JP6937752B2 - 細菌に基づくタンパク質送達 - Google Patents

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Description

本発明は、組換えグラム陰性菌株、及び異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインの真核細胞への送達のためのそれらの使用に関する。
一過性トランスフェクション技術は、タンパク質の機能に取り組むために、長年にわたって細胞生物学研究に応用されてきた。これらの方法では、一般に、研究対象のタンパク質が大過剰に提示される結果となり、それにより、シグナル伝達の単純化しすぎたモデルがもたらされる可能性がある。持続時間の短いシグナル伝達プロセスを制御するタンパク質については、目的のタンパク質は、それが制御するシグナル伝達事象よりはるかに長く存在する。さらには、DNAトランスフェクションに基づく一過性過剰発現は、不均一な同調性のない細胞の集団をもたらし、それにより、機能研究は複雑になり、オミクス手法が妨げられる。これに加えて、そのようなアッセイのより大きな規模への拡大には非常に費用がかかる。上述の点の一部は、精製タンパク質のマイクロインジェクション若しくはプロテオフェクション、低分子量GTPaseを有するプラスミドを細胞膜に迅速に標的化するための誘導性移行戦略、又は細胞透過性細菌毒素と融合させた精製タンパク質の付加のような、既存の技術によってカバーされる。しかし、これらの技術は、全て、時間がかかり、厄介であり、本発明者らの知るところによれば、言及されている全ての基準を満たすものはない。
細菌は、タンパク質を標的細胞に直接打ち込むための種々の機構を進化させてきた[1]。エルシニア属(Yersinia)、シゲラ属(Shigella)及びサルモネラ属(Salmonella)のような細菌により使用されるIII型分泌系(T3SS)[2]は、宿主細胞にいわゆる細菌エフェクタータンパク質を打ち込むナノシリンジのように機能する。エフェクターと呼ばれる、T3SSにより分泌されることになる細菌タンパク質は、短いN末端分泌シグナルを保有する[3]。細菌内では、一部のエフェクターにシャペロンが結合している。シャペロンは、毒性ドメインを隠蔽する可能性があり、それらは、分泌シグナルの提示に寄与し、分泌能を有する立体構造で基質を保持しており、したがって、分泌を助長する。分泌が誘導されると、T3SSに隣接するATPaseがシャペロンを除去し、エフェクターは、折り畳まれていない状態で又は部分的にしか折り畳まれていない状態でニードルを通って移動し、宿主細胞質内に入った時点で再び折り畳まれる。
T3Sは、ハイブリッドペプチド及びタンパク質を標的細胞に送達するために活用されてきた。研究対象の細菌が、遺伝学による利用が困難である(トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)のような)場合に、異種細菌T3SSエフェクターが送達されてきた。多くの場合、レポータータンパク質、例えば、百日咳菌(Bordetella pertussis)アデニル酸シクラーゼ、マウスDHFR又はリン酸化可能なタグが、T3SS依存性タンパク質送達の研究要件に応じて、潜在的T3SS分泌シグナルに融合された。ペプチド送達は、主に、ワクチン接種を目的として行われた。これには、ウイルスエピトープ、細菌エピトープ(リステリオリジンO)、並びにヒトがん細胞のエピトープを表すペプチドが含まれる。少数の事例では、機能性真核生物タンパク質が、ナノボディ[4]、核タンパク質(Cre−リコンビナーゼ、MyoD)[5、6]又はIl10及びIL1ra[7]を用いてなされているように、宿主細胞を調節するために送達されている。上述の系の何れによっても単一のタンパク質を送達することはできない。何れの場合も1つ又は複数の内在性エフェクタータンパク質が依然としてコードされているからである。さらに、使用されたベクターは、最適なタンパク質をコードする他のDNA断片を簡単にクローニングできるようには設計されておらず、それがこの系の広範な応用を妨げている。驚くべきことに、真核細胞への異種タンパク質の反復ドメインの送達又は異なる異種タンパク質ドメインの組合せの送達は、所望の細胞経路に対する影響を増大させることを見出された。
本発明は、一般に、組換えグラム陰性菌株、及び異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインの真核細胞への送達のためのそれらの使用に関する。本発明は、様々なIII型エフェクター、しかし同様にIV型エフェクター、ウイルスタンパク質、及び最も重要には機能性真核生物タンパク質等の、異種タンパク質の反復ドメイン若しくは異なる異種タンパク質の2つ以上ドメインの移行を可能にする、グラム陰性菌株及びその使用を提供する。送達の蛍光追跡手段、核への再局在化手段、及び特に、宿主細胞への送達後の細菌付属物の除去手段を提供する。提示するT3SSに基づく系は、目的の異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインのスケーラブルで、迅速で、同期化された、均一で、調整可能な送達をもたらす。
本発明の送達系は、生きている動物に真核生物タンパク質の反復ドメイン又は異なる真核生物タンパク質の2つ以上のドメインを注射するのに適しており、治療目的で使用することができる。
第1の態様では、本発明は、5’から3’方向に、
プロモーター、
前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターで形質転換された組換えグラム陰性菌株であって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、組換えグラム陰性菌株に関する。
さらなる態様では、本発明は、5’から3’方向に、
細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターで形質転換された組換えグラム陰性菌株であって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、組換えグラム陰性菌株に関する。
さらなる態様では、本発明は、5’から3’方向に、
細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターであって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、ベクターに関する。
さらなる態様では、本発明は、5’から3’方向に、
プロモーター、
前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターであって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、ベクターに関する。
本発明は、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインを真核細胞に送達する方法であって、
i)グラム陰性菌株を培養する工程と、
ii)真核細胞をi)のグラム陰性菌株と接触させる工程であり、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルと異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインとを含む融合タンパク質が、グラム陰性菌株により発現され、真核細胞に移行される工程と
を含む方法に、さらに関する。
本発明は、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインを真核細胞に送達する方法であって、
i)グラム陰性菌株を培養する工程と、
ii)真核細胞をi)のグラム陰性菌株と接触させる工程であり、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルと異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインとを含む融合タンパク質が、グラム陰性菌株により発現され、真核細胞に移行される工程と
iii)融合タンパク質を切断し、その結果、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインを細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルから切断する工程と
を含む方法に、さらに関する。
さらなる態様では、本発明は、グラム陰性菌株のライブラリーであって、グラム陰性菌株の発現ベクターの第2のDNA配列によりコードされている、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインが、ヒト又はマウスタンパク質のドメインであり、グラム陰性菌株により発現されるヒト又はマウスタンパク質の各ドメインがアミノ酸配列の点で異なる、ライブラリーに関する。
T3SSタンパク質送達の特徴づけの図である。(A)T3SS依存性タンパク質の周囲媒体への分泌(インビトロ分泌)(左側)又は真核細胞への分泌(右側)の模式図。I:3型分泌系を示す。IIは、周囲媒体に分泌されたタンパク質を示し、IIIは、膜を通って真核細胞のサイトゾル(VII)に移行したタンパク質を示す。VIは、T3SSが挿入される及び下に細菌サイトゾルがある2つの細菌膜の伸張を示す。IVは、YopE1−138N末端断片(V)に結合している融合タンパク質である。(B)抗YopE抗体を使用する全細胞溶解物(IV)及び沈殿培養上清(V)でのウェスタンブロット法によって明示された、I:Y.エンテロコリティカ(Y.enterocolitica)E40野生型、II:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd又はIII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBadSi_2のインビトロ分泌。 上皮細胞へのT3SSタンパク質送達の特徴づけの図である。(A)感染多重度100で、1時間、I:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd又はII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2に感染させたHeLa細胞に関する抗Myc免疫蛍光染色。(B)HeLa細胞内の(A)からの抗Myc免疫蛍光染色強度の定量。データは、n=20部位から合わせたものであり、エラーバーは、平均値の標準誤差を示す。I:未感染のもの、II:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd又はIII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2。y軸は、抗Myc染色強度[任意単位]を示し、x軸は、分での感染時間を示す。(C)細胞内の抗Myc免疫染色強度の定量。HeLa細胞を1時間、Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2に、x軸に示されている感染多重度で感染された。データは、n=20部位から合わせたものであり、示されているエラーバーは、平均値の標準誤差である。y軸は、抗Myc染色強度[任意単位]を示す。 T3SSに基づくタンパク質送達の改変がYopE1−138融合タンパク質(EGFP)の核局在化を可能にすることを示す図である。感染多重度100で、I:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asdに感染させたHeLa細胞、又はII:プラスミドIII:+YopE1−138−EGFPを保有する若しくはプラスミドIV:+YopE1−138−EGFP−NLSを保有するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asd ΔyopBに感染させたHeLa細胞の、EGFPシグナル。EGFPシグナルを「a」に示し、局在化比較のために「b」では核を染色した。 T3SSに基づくタンパク質送達の改変がYopE1−138付属物の除去を可能にすることを示す図である。HeLa細胞を同時に2つの異なるY.エンテロコリティカ株に感染させ、これは、2つの細菌懸濁液の単純混合により達成される。一方の株は、YopE1−138と融合しているTEVプロテアーゼを送達することになるが、他方の株は、二重TEVプロテアーゼ切断部位を含有するリンカーでYopE1−138と融合している目的のタンパク質を送達する。真核細胞へのタンパク質送達後、TEVプロテアーゼは、目的のタンパク質からYopE1−138付属物を切断することになる。(A)未感染のジギトニン溶解HeLa細胞(II)、又はI:III:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBadSi_2による2時間の感染(感染多重度100)後の、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4Cによる2時間の感染(感染多重度100)後の、V:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4Cによる2時間の感染(感染多重度100)及び精製TEVプロテアーゼでのさらなる一晩の処理後の、並びにVI:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4C及び第2の株+YopE1−138−TEVによる2時間の感染(感染多重度100)後の、ジギトニン溶解HeLa細胞を、抗INK4Cのウェスタンブロッティングにより、YopE1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4C又はその切断形Flag−INK4Cの存在について分析した(「a」に示されている)。ローディングコントロールとして、抗アクチンのウェスタンブロッティングを行った(「b」に示されている)。ある事例では、(V)溶解細胞を精製TEVプロテアーゼと共に一晩インキュベートした。(B)試料IVを100%に設定した場合の、完全長YopE1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4Cのサイズでの(A)からの抗INK4C染色強度(y軸に[任意単位]として示す)のアクチン正規化定量。I:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd、並びにIV:+YopE1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4C、V:+YopE1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4C、及び精製TEVプロテアーゼでのさらなる一晩の処理、並びにVI:+YopE1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4C及び第2の株+YopE1−138−TEV。データは、n=2の独立した実験から合わせたものであり、示されているエラーバーは、平均値の標準誤差である。(C)未感染のジギトニン溶解HeLa細胞(II)、又はI:III:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBadSi_2による2時間の感染(感染多重度100)後の、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−2×TEV切断部位−ET1−Mycによる2時間の感染(感染多重度100)後の、V:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−2×TEV切断部位−ET1−Mycによる2時間の感染(感染多重度100)、及び精製TEVプロテアーゼでのさらなる一晩の処理後の、並びにVI:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−2×TEV切断部位−ET1−Myc及び第2の株+YopE1−138−TEVによる2時間の感染(感染多重度100)後の、ジギトニン溶解HeLa細胞を、抗Mycのウェスタンブロッティングにより、YopE1−138−2×TEV切断部位−ET1−Myc又はその切断形ET1−Mycの存在について分析した(「a」に示されている)。ローディングコントロールとして、抗アクチンのウェスタンブロッティングを行った(「b」に示されている)。あるケースでは、(V)溶解細胞を精製TEVプロテアーゼと共に一晩インキュベートした。 真核細胞への細菌エフェクタータンパク質の送達の図である。(A)HeLa細胞を、I:II:pBad_Si2を保有する又はIII:YopE1−138−SopEを保有するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdに、画像の上に示されている時間(2、10又は60分)、感染多重度100で感染させた。固定後、細胞をアクチン細胞骨格について染色した。(B)HeLa細胞を、未感染で放置した(II)か、又はI:株の下に示されている感染多重度(感染多重度50、感染多重度50:感染多重度50、若しくは感染多重度50:感染多重度100)で、1時間、III:YopE1−138−SopE−Mycを保有するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdに感染、及び一部の事例ではIIIとIV:YopE1−138−SptPに同時感染させた。固定後、細胞をアクチン細胞骨格について染色し(「a」に示されている)、その後、抗Mycの染色によりYopE1−138−SopE−Myc融合タンパク質の存在について染色した(「b」に示されている)。 真核細胞への細菌エフェクタータンパク質の送達の図である。(A)未処理で放置したHeLa細胞(II)、又は75分間、I:III:pBad_Si2を保有する若しくはIV:YopE1−138−OspFを保有するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdに感染多重度100で感染させたHeLa細胞に関する、リン酸化p38(「a」)、全p38(「b」)及びアクチン(「c」)ウェスタンブロット分析。示した通りの感染の最後の30分間、細胞をTNFαで刺激した(+は、TNFαの添加を表し、−は、TNFαで処理しなかったことを表す)。(B)未処理で放置したHeLa細胞(II)、又は22.5若しくは45分間(ブロットの下に示されている)、I:III:pBad_Si2を保有する、IV:YopE1−138−SopEを保有する若しくはV:YopE1−138−SopBを保有するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdに感染多重度100で感染させたHeLa細胞に関する、リン酸化Akt T308(「a」)及びS473(「b」)及びアクチン(「c」)ウェスタンブロット分析。(C)未処理で放置したHeLa細胞(I)又は2.5時間、V:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−BepA、VI:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−BepAE305−end、VII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−BepGBid又はVIII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2に感染多重度100で感染させたHeLa細胞におけるcAMPレベル(fmol/ウェルでy軸に示されている)。コレラ毒素(CT)をポジティブコントロールとして、1時間、試料II(1μg/ml)、III(25μg/ml)又はIV(50μg/ml)に添加した。データは、n=3の独立した実験から合わせたものであり、示されているエラーバーは、平均値の標準誤差である。対応のない両側t検定を使用して統計解析を行った(nsは、有意な変化がないことを示し、**は、p値<0.01を示し、***は、p値<0.001を示す)。 真核細胞へのヒトtBidの送達は、大量のアポトーシスを誘導することを示す図である。(A)未処理で放置したHeLa細胞(II)、又はI:III:pBad_Si2、IV:YopE1−138−Bidを保有する若しくはV:YopE1−138−t−Bidを保有するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdに、60分間、感染多重度100で感染させたHeLa細胞に関する、切断カスパーゼ3 p17(「a」)及びアクチン(「b」)ウェスタンブロット分析。一部の事例では、細胞をVI:0.5μMのスタウロスポリン又はVII:1μMのスタウロスポリンで処理した。(B)未処理のまま放置したジギトニン溶解HeLa細胞(II)、又はI:III:pBad_Si2を保有する、IV:YopE1−138−Bidを保有する若しくはV:YopE1−138−t−Bidを保有するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdによる1時間の感染多重度100での感染後のジギトニン溶解HeLa細胞を、抗Bidのウェスタンブロッティングにより分析し、内在性Bidレベル(Z印が付けられている)と、移行したYopE1−138−Bid(X印が付けられている)又はYopE1−138−tBid(Y印が付けられている)レベルとの比較を可能にした。ローディングコントロールとして、抗アクチンのウェスタンブロッティングを行った(「b」に示されている)。一部のケースでは、細胞をVI:0.5μMのスタウロスポリン又はVII:1μMのスタウロスポリンで処理した。(C)HeLa細胞を未処理で放置したか、又はII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2、III:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Bid、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−tBidに、1時間、感染多重度100で感染させた。一部の事例では、細胞をV:0.5μMのスタウロスポリン又はVI:1μMのスタウロスポリンで処理した。固定後、細胞をアクチン細胞骨格について染色した(灰色)。 ゼブラフィッシュBIMのT3SS依存性送達がゼブラフィッシュ胚においてアポトーシスを誘導することを示す図である。(A)細菌約400個を後脳領域に注射することにより、2dpfのゼブラフィッシュ胚を、EGFPを発現するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si1コントロール株(I)又はzBIMを移行させる株(II:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−zBIM)に感染させた。5.5時間後、胚を固定し、活性化カスパーゼ3(切断カスパーゼ3、p17;「c」に示されている)について染色し、細菌の存在(EGFPシグナル、「b」に示されている)について分析した。蛍光画像にはz軸方向の最大値投影が示されている。z軸方向の明視野投影が「a」に示されている。(B)(A)の記録zスタック画像のz軸方向の最大値投影に関する自動画像分析。簡単に述べると、細菌をGFPチャネルにより検出した。細菌斑点の各エリアの周囲に半径10画素の円を生成した。重複する領域を、接しているメンバー間で等分した。細菌を密接に取り囲んでいるこれらのエリア内のカスパーゼ3 p17染色強度を測定し、y軸に([a.u.]として)プロットした。マン・ホイットニー検定を使用して統計解析を行った(***はp値<0.001を示す)。Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si1コントロール株(I)に感染した動物についてのn=14又はII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−zBIMに感染した動物についてのn=19からのデータを組み合わせた。示されているエラーバーは、平均値の標準誤差である。 tBiD依存性リン酸化プロテオームの図である。HeLa細胞を、30分間、Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−t−Bidに感染多重度100で感染させ、コントロールとしてY.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2に感染させた。(A)tBIDリン酸化プロテオームのグラフィック表示。tBid依存的に有意に制御されたリン酸化ペプチドを含有するタンパク質(灰色)(q値<0.01)、及び公知のアポトーシス関連タンパク質(暗灰色)が、既知及び予測タンパク質−タンパク質相互作用(高信頼度、スコア0.7)のSTRINGネットワークで表示されている。STRINGにおいて少なくとも1つのつながりのあったタンパク質のみが表示されている。(B)Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2(I)又はY.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−t−Bid(II)のどちらかに感染させたHeLa細胞の共焦点像は、tBid送達時のアポトーシス表現型の誘導を明示する。細胞を核についてHoechstで(「a」)、F−アクチンについてファロイジンで(「b」)、チューブリンについて抗チューブリン抗体で(「c」)及びミトコンドリアについてミトトラッカーで(「d」)染色した。スケールバーは、40μmを表す。 III型分泌に基づく送達ツールボックスの説明の図である。(A)YopE1−138を有する融合構築物を生成するために使用したクローニングプラミドpBad_Si1及びpBad_Si2のベクターマップ。シャペロンSycE、及びYopE1−138融合体は、ネイティブY.エンテロコリティカプロモーターの下にある。2つのプラスミドは、pBad_Si1上に存在するアラビノース誘導性EGFPの存在の点のみが異なる。(B)pBad_Si1及びpBad_Si2プラスミド上のyopE1−138断片の直後の多重クローニング部位。 様々な細胞株へのT3SSタンパク質送達の特徴づけの図である。未処理で放置した(II)、又はY.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2(I)に、画像の上に示されている感染多重度(感染多重度25、50、100、200、及びHUVECについては400)で1時間感染させた、Swiss 3T3線維芽細胞(「a」)、ジャーカット細胞(「b」)及びHUVEC細胞(「c」)に関する、抗Myc免疫蛍光染色。 真核細胞への細菌エフェクタータンパク質の送達のT3SS依存性についての図である。感染多重度100での、ブロットの上に示されている時間(0、5、15、10、60及び120分)の、Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd ΔyopB+YopE1−138−SopE−Myc(I)又はY.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−SopE−Myc(II)による感染後の、ジギトニン溶解HeLa細胞を、抗Mycのウェスタンブロッティングにより分析した。YopE1−138−SopE−Mycに対応するサイズには「a」印が付けられており、その一方で内在性c−Mycタンパク質のサイズには「b」印が付けられている。 培養上清への様々な他のタンパク質のT3SS依存性分泌の図である。I:示されている通りのタンパク質と融合しているY.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138の、インビトロ分泌実験。全細菌溶解物(「A」)及び沈殿培養上清(「B」)のタンパク質含有量を、抗YopE抗体を使用するウェスタンブロット法により分析した。記載の数字は、対応する高さの分子量をkDaで示すものである。 培養上清への様々な他のタンパク質のT3SS依存性分泌の図である。I:示されている通りのタンパク質と融合しているY.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138の、インビトロ分泌実験。全細菌溶解物(「A」)及び沈殿培養上清(「B」)のタンパク質含有量を、抗YopE抗体を使用するウェスタンブロット法により分析した。記載の数字は、対応する高さの分子量をkDaで示すものである。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌(S.enterica)株の図である。バックグラウンド株、対応するプラスミド上にコードされたT3SS依存性送達のためのプラスミド及びタンパク質に関する情報を提供する、この研究に使用したY.エンテロコリティカ及びサルモネラ菌のリスト。さらに、対応するプラスミドの構築に使用したオリゴヌクレオチド、骨格プラスミド及び抗生物質耐性に関する情報を提供する。 B16F10細胞へのマウスtBid、マウスBid BH3及びマウスBax BH3の送達が大量のアポトーシスを誘導することを示す図である。未感染のB16F10細胞(I)、又はII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBadSi_2、III:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスtBid、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスBid BH3、若しくはV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスBax BH3による、2.5時間の感染(感染多重度50)後のB16F10細胞。固定後、細胞をアクチン細胞骨格及び核について染色した(両方とも灰色で)。 D2A1細胞へのマウスtBid、マウスBid BH3及びマウスBax BH3の送達が大量のアポトーシスを誘導することを示す図である。未感染のD2A1細胞(I)、又はII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBadSi_2、III:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスtBid、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスBid BH3、若しくはV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスBax BH3による、2.5時間の感染(感染多重度50)後のD2A1細胞。固定後、細胞をアクチン細胞骨格及び核について染色した(両方とも灰色で)。 HeLa細胞へのマウスtBid、マウスBid BH3及びマウスBax BH3の送達が大量のアポトーシスを誘導することを示す図である。未感染のHeLa細胞(I)、又はII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBadSi_2、III:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスtBid、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスBid BH3、若しくはV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスBax BH3による、2.5時間の感染(感染多重度50)後のHeLa細胞。固定後、細胞をアクチン細胞骨格及び核について染色した(両方とも灰色で)。 4T1細胞へのマウスtBid、マウスBid BH3及びマウスBax BH3の送達が大量のアポトーシスを誘導することを示す図である。未感染の4T1細胞(I)、又はII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBadSi_2、III:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスtBid、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスBid BH3、若しくはV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Y.エンテロコリティカコドン最適化マウスBax BH3による、2.5時間の感染(感染多重度50)後の4T1細胞。固定後、細胞をアクチン細胞骨格及び核について染色した(両方とも灰色で)。 SPI−1 T3SS誘導条件下で増殖させたサルモネラ菌によるマウスtBidの真核細胞への送達がアポトーシスを誘導することを示す図である。未処理のまま放置したHeLa細胞(I)、又はIII:IV:SteA1−20−t−Bidを保有する、V:SteAFL−Bidを保有する、VI:SopE1−81−t−Bidを保有する若しくはVII:SopE1−105−t−Bidを保有するサルモネラ菌aroAに4時間感染多重度100で感染されたHeLa細胞に関する、切断カスパーゼ3 p17ウェスタンブロット分析。この実験については、全てのサルモネラ菌aroA株をSPI−1 T3SS誘導条件下で増殖させた。一部の事例では、細胞を、II:1μMのスタウロスポリンで処理した。記載の数字は、対応する高さの分子量をkDaで示すものである。 SPI−2 T3SS誘導条件下で増殖させたサルモネラ菌によるマウスtBidの真核細胞への送達がアポトーシスを誘導することを示す図である。未処理のまま放置したHeLa細胞(I)、又はIII:IV:SteA1−20−t−Bidを保有する、V:SteAFL−Bidを保有する、VI:SopE1−81−t−Bidを保有する若しくはVII:SopE1−105−t−Bidを保有するサルモネラ菌aroAに4時間感染多重度100で感染されたHeLa細胞に関する、切断カスパーゼ3 p17ウェスタンブロット分析。この実験については、全てのサルモネラ菌aroA株をSPI−2 T3SS誘導条件下で増殖させた。一部のケースでは、細胞を、II:1μMのスタウロスポリンで処理した。記載の数字は、対応する高さの分子量をkDaで示すものである。 培養上清への様々な細胞周期タンパク質のサルモネラ菌T3SS依存性分泌の図である。サルモネラ菌aroA+SteAFL(I、III、V、VII)又はSopE1−105(II、IV、VI、VIII)のどちらかのインビトロ分泌実験であって、SteAFL(I、III、V、VII)又はSopE1−105(II、IV、VI、VIII)が次に列挙する通りのタンパク質と融合しているインビトロ分泌実験。I及びII:Ink4a−MycHis;III及びIV:Ink4c−MycHis;V及びVI:Mad2−MycHis;VII及びVIII:Cdk1−MycHis。沈殿培養上清(「A」)及び全細菌溶解物(「B」)のタンパク質含有量を、抗myc抗体を使用するウェスタンブロット法により分析した。記載の数字は、対応する高さの分子量をkDaで示すものである。 培養上清への様々な既知の細胞周期妨害ペプチドのT3SS依存性分泌を示す図である。I:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2のインビトロ分泌実験。II−VII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138であって、YopE1−138が、次に列挙する通りのペプチドと融合しているもの:II:Ink4A84−103、III:p107/RBL1657−662、IV:p21141−160D149A、V:p21145−160D149A、VI:p2117−33、VII:サイクリンD2139−147。沈殿培養上清(「A」)及び全細菌溶解物(「B」)のタンパク質含有量を、抗YopE抗体を使用するウェスタンブロット法により分析した。記載の数字は、対応する高さの分子量をkDaで示すものである。 T3SS送達タンパク質のユビキチンとの融合がYopE1−138付属物の除去を可能にすることを示す図である。ユビキチンと直接融合しているYopE1−138(YopE1−138−Ubi)と融合している目的のタンパク質を送達する株に、HeLa細胞を感染させる。真核細胞へのタンパク質を送達後、内在性ユビキチン特異的プロテアーゼが目的のタンパク質からYopE1−138−Ubi付属物を切断することになる。未感染のジギトニン溶解HeLa細胞(I)、又はII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Flag−INK4C−MycHis又はIII:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Flag−ユビキチン−INK4C−MycHisによる1時間の感染(感染多重度100)後のジギトニン溶解HeLa細胞を、抗INK4Cのウェスタンブロッティングにより、IV:YopE1−138−Flag−ユビキチン−INK4C−MycHis又はV:YopE1−138−Flag−INK4C−MycHis、切断形VI:INK4C−MycHis及びVII:内在性INK4Cの存在について分析した。 細菌T3SSにより送達されることになる異種タンパク質及びそれらのドメインの模式図である。I:様々なグレースケールで彩色されたドメインを有するヒト/マウス完全長タンパク質、II:様々なグレースケールで彩色されたドメインを有する切断型ヒト/マウスタンパク質、III:ヒト/マウス完全長タンパク質のモチーフ/ドメインのみ、IV:ヒト/マウス完全長タンパク質の単なる反復モチーフ/ドメイン(左)又は2つの異なるモチーフ/ドメインの組合せ(右)。 マウスtBiD及びマウスBaxのBH3ドメイン並びにそれらの融合リピートの真核細胞への送達ががん性細胞においてアポトーシスを誘導することを示す図である。B16F10マウスメラノーマ細胞に、示されている通りの対応する細菌の感染多重度5、10、25及び50(条件毎に左から右へ)で、4時間感染させた。細胞生存率に対する効果を核の計数による細胞数の計数によって評価した。I:核数。II:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2、III:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Bid−BH3、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−(Bid−BH3)及びV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−(Bid−BH3)−(Bax−BH3)。核をHoechstで染色した。自動顕微鏡を使用して画像を取得し、CellProfilerを使用して細胞数を自動的に決定した。 マウスtBiD及びマウスBaxのBH3ドメイン並びにそれらの融合リピートの真核細胞への送達ががん性細胞においてアポトーシスを誘導することを示す図である。4T1乳がん細胞に、示されている通りの対応する細菌の感染多重度5、10、25及び50(条件毎に左から右へ)で、4時間感染させた。細胞生存率に対する効果を核の計数による細胞数の計数によって評価した。I:核数。II:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+pBad_Si2、III:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−Bid−BH3、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−(Bid−BH3)及びV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asd+YopE1−138−(Bid−BH3)−(Bax−BH3)。核をHoechstで染色した。自動顕微鏡を使用して画像を取得し、CellProfilerを使用して細胞数を自動的に決定した。 アポトーシス促進性が増した合成タンパク質の送達の図である。アポトーシス促進性タンパク質t−BID又はBAX由来の単一BH3ドメイン又はBH3のタンデムリピートからなる単一の合成タンパク質の送達は、4T1及びB16F10がん性細胞においてアポトーシス誘導増強をもたらす。pBad−MycHisA上にIV:YopE1−138−tBID BH3伸長ドメイン、V:YopE1−138−リンカー−tBID BH3、VI:YopE1−138−tBID BH3、VII:YopE1−138−(tBID BH3)、VIII:YopE1−138−tBID BH3−BAX BH3又はIV:YopE1−138−BAX BH3−tBID BH3をコードしているY.エンテロコリティカΔyopHOPEMTに、4T1(I)又はB16F10(II)細胞を感染させた。細胞に加えた細菌(感染多重度)の滴定を各株について行い、細胞数を決定し、非線形回帰を使用してIC50を算出した。IC50感染多重度が示されている(III)。 pYVによりコードされた合成アポトーシス促進性タンパク質によるアポトーシスの誘導の図である。pYV上にコードされた単一BID BH3ドメイン又はBID B3ドメインのタンデムリピートの送達は、4T1及びB16F10がん性細胞においてアポトーシス誘導をもたらす。4T1(I)又はB16F10(II)細胞を、IV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT+pYV−YopE1−138−BH3−Bid、又はV:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT+pYV−YopE1−138−(BH3−Bid)、又はVI:Y.エンテロコリティカΔHOPEMT pBad−MycHisA−YopE1−138−(BH3−Bid)に、3時間、感染させた。細胞に加えた細菌(感染多重度)の滴定を各株について行い、細胞数を決定し、非線形回帰を使用してIC50(III)を算出した。 4T1乳がん同種移植モデルにおける静脈内注射したY.エンテロコリティカΔyopH、O、P、E、M、Tの腫瘍定着の図である。腫瘍内の細菌数が組織1グラム当たりのコロニー形成単位(CFU)として示されている(III)。感染後8日目(I)及び14日目(II)に腫瘍内の数を評価した。各点は、個々のマウスを表す。水平の破線は、検出限界を示す。 4T1乳がん同種移植モデルにおける静脈内注射したY.エンテロコリティカΔyopH、O、P、E、M、Tの生体内分布の図である。血液(I)、脾臓(II)、肝臓(III)、肺(IV)及び腫瘍(V)内の細菌数が、組織1グラム当たりのコロニー形成単位(CFU)、又は血液1ml当たりのコロニー形成単位(CFU)(VI)として示されている。感染後14日目に数を評価した。各点は、個々のマウスを表す。水平の破線は、検出限界を示す。は、肺に大きい転移が見られたマウスを示す。 4T1乳がん細胞を皮下に同種移植した野生型Balb/Cマウスにおける腫瘍進行の遅延の図である。4T1乳がん細胞を皮下に同種移植した野生型Balb/Cマウスに、腫瘍が150−250mm3のサイズに達したら、I:PBS又はII:1×107*Y.エンテロコリティカdHOPEMT+pYV−YopE1−138(BH3−Bid)を静脈内注射した。細菌の静脈内注射の日を0日目と定義した。その後数日(III:細菌の静脈内注射後0日目から9日目)にわたって腫瘍体積をノギスで測定した。0日目の腫瘍体積に正規化した相対腫瘍体積が、mmとして示されている(IV)。平均値が記号で示されており、描かれているエラーバーは、平均値の標準誤差を示す。統計的有意性は、二元配置ANOVAで測定され、は、p値<0.05を示し、**は、p値<0.005を示す。 4T1乳がん細胞を皮下に同種移植した野生型Balb/Cマウスにおける腫瘍進行の図である。4T1乳がん細胞を皮下に同種移植した野生型Balb/Cマウスに、腫瘍が150−250mm3のサイズに達したら、I:PBS又はII:1×107*Y.エンテロコリティカdHOPEMTを静脈内注射した。細菌の静脈内注射の日を0日目と定義した。その後数日(III:細菌の静脈内注射後0日目から9日目)にわたって腫瘍体積をノギスで測定した。0日目の腫瘍体積に正規化した相対腫瘍体積が、mmとして示されている(IV)。平均値が記号で示されており、描かれているエラーバーは、平均値の標準誤差を示す。
本発明は、組換えグラム陰性菌株、及び異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインの真核細胞への送達のためのそれらの使用を提供する。
本明細書を解釈するために、以下の定義が適用されることになり、適切な場合はいつでも、単数形で用いられる用語は複数系も含むことになり、また逆に複数形で使用される用語は単数形も含むことになる。本明細書において使用する用語法が特定の実施態様の説明を目的にしたものに過ぎず、限定を意図したものでないことは、理解されるはずである。
「グラム陰性菌株」という用語は、本明細書で使用される場合、次々の細菌を含む:エロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)、エロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、エロモナス・ベロニ(Aeromonas veronii)、アナエロミクソバクター・デハロゲナンス(Anaeromyxobacter dehalogenans)、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)、バークホルデリア・セノセパシア(Burkholderia cenocepacia)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、クラミジア・ムリダルム(Chlamydia muridarum)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachmoatis)、クラミドフィラ・アボルタス(Chlamydophila abortus)、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)、シトロバクター・ローデンチウム(Citrobacter rodentium)、デスルホビブリオ・ブルガリス(Desulfovibrio vulgaris)、エドワージエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)、エンドゾイコモナス・エリシコラ(Endozoicomonas elysicola)、火傷病菌(Erwinia amylovora)、エシェリキア・アルベルティイ(Escherichia albertii)、大腸菌、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、フォトバクテリウム・ダムセラエ(Photobacterium damselae)、フォトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus luminescens)、フォトラブダス・テムペラタ(Photorabdus temperate)、シュードアルテロモナス・スポンギアエ(Pseudoalteromonas spongiae)、緑膿菌、シュードモナス・プレコグロシシダ(Pseudomonas plecoglossicida)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、青枯病菌(Ralstonia solanacearum)、根粒菌属種(Rhizobium sp)、サルモネラ菌及び他のサルモネラ属種(Salmonella sp)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)及び他のシゲラ属種(Shigella sp)、ソーダリス・グロスシニディウス(Sodalis glossinidius)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、ビブリオ・アズレウス(Vibrio azureus)、ビブリオ・キャンプベリイ(Vibrio campellii)、ビブリオ・カルベンティクス(Vibrio caribbenthicus)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harvey)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・タスマニエンシス(Vibrio tasmaniensis)、ビブリオ・ツビアシイ(Vibrio tubiashii)、キサントモナス・アキソノポディス(Xanthomonas axonopodis)、キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)、イネ白葉枯病菌(Xanthomonas oryzae)、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、偽結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)。本発明の好ましいグラム陰性菌株は、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)及びシュードモナス科(Pseudomonadaceae)に含まれるグラム陰性菌株である。本発明のグラム陰性菌株は、インビトロ及び/又はインビボ、好ましくはインビボでの、細菌T3SSによる異種タンパク質の真核細胞への送達に通常は使用される。
「組換えグラム陰性菌株」という用語は、本明細書で使用される場合、ベクターで遺伝的に形質転換されたグラム陰性菌株を意味する。本発明の有用なベクターは、例えば、発現ベクター、染色体若しくは毒性プラスミド挿入のためのベクター、又は染色体若しくは毒性プラスミド挿入若しくは改変のためのDNA若しくはRNA断片である。
本明細書で使用される「少なくとも1つのT3SS機能性エフェクタータンパク質の産生を欠く組換えグラム陰性菌株」という用語は、少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質が変異を受け、そのため、結果として得られる組換えグラム陰性菌株が少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の機能的形態をもはや産生しない、すなわち、そのようなエフェクター遺伝子の発現が消失され、したがって、結果として得られる組換えグラム陰性菌株が、少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質を一切産生しない、又はコードされているエフェクタータンパク質の触媒活性が消失され、したがって、産生される少なくとも1つのT3SSエフェクターがその触媒活性を有さない、例えば、そのエフェクター機能を発揮しない、組換えグラム陰性菌株を意味する。タンパク質を送達するために、少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠く組換えグラム陰性菌株の分泌及び移行系は、インタクトである必要がある。「T3SSエフェクタータンパク質」又は「細菌T3SSエフェクタータンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、真核細胞のサイトゾルにT3S系により自然に打ち込まれるタンパク質、及び例えば真核生物の膜への移行孔を形成し得るT3S系により自然に分泌されるタンパク質(孔形成トランスロケーター(エルシニア属YopB及びYopDのようなもの)、並びにエルシニア属LcrVのようなtipタンパク質)を意味する。好ましくは、T3S系により真核細胞のサイトゾルに自然に打ち込まれるタンパク質が使用される。これらの毒性因子は、病原体のために真核細胞を麻痺させる又は再プログラミングすることになる。T3Sエフェクターは、生化学的活性の幅広いレパートリーを示し、極めて重要な宿主調節分子の機能を調節し、AvrA、AvrB、AvrBs2、AvrBS3、AvrBsT、AvrD、AvrD1、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPtoB、AvrRpm1、AvrRpt2、AvrXv3、CigR、EspF、EspG、EspH、EspZ、ExoS、ExoT、GogB、GtgA、GtgE、GALAタンパク質ファミリー、HopAB2、HopAO1、HopI1、HopM1、HopN1、HopPtoD2、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、HopU1、HsvB、IcsB、IpaA、IpaB、IpaC、IpaH、IpaH7.8、IpaH9.8、IpgB1、IpgB2、IpgD、LcrV、Map、OspC1、OspE2、OspF、OspG、OspI、PipB、PipB2、PopB、PopP2、PthXo1、PthXo6、PthXo7、SifA、SifB、SipA/SspA、SipB、SipC/SspC、SipD/SspD、SlrP、SopA、SopB/SigD、SopD、SopE、SopE2、SpiC/SsaB、SptP、SpvB、SpvC、SrfH、SrfJ、Sse、SseB、SseC、SseD、SseF、SseG、SseI/SrfH、SseJ、SseK1、SseK2、SseK3、SseL、SspH1、SspH2、SteA、SteB、SteC、SteD、SteE、TccP2、Tir、VirA、VirPphA、VopF、XopD、YopB、YopD YopE、YopH、YopJ、YopM、YopO、YopP、YopT、YpkAを含む。
「増殖に必須のアミノ酸を産生することが不十分なグラム陰性菌株」及び「栄養要求突然変異株」という用語は、本明細書では同義で使用され、外から供給される少なくとも1つの必須アミノ酸又はその前駆体の非存在下で増殖することができないグラム陰性菌株を意味する。株による生産が不十分であるアミノ酸は、例えば、アスパラギン酸塩、メソ−2,6−ジアミノピメリン酸、芳香族アミノ酸又はロイシン−アルギニンである[8]。そのような株を、例えば、アスパラギン酸−ベータ−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失(Δasd)により、生じさせることができる。そのような栄養要求突然変異株は、外来メソ−2,6−ジアミノピメリン酸の非存在下では増殖することができない[9]。突然変異株、例えば、アスパラギン酸−ベータ−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失は、本発明の増殖に必須のアミノ酸を産生することが不十分なグラム陰性菌株にとってここでは好ましい。
「真核細胞表面又は細胞外マトリックスと結合する接着タンパク質の生産が不十分なグラム陰性菌株」という用語は、対応する野生型株により発現される接着タンパク質と比較して少なくとも1つの接着タンパク質を発現しない突然変異型グラム陰性菌株を意味する。接着タンパク質は、例えば、線毛(pili)/線毛(fimbriae)又は非線毛アドヘシンのような伸長した高分子接着分子を含み得る。線毛アドヘシンは、1型線毛(例えば、FimHアドヘシンを有する大腸菌Fim線毛)、P線毛(例えば、大腸菌からのPgpGアドヘシンを有するPap線毛)、4型線毛(例えば、緑膿菌からのピリンタンパク質)又はcurli(サルモネラ菌からのCsgAアドヘシンを有するCsgタンパク質)を含む。非線毛アドヘシンは、三量体自己輸送体アドヘシン、例えば、Y.エンテロコリティカからのYadA、BpaA(類鼻疽菌(B.pseudomallei))、Hia(インフルエンザ菌(H.influenzae))、BadA(バルトネラ・ヘンセラ菌(B.henselae))、NadA(髄膜炎菌(N.meningitidis)又はUspA1(モラクセラ・カタラーリス(M.catarrhalis))、並びに他の自己輸送体アドヘシン、例えばAIDA−1(大腸菌)、並びに他のアドヘシン/インベイシン、例えば、Y.エンテロコリティカからのInvA、又はインチミン(大腸菌)、又はDrファミリー若しくはAfaファミリーのメンバー(大腸菌)を含む。YadA及びInvAという用語は、本明細書で使用される場合、Y.エンテロコリティカからのタンパク質を意味する。自己輸送体YadA[10、11]は、フィブロネクチンはもちろん様々な形態のコラーゲンとも結合し、その一方で、インベイシンInvA[12−14]は、真核細胞膜中のβ−インテグリンと結合する。グラム陰性菌株がY.エンテロコリティカ株である場合、その株には、好ましくは、InvA及び/又はYadAが欠損している。
本明細書で使用される場合、「腸内細菌科」という用語は、脊椎動物において病原体として出現することが多い、土壌、水、植物及び動物中で見出されるグラム陰性、桿状、通性嫌気性細菌の科を含む。この科の細菌は、類似の生理機能を共有し、それぞれのゲノムの機能性エレメント及び遺伝子内の保存を示す。オキシダーゼ陰性であることはもちろん、この科の全てのメンバーは、グルコース発酵菌であり、大部分が硝酸還元菌である。
本発明の腸内細菌科細菌は、その科からの何れの細菌であってもよく、具体的には、次の属の細菌を、これらに限定されるものではないが、含む:大腸菌属、シゲラ属、エドワージエラ属(Edwardsiella)、サルモネラ属、シトロバクター属(Citrobacter)、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属(Proteus)、エルウィニア属(Erwinia)、モルガネラ属(Morganella)、プロビデンシア属(Providencia)、又はエルシニア属。より具体的な実施態様では、細菌は、大腸菌、エシェリキア・ブラタエ(Escherichia blattae)、エシェリキア・ファグソニイ(Escherichia fergusonii)、エシェリキア・ハーマンニイ(Escherichia hermanii)、エシェリキア・ブルネリス(Escherichia vuneris)、サルモネラ菌、サルモネラ・ボンゴリ(Salmonella bongori)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・ジェルゴビアエ(Enterobacter gergoviae)、エンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、霊菌(Serratia marcescens)、偽結核菌、ペスト菌、エルシニア・エンテロコリティカ、火傷病菌、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、プロテウス・ハウセリ(Proteus hauseri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、又はモルガン菌(Morganella morganii)種のものである。好ましくは、グラム陰性菌株は、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属、シゲラ属、シュードモナス属、クラミジア属(Chlamydia)、エルウィニア属、パントエア属、ビブリオ属、バークホリデリア属、ラルストニア属、キサントモナス属(Xanthomonas)、クロモバクテリウム属(Chromobacterium)、ソダリス属(Sodalis)、シトロバクター属、エドワージエラ属、根粒菌属、エロモナス属(Aeromonas)、フォトラブダス属(Photorhabdus)、ボルデテラ属及びデスルホビブリオ属(Desulfovibrio)からなる群から、より好ましくは、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属及びシュードモナス属からなる群から、最も好ましくは、エルシニア属及びサルモネラ属からなる群から選択される。
「エルシニア(属)」という用語は、本明細書で使用される場合、エルシニア・エンテロコリティカ、偽結核菌及びペスト菌をはじめとする、エルシニア属の全ての種を含む。好ましいのは、エルシニア・エンテロコリティカである。
「サルモネラ(属)」という用語は、本明細書で使用される場合、サルモネラ菌及びサルモネラ・ボンゴリ(S.bongori)をはじめとする、サルモネラ属の全ての種を含む。好ましいのは、サルモネラ菌である。
「プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、転写単位の発現を制御する核酸配列を意味する。「プロモーター領域」は、細胞内のRNAポリメラーゼに結合することができ、下流の(3’方向の)コード配列の転写を開始させることができる、調節領域である。プロモーター領域内には、転写開始部位(ヌクレアーゼS1を用いてマッピングすることにより簡便に定義される)、並びに推定−35領域及びプリブノーボックス等の、RNAの結合に関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見られる。2つのRNA領域間の関係を記載する際の「動作可能に連結されている」という用語は、単に、それらが互いに機能的に関連していること及びそれらが同じ核酸断片上に位置することを意味する。プロモーターが構造遺伝子の転写を調節する場合、及びプロモーターが構造遺伝子と同じ核酸断片状に位置する場合、プロモーターは、構造遺伝子に動作可能に連結されている。通常、プロモーターは、前記グラム陰性菌株内で機能性である、すなわち、プロモーターは、本発明の融合タンパク質を発現することができ、すなわち、プロモーターは、さらなる遺伝子操作も、さらなるタンパク質の発現も伴わずに、本発明の融合タンパク質を発現することができる。さらに、機能性プロモーターは、細菌T3SSに対する対抗制御を自然に受けてはならない。
本明細書で使用される「送達する」という用語は、組換えグラム陰性菌株から真核細胞へのタンパク質の輸送であって、組換えグラム陰性菌株において異種タンパク質を発現させるステップ、発現されたタンパク質をそのようなグラム陰性菌株から分泌するステップ、及びそのようなグラム陰性菌株による分泌タンパク質を真核細胞のサイトゾルに移行させるステップを含む、輸送を意味する。したがって、本明細書では同義で使用される「送達シグナル」又は「分泌シグナル」という用語は、グラム陰性菌株の分泌及び移行系により認識され得るポリペプチド配列であって、グラム陰性菌株から真核細胞へのタンパク質の送達を指示するポリペプチド配列を意味する。
本明細書で使用される「細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル」という用語は、組換えグラム陰性菌株において機能する細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル、すなわち、組換えグラム陰性菌株において発現された異種タンパク質を、例えば、III型分泌系等の分泌系によってそのような組換えグラム陰性菌株から分泌できるようにする、又は例えば、III型分泌系等の分泌系によってそのような組換えグラム陰性菌株により真核細胞のサイトゾルに移行させることができるようにするシグナルを意味する。本明細書で使用される「細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル」という用語は、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの断片、すなわち、送達シグナルのより短いバージョン、例えば、10アミノ酸以下、好ましくは20アミノ酸以下、より好ましくは50アミノ酸以下、よりいっそう好ましくは100アミノ酸以下、特に140アミノ酸以下の送達シグナル、例えば天然に存在する送達シグナルも含む。したがって、例えば、細菌エフェクタータンパク質から送達シグナルをコードするDNA配列等の、ヌクレオチド配列は、完全長送達シグナルをコードすることもあり、又はその断片であって、通常は30以下、好ましくは60以下、より好ましくは150以下、よりいっそう好ましくは300以下、特に420以下の核酸を含む断片を含むこともある。
本明細書で使用される場合、タンパク質の「分泌」は、組換えグラム陰性菌株の細胞膜を横断して外側への異種タンパク質の移行を意味する。タンパク質の「移行」は、組換えグラム陰性菌株から真核細胞の原形質膜を横断してそのような真核細胞のサイトゾルへの異種タンパク質の輸送を意味する。
「真核細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、次の真核細胞を含む:Hi−5、HeLa、Hek、HUVEC、3T3、CHO、ジャーカット、Sf−9、HepG2、ベロ、MDCK、Mef、THP−1、J774、RAW、Caco2、NCI60、DU145、Lncap、MCF−7、MDA−MB−438、PC3、T47D、A549、U87、SHSY5Y、Ea.Hy926、Saos−2、4T1、D2A1、B16F10、及び初代培養ヒト肝細胞。「真核細胞」は、本明細書で使用される場合、「標的細胞」又は「標的真核細胞」とも呼ばれる。
「T3SSエフェクタータンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、真核細胞のサイトゾルにT3S系により自然に打ち込まれるタンパク質、又は例えば真核生物の膜への移行孔を形成し得るT3S系により自然に分泌されるタンパク質(孔形成トランスロケーター(エルシニアYopB及びYopDのようなもの)、並びにエルシニアLcrVのようなtipタンパク質)を意味する。好ましくは、T3S系により真核細胞のサイトゾルに自然に打ち込まれるタンパク質が使用される。これらの毒性因子は、病原体のために真核細胞を麻痺させる又は再プログラミングすることになる。T3Sエフェクターは、生化学的活性の幅広いレパートリーを示し、極めて重要な宿主調節分子の機能を調節し[2、15]、AvrA、AvrB、AvrBs2、AvrBS3、AvrBsT、AvrD、AvrD1、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPtoB、AvrRpm1、AvrRpt2、AvrXv3、CigR、EspF、EspG、EspH、EspZ、ExoS、ExoT、GogB、GtgA、GtgE、GALAタンパク質ファミリー、HopAB2、HopAO1、HopI1、HopM1、HopN1、HopPtoD2、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、HopU1、HsvB、IcsB、IpaA、IpaB、IpaC、IpaH、IpaH7.8、IpaH9.8、IpgB1、IpgB2、IpgD、LcrV、Map、OspC1、OspE2、OspF、OspG、OspI、PipB、PipB2、PopB、PopP2、PthXo1、PthXo6、PthXo7、SifA、SifB、SipA/SspA、SipB、SipC/SspC、SipD/SspD、SlrP、SopA、SopB/SigD、SopD、SopE、SopE2、SpiC/SsaB、SptP、SpvB、SpvC、SrfH、SrfJ、Sse、SseB、SseC、SseD、SseF、SseG、SseI/SrfH、SseJ、SseK1、SseK2、SseK3、SseL、SspH1、SspH2、SteA、SteB、SteC、SteD、SteE、TccP2、Tir、VirA、VirPphA、VopF、XopD、YopB、YopD YopE、YopH、YopJ、YopM、YopO、YopP、YopT、YpkAを含む。
エルシニア属のT3SSエフェクター遺伝子は、例えば、Y.エンテロコリティカからクローニングされており、それらは、YopE、YopH、YopM、YopO、YopP/YopJ、及びYopTである[16]。フレクスナー赤痢菌(例えば、OspF、IpgD、IpgB1)、サルモネラ菌(例えば、SopE、SopB、SptP)、緑膿菌(例えば、ExoS、ExoT、ExoU、ExoY)又は大腸菌(例えば、Tir、Map、EspF、EspG、EspH、EspZ)からそれぞれのエフェクター遺伝子をクローニングすることができる。これらの遺伝子の核酸配列を当業者は、例えば、Genebankデータベースから(NC_002120 GI:10955536からyopH、yopO、yopE、yopP、yopM、yopT;AF386526.1 GI:18462515からのフレクスナー赤痢菌エフェクタータンパク質;NC_016810.1 GI:378697983又はFQ312003.1 GI:301156631からのサルモネラ菌エフェクター;AE004091.2 GI:110227054又はCP000438.1 GI:115583796からの緑膿菌エフェクター;及びNC_011601.1 GI:215485161からの大腸菌エフェクタータンパク質)入手することができる。
本発明では、遺伝子は、タンパク質と区別するために小文字の斜字により表示する。遺伝子(小文字の斜字により表示)が細菌種名(例えば、大腸菌)の後に続いている場合、それらは、対応する細菌種における対応する遺伝子の変異を意味する。例えば、YopEは、yopE遺伝子によりコードされたエフェクタータンパク質を指す。Y.エンテロコリティカyopEは、yopE遺伝子に変異があるY.エンテロコリティカを表す。
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」、「タンパク質」、「ポリペプチドの」及び「ペプチドの」という用語は、隣接する残基のアルファ−アミノ基とカルボキシ基間のペプチド結合により互いに連結されている一連のアミノ酸残基を指定するために同義で使用される。好ましいのは、少なくとも10のアミノ酸、より好ましくは少なくとも20のアミノ酸、を含むアミノ酸配列を有するタンパク質である。
本発明によれば、「異種タンパク質のドメイン」は、天然に存在するタンパク質のドメインを含み、人工的に操作されたタンパク質のドメインも含む。本明細書で使用される場合、「異種タンパク質のドメイン」という用語は、T3SSエフェクタータンパク質のドメイン以外の異種タンパク質のドメイン、又は融合タンパク質を獲得するために融合させることができるそのN末端断片を含むドメイン以外のドメインを意味する。特に、異種タンパク質のドメインは、本明細書で使用される場合、本発明により提供され、使用される特定の組換えグラム陰性菌株のプロテオーム、すなわち全天然タンパク質成分に属さない、例えば、エルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属又はシュードモナス属の特定の菌株のプロテオーム、すなわち、全天然タンパク質成分に属さない異種タンパク質のドメインを意味する。通常、異種タンパク質のドメインは、ヒト起源を含む、動物起源のものである。好ましくは、異種タンパク質のドメインは、ヒトタンパク質のドメインである。より好ましくは、異種タンパク質のドメインは、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択されるタンパク質のドメインである。特に好ましくは、異種タンパク質のドメインは、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、レポータータンパク質、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター及びウイルスタンパク質からなる群から選択されるタンパク質のドメインである。よりいっそう特に好ましいのは、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、及びアンキリンリピートタンパク質からなる群から選択される異種タンパク質のドメインである。最も好ましいのは、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与する動物タンパク質のような、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質のドメイン、好ましくは、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するヒト異種タンパク質のドメインである。
「異種タンパク質の反復ドメイン」という用語は、本明細書で使用される場合、異種タンパク質のドメインの数度の反復からなる融合タンパク質であって、これらのドメインが互いに直接融合していてもよく、又は可変リンカー、例えば、アミノ酸数1−30の間、好ましくは2−15の間、よりいっそう好ましくは3−10の間のリンカーが、ドメイン間に導入されていてもよい、融合タンパク質を意味する。好ましくは、同一のドメイン、又は80%より高い、通常は85%より高い、好ましくは90%より高い、よりいっそう好ましくは95%より高い、特に96%より高い、より特に97%より高い、よりいっそう特に98%より高い、最も特に99%より高いアミノ酸配列同一性を有する反復ドメインが使用される。また、好ましいのは、100%のアミノ酸同一性を有する同一のドメインである。好ましくは、2つの反復ドメイン、より好ましくは2つの同一の反復ドメイン、又は90%より高い、好ましくは95%より高い、最も好ましくは100%のアミノ酸配列同一性を有する2つの反復ドメインは、本明細書で意味するところの融合タンパク質に含まれる。2つより多くの、例えば、3、4、5又は6つの反復ドメインも、本発明により企図されている。
「異なる異種タンパク質の2つ以上のドメイン」という用語は、本明細書で使用される場合、異なる異種タンパク質の少なくとも2つのドメイン、例えば、80%以下のアミノ酸配列同一性を有する異種タンパク質の少なくとも2つのドメイン、の一度又は数度の反復からなる融合タンパク質であって、これらの異なるドメインが互いに直接融合していてもよく、又は可変リンカー、例えば、アミノ酸数1−30の間、好ましくは2−15の間、よりいっそう好ましくは3−10の間のリンカーが、ドメイン間に導入されていてもよい、融合タンパク質を意味する。好ましくは、異なる異種タンパク質の2つのドメインは、本明細書で意味するところの融合タンパク質に含まれる。異なる異種タンパク質の2つより多くの、例えば、3、4、5又は6つのドメインも、本発明により企図されている。
「タンパク質の同じ機能クラスに属する異種タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、同じ機能を有する異種タンパク質、例えば、酵素活性を有する異種タンパク質、例えば細胞周期制御等の、同じ経路で作用する異種タンパク質、又は細菌エフェクタータンパク質の同じクラスに属していることのような、共通の特異的特徴を共有する異種タンパク質を意味する。タンパク質の機能クラスは、例えば、真核細胞に対する毒性を確立する生物学的プロセスにおいて一緒に作用する、アポトーシス若しくはアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子として作用するタンパク質、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター又はウイルスタンパク質である。
組換えグラム陰性菌株により発現される異種タンパク質のドメインは、通常、1−150kDaの間、好ましくは1−30kDaの間、より好ましくは1−20kDaの間、最も好ましくは1−10kDaの間の分子量を有する。
本発明によれば、「アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質」又は「アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するヒト異種タンパク質」は、これらに限定されるものではないが、Bad、Bcl2、Bak、Bmt、Bax、Puma、Noxa、Bim、Bcl−xL、Apaf1、カスパーゼ9、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ10、DFFA、DFFB、ROCK1、APP、CAD、ICAD、CAD、EndoG、AIF、HtrA2、Smac/Diablo、Arts、ATM、ATR、Bok/Mtd、Bmf、Mcl−1(S)、IAPファミリー、LC8、PP2B、14−3−3タンパク質、PKA、PKC、PI3K、Erk1/2、p90RSK、TRAF2、TRADD、FADD、Daxx、カスパーゼ8、カスパーゼ2、RIP、RAIDD、MKK7、JNK、FLIPs、FKHR、GSK3、CDK及びそれらの阻害剤、例えばINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))、並びにCip1/Waf1/Kip1−2ファミリー(p21(Cip1/Waf1)、p27(Kip1)、p57(Kip2))を含む。好ましくは、Bad、Bmt、Bcl2、Bak、Bax、Puma、Noxa、Bim、Bcl−xL、カスパーゼ9、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、Smac/Diablo、Bok/Mtd、Bmf、Mcl−1(S)、LC8、PP2B、TRADD、Daxx、カスパーゼ8、カスパーゼ2、RIP、RAIDD、FKHR、CDK及びそれらの阻害剤、例えばINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))、最も好ましくは、BIM、Bid、切断型Bid、FADD、カスパーゼ3(及びそのサブユニット)、Bax、Bad、Akt、CDK及びそれらの阻害剤、例えばINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))が、使用される[17−19]。加えて、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質は、DIVA、Bcl−Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、Bid及びtBid、Egl−1、Bcl−Gs、シトクロムC、ベクリン、CED−13、BNIP1、BNIP3、Bcl−B、Bcl−W、Ced−9、A1、NR13、Bfl−1、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ8を含む。アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質は、アポトーシス促進性タンパク質、抗アポトーシスタンパク質、アポトーシス阻止経路の阻害剤、及び生存促進性シグナル伝達又は経路の阻害剤からなる群から選択される。アポトーシス促進性タンパク質は、Bax、Bak、Diva、Bcl−Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、Bmf、Noxa、Puma、Bim、Bad、Bid及びtBid、Bok、Apaf1、Smac/Diablo、BNIP1、BNIP3、Bcl−Gs、ベクリン1、Egl−1及びCED−13、シトクロムC、FADD、カスパーゼファミリー、並びにCDK及びそれらの阻害剤、例えばINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))からなる群から選択される、又はBax、Bak、Diva、Bcl−Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、Bmf、Noxa、Puma、Bim、Bad、Bid及びtBid、Bok、Egl−1、Apaf1、Smac/Diablo、BNIP1、BNIP3、Bcl−Gs、ベクリン1、Egl−1及びCED−13、シトクロムC、FADD、並びにカスパーゼファミリーからなる群から選択されるタンパク質を含む。好ましいのは、Bax、Bak、Diva、Bcl−Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、Bmf、Noxa、Puma、Bim、Bad、Bid及びtBid、Bok、Egl−1、Apaf1、BNIP1、BNIP3、Bcl−Gs、ベクリン1、Egl−1及びCED−13、Smac/Diablo、FADD、カスパーゼファミリー、CDK及びそれらの阻害剤、例えばINK4ファミリー(p16(Ink4a)、p15(Ink4b)、p18(Ink4c)、p19(Ink4d))である。同じく好ましいのは、Bax、Bak、Diva、Bcl−Xs、Nbk/Bik、Hrk/Dp5、Bmf、Noxa、Puma、Bim、Bad、Bid及びtBid、Bok、Apaf1、BNIP1、BNIP3、Bcl−Gs、ベクリン1、Egl−1及びCED−13、Smac/Diablo、FADD、カスパーゼファミリーである。
抗アポトーシスタンパク質は、Bcl−2、Bcl−Xl、Bcl−B、Bcl−W、Mcl−1、Ced−9、A1、NR13、IAPファミリー及びBfl−1からなる群から選択されるタンパク質を含む。好ましいのは、Bcl−2、Bcl−Xl、Bcl−B、Bcl−W、Mcl−1、Ced−9、A1、NR13及びBfl−1である。
アポトーシス阻止経路の阻害剤は、Bad、Noxa及びCdc25Aからなる群から選択されるタンパク質を含む。好ましいのは、Bad及びNoxaである。
生存促進性シグナル伝達又は経路の阻害剤は、PTEN、ROCK、PP2A、PHLPP、JNK、p38からなる群から選択されるタンパク質を含む。好ましいのは、PTEN、ROCK、PP2A及びPHLPPである。
一部の実施態様では、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与する異種タンパク質は、BH3−onlyタンパク質、カスパーゼ、及びアポトーシスの細胞死受容体調節の細胞内シグナル伝達タンパク質からなる群から選択される。
BH3−onlyタンパク質は、Bad、BIM、Bid及びtBid、Puma、Bik/Nbk、Bod、Hrk/Dp5、BNIP1、BNIP3、Bmf、Noxa、Mcl−1、Bcl−Gs、ベクリン1、Egl−1並びにCED−13からなる群から選択されるタンパク質を含む。好ましいのは、Bad、BIM、Bid及びtBidである。
カスパーゼは、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10からなる群から選択されるタンパク質を含む。好ましいのは、カスパーゼ3、カスパーゼ8及びカスパーゼ9である。
アポトーシスの細胞死受容体調節の細胞内シグナル伝達タンパク質は、FADD、TRADD、ASC、BAP31、GULP1/CED−6、CIDEA、MFG−E8、CIDEC、RIPK1/RIP1、CRADD、RIPK3/RIP3、Crk、SHB、CrkL、DAXX、14−3−3ファミリー、FLIP、DFF40及び45、PEA−15、SODDからなる群から選択されるタンパク質を含む。好ましいのは、FADD及びTRADDである。
一部の態様では、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与する異種タンパク質の2つのドメイン、好ましくは、アポトーシス若しくはアポトーシス調節に関与するタンパク質の2つの反復ドメイン、好ましくは同一の2つの反復ドメイン、又はアポトーシス若しくはアポトーシス調節に関与する異なるタンパク質の2つのドメインは、本発明のグラム陰性菌株及び/又はベクターに含まれる。一部の実施態様では、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与する異種タンパク質の2つのドメインであって、一方が、アポトーシス促進性タンパク質のドメインであり、他方が、アポトーシス阻止経路の阻害剤であるタンパク質のドメインであるか、又は一方が、アポトーシス促進性タンパク質のドメインであり、他方が、生存促進性シグナル伝達若しくは経路の阻害剤であるタンパク質のドメインである、2つのドメインは、本発明のグラム陰性菌株及び/又はベクターに含まれる。
本発明により包含されるアポトーシス促進性タンパク質は、通常、アルファヘリックス構造、好ましくは、両親媒性ヘリックスにより取り囲まれた疎水性ヘリックスを有し、通常は、BH1、BH2、BH3又はBH4ドメインのうちの少なくとも1つを含み、好ましくは、少なくとも1つのBH3ドメインを有する。通常、本発明に包含されるアポトーシス促進性タンパク質は、酵素的活性を有さない。
本発明に包含される抗アポトーシスタンパク質は、通常、アルファヘリックス構造、好ましくは、両親媒性ヘリックスにより取り囲まれた疎水性ヘリックスを有し、異なるBH1、BH2、BH3及びBH4ドメインの組合せ、好ましくは、BH1及びBH2ドメインが存在する異なるBH1、BH2、BH3及びBH4ドメインの組合せ、より好ましくは、BH4−BH3−BH1−BH2、BH1−BH2、BH4−BH1−BH2又はBH3−BH1−BH2(N末端からC末端へ)を含む。加えて、少なくとも1つのBIRドメインを含有するタンパク質も包含される。
本発明に包含されるアポトーシス阻止経路の阻害剤は、通常、アルファヘリックス構造、好ましくは、両親媒性ヘリックスにより取り囲まれた疎水性ヘリックスを有し、通常は1つのBH3ドメインを含む。
BH1、BH2、BH3又はBH4ドメインは、各々、通常は長さが約5−約50アミノ酸の間である。したがって、一部の実施態様では、異種タンパク質のドメインは、長さが約5−約200、好ましくは約5−約150、より好ましくは約5−約100、最も好ましくは約5−約50、特に、約5−約25アミノ酸である、異種タンパク質のドメインからなる群から選択される。
特に好ましいドメインは、アポトーシス誘導因子tBIDのBH3ドメイン、より詳細には、配列番号209、210、211及び212、好ましくは、配列番号211又は配列番号212からなる群から選択される配列を含むBH3ドメインである。同じく好ましいのは、アポトーシス調節因子BAXのBH3ドメイン、より詳細には、配列番号213、214、215及び216、好ましくは配列番号215又は配列番号216からなる群から選択される配列を含むBAXドメインである。ヒト及びマウス配列が配列番号209−216に与えられているが、全ての他の種のtBID及びBAX BH3ドメインも同様に含まれる。
一部の実施態様では、異種タンパク質の反復ドメインは、BH3ドメイン、特にアポトーシス誘導因子tBIDの反復BH3ドメイン、より特に、アポトーシス誘導因子tBIDの2つの反復BH3ドメイン、最も特に、配列番号202の配列に含まれるアポトーシス誘導因子tBIDの2つの反復BH3ドメインである。したがって、好ましい実施態様では、本発明のグラム陰性菌株のベクターは、BH3ドメインの2つの反復ドメイン、より好ましくはアポトーシス誘導因子tBIDの2つの反復BH3ドメイン、をコードする第2のDNA配列を含む。2つの反復ドメインは、1−30アミノ酸長、好ましくは2−15アミノ酸、より好ましくは3−10アミノ酸長のリンカーにより連結されていることが好ましい。
一部の実施態様では、異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインは、タンパク質の同じ機能クラスに属する異種タンパク質のドメインであり、好ましくは、2つ以上のドメインの異なる異種タンパク質は、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質のクラスとは異なる異種タンパク質である。好ましい実施態様では、異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインは、アポトーシス誘導因子tBIDのBH3ドメイン、及びアポトーシス調節因子BAXのBH3ドメイン、特に、配列番号203の配列に含まれる、融合したBH3ドメインである。異なる異種タンパク質の2つのドメインは、1−30アミノ酸長、好ましくは2−15アミノ酸、より好ましくは3−10アミノ酸長のリンカーにより連結されていることが好ましい。
一部の実施態様では、異種タンパク質は、プロドラッグ変換酵素である。これらの実施態様では、組換え弱毒化グラム陰性菌株は、プロドラッグ変換酵素を発現する、好ましくは、発現し、分泌する。本明細書で意味するところのプロドラッグ変換酵素は、非毒性プロドラッグを毒性プロドラッグに変換する酵素、好ましくは、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、チミジンキナーゼ、ベータガラクトシダーゼ、カルボキシルエステラーゼ、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼ及びベータグルクロニダーゼからなる群から選択される酵素、より好ましくは、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、チミジンキナーゼ及びベータガラクトシダーゼからなる群から選択される酵素を含む。
「プロテアーゼ切断部位」という用語は、本明細書で使用される場合、アミノ酸モチーフを認識する特定のプロテアーゼにより切断される、アミノ酸配列内の、例えば、タンパク質又は融合タンパク質のアミノ酸配列内の特定のアミノ酸モチーフを意味する。総説については[20]を参照されたい。プロテアーゼ切断部位の例は、エンテロキナーゼ(軽鎖)、エンテロペプチダーゼ、PreScissionプロテアーゼ、ヒトライノウイルスプロテアーゼ(HRV 3C)、TEVプロテアーゼ、TVMVプロテアーゼ、第Xa因子プロテアーゼ及びトロンビンからなる群から選択されるプロテアーゼにより切断される、アミノ酸モチーフである。
以下のアミノ酸モチーフは、それぞれプロテアーゼにより認識される:
− Asp−Asp−Asp−Asp−Lys:エンテロキナーゼ(軽鎖)/エンテロペプチダーゼ
− Leu−Glu−Val−Leu−Phe−Gln/Gly−Pro:PreScissionプロテアーゼ/ヒトライノウイルスプロテアーゼ(HRV 3C)
− TEVプロテアーゼ(タバコエッチウイルス)により認識される、Glu−Asn−Leu−Tyr−Phe−Gln−Ser、及びGlu−X−X−Tyr−X−Gln−Gly/Ser(ここでのXは任意のアミノ酸である)に基づく改変モチーフ
−Glu−Thr−Val−Arg−Phe−Gln−Ser:TVMVプロテアーゼ
− Ile−(Glu又はAsp)−Gly−Arg:第Xa因子プロテアーゼ
− Leu−Val−Pro−Arg/Gly−Se:トロンビン。
本明細書で使用する場合のプロテアーゼ切断部位にはユビキチンが包含される。したがって、一部の好ましい実施態様では、ユビキチンがプロテアーゼ切断部位として使用される。すなわち、第3のDNA配列は、N末端部位で特異的ユビキチンプロセシングプロテアーゼにより切断され得る、例えば、融合タンパク質が送達される細胞において脱ユビキチン化酵素と呼ばれる特異的ユビキチンプロセシングプロテアーゼによりN末端部位で内因的に切断され得るプロテアーゼ切断部位として、ユビキチンをコードする。ユビキチンは、そのC末端で、内在性ユビキチン特異的C末端プロテアーゼ(脱ユビキチン化酵素、DUB)群により、プロセシングされる。DUBによるユビキチンの切断は、ユビキチンのまさにC末端(G76の後)で起こるはずである。
「個体」、「対象」又は「患者」は、脊椎動物である。ある特定の実施態様では、脊椎動物は、哺乳動物である。哺乳動物は、霊長類(ヒト及び非ヒト霊長類)並びにげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施態様では、哺乳動物はヒトである。
「変異」という用語は、本明細書で使用される場合、一般用語であり、単一の塩基対と複数の塩基対の両方の変化を含む。そのような変異は、置換、フレームシフト変異、欠失、挿入及びトランケーションを含み得る。
「標識分子、又は標識分子の受容部位」という用語は、本明細書で使用される場合、結合している化合物の蛍光をもたらす、特異的アミノ酸配列と結合している小分子化合物、好ましくは、クマリンリガーゼ/クマリン受容部位(及びその誘導体)、レゾルフィンリガーゼ/レゾルフィン受容部位(及びその誘導体)、及びFlAsH/ReAsH色素(life technologies)と共に使用されているテトラシステインモチーフ(Cys−Cys−Pro−Gly−Cys−Cysのようなもの及びその誘導体)、又は高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)のような蛍光タンパク質を意味する。
「核内移行シグナル」という用語は、本明細書で使用される場合、真核細胞の核への取り込みのためのタンパク質を知らせるアミノ酸配列を意味し、好ましくは、SV40ラージT抗原由来のNLS(PPKKKRKV)等の、ウイルス核内移行シグナルを含む。
「多重クローニング部位」という用語は、本明細書で使用される場合、AclI、HindIII、SspI、MluCI、Tsp509I、PciI、AgeI、BspMI、BfuAI、SexAI、MluI、BceAI、HpyCH4IV、HpyCH4III、BaeI、BsaXI、AflIII、SpeI、BsrI、BmrI、BglII、AfeI、AluI、StuI、ScaI、ClaI、BspDI、PI−SceI、NsiI、AseI、SwaI、CspCI、MfeI、BssSI、BmgBI、PmlI、DraIII、AleI、EcoP15I、PvuII、AlwNI、BtsIMutI、TspRI、NdeI、NlaIII、CviAII、FatI、MslI、FspEI、XcmI、BstXI、PflMI、BccI、NcoI、BseYI、FauI、SmaI、XmaI、TspMI、Nt.CviPII、LpnPI、AciI、SacII、BsrBI、MspI、HpaII、ScrFI、BssKI、StyD4I、BsaJI、BslI、BtgI、NciI、AvrII、MnlI、BbvCI、Nb.BbvCI、Nt.BbvCI、SbfI、Bpu10I、Bsu36I、EcoNI、HpyAV、BstNI、PspGI、StyI、BcgI、PvuI、BstUI、EagI、RsrII、BsiEI、BsiWI、BsmBI、Hpy99I、MspA1I、MspJI、SgrAI、BfaI、BspCNI、XhoI、EarI、AcuI、PstI、BpmI、DdeI、SfcI、AflII、BpuEI、SmlI、AvaI、BsoBI、MboII、BbsI、XmnI、BsmI、Nb.BsmI、EcoRI、HgaI、AatII、ZraI、Tth111I PflFI、PshAI、AhdI、DrdI、Eco53kI、SacI、BseRI、PleI、Nt.BstNBI、MlyI、HinfI、EcoRV、MboI、Sau3AI、DpnII BfuCI、DpnI、BsaBI、TfiI、BsrDI、Nb.BsrDI、BbvI、BtsI、Nb.BtsI、BstAPI、SfaNI、SphI、NmeAIII、NaeI、NgoMIV、BglI、AsiSI、BtgZI、HinP1I、HhaI、BssHII、NotI、Fnu4HI、Cac8I、MwoI、NheI、BmtI、SapI、BspQI、Nt.BspQI、BlpI、TseI、ApeKI、Bsp1286I、AlwI、Nt.AlwI、BamHI、FokI、BtsCI、HaeIII、PhoI、FseI、SfiI、NarI、KasI、SfoI、PluTI、AscI、EciI、BsmFI、ApaI、PspOMI、Sau96I、NlaIV、KpnI、Acc65I、BsaI、HphI、BstEII、AvaII、BanI、BaeGI、BsaHI、BanII、RsaI、CviQI、BstZ17I、BciVI、SalI、Nt.BsmAI、BsmAI、BcoDI、ApaLI、BsgI、AccI、Hpy166II、Tsp45I、HpaI、PmeI、HincII、BsiHKAI、ApoI、NspI、BsrFI、BstYI、HaeII、CviKI−1、EcoO109I、PpuMI、I−CeuI、SnaBI、I−SceI、BspHI、BspEI、MmeI、TaqαI、NruI、Hpy188I、Hpy188III、XbaI、BclI、HpyCH4V、FspI、PI−PspI、MscI、BsrGI、MseI、PacI、PsiI、BstBI、DraI、PspXI、BsaWI、BsaAI、EaeI、好ましくはXhoI、XbaI、HindIII、NcoI、NotI、EcoRI、EcoRV、BamHI、NheI、SacI、SalI、BstBI等の、制限エンドヌクレアーゼによる切断のためのいくつかの制限部位を含有する短いDNA配列を意味する。「多重クローニング部位」という用語は、本明細書で使用される場合、例えばGatewayクローニング戦略におけるような、組換え事象に使用される、又はギブソンアセンブリ又はTOPOクローニング等の方法に使用される、短いDNA配列をさらに意味する。
「エルシニア属野生型株」という用語は、本明細書で使用される場合、天然に存在する変異株(Y.エンテロコリティカE40のようなもの)、又はベクターの使用を可能にする遺伝子改変、例えば、制限エンドヌクレアーゼ若しくは抗生物質耐性遺伝子の欠失変異を含有する天然に存在する変異株(Y.エンテロコリティカE40のアンピシリン感受性派生物である、Y.エンテロコリティカMRS40のようなものを意味する。これらの株は、染色体DNAはもちろん、未改変の毒性プラスミド(pYVと呼ばれる)も含有する。
「含む(comprise)」という用語は、含む(include)、すなわち、一又は複数の特徴又は成分の存在を可能にするという意味で、一般に使用される。
「約」という用語は、規定値の値範囲±10%を意味する。例えば、「約200」という句は、200の±10%、すなわち180−220を含む。
本発明の一態様では、組換えグラム陰性菌株は、5’から3’方向に、
細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターで形質転換され、異種タンパク質は、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される。好ましくは、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードするDNA配列は、その3’末端で、染色体の若しくは内在性毒性プラスミドの細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの3’末端におけるDNA配列と相同な又はその断片と相同なDNA配列が隣接している。より好ましくは、相同タンパク質にその3’末端で隣接しているこのDNA配列は、染色体上の若しくは内在性毒性プラスミド上の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの3’末端において10kbp以内に位置するDNA配列と又はその断片と相同である。特に、相同タンパク質にその3’末端で隣接しているこのヌクレオチド配列は、上記DNA配列と相同であり、染色体上の又は内在性毒性プラスミド上の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片と同じオペロン内にある。この実施態様では、形質転換は、融合した第1及び第2のDNA配列が、組換え弱毒化グラム陰性菌株の内在性毒性プラスミド又は染色体、好ましくは内在性毒性プラスミドに対する相同組み換えにより挿入され、融合した第1及び第2のDNA配列が、内在性毒性プラスミドのプロモーターに、又は染色体の、例えば、染色体病原性アイランドのプロモーターに動作可能に連結されるように、通常は行われる。好ましくは、融合した第1及び第2のDNA配列は、内在性毒性プラスミドのプロモーターに動作可能に連結される。この実施態様では、第一のDNA配列は、第2のDNA配列が、内在性プロモーターに動作可能に連結されている染色体又は内在性毒性プラスミド送達シグナルの3’末端とインフレームで配置される結果となるような、染色体の又は内在性毒性プラスミドの相同部位での相同組換えをもたらす、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片、好ましくはその断片を含む。
本発明のさらなる実施態様では、組換えグラム陰性菌株は、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードするヌクレオチド配列と、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードするヌクレオチド配列と相同若しくは同一であるか又は細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの断片をコードするヌクレオチド配列と相同若しくは同一であるヌクレオチド配列とを含むヌクレオチド分子、好ましくはDNAヌクレオチド分子で形質転換され、この場合、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、組換え弱毒化グラム陰性菌株の染色体上に又は内在性毒性プラスミド上にコードされている。好ましくは、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルのヌクレオチド配列と又はその断片と相同又は同一であるヌクレオチド配列は、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードするヌクレオチド配列の5’末端に位置する。より好ましくは、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードするヌクレオチド配列には、その3’末端で、染色体のDNA配列若しくは内在性毒性プラスミドの細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの3’末端におけるDNA配列と相同な又はその断片と相同なヌクレオチド配列が隣接している。よりいっそう好ましくは、相同タンパク質にその3’末端で隣接しているこのヌクレオチド配列は、染色体上の若しくは内在性毒性プラスミド上の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの3’末端において10kbp以内に位置するDNA配列と又はその断片と相同である。特に、相同タンパク質にその3’末端で隣接しているこのヌクレオチド配列は、上記DNA配列と相同であり、染色体上の又は内在性毒性プラスミド上の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片と同じオペロン内にある。この実施態様では、形質転換は、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードするヌクレオチド配列が、組換え弱毒化グラム陰性菌株の内在性毒性プラスミド又は染色体の、該染色体又は該内在性毒性プラスミドによりコードされている細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの3’末端に、挿入され、そこで送達シグナルに融合している異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインが発現され、分泌されるように行われる。
組換え弱毒化グラム陰性菌株がエルシニア属株である場合、挿入のための内在性毒性プラスミドは、pYV(エルシニア属毒性のプラスミド(plasmid of Yersinia Virulence))である。組換え弱毒化グラム陰性菌株がサルモネラ属株である場合、挿入のための内在位置は、SpiI又はSpiIIと呼ばれる(サルモネラ属病原性アイランド(Salmonella pathogenicity island)についての)遺伝子クラスターの1つ、エフェクタータンパク質が他の場所にコードされている位置であるか、或いはサルモネラ属毒性プラスミド(SVP:Salmonella virulence plasmid)の1つである。
好ましくは、第1及び第2のDNA配列又はヌクレオチド分子は、内在性毒性プラスミド上の細菌エフェクタータンパク質の天然部位に、例えば毒性因子の天然部位に、好ましくは、組換え弱毒化グラム陰性菌株がエルシニア属株である場合、YopE若しくは別のYop(YopH、YopO、YopP、YopM、YopT)の天然部位に、好ましくはYopEの天然部位に、又は組換え弱毒化グラム陰性菌株がサルモネラ属株である場合、SpiI、SpiII内にコードされている若しくは他の場所にコードされているエフェクタータンパク質の天然部位に、好ましくは、SipI若しくはSpiII内にコードされているエフェクタータンパク質の天然部位に、より好ましくは、SopE若しくはSteAの天然部位に、挿入される。好ましくは、第1及び第2のDNA配列又はヌクレオチド配列は、内在性毒性プラスミド上に存在する細菌エフェクタータンパク質の天然プロモーターに、例えば、組換え弱毒化グラム陰性菌株がエルシニア属株である場合、下で概要を示すようなエルシニア属ビルロンからの天然プロモーターに、より好ましくは、天然YopEプロモーター又は別のYop(YopH、YopO、YopP、YopM、YopT)プロモーターに、好ましくは天然YopEプロモーターに、或いは組換え弱毒化グラム陰性菌株がサルモネラ属株である場合、SpiI若しくはSpiII病原性アイランドからの又は下で概要を示すような他の場所にコードされているエフェクタータンパク質からの天然プロモーターに、より好ましくは、天然SopE、InvB又はSteAプロモーターに、動作可能に連結されている。
一実施態様では、本発明は、エルシニア属、大腸菌属(Escherichia)、サルモネラ属及びシュードモナス属(Pseudomonas)からなる群から選択される、組換えグラム陰性菌株を提供する。一実施態様では、本発明は、エルシニア属及びサルモネラ属からなる群から選択される、組換えグラム陰性菌株を提供する。好ましくは、グラム陰性菌株は、エルシニア属株、より好ましくはエルシニア・エンテロコリティカ株である。最も好ましいのは、Y.エンテロコリティカE40(O:9、生物型2)[21]、又は[22]に記載されているようなY.エンテロコリティカMRS40(別名Y.エンテロコリティカ亜種パレアークティカMRS40)のような、そのアンピシリン感受性派生物である。[22]に記載されているようなY.エンテロコリティカE40及びその派生物Y.エンテロコリティカMRS40は、[23−25]に記載されているようなY.エンテロコリティカ亜種パレアークティカE40及びその派生物Y.エンテロコリティカ亜種パレアークティカMRS40と同一である。また、好ましくは、グラム陰性菌株は、サルモネラ属株、より好ましくはサルモネラ菌株である。最も好ましいのは、the Public health England culture collection(NCTC 13347)によって記載されているようなネズミチフス菌(Salmonella enterica Serovar Typhimurium)SL1344である。
本発明の一実施態様では、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルは、細菌T3SSエフェクタータンパク質又はそのN末端断片を含み、細菌T3SSエフェクタータンパク質又はそのN末端断片は、シャペロン結合部位を含み得る。シャペロン結合部位を含む、T3SSエフェクタータンパク質又はそのN末端断片は、本発明の送達シグナルとして特に有用である。好ましいT3SSエフェクタータンパク質又はそれらのN末端断片は、SopE、SopE2、SptP、YopE、ExoS、SipA、SipB、SipD、SopA、SopB、SopD、IpgB1、IpgD、SipC、SifA、SseJ、Sse、SrfH、YopJ、AvrA、AvrBsT、YopT、YopH、YpkA、Tir、EspF、TccP2、IpgB2、OspF、Map、OspG、OspI、IpaH、SspH1、VopF、ExoS、ExoT、HopAB2、XopD、AvrRpt2、HopAO1、HopPtoD2、HopU1、GALAタンパク質ファミリー、AvrBs2、AvrD1、AvrBS3、YopO、YopP、YopE、YopM、YopT、EspG、EspH、EspZ、IpaA、IpaB、IpaC、VirA、IcsB、OspC1、OspE2、IpaH9.8、IpaH7.8、AvrB、AvrD、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPtoB、VirPphA、AvrRpm1、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、PopB、PopP2、AvrBs3、XopD、及びAvrXv3からなる群から選択される。より好ましいT3SSエフェクタータンパク質又はそれらのN末端断片は、SopE、SptP、YopE、ExoS、SopB、IpgB1、IpgD、YopJ、YopH、EspF、OspF、ExoS、YopO、YopP、YopE、YopM、YopTからなる群から選択され、これらのうち最も好ましいT3SSエフェクタータンパク質又はそれらのN末端断片は、IpgB1、SopE、SopB、SptP、OspF、IpgD、YopH、YopO、YopP、YopE、YopM、YopTからなる群から選択され、特に、YopE又はそのN末端断片である。
同じく好ましいT3SSエフェクタータンパク質又はそれらのN末端断片は、SopE、SopE2、SptP、SteA、SipA、SipB、SipD、SopA、SopB、SopD、IpgB1、IpgD、SipC、SifA、SifB、SseJ、Sse、SrfH、YopJ、AvrA、AvrBsT、YopH、YpkA、Tir、EspF、TccP2、IpgB2、OspF、Map、OspG、OspI、IpaH、VopF、ExoS、ExoT、HopAB2、AvrRpt2、HopAO1、HopU1、GALAタンパク質ファミリー、AvrBs2、AvrD1、YopO、YopP、YopE、YopT、EspG、EspH、EspZ、IpaA、IpaB、IpaC、VirA、IcsB、OspC1、OspE2、IpaH9.8、IpaH7.8、AvrB、AvrD、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPtoB、VirPphA、AvrRpm1、HopPtoD2、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、PopB、PopP2、AvrBs3、XopD、及びAvrXv3からなる群から選択される。同じくより好ましいT3SSエフェクタータンパク質又はそれらのN末端断片は、SopE、SptP、SteA、SifB、SopB、IpgB1、IpgD、YopJ、YopH、EspF、OspF、ExoS、YopO、YopP、YopE、YopTからなる群から選択され、これらのうち同じく最も好ましいT3SSエフェクタータンパク質又はそれらのN末端断片は、IpgB1、SopE、SopB、SptP、SteA、SifB、OspF、IpgD、YopH、YopO、YopP、YopE及びYopTからなる群から選択され、特に、SopE、SteA、若しくはYopE又はそのN末端断片、より特にSteA若しくはYopE又はそのN末端断片、最も特にYopE又はそのN末端断片である。
一部の実施態様では、第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルは、細菌T3SSエフェクタータンパク質を含むか、又はそのN末端断片であって、該細菌T3SSエフェクタータンパク質の少なくとも最初の10アミノ酸、好ましくは少なくとも最初の20アミノ酸、より好ましくは少なくとも最初の100アミノ酸を含む断片を含む。
一部の実施態様では、第1のDNA配列によりコードされている細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、シャペロン結合部位を含む、細菌T3SSエフェクタータンパク質又はそのN末端断片を含む。
シャペロン結合部位を含む、好ましいT3SSエフェクタータンパク質又はそれらのN末端断片は、シャペロン結合部位とT3SSエフェクタータンパク質又はそれのN末端断片との次の組合せを含む:SycE−YopE、InvB−SopE、SicP−SptP、SycT−YopT、SycO−YopO、SycN/YscB−YopN、SycH−YopH、SpcS−ExoS、CesF−EspF、SycD−YopB、SycD−YopD。より好ましいのは、SycE−YopE、InvB−SopE、SycT−YopT、SycO−YopO、SycN/YscB−YopN、SycH−YopH、SpcS−ExoS、CesF−EspFである。最も好ましいのは、SycEシャペロン結合部位を含む、YopE若しくはそのN末端断片、例えば、本明細書ではYopE1−138と表記され、配列番号2で示されるような、YopEエフェクタータンパク質のN末端138アミノ酸を含有する、YopEエフェクタータンパク質のN末端断片であるか、又はInvBシャペロン結合部位を含む、SopE若しくはそのN末端断片、例えば、本明細書ではSopE1−81若しくはSopE1−105とそれぞれと表記され、配列番号142若しくは143で示されるような、SopEエフェクタータンパク質のN末端81又は105アミノ酸を含有する、SopEエフェクタータンパク質のN末端断片である。
本発明の一実施態様では、組換えグラム陰性菌株はエルシニア属株であり、第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルは、YopEエフェクタータンパク質又はN末端部、好ましくは、Y.エンテロコリティカYopEエフェクタータンパク質又はそのN末端部を含む。好ましくは、SycE結合部位は、YopEエフェクタータンパク質のN末端部内に含まれる。これに関連して、YopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、N末端12、16、18、52、53、80又は138アミノ酸を含み得る[26−28]。最も好ましいのは、例えば、本明細書ではYopE1−138と表記され、配列番号2で示される、Forsberg及びWolf−Watz[29]に記載されているような、YopEエフェクタータンパク質のN末端138アミノ酸を含有するYopEエフェクタータンパク質のN末端断片である。
本発明の一実施態様では、組換えグラム陰性菌株はサルモネラ属株であり、第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルは、SopE若しくはSteAエフェクタータンパク質又はそのN末端部、好ましくは、サルモネラ菌SopE若しくはSteAエフェクタータンパク質又はそのN末端部を含む。好ましくは、シャペロン結合部位は、SopEエフェクタータンパク質のN末端部内に含まれる。これに関連して、SopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、N末端81又は105アミノ酸を含み得る。最も好ましいのは、例えば配列番号142若しくは143に記載されているような、完全長SteA、及びエフェクタータンパク質のN末端105アミノ酸を含有するSopEエフェクタータンパク質のN末端断片である。
当業者は、タンパク質を送達することができるエフェクタータンパク質のポリペプチド配列を同定する方法に精通している。例えば、1つのそのような方法は、Sory等[21]により記載されている。簡単に述べると、例えばYopタンパク質の様々な部分からの、ポリペプチド配列を、百日咳菌シクロリジンのカルモジュリン活性化アデニル酸シクラーゼドメイン(又はCya)等のレポーター酵素に、インフレームで融合させることができる。真核細胞のサイトゾルへのYop−Cyaハイブリッドタンパク質の送達は、cAMPの蓄積につながる感染真核細胞におけるシクラーゼ活性の出現により示される。そのような手法を用いることにより、当業者は、タンパク質を送達することができる最小配列要件、すなわち、最も短い長さの連続アミノ酸配列を、必要に応じて決定することができる。例えば[21]を参照されたい。したがって、本発明の好ましい送達シグナルは、少なくとも、タンパク質を送達することができるT3SSエフェクタータンパク質のアミノ酸の最小配列からなる。
一実施態様では、本発明は突然変異型組換えグラム陰性菌株、特に、少なくとも1つのT3SS機能性エフェクタータンパク質の産生を欠く組換えグラム陰性菌株を提供する。
本発明によれば、そのような突然変異型グラム陰性菌株、例えば、そのような突然変異型エルシニア属株は、エフェクターをコードしている少なくとも1つの遺伝子に少なくとも1つの変異を導入することにより生じさせることができる。好ましくは、エフェクターをコードしているそのような遺伝子としては、エルシニア属株について言えば、YopE、YopH、YopO/YpkA、YopM、YopP/YopJ及びYopTが挙げられる。好ましくは、エフェクターをコードしているそのような遺伝子としては、サルモネラ属株について言えば、AvrA、CigR、GogB、GtgA、GtgE、PipB、SifB、SipA/SspA、SipB、SipC/SspC、SipD/SspD、SlrP、SopB/SigD、SopA、SpiC/SsaB、SseB、SseC、SseD、SseF、SseG、SseI/SrfH、SopD、SopE、SopE2、SspH1、SspH2、PipB2、SifA、SopD2、SseJ、SseK1、SseK2、SseK3、SseL、SteC、SteA、SteB、SteD、SteE、SpvB、SpvC、SpvD、SrfJ、SptPが挙げられる。最も好ましくは、エフェクターをコードしている全ての遺伝子が欠失している。当業者は、任意の数の標準技術を用いて、これらのT3SSエフェクター遺伝子の変異を生じさせることができる。Sambrook等は、一般にそのような技術を説明している。例えば、Sambrook等[30]を参照されたい。
本発明によれば、エフェクターをコードする遺伝子のプロモーター領域において、そのようなエフェクター遺伝子の発現を消失させるように変異を生じさせることができる。
エフェクターをコードしている遺伝子のコード領域において、コードされているエフェクタータンパク質の触媒活性を消失させるような変異を生じさせることもできる。エフェクタータンパク質の「触媒活性」は、エフェクタータンパク質の抗標的細胞機能、すなわち毒性を通常は意味する。そのような活性は、エフェクタータンパク質の触媒ドメインにおける触媒モチーフにより支配される。エフェクタータンパク質の触媒ドメイン及び/又は触媒モチーフを同定する手法は、当業者に周知である。例えば、[31、32]を参照されたい。
したがって、本発明の1つの好ましい変異は、全触媒ドメインの欠失である。別の好ましい変異は、エフェクターをコードしている遺伝子のフレームシフト変異であり、したがって、触媒ドメインは、そのような「フレームシフトした」遺伝子から発現されるタンパク質産物中に存在しない。最も好ましい変異は、エフェクタータンパク質の全コード領域の欠失を伴う変異である。他の変異、例えば、エフェクタータンパク質の触媒モチーフにおいて生じて所与のエフェクタータンパク質の触媒活性の破壊につながる小欠失又は塩基対置換も、本発明により企図されている。
T3SS機能性エフェクタータンパク質の遺伝子において生じる変異を多数の方法により特定の株に導入することができる。1つのそのような方法は、変異配列をアレル交換により株に導入することができる「自殺」ベクターへの変異遺伝子のクローニングを含む。そのような「自殺」ベクターの例は、[33]により記載されている。
このようにして、複数の遺伝子において生じる変異をグラム陰性菌株にうまく導入して、多重突然変異株、例えば、六重突然変異型組換え株を生じさせることができる。これらの変異配列を導入する順序は重要でない。一部の環境下では、エフェクター遺伝子の全てではなく一部のみを変異させることが所望されることもある。したがって、本発明は、六重突然変異型エルシニア以外の多重突然変異型エルシニア、例えば、二重突然変異型、三重突然変異型、四重突然変異型及び五十突然変異型株をさらに企図している。タンパク質を送達するために、本突然変異株の分泌及び移行系は、インタクトである必要がある。
本発明の好ましい組換えグラム陰性菌株は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、よりいっそう好ましくは少なくとも4つ、特に少なくとも5つ、より特に少なくとも6つ、最も特に全てのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠く、組換えグラム陰性菌株、例えば、エフェクターをコードする遺伝子全てが、結果として得られるグラム陰性菌株がもはやいかなる機能性エフェクタータンパク質も産生しないような変異を受ける、六重突然変異型グラム陰性菌株である。
本発明のより好ましい組換えグラム陰性菌株は、エフェクターをコードする全ての遺伝子が、結果として得られるエルシニア属が何れの機能性エフェクタータンパク質ももはや産生しないような変異を受ける、六重突然変異型エルシニア属株である。そのような六重突然変異型エルシニア属株は、Y.エンテロコリティカについてはΔyopH、O、P、E、M、Tと表記される。例として、そのような六重突然変異株をY.エンテロコリティカMRS40株から産生させて、好ましいY.エンテロコリティカMRS40 ΔyopH、O、P、E、M、Tを生じさせることができる。
本発明のさらなる態様は、所望のタンパク質を真核細胞に送達するために組換えグラム陰性菌株と併用するためのベクターであって、5’から3’方向に、
プロモーター、
前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含み、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、ベクターに関する。
上記のプロモーター、異種タンパク質及びプロテアーゼ切断部位を、グラム陰性菌株のベクターに使用することができる。
本発明のさらなる態様は、所望のタンパク質を真核細胞に送達するために組換えグラム陰性菌株と併用するためのベクターであって、5’から3’方向に、
細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含み、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、ベクターに関する。
好ましくは、異種タンパク質の反復ドメイン又はベクターの異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードするDNA配列には、その3’末端で、染色体のDNA配列若しくは内在性毒性プラスミドの細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの3’末端におけるDNA配列と相同な又はその断片と相同なDNA配列が隣接している。より好ましくは、相同タンパク質にその3’末端で隣接しているこのDNA配列は、染色体上の若しくは内在性毒性プラスミド上の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルの3’末端において10kbp以内に位置するDNA配列と又はその断片と相同である。特に、相同タンパク質にその3’末端で隣接しているこのヌクレオチド配列は、上記DNA配列と相同であり、染色体上の又は内在性毒性プラスミド上の細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片と同じオペロン内にある。上記の異種タンパク質及びプロテアーゼ切断部位を、グラム陰性菌株のベクターに使用することができる。
本発明に従って使用することができるベクターは、当業者に公知であるように、使用されるグラム陰性菌株に依存する。本発明に従って使用することができるベクターとしては、発現ベクター(内在性毒性プラスミドの合成バージョン又は別様に生成された改変バージョンを含む)、染色体又は毒性プラスミド挿入用のベクター、及び染色体又は毒性プラスミド挿入用のDNA断片が挙げられる。例えばエルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属又はシュードモナス属株において有用である、発現ベクターは、例えば、pUC、pBad、pACYC、pUCP20及びpETプラスミドである。例えばエルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属又はシュードモナス属株において有用である、染色体又は毒性プラスミド挿入用のベクターは、例えば、pKNG101である。染色体又は毒性プラスミド挿入用のDNA断片は、例えばラムダレッド遺伝子操作のような、例えばエルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属又はシュードモナス属株において使用される方法を意味する。染色体若しくは毒性プラスミド挿入用のベクター又は染色体若しくは毒性プラスミド挿入用のDNA断片は、本発明の第1、第2及び/又は第3のDNA配列を、該第1、第2及び/又は第3の配列が、組換えグラム陰性菌株の内在性プロモーターに動作可能に連結されるように、挿入することができる。したがって、染色体若しくは毒性プラスミド挿入用のベクター又は染色体若しくは毒性プラスミド挿入用のDNA断片が使用される場合、内在性プロモーターは、内在性細菌DNA(染色体又はプラスミドDNA)上にコードされていることがあり、第1及び第2のDNA配列のみが、染色体若しくは毒性プラスミド挿入用の操作ベクター又は染色体若しくは毒性プラスミド挿入用のDNA断片により提供されることになる。或いは、染色体若しくは毒性プラスミド挿入用のベクター、又は例えば染色体若しくは毒性プラスミド挿入用のDNA配列等のヌクレオチド分子が使用される場合、内在性プロモーター、及び細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルは、内在性細菌DNA(染色体又はプラスミドDNA)上にコードされていることがあり、例えば異種タンパク質をコードするDNA配列等のヌクレオチド分子のみが、染色体若しくは毒性プラスミド挿入用のベクターにより、又は例えば染色体若しくは毒性プラスミド挿入用のDNA配列などのヌクレオチド分子により、提供されることになる。したがって、プロモーターは、必ずしも、組換えグラム陰性菌株の形質転換に使用されるベクターに含まれている必要がなく、すなわち、本発明の組換えグラム陰性菌株は、プロモーターを含まないベクターで形質転換されることもある。本発明のベクターは、インビトロ及びはインビボでの細菌T3SSによる異種タンパク質の真核細胞への送達に通常は使用される。
エルシニア属用の好ましいベクター、例えば、好ましい発現ベクターは、pBad_Si_1及びpBad_Si_2からなる群から選択される。pBad_Si2は、精製pYV40からのYopE及びSycE用の内在性プロモーターを含有するSycE−YopE1−138断片をpBad−MycHisA(Invitrogen)のKpnI/HindIII部位にクローニングすることにより構築した。さらなる改変は、消化、クレノウ断片処理及び再ライゲーションによるpBad−MycHisAのNcoI/BglII断片の除去を含む。さらに、YopE1−138の3’末端に、次の切断部位を加えた:XbaI−XhoI−BstBI−(HindIII)。pBad_Si1は、pBad_Si2と同等であるが、アラビノース誘導性プロモーターの下でNcoI/BglII部位においてpEGFP−C1(Clontech)から増幅されたEGFPをコードする。同じく好ましいのは、T3SSシグナル配列への融合体としての、異種タンパク質をコードする内在性エルシニア属毒性プラスミドpYVの改変バージョンの使用である。サルモネラ属用の好ましいベクター、例えば、好ましい発現ベクターは、pSi_266、pSi_267、pSi_268及びpSi_269からなる群から選択される。対応する内在性プロモーターとSteA1−20断片(pSi_266)、完全長SteA配列(pSi_267)、SopE1−81断片(pSi_268)又はSopE1−105断片(pSi_269)とを含むプラスミドpSi_266、pSi_267、pSi_268及びpSi_269を、サルモネラ菌SL1344ゲノムDNAから増幅し、pBad−MycHisA(Invitrogen)のNcoI/KpnI部位にクローニングした。
本発明のベクターは、他の配列エレメント、例えば、3’終止配列(終止コドン及びポリA配列を含む)を含むこともあり、又は本ベクターを受け取った形質転換体の選択を可能にする薬物耐性を付与する遺伝子を含むこともある。
本発明のベクターを多数の公知の方法により組換えグラム陰性菌株内に形質転換することができる。本発明では、ベクターを導入するための形質転換方法は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム媒介形質転換、接合伝達、又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。例えば、標準的なエレクトロポレーション手順によりベクターを第1の菌株内に形質転換することができる。その後、「可動化」とも呼ばれる方法である接合伝達によりそのようなベクターを第1の菌株から所望の株内に移入することができる。形質転換体(すなわち、ベクターを取り込んだグラム陰性菌株)は、例えば抗生物質で、選択することができる。これらの技術は、当該技術分野で周知である。例えば、[21]を参照されたい。
本発明に従って、本発明の組換えグラム陰性菌株の発現ベクターのプロモーターは、それぞれの株若しくは匹敵する菌株のT3SSエフェクタータンパク質の天然プロモーターであってもよく、又は例えばエルシニア属、大腸菌属、サルモネラ属若しくはシュードモナス属において有用である発現ベクターに使用されるプロモーター、例えば、pUC及びpBadであってもよい。そのようなプロモーターは、T7プロモーター、Placプロモーター、又はAra−badプロモーターである。
組換えグラム陰性菌株がエルシニア属株である場合、プロモーターは、エルシニア属ビルロン遺伝子からのものであり得る。「エルシニア属ビルロン遺伝子」は、エルシニア属pYVプラスミド上の遺伝子であって、その発現が温度によっても、標的細胞との接触によっても調節される遺伝子を意味する。そのような遺伝子は、分泌機構のエレメントをコードする遺伝子(Ysc遺伝子)、トランスロケーターをコードする遺伝子(YopB、YopD及びLcrV)、調節エレメントをコードする遺伝子(YopN、TyeA及びLcrG)、T3SSエフェクターシャペロンをコードする遺伝子(SycD、SycE、SycH、SycN、SycO及びSycT)及びエフェクターをコードする遺伝子(YopE、YopH、YopO/YpkA、YopM、YopT及びYopP/YopJ)、並びにVirF及びYadAのような、他のpYVにコードされているタンパク質を含む。
本発明の好ましい実施態様では、プロモーターは、T3SS機能性エフェクターをコードしている遺伝子の天然プロモーターである。組換えグラム陰性菌株がエルシニア属株である場合、プロモーターは、YopE、YopH、YopO/YpkA、YopM及びYopP/YopJの何れか1つから選択される。より好ましくは、プロモーターは、YopE又はSycEからのものである。
組換えグラム陰性菌株がサルモネラ属株である場合、プロモーターは、SpiI若しくはSpiII病原性アイランドからのものであってもよく、又は他の場所にコードされているエフェクタータンパク質からのものであってもよい。そのような遺伝子は、分泌機構のエレメントをコードする遺伝子、トランスロケーターをコードする遺伝子、調節エレメントをコードする遺伝子、T3SSエフェクターシャペロンをコードする遺伝子、及びエフェクターをコードする遺伝子、並びにSPI−1又はSPI−2によりコードされている他のタンパク質を含む。本発明の好ましい実施態様では、プロモーターは、T3SS機能性エフェクターをコードしている遺伝子の天然プロモーターである。組換えグラム陰性菌株がサルモネラ属株である場合、プロモーターは、エフェクタータンパク質の何れか1つからのものであり得る。より好ましくは、プロモーターは、SopE、InvB又はSteAからのものである。
好ましい実施態様では、ベクター、例えば発現ベクターは、プロテアーゼ切断部位をコードするDNA配列を含む。機能的且つ一般に適用可能な切断部位の生成は、移行後の送達シグナルの切除を可能にする。送達シグナルは、標的細胞内に移行されるタンパク質の正しい位置及び/又は機能を妨害し得るので、送達シグナルと目的のタンパク質の間にプロテアーゼ切断部位を導入することにより初めて大部分の天然タンパク質が真核細胞内に送達される。好ましくは、プロテアーゼ切断部位は、エンテロキナーゼ(軽鎖)、エンテロペプチダーゼ、PreScissionプロテアーゼ、ヒトライノウイルスプロテアーゼ3C、TEVプロテアーゼ、TVMVプロテアーゼ、第Xa因子プロテアーゼ及びトロンビンからなる群から選択されるプロテアーゼ又はその触媒ドメインにより切断されるアミノ酸モチーフ、より好ましくは、TEVプロテアーゼにより切断されるアミノ酸モチーフである。同じく好ましいプロテアーゼ切断部位は、エンテロキナーゼ(軽鎖)、エンテロペプチダーゼ、PreScissionプロテアーゼ、ヒトライノウイルスプロテアーゼ3C、TEVプロテアーゼ、TVMVプロテアーゼ、第Xa因子プロテアーゼ、脱ユビキチン化酵素と呼ばれるユビキチンプロセシングプロテアーゼ、及びトロンビンからなる群から選択されるプロテアーゼ又はその触媒ドメインにより切断される、アミノ酸モチーフである。最も好ましいのは、TEVプロテアーゼにより、又はユビキチンプロセシングプロテアーゼにより切断される、アミノ酸モチーフである。
したがって、本発明のさらなる実施態様では、異種タンパク質は、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルからプロテアーゼにより切断される。好ましい切断方法は、
a)プロテアーゼが、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルと異種タンパク質としてのプロテアーゼとの融合タンパク質を発現する本明細書に記載の組換えグラム陰性菌株により真核細胞に移行される方法、又は
b)プロテアーゼが、真核細胞において構成的に若しくは一過性に発現される方法
である。
通常、真核細胞に所望のタンパク質を送達するために使用される組換えグラム陰性菌株と、真核細胞にプロテアーゼを移行させる組換えグラム陰性菌株は、異なる。
本発明の一実施態様では、ベクターは、標識分子をコードするさらなるDNA配列を含むか、又は標識分子の受容部位を含む。標識分子をコードするさらなるDNA配列、又は標識分子の受容部位は、通常、第2のDNA配列の5’末端と又は3’末端と融合している。好ましい標識分子、又は標識分子の受容部位は、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、クマリン、クマリンリガーゼ受容部位、レゾルフィン、レゾルフィンリガーゼ受容部位、FlAsH/ReAsH色素(life technologies)と共に使用されているシータシステインモチーフからなる群から選択される。最も好ましいのは、レゾルフィン及びレゾルフィンリガーゼ受容部位又はEGFPである。標識分子、又は標識分子の受容部位を使用すると、標識分子が目的の異種タンパク質に結合することになり、次いで、真核細胞内等に送達されることになり、例えば細胞のライブ顕微鏡観察により、タンパク質の追跡が可能になる。
本発明の一実施態様では、ベクターは、ペプチドタグをコードするさらなるDNA配列を含む。ペプチドタグをコードするさらなるDNA配列は、通常、第2のDNA配列の5’末端と又は3’末端と融合している。好ましいペプチドタグは、Mycタグ、Hisタグ、Flagタグ、HAタグ、Strepタグ若しくはV5タグからなる群から選択されるか、又はこれらの群外の2つ以上のタグの組合せである。最も好ましいのは、Mycタグ、Flagタグ、Hisタグ、Flagタグ、及び組み合わせたMycタグとFlagタグである。ペプチドタグを使用すると、例えば、抗タグ抗体を使用する免疫蛍光法又はウェスタンブロット法により、タグ付タンパク質の追跡が可能になる。さらに、ペプチドタグを使用することにより、培養上清への分泌後又は真核細胞への移行後に、どちらの場合も対応するタグに合う精製法(例えば、Hisタグと共に使用されている金属キレートアフィニティー精製、又はFlagタブと共に使用されている抗Flag抗体ベースの精製)を使用して、所望のタンパク質のアフィニティー精製が可能になる。
本発明の一実施態様では、ベクターは、核内移行シグナル(NLS)をコードするさらなるDNA配列を含む。核内移行シグナル(NLS)をコードするさらなるDNA配列は、前記さらなるDNA配列が核内移行シグナル(NLS)をコードする場合、通常、第2のDNA配列の5’末端と又は3’末端と融合している。好ましいNLSは、SV40ラージT抗原NLS及びその誘導体[34]並びに他のウイルスNLSからなる群から選択される。最も好ましいのは、SV40ラージT抗原NLS及びその誘導体である。
本発明の一実施態様では、ベクターは、多重クローニング部位を含む。多重クローニング部位は、通常、第1のDNA配列の3’末端に、及び/又は第2のDNA配列の5’末端若しくは3’末端に位置する。1つ又は1つより多くの多重クローニング部位がベクターに含まれることもある。好ましい多重クローニング部位は、XhoI、XbaI、HindIII、NcoI、NotI、EcoRI、EcoRV、BamHI、NheI、SacI、SalI、BstBIからなる制限酵素の群から選択される。最も好ましいのは、XbaI、XhoI、BstBI及びHindIIIである。
ベクターの第1及び第2の並びに任意選択の第3のDNA配列から発現される、融合しているタンパク質は、「融合タンパク質」又は「ハイブリッドタンパク質」(すなわち、送達シグナルと異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインの融合したタンパク質又はハイブリッドである)とも呼ばれる。融合タンパク質は、例えば、送達シグナル及び2つ以上の異なる異種タンパク質を含むこともできる。
本発明は、真核細胞に、細胞培養中はもちろんインビボでも、本明細書において上で説明したように異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインを送達する方法を企図している。
したがって、一実施態様では、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインを送達する方法は、
i)本明細書に記載のグラム陰性菌株を培養する工程と、
ii)真核細胞をi)のグラム陰性菌株と接触させる工程であって、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルと異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインとを含む融合タンパク質が、グラム陰性菌株により発現され、真核細胞に移行される工程と、任意選択的に、
iii)融合タンパク質を切断し、その結果、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインを細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルから切断する工程と
を含む。
一部の実施態様では、細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナルと異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインとを各々が含む少なくとも2つの融合タンパク質が、組換え弱毒化グラム陰性菌株により発現され、本発明の方法により真核細胞に移行される。
組換えグラム陰性菌株を、当該技術分野で公知の方法(例えば、FDA、Bacteriological Analytical Manual(BAM)、第8章:Yersinia enterocolitica)に従って、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルと異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインとを含む融合タンパク質が発現されるように培養することができる。好ましくは、組換えグラム陰性菌株をブレインハートインフュージョン培地で、例えば28℃で培養することができる。T3SS及び例えばYopE/SycEプロモーター依存性遺伝子の発現の誘導のために、細菌を37℃で増殖させることができる。
好ましい実施態様では、第1のグラム陰性菌株が、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルと異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインとを含む第1の融合タンパク質を発現し、第2のグラム陰性菌株が、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルと第2の異種タンパク質の反復ドメイン又は第2の異種タンパク質の異なる第2の異種タンパク質の2つ以上のドメインとを含む第2の融合タンパク質を発現する、i)の2つのグラム陰性菌株と真核細胞を接触させ、これにより、第1及び第2の融合タンパク質を真核細胞に移行させる。この実施態様は、例えば、2つの異なるハイブリッドタンパク質をそれらの機能的相互作用に取り組むために単一細胞に送達するための有効な方法として、例えば、真核細胞の2つの菌株による同時感染を提供するものであった。
当業者は、多数のアッセイを使用して、融合タンパク質の送達が成功したかどうかを判定することができる。例えば、融合したタグ(Mycタグのような)を認識する抗体を使用する免疫蛍光法により、融合タンパク質を検出してもよい。その判定は、送達されることになるタンパク質の酵素的活性に基づくこともある。
本発明は、インタクト組換えグラム陰性菌株により標的とされ得る広範な真核細胞、例えば、Hi−5(BTI−TN−5B1−4;life technologies B855−02)、HeLa細胞、例えば、HeLa Ccl2(ATCC番号CCL−2のようなもの)、線維芽細胞、例えば、3T3線維芽細胞(ATCC番号CCL−92のようなもの)又はMef(ATCC番号SCRC−1040のようなもの)、Hek(ATCC番号CRL−1573のようなもの)、HUVEC(ATCC番号PCS−100−013のようなもの)、CHO(ATCC番号CCL−61のようなもの)、ジャーカット(ATCC番号TIB−152のようなもの)、Sf−9(ATCC番号CRL−1711のようなもの)、HepG2(ATCC番号HB−8065のようなもの)、ベロ(ATCC番号CCL−81のようなもの)、MDCK(ATCC番号CCL−34のようなもの)、THP−1(ATCC番号TIB−202のようなもの)、J774(ATCC番号TIB−67のようなもの)、RAW(ATCC番号TIB−71のようなもの)、Caco2(ATCC番号HTB−37のようなもの)、NCI細胞株(ATCC番号HTB−182のようなもの)、DU145(ATCC番号HTB−81のようなもの)、Lncap(ATCC番号CRL−1740のようなもの)、MCF−7(ATCC番号HTB−22のようなもの)、MDA−MB細胞株(ATCC番号HTB−128のようなもの)、PC3(ATCC番号CRL−1435のようなもの)、T47D(ATCC番号CRL−2865のようなもの)、A549(ATCC番号CCL−185のようなもの)、U87(ATCC番号HTB−14のようなもの)、SHSY5Y(ATCC番号CRL−2266sのようなもの)、Ea.Hy926(ATCC番号CRL−2922のようなもの)、Saos−2(ATCC番号HTBH−85のようなもの)、4T1(ATCC番号CRL−2539のようなもの)、B16F10(ATCC番号CRL−6475のようなもの)、又は初代培養ヒト肝細胞(life technologies HMCPISのようなもの)、好ましくは、HeLa、Hek、HUVEC、3T3、CHO、ジャーカット、Sf−9、HepG2、ベロ、THP−1、Caco2、Mef、A549、4T1、B16F10及び初代培養ヒト肝細胞、並びに最も好ましくはHeLa、Hek、HUVEC、3T3、CHO、ジャーカット、THP−1、A549及びMefを企図している。「標的」とは、真核細胞への組換えグラム陰性菌株の細胞外接着を意味する。
本発明に従って、適切な条件下で真核細胞を組換えグラム陰性菌株と接触させることによりタンパク質の送達を果すことができる。所望の温度、Ca++濃度、コンゴレッドのような誘導因子の添加、組換えグラム陰性菌株と標的細胞を混合する方法などをはじめとする、ビルロン遺伝子の発現及び移行を誘導するための条件に関して、様々な参考文献及び技術を当業者は従来通り利用することができる。例えば、[35]を参照されたい。条件は、標的とされることになる真核細胞の型、及び使用されることになる組換え菌株に依存して変わり得る。当業者は、従来の技術を使用してそのような変化に対処することができる。
当業者は、多数のアッセイを使用して、融合タンパク質の送達が成功したかどうかを判定することもできる。例えば、融合したタグ(Mycタグのような)を認識する抗体を使用する免疫蛍光法により、融合タンパク質を検出してもよい。その判定は、送達されることになるタンパク質の酵素的活性、例えば[21]により記載されているアッセイに基づくこともある。
一実施態様では、本発明は、医学に使用するための、本明細書に記載の組換えグラム陰性菌株を提供する。
一実施態様では、本発明は、対象への医薬としての又はワクチンとしての異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインの送達に使用するための、本明細書に記載の組換えグラム陰性菌株を提供する。グラム陰性菌株を真核細胞と、例えば生きている動物とインビボで接触させることにより、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインを対象に送達することができ、その結果、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインは、生きている動物に移行され、その結果、動物が、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインに対する抗体を産生する。産生された抗体を、診断において、研究用途で、及び治療において直接使用することができ、又は単離し、精製し、使用することができる。抗体を産生するB細胞、又はその中に含有されるDNA配列は、診断において、研究用途で、及び治療において使用するための特異的抗体のさらなる産生に使用することができる。
一実施態様では、本発明は、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインを送達する方法であって、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインがインビトロで真核細胞に送達される、方法を提供する。
さらなる実施態様では、本発明は、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインを送達する方法であって、真核細胞が、生きている動物のものであり、生きている動物をグラム陰性菌株とインビボで接触させ、その結果、融合タンパク質が、生きている動物に移行される、方法を提供する。好ましい動物は、哺乳動物、より好ましくは人間である。
さらなる実施態様では、本発明は、移行された異種タンパク質によって誘発される細胞経路又は事象の阻害剤についてのハイスループットスクリーニングのための、上記の組換えグラム陰性菌株の使用を提供する。
さらなる態様では、本発明は、グラム陰性菌株のライブラリーであって、グラム陰性菌株の発現ベクターの第2のDNA配列によりコードされている、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインが、ヒト又はマウスタンパク質のドメイン、好ましくは、ヒトタンパク質のドメインであり、グラム陰性菌株により発現されるヒト又はマウスタンパク質の各ドメインがアミノ酸配列の点で異なる、ライブラリーを提供する。発現のためのクローニングベクターとして、上記発現ベクターを使用することができる。
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載のベクターと、該ベクターに含まれるプロテアーゼ切断部位を切断することができるプロテアーゼを発現及び分泌する菌株とを含む、キットを提供する。特定の有用なベクターは、上で説明したように所望のタンパク質を真核細胞に送達するために菌株と併用するためのベクターであって、5’から3’方向に
プロモーター、
前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含み、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、ベクターである。
実施例1:
A)材料及び方法
菌株及び増殖条件。この研究で使用した株を図15A−Nに列挙する。プラスミド精製及びクローニングに使用した大腸菌Top10、及び接合伝達に使用した大腸菌Sm10λpir、並びにpKNG101を伝播するために使用した大腸菌BW19610[36]を、LB寒天プレート上及びLB培地中、37℃で常套的に増殖させた。アンピシリンを200μg/ml(エルシニア属)又は100μg/ml(大腸菌)で使用して、発現ベクターについて選択した。ストレプトマイシンを100μg/mlの濃度で使用して、自殺ベクターについて選択した。Y.エンテロコリティカMRS40[22]、非アンピシリン耐性E40派生物[21]及びそれに由来する株をブレインハートインフュージョン(BHI:Difco)上で、室温で常套的に増殖させた。Y.エンテロコリティカ株に、ナリジクス酸酸(35μg/ml)を添加し、全てのY.エンテロコリティカasd株に、さらに、100μg/mlのメソ−2,6−ジアミノピメリン酸(mDAP、Sigma Aldrich)を補充した。サルモネラ菌SL1344をLB寒天プレート上及びLB培地中、37℃で常套的に増殖させた。アンピシリンを100μg/mlの濃度で使用して、サルモネラ菌における発現ベクターについて選択した。
Y.エンテロコリティカの遺伝子操作。Y.エンテロコリティカの遺伝子操作は、記載されている[37、38]。簡単に述べると、精製pYV40プラスミド又はゲノムDNAを鋳型として使用して、2断片オーバーラップPCRにより、それぞれの遺伝子の欠失又は修飾部分の両側に200−250bpの隣接配列をもたらす、pYVプラスミド内又は染色体上の遺伝子の修飾又は欠失のための変異誘発物を構築した。得られた断片を大腸菌BW19610[36]におけるpKNG101[33]にクローニングした。配列が検証されているプラスミドを大腸菌Sm10λpir内に形質転換し、そこからプラスミドを対応するY.エンテロコリティカ株内に移動させた。組込み型ベクターを保有する突然変異株を選択圧なしで数世代増殖させた。次いで、スクロースを使用して、ベクターを失ってしまったクローンについて選択した。最後に、突然変異株をコロニーPCRにより同定した。特定の変異誘発物(pSi_408、pSi_419)を表IIIに収載する。
プラスミドの構築。プラスミドpBad_Si2又はpBad_Si1(図10)を、YopEのN末端138アミノ酸(配列番号2)を有する融合タンパク質のクローニングに使用した。pBad_Si2は、精製pYV40からのYopE及びSycE用の内在性プロモーターを含有するSycE−YopE1−138断片をpBad−MycHisA(Invitrogen)のKpnI/HindIII部位にクローニングすることにより構築した。さらなる改変は、消化、クレノウ断片処理及び再ライゲーションによるpBad−MycHisAのNcoI/BglII断片の除去を含む。二方向転写ターミネーター(BBa_B1006;iGEM foundation)を、KpnI切断及びクレノウ処理(pBad_Si2)部位又はBglII切断部位(pBad_Si1)にクローニングした。さらに、YopE1−138の3’末端に、次の切断部位を加えた:XbaI−XhoI−BstBI−(HindIII)(図10B)。pBad_Si1は、pBad_Si2と同等であるが、アラビノース誘導性プロモーターの下でNcoI/BglII部位においてpEGFP−C1(Clontech)から増幅されたEGFPをコードする。対応する内在性プロモーターとSteA1−20断片(pSi_266)、完全長SteA配列(pSi_267)、SopE1−81断片(pSi_268)又はSopE1−105断片(pSi_269)とを含むプラスミドpSi_266、pSi_267、pSi_268及びpSi_269を、サルモネラ菌SL1344ゲノムDNAから増幅し、pBad−MycHisA(Invitrogen)のNcoI/KpnI部位にクローニングした。
完全長遺伝子又はそれらの断片を、下の表Iに収載されている特定のプライマーで増幅し、YopE1−138との融合体としてプラスミドpBad_Si2に、又はz−BIM(配列番号21)の場合はpBad_Si1にクローニングした(下の表IIを参照されたい)。SteA又はSopEとの融合のために、合成DNA構築物をKpnI/HindIIにより切断し、pSi_266、pSi_267、pSi_268又はpSi_269にそれぞれクローニングした。細菌種の遺伝子の場合、精製ゲノムDNAを鋳型として使用した(フレクスナー赤痢菌M90T、サルモネラ菌亜種ネズミチフス菌SL1344、バルトネラ・ヘレンセラ菌ATCC 49882)。ヒト遺伝子については、別段の記述がない場合、汎用cDNAライブラリー(Clontech)を使用し(図15A−N)、ゼブラフィッシュ遺伝子をcDNAライブラリー(M.Affolterからの親切な寄贈品)から増幅した。ライゲーションしたプラスミドを大腸菌Top10にクローニングした。シークエンシング済みプラスミドを、標準的な大腸菌エレクトロポレーションの場合と同様の設定を使用して所望のY.エンテロコリティカ又はサルモネラ菌株にエレクトロポレーションした。
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Yop分泌。培養をBHI−Ox中37℃(分泌許容条件)[39]に変えることにより、Yopレギュロンの導入を果たした。炭素源グルコース(4mg/ml)を添加した。
細胞と上清画分を20800gで10分間、4℃での遠心分離により分離した。細胞ペレットを全細胞画分と見なした。最終10%(w/v)のトリクロロ酢酸を用いて、1時間、4℃で、上清中のタンパク質を沈殿させた。遠心分離(15分間、20800g)及び上清の除去後、得られたペレットを氷冷アセトンで一晩洗浄した。試料を再び遠心分離し、上清を廃棄し、ペレットを空気乾燥させ、1×SDSローディング色素に再懸濁させた。
分泌されたタンパク質をSDS−PAGEによる分析し、各場合、細菌3×10個により分泌されたタンパク質をレーン毎にローディングした。12.5%SDS−PAGEゲルを使用して、イムノブロット法による特定の分泌タンパク質の検出を行った。全細胞内のタンパク質を検出するために、別段の記述がない場合、細菌2×10個をレーン毎にローディングし、イムノブロット法による検出前に12.5%SDS−PAGEゲルを用いてタンパク質を分離した。
YopEに対するラットモノクローナル抗体(MIPA193−13A9;1:1000、[40])を使用して、イムノブロッティングを行った。バックグラウンド染色を低減させるために、Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asdに対する抗血清を一晩に2回、予備吸着させた。ラット抗体に対する二次抗体であって、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(1:5000;Southern biotech)にコンジュゲートさせた二次抗体を用いて検出を行い、その後、ECL化学発光基質(LumiGlo,KPM)で現像した。
細胞培養及び感染。10%FCS及び2mM L−グルタミン(cDMEM)を補充したダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)でHeLa Ccl2、swiss 3T3線維芽細胞、4T1、B16F10及びD2A1を培養した。HUVECを単離し、[41]に記載されているように培養した。10%FCS及び2mM L−グルタミンを補充したRPMI 1640でジャーカット及び4T1細胞を培養した。添加剤を加えたBHIでY.エンテロコリティカを一晩、室温で増殖させ、新たなBHIで希釈して0.2のOD600にし、2時間、室温で増殖させた後、さらに30分間、又はEGFPの送達の場合は1時間、37℃水浴振盪機への温度シフトを行った。最後に、細菌を遠心分離(6000rcf、30秒)により回収し、10mM HEPES及び2mM L−グルタミンを補充したDMEMで1回洗浄した。添加剤を加えたLBで一晩、37℃でサルモネラ菌を増殖させ、新たなLBで1:40希釈し、2.5時間、37℃で増殖させた(SpiI T3SS誘導条件)、又は一晩培養物を37℃でさらにインキュベートした(SpiII T3SS誘導条件)。最後に、細菌を遠心分離(6000rcf、30秒)により収集し、10mM HEPES及び2mM L−グルタミンを補充したDMEMで1回洗浄した。96ウェルプレートに(免疫蛍光法のために)又は6ウェルプレートに(ウェスタンブロット法のために)播種した細胞を、10mM HEPES及び2mM L−グルタミンを補充したDMEM中で、示されている感染多重度で感染させた。細菌を添加した後、プレートを1分間、1750rpmで遠心分離し、示されている期間、37℃で置いておいた。細胞外細菌を、示されている場合にはゲンタマイシン(100mg/ml)により殺滅した。免疫蛍光分析の場合、感染アッセイを4%PFA固定により停止した。ウェスタンブロット分析のために、細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、Phospho−safe溶解バッファー(Novagen)を添加して細胞を溶解した。氷上でのインキュベーション後、細胞を遠心分離した(16000rcf、25分、4℃)。上清を回収し、Bradford BCAアッセイ(Pierce)により全タンパク質含有量について分析した後、SDS PAGE、そして抗リン酸化Akt(Ser473及びT308、両方ともCell Signaling)、抗アクチン(Millipore)、抗Bid(Cell Signaling)、抗Myc(Santa Cruz)、抗p38(Cell Signaling)、抗リン酸化p−38(Thr180/Tyr182;Cell Signaling)、抗カスパーゼ3 p17(Cell Signaling)及び抗Ink4C(Cell Signaling)抗体を使用するウェスタンブロッティングを行った。
サルモネラ菌に関する分泌分析。サルモネラ菌によるタンパク質分泌の誘導のために、オービタルシェーカー(150rpmに設定した)を用いて、0.3M NaClを含有するLB中で一晩、サルモネラ菌を培養した。次いで、0.3M NaClを含有する新たなLBでサルモネラ菌を1:50希釈し、4時間、37℃で、振盪せずに増殖させた。
全細胞及び上清画分を20800gで20分間、4℃での遠心分離により分離した。細胞ペレットを全細胞画分と見なした。最終10%(w/v)のトリクロロ酢酸を用いて、1時間、4℃で、上清中のタンパク質を沈殿させた。遠心分離(15分間、20800g)及び上清の除去後、得られたペレットを氷冷アセトンで一晩洗浄した。試料を再び遠心分離し、上清を廃棄し、ペレットを空気乾燥させ、1×SDSローディング色素に再懸濁させた。
分泌されたタンパク質をSDS−PAGEにより分析し、各場合、細菌3×10個により分泌されたタンパク質をレーン毎にローディングした。12.5%SDS−PAGEゲルを使用して、イムノブロット法による特定の分泌タンパク質の検出を行った。全細胞内のタンパク質を検出するために、別段の記述がない場合、細菌2×10個をレーン毎にローディングし、イムノブロット法による検出前に12.5%SDS−PAGEゲルを用いてタンパク質を分離した。イムノブロット法は、抗Myc(Santa Cruz)抗体を使用して行った。
感染細胞からのT3SS移行タンパク質のウェスタンブロッティング。6ウェルプレート内のHeLa細胞を、感染多重度100で、上で説明したように感染させた。TEVプロテアーゼ移行性Y.エンテロコリティカ株を用いる同時感染の場合、株のOD600を設定し、2つの細胞懸濁液をチューブの中で(別段の指示がない限り)1:1で混合した後、細胞に添加した。感染の最後に、細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、小量の氷冷PBS中にかき取ることにより回収した。遠心分離(16000rcf、5分、4℃)後、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche complete、Roche)を補充した0.002%ジギトニンにペレットを溶解した。溶解したペレット氷上で5分間インキュベートし、次いで、遠心分離した(16000rcf、25分、4℃)。上清を回収し、全タンパク質含有量をBradford BCAアッセイ(Pierce)により分析した後、SDS PAGE、そして抗Myc抗体(Santa Cruz、9E11)又は抗Ink4C抗体(Cell Signaling)を使用するウェスタンブロット法を行った。
免疫蛍光。96ウェルプレート(Corning)に播種した細胞を、上で説明したように感染させ、4%PFAでの固定後、細胞をPBSで3回洗浄した。次いで、0.3%Triton X−100を含有するPBS中5%ヤギ血清を使用して室温で1時間にわたってウェルをブロッキングした。一次抗体(抗Myc、Santa Cruz、1:100)を、1%BSAと0.3%Triton X−100を含有するPBSで希釈し、細胞を4℃で一晩インキュベートした。細胞をPBSで4回洗浄した後、1%BSAと0.3%Triton X−100を含有するPBSで希釈した二次抗体(AF488抗マウス、life technologies、1:250)を添加した。必要に応じて、ヘキストDNA染色(life technologies、1:2500)及び/又はアクチン染色(Dy647−ファロイジン、DyeOmics)を含めた。一部の事例では、PFAを洗い流した直ぐ後にDNA及び/又はアクチン染色剤のみを適用した。細胞を室温で1時間インキュベートし、PBSで3回洗浄し、下で説明するような自動画像分析により分析した。
自動顕微鏡観察及び画像分析。ImageXpress Micro(Molecular devices、Sunnyvale、USA)を用いて画像を自動で取得した。MetaXpress(Molecular devices、Sunnyvale、USA)を使用して抗Myc染色強度の定量を行った。核領域及び細菌を含有する領域を除く細胞内の領域を手動で選択し(40画素のエリアを有する円)、平均強度を記録した。
リン酸化p38のTNFα刺激及びウェスタンブロッティング。6ウェルプレートに播種したHeLa細胞を、感染多重度100で、上で説明したように感染させた。感染の30分後にゲンタマイシンを添加し、感染の45分後にTNFaを添加した(10ng/ml)。感染の1時間15分後に細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、Phospho−safe溶解バッファー(Novagen)を添加して細胞を溶解した。氷上でのインキュベーション後、細胞を遠心分離した(16000rcf、25分、4℃)。上清を回収し、全タンパク質含有量をBradford BCAアッセイ(Pierce)により分析した後、SDS PAGE、そして抗リン酸化p38、全p38抗体(Cell Signaling)及び抗アクチン抗体(Millipore)を使用するウェスタンブロッティングを行った。
感染HeLa細胞のcAMPレベル決定。96ウェルプレートに播種したHeLa細胞を、上で説明したように感染させた。感染の30分前に、cDMEMを、10mMのHEPESと2mM L−グルタミンと及び100uM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX、Sigma Aldrich)とを補充したDMEMに交換した。感染の60分後、ゲンタマイシンを添加し、細胞を37℃でさらに90分インキュベートした。競合ELISAを製造業者の説示(Amersham、cAMP Biotrak、RPN225)に従って使用して、cAMPの決定を行った。ポジティブコントロールとして、示されている量のコレラ毒素(C8052、Sigma Aldrich)を、10mM HEPESと2mM L−グルタミンと100uM IBMXとを補充したDMEM中の細胞に1時間にわたって添加した。
ゼブラフィッシュ胚感染、イメージング及び自動画像定量。全ての動物実験は、認可されたガイドラインに従って行った。ゼブラフィッシュを標準条件で維持した[42]。28.5℃での受精後の時間(hpf)により胚をステージ分類した[43]。この研究では次のゼブラフィッシュ系統を使用した:野生型フィッシュ(AB/EK及びEK/TL)。感染プロトコールは[44]に与えられているガイドラインに従った。0.2mMのN−フェニルチオ尿素(PTU)を含有するE3培地中で12hpf胚を維持して、色素形成を防止した。受精後2日(dpf)の胚に0.2mg/mlのトリカインにより麻酔し、ヘアループツールを使用してそれらをE3中1%寒天プレート上に並べた[44]。0.4%アラビノースと抗生物質とmDapとを補充したBHI中でY.エンテロコリティカを一晩、室温で増殖させ、0.5%アラビノースと他の添加剤とを含有する新たなBHIで希釈して0.2のOD600にし、室温で2時間増殖させた後、さらに45分間、37℃水浴振盪機への温度シフトを行った。最後に、細菌を遠心分離(6000rcf、30秒)により回収し、PBSで1回洗浄した。mDAPを含有するPBS中でのOD600を2に設定した。1−2nLのこの懸濁液を、並べたゼブラフィッシュ胚の後脳に、Femtojet Microinjector(Eppendorf)を使用し、針の先端を細いピンセットで取り除いたFemtotips II(Eppendorf)を使用して注射した。注射時間を0.2秒に設定し、補償圧力を15hPaに設定し(Eppendorf、Femtojet)、注射圧力を600−800hPaの間に調整した。液滴サイズ、したがって種菌を、顕微鏡により、及びコントロールプレーティングにより確認した。マイクロインジェクション後、トリカインとPTUとを含有するE3中にフィッシュを回収し、37℃で30分インキュベートし、28℃でさらに5時間インキュベートした。感染の1時間後に蛍光双眼顕微鏡(Leica)を使用してゼブラフィッシュ後脳における細菌EGFP蛍光を観察し、適切に注射されなかった胚を廃棄した。感染の最後に、2%氷冷PFAを用いて氷上で1時間フィッシュを固定し、さらに新たな氷冷PFAを用いて4℃で一晩固定した。抗体染色を以前に記載されているように行った[45、46]。簡単に述べると、胚を、0.1%Tweenを含有するPBSで4回、各洗浄について5分間、洗浄し、PBS−T+0.5%Triton X−100で30分間、室温で透過処理した。胚をブロッキング溶液(0.1%Tweenと0.1%TritonX−100と5%ヤギ血清と1%BSAとを含有するPBS)中、4℃で一晩ブロッキングした。抗体(切断カスパーゼ3(Asp175)、Cell Signaling)をブロッキング溶液で1:100希釈し、振盪しながら4℃で、暗所でインキュベートした。フィッシュを、7回、0.1%Tweenを含有するPBSで30分間洗浄した後、ブロッキング溶液で希釈した二次抗体(ヤギ抗ウサギAF647、Invitrogen、1:500)を添加し、4℃で一晩インキュベートした。幼生を、0.1%Tweenを含有するPBSで4回、30分間、4℃で洗浄し、1回、一晩にわたって洗浄し、さらに3−4回洗浄した。40×水浸対物レンズを使用してLeica TCS SP5共焦点顕微鏡で画像を撮影した。Imaris(Bitplane)及びImage Jソフトウェア(http://imagej.nih.gov/ij/)を使用して画像を分析した。
画像分析(pBad_Si2についてのn=14又はz−BIMについてのn=19に関して)を、CellProfiler[47]により、記録zスタック画像のz軸方向の最大値投影に関して行った。簡単に述べると、細菌をGFPチャネルにより検出した。細菌斑点の各エリアの周囲に半径10画素の円を生成した。重複する領域を、接しているメンバー間で等分した。細菌を密接に取り囲んでいるこれらのエリア内のカスパーゼ3 p17染色強度を測定した。
リン酸化プロテオミクス用の試料調製。各条件について、6ウェルプレート2つのHeLa CCL−2細胞をコンフルエンスまで増殖させた。細胞を、30分間、上で説明したように感染させた。示されている時点で、プレートを氷上に置き、氷冷PBSで2回洗浄した。次いで、試料を尿素溶液[8M尿素(AppliChem)、0.1M炭酸水素アンモニウム(Sigma)、0.1%RapiGest(Waters)、1×PhosSTOP(Roche)]中に回収した。試料を短時間ボルテックスし、4℃で超音波処理し(Hielscher)、サーモミキサー(Eppendorf)で5分振盪し、4℃、16000gで20分遠心分離した。上清を回収し、さらなる処理のために−80℃で保管した。BCA Protein Assay(Pierce)を使用してタンパク質濃度を測定した。
リン酸化ペプチド濃縮。ジスルフィド結合を、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンを最終濃度10mMで用いて37℃で1時間、還元した。20mMヨードアセトアミド(Sigma)を用いて室温で30分間、暗所で遊離チオールをアルキル化した。N−アセチルシステインを最終濃度25mMで用いて室温で10分間、過剰ヨードアセトアミドを失活させた。Lys−Cエンドペプチダーゼ(和光純薬工業株式会社)を添加して1:200の最終酵素/タンパク質比(w/w)にし、37℃で4時間インキュベートした。その後、溶液を、0.1M炭酸水素アンモニウム(Sigma)で尿素2M未満の最終濃度に希釈し、シークエンシンググレードの修飾トリプシン(Promega)を50:1のタンパク質対酵素比で用いて37℃で一晩消化した。ペプチドをC18 Sep−Pakカートリッジ(Waters)で脱塩し、真空下で乾燥させた。以前に記載されている[48]のようにTiOを用いて全ペプチド質量2mgからリン酸化ペプチドを単離した。簡単に述べると、乾燥させたペプチドを、フタル酸で飽和した80%アセトニトリル(ACN)−2.5%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液に溶解した。ペプチドを、ブロッキング済みMobicolスピンカラム(MoBiTec)内の同量の平衡TiO(ビーズ径5μm、GL Sciences)に添加し、それを転倒回転させながら30分間インキュベートした。カラムを飽和フタル酸酸性溶液で2回、80%ACN及び0.1%TFAで2回、最後に0.1%TFAで2回洗浄した。ペプチドを、0.3M NHOH溶液で溶出した。5%のTFA溶液及び2M HClで溶出液のpHを2.5未満に調整した。リン酸化ペプチドをmicrospin C18カートリッジ(Harvard Apparatus)で再度脱塩した。
LC−MS/MS分析。1.9μmのC18樹脂(Reprosil−AQ Pur、Dr.Maisch)を施設内で充填した加熱したRP−HPLCカラム(75μm×45cm)を装着した、EASY nano−LC system(Thermo Fisher Scientific)を使用して、ペプチドのクロマトグラフ分離を行った。200nl/分の流速で120分かけて98%溶媒A(0.15%ギ酸)及び2%溶媒B(98%アセトニトリル、2%水、0.15%ギ酸)から30%溶媒Bまで変動する直線勾配を使用して、LC−MS/MS実行1回につき全リン酸化ペプチド試料1μgのアリコートを分析した。質量分析は、ナノエレクトロスプレーイオン源を装備しているデュアルプレッシャーLTQ−Orbitrap質量分析計(どちらもThermo Fisher Scientific)で行った。各MS1スキャン(Orbitrapで取得)の後、30秒間の動的排除を伴う、最も含有量の多い20の前駆体イオンの衝突誘起解離(CID、LTQで取得)を行った。リン酸化ペプチド分析のために、最も含有量の多い10の前駆体イオンを、使用可能な多段階の活性化を伴うCIDに付した。全サイクル時間はおよそ2秒であった。MS1に関しては、最大時間300ミリ秒にわたってイオン10個をOrbitrapセルに蓄積し、分解能60,000FWHMで(400m/zで)スキャンした。MS2スキャンは、通常のスキャンモード、目標設定イオン10個、及び蓄積時間25ミリ秒を使用して取得した。一価イオン、及び電荷状態が未指定のイオンは、MS2事象の誘発から除外した。正規化衝突エネルギーを32%に設定し、スペクトル毎に1つのマイクロスキャンを取得した。
ラベルフリー定量及びデータベース検索。取得した生ファイルを、デフォルトパラメータを使用してラベルフリー定量用のProgenesisソフトウェアツール(Nonlinear Dynamics、バージョン4.0)にインポートした。MS2スペクトルをmgf形式でProgenesisから直接エクスポートし、MaxQuantソフトウェア(バージョン1.0.13.13)からのSequenceReverserツールを使用して生成した、ホモサピエンス(Homo sapiens)の予測SwissPortエントリー(www.ebi.ac.uk、公表日2012年5月16日)及びよく見られた夾雑物の順方向及び逆方向配列(合計で41,250配列)を含むデコイデータベース[49]を、MASCOTアルゴリズム(Matrix Science、バージョン2.4)を使用して検索した。Y.エンテロコリティカに由来するタンパク質を同定するために、非リン酸化ペプチドを多く含む試料について、Y.エンテロコリティカの予測SwissPortエントリー(www.ebi.ac.uk、公開日2013年8月15日)を含む、上記の同じデータベースを検索した。前駆体イオン許容値を10ppmに設定し、断片イオン許容値を0.6Daに設定した。検索基準を次のように設定した:十分なトリプシン特異性を要求し(プロリンが続かない限り、リジン又はアルギニン残基の後で切断)、切断ミス2つを許容し、TiO2濃縮又は非濃縮試料について、カルバミドメチル化(C)を固定修飾として、リン酸化(S、T、Y)又は酸化(M)を可変修飾として、それぞれ設定した。最後に、データベース検索結果をxmlファイルとしてエクスポートし、MS1特徴評価のためにProgenesisソフトウェアにインポートし直した。リン酸化ペプチド定量のために、検出された全特徴のMS1ピーク存在量を収録しているcsvファイルをエクスポートし、非濃縮試料については、タンパク質毎に同定された全てのペプチドの合計特徴強度に基づく全てのタンパク質測定値を収録しているcsvファイルを作成した。重要なこととして、Progenesisソフトウェアを、ペプチドの類似のセットにより同定されたタンパク質を一緒に分類するように、及びデータベース内の単一タンパク質についての特異的配列と矛盾しないペプチドのみをタンパク質同定に用いるように設定した。施設内で開発したSafeQuant v1.0 Rスクリプト(データ未公表、https://github.com/eahrne/SafeQuant/で入手可能)を使用して、両方のファイルをさらに処理した。簡単に述べると、このソフトウェアは、同定レベル偽発見率を(デコイタンパク質配列データベースヒット数に基づいて)1%に設定し、同定されたMS1ピーク存在量(抽出イオンクロマトグラム、XIC)を全試料にわたって正規化する、すなわち、確信的に同定された全てのペプチド特徴の合計XICを、全てのLC−MS実行について等しくなるように調整する。次に、定量された全てのリン酸化ペプチド/タンパク質に、時点当たりのXIC中央値に基づいて時点毎に存在比を割り当てる。各々の比の統計的有意性は、そのq値(偽発見率調整p値)によって得られ、このq値は、修正t統計量p値を算定すること[50]及び多重検定用に調整すること[51]によって得られる。リン酸化した残基の位置は、MASCOT(スコア>10)により自動的に指定された。用いたMS生ファイル及び検索パラメータのアノテーションが一緒に付与されている全てのスペクトルを、PRIDEパートナーレポジトリー[52]経由でProteomeXchange Consortium(http://proteomecentral.proteomexchange.org)に寄託することになる。
http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/におけるEMBL−EBIウェブに基づくClustalW2多重配列アライメントツールを使用して、配列アラインメントを行った。
4T1同種移植マウスモデルにおける体内分布
全ての動物実験は、認可されたものであり(license 1908;Kantonales Veterinaramt Basel−Stadt)、地域のガイドライン(Tierschutz−Verordnung;Basel−Stadt)及びスイス動物保護法(Tierschutz−Gesetz)に従って行った。6週齢BALB/cマウスをJanvier Labsから取り寄せた。少なくとも1週間の馴化後、イソフルランを使用してマウスを麻酔し、100ul 4T1細胞(細胞1×10−1×10個)をBALB/cマウスの側副部に皮下注射した。この実験を通して、マウスの行動及び身体的外見についてのスコアを付け、体表温度並びに体重を測定した。
腫瘍が発生したら、マウスに8mg/ml デスフェラル溶液(10ml/kg)を腹腔内注射により投与した。翌日、マウスを尾静脈への注射によりY.エンテロコリティカMRS40又はY.エンテロコリティカMRS40ΔHOPEMT(細菌2×10、1×10又は1×10個)に感染させた。マウスに静脈内投与した種菌を希釈平板法により検証した。一部の実験では、腫瘍進行をデジタルノギスでの腫瘍長及び幅の毎日の測定により追跡した。腫瘍体積を0.532×長さ×幅として決定した。注射後のそれぞれの日に、マウスをCO吸入により屠殺した。直ちに心臓からの吸引により血液試料を単離した。肝臓、脾臓、肺及び腫瘍を単離し、それらの重量を判定した。臓器及び腫瘍をホモジナイズした。ナリジクス酸(35ug/ml)を含有するLB寒天プレート上への段階希釈物のスポッティングにより、各試料におけるCFUを判定した。
B)結果
YopE融合タンパク質の3型分泌に基づくタンパク質送達系
Y.エンテロコリティカT3SSエフェクターYopE(配列番号1)のまさにN末端は、異種タンパク質を移行させるのに十分な分泌シグナルを有する[26]が、そのシャペロン(SycE)についてはシャペロン結合部位(CBS)を含まない[53]。本発明者らは、YopEのN末端138アミノ酸(配列番号2)を選択して、送達すべきタンパク質と融合させた。このYopEのN末端138アミノ酸は、他の異種T3S基質の移行について最良の結果をもたらすことが証明されていた[28]からであった。YopEのこれらのN末端138アミノ酸はCBSを含有するので、本発明者らは、さらに、SycEを共発現させることを決めた。精製Y.エンテロコリティカpYV40毒性プラスミドからクローニングしたSycE−YopE1−138断片は、YopEの及びそのシャペロンSycEの内在性プロモーターを含有する(図10)。したがって、SycEと任意のYopE1−138の融合タンパク質は、室温での増殖から37℃への急速な温度シフトにより誘導される。37℃での培養時間は、細菌内に存在する融合タンパク質量に影響を与えることになる。多重クローニング部位(MCS)をYopE1−138の3’末端に付加させ(図10B)、その後、Myc及び6×Hisタグ及び終止コドンを付加させた。
バックグラウンド株を注意深く選択した。先ず、内在性エフェクターの移行を制限するために、本発明者らは、公知のエフェクター、Yop H、O、P、E、M及びTの全てが欠失したY.エンテロコリティカ株(名称HOPEMT)[54]を使用した。加えて、本発明者らは、外来メソ−2,6−ジアミノピメリン酸の非存在下では増殖することができない栄養要求突然変異株[55]を時には使用した。この株のアスパラギン酸−ベータ−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子が欠失したものであり(Δasd)、Swiss safety agencyによりバイオセーフティレベル1に分類されている(A010088/2に対する補正)。加えて、本発明者らは、バックグラウンド株のより大規模な選択をもたらすために接着タンパク質YadA及び/又はInvAを欠失させた。yadA又はyadA/invA株を使用は、誘導されるバックグラウンドシグナルを低減させるが[56]が、送達されるタンパク質量も同様に影響を受ける[57]。
真核細胞へのYopE融合タンパク質送達の特徴づけ
インビトロ分泌アッセイ(図1Aを参照されたい)では、周囲の液体へのタンパク質分泌を人工的に誘導する。TCAに基づくタンパク質沈殿の後、抗YopE抗体でのウェスタンブロット分析を使用して、分泌されたタンパク質量を決定した(図1B)。wt株は、完全長YopEを分泌したが、ΔHOPEMT asd株は、分泌しなかった。YopE1−138−Myc−His(さらなる名称YopE1−138−Myc;配列番号3)が存在すると、より小さなYopEバンドが目に見えるようになった(図1B)。したがって、YopE1−138断片は本明細書に記載の設定で十分に分泌される。真核細胞へのタンパク質移行の均一性を分析するために、本発明者らは、YopE1−138−Mycをコードする株にHeLa細胞を感染させ、IFによりMycタグを染色した(図2A及びB)。最初は細菌のみが染色されたが、感染後(p.i.)30分の時点では、細胞の輪郭が目に見え始め、これは感染時間を増加させると増強される(図2B)。この傾向は、HeLa細胞の内部のMycタグ染色強度によく反映される(図2A及びB)。YopE1−138−Mycは、核内を除いて[58]、細胞のどこででも検出することができる(図2A)。意外なことに、この手法により、全てではないが大多数の細胞に同等に到達した。Y.エンテロコリティカに多くの異なる細胞型が感染することが公知であるので[59]、本発明者らは、様々な細胞株へのYopE1−138−Myc送達を追跡した。感染したマウス線維芽細胞、ジャーカット細胞及びHUVECにおいて同じ同種抗Myc IF染色が観察された(図11)。さらに、感染多重度を高く又は低く調整することにより、なお大多数の細胞を標的としたまま、送達されるタンパク質量を調節することが可能になる(図2C)。細菌数を少なくすると、少数の細胞が大量の送達タンパク質を有することになるのではなく、大多数の細胞が少量の送達タンパク質を有することになる(図2C)。
T3SS送達タンパク質の核への再指向
YopE自体は細胞質に局在していたので(図2A)、YopE1−138断片が核融合タンパク質の局在化を妨げるかどうかを試験することは特に興味深い。したがって、本発明者らは、YopE1−138−EGFPのC末端(及びN末端、同様の結果)にSV40 NLSを付加させた(それぞれ配列番号39及び配列番号38)。感染させたHeLa細胞において、YopE1−138−EGFP(配列番号37)は、弱い細胞質染色をもたらしたが、YopE1−138−EGFP−NLSは、より強力な核内EGFPシグナルを生じさせた(図3)。これは、YopE1−138断片がNLSの使用と適合性であることを示す。mCherryは、植物病原体において既に使用されているが[60]、これは、T3SSをコードするヒト又は動物病原性細菌を介したGFP様タンパク質の送達成功を意味する。これにより、SycE及びYopE1−138依存性戦略は最適な多くのタンパク質の送達に非常に有望であることが検証される。
真核細胞への融合タンパク質の移行後のYopE1−138付属物の除去
YopE1−138断片は、細菌送達に大いに役立つものであるが、融合タンパク質の機能及び/又は局在化を妨げる可能性がある。したがって、タンパク質送達後にそれを除去することが最適であるだろう。この目的のために、本発明者らは、YopE1−138と融合パートナー(転写制御因子ET1−Myc(配列番号36及び41)[64]及びヒトINK4C(配列番号40及び配列番号43))との間に2つのTEV切断部位(ENLYFQS)[61−63]を導入した。提供する方法の優位性を保持するために、本発明者らは、別のY.エンテロコリティカ株においてTEVプロテアーゼ(S219Vバリアント;[65])をYopE1−138(配列番号42)とさらに融合した。HeLa細胞を一度に両方の株に感染させた。タンパク質の移行画分のみの分析を可能にするために、感染HeLa細胞を、感染の2時間後に(図4)、細菌を溶解しないことが公知であるジギトニンを用いて溶解した([66];コントロールについては図12を参照されたい)。ウェスタンブロット分析は、細胞が対応する株に感染した場合にのみ、YopE1−138−2×TEV切断部位−ET1−Myc又はYopE1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4C−Mycの存在を明示した(図4A及びC)。この細胞溶解物を精製TEVプロテアーゼで一晩消化すると、シフトしたバンドを観察することができた(図4A及びC)。このバンドは、TEV切断部位のN末端に残存物がある、ET1−Myc(図4C)又はFlag−INK4C(図4A)に対応し、この残存物は、1つのセリンのみの可能性が最も高い。TEVプロテアーゼを送達する株に細胞を同時感染させると、同じ切断ET1−Myc又はFlag−INK4C断片が目に見えるようになった。これは、T3SSを介して送達されたTEVプロテアーゼが機能性であること、及び単一細胞が両方の菌株に感染したことを示す(図4A及びC)。切断は完全なものではないが、移行したタンパク質の大多数が、感染の2時間後に既に切断され、精製TEVプロテアーゼで一晩消化しても、より高い切断率は得られなかった(図4B)。報告されているように、TEVプロテアーゼ依存性切断は、融合タンパク質次第で最適化を必要とする可能性がある[67、68]。したがって、移行後のYopE1−138付属物のTEVプロテアーゼ依存性除去は、アミノ酸組成をN末端アミノ酸1つだけしか変化させずに、殆どの天然異種タンパク質のT3SSタンパク質送達をもたらす初めてのものである。
YopE断片のTEVプロテアーゼ依存性切断の代替の手法は、目的の融合タンパク質にユビキチンを組み込むことに存した。実際、ユビキチンは、そのC末端で、内在性ユビキチン特異的C末端プロテアーゼ(脱ユビキチン化酵素、DUB)群により、プロセシングされる。切断はユビキチンのまさにC末端(G76の後ろ)で起こるはずであるので、目的のタンパク質には追加のアミノ酸配列がないはずである。この方法を、YopE1−138−ユビキチン−Flag−INK4C−MycHis融合タンパク質を用いて試験した。YopE1−138−Flag−INK4C−MycHisを発現する細菌に感染させたコントロール細胞では、融合タンパク質の効率的移行を示す、YopE1−138−Flag−INK4C−MycHisに対応するバンドが見られた(図24)。YopE1−138−ユビキチン−Flag−INK4C−MycHisを発現する細菌に細胞を1時間感染させたとき、Flag−INK4C−MycHisのサイズに対応する追加のバンドが目に見えた。これは、融合タンパク質の一部が切断されたことが示す。この結果は、融合タンパク質へのユビキチンの導入により、外来プロテアーゼを必要とすることなくYopE1−138断片を切り離すことが可能になることを示す。
III型及びIV型細菌エフェクターの移行
サルモネラ菌からのSopEは、Cdc42と相互作用してアクチン細胞骨格リモデリングを促進する、よく特徴づけられているグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)である[69]。HeLa細胞へのYopE1−138−Mycの移行の影響はなかったが、移行したYopE1−138−SopE(配列番号5及び135)は、アクチンネットワークの劇的な変化を誘導した(図5A)。別のGEFエフェクタータンパク質である、フレクスナー赤痢菌からのIpgB1(配列番号4)で、同様の結果が得られた。意外なことに、アクチン細胞骨格の最初の変化は、感染後2分という速さで観察された(図5A)。したがって、T3SS依存性タンパク質送達は、遠心分離により感染を開始した直後に起こると、結論づけることができる。厳密なT3SS依存性輸送を証明するために、真核細胞膜への移行孔を形成するT3SSタンパク質の1つを欠失させた(YopB、[70]を参照されたい)(図12)。
サルモネラ属感染中、SopE移行後に、Cdc42に対するGTPase活性化タンパク質(GAP)として機能するSptPが移行する[71]。YopE1−138−SopE−Myc(配列番号135)単独での移行は、大規模なF−アクチン再構成を誘発したが、YopE1−138−SptP(配列番号8)を発現する細菌による同時感染は、この効果を用量依存的に消失させた(図5B)。抗Myc染色は、この阻害がYopE1−138−SopE−Myc移行レベル低下に起因するものではないことを示した(図5B)。総じてこれらの結果は、2つの菌株による細胞の同時感染が、2つの異なるエフェクターをそれらの機能的相互作用に取り組むために単一細胞に送達するための有効な方法であることを示した。
フレクスナー赤痢菌III型エフェクターOspFは、MAPキナーゼp38及びERKを脱リン酸化させるリン酸化スレオニンリアーゼとして機能する[72]。移行したYopE1−138−OspF(配列番号7)の機能性を試験するために、本発明者らは、TNFαでの刺激後のp38のリン酸化をモニターした。未感染細胞、又はYopE1−138−Mycを発現する細菌に感染させた細胞では、TNFαは、p38リン酸化を誘導した。対照的に、YopE1−138−OspFの移行後、TNFαにより誘導されたリン酸化が消失した。これは、送達されたOspFがp38に対して活性であることを示す(図6A)。
サルモネラ属感染中に、III型エフェクターSopBは、Aktの持続的活性化により上皮細胞をアポトーシスから保護する[73]。YopE1−138−Myc又はYopE1−138−SopEの移行はAktに影響を与えなかったが、YopE1−138−SopB(配列番号6)の移行は、活性形態を反映して、T308及びS473におけるAktの強力なリン酸化を誘導した(図6B)。同様の結果が、フレクスナー赤痢菌からのSopB−ホモログ(IpgD、配列番号9)で得られた。総じて、本発明者らの結果は、YopE1−138に基づく送達系が、これまでに試験しれた全てのT3Sエフェクターに対して機能すること、並びに細胞骨格、炎症及び細胞生存をはじめとする中心的細胞機能の調節に関与するタンパク質の調査を可能にすることを示す。
アグロバクテリウム・ツメファシエンス、レジオネラ・ニューモフィラ及びバルトネラ・ヘレンセラ菌をはじめとする多数の細菌は、IV型分泌を使用してエフェクターを細胞に注入する。バルトネラ・ヘンセラ菌からのIV型エフェクターBepAを、本発明者らのツールを使用してHeLa細胞に移行することができるかどうかを試験した。完全長BepA(配列番号10)、及びC末端Bidドメインを含有するBepAE305−end(配列番号11)をクローニングし、細胞をそれぞれの株に感染させた。BepAはサイクリックAMP(cAMP)の産生を誘導することが証明されていたので[74]、感染後にHeLa細胞におけるcAMPのレベルを測定した。バルトネラ・ヘンセラ菌エフェクターBepG(配列番号136)のBidドメインの移行は、cAMPを誘導することができなかったが、完全長BepA及びBepAE305−endは、期待量[74]のcAMP産生を誘発した(図6C)。この結果は、IV型エフェクターもYopE1−138に基づく送達系によって宿主細胞標的に有効に送達することができること、及びそれらが機能性であることを示す。
上皮細胞への真核生物タンパク質の移行
ヒトタンパク質がIII型分泌によって移行できることを明らかにするために、本発明者らは、ヒトアポトーシス誘導因子を、Y.エンテロコリティカによる送達のためにYopE1−138と、又はサルモネラ菌による送達のためにSteA1−20、SteA、SopE1−81若しくはSopE1−105と融合させた。次いで、本発明者らは、Bcl−2タンパク質ファミリーのアポトーシス促進性スメンバーであるヒトBH3相互作用ドメインデスアゴニスト(BID、配列番号24)の移行をモニターした。BIDは、カスパーゼ−8(CASP8)により誘導されるミトコンドリア損傷のメディエーターである。CASP8は、BIDを切断し、切断型BID(tBID、配列番号25)はミトコンドリアに移行し、そこでシトクロムC放出を誘発する。後述のトクロムC放出は、固有モードのカスパーゼ3(CASP3)活性化をもたらし、その間に、CASP3は17kDaサブユニットと12kDaサブユニットに切断される[75]。YopE1−138−Myc又はYopE1−138−BIDを発現するY.エンテロコリティカによる1時間の感染は、アポトーシスを誘導することができなかったが、ヒトtBIDの移行は、よく特徴づけられているアポトーシス誘導因子スタウロスポリンよりも大きな程度で細胞死を誘発した(図7A及びC)。予測通り、tBIDの移行は、CASP3 p17サブユニットの産生を、もっと言えば、スタウロスポリンを用いた場合より多い量での産生をもたらす(図7A)。移行したタンパク質量と内在性Bidを比較することができるように、HeLa細胞をジギトニンで溶解し、抗Bid抗体を使用するウェスタンブロット法により分析した(図7B)。T3SSにより送達されたYopE1−138−tBIDは、HeLa細胞内でほぼ内在性Bidレベルに達したが、送達されたYopE1−138−BIDのほうが多い量で存在した(2.5倍)(図7B)。HeLa細胞のディーププロテオーム及びトランスクリプトームマッピングにより、単一細胞当たりBIDコピー数10の4.4倍が推定された[76]。したがって、T3SS依存性ヒトタンパク質送達は、1細胞当たり10−10タンパク質に達すると結論づけることができる。これらの数は、大腸菌T3SSにより移行されるナノボディの細胞当たりのコピー数[4]と一致する。感染多重度が及び感染期間が10倍、抗生物質添加の時点及び感染前の37℃での培養時間が3.2倍のレベルになると仮定すると、送達されるタンパク質コピー/細胞を、数1000コピー/細胞から数10コピー/細胞まで調整することができる。総じて、これらの結果は、移行したtBIDが機能性であり、有意味なレベルで送達されることを示した。これにより、細胞生物学の中心的側面である、アポトーシスの調節におけるタンパク質の役割を研究するための移行ツールが検証された。
本発明者らは、さらに、Y.エンテロコリティカによる送達のために、マウスtBID(Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの;配列番号194)又はマウスtBID若しくはマウスBAX(どちらの場合もY.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの;配列番号138及び139)のBH3ドメインを、YopE1−138と融合させた。何れのタンパク質も送達しない又はYopE1−138−Mycを送達するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdによる2.5時間の感染は、アポトーシスを誘導することができなかったが、マウスtBID(Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの、配列番号194)の移行は、B16F10細胞(図16)、D2A1細胞(図17)、HeLa細胞(図18)及び4T1細胞(図19)において細胞死を誘発した。Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたマウスBID(配列番号138)又はY.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたマウスBAX(配列番号139)のBH3ドメインの移行も、B16F10細胞(図16)、D2A1細胞(図17)、HeLa細胞(図18)及び4T1細胞(図19)において大規模な細胞死を誘導することが判明した。
サルモネラ菌aroA細菌による4時間の感染は、アポトーシスを誘導することができなかったが、マウスtBIDの移行は、マウスtBIDの移行がCASP3 p17サブユニットの産生をもたらすので、アポトーシスを誘発した(図20及び21)。SopE融合タンパク質についてのアポトーシス誘導の程度は、SpiI T3SS誘導条件を使用した場合のほうが大きかった(図20)。これは、SpiI T3SSによるSopEの排他的輸送を反映している。SteA1−20融合マウスtBIDは、アポトーシスを誘導することができなかった。これは、SteAの20のN末端アミノ酸内の分泌シグナルが、融合タンパク質の送達を可能にするには十分でないことに起因する可能性が高い(図20及び21)。完全長SteAと融合しているマウスtBIDは、SpiI T3SS誘導条件とSpiII T3SS誘導条件の両方でHeLa細胞においてアポトーシス誘導をもたらした(図20及び21)。これは、SteAが両方のT3SSにより輸送され得ることを反映している。SpiII T3SS誘導条件下であっても、SpiII T3SS誘導条件でのSopE融合タンパク質の活性によって見られるようなSpiI T3SSの部分的活性が予測されることに留意しなければならない(図21)。
ここで機能の点で詳述した、移行させる真核生物タンパク質に加えて、いくつかの他の真核生物タンパク質を本明細書に記載のツールを使用して分泌した。これは、Y.エンテロコリティカのよる送達(図13、14及び23)のために、細胞周制御からのタンパク質(Mad2(配列番号15)、CDK1(配列番号14)、INK4A(配列番号16)、INK4B(配列番号17)及びINK4C(配列番号18))並びにそれらの部分(INK4A 84−103(配列番号158)、p107 657−662(配列番号159)、p21 141−160(配列番号160)、p21 145−160(配列番号161)、p21 17−33(配列番号162)及びサイクリンD2 139−147(配列番号163))、アポトーシス関連タンパク質(Bad(配列番号29)、FADD(配列番号28)、及びカスパーゼ3 p17(配列番号22)及びp12(配列番号23)、ゼブラフィッシュBid(配列番号19)及びt−Bid(配列番号20))並びにそれらの部分(tBid BH3(配列番号138)、Bax BH3(配列番号139))、シグナル伝達タンパク質(マウスTRAF6(配列番号12)、TIFA(配列番号13))、GPCR Gαサブユニット(GNA12、最短アイソフォーム、(配列番号30))、標的タンパク質分解のためのナノボディ(vhhGFP4、(配列番号31))及びナノボディ融合構築物(Slmb−vhhGFP4;(配列番号32、33、34))[77])(図13及び14)、並びに低分子量GTPase(Rac1 Q61E(配列番号26及び137)及びRhoA Q63L(配列番号27))、及びヒトAktからのプレクストリン相同ドメイン(配列番号35)を含む。機能の点で詳述したアポトーシス関連タンパク質(マウスtBid、配番号144−147)に加えて、これは、サルモネラ菌による送達(図22)のために、細胞周期制御からのタンパク質(Mad2(配列番号168−169)、CDK1(配列番号170−171)、INK4A(配列番号164−165)及びINK4C(配列番号166−167))をさらに含む。これらのタンパク質は機能的の点で検証されていないが、YopE付属物の可能な除去と併せて、多様な真核生物タンパク質のT3SS依存性分泌の可能性は、細胞生物学及び治療応用へのT3SSの広範な適用性に関して新しい展望を開く。
ゼブラフィッシュ胚内への切断型Bidのインビボ移行はアポトーシスを誘導する
この細菌ツールの興味深い特徴は、生きている動物に使用できる可能性である。胚の状態のゼブラフィッシュを透明に保つことができ、それにより蛍光染色及び顕微鏡観察が可能になる[44、78、79]。少数のゼブラフィッシュアポトーシス誘導因子が詳細に記載されており、そのうちz−BIMが最も強力である[80]。したがって、本発明者らは、z−BIMを本発明者らの系にクローニングすることを決めた。ヒトBIMに対する相同性が例え弱くとも、本発明者らは、ヒト上皮細胞におけるYopE1−138−z−BIM(配列番号21)のアポトーシス誘導の力価をアッセイした。YopE1−138−z−BIMを移行させる株に1時間感染させたHeLa細胞は、細胞死の明らかな徴候を示した。次いで、本発明者らは、後脳への細菌のマイクロインジェクションによる局在感染モデルを使用して、受精後2日(dpf)のゼブラフィッシュ胚でのインビボ実験を行った[44]。5.5時間の感染後、フィッシュを固定し、透過処理し、CASP3 p17の存在について染色した。YopE1−138−Mycを発現する株に感染させると、後脳領域では細菌が目に見えたが(染色「b」、図8A I)、細菌の周囲ではアポトーシスの誘導が検出されなかった(染色「c」、図8A I)。対照的に、YopE1−138−z−BIMを送達する株に感染させると、細菌の周囲の領域において、切断されたCASP3の存在の強力な増加が観察された(図8A II)。z軸方向の最大値投影に関する自動画像分析により、YopE1−138−z−BIMを移行させる細菌が、近くの細胞のアポトーシスをコントロール細菌によるものよりもはるかに多く誘導することが確認される(図8B)。これは、z−BIMが、細菌による移行時にゼブラフィッシュにおいて機能性であることを示す。これらの結果は、生きている動物における真核生物タンパク質送達のためのT3SSの使用をさらに認証するものである。
リン酸化プロテオミクスは、タンパク質リン酸化に対する移行タンパク質の広範囲の影響を明示する
リン酸化は、生物学的プロセスを活性化するか又は不活化することができる広範な翻訳後修飾であり、したがって、シグナル伝達事象を研究するための好適な標的である[81、82]。それにもかかわらず、現在利用できる、アポトーシスに関するリン酸化の系レベルの分析はない。HeLa細胞に送達されたヒトtBidの影響を分析するために、本発明者らは、LC−MS/MSによるラベルフリーリン酸化プロテオミクス手法を使用した。3つの独立した実験において、細胞を未処理のまま放置するか、又はΔHOPEMT asd+YopE1−138−Myc若しくはΔHOPEMT asd+YopE1−138−tBidに30分間感染させた。細胞を溶解し、その後、酵素的消化、リン酸化ペプチド濃縮、並びに個々のリン酸化ペプチドの定量及び同定を行った。本発明者らは、ΔHOPEMT asd+YopE1−138−Mycに感染させた細胞とΔHOPEMT asd+YopE1−138−tBidに感染させた細胞を比較し、それにより、363のtBid依存性リン酸化事象を同定することができた。本発明者らがtBidリン酸化プロテオームと定義した、243の異なるタンパク質に対応する、tBid送達時に、286のリン酸化ペプチドは、リン酸化の増加を示したが、77は、然程リン酸化されなかった。STRINGデータベースを使用して、tBidリン酸化プロテオームのタンパク質間相互作用ネットワークを生成した[83](図9A)。さらに、ミトコンドリアでのアポトーシスに関係することが公知の27のタンパク質をネットワークに追加して、中心クラスターを構築した。興味深いことに、tBidリン酸化プロテオームからのほんの少数のタンパク質しかこの中心クラスターにつながらず、これは、多くのタンパク質が、これまでアポトーシスタンパク質に直接関連づけられなかったリン酸化の変化を受けることを示す。tBidリン酸化プロテオームによりカバーされる生物学的機能を特徴づけるために、本発明者らは、Database for Annotation,Visualization,and Integrated Discovery(DAVID、http://david.abcc.ncifcrf.gov/)[84、85]の機能アノテーションツールを使用して遺伝子オントロジー分析を行った。同定された生物学的機能は、多様な細胞プロセスがtBidによる影響を受けることを示す。クロマチン再構成及び転写制御に関与する多くのタンパク質は、リン酸化の変化を受ける(すなわち、CBX3、CBX5、TRIM28、HDAC1)。例えば、HDAC1は、転写制御に関与するヒストンデアセチラーゼである。HDAC1が、アポトーシスにも関与するタンパク質であるNF−kBの転写活性を調節することができることは、証明されている。本発明者らは、アポトーシスの調節に重要な役割を果たすことが以前に証明されている、RNAプロセシングに関与するタンパク質のクラスターをさらに同定した[86]。例えば、HNRPKは、DNA損傷に対するp53/TP53応答を媒介し、アポトーシスの誘導に不可欠なものである[87]。さらに、タンパク質翻訳に関与するタンパク質のリン酸化も影響を受ける。いくつかの真核生物開始因子(すなわち、EIF4E2、EIF4B、EIF3A、EIF4G2)がリン酸化の変化を受け、これは、アポトーシス細胞においてタンパク質合成全体が減少するという観察と一致している。興味深いことに、細胞骨格リモデリングに関与する多くのタンパク質(例えば、PXN、MAP1B9)のリン酸化がtBid送達時に変更される。これは、細胞の形態がtBid送達時に劇的に変化するという観察と一致している(図9B)。細胞収縮、及び接触の喪失は、ZO2及びパキシリンのような接着関連タンパク質のリン酸化が観察されるという事実に反映される。同様に、核の収縮には、ラミンA/C及びラミンB1のような層状タンパク質のリン酸化が伴う。総じて、tBID送達は、ミトコンドリア完全性の破壊によっても示される迅速なアポトーシス応答を誘導する(図9B)。本発明者らは、tBid誘導アポトーシスが、多様な細胞プロセスにおける何百ものリン酸化事象に影響を与えることを明らかにした。同定された多くのタンパク質がアポトーシスに関係しているが、アポトーシス誘導時にリン酸化されることが分かっているのはほんの少数であった。したがって、リン酸化プロテオミクス手法は、アポトーシスに関するさらなる研究のための有用な方策となる。
反復した同一又は可変タンパク質ドメインからなる真核生物異種融合タンパク質の上皮細胞への移行
反復した同一又は可変タンパク質ドメインからなる異種融合タンパク質がIII型分泌により移行することができることを証明するために、本発明者らは、Y.エンテロコリティカによる送達のためのマウスアポトーシス誘導因子をYopE1−138と融合させた。コントロールとして、本発明者らは、Y.エンテロコリティカによる送達のために、マウスtBID(Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの;配列番号194)又はマウスtBID若しくはマウスBAX(どちらの場合もY.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの;配列番号200及び201)のBH3ドメインを、YopE1−138と融合させた。異種融合タンパク質は、結果としてYopE1−138−(tBID−BH3)(配列番号202)になるようにそれ自体と融合しているtBIDのマウスBH3ドメインの1つの事例に存する。第2の事例では、異種融合タンパク質は、結果としてYopE1−138−(tBID−BH3)−(BAX−BH3)(配列番号203)になる、BAXのマウスBH3ドメインと融合しているtBIDのマウスBH3ドメインからなる。マウスtBID及びマウスBAXの事例では、コドンをY.エンテロコリティカに対して最適化した。反復した同一のドメイン、又は異なるタンパク質ドメインの組合せの模式図を図25に示す。
YopE1−138−Mycを送達するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdによる4時間の感染は、アポトーシスを誘導することができなかったが、tBIDのマウスBH3ドメイン(Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの、配列番号194)の移行は、B16F10及び4T1細胞において細胞死を誘発し(図26及び27)、感染多重度(MOI)の増加に対して明確な用量反応効果があった。驚くべきことに、送達されたYopE1−138−(tBID−BH3)−(BAX−BH3)又はYopE1−138−(tBID−BH3)は、より低い感染多重度ではYopE1−138−(tBID−BH3)より活性が高いことが判明した(図26及び27)。これは、反復した同一のドメインの送達により又は異なるタンパク質ドメインの組合せの送達によりアポトーシスのような所望の細胞経路に対する効果を増大させることができることを示す。
増強アポトーシス促進性細菌の生成
上述の実験において、アポトーシス促進性タンパク質(例えば、t−BID(配列番号25)又はBIM(配列番号21))のT3SSに基づく送達は、がん性細胞を含むマウス細胞及びヒト細胞両方において、細胞死を効率的に誘導したこと、並びに細菌のコドン使用頻度に対して最適化したマウスtBID(配列番号138)を使用したときこの効果を増大させることができたことが分かる。この細胞殺滅増加は、使用される最適なコドンに起因するタンパク質産生量の増加及びT3SSによる後続の送達量の増加を反映する可能性が非常に高い。
送達又はアポトーシス促進性タンパク質を最適化するために、様々なアポトーシス促進性タンパク質で形質転換された株が表IVの通りに生成されている。
Figure 0006937752
シグナル伝達に必要な必須ドメイン(配列番号138又は200)に送達されるタンパク質の短縮は、細胞殺滅効率を増加させることができる(図28)。理論に縛られることは望まないが、有効性のこの増加は、送達されるタンパク質のより小さいサイズに起因するタンパク質産生量の増加及びT3SSによる後続の送達量の増加に関係する可能性が高い。YopE部分とtBIDのBH3ドメインの間へのリンカー(配列番号218)の導入は、さらなるアミノ酸4個分BH3ドメイン(配列番号217)を伸長するばかりでなく、有効性を低下させた(図28)。
加えて、そのような必須ドメイン(例えば、t−BIDのBH3ドメイン(配列番号202))のリピート又はそれらの必須ドメイン(例えば、t−BIDのBH3ドメインとBAXのBH3ドメイン(配列番号203及び219))の組合せを有する合成輸送基質を生成した。驚くべきことに、同じ又は異なるBH3ドメインのタンデムリピートは、がん性細胞株(4T1及びB16F10細胞を含む)に対するアポトーシス誘導増強をもたらすことが判明した(図28)。真核細胞1個当たりのそのような細胞の50%を殺滅するために必要とされる細菌数(感染多重度)を指すIC50(半最大阻害濃度)は、単一tBID BH3ドメインと比較してtBID BH3のタンデムリピートの送達時に減少することが判明した(図28)。タンパク質サイズは、tBIDの第2のBH3ドメインとしての融合により増加されるので、この研究結果は、驚くべきものであった。このために、YopE1−138−tBID BH3(配列番号138又は200)と比較してYopE1−138−(tBID BH3)(配列番号202)の発現と送達レベル減少が予想され、最大で同等レベルに達する可能性があった。細胞殺滅活性の増加を達成するために、融合tBID BH3ドメインは、真核細胞へのT3SSによる送達時に一緒に同時に作用しなければならない。YopE1−138−(tBID BH3)構築物中の1つのtBID BH3ドメインしか機能しない場合、YopE1−138−tBID BH3を用いた場合とせいぜい同じ効率しか期待できないだろう。
インビボ研究のためにYopE1−138−(tBID BH3)(配列番号202)の遺伝的安定性を増加させるために、本発明者らは、YopE1−138−(tBID BH3)(配列番号202)をエルシニア属毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に、(変異誘発プラスミドpSI_408及びpSI_419を使用して)天然YopEプロモーターのもとで、相同組み替えによりクローニングした。そのような変異誘発物質は、組込みが起こるそれぞれの遺伝子の部位に応じて200−250bpの配列が両側に隣接している、所望のタンパク質をコードするDNA配列を含有する。これらのプラスミドを大腸菌Sm10λpir内に形質転換し、そこからプラスミドを対応するY.エンテロコリティカ株内に移動させた。組み込み型ベクターを保有する突然変異株を選択圧なしで数世代増殖させた。次いで、スクロースを使用して、ベクターを失ってしまったクローンについて選択した。最後に、突然変異株をコロニーPCRにより同定した。T3SSによる輸送のための内在性タンパク質(「エルシニア属外部タンパク質」、Yop、と呼ばれる)は、エルシニア属毒性プラスミド(pYV)という名称の、Y.エンテロコリティカのこの70kbプラスミド上にコードされており、このプラスミドは、T3SS装置をさらにコードする。
エルシニア毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に、天然YopEプロモーターのもとで、YopE1−138−(tBID BH3)(配列番号138若しくは200)又はYopE1−138−(tBID BH3)(配列番号202)をコードする、エルシニア属株を、がん性細胞(4T1及びB16F10細胞を含む)においてアポトーシスを誘導する能力について評価した(図29)。真核細胞1個当たりのそのような細胞の50%を殺滅するために必要とされる細菌数(感染多重度)を指すIC50(半最大阻害濃度)は、単一tBID BH3ドメインと比較してtBID BH3のタンデムリピートの送達時に、両方のタンパク質が、エルシニア属毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に、天然YopEプロモーターのもとでコードされている場合、減少することが判明した(図29)。これは、これらのタンパク質の発現プラスミド媒介送達からの研究結果(図28)と一致する。重ねて、タンパク質サイズは、tBIDの第2のBH3ドメインの融合により増加されるので、この研究結果は、驚くべきものであった。このために、YopE1−138−tBID BH3(配列番号138又は200)と比較してYopE1−138−(tBID BH3)(配列番号202)の発現と送達レベル減少が予想され、最大で同等レベルに達する可能性があった。細胞殺滅活性の増加を達成するために、融合tBID BH3ドメインは、真核細胞へのT3SSによる送達時に一緒に同時に作用しなければならない。YopE1−138−(tBID BH3)構築物中の1つのtBID BH3ドメインしか機能しない場合、YopE1−138−tBID BH3を用いた場合とせいぜい同じ効率しか期待できないだろう。さらに、エルシニア毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に天然YopEプロモーターのもとでYopE1−138−(tBID BH3)2(配列番号202)をコードするエルシニア株を、がん性細胞においてアポトーシスを誘導するそれらの能力について、YopE1−138−(tBID BH3)の発現ブラスミド(pBad−MycHisAに基づく)由来送達と比較した。pYV(1−6コピーと報告される)と比較して高い、pBad−MycHisAのコピー数(20−25コピー)と一致して、YopE1−138−(tBID BH3)(配列番号202)のpBad−MycHisAに基づく送達は、4T1及びB16F10細胞のIC50値をわずかに低下させる結果となった(図29)。
細菌投与後14日目までのインビトロでの腫瘍特異的増殖の検証
遺伝子改変Y.エンテロコリティカによる腫瘍定着実験を同系マウス同種移植モデル(4T1乳がんモデル)において繰り返し、細菌の定着を2週間にわたって追跡した。このとき、マウスを1×10コロニー形成単位(CFU)のY.エンテロコリティカΔyopH、O、P、E、M、Tに感染させた。感染後まだ間もない頃にB16F10モデルと同様の結果を得たが、本発明者らは、腫瘍定着が、感染後8日目に、そして14日目まで一貫して認められることをさらに明らかにすることができた(図30)。さらに、この定着は非常に特異的であり、評価した他の全ての臓器においてほんの少数の細菌しか検出されなかった(図31)。これらの研究結果は、Y.エンテロコリティカΔyopH、O、P、E、M、Tが、腫瘍の持続的定着を確立することによって、免疫系によるクリアランスを防止することができることを示す。
腫瘍進行を遅らせる点でのY.エンテロコリティカΔHOPEMTの有効性
インビボでの腫瘍細胞に送達されるYopE1−138−(tBID BH3)(配列番号202)の影響を評価するために、本発明者らは、4T1乳がん細胞を皮下同種移植した野生型Balb/Cマウスにおいて研究を行った。本発明者は、エルシニア属毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に天然YopEプロモーターのもとでYopE1−138−(tBID BH3)(配列番号202)をコードする、Y.エンテロコリティカΔHOPEMT株を評価することを目標とした。腫瘍が150−250mm3のサイズに達したら、PBS又は1×10のY.エンテロコリティカΔHOPEMT pYV−YopE1−138−(tBID BH3)をマウスに静脈内注射した。細菌の静脈内注射の日を0日目と定義した。その後数日(細菌の静脈内注射後0日目から9日目)にわたって腫瘍体積をノギスで測定した。腫瘍サイズの一切の初期均質性を補償するために、腫瘍体積を0日目の腫瘍体積に対して正規化した。Y.エンテロコリティカΔHOPEMT pYV−YopE1−138−(tBID BH3)での治療は、腫瘍体積進行に対する影響を示し、細菌投与後8、9及び10日目に統計的に有意な腫瘍低減があった(図32)。重要なこととして、単独でのY.エンテロコリティカΔHOPEMTは、4T1マウスがんモデルにおいて腫瘍進行に影響を与えないことが判明した(図33)。これらの実験結果は、そのような細菌及びそれらのT3SSを腫瘍進行の妨害に用いることができることに光を当てるものである。
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<さらなる実施態様>
[実施態様1]
5’から3’方向に、
プロモーター、
前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターで形質転換された組換えグラム陰性菌株であって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、組換えグラム陰性菌株。
[実施態様2]
5’から3’方向に、
細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターで形質転換された組換えグラム陰性菌株であって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、組換えグラム陰性菌株。
[実施態様3]
少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠く、実施態様1又は2に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様4]
エルシニア属(Yersinia)、エスケリキア属(Escherichia)、サルモネラ菌(Salmonella)及びシュードモナス属(Pseudomonas)からなる群から選択される、実施態様1から3の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様5]
エルシニア属及びサルモネラ属からなる群から選択される、実施態様1から3の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様6]
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり、第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、YopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片を含むか、又は組換えグラム陰性菌株が、サルモネラ属株であり、第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、SopE若しくはSteAエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片を含む、実施態様1から3の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様7]
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり、前記エルシニア属株が野生型であるか、又は少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠き、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、Y.エンテロコリティカ(Y.enterocolitica)YopEエフェクタータンパク質のN末端138アミノ酸を含む、或いは組換えグラム陰性菌株が、サルモネラ属株であり、前記サルモネラ属株が野生型であるか、又は少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠き、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、サルモネラ菌(S.enterica)SteAエフェクタータンパク質を含むか、又はサルモネラ菌SopEエフェクタータンパク質のN末端81若しくは105アミノ酸を含む、実施態様1又は2に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様8]
5’から3’方向に、
プロモーター、
前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターであって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、ベクター。
[実施態様9]
5’から3’方向に、
細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターであって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、ベクター。
[実施態様10]
異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質からなる群から選択される、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8若しくは9に記載のベクター。
[実施態様11]
アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質が、BH3−onlyタンパク質、カスパーゼ、及びアポトーシスの細胞死受容体調節の細胞内シグナル伝達タンパク質からなる群から選択される、実施態様10に記載の組換えグラム陰性菌株又はベクター。
[実施態様12]
反復ドメインが、同一であるか、又は80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8若しくは9に記載のベクター。
[実施態様13]
反復ドメインが、アポトーシス誘導因子tBIDのBH3ドメインである、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8又は9に記載のベクター。
[実施態様14]
異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインが、タンパク質の同じ機能クラスに属する異種タンパク質のドメインである、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8若しくは9に記載のベクター。
[実施態様15]
異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインが、アポトーシス誘導因子tBIDのBH3ドメイン、及びアポトーシス調節因子BAXのBH3ドメインである、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8又は9に記載のベクター。
[実施態様16]
ベクターが、プロテアーゼ切断部位をコードする第3のDNA配列を含み、第3のDNA配列が、前記第1のDNA配列の3’末端と前記第2のDNA配列の5’末端の間に位置する、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8又は9に記載のベクター。
[実施態様17]
細菌T3SSエフェクタータンパク質が、SopE、SopE2、SptP、SteA、ExoS、SipA、SipB、SipD、SopA、SopB、SopD、IpgB1、IpgD、SipC、SifA、SseJ、Sse、SrfH、SspH1、YopJ、AvrA、AvrBsT、YopT、YopH、YpkA、Tir、EspF、TccP2、IpgB2、OspF、Map、OspG、OspI、VirA、IpaA、IpaH、SspH1、VopF、ExoS、ExoT、HopAB2、XopD、AvrRpt2、HopAO1、HopPtoD2、HopU1、GALAタンパク質ファミリー、AvrBs2、AvrD1、AvrBS3、YopO、YopP、YopE、YopT、EspG、EspH、EspZ、IpaA、IpaB、IpaC、VirA、IcsB、OspC1、OspE2、IpaH9.8、IpaH7.8、AvrB、AvrD、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPto、AvrPtoB、VirPphA、AvrRpm1、AvrRpt2、AvrRpt2、HopPtoD2、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、PopB、PopP2、AvrBs3、XopD、及びAvrXv3からなる群から選択される、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8又は9に記載のベクター。

Claims (14)

  1. 5’から3’方向に、
    プロモーター、
    前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
    前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
    を含むベクターで形質転換された組換えグラム陰性菌株であって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択され
    組換えグラム陰性菌株は、エルシニア属及びサルモネラ属からなる群から選択され、
    第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、YopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片、SopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片、又はSteAエフェクタータンパク質を含み、
    YopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、YopEエフェクタータンパク質の少なくとも最初の20アミノ酸を含み、SopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、SopEエフェクタータンパク質の少なくとも最初の20アミノ酸を含む、
    組換えグラム陰性菌株。
  2. 5’から3’方向に、
    細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
    前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
    を含むベクターで形質転換された組換えグラム陰性菌株であって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択され
    組換えグラム陰性菌株は、エルシニア属及びサルモネラ属からなる群から選択され
    第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、YopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片、SopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片、又はSteAエフェクタータンパク質を含み、
    YopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、YopEエフェクタータンパク質の少なくとも最初の20アミノ酸を含み、SopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、SopEエフェクタータンパク質の少なくとも最初の20アミノ酸を含む、
    組換えグラム陰性菌株。
  3. 少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠く、請求項1又は2に記載の組換えグラム陰性菌株。
  4. 組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり、前記エルシニア属株が野生型であるか、又は少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠き、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、Y.エンテロコリティカ(Y.enterocolitica)YopEエフェクタータンパク質のN末端138アミノ酸を含む、或いは組換えグラム陰性菌株が、サルモネラ属株であり、前記サルモネラ属株が野生型であるか、又は少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠き、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、サルモネラ菌(S.enterica)SteAエフェクタータンパク質を含むか、又はサルモネラ菌SopEエフェクタータンパク質のN末端81若しくは105アミノ酸を含む、請求項1又は2に記載の組換えグラム陰性菌株。
  5. 5’から3’方向に、
    プロモーター、
    前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
    前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
    を含むベクターであって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択され
    第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、YopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片、SopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片、又はSteAエフェクタータンパク質を含み、
    YopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、YopEエフェクタータンパク質の少なくとも最初の20アミノ酸を含み、SopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、SopEエフェクタータンパク質の少なくとも最初の20アミノ酸を含む、ベクター。
  6. 5’から3’方向に、
    細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
    前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
    を含むベクターであって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択され
    第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、YopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片、SopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片、又はSteAエフェクタータンパク質を含み、
    YopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、YopEエフェクタータンパク質の少なくとも最初の20アミノ酸を含み、SopEエフェクタータンパク質のN末端断片は、SopEエフェクタータンパク質の少なくとも最初の20アミノ酸を含む、ベクター。
  7. 異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質からなる群から選択される、請求項1からの何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は請求項若しくはに記載のベクター。
  8. アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質が、BH3−onlyタンパク質、カスパーゼ、及びアポトーシスの細胞死受容体調節の細胞内シグナル伝達タンパク質からなる群から選択される、請求項に記載の組換えグラム陰性菌株又はベクター。
  9. 反復ドメインが、同一であるか、又は80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、請求項1からの何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は請求項若しくはに記載のベクター。
  10. 反復ドメインが、アポトーシス誘導因子tBIDのBH3ドメインである、請求項1からの何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は請求項5若しくは6に記載のベクター。
  11. 異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインが、タンパク質の同じ機能クラスに属する異種タンパク質のドメインである、請求項1からの何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は請求項若しくはに記載のベクター。
  12. 異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインが、アポトーシス誘導因子tBIDのBH3ドメイン、及びアポトーシス調節因子BAXのBH3ドメインである、請求項1からの何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は請求項5若しくは6に記載のベクター。
  13. ベクターが、プロテアーゼ切断部位をコードする第3のDNA配列を含み、第3のDNA配列が、前記第1のDNA配列の3’末端と前記第2のDNA配列の5’末端の間に位置する、請求項1からの何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は請求項5若しくは6に記載のベクター。
  14. 細菌T3SSエフェクタータンパク質が、SopE、SopE2、SptP、SteA、ExoS、SipA、SipB、SipD、SopA、SopB、SopD、IpgB1、IpgD、SipC、SifA、SseJ、Sse、SrfH、SspH1、YopJ、AvrA、AvrBsT、YopT、YopH、YpkA、Tir、EspF、TccP2、IpgB2、OspF、Map、OspG、OspI、VirA、IpaA、IpaH、SspH1、VopF、ExoS、ExoT、HopAB2、XopD、AvrRpt2、HopAO1、HopPtoD2、HopU1、GALAタンパク質ファミリー、AvrBs2、AvrD1、AvrBS3、YopO、YopP、YopE、YopT、EspG、EspH、EspZ、IpaA、IpaB、IpaC、VirA、IcsB、OspC1、OspE2、IpaH9.8、IpaH7.8、AvrB、AvrD、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPto、AvrPtoB、VirPphA、AvrRpm1、AvrRpt2、AvrRpt2、HopPtoD2、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、PopB、PopP2、AvrBs3、XopD、及びAvrXv3からなる群から選択される、請求項1からの何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は請求項5若しくは6に記載のベクター。
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