JP6938196B2 - ラミネートフィルム付き金属箔 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂フィルムを有する(積層(ラミネート)した)金属箔に関するものである。特に樹脂フィルムを積層したステンレス箔(ラミネートフィルム付きステンレス箔)において、厚さ70μm以下の極めて薄い板厚のステンレス箔においても安定した伸び変形挙動を示すラミネートフィルム付きステンレス箔に関するものである。
小型リチウムイオン電池の電池ケースは、アルミニウム薄板の缶型や樹脂フィルムをラミネートしたアルミニウム箔(アルミ箔)が使用されている。特に、体積当たりの容量密度の向上を目的として、耐酸性の樹脂フィルムをラミネートしたアルミ箔が多用されている。最近では、更なる小型軽量化を目的に、より薄い外装材が求められている。
しかし、基材であるアルミニウム箔は、板厚を薄くすること(薄手化)により製造過程でピンホールが発生しやすくなり、水分バリヤ性が確保できない。また薄手化により突き刺し強度や剛性が低下し、外部からの衝撃や電池の内部膨張に対する強度を確保できない。そのためアルミニウム箔では、更なる小型化に対し限界がある。そこで、アルミニウム箔に代わり、より強度や剛性が高いステンレス箔(ステンレス鋼の極薄厚の薄板)が注目されている。
ステンレス鋼はアルミニウムに比べ比重が高いため、軽量化の観点から板厚の極めて薄いステンレス箔が要求されている。リチウムイオン電池ケースに用いる場合、厚さ70μm以下の極薄ステンレス箔にしなければ、現在の電子機器から求められる電池ケースには適用できない。こうしたリチウムイオン電池ケースに適用するためのステンレス箔として、いくつかの発明が提案されている。
特許文献1には厚さ40〜150μmであって、板厚方向の非金属介在物の粒径を制限することにより、成形性および熱融着部での耐剥離性に優れた樹脂ラミネート基板としてのステンレス箔が開示されている。
特許文献2にも厚さ40〜150μmであって、板厚方向の結晶粒の平均個数が5.0以上であり、表層の窒素濃度を5.0〜9.5質量%にすることにより、プレス成形性が良好であり、プレス成型時に樹脂フィルム層の白化現象が抑制され、耳部同士を熱融着した場合での耐剥離性に優れた樹脂ラミネート基板としてのステンレス箔が開示されている。
特許文献3には、厚さ15〜150μmであって、金属箔を構成する金属の融点をラミネートした樹脂の熱分解温度より300℃以上高くすることにより、高いガスバリア性を確保できるラミネートフィルム付き金属箔が開示されている。
特許文献4には、厚さ60μm以下であって、板厚方向の結晶粒の数を3個以上確保することにより、高い板厚精度を確保しつつ、プレス加工性(深絞り加工性)を確保できるステンレス箔が開示されている。
特開2012−92360号公報 特開2012−92361号公報 特開2013−184290号公報 国際公開第2015/122523号
電池ケース材として小型軽量化のためステンレス箔の薄厚化が要求されている。さらに、電池ケース材としては、耐電解液性のある樹脂をラミネートしたままでの成型加工性も要求される。今後ますます薄手化する電池ケース用部材に適用するに当たり、その成形は張出成形が支配的になってきており、一定の破断伸び性を確保しないと、電池ケース筐体の加工ができなくなってきている。
ラミネートフィルム付きステンレス箔の場合、板厚が薄くなるとステンレス箔単体での破断伸びに対して、破断伸びのバラつきが大きくなることが分かった。特に、板厚が70μm以下になると、ステンレス箔単体の破断伸びに達する前に破断する場合があることが確認された。例えば、厚さ100μmと15μmのステンレス箔に樹脂フィルムをラミネートし、引張破断伸びを対比してみると、ステンレス箔単体での破断伸びに対し、板厚100μmの場合はほぼ同じ伸びで破断するのに対し、板厚15μmの場合、その破断伸びが、ステンレス箔単体の破断伸びの約90%の場合もあれば、130%になる場合もあることが確認された(図1)。
従来、ステンレス箔の薄厚化について、例えば特許文献1〜4の提案があるが、ラミネートフィルム付きステンレス箔の薄厚化に伴い、破断伸びのバラつきが大きくなるという問題を意識した提案はなされていない。
特許文献1、特許文献2、特許文献4は、薄手化したステンレス箔単体の強度を上げつつ、プレス成形性を確保する発明であり、ラミネートフィルム付きステンレス箔の強度については、何も言及していない。特許文献3は、ステンス箔よりは樹脂側に視点をおいた発明であるが、ラミネートされた樹脂によりヒートシールした接合部でのガスバリア性に着目したものであり、樹脂フィルム付きステンレス箔の強度やプレス加工性については、何も言及していない。すなわち、特許文献1〜4には、板厚を薄くすること(薄手化)によりラミネート付きステンレス箔の破断伸びが低下することについての課題意識がない。そのため、特許文献1〜4に開示された技術では、この問題は解決できない。
そこで、本発明は、電池ケース用部材としてアルミニウム箔に代替することができるラミネートフィルム付き金属箔において、軽量性と強度を備えつつ、少なくとも金属箔単体と同等の破断伸びを確保することを課題とし、このような特性を備えるラミネートフィルム付き金属箔を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
(a)金属箔のうちステンレス箔を例として、種々の樹脂フィルムをラミネートしたラミネートフィルム付きステンレス箔(以下、本明細書において、「ラミ付ステンレス箔」と呼ぶ場合がある。)の破断伸びに注目した破断挙動を調査した。
破断伸びが低下したラミ付ステンレス箔では、ステンレス箔の破断面の近傍で、引っ張り力が作用する方向にフィルムが局所的に大きく伸びる部分があることが分かった。ここで、樹脂フィルムを一方向に引っ張った際に、樹脂フィルムが部分的に伸びることを「局所伸び」と呼び、局所伸びが発生した部分を「局所伸び部」と呼ぶ(図4)。局所伸びが発生したラミ付きステンレス箔の破断面では、局所伸び部の境界線(局所伸び部と、局所伸びが発生していない部分との境界を「局所伸び部の境界線」と呼ぶ。)に沿うように破断していることが確認された(図2(a)(b))。また、局所伸びが発生した破断面では、フィルム材はステンレス箔以上に伸びて破断していることが確認された(図2(c))。
(b)一方、ステンレス箔と同等以上の破断伸びを示したラミ付フィルムでは、破断面近傍では局所伸びは確認されなかった(図3)。このとき、フィルムは、ステンレス箔以上に伸びることなく、ステンレス箔とほぼ同じ位置で破断していることが確認された(図3)。
(c)ラミ付きステンレス箔の破断伸びのバラつきは、ステンレス箔の板厚が70μm以下になると顕在化し、ステンレス箔の板厚が薄くなればなるほど、破断伸びのバラつきが大きくなることを確認した(図5)。
これは、ステンレス箔の板厚が薄くなればなるほど、破断伸びが小さくなることも原因の一つとして考えられる(図6)。
さらに、ラミネートしたフィルムの局所伸びの有無と破断伸びを対比したところ、局所伸びが発生すると、ラミ付きステンレス箔の破断伸びは、ステンレス箔単体のものより小さくなることが確認された。一方、局所伸びが発生しない場合は、ラミ付きステンレス箔の破断伸びは、ステンレス箔単体のものと同等かそれ以上になることが確認された(図5)。
(d)以上の観察に基づく知見から、本発明者らは、局所伸びを示さないフィルムをステンレス箔表面にラミネートすることにより、ステンレス箔単体の破断伸び同等以上の破断伸びを有するラミ付きステンレス箔が得られることを見出した。
局所伸びを示すかどうかは、事前にフィルムを一方向に引っ張り試験を行い、局所伸び発生の有無を確認することで判断することができる。これにより安定した破断伸び特性を有するラミ付きステンレス箔を得ることができる。
また、これによりステンレス箔の薄手化による破断伸びの低下を補償することもできる。
(e)また、これらの知見は、ステンレス箔に限らず、樹脂フィルムを積層可能な金属箔に適用することができる。
本発明は、これら知見を基に成されたものであり、その主旨は以下のとおりである。
[1]金属箔の少なくとも一方の表面に、一方向引張り試験をした場合に局所伸びを示さない樹脂フィルムを有する(積層した)ことを特徴とするラミネートフィルム付き金属箔。
[2] 前記金属箔の厚さをD1、弾性係数をE1とし、前記樹脂フィルムの厚さをD2、弾性係数をE2としたとき、以下の式を満足することを特徴とする[1]に記載のラミネートフィルム付き金属箔。
D2≧k・E1/E2・D1
ただし、kは0.0001以上0.0050以下の定数。
[3]前記金属箔がステンレス鋼であることを特徴とする[1]または[2]に記載のラミネートフィルム付き金属箔。
[4]前記ステンレス鋼である金属箔の板厚が70μm以下であることを特徴とする[3]に記載のラミネートフィルム付き金属箔。
[5]前記ステンレス鋼である金属箔の板厚が30μm以下であることを特徴とする[3]に記載のラミネートフィルム付き金属箔。
[6]前記ラミネートフィルム付き金属箔の破断伸びと、同じ金属箔でフィルムを有して(積層して)いない金属箔の破断伸びとの比である破断伸び比が1.1以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載のラミネートフィルム付き金属箔。ここで、同じ金属箔とは、材質同一、形状(板厚、板幅等の形状)同一であることをいう。
[7]電池ケースに用いることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載のラミネートフィルム付き金属箔。
本発明によれば、ラミネートフィルム付き金属箔において、金属箔単体の有する破断伸びを低下させることなく、安定した破断挙動を有するラミネートフィルム付き金属箔を得ることができる。特にステンレス箔の場合、板厚70μm以下の極薄厚であっても、安定した破断伸び特性を有することができる。
図1は、従来の種々の樹脂フィルムを積層したラミネートフィルム付きステンレス箔の破断伸び特性を示す図である。 図2は、従来のラミネートフィルム付きステンレス箔の破断面で、樹脂フィルムの局所伸びが観察された破断面の一例を示す図である。図2(a)は、破断面近傍のSEM写真であり、図2(b)は、その拡大したSEM写真である。 図3は、本発明にかかるラミネートフィルム付きステンレス箔の破断面で、局所伸びのない樹脂フィルムを積層した場合の破断面の一例を示す図である。図3(a)は、破断面近傍のSEM写真であり、図3(b)は、その拡大したSEM写真である。 図4は、局所伸びを示す樹脂フィルムの一例を示す図である。 図5は、ラミネートフィルム付きステンレス箔で、局所伸びを示す樹脂を積層した場合と、局所伸びを示さない樹脂を積層した場合における、ラミネートフィルム付きステンレス箔の板厚と破断伸びの関係の一例を示す図である。 図6は、ステンレス箔の板厚と破断伸びの関係の一例を示す図である。 図7は、破断伸びの観点から、ラミネートフィルム厚とステンレス箔の板厚との関係の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。以下の説明においては、ステンレス箔を金属箔の例として説明する。
まず、従来のラミ付きフィルムの破断伸びを調査した結果を図1に示す。基材としてのステンレス鋼はSUS304で、その板厚は15μmのステンレス箔を用いた。これに、片面に25μm厚のPPフィルムと6μmのPETフィルムをラミネートした試料、両面に25μm厚のPPフィルムをラミネートした試料、両面に6μm厚のPETをラミネートした試料を準備し比較した。その結果を図1に示す。
図1から、PPとPETをラミネートした試料と、PPを両面にラミネートした試料は、ステンレス箔単体の破断伸びより低い破断特性を示すことが確認できる。一方、両面にPETをラミネートした試料はステンレス箔単体よりも良好な破断伸びを示すことが確認できる。前述したように、この違いは、一方向に引っ張りした場合に局所伸びする部分を有する(以下、局所伸びを示すという場合がある。)樹脂であるかが影響していることがわかった。以下その点について説明する。
[一方向引張りをした場合に局所伸びを示さない樹脂]
一方向に引っ張りをするとは、樹脂フィルムに、任意の一方向になるよう張力を加えることを言う。引っ張る方法は、特に限定されない。例えば、JIS K 7127:1999の第3部に記載の試験条件に準じた方法で、樹脂フィルムを一方向に引っ張ればよい。
一方向に引っ張った場合局所伸びを示すとは、一方向に引っ張った樹脂フィルムにおいて、局所伸び、すなわちフィルムの一部が伸びた部分と伸びない部分が共存することをいう。局所伸び部の一例を図4に示す。図4の例では、伸びた部分(局所伸び部)が複数個存在する。これは、一方向引っ張りをした際に、最初に変形し易い部分に力が集中し、その部分が伸びる。その部分がある程度伸びる際に樹脂の構造が変化し、ある程度伸びたところで引張力に対抗できるようになり、次に変形しやすい部分に力が集中し、その部分が伸び始めるためである。このため、局所伸び部が複数個存在し、最終的には、樹脂フィルム全体が伸びて破断に至ることになる。局所伸びが生じても体積自体はあまり変化しないため、局所伸び部の樹脂厚(膜厚)は、初期の膜厚に比べ薄くなる。局所伸び部分は、樹脂構造にもよるが、樹脂の破断伸びが100%を超える場合が多いことから、フィルムの膜厚は50%以下になる急激な膜厚変化を伴う場合が多い。
すなわち、局所伸びが発生すると、フィルム中に伸びる部分と伸びない部分が共存するため、急峻な厚さの変化を伴うことになる。そこで、局所伸びを示すフィルムとは、例えば、フィルム膜厚の10倍の長さ(引張力を付加する方向の長さ)において、フィルム膜厚が50%以上変化する部分を急峻な厚さの変化を有するフィルムと定義することができる。
本発明においてステンレス箔にラミネートする樹脂は、上記した一方向引張りをした場合に局所伸び示さない樹脂である。例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)やPP(ポリプロピレン)、Ny(ナイロン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PI(ポリイミド)などがある。これらの樹脂は、例えばフィルム化(製膜)工程で適切な2軸延伸処理によりほとんどの場合局所伸びを示さないが、製造条件によっては局所伸びを示す場合がある。このような樹脂フィルムをステンレス箔に積層(ラミネート)する前に、当該樹脂フィルムの同一製造ロットから試験片を取り出し、一方向引っ張り試験を行って、局所伸びの有無を確認し、局所伸びがない樹脂フィルムを、ラミネートフィルムとして使用するとよい。なお、一方向引っ張りにより局所伸びの有無を確認する方法は、このような方法に限定されるものではない。
局所伸びを示すフィルムをラミネートしたラミ付きステンレス箔の破断挙動を観察した一例を図2(a)(b)(c)に示す。これらは、板厚15μmのSUS304のステンレス箔の表面に膜厚25μmのPPフィルムをラミネートしたラミ付きステンレス箔を一方向に引っ張り破断させた際の破断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した写真である。このPPフィルムは、予め一方向引っ張り試験を実施し、局所伸びを示すことを確認している。図2(a)は、破断面近傍を見た写真である。フィルムの破断面に、局所伸びを確認することができる。図2(b)に、図2(a)で観察されたフィルムの破断面を拡大した写真を示す。図2(b)の中央より上部が局所伸びした部分であることが分かる。図2(c)は、図2(a)(b)の例ではないが、同様に板厚15μmのステンレス箔の片面に同じPPフィルムをラミネートしたラミ付きステンレス箔を一方向引っ張りしたときの破断面を横から観察した写真である。この場合には、PPフィルムは、ステンレス箔の破断面近傍で剥離し、伸びきったのちに判断していることがわかる。この場合も、ステンレス箔の破断面近傍に、ラミネートフィルムの局所伸びが観察された。
すなわち、ステンレス箔に局所伸びを示すフィルムをラミネートした場合、ある引っ張り力までは一様に、ステンレス箔とラミネートフィルムが応力を負担し伸びるが、ある応力に達すると、フィルムに局所伸びが発生し、一旦局所伸びが発生すると応力負担が急激にステンレス箔にかかり、ある種の衝撃力が発生し、ステンレス箔が破断するのではないかと推測できる。そのため、局所伸びを示すフィルムをラミネートしたラミ付きステンレス箔の場合、ステンレス箔単体での破断伸び以下の破断伸び挙動を示すものと考えられる。
一方、図3(a)(b)に、局所伸びを示さない樹脂フィルムをラミネートしたラミ付きステンレス箔の破断面の一例を示す。これは、板厚15μmのSUS304のステンレス箔の片面に膜厚6μmのPETフィルムをラミネートし、一方向引っ張り試験により破断させたときの破断面を観察したものである。なお、使用したPETフィルムは、予め一方向引っ張り試験を行い、局所伸びを示さないことを確認している。図3(a)に示すように、フィルム破断面には局所伸びがないことが分かる。図3(b)は、図3(a)のフィルム破断面を拡大した写真である。フィルム破断面に局所伸びは確認できなかった。
これは、ステンレス箔の破断とフィルムの破断が同時に発生するため、破断するまで両者に応分に応力負担がされていたものと推定できる。そのため、局所伸びを示さない樹脂フィルムをラミネートしたラミ付きステンレス箔の破断伸びは、ステンレス箔単体の破断伸び以上の値を示すものと考える。
図5に、ステンレス箔の板厚とラミ付きステンレス箔の破断伸び比の関係を示す。上記同様、ステンレス箔として板厚15μm、20μm、30μm、40μm、50μm、70μm、100μmのSUS304ステンレス鋼を用いた。表面にラミネートする樹脂として、局所伸びを示すPPを膜厚25μmで、前記ステンレス箔の両面にラミネートしたものと、局所伸びを示さないPETを膜厚6μmで、前記ステンレス箔の両面にラミネートしたものを使用した。これらのラミ付きステンレス箔で一方向引っ張り試験を行い、それらの破断伸びを測定し、破断伸び比を求め、プロットしたものが図5である。ここで、破断伸び比とは、ラミ付きステンレス箔の破断伸びと、そのステンレス箔と同じステンレス箔単体の破断伸びとの比をいう。ここで、同じステンレス箔とは、材質同一、形状(板厚、板幅等の形状)同一であることをいう。
∴破断伸び比=ラミ付きステンレス箔の破断伸び/ステンレス箔単体の破断伸び
図5からもわかるように、局所伸びを示す樹脂(例えばPPの一種)の場合、破断伸び比は1以下になることが確認できる。一方破断伸びを示さない樹脂(例えばPETの一種)の場合、破断伸び比は1以上になることが確認できる。
破断伸び比が1以上であれば、ステンレス箔単体よりも、フィルムをラミネートしたステンレス箔の方が、破断伸び特性が良くなる。したがって、局所伸びを示さない樹脂フィルムをラミネートしたステンレス箔にすることにより破断伸び特性が良くなる。
しかし、図5に示すように、破断伸び比はバラツキを有することから、破断伸び特性の向上を確実にする観点から、破断伸び比は1.1以上であることが好ましい。すなわち、局所伸びを示さないラミネートフィルムによる破断伸び向上効果が10%以上となることが好ましい。
なお、前述した試験に供したラミ付ステンレス箔のフィルムの積層(ラミネート)方法は、従来のラミネート方法をそのまま適用した。このように、本発明において、フィルムのラミネート方法は特に限定されない。従来のラミネート方法を、そのまま適用してよい。
[金属箔の少なくとも一方の表面]
局所伸びを示さないフィルムは、金属箔の少なくとも一方の面(片面)にラミネートすれば、本発明の効果を奏する。一方の面に局所伸びを示さないフィルムを、他方の面に局所伸びを示すフィルムをラミネートしたとしても、同様に本発明の効果を奏する。もちろん、金属箔の両面に局所伸びを示さないフィルムをラミネートしても、本発明の効果を奏することは自明である。
[ステンレス箔の板厚]
図5に示すように、ラミ付きステンレス箔の場合、基材となるステンレス箔の板厚が薄くなればなるほど、フィルムの影響が大きくなる。ステンレス箔の板厚が70μm以下になると、フィルムの影響が顕在化することがわかる。これは、板厚にかかわらずフィルムの膜厚は一定の場合、ステンレス箔の板厚が厚い場合は、その剛性の違いから、圧倒的にステンレス箔が応力負担していたが、板厚が薄厚化することにより、フィルムの応力負担が無視できなくなったためと考えられる。電池ケースの場合、PPで25μm、PETで10μm程度の膜厚が必要とされているので、ステンレス箔の場合70μm程度からフィルムの影響が無視できなくなるものと考えられる。また、そのため、ステンレス箔の板厚が薄くなればなるほど、フィルムの影響が大きくなるものと推察される。
以上のことから、ステンレス箔の板厚が70μm以下の場合に本発明を適用することが効果的である。好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下のステンレス箔に本発明を適用すると効果的である。
なお、ステンレス箔の材質は特に限定されない。ステンレス鋼の場合、材質により強度や耐食性が異なるため、適宜用途に応じて選択すればよい。
[金属箔]
以上、ステンレス箔を例に説明してきたが、本発明はステンレス鋼以外の金属にも適用できる。アルミニウムについても例外ではないが、アルミニウム箔の場合、強度的に現状よりも薄厚化することは難しいので、既存のラミネートフィルム付きアルミ箔に本発明を適用したとしても、その効果は小さい。
[フィルム膜厚]
破断伸び特性を向上させるには、局所伸びを示さない樹脂フィルムによるラミ付ステンレス箔が、効果があることを説明してきた。これは、ステンレス箔とフィルムとが応分に応力を負担し、均等に伸び、ほぼ同じ位置で破断することによると推察できることは前述したとおりである。すなわち、ステンレス箔とフィルムが応分の応力負担を行い、それがラミ付ステンレス箔内で均一に生じていることが重要である。このため、本発明者らは、ステンレス箔に応じた最適なフィルム膜厚があると考え、検証を行った。その結果以下の関係式を導いた。
D2・E2≧k・D1・ E1
∴ D2≧k・E1/E2・D1
ここで、D1:ステンレス箔厚さ
E1:ステンレス箔の弾性係数
D2:ラミネートフィルム膜厚
E2:ラミネートフィルムの弾性係数
k:係数
すなわち、ステンレス箔とフィルムのそれぞれの厚さと弾性係数の積が比例するものであり、ステンレス箔の板厚が決まれば、破断伸びを最大にするためのフィルム最小厚を求めることができる。これは、ステンレス箔の板厚が大きければ、それを均等に変形させるのに必要な力も大きくなり、フィルムが応力を応分に負担するためにはフィルムの厚みも十分大きくなければならず、一方で、ステンレス箔の板厚が小さければ、フィルムの厚みも薄くて済むことを示すものである。通常のラミネートステンレス箔の場合、kは0.0005前後であることを、発明者らは実験により確認した。図5より、ステンレス箔の厚みが厚くなるとフィルムをラミネートする効果が弱まり、破断伸びが1.1以上向上するステンレス箔の厚みの最大厚は70μm程度であることを示したが、ステンレス箔の厚みが70μmを越える範囲では、フィルムを厚くすることに加え、一般的な範囲を超える強度でフィルムを密着させる必要があり、実使用上、現実的ではない。
図7に、ラミ付スレンレス箔の破断伸びの観点からのステンレス箔の厚さとラミネートフィルムの厚さの関係の一例を示す。これは、ステンレス箔として板厚15μm、30μm、50μm、70μm、100μmのSUS304ステンレス鋼を用いた。表面にラミネートする樹脂として、局所伸びを示すPPを、ステンレス箔の板厚15μm、30μm、および50μmのものには膜厚10μm、20μmの2種類をラミネートし、ステンレス箔の板厚70μmと100μmのものには膜厚40μmをラミネートしたものを使用した。
破断伸び比が1.1以上となったものを○で、1.1未満であったものを×で図中に示した。
ステンレス箔の弾性係数(E1)およびPPフィルムの弾性係数(E2)は以下のとおりである。
ステンレス箔の弾性係数:193GPa、
PPフィルムの弾性係数:0.3GPa、
この時、k=0.0005場合のk・E1/E2・D1の線を図中に示した。図7からも分かるように、k=0.0005とした場合のk・E1/E2・D1の線を境に、D2(ラミネートフィルム厚)がk・E1/E2・D1より大きければ破断伸び比が1.1以上となることが分かる。
なお、図5から分かるように、ステンレス箔の厚みが厚くなると破断伸び比は低下し、ステンレス箔の厚さが70μmになると、破断伸び比は1.1になる。ステンレス箔の厚さが100μmになると、破断伸び比は1.0に収れんする。このことから、破断伸び比が1.1以上を得るには、ステンレス箔の厚さは70μm以下であることが好ましい。
同様なことは、種々の樹脂にも適用できる。図示はしていないが、発明者らは、局所伸びを示さないPETフィルムをラミネートしたラミ付ステンレス箔、局所伸びを示さないナイロン(Ny)フィルムをラミネートしたラミ付ステンレス箔でも同様の実験を行った。その結果、上記のD2≧k・E1/E2・D1の式は、これら樹脂にも適用できたことを確認した。発明者らの実験から、kの範囲は、0.0001以上、0.0050以下であることを確認した。これらは、樹脂の種類、接着条件により変化しうることから、事前に試験片にて試験して係数kを決定することにより、最適なフィルム厚さとステンレス箔厚さを設計することができる。
[フィルムの密着力]
ステンレス箔とフィルムの密着力も重要な要因となる。基板となるステンレス箔とフィルムの密着性が悪いと、応力の応分な負担ができず、結果として破断伸びが小さくなるからである。そこで、発明者らは、実験によりステンレス箔とフィルムの密着力は、0.5N/cm以上あれば問題がないことを確認した。これは、通常のラミ付ステンレス箔におけるフィルム密着力であるので、従来の製造方法であれば、密着性のよういラミ付ステンレス箔を得ることができる。
[実施例1]
基材として、SUS304のステンレス箔を用いた。これに、表1にあるように種々の樹脂フィルムをラミネートして試験片を作成した。樹脂フィルムはラミネートに先立ち一方向引張試験を行い、局所伸びの有無を確認した。フィルムは、基本的に基材の両面にラミネート(積層)しているが、一部片面のみにラミネートしたものも作成した。なお表1に示す膜厚は、フィルム膜厚の合計を示す。すなわち、両面にフィルムを積層したものは、その厚さの合計を、片面にのみ積層したものは、その厚さを示す。接着剤は、Ny(ナイロン)系は東亞合成/アロンマイティFS、エポキシ系は東亞合成/アロンマイティAS、PP系は三井化学/QE060をホットプレスしたものを使用し、フィルムに応じたものを適用した。比較のため、フィルムをラミネートしていないステンレス箔のみのものを組み込んだ。これらのラミネート付きステンレス箔にて一方向引張試験を行い、その破断伸びを調査した。その結果を表1に示す。
表1から分かるように、局所伸びを示さない樹脂フィルムをラミネートしたラミ付ステンレス箔は、破断伸び比が1.1以上となり、ステンレス箔単体だけの場合より破断伸びが増加していることが確認された。
Figure 0006938196
なお、本発明は、以上の説明で用いた態様に限定されることはないことは言うまでもない。
本発明は、リチウムイオン電池ケース用などのラミネートフィルム付きステンレス箔に利用することができる。その他、電解液、酸性溶液やアルカリ溶液を入れる容器であって、内面に樹脂ラミネートするラミネートフィルム付きステンレス箔にも利用することができる。

Claims (5)

  1. 金属箔の少なくとも一方の表面に、一方向引張り試験をした場合に局所伸びを示さない樹脂フィルムを有し、
    前記金属箔がステンレス鋼であって板厚が70μm以下であり、
    前記金属箔と前記樹脂フィルムの密着力が0.5N/cm以上であることを特徴とするラミネートフィルム付き金属箔(ただし、厚さ50μmのSUS304BAステンレス鋼箔に、厚さ50μmの東洋紡績株式会社製ハーデンN1100からなるナイロンフィルムを、ナイロン系接着剤を介して熱圧着したラミネート付きステンレス鋼箔の場合を除く。)
  2. 前記金属箔の厚さをD1、弾性係数をE1とし、前記樹脂フィルムの厚さをD2、弾性係数をE2としたとき、以下の式を満足することを特徴とする請求項1に記載のラミネートフィルム付き金属箔。
    D2≧k・E1/E2・D1
    ただし、kは0.0001以上0.0050以下の定数。
  3. 前記ステンレス鋼である金属箔の板厚が30μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のラミネートフィルム付き金属箔。
  4. 前記ラミネートフィルム付き金属箔の破断伸びと、同じ金属箔でフィルムを有していない金属箔の破断伸びとの比である破断伸び比が1.1以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のラミネートフィルム付き金属箔。
  5. 電池ケースに用いることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のラミネートフィルム付き金属箔。
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