以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
[構成]
図1は、実施の形態1に係る誘導灯装置1を示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る誘導灯装置1における導光板7、発光モジュール5及び表示パネル用フィルム8を示す分解斜視図である。図3は、実施の形態1に係る誘導灯装置1の導光板7及び光源51を示す平面図、導光板7の側面図、導光板7の入射面71及び光源51の部分拡大平面図である。図4は、図2のIII−III線における実施の形態1に係る表示パネル用フィルム8を示す部分拡大断面図である。図5は、実施の形態1に係る誘導灯装置1の表示パネル用フィルム8及び反射板9を示す模式図である。図6は、実施の形態1に係る誘導灯装置1の表示パネル6及び光源51を示す側面図である。
図1では、誘導灯装置1において、入射面71の長手方向をX軸方向と規定し、反射板9及び導光板7のこの順での並び方向をY軸方向と規定し、X軸方向及びY軸方向と交差する方向をZ軸方向と規定する。筐体3内における電源部91側をX軸プラス方向と規定し、反射板9に対して導光板7が配置されている側をY軸プラス方向と規定し、絵柄層81が示す人の頭部側をZ軸プラス方向と規定する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、図1に示す各方向に対応させて表示する。
図1及び図2に示すように、誘導灯装置1は、エッジライト方式の導光板7を用いた誘導用の照明器具であり、天井、壁等の造営材に配設される。誘導灯装置1は、例えば、住宅、事務所、倉庫等の造営材に取り付けられる。
誘導灯装置1は、筐体3と、発光モジュール5と、表示パネル6と、電源部91とを備える。
筐体3は、Y軸方向に扁平な箱であり、例えばアルミニウム、鉄等の金属等で構成される。筐体3には、Y軸プラス方向側で開く開口3aが形成されている。筐体3は、例えば、ボルト等の固定部材により、造営材に固定されている。筐体3は、発光モジュール5、表示パネル6及び電源部91を収容している。
発光モジュール5は、筐体3内のZ軸プラス方向側の内壁面に配置され、誘導灯装置1の出射光となる光を出射する。発光モジュール5は、LED(Light Emitting Diode)を有するモジュールである。なお、本実施の形態では、発光モジュール5は、筐体3内のZ軸プラス方向側の内壁面の中央部分に配置されているが、その配置場所は特に限定されない。
発光モジュール5は、光源51と光源51を実装する基板とを有する。
基板は、光源51を実装している。基板は、光源51が発した熱を放熱するように、例えば筐体3に熱的に接続されていてもよい。つまり、筐体3は、ヒートシンクとしても役割を果たしてもよい。基板は、電源部91に電気的に接続され、電源部91からの電力が供給される。
光源51は、表示パネル6の導光板7の入射面71に光を照射する。つまり、光源51は、光の出射方向がZ軸マイナス方向に向くように、筐体3に配置されている。具体的には、光源51は、光軸Jが導光板7の入射面71と略直交するように、入射面71と対向した状態で筐体3に配置されている。発光モジュール5には、複数の光源51が配置されていてもよい。
また、光源51と導光板7との間には、光源51と導光板7とが接触しないように隙間が空けられている。これは、光源51に生じる熱によって導光板7に損傷を与えることを防ぐため等である。
光源51は、いわゆるSMD(Surface Mount Device)型のLED(Light Emitting Diode)素子である。SMD型のLED素子とは、具体的には、樹脂成型されたキャビティの中に、発光素子の一例であるLEDチップが実装され、キャビティ内に蛍光体含有樹脂が封入されたパッケージ型のLED素子である。光源51は、電源部91に設けられている図示しない制御回路により制御されて点灯および消灯を行う。また、光源51は、電源部91に設けられている制御回路により制御されて調光調色が行われる。例えば、青色LEDチップと黄色蛍光体含有樹脂との組み合わせにより白色光を放出する表面実装型LED素子が、光源51として採用される。
なお、光源51は、このような構成に限定されるものではなく、基板上にLEDチップが直接的に実装されたCOB(Chip On Board)型の発光モジュール5に用いられてもよい。また、光源51が有する発光素子は、LEDに限定されるものではなく、例えば、半導体レーザ等の半導体発光素子、または、有機EL(Electro Luminescence)や無機EL等のEL素子等その他の固体発光素子であってもよい。
表示パネル6は、導光板7と、表示パネル用フィルム8と、反射板9とを有する。
導光板7は、光源51が出射した光を導光させ、表示パネル用フィルム8に照射する。導光板7は、平面視で矩形の平板状をなし、光源51からの光を導光する光学部材である。導光板7は、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂又はガラス等の透光性の部材であるが、透光性があればその他どのような材料で形成されてもよい。なお、導光板7の形状は、矩形状に限らず、円盤状でもよく、多角形状など、他の形状でもよい。
導光板7は、筐体3の開口3aを覆うように、筐体3内のY軸プラス方向側に配置されている。導光板7は、Y軸方向及びZ軸方向で規定される平面と略平行となるように、筐体3の図示しない支持部材により支持される。
導光板7は、入射面71と、出射面73と、背向面75とを有する。
入射面71は、光源51からの光が入射する面であり、波面状に形成されている。入射面71は、Y軸方向から見て、sinカーブ、cosカーブ、円弧状等のように規則的な波面である。なお、入射面71の溝形状は、sinカーブ、cosカーブ、半円状以外にも、例えば山部又は谷部が丸められた略三角形状の波面でもよい。本実施の形態では、山部71bを形成する円弧と谷部71aを形成する円弧とを交互に並べた波面状である。山部71bを形成する円弧と谷部71aを形成する円弧とは略同一である。
入射面71のZ軸方向の長さは、光源51の配光がランバーシアン分布となる配光曲線と対応する長さであってもよい。言い換えれば、ランバーシアン分布となる配光曲線に対応する位置に、入射面71に対する光源51の位置を調節してもよい。入射面71のZ軸方向の長さがランバーシアン分布となる配光曲線の内部に入っていれば、光を効率的に導光板7に入射させることができる。
入射面71は、導光板7のZ軸プラス方向側の側面の一部である、中央部分の面に形成されている。導光板7のZ軸プラス方向側の側面における長手方向の中央部分に形成されている。入射面71は、光源51が出射した光が入射するように、光源51の光軸Jと交差する面である。入射面71は、出射面73及び背向面75と交差する面である。なお、入射面71の位置は、Z軸プラス方向側の面に限定されず、発光モジュール5の配置により変わる。長手方向は、X軸方向と略平行である。
図2及び図3に示すように、入射面71は、入射面71の山部71bと入射面71の谷部71aとの並び方向における光源51のサイズをnとすると、山部71bと谷部71aとの高低差hがn/25以上n/5以下であり、かつ、隣り合う2つの山部71b又は隣り合う2つの谷部71aのピッチPがn/3以下である。このことから、高低差h及びピッチPは、光源51のサイズnよりも小さくなる。光源51のサイズnは、0よりも大きな値であり、本実施の形態ではμmオーダである。
ここで、光源51のサイズnは、ベアチップのサイズである。ピッチPは、隣り合う2つの山部71b又は隣り合う2つの谷部71aにおける間隔である。
出射面73は、入射面71と交差し、導光する光が出射する面である。出射面73は、導光板7における、入射面71と略直交するY軸プラス方向側の面であり、略均一な平面をなしている。
背向面75は、出射面73の反対側の面である。背向面75は、導光板7における、入射面71と略直交するY軸マイナス方向側の面であり、略均一の平面をなしている。背向面75には、凹状又は凸状のドット75aが複数形成されている。ドット75aは導光板7を導光する光を拡散させるプリズムである。ドット75aの径は、50μm以上250μm以下である。
なお、ドット75aは、レーザ加工による切削、バイトによる切削等により形成することができる。本実施の形態におけるドット75aの径は、120μmである。
背向面75の入射面71側に形成されたドット75aの密度は、光源51の光軸Jから並び方向に離れるにつれて次第に大きくなる。また、背向面75に形成されたドット75aの密度は、さらに、光源51から遠ざかるにつれて次第に大きくなる。本実施の形態では、後述する図8の(c)に示すように、ドット75aは、光源51から遠ざかるにつれて次第に密度が大きくなるように背向面75に形成されている。ドット75aの形状は、例えば円錐状、半球状等である。また、導光板7の背向面75には、光を鏡面反射させる反射シートが設けられている。
本実施の形態における導光板7は、Z軸方向の長さが160mmであり、Y軸方向の長さが144mmである。また、入射面71における高低差hが0.110mmであり、円弧の半径Rが0.100mmであり、ピッチPが0.357mmである。また、光源51のサイズnは、1.5×1.5mmである。
表示パネル用フィルム8は、導光板7の出射面73側に配置され、光を透過する透光性を有するフィルムである。表示パネル用フィルム8は、導光板7の出射面73から導光板7のZ軸マイナス方向側の側面を介して導光板7の背向面75側に跨って配置されている。
なお、表示パネル用フィルム8を導光板7の外周側端縁に貼り付けてもよく、単に固定部材等により表示パネル用フィルム8を導光板7の出射面73側及び入射面71側に配置するだけでもよい。
表示パネル6をY軸プラス方向側から見て、表示パネル用フィルム8の導光板7の出射面73側では、導光板7と重なるように配置されている。導光板7の出射面73側の表示パネル用フィルム8は、Y軸方向及びZ軸方向で規定される平面と略平行となるように配置されている。
図2及び図4に示すように、表示パネル用フィルム8は、絵柄層81と、拡散層83と、基材85と、紫外線吸収層87とを備える。表示パネル用フィルム8のY軸プラス方向側は、導光板7側から遠ざかる方向に、絵柄層81、拡散層83、基材85及び紫外線吸収層87がこの順で積層されている。
絵柄層81は、表示パネル用フィルム8の絵柄を構成する。絵柄層81は、主に緑色の成分の光を透過させ、透過率を所定割合とする緑色部である。絵柄層81は、例えば、導光板7の出射面73から出射し、絵柄層81に入射した光を拡散させる。絵柄層81は、表示パネル6において、導光板7の出射面73と対向するように配置されている。なお、絵柄層81の表面粗さは、1.0以上5.0μm以下であってもよい。
拡散層83は、絵柄層81のY軸プラス方向側、言い換えれば、絵柄層81における導光板7側の面とは反対側の面に積層されている。拡散層83は、光を拡散させる光拡散機能を有している。拡散層83は、樹脂と、樹脂と異なる屈折率を有する光拡散粒子とを有する。樹脂は、例えば透光性のあるアクリル、ポリエチレンテレフタレート等の透光性を有する。拡散層83には、光拡散粒子が分散されている。光拡散材料は、例えばベンゾグアナミン系球状樹脂粒子である。なお、拡散層83は、表面粗さが0.5以上3.0μm以下であってもよい。
拡散層83の膜厚は、光源51から遠ざかるにつれて次第に薄くなる。つまり、拡散層83に略均一に光拡散材料が含有されているとすると、光拡散材料の密度は、光源51から遠ざかるにつれて次第に大きくなる。なお、拡散層83は、略均一な厚みであってもよい。
図2、図5及び図6に示すように、基材85は、表示パネル用フィルム8の基となる透光性を有するフィルムである。基材85は、第1基材86aと、第2基材86bと、第3基材86cとを有する。
第1基材86aは、導光板7のY軸プラス方向側に位置している。第1基材86aは、第1面85a及び第2面85bを有する。第1面85aは、第1基材86aのY軸プラス方向側の面である。第1面85aには、紫外線吸収層87が積層されている。第2面85bは、第1面85aと反対側の面であり、第1基材86aにおけるY軸マイナス方向側の面である。第2面85bには、拡散層83が積層されている。
第2基材86bは、導光板7のY軸マイナス方向側に位置している。第2基材86bは、第3面85c及び第4面85dを有する。第3面85cは、第2基材86bのY軸プラス方向側の面である。第3面85cには、反射板9が設けられている。第3面85cと導光板7の出射面73とが反射板9を挟んでいる。第4面85dは、第3面85cと反対側の面であり、第2基材86bにおけるY軸マイナス方向側の面であり、筐体3の内部に面している。
第3基材86cは、導光板7のZ軸マイナス方向側の側面側に位置している。第3基材86cは、導光板7のZ軸マイナス方向側の側面と密着している。
なお、第1基材86aと第2基材86bとが別々の部材であってもよい。また、第2基材86b及び第3基材86cが無くてもよい。
基材85は、例えば、アクリル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料、ガラス等の材料で構成されている。基材85は、導光板7の出射面73から導光板7のZ軸マイナス方向側の側面を介して導光板7の背向面75側に跨っている。基材85のY軸プラス方向側は、拡散層83のY軸プラス方向側、言い換えれば、拡散層83における導光板7側の面とは反対側の面に積層されている。
また、基材85のY軸マイナス方向側は、導光板7の背向面75側に積層されている。基材85のY軸マイナス方向側と導光板7の背向面75との間には、光を反射する反射板9が挟まれている。反射板9は、例えば鏡、白色の合成樹脂等であり、ミラーコーティングや研磨による鏡面仕上げ等により実現する。なお、反射板9は、例えば、樹脂、ゴム、金属等の部材にアルミや銀等の金属を蒸着して構成された鏡であってもよい。
紫外線吸収層87は、基材85における第1基材86aの第1面85aに積層されている。紫外線吸収層87のY軸プラス方向側の面が、表示パネル用フィルム8の表面に相当し、誘導灯装置1の外側の面であり、表示パネル用フィルム8の表示面となる。
紫外線吸収層87は、紫外線を吸収する機能を有する。紫外線吸収層87は、光の波長が380nmに対する透過率が50%以下、光の波長が400nmに対する透過率が60%以上であってもよい。より好ましくは、紫外線吸収層87は、光の波長が380nmに対する透過率が30%以下であり、光の波長が400nmに対する透過率が70%以上であってもよい。紫外線吸収層87の表面粗さは、0.5以上3.0μm以下であってもよい。紫外線吸収層87は、保護層の一例である。
紫外線吸収層87は、界面活性剤、イオン伝導性ポリマー、導電性金属酸化物のうちの少なくとも1つを含有する。これによれば、表示パネル用フィルム8のY軸方向側の面の表面抵抗値が低下する。表面抵抗値は、例えば10−13以下にすれば埃等が付着し難くなる。
電源部91は、外部からの電力によって駆動する制御回路、光源51を発光させるための電力を供給するリード線等を有する。電源部91は、リード線を介して光源51に電力を供給する。
このような誘導灯装置1では、光源51が出射した光が、導光板7の入射面71に入射して、導光板7を導光し、背向面75又は反射板9で反射されて、出射面73から出射する。出射面73から出射した光は、表示パネル用フィルム8に入射する。表示パネル用フィルム8の絵柄層81に入射した光は拡散され、絵柄層81を透過する際に、緑色の光が出射される。絵柄層81で絵柄が描かれていない部分は、そのまま光が透過する。絵柄層81を透過した光は、拡散層83を透過する際に、拡散層83の光拡散粒子と、拡散層83の表面粗さとによって拡散されて出射する。拡散層83を透過した光は、紫外線吸収層87を透過して誘導灯装置1の外部に出射される。絵柄層81を透過する際に、表示パネル用フィルム8の一部から緑色の光が出射し、表示パネル用フィルム8における他の一部から白色の光が出射するため、これによって、誘導灯装置1からは、絵柄に対応する光が出射される。
[製造方法]
次に、本実施の形態における表示パネル6の製造工程について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態1に係る表示パネル6の製造工程を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、表示パネル用フィルム8を製造する基となる基材85と、導光板7とを準備する(S1:準備工程)。また、表示パネル用フィルム8を製造するに際し、紫外線吸収層を形成する紫外線吸収層形成用塗料、紫外線吸収層形成用塗料を塗工する圧着ローラと、シリンダとを備えたグラビア印刷を行うことができるグラビア印刷機、絵柄層形成用塗料、拡散層形成用塗料、紫外線吸収層形成用塗料、これら各々の塗料を溜めるインキ溜め、スキージ、型枠等を準備する。
次に、グラビア印刷機を用いて、基材85における第1基材86aの第1面85aに紫外線吸収層形成用塗料を塗工する。圧着ローラが反時計回りに回転し、及びシリンダが時計回りに回転する。これにより、シリンダに付着した、インキ溜め内の紫外線吸収層形成用塗料が基材85の第1面85aに塗工される(S2:紫外線吸収層形成用塗料塗工工程)。
次に、ステップS2で得た部材の紫外線吸収層形成用塗料を乾燥させることで、第1基材86aの第1面85aに紫外線吸収層87が積層された積層体を得る(S3:乾燥工程)。
次に、スクリーン印刷により、ステップS3で得た積層体において、基材85の第2面85bに拡散層形成用塗料を塗工する。型枠をステップS3で得られた積層体に載せ、スキージを所定方向に走査して、拡散層形成用塗料が第1基材86aの第1面85aの上に塗工される(S4:拡散層形成用塗料塗工工程)。このときに、光源51側に対応する部分を厚くし、光源51から遠ざかるにつれて薄くなる型枠を用いる。
次に、ステップS4で得た部材の拡散層形成用塗料を乾燥させることで、第1基材86aの第1面85aに拡散層83が積層された積層体を得る(S5:乾燥工程)。
次に、ステップS5で得た積層体において、スクリーン印刷により、拡散層83の上に更に絵柄層形成用塗料を塗工する。型枠をステップS5で得られた積層体に載せ、スキージを所定方向に走査して、絵柄層形成用塗料が拡散層83の上に塗工される(S6:絵柄層形成用塗料塗工工程)。
次に、ステップS6で得た部材の絵柄層形成用塗料を乾燥させることで、絵柄層81、拡散層83、基材85及び紫外線吸収層87が積層された積層体である表示パネル用フィルム8を得る(S7:乾燥工程)。そして、絵柄層81、拡散層83、基材85及び紫外線吸収層87がこの順で積層された表示パネル用フィルム8の製造工程を終了する。
次に、表示パネル用フィルム8を導光板7に設け、組立てる(組立工程:S8)。
具体的には、第2基材86bの第3面85cに反射板9を積層する。表示パネル用フィルム8を導光板7の周囲に配置した際に絵柄層81が導光板7を介して反射板9と対向するように、反射板9を第3面85cに積層する。導光板7のZ軸プラス方向側の端面を表示パネル用フィルム8の二点鎖線で示す領域Gに重ねる。第3面85cが背向面75と対向し、かつ、絵柄層81が出射面73と対向するように表示パネル用フィルム8を導光板7に配置する。この際に、Y軸マイナス方向から表示パネル6を見た場合に、第2基材86b、反射板9、導光板7、絵柄層81、拡散層83、第1基材86a及び紫外線吸収層87がこの順で積層されている。また、Y軸プラス方向から表示パネル6を見た場合に、絵柄層81、拡散層83、第1基材86a及び紫外線吸収層87が、反射板9と重なっている。これにより、表示パネル6のY軸マイナス方向からY軸プラス方向に向かって、基材85の第2基材86b、反射板9、導光板7、絵柄層81、拡散層83、基材85の第1基材86a及び紫外線吸収層87がこの順で積層された表示パネル6を得る。
なお、反射板9は、表示パネル用フィルム8の構成に含めていないが、表示パネル用フィルム8の構成に含まれていてもよい。この場合、反射板9を第2基材86bに積層する工程は、ステップS5よりも前の工程で行ってもよい。
このように、少なくともグラビア印刷及びスクリーン印刷を選択的に行うことで、表示パネル用フィルム8の製造を行うことが可能である。このため、例えば、ステップS2でスクリーン印刷を行ってもよく、ステップS4、S6でグラビア印刷を行ってもよく、ステップS2、S4、S6の全てをスクリーン印刷又はグラビア印刷で行ってもよい。なお、本開示の効果を損ねない形で、グラビア印刷及びスクリーン印刷以外に可能な公知の印刷方法があれば、その印刷方法を用いて表示パネル用フィルム8を製造してもよい。
[実験結果]
表示パネルを用いた実験結果を示す。
図8は、誘導灯装置1の実験結果を示す図である。この実験では、光源51のサイズが1.5×1.5mmである光源51を用いた。
図8の(a)の導光板7’では、導光板7’の背向面において、導光板7’の光源51側の一方側端縁から他方側端縁に向かうにつれて、ドットの密度が大きくなる。また、導光板7’の側面である略平坦な面を入射面とし、導光板7’に図3のような入射面71を形成していない。色の濃淡が濃くなるほどドットの密度が高く、色の濃淡が濃くなるほどドットの密度が低いことを示している。
図8の(b)は、導光板7’の入射面に光源51が出射した光を入射させた場合に、導光板7’の出射面から出射した光の輝度分布を示す。色の濃淡が濃くなるほど輝度が高く、色の濃淡が淡くなるほど輝度が低いことを示している。領域Eは、背向面75の入射面71側であり、光源51の光軸Jから離れた背向面75の両端側に位置している。背向面75の入射面71側は、図3のZ軸プラス方向側である。入射面から入射した光がさほど広がっておらず、領域Eでは出射面73から出射する光の輝度が低い。
図8の(c)は、図8の(b)の輝度分布を出射面と略直交し、かつ、光軸Jを通過する断面での輝度分布を示すグラフである。縦軸が輝度を示し、横軸が導光板の長さである。
図8の(b)及び図8の(c)より、導光板7’では、出射面から出射する光に輝度斑が多いことがわかった。このため、このような導光板7’では見栄えが悪い。
図8の(d)の導光板7”では、導光板7”の背向面において、背向面の入射面側に形成されたドットの密度は、光源51の光軸Jから並び方向に離れるにつれて次第に大きくなる。また、背向面に形成されたドットの密度は、さらに、光源51から遠ざかるにつれて次第に大きくなる。また、導光板7”の入射面を略平坦な面とし、導光板7”に波面状の入射面を形成していない。色の濃淡が濃くなるほどドットの密度が高く、色の濃淡が濃くなるほどドットの密度が低いことを示している。入射面から入射した光がさほど広がっておらず、領域Eでは出射面73から出射する光の輝度が低い。
図8の(e)は、導光板7”の入射面に光源51が出射した光を入射させた場合に、導光板7”の出射面から出射した光の輝度分布を示す。色の濃淡が濃くなるほど輝度が高く、色の濃淡が淡くなるほど輝度が低いことを示している。
図8の(f)は、図8の(e)の輝度分布を出射面と略直交し、かつ、光軸Jを通過する断面での輝度分布を示すグラフである。縦軸が輝度を示し、横軸が導光板の長さである。
図8の(e)及び図8の(f)より、図8の(b)及び図8の(c)に比べれば輝度斑が抑制されていることがわかった。導光板7”では、導光板7’に比べて見栄えが改善されている。
図8の(g)は、導光板7を用いている。色の濃淡が濃くなるほどドット75aの密度が高く、色の濃淡が濃くなるほどドット75aの密度が低いことを示している。
図8の(h)は、導光板7の入射面71に光源51が出射した光を入射させた場合に、導光板7の出射面73から出射した光の輝度分布を示す。色の濃淡が濃くなるほど輝度が高く、色の濃淡が淡くなるほど輝度が低いことを示している。入射面から入射した光が広がっており、領域Eでは他の領域と出射面73から出射する光の輝度が同等程度である。
図8の(i)は、図8の(h)の輝度分布を出射面と略直交し、かつ、光軸Jを通過する断面での輝度分布を示すグラフである。縦軸が輝度を示し、横軸が導光板の長さである。
図8の(h)及び図8の(i)より、図8の(b)及び図8の(c)と、図8の(e)及び図8の(f)とに比べれば輝度斑が抑制されていることがわかる。導光板7の出射面73からは、略均一な光が出射していることがわかった。
次に、導光板における入射面の形状を変更した場合の、導光板の出射面から出射する光の輝度分布について、図9を用いて説明する。
図9は、入射面の溝形状に対する、導光板の出射面から出射する光の輝度分布を示す図である。入射面をY軸方向から見た場合に、入射面の溝形状は、円弧状の曲線が山部と谷部とが繰り返すような形状である。山部及び谷部は、円弧の半径がRとなるような曲面にしている。つまり、入射面は円孤だけで形成されている。この実験では、光源51のサイズが1.5×1.5mmである光源51を用いた。
図9の(a)〜図9の(f)は、高低差hと入射面から出射する光の輝度分布との関係を示している。図9の(a)は円弧の半径R=0.32mmであり高低差h=0.10mmである場合の輝度分布、図9の(b)は円弧の半径R=0.23mmであり高低差h=0.14mmである場合の輝度分布、図9の(c)は円弧の半径R=0.22mmであり高低差h=0.17mmである場合の輝度分布、図9の(d)は円弧の半径R=0.20mmであり高低差h=0.20mmである場合の輝度分布、図9の(e)は円弧の半径R=0.19mmであり高低差h=0.22mmである場合の輝度分布、図9の(f)は円弧の半径R=0.19mmであり高低差h=0.25mmである場合の輝度分布である。
図9の(a)〜図9の(f)で示すように、高低差hが大きくなるにつれて、輝度斑が抑制されていることがわかった。
図9の(g)〜図9の(j)は、高低差h=0.20mmの場合における、入射面から出射する光の輝度分布との関係を示している。図9の(h)〜図9の(j)では、入射面をY軸方向から見た場合に、入射面の溝形状は、円弧状の曲線が山部mと谷部vとの間に直線部sを設け、山部m、直線部s、谷部v及び直線部sがこの順で繰り返すように形成されている。また、山部m及び谷部vでは、円弧の半径がRとなるような曲面にしている。図9の(g)は、図9の(d)と同様の構成であり、入射面は円孤だけで形成している。
図9の(g)は円弧の半径R=0.20mmである場合の輝度分布、図9の(h)は円弧の半径R=0.17mmである場合の輝度分布、図9の(i)は円弧の半径R=0.13mmである場合の輝度分布、図9の(i)は円弧の半径R=0.00mmである場合の輝度分布である。
図9の(g)〜図9の(j)で示すように、円弧の半径Rを大きくすることで、輝度斑が抑制されることがわかった。
[評価結果]
実験例1〜5の導光板を用いた評価結果を、図10を用いて示す。
図10は、表示パネル用フィルムの評価結果を示す図である。
図10で示すように、実験例1〜5では、光源51のサイズn=1.5mmとした場合における、高低差、ピッチ、表示面から出射する光の輝度の均一性、表示面から出射する光の輝度、輝度分布について評価した。
実験例1では、導光板7の側面に入射面71のような波面状の溝加工を施すことで、光源51の光軸方向と略直交する方向に光を拡げることができるため、出射面73から出射する光の輝度の均一性を確保することができた。
実験例2では、導光板の側面に、入射面71のような溝加工を施しておらず、光軸方向と略直交する方向の領域Eに光を拡げることができないため、光源51の光軸付近の出射面から出射する光の輝度が高く、光軸から離れるに従い、出射面から出射する光の輝度が低くなった。なお、実験例2では、光源と導光板との間隔を実験例1よりも近くすることができるが、導光板への光の入射効率が上がってしまい、出射面から出射する光の輝度の均一性を確保し難い。
実験例3では、導光板の側面に入射面71のような波面状の溝加工を施しているものの、高低差が小さいため、光軸方向と略直交する方向の領域Eに光を拡げる効果が小さくなる。このため、光源51が出射した光を光軸方向と略直交する方向の領域Eに、十分な光量を拡げることができず、出射面から出射する光の輝度の均一性を確保し難い。
実験例4では、導光板の側面に入射面71のような波面状の溝加工を施しているものの、高低差が大きいため、光軸方向と略直交する方向の領域Eに光を拡げる効果が大きくなりすぎる。このため、光源51が出射した光の入射方向へ導光する光量が低下してしまい、出射面から出射する光の輝度の均一性を確保し難い。
また、光軸方向と略直交する方向の領域Eに導光した光は、導光板の側面で一部の光が吸収されてしまう。また、実験例4では、高低差を大きくすれば、光源と導光板の入射面との距離が離れてしまい、導光板への入射効率も低下するため、出射面から出射する光の輝度が低下してしまい、出射面から所望の輝度を得難い。
実験例5では、導光板の側面に入射面71のような波面状の溝加工を施しているものの、ピッチが大きいため、光軸方向と略直交する方向の領域Eに光を拡げる効果が小さくなる。このため、光源付近の出射面から出射する光の輝度が高くなり、その周辺の出射面から出射する光の輝度が低くなる。
このようなことから、導光板7の入射面71における、山部71bと谷部71aとの高低差hをn/25以上n/5以下とし、かつ、隣り合う2つの山部71b又は隣り合う2つの谷部71aのピッチPがn/3以下であることとした。
[作用効果]
次に、本実施の形態における誘導灯装置1の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る誘導灯装置1は、光源51と、光源51からの光が入射する入射面71と、入射面71と交差する出射面73と、出射面73の反対側の面である背向面75とを有し、入射面71から入射した光が導光され、出射面73から光が出射する導光板7と、導光板7の出射面73側に配置され、光を透過する表示パネル用フィルム8とを備える。また、入射面71は、波面状に形成される。入射面71は、入射面71の山部71bと入射面71の谷部71aとの並び方向における光源51のサイズをnとすると、山部71bと谷部71aとの高低差hがn/25以上n/5以下であり、かつ、隣り合う2つの山部71b又は隣り合う2つの谷部71aのピッチPがn/3以下である。さらに、背向面75には、径が50μm以上250μm以下のドット75aが形成される。そして、背向面75の入射面71側に形成されたドット75aの密度は、光源51の光軸Jから並び方向に離れるにつれて次第に大きくなる。
これによれば、波面状に形成された導光板7の入射面71は、入射面71の山部71bと入射面71の谷部71aとの並び方向における光源51のサイズをnとすると、山部71bと谷部71aとの高低差hがn/25以上n/5以下であり、かつ、隣り合う2つの山部71b又は隣り合う2つの谷部71aのピッチPがn/3以下である。このため、光源51から出射した光は、入射面71によって光源51の光軸Jと略直交する方向の領域Eに光が広がり易くなる。このため、導光板7では、出射面73から出射する光の輝度の均一性を確保することができる。
また、通常、光源51から遠ざかるにつれて出射面73から出射する光の輝度が低下する傾向にあるため、光源51の光軸Jから並び方向に離れるにつれて輝度が低下する。しかし、背向面75の入射面71側におけるドット75aの密度は、光源51の光軸Jから並び方向に離れるにつれて次第に大きくなる。このため、導光板7では、導光した光がドット75aにより反射され易くなり、出射面73から光が出射され易くなる。
したがって、この誘導灯装置1では、表示面の輝度斑を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る誘導灯装置1において、背向面75に形成されたドット75aの密度は、さらに、光源51から遠ざかるにつれて次第に大きくなる。
これによれば、例えば光源51からZ軸マイナス方向に遠ざかるにつれて、ドット75aの密度が次第に大きくなる。このため、導光板7では、出射面73から出射する光の輝度の均一性をより確保することができる。
また、本実施の形態に係る誘導灯装置1において、入射面71は、導光板7の側面における一部分に形成される。そして、入射面71は、導光板7の側面の長手方向の中央部分に形成される。
これによれば、入射面71が導光板7の側面の一部である、導光板7の側面の中央部分に形成されているため、光軸Jから離れる方向に略均一な光を広げやすくなる。このため、導光板7では、出射面73から出射する光の輝度の均一性をより確保することができる。
また、本実施の形態に係る誘導灯装置1において、表示パネル用フィルム8は、透過する光を拡散する拡散層83を有する。そして、拡散層83の膜厚は、光源51から遠ざかるにつれて次第に薄くなる。
これによれば、拡散層83の膜厚が光源51から遠ざかるにつれて次第に薄くなるため、拡散層83に略均一に光拡散材料が含有されているとすると、光拡散材料の密度は、光源51から遠ざかるにつれて次第に大きくなる。このため、光源51近い側よりも遠い側の方で光が多く拡散され易くなる。このため、表示パネル用フィルム8では、Y軸プラス方向側の表面から出射する光の輝度の均一性をより確保することができる。
また、本実施の形態に係る誘導灯装置1において、表示パネル用フィルム8は、さらに、拡散層83と導光板7との間で、拡散層83に積層される絵柄層81を有する。
これによれば、絵柄層81が、拡散層83と導光板7の出射面73との間で、拡散層83に積層されているため、拡散層83を出射面73から離間させることができる。このため、拡散層83が部分的に出射面73に接触することで表示パネル用フィルム8が明るく発光してしまうといった輝度斑が発生し難くなる。このため、表示パネル用フィルム8では、Y軸プラス方向側の表面から出射する光の輝度の均一性をより確保することができる。
また、本実施の形態に係る誘導灯装置1において、表示パネル用フィルム8は、さらに、導光板7側と反対側の表面側に、紫外線を吸収する紫外線吸収層87を有する。
これによれば、表示パネル用フィルム8のY軸プラス方向側である表面側に、紫外線吸収層87が積層されているため、紫外線による表示パネル用フィルム8の劣化を抑制することができるため、耐候性に優れている。また、紫外線の照射によって生じる表示パネル用フィルム8の黄色化等の劣化を抑制することができる。このため、表示パネル用フィルム8は品質性に優れている。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る誘導灯装置の構成について、図11を用いて説明する。
図11は、実施の形態2に係る誘導灯装置の表示パネル206等を示す斜視図である。
本実施の形態では、Z軸方向における導光板207の厚みが異なっている点で実施の形態1と異なっている。また、本実施の形態の誘導灯装置は、特に明記しない場合は、実施の形態1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図11に示すように、導光板207の厚みは、Z軸プラス方向側の端縁からZ軸マイナス方向側の端縁に向かうにつれて薄くなっている。導光板207は、例えば、図2の筐体3に装着される又は筐体3の一部であるケース200に入れられる。導光板207は、導光板207のZ軸マイナス方向側の端縁からケース200の案内路201に挿入されることで、ケース200に保持される。本実施の形態では、ケース200は、ネジ等の固定部材又は専用の係合部等により筐体3内に固定される。
[作用効果]
次に、本実施の形態における誘導灯装置の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る誘導灯装置において、導光板207の厚みは、光源51から遠ざかるにつれて次第に薄くなる。
これによれば、導光板207の厚みが光源51から遠ざかるにつれて次第に薄くなるため、ケース200の案内路201に導光板207を挿入し易い。このため、誘導灯装置1では、組立易くなり、製造コストの高騰化を抑制することができる。
特に、誘導灯装置では、導光板7のZ軸マイナス方向側がZ軸プラス方向側よりも先細であるため、材料費を削減することができる。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
(その他変形例)
以上、本開示の実施の形態1、2に係る誘導灯装置について説明したが、本開示の実施の形態1、2は上述の実施の形態1、2に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態1、2に係り、導光板のY軸プラス方向側の端面、Y軸マイナス方向側の端面及びZ軸マイナス方向側の端面の各々に、導光板の出射面から出射する光に輝度斑が生じないように、反射又は吸収させるシートを設けてもよい。
例えば、上記実施の形態1、2に係り、絵柄層及び表示層は、導光板側の第1基板の第2面側に積層されているのではなく、第1基板の第1面側に積層されていてもよい。この場合、紫外線吸収層を第1基板に積層しなくてもよく、紫外線吸収層は必須の構成要件ではない。
以上、一つまたは複数の態様に係る誘導灯装置について、実施の形態1、2に基づいて説明したが、本開示の実施の形態1、2は当該複数の態様に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。