以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の印刷物検査システム1の一例を示す模式図である。図1に示すように、印刷物検査システム1は、印刷装置100と、印刷物検査装置200(画像処理装置の一例)と、スタッカ300とを、備える。
印刷装置100は、オペレーションパネル101と、感光体ドラム103Y、103M、103C、103Kと、転写ベルト105と、二次転写ローラ107と、給紙部109と、搬送ローラ対111と、定着ローラ113と、反転パス115とを備える。
オペレーションパネル101は、印刷装置100に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。
感光体ドラム103Y、103M、103C、103Kは、それぞれ、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)が行われることによりトナー像が形成され、形成されたトナー像を転写ベルト105に転写する。第1実施形態では、感光体ドラム103Y上にイエロートナー像が形成され、感光体ドラム103M上にマゼンタトナー像が形成され、感光体ドラム103C上にシアントナー像が形成され、感光体ドラム103K上にブラックトナー像が形成されるものとするが、これに限定されるものではない。
転写ベルト105は、感光体ドラム103Y、103M、103C、及び103Kから重畳して転写されたトナー像(フルカラーのトナー画像)を二次転写ローラ107の二次転写位置に搬送する。第1実施形態では、転写ベルト105には、まず、イエロートナー像が転写され、続いて、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が順次重畳して転写されるものとするが、これに限定されるものではない。
給紙部109は、複数の記録媒体が重ね合わせて収容されており、記録媒体を給紙する。記録媒体としては、例えば、記録紙が挙げられるが、これに限定されず、例えば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、プリプレグ、及び銅箔など画像を記録可能な媒体であればどのようなものであってもよい。
搬送ローラ対111は、給紙部109により給紙された記録媒体を搬送路a上で矢印s方向に搬送する。
二次転写ローラ107は、転写ベルト105により搬送されたフルカラーのトナー画像を、搬送ローラ対111により搬送された記録媒体上に二次転写位置で一括転写する。
定着ローラ113は、フルカラーのトナー画像が転写された記録媒体を加熱及び加圧することにより、フルカラーのトナー画像を記録媒体に定着する。
印刷装置100は、片面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体である印刷物を印刷物検査装置200へ排紙する。一方、印刷装置100は、両面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体を反転パス115へ送る。
反転パス115は、送られた記録媒体をスイッチバックすることにより記録媒体の表面・裏面を反転して矢印t方向に搬送する。反転パス115により搬送された記録媒体は、搬送ローラ対111により再搬送され、二次転写ローラ107により前回と逆側の面にフルカラーのトナー画像が転写され、定着ローラ113により定着され、印刷物として、印刷物検査装置200へ排紙される。
印刷物検査装置200は、読取部201と、オペレーションパネル203と、を備える。
オペレーションパネル203は、印刷物検査装置200に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。なお、オペレーションパネル203を省略してもよい。この場合、オペレーションパネル101がオペレーションパネル203を兼ねるようにしてもよいし、外部接続されたPC(Personal Computer)がオペレーションパネル203を兼ねるようにしてもよい。
読取部201は、印刷装置100から排紙された印刷物の一方の面を電気的に読み取る。図2は、第1実施形態の読取部201の一例を示す模式図である。図2に示すように、読取部201は、光沢用照明装置211(照明部の一例)と、濃度用照明装置212と、画像センサ213と、を備える。
光沢用照明装置211は、印刷物Pの読取領域(主走査方向の1ライン)に所定の入射角度θ1で入射する照明光221aを照射する。正反射光221bは、印刷物Pの読取領域に入射角度θ1で入射した照明光221aが当該読取領域において反射角度θ2(θ2=θ1)で入射方向とは反対側に反射された反射光、即ち、照明光221aが当該読取領域において鏡面反射した反射光である。
光沢用照明装置211は、複数の発光素子が印刷物Pの読取領域に平行な方向(主走査方向)に並設されたものなどを用いることができる。発光素子としては、例えば、反射型LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などを用いることができる。なお第1実施形態では、発光素子として青色の反射型LEDを用いる場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではない。
濃度用照明装置212は、印刷物Pの読取領域に所定の入射角度で入射する照明光222aを照射する。所定の入射角度は、入射角度θ1と異なる任意の角度であればよいが、例えば、90度が挙げられる。拡散反射光222bは、印刷物Pの読取領域に所定の入射角度で入射した照明光222aが当該読取領域において所定の入射角度とは異なる反射角度(図2に示す例では、θ2)で反射された反射光、即ち、照明光222aが当該読取領域において拡散反射した反射光である。濃度用照明装置212としては、例えば、キセノンランプやLEDアレイ等の拡散照明装置を用いることができる。
画像センサ213は、正反射光221bを受光して、当該正反射光221bの光量を読み取ったり、拡散反射光222bを受光して、当該拡散反射光222bの光量を読み取ったりする。このため、画像センサ213は、正反射光221b及び拡散反射光222bを受光可能な位置に配置されている。
画像センサ213は、例えば、複数の撮像素子が印刷物Pの読取領域に平行な方向(主走査方向)に並設されたものなどを用いることができる。撮像素子としては、例えば、MOS(Metal Oxide Semiconductor Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Device)、CCD(Charge Coupled Device)、及びCIS(Contact Image Sensor)などを用いることができる。
なお第1実施形態では、光沢用照明装置211と濃度用照明装置212とが同時に光を出射することはなく、画像センサ213の駆動に合わせて交互に光を出射するように構成されている。そして第1実施形態では、印刷物Pを副走査方向に1ライン分搬送する毎に、光沢用照明装置211から照明光221aを照射させて画像センサ213で正反射光221bの光量を読み取るとともに、濃度用照明装置212から照明光222aを照射して画像センサ213で拡散反射光222bの光量を読み取る動作を繰り返す。これにより、読取部201は、正反射光221bの光量から成る印刷物Pの各画素の光沢度を示す光沢度画像、及び拡散反射光222bの光量から成る印刷物Pの各画素の濃度を示す濃度画像を読み取る(生成する)。
光沢度は、鏡面光沢の度合いを数値で表したものであり、JIS(Japanese Industrial Standards) Z 8741やISO(International Organization for Standardization) 2813で規定される鏡面光沢度と同義である。つまり、光沢度画像は、印刷物Pの光沢分布として、任意の観察方向における正反射光の光量分布を示し、濃度画像は、印刷物Pの濃度分布として、任意の観察方向における拡散反射光の光量分布を示す。なお、光沢度画像及び濃度画像の読み取りの詳細については、例えば、特許文献1に開示されている。
また第1実施形態では、画像センサ213は、少なくとも、R、G、Bの3原色のチャネルを有していることを想定しているが、これに限定されるものではない。例えば、画像センサ213は、カラーフィルタなどにより、赤外や紫外などの3原色以外のチャネルを有していてもよい。また第1実施形態では、画像センサ213は、光沢度画像及び濃度画像のいずれを読み取る場合も、RGBの全てのチャンネル(3チャンネル)を用いて読み取りを行うものとするが、これに限定されるものではない。
例えば、光沢度画像については、1チャンネル分の読み取りで得られた情報により光沢度の分布を表せるため、光沢度画像の読み取りについては、いずれか1チャンネルを用いて読み取りを行うようにしてもよい。但し、印刷物がカタログなどの場合、ページにより紙の質が違ったり、艶を出すためにニスや加工がされていたり、光沢を出したい部分だけに部分的な加工がされる場合もある。このように、印刷物に様々な光沢が混在する場合、1チャネルでは計測レンジが足りず、1チャンネル分の読み取りで得られた情報では光沢度の分布を正確に表せないため、複数チャンネルを用いて光沢度画像の読み取りを行うようにしてもよい。
図1に戻り、印刷物検査装置200は、読み取りが完了した印刷物をスタッカ300へ排紙する。なお、印刷物検査装置200は、印刷物の他方の面を光学的に読み取る読取部を更に備えるようにしてもよい。この場合、印刷物の他方の面を光学的に読み取る読取部は、読取部201と同様の構成とすればよい。
スタッカ300は、トレイ311を備える。スタッカ300は、印刷物検査装置200により排紙された印刷物をトレイ311にスタックする。
図3は、第1実施形態の印刷装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、印刷装置100は、コントローラ810とエンジン部(Engine)860とをPCIバスで接続した構成となる。コントローラ810は、印刷装置100の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部820からの入力を制御するコントローラである。エンジン部860は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、プロッタ等のプリントエンジンなどである。エンジン部860には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。
コントローラ810は、CPU(Central Processing Unit)811と、ノースブリッジ(NB)813と、システムメモリ(MEM−P)812と、サウスブリッジ(SB)814と、ローカルメモリ(MEM−C)817と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)816と、ハードディスクドライブ(HDD)818とを有し、ノースブリッジ(NB)813とASIC816との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス815で接続した構成となる。また、MEM−P812は、ROM812aと、RAM812bとをさらに有する。
CPU811は、印刷装置100の全体制御を行うものであり、NB813、MEM−P812およびSB814からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB813は、CPU811とMEM−P812、SB814、AGPバス815とを接続するためのブリッジであり、MEM−P812に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
MEM−P812は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM812aとRAM812bとからなる。ROM812aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM812bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB814は、NB813とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB814は、PCIバスを介してNB813と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC816は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス815、PCIバス、HDD818およびMEM−C817をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC816は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC816の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C817を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部860との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC816には、PCIバスを介してUSB840、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース(I/F)850が接続される。操作表示部820はASIC816に直接接続されている。
MEM−C817は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD818は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGPバス815は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P812に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
図4は、第1実施形態の印刷物検査装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、印刷物検査装置200は、コントローラ910とエンジン部(Engine)960とをPCIバスで接続した構成となる。コントローラ910は、印刷物検査装置200の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部920からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、スキャナ等のスキャナエンジンなどである。エンジン部960には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC916と、ハードディスクドライブ(HDD)918とを有し、ノースブリッジ(NB)913とASIC916との間をAGPバス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM912aと、RAM912bとをさらに有する。
CPU911は、印刷物検査装置200の全体制御を行うものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGPバス915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC916は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのICであり、AGPバス915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMACと、エンジン部960との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC916には、PCIバスを介してUSB940、IEEE1394インタフェース(I/F)950が接続される。操作表示部920はASIC916に直接接続されている。
MEM−C917は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGPバス915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
図5は、第1実施形態の印刷装置100及び印刷物検査装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、印刷装置100は、RIP(Raster Image Processor)部121と、印刷制御部123と、印刷部125とを備える。印刷物検査装置200は、読取部251と、基準光沢度画像取得部253と、算出部255と、記憶部257と、受付部259と、表示制御部261と、修正部263と、印刷物光沢度画像取得部265と、濃度画像取得部267と、差分画像生成部269と、補正部271と、検査部273とを、備える。
なお第1実施形態では、印刷装置100が、RIP部121を備える場合を例に取り説明するが、これに限定されず、DFE(Digital Front End)など印刷装置100とは異なる装置がRIP部121を備えるようにしてもよい。
また第1実施形態では、印刷装置100と印刷物検査装置200とは、USB(Universal Serial Bus)やPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)等のローカルなインタフェースによって接続されていることを想定しているが、印刷装置100と印刷物検査装置200との接続形態は、これに限定されるものではない。
RIP部121及び印刷制御部123は、例えば、CPU811及びシステムメモリ812などにより実現できる。印刷部125は、例えば、感光体ドラム103Y、103M、103C、103K、転写ベルト105、二次転写ローラ107、及び定着ローラ113などにより実現されるが、これに限定されるものではない。このように第1実施形態では、電子写真方式で画像を印刷するが、これに限定されず、インクジェット方式で画像を印刷するようにしてもよい。
読取部251は、読取部201で構成され、例えば、エンジン部960などにより実現できる。基準光沢度画像取得部253、算出部255、受付部259、表示制御部261、修正部263、印刷物光沢度画像取得部265、及び濃度画像取得部267は、例えば、CPU911及びシステムメモリ912などにより実現できる。差分画像生成部269、補正部271、及び検査部273は、例えば、CPU911及びシステムメモリ912などにより実現してもよいし、ASIC916などにより実現してもよいし、これらを併用して実現してもよい。なお、差分画像生成部269、補正部271、及び検査部273を、CPU911ではなくGPU(Graphics Processing Unit)により実現してもよい。記憶部257は、例えば、HDD918などにより実現できる。
また、図1に示すオペレーションパネル101は、操作表示部820により実現され、図1に示すオペレーションパネル203は、操作表示部920により実現される。
以下では、印刷装置100及び印刷物検査装置200の動作について、最初に、照明ムラを補正するための補正値の算出動作について説明し、その後に、印刷物の品質を検査する検査動作について説明する。
まず、補正値の算出動作について説明する。
読取部201は、基準物を読み取って、当該基準物の光沢度を示す基準光沢度画像を生成する。具体的には、読取部201を構成する光沢用照明装置211が、基準物に照明光221aを照射し、読取部201を構成する画像センサ213が、基準物により反射された正反射光221bを読み取ることにより(に基づいて)、基準光沢度画像を生成する。第1実施形態では、基準光沢度画像は、RGBの画像データであるものとするが、これに限定されるものではない。
また第1実施形態では、基準物は、検査対象の印刷物(詳細には、印刷物の生成に用いられる記録媒体)よりも写像性が高い物体(例えば、検査対象の印刷物よりも写像性が高い記録媒体や白板など)とするが、この理由については、後述する。なお、写像性とは、例えば、JIS Z 8741やISO 2813で規定される写像性と同義であり、詳細には、皮膜の表面で反射する物体の像が、どの程度鮮明に歪みなく見えるかの度合いを数値(パーセンテージ)で表したものである。
つまり、写像性が高い物体ほど、反射する物体の像が鮮明となり、写像性が低い物体ほど、反射する物体の像が崩れ、ぼやけてしまう。例えば、図6に示す「あ」という文字が印刷された記録媒体の写像性が高い場合、反射する物体の像は、図7に示すように鮮明となる。一方、図6に示す「あ」という文字が印刷された記録媒体の写像性が低い場合、反射する物体の像は、図8に示すようにぼやけてしまう。
なお、基準物の読み取りの場合、読取部201は、少なくとも基準光沢度画像を生成すればよく、濃度画像については生成しなくてもよい。つまり、読取部201を構成する濃度用照明装置212が、基準物に照明光222aを照射しなくてもよい。
基準光沢度画像取得部253は、読取部201により生成された基準光沢度画像を取得する。
算出部255は、基準光沢度画像取得部253により取得された基準光沢度画像に基づいて、照明ムラを補正するための補正値を算出し、記憶部257に記憶する。
ここで、読取部201により生成される光沢度画像に生じる照明ムラについて説明する。図9は、第1実施形態の照明ムラの一例の説明図である。図9に示すように、光沢用照明装置211は、複数の反射型LEDが並設されている構成であるため、反射型LED間の照明が弱くなってしまう。このため、光沢用照明装置211から照射される照明光221a、及び当該照明光221aの正反射光221bの照度は、照度分布311のような分布となり、照度が一様とならない。この結果、読取部201(画像センサ213)が正反射光221bを読み取ることにより生成される光沢度画像312には、図9に示すように、照明ムラが生じてしまう。
このため算出部255は、基準光沢度画像を用いて、上述のような照明ムラを補正するための補正値を算出する。
例えば、算出部255は、数式(1)を用いて、補正値を算出する。
ここで、xは、基準光沢度画像のx座標を示し、yは、基準光沢度画像のy座標を示す。なお、x軸方向は、主走査方向であり、y軸方向は、副走査方向である。S(x,y)は、画素(x,y)の画素値を示す。hは、副走査方向の画素数(y座標の最大値)を示す。K(x)は、x座標での補正値を示す。
つまり、数式(1)では、x座標毎に、y軸方向(副走査方向)での画素値の平均値を補正値として算出する。
また例えば、算出部255は、数式(2)を用いて、ノイズ等の影響で異常値となった画素値を除去して、補正値を算出してもよい。
ここで、μは、基準光沢度画像の画素値の平均値を示し、σは、基準光沢度画像の画素値の標準偏差を示す。数式(2)では、上述のように、ノイズ等の影響で異常値となった画素値を除去して補正値を算出するため、μ−3σ<S(x,y)<μ+3σを満たす画素値を用いて補正値(平均値)算出する。
また例えば、算出部255は、数式(3)を用いて、照明ムラに応じた重みを反映して補正値を算出してもよい。
ここで、D(x)は、照度分布311に基づいて求められる重みであり、詳細には、照度分布311が示す照度のうち、基準光沢度画像のx座標に対応する位置での照度に対する重みである。
ここで、前述した、基準物の写像性を、検査対象の印刷物(詳細には、印刷物の生成に用いられる記録媒体)よりも高くする理由について説明する。図10は、写像性が低い物体(例えば、普通紙)の光沢度画像321と、写像性が高い物体(例えば、コート紙)の光沢度画像322と、を示す図であり、図11は、光沢度画像321の副走査方向での画素値の平均値を主走査方向の画素位置毎にプロットしたグラフ341と、光沢度画像322の副走査方向での画素値の平均値を主走査方向の画素位置毎にプロットしたグラフ342と、を示す図である。なお、光沢度画像321と光沢度画像322の生成条件(使用する照明装置や紙の状態)は、同一であるものとする。
図10及び図11から明らかなように、光沢度画像321に比べ、光沢度画像322の方が、照明ムラが鮮明に反映されているが、これは、光沢度画像322の生成に用いられた物体の方が光沢度画像321よりも写像性が高いためである。このように、写像性が高い物体の光沢度画像ほど、当該物体の像だけでなく、当該光沢度画像の生成に用いた照明装置の照明ムラの状態も鮮明に反映できる。
そして第1実施形態では、詳細は後述するが、基準光沢度画像を用いて算出した補正値に基づいて、検査対象の印刷物の光沢度画像に生じた照明ムラを補正する。この際、基準光沢度画像の生成に用いた基準物の写像性が、検査対象の印刷物の写像性よりも低いと、照明ムラの鮮明度が低い基準光沢度画像から算出した補正値に基づいて、照明ムラの状態が鮮明に反映されている検査対象の印刷物の光沢度画像の照明ムラを補正することになり、照明ムラを精度よく補正できない。
このため第1実施形態では、検査対象の印刷物よりも写像性が高い物体を基準物とし、照明ムラの状態が鮮明に反映されている基準光沢度画像から算出した補正値に基づいて、照明ムラの状態の鮮明度が基準光沢度画像よりも低い検査対象の印刷物の光沢度画像の照明ムラを補正することで、検査対象の印刷物の光沢度画像の照明ムラを精度よく補正できるようにする。
表示制御部261は、記憶部257に補正値が記憶されると、当該補正値が求められた基準物の写像性を入力させる入力画面をオペレーションパネル203に表示する。例えば、表示制御部261は、記憶部257に記憶された補正値が求められた基準物を識別する識別情報、及び当該基準物の写像性を示す写像性情報を入力させる入力画面をオペレーションパネル203に表示する。なお、写像性情報が示す写像性は、例えば、0%〜100%の範囲内の値で表され、値(パーセンテージ)が高いほど写像性が高くなる。
受付部259は、ユーザによるオペレーションパネル203からの操作入力により、補正値が求められた基準物の識別情報及び写像性情報の入力を受け付け、補正値に対応付けて、記憶部257に記憶する。なお、ユーザにとって、基準物の写像性は既知であるため、ユーザは、基準物の写像性情報を入力できるものとする。
次に、印刷物の品質を検査する検査動作について説明する。
まず、受付部259は、検査対象の印刷物(詳細には、印刷物の生成に用いられる記録媒体)の写像性を示す写像性情報の入力を受け付ける。
例えば、表示制御部261は、図12に示すような、印刷物の生成に用いられる記録媒体をユーザに選択させる選択画面をオペレーションパネル203に表示し、受付部259は、ユーザによるオペレーションパネル203からの操作入力により、印刷物の生成に用いられる記録媒体を選択する入力を受け付けることで、当該記録媒体の写像性情報の入力を受け付ける。この例の場合、記憶部257には、選択対象の記録媒体の識別情報毎に当該記録媒体の写像性情報が対応付けて記憶されており、受付部259は、ユーザにより選択された記憶媒体の識別情報に対応付けられた写像性情報を記憶部257から取得することで、当該記憶媒体の写像性情報を受け付ける。なお、図12に示す例では、選択候補欄332に表示されたPaperA〜PaperDのうち、ユーザによりPaperAが選択され、選択欄331に表示されているので、受付部259は、PaperAの写像性情報を受け付ける。
修正部263は、検査対象の印刷物(詳細には、印刷物の生成に用いられる記録媒体)の写像性に基づいて、記憶部257に記憶された補正値(算出部255により基準光沢度画像から求められた補正値)を修正する。具体的には、修正部263は、受付部259により受け付けられた検査対象の印刷物の写像性情報が示す写像性に基づいて、記憶部257に記憶された補正値を修正する。詳細には、修正部263は、記憶部257に記憶されている基準物の補正値及び写像性情報を取得し、取得した写像性情報、及び受付部259により受け付けられた検査対象の印刷物の写像性情報を用いて、取得した基準物の補正値を修正する。
例えば、修正部263は、数式(4)を用いて、補正値を修正する。
ここで、F(i)は、フィルタ関数を示す。フィルタ関数F(i)としては、例えば、数式(5)に示す平滑化フィルタ(但し、移動平均とした場合)や、数式(6)に示す
ガウシアンフィルタが挙げられる。
また、Fは、フィルタ係数を示し、nは、フィルタサイズを示し、K’(x)は、修正後の補正値を示す。フィルタサイズnは、基準物の写像性と検査対象の印刷物の写像性との差が大きいほど値が大きくなることが好ましく、例えば、n=A×(基準物の写像性−検査対象の印刷物の写像性)とすることができる。なお、Aは、減衰係数を示す。
これにより、補正値は、検査対象の印刷物の写像性から想定される、当該検査対象の印刷物の光沢度画像に反映される照明ムラの状態を補正するのに適した値に修正される(鈍らせられる)。例えば、補正値が図13に示すグラフのような値で表される場合、この修正により、補正値は、図14に示すグラフのような値に修正される(鈍らせられる)。
RIP部121は、ホスト装置などの外部装置から印刷データを受け取り、受け取った印刷データをRIP処理し、RIP画像を生成する。第1実施形態では、印刷データは、PostScript(登録商標)などのページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたジョブ情報やTIFF(Tagged Image File Format)形式の画像データなどを含んで構成されるが、これに限定されるものではない。また第1実施形態では、RIP画像は、CMYKのRIP画像データであるものとするが、これに限定されるものではない。
印刷制御部123は、RIP部121により生成されたRIP画像を印刷部125へ送信するとともに、当該RIP画像を印刷物検査装置200へ送信する。
印刷部125は、作像プロセスなどの印刷処理プロセスを実行し、RIP画像に基づく印刷画像を記録媒体に印刷し、印刷物を生成する。
読取部201は、印刷部125により印刷された(生成された)検査対象の印刷物を読み取って、当該印刷物の濃度を示す濃度画像を生成するとともに、当該印刷物の光沢度を示す印刷物光沢度画像を生成する。具体的には、読取部201を構成する濃度用照明装置212が、検査対象の印刷物に照明光222aを照射し、読取部201を構成する画像センサ213が、検査対象の印刷物により反射された正反射光222bを読み取ることにより(に基づいて)、濃度画像を生成する。なお、印刷物光沢度画像の生成については、基準物が検査対象の印刷物である点を除き、基準光沢度画像の生成と同様である。第1実施形態では、濃度画像及び印刷物光沢度画像は、RGBの画像データであるものとするが、これに限定されるものではない。
印刷物光沢度画像取得部265は、読取部201により生成された印刷物光沢度画像を取得する。
補正部271は、修正部263により修正された補正値に基づいて、印刷物光沢度画像取得部265により取得された印刷物光沢度画像を補正する。例えば、補正部271は、数式(7)を用いて、印刷物光沢度画像を補正する。
ここで、Aは、定数を示し、基準物の光沢度が検査対象の印刷物よりも高いほど、高い値であり、基準物の光沢度が検査対象の印刷物よりも低いほど、低い値である。例えば、印刷物光沢度画像の1画素が8ビットであり、基準物の光沢度が撮影上限であることを想定した、A=250とできる。また、S’(x,y)は、画素(x,y)の補正後の画素値を示す。
これにより、印刷物光沢度画像上の照明ムラが補正される。
濃度画像取得部267は、読取部201により生成された濃度画像を取得する。
差分画像生成部269は、印刷装置100からRIP画像を取得し、取得したRIP画像に基づいて基準画像(マスター画像)を生成する。具体的には、差分画像生成部269は、印刷装置100(印刷制御部123)から、C、M、Y、KそれぞれのRIP画像を取得し、取得したC、M、Y、KそれぞれのRIP画像に対し、多値変換処理、平滑化処理、解像度変換処理、及び色変換処理などの各種画像処理を施し、基準画像を生成する。第1実施形態では、基準画像は、RGBの画像データであるものとするが、これに限定されるものではない。
そして差分画像生成部269は、生成した基準画像と濃度画像取得部267により取得された濃度画像との差分を示す差分画像を生成する。具体的には、差分画像生成部269は、基準画像と濃度画像とを画素単位で比較し、RGB各色の画素値の差分値を画素毎に算出し、画素毎の画素値の差分値で構成される差分画像を生成する。
検査部273は、補正部271により補正された印刷物光沢度画像に基づいて、印刷物を検査する。例えば、検査部273は、補正部271により補正された印刷物光沢度画像を構成する各画素の画素値と、光沢度検査用の閾値との大小関係に基づいて、印刷物の光沢欠陥を検査する。なお、印刷物光沢度画像を用いた印刷物の検査手法については、例えば、特許文献1に記載された手法を採用すればよいため、詳細な説明は省略する。
また検査部273は、差分画像生成部269により生成された差分画像に基づいて、印刷物を検査する。例えば、検査部273は、差分画像生成部269により生成された差分画像を構成する各画素の差分値と、濃度度検査用の閾値との大小関係に基づいて、印刷装置100により生成された印刷物の濃度欠陥を検査する。例えば、差分値の大きい箇所(画素群)や差分のある面積が広い箇所(画素群)が濃度欠陥となる。
そして検査部273は、光沢欠陥の位置及び濃度欠陥の位置や種類などの検査結果、濃度画像、光沢度画像、及び差分画像を対応付けてHDD918に保存したり、印刷装置100に送信(フィードバック)したりする。なお、検査部273の検査結果を表示制御部261が表示するようにしてもよい。
図15は、第1実施形態の印刷物検査システム1で行われる補正値の算出処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、基準光沢度画像取得部253は、読取部201により生成された基準光沢度画像を取得する(ステップS101)。
続いて、算出部255は、基準光沢度画像取得部253により取得された基準光沢度画像に基づいて、照明ムラを補正するための補正値を算出し、記憶部257に記憶する(ステップS103)。
そして、受付部259は、ユーザによるオペレーションパネル203からの操作入力により、補正値が求められた基準物の識別情報及び写像性情報の入力を受け付け、補正値に対応付けて、記憶部257に記憶する。
図16は、第1実施形態の印刷物検査システム1で行われる印刷物の品質検査処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。但し、処理順序は、これに限定されるものではない。
まず、受付部259は、検査対象の印刷物(詳細には、印刷物の生成に用いられる記録媒体)の写像性を示す写像性情報の入力を受け付ける(ステップS201)。
続いて、修正部263は、記憶部257に記憶されている基準物の補正値及び写像性情報を取得し、取得した写像性情報、及び受付部259により受け付けられた検査対象の印刷物の写像性情報を用いて、取得した基準物の補正値を修正する(ステップS203)。
続いて、濃度画像取得部267は、読取部201により生成された濃度画像を取得する
(ステップS205)。
続いて、印刷物光沢度画像取得部265は、読取部201により生成された印刷物光沢度画像を取得する(ステップS207)。
続いて、差分画像生成部269は、印刷装置100からRIP画像を取得し、取得したRIP画像に基づいて基準画像(マスター画像)を生成することで、基準画像を取得する(ステップS209)。
続いて、差分画像生成部269は、取得した基準画像と濃度画像取得部267により取得された濃度画像との差分を示す差分画像を生成する(ステップS211)。
続いて、補正部271は、修正部263により修正された補正値に基づいて、印刷物光沢度画像取得部265により取得された印刷物光沢度画像を補正する(ステップS213)。
続いて検査部273は、差分画像生成部269により生成された差分画像及び補正部271により補正された印刷物光沢度画像に基づいて、印刷物を検査する(ステップS215)。
以上のように第1実施形態によれば、基準物から生成した照明ムラを補正するための補正値を印刷物の写像性を考慮して修正し、修正した補正値を用いて、印刷物の光沢度画像に生じた照明ムラを補正するため、印刷物の光沢度画像に生じた照明ムラを精度よく補正することができる。このため、この印刷物の光沢度画像を用いて、印刷物の光沢欠陥を検査すれば、印刷物の光沢欠陥も精度よく検出できる。
(変形例1)
変形例1では、基準物の写像性情報や検査対象の印刷物の写像性情報を自動で入力する例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
図17は、変形例1の印刷装置100及び印刷物検査装置1200の機能構成の一例を示すブロック図である。図17に示すように、変形例1の印刷物検査装置1200は、検出部1275及び修正部1263が、第1実施形態と相違する。
検出部1275は、基準物から写像性を検出したり、検査対象の印刷物から写像性を検出したりする。検出部1275としては、JIS Z 8741やISO 2813で規定される物体の写像性を検出するための専用の検出装置などが挙げられる。
修正部1263は、検出部1275により検出された検査対象の印刷物の写像性に基づいて、補正値を修正する。具体的には、修正部1263は、補正値の算出動作時においては、検出部1275により基準物の写像性が検出されると、補正値に対応付けて、当該基準物の写像性情報を記憶部257に記憶する。そして、修正部1263は、印刷物の品質検査動作時においては、検出部1275により検査対象の印刷物の写像性が検出されると、記憶部257に記憶されている基準物の補正値及び写像性情報を取得し、取得した写像性情報、及び検出部1275により検出された検査対象の印刷物の写像性情報を用いて、取得した基準物の補正値を修正する。
以上のように変形例1においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(変形例2)
変形例2では、印刷物の光沢欠陥を検査者の目視により行わせる例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
図18は、変形例2の印刷装置100及び印刷物検査装置2200の機能構成の一例を示すブロック図である。図18に示すように、変形例2の印刷物検査装置2200は、検査部2273及び表示制御部2261が、第1実施形態と相違する。
表示制御部2261は、補正部271により補正された印刷物光沢度画像に基づく画像をオペレーションパネル203に表示する。これにより、検査者は、オペレーションパネル203上に表示された画像を確認することで、印刷物の光沢欠陥を目視で確認できる。なお、印刷物光沢度画像に基づく画像は、印刷物光沢度画像そのものであっても、印刷物光沢度画像に何らかの画像処理を加えた画像であってもよい。
検査部2273は、印刷物の光沢欠陥の検査については、検査者の目視による検査結果を取得し(例えば、受付部259から受け付け)、印刷物の濃度欠陥の検査については、第1実施形態と同様に行えばよい。
以上のように変形例2においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第2実施形態)
第2実施形態では、複数の基準物について補正値を求めておき、写像性が検査対象の印刷物と最も近い基準物の補正値を用いて、印刷物光沢度画像を補正する例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
図19は、第2実施形態の印刷装置100及び印刷物検査装置3200の機能構成の一例を示すブロック図である。図19に示すように、第2実施形態の印刷物検査装置3200は、補正部3271及び選択部3277が、第1実施形態と相違する。
但し、第2実施形態では、補正値の算出動作は、複数の基準物それぞれについて行われるものとする。つまり、基準光沢度画像取得部253は、基準物毎に、当該基準物の基準光沢度画像を取得し、算出部255は、基準光沢度画像毎に、当該基準光沢度画像に基づいて、照明ムラを補正するための補正値を算出し、受付部259は、基準物毎に、当該基準物の識別情報及び写像性情報の入力を受け付け、当該基準物の補正値に対応付けて、記憶部257に記憶する。
選択部3277は、算出部255により算出された複数の補正値のうち印刷物の写像性に応じた補正値を選択する。具体的には、選択部3277は、受付部259により受け付けられた検査対象の印刷物の写像性情報を用いて、記憶部257から、当該写像性情報が示す写像性と最も値が近い写像性を示す写像性情報に対応付けられた基準物の補正値を取得する。
補正部3271は、選択部3277により選択された補正値に基づいて、印刷物光沢度画像取得部265により取得された印刷物光沢度画像を補正する。
以上のように第2実施形態によれば、印刷物の写像性と最も値が近い写像性の基準物から生成した照明ムラを補正するための補正値、即ち、検査対象の印刷物の写像性から想定される、当該検査対象の印刷物の光沢度画像に反映される照明ムラの状態を補正するのに適した補正値を用いて、印刷物の光沢度画像に生じた照明ムラを補正する。このため、印刷物の光沢度画像に生じた照明ムラを精度よく補正することができる。このため、この印刷物の光沢度画像を用いて、印刷物の光沢欠陥を検査すれば、印刷物の光沢欠陥も精度よく検出できる。
(変形例3)
変形例3では、基準物の写像性情報や検査対象の印刷物の写像性情報を自動で入力する例について説明する。なお以下では、第2実施形態との相違点の説明を主に行い、第2実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
図20は、変形例3の印刷装置100及び印刷物検査装置4200の機能構成の一例を示すブロック図である。図20に示すように、変形例3の印刷物検査装置4200は、検出部1275及び選択部4277が、第2実施形態と相違する。
検出部1275は、基準物から写像性を検出したり、検査対象の印刷物から写像性を検出したりする。検出部1275としては、JIS Z 8741やISO 2813で規定される物体の写像性を検出するための専用の検出装置などが挙げられる。
選択部4277は、検出部1275により検出された検査対象の印刷物の写像性に基づいて、補正値を選択する。具体的には、選択部4277は、補正値の算出動作時においては、検出部1275により基準物の写像性が検出されると、補正値に対応付けて、当該基準物の写像性情報を記憶部257に記憶する。そして、選択部4277は、印刷物の品質検査動作時においては、検出部1275により検査対象の印刷物の写像性が検出されると、記憶部257から、当該写像性と最も値が近い写像性を示す写像性情報に対応付けられた基準物の補正値を取得する。
以上のように変形例3においても、第2実施形態と同様の効果を奏する。
(変形例4)
変形例4では、印刷物の光沢欠陥を検査者の目視により行わせる例について説明する。なお以下では、第2実施形態との相違点の説明を主に行い、第2実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第2実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
図21は、変形例4の印刷装置100及び印刷物検査装置5200の機能構成の一例を示すブロック図である。図21に示すように、変形例4の印刷物検査装置5200は、検査部5273及び表示制御部5261が、第2実施形態と相違する。
表示制御部5261は、補正部3271により補正された印刷物光沢度画像に基づく画像をオペレーションパネル203に表示する。これにより、検査者は、オペレーションパネル203上に表示された画像を確認することで、印刷物の光沢欠陥を目視で確認できる。なお、印刷物光沢度画像に基づく画像は、印刷物光沢度画像そのものであっても、印刷物光沢度画像に何らかの画像処理を加えた画像であってもよい。
検査部5273は、印刷物の光沢欠陥の検査については、検査者の目視による検査結果を取得し(例えば、受付部259から受け付け)、印刷物の濃度欠陥の検査については、第2実施形態と同様に行えばよい。
以上のように変形例4においても、第2実施形態と同様の効果を奏する。
(変形例5)
上記各実施形態及び各変形例では、印刷物検査装置を専用の装置で実現する場合を例に取り説明したが、読取部251の機能を実現する画像読取装置とPCなどの汎用のコンピュータとの組み合わせで、印刷物検査装置を実現してもよい。
(プログラム)
上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。
また、上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。また、上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するようにしてもよい。
上記各実施形態及び各変形例の印刷物検査装置で実行されるプログラムは、上述した各部をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしては、例えば、CPUがROMからプログラムをRAM上に読み出して実行することにより、上記各機能部がコンピュータ上で実現されるようになっている。
なお、上記実施形態及び各変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。