JP6934972B2 - ペルオキシレドキシン発現増大剤のスクリーニング方法 - Google Patents

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本発明は、ペルオキシレドキシン発現増大剤に関する。
ペルオキシレドキシンは、その抗酸化作用によりタンパク質、脂質、核酸の変性や損傷を防止することから、生体機能維持において重要な役割を果たす抗酸化作用に係る酵素として知られている。
ヒトにおいては、ペルオキシレドキシンとしては、6つのアイソフォームの存在が知られている。そのうち、ペルオキシレドキシン1−3は表皮に存在し、ペルオキシレドキシン1−2は顆粒層に近いほど発現が増大し、ペルオキシレドキシン3は基底層での発現が多い。
また、ペルオキシレドキシンは、UVにより生じる活性酸素を抑制することが知られ、UVAはペルオキシレドキシン1を、UVBはペルオキシレドキシン2の発現を上昇させることが知られている。
また、ペルオキシレドキシンの発現上昇は、ライフスパン延長に関与し、特にペルオキシレドキシン6の発現低下は、皮膚がんの発症増加に関与することが示唆されている。(例えば、非特許文献1参照)。
クロウメモドキ科(Rhamnaceae)ナツメ属(Ziziphus)に属する植物であるナツメ(Ziziphus jujuba)又はその近縁種の果実を乾燥したものは、タイソウともよばれ、漢方薬として用いられている。近年では、その抽出物が所定の機能を持つものとして皮膚外用剤に配合されている。
例えば、特許文献1には、ナツメの果実等の抽出物を含むメラニン含有ケラチノサイト分裂促進剤、及びこれを含む色素沈着抑制剤が記載されている。また、特許文献2にはタイソウ抽出物を含む皮膚化粧料が、老化防止効果及び美肌効果を有することについて記載されている。
特開2014−19683号公報 特開2009−40694号公報
Biomolecules 2015,5,545-589
細胞においてペルオキシレドキシンの発現を増大させることは、美容の分野のみならず、疾患の予防・治療の分野においても注目されている。
そこで、本発明は、新規なペルオキシレドキシンの発現増大剤を提供することを課題とする。
また、本発明者らは、ペルオキシレドキシン発現増大剤のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
夏に皮脂、取り分け遊離脂肪酸が増加することが知られていることから、本発明者らは、遊離脂肪酸の一種であるオレイン酸が、表皮でペルオキシレドキシンの発現に対しどのような影響をもたらすか検討した。
その結果、オレイン酸の存在によって、表皮細胞におけるGM−CSF(Granulocyte Macrophage colony-stimulating Factor:顆粒球単球コロニー刺激因子)の発現が増大すること、GM−CSFの存在によって表皮細胞におけるペルオキシレドキシンの発現が低下することを見出した。
そして、ナツメ(Ziziphus jujuba)抽出物に、ペルオキシレドキシンの発現を増大させる作用があること、特に、遊離脂肪酸であるオレイン酸の存在下でペルオキシレドキシンの発現を増大させる作用があることを見出した。
本発明者は、以上の知見に基づいて、本発明を完成させた。
前記課題を解決する本発明は、クロウメモドキ科(Rhamnaceae)ナツメ属(Ziziphus)に属する植物の抽出物を有効成分とする、ペルオキシレドキシン発現増大剤である。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、好ましくは、皮膚における遊離脂肪酸の増大に起因する表皮細胞のペルオキシレドキシンの発現低下に対して用いられるためのものである。
前記遊離脂肪酸としては、皮膚における遊離脂肪酸の主要成分であるオレイン酸が挙げられる。
本発明の好ましい形態では、前記植物はナツメ(Ziziphus jujuba)である。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤の好ましい形態は、外用剤又は経口剤である。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤の好ましい形態は、さらにメラニン生成抑制剤を含む。メラニン生成抑制剤として、好ましくはトラネキサム酸及びその誘導体から選ばれる化合物が挙げられる。
これにより、優れたペルオキシレドキシン発現増大効果を得ることができる。
また、本発明は、遊離脂肪酸の存在下でのペルオキシレドキシンの発現量を指標として、ペルオキシレドキシン発現増大剤の有効成分をスクリーニングすることを特徴とする、スクリーニング方法をも提供する。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、遊離脂肪酸の存在下において低下する表皮細胞のペルオキシレドキシンの発現を増大させる作用に優れる。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、皮膚においてオレイン酸を主とする遊離脂肪酸が増加する季節(春から夏)における、皮膚の機能低下、及びこれに起因する状態、疾患を予防、改善又は治療する効果に優れる。
ナツメ抽出物(タイソウエキス)の添加によるヒトケラチノサイトにおけるペルオキシレドキシンの発現量の変化を示す図である。 オレイン酸の添加によるヒトケラチノサイトにおけるGM−CSFの発現量の変化を示す図(写真)である。円形の像は細胞の核に相当し、その周辺の点状の相対的に白色の部分はGM−CSFに相当する。 GM−CSFの添加によるヒトケラチノサイトにおけるペルオキシレドキシンの発現量の変化を示す図である。 オレイン酸の添加によるヒトケラチノサイトにおけるペルオキシレドキシンの発現量の変化、並びにオレイン酸存在下でのナツメ抽出物(タイソウエキス)の添加によるヒトケラチノサイトにおけるペルオキシレドキシンの発現量の変化を示す図である。 トリパルミチンの添加によるヒトケラチノサイトにおけるペルオキシレドキシンの発現量の変化を示す図である。 ナツメ抽出物(タイソウエキス)とトラネキサム酸の混合物の添加によるヒトケラチノサイトにおけるペルオキシレドキシンの発現量の変化を示す図である。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、クロウメモドキ科(Rhamnaceae)ナツメ属(Ziziphus)に属する植物の抽出物を有効成分として含有する。
前記植物としては、好ましくは、ナツメ(Ziziphus jujuba)を用いることができる。ナツメの使用部位としては、果実、果皮、果穂、種子、及び種皮の少なくとも1つを含むことが好ましく、特に果実を含むことが好ましい。抽出溶媒としては水、アルコール等の極性溶媒を好ましく用いることができる。例えば、抽出物は、果実を必要に応じて乾燥、微細化した後、熱水、エタノール、含水エタノール、ブチレングリコール、含水ブチレングリコールから選ばれる溶媒にて抽出することにより得ることが好ましい。例えば、10〜90質量%、好ましくは30〜60質量%のエタノール又は1,3−ブチレングリコールを含有する水溶液等が挙げられる。ナツメ又はこれと近縁種の植物の果実を乾燥させたものはタイソウともよばれる。タイソウの抽出物として、例えば一丸ファルコス製のタイソウエキスを用いることができる。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、上述した抽出物を有効成分として含有する。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、外用剤又は経口剤の形態とすることが好ましい。外用剤としては、例えば、化粧料、医薬部外品、皮膚外用医薬等の形態が挙げられる。また、それらの剤形は特に制限されない。中でも、ペルオキシレドキシン発現を増大させるという用途との関係から、継続的に使用可能な化粧料の形態が好ましく、中でも、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ジェル、サンケア品等の形態が好ましい。
また、経口剤としては、錠剤、顆粒剤、ドリンク剤等の剤形を有するサプリメント、飲食品の形態が好ましい。
ペルオキシレドキシン発現増大剤における有効成分である前記抽出物の含有量は、外用剤の場合には、乾燥質量を基準として、好ましくは0.0001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%である。また、経口剤の場合には、乾燥質量を基準として、好ましくは0.01〜80質量%、より好ましくは0.1〜50である。
ペルオキシレドキシンは、その抗酸化作用が知られ、タンパク質、脂質、核酸の変性や損傷を防止することから、細胞修復において重要な役割を果たしていることが知られている。また、ペルオキシレドキシンは、細胞増殖及びアポトーシスにも関与することが知られており、肝臓癌、皮膚癌、糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病等の発病に関与することも示唆されている。
従って、本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、抗酸化剤として用いることができる。また、本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、細胞賦活、抗老化、皮膚炎、色素沈着等の皮膚症状又は疾患、肝臓癌や皮膚癌等の癌、糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病、動脈硬化の予防、改善又は治療のための剤として使用することができる。
また、本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、特に、活性酸素による肌状態の低下の予防、改善に有用である。このような肌状態の低下は、色素沈着、肌の微細な凹凸、毛穴の目立ち、肌理、しわ、たるみ、しみ、くすみ、乾燥等の現象を含む。
後述する実施例に示す通り、本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、オレイン酸の存在下で、表皮細胞におけるペルオキシレドキシン発現を増大させる作用に優れる。従って、本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、皮膚におけるオレイン酸を主とする遊離脂肪酸の増大に起因する表皮細胞のペルオキシレドキシンの発現低下に対して用いられることが好ましい。
すなわち、本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、オレイン酸を主とする遊離脂肪酸が増大した肌状態の改善に有用である。オレイン酸を主とする遊離脂肪酸の増大は、春から夏の季節にみられることが知られている(J. Soc. Cosmet.Chem. Jpn. 34 (4) 365-373 (2000))。そのため、本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、春から夏に用いられる皮膚外用剤や化粧料の形態とすることが有効である。
このような観点から、本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、紫外線防御剤と組み合わせたサンスクリーン化粧料等の皮膚外用剤の形態とすることも好ましい。このような形態とすることにより、紫外線防御剤の効果により紫外線によるメラニン生成を抑制し、かつ、紫外線とは別の要因である遊離脂肪酸の増大に起因する色素沈着等の皮膚症状を抑制することができ、春〜夏の季節に起こりやすい皮膚状態の低下に対して、総合的に改善を図ることができる。
上記の紫外線防御剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類等が例示できる。
また、前記観点から、本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、メラニン生成抑制剤と組み合わせた美白用化粧料等の皮膚外用剤の形態とすることも好ましい。このような形態とすることにより、紫外線によるメラニン生成を抑制し、かつ、紫外線とは別の要因である遊離脂肪酸の増大に起因する色素沈着等の皮膚症状を抑制することができ、春〜夏の季節に起こりやすい皮膚状態の低下に対して、総合的に改善を図ることができる。
さらに、後述する実施例に示す通り、有効成分である前記抽出物とメラニン生成抑制剤とを組み合わせることにより、有効成分である前記抽出物のペルオキシレドキシン発現作用を増大することが確認された。そのため、これらの組み合わせにより、ペルオキシレドキシン発現増大剤の優れた効果を得ることができる。
上記のメラニン生成抑制剤としては、トラネキサム酸、トラネキサム酸のアルキルアミド、エステル、多量体等のトラネキサム酸誘導体、4−ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシドや3−О−エチルアスコルビン酸等のアスコルビン酸誘導体、等が好ましく挙げられ、特に、トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体が好ましく挙げられる。また、これらは塩を形成していてもよい。
メラニン生成抑制剤を組み合わせて含有させる場合、その含有質量は、前記有効成分(乾燥質量)に対し、0.0001〜5倍、好ましくは0.001〜2倍、更に好ましくは0.01〜1倍とすることが挙げられる。
また、メラニン生成抑制剤の含有量は、外用剤の場合には、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。また、経口剤の場合には、通常0.01〜80質量%であり、0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、遊離脂肪酸の含有量が、5質量%以下、好ましくは1質量%以下、特に好ましくは含有しないことが好ましい。
本発明のペルオキシレドキシン発現増大剤は、有効成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。かかる任意成分としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等のポリオール、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、表面処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面処理されていても良い、酸化コバルト、群青、紺青、酸化亜鉛の無機顔料類、表面処理されていても良い、酸化鉄二酸化チタン焼結体等の複合顔料、表面処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB塩酸塩,ビタミンBトリパルミテート,ビタミンBジオクタノエート,ビタミンB又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法は、遊離脂肪酸の存在下でのペルオキシレドキシンの発現量を指標として、ペルオキシレドキシン発現増大剤の有効成分をスクリーニングすることを特徴とする。
後述の実施例に示すように、オレイン酸等の遊離脂肪酸の存在下では、ペルオキシレドキシンの発現が低下することが見出された。一方、前述した通り、春〜夏にかけて皮膚におけるオレイン酸等の遊離脂肪酸が増大することが知られている。これらの知見から、遊離脂肪酸の存在下においてペルオキシレドキシンの発現を増大させる成分をスクリーニングすることが出来れば、春〜夏における肌状態の改善に対し、従来の紫外線防御、メラニン生成抑制等の観点とは異なる、生物学的な皮膚中の抗酸化酵素の発現増大という点から有用な成分をスクリーニングすることが可能となる。
本発明のスクリーニング方法は、表皮細胞の培養系にオレイン酸等の遊離脂肪酸と被験物質とを添加し、ペルオキシレドキシンの発現量を測定することを含む。ペルオキシレドキシンの発現量は、免疫測定、qRT−PCR等の常法により測定することができる。
また、オレイン酸等の遊離脂肪酸の存在下において、当該スクリーニング方法を実施することにより、遊離脂肪酸の存在下においてペルオキシレドキシンの発現を増大させる成分をスクリーニングすることが可能となる。
<試験例1>ナツメ抽出物添加試験
本試験は、ナツメ抽出物添加によるペルオキシレドキシンの発現量の変化を測定する目的で行った。
本試験では、ナツメ抽出物として、一丸ファルコス製のタイソウエキスを用いた(以下の試験例においても同じ)。また、比較例として、丸善製薬製のローズヒップエキスを用いた。
新生児ケラチノサイト(倉敷紡績製)を、5.0×104cell/wellで播種し24時間培養した。続いて、タイソウエキス、ローズヒップエキスそれぞれ1質量%を添加し、24時間培養した。培養終了後、細胞を回収し、qRT−PCRにて、ペルオキシレドキシンのmRNA発現量を測定した。なお、コントロールとして、溶媒のみを添加して同様に培養したものを用いた。
結果を、図1に示す。
図1に示す通り、タイソウエキスを添加した場合には、コントロールに対しペルオキシレドキシンの発現量が増大するのに対し、ローズヒップエキスを添加した場合には、ペルオキシレドキシンの発現量の増大は見られないことが確認された。
これより、ナツメ抽出物は、ペルオキシレドキシンの発現を増大させる作用を有することが明らかとなった。また、抗酸化作用が知られているローズヒップエキスにはペルオキシレドキシンの発現を増大させる作用がないことが明らかとなった。
<試験例2>遊離脂肪酸存在下でのナツメ抽出物添加試験
本試験は、遊離脂肪酸添加によるGM−CSF発現、ペルオキシレドキシン発現、これに対するナツメ抽出物の作用を測定する目的で行った。
(1)オレイン酸添加によるGM−CSF発現
本試験は、遊離脂肪酸添加によるGM−CSFの発現量の変化を測定する目的で行った。本試験では、遊離脂肪酸として、皮脂における主要な遊離脂肪酸の一つであるオレイン酸(和光純薬工業株式会社製)を用いた。
新生児ケラチノサイト(倉敷紡績製)を、7.0×104cell/wellで播種し24時間培養した。続いて、オレイン酸5μMを添加し、24時間培養した。培養終了後、4%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、抗GM−CSF抗体(アブカム株式会社製)を用いて免疫染色を行い、顕微鏡下で観察した。なお、コントロールとして、オレイン酸を添加しないで同様に培養したものを用いた。
結果を図2に示す。
図2に示す通り、オレイン酸を添加した試料では、これを添加しないコントロールに比して、細胞におけるGM−CSFの発現量の増大が観察された(核周辺に赤色の蛍光の増大を検出)。
これより、オレイン酸等の遊離脂肪酸の存在によって、GM−CSFの発現が増大することが示された。
(2)GM−CSF添加によるペルオキシレドキシンの発現
本試験は、GM−CSFのペルオキシレドキシンの発現に対する影響を測定する目的で行った。
新生児ケラチノサイト(倉敷紡績製)を、5.0×104cell/wellで播種し24時間培養した。続いて、GM−CSFを50ng/mL添加し、24時間培養した。培養終了後、細胞を回収し、qRT−PCRにて、ペルオキシレドキシンのmRNA発現量を測定した。なお、コントロールとして、溶媒のみを添加して同様に培養したものを用いた。
結果を図3に示す。
図3に示す通り、GM−CSFを添加した試料では、これを添加しないコントロールに比して、細胞におけるペルオキシレドキシンの発現量の低下が観察された。
これより、GM−CSFの存在によって、ペルオキシレドキシンの発現が低下することが示された。
(1)と(2)の結果を考察すると、オレイン酸の添加により、細胞におけるGM−CSFの発現量が増加し、これにより細胞におけるペルオキシレドキシンの発現量が低下することがわかる。
(3)ナツメ抽出物添加試験
本試験は、皮脂の構成成分である遊離脂肪酸の添加によるペルオキシレドキシンの発現量の変化、及びナツメ抽出物添加によるペルオキシレドキシンの発現量の変化を測定する目的で行った。
本試験では、皮脂における主要な遊離脂肪酸の一つであるオレイン酸を用いた。
新生児ケラチノサイト(倉敷紡績製)を、5.0×104cell/wellで播種し24時間培養した。続いて、オレイン酸5μM、又はオレイン酸5μM及びタイソウエキス1質量%を添加し、24時間培養した。培養終了後、細胞を回収し、qRT−PCRにて、ペルオキシレドキシンのmRNA発現量を測定した。なお、コントロールとして、溶媒のみを添加して同様に培養したものを用いた。
結果を、図4に示す。
図4に示す通り、オレイン酸を添加することにより、ペルオキシレドキシンの発現量が低下することが確認された。また、オレイン酸とタイソウエキスを添加することにより、ペルオキシレドキシンの発現量が、オレイン酸を添加した系に対してコントロールと同等にまで増大することが確認された。
これより、ナツメ抽出物は、ペルオキシレドキシンの発現増大の作用を有することが明らかとなった。特に、ナツメ抽出物は、オレイン酸等の遊離脂肪酸の存在下で、ペルオキシレドキシンの発現増大の作用を有することが明らかとなった。
(4)トリグリセライド添加試験
本試験は、皮脂の構成成分であるトリグリセライドの添加によるペルオキシレドキシンの発現量の変化を確認し、ペルオキシレドキシンの発現量の低下が遊離脂肪酸存在下に特有のものであることを確認する目的で行った。
本試験では、トリグリセライドとしてトリパルミチンを用いた。
新生児ケラチノサイト(倉敷紡績製)を、5.0×104cell/wellで播種し24時間培養した。続いて、トリパルミチン10μMを添加し、24時間培養した。培養終了後、細胞を回収し、qRT−PCRにて、ペルオキシレドキシンのmRNA発現量を測定した。なお、コントロールとして、溶媒のみを添加して同様に培養したものを用いた。
結果を図5に示す。
図5に示す通り、トリパルミチンを添加した試料では、これを添加しないコントロールに比して、細胞におけるペルオキシレドキシンの発現量の低下は観察されなかった。
(3)及び(4)の結果から、ペルオキシレドキシンの発現の低下は、皮脂成分の一つである遊離脂肪酸の存在によって特異的に起こることが示された。
<試験例3>ナツメ抽出物−メラニン生成抑制剤混合物添加試験
本試験は、ナツメ抽出物とメラニン生成抑制剤との混合物の添加によるペルオキシレドキシンの発現量の変化を測定する目的で行った。
メラニン生成抑制剤として、トラネキサム酸を用いた。
新生児ケラチノサイト(倉敷紡績製)を、5.0×104cell/wellで播種し24時間培養した。続いて、タイソウエキス1質量%、タイソウエキス1質量%とトラネキサム酸400μg/mLを混合したもの、トラネキサム酸400μg/mL、それぞれを添加し、24時間培養した。培養終了後、細胞を回収し、qRT−PCRにて、ペルオキシレドキシンのmRNA発現量を測定した。なお、コントロールとして、溶媒のみを添加して同様に培養したものを用いた。
結果を、図6に示す。
図6に示す通り、タイソウエキスとトラネキサム酸の混合物を添加した場合には、ペルオキシレドキシンの発現量が、トラネキサム酸を単独で添加した場合に比較して有意に増大することが確認された。一方で、トラネキサム酸を単独で添加した場合には、ペルオキシレドキシンの発現量の増大は見られないことが確認された。
これより、ナツメ抽出物とトラネキサム酸を組み合わせることにより、ナツメ抽出物のペルオキシレドキシンの発現を増大させる作用が増大することが明らかとなった。
<実施例1>化粧料
以下の表1に示す処方に従って、本発明の化粧料である化粧水を作製した。
Figure 0006934972
<実施例2>化粧料
以下の表2に示す処方に従って、本発明の化粧料である化粧水を作製した。
Figure 0006934972
<実施例3>食品
以下の表3に示す処方に従って、本発明の食品を作製した。即ち、処方成分を10重量部の水と共に転動相造粒(不二パウダル株式会社製「ニュ−マルメライザ−」)し、打錠して錠剤状の食品1gを得た。
Figure 0006934972
本発明は、化粧料、サプリメント、飲食品に応用できる。

Claims (3)

  1. 遊離脂肪酸の存在下でのペルオキシレドキシンの発現量を指標として、ペルオキシレドキシン発現増大剤の有効成分をスクリーニングすることを特徴とする、スクリーニング方法。
  2. 前記ペルオキシレドキシンの発現量は、表皮細胞の培養系に遊離脂肪酸と被験物質とを添加することで測定される、請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. 前記遊離脂肪酸がオレイン酸である、請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。

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