JP4725024B2 - 缶蓋用ラミネート金属板及び缶蓋の製造方法 - Google Patents
缶蓋用ラミネート金属板及び缶蓋の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4725024B2 JP4725024B2 JP2004069796A JP2004069796A JP4725024B2 JP 4725024 B2 JP4725024 B2 JP 4725024B2 JP 2004069796 A JP2004069796 A JP 2004069796A JP 2004069796 A JP2004069796 A JP 2004069796A JP 4725024 B2 JP4725024 B2 JP 4725024B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lid
- layer
- resin
- metal plate
- processing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Containers Opened By Tearing Frangible Portions (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
蓋材のラミネート化を阻んでいる理由は種々あると考えられるが、蓋材をラミネート化する場合の最も困難な課題の一つは、印刷工程後に厳しい加工が施される場合があるという点である。昨今では、飲料缶用の上蓋はステイオンタブ式のイージーオープンエンド蓋が主流であり、また、食缶用では缶切不要のイージーオープンエンドタイプの蓋が増えつつある。この食缶用のイージーオープンエンドタイプの蓋は、蓋の開け方の説明が印刷されているものがほとんどである。通常、この印刷は蓋の加工前に行われ、その後、蓋の形へと成形(製蓋加工)される。ところが、印刷工程では焼付けの際に熱が加わるために、ラミネートフィルム(樹脂層)が劣化し、その後の製蓋加工においてフィルムが加工に追随できないためフィルム破断を生じ、その結果、耐食性が劣化してしまう。
また、特許文献3や特許文献4は、ラミネート後のフィルム物性(面配向など)を規定したものであり、熱処理後の加工性についても考慮した開示があるが、スコア加工法などの具体的な製蓋方法については明示されておらず、また、本発明者らの調査によれば、一般的なスコア加工を行った場合には十分な耐食性が得られないことが判った。さらに、特許文献5には、スコア加工法と樹脂フィルムなどに関する規定があるが、これもラミネート後の印刷工程によるフィルムの劣化は考慮されていない。
また、本発明の他の目的は、上記のようなラミネート金属板を用いて良好な品質のイージーオープンエンド缶蓋を製造することができる缶蓋の製造方法を提供することにある。
一方、球晶の影響は局部曲げ加工に対しては非常に大きい。このため、単に配向結晶量を調整するだけでは、加工程度が厳しい一般加工部と局部曲げ加工部の加工性を両立させることはできない。
上記副層部は局部曲げ変形性に優れた層であればよいが、同時にリベット加工性やスコア加工性などの一般加工性を阻害するものであってはならない。このような観点から副層部に好適な樹脂について検討した結果、ガラス転位点が低いもの(加工時の温度よりも十分低いもの)が局部曲げ変形性に優れることが判った。このようなガラス転位点が低い樹脂は、単体では強度不足によりリベット加工やスコア加工などの一般加工に追従できないが、副層として配置された場合、主層が強度を補うため、上記のような一般加工に追随できることが判った。また、主層としては、強度と伸び性のバランスが良好でリベット加工性やスコア加工性などの一般加工性に優れるという点から、ポリエステル系樹脂が好適であることが判った。
[1]金属板の少なくとも片面に複層の有機樹脂層を有するラミネート金属板であって、前記複層の有機樹脂層のうちの一部の樹脂層がポリエステル系樹脂からなる厚さ9〜25μmの主層であり、他の一部の樹脂層がガラス転位点(Tg)が5℃以下のポリオレフィン系樹脂からなる厚さが1〜10μmの副層であり、主層と副層とが直接又は接着層を介して層状に重ねられた皮膜構造を有することを特徴とする缶蓋用ラミネート金属板。
[2]上記[1]の缶蓋用ラミネート金属板において、主層がポリエチレンテレフタレートを基本骨格とする樹脂からなり、副層がポリオレフィンからなることを特徴とする缶蓋用ラミネート金属板。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの缶蓋用ラミネート金属板を用いたイージーオープンエンドタイプの缶蓋の製造方法であって、製蓋加工工程において先端の曲率半径が0.1〜1.0mmの曲面状金型を用いて破断用溝を成形することを特徴とする缶蓋の製造方法。
[5] 上記[4]の製造方法において、製蓋加工工程前に缶蓋材外面に印刷を施すことを特徴とする缶蓋の製造方法。
また、本発明の缶蓋の製造方法によれば、イージーオープンエンドタイプの缶蓋の製蓋加工工程において、板厚変化が最も大きいスコア部の加工をフィルム破断を生じることなく適切に行うことができる。
主層の厚さは、9〜25μmとする。主層の厚さは要求される一般加工の程度に応じて適宜選択されるが、9μm未満では主層が担う機能、すなわち伸び性と強度のバランスを保つという機能(強度が不足する)が十分に得られなくなり、スコア加工においてフィルムが破断する恐れがある。一方、厚さが25μmを超えると、加工性などの特性が飽和し、却ってコスト高となるため好ましくない。
副層を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマーなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
副層の厚さは1〜10μm、好ましくは2〜4μmとする。副層の厚さが1μm未満では局部曲げ加工性が劣り、一方、10μmを超えると加工性に対する効果が飽和し、却ってコスト高となるため好ましくない。
主層と副層の配置関係は、副層が上層、下層のいずれであってもよく、また、上記サンドイッチ構造の場合のように中間層であってもよく、種々の要求特性に応じて適宜選択が可能である。例えば、内容物の色素吸着などによるフレーバー特性を重視する場合には、上層はポリエステル系樹脂である主層の方が望ましく、一方、内容物の取り出し性が要求される場合には上層は副層の方が一般的には望ましい。
主層と副層は直接重ねてもよいが、要求される加工によって主層−副層間で層間剥離が生じる恐れがあるような場合などには、主層−副層間に接着層を設けてもよい。また、副層を接着性が良好な変性樹脂で構成し、主層に直接重ねるようにしてもよい。
主層及び副層には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤などの添加剤を含有させてもよく、また、上層側となる層の表層にワックス成分などを添加することもできる。
主層及び副層は、フィルムラミネート(フィルムシートの熱圧着)による方法で形成してもよいし、共押出し法、ダイレクトラミネート法で形成してもよい。
本発明のラミネート金属板の下地金属板に特別な制限はない。安価で且つ密着性に優れるという面ではティンフリースチールが好ましいが、ブリキなどの他の表面処理鋼板やアルミニウム板などを用いてもよい。
本発明のラミネート金属板を用いて缶蓋を製造する場合、とりわけ補修塗装不要の缶蓋を製造する場合には、板厚変化が最も大きいスコア部の加工を以下のような特定の方法で行うことが好ましいことが判った。
すなわち、製蓋工程においては、先端の曲率半径Rが0.1〜1.0mmの曲面状金型を用いてスコア加工することが望ましい。曲面状金型の曲率半径が小さすぎるとフィルムが強度不足により破断する恐れがあり、一方、曲率半径が大きすぎると加工度が大きくなってしまうため、成形が困難となる傾向がある。先端の曲率半径Rが0.1〜1.0mmの曲面状金型を用いた上記スコア加工では、例えば、上下一対の金型のうちのいずれか一方が先端曲率半径Rが0.1〜1.0mmの曲面状金型で、他方が平型の金型である場合、上下一対の金型が何れも先端曲率半径Rが0.1〜1.0mmの曲面状金型である場合、などのいずれでもよく、このような金型によって押圧成形を施すことにより破断用溝を形成する。
得られたラミネート鋼板の面配向係数の測定方法と製蓋特性評価の方法を以下に示す。
(1)面配向係数の測定
アッベ屈折計を用い、光源:ナトリウム/D線、中間液:ヨウ化メチレン、温度:25℃の条件で、フィルム面の縦方向の屈折率Nx、フィルム面の横方向の屈折率Ny、フィルムの厚み方向の屈折率Nzを各々測定し、下式により面配向係数Nsを算出した。
面配向係数(Ns)=(Nx+Ny)/2−Nz
ラミネート鋼板に210℃×10分の熱処理を行い、次いでイージーオープンエンドの製蓋加工を施した。スコア部は無補修型のスコア加工で、0.3mmRの曲面状金型を用いて成形した。成形された蓋の局部曲げ加工部、リベット加工部、スコア加工部の耐食性をそれぞれ評価した。耐食性の評価方法は、製蓋加工後の蓋の加工部の測定部位に電解液を含ませたスポンジを密着させ、6.0Vの電圧をかけた時の電流値を測定して、下記基準に基づき評価した。なお、電解液としては、1mass%KCl水溶液200mlに界面活性剤2滴を添加したものを用いた。
○:電流値0.1mA以下
×:電流値0.1mA超
表1〜表4において、発明例1〜4は上層に主層を、下層に副層を配置したもので、副層の厚みを種々変化させたものであるが、いずれの加工部の耐食性も良好である。発明例5は上層に副層を、下層に主層を配置したものであるが、実施例1〜4と同様、いずれの加工部の耐食性も良好であり、副層を配置する位置に拘わりなく、副層が効果的に機能していることが判る。また、発明例6は副層を2つの主層間の中間層として配置したものであるが、この場合もいずれの加工部の耐食性も良好である。
Claims (5)
- 金属板の少なくとも片面に複層の有機樹脂層を有するラミネート金属板であって、前記複層の有機樹脂層のうちの一部の樹脂層がポリエステル系樹脂からなる厚さ9〜25μmの主層であり、他の一部の樹脂層がガラス転位点(Tg)が5℃以下のポリオレフィン系樹脂からなる厚さが1〜10μmの副層であり、主層と副層とが直接又は接着層を介して層状に重ねられた皮膜構造を有することを特徴とする缶蓋用ラミネート金属板。
- 主層がポリエチレンテレフタレートを基本骨格とする樹脂からなり、副層がポリオレフィンからなることを特徴とする請求項1に記載の缶蓋用ラミネート金属板。
- 主層がテレフタル酸又は/及びイソフタル酸からなるジカルボン酸成分とエチレングリコールからなるジオール成分との縮重合で得られたポリエステル系樹脂からなり、副層がポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマーの中から選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の缶蓋用ラミネート金属板。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のラミネート金属板を用いたイージーオープンエンドタイプの缶蓋の製造方法であって、製蓋加工工程において先端の曲率半径が0.1〜1.0mmの曲面状金型を用いて破断用溝を成形することを特徴とする缶蓋の製造方法。
- 製蓋加工工程前に缶蓋材外面に印刷を施すことを特徴とする請求項4に記載の缶蓋の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004069796A JP4725024B2 (ja) | 2004-03-11 | 2004-03-11 | 缶蓋用ラミネート金属板及び缶蓋の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004069796A JP4725024B2 (ja) | 2004-03-11 | 2004-03-11 | 缶蓋用ラミネート金属板及び缶蓋の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005254627A JP2005254627A (ja) | 2005-09-22 |
JP4725024B2 true JP4725024B2 (ja) | 2011-07-13 |
Family
ID=35080826
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004069796A Expired - Fee Related JP4725024B2 (ja) | 2004-03-11 | 2004-03-11 | 缶蓋用ラミネート金属板及び缶蓋の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4725024B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11235784A (ja) * | 1998-02-20 | 1999-08-31 | Ueno Hiroshi | 樹脂被覆金属板、金属缶及び缶蓋 |
JP3893229B2 (ja) * | 1999-04-20 | 2007-03-14 | Jfeスチール株式会社 | 樹脂被覆鋼板製イージーオープン缶蓋およびその製造方法 |
JP2001328216A (ja) * | 2000-05-23 | 2001-11-27 | Dainippon Ink & Chem Inc | 複合シート及び装飾金属板成型方法 |
JP4079207B2 (ja) * | 2001-02-28 | 2008-04-23 | 東洋製罐株式会社 | 樹脂被覆シームレス缶 |
JP2003072005A (ja) * | 2001-09-03 | 2003-03-12 | Teijin Ltd | 金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム |
-
2004
- 2004-03-11 JP JP2004069796A patent/JP4725024B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005254627A (ja) | 2005-09-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR20090061065A (ko) | 2 피스 캔체용 라미네이트 강판, 및 라미네이트 강판제 2 피스 캔체와 그 제조 방법 | |
JP6309741B2 (ja) | 樹脂被覆金属板及びシームレス缶 | |
JP5463876B2 (ja) | 缶切不要蓋の製造方法 | |
JP3768145B2 (ja) | 熱可塑性樹脂被覆金属板およびそれを用いた缶 | |
JP2677172B2 (ja) | 保香性及び耐衝撃性に優れたラミネート絞り容器 | |
AU785244B2 (en) | Resin-coated seamless can | |
KR101218534B1 (ko) | 2 피스 캔체용 라미네이트 강판 및 2 피스 캔체의 제조 방법, 그리고 2 피스 라미네이트 캔체 | |
KR101002841B1 (ko) | 2피스 캔용 라미네이트 강판, 2피스 캔의 제조방법 및 2피스 라미네이트 캔 | |
JP4725024B2 (ja) | 缶蓋用ラミネート金属板及び缶蓋の製造方法 | |
EP1627820B1 (en) | Laminated steel sheet | |
JPH0639979A (ja) | 金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム | |
JP4149226B2 (ja) | 易開性を有する缶蓋用ポリエステル樹脂被覆アルミニウム合金板 | |
JP4725025B2 (ja) | 缶蓋用ラミネート金属板の製造方法 | |
JP6289914B2 (ja) | 金属板積層用樹脂フィルム、樹脂積層金属板、それを用いた容器及び容器蓋 | |
JP2005254626A (ja) | 缶蓋用ラミネート金属板及び缶蓋の製造方法 | |
JP6281668B1 (ja) | 金属容器蓋用ラミネート金属板及びその製造方法 | |
WO2010137550A1 (ja) | スチール製絞りしごき缶及びその製造方法 | |
JP4765257B2 (ja) | 缶用ラミネート金属板 | |
JP2015134875A5 (ja) | ||
JP2567588B2 (ja) | 積層体及びその製造方法 | |
JP2001047554A (ja) | 一般缶用ラミネート鋼板 | |
JP3747743B2 (ja) | 金属板ラミネート用樹脂フィルムおよびラミネート金属板並びにその製造方法 | |
WO1996002387A1 (fr) | Feuille mince en polyester stratifie pour stratifie metallique | |
JP2002193255A (ja) | ラミネート缶蓋 | |
JP2003063519A (ja) | 樹脂被覆シームレス缶 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070129 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090513 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090526 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090725 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100601 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110315 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110328 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140422 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |