JP6214586B2 - 酸素同位体重成分の再生濃縮方法、酸素同位体重成分の再生濃縮装置 - Google Patents

酸素同位体重成分の再生濃縮方法、酸素同位体重成分の再生濃縮装置 Download PDF

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Description

本発明は、酸素同位体重成分である18Oを再生し濃縮する方法及び装置に関し、詳しくは、重酸素水H2 18Oから18Oを含む酸素ガスを再生し、該酸素ガスを蒸留して18O2を濃縮する方法及び装置に関する。
天然の酸素は16Oを主成分として約99.76%(原子%、以下同様)を含むが、その他に安定同位体重成分である17Oを約0.04%、18Oを約0.2%含んでいる。
酸素同位体重成分のうち18Oを含む重酸素水H2 18O(以下、「18O−水」という)は、ガン診断用PET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影)に使用される18FDG(フルオロデオキシグルコース)の原料として使用される。
18O−水の生産方法としては、天然の酸素から濃縮した18Oを水素化反応させる方法が用いられており、18Oの生産方法の1つに蒸留による濃縮方法がある。
例えば、特許文献1には、酸素同位体重成分17O及び18Oを含む高純度酸素を低温蒸留することにより、17O、18Oを濃縮する方法及び装置が開示されている。
特許第4467190号公報
酸素同位体重成分を蒸留によって濃縮しようとする場合、同位体成分同士の蒸気圧比が非常に小さいことが問題である。又、前述のとおり、酸素同位体重成分である18Oは天然存在比が小さく、蒸留塔に原料として導入される高純度酸素にもわずかしか含まれない。
従って、蒸留塔においては非常に大きな理論段数が必要となり、蒸留塔の長さが数百メートルに及ぶことがある。しかしながら、1本の蒸留塔として製作・運転することは多くの技術的困難を伴うので、実プラントにおいては、10本以上の蒸留塔に分割して構成される場合がある。
蒸留塔において安定的に酸素同位体重成分を濃縮するためには、蒸留塔内に適切な濃度分布を形成させることが必要である。同位体重成分の濃縮においては、前述のように数百メートルの長さの蒸留塔を用いなければならないので、蒸留塔内において適切な濃度分布を形成するために長期間を要し、原料の導入を開始してから規定量の製品を最初に得るまで、半年以上かかることもある。
又、蒸留塔において製品の増産に対応するためには、蒸留塔の処理量を上げる必要がある。蒸留塔の処理量を上げる方法としては、例えば、塔径を大きくする、蒸留塔を追加する等が考えられる。しかし、これらの方法は、大がかりな装置構成の変更を必要とする。
特に同位体成分を濃縮する蒸留塔においては、一旦装置を止め、再度、起動してから製品が得られるまでの期間がかかりすぎるため、増産のための装置改造を容易に行うことができないという問題があった。
ガン診断用PETに使用される18FDGの原料に用いる18O−水は18O濃度が98%程度であり、18O−水を18FDGの原料として使用すると18O濃度は60〜80%程度まで低下する。しかし、使用された18O−水であっても、天然存在比よりはるかに高濃度の18Oを含有しているため、18FDGの原料として使用された低品位な18O−水を再利用することは、18O2及び18O−水の生産量を増産するのに有効であると考えられる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、蒸留塔の装置を改造せずに18O−水の増産をするため、18O−水から18Oを含む酸素分子を再生し、高濃度の18O2に濃縮する酸素同位体重成分の再生濃縮方法及び装置を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る酸素同位体重成分の再生濃縮方法は、複数の蒸留塔と、該蒸留塔に接続された少なくとも1基の同位体スクランブラーを有し、18Oを含む原料酸素から18Oを含む酸素分子の濃縮物を得る蒸留装置を用いて、18Oを含む重酸素水から前記酸素分子を再生濃縮するものであって、前記重酸素水を電気分解し、さらに窒素の除去を行うことなく精製することで18Oを含む再生酸素を得る再生工程と、該再生工程で得られた前記再生酸素を前記蒸留装置に導入する再生酸素導入工程と、前記原料酸素と共に蒸留して18Oを含む酸素分子の濃縮物を得る濃縮工程を備え、前記再生酸素導入工程は、前記同位体スクランブラーが接続された蒸留塔の中で最も前段の蒸留塔よりもさらに前段の蒸留塔に前記再生酸素を導入するものであることを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記再生酸素導入工程は、前記蒸留装置に導入する前に前記再生酸素中の窒素濃度を測定し、該窒素濃度が1000ppm以下の場合に前記再生酸素を前記蒸留装置に導入することを特徴とするものである。
(3)本発明に係る酸素同位体重成分の再生濃縮装置は、酸素同位体重成分18Oを含む重酸素水から18O2を再生濃縮するものであって、前記重酸素水を電気分解し、さらに窒素の除去を行うことなく精製して18Oを含む再生酸素を得る再生精製装置と、前記酸素分子を含む原料酸素を蒸留する複数の蒸留塔と少なくも1基の同位体スクランブラーで構成される蒸留装置と、該蒸留装置に前記再生精製装置で得られた前記再生酸素を導入する再生酸素導入装置とを備え、該再生酸素導入装置は、前記同位体スクランブラーが接続された蒸留塔の中で最も前段の蒸留塔よりもさらに前段の蒸留塔に接続していることを特徴とするものである。
(4)上記(3)に記載のものにおいて、前記再生酸素導入装置は、前記導入する再生酸素中の窒素濃度を測定する窒素濃度計測装置を備えることを特徴とするものである。
本発明においては、複数の蒸留塔と、該蒸留塔に接続された少なくとも1基の同位体スクランブラーを有し、18Oを含む原料酸素から18Oを含む酸素分子の濃縮物を得る蒸留装置を用いて、18Oを含む重酸素水から前記酸素分子を再生濃縮するものであって、前記重酸素水を電気分解し、さらに精製することで18Oを含む再生酸素を得る再生工程と、該再生工程で得られた再生酸素を前記蒸留装置に導入する再生酸素導入工程と、前記原料酸素と共に蒸留して18O2の濃縮物を得る濃縮工程を備え、前記再生酸素導入工程は、前記再生工程で得られた再生酸素を前記同位体スクランブラーが接続された蒸留塔の中で最も前段の蒸留塔よりもさらに前段の蒸留塔に導入することにより、蒸留塔の装置改造をせずに18O2を増産することができる。
本発明の実施の形態に係る酸素同位体重成分の再生濃縮装置の概略構成図である。
図1は、本発明の実施の形態に係る酸素同位体重成分の再生濃縮装置1を示すもので、高純度酸素を導入して18O2を濃縮する蒸留装置10と、18O−水から再生された酸素同位体重成分18Oを含む酸素(以下、再生酸素という)を再生して精製する再生精製装置40と、再生精製装置40で得られた再生酸素を蒸留装置10に導入する再生酸素導入装置80とを備えたものである。
以下、再生濃縮装置1に原料水として供給する重酸素水H2 18Oと、再生濃縮装置1を構成する各装置について詳細に説明する。
<重酸素水>
本発明において原料水とする重酸素水は、酸素同位体18Oを含む18O−水であり、18FDG−PET検査における18FDGの原料として使用された後の18O−水を対象とする。
18FDGの原料として使用する18O−水中の18O濃度は98%以上であり、18FDGの原料として使用すると、18O濃度が60〜80%程度まで低下した低品位18O−水となるものの、天然存在比よりも多くの18Oを含んでいるので、このような低品位18O−水であっても18Oを含む酸素分子16O18O、17O18O及び18O2を容易に再生することができる。
<蒸留装置>
蒸留装置10は、図1に示すように、複数(n)本の蒸留塔A〜Aと、少なくとも一基の同位体スクランブラー21を備え、原料として高純度酸素(原料酸素)及び18O−水から得られた前記再生酸素を導入し、18O2を低温蒸留により濃縮する装置である。
≪蒸留塔≫
蒸留塔A〜Aは直列にカスケード接続されたものであって、カスケード接続される蒸留塔の本数(n)は、原料酸素を低温蒸留して所望の18O2濃度(例えば98%以上)とするのに必要な本数である。
第1塔Aから第n塔Aまでの各蒸留塔には、塔底部から導出された液の少なくとも一部を加熱して蒸発させる蒸発器B〜Bと、塔頂部から導出されたガスの少なくとも一部を冷却して凝縮させる凝縮器C〜Cが設けられている。
蒸発器B〜Bは、各蒸留塔の塔底部から導出された液の少なくとも一部を加熱して気化し、気化されたガスは当該塔底部に返送される。
凝縮器C〜Cは、各蒸留塔の塔頂部から導出されたガスの少なくとも一部を冷却して凝縮し、凝縮された液は還流液として当該塔頂部に返送される。
第1塔Aから第n塔Aの蒸留塔は直列にカスケード接続されており、第k塔A(1≦k≦n−1)の塔底部と第(k+1)塔Ak+1の塔頂部とが導入経路Dで接続され、かつ、第(k+1)塔Ak+1の塔頂部と第k塔Aの塔底部とが返送経路Eで接続されている。
第1塔Aは、原料酸素を導入する原料導入部11を有し、原料酸素は原料導入部11を経て第1塔Aの中間部に導入される。
又、第n塔Aは、製品として濃縮物を導出する製品導出部31を有し、所望の濃度まで濃縮された18O2が製品導出部31を経て導出される。
なお、蒸留塔A〜Aは、内部に規則充填物及び/又は不規則充填物が充填されている。
規則充填物としては、非自己分配促進型規則充填物、及び/又は自己分配促進型規則充填物を好適に用いることができる。
≪同位体スクランブラー≫
蒸留装置10においては、図1に示すように、第k塔Aの塔底部と第(k+1)塔Ak+1の塔頂部を接続する導入経路Dと、第(k+1)塔Ak+1の塔頂部と第k塔Aの塔底部とを接続する返送経路Eとの間に同位体スクランブラー21が設けられている。
同位体スクランブラー21は、同位体スクランブリングを起こすための装置であって、複数種の同位体分子が存在するとき、各分子がその構成する相手の原子をランダムに変えるための装置である。
同位体スクランブラー21の一例としては、特許4467190号公報に開示されている同位体交換触媒を用いた反応装置があり、当該反応装置には、例えば、タングステン、タンタル、パラジウム、ロジウム、白金、金等を含む触媒が充填されており、同位体交換反応を起こすことができる。
図1に示した蒸留装置10は18O2を製品として得るものであるが、本実施の形態は第n塔Aの製品導出部31から導出された18O2を水素化反応装置(図示なし)に供給し、高純度水素と反応させて18O−水を製造するものであっても良い。この場合、水素化反応装置としては燃焼器又は燃料電池セルを用いることができる。
<再生精製装置>
再生精製装置40は、容器41に充填された低品位18O−水を原料水として、該原料水を前処理する前処理装置43と、前処理された前記原料水を電気分解する電気分解装置45と、電気分解により再生された酸素を精製する精製装置51とを備えている。
前処理装置43は、前記原料水に含まれる有機系不純物(アルコール、アセトニトリル、メタン等)を除去するものであって、例えば蒸留操作によって前記有機系不純物を分離する。
電気分解装置45は、前記原料水を電気分解して酸素を再生するものであって、再生された酸素(再生酸素)には天然存在比以上の18Oが含まれる。
除湿器47は、電気分解により得られた水素に含まれる水分を分離するものであり、水分が除去された水素は廃棄される。分離された水分は天然存在比より多くの18Oを多く含むため、再度電気分解装置45に戻される。
電気分解後に得られた再生酸素は18Oを含む酸素分子が主な成分であるが、その他に、水、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素の他、前処理装置43で除去しきれなかった超微量の前記有機系不純物が混入している可能性がある。そのため、冷凍機49で前記再生酸素中の水分が除去された後、精製装置51で窒素以外の不純物が除去される。
精製装置51は、触媒反応装置53、冷凍機55及び吸着装置57を備えており、まず、触媒反応装置53に再生酸素が導入される。
触媒反応装置53は、再生酸素中に混入する水素、一酸化炭素、有機物を再生酸素の一部と触媒反応させて、水と二酸化炭素を得るものである。触媒反応装置53においてはPt触媒を用いることが望ましい。
冷凍機55は、触媒反応装置53で生成された水分を分離除去するものである。
吸着装置57は、冷凍機53で水分が分離除去された再生酸素中の二酸化炭素を吸着除去し、窒素以外の不純物が除去された再生酸素を得るものである。
吸着装置57は窒素も除去することも可能であるが、現在市販されている吸着剤は、その再生に大量の酸素ガスを必要とするため、生産物の回収率が大幅に低下する恐れがある。そのため、本実施の形態において、吸着装置57は窒素の除去は行わない。
圧縮機59は、精製装置51で不純物が除去された再生酸素を昇圧し、容器61に充填するものである。
<再生酸素導入装置>
再生酸素導入装置80は、吸着器83と流量調節器85、経路87を備え、蒸留装置10を構成する蒸留塔Aの塔底部に設けられた再生酸素導入経路13を介して再生精製装置40で得られた再生酸素を導入するものである。
吸着器83は、容器61内の前記再生酸素に含まれる水や二酸化炭素等の不純物を除去するものであり、蒸留装置10内に水や二酸化炭素等が混入し、凍結して閉塞することを防止するものである。
流量調節器85は容器61から導入する再生酸素の流量を調節するものであって、運転管理上、連続して一定量流すことが望ましい。
再生酸素導入装置80は、蒸留装置10において同位体スクランブラー21が接続されている蒸留塔のうち最も前段の蒸留塔(図1においては第k塔A)よりも前段の蒸留塔(図1において第h塔A)に接続することが望ましい。この理由は後述する。
再生酸素は、1000ppmを超える窒素を含有する場合、蒸留装置10に導入すると18O2の濃縮分離を阻害する恐れがある。そのため、再生酸素導入装置80は再生酸素中の窒素濃度を常時監視できるよう窒素濃度計測装置を備えることが好ましい。
なお、図1に示す再生濃縮装置1は、再生精製装置40により容器61に充填された再生酸素を蒸留装置10にバッチ式に導入するものであるが、蒸留装置10への導入はバッチ式でなく、再生精製装置40と蒸留装置10とを直接接続し、一定量を連続供給することが望ましい。
次に、上記のように構成された酸素同位体重成分の再生濃縮装置1を用いて、18Oを含む重酸素水から酸素同位体重成分の再生濃縮方法について、図1に基づいて以下に説明する。
酸素同位体重成分の再生濃縮方法は、複数(n)本の蒸留塔A〜Aと、該蒸留塔に接続された少なくとも1基の同位体スクランブラー21を有し、18Oを含む原料酸素から18Oを含む酸素分子18O2の濃縮物を得る蒸留装置10を用いて、18Oを含む原料水から18O2を再生濃縮するものであって、前記原料水を電気分解し、さらに精製することで18Oを含む再生酸素を得る再生工程と、該再生工程で得られた前記再生酸素を蒸留装置10に導入する再生酸素導入工程と、前記原料酸素と共に蒸留して18O2の濃縮物を得る濃縮工程を備え、前記再生酸素導入工程は、前記再生酸素を同位体スクランブラー21が接続された蒸留塔の中で最も前段の蒸留塔よりもさらに前段の蒸留塔に導入するものである。
再生工程は、使用済みの低品位18O−水を原料水とし、18Oを含む再生酸素を得る工程である。
まず、前処理装置43において、前記原料水に含まれる有機系不純物(アルコール、アセトニトリル、メタン等)を除去する。上記有機系不純物の除去は蒸留操作によって行うことができる。
次に、有機系不純物を除去した原料水を、電気分解装置45に供給し、水素と酸素に電気分解する。電気分解により得られた再生酸素は天然存在比以上の高濃度な18Oを含むものである。
又、電気分解により得られた水素は前記原料水に由来する水分を含有し、当該水分は天然存在比よりも多くの18Oを含む。そのため、前記電気分解された水素に含まれる水分を除湿器47によって分離した後に、再び電気分解装置45に戻して再利用する。
電気分解後に得られた再生酸素は18Oを含む酸素分子16O18O、17O18O、18O2が主な成分であるが、その他に、水、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素の他、前処理装置43で除去しきれなかった超微量の前記有機系不純物が混入している可能性がある。そのため、前記再生酸素を冷凍機49に供給して水分を除去した後に精製装置51に導入し、窒素以外の不純物を除去し、再生酸素を精製する。冷凍機49で除去された水分は天然存在比以上の18Oを含むため、電気分解装置45に戻して再利用する。
精製装置51では、まず触媒反応装置53によって再生酸素に含まれる水素、一酸化炭素、有機物を再生酸素の一部と触媒反応させ、水と二酸化炭素に変換する。触媒反応にはPt触媒を用いることが望ましい。
触媒反応装置53で処理された再生酸素は、冷凍機55で水分が除去された後、吸着装置57に供給される。吸着装置57においては、再生酸素中の二酸化炭素が吸着除去され、窒素以外の不純物が除去され、精製された再生酸素が得られる。
そして、精製された再生酸素は、圧縮機59によって昇圧されて容器61に充填される。
窒素は吸着装置57において除去することが可能である。しかしながら、現在市販されている吸着剤は、その再生に大量の再生ガス(酸素ガス)を必要とするため、生産物の回収率が大幅に低下する恐れがある。そのため、本実施の形態では、窒素の除去は行わない。
再生酸素導入工程は、前記再生精製工程で得られた再生酸素を蒸留装置10に導入する工程である。
まず、前記再生精製工程で得られた再生酸素を充填した容器61から前記再生酸素を吸着器83に導入し、前記再生酸素に含まれる水や二酸化炭素等の不純物を除去する。
不純物を除去した前記再生酸素は、流量調節器85を用いて流量を調節し、経路87を経て再生酸素導入経路13より蒸留塔に導入される。
前記再生酸素を導入する位置は、蒸留塔内における濃度分布の維持と蒸留効率の観点から、蒸留装置10を構成する蒸留塔A〜Aのうち、塔内の18O2濃度が再生酸素中の18O2濃度とほぼ等しい蒸留塔が望ましい。
さらに、再生酸素を導入する蒸留塔は、同位体スクランブラー21が接続された蒸留塔のうち最も前段の蒸留塔(図1においては第k塔A)よりも前段の蒸留塔(図1においては第h塔A)が好ましい。
これは、同位体スクランブラー21が接続された蒸留塔Aよりも後段の蒸留塔に再生酸素を導入した場合、再生酸素に混入する窒素が同位体スクランブラー21に導入され、同位体スクランブラー21において酸化されて窒素酸化物が生成される可能性があり、蒸留装置10の運転管理上において問題となるためである。
同位体スクランブラー21が接続された最前段の蒸留塔Aよりも前段の蒸留塔Aに再生酸素を導入した場合(図1参照)、再生酸素に混入した窒素は酸素よりも上流側に濃縮され、最終的には第1塔Aの塔頂部から18O濃度が低い廃酸素ガスと共に排出される。
ただし、再生酸素中に含まれる窒素濃度が1000ppmを超える場合、蒸留装置10において酸素同位体重成分(17O及び18O)の分離が阻害される恐れがあるため、当該再生酸素導入工程においては、再生酸素中の窒素濃度をモニタリングし、窒素濃度が1000ppm以下の場合に再生酸素を蒸留塔Aに導入することが望ましい。なお、再生酸素中の窒素濃度の測定は、前述のとおり、特許4944454号公報に記載の方法を用いることができる。
濃縮工程は、蒸留装置10を用いて18O2酸素分子を濃縮する工程である。
まず、酸素同位体重成分18Oを含む高純度酸素を原料酸素として原料酸素導入部11より第1塔Aに導入する。高純度酸素は、炭化水素類やアルゴンなどの不純物が除去されたものであり、純度99.999%以上のものが望ましい。
導入された前記原料酸素は、塔内を上昇する際、塔内を下降する還流液と気液接触して蒸留される。その際、18Oを含む酸素分子(16O18O、17O18O、18O2)は高沸点成分であって凝縮しやすいので、気液接触の過程で下降する還流液中の18Oを含む前記酸素分子濃度は増加し、上昇ガス中の前記酸素分子濃度は減少する。
そして、第1塔Aで濃縮された濃縮物を第2塔Aに導入して蒸留し、第1塔Aと同様に18Oを含む前記酸素分子を濃縮する。以降、第k塔Aまで蒸留操作を行うことで、18Oを含む酸素分子を濃縮する。
前記再生酸素導入工程で第h塔Aに導入された再生酸素も、前記原料酸素と共に、第h塔Aから第n塔Aにおいて濃縮される。
第1塔Aから第k塔Aまでに濃縮された濃縮物の少なくとも一部を、第k塔Aから導入経路Dに接続された経路23aを介して同位体スクランブラー21に導入し、同位体スクランブリングを行う。
同位体スクランブリングによって18O2酸素分子濃度が高くなった濃縮物を、経路23bが接続された返送経路Eを介して第k塔Aに返送する。
そして、第k塔Aに返送した後、第(k+1)塔Ak+1〜第n塔Aにおいてさらに蒸留し、第n塔Aから所望の濃度に濃縮された18O2濃縮物を得る。
上記のように、高純度酸素を原料酸素として低温蒸留により18O2を濃縮する蒸留装置に、18O−水から再生された18Oを含む再生酸素を導入することにより、18O濃度が低下した低品位18O−水を再利用して18O2を容易に増産することができる。
本発明に係る酸素同位体重成分の再生濃縮方法の効果を確認する実験を行ったので、以下に説明する。
まず、再生工程において、容器41に回収された低品位18O−水を電気分解装置45に供給し、酸素(再生酸素)と水素に電気分解した。
本実施例において、18FDGの原料として使用された低品位18O−水が有機物を含まないものであったため、前処理装置43による前処理を行わなかった。
前記再生酸素を冷凍機49に導入して-80℃まで冷却し、該再生酸素に含まれる水分を分離除去した。当該水分は、電気分解装置45に戻し、再利用した。
冷凍機49で水分を除去した前記再生酸素に残存する不純物は、冷凍機49で除去しきれなかった水分、二酸化炭素及び窒素であり、水分と二酸化炭素は吸着装置57で除去した。前記再生酸素は窒素を除く不純物が10ppb程度まで吸着除去され、窒素濃度は100ppm程度であった。その後、前記再生酸素を圧縮機59で昇圧し、容器61に充填した。
再生工程で再生されて容器61に充填された前記再生酸素を、再生酸素導入装置80により再生酸素導入部13を経て蒸留装置10へと導入した。
安全のため、再生酸素導入装置80においては吸着器83により再生酸素に含まれる水や二酸化炭素を吸着除去し、蒸留塔A〜Aへの混入を防止した。
蒸留装置10は高純度酸素を原料酸素として導入して連続運転されているため、容器61から導入する再生酸素も流量調節器85を用いて連続して一定流量で導入した。
さらに、前記再生酸素を導入した蒸留塔Aは、蒸留装置10において同位体スクランブラー21が接続されている最も前段の蒸留塔Aよりも前段とした。
そして、本実施例においては、所望の18O2濃度まで濃縮された濃縮物を第n塔Aから製品導出部31を経て導出し、該濃縮物を水素化反応装置に供給して製品水である18O−水を生産した。
蒸留装置10において年産100kgの18O−水を生産する操業条件において、再生濃縮装置10に低品位18O−水から再生した18O濃度80%の再生酸素を3×10-3Nm3/h(水50kg/年に相当)導入した結果、生産量は年産130kgまで増産された。又、本実施例における再生酸素中の18Oの収率は約80%であった。
以上より、低品位18O−水を再利用することで18O−水を約30%増産できることが実証された。
1 再生濃縮装置
10 蒸留装置
11 原料酸素導入部
13 再生酸素導入部
21 同位体スクランブラー
23a 経路
23b 経路
31 製品導出部
40 再生精製装置
41 容器
43 前処理装置
45 電気分解装置
47 除湿器
49 冷凍機
51 再生精製装置
53 触媒反応装置
55 冷凍機
57 吸着装置
59 圧縮機
61 容器
80 再生酸素導入装置
83 吸着器
85 流量調節器
87 経路

Claims (4)

  1. 複数の蒸留塔と、該蒸留塔に接続された少なくとも1基の同位体スクランブラーを有し、18Oを含む原料酸素から18Oを含む酸素分子の濃縮物を得る蒸留装置を用いて、18Oを含む重酸素水から前記酸素分子を再生濃縮する酸素同位体重成分の再生濃縮方法であって、
    前記重酸素水を電気分解し、さらに窒素の除去を行うことなく精製することで18Oを含む再生酸素を得る再生工程と、
    該再生工程で得られた前記再生酸素を前記蒸留装置に導入する再生酸素導入工程と、
    前記原料酸素と共に蒸留して18Oを含む酸素分子の濃縮物を得る濃縮工程を備え、
    前記再生酸素導入工程は、前記同位体スクランブラーが接続された蒸留塔の中で最も前段の蒸留塔よりもさらに前段の蒸留塔に前記再生酸素を導入するものであることを特徴とする酸素同位体重成分の再生濃縮方法。
  2. 前記濃縮工程は、前記蒸留装置に導入する前に前記再生酸素中の窒素濃度を測定し、該窒素濃度が1000ppm以下の場合に前記再生酸素を前記蒸留装置に導入することを特徴とする請求項1に記載の酸素同位体重成分の再生濃縮方法。
  3. 酸素同位体重成分18Oを含む重酸素水から18O2を再生濃縮する酸素同位体重成分の再生濃縮装置であって、
    前記重酸素水を電気分解し、さらに窒素の除去を行うことなく精製して18Oを含む再生酸素を得る再生精製装置と、
    前記酸素分子を含む原料酸素を蒸留する複数の蒸留塔と少なくも1基の同位体スクランブラーで構成される蒸留装置と、
    該蒸留装置に前記再生精製装置で得られた前記再生酸素を導入する再生酸素導入装置とを備え、
    該再生酸素導入装置は、前記同位体スクランブラーが接続された蒸留塔の中で最も前段の蒸留塔よりもさらに前段の蒸留塔に接続していることを特徴とする酸素同位体重成分の再生濃縮装置。
  4. 前記再生酸素導入装置は、前記導入する再生酸素中の窒素濃度を測定する窒素濃度計測装置を備えることを特徴とする請求項3に記載の酸素同位体重成分の再生濃縮装置。
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