JP6934164B2 - 新規イリジウム錯体、酸素濃度測定試薬、酸素濃度測定方法及び合成中間体 - Google Patents
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Description
例えば、平面培養細胞内の酸素濃度を測定する方法として、2−フェニルキノリンを配位子とするイリジウム錯体を用いる方法、2−(2−ピリジニル)−1−ベンゾチオフェンとアセチルアセトンとを配位子とするイリジウム錯体を用いる方法、この錯体にペプチド残基を導入したイリジウム錯体を用いる方法が知られている(特許文献1、2)。
また、スフェロイド内の酸素濃度を測定する方法としては、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)を用いる方法が報告されている(特許文献3)。
一方、緑色りん光を発するイリジウム錯体として、トリス[2−(2−ピリジニル)フェニル]イリジウム(III)(以下、「fac−Ir(ppy)3」とも称する)が知られているが、fac−Ir(ppy)3を細胞内や生体組織内の酸素濃度測定試薬として実際に用いたという具体的な報告はない。そこで、fac−Ir(ppy)3について本発明者らが検討を行ったところ、スフェロイド内への移行性に劣るものであることが判明した。
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(2)で表される1価の基を示し、
*は、イリジウム原子との結合位置を示す。
但し、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhのうち少なくとも1つ以上は、式(2)で表される1価の基である。〕
Xは、親水性基を含む1価の基を示し、
Z1及びZ2は、それぞれ独立して、親水性基を含む1価の基、水素原子、1価の有機基、又はハロゲン原子を示し、
*は、結合手を示す。〕
R1〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は上記式(2)で表される1価の基を示す。
但し、R1〜R24のうち少なくとも1つ以上は、上記式(2)で表される1価の基である。〕
R25は、単結合又は2価の有機基を示し、
Yは、1価の親水性基を示し、
*は、結合手を示す。〕
〔9〕 〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のイリジウム錯体を含む、スフェロイド内酸素濃度測定試薬。
〔11〕 〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のイリジウム錯体を用いる、スフェロイド内の酸素濃度を測定する方法。
Rs、Rt、Ru、Rv、Rw、Rx、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(6)で表される1価の基を示し、
*は、イリジウム原子との結合位置を示す。
但し、Rs、Rt、Ru、Rv、Rw、Rx、Ry及びRzのうち少なくとも1つ以上は、式(6)で表される1価の基である。〕
R55は、炭化水素基を示し、
Z3及びZ4は、それぞれ独立して、−(C=O)OR56(R56は炭化水素基を示す)、水素原子、1価の有機基、又はハロゲン原子を示し、
*は、結合手を示す。〕
R31〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は上記式(6)で表される1価の基を示す。
但し、R31〜R54のうち少なくとも1つ以上は、上記式(6)で表される1価の基である。〕
また、本発明の合成中間体は、本発明のイリジウム錯体の合成中間体として有用である。
本発明のイリジウム錯体は、イリジウムを中心原子として含む単核錯体であって、下記式(A)で表される配位子(以下、「配位子(A)」とも称する)を含有することを特徴とするものである。なお、イリジウム原子と式(A)中の窒素原子との間の結合は、配位結合である。また、本発明のイリジウム錯体に光学異性体が存在する場合はいずれの光学異性体であってもよく、また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を組み合わせて用いてもよい。
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(2)で表される1価の基を示し、
*は、イリジウム原子との結合位置を示す。
但し、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhのうち少なくとも1つ以上は、式(2)で表される1価の基である。〕
Xは、親水性基を含む1価の基を示し、
Z1及びZ2は、それぞれ独立して、親水性基を含む1価の基、水素原子、1価の有機基、又はハロゲン原子を示し、
*は、結合手を示す。〕
配位子(A)としては、下記式(A−2)で表される配位子が好ましい。
R1〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は上記式(2)で表される1価の基を示す。
但し、R1〜R24のうち少なくとも1つ以上は、上記式(2)で表される1価の基である。〕
Ra〜Rh、R1〜R24で示されるアルキル基としては、直鎖状又は分枝状のアルキル基が好ましい。また、当該アルキル基の炭素数は1〜6であるが、好ましくは1又は2である。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
この構成によって、本発明のイリジウム錯体は、スフェロイド内に移行しやすいものとなる。また、本発明のイリジウム錯体は、式(2)中の炭素原子(X、Z1及びZ2と結合した炭素原子)を有することによって、所望の緑色りん光を発するものであり、上記炭素原子がない場合には所望の緑色りん光が得られなくなる。
また、式(A)、(A−2)中、合成しやすさ、細胞内移行性、オルガネラ局在性、溶解性、安定性の観点から、Ra、Rc、Rf及びRgのうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのが好ましく、Ra及びRgのうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのがより好ましく、Raが式(2)で表される1価の基であるのが特に好ましい。
Rb〜Rhとしては、合成しやすさ、安定性の観点から、水素原子が好ましい。
Ra、Rc、Rf及びRgが、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、Rb、Rd、Re及びRhが、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Ra、Rc、Rf及びRgのうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基である組み合わせが好ましく、
Ra及びRgが、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRhが、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Ra及びRgのうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基である組み合わせがより好ましく、
Raが、式(2)で表される1価の基であり、Rb〜Rhが、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせが更に好ましく、
Raが、式(2)で表される1価の基であり、Rb〜Rhが、水素原子である組み合わせが特に好ましい。
また、式(1)中、合成しやすさ、細胞内移行性、オルガネラ局在性、溶解性、安定性の観点から、R1〜R3、R7〜R9及びR16〜R21のうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのが好ましく、R1〜R3及びR19〜R21のうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのがより好ましく、R1〜R3のうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基であるのが特に好ましい。
R2としては、合成しやすさ、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度の観点から、水素原子、式(2)で表される1価の基が好ましく、式(2)で表される1価の基が特に好ましい。
R3としては、合成しやすさ、安定性、低酸素状態(特に細胞内)でのりん光強度の観点から、水素原子、式(2)で表される1価の基が好ましい。
R4〜R24としては、合成しやすさ、安定性の観点から、水素原子が好ましい。
R1〜R3、R7〜R9及びR16〜R21が、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、R4〜R6、R10〜R15及びR22〜R24が、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R1〜R3、R7〜R9及びR16〜R21のうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基である組み合わせが好ましく、
R1〜R3及びR19〜R21が、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、R4〜R18及びR22〜R24が、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R1〜R3及びR19〜R21のうち少なくとも1つ以上が式(2)で表される1価の基である組み合わせがより好ましく、
R1が、式(2)で表される1価の基であり、R2及びR3が、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は式(2)で表される1価の基であり、R4〜R24が、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である組み合わせが更に好ましく、
R1が、式(2)で表される1価の基であり、R2及びR3が、それぞれ独立して、水素原子又は式(2)で表される1価の基であり、R4〜R24が、水素原子である組み合わせが更に好ましく、
R1及びR2が、式(2)で表される1価の基であり、R3が、水素原子又は式(2)で表される1価の基であり、R4〜R24が、水素原子である組み合わせが特に好ましい。
R26〜R28は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭化水素基を示し、
*は、結合手を示す。〕
上記脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜12であり、より好ましくは3〜8である。また、脂環式炭化水素基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜12であり、より好ましくは6〜8である。また、芳香族炭化水素基としては、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基が挙げられる。
R26〜R28における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
これらの中でも、スフェロイド内移行性、低毒性の観点からは、ヒドロキシ基、カルボキシ基が更に好ましく、ハンドリング性の観点から、ヒドロキシ基が特に好ましい。一方、平面培養細胞内移行性の観点からは、アミノ基が特に好ましい。
R25は、単結合又は2価の有機基を示し、
Yは、1価の親水性基を示し、
*は、結合手を示す。〕
なお、置換又は非置換の2価の炭化水素基の炭素原子の一部がエーテル結合、アミド結合、エステル結合及びチオ基から選ばれる1種以上に置き換わった基において、エーテル結合、アミド結合、エステル結合、チオ基は1つでもよく、2つ以上でもよい。
また、R25で示される2価の有機基の総炭素数としては、1〜42が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜18が更に好ましく、1〜6が特に好ましい。
上記2価の脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜16であり、更に好ましくは3〜12であり、特に好ましくは3〜8である。具体的には、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。
上記2価の芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜18であり、より好ましくは6〜12であり、特に好ましくは6〜8である。具体的には、フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基が挙げられる。
なお、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基の結合部位は、環上のいずれの炭素上でもよい。
R25における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
Z1及びZ2で示される親水性基を含む1価の基としては、Xで示される親水性基を含む1価の基と同様のものが挙げられる。
Z1及びZ2で示される1価の有機基としては、置換又は非置換の炭化水素基が挙げられる。当該置換又は非置換の炭化水素基としては、R26で示される置換又は非置換の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Z1及びZ2で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記の中でも、Z1、Z2としては、合成しやすさの観点から、親水性基を含む1価の基、水素原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
本発明の合成中間体は、下記式(B)で表される配位子を含有し、イリジウムを中心原子として含む単核錯体である。なお、イリジウム原子と式(B)中の窒素原子との間の結合は、配位結合である。
式(B)で表される配位子としては、式(B−2)で表される配位子が好ましい。また、本発明の合成中間体としては、下記式(5)で表されるイリジウム錯体が好ましい。
Rs、Rt、Ru、Rv、Rw、Rx、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(6)で表される1価の基を示し、
*は、イリジウム原子との結合位置を示す。
但し、Rs、Rt、Ru、Rv、Rw、Rx、Ry及びRzのうち少なくとも1つ以上は、式(6)で表される1価の基である。〕
R55は、炭化水素基を示し、
Z3及びZ4は、それぞれ独立して、−(C=O)OR56(R56は炭化水素基を示す)、水素原子、1価の有機基、又はハロゲン原子を示し、
*は、結合手を示す。〕
R31〜R54は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は上記式(6)で表される1価の基を示す。
但し、R31〜R54のうち少なくとも1つ以上は、上記式(6)で表される1価の基である。〕
本発明のイリジウム錯体は、常法や文献(特開2004−168756号公報、国際公開第2012/057139号パンフレット、J. Poly. Sci. Part A: Poly. Chem., 46, 7517-7533, 2008.等)を参考にして合成することができる。加水分解や縮合反応、保護反応、脱保護反応等を必要に応じて適宜組み合わせて行ってもよい。
本発明のイリジウム錯体を合成する具体的な方法としては、例えば、以下の方法1〜4が挙げられる。
方法1:式(2)で表される1価の基を置換基として有する2−フェニルピリジン、又は式(2)で表される1価の基及び炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する2−フェニルピリジン(以下、これらを「ピリジン誘導体α」とも総称する)を鈴木カップリング反応等により調製し、2−フェニルピリジンを配位子とする塩素架橋2核イリジウム錯体([Ir(ppy)2Cl]2)又は炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する2−フェニルピリジンを配位子とする塩素架橋2核イリジウム錯体に、ピリジン誘導体αを有機配位子として反応させる方法。
方法2:ピリジン誘導体αと塩化イリジウム・3水和物とを反応させ、得られた塩素架橋2核イリジウム錯体に、2−フェニルピリジンを有機配位子として反応させる方法。
方法3:ピリジン誘導体αと塩化イリジウム・3水和物とを反応させ、得られた塩素架橋2核イリジウム錯体に、ピリジン誘導体αを有機配位子として反応させる方法。
なお、方法1〜3で用いるピリジン誘導体αとしては、例えば、6−フェニルピリジン−3−イル)メタノール等が挙げられる。
ここで、合成中間体δとしては、本発明の合成中間体が好ましく、式(5)で表されるイリジウム錯体がより好ましい。本発明の合成中間体は、本発明のイリジウム錯体の合成に有用な新規化合物である。本発明の合成中間体は、基βとしてエステル結合を有し、加水分解によって、カルボキシ基を親水性基として有するイリジウム錯体を誘導できる。また、この得られた錯体に、カルボキシ基以外の親水性基を有するアミン(例えば、N,N−ジメチルエチレンジアミン、(2−アミノエチル)トリフェニルホスホニウム臭素塩等)を反応させることで、カルボキシ基以外の親水性基を有するイリジウム錯体を簡便に得ることもできる。
したがって、本発明のイリジウム錯体は、低酸素プローブ等の酸素濃度測定試薬として有用であり、酸素濃度測定方法に用いることができる。また、本発明のイリジウム錯体は、発現される緑色りん光が一般に使用されるフィルタを用いて観察できる色調であり、しかも、平面培養細胞内、スフェロイド内のいずれの酸素濃度測定にも用いることができるため、酸素濃度測定試薬として広範に利用することができる。また、本発明のイリジウム錯体は、細胞毒性が低い。
本発明の酸素濃度測定試薬は、本発明のイリジウム錯体を含むものである。
本発明のイリジウム錯体の含有量は、本発明の酸素濃度測定試薬中、通常0.005〜5質量%であり、好ましくは0.01〜1質量%である。
また、本発明の酸素濃度測定試薬は、溶剤等を含んでいてもよい。溶剤としては、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;エタノール、メタノール等のアルコール類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の酸素濃度測定方法は、本発明のイリジウム錯体を用いるものである。当該測定方法は、本発明のイリジウム錯体を用いる以外は特許文献1〜3等に記載の方法や常法と同様にして行えばよい。また、本発明のイリジウム錯体の使用量は、最終濃度で、通常0.01〜100μMであり、好ましくは0.05〜50μMである。
また、下記式で表されるイリジウム錯体(fac−Ir(ppy)3)は、SIGMA−ALDRICHより購入して使用した。なお、式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
フェニルボロン酸(3.1g,25.4mmol)、(6−クロロピリジン−3−イル)メタノール(3.4g,23.7mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.1g,0.95mmol)を、トルエン(75mL)、エタノール(25mL)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(50mL)の混合液に加え、窒素ガス雰囲気下で6時間還流した。これを室温に冷却後、脱イオン水を加え、クロロホルムで抽出を行い、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)を用いて精製した((6−フェニルピリジン−3−イル)メタノール,4.0g,21.6mmol,91%)。
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 8.66(s, 1H), 7.99-7.98(d, 2H), 7.82-7.74(dd, 2H), 7.50-7.40(m, 3H), 4.77(s, 2H)
[Ir(ppy)2Cl]2(1.09g,1.02mmol)及び上記(1)で得た(6−フェニルピリジン−3−イル)メタノール(0.55g,2.97mmol)を2−エトキシエタノール(50mL)に溶解させ、20分間窒素バブリングを行った。その後、トリフルオロ酢酸銀(0.68g,3.08mmol)を素早く加え、窒素ガス雰囲気下110℃で溶液を18時間撹拌した。これを室温に冷却後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとメタノールの混液,クロロホルム:メタノール=96:4,v/v)を用いて精製した。さらにリサイクル型分取クロマトグラフィーを用いて精製した((ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH),0.45g,0.65mmol,32%)。
1HNMR(400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.14-8.08 (m, 3H), 7.81-7.70 (m, 6H), 7.50-7.48 (d, 3H), 7.15-7.11 (t, 3H), 6.81-6.77 (m, 3H), 6.70-6.62 (m, 6H), 5.21-5.18 (t, 1H), 4.34-4.33 (d, 2H)
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)2Ir(ppy−5−CH2COOH)」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)2Ir(ppy−5−CH2COOH)における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
フェニルボロン酸(3.5g,28.7mmol)、2−(6−クロロピリジン−3−イル)酢酸エチル(5.2g,26.1mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.1g,0.95mmol)を、シクロペンチルメチルエーテル(80mL)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(40mL)の混合液に加え、窒素ガス雰囲気下で15時間還流した。これを室温に冷却後、脱イオン水を加え、クロロホルムで抽出を行い、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)を用いて精製した(2−(6−フェニルピリジン−3−イル)酢酸エチル,3.2g,13.3mmol,51%)。
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ: 8.58(s, 1H), 7.97-7.95(d, 2H), 7.73-7.68(d, 2H), 7.50-7.40(m, 3H), 4.21-4.13(q, 2H), 3.67(s, 2H), 1.28-1.22(t, 3H)
2−フェニルピリジン(0.98g,6.3mmol)及び塩化イリジウム・3水和物(1.06g,3mmol)を、2−エトキシエタノール(100mL)と水(30mL)の混合液に懸濁させ、15時間還流を行った。これを室温に冷却後、生成した黄色沈殿をろ別し、この固形物をメタノール及びヘキサンで洗浄し、[Ir(ppy)2Cl]2を得た(1.4g,1.3mmol,87%)。次いで、[Ir(ppy)2Cl]2(0.54g,0.50mmol)及び上記(1)で得た2−(6−フェニルピリジン−3−イル)酢酸エチル(0.35g,1.45mmol)を2−エトキシエタノール(40mL)に溶解させ、20分間窒素バブリングを行った。その後、トリフルオロ酢酸銀(0.34g,1.54mmol)を素早く加え、窒素ガス雰囲気下110℃で溶液を18時間撹拌した。これを室温に冷却後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルムとメタノールの混液,クロロホルム:メタノール=98:2,v/v)を用いて精製した((ppy)2Ir(ppy−5−CH2COOEt),0.30g,0.40mmol,40%)。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.15-8.09 (m, 3H), 7.82-7.72 (m, 6H), 7.50-7.42 (m, 3H), 7.15-7.11 (t, 2H), 6.82-6.78 (t, 3H), 6.72-6.62 (m, 6H), 4.02-3.96 (q, 2H), 3.57 (s, 2H), 1.09-1.08(t, 3H)
上記(2)で得た(ppy)2Ir(ppy−5−CH2COOEt)(250mg,0.34mmol)及び水酸化リチウム・1水和物(60mg,1.43mmol)を、テトラヒドロフラン(30mL)、エタノール(10mL)及び水(20mL)の混合液に溶解させ、80℃で15時間撹拌した。これを室温に冷却後、5N塩酸を加えて溶液のpHを約3にした。この溶液に脱イオン水を加え、クロロホルムで抽出を行い、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去した((ppy)2Ir(ppy−5−CH2COOH),278mg,0.39mmol,98%)。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.18-8.08 (m, 3H), 7.78-7.70 (m, 6H), 7.50-7.42 (m, 3H), 7.14-7.10 (m, 2H), 6.82-6.75 (m, 3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 3.46-3.42 (d, 2H)
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)2Ir(ppy−5−CH2DM)」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)2Ir(ppy−5−CH2DM)における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.13-8.11 (d, 2H), 8.09-8.07 (d, 1H), 7.94-7.92 (t, 1H), 7.80-7.68 (m, 6H), 7.49-7.45 (t, 3H), 7.39 (s, 1H), 7.14-7.11 (t, 2H), 6.82-6.76 (m, 3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 3.27 (s, 2H), 3.07-3.03 (m, 2H), 2.20-2.18 (m, 2H), 2.10, (s, 6H)
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)2Ir(ppy−5−CH2TPP)」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)2Ir(ppy−5−CH2TPP)における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.42-8.40 (t, 1H), 8.15-8.13 (d, 1H), 8.08-8.04 (d, 2H), 7.88-7.62 (m, 21H), 7.48-7.44 (d, 2H), 7.36 (s, 1H), 7.11-7.07 (m, 2H), 6.72-6.76 (m, 3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 3.70-3.64 (q, 2H), 3.19-3.17(d, 2H)
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy−5−CH2OH)3Ir」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy−5−CH2OH)3Irにおける式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.11-8.09 (d, 3H), 7.74-7.70 (t, 6H), 7.51-7.50 (d, 2H), 7.48 (s, 1H), 6.81-6.87 (m, 3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 5.22-5.20 (q, 3H), 4.37-4.35 (d, 1H), 4.34-4.33 (d, 2H)
下記式で表されるイリジウム錯体(以下、「(ppy)Ir(ppy−5−CH2OH)2」とも称する)を以下の合成経路に従って合成した。なお、(ppy)Ir(ppy−5−CH2OH)2における式中の窒素原子とイリジウム原子との間の実線は配位結合である。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.13-8.07 (m, 3H), 7.79-7.70 (m, 6H), 7.50-7.48 (d, 3H), 7.15-7.12 (t, 1H), 6.71-6.77 (3H), 6.70-6.60 (m, 6H), 5.22-5.20 (t, 2H), 4.34-4.33 (d, 4H)
fac−Ir(ppy)3、実施例1〜5で得たイリジウム錯体の吸収スペクトル及びりん光スペクトルを以下の条件で測定した。結果を図1−1、図1−2に示す。
(吸収スペクトル測定条件)
装置:紫外可視分光光度計(Jasco製Ubest−V550)
溶媒:アセトニトリル(空気飽和下)
測定温度:22℃
(りん光スペクトル測定条件)
装置:蛍光光度計(浜松ホトニクス製C10027−01)、絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス製C9920−01)、蛍光寿命計(浜松ホトニクス製C11367)
溶媒:アセトニトリル(真空脱気、空気飽和下)
測定温度:22℃
fac−Ir(ppy)3、実施例1〜6で得たイリジウム錯体をアセトニトリルにそれぞれ溶解させ、絶対発光量子収率測定装置(浜松ホトニクス製C9920−01)及び蛍光寿命計(浜松ホトニクス製C11367)を使用し真空脱気下又は空気飽和下で、真空脱気下のりん光寿命(τp 0 (μs))、空気飽和下のりん光寿命(τp (ns))、真空脱気下のりん光量子収率(Φp 0)、空気飽和下のりん光量子収率(Φp)をそれぞれ測定した。そして、真空脱気下のりん光寿命と空気飽和下のりん光寿命からτp 0/τpを算出し、真空脱気下のりん光量子収率と空気飽和下のりん光量子収率からΦp 0/Φpを算出した。
結果を表1に示す。なお、τp 0/τp又はΦp 0/Φpの値が5を超えていれば低酸素応答性は概ね充分といえる。
HT29細胞(1.2×106個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地10mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、3次元培養プレート(SCIVAXライフサイエンス社製NCP−LH384)のウェルに、細胞数が3,000cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加し、5%炭酸ガス雰囲気下、37℃で6日間培養した。その後、fac−Ir(ppy)3を5.0μMの最終濃度でウェルに添加し、fac−Ir(ppy)3の添加から24時間経過後、NexCelome社製Celigo(蛍光チャネル:Green)を用いてりん光顕微画像を撮影し(ex/em:483nm/536nm、露光時間:10000μs)、スフェロイド内移行性を確認した。
また、実施例1〜4で得たイリジウム錯体についても、上記と同様の操作を行い、スフェロイド内移行性を確認した。さらに、実施例1〜4で得たイリジウム錯体については最終濃度10.0μMの試験も行った。
結果を図2−1〜図2−5に示す。なお、スフェロイドのサイズは約100μmになっていた。
これに対し、実施例1〜4で得たイリジウム錯体については、スフェロイド内への移行が確認された(図2−2〜図2−5)。
特に、実施例1で得た(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)、実施例2で得た(ppy)2Ir(ppy−5−CH2COOH)は、5.0μM、10.0μMいずれの濃度でも非常に高い移行性を示した(図2−2、図2−3)。また、実施例1で得た(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)は、バックグラウンドの上昇もみられなかった(図2−2)。
HeLa細胞と10%(v/v)FBS含有DMEM培地4mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、平面培養シャーレ(グライナー社製4区画シャーレ)のウェルに上記細胞懸濁液を添加した。次に、実施例1で得たイリジウム錯体を500nMの最終濃度でウェルに添加し、常酸素条件下(酸素濃度:21体積%)、37℃で2時間培養した。その後、10%(v/v)FBS含有DMEM培地、DMEM培地(FBS(−))でそれぞれ2回ずつ洗浄し、オリンパス社製IX−71及びPHOTOMETRICS社製Evolve512を用いてりん光顕微画像を撮影し(励起波長:450〜500nm、観測波長:515〜565nm、対物レンズ×100)、平面培養細胞内移行性を確認した。
また、実施例2〜4で得たイリジウム錯体についても、上記と同様の操作を行い、平面培養細胞内移行性を確認した。
結果を図3に示す。
HeLa細胞(4.5×106個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地15mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、平面培養プレート(グライナー社製96穴ブラックプレート)のウェルに、細胞数が3.0×104cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加した。次に、実施例1で得たイリジウム錯体を500nMの最終濃度でウェルに添加し、常酸素条件下(酸素濃度:21体積%)、37℃で2時間培養した。その後、10%(v/v)FBS含有DMEM培地、DMEM培地(FBS(−))でそれぞれ2回ずつ洗浄し、Tecan社製Infinite Pro 200を用いてりん光強度測定を実施した(励起波長:450nm、観測波長:530nm)。
また、実施例2〜4で得たイリジウム錯体についても、上記と同様の操作を行い、平面培養細胞内りん光強度を測定した。
その結果、実施例1、2、3で得たイリジウム錯体はりん光強度が特に強く、実施例4で得たイリジウム錯体の約3.7倍(実施例1)、約2.6倍(実施例2)、約12.2倍(実施例3)のりん光強度を示した。
実施例1、3で得たイリジウム錯体について、平面培養細胞内低酸素応答性を確認した。
すなわち、試験例5におけるりん光強度の測定を行った後に、実施例1、3で得たイリジウム錯体を添加したHeLa細胞を、酸素濃度10体積%、37℃で2時間更に培養し、Tecan社製Infinite Pro 200を用いてりん光強度を求めた(ex/em:450nm/530nm)。次に、酸素濃度2.5体積%、37℃で2時間更に培養し、Tecan社製Infinite Pro 200を用いてりん光強度を求めた(ex/em:450nm/530nm)。その後、試験例5で求めたりん光強度(常酸素条件下(酸素濃度:21体積%))を100%として、酸素濃度10体積%、酸素濃度2.5体積%で培養した後のりん光強度の相対値をそれぞれ算出した。
結果を表2に示す。
HT29細胞又はPANC−1細胞(1.2×106個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地10mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、3次元培養プレート(SCIVAXライフサイエンス社製NCP−LH384)のウェルに、細胞数が3,000cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加した。次に、fac−Ir(ppy)3を0.5μM又は5.0μMの最終濃度でウェルに添加し、5%炭酸ガス雰囲気下、37℃で7日間培養した。その後、CellTiter−Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assayを使用し、このキットのプロトコルに従って、イリジウム錯体を添加していないネガティブコントロールに対する細胞生存率を求めた。
また、実施例1、2、5で得たイリジウム錯体についても、上記と同様の操作を行い、細胞生存率を求めた。
結果を表3〜6に示す。
A549細胞(1.2×106個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地10mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、3次元培養プレート(SCIVAXライフサイエンス社製NCP−LH384)のウェルに、細胞数が3,000cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加し、5%炭酸ガス雰囲気下、37℃で6日間培養した。その後、実施例1で得たイリジウム錯体を、1.0μM、2.0μM、5.0μM、7.5μM又は10.0μMの最終濃度でウェルに添加し、イリジウム錯体の添加から24時間経過後、NexCelome社製Celigo(蛍光チャネル:Green)を用いてりん光顕微画像を撮影し(ex/em:531nm/629nm、露光時間:10000μs)、NexCelome社製Celigoの解析プログラムを使用して、直径40〜110μmの範囲のスフェロイド、直径1〜40μmの範囲のスフェロイドについて、スフェロイド内りん光強度をそれぞれ数値化した。
また、実施例5で得たイリジウム錯体を用いて上記と同様の操作を行い、直径40〜110μmの範囲のスフェロイド、直径1〜40μmの範囲のスフェロイドについて、スフェロイド内りん光強度をそれぞれ数値化した。
直径40〜110μmの範囲のスフェロイドについて解析した結果を図4−1に示し、直径1〜40μmの範囲のスフェロイドについて解析した結果を図4−2に示す。
なお、図4−1、図4−2の縦軸Total Intensityは、スフェロイドの個数とIntensityとの積である(n=2の平均値)。
実施例1で得た(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)の低酸素領域検出能を、市販の低酸素プローブ(SCIVAXライフサイエンス社製LOX−1)と比較した。なお、SCIVAXライフサイエンス社製LOX−1は、赤色りん光を発するイリジウム錯体を含有する低酸素プローブである。
すなわち、HT29細胞又はPANC−1細胞(1.2×106個)と10%(v/v)FBS含有DMEM培地10mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、3次元培養プレート(SCIVAXライフサイエンス社製NCP−LH384)のウェルに、細胞数が3,000cells/wellとなるように上記細胞懸濁液を添加し、5%炭酸ガス雰囲気下、37℃で6日間培養した。その後、実施例1で得た(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)とLOX−1をそれぞれ2.5μMの最終濃度でウェルに添加し、当該添加から24時間経過後、NexCelome社製Celigoを用いて以下の条件でりん光顕微画像を撮影した。
((ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)のりん光顕微画像撮影条件)
蛍光チャネル:Green、ex/em:483nm/536nm、露光時間:4000μs
(LOX−1のりん光顕微画像撮影条件)
蛍光チャネル:Red、ex/em:531nm/629nm、露光時間:40000μs
実施例1で得た(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)によるHT29細胞の低酸素領域検出結果を図5−1に示し、LOX−1によるHT29細胞の低酸素領域検出結果を図5−2に示す。
また、実施例1で得た(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)によるPANC−1細胞の低酸素領域検出結果を図5−3に示し、LOX−1によるPANC−1細胞の低酸素領域検出結果を図5−4に示す。
HeLa細胞と10%(v/v)FBS含有DMEM培地4mLを混合して細胞懸濁液を調製した。次いで、平面培養シャーレ(グライナー社製4区画シャーレ)のウェルに上記細胞懸濁液を添加した。次に、実施例1で得た(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)と下記式で表されるBTPDM1(赤色りん光を発し、リソソームに局在化するイリジウム錯体)をそれぞれ500nMの最終濃度でウェルに添加し、常酸素条件下(酸素濃度:21体積%)、37℃で2時間培養した。
(ppy)2Ir(ppy−5−CH2OH)とBTPDM1でイメージングしたりん光顕微画像を、図6−1、図6−2に示す。
また、実施例5で得た(ppy−5−CH2OH)3Irを用いて、上記と同様の操作で(ppy−5−CH2OH)3IrとBTPDM1による多色イメージングを行った。
(ppy−5−CH2OH)3IrとBTPDM1でイメージングしたりん光顕微画像をを、図6−3、図6−4に示す。
なお、図6−1〜図6−4の(a)は、励起波長:450〜500nm、観測波長:515〜565nmのフィルタを用いたりん光顕微画像であり、図6−1〜図6−4の(b)は、励起波長:480〜550nm、観測波長:>590nmのフィルタを用いたりん光顕微画像である。
Claims (10)
- 下記式(1)で表されるイリジウム錯体。
R1 は、下記式(2)で表される1価の基を示し、R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は下記式(2)で表される1価の基を示し、R 4 〜R 24 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
Xは、下記式(3)で表される1価の基を示し、
Z1及びZ2は、水素原子を示し、
*は、結合手を示す。〕
R 25 は、単結合、炭素数1〜6のアルカンジイル基、又は炭素数1〜6のアルカンジイル基の炭素原子の一部がアミド結合に置き換わった基を示し、
Yは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第1級アミノ基、C1〜3アルキルアミノ基、N,N−ジC1〜3アルキルアミノ基又は下記式(4)で表される基を示し、
*は、結合手を示す。〕
R 26 〜R 28 は、それぞれ独立して、非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子が置換している炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示し、
*は、結合手を示す。〕 - Yが、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第1級アミノ基、C1〜3アルキルアミノ基又はN,N−ジC1〜3アルキルアミノ基である、請求項1に記載のイリジウム錯体。
- Yが、ヒドロキシ基、カルボキシ基又はN,N−ジC1〜3アルキルアミノ基である、請求項1に記載のイリジウム錯体。
- R 25 が、単結合、又は炭素数1〜6のアルカンジイル基の炭素原子の一部がアミド結合に置き換わった基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイリジウム錯体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のイリジウム錯体を含む、酸素濃度測定試薬。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のイリジウム錯体を含む、スフェロイド内酸素濃度測定試薬。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のイリジウム錯体を用いる、酸素濃度測定方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のイリジウム錯体を用いる、スフェロイド内の酸素濃度を測定する方法。
- R 55 が、炭素数1〜12のアルキル基である、請求項9に記載のイリジウム錯体。
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