際の駆動トルクが発生する。
中間転写モータ21の駆動トルクTaは、中間転写ローラ11のローラ軸摩擦、感光体ドラム19との表面速度差と接触摩擦、ベルトクリーニング装置15の接触状態等に起因して個体差や環境、経時で変化するが、図2(A)の状態では単体の駆動トルクとなる。
また、二次転写モータ32の駆動トルクTaは、二次転写ローラ31のローラ軸摩擦等に起因して変化するが、図2(A)の状態では単体の駆動トルクとなる。
言い換えれば、図2(A)の状態では、中間転写モータ21にも、二次転写モータ32にも、干渉トルクは発生しない。
この、図2(A)に示す状態が、中間転写ベルト10の理想的な搬送状態である。図2(A)に示す状態とは、つまり、中間転写ベルト10が中間転写モータ21のみで搬送されている状態である。このときは、中間転写モータ21に対して他の負荷がないため、色ずれなどの抑制効果が最も発揮しやすい状態となる。
よって、本実施形態では、図2(A)に示す状態における中間転写モータ21の駆動トルクTaを基準トルクT0とする。そして、本実施形態のモータ制御部200は、中間転写モータ21の駆動トルクTaが常に基準トルクT0となるように、二次転写ローラ31とレジストローラ41の回転速度を制御する。
ここで、図2(B)に示すように、紙Kが二次転写ローラ31により搬送されるとき、紙Kの厚さ応じて二次転写ローラ31の表面速度V2は大きく変化する。このため、中間転写ベルト10の表面速度V1と二次転写ローラ31の表面速度V2とに差が生じる。
中間転写ベルト10と二次転写ローラ31は、それぞれが一定速度を保つようにフィードバック制御されているため、表面速度V1、V2差が生じると干渉トルクが生じる。
本実施形態の干渉トルクとは、二次転写モータ32が、中間転写ベルト10を回転させるために負担するトルク成分である。又は、本実施形態の干渉トルクとは、中間転写モータ21が、二次転写ローラ31を回転させるために負担するトルク成分である。
図2(B)では、二次転写ローラ31の表面速度V2は、紙厚の分だけ、中間転写ベルト10の表面速度V1より速くなる。また、中間転写ベルト10は、表面速度V1を維持しようとする。
このため、二次転写モータ32の駆動トルクTaは、干渉トルクにより増加し、中間転写モータ21の駆動トルクTaは、干渉トルクにより減少する。
図3は、二次転写ローラと中間転写ベルトとの当接と表面速度の変動による干渉トルクを説明する第二の図である。
図3において、横軸は二次転写ローラ31の速度の変動を示し、縦軸は搬送力を示す。
図3では、二次転写ローラ31の速度の変動を、二次転写ローラ31の設定速度に対する速度の変動の割合をパーセント[%]で示している。設定速度は、二次転写ローラ31の表面速度が中間転写ベルト10の表面速度と一致すると想定された値である。実際には、二次転写ローラ31の表面速度は、紙種、ローラ公差、接触圧変動や環境、経時変化等により、設定速度通りの速度とはならない。
搬送力は、二次転写ローラ31、中間転写モータ21のローラ径等の設計値を考慮して推定された中間転写モータ21の駆動トルクTa[Nm]を、中間転写モータ21の搬送力[N]に換算した数値である。尚、中間転写モータ21の駆動トルクTaは、中間転写ベルト10の駆動トルクであり、中間転写モータ21の搬送力とは、中間転写ベルト10の搬送力である。
二次転写モータ32の搬送力は、減速比、二次転写ローラ31の径等を考慮して推定された二次転写モータ32の駆動トルクTaを、搬送力に換算した値である。
本実施形態では、中間転写ベルト10の駆動トルクと二次転写モータ32の駆動トルクとを同じ軸で表現するために、便宜上で搬送力に換算している。
本実施形態における推定された駆動トルクの値は、モータへのPWM指令値と、実際の回転速度を基に算出されたトルクの値である。尚、各モータが一定速度、または既定速度に精度よく制御されている状態では、電流値又はPWM指令値のみからトルクの値を算出することができる。
以下に、図3に示す干渉トルクについて説明する。図3に示す線L1は、二次転写ローラ31の回転速度と二次転写ローラ31の搬送力の関係を示している。また、図3の示す線L2は、二次転写ローラ31の回転速度と中間転写モータ21の搬送力の関係を示している。
本実施形態では、干渉トルクが全く発生しない状態(図2(A)参照)における中間転写モータ21の搬送力と、二次転写モータ32の搬送力をそれぞれ「0」(基準)としている。
ここで、中間転写ベルト10、二次転写ローラ31は、それぞれが一定の回転速度にフィードバック制御された状態で、通紙された状態を考える。このとき、二次転写ローラ31の表面速度V2は、紙厚などの要因で、中間転写ベルト10の表面速度V1と一致しない。例えば、二次転写ローラ31に通紙した紙が厚く、二次転写ローラ31の表面速度V2の値が大きくなった場合、二次転写モータ32のト駆動ルクTbが増加し、中間転写モータ21の駆動トルクTaは減少する。
言い換えれば、二次転写ローラ31の回転速度の値が大きくなった場合、二次転写モータ32の搬送力L1が増加し、中間転写モータ21の搬送力L2は減少する。また、二次転写ローラ31の回転速度の値が小さくなった場合、二次転写モータ32の搬送力L1が減少し、中間転写モータ21の搬送力L2は増加する。
このように、二次転写ローラ31の搬送力L1と、中間転写モータ21の搬送力L2とは、逆相関であることが分かる。
本実施形態では、中間転写モータ21の駆動トルクTaが、常に中間転写モータ21を単体駆動したときの基準トルクT0となるように、二次転写ローラ31の回転速度を制御する。よって、図3の例では、中間転写モータ21の搬送力L2の値が0となるときの二次転写ローラ31の回転速度Vsが、二次転写ローラ31の回転速度の目標値として設定される最適の値となる。言い換えれば、本実施形態では、中間転写モータ21の搬送力L2の値が0となるときの二次転写モータ32の回転速度が、二次転写モータ32の回転速度の目標値として設定される最適の値となる。
本実施形態では、このように、中間転写モータ21の駆動トルクTaを中間転写モータ21の単体駆動時と通紙時の両者において一致するように制御する。本実施形態では、この制御により、中間転写ベルト10の表面速度V1を一定にすることができ、中間転写ベルト10の駆動を安定させることができる。また、本実施形態では、中間転写ベルト10の駆動を安定させることで、中間転写ベルト10の位置の変動や、中間転写ベルト10と二次転写ローラ31の表面速度差の発生を抑制し、二次転写における色ずれ等の発生を抑え、画質の向上に貢献できる。
次に、図4及び図5を参照し、二次転写モータ32とレジストモータ42の間に生じる干渉トルクについて説明する。
図4は、二次転写モータとレジストモータの間に生じる干渉トルクについて説明する第一の図である。図4(A)は、レジストローラ41の表面速度が、中間転写ローラ11、二次転写ローラ31の表面速度に対して速い場合を示す。図4(B)は、レジストローラ41の表面速度が、中間転写ローラ11、二次転写ローラ31の表面速度に対して遅い場合を示す。
本実施形態のレジストモータ42は、モータエンコーダ45から得られる回転速度を基にフィードバック制御されているため、レジストローラ41の回転軸の回転速度Vrは常に一定となる。
搬送装置100では、レジストローラ41の表面速度(レジストモータ42の回転速度)と中間転写ベルト10の表面速度V1とが異なる場合、レジストモータ42と中間転写モータ21との間に干渉トルクが生じる。
ここで述べる干渉トルクは、中間転写モータ21が、紙Kを介して、レジストローラ41における紙Kの押し込みや引っ張りの影響を受けることで発生する。この干渉トルクを計測するには、紙Kが二次転写ローラ31及びレジストローラ41に跨った状態と、紙Kが二次転写ローラ31にのみ通紙しレジストローラ41に通紙していない状態と、における中間転写モータ21の駆動トルクTaの変化量を見ればよい。
本実施形態では、この変化量を0に近づけることで、レジストローラ41における紙Kの押し込みや引っ張りによる、中間転写モータ21に対する干渉トルクの発生を抑制する。
図4(A)では、レジストローラ41と二次転写ローラ31との両方に紙Kが跨っている状態を示している。言い換えれば、図4(A)は、二次転写部50とレジスト部60の両方に紙Kが通紙している状態を示している。
また、図4(A)では、レジストローラ41の表面速度が中間転写ベルト10の表面速度V1と、二次転写ローラ31の表面速度V2と比べて速いため、レジストローラ41が紙Kを二次転写ローラ31に向かって押し込む状態になる。
すると、二次転写ローラ31の表面速度V2(二次転写モータ32の回転速度)が速くなり、紙Kと中間転写ベルト10の表面で干渉トルクが発生する。ここで、モータ制御部200は、中間転写ベルト10の表面速度V1を一定の速度となるように制御するため、中間転写モータ21の駆動トルクTaを低下させる。
また、図4(A)の状態において紙Kが搬送され、紙Kの後端Keがレジスト部60を通過して二次転写部50にのみ通紙している状態となると、レジストローラ41から二次転写ローラ31に向かって紙Kを押し込む力が消失する。すると、二次転写ローラ31の表面速度V2は遅くなる。
そこで、モータ制御部200は、中間転写ベルト10の表面速度V1を一定の速度となるように制御するため、中間転写モータ21の駆動トルクTaは上昇する。
本実施形態では、紙Kの搬送経路において、二次転写部50とレジスト部60の両方に紙Kが通紙している状態で紙Kが搬送される区間を第一の搬送区間と呼び、二次転写部50にのみ紙Kが通紙している状態で紙Kが搬送される区間を第二の搬送区間と呼ぶ。
つまり、図4(A)のように、二次転写ローラ31に対してレジストローラ41が紙Kを押し込む状態では、中間転写モータ21の駆動トルクTaは、第一の搬送区間において低下し、第二の搬送区間において上昇することがわかる。言い換えれば、レジストローラ41の表面速度が、中間転写ローラ11、二次転写ローラ31の表面速度に対して速い場合、中間転写モータ21の駆動トルクTaは、第一の搬送区間において低下し、第二の搬送区間において上昇する。
図4(B)では、レジストローラ41の表面速度が中間転写ローラ11、二次転写ローラ31の表面速度V1、V2と比べて遅いため、レジストローラ41が紙Kを二次転写ローラ31から引っ張る状態になる。
すると、二次転写ローラ31の表面速度V2が遅くなり、紙Kと中間転写ベルト10の表面で干渉トルクが発生する。このときも、モータ制御部200は、中間転写ベルト10の表面速度V1を一定の速度となるように制御するため、中間転写モータ21の駆動トルクTaは上昇する。
また、図4(B)の状態において紙Kが搬送され、紙Kの後端Keがレジスト部60を通過して二次転写部50にのみ通紙している状態となると、レジストローラ41が二次転写ローラ31から紙Kを引っ張る力が消失する。すると、二次転写ローラ31の表面速度V2は速くなる。
そこで、モータ制御部200は、中間転写ベルト10の表面速度V1を一定の速度となるように制御するため、中間転写モータ21の駆動トルクTaは低下する。
つまり、図4(B)のように、二次転写ローラ31に対し、レジストローラ41が紙Kを引っ張る状態では、中間転写モータ21の駆動トルクTaは、第一の搬送区間において上昇し、第二の搬送区間において低下することがわかる。言い換えれば、レジストローラ41の表面速度が、中間転写ローラ11、二次転写ローラ31の表面速度に対して遅い場合、中間転写モータ21の駆動トルクTaは、第一の搬送区間において上昇し、第二の搬送区間において低下する。
図5は、二次転写モータとレジストモータの間に生じる干渉トルクについて説明する第二の図である。
図5では、レジストローラ41の速度の変動を、レジストローラ41の設定速度に対する速度の変動の割合をパーセント[%]で示している。設定速度は、レジストローラ41の表面速度が中間転写ベルト10の表面速度と一致すると想定された値である。縦軸は、図3と同様に、トルクから換算された搬送力である。
図5に示す線L21は、第一の搬送区間における、レジストローラ41の回転速度と中間転写モータ21の搬送力の関係を示し、線L22は、第二の搬送区間における、レジストローラ41の回転速度と中間転写モータ21の搬送力の関係を示している。
図4で説明したように、中間転写モータ21の駆動トルクTaは、レジストローラ41の回転速度が、中間転写ローラ11、二次転写ローラ31の表面速度に対して速い場合、第一の搬送区間において低下し、第二の搬送区間において上昇する。また、中間転写モータ21の駆動トルクTaは、レジストローラ41の回転速度が、中間転写ローラ11、二次転写ローラ31の表面速度に対して遅い場合、第一の搬送区間において上昇し、第二の搬送区間において低下する。
よって、図5に示すように、第一の搬送区間における中間転写モータ21の搬送力L21は、レジストローラ41の回転速度が速いほど低下し、第二の搬送区間における中間転写モータ21の搬送力L22は、レジストローラ41の回転速度が速いほど上昇する。
本実施形態では、第一の搬送区間における搬送力L21と、第二の搬送区間における搬送力L22との差分が0となる状態が、最もレジストローラ41における紙Kの押し込みや引っ張りの影響を受けない状態であると言える。
よって、本実施形態では、第一の搬送区間における搬送力L21と、第二の搬送区間における搬送力L22との差分が0となるときのレジストローラ41の回転速度が、レジストローラ41の回転速度の目標値として設定される最適の値となる。言い換えれば、本実施形態では、第一の搬送区間における搬送力L21と、第二の搬送区間における搬送力L22との差分が0となるときのレジストモータ42の回転速度が、レジストモータ42の回転速度の目標値として設定される最適の値となる。
以下に説明する本実施形態の画像形成装置、搬送装置及び回転体制御装置では、上述した内容を踏まえ、二次転写モータ32の回転速度の最適な目標値と、レジストモータ42の回転速度の最適な目標値とを設定する。ここで言う最適な目標値とは、中間転写ベルト10を駆動させる中間転写モータ21の駆動トルクTaに対する、二次転写モータ32とレジストモータ42の影響による干渉トルクの除去を図るための値である。
以下に、本実施形態の各装置について説明する。図6は、第一の実施形態の画像形成装置の構成の概略を説明する図である。
本実施形態の画像形成装置300は、電子写真方式であり、デジタル複合機からなり、複写機能と、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を有していることが好ましい。しかし、インク滴を吐出して画像を形成するインクジェット方式、昇華型熱転写方式、ドットインパクト方式の画像形成装置300であっても良い。本実施形態の画像形成装置300は、搬送装置100を含む。
本実施形態の画像形成装置300は、画像読取部301、画像書込みユニット302、感光体ユニット303、感光体ドラム19、現像ユニット305、中間転写部306、中間転写ベルト10、二次転写部50、レジスト部60、トレイ307、搬送部308、定着部309を有している。
画像形成装置300は、画像読取部301により光源を原稿に照射しながら原稿を走査し、原稿からの反射光を3ラインCCD(Charge Coupled Device)センサにより画像を読み取る。読み取られた画像は、画像処理ユニットによりスキャナγ補正、色変換、画像分離、階調補正処理等の画像処理が施された後、画像書込みユニット302へ送られる。
画像書込みユニット302では、画像データに応じてLD(Laser Diode)の駆動を変調する。感光体ユニット303は、一様に帯電された回転する感光体ドラム19にLDからのレーザビームにより静電潜像が書き込まれ、現像ユニット305によりトナーが付着されて顕像化される。
感光体ドラム19上に形成された画像は、中間転写部306の中間転写ユニットの中間転写ベルト10上に転写される。画像形成装置300においてフルカラーコピーが実行された場合、中間転写ベルト10上には4色(ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー)のトナー像が順次重ねられる。全ての色の作像と転写が終了した時点で、レジスト部60により中間転写ベルト10とタイミングを合わせてトレイ307から記録媒体が供給され、二次転写部50で中間転写ベルト10から記録媒体へトナー像が二次転写される。トナー像が転写された記録媒体は、搬送部308を経て定着部309へ送られ、定着ローラと加圧ローラによりトナー像が記録媒体に定着された後に排出される。
図7は、第一の実施形態のモータ制御部を説明する図である。
本実施形態のモータ制御部200は、搬送装置100に含まれるものであり、図1で示した複数の回転体(中間転写ローラ11、二次転写ローラ31、レジストローラ41)の駆動を制御する。また、本実施形態においては特に、モータ制御部200は、中間転写モータ21に対するトルクの干渉を抑制することができる二次転写ローラ31及びレジストローラ41の回転速度の目標値を決定する。
本実施形態の画像形成装置300において、モータ制御部200は、画像形成装置300全体を制御するメイン制御部310と接続されており、中間転写モータ21の回転速度、及び二次転写モータ32とレジストモータ42の回転速度とを制御する。
メイン制御部310は、画像形成装置300の操作部320から画像データの出力指示等が操作されると、モータ制御部200に対して各モータの駆動指示を行う。具体的にはメイン制御部310は、画像データの出力指示等を受けると、モータ制御部200へ各モータへの指令値、スタート/ストップ指示、回転速度の目標値や回転方向などを指示する。モータ制御部200は、この指示を受けて各モータの駆動を制御する。また、メイン制御部310は、モータ制御部200と各モータに関する情報の授受を行う。さらに、メイン制御部310は、各モータに関する情報(モータ情報)を記憶するメモリ330を有している。モータに関する情報とは、例えば各モータの回転速度(設定速度)や、指令値に応じたPWM値、駆動電流、エンコーダ値等を含む。
本実施形態のモータ制御部200は、回転体制御部210、ドライバ221、222、223、FET231、232、233を有している。
回転体制御部210は、詳しくは後述するが、二次転写モータ32の回転速度の目標値と、レジストモータ42の回転速度の目標値を調整し、調整した後の各目標値をメモリ330に格納する。尚、二次転写モータ32の回転速度は、二次転写ローラ31の回転速度と同義であり、レジストモータ42の回転速度は、レジストローラ41の回転速度と同義である。
ドライバ221とFET231は、中間転写モータ21へ一定の駆動電流を供給する機能を有する。ドライバ222とFET232は、二次転写モータ32へ一定の駆動電流を供給する機能を有する。ドライバ223とFET233は、レジストモータ42へ一定の駆動電流を供給する機能を有する。
回転体制御部210は、中間転写ローラ11のローラエンコーダ22やスケールセンサ16から、中間転写ベルト10の表面速度と中間転写モータ21の回転速度とを取得する。また、回転体制御部210は、モータエンコーダ34、ローラエンコーダ33から、二次転写モータ32と二次転写ローラ31の回転速度を取得する。更に、回転体制御部210は、モータエンコーダ45、ローラエンコーダ44からレジストモータ42とレジストローラ41の回転速度を取得する。
また回転体制御部210は、中間転写モータ21、二次転写モータ32及びレジストモータ42の駆動電流を取得して、各モータへの制御出力を演算し、制御出力と対応するPWM指令値を各ドライバへ出力する。
具体的には、回転体制御部210は、PWM指令値によって各モータの駆動電流を算出する。しかし、ドライバを含むモータ駆動回路の変動や応答性の影響を受けて誤差が発生する虞がある。そこで、より高精度にモータの駆動電流を把握するために、回転体制御部210は、FETの電流を計測して駆動電流を把握してもよい。具体的には、回転体制御部210は、FET231〜233に接続されたシャント抵抗に流れる合成電流値から駆動電流を把握しても良い。
尚、このとき出力されるPWM指令値は、回転体制御部210が取得した中間転写ベルト10の表面速度と、二次転写ローラ31、レジストローラ41の回転速度と、を、目標値に近づけるための値である。
ドライバ221、222、223では、PWM指令値が入力されると、各モータ(21、32、42)の回転角をホール素子信号により認識する。そして、各ドライバは、PWM指令値に応じて生成されたPWM信号をモータ3相出力信号に変換し、FET231、232、233を介して各モータを駆動する。
本実施形態の回転体制御部210は、以上の動作により、各モータの指令値に基づき、中間転写モータ21、二次転写モータ32及びレジストモータ42の回転速度を目標値に近づけるように制御できる。
また、回転体制御部210は、取得した駆動電流から駆動トルクの算出を行う。具体的には、回転体制御部210は、各モータ21、32、42(又は各ローラ11、31、41)の回転速度と駆動電流を取得し、トルク乗数と速度との関係を示したトルク換算テーブル等を用いて駆動電流をトルクに換算する。
更に、回転体制御部210は、必要に応じて、回転体制御部210が取得したデータや演算したデータ等をメモリ330に格納したり、メイン制御部310に異常通知等の情報を通知したりする。因みにメモリ330は、回転体制御部210内にも有する構成としても良い。
このように本実施形態では、回転体制御部210は、3つの回転体の駆動を制御する回転体制御装置の一部として機能する。
次に、図8を参照して回転体制御部210の機能について説明する。図8は、第一の実施形態の回転体制御部の機能を説明する図である。
本実施形態の回転体制御部210は、例えばメモリ等を内容する演算処理装置等であり、後述する回転体制御部210の各部は、演算処理装置がメモリに格納された回転体制御プログラムを実行することで実現される。
本実施形態の回転体制御部210は、動作制御部240、通紙検知部245、中間転写制御部250、速度調整部260、二次転写制御部270、レジスト制御部280を有する。
動作制御部240は、二次転写ローラ31と、二次転写対向ローラ12との離間及び圧接の動作を制御する。
通紙検知部245は、記録媒体が二次転写部50、レジスト部60に到達したこと、通過したことを検知する。
中間転写制御部250は、速度制御部251を有し、速度制御部251により、中間転写ベルト10の表面速度を目標値とする制御を行う。具体的には、速度制御部251は、中間転写モータ21の回転速度を取得し、この回転速度がモータ情報に含まれる中間転写ベルト10の表面速度の目標値となるように、フィードバック制御を行う。
速度調整部260は、中間転写ベルト10に対し、二次転写ローラ31とレジストローラ41による干渉が生じないように、回転速度の目標値と、レジストモータ42の回転速度の目標値と、を調整する。速度調整部260の詳細は後述する。
二次転写制御部270は、速度制御部271を有し、速度制御部271により、二次転写モータ32の回転速度を目標値とする制御を行う。具体的には、速度制御部271は、二次転写モータ32の回転速度を取得し、この回転速度が、モータ情報に含まれる二次転写モータ32の回転速度の目標値となるように、フィードバック制御を行う。また、速度制御部271は、速度調整部260からの速度変更指示を受けて、二次転写モータ32の回転速度を制御する。
レジスト制御部280は、速度制御部281を有し、速度制御部281により、レジストモータ42の回転速度を目標値とする制御を行う。具体的には、速度制御部281は、レジストモータ42の回転速度を取得し、この回転速度が、モータ情報に含まれるレジストモータ42の回転速度の目標値となるように、フィードバック制御を行う。また、速度制御部281は、速度調整部260からの速度変更指示を受けて、レジストモータ42の回転速度を制御する。
以下に、速度調整部260について説明する。本実施形態の速度調整部260は、トルク推定部261、トルク比較部262、速度変更指示部263、速度算出部264、格納制御部265を有する。
本実施形態のトルク推定部261は、中間転写モータ21の駆動トルクTaの推定値を算出する。言い換えれば、本実施形態のトルク推定部261は、中間転写モータ21の駆動トルクTaを取得する取得部である。
具体的には、本実施形態の駆動トルクTaの推定値は、中間転写制御部250からドライバ221に出力されるPWM指令値と、スケールセンサ16から得られる中間転写モータ21の回転速度と、に基づき算出された負荷トルク値である。駆動トルクTaの推定値は、各モータが一定速度、または既定速度に精度よく制御されている状態では、モータに供給される電流値、PWM指令値等から算出できる。
尚、本実施形態では、駆動トルクTaの推定値を算出することと、駆動トルクTaを算出することとは同義である。
トルク比較部262は、第一の搬送区間における中間転写モータ21の駆動トルクTaの平均値T1と、第二の搬送区間における中間転写モータ21の駆動トルクTaの平均値T2とを算出し、両者を比較する。
速度変更指示部263は、トルク比較部262による比較の結果に応じて、二次転写制御部270と、レジスト制御部280のそれぞれに対して、二次転写モータ32とレジストモータ42の回転速度の変更を指示する。
速度算出部264は、トルク比較部262の比較結果に基づき、二次転写モータ32の回転速度の目標値と、レジストモータ42の回転速度の目標値とを算出する。言い換えれば、速度算出部264は、二次転写モータ32の回転速度と、レジストモータ42の回転速度とを設定する設定部である。
格納制御部265は、速度算出部264により算出された回転速度(目標値)をメモリ330に格納する。
次に、図9を参照して本実施形態の回転体制御部210の動作を説明する。図9は、第一の実施形態の回転体制御部の動作を説明するフローチャートである。
尚、図9に示す処理は、例えば画像形成装置300の工場出荷時や、画像形成装置300が設置されて利用が開始されるとき等の所定のタイミングで実行されても良い。また、図9に示す処理は、搬送装置100により搬送される記録媒体の種類が変わったときに執行されても良い。また、図9に示す処理は、画像形成装置300の利用者からの指示により、任意のタイミングで実行されても良いし、所定の期間毎に実行されても良い。つまり、図9の処理は、任意のタイミングで実行されて良い。
本実施形態の回転体制御部210は、処理の実行指示を受け付けると、動作制御部240により、二次転写ローラ31と、二次転写対向ローラ12とを離間させる(ステップS901)。続いて、回転体制御部210は、中間転写制御部250、二次転写制御部270、レジスト制御部280のそれぞれにより、モータ情報に含まれる設定速度で、中間転写モータ21と二次転写モータ32と、レジストモータ42とを駆動(回転)させる(ステップS902)。
続いて回転体制御部210は、二次転写モータ32の回転速度を固定し、速度調整部260のトルク推定部261により、中間転写モータ21の駆動トルクTaの推定値(以下、単に駆動トルクTa)を取得する(ステップS903)。尚、ここでは、二次転写モータ32の回転速度は、モータ情報に含まれる設定速度に固定されても良い。また、ここでは、二次転写ローラ31と二次転写対向ローラ12とが離間した状態で中間転写ベルト10が回転している状態である。したがって、ステップS903で取得される駆動トルクTaは、中間転写モータ21に対する干渉トルクが生じていない状態の駆動トルクであり、基準トルクT0である。
続いて回転体制御部210は、通紙を開始させる(ステップS904)。つまり、このとき動作制御部240は、二次転写ローラ31と、二次転写対向ローラ12とを当接させる。ここで開始された通紙は、図9の処理が終了するまで継続される。言い換えれば、回転体制御部210は、図9の処理が終了するまで通紙を続ける。
次に、回転体制御部210は、速度調整部260のトルク比較部262により、第一の搬送区間における中間転写モータ21の駆動トルクTaの平均値T1と、第二の搬送区間における中間転写モータ21の駆動トルクTaの平均値T2を算出する(ステップS905)。
以下に、平均値T1と平均値T2の算出について説明する。回転体制御部210は、紙Kの搬送が開始され、通紙検知部245により、レジストローラ41に続いて二次転写ローラ31に記録媒体が到達すると、トルク推定部261による駆動トルクTaの算出を開始する。
トルク推定部261は、所定間隔ごとに駆動トルクTaの変動を求め、保持している。駆動トルクTaの変動は、例えば所定間隔ごとに駆動トルクTaを算出して求めても良い。
そして、回転体制御部210は、通紙検知部245により、記録媒体のレジストローラ41の通過を検知すると、トルク比較部262により、保持された駆動トルクTaの変動から、第一の搬送区間の駆動トルクTaの平均値T1を算出する。
次に、回転体制御部210は、通紙検知部245により、紙Kの二次転写ローラ31の通過を検知する。すると、トルク比較部262は、紙Kのレジストローラ41の通過から二次転写ローラ31の通過までの間に保持された駆動トルクTaの変動から、第二の搬送区間の駆動トルクTaの平均値T2を算出する。
ここで、以下に通紙検知部245による紙K(記録媒体)の通過の検知について説明する。本実施形態の通紙検知部245による検知方法は、以下の3つが考えられる。
(1)二次転写ローラ31又は二次転写モータ32に設置された各エンコーダ33、34が検出したトルクを監視する方法、
(2)レジストローラ41が記録媒体の搬送を開始したことを検出する方法、
(3)FET(231、232、233)を流れる駆動電流を監視する方法、
などがある。
上記(1)の方法について具体的に説明する。二次転写ローラ31に作用するトルクは、記録媒体を搬送している間は搬送しない場合よりも大きくなる。通紙検知部245は、メイン制御部310から駆動指示を受信した後、二次転写ローラ31の回転速度が安定する時間の経過を待ち、トルクを監視する。そして、通紙検知部245は、例えば、トルクの変化速度(勾配)が閾値以上になると、二次転写ローラ31に記録媒体が突入したと判定する。
上記(2)の方法について具体的に説明する。レジストローラ41は中間転写ベルト10のトナー画像が記録媒体に印刷されるようにタイミングを調整して搬送を再開する機能を有している。レジストローラ41が搬送開始したことは、メイン制御部310が検知するので、通紙検知部245はメイン制御部310からレジストローラ41が搬送開始したとの通知を受ける。
レジストローラ41から二次転写ローラ31までの距離と搬送速度は既知なので、通紙検知部245は通知を受けてから所定時間が経過すると、二次転写ローラ31に記録媒体が突入したと判定することができる。なお、この他、二次転写ローラ31の近くに設置したセンサが検出する記録媒体の通過の検出を利用してもよい。
上記(3)の方法について説明する。FET(231、232、233)を流れる駆動電流は、二次転写ローラ31の付加が大きくなると増大する。したがって、二次転写ローラ31に記録媒体が突入すると、FET(231、232、233)を流れる駆動電流が増大する。したがって、通紙検知部245は、例えば、駆動電流の変化速度(勾配)が所定値以上になると、二次転写ローラ31に記録媒体が突入したと判定する。
ステップS905に続いて、回転体制御部210は、トルク比較部262により、平均値T1と平均値T2とを比較し、平均値T1と平均値T2との大小関係が逆転したか否かを判定する(ステップS906)。
ステップS906において、大小関係が逆転していない場合、速度調整部260は、速度変更指示部263により、レジスト制御部280に対してレジストモータ42の回転速度の変更を指示し、回転速度を変更させ(ステップS907)、ステップS904に戻る。尚、変更前の回転速度の値は、速度変更指示部263が保持しておく。
以下に、ステップS907におけるレジスト制御部280の制御について説明する。レジスト制御部280は、速度変更指示を受けて、速度制御部281により、レジストモータ42の回転速度を変更させる。
速度制御部281は、平均値T2>平均値T1の場合、レジストモータ42の回転速度を遅くし、平均値T2>平均値T1の場合、レジストモータ42の回転速度を速くする。
平均値T2>平均値T1の場合は、レジストローラ41から二次転写ローラ31に対して記録媒体を押し込む力が働いている場合である。したがって、速度変更指示部263は、レジスト制御部280に対して、レジストモータ42の回転速度を遅くするように指示する。
平均値T2<平均値T1の場合は、レジストローラ41から二次転写ローラ31に対して記録媒体を引っ張る力が働いている場合である。したがって、速度変更指示部263は、レジスト制御部280に対して、レジストモータ42の回転速度を早くするように指示する。
ステップS906において、大小関係が逆転した場合、速度調整部260は、速度算出部264により、大小関係が逆転する直前のレジストモータ42の回転速度と、大小関係が逆転したときのレジストモータ42の回転速度から、平均値T1=平均値T2となるレジストモータ42の回転速度を算出する(ステップS908)。
平均値T1=平均値T2となる場合とは、第一の搬送区間と第二の搬送区間において、中間転写モータ21の駆動トルクTaが一致する場合である。言い換えれば、平均値T1=平均値T2となる場合とは、第一の搬送区間における中間転写モータ21の搬送力L21と、第二の搬送区間における中間転写モータ21の搬送力L22とが一致する場合である(図5参照)。
つまり、平均値T1=平均値T2となる場合とは、レジストモータ42による中間転写モータ21に対する干渉トルクの発生が最も抑えられた状態を示している。
したがって、本実施形態の速度調整部260は、このときの搬送力L21=L22と対応するレジストモータ42の回転速度を算出する。
続いて、速度調整部260は、トルク比較部262により、ステップS903で取得した基準トルクT0と、ステップS905で算出した第二の搬送区間の駆動トルクTaの平均値T2とを比較し、両者の大小関係が逆転したか否かを判定する(ステップS909)。
ステップS909において、大小関係が逆転しない場合、速度調整部260は、速度変更指示部263により、二次転写制御部270に対して二次転写モータ32の回転速度の変更を指示し、回転速度を変更させ(ステップS910)、ステップS904に戻る。尚、速度変更指示部263は、変更前の回転速度を保持しておくものとした。
以下に、ステップS910における二次転写制御部270の制御について説明する。二次転写制御部270は、速度変更指示を受けて、速度制御部271により、二次転写モータ32の回転速度を変更させる。
速度制御部271は、平均値T2>基準トルクT0の場合、二次転写モータ32の回転速度を速くし、平均値T2<基準トルクT0の場合、二次転写モータ32の回転速度を遅くする。
平均値T2>基準トルクT0の場合は、中間転写ベルト10の表面速度に対して二次転写ローラ31の表面速度が遅く、二次転写ローラ31が記録媒体を引っ張る力が働いている場合である。したがって、速度変更指示部263は、二次転写制御部270に対して、二次転写モータ32の回転速度を速くするように指示する。
平均値T2<基準トルクT0の場合は、中間転写ベルト10の表面速度に対して二次転写ローラ31の表面速度が速く、二次転写ローラ31が記録媒体を押し込む力が働いている場合である。したがって、速度変更指示部263は、二次転写制御部270に対して、二次転写モータ32の回転速度を遅くするように指示する。
ステップS909において、大小関係が逆転した場合、速度調整部260は、速度算出部264により、大小関係が逆転する直前の二次転写モータ32及びレジストモータ42の回転速度を取得する。そして、速度算出部264は、取得した回転速度と、大小関係が逆転したときの二次転写モータ32及びレジストモータ42の回転速度から、平均値T1=平均値T2=基準トルクT0となる二次転写モータ32及びレジストモータ42の回転速度を算出する(ステップS911)。
平均値T2=基準トルクT0となる場合とは、第二の搬送区間における中間転写モータ21の駆動トルクTaが、基準トルクT0と一致する場合である。言い換えれば、平均値T2=基準トルクT0となる場合とは、第二の搬送区間における中間転写モータ21の搬送力L2が、中間転写モータ21を単独で駆動させたときの搬送力と一致する場合である(図3参照)。
つまり、平均値T2=基準トルクT0となる場合とは、二次転写モータ32による中間転写モータ21への干渉トルクの発生が最も抑えられた状態を示している。
したがって、本実施形態の速度調整部260は、平均値T2=基準トルクT0となるときの二次転写モータ32の回転速度を算出する。
以下に、ステップS911における速度算出部264の処理について説明する。本実施形態の速度算出部264は、式(1)に示す一次式による線形内挿法により補間された値を、平均値T2=基準トルクT0となるときの二次転写モータ32とレジストモータ42の回転速度とする。尚、式(1)は、xを二次転写モータ32の回転速度とし、yをレジストモータ42の回転速度としたときの、二次転写モータ32の回転速度とレジストモータ42の回転速度の比率を示す式である。
y=ax+b (1)
本実施形態の速度算出部264は、ステップS909において、大小関係が逆転する直前の二次転写モータ32の回転速度をx1とし、レジストモータ42の回転速度をy1とし、式(1)に代入する。また、速度算出部264は、ステップS909において、大小関係が逆転したときの二次転写モータ32の回転速度をx2とし、レジストモータ42の回転速度をy2とし、式(1)に代入する。すると、以下の式(2)、(3)が求まる。
y1=ax1+b 式(2)
y2=ax2+b 式(3)
この式(2)、(3)から、以下の式(4)、(5)が求まる。
a=(y1−y2)/(x1−x2) 式(4)
b=(y2×x2−y1×x1)/(x1−x2) 式(5)
この式(4)、(5)から、式(1)に示す一次式が求まる。したがって、速度算出部264は、式(1)において、(x1,y1)と(x2,y2)の中点となる(x12,y12)を求めれば、x12の値が平均値T1=平均値T2=基準トルクT0のときの二次転写モータ32の回転速度となり、y12がレジストモータ42の回転速度となる。
以上のように、本実施形態では、平均値T1=平均値T2=基準トルクT0となる直前及び平均値T1=平均値T2=基準トルクT0となったときのレジストモータ42の回転速度と、平均値T1=平均値T2=基準トルクT0となる直前及び平均値T1=平均値T2=基準トルクT0となったときの二次転写モータ32の回転速度と、比率に基づき、二次転写モータ32とレジストモータ42のそれぞれの回転速度も目標値を算出している。
ステップS911に続いて、速度調整部260は、格納制御部265により、算出した2つの回転速度を二次転写モータ32の回転速度の目標値、レジストモータ42の回転速度の目標値として、メモリ330へ格納させ(ステップS912)、処理を終了する。
本実施形態では、以上のように、二次転写モータ32とレジストモータ42の回転速度の目標値を調整することで、中間転写モータ21に対して、二次転写モータ32とレジストモータ42によるトルクの干渉が生じていない状態を再現できる。したがって、本実施形態によれば、中間転写モータ21に対するトルク干渉を除去でき、中間転写ベルト10の表面速度を安定させることができる。
また、本実施形態によれば、干渉トルクを除去するため、紙厚、表面性、剛性等で大きく異なる二次転写モータ32の設定速度と中間転写ベルト10の表面線速の関係を事前に把握しなくても、紙種に応じた最適な二次転写モータ32とレジストモータ42の回転速度の目標値を導出できる。
尚、本実施形態では、搬送装置100は、感光体ドラムに静電潜像を形成して記録媒体に転写する画像形成装置300に設けられるものとしたが、これに限定されない。搬送装置100は、例えばインクジェット方式の画像形成装置に搭載されても良い。また、搬送装置100は、画像形成装置以外にも、回転体を回転させてシート状の記録媒体を搬送する装置であり、且つ回転体同士の圧接部における離間機構を備える装置であれば、どのような装置においても適用可能できる。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して第二の実施形態について説明する。第二の実施形態は、記録媒体を搬送するローラが二次転写ローラのみである点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図10は、第二の実施形態の搬送装置を説明する図である。図10(A)は、搬送装置の構成の概略を示しており、図10(B)は、二次転写部の周辺の構成を示している。
本実施形態の搬送装置100Aは、レジストローラ41、レジストモータ42、レジスト対向ローラ46を有していない点のみ、第一の実施形態と相違する。
本実施形態の搬送装置100Aは、例えば二次転写ローラ31と張架ローラによって張架された二次転写ベルト等を有していても良く、この場合、二次転写ベルトは二次転写ローラ31の回転駆動によって無端移動する。本実施形態の搬送装置100Aは、モータ制御部200Aを有する。
図11は、第二の実施形態のモータ制御部を説明する図である。
本実施形態のモータ制御部200Aは、中間転写モータ21と二次転写モータ32の制御を行い、レジストモータ42の制御に関する機構を有していない点のみが第一の実施形態と相違する。
本実施形態のモータ制御部200Aは、回転体制御部210A、ドライバ221、222、FET231、232を有しており、ドライバ223、FET233を有していない点のみが第一の実施形態と相違する。
図12は、第二の実施形態の回転体制御部の機能を説明する図である。本時の回転体制御部210Aは、動作制御部240、通紙検知部245、中間転写制御部250、速度調整部260、二次転写制御部270を有する。本実施形態の回転体制御部210Aは、レジスト制御部280を有していない点以外は、第一の実施形態の回転体制御部210と同様である。
本実施形態の回転体制御部210Aは、二次転写部50に紙Kが通紙した状態で、中間転写モータ21の駆動トルクTaが基準トルクT0と一致するように、二次転写モータ32のさせたときの回転速度を調整する。
図13は、第二の実施形態の回転体制御部の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態の回転体制御部210Aは、処理の実行指示を受け付けると、動作制御部240により、二次転写ローラ31と、二次転写対向ローラ12とを離間させる(ステップS1301)。続いて、回転体制御部210Aは、中間転写制御部250、二次転写制御部270のそれぞれにより、モータ情報に含まれる設定速度で、中間転写モータ21と二次転写モータ32とを駆動(回転)させる(ステップS1302)。
続いて回転体制御部210Aは、二次転写モータ32の回転速度を固定し、速度調整部260のトルク推定部261により、中間転写モータ21の駆動トルクTaの推定値(以下、単に駆動トルクTa)を取得する(ステップS1303)。ここで取得される駆動トルクTaは、中間転写モータ21に対する干渉トルクが生じていない状態の駆動トルクであり、基準トルクT0である。続いて回転体制御部210Aは、通紙を開始させる(ステップS1304)。このとき動作制御部240は、二次転写ローラ31と、二次転写対向ローラ12とを当接させる。
次に、回転体制御部210Aは、速度調整部260のトルク推定部261により、中間転写モータ21の駆動トルクTaを算出する(ステップS1305)。続いて、回転体制御部210Aは、トルク比較部262により、駆動トルクTaと基準トルクT0を比較し、駆動トルクTaと基準トルクT0との大小関係が逆転したか否かを判定する(ステップS1306)。
ステップS1306において、大小関係が逆転していない場合、速度調整部260は、速度変更指示部263により、二次転写制御部270に対して二次転写モータ32の回転速度の変更を指示し、回転速度を変更させ(ステップS1307)、ステップS1305に戻る。尚、速度変更指示部263は、変更前の回転速度を保持しておくものとした。
以下に、ステップS1307の処理について説明する。駆動トルクTa>基準トルクT0の場合、二次転写ローラ31の回転速度Vsが中間転写ベルト10の表面速度V1よりも遅い状態を示している。つまり、二次転写ローラ31が中間転写ベルト10に対して紙Kを引っ張っている状態である。
したがって、速度変更指示部263は、二次転写ローラ31の回転速度Vsを速くするように、二次転写制御部270へ速度変更の指示を行う。
駆動トルクTa<基準トルクT0の場合、二次転写ローラ31の回転速度Vsが中間転写ベルト10の表面速度V1よりも速い状態を示している。つまり、二次転写ローラ31が中間転写ベルト10に対して紙Kを押し込んでいる状態である。
したがって、速度変更指示部263は、二次転写ローラ31の回転速度Vsを遅くするように、二次転写制御部270へ速度変更の指示を行う。
ステップS1306において、大小関係が逆転した場合、速度調整部260は、速度算出部264により、大小関係が逆転する直前の二次転写モータ32の回転速度を取得する。そして、速度算出部264は、取得した回転速度と、大小関係が逆転したときの二次転写モータ32の回転速度から、この駆動トルクTa=基準トルクT0となる二次転写モータ32の回転速度を算出する(ステップS1308)。
ステップS1308に続くステップS1309の処理は、図9のステップS912の処理と同様であるから、説明を省略する。
以上のように、本実施形態によれば、通紙している状態においても、中間転写モータ21の駆動トルクTaが基準トルクT0と一致するように、二次転写モータ32の回転速度を制御する。よって、本実施形態によれば、中間転写モータ21は、通紙している状態においても単独で駆動している状態を再現することができ、中間転写モータ21に対するトルクの干渉の発生を抑制できる。
よって、本実施形態によれば、中間転写ベルト10の表面速度V1を、中間転写モータ21が単独で駆動しているときの速度に維持することができ、中間転写ベルト10の駆動を安定させることができる。
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して第三の実施形態について説明する。第三の実施形態は、駆動トルクTaの推定値を他の値で代用する点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
画像形成装置において、中間転写モータ21、二次転写モータ32、レジストモータ42が一定の回転速度に制御している状態では、駆動トルクの推定値以外の値を中間転写モータ21の駆動トルクTaの代わりに用いることができる。
その理由は、中間転写ベルト10、二次転写ローラ31、レジストローラ41の表面速度差による干渉トルクの変動が、フィードバック制御での制御帯域に含まれる周波数帯での変動であることによる。
各モータに対してフィードバック制御を行えば、各モータの回転速度が回転体制御部に反映される。つまり、各モータの駆動トルクの変動は、各モータの上流の各信号においても、反映される。
よって、本実施形態では、中間転写モータ21の駆動トルクTaの代わりに、中間転写モータ21に供給される電流指令値、駆動電流、PWM実測値、トルク実測値等を用いる場合を説明する。言い換えれば、中間転写モータ21に供給される電流指令値、駆動電流、PWM実測値、トルク実測値等を、中間転写モータ21の搬送力として用いる。
尚、本実施形態において、中間転写モータ21の搬送力として用いられる各値は、駆動トルクTaと比例関係を持った値である。
上述した各値は、中間転写モータ21の搬送力として用いられるため、本実施形態における回転体制御部による二次転写モータ32とレジストモータ42の回転速度を制御は、第一の実施形態と同様の手法で行われる。
図14は、電流指令値を用いる場合のモータ制御部を説明する図である。図14の画像形成装置300Bのモータ制御部200Bは、回転体制御部210Bと、ドライバ221A、222A、223Aと、FET231、232、233と、を有する。
回転体制御部210Bは、各ドライバに対して、各モータに供給する電流を指示する電流指令値を出力する。
本実施形態の回転体制御部210Bでは、この電流指令値を取得する取得部を有し、取得部が取得した電流指令値を中間転写モータ21の駆動トルクTaの代わりに用いる。
図15は、電流実測値を用いる場合のモータ制御部を説明する図である。
図15の画像形成装置300Cのモータ制御部200Cは、回転体制御部210Cと、ドライバ221、222、223と、FET231、232、233と、を有する。
回転体制御部210Cは、中間転写モータ21に流れる電流を検出する電流検出センサから、中間転写モータ21に流れる電流の実測値を取得する取得部を有し、取得部が取得した電流の実測値を中間転写モータ21の駆動トルクTaの代わりに用いる。
図16は、PWM実測値から駆動トルクを推定する場合のモータ制御部を説明する図である。
図16の画像形成装置300Dのモータ制御部200Dは、回転体制御部210Dと、ドライバ221B、222、223と、FET231、232、233と、を有する。
本実施形態のドライバ221Bは、回転体制御部210Dから供給されるPWM指令値に応じて生成したPWM信号のデューティを、PWM実測値として回転体制御部210Dへ出力する。より具体的には、ドライバ221Bは、例えばクロックカウンタ等を有しており、カウントされたクロックの数から得られるドライバ221Bで生成されたPWM信号のデューティを回転体制御部210Dへ出力している。
回転体制御部210Dは、このPWM実測値を取得する取得部を有し、取得部が取得したPWM実測値を中間転写モータ21の駆動トルクTaの代わりに用いる。
図17は、トルク実測値を用いる場合のモータ制御部を説明する図である。
図17の画像形成装置300Eのモータ制御部200Eは、回転体制御部210Eと、ドライバ221、222、223と、FET231、232、233と、を有する。
画像形成装置300Eでは、中間転写モータ21の駆動トルクTaを計測するトルク計90が中間転写モータ21に設けられている。トルク計90は、計測した駆動トルクTaを回転体制御部210Eに対して出力する。
回転体制御部210Eでは、トルク計90により計測された駆動トルクTaを取得する取得部を有し、この取得部が取得した駆動トルクTaを中間転写モータ21の駆動トルクTaの推定値の代わりに用いる。
以上のように、本実施形態によれば、中間転写モータ21の駆動トルクTaの代わりに他の値を用いることができるため、駆動トルクTaの推定値を算出しなくても良くなる。
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して第四の実施形態について説明する。第四の実施形態には、第一乃至第三の実施形態の搬送装置と構成が異なる搬送装置について説明する。
図18は、第四の実施形態の搬送装置を説明する図である。
本実施形態の搬送装置400は、感光体ベルト410と、感光体ベルト410を回転させるモータ制御部420と、を有する。
本実施形態の搬送装置400では、書き込み部430C、430M、430Y、430Kと、現像部440C、440M、440Y、440Kによって、帯電している感光体ベルト410に対し、レーザ光を用いて潜像を書き込み、トナーを用いて現像を行う。
搬送装置400では、潜像と現像を色版と同じ回数繰り返すことで、感光体ベルト410上のカラー画像が形成される。
感光体ベルト410は、ベルト駆動モータ411により回転駆動されており、転写ローラ412と対向ローラ413との間において、記録媒体Pにカラー画像が転写される。尚、転写ローラ412は、感光体ベルト410と接離が可能である。また、記録媒体Pは、レジストローラ415と、転写ローラ412とによって、搬送される。
転写ローラ412は、転写モータ414によって回転する。レジストローラ415は、レジストモータ416によって回転する。
本実施形態において、ベルト駆動モータ411は、モータ制御部420から出力される感光体ベルト制御信号によって制御される。また、転写モータ414は、モータ制御部420から出力される転写モータ制御信号によって制御され。レジストモータ416は、モータ制御部420から出力されるレジストモータ制御信号によって制御される。
ここで、本実施形態の搬送装置400のモータ制御部420は、感光体ベルト410と転写ローラ412とが離間した状態においてベルト駆動モータ411に供給される感光体ベルト制御信号の値と、記録媒体(シート)Pが感光体ベルト410と転写ローラ412に圧接された状態においてベルト駆動モータ411に供給される感光体ベルト制御信号の値が一致するように、転写ローラ412の回転速度を制御すれば良い。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。