<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る対象物受け箱1を示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。図2は、図1(B)のA−A断面図である。以下の説明では、対象物受け箱1を通常の使用態様で設置したときにおける鉛直方向を単に「鉛直方向」といい、鉛直方向において鉛直上方へ向かう向きを「上向き」、鉛直下方へ向かう向きを「下向き」(図1(A)、(B)、(C))とする。また、対象物受け箱1の前面に相対して対象物受け箱1を正面視したときの左右方向を単に「左右方向」といい、左右方向において右へ向かう向きを「右向き」、左へ向かう向きを「左向き」(図1(A)、(C))とする。また、対象物受け箱1の前面に相対して対象物受け箱1を正面視したときの奥行き方向を単に「奥行き方向」といい、奥行き方向において奥へ向かう向きを「奥向き」、手前へ向かう向きを「手前向き」(図1(B))とする。
対象物受け箱1は、戸建住宅、集合住宅、オフィスビル等の様々な場所に設置され、郵便物、新聞紙、配布物等の対象物2を収容する箱であり、郵便受け、郵便箱と呼ばれることもある。例えば戸建住宅においては、玄関先に対象物受け箱1が設置され、また例えば集合住宅やオフィスビルにおいては、専用のスペースに複数の対象物受け箱1が並べて設置される。対象物受け箱1は、対象物受け箱1へ投函されることが、対象物受け箱1が設けられた国や地域(以下、「設置地域」という)において一般的に想定されるサイズの対象物2を収容することを前提としており、新聞、ハガキ、A4サイズの封筒、極端に分厚くないダンボール(例えば、少数冊の雑誌、少数冊の単行本、アクセサリ等の小物等が封入されたダンボール箱)等を収容することが可能である一方、電気シェーバ等の電化製品、缶ジュース等の贈答品が封入された厚みのあるダンボール箱等は投入口3(後述)に入らず、対象物受け箱1に収容することができない。
図1、2で示すように、対象物受け箱1は、外形が直方体であり、内部に空洞4(図2。以下「箱内部空洞4」という)が形成された箱本体5を備えている。箱本体5は、前面パネル7、右側面パネル8、左側面パネル9、天面パネル10、底面パネル11、背面パネル12を備えている。本実施形態に係る箱本体5のサイズは、設置地域(対象物受け箱1が設置される国や地域)の郵便物のサイズに関する規格を考慮して決定される。例えば、対象物受け箱1のサイズは、設置地域において規格化されている所定サイズのレターパックが投入でき、かつ、収容できるようにするという観点を考慮して決定される。図1で示すように、箱本体5は、高さおよび奥行きが幅よりも十分に大きく、幅薄縦長で左右の側面が広い箱形の物体である。図1,2で示すように、箱本体5を区切りK1で鉛直方向に2分割したときの上部には投入部14が形成され、下部には収容部15が形成される。
収容部15は、投入部14の下方(鉛直下方)に設けられ、投入口3を介して後述する方法で投入部14に投入された後、落下する対象物2を受け止め、収容する。図1、2で示すように、収容部15は、正面視したときの幅が小さく鉛直方向の長さが長い幅薄縦長で、左右の側面が広い箱形に形成されている。すなわち、収容部15の外形は幅薄縦長である。後に明らかとなる通り、収容部の外形が幅薄縦長である点は他の実施形態でも同様である。収容部15の内部には、対象物2を収容可能な空間である収容室16が形成されている。収容部15の幅、高さ、奥行きは以下の方法で設定されている。すなわち、対象物受け箱1の設計時に、対象物受け箱1に収容可能な最大のサイズの対象物2(以下「最大対象物」と表現する場合がある)のサイズが定義される。最大対象物のサイズは、例えば、設置地域において規格化された郵便物のサイズうち、対象物受け箱1への投入を許可する最も大きいサイズとされる。
収容部15の幅は、収容部15に収容可能な対象物2の量に影響する一方、幅を大きくするほど対象物受け箱1が大型化する。これを踏まえ、収容部15の幅は、収容部15に十分な量の対象物2を一度に収容できるようにし、かつ、できるだけ小さくするという観点で設定される。例えば、収容部15の幅は、所定個数の最大対象物を一度に収容でき、かつ、できるだけ小さくなるように設定される。収容部15の幅が定まることにより対象物受け箱1および投入部14の幅が定まる。
また、収容部15の奥行きは、収容可能な対象物2の奥行きを規制する一方、奥行きを大きくするほど対象物受け箱1が大型化する。これを踏まえ、収容部15の奥行きは、最大対象物を収容でき、かつ、できるだけ小さくなるよう、最大対象物の奥行きよりも若干大きい値に設定されている。なお収容部15の奥行きが定まることにより対象物受け箱1および投入部14の奥行きが定まる。
また、収容部15の高さは、想定される範囲内の量で複数の対象物2を収容したときに、対象物2が上限位置J1を上方側に越えて延出しないようにするという条件を満たし、かつ、できるだけ小さくなるように設定されている。上限位置J1は、収容部15の上端(=区切りK1の位置)よりも所定のマージンだけ下方側の位置である。上記条件を満たすようにする理由は、投入口3から収容部15に収容された対象物2までの距離をできるだけ遠くし、手や対象物2を取り出すための何らかの部材(以下「手等」という)を対象物2に接触し難くし、対象物2の盗難の危険性を低減するためである。また、収容部15の高さをできるだけ小さく設定する理由は、対象物受け箱1の大型化を防止するためである。例えば、上限位置J1は、所定個数の最大対象物を収容部15に収容したときに、全ての対象物2のあらゆる部位が上限位置J1を上方側に越えて延出せず、かつ、できるだけ小さくなるように設定される。
図1(C)で示すように、対象物受け箱1の箱本体5の背面パネル12において、収容部15に対応する領域のほぼ全域には、開閉扉17が設けられている。開閉扉17は、下端部に設けられたヒンジを中心として回動する扉である。開閉扉17にはダイヤル式ロック18が設けられており、このダイヤル式ロック18により施錠が可能である。開閉扉17は、図示しない機構によって閉状態からヒンジを中心として90°程度に、回動する範囲が規制される。開閉扉17が閉じられ施錠されているときに、解錠し最大範囲まで回動させると、収容部15の内部の収容室16が広く露出し、収容部15に収容された対象物2を容易に回収できる。
図1(A)で示すように、投入部14の前板20(前面パネル7のうち投入部14の領域に属する部分)には、対象物2を対象物受け箱1に投入するための投入口3が形成されている。投入口3は、特許請求の範囲の「姿勢制御手段」として機能する。なお、投入口が姿勢制御手段として機能することは、後述する各実施形態(ただし、第5実施形態を除く)および各実施形態の変形例についても同様である。投入口3は、対象物受け箱1の箱内部空洞4に連通する貫通孔である。投入口3は、投入部14の前板20において、鉛直方向に対して傾いた状態で延在している。より詳細には、図1(A)で示すように、投入口3は、正面視で長方形の投入部14の前板20における右上の頂点21(以下「第1頂点21」という)から、第1頂点21の対頂点である左下の頂点22(以下「第2頂点22」という)へ向かって、鉛直方向に対して傾いた状態で延在している。なお、本実施形態では、投入部14の前板20の頂点のうち、右上の頂点を第1頂点21としているが、第1頂点21とする頂点はどの頂点であってもよく、第1頂点21が1つに定まることにより、第2頂点22も1つに定まる。
図3(A)は、投入部14の前板20の第1頂点21の部分を拡大して示す図である。図3(A)で示すように、投入口3の第1頂点21側の端部23(以下「第1端部23」という)は、投入口3の延びる方向に対して垂直に切られているのではなく、第1頂点21の形状に沿って切り欠かれている。図3(B)は、本実施形態とは別の実施形態であり、投入口3の第1端部23が投入口3の延びる方向に対して垂直に切られている場合の、第1頂点21の部分を拡大して示す図である。説明の便宜のため、図3(B)では、本実施形態に係る要素と同一の機能の要素については同一の符号を付している。図3(A)と図3(B)との比較で明らかな通り、第1端部23が第1頂点21の形状に沿って切り欠かれているため、その分、投入口3の大きさを大きくできる。図1(A)で示すように、投入口3の第2頂点22側の端部24(以下「第2端部24」という)も、投入部14の前板20の第2頂点22の形状に沿って切り欠かれており、投入口3のサイズの拡大が図られている。
投入口3の幅(図1(A)参照)は、最大対象物を投入でき、かつ、できるだけ小さくなるよう、最大対象物の幅よりも若干大きい大きさに設定されている。例えば、最大対象物のサイズが、設置地域の規格を踏まえ、高さ34cm、奥行き25cm、幅3cmに定義されているとする。この場合において、投入口3の幅は4〜5cm程度とされる。投入口3の幅をできるだけ小さくする理由は、投入口3の幅が小さいほど、手等を投入口3に入れることの困難性が増し、対象物2の盗難の危険性を低減できるからである。
投入口3の長さは、最大対象物を投入でき、かつ、できるだけ小さくなるよう、第1端部23および第2端部24の形状を反映して最大対象物の高さよりも若干大きい大きさに設定されている。例えば、最大対象物のサイズが、設置地域の規格を踏まえ、高さ34cm、奥行き25cm、幅3cmに定義されているとする。この場合において、投入口3の長さは40cm程度とされる。なお、投入口3の長さが定まることにより、投入部14の高さが定まる。すなわち、投入部14の幅は、収容部15の幅が上述した方法で定められることによって定まる。そして、投入部14の高さは、所定長の投入口3を、投入部14の幅の範囲内でできるだけ大きく傾け、かつ、その下端ができるだけ区切りK1に近づくように投入部14の前板20に形成した場合に、投入部14の上端が投入口3の上端よりも僅かに上方に位置するような値に設定される。
図4(A)は、本実施形態に係る対象物受け箱1の正面図である。図4(B)は、図4(A)との比較のため、投入口3を鉛直方向に対して傾けずに、鉛直方向に沿って延在させた対象物受け箱1の投入部14を示す図である。説明の便宜のため、図4(B)では、本実施形態に係る要素と同一の機能の要素については同一の符号を付している。図4では、図4(A)の区切りK1の位置と、図4(B)の区切りK1の位置とを一致させている。図4(B)の投入口3の長さは、図4(A)で示す本実施形態に係る投入口3の長さと同じである。本実施形態では、投入口3は、投入部14の前板20第の1頂点21から、第1頂点21の対頂点である第2頂点22へ向かって、鉛直方向に対して傾いた状態で延在している。このため、本実施形態によれば、投入部14の前板20の幅の範囲内で投入口3をできるだけ傾けることができ、これにより、図4(A)と図4(B)との比較で明らかな通り、投入口3の長さを短くすることなくできるだけ投入部14の高さを小さくし、対象物受け箱1の小型化を図ることができる。
図2で示すように、収容部15の収容室16の底には、荷重センサ25が設けられている。荷重センサ25は、収容室16の底に加わる荷重に応じた荷重信号を制御ユニット(不図示)に出力する。制御ユニットは、荷重信号に基づいて収容室16の底に加わる荷重の変化を監視することによって、収容部15に新たに対象物2が収容されたか否かを監視する。制御ユニットは、収容部15に新たに対象物2が収容されたことを検出した場合、収容部15に新たに対象物2が収容されたことをユーザ(基本的には、対象物受け箱1の所有者や管理者)に通知する文章が記述されたメールを、事前に登録されたユーザのメールアドレス宛に送信する。メールの送信は、制御ユニットが単独で実行してもよく、制御ユニットが他の装置と協働して実行してもよい。ユーザは、受信したメールを自身が携帯する携帯端末に表示する等してメールに記述された文章の内容を確認し、対象物受け箱1に新たに対象物2が収容されたことを認識する。以上の処理が行われるため、収容部15に対象物2が収容される度に、ユーザはそのことを認識できる。
なお、収容部15に新たに対象物2が収容されたことをユーザに通知する方法は本実施形態で例示した方法に限られない。例えば、いわゆるアプリプッシュ通知や、メッセージ交換アプリを利用したメッセージの送信等で通知するようにしてもよい。また例えば、収容部15に対象物2が収容されているか否かに応じて、対象物受け箱1の所定の位置に設けられたLEDを異なる態様で発光させることによって、対象物受け箱1の近傍にいるユーザに、対象物受け箱1に対象物2が収容されているか否かを通知するようにしてもよい。また、後述する第2〜第5実施形態では、荷重センサ25を設けていない実施形態を説明するが、各実施形態において荷重センサ25を設け、センサの検出値に基づく処理を実行するようにしてもよい。
次に、対象物受け箱1に対象物2が収容されるときの対象物2の動きについて説明し、併せて対象物受け箱1の構造的特徴がもたらす効果について説明する。図5の各図は、対象物受け箱1の正面図を、最大対象物相当のサイズを有する所定の対象物2と共に示す図である。図5(B)、(C)では、対象物2は箱内部空洞4内に位置しているが、説明の便宜のため、実線によって箱内部空洞4内に位置する対象物2を表している。また、図5(A)→図5(B)→図5(C)の順番で時間が経過している。
今、対象物受け箱1が空の状態(収容部15に対象物2が全くない状態)であるものとする。そして、対象物2が人間によって把持され、対象物2が対象物受け箱1の外側の図5(A)で示す場所に位置している状態(以下「状態Q1」とする)であるとする。状態Q1となった後、対象物2が投入口3を介して対象物受け箱1の箱内部空洞4に投入されると、対象物2は、図5(B)で示すように、箱内部空洞4内を自重により落下していく。
落下中に対象物2に接触する物体はなく、また、箱内部空洞4内では対象物2は風の影響をほとんど受けず、また、対象物2が落下する距離は非常に短い。このため、対象物2は、投入口3の傾きに従って傾いた状態がほとんど維持されたまま、箱内部空洞4内を落下する。箱内部空洞4内を落下する対象物2は、収容室16に進入し、やがて、その下端部が収容室16の底に接触し、その上端部が右側面パネル8の内側に寄りかかった状態となり(図5(C))、この状態で姿勢が安定する。以下、図5(C)で示す対象物2の状態を「状態Q2」とする。このように、本実施形態では、姿勢制御手段として機能する投入口3の構造的特徴に起因して、対象物2は鉛直上方に対して特定の向き(本実施形態では右向き)に傾いた状態で収容部15に収容される。
次に、状態Q2の対象物2を第三者が投入口3から取り出すことを考える。仮に、第三者が投入口3に対象物2を取り出すための部材(先端に対象物2を掴む把持部が設けられているものとし、以下「専用部材」という。)を挿入できたとする。この場合、第三者は、対象物2の部位のうち、その専用部材が一番届きやすく把持しやすい対象物2の上端部を把持し、箱内部空洞4内で対象物2を引き上げ、投入口3から対象物2を排出することを試みるものと想定される。この場合、対象物2を引き上げる過程で、対象物2に作用する重力により、対象物2は、把持された部位から垂れ下がるような姿勢になる。
上述したように、本実施形態に係る対象物受け箱1では、投入口3は、投入部14の前板20において、鉛直方向に対して傾いた状態で延在している。このため、箱内部空洞4内で引き上げた対象物2を投入口3を通して排出するためには、投入口3の傾きに従って対象物2を傾かせ、対象物2に作用する重力に抗してこの姿勢を維持しつつ、対象物受け箱1の内側から外側に向かって対象物2を排出する必要がある。しかしながら、箱内部空洞4に存在する対象物2に対して投入口3を介してこのような力を加える作業は非常に困難性が高く、対象物2を投入口3から排出するのは難しい。このように、本実施形態によれば、投入口3が投入部14の前板20において、鉛直方向に対して傾いた状態で延在しているという構造的特徴に由来して、対象物受け箱1に収容された対象物2を投入口3から取り出す作業が困難化し、盗難の危険性を低減できるという効果を奏する。
なお、上記例では、最大対象物相当の形状およびサイズを有する対象物2の取り出しを試みる場合を例にしたが、投入口3から取り出す作業が困難なのは、最大対象物とはサイズが異なる対象物2についても同様である。また、上記例では、1つの対象物2が収容部15に収容されており、この1つの対象物2を投入口3から取り出す場合を例にして説明したが、複数の対象物2が収容部15に収容されており、その中から1つの対象物2(基本的には、最も遅く収容され、投入口3から最も接触しやすい場所に位置している対象物2)を取り出す場合も、同じ理由で困難性が高い。
また、状態Q2では、対象物2は、鉛直上方に対して投入口3が傾いている方向と同じ側に傾いた状態で姿勢が安定している。ここで、投入口3の鉛直上方に対する傾き、および、収容部15に収容された対象物2の鉛直上方に対する傾きについて説明する。図5(C)を参照し、本実施形態では、対象物受け箱1を正面視したときに、投入口3の下端と上端とを結ぶ線分27(図5(C)において二点鎖線で示す)が、投入口3の下端を端点として鉛直上方に延びる半直線28(図5(C)において矢印で示す)に対して、投入口3の下端を中心として時計回りに90°の範囲で回動している場合、「投入口3が鉛直上方に対して右側(または右向き)に傾いた状態」であるものとしている。一方、線分27が半直線28に対して投入口3の下端を中心として反時計回りに90°の範囲で回動している場合、「投入口3が鉛直上方に対して左側(または左向き)に傾いた状態」であるものとしている。従って、本実施形態では、投入口3は鉛直上方に対して右側に傾いた状態である。
また、図5(C)を参照し、本実施形態では、対象物受け箱1を正面視したときに、対象物2の側面の下端と上端とを結ぶ線分29(図5(C)において二点鎖線で示す)が、対象物2の下端を端点として鉛直上方に延びる半直線30(図5(C)において矢印で示す)に対して、対象物2の下端を中心として時計回りに90°の範囲で回動している場合、「対象物2が鉛直上方に対して右側に傾いた状態」であるものとしている。一方、線分29が半直線30に対して対象物2の下端を中心として反時計回りに90°の範囲で回動している場合、「対象物2が鉛直上方に対して左側に傾いた状態」であるものとしている。従って、図5(C)では、対象物2は鉛直上方に対して右側に傾いた状態である。
そして、投入口3と対象物2とが鉛直上方に対して同じ側に傾いた状態とは、投入口3が鉛直上方に対して右側に傾いており、かつ対象物2が鉛直上方に対して右側に傾いている状態か、若しくは投入口3が鉛直上方に対して左側に傾いており、かつ対象物2が鉛直上方に対して左側に傾いている状態である。
さて、状態Q2(図5(C))では、対象物2は、投入口3と鉛直上方に対して同じ側に傾いた状態で姿勢が安定している。このとき、対象物2が、投入口3と鉛直上方に対して同じ側に傾いていることに起因して、対象物2の上端部は、投入口3の下端部(=第2端部24。図1(A)参照)の鉛直下方に位置せず、投入口3の下端部の鉛直下方から左右方向に離間した場所に位置することになる。例えば、図5(C)では、収容部15に収容された対象物2の傾きに起因して、対象物2の上端部は、投入口3の下端部の鉛直下方に位置せず、投入口3の下端部の鉛直下方から右方に離間した場所に位置している。
ここで、鉛直方向の成分を含む方向に延在する投入口3から手等を挿入して対象物2を取り出す場合、投入口3の部位のうち収容部15に一番近い下端部から手等を挿入し、対象物2の上端部への接触が試みられることが想定される。このため、投入口3の下端部と収容部15に収容された対象物2の上端部とが離れているほど、手等を対象物2に接触させる難易度が増し、対象物2を取り出すことが困難になる。そして本実施形態によれば、投入口3が鉛直方向に対して傾いた状態で設けられているという構造的特徴に由来して、対象物2が収容部15に収容されたときに、投入口3の下端部と収容部15に収容された対象物2の上端部とが左右方向に離間する。このため、収容室16という限られた空間の中で、投入口3の下端部と対象物2の上端部とを効果的に離間させることができ、これにより、対象物2を取り出すことを困難化し、盗難の危険性を低減することができる。
特に、本実施形態では、内部が空洞である直方体上の箱本体5を2分割して投入部14および収容部15が形成されているという構造的特徴、および、投入口3が、投入部14の前板20において、第1頂点21から第2頂点22へ向かって延在しているという構造的特徴がある。そしてこれら構造的特徴により、図5(C)で示すように、対象物2が収容部15に収容されたときに、その上端部が右側面パネル8の内側に寄りかかった状態となり(図5(C))、この状態で姿勢が安定する。このため、対象物2が収容部15に収容されたときに、対象物受け箱1の幅(=収容部15の幅)の範囲内で、投入口3の下端部と対象物2の上端部とを左右方向に最大限離間することができ、これにより、より効果的に対象物2を取り出すことを困難化し、盗難の危険性を低減することができる。
図6の各図は、対象物受け箱1の正面図を、収容部15に収容された対象物2と共に示す図である。上記例では、最大対象物相当のサイズを有する対象物2が1つ、収容部15に収容されている場合を例にした。しかしながら、他の場合も、対象物2が収容部15に収容されたときに、対象物2の上端部と投入口3の下端部とを左右方向に効果的に離間することができる点は同じである。例えば、最大対象物とはサイズが異なる対象物2が収容されている場合(図6(A)参照)、最大対象物とは異なり柔軟性を有する対象物2が収容されている場合(図6(B)参照)、複数の対象物2が収容部15に収容されている場合(図6(C)参照)も、対象物2の上端部と投入口3の下端部とを左右方向に効果的に離間することができる。
ここで、図6(C)で示すように、対象物受け箱1に複数の対象物2が投入され、収容部15に複数の対象物2が収容されると、姿勢制御手段として機能する投入口3の構造的特徴により、複数の対象物2は鉛直方向に対して同じ向き(本実施形態では右向き)に傾いた状態で重なるように堆積してくことになる。対象物2が新たに投入されると、新たに投入された対象物2は投入口3の傾きに従って傾いた状態で落下し、収容部15に既に収容されている対象物2と重なった状態で姿勢が安定するからである。ここで、仮に収容部15における対象物2の姿勢を制御するものがなく、当該姿勢が完全にランダムに決定されるとする。この場合、複数の対象物2を収容部15に収容したときに、収容室16(収容スペース)が効率的に使用されていない状態が現出し得る。例えば、収容部15の内部で対象物2が互い違いに異なる傾きで積み上がっていき、収容部15に対象物を収容する余裕が十分にあるのにもかかわらず、それ以上対象物2を投入できない状態となってしまう場合である。また例えば、収容部15内で、起立した状態の対象物2に更に起立した状態の対象物2が積み上がり、収容部15に対象物2を収容する余裕が十分にあるのにもかかわらず、それ以上対象物2を投入できない状態となってしまう場合である。一方、本実施形態によれば、複数の対象物2は、姿勢制御手段として機能する投入口3の構造的特徴により、上述した態様で収容部15に収容されることになり、収容部15における対象物2の姿勢がランダムである場合と比較して、収容室16を効率的に使用できる。
<第1実施形態の第1変形例>
次に、第1実施形態の第1変形例について説明する。本変形例の説明では、第1実施形態と同一の要素については、第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。図7は、本変形例に係る対象物受け箱1Xを示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は背面図、(D)は図7(B)のX−X断面図である。図1と図7との比較で明らかな通り、本変形例に係る対象物受け箱1Xは、姿勢制御部材SXを有している点で、第1実施形態に係る対象物受け箱1と異なっている。本変形例においては、投入口3および姿勢制御部材SXの双方が、特許請求の範囲の「姿勢制御手段」として機能する。
図7の各図で示すように、姿勢制御部材SXは、幅薄縦長の収容部15の内部の収容室16において、底板11X(底面パネル11)の内側と、右側板8X(右側面パネル8のうち、収容部15に対応する領域)の内側とにより形成される隅部KXに設けられている。右側板8Xは、収容部15の側板のうち、投入口3が鉛直上方に向かって傾く向(本実施形態では「右向き」)きと同じ向きにある側板との観点から決定される。姿勢制御部材SXには、投入口3の鉛直上方に対する傾きと同じ側(本実施形態では「右側」)に傾いた傾斜面NXが形成されている。傾斜面NXは、奥行方向に関し、収容室16の奥行き方向いっぱいに延在している。また、傾斜面NXは、底板11Xの内側の中央部よりも右側の部位から、右側板8Xの内側の中央部よりも下側の部位へ向かって鉛直方向に対して傾斜しつつ延在している。
姿勢制御部材SXは、傾斜面NXの機能により、収容部15に収容される対象物2の姿勢が、鉛直上方に対して右向き(特定の向き)に傾くことを支援する。すなわち、何らかのイレギュラーな原因で、箱内部空洞4内を落下する対象物2の下端部が傾斜面NXに接触すると、傾斜面NXは、対象物2の下端部を左方へ向かってスライドさせ、対象物2の姿勢が、鉛直上方に対して右向き(特定の向き)に傾くことを促す。
なお、姿勢制御部材SXが配置される位置や、姿勢制御部材SXの形状は変形例で例示したものに限られない。なお、以下の説明で使用する図8の各図では、説明の便宜のため、本変形例と同様の機能を有する要素について、本変形例と同じ符号を付している。また、図8の各図では、図面の見やすさのため、対象物受け箱1Xの内部に存在する姿勢制御部材SXについて実線で表している。例えば、図8(A)で示すように、姿勢制御部材SXが底板11Xの内側において左右方向の中央部に設けられる構成でもよい。また例えば、図8(B)で示すように、姿勢制御部材SXが右側板8Xの内側において、隅部KXよりも鉛直上方に設けられる構成でもよい。また例えば、図8(C)で示すように、傾斜面NXが、隅部KXに対向する隅部TXから、右側板8Xの内側の所定位置に向かって鉛直上方に対して傾斜した状態で延在する構成でもよい。
<第1実施形態のその他の変形例>
次に、第1実施形態のその他の変形例について説明する。図9の各図は、第1実施形態の変形例に係る対象物受け箱1の正面図である。図9の各図では、説明の便宜のため、第1実施形態の要素と同一の機能を有する要素について、第1実施形態と同一の符号を付している。
図9(A)で示すように、投入口3が鉛直上方に対して右側に傾いている場合において、投入口3は、その上方側の端部が前板20の左右方向の中央部に位置し、その下方側の端部が前板20の左辺の近傍に位置するように形成されてもよい。また、図9(B)で示すように、投入口3が鉛直上方に対して右側に傾いている場合において、投入口3は、その上方の端部が前板20の右辺の近傍に位置し、その下端側の端部が前板20の左右方向の中央部に位置するように形成されてもよい。
また、図9(C)で示すように、投入口3が鉛直上方に対して右側に傾いている場合において、投入口3は、その上方側の端部が前板20の右辺から左へ向かってやや離れた場所に位置し、その下方側の端部が前板20の左辺から右へ向かってやや離れた場所に位置するように形成されてもよい。
また、図9(D)で示すように、投入口3は、投入部14の前板20の左上の頂点から右下の頂点へ向かって延在した状態で形成されてもよい。また、投入口3の第1端部23および第2端部24がそれぞれ、第1頂点21および第2頂点22の形状に沿って切り欠かれていたが、このような切り欠きを設けない構成でもよい。
また、図9(E)で示すように、投入口3の上端の縁(図9(E)では投入口3の上辺に相当)が投入部14の前板20の上辺に沿い、投入口3の下端の縁(図9(E)では投入口3の下辺に相当)が投入部14の前板20の下辺に沿うように、投入口3が形成されてもよい。また、図9(F)で示すように、投入口3の上端の縁(図9(F)では投入口3の右辺に相当)が投入部14の前板20の右辺に沿い、投入口3の下端の縁(図9(F)では投入口3の左辺に相当)が投入部14の前板20の左辺に沿うように、投入口3が形成されてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態の説明において、第1実施形態と同一の要素については、第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。図10は、本実施形態に係る対象物受け箱1Aを示す図であり、(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)は背面図である。図11は、図10(C)のB−B断面図である。本実施形態についての説明では、鉛直方向、左右方向および奥行き方向は第1実施形態に準じる。
図10、11で示すように、対象物受け箱1Aは、内部に箱内部空洞4A(図11)が形成された箱本体5Aを備えている。箱本体5Aは、前面パネル7A、右側面パネル8A、左側面上部パネル9AU、左側面下部パネル9AD、底面パネル11A、背面パネル12Aを備えている。箱本体5Aには区切りK2を境として、箱本体5Aの上部に投入部14Aが形成され、下部に収容部15Aが形成されている。箱本体5Aの立体的形状は、第1実施形態に係る箱本体5について、投入部14の投入口3を少しだけ右斜下にずらした後、投入口3の上方の部分を投入口3に沿って切り取り、その開口を板(左側面上部パネル9AU)で塞いだ形状である。
収容部15Aは、天面が開口した幅薄縦長の箱状の立体物である。収容部15Aの機能、構造およびサイズの設定方法は第1実施形態に係る収容部15と同様である。収容部15Aの背板には開閉扉17Aが設けられ、この開閉扉17Aにはダイヤル式ロック18が設けられている。収容部15Aの内部には収容室16A(図11参照)が形成されている。
投入部14Aは、内部に空洞が形成され、底面が開口した五面体状の立体物である。図10(C)で示すように、投入部14Aは、収容部15Aの一方の側面32(右側面パネル8Aに形成された面において収容部15Aに対応する領域に属する面)と連続し、鉛直方向に延在する四角形の第1側面33(右側面パネル8Aに形成された面において投入部14Aに対応する領域に属する面)を有する。また、図10(A)で示すように、投入部14Aは、収容部15Aの他方の側面34(左側面下部パネル9ADに形成された面)と連続し、鉛直上方に向かうに従って、第1側面33に近づくように鉛直方向に対して傾いて延在する四角形の第2側面35(左側面上部パネル9AUに形成された面)を有する。図10(B)で示すように、投入部14Aは、収容部15Aの前面36(前面パネル7Aに形成された面において収容部15Aに対応する領域に属する面)と連続する直角三角形の前面37を有する。図10(D)で示すように、投入部14Aは、収容部15Aの背面38(背面パネル12Aに形成された面において収容部15Aに対応する領域に属する面)と連続する直角三角形の背面39を有する。
第1実施形態では投入部14の内部空間として含まれていた、投入部14Aよりも上方の空間40(図10(B)、(D)参照)が、本実施形態では、投入部14Aの内部空間に含まれない。しかしながら、第1実施形態に係る投入部14の内部空間において、空間40に相当する領域は、対象物2の投入に影響がないデッドスペースである。従って本実施形態に係る投入部14Aにおいて、投入部14Aの内部空間に空間40が含まれないことに由来する対象物2の投入への影響はない。このことを踏まえ、本実施形態では、第1実施形態に係る対象物受け箱1のデッドスペースに着目し、この部分を削ることによって小型化を実現していると言える。
図10(B)で示すように、投入部14Aの前板20A(前面パネル7Aのうち投入部14Aの領域に属する部分)には、投入口3Aが形成されている。投入口3Aは、特許請求の範囲の「姿勢制御手段」として機能する。投入口3Aの幅、長さは第1実施形態と同様の観点で設定される。
投入口3Aは、投入部14Aの前板20Aにおいて、第2側面35と鉛直上方に対して同じ側に傾いた状態で延在している。詳述すると、投入口3Aの鉛直上方に対する傾きについては第1実施形態で説明した通りであり、本実施形態に係る投入口3Aは、鉛直上方に対して右側に傾いた状態である。また、第2側面35の鉛直上方に対する傾きとは以下である。
すなわち、図11を参照し、本実施形態では、対象物受け箱1Aを正面視したときに、第2側面35が形成された左側面上部パネル9AUの側面の下端と上端とを結ぶ線分41(図11において二点鎖線で示す)が、左側面上部パネル9AUの下端を端点として鉛直上方に向かって延びる半直線42(図11において矢印で示す)に対して、左側面上部パネル9AUの下端を中心として時計回りに90°の範囲で回動している場合、「第2側面35が鉛直上方に対して右側に傾いた状態」であるものとし、反時計回りに90°の範囲で回動している場合、「第2側面35が鉛直上方に対して左側に傾いた状態」であるものとしている。本実施形態に係る第2側面35は、鉛直上方に対して右側に傾いた状態である。
本実施形態では、投入口3Aは鉛直上方に対して右側に傾いており、第2側面35は鉛直上方に対して右側に傾いている。従って、投入口3Aは、投入部14Aの前板20Aにおいて、第2側面35と鉛直上方に対して同じ側に傾いている。この構成のため、投入部14Aの前板20Aにおいて、所定長の投入口3Aを、第2側面35に対応する辺43(図10(B))になるべく沿わせながら投入部14Aの前板20Aに効率よく配置できる。図12の各図は、投入口3Aが本実施形態と異なる態様で設けられている場合の投入部14Aの正面図を示している。ただし、図12の各図では、説明の便宜のため、本実施形態に係る要素と同一の機能の要素については同一の符号を付している。仮に投入口3Aが鉛直上方に対して左側に傾いている場合、図12(A)で示す態様で投入口3Aが投入部14Aの前板20Aに形成されることが想定されるが、この場合、本実施形態と比較して、前板20Aの面積が大きくなってしまい、これに伴って対象物受け箱1Aが大型化する。
特に本実施形態では、図10(B)で示すように、投入口3Aは、投入部14Aの前板20Aにおいて、第2側面35の鉛直方向に対する傾きと同じ傾きで傾いた状態で延在している。この構成のため、投入部14Aの見た目に一体感が生じ、見栄えがよい。
また、図10(B)で示すように、投入口3Aは、投入部14Aの前板20Aにおいて、第2側面35に対応する辺43(図10(B))の一端から他端に向かって、辺43に沿って延在している。この構成により、投入部14Aの前板20Aの大きさの大型化を抑制しつつ所定長の投入口3Aを投入部14Aの前板20Aに効率よく配置できる。例えば、図12(B)で示すように、投入口3Aの上端部が辺43の端部に対応する場所に設けられていない場合や、投入口3Aの下端部が辺43の端部に対応する場所に設けられていない場合、本実施形態と比較して、投入部14Aの前板20Aが大型化する。
図13の各図は、対象物受け箱1Aの正面図を、収容部15Aに収容された対象物2と共に示す図である。図13の各図では、対象物2は対象物受け箱1Aの内部に位置しているが、説明の便宜のため、実線によって対象物2を表している。
図13(A)は、最大対象物相当の形状およびサイズを有する1つの対象物2が収容されている様子を示し、図13(B)は最大対象物とはサイズが異なる対象物2が収容されている様子を示し、図13(C)は柔軟性を有する1つの対象物2が収容されている様子を示し、図13(D)は複数の対象物2が収容されている様子を示している。本実施形態に係る対象物受け箱1Aは、第1実施形態に係る対象物受け箱1と、対象物2が投入され、落下し、収容される部分についての構造は同じである。従って、本実施形態では、投入口3Aを介して対象物2が箱内部空洞4Aに投入された場合、対象物2は第1実施形態と同様の態様で箱内部空洞4A内を落下し、第1実施形態と同様の態様で収容部15Aに収容される(図13の各図を参照)。このため、第1実施形態と同様の理由で、収容部15Aに収容された対象物2を投入口3Aから取り出すのは困難である。また、第1実施形態と同様の理由で、姿勢制御手段として機能する投入口3Aの構造的特徴により、収容部15Aにおける対象物2の姿勢がランダムである場合と比較して、収容部15Aの収容室16Aを効率的に使用できる。
<第2実施形態の第1変形例>
次に、第2実施形態の変形例について説明する。図14は、本変形例に係る対象物受け箱1Bを示す図であり、(A)は上部開閉扉45および下部開閉扉46を閉じた状態の正面図を、(B)は上部開閉扉45および下部開閉扉46を開いた状態の正面図を示している。図15は、図14(A)のCC断面図である。図14で示すように、本実施形態に係る対象物受け箱1Bは、第2実施形態に係る箱本体5Aと、この箱本体5Aに隣接して設けられた付属箱本体47とを有している。
図14、15で示すように、付属箱本体47は、下部付属箱部48と上部付属箱部49とを備えている。下部付属箱部48は、収容部15Aの左方に隣接して設けられた収容箱である。下部付属箱部48は、収容部15Aと同じ奥行き、同じ高さである。箱本体5Aの左側面下部パネル9AD(図10(A)、図11参照)が、下部付属箱部48の右側板として機能する。下部付属箱部48は、左側板50、天板51、底板52および背板53を有し、内部に直方体の収容空間54が形成されている。下部付属箱部48の前面には、下部開閉扉46が設けられており、この下部開閉扉46を開けると、下部付属箱部48の内部の収容空間54が露出し、この収容空間54に物体を格納することができる。下部開閉扉46は、下部付属箱部48の前面の下端に設けられたヒンジを中心として回動し、また、ダイヤル式ロック55により施錠が可能である。
上部付属箱部49は、投入部14Aの左方に、投入部14Aに隣接して設けられた収容箱である。上部付属箱部49は、投入部14Aと同じ奥行き、同じ高さである。箱本体5Aの投入部14Aの左側面上部パネル9AU(図10(A)、図11参照)が、上部付属箱部49の右側板として機能する。上部付属箱部49は、左側板57、天板58、底板59(下部付属箱部48の天板51と同一部材)および背板60を有し、内部に直方体の収容空間61が形成されている。
ここで、第2側面35が鉛直方向に対して傾いて延在していることに起因して、収容部15Aの鉛直上方であって第2側面35の側方には、3次元的な空間40(図10(B)、(D)および図14(B)参照)が形成されている。この空間40は、上述した通り、第1実施形態に係る対象物受け箱1においてデッドスペースであった領域である。本変形例では、図14(B)で示すように、上部付属箱部49の収容空間61にこの空間40が含まれている。この構成のため、第2側面35が鉛直方向に対して傾いて延在していることに起因して発生する空間40を有効活用して、対象物受け箱1B全体としての大型化を抑制しつつ、上部付属箱部49の収容空間61を効果的に大型化できる。
図14で示すように、上部付属箱部49の前面には、上部開閉扉45が設けられており、この上部開閉扉45を開けると、上部付属箱部49の内部の収容空間61が露出し、この収容空間61に物体を格納することができる。上部開閉扉45は、上部付属箱部49の前面の上端に設けられたヒンジを中心として回動し、また、ダイヤル式ロック62により施錠が可能である。
図14(A)で示すように、付属箱本体47は、投入部14Aの第2側面35、および、第2側面35に連続する収容部15Aの側面34からなる一連の面(図14(A)において点線で囲まれた部分の面)が一方の側面(右側の側面)となるように、箱本体5A(投入部14Aおよび収容部15A)に隣接して設けられている。この構成のため、箱本体5Aと、付属箱本体47とを含んで構成される対象物受け箱1Bに全体として一体感、統一感が生じ、見栄えがよい。
<第2実施形態のその他の変形例>
次に、第2実施形態のその他の変形例について説明する。図16の各図は、投入口3Aが第2実施形態と異なる態様で設けられている場合の対象物受け箱1Aの正面図を示している。投入口3Aは、上述した図12(B)、(C)で示す態様で設けられてもよい。また投入口3Aは、投入部14Aの前板20Aにおいて、第2側面35に対応する辺43から離れた位置で、第2側面の鉛直方向に対する傾きと同じ傾きで傾いた状態で形成されてもよく(図16(A))、異なる傾きで傾いた状態で形成されてもよい(図16(B)、(C))。また、第1実施形態のように、投入口3Aの端部を、投入部14Aの隅部の形状に応じて切り欠いてもよい。
また、図16(D)で示すように、投入口3Aの上端部が、前板20Aの対応する隅部の形状に沿って切り欠かれ、また、投入口3Aの下端部が、前板20Aの対応する隅部の形状に沿って切り欠かれてもよい。図16(D)では、投入口3Aの上端の縁が投入部14Aの前板20Aの右辺に沿い、投入口3Aの下端の縁が投入部14Aの前板20Aの下辺に沿うように、投入口3が形成されている。
また、図17の(A)〜(D)で示すように、収容部15Aの内部に姿勢制御部材SXが設けられる構成でもよい(図17の各図では説明の便宜のため、対象物受け箱1Aの内部に存在する姿勢制御部材SXを実線で表している)。なお、姿勢制御部材SXの形状、配置位置について図17(A)は図7に対応し、図17(B)は図8(A)に対応し、図17(C)は図8(B)に対応し、図17(D)は図8(C)に対応する。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の第3実施形態の説明において、第1実施形態と同一の要素については、第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。図18は、本実施形態に係る対象物受け箱1Cを示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。図19は、図18(B)のD−D断面図である。以下の説明では、鉛直方向、左右方向および奥行き方向は第1実施形態に準じる。
図18、19で示すように、対象物受け箱1Cは、外形が平行六面体であり、内部に箱内部空洞4Cが形成された箱本体5Cを備えている。箱本体5Cは、前面パネル7C、右側面パネル8C、左側面パネル9C、天面パネル10C、底面パネル11C、背面パネル12Cを備えている。背面パネル12Cにおいて、収容部15Cに対応する領域には開閉扉が設けられている。箱本体5Cは、正面視したときに鉛直上方に向かって右側に傾いている。平行六面体の箱本体5Cが鉛直上方に向かって右側に傾いているとは、以下の状態を意味する。
すなわち、まず、箱本体5Cを水平面に載置したときに、水平面に対して垂直に起立する面(本実施形態では、前面および背面が相当し、左右の側面は相当しない)の何れかが前面とされている。そして、前面と相対して箱本体5Cを正面視し、前面の左右の辺のうち何れかの辺に注目したときに、注目した辺の下端を端点として鉛直上方に向かって延びる半直線に対して、注目した辺が下端を支点として時計回りに0〜90°の範囲に位置している場合、平行六面体の箱本体5Cは鉛直上方に向かって右側に傾いている状態である。一方、注目した辺が、当該半直線に対して下端を支点として反時計回りに0〜90°の範囲に位置している(左側に傾いている)場合、平行六面体の箱本体5Cは鉛直上方に向かって左側に傾いている状態である。
本実施形態では、図18(A)を参照し、箱本体5Cの前面の左辺64に注目したときに、この左辺64は、左辺64の下端から鉛直上方に向かって延びる半直線66に対して(図18(A)において矢印で示す)、下端を支点として時計回りに0〜90度の範囲に位置している。このため、平行六面体の箱本体5Cは鉛直上方に向かって右側に傾いている状態である。
図18、19で示すように、箱本体5Cを区切りK3で鉛直方向に2分割したときの上部には投入部14Cが形成され、下部には幅薄縦長の収容部15Cが形成されている。収容部15Cの内部には、対象物2を収容可能な空間である収容室16Cが形成されている。収容部15Cのサイズ(奥行き、高さ、幅)は、第1実施形態と同様の観点で設定される。
投入部14Cの前板20C(前面パネル7Cのうち投入部14Cの領域に属する部分)には、投入口3Cが形成されている。投入口3Cは、特許請求の範囲の「姿勢制御手段」として機能する。投入口3Cは、投入部14Cの前板20Cにおいて、箱本体5Cと鉛直上方に対して同じ側に傾いた状態で延在している。すなわち、上述したように、箱本体5Cは鉛直上方に対して右側に傾いた状態であり、投入口3Cも鉛直上方に対して右側に傾いた状態である。特に、本実施形態では、投入口3Cは、投入部14Cの前板20Cにおいて、箱本体5Cを正面視したときの箱本体5Cの傾きと同じ傾きで傾いた状態で延在している。つまり、投入口3Cの鉛直上方に対する傾斜角度と、箱本体5Cの鉛直上方に対する傾斜角度とが同じである。この構成のため、投入部14Cの見た目に一体感が生じ、見栄えがよい。
また、本実施形態では、投入口3Cは、投入部14Cの前板20Cにおいて、投入部14Cの前板20Cの左辺65(図18(A))の一端から他端に向かって、この左辺65に沿って延在している。左辺65は、箱本体5Cを正面視したときに、箱本体5Cが鉛直上方に向かって傾く側(=右側)の向き(=右向き)と反対の向き(=左向き)にある辺である。このように、本実施形態では、箱本体5Cを正面視したときに、箱本体5Cが鉛直上方に向かって傾く側の向きと反対の向きにある辺に沿って、その辺の一端から他
端に向かって投入口3Cが形成されている。これにより、以下の効果を奏する。
図20の各図は、対象物受け箱1Cに投入された対象物2が、箱内部空洞4C内で落下し、姿勢が安定するまでの様子を対象物受け箱1Cの正面図と共に示す図である。図20の各図では、説明の便宜のため、箱内部空洞4C内に位置する対象物2についても実線で表している。図20(A)は投入口3Cを介して箱内部空洞4C内に投入された直後の対象物2を示し、図20(B)、(C)、(D)は時間の経過と共に対象物2が変移する様子を示している。
投入部14Cを介して対象物受け箱1Cに投入された対象物2は、第1実施形態と同様、投入口3Cの傾きに従って傾いた状態がほとんど維持されたまま、箱内部空洞4C内を落下する(図20(A)→図20(B))。そして、対象物2は、やがて、その下端部が収容室16Cの底に接触する(図20(B)→図20(C))。その後、対象物2は、対象物2の傾きに由来して作用する重力の影響により、その上端部が右側面パネル8Cへ向かって傾いていくと共に、その下端部が左側面パネル9Cへ向かってスライドしていく。この結果、対象物2は、その下端が左側面パネル9Cの内側に接触し、その上端が右側面パネル8Cの内側に接触しつつ、右側面パネル8Cにもたれかかった状態となり(図20(D))、この状態で姿勢が安定する。
収容部15Cの収容室16C内で姿勢が安定したとき、図20(D)で示すように、対象物2の上端部は、投入口3Cの下端部の鉛直下方には位置せず、投入口3Cの下端部の鉛直下方から右側に離間した場所に位置する。特に、投入口3Cの下端部と対象物2の上端部とは箱本体5Cの幅の範囲で左右方向に最大限離間した状態である。このような状態となるのは、投入口3Cが、投入部14Cの前板20Cにおいて、箱本体5Cが鉛直上方に向かって傾く側の向きと反対の向きにある辺(本実施形態では左辺65)の一端から他端に向かって、このような辺に沿って延在しているという構造的特徴に由来するものである。
投入口3Cが鉛直方向の成分を含む方向に延在している場合において、投入口3Cの下端部と、収容部15Cに収容された対象物2の上端部とを離間させることにより、対象物2の取り出しが困難化し、盗難の危険性が低減することは第1実施形態で説明した通りである。また、姿勢制御手段として機能する投入口3Cの構造的特徴により、第1実施形態と同様の理由で、収容部15Cにおける対象物2の姿勢がランダムである場合と比較して、収容部15Cの収容室16Cを効率的に使用できる。
<第3実施形態の変形例>
次に、第3実施形態の変形例について説明する。図21の各図は、第3実施形態と異なる態様の対象物受け箱1Cの正面図である。図21の各図では、説明の便宜のため、第3実施形態の要素と同一の機能を有する要素について、第3実施形態と同一の符号を付している。
第3実施形態では、投入口3Cは、投入部14Cの前面において、箱本体5Cが鉛直上方に向かって傾く側の向きと反対の向きにある辺に沿って形成されていた。しかしながら、投入口3Cがこのような辺に沿って設けられていなくてもよい。例えば、図21(A)で示すように、投入口3Cは、投入部14Cの前板20Cにおいて、前板20Cの左右方向の中央部に形成されてもよい。また例えば、図21(B)で示すように、投入口3Cは、投入部14Cの一の頂点から、当該一の頂点の対頂点である他の頂点へ向かって延在した状態で形成されてもよい。また、本実施形態では、箱本体5Cは、鉛直上方に対して右側に傾いていた。しかしながら、図21(C)で示すように、箱本体5Cが鉛直上方に対して左側に傾いていてもよい。また、第1実施形態のように、投入口3Cの端部を、投入部14Cの隅部の形状に応じて切り欠いてもよい。
また、図22の(A)〜(D)で示すように、収容部15Aの内部に姿勢制御部材SXが設けられる構成でもよい(図22の各図では説明の便宜のため、対象物受け箱1Aの内部に存在する姿勢制御部材SXを実線で表している)。なお、姿勢制御部材SXの形状、配置位置について図22(A)は図7に対応し、図22(B)は図8(A)に対応し、図22(C)は図8(B)に対応し、図22(D)は図8(C)に対応する。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の第4実施形態の説明において、第1実施形態と同一の要素については、第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。図23は、本実施形態に係る対象物受け箱1Dを示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。図24は、図23(B)のE−E断面図である。以下の説明では、鉛直方向、左右方向および奥行き方向は第1実施形態に準じる。
図23、24で示すように、対象物受け箱1Dは、上部に投入部14Dが形成され、下部に収容部15Dが形成された箱本体5Dを備えている。収容部15Dは、外形が幅薄縦長の平行六面体であり、正面視したときに鉛直上方に向かって右側に傾いている。収容部15Dは、幅薄縦長の前板67、右側板68、左側板69、天板70、底板71および背板72を備えている。収容部15Dは、その内部に収容室16D(空洞)が形成され、その天板70に奥行方向に延在する貫通孔73(図24、25)が形成されている。
図25は、投入部14Dを取り外した状態の収容部15Dの天板70を上から下へ向かって見た図である。図25で示すように、貫通孔73は、収容部15Dの天板70の左辺SLに沿って形成されている。貫通孔73を右辺SRではなく、左辺SLに沿って形成することは、以下のようにして定められている。すなわち、対象物受け箱1Dを正面視したときに箱本体5Dが鉛直上方に向かって傾く側の向き(以下「傾斜向き」という)と反対の向きにある辺に沿って貫通孔73を形成するようにしている。本実施形態では、「対象物受け箱1Dを正面視したときに箱本体5Dが鉛直上方に向かって傾く側(=右側)」の向きは「右向き」である(従って、傾斜向きは、「右向き」である。)。この右向きと反対の向きは、左向きであり、左向きにある辺は、左辺SLである。従って、左辺SLに沿って貫通孔73が形成される。
収容部15Dの機能およびサイズ(幅、高さおよび奥行き)の設定方法は第1実施形態に係る収容部15と同様である。
投入部14Dは、左側板74、右側板75、天板76および背板77を有すると共に、前面及び底面が開口された平行六面体である。投入部14Dの前面の開口が投入口3Dとなっている。投入口3Dは、特許請求の範囲の「姿勢制御手段」として機能する。投入部14Dは、左側板74および右側板75が収容部15Dと鉛直上方に対して同じ側(本実施形態では、右側)に傾いた状態で、底面の開口が収容部15Dの天板70に形成された貫通孔73に連通するように収容部15Dの鉛直上方に設けられている。
特に、本実施形態では、投入部14Dを構成する左側板74および右側板75は、鉛直方向に対して収容部15Dの傾きと同じ傾きで傾いている。この構成のため、対象物受け箱1Dを正面視したときに、収容部15Dの全体的な傾きと、投入部14Dの全体的な傾きとが一致し、対象物受け箱1Dに全体として一体感、統一感が生じ、見栄えがよい。
図26の各図は、本実施形態に係る対象物受け箱1Dに投入された対象物2が、対象物受け箱1D内で落下し、姿勢が安定するまでの様子を対象物受け箱1Dの正面図と共に示す図である。図26の各図では、対象物2は箱内部空洞4内に位置しているが、説明の便宜のため、実線によって箱本体5D内に位置する対象物2を表している。図26(A)は投入口3Dを介して投入部14Dに投入された直後の対象物2を示し、図26(B)、(C)、(D)は時間の経過と共に対象物2が変移する様子を示している。
投入部14Dを介して対象物受け箱1Dに投入された対象物2は、当初、投入部14Dの内壁に案内されて、投入部14Dの内壁に沿って落下していく(図26(A)→図26(B))。その後、対象物2の上端が投入部14Dから抜け出ると、投入部14Dの傾きに従って傾いたまま落下していく(図26(B)→図26(C))。更にその後、対象物2の下端が収容部15Dの収容室16Dの底に接触すると、対象物2は、対象物2の傾きに由来して作用する重力の影響により、その上端部が収容部15Dの右側板68へ向かって傾いていき、最終的に右側板68の内側にもたれかかった状態となり(図26(D))、この状態で姿勢が安定する。
収容部15Dの収容室16D内で姿勢が安定したとき、図26(D)で示すように、対象物2の上端部は、投入口3Dの下端部の鉛直下方には位置せず、投入口3Dの下端部の鉛直下方から右側に離間した場所に位置する。特に、投入口3Dの下端部は、天板70の左辺SLの近傍に位置し、対象物2の上端部は、天板70の右辺SRの近傍に位置するため、投入口3Dの下端部と対象物2の上端部とは収容部15Dの幅の範囲で左右方向に最大限離間した状態である。このような状態となるのは、投入部14Dの底面の開口に連通する貫通孔73が、傾斜向き(本実施形態では、右向き)と反対の向き(本実施形態では、左向き)にある辺(本実施形態では、左辺SL)に沿って形成されているという構造的特徴に由来するものである。
投入口3Dが鉛直方向の成分を含む方向に延在している場合において、投入口3Dの下端部と、収容部15Dに収容された対象物2の上端部とを離間させることにより、対象物2の取り出しが困難化し、盗難の危険性が低減することは第1実施形態で説明した通りである。また、姿勢制御手段として機能する投入口3Dの構造的特徴により、第1実施形態と同様の理由で、収容部15Dにおける対象物2の姿勢がランダムである場合と比較して、収容部15Dの収容室16Dを効率的に使用できる。
<第4実施形態の第1変形例>
次に、第4実施形態の変形例について説明する。図27は、本変形例に係る対象物受け箱1Eの正面図である。図28は、図27のF−F断面図である。図27で示すように、本実施形態に係る対象物受け箱1Dは、第4実施形態に係る箱本体5Dと、この箱本体5Dに隣接して設けられた付属箱本体47Eとを有している。
図27で示すように、付属箱本体47Eは、下部付属箱部48Eと上部付属箱部49Eとを備えている。下部付属箱部48Eは、収容部15Dの左方に、収容部15Dに隣接して設けられた収容箱である。下部付属箱部48Eは、収容部15Dと同じ奥行き、同じ高さである。収容部15Dの右側板68が、下部付属箱部48Eの左側板として機能する。下部付属箱部48Eの前面には下部開閉扉46Eが設けられている。下部開閉扉46Eは、下端部に設けられたヒンジを支点として開状態と閉状態との間で回動可能である。下部付属箱部48Eの内部には収容空間54Eが形成されており、下部開閉扉46Eを開状態とすると収容空間54E(図28)が露出する。下部開閉扉46Eは、ダイヤル式ロック55Eにより施錠が可能である。
上部付属箱部49Eは、投入部14Dの右方に隣接して設けられた収容箱である。上部付属箱部49Eは、投入部14Dと同じ奥行き、同じ高さである。図27で示すように、箱本体5Dの投入部14Dの右側板75が、上部付属箱部49Eの左側板として機能する。上部付属箱部49Eの前面には上部開閉扉45Eが設けられている。上部開閉扉45Eは、上端部に設けられたヒンジを支点として開状態と閉状態との間で回動可能である。上部付属箱部49Eの内部には収容空間61E(図28)が形成されており、上部開閉扉45Eを開状態とすると収容空間61Eが露出する。下部開閉扉46Eは、ダイヤル式ロック62Eにより施錠が可能である。
箱本体5Dについて、投入部14Dが収容部15Dと比して薄く形成されており、かつ、投入部14Dが収容部15Dの天板70の左端に設けられているという構造的特徴がある。このことに起因して、図27で示すように、投入部14Dの傾斜向き(右向き)側であって、収容部15Dの鉛直上方には、空間80(図27において破線で囲まれた領域)が形成されている。そして、上部付属箱部49Eの収容空間54Eには、この空間80が含まれている。この構成のため、上述した箱本体5Dの構造的特徴に由来して生じる空間80を有効活用して、対象物受け箱1E全体としての大型化を抑制しつつ、上部付属箱部49Eの収容空間54Eを効果的に大型化できる。
図27で示すように、付属箱本体47Eは、投入部14Dの傾斜向き側(本実施形態では右側)の右側面81、当該側面に連続する収容部の天面82、および、天面82に連続する収容部15Dの傾斜向き側(本実施形態では右側)の右側面83からなる一連の面(図27において二点鎖線で囲まれた部分の面)が一方の側面となるように、収容部15Dおよび投入部14Dに隣接して設けられている。この構成のため、箱本体5Dと、付属箱本体47Eとを含んで構成される対象物受け箱1Eに全体として一体感、統一感が生じ、見栄えがよい。
<第4実施形態のその他の変形例>
次に、第4実施形態のその他の変形例について説明する。図29の各図は、第4実施形態と異なる構造の対象物受け箱1Dの正面図を示している。図29の各図では、説明の便宜のため、第4実施形態の要素と同一の機能を有する要素について、第4実施形態と同一の符号を付している。図29(A)で示すように、投入部14Dは、収容部15Dの鉛直方向に対する傾きと異なる傾きで傾いていても良い。また、図29(B)で示すように、収容部15Dは、正面視で右側に傾いていてもよい。この場合、図29(B)で示すように、投入部14Dの底面の開口が連通する貫通孔は、収容部15Dの天板70の右辺に沿って設けられ、投入部14Dは、収容部15Dの天板70の右端に設けられる。また、図29(C)で示すように、収容部15Dの天板70の左右方向の中央部に投入部14Dを設ける構成でもよい。
また、図30の(A)〜(D)で示すように、収容部15Aの内部に姿勢制御部材SXが設けられる構成でもよい(図30の各図では説明の便のため、対象物受け箱1Dの内部に存在する姿勢制御部材SXを実線で表している)。なお、姿勢制御部材SXの形状、配置位置について図30(A)は図7に対応し、図30(B)は図8(A)に対応し、図30(C)は図8(B)に対応し、図30(D)は図8(C)に対応する。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の第5実施形態の説明において、第1実施形態と同一の要素については、第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。図31は、本実施形態に係る対象物受け箱1Fを示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は(B)のG−G断面図である。
図31で示すように、対象物受け箱1Fは、上部に投入部14Fが形成され、下部に幅薄縦長の収容部15Fが形成された箱本体5Fを備えている。図31と、図23、24との比較で明らかな通り、本実施形態に係る箱本体5Fは、第4実施形態に係る箱本体4Dと、収容部15Fが直方体である点が相違している。収容部15Fは、前板67F、右側板68F、左側板69F、天板70F、底板71Fおよび背板72Fを備えている。収容部15Fは、その内部に収容室16F(空洞)が形成され、その天板70Fに奥行方向に延在する貫通孔73Fが形成されている。
投入部14Fは、左側板74F、右側板75F、天板76Fおよび背板77Fを有すると共に、前面及び底面が開口された直方体である。投入部14Fの前面の開口が投入口3Fとなっている。本実施形態に係る箱本体5Fは、第4実施形態に係る箱本体4Dと、投入部14Fの左側板74Fおよび右側板75Fが鉛直方向に対して傾いておらず、鉛直方向に沿って起立している点が相違している。投入部14Fの左側板74Fおよび右側板75Fが鉛直方向に沿って起立しているため、投入部14Dに形成された投入口3Fは、鉛直方向に延在している。
本実施形態に係る箱本体5Fは、収容部15Fの天板70Fにおいて、左右方向の中央部に貫通孔73Fが形成されており、この貫通孔73Fに投入部14Fの底面の開口が連通している。このため、収容部15Fの天板70Fの左右方向の中央部に投入部14Fが設けられた状態である。
図31で示すように、収容部15Fの内部において、投入口3Fの鉛直下方には、姿勢制御部材SFが設けられている。姿勢制御部材SF自体の形状は、第1実施形態の第1変形例で説明した姿勢制御部材SXと同一である(図7参照)。姿勢制御部材SFは、収容部15Fに収容される対象物2が鉛直上方に対して右向き(特定の向き)に傾くようにすることを目的とする部材である。姿勢制御部材SFには、鉛直上方に対して右向き、すなわち、対象物2を傾かせる向きに傾いた傾斜面NFが形成されている。この傾斜面NFは、図31で示すように、投入口3Fの鉛直下方に位置しており、投入口3Fを介して投入された対象物2の下端部は、収容部15Fの内部を落下し、まず傾斜面NFに当接する。
図32は、投入口3Fを介して投入された対象物2が収容部15Fに収容される様子を示す図である。図32の各図では、説明の便宜のため、対象物受け箱1Fの内部に位置する対象物2および姿勢制御部材SFを実線で表している。投入口3Fを介して対象物受け箱1Fに投入された対象物2は、投入口3Fが鉛直方向に対して傾いていないため、鉛直方向にほとんど傾かずに対象物受け箱1の内部を落下していく(図32(A)参照)。対象物2の落下が進むと、やがて、その下端部が姿勢制御部材SFの傾斜面NFに当接する(図32(B)参照)。すると対象物2の下端部は、傾斜面NFに案内されて左方にスライドしてき、これに伴って、対象物2が全体として鉛直上方に対して右向きに傾いていく。その後、対象物2の上端部が収容部15Fの右側板6Fの内側に寄りかかった状態となり(図32(C))、この状態で姿勢が安定する。
以上のように、本実施形態では、姿勢制御部材SFの機能により、対象物2は、鉛直上方に対して特定の向き(本実施形態では「右向き」)に傾いた状態で収容部15Fに収容される。このため、第1実施形態で説明した理由と同じ理由で、収容室16Dを効率的に使用できる。
<第5実施形態の変形例>
次に、第5実施形態の変形例について説明する。図33の各図は、本変形例に係る対象物受け箱1Fの正面図である。図33の各図では、説明の便宜のため、第5実施形態と同様の機能を有する部材に、第5実施形態と同じ符号を付している。また、図33の各図では、説明の便宜のため、対象物受け箱1Fの内部に存在する姿勢制御部材SFおよび対象物2を実線で表している。以上のことは図34についても同様である。
図33(A)で示すように、投入部14Fを収容部15Fの天板70Fの左端部に接続するようにし、投入口3Fの鉛直下方に位置する隅部KFに姿勢制御部材SFを設ける構成でもよい。本変形例に係る姿勢制御部材SFは、収容部15Fに収容される対象物2を鉛直上方に対して左向き(特定の向き)に傾けることを目的とする部材であり、その傾斜面NFは、鉛直上方に対して左向きに傾いている。本変形例の構成によれば、図33(B)で示すように、姿勢制御部材SFの機能により、収容部15Fに収容される対象物2を鉛直上方に対して左向き(特定の向き)に傾かせることができる。
なお、第5実施形態およびその変形例の構成のほか、投入部14Fを収容部15Fの天板70Fにおいて、中央部や左端以外の場所(図34(A)で例示するように例えば右端)に設ける構成でもよい。投入部14Fを何れの場所に設ける場合であっても、姿勢制御部材SFは、鉛直方向に延在する投入口3Fの鉛直下方であって、投入口3Fを介して投入された対象物2の下端部が傾斜面NFに当接する位置に配置される。また、図34(B)で示す対象物受け箱1Gように、直方体の箱本体5Gについて、上部の投入部14Gに鉛直方向に延在する投入口3Gを形成し、下部の収容部15Gにおいて、投入口3Gの鉛直下方であって、投入口3Gを介して投入された対象物2の下端部が傾斜面NGに当接する位置に姿勢制御部材SGを設ける構成でもよい。
以上、本発明の実施形態について説明した。ただし、上記各実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
例えば、第1実施形態において、投入口3への挿入を妨害する部材(投入口3を覆い、一定量しか開かない蓋部材等)を投入口3に設ける等、投入口3に盗難を困難化する部材を設けてもよい。以上のことは第2〜第5実施形態(各実施形態の変形例を含む)についても同様である。
また、第1実施形態において、投入部14と収容部15との間に、手等の収容室16への進入を妨害し、また、投入部14から収容部15への対象物2の移動を阻害するような盗難防止用の部材を設けてもよい。以上のことは第2〜第5実施形態(各実施形態の変形例を含む)についても同様である。
また、特定の部材についてその寸法を具体的に例示した。しかしながら、各部材の寸法は、例示した寸法に限定されず、設計の方針によって適切に定められるべきものである。
また、第1実施形態では、開閉扉17が、対象物受け箱1の背面パネル12に設けられていたが、開閉扉17が設けられる場所や、開閉扉17が設けられる態様は例示した態様に限定されない。例えば、開閉扉17は、右側面パネル8において、収容部15に対応する領域に設けられてもよい。以上のことは第2〜第5実施形態(各実施形態の変形例を含む)についても同様である。