JP6931537B2 - 開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法 - Google Patents

開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法およびその水素添加物に関する。
近年、デジタルカメラモジュール用のマイクロレンズ、撮像レンズ、光学素子(マイクロレンズアレイ、光導波路、光スイッチング、フレネルゾーンプレート、バイナリー光学素子、ブレーズ回折光学素子、フォトニクス結晶等)等の光学材料用途、ArFエキシマレーザー露光、EUV露光用等のレジスト材料等の半導体製造プロセス材料用途、反射防止フィルター、記録メディア、ディスプレイ材料、有機ELや液晶プラスチック部材等の電子デバイス材料用途等において、高純度の高透明樹脂材料の需要が高まり、光学特性に優れる開環メタセシス共重合体の水素添加物はこれらの分野で広く用途展開が検討されている。
開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法として、開環メタセシス重合触媒を利用して環状オレフィンモノマーを重合し、続いて水素添加反応触媒(水添触媒)を利用して開環メタセシス重合後の残存する二重結合を水素添加する方法が知られている。
触媒に含まれる金属成分が開環メタセシス共重合体の水素添加物に残存してしまうことで、デジタルカメラモジュール用のマイクロレンズ、撮像レンズ、光学素子等の光学材料、半導体製造用のレジストポリマー材料および製品における変色、光学特性の悪化、リソグラフィー特性の悪影響、または半導体製造プロセス内の金属汚染等が起こるため、これらの問題を回避することが最先端半導体製造技術用途および光学材料用途への展開において課題である。
この残留金属の除去の課題を解決する方法としてポリマー中からの残留金属成分の除去方法が、従来から提案されている。
遷移金属触媒を用いて製造する開環メタセシスポリマー製品中の残留金属を除去する方法として、例えば、環状オレフィンモノマーとオレフィンとの配位共重合体の溶液をアルカリや酸水溶液と接触させる方法、または、環状オレフィンモノマーとオレフィンとの配位共重合体の溶液を珪藻土等の濾過材と接触させる方法(特許文献1)や、環状オレフィンモノマーをパラジウム系の触媒で付加重合して得られる環状オレフィンポリマーをシリカ表面にメルカプトプロピルトリメトキシシランで修飾した吸着剤で処理することにより、ポリマー中に単位質量に対して6.0ppmであったパラジウムを0.13ppmまで低下する方法(特許文献2)が知られている。
また、開環メタセシス重合反応および水素添加反応により得られるポリマーの精製方法として、重合触媒残渣を含有するポリマー溶液を、水素添加反応触媒を担持した吸着剤で処理して、重合触媒に由来するチタン等の金属含有量が1ppm以下の熱可塑性ノルボルネン系重合体水素添加物を得る方法(特許文献3)が知られている。
また、特許文献4には、以下のような方法が開示されている。エステルを含む環状オレフィンモノマーをタングステン系触媒により開環メタセシス重合した後、ルテニウム系錯体触媒で水素添加反応して開環メタセシス重合体水素添加物溶液を得る。その後、この開環メタセシス重合体水素添加物溶液に対し、酸化剤、あるいは塩基性化合物を添加し、残留金属成分を抽出する操作を繰り返し、貧溶媒相に金属成分を除去する。そして、ポリマー中のタングステンを3ppm、ルテニウムを0.1ppm未満に低減する。
さらに、特許文献5には、以下のような方法が開示されている。シアノ基を有する環状オレフィンモノマーをモリブデン系触媒で開環メタセシス重合する。その後、トリメチレンジアミンを加え攪拌してからポリマー溶液をメタノールに加えて開環メタセシス重合体を析出する。さらに開環メタセシス重合体と、酸性化合物と接触させてから、メタノールに排出することにより、金属成分を430ppmから30ppmに低減する。
また、特許文献6には、以下のような方法が開示されている。3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物を、開環メタセシス触媒であるビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムクロライドで開環メタセシス重合し、重合終了後に酢酸ビニルで不活性化する。これにより、ポリマーの主鎖に酸素原子を含有する環状オレフィンポリマーを得る。このポリマーを含む溶液を、活性アルミナに3回通過させて吸着処理することにより、重合触媒に由来する遷移金属を除去、精製する。
さらに、特許文献7には、水素添加後に、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキルオキシカルボニル基を置換基とする環状オレフィンポリマーおよび金属成分を含む液と、塩基性官能基および酸性官能基を含有する有機化合物とを接触させ、次いで、塩基性吸着剤に接触させて、液中に含まれる金属成分を除去するポリマーの精製方法が例示できる。しかしながら、水素添加反応時に、金属成分を除去できていないので、重合触媒および水素添加反応触媒に由来する残留各金属成分を30ppb以下にすることができなかった。
近年、半導体の製造工程において、その集積度を向上させるためリソグラフィー工程での回路パターンの微細化が進んできており、ロジック回路、DRAM回路、NANDフラッシュメモリー回路では1Xnm世代のものが量産化されつつある。これらは波長193nmのArFレーザーを使い、液浸技術と露光を2回またはそれ以上繰り返すダブルやマルチパターニング技術によりパターン形成を行っている。リソグラフィー工程で使用されるレジストポリマー材料に多量の残留金属が存在すると半導体回路のリーク電流によるショートを引き起こす。近年のパターン形成を繰り返すダブルやマルチパターニングでは繰り返しレジストを使用し、そのため半導体回路に残留金属が蓄積されやすく、レジストポリマー中の残留金属を極限まで低下させる必要性がでてきた。
また、デジタルカメラモジュール用のマイクロレンズ、撮像レンズ、光学素子等の光学用途においては、開環メタセシス共重合体の水素添加物を光学フィルムや成形物として使用する場合、溶融成形法でフィルムを得ようとしたり、射出成形で成形物を得ようとすると、その成形プロセスにおいて、ポリマーの黄変や劣化が生じたり、ポリマー分解物やゲルの発生等による外観欠陥が生じるといった欠点があった。そこで、開環メタセシス共重合体の水素添加物の優れた透明性を損なわないために、ポリマー中の残留金属を極限まで低下させた開環メタセシス共重合体の水素添加物の開発が必要とされていた。
特開平6−240511号公報 特開2008−101169号公報 特開平4−363312号公報 特開平7−109310号公報 特開平10−324737号公報 特開2001−163958号公報 特許第5597643号公報
前記の通り、近年の半導体の製造工程において、その集積度を向上させるためにリソグラフィー工程で液浸技術と露光を2回またはそれ以上繰り返すダブルやマルチパターニング技術によりパターン形成を行っている。マルチパターニング技術ではパターン形成を繰り返すため、工程で使用されるレジストポリマー材料も繰り返し使用する。このため、半導体回路中の残留金属が引き起こすリーク電流によるショートを回避するために、回路上に残留する金属を極限まで低下させる必要性がある。
本発明者らは、その材料である開環メタセシス共重合体の水素添加物を製造する時には、水素添加反応後に特許文献7のように、各触媒に由来する各残留金属成分を30ppb以下にすることができなかった従来技術に対し、残留金属を格段に低減された前記共重合体を提供することを課題として検討を行った。その結果、本発明の製造方法を適用することによって触媒に由来する全金属含有量をポリマーの脱金属精製をおこなわなくとも1000ppb以下にできることや、さらにポリマーを本発明の脱金属精製することによって全金属成分含有量を10ppb以下にできることを見出した。
また、本発明の製造法で得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物を加熱溶融成形すると、残留金属に由来する黄化劣化や濁り等が生じない透明性に優れた成形物が得られることを見出した。
本発明は、以下に示される。
(1)開環メタセシス共重合体の水素添加物を製造するための製造方法であって、
水素の存在下、ルテニウム(Ru)金属とロジウム(Rh)金属のカーボン担持水素添加反応触媒を用いて、開環メタセシス共重合体の炭素−炭素二重結合を水素添加する工程を含み、
上記開環メタセシス共重合体は、下記一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と下記一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]を含み、上記構造単位[A]と上記構造単位[B]とのモル比([A]/[B])が5/95以上90/10以下であり、
上記カーボン担持水素添加反応触媒における上記ルテニウムと上記ロジウムとの質量比(Ru/Rh)が80/20以上99/1以下であり、
得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物の二重結合の水素添加率が99.5モル%以上であり、
得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物における上記構造単位[A]中の酸不安定基の脱離率が1モル%以下であり、
得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物における重合触媒および水素添加反応触媒由来の金属の全含有量が1000ppb以下である開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
Figure 0006931537
(式中、R炭素数4〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜20のアルコキシアルキルオキシカルボニル基、および炭素数4〜20のアルコキシカルボニルアルキルオキシカルボニル基からなる群より選択される酸不安定基であり、jは、0または1である。)
Figure 0006931537
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜10のアルキル基から選ばれ、Xは−O−、または−CR−から(RおよびRはそれぞれ水素または炭素数1〜20のアルキル基を表す)選ばれる。)
(2)上記(1)に記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法において、
上記重合触媒および水素添加反応触媒由来の金属が少なくともルテニウムおよびロジウムを含み、さらに任意でモリブデン、タングステンからなる群より選択される一種または二種を含む開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
(3)上記(1)または(2)に記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法において、
上記カーボン担持水素添加反応触媒における上記ルテニウムと上記ロジウムの合計質量が上記開環メタセシス共重合体に対して0.05質量%以上1.0質量%以下である開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
(4)上記(1)乃至(3)いずれか一つに記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法において、
得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物が、半導体製造リソグラフィープロセスで使用されるレジスト原料である開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法
本発明によれば、残留金属成分の量が極めて低い半導体製造用のレジストポリマー、および加熱溶融成形して得られる光学部品に特に適した開環メタセシス共重合体の水素添加物を提供することができる。よって、残留金属成分による半導体回路のリーク電流によるショートの解消や、加熱溶融成形において着色黄変が無く樹脂本来の高い透明性を有する成形体を得ることが期待できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、数値範囲の「A〜B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
本発明の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法は、開環メタセシス共重合体の水素添加物を製造するための製造方法であって、水素の存在下、ルテニウム(Ru)金属とロジウム(Rh)金属のカーボン担持水素添加反応触媒を用いて、開環メタセシス共重合体の炭素−炭素二重結合を水素添加する工程を含む。上記開環メタセシス共重合体は、下記一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と下記一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]を含み、上記構造単位[A]と上記構造単位[B]とのモル比([A]/[B])が5/95以上90/10以下であり、上記カーボン担持水素添加反応触媒における上記ルテニウムと上記ロジウムとの質量比(Ru/Rh)が80/20以上99/1以下であり、得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物の二重結合の水素添加率が99.5モル%以上であり、得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物における上記構造単位[A]中の酸不安定基の脱離率が1モル%以下であり、得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物における重合触媒および水素添加反応触媒由来の金属の全含有量が1000ppb以下である。
Figure 0006931537
(式中、Rが酸不安定な炭素数4〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜20のアルコキシアルキルオキシカルボニル基、または炭素数4〜20のアルコキシカルボニルアルキルオキシカルボニル基から選ばれ、jは、0または1である。)
Figure 0006931537
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜10のアルキル基から選ばれ、X1は−O−、または−CR−から(R、Rは水素、炭素数1〜20のアルキル基を表す)選ばれる。)
さらに本実施形態の開環メタセシス共重合体の水素添加物には、下記一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]を含んでもよく、一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]の合計と、一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]との構成モル比が、例えば、([A]+[B])/[D]=99/1〜1/99である。
Figure 0006931537
(式中、R〜Rは、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基または炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基から選ばれ、Xは−O−および−CR1011−から(R10およびR11はそれぞれ水素または炭素原子数1〜20のアルキル基を表す)選ばれ、同一でも異なってもよい。また、R〜Rは、互いに、結合してもよく、kは0または1である。)
(開環メタセシス共重体の製造方法)
本実施形態における開環メタセシス共重合体の水素添加物は、一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]に対応する環状オレフィンモノマー、および一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]に対応する環状オレフィンモノマーを開環メタセシス触媒で共重合し、水素添加反応触媒のもとに水素添加することにより得られるものである。
さらに一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]および一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]に対応する環状オレフィンモノマーと、一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]に対応する環状オレフィンモノマーを第3成分として含んだものを開環メタセシス触媒で共重合し、本実施形態での水素添加反応触媒のもとに水素添加することにより得られるものである。
本実施形態において、上記炭素−炭素二重結合を有する開環メタセシス共重合体の一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]のRは、酸不安定な3級または4級のアルコキシ基を有する炭素数4〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜20のアルコキシアルキルオキシカルボニル基、または炭素数4〜20のアルコキシカルボニルアルキルオキシカルボニル基から選ばれる。
さらに詳しくは、一般式(1)においてRは、半導体製造のArF露光リソグラフィーで使用するレジストポリマーとして酸発生剤から露光で発生する酸で、電子的に安定なカルボカチオンの生成によりエステル分解反応が誘起される3級または4級のアルコキシ基を有する酸不安定なエステル置換基である。本実施形態における開環メタセシス共重合体の水素添加物は、酸分解で繰返し構造単位[A]のRから生成したカルボン酸を、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液のようなアルカリ現像液に溶解現像することによりパターンを形成するレジストポリマーとして利用される。
一方で、一般的にはリソグラフィーで用いられるレジスト溶液の有機溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が使用され、フォトレジスト用のポリマー中のカルボン酸の発生は、PGMEA等の溶剤に対するポリマー溶解性を悪化させる。
つまり、ワニス製造時にはポリマー中にカルボン酸が無く特定の溶剤に溶解させることが必要で、半導体製造の露光時にのみ酸発生剤からの発生酸によってカルボン酸を発生する材料が好適に用いられる。
本実施形態における開環メタセシス共重合体において、一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]における酸不安定なRとしては、炭素数4〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜20のアルコキシアルキルオキシカルボニル基、または炭素数4〜20のアルコキシカルボニルアルキルオキシカルボニル基から選ばれる。
炭素数4〜20のアルコキシカルボニル基としては、例えば、イソプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、シクロオクチルオキシカルボニル、ノルボニルオキシカルボニル、1−メチルシクロペンチルオキシカルボニル、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル、1−メチルノルボニルオキシカルボニル、1−エチルノルボニルオキシカルボニル、テトラヒドロフラン−2−イルオキシカルボニル、テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル、1−アダマンチルオキシカルボニル、および2−アダマンチルオキシカルボニル等が挙げられる。
また、炭素数3〜20のアルコキシアルキルオキシカルボニル基としては、例えば、メトキシメチルオキシカルボニル、エトキシメチルオキシカルボニル、n−プロポキシメチルオキシカルボニル、イソプロポキシメチルオキシカルボニル、n−ブトキシメチルオキシカルボニル、tert−ブトキシメチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシメチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシメチルオキシカルボニル、シクロオクチルオキシメチルオキシカルボニル、ノルボニルオキシメチルオキシカルボニル、1−メチルシクロペンチルオキシメチルオキシカルボニル、1−エチルシクロペンチルオキシメチルオキシカルボニル、1−メチルノルボニルオキシメチルオキシカルボニル、1−エチルノルボニルオキシメチルオキシカルボニル、1−エトキシプロピルオキシメチルオキシカルボニル、1−エトキシ−1−メチルエチルオキシメチルオキシカルボニル、テトラヒドロフラン−2−イルオキシメチルオキシカルボニル、テトラヒドロピラン−2−イルオキシメチルオキシカルボニル、1−アダマンチルオキシメチルオキシカルボニル、および2−アダマンチルオキシメチルオキシカルボニル等が挙げられる。
さらに、炭素数4〜20のアルコキシカルボニルアルキルオキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニルメチルオキシカルボニル、エトキシカルボニルメチルオキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルメチルオキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルメチルオキシカルボニル、n−ブトキシカルボニルメチルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルメチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニルメチルオキシイソカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、シクロオクチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、ノルボニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、1−メチルシクロペンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、1−メチルノルボニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、1−エチルノルボニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、1−エトキシプロピルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、1−エトキシ−1−メチルエチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、テトラヒドロフラン−2−イルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、1−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル、および2−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル等が挙げられる。
さらに、一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]におけるR〜Rは、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜10のアルキル基から選ばれる。
また、Xは−O−、または−CR−から(RおよびRはそれぞれ水素または炭素数1〜20のアルキル基を表す)選ばれる。
また、一般式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜10のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−エチルシクロペンチル、または1−エチルシクロヘキシル等のアルキル基であり、同一でも異なってもよい。
は−O−または−CR−(RおよびRはそれぞれ水素または炭素数1〜20のアルキルを表す)から選ばれ、RおよびRは、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル等の炭素数1〜20のアルキル基が例示される。
ここで、一般式(2)で表される構造単位[B]は、より極性が高く、撥水性を抑制し、レジストポリマー材料としての水接触角をより低角度に設計できる観点から、構造単位[B]のXが−O−であることが好ましい。
さらに、一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]におけるR〜Rは、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、1級または2級のアルコキシ基を有する炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基または炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基から選ばれ、同一でも異なってもよい。
またXは−O−および−CR1011−から(R10およびR11はそれぞれ水素または炭素原子数1〜20のアルキル基を表す)選ばれ、同一でも異なってもよい。また、R〜Rは、互いに結合してもよい。
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロオクチル、またはメンチル等が挙げられ、炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、ビフェニル等が挙げられ、さらに、炭素原子数1〜20のアルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、シクロペントキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロオクチルオキシ、炭素原子数2〜20のアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、n−プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n−ブトキシメチル、イソブトキシメチル、tert−ブトキシメチル、シクロペンチルオキシメチル、シクロヘキシルオキシメチル、シクロオクチルオキシメチル等が挙げられる。炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、n−ペントキシカルボニル、n−ヘトキシカルボニル、3−メチルブトキシカルボニル、2−メチルペントキシカルボニル、3−メチルペントキシカルボニル、4−メチルペントキシカルボニル等が挙げられ、炭素原子数6〜20のアリールオキシカルボニル基としてはフェノキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、4−メチルフェノキシカルボニル、3、4−ジメチルフェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニル、2−ナフトキシカルボニル、1−アントラセノキシカルボニル等が挙げられる。
また、R〜Rは、互いに結合してもよい。さらに、具体的には、R〜Rのうち、少なくとも2つが結合して、環構造を形成してもよく、その際、−O−、−C−、−N−、または−S−の結合を介してもよい。例えば、環状エーテル構造、エポキシ構造、オキセタン構造、酸無水物構造、環状炭化水素結合構造、イミド構造、環状チオエーテル構造等が挙げられる。
本実施形態において、一般式(1)で表される構造単位[A]と一般式(2)で表される構造単位[B]の構成モル比[A]/[B]は、5/95〜90/10であり、好ましくは10/90〜80/20であり、さらに好ましくは20/80〜70/30であり、特に好ましくは30/70〜70/30である。
本実施形態において、一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]の合計と、一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]との構成モル比が([A]+[B])/[D]=99/1〜1/99であり、好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90であり、特に好ましくは90/10〜20/80である。
繰返し構造単位[D]を加えて共重合体とすることによって、上記の半導体製造工程におけるリソグラフィー工程で、酸不安定基の酸分解により生成するカルボン酸発生効率を維持しながら、かつ、マルチパターニング等の繰り返し露光耐性の向上を図ることができる。さらに、リソグラフィー工程でフォトレジストのアンダーレイヤーとしての下層膜として使用することもできる。
また、デジタルカメラモジュール用のマイクロレンズ、撮像レンズ、MEMSを含む光学素子等の光学用途においては、開環メタセシス共重合体の水素添加物を光学フィルムや成形物として使用する場合、溶融成形プロセスにおいて、成形物であるポリマーの黄変や劣化や濁りを抑制したり、ポリマー分解物やゲルの発生等による外観欠陥や特定の波長での透明性の低下を抑制したりすることができる。
本実施形態における、一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]でj=0である開環メタセシス共重合体の具体的な環状オレフィンモノマーとしては、5−イソプロポキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(tert−ブトキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロペンチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロオクチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ノルボルニルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−メチルシクロペンチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1-メチルノルボルニルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エチルノルボルニルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1-エトキシプロピルオキシオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1-エトキシ−1−メチルエチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(テトラヒドロフラン−2−イルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−アダマンチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−アダマンチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n−プロポキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソプロポキシメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n−ブトキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−メチル−プロポキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(tert−ブトキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロペンチルオキシメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロオクチルオキシメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ノルボルニルオキシメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−メチルシクロペンチルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エチルシクロペンチルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−メチルノルボルニルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エチルノルボルニルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エトキシプロピルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エトキシ−1−メチルエチルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(テトラヒドロフラン2−イルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−アダマンチルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−アダマンチルオキシメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n-プロポキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソプロポキシカルボニルメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n−ブトキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロペンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロオクチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ノルボニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−メチルシクロペンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−メチルノルボルニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エチルノルボルニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エトキシプロピルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−エトキシ−1−メチルエチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(テトラヒドロフラン−2−イルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
さらに、上記と同様に一般式(1)で表される繰返し構成単位[A]でj=1である開環メタセシス共重合体の具体的な環状オレフィンモノマーとしては、8−イソプロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(tert−ブトキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロペンチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロオクチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ノルボルニルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−メチルシクロペンチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−メチルノルボルニルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エチルノルボルニルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エトキシプロピルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エトキシ−1−メチルエチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(テトラヒドロフラン−2−イルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−アダマンチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2−アダマンチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メトキシメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−プロポキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−ブトキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(tert−ブトキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロペンチルオキシメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシルオキシメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロオクチルオキシメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ノルボルニルオキシメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−メチルシクロペンチルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エチルシクロペンチルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−メチルノルボルニルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エチルノルボルニルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エトキシプロピルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エトキシ−1−メチルエチルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(テトラヒドロフラン−2−イルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−アダマンチルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2−アダマンチルオキシメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メトキシカルボニルメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−プロポキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシカルボニルメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−ブトキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロペンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロオクチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ノルボルニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−メチルシクロペンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−メチルノルボルニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エチルノルボルニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エトキシプロピルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−エトキシ−1−メチルエチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(テトラヒドロフラン−2−イルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シアノメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シアノエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シアノプロピル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。
一方、本実施形態における一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]でXが−O−または−CR−(RおよびRはそれぞれ水素または炭素数1〜20のアルキルを表し、例えば、メチル、エチル、プロピル等が挙げられる。)である開環メタセシス共重合体の具体的な環状オレフィンモノマーとしては、4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、4−オキサ−2,6−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、4−オキサ−2,5,5,6−テトラメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、4,10−ジオキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、4,10−ジオキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、4,10−ジオキサ−2,6−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、4,10−ジオキサ−2,5,5,6−テトラメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン等が挙げられる。
本実施形態における一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]でXが−CR1011−(R10およびR11はそれぞれ水素または炭素原子数1〜20のアルキル基を表す)でk=0である開環メタセシス共重合体の具体的な環状オレフィンモノマーとしては、R〜Rがアルキル基の場合は、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソプロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n−ブチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(tert−ブチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロオクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ノルボルニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。R〜Rがアリール基の場合は、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ナフチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(o−トリル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。R〜Rがアルコキシ基の場合、5−メトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n−ブトキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソブトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。R〜Rがアルコキシアルキル基の場合、5−メトキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n−プロポキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n−ブトキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソブトキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。R〜Rがアルコキシカルボニル基の場合、5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n−プロポキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(n−ブトキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソブトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。R〜Rがアリールオキシカルボニル基の場合、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ナフチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
さらに、上記と同様に一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]でXが−CR1011−(R10およびR11はそれぞれ水素または炭素原子数1〜20のアルキル基を表す)でk=1である開環メタセシス共重合体の具体的な環状オレフィンモノマーとしては、R〜Rがアルキル基の場合は、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−プロピル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−ブチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソブチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(tert−ブチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。R〜Rがアリール基の場合は、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(o−トリル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ビフェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。R〜Rがアルコキシ基の場合、8−メトキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−ブトキシ)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソブトキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。R〜Rがアルコキシアルキル基の場合、8−メトキシメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−プロポキシメチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−ブトキシメチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソブトキシメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。R〜Rがアルコキシカルボニル基の場合、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−プロポキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(n−ブトキシカルボニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。R〜Rがアリールオキシカルボニル基の場合、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ナフチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。
上記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表される環状オレフィンモノマーの重合反応に使用される触媒は、上記環状オレフィンモノマーを開環メタセシス重合できる触媒であれば特に限定されないが、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)等の有機遷移金属アルキリデン錯体触媒、または、有機遷移金属錯体と、助触媒としてのルイス酸との組合せによる開環メタセシス触媒が挙げられる。
例えば、W(N−2,6−Pr )(thf)(OBuCl2、W(N−2,6−Pr )(thf)(OCMeCFCl等のタングステン系ハロゲン錯体や、Mo(N−2,6−Pr )(thf)(OBuCl、Mo(N−2,6−Pr )(thf)(OCMeCFCl(式中、Prはiso−プロピル基、Buはtert−ブチル基、thfはテトラヒドロフランを表す。)等のモリブデン系ハロゲン錯体と、助触媒として有機アルミニウム化合物、有機錫化合物またはリチウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ホウ素等の有機金属化合物とからなる開環メタセシス触媒;アミン化合物、エステル化合物、エーテル化合物等の電子供与性化合物の存在下におけるMoCl、WCl、ReCl、TiCl、RuCl、IrCl等の無機遷移金属ハロゲン化合物と、助触媒としての前述したルイス酸との組合せによる開環メタセシス触媒を用いることができる。
本実施形態では、特に、ヘテロ原子を含有する、極性の高い環状オレフィンモノマーを共重合できる触媒を効率的に除去することができる。例えば、タングステン、モリブデン、ルテニウム等の有機遷移金属アルキリデン錯体を開環メタセシス重合触媒に使用した場合に極性の高い環状オレフィンモノマーを効率よく共重合することができる。
さらに、有機遷移金属アルキリデン錯体の開環メタセシス重合触媒として、具体的には、W(N−2,6−Pr )(CHBu)(OBu、W(N−2,6−Pr )(CHBu)(OCMeCF、W(N−2,6−Pr )(CHBu)(OCMe(CF、W(N−2,6−Pr )(CHCMePh)(OBu、W(N−2,6−Pr )(CHCMePh)(OCMeCF、W(N−2,6−Pr )(CHCMePh)(OCMe(CF、W(N−2,6−Pr )(CHCMePh)(OC(CF、W(N−2,6−Me)(CHCMePh)(OC(CF(式中のPrはiso−プロピル基、Buはtert−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)等のタングステン系アルキリデン触媒、W(N−2,6−Me)(CHCHCMePh)(OBu(PMe)、W(N−2,6−Me)(CHCHCMe)(OBu(PMe)、W(N−2,6−Me)(CHCHCPh)(OBu(PMe)、W(N−2,6−Me)(CHCHCMePh)(OCMe(CF))(PMe)、W(N−2,6−Me)(CHCHCMe)(OCMe(CF))(PMe)、W(N−2,6−Me)(CHCHCPh)(OCMe(CF))(PMe)、W(N−2,6−Me)(CHCHCMe)(OCMe(CF(PMe)、W(N−2,6−Me)(CHCHCMe)(OCMe(CF(PMe)、W(N−2,6−Me)(CHCHCPh)(OCMe(CF(PMe)、W(N−2,6−Pr )(CHCHCMePh)(OCMe(CF))(PMe)、W(N−2,6−Pr )(CHCHCMePh)(OCMe(CF(PMe)、W(N−2,6−Pr )(CHCHCMePh)(OPh)(PMe)、(式中のPrはiso−プロピル基、Buはtert−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)等のタングステン系アルキリデン触媒、Mo(N−2,6−Pr )(CHBu)(OBu、Mo(N−2,6−Pr )(CHBu)(OCMeCF、Mo(N−2,6−Pr )(CHBu)(OCMe(CF、Mo(N−2,6−Pr )(CHBu)(OC(CF3、Mo(N−2,6− Pr )(CHCMePh)(OBu、Mo(N−2,6−Pr )(CHCMePh)(OCMeCF、Mo(N−2,6−Pr )(CHCMePh)(OCMe(CF、Mo(N−2,6−Pr )(CHCMePh)(OC(CF、Mo(N−2,6− Me)(CHCMePh)(OBu、Mo(N−2,6−Me)(CHCMePh)(OCMeCF、Mo(N−2,6−Me)(CHCMePh)(OCMe(CF2、Mo(N−2,6−Me)(CHCMePh)(OC(CF(式中のPrはiso−プロピル基、Buはtert−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)等のモリブデン系アルキリデン触媒、Ru(P(C11(CHPh)Cl(式中のPhはフェニル基を表す。)等のルテニウム系アルキリデン触媒等が挙げられる。上記開環メタセシス重合触媒は、単独に、または2種以上併用してもよい。
本実施形態の開環メタセシス共重合体を合成する重合触媒金属成分は、例えば、モリブデン、タングステン、レニウム、イリジウム、タンタル、ルテニウム、バナジウム、チタン、パラジウム、ロジウム等の遷移金属が挙げられる。好ましくはモリブデン、タングステン、ルテニウム、ロジウムであり、より好ましくはモリブデン、タングステンである。
重合反応において環状オレフィンモノマーと有機遷移金属アルキリデン錯体の開環メタセシス重合触媒のモル比は、環状オレフィンモノマーが開環メタセシス重合触媒1モルに対して10当量〜50000当量であり、好ましくは50当量〜30000当量、より好ましくは100当量〜20000当量である。
重合反応は、無溶媒でも溶媒を使用してもよい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタンまたはジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはエチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサンまたはヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンまたはデカリン等の脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロライド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンまたはトリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチルまたは酢酸エチル等のエステル等が挙げられ、これらの2種類以上を併用してもよい。
また、重合反応は、オレフィン類やジエン類等の連鎖移動剤共存下で行ってもよい。連鎖移動剤として用いられるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンが挙げられ、さらに、ビニルトリメチルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン等のケイ素含有オレフィンが挙げられる。また、ジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン等の非共役系ジエンが挙げられる。さらに、これらオレフィンまたはジエンはそれぞれ単独または2種類以上を併用してもよい。
共存させるオレフィンまたはジエンの使用量は、環状オレフィンモノマー1モルに対してオレフィンまたはジエンが、好ましくは0.001当量〜1000当量、より好ましくは0.01当量〜100当量の範囲である。また、オレフィンまたはジエンが、開環メタセシス重合触媒1モルに対して、好ましくは0.1当量〜2000当量、より好ましくは1当量〜1000当量の範囲である。これら量比を任意に設定することにより、分子量の大きさを設定することができると共に、連鎖移動剤の使用により重合反応に使用する開環メタセシス重合触媒の使用量が低減し、金属の除去効率が高まる。
重合反応のモノマー濃度は、環状オレフィンモノマーの反応性および重合溶媒ヘの溶解性等によっても異なり一様ではないが、通常、溶媒1kgに対する環状オレフィンモノマーの濃度は、0.001kg/kg〜3kg/kgであり、好ましくは0.01kg/kg〜2kg/kg、さらに好ましくは0.02kg/kg〜1kg/kgの範囲である。反応温度は、環状オレフィンモノマーおよび開環メタセシス触媒の種類や量等によって異なるが、通常−30℃〜150℃の反応温度であり、好ましくは0℃〜120℃、さらに好ましくは15℃〜100℃の温度である。反応時間は、通常、1分〜10時間であり、好ましくは5分〜8時間、さらに好ましくは10分〜6時間である。
重合反応後、ブチルアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類等で反応を停止し、開環メタセシス共重合体溶液を得ることができる。その際、環状オレフィンモノマーの重合率は、少なくとも90%以上であり、好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは100%である。この重合率が低いと、開環メタセシス共重合体中に、未重合モノマーが残り、リソグラフィー用のレジストおよび光学材料の性能を低下させることが、容易に推定できる。
本実施形態において、上記開環メタセシス共重合で得られた主鎖に二重結合を有するポリマーを水素下で水素添加反応触媒を用いて水素添加反応することができる。
上述のように、重合触媒および水素添加反応触媒に由来する各金属成分の含有量は、近年の超微細配線化の流れを受けた半導体製造技術の進歩から、当然制限されるようになってきており、特許文献7のポリマーの精製方法の実施例で得られる開環メタセシス共重合体の水素添加物に含まれる残留金属量では、満足できるレベルになく、更なる残留金属汚染を低減する必要がある。なぜならば、その残留金属汚染が半導体回路のリーク電流によるショートを引き起こすことが容易に考えられる。
本実施形態において、ポリマーの脱金属精製方法をより効率的に機能させるために、水素添加反応において、重合触媒および水素添加反応触媒に由来する金属成分量を1000ppb以下にすることによって、得られる開環メタセシス共重合体の水素添加物中の該各金属成分の全含有量を10ppb以下にすることができることを発明した。
本実施形態の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法は、開環メタセシス共重合体の水素添加物を製造するための製造方法であって、水素の存在下、ルテニウム(Ru)金属とロジウム(Rh)金属のカーボン担持水素添加反応触媒を用いて、開環メタセシス共重合体の炭素−炭素二重結合を水素添加する工程を含む。上記開環メタセシス共重合体は、上記一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と上記一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]を含み、上記構造単位[A]と上記構造単位[B]とのモル比([A]/[B])が5/95以上90/10以下であり、上記カーボン担持水素添加反応触媒における上記ルテニウムと上記ロジウムとの質量比(Ru/Rh)が80/20以上99/1以下であり、得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物の二重結合の水素添加率が99.5モル%以上であり、得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物における上記構造単位[A]中の酸不安定基の脱離率が1モル%以下であり、得られる上記開環メタセシス共重合体の水素添加物における重合触媒および水素添加反応由来の金属の含有量が1000ppb以下である。
従来、前記の水素添加率を達成するためには、水素添加反応触媒を多量に用いなければならず、残留金属量が増加し、その結果、前記酸不安定基の脱離率が高くなったり、透明性が低下したりすることがあった。一方で本発明の製造方法であれば、後述する効果によって、高い水素添加率を達成でき、さらに残留金属量を少なくでき、前記酸不安定基の脱離率を低く維持することができる。
さらに本実施形態の開環メタセシス共重合体の水素添加物は、上記一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]を含んでもよく、一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]の合計と、一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]との構成モル比が、例えば、([A]+[B])/[D]=99/1〜1/99である。
この水素添加反応は、アミン、アルコール等の電子供与性の化合物を併用してもよい。
本発明者らの検討によれば、Ru金属のカーボン担持触媒のみでは、該共重合体の二重結合の水素添加率99.5モル%以上を達成しない場合があることが分かった。一方、Rh金属のカーボン担持触媒は、水素添加反応の際、酸性プロトンを発生させることが分かってきた。より詳しくは、Rh金属のカーボン担持触媒のみ使用すると、Rh金属は水素存在下で、プロトン酸を発生させ、一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]のRの酸不安定なエステルから酸不安定な置換基を脱離させ、カルボン酸構造に変化することが分かってきた。このカルボン酸構造は残留金属への配位、または、加熱溶融成形等の成形時に水素結合によるポリマー同士の凝集を引き起こして濁りを生じさせ、光学材料としての性能を劣化させてしまうこともわかってきた。
その上で本発明者らは鋭意検討を進め、Ru金属のカーボン担持触媒とRh金属のカーボン担持触媒を併用することにより、後述するように、水素添加率を高めることができ、前記酸不安定基の脱離率を低く維持でき、透明性に優れた光学材料を提供することができることを見出し、本発明に至ったのである。
さらに本発明者らの検討によれば、一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]を第3成分として用いた開環メタセシス共重合体の水素添加物とすることで、半導体の製造工程におけるリソグラフィー工程で、酸不安定基の酸分解により生成するカルボン酸発生効率を維持しながら、かつ、マルチパターニング等の繰り返し露光耐性の向上を図ることができる。また、デジタルカメラモジュール用のマイクロレンズ、撮像レンズ、MEMSを含む光学素子等の光学用途においては、開環メタセシス共重合体の水素添加物を光学フィルムや成形物として使用する場合、溶融成形プロセスにおいて、成形物であるポリマーの着色黄変や劣化や濁りを抑制したり、ポリマー分解物やゲルの発生等による外観欠陥や特定の波長での透明性の低下を抑制したりすることができることも見出した。
本発明者らは、本実施形態に係る開環メタセシス共重合体の水素添加反応を、水素の存在下で、ルテニウム(Ru)金属とロジウム(Rh)金属のカーボン担持水素添加反応触媒で行うことによって一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]の酸不安定基の脱離率が1モル%以下を満たすことを見出した。
これらの金属質量比は、Ru/Rhで80/20〜99/1であり、好ましくはRu/Rhで85/15〜98/2であり、さらに好ましくはRu/Rhで90/10〜97/3である。これにより、可能な限り、Rh金属のカーボン担持水素添加反応触媒からの遊離プロトン酸を発生させないように、Rh金属使用量を少なくし、酸不安定基の脱離によるカルボン酸発生を抑制しながら、かつ、該共重合体の水素添加率を99.5モル%以上に達成させることができる。
また、本実施形態に係る開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法によれば、水素添加反応の後に、重合触媒に由来すると考えられる金属の残留量が予想外に低い傾向を示す。これは、Ru金属とRh金属のカーボン担持触媒を併用することが、重合触媒金属成分の脱灰作用を示すのではないかと考えられる。また、水素添加反応触媒に由来する金属成分の溶出が抑えられ、水素添加反応触媒の能力を高く維持できるので、高い水素添加率を示しながら、全金属成分量を1000ppb以下にすることができる。好ましくは900ppb以下、さらに好ましくは850ppb以下であり、上記全金属成分量の下限値は低いほどよいことは自明である。各反応の工程の反応速度等の観点を考慮すると、好ましい下限値は100ppb、あるいは150ppb、あるいは200ppbである。
水素添加反応後の上記共重合体の全金属成分量を上記の範囲とすることで、残留金属の加熱酸化劣化に起因するポリマーの加熱時の黄変が無く、光学特性に優れた溶融成形物を得ることができることを見出した。これらの材料は、マイクロレンズ、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ等に代表される光学レンズを搭載したMEMS関連部材、有機EL、液晶等のディスプレイ部材として利用することができる。
さらに、上記共重合体の水素添加物を、本発明に記載の水素添加物の製造方法と脱金属精製方法を組合せることでポリマー中には、重合触媒および水添反応触媒に由来する金属成分は、ほぼ完全に除去することができ、各触媒由来の全金属成分の含有量が10ppb以下の該開環メタセシス共重合体を得ることができる。
水素添加反応の溶媒は、重合反応の溶液をそのまま使用しても、異なる溶媒を使用してもよい。また、開環メタセシス共重合体の二重結合の水素添加に使用するRu金属とRh金属のカーボン担持水素添加反応触媒の担持金属合計質量は、開環メタセシス共重合体に対して好ましくは0.05質量%〜1.0質量%、より好ましくは0.1質量%〜0.8質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜0.6質量%である。一般的には、カーボン担持触媒は、含水金属担持触媒であり、カーボンに対する担持金属量は、好ましくは1質量%〜15質量%であり、より好ましくは5質量%〜10質量%である。
水素添加反応のポリマー濃度は、開環メタセシス共重合体の組成比や溶媒の種類等によって異なるが、溶媒1kgに対する該共重合体の濃度は、通常、0.001kg/kg〜3kg/kgであり、好ましくは0.01kg/kg〜2kg/kg、さらに好ましくは0.02kg/kg〜1kg/kgの範囲である。
該共重合体の水素添加反応は、水素圧力が通常、常圧〜30MPa、好ましくは0.5MPa〜20MPa、特に好ましくは2MPa〜15MPaの範囲で行われ、その反応温度は、通常0℃〜200℃の温度であり、好ましくは室温〜150℃、特に好ましくは50℃〜120℃の温度範囲である。反応時間は、通常、30分〜50時間であり、好ましくは1時間〜30時間、さらに好ましくは1時間〜20時間である。
上記の条件下で水素添加反応を行った水素添加物は、NMRスペクトル解析により測定される水素添加率が99.5モル%以上であり、好ましくは99.7モル%以上であり、さらに好ましくは100モル%である。
本発明の開環メタセシス共重合体の水素添加物は、試料濃度が3.0〜9.0mg/mlでゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常3,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜300,000である。この重量平均分子量(Mw)が3,000以上であると、レジスト材料としての塗布性や解像性能等の様々リソグラフィーのフォトレジスト特性を有することができる。また、1,000,000以下であると、溶融成形、溶融延伸が可能な流動性を持つことができる。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜5.0の範囲である。
例えば、加熱成形性を得るためには、分子量分布は広い方が好ましく、1.2〜5.0、さらに1.5〜4.0であることが好ましい。
本実施形態において、水素添加後のポリマー溶液から開環メタセシス共重合体の水素添加物を取得する方法は、水素添加後のポリマー溶液をろ過して金属担持触媒をろ別した後に、特に制限はないが、例えば、撹拌下の貧溶媒に反応溶液を排出する方法、反応溶液中にスチームを吹き込むスチームストリッピング等の方法によってポリマーを析出させる方法、または、反応溶液から溶媒を加熱等によって蒸発除去する方法等が挙げられる。
なお、粒径の大きな触媒成分を予めデカンテーション、遠心分離等の方法でポリマー溶液中に沈降させ、上澄みを採取し、触媒成分を粗取りした溶液をろ過し、上記した方法で開環メタセシス共重合体の水素添加物を取得してもよい。特に、触媒成分を精密ろ過することが好適であり、ろ過フィルターの目開きは、通常、0.01μm〜50μm、好ましくは0.02μm〜20μm、さらに好ましくは0.05μm〜10μmであり、孔径の異なるろ過フィルターを用いて多段で濾過を行ってもよい。
使用するろ過フィルターの材質は、特に限定されないが、触媒の種類や濾過材の性能等によって、セルロース繊維や炭化水素系高分子繊維等を選択することができる。セルロース繊維の濾過材としては濾紙が好ましく、炭化水素系高分子繊維の濾過材としてはポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。また濾過材は洗浄して再度使用してもよい。また、濾過方法としては、加圧濾過や減圧濾過等が挙げられ、いずれの方法でも特に制限はない。
加圧濾過の場合、圧力を好ましくは1×10Pa以上、より好ましくは1×10Pa〜1×10Paに加圧して濾過を行い、加圧する気体は窒素または空気等を使用するが特に制限はない。
減圧濾過の場合、減圧度は、大気圧未満であれば特に制限はない。濾過材の孔径は、通常、0.01μm〜50μm、好ましくは0.02μm〜20μm、さらに好ましくは0.05μm〜10μmである。
(本実施形態によって得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の更なる脱金属精製方法)
本実施形態によって得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の更なる精製方法は、下記の脱金属精製方法を参考にして実施してもよい。
さらに詳しくは、重合触媒および水素添加反応触媒に由来する金属成分を含有する本実施形態の開環メタセシス共重合体の水素添加物の液に対し、塩基性および酸性官能基を含有する有機化合物を接触させ、該金属成分と該有機化合物の塩基性官能基とで配位または電荷移動相互作用等により会合物を形成する(前工程)工程と、上記液を塩基性吸着剤に接触させることで、上記会合物を塩基性吸着剤に接触させて、会合物の有機化合物に由来する酸性官能基と塩基性吸着剤とをイオン結合または水素結合等の物理的相互作用によって吸着させ、会合物の金属成分を除去する(後工程)ことを含み、これらの二つの工程によって本実施形態によって得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の各製造触媒金属成分の全含有量を10ppb以下までさらに除去することができる。さらに、実施例に示されるデータのように該触媒金属成分の全含有量は、5ppbを下回ることが分かる。
ここで、上記開環メタセシス共重合体の水素添加物と、重合触媒および水素添加反応触媒由来の金属成分を含む液は、開環メタセシス共重合体の水素添加物や、金属成分が液中に溶解していてもよく、また、開環メタセシス共重合体の水素添加物や金属成分が溶解していなくてもよい。
塩基性官能基および酸性官能基を含有する上記有機化合物の塩基性官能基は、電子を供与する官能基、すなわち、電子供与体であり、π電子、非共有電子対、アニオンのいずれかを有する塩基性官能基を含有する有機化合物である。
この塩基性官能基としては、少なくともπ電子を有する共役二重結合炭素、不対電子を有する窒素、酸素、リンおよび/または硫黄原子を含有する官能基が好ましく、例えば、フェニル基、シクロペンタジエニル基、アミノ基、ピリジンやフェナントロリン等の含窒素縮合複素環系官能基、エーテル基、シアノ基、水酸基、エステル基、カルボニル基、ホスフィン、ホスフェート等のリン含有官能基、チオエーテル基、チオール基、スルホニル基等の官能基が挙げられ、特に、金属成分との会合力の強さの観点から、ピリジン、フェナントロリン等の含窒素縮合複素環系官能基が好ましい。
さらに、該有機化合物の酸性官能基は、プロトンを与える官能基、すなわち、プロトン供与体であり、フェノール水酸基、リン酸、ホウ酸、カルボン酸、スルホン酸(リン酸基、ホウ酸基、カルボキシル基、スルホ基)等のいずれか含む官能基であり、塩基性吸着剤とイオン結合または水素結合等の物理的相互作用によって吸着する能力を要する官能基であればよく、特に、吸着力の観点から、カルボン酸、スルホン酸が好ましい。
これらの塩基性および酸性官能基を含有する有機化合物として、具体的には、2−シクロペンタジエニルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メトキシエチルシクロペンタジエン、2−ジメチルアミノエチルシクロペンタジエン、N,N−ジメチル−N’−2−シクロペンタジエニルエチルヒドラジン、2−シクロペンタジエニルエタンカルボキシイミド、3−(2−シクロペンタジエニルエチル)ピリジン、5−(2−シクロペンタジエニルエチル)1,10−フェナントロリン、2−シクロペンタジエニルエチルジメチルホスフィン、2−シクロペンタジエニルエチルトリメチルホスフォニウムクロライド、2−シクロペンタジエニルエチルジメチルホスフェート、p−(2−シクロペンタジエニルエチル)ヒドロキシベンゼン、2−シクロペンタジエニルエタンリン酸、2−シクロペンタジエニルエタンホウ酸、2−シクロペンタジエニルエチルジメチルボラン、3−シクロペンタジエニルプロピオン酸、3−シクロペンタジエニルエチルプロピオン酸無水物、2−シクロペンタジエニルエチルメルカプタン、2−シクロペンタジエニルエタンスルホン酸、2−アミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アミノエチルメチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−アミノエチル)ヒドラジン、2−アミノエタンカルボキシイミド、4−ジメチルアミノピリジン、5−アミノ−1,10−フェナントロリン、2−アミノエチルジメチルホスフィン、2−アミノエチルトリメチルホスホニウムクロライド、2−アミノエチルジメチルホスフェート、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、2−アミノエタンリン酸、2−アミノエタンホウ酸、2−アミノエチルジメチルボラン、アラニン、2−アミノエチルメルカプタン、2−アミノエタンスルホン酸、4−メトキシピリジン、2−ヒドラジノピリジン、3−ピリジンカルボキシイミド、ビピリジン、5−(4−ピリジン)−1,10−フェナントロリン、2−(4−ピリジル)エチルジメチルホスフィン、2−(2−ピリジン)エチルジメチルホスフェート、3−ヒドロキシピリジン、2−(2−ピリジン)エチルリン酸、4−ピリジルジメチルボラン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、4−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸、ニコチン酸無水物、4−メルカプトピリジン、3−ピリジンスルホン酸、2−(2−ピリジン)エタンスルホン酸、2−(4−ピリジン)エタンスルホン酸、5−メトキシ−1,10−フェナントロリン、5−ヒドラジノ−1,10−フェナントロリン、5−(1,10−フェナントロリン)カルボキシイミド、5−ジメチルホスフィノ−1,10−フェナントロリン、5−ヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、5−(1,10−フェナントロリン)リン酸、5−(1,10−フェナントロリリン)ボラン、5−カルボキシ−1,10−フェナントロリン、5−カルボキシ−1,10−フェナントロリン無水物、5−メルカプト−1,10−フェナントロリン、5−(1,10−フェナントロリン)スルホン酸、2−メトキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、1,4−ジメトキシブタン、2−メトキシエチルヒドラジン、2−メトキシエチルカルボキシイミド、2−メトキシエチルジメチルホスフィン、2−メトキシエチルトリメチルホスホニウムクロライド、2−メトキシエチルジメチルホスフェート、p−メトキシフェノール、2−メトキシエタンリン酸、2−メトキシエタンホウ酸、2−メトキシエチルボラン、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸無水物、2−メトキシエチルメルカプタン、2−メトキシエタンスルホン酸、2−シアノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メトキシプロピオニトリル、2−アミノプロピオニトリル、2−ヒドラジノエチルプロピオニトリル、2−シアノエチルカルボキシイミド、3−シアノピリジン、5−シアノ−1,10−フェナントロリン、2−シアノエチルジメチルホスフィン、2−シアノエチルトリメチルホスホニウムクロライド、2−シアノエチルジメチルホスフェート、p−シアノフェノール、2−シアノエタンリン酸、2−シアノエタンホウ酸、2−シアノエチルボラン、3−シアノプロピオン酸、3−シアノプロピオン酸無水物、2−シアノエチルメルカプタン、2−シアノエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エタノールアミン、2−ヒドロキシエチルヒドラジン、2−ヒドロキシエチルカルボジイミド、3−ヒドロキシピリジン、5−ヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、2−ヒドロキシエチルジメチルホスフィン、2−ヒドロキシエチルトリメチルホスホニウムクロライド、2−ヒドロキシエチルジメチルホスフェート、2−ヒドロキシエタンリン酸、2−ヒドロキシエタンホウ酸、2−ヒドロキシエチルボラン、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシエチルメルカプタン、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−エトキシカルボニルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−アミノプロピオン酸エチル、3−ヒドラジノプロピオン酸エチル、2−エトキシカルボニルエチルカルボキシイミド、3−ピリジンカルボン酸エチル、5−エトキシカルボニル−1,10−フェナントロリン、3−ジメチルホスフィノプロピオン酸エチル、2−エトキシカルボニルエチルトリメチルホスフォニウムクロライド、2−エトキシカルボニルジメチルホスフェート、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、2−エトキシカルボニルエタンリン酸、2−エトキシカルボニルエタンホウ酸、2−エトキシカルボニルエチルボラン、3−メルカプトプロピオン酸エチル、2−エトキシカルボニルエタンスルホン酸、2−メチルカルボニルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、1−メトキシ−3−ブタノン、1−アミノ−3−ブタノン、1−ヒドラジノ−3−ブタノン、2−アセチルエチルカルボキシイミド、3−アセチルピリジン、5−アセチル−1,10−フェナントロリン、1−ジメチルホフィノ−3−ブタノン、2−アセチルエチルトリメチルホスホニウムクロライド、2−アセチルエチルジメチルホスフェート、p−アセチルフェノール、2−アセチルエタンリン酸、2−アセチルエタンホウ酸、2−アセチルエチルボラン、3−アセチルプロピオン酸、3−アセチルプロピオン酸無水物、1−メルカプト−3−ブタノン、2−アセチルエタンスルホン酸、2−カルボキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ヒドラジノプロピオン酸、2−カルボキシエチルカルボイミド、3−ジメチルホスフィノプロピオン酸、2−カルボキシエチルトリメチルホスホニウムクロライド、2−カルボキシエチルジメチルホスフェート、p−ヒドロキシ安息香酸、2−カルボキシエタンリン酸、2−カルボキシエタンホウ酸、2−カルボキシエチルボラン、コハク酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−カルボキシエタンスルホン酸、2−ジメチルホスフィノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドラジノジメチルホスフィン、2−ジメチルホスフィノエチルカルボキシイミド、1,3−ビスジメチルホスフィノプロパン、2−ジメチルホスフィノエチルジメチルホスフェート、p−ジメチルホスフィノヒドロキシベンゼン、2−ジメチルホスフィノエタンリン酸、2−ジメチルホスフィノエタンホウ酸、2−ジメチルホスフィノボラン、3−ジメチルホスフィノプロピオン酸無水物、2−メルカプトエチルジメチルホスフィン、2−ジメチルホスフィノエタンスルホン酸、p−ヒドロキシフェニルジメチルホスフェート、2−メルカプトエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドラジノエチルメルカプタン、2−メルカプトエチルカルボキシイミド、2−メルカプトエチルトリメチルホスフォニウムクロライド、p−ヒドロキシチオフェノール、2−メルカプトエタンリン酸、2−メルカプトエチルホウ酸、2−メルカプトエチルボラン、3−メルカプトプロピオン酸無水物、ヘキサメチレンジチオール、2−メルカプトエタンスルホン酸、2−メチルチオエチル−2−トリメチルアンモニウムクロライド、2−メトキシエチルメチルスルフィド、2−アミノエチルメチルスルフィド、2−メチルチオエチルヒドラジン、2−メチルチオエチルカルボキシイミド、3−メチルチオピリジン、5−メチルチオ−1,10−フェナントロリン、2−メチルチオエチルジメチルホスフィン、2−メチルチオエチルトリメチルホスホニウムクロライド、2−メチルチオエチルジメチルホスフェート、3−ヒドロキシフェニルメチルスルフィド、2−メチルチオエタンリン酸、2−メチルチオエタンホウ酸、2−メチルチオエチルボラン、3−メチルチオプロピオン酸、3−メチルチオプロピオン酸無水物、2−メチルチオエチルメルカプタン、3−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−スルホニルエチルカルボキシイミド等が挙げられる。
これら塩基性および酸性官能基を含有する有機化合物の中で好ましくは、窒素原子を有する芳香族カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホウ酸およびフェノールで、具体的には、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、2−アミノエタンリン酸、2−アミノエタンホウ酸、2−アミノエタンスルホン酸、2−(2−ピリジン)エチルリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、4−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸、2−(2−ピリジン)エタンスルホン酸、2−(4−ピリジン)エタンスルホン酸等が挙げられ、さらに、フッ素等の電子吸引性の置換基またはt−ブトキシ基やシリル基等の電子供与性の置換基を含有していてもよい。
特に好ましくは、窒素原子を有する芳香族カルボン酸およびスルホン酸で、具体的には、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、4−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸等が挙げられる。
なかでも、金属成分の除去の観点から、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、4−ピリジンカルボン酸、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸が好ましい。
本実施形態において、開環メタセシス共重合体の水素添加物を含む溶液と、塩基性官能基および酸性官能基を含有する有機化合物を接触する際、塩基性官能基および酸性官能基を含有する有機化合物が、溶媒中に均一に溶解した状態でも、溶媒中に固体として分散させた状態でもよい。
また、塩基性官能および酸性官能基を含有する有機化合物は、開環メタセシス共重合体の水素添加物を含む液にそのまま添加しても、溶媒に分散または溶解した状態で添加してもよく、その有機化合物の溶解度を上げるためにメタノール、エタノール等のアルコール、DMFまたは水等の極性の高い溶媒を混合してもよい。
塩基性官能基および酸性官能基を含有する有機化合物と開環メタセシス共重合体の水素添加物を含む液とを接触する際の開環メタセシス共重合体の水素添加物の濃度は、使用する開環メタセシス共重合体の水素添加物と溶媒の種類等により異なり一様ではないが、通常、溶媒1kgに対する開環メタセシス共重合体の水素添加物の濃度は、好ましくは0.001kg/kg〜3kg/kgであり、より好ましくは0.01kg/kg〜2kg/kg、さらに好ましくは0.02kg/kg〜1kg/kgの範囲である。これら塩基性官能基および酸性官能基を含有する有機化合物の使用量は、接触するであろう金属成分1モルに対して好ましくは0.01当量〜10000当量、より好ましくは0.1当量〜1000当量である。接触する温度は、好ましくは−30℃〜300℃であり、より好ましくは25℃〜200℃である。また、接触する圧力は、好ましくは大気圧〜10MPaである。接触時間は、通常、1分〜50時間であり、好ましくは10分〜20時間、さらに好ましくは30分〜10時間である。
本実施形態の開環メタセシス共重合体の水素添加物の更なる脱金属精製方法において、開環メタセシス共重合体の水素添加物を含む液と塩基性官能基および酸性官能基を含有する有機化合物との接触を行う前、接触を行った後および塩基性吸着剤と接触した後、いずれの段階においても不溶物を除くために濾過行ってもよい。また、それらは孔径の異なる濾過材を用いて多段で濾過を行ってもよい。一般的に、重合体から高度に脱金属等の精製を行うことは、有機化合物の精製に比して困難な傾向がある。本発明においては、前記の様な要件を満たすので、下記のような公知の精製方法を用いても高度に金属を脱離させ易い傾向がある。
使用する濾過材は特に限定されないが、不溶成分の種類や濾過材の性能等によって、セルロース繊維や炭化水素系高分子繊維等を選択することができる。
セルロース繊維の濾過材としては濾紙が好ましく、炭化水素系高分子繊維の濾過材としてはポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。また濾過材は洗浄して再度使用してもよい。また、濾過方法としては、加圧濾過や減圧濾過等が挙げられ、いずれの方法でも特に制限はない。
加圧濾過の場合、圧力を好ましくは1×10Pa以上、より好ましくは1×10Pa〜1×10Paに加圧して濾過を行い、加圧する気体は窒素または空気等を使用するが特に制限はない。
減圧濾過の場合、減圧度は、大気圧未満であれば特に制限はない。濾過材の孔径は、通常、0.01μm〜50μm、好ましくは0.02μm〜20μm、さらに好ましくは0.05μm〜10μmである。
本実施形態によって得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の更なる精製では、後工程で金属成分と塩基性官能基または酸性官能基を含有する有機化合物との会合物を塩基性吸着剤と接触させ、その会合物を塩基性吸着剤に吸着させて残留金属成分をポリマー溶液から除去する。
塩基性吸着剤に含まれる塩基性官能基としては、好ましくは窒素および/またはリンを含有する官能基であり、より好ましくはアミノ基である。また、塩基性吸着剤は溶媒に不溶であることが好ましく、塩基性吸着剤は、無機化合物でも有機化合物でもよい。
塩基性吸着剤は、酸性官能基を有する化合物に対して吸着能を有するものである。
本実施形態によって得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の更なる精製で使用される塩基性吸着剤としては、例えば、陰イオン交換樹脂や、両性イオン交換樹脂等が挙げられる。例えば、−N(CHOHを有するスチレン系イオン交換樹脂、−N(CH(COH)OHを有するスチレン系イオン交換樹脂、−NH(CHCHNH)H(n=1〜10)を有するスチレン系イオン交換樹脂、−N(CHを有するスチレン系イオン交換樹脂、−N(CHCOONa)を有するスチレン系イオン交換樹脂、−N(CHCOOH)を有するスチレン系イオン交換樹脂、ピリジン環を有するスチレン系イオン交換樹脂、−N(CHを有するアクリル系イオン交換樹脂、チオ尿素残基を有するスチレン系イオン交換樹脂、−N(CH)CH[CH(OH)]CHOHを有するスチレン系イオン交換樹脂、−P(=O)(OCHNHを有するスチレン系イオン交換樹脂、ジ−2−エチルヘキシルホスフェートを含浸させたポリスチレン系イオン交換樹脂、−NH(CHCHNH)H(n=1〜20)を有するエポキシ系イオン交換樹脂等が挙げられる。これらの官能基を有する化合物を合成樹脂にグラフトまたは共重合してもよく、かつ溶媒に不溶な固体にするために架橋しても、これらの合成樹脂の分子量を溶媒に不溶になるように高くしてもよい。
これら塩基性官能基を含有する吸着剤の中で−NH(CHCHNH)H(n=1〜10)を有するスチレン系イオン交換樹脂、−N(CHを有するスチレン系イオン交換樹脂、ピリジン環を有するスチレン系イオン交換樹脂等のアミノ基を有するイオン交換樹脂が好ましい。
塩基性吸着剤の粒径は好ましくは10μm〜5000μm、より好ましくは100μm〜3000μmである。塩基性吸着剤の使用量は、開環メタセシス共重合体溶液の水素添加物の体積を1とした場合、体積比として、好ましくは0.01〜1であり、より好ましくは、0.05〜0.5である。また、塩基性吸着剤は、吸着剤から溶出する不純物を除くため溶媒で洗浄してもよく、洗浄する溶媒は、上記開環メタセシス共重合体の水素添加物の合成に使用する溶媒でも、メタノールやエタノール等のアルコール、または水等の溶媒でもよい。塩基性吸着剤を洗浄する方法は、特に制限はないが、例えば、塩基性吸着剤を塔に入れ、洗浄溶媒を通液して洗浄してもよいし、塩基性吸着剤と洗浄溶媒を容器に入れて混合し、濾過またはデカンテーションにより洗浄してもよい。
さらに、塩基性吸着剤から溶出する塩基性成分を除去する目的で、酸性吸着剤を併用してもよい。また、酸性吸着剤は塩基性の成分を吸着除去するため、溶媒に不溶であることが好ましく、無機化合物でも有機化合物でもよい。
酸性吸着剤に含まれる酸性官能基としては、スルホニル基、カルボキシル基、水酸基含有化合物等が挙げられ、例えば、−SOHを有するスチレン系イオン交換樹脂、−COOHを有するスチレン系イオン交換樹脂、−COOHを有するアクリル系イオン交換樹脂、−COOHを有するメタクリル系イオン交換樹脂、フェノール系イオン交換樹脂等が挙げられる。これらの官能基を有する化合物を合成樹脂にグラフトまたは共重合してもよく、かつ溶媒に不溶な固体にするために架橋しても、これらの合成樹脂の分子量を溶媒に不溶になるように高くしてもよい。これら酸性吸着剤の中で−SOHを有するスチレン系イオン交換樹脂が好ましい。酸性吸着剤は塩基性吸着剤同様、洗浄して用いてもよい。
酸性吸着剤は、塩基性吸着剤と混合してもよいし、塩基性吸着剤と接触処理した後に溶液と接触しても何れでもよい。酸性吸着剤の使用量は、塩基性吸着剤の体積を1とした場合、体積比として、好ましくは0.01〜1であり、より好ましくは、0.1〜0.5である。
さらに、本実施形態によって得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の更なる脱金属精製方法の後工程においては、金属成分と塩基性官能基および酸性官能基を含有する有機化合物との会合物を含む液の液相と塩基性吸着剤の固相とを接触させる。この際、塩基性吸着剤を充填塔に入れ、充填塔に上記液を通液してもよく、また、上記液と塩基性吸着剤を攪拌混合して接触させ、塩基性吸着剤を濾過等で分離してもよい。
会合物を塩基性吸着剤と接触する際の開環メタセシス共重合体の水素添加物の濃度は、使用する開環メタセシス共重合体の水素添加物と溶媒の種類により異なり一様ではないが、通常、溶媒1kgに対する開環メタセシス共重合体の水素添加物の濃度は、好ましくは0.001kg/kg〜3kg/kgであり、より好ましくは0.01kg/kg〜2kg/kg、さらに好ましくは0.02kg/kg〜1kg/kgの範囲である。
会合物を塩基性吸着剤と接触させる温度は、好ましくは−30℃〜150℃であり、より好ましくは0℃〜60℃である。また、接触する圧力は、好ましくは大気圧〜1MPaである。充填塔での通液接触の場合の接触速度は、線流速LVで通常1〜500(m/時間)であり、好ましくは10〜300(m/時間)である。また、通液(空間)流速SVは、好ましくは1〜1000(1/時間)であり、より好ましくは10〜500(1/時間)である。充填塔の長さや太さ、容積、形状は、処理量の大小や流通時間、経済性に依存するが、これら線流速や通液流速を満足する範囲内で運転すればよい。
また、混合接触の場合の接触時間は、通常、30分〜48時間であり、好ましくは1時間〜24時間、さらに好ましくは1時間〜12時間である。混合は、攪拌翼、回転、振とう、超音波等のいずれで行ってもよい。また、上記の前工程と後工程からなる本実施形態のポリマーの精製方法を、必要に応じて複数回繰り返し行ってもよい。
本実施形態は、ヘテロ原子を含有する極性の高い開環メタセシス共重合体の水素添加物から製造触媒に由来する金属成分(残留金属成分)を除去する上記の精製方法によって、各残留金属成分の全含有量が10ppb以下の開環メタセシス共重合体の水素添加物を製造することができる。この開環メタセシス共重合体の水素添加物は、通常、各残留金属成分の含有量が10ppb以下であり、好ましくは5ppb以下である。なお、残留金属成分の下限値は、特に制限はないが、通常0ppbである。
本実施形態に係る開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法によれば、開環メタセシス共重合体の水素添加物における一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]の酸不安定基の脱離率が1モル%以下、該二重結合の水素添加率が99.5モル%以上、さらに該重合触媒および該水素添加反応由来の開環メタセシス共重合体の水素添加物中の金属含有量が1000ppb以下を達成できる。開環メタセシス共重合体の水素添加物は、さらに、本発明に記載のポリマーの脱金属精製方法を適用することができ、得られる開環メタセシス共重合体の水素添加物はレジスト組成物等の半導体材料に用いることができる。
前記の金属除去工程を経て得られる様な共重合体は、成型しても黄変が発生し難く、透明性が高い成形体を得ることができる。これが本発明の好ましい共重合体の態様である。
このような共重合体は、以下の要件を満たすことが好ましい。
前記一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]の合計と、一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]との構成モル比が([A]+[B])/[D]=99/1〜1/99の共重合体の二重結合が水素添加された構造を有し、前記共重合体の主鎖二重結合含有率が0.5モル%以下であり、金属の含有率は30ppb以下である開環共重合体であることを特徴とする。
Figure 0006931537
(式中、R〜Rは、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基または炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基から選ばれ、Xは−O−および−CR1011−から(R10およびR11はそれぞれ水素または炭素原子数1〜20のアルキル基を表す)選ばれ、同一でも異なってもよい。また、R〜Rは、互いに、結合してもよく、kは0または1である。)
前記の金属とは、周期律表の第1〜第16族に属する、所謂金属元素と言われている成分のことを指す。その含有率は、30ppb以下であり、好ましくは20ppb以下であり、さらに好ましくは10ppb以下である。本発明においては、前記金属の中でも、特にメタセシス重合触媒や水素添加反応触媒に含まれることが多い金属元素であるMo、W、Ru、Rhから選ばれる金属の含有率が10ppb以下であることが好ましい。さらに好ましくは5ppb以下である。
前記の主鎖二重結合の含有率は、例えば、100%から水素添加率(%)の値を引いた値で定義することができる。本発明において主鎖二重結合の含有率の好ましい範囲は0.5モル%以下、より好ましくは0.3モル%以下である。
また、前記の環状共重合体はカルボン酸基を含む構造となる場合があるが、本発明においてはカルボン酸基の含有率は、前記構造単位[A]中の1モル%以下である。より好ましくは0.8モル%以下、さらに好ましくは0.5モル%以下である。
本発明においては、前記の酸不安定基の脱離率が、実質的に前記のカルボン酸基の含有率を指すと言って差し支えない。
前記の通り、主鎖の二重結合含有率が低く、金属含有率も極めて低く、また好ましくはカルボン酸基のような金属と反応性の高い基を少なくできるので、フィルム等の成形体としても黄変等が起こり難く、高い透明性を示す。このため、本実施形態に係る開環メタセシス共重合体の水素添加物を黄変が無く高い透明性が要求される光学部品用途、および有機EL、液晶プラスチック基板または電子材料用途等に用いる場合は、必要に応じて、酸化防止剤、界面活性剤、可塑剤等の改質剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等の安定剤、ガラス繊維、無機充填剤等の補強剤を加えてもよい。
本実施形態に係る開環メタセシス共重合体の水素添加物を黄変が無く高い透明性が要求されるとは、本実施形態の開環メタセシス共重合体の水素添加物を、例えば、溶液キャスト法、加熱溶融法、射出成形法等の成形法で得られたフィルム、シート、レンズ等の成形物の全光線透過率が80%以上の透明性を有することであり、好ましくは、83%以上、さらに好ましくは、85%以上、特に好ましくは90%以上である。
溶液キャスト法によりフィルム状の成形物を得る方法としては、本実施形態に係る開環メタセシス共重合体の水素添加物を有機溶剤に溶解させてワニスを得た後、そのワニスを用いて製膜する方法が挙げられる。
有機溶媒としては、特に制限はないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタンまたはジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはエチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサンまたはヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンまたはデカリン等の脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロライド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンまたはトリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチルまたは酢酸エチル等のエステル等が挙げられる。これらのうちから、溶解性、製膜性を考慮して選択することができる。これらは単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る開環メタセシス共重合体の水素添加物を溶解させる濃度は、1.0〜99.0質量%であることが好ましく、5.0〜90.0質量%であることがより好ましく、10.0〜80.0質量%であることがとくに好ましい。濃度は、ポリマーの溶解性、ろ過プロセスへの適応性、製膜性、フィルムの膜厚を考慮して選択してもよい。
また、本実施形態においてフィルムやシートの特性を損なわない範囲で必要に応じ、上記の酸化防止剤、界面活性剤、可塑剤等の改質剤、紫外線吸収剤、抗菌剤等の安定剤、ガラス繊維、無機充填剤等の補強剤を加えてもよい。
次いで、上記した方法で調製したワニスを、フィルターを通過させてろ過する。これによって、ワニスからポリマー不溶分、ゲル、異物等を大きく低減することができ、例えば、有機ELや液晶表示装置の基板としての表面を平滑に均一に形成できる。
ろ過フィルターの目開きは、好ましくは、10μm〜0.05μm、特に好ましくは、10μm〜0.1μm、さらに好ましくは、5μm〜0.1μmである。ろ過のプロセスは、孔径の大きなフィルターから小さなフィルターへポリマー溶液を送る多段プロセスでも、直接、孔径の小さなフィルターへワニスを送る単一プロセスでもよい。フィルターの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、PP、PES、セルロース等の有機材料からなるものでも、ガラス繊維、金属等の無機材料からなるものでもよく、ワニス特性、プロセス適応性から選ぶことができる。
また、ワニスをフィルターへ送る方法としては、圧力差を利用する方法でも、スクリュー等を介して機械的な駆動によってワニスをフィルターへ送液する方法でもよい。さらに、ろ過の温度は、フィルター性能、溶液粘度、ポリマーの溶解性を考慮した範囲で選ばれ、−10〜200℃であることが好ましく、0℃〜150℃であることがより好ましく、室温〜100℃であることがとくに好ましい。
前記のようにワニスをろ過した後、ワニスからフィルムを製膜する。溶液キャスト法で製造する場合は、まず、ワニスを塗工する基材の上に、テーブルコート、スピンコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコート、バーコート、ロールコート、カーテンフローコート等の方法でポリマー溶液(ワニス)を塗布し、製膜する。基材としては、ステンレス鋼、シリコン等の金属材料、ガラス、石英等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料等からなるものから選ぶことができる。
塗膜の乾燥は、加熱板の上に、溶液がキャストされた基材を置いて加熱乾燥させてもよく、加熱した乾燥炉に溶液をキャストした基材を入れて加熱乾燥させてもよく、空気、窒素等の気体を加熱した温風を塗布膜にあてて乾燥させてもよく、これらを組み合わせたプロセスを利用して乾燥させてもよい。乾燥時の温度は10〜250℃であることが好ましく、20〜220℃であることがより好ましく、30〜200℃であることがとくに好ましく、ワニスの特性、フィルムの膜厚、基材の耐熱性を考慮して選ばれる。また、温度設定が2種類以上である多段の乾燥温度を設定して塗膜を乾燥させてもよい。塗膜を乾燥する時間は、ワニス溶剤の沸点、フィルムの膜厚、プロセス要件を考慮した条件から選択することができる。これらによって、基材上にフィルムが形成され、塗膜の乾燥工程において、本実施形態の各残留金属成分の含有量が10ppb以下であり、好ましくは5ppb以下とすることで、黄変が無く高い透明性を有するフィルムを得ることができる。なお、残留金属成分の下限値は、特に制限はないが、通常0ppbである。
また、単層膜からなるフィルムやシート状の成形物を得る場合には、例えば、基材からフィルムを剥離させることによりフィルムを製造することができる。基材からのフィルムの剥離は、フィルムの端部に市販のテープを貼り付け、これに応力を加えて剥離することにより行ってもよく、水、溶剤等の液体をフィルムと支持体の接触界面に接触させて支持体表面とフィルムの接触面の表面張力の差を利用してフィルムを剥離することにより行ってもよい。
他のフィルムやシート状の成形物を作製する方法としては、溶融成形法により作製する方法が挙げられる。溶融成形法でフィルム製造する方法としては、上記に例示した本実施形態に係る開環メタセシス共重合体の水素添加物を溶融混練機からTダイを経てフィルム化する方法や、加熱板を用いてプレスしてフィルム化する方法や、インフレーション法等が挙げられる。Tダイによる溶融押出しフィルム製造においては、例えば、必要に応じて添加剤を配合した開環メタセシス共重合体の水素添加物を押出機に投入し、ガラス転移温度よりも好ましくは50℃〜200℃高い温度、より好ましくは80℃〜150℃高い温度で溶融混練し、Tダイから押出し、冷却ロール等で溶融ポリマーを冷却することでフィルムに加工することができる。また、加熱板を用いてプレスしてフィルム化する際の加熱の温度は、上記の溶融混練する際の温度と等しく行われる。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
開環メタセシス共重合体の水素添加物を用いて作製されるフィルムの膜厚は、1〜1000μmであることが好ましく、5〜500μmであることがより好ましく、10〜200μmであることがとくに好ましい。これらは、例えば、有機ELや液晶等の各種表示装置の透明部材に適応でき、膜厚はこれら部材の好適な範囲となる。
さらには、上記した開環メタセシス共重合体の水素添加物を用いて、例えば、射出成形、プレス成形、圧縮成形、射出圧縮成形、押出成形等の方法により、例えば、撮像レンズ等のレンズ部材を製造することができ、また、金型の表面にレンズアレイの凹凸構造を有する金型を用いることでマイクロレンズを製造することもできる。この際の溶融成形温度は、350℃以下であることが好ましく、330℃以下であることがより好ましく、300℃以下であることがとくに好ましい。この範囲の温度でポリマーを溶融し、かつ、本実施形態の各残留金属成分の含有量が10ppb以下であり、好ましくは5ppb以下とし成形することで、着色黄変を生じず、また、ポリマーの熱分解や、分解ガスの発生等を抑制できる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 開環メタセシス共重合体の水素添加物を製造するための製造方法であって、
水素の存在下、ルテニウム(Ru)金属とロジウム(Rh)金属のカーボン担持水素添加反応触媒を用いて、開環メタセシス共重合体の炭素−炭素二重結合を水素添加する工程を含み、
前記開環メタセシス共重合体は、下記一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と下記一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]を含み、前記構造単位[A]と前記構造単位[B]とのモル比([A]/[B])が5/95以上90/10以下であり、
前記カーボン担持水素添加反応触媒における前記ルテニウムと前記ロジウムとの質量比(Ru/Rh)が80/20以上99/1以下であり、
得られる前記開環メタセシス共重合体の水素添加物の二重結合の水素添加率が99.5モル%以上であり、
得られる前記開環メタセシス共重合体の水素添加物における前記構造単位[A]中の酸不安定基の脱離率が1モル%以下であり、
得られる前記開環メタセシス共重合体の水素添加物における重合触媒および水素添加反応触媒由来の金属の全含有量が1000ppb以下である開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
Figure 0006931537
(式中、R が酸不安定な炭素数4〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜20のアルコキシアルキルオキシカルボニル基、または炭素数4〜20のアルコキシカルボニルアルキルオキシカルボニル基から選ばれ、jは、0または1である。)
Figure 0006931537
(式中、R 〜R はそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜10のアルキル基から選ばれ、X は−O−、または−CR −から(R およびR はそれぞれ水素または炭素数1〜20のアルキル基を表す)選ばれる。)
2. 1.に記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法において、
前記重合触媒および水素添加反応触媒由来の金属がモリブデン、タングステン、ルテニウム、およびロジウムから選択される一種または二種以上を含む開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
3. 1.または2.に記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法において、
前記カーボン担持水素添加反応触媒における前記ルテニウムと前記ロジウムの合計質量が前記開環メタセシス共重合体に対して0.05質量%以上1.0質量%以下である開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
4. 1.乃至3.のいずれか一つに記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法において、
得られる前記開環メタセシス共重合体の水素添加物が、半導体製造リソグラフィープロセスで使用されるレジスト原料である開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
5. 前記一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と前記一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]と下記一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]とを含み、前記一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と前記一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]の合計と、下記一般式(3)で表される繰返し構造単位[D]との構成モル比が([A]+[B])/[D]=99/1〜1/99である開環メタセシス共重合体の水素添加物を1.乃至3.のいずれか一つに記載の方法で製造した開環メタセシス共重合体の水素添加物。
Figure 0006931537
(式中、R 〜R は、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基または炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基から選ばれ、X は−O−および−CR 10 11 −から(R 10 およびR 11 はそれぞれ水素または炭素原子数1〜20のアルキル基を表す)選ばれ、同一でも異なってもよい。また、R 〜R は、互いに結合してもよく、kは0または1である。)
6. 光学部品の原料である請求項5に記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物。
7. 5.または6.に記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物を脱金属精製することによって各触媒由来の全金属成分の全含有量が、10ppb以下であることを特徴とする開環メタセシス共重合体の水素添加物。
以下、実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。なお、実施例において得られたポリマーに関する分析値は、以下の方法により測定した。
・重量平均分子量測定:ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)により測定した。ポリマー試料10mgをテトラヒドロフラン2gに溶解し測定試料とした。日本分光社製830−RIおよびUVIDEC−100−VIを検出器として、40℃、1.0ml/分の流量で、ポリスチレンスタンダードで分子量較正したカラムShodex k−805、804、803と802.5を直列に繋いだカラムを用いて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。
・重合率測定:反応溶液を重水素化クロロホルムに溶解し、270MHz、1H−NMRスペクトルのケミカルシフトδ=5.0〜6.5ppmnの範囲で二重結合炭素の水素に帰属するピークの積分値で測定した。
・水素添加率測定:ポリマー試料を重水素化クロロホルムに溶解し、270MHz、1H−NMRスペクトルのケミカルシフトδ=4.0〜6.5ppmの範囲で二重結合炭素の水素に帰属するピークの積分値で測定した。
・金属含有量測定:試料量既知の溶液を容器に精秤し、硝酸と共にマイクロウエーブで熱分解処理し、残留金属成分をアジレント・テクノロジー(株)HP−4500のICP−MS装置で定量した。または、溶液のポリマー試料を容器に精秤し、加熱し溶媒を蒸発させた後、硝酸と共にマイクロウエーブで熱分解処理し、残留金属成分を同ICP−MS法により定量した。
・構造単位の組成測定:試料量既知の試料を重水素化テトラヒドロフランに溶解し、100MHz、13C−NMRスペクトルのケミカルシフトδ=170〜190ppmの各カルボニルに帰属するピークの積分値でそれぞれの構造単位[A]、[B]、[D]のモル比および酸不安定基の脱離量を測定した。
・全光線透過率の測定法:日本電色工業社製ヘイズメーターNDH2000により、鏡面板を用いて熱プレス成形して得られた厚さ100μmの試験片の全光線透過率を評価した。
[実施例1]
窒素雰囲気下で磁気攪拌装置を備えた5Lのオートクレーブ内で、4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、304g(2mol)、8−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、601g(2mol)、および1,5−ヘキサジエン、21g(0.25mol)をテトラヒドロフラン(以下THFと記す)3.2kgに溶解し攪拌を行った。これに開環メタセシス重合触媒としてMo(N−2,6−Pri )(CHCMePh)(OCMe(CF、612mg(0.8mmol)を加え、60℃で3時間反応させた。その後、n−ブチルアルデヒド173mg(2.4mmol)を加えて冷却して、開環メタセシス共重合体溶液4.1kgを得た。重合率は100%であり、Mw=6500、Mw/Mn=1.85であり、水で析出させたポリマー中のMoの含有量は75ppmであった。
5Lオートクレーブで得られた開環メタセシス共重合体溶液から分取した0.5kgに、水素添加反応触媒として含水率54.4質量%の5質量%Ruカーボン11.46g(乾燥質量5.23g 質量比95%)、含水率50.7質量%の5質量%Rhカーボン0.56g(乾燥質量0.28g 質量比5%)を加え、水素圧5MPa、100℃で12時間水素添加反応を行った。ここで、5質量%Ruカーボンとは、カーボン100質量%に対するRuの担持量が5質量%であるカーボン担持Ru触媒を意味する。また、5質量%Rhカーボンとはカーボン100質量%に対するRhの担持量が5質量%であるカーボン担持Rh触媒を意味する。
得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物溶液25gに対し450gの超純水に加えて開環メタセシス共重合体の水素添加物を析出させ、濾別分離後、真空乾燥を行うことにより白色粉末状の水素添加率100%の開環メタセシス共重合体の水素添加物を得た。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物中の重合触媒由来のMo金属含有量は245ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ455ppb、17ppbであった。Mw=10000、Mw/Mn=2.05であり、[A]/[B]=50/50であり、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基の脱離はなかった。加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は、濁りが無く、無色透明で全光線透過率は91%であった。
1Lガラス製オートクレーブに、得られた開環メタセシス共重合体水素添加物の濃度20.0wt%THF溶液を503.0g、4−ピリジンカルボン酸を872mg、および水分濃度が2.5wt%となるように超純水を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら110℃で6時間加熱した。その後、室温に冷却し、アミノ基を含有するスチレン系イオン交換樹脂ダイアイオンCR20(三菱化学株式会社製)67mlとスルホン酸基を含有するスチレン系イオン交換樹脂レバチットS100H(バイエル社製)33mlを混合接触させ、水で析出させた(以下、脱灰処理と略す)。乾燥ポリマー中の重合触媒由来のMo金属含有量は0ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ0ppbと0ppbであった。
[実施例2]
実施例1において合成した5Lオートクレーブで得られた開環メタセシス共重合体溶液から分取した0.5kgに、実施例1で使用した5質量%Ruカーボン6.51g(乾燥質量2.97g 質量比90%)、5質量%Rhカーボン0.67g(乾燥質量0.33g 質量比10%)を加え、水素圧5MPa、95℃で12時間水素添加反応を行った。
得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物溶液から、実施例1と同様に開環メタセシス共重合体の水素添加物を析出させ、水素添加率100%の白色粉末状の開環メタセシス共重合体の水素添加物を得た。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物中の重合触媒由来のMo金属含有量は400ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ240ppb、20ppbであった。Mw=9850、Mw/Mn=2.05であり、[A]/[B]=50/50であり、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基の脱離はなかった。
さらに、実施例1と同様に、脱灰処理すると、乾燥ポリマー中の重合触媒由来のMo金属含有量は1ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ0ppbと0ppbであった。
[実施例3]
実施例1において合成した5Lオートクレーブで得られた開環メタセシス共重合体溶液から分取した0.5kgに、実施例1で使用した5質量%Ruカーボン3.08g(乾燥質量1.41g 質量比85%)、5質量%Rhカーボン0.50g(乾燥質量0.25g 質量比15%)を加え、水素圧5MPa、90℃で18時間水素添加反応を行った。
得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物溶液から、実施例1と同様に開環メタセシス共重合体の水素添加物を析出させ、水素添加率99.9%の白色粉末状の開環メタセシス共重合体の水素添加物を得た。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物中の重合触媒由来のMo金属含有量は700ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ70ppb、100ppbであった。Mw=10200、Mw/Mn=2.05であり、[A]/[B]=50/50であり、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基の脱離はなかった。加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は、濁りが無く、無色透明な全光線透過率は89%であった。
さらに、実施例1と同様に、脱灰処理すると、乾燥ポリマー中の重合触媒由来のMo金属含有量は3ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ0ppbと0ppbであった。
[実施例4]
実施例1と同様なオートクレーブ内で、4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、548g(3.6mol)、8−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、120g(0.4mol)、および1,5−ヘキサジエン、43g(0.52mol)をTHF3.2kgに溶解し、Mo(N−2,6−Pri )(CHCMePh)(OCMe(CF、306mg(0.4mmol)を加え、実施例1と同様に反応させ、開環メタセシス共重合体溶液3.9kgを得た。重合率は100%であり、Mw=6000、Mw/Mn=1.90であり、水で析出させたポリマー中のMoの含有量は35ppmであった。
得られた開環メタセシス共重合体溶液から分取した0.5kgに、実施例1で使用した5質量%Ruカーボン5.11g(乾燥質量2.33g 質量比90%)、5質量%Rhカーボン0.53g(乾燥質量0.26g 質量比10%)を加え、水素圧5MPa、95℃で12時間水素添加反応を行った。
得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物溶液から、実施例1と同様に開環メタセシス共重合体の水素添加物を析出させ、水素添加率100%の白色粉末状の開環メタセシス共重合体の水素添加物を得た。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物中の重合触媒由来のMo金属含有量は190ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ150ppb、10ppbであった。Mw=9850、Mw/Mn=2.05であり、[A]/[B]=10/90であり、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基の脱離はなかった。加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は、濁りが無く、無色透明な全光線透過率は91%であった。
さらに、実施例1と同様に、脱灰処理すると、乾燥ポリマー中の重合触媒由来のMo金属含有量は3ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ0ppbと0ppbであった。
[実施例5]
実施例1と同様なオートクレーブ内で、4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、61g(0.4mol)、8−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、1082g(3.6mol)、および1,5−ヘキサジエン、43g(0.52mol)をTHF2.8kgに溶解し、Mo(N−2,6−Pri )(CHCMePh)(OCMe(CF、306mg(0.4mmol)を加え、実施例1と同様に反応させ、開環メタセシス共重合体溶液4.3kgを得た。重合率は100%であり、Mw=7000、Mw/Mn=1.95であり、水で析出させたポリマー中のMoの含有量は43ppmであった。
得られた開環メタセシス共重合体溶液から分取した0.5kgに、実施例1で使用した5質量%Ruカーボン7.79g(乾燥質量3.55g 質量比90%)、5質量%Rhカーボン0.80g(乾燥質量0.39g 質量比10%)を加え、水素圧5MPa、100℃で12時間水素添加反応を行った。
得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物溶液から、実施例1と同様に開環メタセシス共重合体の水素添加物を析出させ、水素添加率100%の白色粉末状の開環メタセシス共重合体の水素添加物を得た。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物中の重合触媒由来のMo金属含有量は140ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ100ppb、8ppbであった。Mw=9850、Mw/Mn=2.05であり、[A]/[B]=90/10であり、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基の脱離はなかった。加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は、濁りが無く、無色透明な全光線透過率は92%であった。
さらに、実施例1と同様に、脱灰処理すると、乾燥ポリマー中の重合触媒由来のMo金属含有量は1ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ0ppbと0ppbであった。
[実施例6]
窒素雰囲気下で磁気攪拌装置を備えた5Lのオートクレーブ内で、4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、304g(2.0mol)、8−メトキシメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン497g(2.0mol)、および1,5−ヘキサジエン、43g(0.52mol)をTHF3.2kgに溶解し、W(N−2,6−Pri )(CHCMePh)(OCMe(CF、683mg(0.8mmol)を加え、60℃で3時間反応させた。その後、n−ブチルアルデヒド173mg(2.4mmol)を加えて冷却して、開環メタセシス共重合体溶液4.0kgを得た。重合率は100%であり、Mw=7500、Mw/Mn=1.65であり、水で析出させたポリマー中のWの含有量は68ppmであった。
得られた開環メタセシス共重合体溶液から分取した0.5kgに、実施例1で使用した5質量%Ruカーボン5.93g(乾燥質量2.70g 質量比90%)、5質量%Rhカーボン0.61g(乾燥質量0.30g 質量比10%)を加え、水素圧5MPa、100℃で12時間水素添加反応を行った。
得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物溶液から、実施例1と同様に開環メタセシス共重合体の水素添加物を析出させ、水素添加率100%の白色粉末状の開環メタセシス共重合体の水素添加物を得た。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物中の重合触媒由来のW金属含有量は260ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ160ppb、20ppbであった。Mw=9850、Mw/Mn=2.05であり、[A]/[B]=50/50であり、構造単位[A]の8−メトキシメチルオキシ基の脱離はなかった。加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は、濁りが無く、無色透明な全光線透過率は91%であった。
さらに、実施例1と同様に、脱灰処理すると、乾燥ポリマー中の重合触媒由来のW金属含有量は1ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ0ppbと0ppbであった。
[実施例7]
実施例1と同様なオートクレーブ内で、4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、61g(0.4mol)、8−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、541g(1.8mol)、8−(1−メチルオキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、393g(1.8mol)および1,5−ヘキサジエン、2.9g(0.035mol)をTHF2.9kgに溶解し、Mo(N−2,6−Pri )(CHCMePh)(OCMe(CF、306mg(0.4mmol)を加え、実施例1と同様に反応させ、開環メタセシス共重合体溶液3.9kgを得た。重合率は100%であり、Mw=55000、Mw/Mn=1.91であり、水で析出させたポリマー中のMoの含有量は29ppmであった。
得られた開環メタセシス共重合体溶液から分取した0.5kgに、実施例1で使用した5質量%Ruカーボン7.42g(乾燥質量3.38g 質量比90%)、5質量%Rhカーボン0.77g(乾燥質量0.38g 質量比10%)を加え、水素圧5MPa、100℃で12時間水素添加反応を行った。
得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物溶液から、実施例1と同様に開環メタセシス共重合体の水素添加物を析出させ、水素添加率100%の白色粉末状の開環メタセシス共重合体の水素添加物を得た。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物中の重合触媒由来のMo金属含有量は350ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ200ppb、15ppbであった。Mw=82000、Mw/Mn=2.05であり、[A]/[B]/[D]=45/10/45であり、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基の脱離はなかった。加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は、濁りが無く、無色透明な全光線透過率は91%であった。
さらに、実施例1と同様に、脱灰処理すると、乾燥ポリマー中の重合触媒由来のMo金属含有量は1ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ0ppbと0ppbであった。
[実施例8]
実施例1と同様なオートクレーブ内で、4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3−オン、122g(0.8mol)、8−メトキシメチルオキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、199g(0.8mol)、8−(1−メチルオキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、524g(2.4mol)および1,5−ヘキサジエン、2.9g(0.035mol)をTHF2.6kgに溶解し、Mo(N−2,6−Pri )(CHCMePh)(OCMe(CF、306mg(0.4mmol)を加え、実施例1と同様に反応させ、開環メタセシス共重合体溶液3.4kgを得た。重合率は100%であり、Mw=48000、Mw/Mn=1.96であり、水で析出させたポリマー中のMoの含有量は40ppmであった。
得られた開環メタセシス共重合体溶液から分取した0.5kgに、実施例1で使用した5質量%Ruカーボン7.27g(乾燥質量3.31g 質量比90%)、5質量%Rhカーボン0.75g(乾燥質量0.37g 質量比10%)を加え、水素圧5MPa、100℃で12時間水素添加反応を行った。
得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物溶液から、実施例1と同様に開環メタセシス共重合体の水素添加物を析出させ、水素添加率100%の白色粉末状の開環メタセシス共重合体の水素添加物を得た。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物中の重合触媒由来のMo金属含有量は280ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ180ppb、23ppbであった。Mw=69600、Mw/Mn=2.02であり、[A]/[B]/[D]=20/20/60であり、構造単位[A]の8−メトキシメチルオキシ基の脱離はなかった。加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は濁りが無く、無色透明な全光線透過率は90%であった。
さらに、実施例1と同様に、脱灰処理すると、乾燥ポリマー中の重合触媒由来のMo金属含有量は2ppb、水素添加反応触媒由来のRuとRh金属含有量はそれぞれ0ppbと0ppbであった。
[実施例9]
実施例8で合成した開環メタセシス共重合体の水素添加物(金属含有量:Mo=280ppb、Ru=180ppb、Rh=23ppb)に耐熱酸化防止剤としてスミライザーGP(住友化学社製)を0.5質量%添加して、ペレタイザーによりペレット化した後、メイホー社製小型射出成形機Micro−1を用いて、加熱混練部の温度を260℃、金型の温度を90℃に設定し、射出速度20mm/sec、射出圧力40MPaの条件で直径20mm×厚み2mmの板状試験片を作製した。試験片の一部を削り出し測定して13C−NMRスペクトルから、8−メトキシメチルオキシ基の脱離はなかった。また、直径20mm×厚み2mmの試験片は、濁りが無く、無色透明な全光線透過率は90%であった。
[比較例1]
実施例1の水素添加反応触媒を含水率54.4%の5質量%Ruカーボン19.34g(乾燥質量8.82g)に変えたこと以外は実施例1と同様にして開環メタセシス共重合体の水素添加物を合成した。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の水素添加率は93%であり、重合触媒由来のMo金属含有量は1200ppb、水素添加反応触媒由来のRu金属含有量は290ppbであった。Mw=10000、Mw/Mn=2.05、[A]/[B]=50/50であり、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基の脱離はなかった。
得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物を、200℃で熱プレス成形して得られた厚み102μmの試験片は、黄色く着色し、全光線透過率は75%であった。
[比較例2]
実施例1の水素添加反応触媒を含水率50.7%の5質量%Rhカーボン17.89g(乾燥質量8.82g)に変えたこと以外は実施例1と同様にして開環メタセシス共重合体の水素添加物を合成した。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の水素添加率は100%であり、水素添加物中の重合触媒由来のMo金属含有量は5.6ppm、水素添加反応触媒由来のRh金属含有量は96ppmであった。Mw=8050、Mw/Mn=2.54であり、得られたポリマーの構造は、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基が40モル%脱離してカルボン酸が発生し、このカルボン酸をもつ構造単位を[C]とすると、[A]/[B]/[C]=10/50/40であった。
得られた構成モル比[A]/[B]/[C]=10/50/40である開環メタセシス共重合体の水素添加物はPGMEAへ溶解せず、塗工用ワニスを作製することができなかった。さらに、200℃で加熱溶融プレスして得られた厚み100μmの試験片は、黄色く着色しヘイズが発生し、白く濁った状態となった。ヘイズ値は12%であり、全光線透過率は35%であった。
[比較例3]
実施例1の水素添加反応触媒を10質量%Ruアルミナ3.31gに変え、水素圧8MPa、120℃で24時間水素添加反応を行ったこと以外は実施例1と同様にして開環メタセシス共重合体の水素添加物を合成した。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の水素添加率は100%であり、水素添加物中のMo金属含有量は12ppm、Ru金属含有量は18ppm、Al金属含有量は0.4ppmであった。Mw=9800、Mw/Mn=2.05、[A]/[B]=50/50であり、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基の脱離はなかった。加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は、黄色く着色し、全光線透過率は73%であった。
さらに、実施例1と同様に、脱灰処理すると、乾燥ポリマー中の重合触媒由来のMo金属含有量は500ppb、水素添加反応触媒由来のRu金属含有量は540ppbであった。
[比較例4]
実施例1の水素添加反応触媒を5質量%Ruアルミナ3.14g(質量比95%)、5質量%Rhアルミナ0.17g(質量比5%)に変えた以外は実施例1と同様にして開環メタセシス共重合体の水素添加物を合成した。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の水素添加率は97%であり、水素添加物中の重合触媒由来のMo金属含有量は3ppm、Ru、RhおよびAl金属含有量はそれぞれ7.5ppm、0.3ppm、および0.1ppmであった。Mw=10000、Mw/Mn=2.05であった。
ここで、5質量%Ruアルミナとは、アルミナ100質量%に対するRuの担持量が5質量%であるアルミナ担持Ru触媒を意味する。また、5質量%Rhアルミナとはアルミナ100質量%に対するRhの担持量が5質量%であるアルミナ担持Rh触媒を意味する。
加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は、黄色く着色し、全光線透過率は73%であった。
[比較例5]
実施例1の水素添加反応触媒をクロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、0.2g(0.21mmol)に変え、トリエチルアミン、21mg(0.2mmol)を加えたこと以外は実施例1と同様にして開環メタセシス共重合体の水素添加物を合成した。得られた開環メタセシス共重合体の水素添加物の水素添加率は100%であり、重合触媒由来のMo金属含有量は7ppm、水素添加反応触媒由来のRu金属含有量は16ppmであった。Mw=28000、Mw/Mn=2.05、[A]/[B]=50/50であり、構造単位[A]の1−エチルシクロペンチル基の脱離はなかった。加熱溶融プレスにより作製した厚み100μmの試験片は、黄色く着色し、全光線透過率は69%であった。
さらに、実施例1と同様に、脱灰処理すると、乾燥ポリマー中の重合触媒由来のMo金属含有量は3500ppb、水素添加反応触媒由来のRu金属含有量は5400ppbであった。
本発明の製造方法により得られる、ヘテロ原子を含有する極性の高い開環メタセシス共重合体の水素添加物は、残留製造触媒金属成分の量が少なく、特に、ArF露光による半導体製造プロセスで用いられるレジスト組成物等の半導体材料に用いることができる。また、本発明の製造方法により得られる開環メタセシス共重合体の水素添加物は、黄変が無く高い透明性が要求される光学部品用途、および有機EL、液晶プラスチック基板または電子材料用途等に用いることもできる。

Claims (4)

  1. 開環メタセシス共重合体の水素添加物を製造するための製造方法であって、
    水素の存在下、ルテニウム(Ru)金属とロジウム(Rh)金属のカーボン担持水素添加反応触媒を用いて、開環メタセシス共重合体の炭素−炭素二重結合を水素添加する工程を含み、
    前記開環メタセシス共重合体は、下記一般式(1)で表される繰返し構造単位[A]と下記一般式(2)で表される繰返し構造単位[B]を含み、前記構造単位[A]と前記構造単位[B]とのモル比([A]/[B])が5/95以上90/10以下であり、
    前記カーボン担持水素添加反応触媒における前記ルテニウムと前記ロジウムとの質量比(Ru/Rh)が80/20以上99/1以下であり、
    得られる前記開環メタセシス共重合体の水素添加物の二重結合の水素添加率が99.5モル%以上であり、
    得られる前記開環メタセシス共重合体の水素添加物における前記構造単位[A]中の酸不安定基の脱離率が1モル%以下であり、
    得られる前記開環メタセシス共重合体の水素添加物における重合触媒および水素添加反応触媒由来の金属の全含有量が1000ppb以下である開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
    Figure 0006931537
    (式中、R炭素数4〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜20のアルコキシアルキルオキシカルボニル基、および炭素数4〜20のアルコキシカルボニルアルキルオキシカルボニル基からなる群より選択される酸不安定基であり、jは、0または1である。)
    Figure 0006931537
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜10のアルキル基から選ばれ、Xは−O−、または−CR−から(RおよびRはそれぞれ水素または炭素数1〜20のアルキル基を表す)選ばれる。)
  2. 請求項1に記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法において、
    前記重合触媒および水素添加反応触媒由来の金属が少なくともルテニウムおよびロジウムを含み、さらに任意でモリブデン、タングステンからなる群より選択される一種または二種を含む開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法において、
    前記カーボン担持水素添加反応触媒における前記ルテニウムと前記ロジウムの合計質量が前記開環メタセシス共重合体に対して0.05質量%以上1.0質量%以下である開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法において、
    得られる前記開環メタセシス共重合体の水素添加物が、半導体製造リソグラフィープロセスで使用されるレジスト原料である開環メタセシス共重合体の水素添加物の製造方法。
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