以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる検査装置、検査システム、検査方法及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の印刷物検査システム1の一例を示す模式図である。図1に示すように、印刷物検査システム1は、印刷装置100と、印刷物検査装置200(検査装置の一例)と、スタッカ300とを、備える。
印刷装置100は、オペレーションパネル101と、感光体ドラム103Y、103M、103C、103Kと、転写ベルト105と、二次転写ローラ107と、給紙部109と、搬送ローラ対111と、定着ローラ113と、反転パス115とを備える。
オペレーションパネル101は、印刷装置100に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。
感光体ドラム103Y、103M、103C、103Kは、それぞれ、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)が行われることによりトナー像が形成され、形成されたトナー像を転写ベルト105に転写する。第1実施形態では、感光体ドラム103Y上にイエロートナー像が形成され、感光体ドラム103M上にマゼンタトナー像が形成され、感光体ドラム103C上にシアントナー像が形成され、感光体ドラム103K上にブラックトナー像が形成されるものとするが、これに限定されるものではない。
転写ベルト105は、感光体ドラム103Y、103M、103C、及び103Kから重畳して転写されたトナー像(フルカラーのトナー画像)を二次転写ローラ107の二次転写位置に搬送する。第1実施形態では、転写ベルト105には、まず、イエロートナー像が転写され、続いて、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が順次重畳して転写されるものとするが、これに限定されるものではない。
給紙部109は、複数の記録媒体が重ね合わせて収容されており、記録媒体を給紙する。記録媒体としては、例えば、記録紙が挙げられるが、これに限定されず、例えば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、プリプレグ、及び銅箔など画像を記録可能な媒体であればどのようなものであってもよい。
搬送ローラ対111は、給紙部109により給紙された記録媒体を搬送路a上で矢印s方向に搬送する。
二次転写ローラ107は、転写ベルト105により搬送されたフルカラーのトナー画像を、搬送ローラ対111により搬送された記録媒体上に二次転写位置で一括転写する。
定着ローラ113は、フルカラーのトナー画像が転写された記録媒体を加熱及び加圧することにより、フルカラーのトナー画像を記録媒体に定着する。
印刷装置100は、片面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体である印刷物を印刷物検査装置200へ排紙する。一方、印刷装置100は、両面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体を反転パス115へ送る。
反転パス115は、送られた記録媒体をスイッチバックすることにより記録媒体の表面・裏面を反転して矢印t方向に搬送する。反転パス115により搬送された記録媒体は、搬送ローラ対111により再搬送され、二次転写ローラ107により前回と逆側の面にフルカラーのトナー画像が転写され、定着ローラ113により定着され、印刷物として、印刷物検査装置200へ排紙される。
印刷物検査装置200は、読取部201と、オペレーションパネル203と、を備える。
オペレーションパネル203は、印刷物検査装置200に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。なお、オペレーションパネル203を省略してもよい。この場合、オペレーションパネル101がオペレーションパネル203を兼ねるようにしてもよいし、外部接続されたPC(Personal Computer)がオペレーションパネル203を兼ねるようにしてもよい。
読取部201は、印刷装置100から排紙された印刷物の一方の面を電気的に読み取る。読取部201は、例えば、ラインスキャナ等により実現できる。なお、印刷物検査装置200は、印刷物の他方の面を電気的に読み取る読取部を更に備えるようにしてもよい。この場合、印刷物の他方の面を電気的に読み取る読取部は、読取部201と同様の構成とすればよい。そして印刷物検査装置200は、読み取りが完了した印刷物をスタッカ300へ排紙する。
スタッカ300は、トレイ311を備える。スタッカ300は、印刷物検査装置200により排紙された印刷物をトレイ311にスタックする。
図2は、第1実施形態の印刷装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、印刷装置100は、コントローラ810とエンジン部(Engine)860とをPCIバスで接続した構成となる。コントローラ810は、印刷装置100の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部820からの入力を制御するコントローラである。エンジン部860は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、プロッタ等のプリントエンジンなどである。エンジン部860には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。
コントローラ810は、CPU(Central Processing Unit)811と、ノースブリッジ(NB)813と、システムメモリ(MEM−P)812と、サウスブリッジ(SB)814と、ローカルメモリ(MEM−C)817と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)816と、ハードディスクドライブ(HDD)818とを有し、ノースブリッジ(NB)813とASIC816との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス815で接続した構成となる。また、MEM−P812は、ROM812aと、RAM812bとをさらに有する。
CPU811は、印刷装置100の全体制御を行うものであり、NB813、MEM−P812およびSB814からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB813は、CPU811とMEM−P812、SB814、AGPバス815とを接続するためのブリッジであり、MEM−P812に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
MEM−P812は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM812aとRAM812bとからなる。ROM812aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM812bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB814は、NB813とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB814は、PCIバスを介してNB813と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC816は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス815、PCIバス、HDD818およびMEM−C817をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC816は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC816の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C817を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部860との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC816には、PCIバスを介してUSB840、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース(I/F)850が接続される。操作表示部820はASIC816に直接接続されている。
MEM−C817は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD818は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGPバス815は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P812に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
図3は、第1実施形態の印刷物検査装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、印刷物検査装置200は、コントローラ910とエンジン部(Engine)960とをPCIバスで接続した構成となる。コントローラ910は、印刷物検査装置200の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部920からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、スキャナ等のスキャナエンジンなどである。エンジン部960には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC916と、ハードディスクドライブ(HDD)918とを有し、ノースブリッジ(NB)913とASIC916との間をAGPバス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM912aと、RAM912bとをさらに有する。
CPU911は、印刷物検査装置200の全体制御を行うものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGPバス915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC916は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのICであり、AGPバス915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMACと、エンジン部960との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC916には、PCIバスを介してUSB940、IEEE1394インタフェース(I/F)950が接続される。操作表示部920はASIC916に直接接続されている。
MEM−C917は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGPバス915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
第1実施形態では、印刷物検査装置200が印刷物検査専用の装置である場合のハードウェア構成を例に取り説明したが、これに限定されるものではない。例えば、印刷物検査装置200をPC(Personal Computer)などの汎用のコンピュータで実現する場合には、汎用のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
図4は、第1実施形態の印刷装置100及び印刷物検査装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、印刷装置100は、RIP(Raster Image Processor)部121と、印刷制御部123と、印刷部125とを備える。印刷物検査装置200は、基準画像取得部251と、読取部253と、読取画像取得部255と、差分画像生成部257と、記憶部259と、折り畳み部261と、検査部263とを、備える。
なお第1実施形態では、印刷装置100が、RIP部121を備える場合を例に取り説明するが、これに限定されず、DFE(Digital Front End)など印刷装置100とは異なる装置がRIP部121を備えるようにしてもよい。
また第1実施形態では、印刷装置100と印刷物検査装置200とは、USB(Universal Serial Bus)やPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)等のローカルなインタフェースによって接続されていることを想定しているが、印刷装置100と印刷物検査装置200との接続形態は、これに限定されるものではない。
RIP部121及び印刷制御部123は、例えば、CPU811及びシステムメモリ812などにより実現できる。印刷部125は、例えば、感光体ドラム103Y、103M、103C、103K、転写ベルト105、二次転写ローラ107、及び定着ローラ113などにより実現されるが、これに限定されるものではない。このように第1実施形態では、電子写真方式で画像を印刷するが、これに限定されず、インクジェット方式で画像を印刷するようにしてもよい。
基準画像取得部251、読取画像取得部255、差分画像生成部257、折り畳み部261、及び検査部263は、例えば、CPU911及びシステムメモリ912などにより実現してもよいし、ASIC916などにより実現してもよいし、これらを併用して実現してもよい。読取部253は、読取部201で構成され、例えば、エンジン部960などにより実現できる。記憶部259は、例えば、HDD918などにより実現できる。
RIP部121は、ホスト装置などの外部装置から印刷データを受け取り、受け取った印刷データから、印刷物の生成元となる(印刷の基礎となる)元画像を生成する。具体的には、RIP部121は、印刷データをRIP処理し、元画像としてRIP画像(ビットマップ画像)を生成する。
第1実施形態では、印刷データは、PostScript(登録商標)などのページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたデータやTIFF(Tagged Image File Format)形式の画像データなどを含んで構成されるが、これに限定されるものではない。また第1実施形態では、元画像は、CMYKのRIP画像データであるものとするが、これに限定されるものではない。
印刷制御部123は、RIP部121により生成された元画像を印刷物検査装置200へ送信するとともに、印刷部125へ送信する。また印刷制御部123は、印刷物検査装置200から送信される(フィードバックされる)検査結果情報を用いて、例えば、印刷部125に対して差し替え印刷を指示したり、スタッカ300に対して品質検査に合格しなかった印刷物の排紙先の指定や品質検査に合格しなかった印刷物へのマーキングを行ったりする。
印刷部125は、作像プロセスなどの印刷処理プロセスを実行し、元画像に基づく印刷画像を記録紙に印刷することで、印刷物を生成する。
基準画像取得部251は、印刷物の検査基準となる基準画像を取得する。第1実施形態では、基準画像取得部251は、印刷装置100から元画像を取得し、取得した元画像に基づいて基準画像(マスター画像)を生成することで、基準画像を取得する。具体的には、基準画像取得部251は、印刷装置100(印刷制御部123)から、C、M、Y、KそれぞれのRIP画像を取得し、取得したC、M、Y、KそれぞれのRIP画像に対し、多値変換処理、平滑化処理、解像度変換処理、及び色変換処理などの各種画像処理を施し、基準画像を生成する。第1実施形態では、基準画像は、RGBの画像データであるものとするが、これに限定されるものではない。なお、基準画像取得部251は、印刷装置100から送信される元画像を基準画像として取得するようにしてもよい。
読取部253は、印刷部125により生成された印刷物を読み取って、読取画像を生成する。具体的には、読取部253は、元画像に基づく印刷画像が印刷された印刷物から、当該印刷画像を電子的に読み取って読取画像を生成する。第1実施形態では、読取画像は、RGBの画像データであるものとするが、これに限定されるものではない。
読取画像取得部255は、印刷物を読み取った読取画像を取得する。具体的には、読取画像取得部255は、読取部253により生成された読取画像を取得する。
差分画像生成部257は、基準画像取得部251により取得された基準画像と読取画像取得部255により取得された読取画像との差分を示す差分画像を生成する。具体的には、差分画像生成部257は、取得した基準画像と読取画像との位置合わせを行い、位置合わせ後の読取画像と基準画像とを画素単位で比較し、RGB各色の画素値の差分値を画素毎に算出し、画素毎の画素値の差分値で構成される差分画像を生成する。
記憶部259は、折り畳み部261及び検査部263で使用されるパラメータを記憶する。図5は、第1実施形態の記憶部259に記憶されているパラメータの一例を示す図である。図5に示す例では、折り畳み部261で使用されるパラメータとして、例えば、折り畳みの周期を示す周期長が挙げられ、検査部263で使用されるパラメータとして、例えば、欠陥判定に用いられる濃度閾値が挙げられているが、パラメータはこれらに限定されるものではない。
折り畳み部261は、検査画像として、差分画像生成部257により生成された差分画像を周期長で折り畳んだ画像を生成する。具体的には、折り畳み部261は、差分画像生成部257により生成された差分画像を、記憶部259に記憶されている周期長の整数倍の座標で切り出し、切り出した画像を重ね合せて画素値の平均をとることで、当該差分画像を周期長で折り畳んだ画像を生成する。なお、折り畳み部261は、差分画像を周期長の整数倍の座標で切り出す際に余った画像については、利用しなくてもよいし、部分的に重ね合せるようにしてもよい。
例えば、折り畳み部261は、図6に示すように、副走査方向に周期長503の周期で発生する周期的な欠陥部位505、506を有する差分画像501を、副走査方向において周期長503毎に切り出す(周期長503の整数倍の座標で切り出す)。そして折り畳み部261は、周期長503で切り出した画像を重ね合せて画素値の平均をとることで、図7に示すように、差分画像501を周期長503で折り畳んだ画像511を生成する。
これにより、画像511上では、差分画像501において周期長503で発生する欠陥部位505や506の成分は、欠陥部位515としてそのまま残るが、差分画像501において周期長503で発生しない成分は平滑化されるため、差分画像501に比べ、画像511のS/N比を向上できる。
例えば、差分画像501の信号の大きさS1を周期的な欠陥の差分値、ノイズの大きさN1を差分画像501の標準偏差とすると、差分画像501のS/N比は、S1/N1となる。一方、画像511の折り畳み回数をMとすると、画像511の信号の大きさSMは、周期的な欠陥の差分値は差分画像501と変わらないため、S1となる。しかし、画像511のノイズの大きさNMは、画像上での揺らぎが画像上のどの領域でも同様で独立であると仮定すると、分散や標準偏差の一般的な性質より、N1×(M^−0.5)となる。以上のように、差分画像501を折り畳むことでノイズが平滑化されるので、画像511のS/N比は、差分画像501のS/N比の(M^−0.5)倍向上することが分かる。
図8は、第1実施形態の実際の差分画像401の一例を示す図であり、図9は、第1実施形態の差分画像401を実際に折り畳んだ画像421の一例を示す図である。なお、差分画像401は、副走査方向に周期長405の周期で発生する周期的な欠陥部位411、412を有し、画像421は、差分画像401を周期長405で折り畳んだ画像である。また、画像421では、差分画像401において周期長405で発生する欠陥部位411や412の成分は、欠陥部位425として残っている。差分画像401と画像421とを比較すると、差分画像401のノイズに比べ画像421のノイズが平滑化されており、画像421のS/N比は、差分画像401のS/N比よりも向上していることが分かる。
検査部263は、折り畳み部261により生成された検査画像に基づいて、印刷物上での周期的な欠陥の有無を検査する。具体的には、検査部263は、折り畳み部261により生成された検査画像の各画素の画素値を、記憶部259に記憶されている濃度閾値と比較して2値化し、画素値が欠陥部位を表す隣接した画素同士をグループ化(ラべリング)する。これにより、検査部263は、2値化した画像上で、印刷物上に発生している周期的な欠陥を検出し、検査結果をHDD918に保存したり、印刷装置100に送信(フィードバック)したりする。
例えば、検査部263は、図10に示すように、検査画像である図7に示す画像511を、濃度閾値を超える画素の画素値を1、濃度閾値以下の画素の画素値を0に2値化することで、2値化画像521を生成する。そして検査部263は、2値化画像521において、画素値が1の隣接する画素同士(欠陥部位515を構成する画素同士)をグループ化(ラべリング)して周期的な欠陥部位525とすることで、2値化画像521上で、印刷物上に発生している周期的な欠陥を検出する。
図11は、第1実施形態の印刷物検査装置200で行われる処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、基準画像取得部251は、印刷装置100から元画像を取得し、取得した元画像に基づいて基準画像(マスター画像)を生成することで、基準画像を取得する(ステップS101)。
続いて、読取画像取得部255は、読取部253により生成された読取画像を取得する(ステップS103)。
続いて、差分画像生成部257は、基準画像取得部251により取得された基準画像と読取画像取得部255により取得された読取画像との差分を示す差分画像を生成する(ステップS105)。
続いて、折り畳み部261は、検査画像として、差分画像生成部257により生成された差分画像を周期長で折り畳んだ画像を生成する(ステップS107)。
続いて、検査部263は、折り畳み部261により生成された検査画像に基づいて、印刷物上での周期的な欠陥の有無を検査する(ステップS109)。
以上のように第1実施形態では、差分画像生成部257により生成された差分画像を周期長で折り畳むため、この折り畳まれた画像では、当該周期長で発生する成分はそのまま残るが、当該周期長で発生しない成分は平滑化される。そして第1実施形態では、この折り畳まれた画像を検査画像として、印刷物上での周期的な欠陥の有無を検査するため、周波数解析でピークが現れない周期的な欠陥であっても検出することができる。特に第1実施形態によれば、この折り畳まれた画像を検査画像として、印刷物上での周期的な欠陥の有無を検査するため、微弱な周期的な欠陥であっても検出することができる。
例えば、従来技術で説明したようなフーリエ解析により特定周波数のピークを検出する手法では、様々な周波数の無限に続く三角関数との相関を見ることになる。このため、例えば、ロールの歪みによる振動で印刷物上に三角関数で近似できるような揺らぎ(周期的な欠陥)が発生している場合、上述したフーリエ解析により特定周波数のピークを検出する手法でも、この周期的な欠陥を検出できる。但し、ロールに傷が付いていることなどが原因で一定周期毎に矩形波状(周期的な欠陥)が発生している場合、上述したフーリエ解析により特定周波数のピークを検出する手法では、周波数空間で信号が分散してしまいピークが現われないため、この周期的な欠陥を検出できない。
これに対し、第1実施形態の手法では、一定周期で矩形状に変化する信号(周期的な欠陥)との相関を見ているため、ロールに傷が付いていることなどが原因で一定周期毎に矩形波状(周期的な欠陥)が発生している場合であっても、この周期的な欠陥を検出できる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、非周期的な強い欠陥を周期的な欠陥として誤検出してしまうことを防止する例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
図12は、第2実施形態の印刷装置100及び印刷物検査装置1200の機能構成の一例を示すブロック図である。図12に示すように、印刷物検査装置1200は、記憶部1259及び折り畳み部1261が、第1実施形態と相違する。
記憶部1259は、折り畳み部1261で使用されるパラメータを記憶する。図13は、第2実施形態の記憶部1259に記憶されているパラメータの一例を示す図である。図13に示す例では、図5で説明したパラメータ(周期長)に加え、閾値の算出に用いられるパラメータとして、定数(閾値係数)や領域分割座標x、領域分割座標yが追加されている。
折り畳み部1261は、差分画像生成部257により生成された差分画像上の非周期的な欠陥部位の画素値を所定の画素値に置き換えたクリッピング画像を生成し、検査画像として、当該クリッピング画像を周期長で折り畳んだ画像を生成するものである。折り畳み部1261は、マスク画像生成部1265と、閾値算出部1267と、クリッピング画像生成部1269と、検査画像生成部1271と、を含む。
マスク画像生成部1265は、差分画像生成部257により生成された差分画像から、非周期的な欠陥部位をマスクとした非周期欠陥マスク画像を生成する。具体的には、マスク画像生成部1265は、差分画像の標準偏差に基づいて求められる第1の閾値を用いて、当該差分画像上の欠陥部位をマスクとした欠陥マスク画像を生成し、当該欠陥マスク画像を周期長で折り畳んだ画像から周期的な欠陥部位のマスクを解除して折り戻すことにより、非周期欠陥マスク画像を生成する。
以下、非周期欠陥マスク画像の生成手法を具体的に説明する。
まず、マスク画像生成部1265は、閾値算出部1267に第1の閾値の算出を依頼する。閾値算出部1267は、差分画像生成部257により生成された差分画像の標準偏差σを算出し、算出した標準偏差σのN倍の値を第1の閾値として、マスク画像生成部1265に出力する。なお、Nは、記憶部1259に記憶されている定数(閾値係数)であり、例えば、4〜8程度の値とすることができる。
なお、閾値算出部1267は、差分画像を構成する領域毎に第1の閾値を算出するようにしてもよい。この場合、閾値算出部1267は、記憶部1259に記憶されている領域分割座標x、領域分割座標yを用いて、差分画像を格子状の複数の領域に分割し、分割した領域毎に、標準偏差σを算出し、算出した標準偏差σのN倍の値を第1の閾値とすればよい。このようにすれば、差分画像上の揺らぎが一様でないような場合であっても、差分画像の領域毎に適切な値を第1の閾値とすることができる。なお、領域毎に第1の閾値を算出する場合、N(記憶部1259に記憶されている定数(閾値係数))は、領域毎に用意しておいてもよい。また第2実施形態では、差分画像の領域を格子状に分割する場合を例にとり説明したが、領域の分割手法はこれに限定されず、任意の形状に分割できる。
次に、マスク画像生成部1265は、閾値算出部1267により算出された第1の閾値を用いて、差分画像上の欠陥部位をマスクとした欠陥マスク画像を生成する。具体的には、マスク画像生成部1265は、差分画像の各画素の画素値を第1の閾値と比較して2値化することで、差分画像上の欠陥部位をマスクとした欠陥マスク画像を生成する。
例えば、マスク画像生成部1265は、図14に示すように、非周期的な欠陥部位1405と、副走査方向に周期的な欠陥部位1406、1407と、を有する差分画像1401を、第1の閾値で2値化することで、図15に示すように、欠陥部位1405、1406、1407を、それぞれ、マスク1415、1416、1417とした欠陥マスク画像1411を生成する。
次に、マスク画像生成部1265は、生成した欠陥マスク画像を周期長で折り畳んだ画像を生成し、当該折り畳んだ画像から、周期的な欠陥部位のマスクを解除する。具体的には、マスク画像生成部1265は、欠陥マスク画像を周期長で折り畳んだ画像を生成する際に、マスク部分の重なり回数をカウントし、所定回数以上重なった場合、周期的な欠陥部位のマスクと判定し、2値化された値のうちのマスクではない方の値に変換することで、周期的な欠陥部位のマスクを解除する。なお、所定回数については、記憶部1259にパラメータとして記憶しておけばよい。また、所定回数の値を欠陥マスク画像の折り畳み回数に応じて異ならせてもよい。また、折り畳み手法は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
例えば、マスク画像生成部1265は、図15に示す欠陥マスク画像1411を周期長で折り畳んだ画像を生成し、周期的な欠陥部位のマスクを解除することで、図16に示すような画像1421を生成する。マスク1415は非周期的な欠陥部位のマスクであるため、画像1421では、マスク1415の成分としてマスク1425が残っている。一方、マスク1416、1417は周期的な欠陥部位のマスクであるため、画像1421では、マスク1416、1417の成分としてマスク1426が残っておらず、解除されている。
次に、マスク画像生成部1265は、周期的な欠陥部位のマスクを解除した折り畳んだ画像を折り戻し、欠陥マスク画像との論理積をとることで、非周期欠陥マスク画像を生成する。
例えば、マスク画像生成部1265は、図16に示す画像1421を折り戻し(折り畳んだ回数分、画像1421を副走査方向に連結して、欠陥マスク画像1411と同様のサイズの画像とし)、欠陥マスク画像1411との論理積をとることで、図17に示すような非周期欠陥マスク画像1431を生成する。非周期欠陥マスク画像1431では、非周期的な欠陥部位のマスクであるマスク1415に相当するマスク1435がマスクとして残っており、周期的な欠陥部位のマスクであるマスク1416や1417に相当するマスクは残っていない。
クリッピング画像生成部1269は、マスク画像生成部1265により生成された非周期欠陥マスク画像上のマスクに対応する差分画像上の領域の画素値を所定の画素値に置き換えることにより、クリッピング画像を生成する。具体的には、クリッピング画像生成部1269は、非周期欠陥マスク画像上のマスクに対応する差分画像上の領域の画素値を、差分画像を周期長で折り畳んだ画像の標準偏差に基づいて求められる第2の閾値に置き換えることにより、クリッピング画像を生成する。
以下、クリッピング画像の生成手法を具体的に説明する。
まず、クリッピング画像生成部1269は、差分画像生成部257により生成された差分画像を周期長で折り畳んだ画像を生成する。なお、折り畳み手法は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、クリッピング画像生成部1269は、閾値算出部1267に第2の閾値の算出を依頼する。なお、閾値算出部1267の第2の閾値の算出手法は、差分画像が、差分画像を周期長で折り畳んだ画像である点を除き、第1の閾値の算出手法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、クリッピング画像生成部1269は、マスク画像生成部1265により生成された非周期欠陥マスク画像上のマスクに対応する差分画像上の領域の画素値を、第2の閾値に置き換えることにより、クリッピング画像を生成する。
例えば、クリッピング画像生成部1269は、図17に示す非周期欠陥マスク画像1431のマスク1435に対応する図14に示す差分画像1401上の非周期的な欠陥部位1405の画素値を、第2の閾値に置き換えることにより、図18に示すように、欠陥部位1405の画素値を第2の閾値に置き換えたクリッピング画像1451を生成する。
検査画像生成部1271は、検査画像として、クリッピング画像生成部1269により生成されたクリッピング画像を周期長で折り畳んだ画像を生成する。なお、折り畳み手法は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
検査部263の検査手法は、濃度閾値の代わりに第2の閾値を用いる点を除き、第1の閾値の検査手法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図19は、第2実施形態の印刷物検査装置1200で行われる処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS201〜S205の処理は、図11に示すステップS101〜S105の処理と同様である。
続いて、マスク画像生成部1265は、差分画像生成部257により生成された差分画像から、非周期的な欠陥部位をマスクとした非周期欠陥マスク画像を生成する(ステップS207)。なお、非周期欠陥マスク画像生成処理の詳細は後述する。
続いて、クリッピング画像生成部1269は、マスク画像生成部1265により生成された非周期欠陥マスク画像上のマスクに対応する差分画像上の領域の画素値を所定の画素値に置き換えることにより、クリッピング画像を生成する(ステップS209)。なお、クリッピング画像生成処理の詳細は後述する。
続いて、検査画像生成部1271は、検査画像として、クリッピング画像生成部1269により生成されたクリッピング画像を周期長で折り畳んだ画像を生成する(ステップS211)。
続いて、検査部263は、検査画像生成部1271により生成された検査画像に基づいて、印刷物上での周期的な欠陥の有無を検査する(ステップS213)。
図20は、第2実施形態の印刷物検査装置1200で行われる非周期欠陥マスク画像生成処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、閾値算出部1267は、差分画像生成部257により生成された差分画像の標準偏差σを算出し、算出した標準偏差σをN倍することで第1の閾値を算出する(ステップS301)。
続いて、マスク画像生成部1265は、閾値算出部1267により算出された第1の閾値を用いて、差分画像上の欠陥部位をマスクとした欠陥マスク画像を生成する(ステップS303)。
続いて、マスク画像生成部1265は、生成した欠陥マスク画像を周期長で折り畳んだ画像を生成し、周期的な欠陥部位のマスクを解除する(ステップS305)。
続いて、マスク画像生成部1265は、周期的な欠陥部位のマスクを解除した折り畳んだ画像を折り戻し(ステップS307)、欠陥マスク画像との論理積をとることで、非周期欠陥マスク画像を生成する(ステップS309)。
図21は、第2実施形態の印刷物検査装置1200で行われるクリッピング画像生成処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、クリッピング画像生成部1269は、差分画像生成部257により生成された差分画像を周期長で折り畳んだ画像を生成する(ステップS401)。
続いて、閾値算出部1267は、差分画像を周期長で折り畳んだ画像の標準偏差σを算出し、算出した標準偏差σをN倍することで第2の閾値を算出する(ステップS403)。
続いて、クリッピング画像生成部1269は、マスク画像生成部1265により生成された非周期欠陥マスク画像上のマスクに対応する差分画像上の領域の画素値を、第2の閾値に置き換えることにより、クリッピング画像を生成する(ステップS405)。
以上のように第2実施形態では、差分画像ではなく、差分画像上の非周期的な欠陥部位の画素値を第2の閾値に置き換えたクリッピング画像を周期長で折り畳んで検査画像を生成し、生成した検査画像を用いて、印刷物上での周期的な欠陥の有無を検査する。このため、非周期的な欠陥がとても強い欠陥であり、差分画像を折り畳んでも非周期的な欠陥部位の成分を平滑化できない場合であっても、非周期的な強い欠陥を周期的な欠陥として誤検出してしまうことを防止できる。
なお第2実施形態では、差分画像上の非周期的な欠陥部位の画素値を0ではなく第2の閾値にクリッピングしているが、これは、印刷物上での周期的な欠陥のうち一部が強い欠陥だった場合に、周期欠陥の検査を阻害しないようにするためである。例えば周期的な欠陥が2つあり、片方がマスク画像生成部の第1の閾値で反応するほどの強い欠陥で、もう片方がそうではない場合に、マスク部分の差分値を0にしてしまうと折り畳んで画素値を平均する際に平均値が不当に低くなり、周期欠陥として検出できなくなることがある。マスク部分の差分値を第2の閾値にクリッピングすれば、もう片方の欠陥の差分値が第2の閾値を越えてさえいれば周期欠陥として検出することができる。
(変形例)
上記各実施形態において、記憶部259に記憶されている、折り畳み部261や検査部263で使用されるパラメータを図22に示すように変形してもよい。変形例では、第1実施形態からの変形例を説明するが、これに限定されず、第2実施形態においても同様の変形を行うことができる。図22に示す例では、周期長や濃度閾値のセット(組)が複数用意されている。また、周期ずれ範囲や周期ずれ間隔なども用意されている。
図22に示すように、周期長や濃度閾値のセットを複数用意することで、周期長が異なる周期的な欠陥を同時に検査することができる。この場合、折り畳み部261は、差分画像に対し、周期長毎に、折り畳みを行って検査画像を生成し、検査部263は、検査画像毎に、印刷物上での周期欠陥の有無を検査すればよい。なお、検査部263は、検査の際には、検査画像の生成に用いられた周期長に対応する濃度閾値を用いる。つまり、検査部263は、図22に示す周期1の周期長で生成された検査画像の検査には、図22に示す周期1用の濃度閾値である閾値1を用い、図22に示す周期2の周期長で生成された検査画像の検査には、図22に示す周期2用の濃度閾値である閾値2を用いる。
図23は、変形例の印刷物検査装置200で行われる処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS501〜S505の処理は、図11に示すステップS101〜S105の処理と同様である。
続いて、折り畳み部261は、未使用の周期長があれば(ステップS507でYes)、検査画像として、差分画像生成部257により生成された差分画像を当該未使用の周期長で折り畳んだ画像を生成し(ステップS509)、ステップS507へ戻る。
一方、未使用の周期長がなければ(ステップS507でNo)、検査部263は、折り畳み部261により生成された検査画像毎に、印刷物上での周期的な欠陥の有無を検査する(ステップS511)。
なお、第2実施形態に本変形例を適用する場合、定数(閾値係数)については、周期長毎に用意してもよい。
また、差分画像を折り畳む周期長と周期的な欠陥の周期とのずれに対応するため、図22に示す周期ずれ範囲や周期ずれ間隔などのパラメータを使用するようにしてもよい。周期的な欠陥の周期は、ローラ径の公差や読取スキューなど様々な要因により、差分画像を折り畳む周期長とずれてしまうことがある。このずれが無視できないほど大きい場合、差分画像を折り畳む毎に周期的な欠陥がずれてしまうので、上述したS/N比の改善効果が期待できなくなる。
このため、折り畳み部261は、所定の間隔で所定の範囲まで周期長をずらして、差分画像を折り畳んだ画像を検査画像として生成してもよい。具体的には、折り畳み部261は、図22に示す周期ずれ間隔で図22に示す周期ずれ範囲まで周期長をずらして、差分画像を折り畳んだ画像を検査画像として生成する。そして検査部263は、各検査画像を用いて行った検査結果の論理積を最終的な検査結果とする。
また、周期長は、ミリメートル単位で表された長さであるが、実際に画像を折り畳む際には、画素ピッチ単位で表された長さに変換される。但し、この変換した画素ピッチ単位で表された長さとミリメートル単位で表された元の長さとが、完全に一致することはまれである。このため、周期長(ミリメートル単位で表された長さ)と差分画像を実際に折り畳む長さである折り畳み長(画素ピッチ単位で表された長さ)との間にずれ(折り畳みずれ)が生じるが、折り畳み部261は、この折り畳みずれを最大で1画素に収めるために、折り畳みずれが1画素を超えた場合、1画素ずらして折り畳む。これにより、折り畳みずれは、最大でも1画素以内に抑えられる。
また折り畳み部261は、差分画像の揺らぎが一様ではなく領域によって大きく異なる場合、折り畳んだときの平滑化効果に鑑みて、差分画像から切り出した画像を重ね合せるかを判断するようにしてもよい。
また上記各実施形態では、いずれの閾値についても正負を区別しなかったが、閾値の正負を区別するようにしてもよい。この場合、正負の閾値を予め用意したり、算出したりしてもよいし、上記各実施形態のように一方の閾値(例えば、正の閾値)を予め用意したり、算出したりし、この一方の閾値から他方の閾値(例えば、負の閾値)を求めるようにしてもよい。
また上記各実施形態において、検査部263は、検査画像から周期的な欠陥を検出しやすくするため、検査画像に対し、平滑化処理や尖鋭化処理などの欠陥を目立たせるための画像処理を施すようにしてもよいし、CSF関数のような、特定の周波数成分に強く反応するという人間の視覚特性に対応する空間周波数を得るフィルタとして機能する関数を利用した処理を施すようにしてもよい。
また上記各実施形態では、印刷装置と印刷物検査装置とが一体型となったオンライン型の印刷物検査システムを例に取り説明したが、印刷装置と印刷物検査装置とが別体となったオフライン型の印刷物検査システムであってもよい。
また上記各実施形態では、印刷物検査装置が印刷物検査専用の装置である場合を例に取り説明したが、スキャナなどの画像読取装置が外部接続されたPC(Personal Computer)などの汎用コンピュータとしてもよい。
また上記各実施形態では、検査対象が印刷物である場合を例に取り説明したが、検査対象の読取画像及び基準画像を取得可能であれば、検査対象は印刷物に限定されるものではない。
また上記各実施形態では、読取画像としてRGBの画像を想定しているが、例えば、特定波長帯域の光をそれぞれ透過させるフィルタとモノクロカメラを組み合わせて、各波長帯域の光から目的の表色系に変換して検査しても良い。
(プログラム)
上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。
また、上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。また、上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するようにしてもよい。
上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムは、上述した各部をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしては、例えば、CPUがROMからプログラムをRAM上に読み出して実行することにより、上記各機能部がコンピュータ上で実現されるようになっている。
なお、上記各実施形態及び各変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。