JP6935282B2 - 酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、一酸化炭素に酸素同位体を導入する酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置に関するものである。
炭素安定同位体(13C)は、主に自然科学や医療の分野でトレーサ等として用いられている。炭素には、12C及び13Cの2種類の安定同位体が存在し、自然界における存在の割合は、それぞれ98.9%と1.1%である。
一方、酸素には16O、17O及び18Oという3種類の安定同位体が存在し、自然界における存在の割合は、それぞれ99.76%、0.04%および0.20%である。
よって、一酸化炭素には、1216O、1217O、1218O、1316O、1317O及び1318Oという6種類の安定同位体分子が存在する。
従来、酸素同位体標識化合物を合成する方法として、例えば、酸素同位体である17O又は18Oを含むHOを原料とする方法が採用されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
また、酸素同位体を蒸留によって分離する場合には、例えば、スクランブラを有する蒸留装置が用いられている(例えば、特許文献3,4を参照)。
また、上記のような、自然界に極僅かしか存在しない同位体を分離濃縮する方法としては、一般に、特許文献3に開示されたような、複数の蒸留塔を直列に接続して用いる蒸留カスケードプロセスが採用されている。また、特許文献3には、酸素同位体を蒸留する方法として、17Oを濃縮分離する際に、18Oをレーザによって選択的に減損処理することが記載されている。
ここで、CH及びその他の炭化水素、炭素等の水蒸気改質方法は、燃料電池の原料水素の製造方法として広く知られている(例えば、特許文献5を参照)。
一方、水蒸気改質方法による反応では、多量の一酸化炭素COが含まれている場合が多いが、COは燃料電池に不具合を生じさせるおそれのある化合物であるため、一酸化炭素CO及び二酸化炭素COのメタン化反応(メタネーション)によるCOの除去方法について、従来から多数の提案がなされている(例えば、特許文献6を参照)。
特開2006−008591号公報 特開2011−057557号公報 特許第5026974号公報 特許第4467190号公報 特許第5710964号公報 特開2013−111496号公報
従来、上記のような6種類の安定同位体分子が存在する一酸化炭素のうち、例えば、13Cを含む安定同位体分子である1316Oを大量に得ることを目的として、1316Oを蒸留カスケードプロセスの末端の蒸留塔に濃縮させる方法が採用されている。しかしながら、例えば、1316Oと1218Oとでは、その分子量及び沸点が近く、これらの濃縮が同時に進行するため、1316Oを効率的且つ高濃度に分離することが困難であった。
また、上記のような一酸化炭素の蒸留プロセスにおいては、特許文献3,4に記載のようなスクランブラを有する蒸留装置を用いるか、あるいは、酸素同位体17O及び18Oを減損処理することが必要となるが、現状、これら17O及び18Oを効率よく減損処理できる方法は確立されていない。
また、従来、酸素同位体標識化合物を合成する方法としては、上記のような酸素同位体17O又は18Oを含むHOを原料とする方法が採用されているものの、工業生産的なスケールにおいて、炭素同位体12C又は13Cを含む一酸化炭素COの内部に、任意の酸素同位体を任意の比率で効率的に導入できる方法は提案されていない。
即ち、大量の一酸化炭素COにおける効率的な酸素同位体置換を、製造ライン内で行うための方法や装置は、これまで提案されていなかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COの内部に任意の酸素同位体を任意の比率で効率的に導入でき、所望の一酸化炭素安定同位体を高純度で得ることが可能な酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置を提供することを目的とする。
本発明者等が、上記問題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、12C及び13Cを含む一酸化炭素安定同位体において、酸素同位体置換反応を行う場合、特に高温下において、平衡状態が存在することを知見した。この知見に基づき、HO中の酸素と一酸化炭素中の酸素との交換反応を利用して、一酸化炭素中に酸素同位体を導入することで該酸素同位体の濃度を容易に変更でき、従来は工業生産的なスケールで実施することが困難であった化合物の合成を効率的に行うことができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、請求項1に係る発明は、一酸化炭素に任意の酸素同位体を導入する酸素同位体置換方法であって、少なくとも、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COと、酸素同位体16O、17O及び18Oを含むHOとを含有する混合ガスを反応器内で反応させ、平衡反応を生じさせることにより、前記一酸化炭素COに、前記酸素同位体16O、17O又は18Oのうちの任意の酸素同位体を導入して置換することで、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させる反応工程を含み、前記反応工程は、前記H Oを、前記一酸化炭素COの供給量に対する体積比で、10〜30倍の範囲で前記反応器内に供給し、さらに、前記反応工程は、前記反応器内の温度を700〜900℃の範囲として前記平衡反応を生じさせることを特徴とする酸素同位体置換方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の酸素同位体置換方法であって、さらに、前記反応工程における平衡反応後の反応ガスを脱水処理して、副生成物であるHOを除去した後、吸着器を用いて副生成物であるCOを回収し、次いで、蒸留塔を用いて、前記反応工程における未反応物である炭化水素、及び、副生成物であるHを回収することにより、前記反応工程で生成された前記一酸化炭素安定同位体を高純度に精製する精製工程を有することを特徴とする酸素同位体置換方法である。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の酸素同位体置換方法であって、さらに、前記精製工程で回収された、前記未反応物である炭化水素、及び、前記副生成物であるCOを前記反応工程に返送して再反応に供する返送工程を有することを特徴とする酸素同位体置換方法である。
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に記載の酸素同位体置換方法であって、さらに、前記精製工程は、前記蒸留塔で回収されたHを前記吸着器に返送し、該吸着器の再生処理を行うことを特徴とする酸素同位体置換方法である。
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の酸素同位体置換方法であって、前記反応工程は、前記反応器内に予めHが収容された状態で前記平衡反応を生じさせることを特徴とする酸素同位体置換方法である。
請求項に係る発明は、一酸化炭素に任意の酸素同位体を導入する酸素同位体置換装置であって、少なくとも、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COと、酸素同位体16O、17O及び18Oを含むHOとを含有する混合ガスを内部で反応させて平衡反応を生じさせることにより、前記一酸化炭素COに、前記酸素同位体16O、17O又は18Oのうちの任意の酸素同位体を導入して置換することで、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させる反応器を備え、前記反応器は、前記H Oが、前記一酸化炭素COの供給量に対する体積比で、10〜30倍の範囲で内部に供給され、さらに、前記反応器は、該反応器内の温度を700〜900℃の範囲として前記平衡反応を生じさせることを特徴とする酸素同位体置換装置である。
請求項に係る発明は、請求項に記載の酸素同位体置換装置であって、さらに、前記反応器における平衡反応後の反応ガスを脱水処理し、副生成物であるHOを除去する脱水器と、副生成物であるCOを吸着して回収する吸着器と、前記反応器における未反応物である炭化水素、及び、副生成物であるHを回収することにより、前記反応器で生成された前記一酸化炭素安定同位体を高純度に精製する蒸留塔と、を備えることを特徴とする酸素同位体置換装置である。
請求項に係る発明は、請求項に記載の酸素同位体置換装置であって、さらに、前記吸着器で回収された前記副生成物であるCO、及び、前記蒸留塔で回収された前記未反応物である炭化水素を、前記反応器に返送する返送部を備えることを特徴とする酸素同位体置換装置である。
請求項に係る発明は、請求項又は請求項に記載の酸素同位体置換装置であって、さらに、前記蒸留塔で回収されたHを前記吸着器に返送し、該吸着器の再生処理を行うための吸着器再生処理部を備えることを特徴とする酸素同位体置換装置である。
請求項10に係る発明は、請求項〜請求項の何れか一項に記載の酸素同位体置換装置であって、前記反応器は、内部に予めHが収容された状態で前記平衡反応を生じさせることを特徴とする酸素同位体置換装置である。
本発明に係る酸素同位体置換方法によれば、少なくとも、CO及びHOを含む混合ガスを反応器内で平衡反応させ、COに任意の酸素同位体を導入して置換することで、1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oの何れかを選択的に生成させる反応工程を有した構成を採用している。
本発明によれば、上記のような平衡反応を行う反応工程を備えることで、一酸化炭素COの内部に任意の酸素同位体を任意の比率で効率的に導入できる。従って、所望の酸素同位体を有する高純度の一酸化炭素安定同位体を、工業生産的なスケールで、低コストで効率的に得ることが可能になる。
また、本発明に係る酸素同位体置換装置によれば、少なくとも、CO及びHOを含む混合ガスを内部で平衡反応させ、COに任意の酸素同位体を導入して置換することで、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させる反応器を備えた構成を採用している。
本発明によれば、上記のような平衡反応を行う反応器を備えた構成を採用することにより、上記同様、所望の酸素同位体を有する高純度の一酸化炭素安定同位体を、工業生産的なスケールで、低コストで効率的に得ることが可能になる。
本発明の一実施形態である酸素同位体置換方法について模式的に説明する図であり、ガス流路を簡略化して示す概略図である。 本発明の一実施形態である酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置について模式的に説明する図であり、装置構成及びガス流路について詳細に示す概略図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置について、図1,2を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするため、便宜上、特徴となる部分を拡大あるいは簡略化して示している場合がある。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本発明に係る酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置は、一酸化炭素に任意の酸素同位体を導入する方法及び装置であり、例えば、以下に例示するような酸素同位体置換装置により、工業生産的なスケールにおいて、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COの内部に、任意の酸素同位体16O、17O又は18Oを任意の比率で導入するものである。
本発明は、12C及び13Cを含む一酸化炭素安定同位体において酸素同位体置換反応を行う際に、特に高温下において平衡状態が存在することから、HO中の酸素と一酸化炭素中の酸素との交換反応を利用し、一酸化炭素中に酸素同位体を導入することで該酸素同位体の濃度を容易且つ効率的に変更できるものである。
<酸素同位体置換装置>
本発明において酸素同位体の置換に用いることが可能な酸素同位体置換装置の一例について、図1,2を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施形態におけるガス流路を簡略化して示す概略図であり、図2は、装置構成及びガス流路をより詳細に説明する図である。
本実施形態の酸素同位体置換装置10は、一酸化炭素に任意の酸素同位体を導入するものであり、具体的には、少なくとも、炭素同位体を含む一酸化炭素COと、酸素同位体を含むHOとを含む混合ガスG1を内部で反応させて平衡反応を生じさせ、一酸化炭素COに任意の酸素同位体を導入して置換することで、一酸化炭素安定同位体を選択的に生成させる反応器1を備える。
また、図示例の酸素同位体置換装置10は、上記の反応器1に加え、さらに、反応器1における平衡反応後の反応ガスG2を脱水処理してHOを除去する脱水器2と、COを吸着して回収する吸着器3と、炭化水素及びHを回収することにより、反応器1で生成された一酸化炭素安定同位体を高純度に精製する蒸留塔4と、吸着器3で回収されたCO、及び、蒸留塔4で回収された炭化水素(CH)を反応器1に返送する返送部5とを備え、概略構成される。
ここで、本実施形態の反応器1において未反応物となる炭化水素とは、CHの他、C2n+1で表される各種の炭化水素を含む。
反応器1は、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COと、酸素同位体16O、17O及び18Oを含むHOとを含有する混合ガスG1を内部で反応させて、後述の反応式に示すような平衡反応を生じさせる。
図2に示すように、反応器1の入口側には原料供給ラインL1が接続され、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COが供給されるように構成される。さらに、原料供給ラインL1の経路には、水供給ラインL2が接続され、反応器1に対して、原料供給ラインL1を介して、COとともに、酸素同位体16O、17O及び18Oを含むHOを供給できるように構成されている。
反応器1は、上記のような平衡反応を生じさせることにより、一酸化炭素COに、酸素同位体16O、17O又は18Oのうちの任意の酸素同位体を導入して置換することで、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させ、これらに加えて副生成物や未反応物も含んだ反応ガスG2を生成させる。
反応器1においては、内部の温度を200〜900℃の範囲に調整することが好ましい。反応器1内の温度を上記範囲とすることにより、後述する反応式による平衡反応を効果的に発生させることが可能になる。
また、反応器1内において上記の平衡反応を生じさせるにあたり、反応器1の内部に、予め、Hを収容した状態とすることもできる。このような場合には、反応器1内における反応性(平衡反応)が向上する効果が得られる。
脱水器2は、反応器1における平衡反応後の反応ガスG2を脱水処理し、副生成物であるHOを除去する。図2に示すように、脱水器2の入口は、反応器1の出口側と接続ラインL3を介して接続され、反応器1から反応ガスG2が導入されるように構成されている。また、脱水器2には、脱水処理によって反応ガスG2中から除去したHOを外部に排出するための排水ラインL5が接続されている。
脱水器2としては、特に限定されず、例えば、従来公知のチラー(水冷式又は空冷式)を何ら制限無く用いることができる。そして、脱水器2は、その冷却作用により、反応ガスG2に含まれるHOを一定程度まで除去することができる。
吸着器3は、反応器1で生じる平衡反応において、副生成物として生成されるCOを吸着して回収する。図2に示す例の吸着器3は、脱水器2においてHOが一定程度まで除去された反応ガスG2が導入される第1吸着器31と、その後段側に配置される第2吸着器32とから構成される。また、図示例の吸着器3は、第1吸着器31の入口側が、脱水器2の出口側と接続ラインL4を介して接続され、脱水器2で脱水処理された反応ガスG2が導入されるとともに、第2吸着器32の入口側が、第1吸着器31の出口側と接続ラインL6を介して接続されている。
本実施形態の吸着器3においては、まず、第1吸着器31において、反応ガスG2に対してさらに十分な脱水処理を施し、第2吸着器32において、COを吸着して回収できるように構成されている。
上記の第1吸着器31及び第2吸着器32としては、従来公知の吸着設備を何ら制限無く採用することができる。
蒸留塔4は、反応器1で生じる平衡反応において、未反応物となる炭化水素、及び、副生成物であるHを回収することにより、反応器1で生成された一酸化炭素安定同位体を高純度に精製する。図2に示すように、蒸留塔4は、複数の蒸留塔を直列でカスケード接続した構成とされ、図示例においては、吸着器3から導入されるHO及びCOが除去された反応ガスG2が導入される第1蒸留塔41と、その後段側に配置される第2蒸留塔42とから構成されている。
第1蒸留塔41は、その入口側が第2吸着器32の出口側と接続ラインL7を介して接続される。そして、第1蒸留塔41は、吸着器3から導入される、HO及びCOが除去された反応ガスG2を蒸留処理することで、上述の平衡反応の副生成物であるHを回収する。
第2蒸留塔42は、その入口側が第1蒸留塔41の出口側と接続ラインL8を介して接続される。そして、第2蒸留塔42は、第1蒸留塔41においてHが回収された反応ガスG2を蒸留処理することで、さらに、CH等の炭化水素を回収する。
ここで、詳細な図示を省略するが、上記の接続ラインL7は、例えば、第1蒸留塔41の高さ方向における中部付近に接続される。また、上記の接続ラインL8は、例えば、その入口側が第1蒸留塔41の高さ方向における任意の位置に接続され、出口側が第2蒸留塔42の高さ方向における中部付近に接続される。なお、本実施形態で説明する「蒸留塔の高さ方向における中部」とは、第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42の塔頂部及び塔底部以外の位置のことをいう。
第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42は、その詳細な図示を省略するが、反応ガスG2中に含まれる一酸化炭素COを低温蒸留(蒸留カスケードプロセス)することで、各々の塔頂側に、沸点の低い一酸化炭素同位体分子(1216O等)を濃縮し、塔底側に沸点の高い一酸化炭素同位体分子(例えば、1316O、1218O及び1318O)を濃縮できるように構成されている。
また、例えば、一酸化炭素同位体として1316Oを精製する場合には、蒸留塔3(第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42)をより大きなサイズとすることで、塔底側に、1316Oをより高純度で精製することが可能になる。
また、一般に、第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42のうち、上流側である第1蒸留塔41においては蒸留負荷が大きく、下流側の第2蒸留塔42においては第1蒸留塔41に比べて蒸留負荷が小さくなる。このため、第2蒸留塔42は、第1蒸留塔41に比べて小径に構成することも可能である。
なお、第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42の内部には、それぞれ、図示略の精留段(棚)、規則充填材、又は不規則充填材等が備えられている。
さらに、図2中では図示を省略しているが、第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42には、それぞれ、各蒸留塔内を下降した液体を熱交換することで気化させ、再び各蒸留塔内を上昇させるためのリボイラが備えられた構成を採用できる。さらに、第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42は、それぞれ、各蒸留塔内を上昇した気体を熱交換することで液化させ、再び各蒸留塔内を下降させるためのコンデンサが備えられた構成を採用することができる。
本実施形態の酸素同位体置換装置10においては、上記の脱水器2、吸着器3及び蒸留塔4が備えられることにより、反応器1で平衡反応した反応ガスG2中に含まれる副生成物及び未反応物を除去し、選択的に生成された一酸化炭素安定同位体(1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの少なくとも何れか)を高純度に精製することが可能になる。
第2蒸留塔42において高純度に生成された一酸化炭素安定同位体は、最終ラインL9から、例えば、製品用ボンベ等に向けて送出される。
なお、本発明で説明する「高純度」に生成された一酸化炭素安定同位体とは、一酸化炭素安定同位体の合計の濃度が99.9%以上であることをいう。
返送部5は、吸着器3において回収された副生成物であるCO、及び、蒸留塔4で回収された未反応物である炭化水素を反応器1に返送する。図2中に示すように、返送部5は、第2蒸留塔42で除去された炭化水素を、反応器1に連通された原料供給ラインL1に返送する第1返送ライン51と、第2吸着器32で除去されたCOを、返送ライン51を介して原料供給ラインL1に返送する第2返送ライン52とから構成される。
本実施形態の酸素同位体置換装置10では、上記の未反応物(CH等の炭化水素)及び副生成物(H及びCO)を、再び反応器1に戻すことで、原料に対する、所望の一酸化炭素安定同位体の収率が向上する効果が得られる。
なお、本実施形態の酸素同位体置換装置10においては、図2中に示すように、上記の各構成に加え、さらに、蒸留塔4(第1蒸留塔41)で回収されたHを吸着器3(第2吸着器32)に返送し、このHによって第2吸着器32の再生処理を行う吸着器再生処理部6を備えることがより好ましい。この吸着器再生処理部6は、図2の模式図中に示すように、第1蒸留塔41と第2吸着器32とを接続し、上記の接続ラインL7とは別の配管から構成されている。
酸素同位体置換装置10は、上記の吸着器再生処理部6を備えることにより、第2吸着器31の再生処理を定期的又は不定期で行うことが可能になるので、第2吸着器31の吸着性能を常時維持することができ、COを効率的且つ確実に除去することが可能になる。また、吸着器再生処理部6は、反応ガスG2中から除去されたHを再利用するものなので、低コストで第2吸着器31の再生処理を実施でき、ひいては、酸素同位体置換装置10で得られる一酸化炭素安定同位体の純度をより高めることが可能になる。
<酸素同位体置換方法>
本実施形態の酸素同位体置換方法は、一酸化炭素に任意の酸素同位体を導入する方法である。以下、本実施形態の酸素同位体置換方法について、図2に示すような、本実施形態の酸素同位体置換装置10を使用して置換を行う場合を例に挙げて詳述する。
本実施形態の酸素同位体置換方法は、少なくとも、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COと、酸素同位体16O、17O及び18Oを含むHOとを含有する混合ガスG1を反応器1内で反応させ、平衡反応を生じさせることにより、一酸化炭素COに、酸素同位体16O、17O又は18Oのうちの任意の酸素同位体を導入して置換することで、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させる反応工程を有する方法である(図1を参照)。
また、本実施形態においては、上記の反応工程に次いで、さらに、平衡反応後の反応ガスG2を脱水処理してHOを除去した後、COを回収し、次いで、CH等の炭化水素及びHを回収することにより、一酸化炭素安定同位体を高純度に精製する精製工程を有する方法を例に挙げて説明する。さらに、本実施形態で説明する例においては、精製工程で回収された、未反応物である炭化水素、及び、副生成物であるCOを反応工程に返送して再反応に供する返送工程を有している。
以下、各工程について説明する。
(1)反応工程
まず、反応工程において、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COと、酸素同位体16O、17O及び18Oを含むHOとを含有する混合ガスG1を反応器1内で反応させ、平衡反応を生じさせる。この際、原料供給ラインL1から、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COを供給するとともに、水供給ラインL2から、原料供給ラインL1を介して、酸素同位体16O、17O及び18Oを含むHOを供給する。ここで、HOに含まれる酸素同位体を一酸化炭素COに効果的に導入するためには、このHOを大量に供給することが好ましい。このように、大量に供給するHO量の目安としては、例えば、一酸化炭素COの供給量に対する体積比で、10〜30倍程度の範囲とすればよく、特に、一酸化炭素COに酸素同位体17O又は18Oを導入する場合には、HOを可能な限り大量に供給することがより好ましい。
上記のように、反応器1に各原料を供給することで、一例として、一酸化炭素COに酸素同位体16Oを導入する場合、反応器1内においては、まず、下記(1)式に示すような反応が進行してCOに16Oが導入される。
1218O+H 16O→1216O+H 18O ・・・・・(1)
また、反応器1内においては、特にHOを大量に供給することで、下記(2)式及び(3)式に示すような平衡反応(正反応及び逆反応)が発生する。
正反応)1218O+H 16O→1216O+H 18O ・・・・・(2)
逆反応)1218O+H 16O←1216O+H 18O ・・・・・(3)
そして、反応器1内においては、下記(4)式及び(5)式に示すような平衡反応が発生する。
正反応)1218O+1316O→1216O+1318O ・・・・・(4)
逆反応)1218O+1316O←1216O+1318O ・・・・・(5)
上記(2)〜(5)式に示すような平衡反応が生じることで、HO中の酸素と一酸化炭素中の酸素との交換反応により、一酸化炭素中に任意の酸素同位体(上記各式で表される例では16O)を導入できる。このような平衡反応により、12C及び13Cを含む一酸化炭素安定同位体における酸素同位体の濃度を容易且つ効率的に変更でき、一酸化炭素安定同位体(上記各反応式の例では1316O)を選択的に生成させることが可能になる。また、上記(1)〜(3)式に示すように、特に、酸素同位体16Oの天然存在割合が高いHOを供給することで、16Oを含む一酸化炭素安定同位体1316O等をより効率的且つ選択的に生成させることが可能となる。
反応工程においては、上述したように、反応器1内の温度を200〜900℃の範囲として平衡反応を生じさせることが好ましい。
本発明者等が鋭意実験検討を重ねた結果、上記のような平衡反応は、特に、反応器1の内部の温度、即ち、混合ガスG1の温度が上記の範囲の高温域である場合に生じ易くなることを初めて発見した。即ち、反応器1内の温度を上記の範囲とすることにより、一酸化炭素中に任意の酸素同位体を導入して置換するのが容易になり、所望の一酸化炭素安定同位体をさらに効率的に得ることが可能になる。
また、上記の観点から、反応器1内の温度は、700〜900℃がより好ましい。
反応器1内の温度が上記範囲の下限未満だと、効果的に平衡反応を生じさせるのが難しくなる場合がある。一方、反応器1内の温度が上記範囲の上限を超えても、上述した効果は飽和し、反応器1の加熱に用いるエネルギーが無駄になる場合がある。
また、反応工程においては、上記(1)〜(5)式に示した反応式の場合と同様にして、例えば、1218Oや1318Oに酸素同位体17Oを導入することで、18Oを17Oに置換し、1217O又は1317Oを選択的に生成させることができる。さらに、反応工程では、一酸化炭素COに含まれる16Oを17O又は18Oに置換することで、1217O又は1317O、あるいは、1218O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させることができる。
即ち、本実施形態の酸素同位体置換方法における反応工程では、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させることが可能である。
なお、反応工程においては、反応器1内において上記の平衡反応を生じさせるにあたり、上述したように、反応器1の内部に、予めHを収容した状態とすることもできる。このように、反応器1の内部にHを収容しておくことで、反応器1内における反応性(平衡反応)が向上する効果が得られる。
(2)精製工程
次に、精製工程においては、上記の反応工程における平衡反応後の反応ガスG2、即ち、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを含む反応ガスG2を脱水器2で脱水処理し、反応工程で発生した副生成物であるHOを一定程度まで除去する。
次いで、精製工程では、第1吸着器31を用いて、反応ガスG2に対してさらに十分な脱水処理を施し、HOを可能な限り除去する。
次いで、第2吸着器32を用いて、副生成物であるCOを回収する。
次いで、精製工程では、第1蒸留塔41を用いて、HO及びCOが除去された反応ガスG2を蒸留処理することで、副生成物であるHを回収する。
次いで、第2蒸留塔42を用いて、第1蒸留塔41においてHが回収された反応ガスG2を蒸留処理することで、さらに、未反応物であるCH等の炭化水素を回収する。
ここで、本実施形態の精製工程においては、第1蒸留塔41及び第2蒸留塔で、反応器1で生成された一酸化炭素安定同位体を高純度に精製する。この際、例えば、精製工程の開始直後(第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42の起動直後)においては、各一酸化炭素安定同位体の濃度は、各蒸留塔において、ほぼ一様である。その後、工程時間が経過するにつれて、比較的沸点の高い一酸化炭素安定同位体、特に1316O、1218O及び1318Oが第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42の塔底側に濃縮される。従って、第2蒸留塔42の塔底側から、高純度に精製された1316O、1218O又は1318Oを取り出すことができる一方、第2蒸留塔42の塔頂側からは、比較的沸点の低い1216O等を高純度で精製された状態で取り出すことができる。
そして、精製工程においては、高純度に精製された一酸化炭素安定同位体を第2蒸留塔42に接続された最終ラインL9から、例えば、製品用ボンベ等に向けて送出される。
なお、精製工程においては、上記の各処理に加え、さらに、第1蒸留塔41で回収されたHを、吸着器3、より具体的には第2吸着器32に返送し、このHによって第2吸着器32の再生処理を行ってもよい。
(3)返送工程
次に、返送工程においては、精製工程において回収された、未反応物である炭化水素、及び、副生成物であるCOを反応工程に返送して再反応に供する。
このように、本実施形態の酸素同位体置換方法においては、反応工程における未反応物(CH等の炭化水素)及び副生成物(H及びCO)を、再び反応工程(反応器1)に戻すことで、原料に対する、所望の一酸化炭素安定同位体の収率が向上する。
本実施形態の酸素同位体置換方法によれば、一酸化炭素安定同位体を含有する製品として、CO内における酸素同位体16O、17O及び18Oの各々が任意の同位体濃度になった化合物を提供することが可能になる。これにより、従来の方法では合成が困難であった同位体標識化合物を、例えば、アルコールやアルデヒド、エステル結合に対して、選択的且つ効率的な酸素同位体の導入することで得ることが可能となる。
上述したように、13Cを含むCO分離する蒸留(精製工程)を行うにあたっては、Cには12C及び13Cの炭素同位体が存在し、また、Oには酸素同位体16O、17O及び18Oが存在し、天然存在比率より、13Cを含むCOのうちのほとんどが1316O(分子量:29)である。一方、従来の方法では、蒸留による濃縮が進むにつれて、1217O(分子量:29)、1218O(分子量:30)、1317O(分子量:30)及び1318O(分子量:31)の濃縮が同時に進行するため、13Cの濃縮を十分な高濃度で行うことが出来なかった。これに対し、本実施形態では、Oを単一の酸素同位体に置換するように調整することで、13Cを含むCOを効率よく濃縮することが可能になる。
<その他の形態>
以上、実施形態により本発明に係る酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置の一例を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、蒸留塔3を第1蒸留塔41及び第2蒸留塔42の2基が設けられた例を説明しているが、これには限定されず、任意の基数に設定することが可能である。
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の酸素同位体置換方法によれば、少なくとも、CO及びHOを含む混合ガスを反応器内で平衡反応させ、COに任意の酸素同位体を導入して置換することで、1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oの何れかを選択的に生成させる反応工程を有した構成を採用している。このような平衡反応を行う反応工程を備えることで、一酸化炭素COの内部に任意の酸素同位体を任意の比率で効率的に導入できる。従って、所望の酸素同位体を有する高純度の一酸化炭素安定同位体を、工業生産的なスケールで、低コストで効率的に得ることが可能になる。
また、本実施形態の酸素同位体置換方法においては、さらに、上述した精製工程を備えることで、一酸化炭素安定同位体を含む混合ガスを効率的に分離精製し、所望の一酸化炭素安定同位体を高純度で得ることが可能になる。
さらに、上記の返送工程を備えることで、原料を無駄にすることなく効率的な平衡反応を生じさせることができ、高純度の一酸化炭素安定同位体が安価に得られる。
次に、本実施形態の酸素同位体置換装置10によれば、少なくとも、CO及びHOを含む混合ガスを内部で平衡反応させ、COに任意の酸素同位体を導入して置換することで、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させる反応器1を備えた構成を採用している。このような平衡反応を行う反応器1を備えた構成を採用することにより、上記同様、所望の酸素同位体を有する高純度の一酸化炭素安定同位体を、工業生産的なスケールで、低コストで効率的に得ることが可能になる。
また、本実施形態の酸素同位体置換装置10においては、さらに、上述した脱水器2、吸着器3、蒸留塔4及び返送部5を備えた構成を採用することにより、所望の酸素同位体を有する高純度の一酸化炭素安定同位体を、工業生産的なスケールで、さらに低コストで効率的に得ることが可能になる。
本実施形態の酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置10で得られる一酸化炭素安定同位体、特に、炭素同位体13Cを高濃度に含む一酸化炭素安定同位体1316Oは、例えば、医療分野等のトレーサとして極めて有用である。
以下、本発明の酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置について、実施例を示してより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<実施例>
本実施例においては、図2に示すような酸素同位体置換装置10を用いて、以下に示す条件及び手順で一酸化炭素同位体1316Oの合成(反応)〜精製を行った。また、この際の、図2中に示す酸素同位体置換装置10中の各流路(A)〜(M)におけるガスの流量、濃度、濃度比について、下記表1に示した。
まず、酸素同位体置換装置10を起動させ、別途準備した13C濃縮用蒸留塔から、反応器1に向けて、原料供給ラインL1を介して炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素CO(1Nm/h、16O:85.8%、17O:0.645%、18O:13.5%)を供給した(図2及び下記表1中に示す(A)を参照)。これとともに、水供給ラインL2から原料供給ラインL1を介してHO(30Nm/h)を混合した(図2及び下記表1中に示す(B)を参照)。さらに、第2蒸留塔42で予め処理された再生ガス(5.45Nm/h、CO:0.30%、H:91.72%、CH:2.66%、HO:0.00%、CO:5.33%)を、原料供給ラインL1を介して混合し、800℃、5atmの条件で反応器1中に導入した(図2及び下記表1中に示す(L)、(C)を参照)。
また、この際、反応器1内には、予め、Niを主成分とする触媒を充填した状態とし、反応器1内において、混合ガスG1において、下記(1)式に示すような反応を進行させ、その後、下記(2)〜(5)に示すような平衡反応を生じさせた。
1218O+H 16O→1216O+H 18O ・・・・・(1)
正反応)1218O+H 16O→1216O+H 18O ・・・・・(2)
逆反応)1218O+H 16O←1216O+H 18O ・・・・・(3)
正反応)1218O+1316O→1216O+1318O ・・・・・(4)
逆反応)1218O+1316O←1216O+1318O ・・・・・(5)
次いで、反応器1内において平衡反応した反応ガスG2(36.45Nm/h、CO:2.79%、H:13.72%、CH:0.40%、HO:82.30%、CO:0.80%:図2及び下記表1中に示す(D)を参照)を脱水処理するため、チラーからなる脱水器2で冷却した。
次いで、脱水処理後の反応ガスG2を第1吸着器31に導入して、より十分な脱水処理を実施した後、第2吸着器32に導入して、COを除去した(図2及び下記表1中に示す(G)、(H)を参照)。
次いで、第2吸着器でCOが除去された反応ガスG2を第1蒸留塔41に導入してHを除去し、さらに、第2蒸留塔42でCHを除去することにより、最終ラインL9を通じて一酸化炭素同位体CO(16O:99.3%、17O:0.06%、18O:0.63%)を得た(図2及び下記表1中に示す(I)、(M)を参照)。この際、第1蒸留塔41で除去されたHは、吸着器再生処理部6により、第2吸着器32に回送して再生処理に供した後(流量:5.0Nm/h)、この第2吸着器32で除去したCOとともに、第2返送ライン52により、第1返送ライン51及び原料供給ラインL1を介して反応器1に戻し、再反応に供した(図2及び下記表1中に示す(J)、(L)を参照)。また、第2蒸留塔42で除去されたCHについても、第1返送ライン51及び原料供給ラインL1を介して反応器1に戻し、再反応に供した(図2及び下記表1中に示す(K)、(L)を参照)。
下記表1の(M)に示すように、得られた一酸化炭素同位体COは、16Oが選択的に濃縮されており、高純度なC16Oが得られた。
Figure 0006935282
<比較例>
比較例においては、反応器1内の温度を150℃とし、内圧を1atmに調整し、反応器1内の原料ガスG1に平衡反応を生じさせなかった点を除き、上記実施例と同様の条件及び手順で一酸化炭素同位体COを得た。
比較例においては、得られた一酸化炭素同位体COにおける酸素同位体の割合が16O:86.2%、17O:0.6%、18O:13.2%となり、上記実施例に比べて16Oの濃縮、高純度化が進まなかったことが明らかとなった。
以上説明したような実施例の結果より、本発明に係る酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置が、一酸化炭素COの内部に任意の酸素同位体を任意の比率で効率的に導入でき、所望の一酸化炭素安定同位体を高純度で得ることが可能であることが明らかである。
本発明の酸素同位体置換方法及び酸素同位体置換装置によれば、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素安定同位体を選択的に得ることができ、特に、炭素同位体13Cを高濃度に含む1316Oを高濃度に含む製品を製造することが可能なので、例えば、医療分野等のトレーサの製造に好適である。
1…反応器
2…脱水器
3…吸着器
31…第1吸着器
32…第2吸着器
4…蒸留塔
41…第1蒸留塔
42…第2蒸留塔
5…返送部
51…第1返送ライン
52…第2返送ライン
6…吸着器再生処理部
10…酸素同位体置換装置
G1…原料ガス
G2…反応ガス
L1…原料供給ライン
L2…水供給ライン
L3…接続ライン
L4…接続ライン
L5…排水ライン
L6…接続ライン
L7…接続ライン
L8…接続ライン
L9…最終ライン

Claims (10)

  1. 一酸化炭素に任意の酸素同位体を導入する酸素同位体置換方法であって、
    少なくとも、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COと、酸素同位体16O、17O及び18Oを含むHOとを含有する混合ガスを反応器内で反応させ、平衡反応を生じさせることにより、前記一酸化炭素COに、前記酸素同位体16O、17O又は18Oのうちの任意の酸素同位体を導入して置換することで、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させる反応工程を含み、
    前記反応工程は、前記H Oを、前記一酸化炭素COの供給量に対する体積比で、10〜30倍の範囲で前記反応器内に供給し、
    さらに、前記反応工程は、前記反応器内の温度を700〜900℃の範囲として前記平衡反応を生じさせることを特徴とする酸素同位体置換方法。
  2. さらに、前記反応工程における平衡反応後の反応ガスを脱水処理して、副生成物であるHOを除去した後、吸着器を用いて副生成物であるCOを回収し、
    次いで、蒸留塔を用いて、前記反応工程における未反応物である炭化水素、及び、副生成物であるHを回収することにより、前記反応工程で生成された前記一酸化炭素安定同位体を高純度に精製する精製工程を有することを特徴とする請求項1に記載の酸素同位体置換方法。
  3. さらに、前記精製工程で回収された、前記未反応物である炭化水素、及び、前記副生成物であるCOを前記反応工程に返送して再反応に供する返送工程を有することを特徴とする請求項2に記載の酸素同位体置換方法。
  4. さらに、前記精製工程は、前記蒸留塔で回収されたHを前記吸着器に返送し、該吸着器の再生処理を行うことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の酸素同位体置換方法。
  5. 前記反応工程は、前記反応器内に予めHが収容された状態で前記平衡反応を生じさせることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の酸素同位体置換方法
  6. 一酸化炭素に任意の酸素同位体を導入する酸素同位体置換装置であって、
    少なくとも、炭素同位体12C及び13Cを含む一酸化炭素COと、酸素同位体16O、17O及び18Oを含むHOとを含有する混合ガスを内部で反応させて平衡反応を生じさせることにより、前記一酸化炭素COに、前記酸素同位体16O、17O又は18Oのうちの任意の酸素同位体を導入して置換することで、一酸化炭素安定同位体1216O、1217O、1218O、1316O、1317O又は1318Oのうちの何れかを選択的に生成させる反応器を備え
    前記反応器は、前記H Oが、前記一酸化炭素COの供給量に対する体積比で、10〜30倍の範囲で内部に供給され、
    さらに、前記反応器は、該反応器内の温度を700〜900℃の範囲として前記平衡反応を生じさせることを特徴とする酸素同位体置換装置。
  7. さらに、前記反応器における平衡反応後の反応ガスを脱水処理し、副生成物であるHOを除去する脱水器と、
    副生成物であるCOを吸着して回収する吸着器と、
    前記反応器における未反応物である炭化水素、及び、副生成物であるHを回収することにより、前記反応器で生成された前記一酸化炭素安定同位体を高純度に精製する蒸留塔と、を備えることを特徴とする請求項に記載の酸素同位体置換装置。
  8. さらに、前記吸着器で回収された前記副生成物であるCO、及び、前記蒸留塔で回収された前記未反応物である炭化水素を、前記反応器に返送する返送部を備えることを特徴とする請求項に記載の酸素同位体置換装置。
  9. さらに、前記蒸留塔で回収されたHを前記吸着器に返送し、該吸着器の再生処理を行うための吸着器再生処理部を備えることを特徴とする請求項又は請求項に記載の酸素同位体置換装置。
  10. 前記反応器は、内部に予めHが収容された状態で前記平衡反応を生じさせることを特徴とする請求項〜請求項の何れか一項に記載の酸素同位体置換装置
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