JP6932283B1 - トンネルインバートの施工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、トンネル底部の底面インバート上にトンネル軸方向に沿って管材を設置し、底面インバート上を埋め戻し材で埋め戻すことで、トンネルインバート内に管材を埋設する工法が開示されている。
この他、トンネル底部に断面弧状を呈する底面インバートを設置し、底面インバートを妻型枠で区画した打設空間内にトンネル軸方向に沿って管体を敷設し、打設空間内に中詰めコンクリートを打設してトンネルインバートを構築する工法が存在する。
具体的には、例えば底面インバートにおける管体の両側にアンカーを固定し、両アンカーと管体とをワイヤ等で連結して、管体を底面インバートに固定する。この際、管体への応力集中を防ぐため、管体の長手方向1m程度ごとにアンカーと連結する必要があり、固定作業に手間と時間がかかる。
また、従来技術のようにアンカーやワイヤを埋め殺しせず、浮上防止体を繰り返し利用できるため、資材コストが安価である。
<1>全体の構成(図1)
本発明のトンネルインバートの施工方法は、山岳トンネル工事において、トンネル底部に設けた打設空間B内に管体1を埋設したトンネルインバートAを構築する工法である。
トンネルインバートの施工方法は、管体設置工程S1と、浮上防止体設置工程S2と、打設工程S3と、を少なくとも備える。
本例では、前施工スパンで構築したトンネルインバートA’の切羽側にトンネルインバートAを構築する例について説明する。
管体設置工程S1の前工程として、本施工スパンのトンネル底部に、中央が両側より低い断面弧状を呈する底面インバートA1を設置する。底面インバートA1の設置方法については公知なのでここでは詳述しない。
底面インバートA1の切羽側に妻型枠Cを配置して、妻型枠Cと前施工スパンのトンネルインバートA’によって打設空間Bを画設する。妻型枠Cには、管体1を挿通するための孔を設ける。
前施工スパンのトンネルインバートAの端面から打設空間B内へ、前工程の管体1の端部が延出する。
打設空間B内には、設計に応じた鉄筋を配筋する(不図示)。
管体設置工程S1は、打設空間B内に管体1を設置する工程である。管体設置工程S1は、例えば以下の手順で行う。
打設空間B内に管体1の埋設高さ調整用の支持材4(ウマ)を配置する。
支持材4の個数と配置間隔は設計に応じて適宜設定することができる。また、支持材4を介在させず、管体1を底面インバートA1上に直接設置してもよい。
支持材4の上にトンネル軸方向に沿って管体1を配置する。管体1の設置位置は問わない。
本例の管体1は、中空らせん構造からなるポリエチレン製のドレーン管である。ただし管体1の構造、素材、及び用途はこれに限られず、トンネル工事においてトンネルインバートA内に埋設する管体であればいずれにも適用できる。
管体1の坑口側の端部を、前施工スパンの管体1’の切羽側の端部と連結する。管体1の接続方法は、クランプ治具による方法、継手材による方法、溶着による方法等の適宜の方法を採用することができる。
浮上防止体設置工程S2は、管体1の管内に浮上防止体2を設置する工程である。
浮上防止体2は、管体1内に挿入可能な長尺状の部材であって、後述する打設工程S3において、インバートコンクリート3内における管体1の浮力を相殺可能な重量を備える。
本例では浮上防止体2として、先端を閉塞した可撓性筒状体21と、可撓性筒状体21内に充填した充填材22と、の組合せを採用する。
可撓性筒状体21は、例えば先端を閉塞したゴムチューブである。ただしこれに限らず、ポリエチレン製の筒状体等、要は充填材22を漏らさずに充填可能な長尺状の袋体であればよい。
充填材22は、例えば水である。ただしこれに限らず、可撓性筒状体21内に充填可能な流体、特に液体であればよい。
本例では、浮上防止体設置工程S2が、筒状体挿入工程S21と、充填工程S22と、を含む。
筒状体挿入工程S21は、管体1の管内に可撓性筒状体21を挿入する工程である。筒状体挿入工程S21は、例えば以下の手順で行う。
管体1の切羽側の開口から、管体1の内部に可撓性筒状体21を差し入れる。
詳細には、棒材などを使って、可撓性筒状体21の閉塞端を先にして管体1の奥(坑口側)へ挿入する。
可撓性筒状体21の挿入深さは、管体1の全長とするのが望ましいが、後述する打設工程3において管体1の浮き上がりを防止可能な重量とバランスを確保できれば、全長でなくてもよい。
充填工程S22は、可撓性筒状体21の内部に充填材22を充填する工程である。充填工程S22は、例えば以下の手順で行う。
管体1内に挿入した可撓性筒状体21の開放端から、可撓性筒状体21内にホースを差し入れ、可撓性筒状体21内に充填材22を注入する。
可撓性筒状体21内に所定重量の充填材22を充填することで、管体1内に管体1の長手方向に延在する浮上防止体2が構成される。
充填材22の充填後、可撓性筒状体21の開放端部を閉じる。開放端部を閉じる方法は、例えば開放端部を番線で縛る、クランプ治具で留める、ゴムチューブの端部を結ぶ等の適宜の方法を選択することができる。
打設工程S3は、打設空間B内にインバートコンクリート3を打設する工程である。打設工程S3は、例えば以下の手順で行う。
打設空間B内にインバートコンクリート3を打設する。
この際、打設空間B内の管体1には、流体のインバートコンクリート3による大きな浮力が働くが、予め浮上防止体設置工程S2によって管体1内の長手方向にわたって浮上防止体2を配置してあるため、浮上防止体2の荷重が管体1に働く浮力を相殺することで、管体1のインバートコンクリート3からの浮き上がりを防止することができる。
インバートコンクリート3の硬化によって、打設空間内に管体1を埋設した中詰めインバートA2が構築され、底面インバートA1及び中詰めインバートA2によって、本施工スパンにおけるトンネルインバートAが完成する。
可撓性筒状体21の端部を開放して、可撓性筒状体21内から充填材22を排出する。
充填材22を排出して軽くなった可撓性筒状体21を、管体1の内部から切羽側へ引き抜く。可撓性筒状体21は、後続する施工スパンにおいて繰り返し使用することができる。
妻型枠Cを取り外す。
以上の各工程を坑口側から切羽側へ繰り返し、トンネル内に連続したトンネルインバートAを構築する。
浮上防止体設置工程S2は、筒状体挿入工程S21と充填工程S22の組合せに限られない。
例えば浮上防止体設置工程S2において、予め可撓性筒状体21内に充填材22を封入して浮上防止体2を構成しておいて、これを管体1内に挿入してもよい。
また、浮上防止体2は、可撓性筒状体21と充填材22の組合せに限られず、例えば、先端を閉塞した樹脂製パイプと充填材22の組合せ、鋼管、又は鉄筋等であってもよい。要は、管体1内に挿入可能な長尺体であって、打設工程S3において管体1の浮き上がりを防止可能な重量を備えていればよい。
2 浮上防止体
21 可撓性筒状体
22 充填材
3 インバートコンクリート
4 支持材
A トンネルインバート
A1 底面インバート
A2 中詰めインバート
B 打設空間
C 妻型枠
S1 管体設置工程
S2 浮上防止体設置工程
S21 筒状体挿入工程
S22 充填工程
S3 打設工程
Claims (5)
- 山岳トンネル工事において、トンネル底部に設置した底面インバート上の打設空間内にトンネルインバートを構築する、トンネルインバートの施工方法であって、
前記打設空間内にトンネル軸方向に沿って管体を設置する、管体設置工程と、
前記管体の管内に長尺状の浮上防止体を設置する、浮上防止体設置工程と、
前記打設空間内にインバートコンクリートを打設して前記インバートコンクリート内に前記管体を埋設する、打設工程と、を備え、
前記浮上防止体が、硬化前の前記インバートコンクリート内における前記管体の浮力を相殺可能な重量を備えることを特徴とする、
トンネルインバートの施工方法。 - 前記浮上防止体が、先端を閉塞した可撓性筒状体と、前記可撓性筒状体内に充填した充填材からなり、前記充填材が流体であることを特徴とする、請求項1に記載のトンネルインバートの施工方法。
- 前記浮上防止体設置工程が、前記管体の管内に前記可撓性筒状体を挿入する筒状体挿入工程と、前記可撓性筒状体の内部に前記充填材を充填する充填工程と、を有することを特徴とする、請求項2に記載のトンネルインバートの施工方法。
- 前記充填材が水であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のトンネルインバートの施工方法。
- 前記管体設置工程において前記管体を支持材の上に設置することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトンネルインバートの施工方法。
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