JP6934164B2 - 新規イリジウム錯体、酸素濃度測定試薬、酸素濃度測定方法及び合成中間体 - Google Patents

新規イリジウム錯体、酸素濃度測定試薬、酸素濃度測定方法及び合成中間体 Download PDF

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Description

本発明は、新規イリジウム錯体、酸素濃度測定試薬、酸素濃度測定方法及び合成中間体に関する。より詳細には、新規イリジウム錯体、当該錯体を用いた酸素濃度測定試薬及び酸素濃度測定方法、並びに前記錯体の合成中間体に関する。
創薬開発や分子生物学研究の分野において、細胞培養技術によって培養した細胞が、薬剤の薬理活性評価や毒性試験のシミュレーターとして広く利用されている。従来、平面基板上で細胞は培養されていたが、この手法で培養した細胞(平面培養細胞)は二次元方向に広がった単層細胞であるため、三次元組織である生体内の細胞と機能が異なる場合があるという報告があり、近年では、生体内の細胞に近い機能を有する三次元組織であるスフェロイドが注目されている。
一方、細胞内や生体組織内の酸素濃度を測定する方法として、酸素濃度に依存してりん光を発する化合物を用いた方法が提案されている。
例えば、平面培養細胞内の酸素濃度を測定する方法として、2−フェニルキノリンを配位子とするイリジウム錯体を用いる方法、2−(2−ピリジニル)−1−ベンゾチオフェンとアセチルアセトンとを配位子とするイリジウム錯体を用いる方法、この錯体にペプチド残基を導入したイリジウム錯体を用いる方法が知られている(特許文献1、2)。
また、スフェロイド内の酸素濃度を測定する方法としては、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)を用いる方法が報告されている(特許文献3)。
特許第4930943号公報 特許第5392746号公報 国際公開第2015/088005号パンフレット
しかしながら、上記イリジウム錯体は、いずれも赤色りん光を発するものであった。赤色りん光を発する酸素濃度測定試薬を用いた場合、代謝過程や発現タンパク質等を調べるためのプローブとして赤色以外の色調の光を発現するプローブを選択する必要が生じる。また、赤色りん光ではシャープな画像が得られにくいため、緑色りん光を発する酸素濃度測定試薬の開発が望まれる。
一方、緑色りん光を発するイリジウム錯体として、トリス[2−(2−ピリジニル)フェニル]イリジウム(III)(以下、「fac−Ir(ppy)」とも称する)が知られているが、fac−Ir(ppy)を細胞内や生体組織内の酸素濃度測定試薬として実際に用いたという具体的な報告はない。そこで、fac−Ir(ppy)について本発明者らが検討を行ったところ、スフェロイド内への移行性に劣るものであることが判明した。
本発明が解決しようとする課題は、緑色りん光を発し、且つ酸素濃度測定試薬として有用な新規イリジウム錯体を提供することにある。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、特定の1価の基を有するイリジウム錯体が、緑色りん光を発し、且つ酸素濃度測定試薬として有用であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔15〕を提供するものである。
〔1〕 イリジウムを中心原子として含む単核錯体であって、下記式(A)で表される配位子を含有する、イリジウム錯体(以下、この錯体を「本発明のイリジウム錯体」とも称する)。
Figure 0006934164
〔式(A)中、
、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(2)で表される1価の基を示し、
*は、イリジウム原子との結合位置を示す。
但し、R、R、R、R、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ以上は、式(2)で表される1価の基である。〕
Figure 0006934164
〔式(2)中、
Xは、親水性基を含む1価の基を示し、
及びZは、それぞれ独立して、親水性基を含む1価の基、水素原子、1価の有機基、又はハロゲン原子を示し、
*は、結合手を示す。〕
〔2〕 下記式(1)で表されるイリジウム錯体。
Figure 0006934164
〔式(1)中、
〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は上記式(2)で表される1価の基を示す。
但し、R〜R24のうち少なくとも1つ以上は、上記式(2)で表される1価の基である。〕
〔3〕 Rが、式(2)で表される1価の基であり、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、R〜R24が、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である〔2〕に記載のイリジウム錯体。
〔4〕 Xが、下記式(3)で表される1価の基である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のイリジウム錯体。
Figure 0006934164
〔式(3)中、
25は、単結合又は2価の有機基を示し、
Yは、1価の親水性基を示し、
*は、結合手を示す。〕
〔5〕 前記1価の親水性基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、リン原子含有基、メルカプト基、アルデヒド基、スルホ基又はカルバモイル基である〔4〕に記載のイリジウム錯体。
〔6〕 前記1価の親水性基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基又はリン原子含有基である〔4〕又は〔5〕に記載のイリジウム錯体。
〔7〕 Z及びZが、それぞれ独立して、親水性基を含む1価の基、又は水素原子である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のイリジウム錯体。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のイリジウム錯体を含む、酸素濃度測定試薬(以下、「本発明の酸素濃度測定試薬」とも称する)。
〔9〕 〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のイリジウム錯体を含む、スフェロイド内酸素濃度測定試薬。
〔10〕 〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のイリジウム錯体を用いる、酸素濃度測定方法(以下、「本発明の酸素濃度測定方法」とも称する)。
〔11〕 〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のイリジウム錯体を用いる、スフェロイド内の酸素濃度を測定する方法。
〔12〕 イリジウムを中心原子として含む単核錯体であって、下記式(B)で表される配位子を含有する、イリジウム錯体(以下、この錯体を「本発明の合成中間体」とも称する)。
Figure 0006934164
〔式(B)中、
、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(6)で表される1価の基を示し、
*は、イリジウム原子との結合位置を示す。
但し、R、R、R、R、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ以上は、式(6)で表される1価の基である。〕
Figure 0006934164
〔式(6)中、
55は、炭化水素基を示し、
及びZは、それぞれ独立して、−(C=O)OR56(R56は炭化水素基を示す)、水素原子、1価の有機基、又はハロゲン原子を示し、
*は、結合手を示す。〕
〔13〕 下記式(5)で表されるイリジウム錯体。
Figure 0006934164
〔式(5)中、
31〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は上記式(6)で表される1価の基を示す。
但し、R31〜R54のうち少なくとも1つ以上は、上記式(6)で表される1価の基である。〕
〔14〕 R31が、式(6)で表される1価の基であり、R32及びR33が、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(6)で表される1価の基であり、R34〜R54が、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である〔13〕に記載のイリジウム錯体。
〔15〕 Z及びZが、それぞれ独立して、−(C=O)OR56、又は水素原子である〔12〕〜〔14〕のいずれかに記載のイリジウム錯体。
本発明のイリジウム錯体は、緑色りん光を発し、且つ酸素濃度測定試薬として有用である。
また、本発明の合成中間体は、本発明のイリジウム錯体の合成中間体として有用である。
fac−Ir(ppy)及び実施例1〜4で得たイリジウム錯体の吸収スペクトル(空気飽和下)及びりん光スペクトル(真空脱気下)を示す図である。 実施例1、5で得たイリジウム錯体の吸収スペクトル(空気飽和下)及びりん光スペクトル(空気飽和下)を示す図である。 fac−Ir(ppy)のスフェロイド内移行性を示す画像である。 (ppy)Ir(ppy−5−CHOH)のスフェロイド内移行性を示す画像である。 (ppy)Ir(ppy−5−CHCOOH)のスフェロイド内移行性を示す画像である。 (ppy)Ir(ppy−5−CHDM)のスフェロイド内移行性を示す画像である。 (ppy)Ir(ppy−5−CHTPP)のスフェロイド内移行性を示す画像である。 実施例1〜4で得たイリジウム錯体の平面培養細胞内移行性を示す画像である。 直径40〜110μmの範囲のスフェロイド内のりん光強度を数値化した図である。 直径1〜40μmの範囲のスフェロイド内のりん光強度を数値化した図である。 (ppy)Ir(ppy−5−CHOH)によるHT29細胞の低酸素領域検出結果を示す画像である。 LOX−1によるHT29細胞の低酸素領域検出結果を示す画像である。 (ppy)Ir(ppy−5−CHOH)によるPANC−1細胞の低酸素領域検出結果を示す画像である。 LOX−1によるPANC−1細胞の低酸素領域検出結果を示す画像である。 (ppy)Ir(ppy−5−CHOH)とBTPDM1を平面培養細胞に添加した後に緑色りん光イメージングした画像である。 (ppy)Ir(ppy−5−CHOH)とBTPDM1を平面培養細胞に添加した後に赤色りん光イメージングした画像である。 (ppy−5−CHOH)IrとBTPDM1を平面培養細胞に添加した後に緑色りん光イメージングした画像である。 (ppy−5−CHOH)IrとBTPDM1を平面培養細胞に添加した後に赤色りん光イメージングした画像である。
<イリジウム錯体>
本発明のイリジウム錯体は、イリジウムを中心原子として含む単核錯体であって、下記式(A)で表される配位子(以下、「配位子(A)」とも称する)を含有することを特徴とするものである。なお、イリジウム原子と式(A)中の窒素原子との間の結合は、配位結合である。また、本発明のイリジウム錯体に光学異性体が存在する場合はいずれの光学異性体であってもよく、また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0006934164
〔式(A)中、
、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(2)で表される1価の基を示し、
*は、イリジウム原子との結合位置を示す。
但し、R、R、R、R、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ以上は、式(2)で表される1価の基である。〕
Figure 0006934164
〔式(2)中、
Xは、親水性基を含む1価の基を示し、
及びZは、それぞれ独立して、親水性基を含む1価の基、水素原子、1価の有機基、又はハロゲン原子を示し、
*は、結合手を示す。〕
本発明のイリジウム錯体において、配位子(A)は、二座配位子として中心原子(イリジウム原子)に配位している。また、配位子(A)の個数は、本発明のイリジウム錯体1分子あたり、通常1〜3個であるが、細胞内移行性、オルガネラ局在性、低毒性、合成しやすさ、溶解性、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度やりん光量子収率、りん光寿命の観点から、好ましくは2〜3個である。
配位子(A)としては、下記式(A−2)で表される配位子が好ましい。
Figure 0006934164
〔式(A−2)中、各記号は式(A)中の各記号と同義である。〕
また、配位子(A)の個数が1又は2個の場合、本発明のイリジウム錯体は、配位子(A)以外の配位子を含有していてもよい。配位子(A)以外の配位子としては、配位子(A)以外のフェニルピリジン系配位子の他、2−フェニルキノリン、2−フェニル−8−メチルキノリン等のフェニルキノリン系配位子;1−フェニルイソキノリン等のフェニルイソキノリン系配位子;2−(2−ピリジニル)−1−ベンゾチオフェン等のピリジニルベンゾチオフェン系配位子;アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等のアセチルアセトン系配位子;2−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)キノリン;1−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)イソキノリン;6−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)ベンゾ[c]キノリン等が挙げられるが、配位子(A)以外のフェニルピリジン系配位子が好ましい。
本発明のイリジウム錯体としては、細胞内移行性、オルガネラ局在性、低毒性、合成しやすさ、溶解性、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度やりん光量子収率、りん光寿命の観点から、下記式(1)で表されるイリジウム錯体が好ましい。なお、式(1)中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
Figure 0006934164
〔式(1)中、
〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は上記式(2)で表される1価の基を示す。
但し、R〜R24のうち少なくとも1つ以上は、上記式(2)で表される1価の基である。〕
ここで、式(A)、(A−2)、(1)、(2)中の各記号について説明する。
〜R、R〜R24で示されるアルキル基としては、直鎖状又は分枝状のアルキル基が好ましい。また、当該アルキル基の炭素数は1〜6であるが、好ましくは1又は2である。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
また、式(A)、(A−2)中、R〜Rのうち少なくとも1つ以上は、式(2)で表される1価の基であり、式(1)中、R〜R24のうち少なくとも1つ以上は、式(2)で表される1価の基である。
この構成によって、本発明のイリジウム錯体は、スフェロイド内に移行しやすいものとなる。また、本発明のイリジウム錯体は、式(2)中の炭素原子(X、Z及びZと結合した炭素原子)を有することによって、所望の緑色りん光を発するものであり、上記炭素原子がない場合には所望の緑色りん光が得られなくなる。
式(A)、(A−2)中、細胞内移行性、オルガネラ局在性、低毒性、合成しやすさ、溶解性、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度やりん光量子収率、りん光寿命の観点から、上記R〜Rのうち、1〜4個が式(2)で表される1価の基であるのが好ましく、1〜3個が式(2)で表される1価の基であるのがより好ましく、1〜2個が式(2)で表される1価の基であるのが更に好ましく、1個が式(2)で表される1価の基であるのが特に好ましい。
また、式(A)、(A−2)中、合成しやすさ、細胞内移行性、オルガネラ局在性、溶解性、安定性の観点から、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのが好ましく、R及びRのうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのがより好ましく、Rが式(2)で表される1価の基であるのが特に好ましい。
また、式(A)、(A−2)中、Rとしては、合成しやすさ、細胞内移行性、オルガネラ局在性、溶解性、安定性の観点から、水素原子、式(2)で表される1価の基が好ましく、式(2)で表される1価の基がより好ましい。
〜Rとしては、合成しやすさ、安定性の観点から、水素原子が好ましい。
式(A)、(A−2)中、R〜Rの組み合わせとしては、合成しやすさ、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度の観点から、
、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基である組み合わせが好ましく、
及びRが、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、R、R、R、R、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R及びRのうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基である組み合わせがより好ましく、
が、式(2)で表される1価の基であり、R〜Rが、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせが更に好ましく、
が、式(2)で表される1価の基であり、R〜Rが、水素原子である組み合わせが特に好ましい。
また、式(1)中、細胞内移行性、オルガネラ局在性、低毒性、合成しやすさ、溶解性、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度やりん光量子収率、りん光寿命の観点から、上記R〜R24のうち、1〜12個が式(2)で表される1価の基であるのが好ましく、1〜9個が式(2)で表される1価の基であるのがより好ましく、1〜6個が式(2)で表される1価の基であるのが更に好ましく、1〜3個が式(2)で表される1価の基であるのが更に好ましく、2又は3個が式(2)で表される1価の基であるのが特に好ましい。
また、式(1)中、合成しやすさ、細胞内移行性、オルガネラ局在性、溶解性、安定性の観点から、R〜R、R〜R及びR16〜R21のうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのが好ましく、R〜R及びR19〜R21のうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのがより好ましく、R〜Rのうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのが特に好ましい。
また、式(1)中、Rとしては、合成しやすさ、細胞内移行性、オルガネラ局在性、溶解性、安定性の観点から、水素原子、式(2)で表される1価の基が好ましく、式(2)で表される1価の基がより好ましい。
としては、合成しやすさ、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度の観点から、水素原子、式(2)で表される1価の基が好ましく、式(2)で表される1価の基が特に好ましい。
としては、合成しやすさ、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度の観点から、水素原子、式(2)で表される1価の基が好ましい。
〜R24としては、合成しやすさ、安定性の観点から、水素原子が好ましい。
式(1)中、R〜R24の組み合わせとしては、合成しやすさ、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度の観点から、
〜R、R〜R及びR16〜R21が、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、R〜R、R10〜R15及びR22〜R24が、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R〜R、R〜R及びR16〜R21のうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基である組み合わせが好ましく、
〜R及びR19〜R21が、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、R〜R18及びR22〜R24が、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R〜R及びR19〜R21のうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基である組み合わせがより好ましく、
が、式(2)で表される1価の基であり、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、R〜R24が、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせが更に好ましく、
が、式(2)で表される1価の基であり、R及びRが、それぞれ独立して、水素原子又は式(2)で表される1価の基であり、R〜R24が、水素原子である組み合わせが更に好ましく、
及びRが、式(2)で表される1価の基であり、Rが、水素原子又は式(2)で表される1価の基であり、R〜R24が、水素原子である組み合わせが特に好ましい。
式(2)中、Xは、親水性基を含む1価の基を示す。この構成によって、本発明のイリジウム錯体は、細胞内移行性、オルガネラ局在性、溶解性、ハンドリング性、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度等が良好なものとなる。当該1価の基における親水性基の置換位置及び置換個数は任意であるが、その個数は、好ましくは1〜5個であり、より好ましくは1〜3個であり、特に好ましくは1又は2個である。
上記親水性基は、アニオン性、カチオン性、中性のいずれでもよい。親水性基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、リン原子含有基、メルカプト基、アルデヒド基、スルホ基、カルバモイル基等の1価の親水性基;ポリオキシアルキレン基、アミド結合等の2価以上の親水性基が挙げられ、Xで示される1価の基は、これらのうち1種のみを含んでいても2種以上を含んでいてもよい。上記親水性基の中でも、細胞内移行性、合成しやすさ、安定性の観点から、1価又は2価の親水性基が好ましく、1価の親水性基、アミド結合がより好ましく、1価の親水性基が更に好ましい。
上記アミノ基としては、第1級アミノ基(−NH);アルキルアミノ基等の第2級アミノ基;N,N−ジアルキルアミノ基等の第3級アミノ基が挙げられる。アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基におけるアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれでもよい。また、当該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜9であり、特に好ましくは1〜3である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、上記アミノ基の中では、第3級アミノ基が好ましい。
上記リン原子含有基としては、リン原子を基中に1個含有するものが好ましい。また、リン原子含有基としては、例えば、下記式(4)で表される基、リン酸基等が挙げられ、式(4)で表される基が好ましい。なお、本発明のイリジウム錯体が式(4)で表される基を有する場合、本発明のイリジウム錯体は対アニオンを有していてもよい。対アニオンとしては、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン化物イオン;ClO 、BF 、CH(C=O)O、PF 等の酸の対アニオン等が挙げられる。
Figure 0006934164
〔式(4)中、
26〜R28は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭化水素基を示し、
*は、結合手を示す。〕
26〜R28で示される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する概念である。これらの中では、芳香族炭化水素基が好ましい。
上記脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜12であり、特に好ましくは1〜6である。脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐状でもよい。また、脂肪族炭化水素基は、分子内に不飽和結合を有していてもよいが、アルキル基が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜12であり、より好ましくは3〜8である。また、脂環式炭化水素基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜12であり、より好ましくは6〜8である。また、芳香族炭化水素基としては、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基が挙げられる。
26〜R28における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
上記1価の親水性基の中では、細胞内移行性、合成しやすさ、ハンドリング性、低毒性、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度の観点から、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、リン原子含有基が好ましく、細胞内移行性の観点から、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基がより好ましい。なお、本発明のイリジウム錯体が、ヒドロキシ基、カルボキシ基を有する場合、小胞体に局在しやすくなり、アミノ基を有する場合、リソソームに局在しやすくなり、リン原子含有基を有する場合、ミトコンドリアに局在しやすくなる。
これらの中でも、スフェロイド内移行性、低毒性の観点からは、ヒドロキシ基、カルボキシ基が更に好ましく、ハンドリング性の観点から、ヒドロキシ基が特に好ましい。一方、平面培養細胞内移行性の観点からは、アミノ基が特に好ましい。
また、Xとしては、細胞内移行性、合成しやすさ、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度の観点から、下記式(3)で表される1価の基が好ましい。
Figure 0006934164
〔式(3)中、
25は、単結合又は2価の有機基を示し、
Yは、1価の親水性基を示し、
*は、結合手を示す。〕
Yで示される1価の親水性基としては、上記で親水性基の一例として挙げた1価の親水性基と同様のものが挙げられる。
また、R25で示される2価の有機基としては、置換又は非置換の2価の炭化水素基、当該置換又は非置換の2価の炭化水素基の炭素原子の一部がエーテル結合、アミド結合、エステル結合及びチオ基から選ばれる1種以上に置き換わった基が好ましく、置換又は非置換の2価の炭化水素基、当該置換又は非置換の2価の炭化水素基の炭素原子の一部がアミド結合に置き換わった基がより好ましい。
なお、置換又は非置換の2価の炭化水素基の炭素原子の一部がエーテル結合、アミド結合、エステル結合及びチオ基から選ばれる1種以上に置き換わった基において、エーテル結合、アミド結合、エステル結合、チオ基は1つでもよく、2つ以上でもよい。
また、R25で示される2価の有機基の総炭素数としては、1〜42が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜18が更に好ましく、1〜6が特に好ましい。
また、R25における「2価の炭化水素基」としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基のいずれでもよい。これらの中では、2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。
上記2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜42であり、より好ましくは1〜30であり、更に好ましくは1〜18であり、特に好ましくは1〜6である。2価の脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐状でもよい。また、2価の脂肪族炭化水素基は、分子内に不飽和結合を有していてもよいが、アルカンジイル基が好ましい。アルカンジイル基としては、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
上記2価の脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜16であり、更に好ましくは3〜12であり、特に好ましくは3〜8である。具体的には、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。
上記2価の芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜18であり、より好ましくは6〜12であり、特に好ましくは6〜8である。具体的には、フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基が挙げられる。
なお、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基の結合部位は、環上のいずれの炭素上でもよい。
25における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
また、式(2)中、Z及びZは、それぞれ独立して、親水性基を含む1価の基、水素原子、1価の有機基、又はハロゲン原子を示す。
及びZで示される親水性基を含む1価の基としては、Xで示される親水性基を含む1価の基と同様のものが挙げられる。
及びZで示される1価の有機基としては、置換又は非置換の炭化水素基が挙げられる。当該置換又は非置換の炭化水素基としては、R26で示される置換又は非置換の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
及びZで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記の中でも、Z、Zとしては、合成しやすさの観点から、親水性基を含む1価の基、水素原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
<合成中間体>
本発明の合成中間体は、下記式(B)で表される配位子を含有し、イリジウムを中心原子として含む単核錯体である。なお、イリジウム原子と式(B)中の窒素原子との間の結合は、配位結合である。
式(B)で表される配位子としては、式(B−2)で表される配位子が好ましい。また、本発明の合成中間体としては、下記式(5)で表されるイリジウム錯体が好ましい。
Figure 0006934164
〔式(B)中、
、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(6)で表される1価の基を示し、
*は、イリジウム原子との結合位置を示す。
但し、R、R、R、R、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ以上は、式(6)で表される1価の基である。〕
Figure 0006934164
〔式(6)中、
55は、炭化水素基を示し、
及びZは、それぞれ独立して、−(C=O)OR56(R56は炭化水素基を示す)、水素原子、1価の有機基、又はハロゲン原子を示し、
*は、結合手を示す。〕
Figure 0006934164
〔式(B−2)中、各記号は式(B)中の各記号と同義である。〕
Figure 0006934164
〔式(5)中、
31〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は上記式(6)で表される1価の基を示す。
但し、R31〜R54のうち少なくとも1つ以上は、上記式(6)で表される1価の基である。〕
式(B)、(B−2)、(5)、(6)中の各記号の定義は、X、Z及びZにおける親水性基を含む1価の基が、これを誘導する−(C=O)OR55、−(C=O)OR56であること以外は、式(A)、(A−2)、(1)、(2)中の各記号の定義と同義である。R55、R56で示される炭化水素基としては、R26〜R28で示される炭化水素基と同様のものが挙げられるが、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
次に、本発明のイリジウム錯体の合成方法について説明する。
本発明のイリジウム錯体は、常法や文献(特開2004−168756号公報、国際公開第2012/057139号パンフレット、J. Poly. Sci. Part A: Poly. Chem., 46, 7517-7533, 2008.等)を参考にして合成することができる。加水分解や縮合反応、保護反応、脱保護反応等を必要に応じて適宜組み合わせて行ってもよい。
本発明のイリジウム錯体を合成する具体的な方法としては、例えば、以下の方法1〜4が挙げられる。
方法1:式(2)で表される1価の基を置換基として有する2−フェニルピリジン、又は式(2)で表される1価の基及び炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する2−フェニルピリジン(以下、これらを「ピリジン誘導体α」とも総称する)を鈴木カップリング反応等により調製し、2−フェニルピリジンを配位子とする塩素架橋2核イリジウム錯体([Ir(ppy)Cl])又は炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する2−フェニルピリジンを配位子とする塩素架橋2核イリジウム錯体に、ピリジン誘導体αを有機配位子として反応させる方法。
方法2:ピリジン誘導体αと塩化イリジウム・3水和物とを反応させ、得られた塩素架橋2核イリジウム錯体に、2−フェニルピリジンを有機配位子として反応させる方法。
方法3:ピリジン誘導体αと塩化イリジウム・3水和物とを反応させ、得られた塩素架橋2核イリジウム錯体に、ピリジン誘導体αを有機配位子として反応させる方法。
なお、方法1〜3で用いるピリジン誘導体αとしては、例えば、6−フェニルピリジン−3−イル)メタノール等が挙げられる。
方法4:加水分解や縮合反応、脱保護反応等によって式(2)で表される1価の基に官能基変換(又は式(2)で表される1価の基を導入)できる基(以下、基βとも称する)を有する2−フェニルピリジン、又は基β及び炭素数1〜6のアルキル基を有する2−フェニルピリジン(以下、これらを「ピリジン誘導体γ」とも総称する)を鈴木カップリング反応等により調製し、ピリジン誘導体γを[Ir(ppy)Cl]と反応させることで基βを有するイリジウム錯体(以下、「合成中間体δ」とも称する)を得て、この錯体に加水分解や縮合反応、脱保護反応等を行う方法。なお、方法4で用いるピリジン誘導体γとしては、2−(6−フェニルピリジン−3−イル)酢酸エチル等が挙げられる。
ここで、合成中間体δとしては、本発明の合成中間体が好ましく、式(5)で表されるイリジウム錯体がより好ましい。本発明の合成中間体は、本発明のイリジウム錯体の合成に有用な新規化合物である。本発明の合成中間体は、基βとしてエステル結合を有し、加水分解によって、カルボキシ基を親水性基として有するイリジウム錯体を誘導できる。また、この得られた錯体に、カルボキシ基以外の親水性基を有するアミン(例えば、N,N−ジメチルエチレンジアミン、(2−アミノエチル)トリフェニルホスホニウム臭素塩等)を反応させることで、カルボキシ基以外の親水性基を有するイリジウム錯体を簡便に得ることもできる。
そして、後記実施例に示すように、上記のようにして合成できる本発明のイリジウム錯体は、酸素濃度に依存して緑色りん光を発するものであり、酸素濃度が低いときに緑色りん光の強度や寿命が増大する。さらに、スフェロイド、平面培養細胞等の細胞内や生体組織内に移行しやすく、これら細胞内等の低酸素領域で強い緑色りん光を発するものである。
したがって、本発明のイリジウム錯体は、低酸素プローブ等の酸素濃度測定試薬として有用であり、酸素濃度測定方法に用いることができる。また、本発明のイリジウム錯体は、発現される緑色りん光が一般に使用されるフィルタを用いて観察できる色調であり、しかも、平面培養細胞内、スフェロイド内のいずれの酸素濃度測定にも用いることができるため、酸素濃度測定試薬として広範に利用することができる。また、本発明のイリジウム錯体は、細胞毒性が低い。
<酸素濃度測定試薬>
本発明の酸素濃度測定試薬は、本発明のイリジウム錯体を含むものである。
本発明のイリジウム錯体の含有量は、本発明の酸素濃度測定試薬中、通常0.005〜5質量%であり、好ましくは0.01〜1質量%である。
また、本発明の酸素濃度測定試薬は、溶剤等を含んでいてもよい。溶剤としては、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;エタノール、メタノール等のアルコール類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<酸素濃度測定方法>
本発明の酸素濃度測定方法は、本発明のイリジウム錯体を用いるものである。当該測定方法は、本発明のイリジウム錯体を用いる以外は特許文献1〜3等に記載の方法や常法と同様にして行えばよい。また、本発明のイリジウム錯体の使用量は、最終濃度で、通常0.01〜100μMであり、好ましくは0.05〜50μMである。
本発明の酸素濃度測定方法としては、具体的には、測定対象と本発明のイリジウム錯体とを接触させる工程を含む方法が挙げられ、この接触を行った後、培養(通常1時間〜14日間程度)を必要に応じて行い、りん光強度及び/又はりん光寿命を観察・測定すればよい。これによって、りん光が強いときやりん光寿命が長いときに酸素濃度が低いといった判定をすることや、酸素濃度とりん光強度との関係を求めておくことにより酸素濃度を定量的に測定することができる。
測定対象としては、細胞、生体組織が挙げられる。また、マウスやラット等の実験動物を用いてもよく、これにより酸素濃度が低下している部位を検出できる。これらの中でも、測定対象としては細胞が好ましい。細胞は、平面培養細胞、スフェロイド、浮遊細胞のいずれでもよく、また、株化培養細胞でも初代培養細胞でもよい。細胞としては、具体的には、がん細胞、卵子細胞、受精卵細胞、精子細胞、胚性幹細胞、iPS細胞、成体幹細胞、造血幹細胞、組織幹細胞、線維芽細胞、フィーダー細胞、血管内皮細胞、骨髄(幹)細胞、歯髄(幹)細胞、免疫細胞、肝細胞、腎臓細胞、神経細胞、膵臓細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、筋芽細胞、角膜細胞、網膜細胞、骨細胞、破骨細胞、軟骨細胞、軟骨前駆細胞、滑膜由来細胞、滑膜幹細胞、骨芽細胞、歯芽細胞、歯根膜細胞、口腔粘膜細胞、鼻粘膜細胞、間葉系幹細胞、脂肪細胞、脂肪幹細胞、上皮細胞、内皮細胞、筋細胞、表皮細胞、卵巣、赤血球、白血球、血小板、植物細胞等が挙げられる。
なお、スフェロイド内の酸素濃度を測定する具体的な方法としては、スフェロイドを形成可能な培養基材上で細胞と本発明のイリジウム錯体とを接触させ、この接触を行った後に培養を行う方法や、スフェロイドを形成可能な培養基材上でスフェロイドを形成させ、当該スフェロイドと本発明のイリジウム錯体とを接触させ、この接触を行った後に培養を行う方法等が挙げられる。
また、りん光強度及び/又はりん光寿命の観察・測定は、イリジウム錯体を励起してりん光を観察できるような蛍光顕微鏡、蛍光測定装置、蛍光イメージング装置等を用いて行えばよい。
そして、本発明の酸素濃度測定方法は、細胞内や生体組織内の酸素濃度のモニタリング、細胞内や生体組織内の酸素濃度に変化を及ぼす化合物のスクリーニング等に有用であり、共染色、多色イメージング等に用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例における1H−NMRスペクトルは、JEOL製JNM−ECS400を用いて測定した(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:重クロロホルム(CDCl)、重ジメチルスルホキシド(DMSO−d))。
また、下記式で表されるイリジウム錯体(fac−Ir(ppy))は、SIGMA−ALDRICHより購入して使用した。なお、式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
Figure 0006934164
〔実施例1〕
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
Figure 0006934164
(1) (6−フェニルピリジン−3−イル)メタノールの合成
フェニルボロン酸(3.1g,25.4mmol)、(6−クロロピリジン−3−イル)メタノール(3.4g,23.7mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.1g,0.95mmol)を、トルエン(75mL)、エタノール(25mL)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(50mL)の混合液に加え、窒素ガス雰囲気下で6時間還流した。これを室温に冷却後、脱イオン水を加え、クロロホルムで抽出を行い、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)を用いて精製した((6−フェニルピリジン−3−イル)メタノール,4.0g,21.6mmol,91%)。
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 8.66(s, 1H), 7.99-7.98(d, 2H), 7.82-7.74(dd, 2H), 7.50-7.40(m, 3H), 4.77(s, 2H)
(2) (ppy)Ir(ppy−5−CHOH)の合成
[Ir(ppy)Cl](1.09g,1.02mmol)及び上記(1)で得た(6−フェニルピリジン−3−イル)メタノール(0.55g,2.97mmol)を2−エトキシエタノール(50mL)に溶解させ、20分間窒素バブリングを行った。その後、トリフルオロ酢酸銀(0.68g,3.08mmol)を素早く加え、窒素ガス雰囲気下110℃で溶液を18時間撹拌した。これを室温に冷却後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとメタノールの混液,クロロホルム:メタノール=96:4,v/v)を用いて精製した。さらにリサイクル型分取クロマトグラフィーを用いて精製した((ppy)Ir(ppy−5−CHOH),0.45g,0.65mmol,32%)。
1HNMR(400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.14-8.08 (m, 3H), 7.81-7.70 (m, 6H), 7.50-7.48 (d, 3H), 7.15-7.11 (t, 3H), 6.81-6.77 (m, 3H), 6.70-6.62 (m, 6H), 5.21-5.18 (t, 1H), 4.34-4.33 (d, 2H)
〔実施例2〕
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)Ir(ppy−5−CHCOOH)」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)Ir(ppy−5−CHCOOH)における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
Figure 0006934164
(1) 2−(6−フェニルピリジン−3−イル)酢酸エチルの合成
フェニルボロン酸(3.5g,28.7mmol)、2−(6−クロロピリジン−3−イル)酢酸エチル(5.2g,26.1mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.1g,0.95mmol)を、シクロペンチルメチルエーテル(80mL)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(40mL)の混合液に加え、窒素ガス雰囲気下で15時間還流した。これを室温に冷却後、脱イオン水を加え、クロロホルムで抽出を行い、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)を用いて精製した(2−(6−フェニルピリジン−3−イル)酢酸エチル,3.2g,13.3mmol,51%)。
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 8.58(s, 1H), 7.97-7.95(d, 2H), 7.73-7.68(d, 2H), 7.50-7.40(m, 3H), 4.21-4.13(q, 2H), 3.67(s, 2H), 1.28-1.22(t, 3H)
(2) (ppy)Ir(ppy−5−CHCOOEt)の合成
2−フェニルピリジン(0.98g,6.3mmol)及び塩化イリジウム・3水和物(1.06g,3mmol)を、2−エトキシエタノール(100mL)と水(30mL)の混合液に懸濁させ、15時間還流を行った。これを室温に冷却後、生成した黄色沈殿をろ別し、この固形物をメタノール及びヘキサンで洗浄し、[Ir(ppy)Cl]を得た(1.4g,1.3mmol,87%)。次いで、[Ir(ppy)Cl](0.54g,0.50mmol)及び上記(1)で得た2−(6−フェニルピリジン−3−イル)酢酸エチル(0.35g,1.45mmol)を2−エトキシエタノール(40mL)に溶解させ、20分間窒素バブリングを行った。その後、トリフルオロ酢酸銀(0.34g,1.54mmol)を素早く加え、窒素ガス雰囲気下110℃で溶液を18時間撹拌した。これを室温に冷却後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとメタノールの混液,クロロホルム:メタノール=98:2,v/v)を用いて精製した((ppy)Ir(ppy−5−CHCOOEt),0.30g,0.40mmol,40%)。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.15-8.09 (m, 3H), 7.82-7.72 (m, 6H), 7.50-7.42 (m, 3H), 7.15-7.11 (t, 2H), 6.82-6.78 (t, 3H), 6.72-6.62 (m, 6H), 4.02-3.96 (q, 2H), 3.57 (s, 2H), 1.09-1.08(t, 3H)
(3) (ppy)Ir(ppy−5−CHCOOH)の合成
上記(2)で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHCOOEt)(250mg,0.34mmol)及び水酸化リチウム・1水和物(60mg,1.43mmol)を、テトラヒドロフラン(30mL)、エタノール(10mL)及び水(20mL)の混合液に溶解させ、80℃で15時間撹拌した。これを室温に冷却後、5N塩酸を加えて溶液のpHを約3にした。この溶液に脱イオン水を加え、クロロホルムで抽出を行い、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した((ppy)Ir(ppy−5−CHCOOH),278mg,0.39mmol,98%)。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.18-8.08 (m, 3H), 7.78-7.70 (m, 6H), 7.50-7.42 (m, 3H), 7.14-7.10 (m, 2H), 6.82-6.75 (m, 3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 3.46-3.42 (d, 2H)
〔実施例3〕
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)Ir(ppy−5−CHDM)」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)Ir(ppy−5−CHDM)における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
Figure 0006934164
実施例2で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHCOOH)(74mg,0.1mmol)、HATU(80mg,0.21mmol)及びHOBT(26mg,0.19mmol)を、乾燥ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解させた。この溶液に、N,N−ジメチルエチレンジアミン(100μL)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(170μL)を加えて室温で15時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去し減圧乾固させた。得られた粗生成物をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとメタノールの混液,クロロホルム:メタノール=98:2,v/v)を用いて精製した((ppy)Ir(ppy−5−CHDM),50mg,0.63mmol,63%)。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.13-8.11 (d, 2H), 8.09-8.07 (d, 1H), 7.94-7.92 (t, 1H), 7.80-7.68 (m, 6H), 7.49-7.45 (t, 3H), 7.39 (s, 1H), 7.14-7.11 (t, 2H), 6.82-6.76 (m, 3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 3.27 (s, 2H), 3.07-3.03 (m, 2H), 2.20-2.18 (m, 2H), 2.10, (s, 6H)
〔実施例4〕
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)Ir(ppy−5−CHTPP)」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)Ir(ppy−5−CHTPP)における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
Figure 0006934164
実施例2で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHCOOH)(74mg,0.1mmol)、HATU(75mg,0.20mmol)及びHOBT(19mg,0.14mmol)を、乾燥ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解させた。この溶液に、(2−アミノエチル)トリフェニルホスホニウム臭素塩(78mg,0.2mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(170μL)を加えて室温で15時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去し減圧乾固させた。得られた粗生成物をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとメタノールの混液,クロロホルム:メタノール=98:2,v/v)を用いて精製した((ppy)Ir(ppy−5−CHTPP),40mg,0.37mmol,37%)。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.42-8.40 (t, 1H), 8.15-8.13 (d, 1H), 8.08-8.04 (d, 2H), 7.88-7.62 (m, 21H), 7.48-7.44 (d, 2H), 7.36 (s, 1H), 7.11-7.07 (m, 2H), 6.72-6.76 (m, 3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 3.70-3.64 (q, 2H), 3.19-3.17(d, 2H)
〔実施例5〕
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy−5−CHOH)Ir」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy−5−CHOH)Irにおける式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
Figure 0006934164
(6−フェニルピリジン−3−イル)メタノール(0.41g,2.2mmol)及び塩化イリジウム・3水和物(0.35g,1mmol)を、2−エトキシエタノール(30mL)と水(10mL)の混合液に懸濁させ、15時間還流を行った。これを室温に冷却後、生成した沈殿をろ別し、この固形物をメタノール及びヘキサンで洗浄し、[Ir(ppy−5−CHOH)Cl]を得た(0.48g,0.4mmol,80%)。[Ir(ppy−5−CHOH)Cl](0.6g,0.50mmol)及び(6−フェニルピリジン−3−イル)メタノール(0.4g,1.66mmol)を2−エトキシエタノール(50mL)に溶解させ、20分間窒素バブリングを行った。その後、トリフルオロ酢酸銀(0.36g,1.64mmol)を素早く加え、窒素ガス雰囲気下110℃で溶液を18時間撹拌した。これを室温に冷却後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をジオールシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとメタノールの混液,クロロホルム:メタノール=98:2,v/v)を用いて精製した。さらにリサイクル型分取クロマトグラフィーを用いて精製した((ppy−5−CHOH)Ir,100mg,0.13mmol,13%)。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.11-8.09 (d, 3H), 7.74-7.70 (t, 6H), 7.51-7.50 (d, 2H), 7.48 (s, 1H), 6.81-6.87 (m, 3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 5.22-5.20 (q, 3H), 4.37-4.35 (d, 1H), 4.34-4.33 (d, 2H)
〔実施例6〕
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
Figure 0006934164
[Ir(ppy−5−CHOH)Cl](0.69g,0.58mmol)及び2−フェニルピリジン(0.27g,1.75mmol)を2−エトキシエタノール(50mL)に溶解させ、20分間窒素バブリングを行った。その後、トリフルオロ酢酸銀(0.42g,1.90mmol)を素早く加え、窒素ガス雰囲気下110℃で溶液を18時間撹拌した。これを室温に冷却後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとメタノールの混液,クロロホルム:メタノール=96:4,v/v)を用いて精製した。さらにリサイクル型分取クロマトグラフィーを用いて精製した((ppy)Ir(ppy−5−CHOH),150mg,0.21mmol,18%)。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.13-8.07 (m, 3H), 7.79-7.70 (m, 6H), 7.50-7.48 (d, 3H), 7.15-7.12 (t, 1H), 6.71-6.77 (3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 5.22-5.20 (t, 2H), 4.34-4.33 (d, 4H)
〔試験例1 吸収スペクトル及びりん光スペクトル〕
fac−Ir(ppy)、実施例1〜5で得たイリジウム錯体の吸収スペクトル及びりん光スペクトルを以下の条件で測定した。結果を図1−1、図1−2に示す。
(吸収スペクトル測定条件)
装置:紫外可視分光光度計(Jasco製Ubest−V550)
溶媒:アセトニトリル(空気飽和下)
測定温度:22℃
(りん光スペクトル測定条件)
装置:蛍光光度計(浜松ホトニクス製C10027−01)、絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス製C9920−01)、蛍光寿命計(浜松ホトニクス製C11367)
溶媒:アセトニトリル(真空脱気、空気飽和下)
測定温度:22℃
図1−1、図1−2に示すとおり、実施例1〜5で得たイリジウム錯体は、fac−Ir(ppy)と非常によく似た吸収スペクトル、りん光スペクトルを示した。特に、実施例1〜5で得たイリジウム錯体は、りん光極大波長が510〜540nm付近にあり、fac−Ir(ppy)と同様の緑色りん光を発することがわかった。
〔試験例2 光物理特性〕
fac−Ir(ppy)、実施例1〜6で得たイリジウム錯体をアセトニトリルにそれぞれ溶解させ、絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス製C9920−01)及び蛍光寿命計(浜松ホトニクス製C11367)を使用し真空脱気下又は空気飽和下で、真空脱気下のりん光寿命(τ (μs))、空気飽和下のりん光寿命(τ (ns))、真空脱気下のりん光量子収率(Φ )、空気飽和下のりん光量子収率(Φ)をそれぞれ測定した。そして、真空脱気下のりん光寿命と空気飽和下のりん光寿命からτ /τを算出し、真空脱気下のりん光量子収率と空気飽和下のりん光量子収率からΦ /Φを算出した。
結果を表1に示す。なお、τ /τ又はΦ /Φの値が5を超えていれば低酸素応答性は概ね充分といえる。
Figure 0006934164
表1に示すとおり、実施例1〜6で得たイリジウム錯体は、fac−Ir(ppy)と同様にτ /τ、Φ /Φの値が大きく、低酸素応答性が良好だった。
〔試験例3 細胞内移行性(スフェロイド内移行性)〕
HT29細胞(1.2×10個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地10mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、3次元培養プレート(SCIVAXライフサイエンス社製NCP−LH384)のウェルに、細胞数が3,000cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加し、5%炭酸ガス雰囲気下、37℃で6日間培養した。その後、fac−Ir(ppy)を5.0μMの最終濃度でウェルに添加し、fac−Ir(ppy)の添加から24時間経過後、NexCelome社製Celigo(蛍光チャネル:Green)を用いてりん光顕微画像を撮影し(ex/em:483nm/536nm、露光時間:10000μs)、スフェロイド内移行性を確認した。
また、実施例1〜4で得たイリジウム錯体についても、上記と同様の操作を行い、スフェロイド内移行性を確認した。さらに、実施例1〜4で得たイリジウム錯体については最終濃度10.0μMの試験も行った。
結果を図2−1〜図2−5に示す。なお、スフェロイドのサイズは約100μmになっていた。
この結果、fac−Ir(ppy)はスフェロイド内への移行性に劣るものであることが判明した(図2−1)。
これに対し、実施例1〜4で得たイリジウム錯体については、スフェロイド内への移行が確認された(図2−2〜図2−5)。
特に、実施例1で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)、実施例2で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHCOOH)は、5.0μM、10.0μMいずれの濃度でも非常に高い移行性を示した(図2−2、図2−3)。また、実施例1で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)は、バックグラウンドの上昇もみられなかった(図2−2)。
〔試験例4 細胞内移行性(平面培養細胞内移行性)〕
HeLa細胞と10%(v/v)FBS含有DMEM培地4mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、平面培養シャーレ(グライナー社製4区画シャーレ)のウェルに上記細胞懸濁液を添加した。次に、実施例1で得たイリジウム錯体を500nMの最終濃度でウェルに添加し、常酸素条件下(酸素濃度:21体積%)、37℃で2時間培養した。その後、10%(v/v)FBS含有DMEM培地、DMEM培地(FBS(−))でそれぞれ2回ずつ洗浄し、オリンパス社製IX−71及びPHOTOMETRICS社製Evolve512を用いてりん光顕微画像を撮影し(励起波長:450〜500nm、観測波長:515〜565nm、対物レンズ×100)、平面培養細胞内移行性を確認した。
また、実施例2〜4で得たイリジウム錯体についても、上記と同様の操作を行い、平面培養細胞内移行性を確認した。
結果を図3に示す。
この結果、実施例1〜4で得たイリジウム錯体は平面培養細胞内への移行性を有することが確認された。また、発光顕微画像の形態解析から、実施例1及び2で得たイリジウム錯体は小胞体に局在し、実施例3で得たイリジウム錯体はリソソームに局在し、実施例4で得たイリジウム錯体はミトコンドリアに局在することがわかった。
〔試験例5 平面培養細胞内りん光強度〕
HeLa細胞(4.5×10個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地15mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、平面培養プレート(グライナー社製96穴ブラックプレート)のウェルに、細胞数が3.0×10cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加した。次に、実施例1で得たイリジウム錯体を500nMの最終濃度でウェルに添加し、常酸素条件下(酸素濃度:21体積%)、37℃で2時間培養した。その後、10%(v/v)FBS含有DMEM培地、DMEM培地(FBS(−))でそれぞれ2回ずつ洗浄し、Tecan社製Infinite Pro 200を用いてりん光強度測定を実施した(励起波長:450nm、観測波長:530nm)。
また、実施例2〜4で得たイリジウム錯体についても、上記と同様の操作を行い、平面培養細胞内りん光強度を測定した。
その結果、実施例1、2、3で得たイリジウム錯体はりん光強度が特に強く、実施例4で得たイリジウム錯体の約3.7倍(実施例1)、約2.6倍(実施例2)、約12.2倍(実施例3)のりん光強度を示した。
〔試験例6 平面培養細胞内低酸素応答性〕
実施例1、3で得たイリジウム錯体について、平面培養細胞内低酸素応答性を確認した。
すなわち、試験例5におけるりん光強度の測定を行った後に、実施例1、3で得たイリジウム錯体を添加したHeLa細胞を、酸素濃度10体積%、37℃で2時間更に培養し、Tecan社製Infinite Pro 200を用いてりん光強度を求めた(ex/em:450nm/530nm)。次に、酸素濃度2.5体積%、37℃で2時間更に培養し、Tecan社製Infinite Pro 200を用いてりん光強度を求めた(ex/em:450nm/530nm)。その後、試験例5で求めたりん光強度(常酸素条件下(酸素濃度:21体積%))を100%として、酸素濃度10体積%、酸素濃度2.5体積%で培養した後のりん光強度の相対値をそれぞれ算出した。
結果を表2に示す。
Figure 0006934164
〔試験例7 細胞毒性〕
HT29細胞又はPANC−1細胞(1.2×10個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地10mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、3次元培養プレート(SCIVAXライフサイエンス社製NCP−LH384)のウェルに、細胞数が3,000cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加した。次に、fac−Ir(ppy)を0.5μM又は5.0μMの最終濃度でウェルに添加し、5%炭酸ガス雰囲気下、37℃で7日間培養した。その後、CellTiter−Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assayを使用し、このキットのプロトコルに従って、イリジウム錯体を添加していないネガティブコントロールに対する細胞生存率を求めた。
また、実施例1、2、5で得たイリジウム錯体についても、上記と同様の操作を行い、細胞生存率を求めた。
結果を表3〜6に示す。
Figure 0006934164
Figure 0006934164
Figure 0006934164
Figure 0006934164
〔試験例8 スフェロイド内りん光強度〕
A549細胞(1.2×10個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地10mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、3次元培養プレート(SCIVAXライフサイエンス社製NCP−LH384)のウェルに、細胞数が3,000cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加し、5%炭酸ガス雰囲気下、37℃で6日間培養した。その後、実施例1で得たイリジウム錯体を、1.0μM、2.0μM、5.0μM、7.5μM又は10.0μMの最終濃度でウェルに添加し、イリジウム錯体の添加から24時間経過後、NexCelome社製Celigo(蛍光チャネル:Green)を用いてりん光顕微画像を撮影し(ex/em:531nm/629nm、露光時間:10000μs)、NexCelome社製Celigoの解析プログラムを使用して、直径40〜110μmの範囲のスフェロイド、直径1〜40μmの範囲のスフェロイドについて、スフェロイド内りん光強度をそれぞれ数値化した。
また、実施例5で得たイリジウム錯体を用いて上記と同様の操作を行い、直径40〜110μmの範囲のスフェロイド、直径1〜40μmの範囲のスフェロイドについて、スフェロイド内りん光強度をそれぞれ数値化した。
直径40〜110μmの範囲のスフェロイドについて解析した結果を図4−1に示し、直径1〜40μmの範囲のスフェロイドについて解析した結果を図4−2に示す。
なお、図4−1、図4−2の縦軸Total Intensityは、スフェロイドの個数とIntensityとの積である(n=2の平均値)。
この結果、図4−1では、実施例5で得た(ppy−5−CHOH)Irは、実施例1で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)の約3倍のりん光強度を示しており、実施例5で得た(ppy−5−CHOH)Irは大きいサイズのスフェロイドに移行しやすいことがわかった。
〔試験例9 低酸素領域検出能〕
実施例1で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)の低酸素領域検出能を、市販の低酸素プローブ(SCIVAXライフサイエンス社製LOX−1)と比較した。なお、SCIVAXライフサイエンス社製LOX−1は、赤色りん光を発するイリジウム錯体を含有する低酸素プローブである。
すなわち、HT29細胞又はPANC−1細胞(1.2×10個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地10mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、3次元培養プレート(SCIVAXライフサイエンス社製NCP−LH384)のウェルに、細胞数が3,000cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加し、5%炭酸ガス雰囲気下、37℃で6日間培養した。その後、実施例1で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)とLOX−1をそれぞれ2.5μMの最終濃度でウェルに添加し、当該添加から24時間経過後、NexCelome社製Celigoを用いて以下の条件でりん光顕微画像を撮影した。
((ppy)Ir(ppy−5−CHOH)のりん光顕微画像撮影条件)
蛍光チャネル:Green、ex/em:483nm/536nm、露光時間:4000μs
(LOX−1のりん光顕微画像撮影条件)
蛍光チャネル:Red、ex/em:531nm/629nm、露光時間:40000μs
実施例1で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)によるHT29細胞の低酸素領域検出結果を図5−1に示し、LOX−1によるHT29細胞の低酸素領域検出結果を図5−2に示す。
また、実施例1で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)によるPANC−1細胞の低酸素領域検出結果を図5−3に示し、LOX−1によるPANC−1細胞の低酸素領域検出結果を図5−4に示す。
この結果、実施例1で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)が低酸素プローブとして有用であることが確認された。
〔試験例10 細胞内多色イメージング〕
HeLa細胞と10%(v/v)FBS含有DMEM培地4mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、平面培養シャーレ(グライナー社製4区画シャーレ)のウェルに上記細胞懸濁液を添加した。次に、実施例1で得た(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)と下記式で表されるBTPDM1(赤色りん光を発し、リソソームに局在化するイリジウム錯体)をそれぞれ500nMの最終濃度でウェルに添加し、常酸素条件下(酸素濃度:21体積%)、37℃で2時間培養した。
Figure 0006934164
その後、10%(v/v)FBS含有DMEM培地、DMEM培地(FBS(−))でそれぞれ2回ずつ洗浄し、オリンパス社製IX−71及びPHOTOMETRICS社製Evolve512を用いてりん光顕微画像を撮影した(励起波長:450〜500nm、観測波長:515〜565nm)。次に、励起波長:480〜550nm、観測波長:>590nmのフィルタ(オリンパス社製U−MSWG2)に変更してりん光顕微画像を再度撮影した。
(ppy)Ir(ppy−5−CHOH)とBTPDM1でイメージングしたりん光顕微画像を、図6−1、図6−2に示す。
また、実施例5で得た(ppy−5−CHOH)Irを用いて、上記と同様の操作で(ppy−5−CHOH)IrとBTPDM1による多色イメージングを行った。
(ppy−5−CHOH)IrとBTPDM1でイメージングしたりん光顕微画像をを、図6−3、図6−4に示す。
なお、図6−1〜図6−4の(a)は、励起波長:450〜500nm、観測波長:515〜565nmのフィルタを用いたりん光顕微画像であり、図6−1〜図6−4の(b)は、励起波長:480〜550nm、観測波長:>590nmのフィルタを用いたりん光顕微画像である。
この結果、実施例1、5で得たイリジウム錯体が、共染色、多色イメージングに有用であることが確認された。また、実施例1、5で得たイリジウム錯体は小胞体に局在していた。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表されるイリジウム錯体。
    Figure 0006934164
    〔式(1)中、
    1 は、下記式(2)で表される1価の基を示し、R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(2)で表される1価の基を示し、R 4 〜R 24 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
    Figure 0006934164
    〔式(2)中、
    Xは、下記式(3)で表される1価の基を示し、
    1及びZ2、水素原子を示し、
    *は、結合手を示す。〕
    Figure 0006934164
    〔式(3)中、
    25 は、単結合、炭素数1〜6のアルカンジイル基、又は炭素数1〜6のアルカンジイル基の炭素原子の一部がアミド結合に置き換わった基を示し、
    Yは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第1級アミノ基、C1〜3アルキルアミノ基、N,N−ジC1〜3アルキルアミノ基又は下記式(4)で表される基を示し、
    *は、結合手を示す。〕
    Figure 0006934164
    〔式(4)中、
    26 〜R 28 は、それぞれ独立して、非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子が置換している炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、
    *は、結合手を示す。〕
  2. Yが、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第1級アミノ基、C1〜3アルキルアミノ基又はN,N−ジC1〜3アルキルアミノ基である、請求項1に記載のイリジウム錯体。
  3. Yが、ヒドロキシ基、カルボキシ基又はN,N−ジC1〜3アルキルアミノ基である、請求項1に記載のイリジウム錯体。
  4. 25 が、単結合、又は炭素数1〜6のアルカンジイル基の炭素原子の一部がアミド結合に置き換わった基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイリジウム錯体。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のイリジウム錯体を含む、酸素濃度測定試薬。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のイリジウム錯体を含む、スフェロイド内酸素濃度測定試薬。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のイリジウム錯体を用いる、酸素濃度測定方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のイリジウム錯体を用いる、スフェロイド内の酸素濃度を測定する方法。
  9. 下記式(5)で表されるイリジウム錯体。
    Figure 0006934164
    〔式(5)中、
    31 は、下記式(6)で表される1価の基を示し、R 32 及びR 33 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(6)で表される1価の基を示し、R 34 〜R 54 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
    Figure 0006934164
    〔式(6)中、
    55は、炭化水素基を示し、
    3及びZ4、水素原子を示し、
    *は、結合手を示す。〕
  10. 55 が、炭素数1〜12のアルキル基である、請求項9に記載のイリジウム錯体。
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